JP4516761B2 - アルミニウム板エンボス加工用ロール - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの従来の平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム板を圧延するロールは、エアーブラスト、ショットブラスト等のブラスト処理で、研磨材を表面に打ち付けて粗面を形成させるため、得られるロール表面の山の高さが不均一となる。したがって、平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム板のエンボス加工に望まれる、十分な大きさの凹凸を有し、かつ、ロール表面の山の高さが十分に揃ったロール表面を得ることが難しかった。
また、これらの従来のロールでは、ロールを用いてエンボス加工されたアルミニウム板を、平版印刷版用支持体、特に、CTP(レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版(PS版)を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接製版して平版印刷版を得る、コンピュータ・トゥ・プレート技術)用の平版印刷版用支持体としたときに、印刷性能、特に、耐刷性(印刷枚数)および感度に優れたものにすることが難しかった。
また、クロムめっきロールの製造方法として、電解液中でロール基材を陽極として電解処理した後、Fe濃度が5g/dm3未満であるクロムめっき浴中で、ロール基材を陰極として10〜30分間で電流密度を0から25〜35A/dm2まで上昇させ、2〜3分間前記電流密度に維持した後に、電流密度を下げ、20〜30A/dm2に保持してクロムめっきを行う方法(特許文献9参照。)等が知られている。
[アルミニウム板エンボス加工用ロール]
本発明のアルミニウム板エンボス加工用ロールは、鋼製のロールに、その表面に対し、少なくとも、ブラスト処理と、前記ロールを陽極とする、電気量1,000〜20,000C/dm2の電解処理と、クロムめっき処理とをこの順に施してなる。
本発明に用いられるロールは、鋼製のロールである。中でも、鍛鋼製であるのが好ましい。具体的には、例えば、一般的に圧延用ロールとして用いられる、工具鋼(SKD)、ハイス鋼(SKH)、高炭素クロム軸受鋼(SUJ)、炭素とクロムとモリブデンとバナジウムとを合金元素として含む鍛造鋼が挙げられる。長いロール寿命を得るために、クロムを10〜20質量%程度含有する高クロム合金鋳鉄を用いることもできる。
一般に、圧延用ロールは、その円筒度および平行度を所望の範囲にするために、あらかじめ砥石等で研磨されるが、その表面には、ミクロ的に観察される筋状の凹凸が存在している。鏡面研磨処理により、そのような筋状の凹凸をなくすことができ、その結果、後述するブラスト処理および電解処理の後のロール表面の山の高さを揃えることができる。
本発明においては、上述したロールにブラスト処理を施す。ブラスト処理は、特に限定されず、乾式および湿式のいずれも用いることができる。中でも、乾式が好ましい。乾式のブラスト処理としては、例えば、エアーブラスト法、ショットブラスト法が挙げられる。中でもエアーブラスト法が好ましい。
ブラスト処理に用いられるグリッドは、特に限定されず、例えば、ケイ砂、鋼球、アルミナ粒子が挙げられる。中でも、アルミナ粒子が好ましい。特に、アルミナ粒子を用いたエアーブラスト法が好ましい。
グリッドに、硬く、粒子一つ一つの角が鋭角なアルミナ粒子を用いると、転写ロールの表面に、深く均一な凹凸を形成させやすい。
アルミナ粒子の平均粒径は、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、50〜150μmであるのが更に好ましい。上記範囲であると、転写ロールとして十分な大きさの表面粗さが得られるため、この転写ロールを用いて凹凸を付与したアルミニウム板の表面粗さが十分に大きくなる。また、ピット数も十分に多くすることができる。
機械的に研磨することにより、ロール表面の山の高さを揃えることができ、その結果、このロールを用いて凹凸を付与したアルミニウム板の表面に、局所的に深い部分が形成されなくなる。その結果、平版印刷版用支持体を平版印刷版原版としたときの現像性(感度)がより優れたものとなる。
また、電解処理前のロールは、最大高さRyが1〜15μmである表面を有するのが好ましい。
ブラスト処理後、所望により、更に研磨した後、電解処理を施す。電解処理は、ロールを陽極とし、電気量1,000〜20,000C/dm2で施される。この電解処理においては、ブラスト処理で形成された凹凸の凸部に電流が集中して、凸部の溶解が優先的に起こり、これによりロール表面の山の高さが揃う。
本発明のアルミニウム板エンボス加工用ロールは、ロール表面の山の高さが揃っているため、寿命が長い。また、ロール表面の山の高さが揃っているため、転写により凹凸を付与されたアルミニウム板の凹部の深さが均一になり、局所的に深い凹部が形成されないので、このアルミニウム板を用いると、感度に優れる平版印刷版原版を得ることができる。その効果は、特に、CTP用の平版印刷版原版において顕著である。
電解液は、特に限定されず、一般的に金属の粗面化処理に用いられる酸の水溶液を用いることができる。例えば、硝酸、塩酸、硫酸、クロム酸、これらの混合液が挙げられる。
中でも、後述するクロムめっき浴と同様の陽極電解浴を用いるのが好ましく、一般にハードクロムめっき浴として用いられる、後述のいわゆるサージェント浴を用いるのがより好ましい。
電解液:クロム酸150〜400g/L、好ましくは250〜350g/L;硫酸1〜5g/L、好ましくは2〜4g/L;鉄7g/L以下、好ましくは0.01〜5g/L
液温:20〜70℃、好ましくは40〜60℃
電源波形:直流または交流、好ましくは直流、より好ましくはリップル成分5%以下の直流
電流密度:20〜80A/dm2、好ましくは25〜60A/dm2
電気量:1,000〜20,000C/dm2、好ましくは2,000〜10,000C/dm2、より好ましくは3,000〜9,000C/dm2
また、電気量が20,000C/dm2以下であると、電解処理で生成する凹部の集中が起こりにくくなるので、好ましい。
平均表面粗さRaが0.5μm以上であると、アルミニウム板に十分な大きさの凹凸を転写することができ、平版印刷版のシャイニーが優れたものとなる。平均表面粗さRaが2.0μm以下であると、ロール表面の山の高さが揃いやすくなるため、平版印刷版原版の感度が優れたものとなる。
また、凹凸の平均間隔Smが10μm以上であると、アルミニウム板に十分な大きさの凹凸を付与することが容易となる。凹凸の平均間隔Smが200μm以下であると、耐刷性が優れたものとなる。
また、電解処理後のロールは、平均傾斜Δaが5〜25°である表面を有するのが好ましく、8〜20°である表面を有するのがより好ましい。
電解処理後、クロムめっき処理を施す。
クロムめっき浴としては、無水クロム酸(三酸化クロム)が用いられる。具体的には、これに少量の硫酸、フッ化物、ケイフッ化物等の触媒を添加した浴が用いられる。中でも、一般にハードクロムめっき浴として用いられる、無水クロム酸と硫酸とを含有するいわゆるサージェント浴を用いるのが好ましい。
めっき浴組成:クロム酸150〜400g/L、好ましくは250〜350g/L;硫酸1〜5g/L、好ましくは2〜4g/L;鉄7g/L以下、好ましくは0.01〜5g/L
液温:20〜70℃、好ましくは40〜60℃
電源波形:直流または交流、好ましくは直流、より好ましくはリップル成分5%以下の直流
電流密度:20〜80A/dm2、好ましくは25〜60A/dm2
電気量:1,000〜20,000C/dm2、好ましくは2,000〜10,000C/dm2、より好ましくは3,000〜9,000C/dm2
また、電解処理とクロムめっき処理とで別の浴を用いることもできる。これにより、電解液中で陽極として電解処理した際に溶け出した鉄分の影響がないため、良好なめっきが得られる。このように別の浴を用いる場合は、空気中をロールが移動するためにロール表面の活性度が低下して良好なめっきが得られないことがあるため、表面を活性化する目的で、クロムめっき処理の直前に、電流密度20〜80A/dm2で10〜60秒間逆電解処理(エッチング処理)するのが好ましい。
平均表面粗さRaが0.5μm以上であると、アルミニウム板に十分な大きさの凹凸を転写することができ、平版印刷版のシャイニー(印刷時の版面の湿し水の量の見やすさ)が優れたものとなる。平均表面粗さRaが2.0μm以下であると、ロール表面の山の高さが揃いやすくなるため、平版印刷版原版の感度が優れたものとなる。
また、凹凸の平均間隔Smが10μm以上であると、アルミニウム板に十分な大きさの凹凸を付与することが容易となる。凹凸の平均間隔Smが200μm以下であると、耐刷性が優れたものとなる。
また、クロムめっき処理後のロールは、平均傾斜Δaが5〜25°である表面を有するのが好ましく、8〜20°である表面を有するのがより好ましい。
本発明のアルミニウム板エンボス加工用ロールは、金属全般のエンボス加工に用いることができ、中でも、アルミニウム板、特に、平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム板のエンボス加工に好適に用いられる。特に好ましくは、CTP用の平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム板のエンボス加工に用いられる。
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。なお、均熱処理を行わない場合には、コストを低減させることができるという利点がある。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が120MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−126820号公報、特開昭62−140894号公報等に記載されている。
また、アルミニウム板は、引張強度が160±15N/mm2、0.2%耐力が140±15MPa、JIS Z2241およびZ2201に規定される伸びが1〜10%であるのがより好ましい。
中でも、最終板厚に調整する冷間圧延、または、最終板厚調整後の表面形状を仕上げる仕上げ冷間圧延とともに、凹凸面をアルミニウム板に圧接させて凹凸形状を転写し、アルミニウム板の表面に凹凸パターンを形成させる方法が好ましい。これらの方法によると、工程を簡略化することができ、大きなコストダウンが可能となる。このような方法として、具体的には、特開平6−262203号公報に記載されている方法を用いることができる。
この冷間圧延における圧下率は、0.5〜20%であるのが好ましく、1〜8%であるのがより好ましく、1〜5%であるのが更に好ましい。
また、転写のための圧延を1〜3パスで行うこともできる。
また、後述するアルカリエッチング処理および電解粗面化処理で消費されるエネルギーを少なくしつつ、印刷機上における湿し水の量の調整を容易にすることができる(シャイニーに優れる)。また、後述する第一アルカリエッチング処理において、エッチング量を10g/m2程度以下と少なくすることができ、コストの削減が可能になる。更に、転写による凹凸パターンを有するアルミニウム板を用いると、得られる平版印刷版用支持体の表面積が増大するため、耐刷性により優れる。
アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性があるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要がある。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい荷姿であることが好ましい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
凹凸を転写されたアルミニウム板は、その後、表面処理、例えば、アルカリエッチング処理、デスマット処理、電気化学的粗面化処理、陽極酸化処理、親水化処理、封孔処理を施されて、平版印刷版用支持体とされる。
即ち、本発明は、上記アルミニウム板エンボス加工用ロールで、アルミニウム板の表面に凹凸を転写する工程を具備する、平版印刷版用支持体の製造方法である。
<実施態様1>
アルミニウム板に、アルカリ水溶液中でのエッチング処理(以下「アルカリエッチング処理」ともいう。)、硝酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理(以下「硝酸電解」ともいう。)、アルカリエッチング処理、塩酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理(以下「塩酸電解」ともいう。)、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様2>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、硝酸電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様3>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、塩酸電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様4>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、塩酸電解、アルカリエッチング処理、硝酸電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様5>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、塩酸電解、アルカリエッチング処理、塩酸電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様6>
アルミニウム板に、第一アルカリエッチング処理、第一デスマット処理、硝酸電解または塩酸電解(第一電解粗面化処理)、第二アルカリエッチング処理、第二デスマット処理、塩酸電解(第二電解粗面化処理)、第三アルカリエッチング処理および第三デスマット処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法;上記陽極酸化処理の後に、更に親水化処理を施す方法;上記親水化処理の後に、更に封孔処理を施す方法;上記第一アルカリエッチング処理の前に、ブラシと研磨剤とを用いた機械的粗面化処理を施す方法。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、上述した転写により表面に凹凸を形成されたアルミニウム板に、ブラシと研磨剤とを用いた機械的粗面化処理を行うこともできる。
ブラシと研磨剤とを用いた機械的粗面化処理を行うと、転写により表面に凹凸を形成されたアルミニウム板の表面積が小さい場合に、表面積を増大させることができる。これにより、保水性が向上する。
また、従来のブラシと研磨剤とを用いた機械的粗面化処理は、尖った凹凸が形成されて、残膜が残りやすく、エッジに起因した汚れが発生しやすいという問題を有していたが、このように転写と、ブラシと研磨剤とを用いた機械的粗面化処理とを組み合わせることにより、この問題は解決することができる。
更に、アルカリエッチング量を少なくすることができるため、コスト的にも有利である。
ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。
ナイロンブラシは複数本用いるのが好ましく、具体的には、3本以上がより好ましく、4本以上が特に好ましい。ブラシの本数を調整することにより、アルミニウム板表面に形成される凹部の波長成分を調整することができる。
研磨剤のメジアン径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、2〜100μmであるのが好ましく、20〜60μmであるのがより好ましい。研磨剤のメジアン径を調整することにより、アルミニウム板表面に形成される凹部の深さを調整することができる。
機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
アルカリエッチング処理は、上述したアルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
第一アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.1g/m2以上であるのが好ましく、0.5g/m2以上であるのがより好ましく、1g/m2以上であるのが更に好ましく、また、10g/m2以下であるのが好ましく、8g/m2以下であるのがより好ましく、5g/m2以下であるのが更に好ましい。エッチング量の下限が上記範囲にあると、第一電解粗面化処理において均一なピットを生成でき、更に処理ムラの発生を防止できる。エッチング量の上限が上記範囲にあると、アルカリ水溶液の使用量が少なくなり、経済的に有利となる。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、50g/L以上であるのがより好ましく、また、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
第一アルカリエッチング処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また、30秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
即ち、カセイソーダ濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるようにカセイソーダと水とを添加する。そして、カセイソーダと水とを添加することによって増加したエッチング液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加するカセイソーダとしては、工業用の40〜60質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。
装置100においては、給水タンク104に給水筒106から水102が供給され、水102が給水タンク104からオーバーフローする際に、整流部108により整流され、自由落下カーテン状の液膜がアルミニウム板1に供給される。装置100を用いる場合、液量は10〜100L/minであるのが好ましい。また、装置100とアルミニウム1との間の水102が自由落下カーテン状の液膜として存在する距離Lは、20〜50mmであるのが好ましい。また、アルミニウム板の角度αは、水平方向に対して30〜80°であるのが好ましい。
自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する具体的な装置としては、例えば、特開2003−96584号公報に記載されている装置が好適に挙げられる。
第一アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(第一デスマット処理)を行うのが好ましい。デスマット処理は、アルミニウム板を酸性溶液に接触させることにより行う。
なお、第一アルカリエッチング処理の後に行われる第一デスマット処理においては、第一電解粗面化処理として引き続き硝酸電解が行われる場合には、硝酸電解に用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いるのが好ましい。
中でも、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
水洗処理は、アルカリエッチング処理の後の水洗処理と同様である。ただし、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。
なお、第一デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる硝酸電解に用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を行わず、アルミニウム板の表面が乾かないよう、必要に応じて適宜デスマット処理液をスプレーしながら、硝酸電解工程までアルミニウム板をハンドリングするのが好ましい。
第一電解粗面化処理は、最初に行われる硝酸または塩酸を含有する水溶液中での電気化的粗面化処理である。
実施態様1、4、5および6のように、第一電解粗面化処理および第二電解粗面化処理両者を行うと、均一性の高い凹凸構造を重畳した砂目形状をアルミニウム板の表面に形成させることができ、耐汚れ性および耐刷性を優れたものにすることができる。
なお、第一電解粗面化処理後のアルミニウム板の平均表面粗さは0.45〜0.85μmであるのが好ましい。
実施態様2および3においては、硝酸電解および塩酸電解がそれぞれ行われる。実施態様4では塩酸電解の後に硝酸電解が行われ、実施態様5では塩酸電解が2回行われる。以下では主として実施態様1および6に用いられる硝酸電解およびその後の塩酸電解について説明するが、これ以外の実施態様では、それぞれの条件をそれぞれの実施態様の特徴に応じて変えることができる。
硝酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理(硝酸電解)により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。本発明において、アルミニウム板Cuを比較的多量に含有している場合には、硝酸電解において、比較的大きく、かつ、均な凹部が形成される。その結果、本発明により得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は、耐刷性が優れたものになる。
具体的には、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度が3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、150C/dm2以上であるのが好ましく、170C/dm2以上であるのがより好ましく、また、600C/dm2以下であるのが好ましく、500C/dm2以下であるのがより好ましい。この際の電流密度は、交流を用いる場合には電流のピーク値で20〜100A/dm2であるのが好ましく、直流を用いる場合には20〜100A/dm2であるのが好ましい。
プレ電解は、硝酸電解時のピット形成の起点を形成させる工程である。アルミニウム板の材質の影響を受けにくく、非常に腐食性の高い塩酸を用いてわずかに電解を行うことにより、表面に均一に起点となるピットを形成させることができる。
プレ電解において、塩酸濃度は1〜15g/Lであるのが好ましく、また、陽極時の電気量は30〜70C/m2であるのが好ましい。
プレ電解の後は、スマット除去のためにアルカリエッチングを行うのが好ましい。アルカリエッチングにおけるアルミニウム溶解量は、0.2〜0.6g/m2であるのが好ましい。
塩酸を含有する水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、1〜30g/L、好ましくは2〜10g/Lの塩酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の一つ以上を1g/L〜飽和まで添加して使用することができる。また、上記した銅と錯体を形成する化合物を1〜200g/Lの割合で添加することもできる。塩酸を含有する水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。
更に、電気量を増やしていくと平均開口径0.01〜0.4μmのピットを表面に有する平均開口径1〜15μmのピットが生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、10C/dm2以上であるのが好ましく、50C/dm2以上であるのがより好ましく、更には100C/dm2以上であるのが好ましい。また、2000C/dm2以下であるのが好ましく、600C/dm2以下であるのがより好ましい。
また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
即ち、硝酸濃度または塩酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように硝酸または塩酸と水とを添加する。そして、硝酸または塩酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する硝酸としては、工業用の30〜70質量%のものを用いることができる。添加する塩酸としては、工業用の30〜40質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、40±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
台形波とは、図2に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は0.5〜3msecであるのが好ましい。TPが3msecを超えると、特に硝酸を含有する水溶液を用いると、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ性が低下する傾向にある。
交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図3に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図3において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
直流を用いた電気化学的粗面化処理は、回分法、半連続法および連続法のいずれでも行うことができるが、連続法で行うのが好ましい。
例えば、図6に示される一つの電解槽を有する装置が挙げられる。図6において、アルミニウム板61は、電解液64で満たされた電解槽65を通過する。電解槽65に交互に配置された陽極62と陰極63との間には、直流電圧が印加されている。電解槽65においては、電解液64が供液ノズル66から供給され、排液管67を通じて排出される。
また、図7に示される陽極62の槽と陰極63の槽とが別個の電解槽である装置も挙げられる。図7において、アルミニウム板61は、電解液64で満たされた複数の電解槽65を通過する。各電解槽65には、陽極62または陰極63が、交互になるように配置されている。交互に配置された陽極62と陰極63との間には、直流電圧が印加されている。各電解槽65においては、電解液64が供液管68から供給され、排液管67を通じて排出される。
陽極としては、例えば、チタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属に白金族系の金属をめっきし、またはクラッドしたもの;バルブ金属に白金族系の金属の酸化物を塗布し、または焼結させたもの;アルミニウム;ステンレスが挙げられる。中でも、バルブ金属に白金をクラッドしたものが好ましい。電極の内部に水を通して水冷化するなどの方法により、陽極の寿命を更に長くすることができる。
陰極としては、例えば、ブールベイダイヤグラムから、電極電位を負としたときに溶解しない金属等を選択して用いることができる。中でも、カーボンが好ましい。
また、測定のバラツキを抑制するために、市販の画像解析ソフトによる等価円直径測定を行うこともできる。この場合、上記電子顕微鏡写真をスキャナーで取り込んでデジタル化し、ソフトウェアにより二値化した後、等価円直径を求める。
本発明者が測定したところ、目視測定の結果とデジタル処理の結果とは、ほぼ同じ値を示した。
水洗処理は、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
第一電解粗面化処理と第二電解粗面化処理との間に行われる第二アルカリエッチング処理は、第一電解粗面化処理で生成したスマットを溶解させること、および、第一電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。これにより、第一電解粗面化処理解によって形成された大きなピットのエッジ部分が溶解して表面が滑らかになり、インキを該エッジ部分にひっかかりにくくするため、耐汚れ性に優れる平版印刷版原版を得ることができる。
第二アルカリエッチング処理は、基本的に第一アルカリエッチング処理と同様であるので、異なる点のみ以下に説明する。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、50g/L以上であるのがより好ましく、また、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下であるのがより好ましい。
第二アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(第二デスマット処理)を行うのが好ましい。第二デスマット処理は、第一デスマット処理と同様の方法で行うことができる。
第二デスマット処理においては、1〜400g/Lの酸および0.1〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
硫酸を用いる場合は、具体的には、硫酸濃度100〜350g/Lの硫酸水溶液に、硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を0.1〜5g/Lとなるように調整した液を用いることができる。また、後述する陽極酸化処理に用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いこともできる。
第二デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
第二デスマット処理においては、酸水溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、70℃以下であるのが好ましく、60℃以下であるのがより好ましい。
第二電解粗面化処理は、例えば、実施態様1、5および6では、塩酸を含有する水溶液中での交流または直流を用いた電気化学的粗面化処理である。本発明においては、上述した第一電解粗面化処理と、この第二電解粗面化処理とを組み合わせることにより、複雑な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができ、ひいては、耐刷性を優れたものにすることができる。また、第二電解粗面化処理は、第二アルカリエッチングで滑らかにしたアルミニウム板の表面に平均直径0.01〜0.4μmの凹部を生成させる。それによって、耐刷性を高めることができる。
塩酸電解における塩酸を含有する水溶液中での電気化学的な粗面化でアルミニウム板が陽極反応にあずかる電気量の総和は、電気化学的な粗面化処理が終了した時点で、10〜200C/dm2の範囲から選択でき、10〜100C/dm2が好ましく、50〜80C/dm2が特に好ましい。
第二電解粗面化処理の後に行われる第三アルカリエッチング処理は、第二電解粗面化処理で生成したスマットを溶解させること、および、第二電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。第三アルカリエッチング処理は、基本的に第一アルカリエッチング処理と同様であるので、異なる点のみ以下に説明する。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、3g/L以上であるのがより好ましく、また、50g/L以下であるのが好ましく、8g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
第三アルカリエッチング処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また、30秒以下であるのが好ましく、10秒以下であるのがより好ましい。
第三アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(第三デスマット処理)を行うのが好ましい。第三デスマット処理は、基本的に第一デスマット処理と同様であるので、異なる点のみ以下に説明する。
第三デスマット処理においては、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液(例えば、硫酸)と同じ種類の液を用いるのが、第三デスマット処理と陽極酸化処理との間の水洗工程を省略することができる点で好ましい。
第三デスマット処理においては、5〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。硫酸を用いる場合は、具体的には、硫酸濃度100〜350g/Lの硫酸水溶液に、硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を1〜5g/Lとなるように調整した液が好ましい。
第三デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
第三デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液と同じ種類の液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を省略することができる。
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」(皮膜が周囲より厚くなる部分)が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
具体的には、直流電源の電流配分を、下流側の直流電源の電流が上流側の直流電源の電流以上にするのが好ましい。このような電流配分とすることにより、いわゆる焼けが生じにくくなり、その結果、高速での陽極酸化処理が可能となる。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2程度である。
中でも、図4に示す装置が好適に用いられる。図4は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。
アルミニウム板416と陰極430の間隔は50〜200mmであるのが好ましい。陰極430としてはアルミニウムが用いられる。陰極430としては、アノード反応により発生する水素ガスが系から抜けやすくなるようにするために、広い面積を有する電極でなく、アルミニウム板416の進行方向に複数個に分割した電極であるのが好ましい。
封孔処理は、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる処理である。封孔処理を行うことにより、平版印刷版原版の現像性(感度)を向上させることができる。
陽極酸化皮膜が、皮膜面にほぼ垂直な方向にポアと称する細孔を有する多孔質皮膜であることはよく知られている。本発明においては、陽極酸化処理に高封孔率の封孔処理を施すのが好ましい。封孔率は50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが更に好ましい。ここで、「封孔率」は、下記式により定義される。
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜5.0質量%であるのがより好ましい。
フッ化ジルコン酸塩溶液は、リン酸二水素ナトリウムを含有するのが好ましい。リン酸二水素ナトリウムの濃度は、0.01〜3質量%であるのが好ましく、0.1〜0.3質量%であるのがより好ましい。
封孔処理の時間(溶液中への浸せき時間)は、1〜20秒であるのが好ましく、5〜15秒であるのがより好ましい。
陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低減することができる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
上述したようにして平版印刷版用支持体を得た後、画像記録層を設ける前に、平版印刷版用支持体の表面を乾燥させるのが好ましい。乾燥は、表面処理の最後の処理の後、水洗処理およびニップローラで液切りしてから行うのが好ましい。
乾燥温度は、70℃以上であるのが好ましく、80℃以上であるのがより好ましく、また、110℃以下であるのが好ましく、100℃以下であるのがより好ましい。
乾燥時間は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また20秒以下であるのが好ましく、15秒であるのがより好ましい。
本発明においては、上述した表面処理に用いられる各種の処理液の組成を、特開2001−121837号公報に記載されている方法で管理するのが好ましい。あらかじめ、種々の濃度の多数の処理液サンプルを調製し、それぞれ二つの液温における超音波の伝搬速度を測定し、マトリクス状のデータテーブルを作成しておき、処理中に、液温および超音波の伝搬速度をリアルタイム測定し、それに基づいて濃度の制御を行うのが好ましい。特に、デスマット処理において、硫酸濃度250g/L以上の電解液を用いる場合においては、上述する方法により、濃度の制御を行うのが好ましい。
なお、電解粗面化処理および陽極酸化処理に用いられる各電解液は、Cu濃度が100ppm以下であるのが好ましい。Cu濃度が高すぎると、ラインを停止するとアルミニウム板上にCuが析出し、ラインを再度稼動した際に析出したCuがパスロールに転写されて、処理ムラの原因となる場合がある。
本発明により得られる平版印刷版用支持体には、画像記録層を設けて平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物が用いられる。
本発明に好適に用いられる感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に「無処理タイプ」という。)が挙げられる。
また、本発明により得られる平版印刷版用支持体は、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ等として、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術に好適に用いられる。
以下、これらの好適な感光性組成物について説明する。
<感光層>
サーマルポジタイプの感光性組成物は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノボラック樹脂が好適に挙げられる。
更に、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に記載されている一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]に記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。
また、付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
更に、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層または接着層を設けるのも好ましい。
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。光熱変換物質は、上述したサーマルポジタイプに用いられるのと同様の染料が好ましい。
微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散しうるものがより好ましい。具体的には、ReseachDisclosureNo.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号および同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーとしては、例えば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものが挙げられる。
微粒子ポリマーは、反応性官能基を有するのが好ましい。
このようにして、本発明により得られる平版印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設けて得られる平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層を設けることができる。
本発明により得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのがより好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
1.アルミニウム板エンボス加工用ロールの製造
(実施例1−1〜1−3ならびに比較例1−1および1−2)
工具鋼(SKD11)を焼入れしてHv750としたロールを用いて、以下の処理(1)〜(5)を順次行い、各アルミニウム板エンボス加工用ロールを得た。
鏡面研磨処理としてバフ研磨処理を行い、ロール表面を研磨した砥石の痕を除去した。
ロールの表面に、平均粒径100μmのアルミナ粒子をグリッド材として用いたエアーブラスト法を2回行うことにより、粗面化処理を施した。エアーブラスト法の各回につき、吹き付け圧は、2kgf/cm2(1.96×105Pa)、吹き付け時間は2秒であった。
液温30℃の脱脂槽に30秒間浸せきさせ、表面の油分を脱脂液で除去処理した。その後、水洗処理し、エアーを吹き付け、水分を除去した。
クロム酸300g/L、硫酸2g/L、鉄1g/Lを含む液温50℃の電解液中で、連続直流電流を加え、ロールを陽極として電流密度30A/dm2で電解処理を行った。電解処理の電気量を第1表に示す。
電流波形は、3相全波整流し、更にフィルター回路を通してリップル成分を5%以下とした直流を用いた。対極は鉛を用いた。ロールは電解液中に縦置きとし、その周囲を囲むように円筒状に鉛電極を配置した。ロールのシャフト部分には電解処理が行われないように塩化ビニルでマスキング処理を行った。
つぎに、クロム酸300g/L、硫酸2g/L、鉄1g/Lを含む液温50℃の電解液中で、連続直流電流を加え、ロールを陰極として電流密度40A/dm2でめっき処理を行った。めっき処理時間は、めっき厚が6μmとなるように設定した。
電流波形は、3相全波整流し、更にフィルター回路を通してリップル成分を5%以下とした直流を用いた。対極は鉛を用いた。ロールは電解液中に縦置きとし、その周囲を囲むように円筒状に鉛電極を配置した。ロールのシャフト部分にはめっき処理が行われないように塩化ビニルでマスキング処理を行った。
上記(2)ブラスト処理の後、かつ、上記(3)脱脂処理の前に、下記(6)機械的研磨処理を行った以外は、実施例1−2と同様の方法により、アルミニウム板エンボス加工用ロールを得た。
サンドペーパー(#2000)で表面を再研磨し、ブラスト処理により生じた、ロール表面の部分的に高い凸部を研削して、平均表面粗さRaを0.6μmとした。平均表面粗さRaは、後述する方法により測定した。
(1)平均表面粗さRa、最大高さRy、凹凸の平均間隔Smおよび平均傾斜Δa
鏡面研磨処理後、ブラスト処理後、電解処理後およびクロムめっき処理後のロールについて、触針式粗さ計(sufcom575、東京精密社製)を用いて下記条件で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均表面粗さRaを5回測定し、その平均値を求めた。最大高さRy、凹凸の平均間隔Smおよび平均傾斜Δaも同様にして測定した。
カットオフ値0.8mm、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm
また、ブラスト処理後のロールの表面は、平均表面粗さRaが0.9μmであった。
また、電解処理後およびクロムめっき処理後のロールの表面の平均表面粗さRa、最大高さRy、凹凸の平均間隔Smおよび平均傾斜Δaを第1表に示す。
上記で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールの表面をレプリカ法で観察した。具体的には、応研商事(株)製のテクノビット3040を用いてレプリカを作成し、得られたレプリカを用いて、実施例1−2および比較例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールの断面プロフィールを測定した。断面プロフィールの測定には、菱化システム(株)のマイクロマップ520を使用し、ロールの長手方向の断面に位置する凹凸を測定し、チャートに記録させた。その結果、実施例1−2で得られたロールは、比較例1−1で得られたロールに比べて、ロール表面の山の高さが揃っていた。
(実施例2−1)
Si:0.073質量%、Fe:0.27質量%、Cu:0.1質量%、Mn:0.000質量%、Mg:0.000質量%、Cr:0.001質量%、Zn:0.003質量%、Ti:0.002質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、実施例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールを用いて冷間圧延を行って、厚さ0.3mm、幅1060mmに仕上げ、アルミニウム板を得た。
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度370g/L、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
温度35℃の硝酸水溶液をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。硝酸水溶液としては、後述する(c)硝酸水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラによる液切りを行わずに、アルミニウム板に硝酸水溶液が付着している状態で搬送した。搬送時間は25秒間であった。
電気化学的粗面化処理を行う直前に、アルミニウム板に、後述する硝酸交流電解に用いた電解液と同じ組成および温度を有する電解液を吹き付けた。
その後、10.4g/L硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが1.2msec、duty比(ta/T)0.5であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを2槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、60A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で215C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度370g/L、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度64℃の水溶液をスプレー管から7秒間吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、3g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
300g/L硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を2g/Lとした水溶液(液温35℃)をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
5g/L塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが0.8msec、duty比(ta/T)0.5であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを1槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、50A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で65C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。アルミニウム板と電解液の相対速度は、電解槽内の平均で1.5m/secであった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度50g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、0.2g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液(液温35℃)をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。水溶液としては、後述する(i)陽極酸化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラで液切りしたが、水洗処理は行わなかった。
陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行った。
電解液としては、170g/L硫酸水溶液に硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(温度33℃)を用いた。陽極酸化処理は、アルミニウム板がアノード反応する間の平均電流密度が15A/dm2となるように行い、最終的な酸化皮膜量は2.4g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
アルミニウム板をケイ酸ソーダ1質量%水溶液(液温20℃)に10秒間浸せき、親水化処理を行った。蛍光X線分析装置で測定したアルミニウム板表面のSi量は、3.5mg/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
更に、90℃の風を10秒間吹き付けて乾燥させて、平版印刷版用支持体を得た。
実施例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールの代わりに、実施例1−2で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールを用いた以外は、実施例2−1と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(実施例2−3)
実施例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールの代わりに、実施例1−3で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールを用いた以外は、実施例2−1と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(実施例2−4)
実施例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールの代わりに、実施例1−4で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールを用いた以外は、実施例2−1と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
上記(i)と上記(j)との間に、下記(k)を行った以外は、実施例2−2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
アルミニウム板を、0.2質量%のフッ化ジルコン酸ナトリウムと、0.2質量%のリン酸二水素ナトリウムとを含有する水溶液(液温60℃)に10秒間浸せきさせ、封孔処理を行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
実施例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールの代わりに、比較例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールを用いた以外は、実施例2−1と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
(比較例2−2)
実施例1−1で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールの代わりに、比較例1−2で得られたアルミニウム板エンボス加工用ロールを用いた以外は、実施例2−1と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
実施例2−2において、実施例1−2のアルミニウム板エンボス加工用ロールを用いて得られたアルミニウム板(上記(a)を施す前のもの)について、アルミニウム板エンボス加工用ロールの場合と同様の方法により、平均表面粗さRa、最大高さRy、凹凸の平均間隔Smおよび平均傾斜Δaを測定した。
その結果、平均表面粗さRaは0.65μm、最大高さRyは5.7μm、凹凸の平均間隔Smは70μm、平均傾斜Δaは7.5°であった。
実施例2−1〜2−5の各平版印刷版用支持体の表面を、走査型電子顕微鏡(JSM−5500、日本電子社製。以下同じ。)を用いて、倍率50000倍で観察したところ、直径0.1μm程度の微細な凹凸が均一にかつ緻密に生成していた。
また、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で観察したところ、直径1〜5μmの凹凸が均一に生成していた。
なお、直径0.1μm程度の微細な凹凸は、直径1〜5μmの凹凸に重畳して生成していた。
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、以下のようにしてサーマルポジタイプの画像記録層を設けて平版印刷版原版を得た。なお、画像記録層を設ける前には、後述するように下塗層を設けた。
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40、重量平均分子量7,000、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.90g
・メタクリル酸エチル/メタクリル酸イソブチル/メタクリル酸共重合体(モル比35/35/30) 0.10g
・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.1g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系界面活性剤(ディフェンサF−780F、大日本インキ化学工業社製、固形分30質量%) 0.0045g(固形分換算)
・フッ素系界面活性剤(ディフェンサF−781F、大日本インキ化学工業社製、固形分100質量%) 0.035g
・メチルエチルケトン 12g
得られた平版印刷版原版について、感度、耐刷性(印刷枚数)、耐汚れ性およびインキの絡みにくさを評価した。
その結果、実施例2−1〜2−3で得られた平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、感度、耐刷性、耐汚れ性およびインキの絡みにくさのいずれにも優れていた。
また、実施例2−4および2−5で得られた平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、実施例2−1〜2−3の場合と比べて、同等の耐刷性、耐汚れ性およびインキの絡みにくさを有し、かつ、より優れた感度を有していた。
これに対し、比較例2−1および2−2で得られた平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、実施例2−1〜2−3の場合と比べて、同等の耐汚れ性およびインキの絡みにくさを有していたが、感度および耐刷性に劣っていた。
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
61 アルミニウム板
62 陽極
63 陰極
64 電解液
65 電解槽
66 供液ノズル
67 排液管
68 供液管
100 自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置
102 水
104 貯水タンク
106 給水筒
108 整流部
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
413 中間槽
414 陽極酸化処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 陽極
422、428 パスローラ
424 ニップローラ
430 陰極
434 直流電源
436、438 給液ノズル
440 しゃへい板
442 排液口
Claims (6)
- 鋼製のロールに、その表面に対し、少なくとも、ブラスト処理と、前記ロールを陽極とする、電気量3,500〜8,500C/dm2の電解処理と、クロムめっき処理とをこの順に施してなるアルミニウム板エンボス加工用ロールにおいて、
前記電解処理前のロールが、平均表面粗さRaが0.3〜1.5μmである表面を有し、
前記電解処理後のロールが、平均表面粗さRaが0.5〜2.0μm、凹凸の平均間隔Smが10〜200μm、最大高さRyが5〜25μm、および、平均傾斜Δaが5〜25°である表面を有する、アルミニウム板エンボス加工用ロール。 - 前記ブラスト処理の後、かつ、前記電解処理の前に、前記表面に対し、前記ブラスト処理により生じた凸部を機械的に研磨する処理を施す、請求項1に記載のアルミニウム板エンボス加工用ロール。
- 前記ブラスト処理前のロールが、あらかじめ鏡面研磨処理を施されている表面を有する、請求項1または2に記載のアルミニウム板エンボス加工用ロール。
- 前記電解処理前のロールが、最大高さR y が7〜15μmである表面を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム板エンボス加工用ロール。
- 前記電解処理後のロールが、平均傾斜Δaが8〜20°である表面を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム板エンボス加工用ロール。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム板エンボス加工用ロールで、アルミニウム板の表面に凹凸を転写する工程を具備する、平版印刷版用支持体の製造方法。
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