JP4589032B2 - 排気ガス浄化用触媒及び同触媒用酸素吸蔵材 - Google Patents

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本発明は排気ガス浄化用触媒及び同触媒用酸素吸蔵材に関する。
自動車の排気ガスを浄化するための三元触媒は、一般にはサポート材としてのアルミナ及びセリアを担体にコーティングした後、Pt、Pd、Rh等の触媒金属を当該コート層に含浸させて焼成することによって形成されている。また、排気ガス浄化用触媒に関し、排気ガスをその低温時から高温時まで安定して浄化できるようにするとともに、触媒の耐熱を向上させるべく、中空状酸化物粉末と中実状酸化物粉末とを含むサポート材に触媒金属を担持させるという提案が知られている(特許文献1参照)。
すなわち、この提案の中空状酸化物粉末は、Laを含有するAlからなり、これにRhが含浸法によって担持されている。また、特許文献1には、中空状酸化物粉末の殻壁の厚さは100nm以下であることが望ましく、50nm以下、さらには20nm以下であることがより望ましいこと、中空状酸化物粉末は外径が20〜2000nmであり、10〜2000nmの細孔をもつこと、中空状酸化物粉末の粒子はAl,Ti及びZrから選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物又は複合酸化物から形成すること、比表面積は20m/g以上であることが望ましい、と記載されている。
ところで、上記セリアは、三元触媒においては酸素吸蔵材として働き、当該触媒が有効に働く空燃比領域を拡大するが、耐熱性が低いという問題がある。これに対して、触媒の耐熱性向上のために、セリアとジルコニアとを複合させた複合酸化物を触媒貴金属のサポート材として用いることは知られている。
特開2002−1120号公報
本出願人は、先にCeとZrとを含有し結晶格子又は原子間に触媒金属を配置してなる複合酸化物を共沈法によって製造する方法を開発し、提案している(特願2003−379839号,出願人:マツダ株式会社)。この複合酸化物によれば、排気ガスの熱による触媒金属のシンタリングや表面に存在する触媒金属の埋没が抑えられ、すなわち、触媒の耐熱性が向上するとともに、酸素吸蔵能(吸蔵速度及び吸蔵量)が高まる。従って、触媒金属量を少なくしても、排気ガス浄化におけるライトオフ性能及び高温浄化性能を向上させることができた。
しかし、共沈法で得られる複合酸化物では、その結晶子(一次粒子)の微細化にも限界があり、触媒金属の添加量を少なくすると、結晶子表面に露出して排気ガスの酸化・還元に直接働く(触媒作用をする)触媒金属量が少なくなる。また、二次粒子も多数の一次粒子が凝集してなるものであるため、内部に埋もれている一次粒子は排気ガスと充分に接触しないという問題があった。これは、後出比較例に示すとおり、高温に晒した場合、比較的小さなBET比表面積がさらに低下することから、凝集した中実状複合酸化物同士がシンタリングを起こしやすいことに原因があると考えられる。
つまり、Rhは、その一部が後述のように一次粒子(結晶子)の結晶格子又は原子間に配置されることによって酸素吸蔵量の増大等、酸素吸蔵能の向上に寄与するとともに、残りの一部が一次粒子表面に露出していることによって排気ガスと接触して浄化性能の向上に寄与するが、シンタリングによって粗大化した粒子内部にRhが埋没する結果、粒子表面に露出して排気ガス浄化性能に寄与するRh量が少なくなるという問題があった。そのため、排気ガス浄化性能をさらに高めることが難しかった。
そこで、本発明の課題は、触媒金属量を少なくしても、触媒の耐熱性を損なうことなく、その排気ガス浄化性能をさらに高めることができるようにすることにある。
本発明は、このような課題に対して、上記CeとZrとを含有し且つ触媒金属が結晶格子又は原子間に存する複合酸化物を中空の殻及びその破片のいずれかの形態で触媒に用いるようにした。
すなわち、請求項1に係る発明は、触媒担体上に形成された触媒層に、Ce及びZrを含有する複合酸化物と、Alと、少なくとも一種類の触媒金属とが含まれている排気ガス浄化用触媒であって、
上記一種類の触媒金属はRhであり、
上記複合酸化物の少なくとも一部は、中空の殻及びその破片の少なくとも一方の形態となって上記触媒層に存在し、
上記中空の殻又はその破片を構成する上記Ce及びZrを含有する一次粒子の結晶格子又は原子間に上記Rhの少なくとも一部が配置されており、
上記Al は、上記複合酸化物と混合して上記触媒層に含まれていることを特徴とする。
従って、上記複合酸化物の結晶格子又は原子間に配置されたRhは、Rh同士の接触が抑制された状態にあるから、高熱に晒されてもシンタリングを生じ難くなる。また、Rhが結晶格子又は原子間に配置された当該複合酸化物は、その雰囲気が酸素過剰になると、速やかに酸素を吸蔵するとともに、酸素吸蔵量も多くなる。
なお、Rh以外の触媒金属としては、PtやPd等が含浸法等で触媒層に含有されることが好ましい。或いは更にRhが含浸法等で触媒層に含有されてもよい。
そうして、上記中空の殻及びその破片のいずれかの形態になっている複合酸化物は、中実の塊状となっている場合に比べて、表面(殻の外面及び内面を含む)に露出する一次粒子が多くなるとともに、排気ガスが当該複合酸化物の殻壁を通り抜けやすくなる。よって、一次粒子の表面に露出しているRhが排気ガスと接触し易くなるから、排気ガスの浄化性能が高まる。
請求項2に係る発明は、請求項1において、
Rhが結晶格子又は原子間に配置された上記一次粒子の平均結晶子径が10nm未満であることを特徴とする。
このような小さい結晶子径であれば、その表面に露出するRhの量が多くなり、排気ガス浄化性能の向上に有利になる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記中空の殻は、その直径が0.05μm以上3.0μm以下の略球状であり、その殻壁の厚みが50nm以下であることを特徴とする。
従って、一次粒子同士の接触による粒成長が抑制されるとともに、当該中空殻状複合酸化物のシンタリングも少なくなる。また、上記一次粒子の平均結晶子径が10nm未満である場合、殻壁の厚みと該殻壁を構成する一次粒子の平均結晶子径との関係から、殻壁の厚み方向に存在する一次粒子の数が約10個程度に或いは10個以下に抑えられるので、排気ガスが殻壁を通り易くなり、排気ガスの浄化性能が高まる。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載されている排気ガス浄化用触媒に含有される酸素吸蔵材であって、
Ce及びZrを含有し且つ結晶格子又は原子間にRhが配置されている複合酸化物の一次粒子から構成されていて、
上記Ce及びZrを含有する一次粒子が凝集して中空の殻及びその破片の少なくとも一方の形態となっていることを特徴とする。
従って、この酸素吸蔵材によれば、Rhのシンタリングを生じ難くなり且つ優れた酸素吸蔵特性を示すことに加えて、表面に露出する一次粒子が多くなるとともに、排気ガスが当該複合酸化物の殻壁を通り抜け易くなるから、一次粒子の表面に露出しているRhが排気ガスと接触し易くなり、排気ガスの浄化性能が高まる。
請求項5に係る発明は、請求項4において、
上記複合酸化物の平均結晶子径が10nm未満であることを特徴とする。
従って、酸素吸蔵材表面に露出するRhの量が多くなり、排気ガス浄化性能の向上に有利になる。
以上のように本発明に係る排気ガス浄化用触媒によれば、Ce及びZrを含有しRhが結晶格子又は原子間に配置された複合酸化物が中空の殻及びその破片の少なくとも一方の形態になっているから、触媒の耐熱性が向上し、また、表面に露出する一次粒子が多くなるとともに、排気ガスが当該複合酸化物の殻壁を通り抜けやすくなるから、一次粒子の表面に露出しているRhが排気ガスと接触し易くなり、排気ガスの浄化性能が高まる。
また、上記一次粒子の平均結晶子径を10nm未満にすると、排気ガス浄化性能の向上に有利になり、また、上記中空の殻を直径が0.05μm以上3.0μm以下の略球状とし、その殻壁の厚みを50nm以下にすると、一次粒子同士の接触による粒成長の抑制、当該中空殻状複合酸化物のシンタリング防止に有利になるとともに、排気ガスが殻壁を通り易くなり、排気ガスの浄化性能が高まる。
また、本発明に係る酸素吸蔵材によれば、Ce及びZrを含有しRhが結晶格子又は原子間に配置された複合酸化物の一次粒子が凝集して中空の殻及びその破片の少なくとも一方の形態となったものであるから、耐熱性が高くなり且つ優れた酸素吸蔵特性を示すことに加えて、一次粒子の表面に露出しているRhが排気ガスと接触し易くなり、排気ガスの浄化性能を高める上で有利になる。また、上記一次粒子の平均結晶子径を10nm未満にすると、排気ガス浄化性能の向上にさらに有利になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る排気ガス浄化用触媒は、自動車エンジンの排気ガス中のHC、CO及びNOxを浄化することに適したものであって、そのための触媒層がコージェライト等の無機多孔質によって形成されたハニカム形状等の担体上に形成されている。触媒層は次に説明する酸素吸蔵材として働く複合酸化物及びγ−アルミナをバインダと共に担体にウォッシュコートすることによって形成される。
上記複合酸化物は、Ce及びZrを含有し且つ触媒金属としてのRhの少なくとも一部が結晶格子又は原子間に配置されたものであって、この複合酸化物の少なくとも一部は中空の略球状の殻及びその破片のいずれかの形態になっている。なお、上記複合酸化物は、以下の実施例に記載のNd等、Ce以外の希土類元素を含有してもよい。
<実施例>
上記複合酸化物を噴霧熱分解法によって製造した。すなわち、オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸セリウム、硝酸ネオジム、硝酸ロジウム及び硫酸マグネシウムの各所定量を水に溶解させることにより、上記複合酸化物の原料溶液を調製した。ここで、硫酸マグネシウムは、中空状複合酸化物を製造する際の結晶子のシンタリングを抑制する、結晶子同士の接触点を減らしつつ中空構造に導く、という作用を有するものとして、各種添加化合物の中から選定されたものであり、その添加量、濃度等は適宜決定することができる。次いで、上記原料溶液を、空気をキャリアガスとして噴霧することにより、液滴化させて加熱炉に供給した。加熱炉の温度は1000℃に設定した。加熱炉を出た粒子はバグフィルターによって捕集し、これを水洗後、乾燥させることにより、当該複合酸化物を得た。この実施例においては、ZrO:CeO:Nd=68:22:10、当該複合酸化物におけるRh量が0.125質量%となるようにした。
そうして、上記複合酸化物とγ−アルミナ粉末とを2:1の比率で混合してこれにバインダ及び水を加えてスラリーを得、このスラリーをコージェライト製ハニカム担体に担体1L当たりの担持量が167gとなるようにウォッシュコートして、乾燥、焼成工程を経て実施例に係る排気ガス浄化用触媒を得た。この触媒の担体に対するRh含有量は0.126g/Lである。
図1〜図4は上記複合酸化物のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。図1及び図2の写真に写っている中空球状の殻及び該殻が割れた破片(図2の写真に円弧状ないし直線状に黒く写っているもの)が上記複合酸化物である。球状殻の直径は0.05μm〜3μmである。図3は図1の写真の一部を拡大したものであり、複合酸化物の殻壁の厚みは50nm以下になっている。すなわち、TEMでは100nm程度の厚みのものを観察するとその背部が透過して見えるが、図3によれば大きな中空球状の複合酸化物の裏にやや小さめの中空球状の複合酸化物が見えているところから、殻壁の厚みは50nm以下であると特定した。
図4はさらに倍率を高めた写真であり、黒い粒状のものが見受けられるが、これらが一次粒子である。この写真によれば、該一次粒子の50%以上は直径が数nm以下になっていることが確認できる。
したがって、実施例に係る複合酸化物は、中空球状の殻と該殻が割れた破片とが混合された形態となっている。また、図4の写真からわかるように、一次粒子である結晶子の一部は互いに接触した状態にあるが、一部の結晶子間には空隙が存在する。つまり、図2や図3に示される中空球状の殻やその破片は、一次粒子が部分的に結晶子間に空隙のある状態で凝集した二次粒子であると云える。そして、このように結晶子間に空隙が存在する、つまり多孔体であるが故に、複合酸化物は後述する比較的大きなBET比表面積が確保できているとともに、排気ガスが複合酸化物の殻壁を通り抜けやすく、その通り抜けの過程で一次粒子表面に露出しているRhと排気ガスとが接触するため、排気ガス性能が高まる。
なお、図1及び図2の写真において、複合酸化物の背部に写っている線状のものは写真撮影のために複合酸化物を支持させたCu製ワイヤーメッシュである。
図5は上記複合酸化物の平均結晶子径を次に示すシェラーの式から導くために調べたXRD(X線回折)パターンである。
結晶子径D(hkl)=0.9λ/(β1/2・cosθ)
但し、hklはミラー指数、λは特性X線の波長(Å)、β1/2は(hkl)面の半価幅(ラジアン)、θはX線反射角度である。
このシェラーの式によると、平均結晶子径は5.8nmとなる。
<排気ガス浄化性能について>
上記実施例の排気ガス浄化性能を比較例との比較において評価した。
−比較例−
共沈法によって比較例に係る複合酸化物を調製した。すなわち、オキシ硝酸ジルコニウム、硝酸セリウム、硝酸ネオジム及び硝酸ロジウム溶液各々の所定量と水とを混合し、この混合溶液を室温で約1時間撹拌した後、80℃まで加熱昇温させ、これと28%アンモニア水50mLとを素早く混合した。このアンモニア水との混合により白濁した溶液を一昼夜放置し、生成したケーキを遠心分離器にかけ、十分に水洗した。この水洗したケーキを約150℃の温度で乾燥させた後、400℃の温度に5時間保持し、次いで1000℃の温度に1時間保持するという条件で焼成した。
得られた複合酸化物は、Ce及びZrを含有しRhの少なくとも一部が結晶格子又は原子間に配置された中実の粉末であり、組成は実施例と同じく、ZrO:CeO:Nd=68:22:10、当該複合酸化物におけるRh量は0.125質量%である。また、結晶子径は10〜20nmであった。
そうして、上記複合酸化物とγ−アルミナ粉末とを2:1の比率で混合してこれにバインダ及び水を加えてスラリーを得、このスラリーをコージェライト製ハニカム担体に担体1L当たりの担持量が167gとなるようにウォッシュコートして、乾燥、焼成工程を経て比較例に係る排気ガス浄化用触媒を得た。従って、比較例触媒の担体に対するRh含有量は実施例と同じく0.126g/Lである。
−排気ガス浄化性能の評価試験−
上記実施例及び比較例の各触媒について、Oを2質量%、HOを10質量%含有するNガス雰囲気で1000℃の温度に24時間加熱するエージング処理を行なった後、モデルガス流通反応装置及び排気ガス分析装置を用いて、空燃比リッチのモデルガス(温度600℃)を20分間流した後のHC、CO及びNOxの浄化に関するライトオフ温度T50及び高温浄化率C400を測定した。T50は、触媒に流入するモデルガス温度を常温から漸次上昇させていき、浄化率が50%に達したときの触媒入口のガス温度である。C400は触媒入口ガス温度が400℃のときの浄化率である。モデルガスは、A/F=14.7±0.9とした。すなわち、A/F=14.7のメインストリームガスを定常的に流しつつ、所定量の変動用ガスを1Hzでパルス状に添加することにより、A/Fを±0.9の振幅で強制的に振動させた。空間速度SVは60000h−1、昇温速度は30℃/分である。
T50の結果を図6に示す。HC、CO及びNOxいずれの浄化に関しても実施例触媒の方が比較例触媒よりも50℃前後低いT50になっている。C400の結果を図7に示す。HC、CO及びNOxいずれの浄化率に関しても、実施例触媒は比較例触媒よりも5%前後高くなっている。
即ち、実施例触媒は比較例触媒に比べて、より低温でも高い触媒活性を発揮するとともに、高温域においても高い触媒活性が維持されるものであって、耐熱性に優れ、排気ガス浄化性能が高い。従って、本発明の如く、Ce及びZrを含有しRhの少なくとも一部が結晶格子又は原子間に配置された複合酸化物が中空略球状の殻及びその破片のいずれかの形態になると、耐熱性の向上、排気ガス浄化性能の向上に有利であることがわかる。
これは、本発明の場合、複合酸化物が中空略球状の殻又はその破片の形態であるから、排気ガスが当該複合酸化物の殻壁を通り抜けやすくなるとともに、凝集によって内部に埋もれる一次粒子が可及的に少なくなるため、排気ガスとRhなどの触媒金属及び酸素吸蔵材との接触効率が向上したこと、しかも、高温に暴露した場合でも、複合酸化物の粒成長が抑制され粒子内部に埋没するRhが少ないため、Rhのほぼ全量、つまり一次粒子内部における結晶格子又は原子間に配置されたRhと、当該一次粒子内部から表面に露出したRhとが、それぞれの機能を発揮して排気ガスの浄化に寄与したことによるものであり、少量でも高い浄化性能を維持できるものである。
複合酸化物の粒成長を抑制できたのは、一次粒子同士の接触面積を限りなく小さくしたことにより、接触面での相互拡散による焼結を抑制できたこと、並びにRhは結晶格子又は原子間に配置されているのでRh同士の接触が抑制されたことによるものと考えられる。更に、結晶子サイズが小さいことによって、一次粒子表面に露出するRhが多くなり、反応効率が向上したものと推定される。
すなわち、上記実施例及び比較例の複合酸化物について、そのフレッシュ時及びエージング後のBET比表面積を測定したところ、表1の結果が得られた。このエージングは複合酸化物を大気雰囲気で1000℃の温度に24時間加熱するというものである。
この比表面積の測定結果によれば、実施例の複合酸化物は比較例に比べてフレッシュ時の比表面積が十数倍大きく、エージング後も5倍程度大きい。これは、実施例の複合酸化物が中空略球状の殻又はその破片の形態となっているからであり、このように比表面積が大きいということは、複合酸化物表面に露出しているRh量も多いということであり、触媒中のRhが排気ガス浄化に効率良く働いているということができる。
−複合酸化物の酸素吸蔵能について−
上述のCe及びZrを含有し且つRhが結晶格子又は原子間に配置された複合酸化物は、雰囲気が酸素過剰になると、速やかに酸素を吸蔵するとともに、酸素吸蔵量も多くなるが、その酸素吸蔵のメカニズムは以下のように推定される。
すなわち、図8(a)は実施例の複合酸化物(以下、Rhドープ複合酸化物という。)の、図8(b)はCe及びZrを含有する複合酸化物にRhを後から担持させた従来例のRh後担持複合酸化物の、各々推定される酸素吸蔵メカニズムを模式的に表したものである。なお、図8ではZr原子の図示は省略している。
まず、図8(b)のRh後担持複合酸化物では、酸素(O)は、複合酸化物内部の表面近傍に存する酸素欠損部(O空孔)には酸素イオンとなって吸蔵されるが、複合酸化物内部の比較的深い部位に存する酸素欠損部には到達することができず、この酸素欠損部は酸素吸蔵にはあまり利用されていないと考えられる。
これに対して、図8(a)のRhドープ複合酸化物では、酸素(O)が酸素イオンとなって複合酸化物内部に存するRhに引き寄せられ、このRhを介して複合酸化物内部の酸素欠損部に瞬時に移動すると考えられる。また、複合酸化物内部にはRhが分散して存在するから、酸素イオンは複合酸化物表面から複数のRhを介してホッピング移動し、複合酸化物内部の深いところの酸素欠損部に入ると考えられる。このため、Rhドープ複合酸化物の場合は、酸素過剰雰囲気になったときの酸素吸蔵速度が速やかに高くなるとともに、この酸素吸蔵速度の最高値も高くなり、また、酸素吸蔵材内部の比較的深いところの酸素欠損部も酸素吸蔵に利用されるから、酸素吸蔵量が多くなると考えられる。
本発明の実施形態に係る複合酸化物の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施形態に係る複合酸化物の他の部分の電子顕微鏡写真である。 図1の写真に写っている複合酸化物の一部について倍率を高めて撮影した電子顕微鏡写真である。 本発明の実施形態に係る複合酸化物についてさらに倍率を高めて撮影した電子顕微鏡写真である。 本発明の実施形態に係る複合酸化物のフレッシュ時のXRDパターンを示す図である。 本発明の実施例及び比較例各々のライトオフ温度T50を示すグラフ図である。 本発明の実施例及び比較例各々の高温浄化率C400を示すグラフ図である。 実施例及び従来例各々の複合酸化物の酸素吸蔵メカニズムを模式的に示す図((a)が実施例,(b)が従来例)である。
なし

Claims (5)

  1. 触媒担体上に形成された触媒層に、Ce及びZrを含有する複合酸化物と、Alと、少なくとも一種類の触媒金属とが含まれている排気ガス浄化用触媒であって、
    上記一種類の触媒金属はRhであり、
    上記複合酸化物の少なくとも一部は、中空の殻及びその破片の少なくとも一方の形態となって上記触媒層に存在し、
    上記中空の殻又はその破片を構成する上記Ce及びZrを含有する一次粒子の結晶格子又は原子間に上記Rhの少なくとも一部が配置されており、
    上記Al は、上記複合酸化物と混合して上記触媒層に含まれていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. 請求項1において、
    Rhが結晶格子又は原子間に配置された上記一次粒子の平均結晶子径が10nm未満であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記中空の殻は、その直径が0.05μm以上3.0μm以下の略球状であり、その殻壁の厚みが50nm以下であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載されている排気ガス浄化用触媒に含有される酸素吸蔵材であって、
    Ce及びZrを含有し且つ結晶格子又は原子間にRhが配置されている複合酸化物の一次粒子から構成されていて、
    上記Ce及びZrを含有する一次粒子が凝集して中空の殻及びその破片の少なくとも一方の形態となっていることを特徴とする酸素吸蔵材。
  5. 請求項4において、
    上記一次粒子の平均結晶子径が10nm未満であることを特徴とする酸素吸蔵材。
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