JP4582376B2 - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力を用いて操舵補助する電動パワーステアリング装置のための制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアリング機構に与えるべき操舵補助力の発生源として電動モータを採用した電動パワーステアリング装置では、電動パワーステアリング装置用のコントローラが、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクおよび車速に基づいて電動モータを制御するようにしている。具体的には、操舵トルクを検出するトルクセンサおよび車速を検出する車速センサからの検出信号がコントローラに入力されるようになっていて、コントローラは、トルクセンサおよび車速センサから入力される検出信号に応じた目標電流値を定め、この目標電流値に基づいて電動モータをフィードバック制御する。
【0003】
この種の電動パワーステアリング装置では、たとえば、小さなカーブが連続するスラローム路を走行している時などに、電動モータなどの慣性による応答遅れ(操舵トルクの変化に対する操舵補助力の立ち上がりの遅れ)を生じるという問題があった。応答遅れが生じると、ステアリングホイールが重たく、ステアリングホイールの操舵にひっかかりがあると運転者に感じさせる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、走行状況に拘わらず良好な操舵フィーリングを達成できる電動パワーステアリング制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操作部材(1)に加えられた操舵トルク(T)に基づいて駆動される電動モータ(4)によって操舵補助力を発生させる電動パワーステアリング装置のための制御装置(10)であって、操舵トルクに応じた基本アシスト電流値(I)を生成する基本アシスト電流生成手段(12)と、車両の走行状況に応じた慣性補償制御伝達関数(G(s))を設定する伝達関数設定手段(134,135)と、この伝達関数設定手段が設定する慣性補償制御伝達関数に操舵トルクを通すことによって操舵トルク微分相当値(δT')を生成する操舵トルク微分相当値生成手段(131)と、この操舵トルク微分相当値生成手段が生成する操舵トルク微分相当値に基づいて慣性補償値(ΔI1)を生成する慣性補償電流生成手段(132,133)と、上記基本アシスト電流生成手段が生成する基本アシスト電流値と、上記慣性補償電流生成手段が生成する慣性補償値とを加算してアシスト目標電流値を生成する目標電流値生成手段(16a)と、この目標電流値生成手段が生成するアシスト目標電流値に基づいて電動モータを駆動するモータ駆動手段(18)とを含み、
上記慣性補償制御伝達関数は、
【0006】
【数3】
Figure 0004582376
【0007】
で定義されるローパスフィルタ特性を有する関数であり、上記伝達関数設定手段は、上記関数補償制御伝達関数中の時定数A2を操舵トルクの時間微分値に応じて変更する時定数変更手段(135)を含むものであることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置である
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、操舵トルクを慣性補償制御伝達関数に通すことにより操舵トルク微分相当値が生成され、この操舵トルク微分相当値に基づいて慣性補償値が設定される。これにより、電動モータの経時変化や車両のタイヤ空気圧の変化などが原因で操作部材の剛性感が変化し、そのために操作部材に加えられる操舵トルクの大きさが変化しても、この変化を慣性補償値で補償することができる。ゆえに、経時変化による操舵フィーリングの悪化を生じるおそれがない。
【0009】
また、慣性補償制御伝達関数は、車両の走行状況に基づいて設定されるから、この慣性補償制御伝達関数に操舵トルクを通して生成された操舵トルク微分相当値に基づいて設定される慣性補償値は、車両の走行状況に拘わらず、電動モータなどの慣性による応答遅れを良好に補償することできる。よって、慣性補償値を含むアシスト目標電流値に基づいて電動モータを制御することにより、電動モータなどの慣性による応答遅れが良好に補償され、大きなカーブを走行している状況下であっても、小さなカーブが連続するスラローム路を走行している状況下であっても、良好な操舵フィーリングを達成することができる。
【0010】
また、操舵トルクの時間微分値に応じて時定数A2を変更することにより、慣性補償制御伝達関数G(s)が設定される。
【0011】
上記時定数変更手段は、操舵トルクの時間微分値が大きいほど、時定数A2を小さな値に変更し、操舵トルクの時間微分値が小さいほど、時定数A2を大きな値に変更するものであることが好ましい。この場合、時定数A2が小さいほど、慣性補償制御伝達関数G(s)のローパスフィルタ特性によって操舵トルクから除去される高周波成分量が少なくなり、時定数A2が大きいほど、慣性補償制御伝達関数G(s)に含まれるローパスフィルタ特性によって操舵トルクから除去される高周波成分量が多くなる。
【0012】
ゆえに、操舵トルクの時間微分値が小さい時には、操舵トルクの生成の際に操舵トルクから除去される高周波成分量が多くなるから、操舵トルクの緩やかな変化を捉えた操舵トルク微分相当値を得ることができ、この操舵トルク微分相当値に基づいて、操舵トルクが緩やかに変化した場合における慣性による応答遅れを良好に補償する慣性補償値を得ることができる。一方、操舵トルクの時間微分値が大きい時には、操舵トルクの生成の際に操舵トルクから除去される高周波成分量が少なくなるから、操舵トルクの急激な変化を捉えた操舵トルク微分相当値を得ることができ、この操舵トルク微分相当値に基づいて、操舵トルクが急激に変化した場合における慣性による応答遅れを良好に補償する慣性補償値を得ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、操作部材(1)に加えられた操舵トルク(T)に基づいて駆動される電動モータ(4)によって操舵補助力を発生させる電動パワーステアリング装置のための制御装置(10)であって、操舵トルクに応じた基本アシスト電流値(I)を生成する基本アシスト電流生成手段(12)と、車両の走行状況に応じた慣性補償制御伝達関数(G1(s),G2(s))を設定する伝達関数設定手段(111)と、この伝達関数設定手段が設定する慣性補償制御伝達関数を操舵トルクに乗じることによって操舵トルク微分相当値(δT')を生成する操舵トルク微分相当値生成手段(112)と、この操舵トルク微分相当値生成手段が生成する操舵トルク微分相当値に基づいて慣性補償値(ΔI1)を生成する慣性補償電流生成手段(132,133)と、上記基本アシスト電流生成手段が生成する基本アシスト電流値と、上記慣性補償電流生成手段が生成する慣性補償値とを加算してアシスト目標電流値を生成する目標電流値生成手段(16a)と、この目標電流値生成手段が生成するアシスト目標電流値に基づいて電動モータを駆動するモータ駆動手段(18)とを含み、上記伝達関数設定手段は、操舵トルクの時間微分値と予め定める基準値とを比較して大小を判断する比較判断手段(111)を含み、この比較判断手段によって操舵トルクの時間微分値が上記基準値よりも大きいと判断された場合には、上記慣性補償制御伝達関数を予め定めるスラローム走行用伝達関数(G2(s))に設定し、上記比較判断手段によって操舵トルクの時間微分値が上記基準値以下であると判断された場合には、上記慣性補償制御伝達関数を予め定める一般走行用伝達関数(G1(s))に設定するものであることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置である。
【0018】
この発明によれば、操舵トルクの時間微分値が基準値よりも大きい場合には、慣性補償制御伝達関数が予め定めるスラローム走行用伝達関数に設定され、操舵トルクの時間微分値が基準値以下である場合には、慣性補償制御伝達関数が予め定める一般走行用伝達関数に設定される。すなわち、走行状況に応じた慣性補償制御伝達関数が設定されるから、走行状況に拘わらず、良好な操舵フィーリングを達成することができる。
【0019】
なお、上記慣性補償制御伝達関数がローパスフィルタ特性を有する場合(たとえば、請求項3に記載の形式のもの)、上記スラローム走行用伝達関数に含まれるローパスフィルタ時定数(A2)は、一般走行用伝達関数に含まれるローパスフィルタ時定数(A2)よりも大きいことが好ましい。こうすることにより、たとえば、車両が大きなカーブを走行している状況の時には、一般走行用伝達関数のローパスフィルタ特性によって操舵トルクから除去される高周波成分量が多くなるから、操舵トルクの緩やかな変化を捉えた操舵トルク微分相当値を得ることができ、この操舵トルク微分相当値に基づいて、操舵トルクが緩やかに変化した場合における慣性による応答遅れを良好に補償する慣性補償値を得ることができる。一方、たとえば、車両がスラローム路を走行している状況の時には、スラローム走行用伝達関数のローパスフィルタ特性によって操舵トルクから除去される高周波成分量が少なくなるから、操舵トルクの急激な変化を捉えた操舵トルク微分相当値を得ることができ、この操舵トルク微分相当値に基づいて、操舵トルクが急激に変化した場合における慣性による応答遅れを良好に補償する慣性補償値を得ることができる。
【0020】
したがって、走行状況に拘わらず、良好な操舵フィーリングを達成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に機械的に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータ4から発生する駆動力が、ギア機構やボールねじ機構などの駆動力伝達機構を介して、操舵補助力として伝達されるようになっている。
【0022】
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー5によって互いに連結されている。トーションバー5は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ6よって検出されるようになっている。トルクセンサ6の検出信号は、マイクロコンピュータを含むコントローラ10に入力されている。
【0023】
コントローラ10には、トルクセンサ6の検出信号の他に、車両の走行速度(車速)Vを検出する車速センサ7、および電動モータ4に流れるモータ電流値を検出するモータ電流検出回路8の検出信号が入力されている。また、電動モータ4に関連して、電動モータ4の回転角を検出する回転角センサ9が設けられており、この回転角センサ9によって検出されるモータ回転角θを微分器91で時間微分して得られるモータ回転角速度δθがコントローラ10に入力されている。コントローラ10は、トルクセンサ6からの入力信号、車速センサ7によって検出される車速V、モータ電流検出回路8によって検出されるモータ電流値、および微分器91によって生成されるモータ回転角速度δθに基づいて、ステアリングホイール1の操作に応じた操舵補助力がステアリング機構3に与えられるように電動モータ4を駆動制御する。
【0024】
コントローラ10は、たとえば、図示しない記憶媒体(ROMなど)に格納された動作プログラムを実行することによって実現される複数の機能処理部を有している。これらの機能処理部には、トルクセンサ6の検出信号の位相を進めて、系を安定化させるための位相補償部11、位相補償部11によって位相が進められた操舵トルクTおよび車速センサ7が検出する車速Vに応じた基本アシスト電流値Iを生成する基本アシスト制御部12、電動モータ4などの慣性による応答遅れを補償するための慣性補償値ΔI1をそれぞれ生成する慣性補償制御部13、車速Vおよびモータ回転角速度δθに基づいて、ステアリングホイール1の収斂性を向上させるための収斂性補正値ΔI2を生成する収斂制御部14、ならびに車速Vおよびモータ回転角速度δθに基づいて、ステアリングホイール1の戻り時の操舵性を向上させるための戻し補正値ΔI3を生成する戻し制御部15が含まれている。
【0025】
慣性補償制御部13が生成する慣性補償値ΔI1は、加算部16aにおいて、基本アシスト制御部12が生成する基本アシスト電流値Iに加算される。また、収斂制御部14が生成する収斂性補正値ΔI2は、加算部16bにおいて、
加算部16aが出力する加算値に加算される。さらに、加算部16cにおいて、加算部16bが出力する加算値と戻し制御部15が生成する戻し補正値ΔI3とが加算され、これにより、電動モータ4に供給すべきアシスト目標電流値I+ΔI1+ΔI2+ΔI3が得られる。
【0026】
アシスト目標電流値I+ΔI1+ΔI2+ΔI3は、減算部17に与えられるようになっている。減算部17では、モータ電流検出回路8によって検出されるモータ電流値とアシスト目標電流値I+ΔI1+ΔI2+ΔI3との偏差が求められる。そして、その求められた偏差に基づいて、電動モータ4を駆動するモータドライバ18の制御が行われる。これにより、電動モータ4にアシスト目標電流値I+ΔI1+ΔI2+ΔI3に相当する電流が流れ、電動モータ4からステアリングホイール1の操作に応じた適切な操舵補助力が発生される。
【0027】
図2は、慣性補償制御部13の電気的構成を示すブロック図である。慣性補償制御部13は、操舵トルクTの時間微分値に相当する操舵トルク微分相当値δT'を生成する操舵トルク微分相当値生成部131と、この操舵トルク微分相当値生成部131が生成する操舵トルク微分相当値δT'に応じた制御電流値Δiを決定する制御電流値決定部132と、制御電流値Δiに車速Vに応じた車速ゲインを乗じることによって慣性補償値ΔI1を生成する車速ゲイン乗算部133とを有している。
【0028】
操舵トルク微分相当値生成部131は、位相補償部11から与えられる操舵トルクTを、ローパスフィルタ特性を有する慣性補償制御伝達関数G(s)に通すことにより、操舵トルク微分相当値δT'を生成する。ローパスフィルタ特性を有する慣性補償制御伝達関数G(s)は、たとえば、下記式(1)で定義することができる。
【0029】
【数5】
Figure 0004582376
【0030】
制御電流値決定部132は、図3に示す操舵トルク微分相当値−制御電流値特性線に従って制御電流値Δiを設定する。すなわち、制御電流値決定部132は、操舵トルク微分相当値生成部131が生成する操舵トルク微分相当値δT'が0〜50Nm/sの範囲では、操舵トルク微分相当値δT'に比例して0から1A(アンペア)まで増加するように制御電流値Δiを設定し、操舵トルク微分相当値δT'が50〜100Nm/sの範囲では、操舵トルク微分相当値δT'に拘わらず、制御電流値Δiを1Aに設定する。
【0031】
車速ゲイン乗算部133は、図4に示す車速−車速ゲイン特性線に従って車速ゲインを設定する。すなわち、車速ゲイン乗算部133は、車速Vが0〜5km/hの範囲では、車速Vに比例して0から1まで増加するように車速ゲインを設定し、車速Vが40〜100km/hの範囲では、車速Vに比例して1から0.4まで減少するように車速ゲインを設定する。また、車速Vが5〜40km/hの範囲では、車速Vに拘わらず、車速ゲインを1に設定する。そして、車速Vに応じて設定した車速ゲインを制御電流値決定部132で決定された制御電流値Δiに乗じ、その乗算結果を慣性補償値ΔI1として出力する。
【0032】
この実施形態では、上記式(1)中の時定数A2が、車両の操舵状況に応じて自動的に変更されるようになっている。この機能を達成するため、慣性補償制御部13はさらに、操舵トルクTの時間微分値である操舵トルク微分値δTを生成するための微分器134と、この微分器134が生成する操舵トルク微分値δTに基づいて時定数A2を設定する時定数設定部135とを有している。なお、上記式(1)中のゲインA1は、電動パワーステアリング装置が搭載される車両の特性などに基づいて設定された固定値である。
【0033】
時定数設定部135は、たとえば、図5に一例として示す操舵トルク微分値−時定数特性線に従って時定数A2を設定する。すなわち、時定数設定部135は、操舵トルク微分値δTが0〜40Nm/sの範囲では、操舵トルク微分値δTに比例して200から100まで減少するように時定数A2を設定し、操舵トルク微分値δTが40Nm/s以上であれば、操舵トルク微分値δTに拘わらず、時定数A2を100に設定する。
【0034】
これにより、操舵トルク微分値δTが小さい時、たとえば、ステアリングホイール1がゆっくりと操舵されている状況(たとえば、大きなカーブを走行している状況)の時には、時定数A2が大きな値に設定される。時定数A2が大きいと、操舵トルクTを慣性補償制御伝達関数G(s)に通すことにより操舵トルク微分相当値δT'を生成する際に、操舵トルクTから除去される高周波成分量が多くなる。ゆえに、操舵トルク微分相当値生成部131が生成する操舵トルク微分相当値δT'は操舵トルクTの緩やかな変化を捉えた値となり、その結果、この慣性補償制御部13では、操舵トルクTが緩やかに変化した場合における慣性による応答遅れを補償可能な慣性補償値ΔI1が生成される。
【0035】
一方、操舵トルク微分値δTが大きい時、つまり、ステアリングホイール1が素早く操舵されている状況(たとえば、小さなカーブが連続するスラローム路を走行している状況)の時には、時定数A2が小さな値に設定される。時定数A2が小さいと、操舵トルクTを慣性補償制御伝達関数G(s)に通すことにより操舵トルク微分相当値δT'を生成する際に、操舵トルクTから除去される高周波成分量が少なくなる。ゆえに、操舵トルク微分相当値生成部131が生成する操舵トルク微分相当値δT'は操舵トルクTの急激な変化を捉えた値となり、その結果、この慣性補償制御部13では、操舵トルクTが急激に変化した場合における慣性による応答遅れを補償可能な慣性補償値ΔI1が生成される。
【0036】
ゆえに、慣性補償値ΔI1を含むアシスト目標電流値I+ΔI1+ΔI2+ΔI3に基づいて電動モータ4を制御することにより、電動モータ4などの慣性による応答遅れが良好に補償され、大きなカーブを走行している状況下であっても、小さなカーブが連続するスラローム路を走行している状況下であっても、良好な操舵フィーリングを達成することができる。
また、この実施形態の構成によれば、操舵トルクTを慣性補償制御伝達関数G(s)に通すことにより操舵トルク微分相当値δT'が生成され、この操舵トルク微分相当値δT'に基づいて慣性補償値ΔI1が設定されるから、電動モータ4の経時変化や車両のタイヤ空気圧の変化などが原因でステアリングホイール1の剛性感が変化し、そのためにステアリングホイール1に加えられる操舵トルクTの大きさが変化しても、この変化を慣性補償値ΔI1で補償することができる。ゆえに、経時変化による操舵フィーリングの悪化を生じるおそれがない。
【0037】
図6は、この発明の第2の実施形態に係る慣性補償制御部の電気的構成を示すブロック図である。この第2の実施形態に係る慣性補償制御部100は、上述の第1の実施形態に係る慣性補償制御部13(図2参照)に代えて用いることができるものである。なお、以下では、慣性補償制御部13との相違点を中心に説明し、また、図6では、図2に示す各部と同等の部分については同一の参照符号を付している。
【0038】
第1の実施形態に係る慣性補償制御部13は、操舵トルク微分値δTに基づいて上記式(1)中の時定数A2を設定する時定数設定部135を有しているのに対し、この第2の実施形態に係る慣性補償制御部100は、操舵トルク微分値δTに基づいて上記式(1)中のゲインA1を設定するゲイン設定部101を有している。なお、第2の実施形態において、時定数A2は、電動パワーステアリング装置が搭載される車両の特性などに基づいて設定された固定値である。
【0039】
ゲイン設定部101は、たとえば、図7に一例として示す操舵トルク微分値−ゲイン特性線に従ってゲインA1を設定する。すなわち、ゲイン設定部101は、操舵トルク微分値δTが0〜40Nm/sの範囲では、操舵トルク微分値δTに比例して2000から4000まで増加するようにゲインA1を設定し、操舵トルク微分値δTが40Nm/s以上であれば、操舵トルク微分値δTに拘わらず、ゲインA1を4000に設定する。
【0040】
これにより、操舵トルク微分値δTが小さい時には、ゲインA1が小さな値に設定され、その結果、操舵トルク微分相当値生成部131において操舵トルクTを慣性補償制御伝達関数G(s)に通すことによって生成される操舵トルク微分相当値δT'が小さな値となる。したがって、この操舵トルク微分相当値δT'に基づいて設定される慣性補償値ΔI1は小さな値となるから、操舵トルクTが緩やかに変化した場合に過剰な操舵補助が行われるおそれがない。
【0041】
一方、操舵トルク微分値δTが大きい時には、ゲインA1が大きな値に設定され、その結果、操舵トルク微分相当値生成部131において操舵トルクTを慣性補償制御伝達関数G(s)に通すことによって生成される操舵トルク微分相当値δT'が大きな値となり、これに伴って、操舵トルク微分相当値δT'に基づいて設定される慣性補償値ΔI1は大きな値となる。ゆえに、操舵トルクTが急激に変化した場合に、操舵補助力の不足や操舵の応答遅れを生じるおそれはない。
【0042】
よって、この第2の実施形態の構成によっても、走行状況に拘わらず、良好な操舵フィーリングを得ることができるという効果を達成することができる。
図8は、この発明の第3の実施形態に係る慣性補償制御部の電気的構成を示すブロック図である。この第3の実施形態に係る慣性補償制御部110は、上述の第1の実施形態に係る慣性補償制御部13(図2参照)に代えて用いることができるものである。なお、図8では、図2に示す各部と同等の部分については同一の参照符号を付している。
【0043】
慣性補償制御部110は、車両の走行状況を判定する走行状況判定部111と、この走行状況判定部111の判定結果に応じた操舵トルク微分相当値δT'を生成する操舵トルク微分相当値生成部112と、この操舵トルク微分相当値生成部112が生成する操舵トルク微分相当値δT'に応じた制御電流値Δiを決定する制御電流値決定部132と、制御電流値Δiに車速Vに応じた車速ゲインを乗じることによって慣性補償値ΔI1を生成する車速ゲイン乗算部133とを有している。
【0044】
走行状況判定部111は、たとえば、操舵トルクTの時間微分値を算出し、その算出した時間微分値が予め定める基準値(たとえば、20Nm/s)以下であれば、車両が大きなカーブを走行中であると判断する。一方、操舵トルクTの時間微分値が上記基準値よりも大きければ、小さなカーブが連続するスラローム路を車両が走行中であると判断する。そして、この判断結果を操舵トルク微分相当値生成部112に与える。
【0045】
操舵トルク微分相当値生成部112は、車両が大きなカーブを走行中であると判断された場合には、操舵トルクTに下記式(2)の一般走行用伝達関数G1(s)を乗じることにより操舵トルク微分相当値δT'を生成する。一方、車両がスラローム路を走行中であると判断された場合には、操舵トルクTに下記式(3)のスラローム走行用伝達関数G2(s)を乗じることにより操舵トルク微分相当値δT'を生成する。
【0046】
【数6】
Figure 0004582376
【0047】
これにより、車両が大きなカーブを走行している状況の時には、一般走行用伝達関数G1(s)のローパスフィルタ特性によって操舵トルクTから除去される高周波成分量が多くなる。ゆえに、操舵トルク微分相当値生成部112が生成する操舵トルク微分相当値δT'は操舵トルクTの緩やかな変化を捉えた値となり、その結果、この慣性補償制御部110では、操舵トルクTが緩やかに変化した場合における慣性による応答遅れを補償可能な慣性補償値ΔI1が生成される。一方、車両がスラローム路を走行している状況の時には、スラローム走行用伝達関数G2(s)のローパスフィルタ特性によって操舵トルクTから除去される高周波成分量が少なくなる。ゆえに、操舵トルク微分相当値生成部112が生成する操舵トルク微分相当値δT'は操舵トルクTの急激な変化を捉えた値となり、その結果、この慣性補償制御部110では、操舵トルクTが急激に変化した場合における慣性による応答遅れを補償可能な慣性補償値ΔI1が生成される。
【0048】
ゆえに、上述の第1の実施形態や第2の実施形態の場合と同様に、走行状況に拘わらず、良好な操舵フィーリングを達成することができる。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することも可能である。たとえば、上述の第3の実施形態では、操舵トルクTの時間微分値に基づいて、車両が大きなカーブを走行している状況であるか、スラローム路を走行している状況であるかを判定するとしたが、操舵トルクTに基づいて、ステアリングホイール1の操舵方向が切り替わる頻度を検出し、この頻度が予め定める値以下であれば、車両が大きなカーブを走行している状況であると判定し、上記予め定める値よりも大きければ、車両がスラローム路を走行している状況であると判定するようにしてもよい。
【0049】
また、図3の操舵トルク微分相当値−制御電流値特性線および図4の車速−車速ゲイン特性線は、どちらも一例であり、車両の特性などに応じて適当に変更されてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を示すブロック図である。
【図2】慣性補償制御部の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】操舵トルク微分相当値−制御電流値特性線の一例を示す図である。
【図4】車速−車速ゲイン特性線の一例を示す図である。
【図5】操舵トルク微分値−時定数特性線の一例を示す図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る慣性補償制御部の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】操舵トルク微分値−ゲイン特性線の一例を示す図である。
【図8】この発明の第3の実施形態に係る慣性補償制御部の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
4 電動モータ
10 コントローラ
12 基本アシスト制御部
13 慣性補償制御部
131 操舵トルク微分相当値生成部
132 制御電流値決定部
133 車速ゲイン乗算部
134 微分器
135 時定数設定部
16a 加算部
16b 加算部
16c 加算部
17 減算部
18 モータドライバ
100 慣性補償制御部
101 ゲイン設定部
110 慣性補償制御部
111 走行状況判定部
112 操舵トルク微分相当値生成部

Claims (2)

  1. 操作部材に加えられた操舵トルクに基づいて駆動される電動モータによって操舵補助力を発生させる電動パワーステアリング装置のための制御装置であって、
    操舵トルクに応じた基本アシスト電流値を生成する基本アシスト電流生成手段と、
    車両の走行状況に応じた慣性補償制御伝達関数を設定する伝達関数設定手段と、
    この伝達関数設定手段が設定する慣性補償制御伝達関数に操舵トルクを通すことによって操舵トルク微分相当値を生成する操舵トルク微分相当値生成手段と、
    この操舵トルク微分相当値生成手段が生成する操舵トルク微分相当値に基づいて慣性補償値を生成する慣性補償電流生成手段と、
    上記基本アシスト電流生成手段が生成する基本アシスト電流値と、上記慣性補償電流生成手段が生成する慣性補償値とを加算してアシスト目標電流値を生成する目標電流値生成手段と、
    この目標電流値生成手段が生成するアシスト目標電流値に基づいて電動モータを駆動するモータ駆動手段とを含み、
    上記慣性補償制御伝達関数は、
    Figure 0004582376
    で定義されるローパスフィルタ特性を有する関数であり、
    上記伝達関数設定手段は、上記関数補償制御伝達関数中の時定数A2を操舵トルクの時間微分値に応じて変更する時定数変更手段を含むものであることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
  2. 操作部材に加えられた操舵トルクに基づいて駆動される電動モータによって操舵補助力を発生させる電動パワーステアリング装置のための制御装置であって、
    操舵トルクに応じた基本アシスト電流値を生成する基本アシスト電流生成手段と、
    車両の走行状況に応じた慣性補償制御伝達関数を設定する伝達関数設定手段と、
    この伝達関数設定手段が設定する慣性補償制御伝達関数を操舵トルクに乗じることによって操舵トルク微分相当値を生成する操舵トルク微分相当値生成手段と、
    この操舵トルク微分相当値生成手段が生成する操舵トルク微分相当値に基づいて慣性補償値を生成する慣性補償電流生成手段と、
    上記基本アシスト電流生成手段が生成する基本アシスト電流値と、上記慣性補償電流生成手段が生成する慣性補償値とを加算してアシスト目標電流値を生成する目標電流値生成手段と、
    この目標電流値生成手段が生成するアシスト目標電流値に基づいて電動モータを駆動するモータ駆動手段とを含み、
    上記伝達関数設定手段は、
    操舵トルクの時間微分値と予め定める基準値とを比較して大小を判断する比較判断手段を含み、
    この比較判断手段によって操舵トルクの時間微分値が上記基準値よりも大きいと判断された場合には、上記慣性補償制御伝達関数を予め定めるスラローム走行用伝達関数に設定し、上記比較判断手段によって操舵トルクの時間微分値が上記基準値以下であると判断された場合には、上記慣性補償制御伝達関数を予め定める一般走行用伝達関数に設定するものであることを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
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