JP2004074984A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Harutaka Tamaizumi
玉泉 晴天
Yoshinobu Hiyamizu
冷水 由信
Akihiro Nishiyama
西山 明宏
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Abstract

【課題】操作部材の操作方向が反転されたときの運転者の操舵負担を軽減する。
【解決手段】操舵トルクTおよび車速Vに基づいて、基本目標電流値が設定される。この基本目標電流値に、加算部25において種々の補正値が加算されることにより、補正された目標電流値が求められ、これに基づいて電動モータMが駆動制御される。切り返し制御部24は、ステアリングホイール1の操舵方向を反転する切り返し操舵時において、電動モータMおよびステアリング機構3の慣性に起因する大きな操舵負担を軽減するための補正値を生成する。具体的には、操舵方向の反転が検出されると、そのときの操舵加速度と、反転が検出されてからの操作角変化量または操舵トルクに基づいて、補正値が定められる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータの駆動力をステアリング機構に機械的に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。電動モータは、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクに応じて設定される目標電流値に基づいて制御され、これによって、操舵トルクに応じた操舵補助力がステアリング機構に与えられる。
【0003】
ステアリング機構自身の慣性や、これに機械的に結合された電動モータの慣性は、操舵に際して負荷となるから、これらの慣性による操舵負担を軽減するための慣性補償制御が取り入れられる場合がある。具体的には、たとえば、電動モータの回転角加速度が求められ、この回転角加速度に応じた慣性補償電流を目標電流値に加えることによって、慣性補償制御が達成される。
また、ステアリング機構および電動モータの慣性に起因する応答遅れを改善するために、操舵トルクの微分値であるトルク微分値が求められ、このトルク微分値に対応する補償電流が目標電流値に加えられて、応答性補償制御が行われる場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
運転者は、ステアリングホイールの操作方向を反転させる切り返し時に、ステアリング機構および電動モータの慣性を最も強く受ける。この慣性の影響は、切り返し時の操舵速度が大きいほど大きく、ステアリングは、自然な重さの範囲を超えて重くなってしまう。
この現象は、上記の慣性補償制御や応答性補償制御によっては、改善することができない。
【0005】
そこで、この発明の目的は、操作部材の操作方向が反転されたときの運転者の操舵負担を軽減することができ、これにより、操舵フィーリングが向上された電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操作部材(1)の操作量に応じて制御される電動モータ(M)が発生する駆動力をステアリング機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、上記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段(5)と、この操作量検出手段によって検出される操作量に応じて上記電動モータの目標駆動値の基本値である基本目標駆動値を設定する基本目標駆動値設定手段(11)と、上記操作部材の操作加速度を検出する操作加速度検出手段(15)と、上記操作部材の操作方向の反転を検出する反転検出手段(31)と、この反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出されたときに、上記操作加速度検出手段が検出する操作加速度に応じて上記基本目標駆動値設定手段が設定する基本目標駆動値を補正し、上記電動モータの制御のための目標駆動値を求める補正手段(25,32,33,34,40)と、この補正手段によって求められた目標駆動値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段(20)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0007】
この発明によれば、操作部材の操作方向の反転が検出されると、そのときの操作加速度に応じて基本目標駆動値を補正することによって、電動モータの制御のための目標駆動値が求められる。これにより、切り返し操舵時において、目標電流値を操作加速度に応じて増加させたりすることができるから、切り返し操舵時において、電動モータやステアリング機構の慣性に起因する操舵負担を軽減でき、良好な操舵フィーリングを実現できる。
【0008】
上記操作量検出手段は、操作部材に加えられる操作トルクを操作量として検出するものであってもよい。
また、上記操作加速度検出手段は、操作部材の操作角を検出する操作角センサ(6)の出力を2階時間微分するものであってもよい。また、操作角センサの出力を1階時間微分することによって操作速度を求める操作速度検出手段(14)が設けられている場合には、上記操作加速度検出手段は、操作速度検出手段の出力を1階時間微分して操作加速度を求めるものであってもよい。
【0009】
たとえば、一方方向への操作部材の操作に対して、そのときの操作速度および操作量に第1の符号(正または負)が共通に与えられ、他の方向への操作部材の操作に対して、そのとの操作速度および操作量に第2の符号(負または正)が共通に与えられるとすると、反転検出手段は、操作速度と操作量との符号が異なる場合に、操作方向が反転されたと検出するものであってもよい。
また、補正手段は、操作方向の反転が検出された時点における操作加速度の絶対値が大きいほど、ステアリング機構に与えられる操舵補助力(反転後の操作方向への操舵補助力)が大きくなるように、基本目標駆動値を補正するものであることが好ましい。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記補正手段は、上記反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出されたときに上記操作加速度検出手段によって検出される操作加速度に応じた基本補正値を設定する基本補正値設定手段(32)と、上記反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出された時点からの上記操作部材の操作角変化量を検出する操作角変化量検出手段(33)と、この操作角変化量検出手段によって検出される操作角変化量に応じて上記基本補正値設定手段が設定する基本補正値を補正することにより、上記基本目標駆動値を補正するための補正値を求める補正値演算手段(34,35)と、この補正値演算手段によって求められた補正値に基づいて上記基本目標駆動値を補正する手段(25)とを含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置である。
【0011】
この構成によれば、操作方向の反転が検出されてからの操作角変化量が検出される。そこで、操作方向反転時の操作加速度に基づいて基本補正値を設定し、さらに、操作角変化量に基づいて基本補正値を補正することによって、操作方向が反転された初期およびその後の期間において、適切な補正値を設定できる。したがって、この補正値に基づいて基本目標駆動値を補正することにより、適切な目標駆動値の設定が可能になり、電動モータ等の慣性の影響を効果的に補償して、すぐれた操舵フィーリングを実現できる。
【0012】
上記基本補正値設定手段は、たとえば、操作方向の反転が検出された時点における操作加速度の絶対値が大きいほど、絶対値が大きくなるような基本補正値を設定するものであってもよい。
また、上記補正値演算手段は、操作角変化量に応じたゲインを設定するゲイン設定手段(34)と、この設定されたゲインを上記基本補正値に乗じる乗算手段(35)とを含むものであってもよい。上記ゲインは、たとえば、操作角変化量が零のときに上限値をとり、操作角変化量の絶対値が所定の閾値まで増加するのに伴って、所定の下限値(たとえば零)まで減少していくように設定されてもよい。これにより、操作方向が反転した当初には、基本目標駆動値を大きく補正して、切り返し操舵に伴う大きな慣性を強力に補償でき、その後は、補正量を徐々に小さくしていくことができる。
【0013】
たとえば、上記操作部材の操作速度を検出する操作速度検出手段が備えられている場合には、上記操作角変化量検出手段は、反転検出手段が操作方向の反転を検出した時点から、当該操作速度検出手段が検出する操作速度を積算する操作速度積算手段(33)によって構成することができる。この場合、操作速度積算値が操作角変化量に相当することになる。
請求項3記載の発明は、上記補正手段は、上記反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出されたときに上記操作加速度検出手段によって検出される操作加速度に応じた基本補正値を設定する基本補正値設定手段(32)と、上記操作量検出手段によって検出される操作量に応じて上記基本補正値設定手段が設定する基本補正値を補正することにより、上記基本目標駆動値を補正するための補正値を求める補正値演算手段(35,40)と、この補正値演算手段によって求められた補正値に基づいて上記基本目標駆動値を補正する手段(25)とを含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置である。
【0014】
この構成によれば、操作量検出手段によって検出される操作量(たとえば操作トルク)に応じて基本補正値が補正されるので、切り返し操舵時の操舵負担に応じて、適切な操舵補助を行うことができる。
たとえば、補正値演算手段は、操作量に応じたゲインを設定するゲイン設定手段(40)と、この設定されたゲインを上記基本補正値に乗じる乗算手段(35)とを含むものであってもよい。上記ゲインは、たとえば、操作量の絶対値が大きいほど大きく設定されることが好ましい。より具体的には、たとえば、操舵トルクの絶対値の増加に伴って所定の上限値以下の範囲で増加するように上記ゲインを設定することが好ましい。ただし、操舵トルクが零の近傍の所定の不感帯内の値をとるときには、上記ゲインは零とされることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ステアリング機構3に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから発生する駆動力が、操舵補助力として、ギヤ機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0016】
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、ステアリングホイール1に加えられた操舵トルクTに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。このトルクセンサ5の出力信号は、コントローラ10(ECU)に入力されている。
【0017】
コントローラ10には、トルクセンサ5の出力信号のほかにも、ステアリングホイール1の回転角としての操舵角θを検出する舵角センサ6と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の車速Vを検出する車速センサ7との各出力信号も入力されている。
コントローラ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTおよび車速センサ7によって検出される車速Vに応じた目標電流値を設定し、この目標電流値に基づいてモータドライバ20を制御することにより、電動モータMに適切な駆動電流を与える。これにより、操舵トルクTおよび車速Vに応じた操舵補助力が、ステアリング機構3に与えられることになる。
【0018】
コントローラ10は、内部に備えられたマイクロコンピュータによるプログラム処理によって、操舵トルクTおよび車速Vに応じた基本目標電流値を設定する基本目標電流値設定部11、ならびに、この基本目標電流値設定部11が設定する基本目標電流値を補正することによって、適切な目標電流値を設定する補正部12の各機能を実現する。この補正部12が設定する目標電流値に基づいて、パワートランジスタなどを含むモータドライバ20が制御され、このモータドライバ20から電動モータMへの給電が行われるようになっている。
【0019】
補正部12は、ステアリング機構3および電動モータMの慣性に起因する応答遅れを補償するための補正値を生成する応答性補償制御部21と、ステアリング機構3および電動モータMの慣性に起因する操舵負担を軽減するための補正値を生成する慣性補償制御部22と、電動モータMの慣性モーメントの影響を考慮して、その回転時にモータ電流値を低減させたり、電動モータMを停止させるときに逆回転方向へのモータ電流値を増加させたりするための補正値を生成するダンピング制御部23と、ステアリングホイール1の操作方向が反転される切り返し操舵時において、ステアリング機構3および電動モータMの慣性に起因する大きな操舵負担を軽減するための切り返し制御部24とを有している。切り返し制御部24は、切り返し操舵時において、慣性補償制御部22による通常の慣性補償制御では補償し切れない操舵負担を軽減するための補正値を生成するものである。
【0020】
さらに、補正部12は、応答性補償制御部21、慣性補償制御部22、ダンピング制御部23および切り返し制御部24がそれぞれ生成する補正値を基本目標電流値設定部11が設定する基本目標電流値に加算することにより、この基本目標電流値を補正する加算部25を有している。
一方、コントローラ10は、トルクセンサ5が検出する操舵トルクTを時間微分することによってトルク微分値を求めるトルク微分値演算部13と、舵角センサ6が検出する操舵角θを時間微分することによって操舵速度(操舵角速度)を演算する操舵速度演算部14と、この操舵速度演算部14によって演算された操舵速度をさらに時間微分することによって操舵加速度(操舵角加速度)を演算する操舵加速度演算部15を有している。これらの機能処理部分は、コントローラ10に備えられたマイクロコンピュータが実行するプログラム処理によって実現されるようになっている。
【0021】
トルク微分値演算部13によって求められたトルク微分値は、応答性補償制御部21に入力されるようになっている。応答性補償制御部21には、さらに、車速センサ7が検出する車速Vが与えられるようになっていて、トルク微分値および車速Vに基づいて、応答性補償のための補正値が求められるようになっている。この補正値は、たとえば、トルク微分値が大きいほど大きな値をとり、車速Vが大きいほど小さな値をとるように定められる。
【0022】
慣性補償制御部22には、操舵加速度演算部15が演算する操舵加速度と、車速センサ7が検出する車速Vとが入力されるようになっている。慣性補償制御部22は、たとえば、操舵加速度が大きいほど大きく、また、車速Vが大きいほど小さくなるような補正値を生成する。
ダンピング制御部23には、操舵速度演算部14が演算する操舵速度と、車速センサ7が検出する車速Vとが入力されるようになっている。ダンピング制御部23が生成する補正値は、基本目標電流値設定部11が設定する基本目標電流値とは異なる符号を有しており、その絶対値は、操舵速度の絶対値が大きいほど大きく、車速Vが大きいほど大きくされる。
【0023】
切り返し制御部24には、操舵加速度演算部15によって演算される操舵加速度と、車速センサ7が検出する車速Vと、トルクセンサ5が検出する操舵トルクTとが入力されるようになっている。
図2は、基本目標電流値設定部11の働きを説明するための図であり、操舵トルクTに対する基本目標電流値の関係が示されている。操舵トルクTは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、基本目標電流値は、電動モータMから右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータMから左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。
【0024】
基本目標電流値は、操舵トルクの正の値に対しては正の値をとり、操舵トルクの負の値に対しては負の値をとる。操舵トルクが−T1〜T1(たとえば、T1=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、基本目標電流値は零とされる。また、基本目標電流値は、車速センサ7によって検出される車速Vが大きいほど、その絶対値が小さく設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。
【0025】
図3は、切り返し制御部24の構成例を説明するためのブロック図である。切り返し制御部24は、ステアリングホイール1の操舵方向が反転されたこと、すなわち、切り返し操舵が行われたことを検出するための反転検出部31と、この反転検出部31が操舵方向の反転を検出したときの操舵加速度に基づいて基本補正値を設定する基本補正値設定部32と、反転検出部31が操舵方向の反転を検出した時点から操舵速度の積算を開始する操舵速度積算部33と、操舵速度積算部33における操舵速度の積算値に応じた操舵速度積算値感応ゲインを設定するゲイン設定部34と、このゲイン設定部34によって設定された操舵速度積算値感応ゲインを基本補正値設定部32によって設定された基本補正値に乗じることによって、切り返し制御のための補正値を生成する乗算部35とを有している。
【0026】
図4は、ステアリングホイール1を左右に操作したときの操舵角と操舵トルクとの関係の一例を示す図である。ステアリングホイール1を左側に切った状態から、右側へと切り、その後、切り返すと、操舵角θと操舵トルクTとの関係は、図4において矢印で示すような変化を示す。すなわち、ステアリングホイール1を左側(θ<0)から舵角中点(θ=0)を通って右側(θ>0)へと切り込んでいくときには、操舵角θと操舵トルクTとの関係は曲線LRのようになる。そして、右側で切り返すと、操舵角θと操舵トルクTとの関係は曲線LLのような変化を示すことになる。操舵速度がより速い場合には、曲線LR1,LL1のような変化となり、切り返し時の操舵負担が大きくなる。
【0027】
ステアリングホイール1を右方向から左方向へと切り返す切り返しポイントILを過ぎると、操舵角θが減少していく。したがって、切り返し操舵の開始直後(曲線LLの第1象限部分)には、操舵速度が負の値となるのに対して、操舵トルクTは正の値となって、両者の符号は異なっている。
同様に、ステアリングホイール1を左方向から右方向へと切り返す切り返しポイントIRを過ぎると、操舵角θは増加していく。したがって、切り返し操舵の開始直後(曲線LRの第3象限部分)には、操舵速度が正の値となるのに対して、操舵トルクTは負の値となって、両者の符号は異なっている。
【0028】
そこで、反転検出部31は、操舵トルクTの符号と操舵速度の符号とが一致するか不一致かを監視し、不一致であれば、操舵方向が反転したものと判定する。
したがって、基本補正値設定部32は、切り返しポイントIL,IRにおける操舵加速度に基づいて、基本補正値を設定することになる。
また、操舵速度積算部33は、反転検出部31が操舵方向の反転を検出した後の操舵速度を積算するので、切り返しポイントIL,IRからの操舵角変化量を求めることになる。
【0029】
図5は、基本補正値設定部32による基本補正値の設定例を示す図である。基本補正値設定部32は、図5において実線または二点鎖線で示すように、操舵方向の反転が検出された時点における操舵加速度の絶対値が大きいほど絶対値の大きな基本補正値を設定する。ただし、操舵方向反転検出時の操舵加速度が零の近傍の所定の微小な値であるときには、基本補正値は零とされる。また、基本補正値の符号は、操舵加速度の符号と同じ符号とされる。すなわち、切り返し操舵によって反転された後の操舵方向への操舵補助力を増加させるように基本補正値が設定される。
【0030】
基本補正値は、図5において実線で示すように、反転検出時の操舵加速度に対して非線形に変化するように設定してもよいし、図5において二点鎖線で示すように、反転検出時の操舵加速度に対してリニアに変化するように設定してもよい。
なお、基本補正値設定部32は、図5に示すような特性に対応するテーブルを記憶したメモリを用いて構成することもできるし、図5に示すような特性を実現する関数演算をマイクロコンピュータに実行させることによって実現することもできる。
【0031】
図6は、ゲイン設定部34による操舵速度積算値感応ゲインの設定例を示す図である。操舵速度積算値は、切り返し操舵によって反転された後の操舵方向が右方向であれば正の値となり、その操舵方向が左方向であれば負の値となる。操舵速度積算値感応ゲインは、操舵速度積算値が零のときに上限値(たとえば「1」)をとり、操舵速度積算値の絶対値の増加に伴って減少していき、操舵速度積算値の絶対値が所定の閾値に達すると、下限値(たとえば「0」)となるように設定される。
【0032】
むろん、右方向操舵時と左方向操舵時とで、操舵速度積算値感応ゲインの特性を異ならせてもよい。
基本補正値が操舵加速度に対応した符号を有するので、操舵速度積算値感応ゲインは、操舵速度積算値の符号によらずに正の値とされている。
ゲイン設定部34は、図6に示すような特性に対応するテーブルを記憶したメモリを用いて構成することもできるし、図6に示すような特性を実現する関数演算をマイクロコンピュータに実行させることによって実現することもできる。
【0033】
上記のように基本補正値および操舵速度積算値感応ゲインが定められることによって、操舵方向が反転されたときには、そのときの操舵加速度が大きいほど大きな基本補正値が設定され、さらに、操舵方向が反転されてからの操舵角の変化量の絶対値(操舵速度積算値の絶対値)が増加するに従って操舵速度積算値感応ゲインが減少していく。これにより、切り返し操舵時には、操舵加速度が大きいほど大きな補正値を基本目標電流値に加算することができ、さらに、その補正値は、切り返し操舵の当初には大きな値をとり、その後は漸減していく。これにより、切り返し操舵時における運転者の操舵負担を軽減し、かつ、自然な操舵フィーリングを実現することができる。
【0034】
図7は、切り返し制御部24の他の構成例を示すブロック図である。この図7において、上述の図3に示された各部に対応する部分には、図3の場合と同一の参照符号を付して示す。
この構成例では、基本補正値設定部32によって設定された基本補正値に乗じるべきゲインは、操舵トルクTに基づいて、操舵トルク感応ゲイン設定部40によって設定されるようになっている。この操舵トルク感応ゲイン設定部40によって設定された操舵トルク感応ゲインは、乗算部35において、基本補正値設定部32によって設定された基本補正値に乗じられ、その結果、切り返し制御のための補正値が求められる。
【0035】
図8は、操舵トルク感応ゲイン設定部40によって設定される操舵トルク感応ゲインの特性例を示す図である。この例では、操舵トルクTの絶対値の増加に伴って、操舵トルク感応ゲインが、所定の上限値(たとえば「1」)以下の範囲でリニアに変化するようになっている。ただし、操舵トルクTが零の近傍の所定の不感帯範囲内の値をとるときには、操舵トルク感応ゲインは零とされている。
基本補正値が操舵加速度に対応した符号を有するので、操舵トルク感応ゲインは、操舵トルクの符号によらずに正の値とされている。
【0036】
このような構成によれば、操舵方向の反転が検出された直後には、そのときの操舵加速度に応じた基本補正値が設定され、かつ、操舵トルクTが大きいので、乗算部35から出力される補正値は大きな値をとる。そして、操舵方向が反転された後に、次第に操舵トルクTが小さくなると、それに伴って補正値は小さくなっていく。このようにして、切り返し操舵時における運転者の操舵負担を効果的に軽減できるとともに、自然な操舵フィーリングを実現できる。
【0037】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上述の実施形態では、電動モータMを制御するための目標駆動値として目標電流値を用いているが、目標電圧値や操舵補助力の目標値であるアシストトルク目標値を目標駆動値として用いてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】基本目標電流値設定部の働きを説明するための図であり、操舵トルクに対する基本目標電流値の関係が示されている。
【図3】切り返し制御部の構成例を説明するためのブロック図である。
【図4】ステアリングホイールを左右に操作したときの操舵角と操舵トルクとの関係の一例を示す図である。
【図5】基本補正値の設定例を示す図である。
【図6】操舵速度積算値感応ゲインの設定例を示す図である。
【図7】切り返し制御部の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】操舵トルク感応ゲインの特性例を示す図である。
【符号の説明】
1  ステアリングホイール
2  ステアリングシャフト
2A  入力軸
2B  出力軸
3  ステアリング機構
4  トーションバー
5  トルクセンサ
6  舵角センサ
7  車速センサ
10  コントローラ
11  基本目標電流値設定部
12  補正部
13  トルク微分値演算部
14  操舵速度演算部
15  操舵加速度演算部
20  モータドライバ
21  応答性補償制御部
22  慣性補償制御部
23  ダンピング制御部
24  切り返し制御部
25  加算部
31  反転検出部
32  基本補正値設定部
33  操舵速度積算部
34  ゲイン設定部
35  乗算部
40  操舵トルク感応ゲイン設定部
M  電動モータ

Claims (3)

  1. 操作部材の操作量に応じて制御される電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
    上記操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、
    この操作量検出手段によって検出される操作量に応じて上記電動モータの目標駆動値の基本値である基本目標駆動値を設定する基本目標駆動値設定手段と、
    上記操作部材の操作加速度を検出する操作加速度検出手段と、
    上記操作部材の操作方向の反転を検出する反転検出手段と、
    この反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出されたときに、上記操作加速度検出手段が検出する操作加速度に応じて上記基本目標駆動値設定手段が設定する基本目標駆動値を補正し、上記電動モータの制御のための目標駆動値を求める補正手段と、
    この補正手段によって求められた目標駆動値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 上記補正手段は、
    上記反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出されたときに上記操作加速度検出手段によって検出される操作加速度に応じた基本補正値を設定する基本補正値設定手段と、
    上記反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出された時点からの上記操作部材の操作角変化量を検出する操作角変化量検出手段と、
    この操作角変化量検出手段によって検出される操作角変化量に応じて上記基本補正値設定手段が設定する基本補正値を補正することにより、上記基本目標駆動値を補正するための補正値を求める補正値演算手段と、
    この補正値演算手段によって求められた補正値に基づいて上記基本目標駆動値を補正する手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 上記補正手段は、
    上記反転検出手段によって上記操作部材の操作方向の反転が検出されたときに上記操作加速度検出手段によって検出される操作加速度に応じた基本補正値を設定する基本補正値設定手段と、
    上記操作量検出手段によって検出される操作量に応じて上記基本補正値設定手段が設定する基本補正値を補正することにより、上記基本目標駆動値を補正するための補正値を求める補正値演算手段と、
    この補正値演算手段によって求められた補正値に基づいて上記基本目標駆動値を補正する手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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