JP4445762B2 - 平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents
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Description
中でも、機械的粗面化処理は、平版印刷版の耐刷性を向上させるために有効である。機械的粗面化処理としては、回転するナイロンブラシとアルミニウム板との間に研磨剤のスラリーを吹き付ける方法が一般的に知られている。
また、ナイロンブラシと研磨剤とを用いる方法は、物理的に粗面化するため、とがった部分を生じさせるので、その部分を滑らかにするために、後工程のアルカリエッチング処理でアルミニウムを多量に溶解させる必要がある。よって、費用が高くかかり、また、環境に対する負荷も大きいという問題がある。
例えば、特許文献1には、表面に長円状のプレス凹部を200個/mm2以上の密度で、かつ該プレス凹部が一部重なり合って波状模様をなすように形成させたアルミニウム板からなる平版印刷版用支持体が記載されている。
また、特許文献2には、アルミニウム板の表面に、長円状のプレス凹部を200個/mm2以上の密度で、かつ該プレス凹部が一部重なり合って波状模様をなすように形成させ、次いで、その上に電気化学エッチングにより平均ピッチが1〜10μの微細凹部を形成させてなる平版印刷版用支持体が記載されている。
特許文献1および2においては、ショットブラスト法により粗面化された鋼製ロールを用いてプレス凹部を形成することが記載されている。
また、特許文献4には、ホーニング加工或いは化学エッチング加工により、中心線平均粗さ(Ra)を0.5〜1.5μmとし、深さ0.6μm以上の凹凸の山数が500個/mm2以上としたロールにより、アルミニウム板或いはアルミニウム箔を圧下率2〜20%で圧延を行なうことを特徴とする平版印刷版支持体の砂目製造法が記載されている。
また、特許文献5には、化学エッチング加工或いはホーニング加工により、中心線平均粗さ(Ra)を0.5〜1.5μmとし、深さ0.6μm以上の凹凸の山数が500個/mm2以上としたロールにより、アルミニウム板或いはアルミニウム箔を圧下率2〜20%で圧延を行ない、次いで、電気化学エッチングにより平均ピッチが1〜10μmの微細凹部を形成することを特徴とする平版印刷版支持体の砂目製造法が記載されている。
まず、特許文献1および2に記載されているショットブラスト法により粗面化された鋼製ロールを用いてプレス凹部を形成された平版印刷版用支持体は、形成されているピット(プレス凹部)の数が多くないため、平版印刷版としたときの耐刷性に劣るという問題を有していた。
また、特許文献3に記載されている放電加工を用いる方法、および、特許文献6に記載されている放射線を用いる方法は、圧延ロールの製造コストが高いという問題を有していた。
また、特許文献4に記載されている化学エッチング加工により凹部を形成されたロールを用いて得られた平版印刷版用支持体は、ロール表面における材質の不均一性により、凹凸形状が不均一になりやすいという問題を有していた。
前記アルミニウム板の前記表面の谷密度曲線のゼロ点と最小値との差が1.0〜6.0μmであり、
前記谷密度曲線の最大値と最小値との差が3〜5μmであり、
前記谷密度曲線における深さ1.5μm以上のピット密度が、300〜1000個/mm2であり、
前記谷密度曲線における最大ピット密度が、1500〜3000個/mm2であり、
前記谷密度曲線の基準面におけるピット密度が、1500〜2000個/mm2であり、
前記谷密度曲線の最小値が、ピット密度が100個/mm 2 以下となるピット深さの負の方の値であり、前記谷密度曲線の最大値が、ピット密度が100個/mm 2 以下となるピット深さの正の方の値である、平版印刷版用支持体の製造方法。
[平版印刷版用支持体の製造方法]
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明に用いられるアルミニウム板は、公知の組成を用いることができる。例えば、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板を用いることもできる。
また、使用済みアルミニウム飲料缶を溶解させたUBC(Used Beverage Can)地金を圧延して得られるアルミニウム板を用いることもできる。
特に好ましいのは、Si:0.07〜0.09質量%、Cu:0.15質量%以下、Fe:0.20〜0.29質量%、Mn:0.01質量%以下、Mg:0.01質量%以下、Cr:0.01質量%以下、Zn:0.01質量%以下、Ti:0.02質量%以下、Al:99.4質量%以上であるアルミニウム板である。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。なお、均熱処理を行わない場合には、コストを低減させることができるという利点がある。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が120MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−126820号公報、特開昭62−140894号公報等に記載されている。
また、アルミニウム板は、引張強度が160±15N/mm2、0.2%耐力が140±15MPa、JIS Z2241およびZ2201に規定される伸びが1〜10%であるのがより好ましい。
中でも、最終板厚に調整する冷間圧延、または、最終板厚調整後の表面形状を仕上げる仕上げ冷間圧延とともに、圧延ロールの凹凸面をアルミニウム板に圧接させて凹凸形状を転写し、アルミニウム板の表面に凹凸パターンを形成させる方法が好ましい。具体的には、特開平6−262203号公報に記載されている方法を好適に用いることができる。
表面に凹凸パターンを有するアルミニウム板を用いることにより、後の電気化学的粗面化処理等で消費されるエネルギーを少なくしつつ、印刷機上における湿し水の量の調整を容易にすることができる。
エアーブラスト法におけるエアー圧は、1〜10kgf/cm2(9.81×104〜9.81×105Pa)であるのが好ましく、2〜5kgf/cm2(1.96×105〜4.90×105Pa)であるのがより好ましい。
エアーブラスト法に用いられるグリッドは、所定の粒径のアルミナ粒子であれば特に限定されない。グリッドに、硬く、粒子一つ一つの角が鋭角なアルミナ粒子を用いると、転写ロールの表面に、深く均一な凹凸を形成させやすい。
アルミナ粒子の平均粒径は、50〜150μmであり、60〜130μmであるのが好ましく、70〜90μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、転写ロールとして十分な大きさの表面粗さが得られるため、この転写ロールを用いて凹凸を付与したアルミニウム板の表面粗さが十分に大きくなる。また、ピット数も十分に多くすることができる。
エアーブラスト法における噴射角は、噴射面(ロール表面)に対して60〜120°であるのが好ましく、80〜100°であるのがより好ましい。
転写ロールの表面の山数は、1000〜40000個/mm2であるのが好ましく、2000〜10000個/mm2であるのがより好ましい。山数が少なすぎると、平版印刷版用支持体の保水性および画像記録層との密着性が劣ったものになる。保水性が劣ると、平版印刷版としたときに、網点部が汚れやすくなる。
本発明においては、鋼製のロールを用いるのが好ましい。中でも、鋳造により作られたロールであるのが好ましい。好ましいロール材質の組成の一例は、C:0.07〜6質量%、Si:0.2〜1質量%、Mn:0.15〜1質量%、P:0.03質量%以下、S:0.03質量%以下、Cr:2.5〜12質量%、Mo:0.05〜1.1質量%、Cu:0.5質量%以下、V:0.5質量%以下、残部:鉄および不可避不純物である。
また、一般的に圧延用ロールとして用いられる、工具鋼(SKD)、ハイス鋼(SKH)、高炭素クロム軸受鋼(SUJ)、炭素とクロムとモリブデンとバナジウムとを合金元素として含む鍛造鋼が挙げられる。長いロール寿命を得るために、クロムを10〜20質量%程度含有する高クロム合金鋳鉄を用いることもできる。
中でも、鋳造法により製造されたロールを用いるのが好ましい。この場合、焼入れ、焼戻し後の硬度が、Hsで80〜100であるのが好ましい。焼戻しは、低温焼戻しを行うのが好ましい。
ロールの直径は200〜1000mmであるのが好ましい。また、ロールの面長は1000〜4000mmであるのが好ましい。
硬質化処理としては、ハードクロムめっきが特に好ましい。ハードクロムめっきは、工業用クロムめっき法として従来周知のCrO3−SO4浴、CrO3−SO4−フッ化物浴等を用いた電気めっきによる方法を用いることができる。
ハードクロムめっき皮膜の厚さは3〜15μmであるのが好ましく、5〜10μmであるのがより好ましい。上記範囲であると、ロール表面素地とめっき皮膜との境界から、めっき皮膜部分がはがれるめっきはく離が生じにくく、また、耐摩耗性の向上効果も十分となる。ハードクロムめっき皮膜の厚さは、めっき処理時間を調整することによって調節することができる。
本発明に用いられるアルミニウム板は、表面の谷密度曲線のゼロ点と最小値との差(以下「B値」ともいう。)が、1.0〜6.0μm、好ましくは1.5〜4.0μmである。上記範囲であると、平版印刷版用支持体の保水性および画像記録層との密着性が優れたものとなり、かつ、平版印刷版原版としたときの現像性(感度)が優れたものとなる。
また、表面の谷密度曲線の最大値と最小値との差(以下「A値」ともいう。)が、好ましくは2〜8μm、より好ましくは3〜5μmである。上記範囲であると、平版印刷版用支持体の保水性および画像記録層との密着性がより優れたものとなり、かつ、平版印刷版原版としたときの現像性(感度)がより優れたものとなる。
触針式3次元表面粗さ計:SE3500K、小坂研究所社製
測定ピッチ:X方向=1ミクロン、Y方向=1ミクロン、Z測定倍率=10000倍
X送り速さ:0.1mm/sec
低域カット=0.8mm
広域カット=R+W
測定面積:X方向×Y方向=200ミクロン×100ミクロン
ここで、ゼロ点は、基準面におけるピット深さであり、その値は0である。最小値は、ピット密度が所定の値以下となるピット深さの負の方の値である。最大値は、ピット密度が所定の値以下となるピット深さの正の方の値である。本発明においては、所定の値として100個/mm2を用いるため、最小値および最大値を求める際には、ピット密度が100個/mm2以下のピットは除外される。
また、本発明に用いられるアルミニウム板は、基準面でのピット密度が、好ましくは1000〜8000個/mm2である。上記範囲であると、平版印刷版用支持体の保水性や画像記録層との密着性がより優れたものとなり、かつ、転写ロールを安価に製造することができる。基準面でのピット密度は、谷密度曲線において、ピット深さが0であるピットの密度である。
また、本発明に用いられるアルミニウム板は、平均傾斜(Δa)が1〜10°であるのが好ましい。平均傾斜(Δa)は、触針式粗さ計(例えば、Surfcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、粗さ曲線から測定長さLの部分を抜き取った場合において、この部分における平均線と断面曲線とがなす角度の平均値であり、下記式により求められる。
アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性があるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要がある。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい荷姿であることが好ましい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法は、少なくとも、上述したアルミニウム板に、電気化学的粗面化処理を施す工程と、その後、陽極酸化処理を施して平版印刷版用支持体を得る工程とを具備する。本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、上記以外の各種の工程を含んでいてもよい。
<実施態様1>
アルミニウム板に、アルカリ水溶液中でのエッチング処理(以下「アルカリエッチング処理」ともいう。)、硝酸を含有する水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(以下「硝酸交流電解」ともいう。)、アルカリエッチング処理、塩酸を含有する水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(以下「塩酸交流電解」ともいう。)、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様2>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、硝酸交流電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様3>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、塩酸交流電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様4>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、塩酸交流電解、アルカリエッチング処理、硝酸交流電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
<実施態様5>
アルミニウム板に、アルカリエッチング処理、塩酸交流電解、アルカリエッチング処理、塩酸交流電解、アルカリエッチング処理および陽極酸化処理をこの順に施す方法。
アルカリエッチング処理は、上述したアルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
最初の硝酸交流電解または塩酸交流電解の後にデスマット処理を経て行われる第二アルカリエッチング処理およびその後の塩酸交流電解の後にデスマット処理を経て行われる第三アルカリエッチング処理は、硝酸交流電解または塩酸交流電解で生成したスマットを溶解させること、および、硝酸交流電解または塩酸交流電解により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
第二アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.05g/m2以上であるのが好ましく、0.1g/m2以上であるのがより好ましく、また、4g/m2以下であるのが好ましく、3.5g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が少なすぎると、平版印刷版の非画像部において、硝酸交流電解または塩酸交流電解で生成したピットのエッジ部分が滑らかとならず、インキがひっかかりやすくなるため、耐汚れ性が悪くなる場合がある。一方、エッチング量が多すぎると、硝酸交流電解または塩酸交流電解で生成した凹凸が小さくなるため、耐刷性が悪くなる場合がある。
第三アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.05g/m2以上であるのが好ましく、0.1g/m2以上であるのがより好ましく、また、0.3g/m2以下であるのが好ましく、0.25g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が少なすぎると、平版印刷版の非画像部において、前段の塩酸交流電解で生成したピットのエッジ部分が滑らかとならず、インキがひっかかりやすくなるため、耐汚れ性が悪くなる場合がある。一方、エッチング量が多すぎると、最初の硝酸交流電解および塩酸交流電解で生成した凹凸が小さくなるため、耐刷性が悪くなる場合がある。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、50g/L以上であるのがより好ましく、また、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、3g/L以上であるのがより好ましく、また、50g/L以下であるのが好ましく、8g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
第二アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、30℃以上であるのが好ましく、35℃以上であるのがより好ましく、また、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
第三アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、25℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
第二アルカリエッチング処理および第三アルカリエッチング処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また、30秒以下であるのが好ましく、10秒以下であるのがより好ましい。
即ち、カセイソーダ濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるようにカセイソーダと水とを添加する。そして、カセイソーダと水とを添加することによって増加したエッチング液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加するカセイソーダとしては、工業用の40〜60質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。
装置100においては、給水タンク104に給水筒106から水102が供給され、水102が給水タンク104からオーバーフローする際に、整流部108により整流され、自由落下カーテン状の液膜がアルミニウム板1に供給される。装置100を用いる場合、液量は10〜100L/minであるのが好ましい。また、装置100とアルミニウム1との間の水102が自由落下カーテン状の液膜として存在する距離Lは、20〜50mmであるのが好ましい。また、アルミニウム板の角度αは、水平方向に対して30〜80°であるのが好ましい。
自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する具体的な装置としては、例えば、特開2003−96584号公報に記載されている装置が好適に挙げられる。
アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)を行うのが好ましい。デスマット処理は、アルミニウム板を酸性溶液に接触させることにより行う。
第二アルカリエッチング処理の後の第二デスマット処理においては、硝酸または硫酸を用いるのが好ましい。引き続き硝酸交流電解または塩酸交流電解が行われる場合は、それらに用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いるのが好ましく、引き続き陽極酸化処理が行われる場合は、それに用いられる電解液(例えば、硫酸)と同じ種類の液を用いるのが好ましい。
第三アルカリエッチング処理の後の第三デスマット処理においては、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液(例えば、硫酸)と同じ種類の液を用いるのが、第三デスマット処理と陽極酸化処理との間の水洗工程を省略することができる点で好ましい。
第二デスマット処理においては、1〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
第三デスマット処理においては、5〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
第二デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
第三デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
中でも、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
水洗処理は、アルカリエッチング処理の後の水洗処理と同様である。ただし、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。
第二デスマット処理および第三デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液と同じ種類の液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を省略することができる。
硝酸交流電解は、硝酸を含有する水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理である。硝酸交流電解により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。本発明においては、上述したように、アルミニウム板がCuを比較的多量に含有しているため、硝酸交流電解において、比較的大きく、かつ、均一な凹部が形成される。その結果、本発明により得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は、耐刷性が優れたものになる。
また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
具体的には、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
即ち、硝酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように硝酸と水とを添加する。そして、硝酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する硝酸としては、工業用の30〜70質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、40±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、150C/dm2以上であるのが好ましく、170C/dm2以上であるのがより好ましく、また、400C/dm2以下であるのが好ましく、350C/dm2以下であるのがより好ましい。この際の電流密度は、電流のピーク値で20〜100A/dm2であるのが好ましい。
水洗処理は、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
プレ電解は、硝酸交流電解時のピット形成の起点を形成させる工程である。アルミニウム板の材質の影響を受けにくく、非常に腐食性の高い塩酸を用いてわずかに電解を行うことにより、表面に均一に起点となるピットを形成させることができる。
プレ電解において、塩酸濃度は1〜15g/Lであるのが好ましく、また、陽極時の電気量は30〜70C/m2であるのが好ましい。
プレ電解の後は、スマット除去のためにアルカリエッチングを行うのが好ましい。アルカリエッチングにおけるアルミニウム溶解量は、0.2〜0.6g/m2であるのが好ましい。
塩酸交流電解は、塩酸を含有する水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理である。塩酸交流電解により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。
具体的には、塩酸濃度2〜10g/Lの硝酸水溶液に、塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
即ち、塩酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように塩酸と水とを添加する。そして、塩酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する塩酸としては、工業用の10〜40質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、35±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」(皮膜が周囲より厚くなる部分)が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
具体的には、直流電源の電流配分を、下流側の直流電源の電流が上流側の直流電源の電流以上にするのが好ましい。このような電流配分とすることにより、いわゆる焼けが生じにくくなり、その結果、高速での陽極酸化処理が可能となる。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2程度である。
中でも、図5に示す装置が好適に用いられる。図5は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。
アルミニウム板416と陰極430の間隔は50〜200mmであるのが好ましい。陰極430としてはアルミニウムが用いられる。陰極430としては、アノード反応により発生する水素ガスが系から抜けやすくなるようにするために、広い面積を有する電極でなく、アルミニウム板416の進行方向に複数個に分割した電極であるのが好ましい。
封孔処理は、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる処理である。封孔処理を行うことにより、平版印刷版原版の現像性(感度)を向上させることができる。
陽極酸化皮膜が、皮膜面にほぼ垂直な方向にポアと称する細孔を有する多孔質皮膜であることはよく知られている。本発明においては、陽極酸化処理に高封孔率の封孔処理を施すのが好ましい。封孔率は50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが更に好ましい。ここで、「封孔率」は、下記式により定義される。
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜5.0質量%であるのがより好ましい。
フッ化ジルコン酸塩溶液は、リン酸二水素ナトリウムを含有するのが好ましい。リン酸二水素ナトリウムの濃度は、0.01〜3質量%であるのが好ましく、0.1〜0.3質量%であるのがより好ましい。
フッ化ジルコン酸塩溶液は、アルミニウムイオンを含有していてもよい。その場合、フッ化ジルコン酸塩溶液のアルミニウムイオン濃度は、1〜500mg/Lであるのが好ましい。
封孔処理の時間(溶液中への浸せき時間)は、1〜20秒であるのが好ましく、5〜15秒であるのがより好ましい。
陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低減することができる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
上述したようにして平版印刷版用支持体を得た後、画像記録層を設ける前に、平版印刷版用支持体の表面を乾燥させるのが好ましい。乾燥は、表面処理の最後の処理の後、水洗処理およびニップローラで液切りしてから行うのが好ましい。
乾燥温度は、70℃以上であるのが好ましく、80℃以上であるのがより好ましく、また、110℃以下であるのが好ましく、100℃以下であるのがより好ましい。
乾燥時間は、2〜15秒であるのが好ましい。
本発明においては、上述した表面処理に用いられる各種の処理液の組成を、特開2001−121837号公報に記載されている方法で管理するのが好ましい。あらかじめ、種々の濃度の多数の処理液サンプルを調製し、それぞれ二つの液温における超音波の伝搬速度を測定し、マトリクス状のデータテーブルを作成しておき、処理中に、液温および超音波の伝搬速度をリアルタイム測定し、それに基づいて濃度の制御を行うのが好ましい。特に、デスマット処理において、硫酸濃度250g/L以上の電解液を用いる場合においては、上述する方法により、濃度の制御を行うのが好ましい。
なお、電解粗面化処理および陽極酸化処理に用いられる各電解液は、Cu濃度が100ppm以下であるのが好ましい。Cu濃度が高すぎると、ラインを停止するとアルミニウム板上にCuが析出し、ラインを再度稼動した際に析出したCuがパスロールに転写されて、処理ムラの原因となる場合がある。
本発明により得られる平版印刷版用支持体には、画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物が用いられる。
本発明に好適に用いられる感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に「無処理タイプ」という。)が挙げられる。
また、本発明により得られる平版印刷版用支持体は、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ等として、レーザー光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術に好適に用いられる。
以下、これらの好適な感光性組成物について説明する。
<感光層>
サーマルポジタイプの感光性組成物は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノボラック樹脂が好適に挙げられる。
更に、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に記載されている一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]に記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。
また、付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
更に、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層または接着層を設けるのも好ましい。
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。光熱変換物質は、上述したサーマルポジタイプに用いられるのと同様の染料が好ましい。
微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散しうるものがより好ましい。具体的には、ReseachDisclosureNo.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号および同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーとしては、例えば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものが挙げられる。
微粒子ポリマーは、反応性官能基を有するのが好ましい。
このようにして、本発明により得られる平版印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設けて得られる本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層を設けることができる。
本発明により得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのがより好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
1.圧延ロールの作製
C:1.52質量%、Si:0.31質量%、Mn:0.41質量%、P:0.028質量%、S:0.002質量%、Cr:11.6質量%、Mo:1.05質量%、Cu:0.12質量%、V:0.27質量%、残部:鉄および不可避不純物であるSKD11鋼に、焼入れ処理および焼戻し処理を施して硬度Hsが82となるようにした、平均表面粗さRaが0.1μmである平滑な表面を有するロールの表面に、エアーブラスト法を2回行うことにより、粗面化処理を施した。エアーブラスト法においては、第1表に示される平均粒径のアルミナ粒子をグリッド材として用い、噴射面との角度が90°となるように前記グリッド材を噴射した。
ついで、ロールの表面を研磨紙を用いて、ロール表面の凸部の高さのばらつきが1μm以内に入るようになるまで研磨した。
その後、厚さが8μmとなるようにハードクロムめっきを施して、各圧延ロール1〜5および7〜9を得た。
また、2回のエアーブラスト法の代わりに、平均粒径200μmの鋼粒子をグリッド材として用いたショットブラスト法を2回行った以外は、上記と同様の方法により、圧延ロール6を得た。
第2表に示される組成(残部はアルミニウムおよび不可避不純物)のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作成した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、最終圧延工程で上記で得られた圧延ロール1〜9のいずれかを転写ロールとして用いて、転写法により凹凸を形成させた。アルミニウム板の仕上がり厚さが0.3mmとなるように、転写前のアルミニウム板の厚さおよび転写ロールの圧下率を調整した。その結果、第3表に示されるアルミニウム板(幅1060mm)を得た。
上記で得られたアルミニウム板の表面性状を以下のようにして測定した。
(1)平均表面粗さRa
平均表面粗さRaは、触針式粗さ計(Surfcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、JIS B0601−1994の算術平均粗さRaの測定に準じて測定した。結果を第3表に示す。
初めに、3次元表面粗さ計を用いて、下記条件でアルミニウム板の表面の谷密度曲線を測定した。
触針式3次元表面粗さ計:SE3500K、小坂研究所社製
測定ピッチ:X方向=1ミクロン、Y方向=1ミクロン、Z測定倍率=10000倍
X送り速さ:0.1mm/sec
低域カット=0.8mm
広域カット=R+W
測定面積:X方向×Y方向=200ミクロン×100ミクロン
(実施例1〜5および比較例1)
上記で得られたアルミニウム板を以下に示す表面処理に供し、第4表に示される各平版印刷版用支持体を得た。
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。
アルミニウム板1〜6に、カセイソーダ濃度370g/L、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、3g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
温度35℃の硝酸水溶液をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。硝酸水溶液としては、後述する(c)硝酸水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラによる液切りを行わずに、アルミニウム板に硝酸水溶液が付着している状態で搬送した。搬送時間は25秒間であった。
電気化学的粗面化処理を行う直前に、アルミニウム板に、後述する硝酸交流電解に用いた電解液と同じ組成および温度を有する電解液を吹き付けた。
その後、9.0g/L硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが1.2msec、duty比(ta/T)0.5であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図4に示すものを2槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、60A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で195C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度370g/L、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度64℃の水溶液をスプレー管から7秒間吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、3g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
300g/L硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を2g/Lとした水溶液(液温35℃)をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
5g/L塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図3に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが0.8msec、duty比(ta/T)0.5であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図4に示すものを1槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、50A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で65C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。アルミニウム板と電解液の相対速度は、電解槽内の平均で1.5m/secであった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度50g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から3秒間吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、0.2g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
硫酸濃度170g/L、アルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液(液温35℃)をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。水溶液としては、後述する(i)陽極酸化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラで液切りしたが、水洗処理は行わなかった。
陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行った。
電解液としては、170g/L硫酸水溶液に硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(温度33℃)を用いた。陽極酸化処理は、アルミニウム板がアノード反応する間の平均電流密度が15A/dm2となるように行い、最終的な酸化皮膜量は2.4g/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
アルミニウム板をケイ酸ソーダ1.0質量%水溶液(液温20℃)に10秒間浸せき、親水化処理を行った。蛍光X線分析装置で測定したアルミニウム板表面のSi量は、3.5mg/m2であった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
更に、90℃の風を10秒間吹き付けて乾燥させて、平版印刷版用支持体を得た。
アルミニウム板7および8を用い、上記(c)において、電解液として、硫酸濃度10.4g/L、アルミニウムイオン濃度4.5g/Lの水溶液(液温35℃)を用いた以外は、実施例1〜5と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
上記(i)と上記(j)との間に、下記(k)を行った以外は、実施例2と同様の方法により、平版印刷版用支持体を得た。
アルミニウム板をフッ化ジルコン酸ナトリウム0.2質量%およびリン酸二水素ナトリウム0.2質量%を含有する水溶液(液温70℃)に10秒間浸せきさせ、封孔処理を行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
実施例1〜8の各平版印刷版用支持体の表面を、走査型電子顕微鏡(JSM−5500、日本電子社製。以下同じ。)を用いて、倍率50000倍で観察したところ、直径0.1μm程度の微細な凹凸が均一にかつ緻密に生成していた。
また、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で観察したところ、直径1〜5μmの凹凸が均一に生成していた。
なお、直径0.1μm程度の微細な凹凸は、直径1〜5μmの凹凸に重畳して生成していた。
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、以下のようにしてサーマルポジタイプの画像記録層を設けて平版印刷版原版を得た。なお、画像記録層を設ける前には、後述するように下塗層を設けた。
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40、重量平均分子量7,000、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.90g
・メタクリル酸エチル/メタクリル酸イソブチル/メタクリル酸共重合体(モル比35/35/30) 0.10g
・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.1g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系界面活性剤(ディフェンサF−780F、大日本インキ化学工業社製、固形分30質量%) 0.0045g(固形分換算)
・フッ素系界面活性剤(ディフェンサF−781F、大日本インキ化学工業社製、固形分100質量%) 0.035g
・メチルエチルケトン 12g
平版印刷版の耐刷性および網点部の汚れにくさを下記の方法で評価した。
(1)耐刷性
得られた平版印刷版原版をCreo社製TrendSetterを用いてドラム回転速度150rpm、ビーム強度10Wで画像状に描き込みを行った。
その後、下記組成のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像し、平版印刷版を得た。なお、いずれの平版印刷版原版も感度は良好であった。
・D−ソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル(重量平均分子量1,000) 0.5 質量%
・水 96.15質量%
結果を第4表に示す。第4表中の記号の意味は以下のとおりである。
A:30,000枚以上
C:20,000枚未満
耐刷性の評価の場合と同様にして得られた平版印刷版を用い、三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後における網点部におけるブランケットの汚れを目視で評価した。
結果を第4表に示す。第4表中の記号の意味は以下のとおりである。
A:優良(ほとんど汚れていない)
A−B:わずかに汚れている
B:汚れているが許容範囲
また、実施例8により得られた平版印刷版用支持体は、実施例2と同様の耐刷性および網点部の汚れにくさを有しているうえに、実施例2よりも現像性(感度)が優れていた。
これに対して、所定のグリッド材を用いず、B値が小さすぎる場合(比較例1および2)には、耐刷性に劣っている。
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
100 自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置
102 水
104 貯水タンク
106 給水筒
108 整流部
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
413 中間槽
414 陽極酸化処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 陽極
422、428 パスローラ
424 ニップローラ
430 陰極
434 直流電源
436、438 給液ノズル
440 しゃへい板
442 排液口
Claims (2)
- 表面に平均粒子径50〜150μmのアルミナ粒子を吹き付けて凹凸を形成した転写ロールにより表面に凹凸を付与されたアルミニウム板に、電気化学的粗面化処理を施す工程と、その後、陽極酸化処理を施して平版印刷版用支持体を得る工程とを具備する、平版印刷版用支持体の製造方法であって、
前記アルミニウム板の前記表面の谷密度曲線のゼロ点と最小値との差が1.0〜6.0μmであり、
前記谷密度曲線の最大値と最小値との差が3〜5μmであり、
前記谷密度曲線における深さ1.5μm以上のピット密度が、300〜1000個/mm2であり、
前記谷密度曲線における最大ピット密度が、1500〜3000個/mm2であり、
前記谷密度曲線の基準面におけるピット密度が、1500〜2000個/mm2であり、
前記谷密度曲線の最小値が、ピット密度が100個/mm 2 以下となるピット深さの負の方の値であり、前記谷密度曲線の最大値が、ピット密度が100個/mm 2 以下となるピット深さの正の方の値である、平版印刷版用支持体の製造方法。 - 前記転写ロールの前記凹凸がエアーブラスト法により形成された凹凸である、請求項1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
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