JP4488579B2 - モノクローナル抗体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノクローナル抗体を製造する方法、特には細胞からの該モノクローナル抗体の分泌量を増大させる方法、並びに該方法により製造される細胞に関する。
【0002】
【従来の技術】
哺乳動物の生体は、生体の恒常的維持にとって有害であり種々の疾患の発症または増悪の原因(病原)となる種々の抗原(例えば、外来性抗原(ウイルス、細菌毒素及び化学物質等)あるいは自己抗原(例えば、自己反応性リンパ球;腫瘍細胞;過剰の生体内因子(サイトカイン、ホルモン若しくは成長因子等)など)を特異的に捕捉し生体から排除する防御システムである体液性免疫を有している。
この体液性免疫においては、いわゆる抗体(免疫グロブリンとも呼ばれる)が主役を演じている。
【0003】
抗体(免疫グロブリン)は、2本の長いポリペプチド鎖(免疫グロブリン重鎖;IgH鎖)と2本の短いポリペプチド鎖(免疫グロブリン軽鎖;IgL鎖)との4本ののポリペプチド鎖により構成されるY型の基本構造を有する。このY型構造は、ジスルフィド結合により架橋した2本のIgH鎖の各々にIgL鎖が1つずつジスルフィド結合により結合して構成される。
【0004】
この抗体の生体にとって有害な抗原(病因)の捕捉・排除という機能から、早くから抗体の医薬品として利用された。初期の抗体医薬は、いわゆる抗血清と呼ばれるものであり、特定の抗原(例えば、細菌毒素やヘビ毒など)に対する様々なタイプの抗体が混在する血清自体(即ちポリクローナル抗体)である。しかしながら、この抗血清の取得方法は、血清からの回収による方法に限られていることからその供給は必然的に限りがあった。また、様々なタイプの抗体が混在するこの抗血清から特定の抗原特異性を有する単一のタイプの抗体分子、即ちモノクローナル抗体を単離することにおいても多大な困難性を有していた。
【0005】
これらの問題は、1975年のケーラー及びミルシュタインらによるいわゆるハイブリドーマによるモノクローナル抗体の作製の成功(Nature, Vol.256, p.495-497,1975)により解決へと導かれた。
この方法は、即ち、抗原により免疫感作された非ヒト哺乳動物から採取した特定のタイプのモノクローナル抗体を産生する細胞(脾臓細胞等のB細胞)をミエローマ細胞と細胞融合させ不死化させることにより不死化B細胞(ハイブリドーマ)を得、該ハイブリドーマを培養することにより細胞培養液中から該モノクローナル抗体を精製、取得を可能にするものであった。この方法のみでは、所望のモノクローナル抗体の大量製造が必ずしも達成されないものの、所望のモノクローナル抗体を所望の折に取得できるという点では画期的技術であった。この技術により、モノクローナル抗体の抗体医薬としての利用への道が開かれた。
【0006】
モノクローナル抗体は、上述のような抗血清(ポリクロナール抗体)に比べ、その抗原特異性や安定性などにおいて特段に優れること、並びに疾患の発症あるいは増悪に関与する抗原(例えば、ウイルスや細菌毒素等の外来性抗原;サイトカイン、ホルモン若しくは成長因子等の種々の生体内因子;並びに受容体、細胞接着分子及びシグナル伝達分子などの細胞表面分子など)に特異的に結合することにより、該抗原の生物活性を調節(活性阻害、活性増強、シグナル伝達阻害、リガンドに代わるシグナル伝達、あるいは細胞間接着の阻害など)することができることから、これまでに種々の疾患の予防及び治療のための極めて有用な医薬品として用いられている。
【0007】
一方、上述のハイブリドーマによるモノクローナル抗体の産生量は、必ずしも高いものとは言えず、該ハイブリドーマを培養して、その細胞培養液中から該モノクローナル抗体を精製、単離する方法のみでは、該モノクローナル抗体の大量製造に困難性を伴うものであった。従って、医薬品として極めて有用なモノクローナル抗体を、十分に且つ安価に供給するために、ハイブリドーマからより多くの量のモノクローナル抗体を製造する方法が検討されている。
【0008】
例えば、ヒト抗体産生ハイブリドーマをインターロイキン−2を添加した培地で培養することにより抗体の産生量が増大する旨の報告がされている(Cellular immunology, Vol.115, p.325-333, 1988))。
また、遺伝子工学技術を用いた試みとして、オチ(Ochi)等らは、下記のような報告をしている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol.80, p.6351, 1983)。
ハプテン(TNP;2,4,6-trinitrophenyl)特異的なマウスIgMモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマSp6からクローニングした該抗TNPモノクローナル抗体のIgH鎖及びIgL(κ)鎖各々をコードするIgH鎖遺伝子(μ)とIgL鎖遺伝子(κ)を、該抗TNPモノクローナル抗体とは異なる未知の抗原に対するIgGモノクローナル抗体を産生するプラズマ細胞腫X63Ag8に導入して得た組換え細胞が、該IgG抗体とともに該抗TNP抗体を産生する。また、該ハイブリドーマSp6に由来する変異株であり、該TNP抗体の軽鎖であるκ鎖のみを分泌し重鎖を発現せず結果として該抗TNP抗体を分泌しない細胞株に、該抗TNP抗体の重鎖をコードするIgH遺伝子を導入して得た組換え細胞が、該抗TNP抗体を産生する。
しかしながら、このオチらの実験の結果では、上記各々の組換え細胞により産生される抗TNP抗体の量は、該ハイブリドーマSp6からサブクローニングされたハイブリドーマSp603が産生する抗TNP抗体の量の10乃至25%程度であり、目的のモノクローナル抗体の分泌量を上げることには失敗している。
【0009】
一般に、ハイブリドーマや抗体遺伝子を組み込んだ宿主細胞によりモノクローナル抗体を大量に生産させる手段として、培養液当たりの細胞数を増加させる方法と、細胞当たりの物質生産を向上させる方法が検討されている。
培養液当たりの細胞数を増加させることは好ましい方法であるが、細胞数の増加が必ずしも抗体の高生産につながるとは限らず、むしろ抗体生産性の高い単一の細胞株を選別、単離し、該単一の細胞株を培養することが重要である。この抗体生産性の高い細胞株(ハイブリドーマや組換え細胞など)の選別、単離には多大の労力を有すものの、所望のモノクローナル抗体の生産性を上げる目的においては、極めて重要なファクターである。
【0010】
一方、遺伝子組換え細胞を用いた所望の蛋白質の製造においては、該組換え細胞に導入された該所望の蛋白をコードする遺伝子の発現効率を高めるため、該組換え細胞に該所望の蛋白をコードする遺伝子とともにジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子やグルタミン酸合成酵素(GS)遺伝子を導入し、該所望の蛋白の遺伝子のコピー数を増幅することにより、該所望の蛋白の産生量を増大される方法が利用されている(国際特許出願公開WO81/02426号、及び同WO87/04462号など)。
DHFR遺伝子を例に挙げれば、これらの方法は、即ち、所望の蛋白をコードする遺伝子の近傍にDHFR遺伝子を挿入した発現ベクターを構築し、該発現ベクターで宿主細胞を形質転換した後、該宿主細胞を薬剤(例えば、メソトレキセイト(MTX)、ホスフィノトリシン、メチオニンスルホキシミン等)の存在下で培養して薬剤耐性株を選択する。
得られた薬剤耐性株では、導入されたdhfr遺伝子のコピー数が増大(遺伝子増幅)すると同時に、その近傍に隣接する遺伝子も遺伝子増幅される。所望の蛋白をコードする遺伝子のコピー数を増幅される結果、該所望の蛋白を産生量の増大が期待される。
【0011】
抗原により免疫感作させた哺乳動物から単離したモノクローナル抗体産生B細胞を不死化して得られる不死化B細胞(例えば、前述の該B細胞とミエローマ細胞との融合により得られるハイブリドーマ)においては、再配列された免疫グロブリン遺伝子(IgH遺伝子)及び再配列された免疫グロブリン軽鎖遺伝子(IgL遺伝子)はともにゲノム中に組み込まれている。
上述の遺伝子増幅遺伝子により該IgH遺伝子及びIgL遺伝子を増幅するためには、該各々の遺伝子のゲノム上における存在位置を同定し、且つ各々の遺伝子の近傍に該遺伝子増幅遺伝子を挿入する必要がある。
しかしながら、この方法は理論的には可能性を有するが、多大な時間と労力を有する上、該不死化B細胞のゲノム上の所望の位置に正確に該遺伝子増幅遺伝子をターゲティングすることは現実には不可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、より簡便な操作で確実に、抗体産生細胞、特に不死化B細胞(ハイブリドーマ)によるモノクローナル抗体の産生効率を増大させることを目的とする。即ち、これまで困難とされてきた該不死化B細胞(ハイブリドーマ)によるモノクローナル抗体発現効率を増大することができる新規な方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ハイブリドーマによるモノクローナル抗体生産においては、免疫グロブリン軽鎖遺伝子(IgL鎖遺伝子)の発現に比べ、免疫グロブリン重鎖遺伝子(IgH鎖遺伝子)の発現がしばしば不安定であり、場合によっては抗体分子の分泌が停止すること着目し、抗体分子の分泌量は、IgH鎖遺伝子の発現量に依存するものと発想した。
【0014】
本発明者らは、この発想に基づき、IgH鎖遺伝子の発現を改善(増強)することにより抗体分子の分泌量を増大させる方法に関しで鋭意研究を行った結果、特定のモノクローナル抗体を産生する不死化B細胞(ハイブリドーマ)に、該ハイブリドーマからクローニングした該モノクローナル抗体の重鎖ポリペプチドをコードする再配列された内在性IgH遺伝子と同一の塩基配列を有するIgHコーディングcDNAを導入して得た組換えハイブリドーマにおいては、該モノクローナル抗体の分泌量が有意に増大すること、また、該ハイブリドーマに該IgHコーディングcDNAとともにDHFR遺伝子などの遺伝子増幅遺伝子を導入することによっても、該モノクローナル抗体の産生量が増大することを見出し本発明を完成するに到った。
【0015】
本発明の方法を用いれば、モノクローナル抗体産生細胞による該モノクローナルの産生量を有意に増大することができる。即ち、本発明のモノクローナル抗体の製造方法並びに該方法により製造される細胞は、医薬品として有用なモノクローナル抗体の製造において極めて有用である。
即ち、本発明は下記のとおりの方法及び細胞である。
【0016】
(1) モノクローナル抗体の製造方法であって、下記工程:
(a)再配列された内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子及び再配列された内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子を有し、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン重鎖ポリペプチド及び該内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン軽鎖ポリペプチドとからなるモノクローナル抗体を分泌する細胞に、該免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子を含む外来性DNAを導入し、該外来性DNAにより形質転換された形質転換細胞を得る工程;及び
(b)該形質転換細胞を培養し、細胞培養液中に分泌された該モノクローナル抗体を取得する工程、
からなることを特徴とするモノクローナル抗体の製造方法。
(2) 該免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子と同一の塩基配列を有する遺伝子であることを特徴とする前記(1)に記載の製造方法。
(3) 該細胞が、哺乳動物のB細胞に由来する不死化B細胞であることを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載の製造方法。
(4) 該不死化B細胞が、該B細胞をミエローマ細胞または組換えミエローマ細胞と融合することにより得られる融合細胞であることを特徴とする前記(3)に記載の製造方法。
(5) 該哺乳動物が、非ヒト哺乳動物であることを特徴とする前記(3)または前記(4)に記載の製造方法。
(6) 該哺乳動物が、ヒトであることを特徴とする前記(3)または前記(4)に記載の製造方法。
(7) 該哺乳動物が、ヒト抗体を産生する能力を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物であることを特徴とする前記(3)または前記(4)に記載の製造方法。
(8) 該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子であることを特徴とする前記(1)乃至前記(4)、前記(6)または前記(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9) 該内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子が、ヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子であることを特徴とする前記(1)乃至前記(4)、前記(6)または前記(7)のいずれかに記載の製造方法。
(10) 該モノクローナル抗体が、非ヒト哺乳動物のモノクローナル抗体であることを特徴とする前記(1)乃至前記(5)のいずれかに記載の製造方法。
(11) 該モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体であることを特徴とする前記(1)乃至前記(4)、前記(6)または前記(7)のいずれかに記載の製造方法。
(12) 該外来性DNAが、さらに遺伝子増幅遺伝子を含むことを特徴とする前記(1)乃至前記(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13) 該遺伝子増幅遺伝子が、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子であることを特徴とする前記(12)に記載の製造方法。
(14) 前記(1)乃至前記(13)のいずれかの方法により製造される形質転換細胞。
【0017】
以下、本発明で用いる語句の意味及び本発明の具体的態様を明らかにすることにより本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明において「哺乳動物」とは、ヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター、モルモット、及びマウスなどの哺乳動物を意味し、さらに後述する「ヒト抗体を産生する能力を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物」も包含する。
本発明において「非ヒト哺乳動物」とは、ヒト以外の哺乳動物を意味し、具体的には、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ラット、ハムスター、モルモット、及びマウスなどの哺乳動物を意味し、さらに後述する「ヒト抗体を産生する能力を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物」も包含する。
【0019】
本発明において「抗原」とは、上記に哺乳動物の生体における免疫担当細胞が、非自己と認識する任意の物質を意味し、該生体にとって外来である外来性抗原及び該生体が自己抗体を産生し得る該生体の任意の内因性物質を包含する。
該外来性抗原としては、例えば、種々のウイルス、細菌、細菌毒素及び化学物質が挙げられ、また、該生体が、特定の哺乳動物である場合には、該生体と異なる個体あるいは異なる動物種に由来する任意の物質(例えば、組織、細胞、蛋白質、それらの断片、体液など)が包含される。
内因性物質としては、場合によっては該生体中で過剰に産生される種々のサイトカイン、成長因子、ホルモン、細胞表面分子(例えば、受容体、チャンネル分子、シグナル伝達分子など)、自己反応性リンパ球などが挙げられる。
【0020】
本発明において「モノクローナル抗体」とは、前述の抗原に反応性を有する任意のモノクローナル抗体である。
該「モノクローナル抗体」は、前記の抗原を、マウス、ラット、ハムスター、モルモットあるいはウサギ等の哺乳動物に免疫して得られる天然型抗体、後述する遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラモノクローナル抗体(キメラ抗体)及びヒト型モノクローナル抗体(ヒト型抗体;CDR-grafted抗体)、並びにヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造され得るヒトモノクローナル抗体(ヒト抗体)も包含する。
また、IgG(IgG1,IgG2,IgG3,IgG4)、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有するモノクローナル抗体をも包含する。好ましくは、IgG(IgG1,IgG2,IgG3,IgG4)またはIgMである。
【0021】
本発明における「モノクローナル抗体を分泌する細胞」とは、再配列(rearranged)された内在性(endogenous)免疫グロブリン重鎖遺伝子及び再配列された内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子を有し、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン重鎖ポリペプチド及び該内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン軽鎖ポリペプチドとからなるモノクローナル抗体を分泌する任意の細胞である。
好ましくは、下記に詳述される任意の「モノクローナル産生不死化B細胞」であり、より好ましくはモノクローナル抗体産生B細胞をミエローマ細胞などと細胞融合して得られるハイブリドーマである。
【0022】
本発明における「モノクローナル抗体産生不死化B細胞」とは、上述の哺乳動物の生体が抗原により免疫感作されることにより該生体中に生ずる該抗原に対するモノクローナル抗体を産生するB細胞、並びに該B細胞を所望の方法によって不死化することにより製造される不死化B細胞を意味する。
この「モノクローナル抗体産生B細胞」及び「モノクローナル抗体産生不死化B細胞」は、既存の一般的な製造方法によって製造することができる。
即ち、例えば、抗原を、必要に応じてフロイントアジュバント(Freund's Adjuvant)とともに、哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヤギ、ウマ、ウシあるいは後述のヒト抗体産生トランスジェニック非ヒト哺乳動物のような他の動物由来の抗体を産生するように作出されたトランスジェニック非ヒト哺乳動物に免疫する。
免疫は、該哺乳動物の皮下内、筋肉内、静脈内、フッドパッド内あるいは腹腔内に1乃至数回注射するかあるいは移植することにより免疫感作を施す。
通常、初回免疫から約1乃至14日毎に1乃至4回免疫を行って、さらに必要に応じ、モノクローナル抗体産生細胞の採取の前日または前々日にも免疫を行う。
【0023】
前述の如く免疫感作された哺乳動物から常法に従って、脾臓、リンパ節、骨髄あるいは扁桃等、好ましくは脾臓から、抗体産生細胞であるB細胞を回収する。
この抗体産生B細胞を、ケーラー及びミルシュタインらの方法(Nature, Vol.256, p.495-497, 1975)及びそれに準じる修飾方法に従って、好ましくはマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギまたはヒト等の哺乳動物、より好ましくはマウス、ラットまたはヒト由来の自己抗体産生能のないミエローマ細胞との細胞融合させて不死化してハイブリドーマとすることにより抗体産生不死化B細胞を得る。
細胞融合に用いられるミエローマ細胞としては、例えばマウス由来ミエローマP3/X63-AG8.653(653;ATCC No.CRL1580)、P3/NSI/1-Ag4-1(NS-1)、NSO、P3/X63-Ag8.U1(P3U1)、SP2/0-Ag14(Sp2/0、Sp2)、PAI、F0、BW5147、ラット由来ミエローマ210RCY3-Ag.2.3.、ヒト由来ミエローマU-266AR1、GM1500-6TG-A1-2、UC729-6、CEM-AGR、D1R11あるいはCEM-T15を使用することができる。
【0024】
上述のようにして作製されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ(モノクローナル抗体産生不死化B細胞)のスクリーニングは、ハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られたウェルの培養上清の前述のマウス免疫感作で用いた免疫抗原に対する反応性を、例えばRIAやELISA等の酵素免疫測定法によって測定することにより行なうことができる。
【0025】
本発明における「ヒト抗体」あるいは「ヒト免疫グロブリン」とは、前述した免疫グロブリンを構成するH鎖の可変領域(VH)及びH鎖の定常領域(CH)並びにL鎖の可変領域(VL)及びL鎖の定常領域(CL)を含む全ての領域がヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由来するイムノグロブリンである。換言すれば、H鎖がヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子に由来し、軽鎖がヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子に由来するものである抗体を意味する。
ヒト抗体は、常法に従って、例えば、少なくともヒトイムノグロブリン遺伝子をマウス等のヒト以外の哺乳動物の遺伝子座中に組込むことにより作製されたトランスジェニック動物を、抗原で免疫感作することにより、前述したモノクローナル抗体の作製法と同様にして製造することができる。
例えば、ヒト抗体を産生するトランスジェニックマウスは、既報(Nature Genetics, Vol.15, p.146-156, 1997; Nature Genetics, Vol.7, p.13-21, 1994; 表平4-504365号公報;国際出願公開WO94/25585号公報;日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、1995年;Nature, Vol.368, p.856-859, 1994; 及び特表平6-500233号公報)に記載の方法に従って作製することができる。
【0026】
本発明のモノクローナル抗体の製造方法は、下記工程(a)及び(b)の工程からなる。
(a)再配列された内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子及び再配列された内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子を有し、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン重鎖ポリペプチド及び該内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン軽鎖ポリペプチドとからなるモノクローナル抗体を分泌する細胞に、該免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子を含む外来性DNAを導入し、該外来性DNAにより形質転換された形質転換細胞を得る工程。
(b)該形質転換細胞を培養し、細胞培養液中に分泌された該モノクローナル抗体を取得する工程。
【0027】
ここで「免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子」とは、前述したモノクローナル抗体を産生する細胞(好ましくは、抗体産生B細胞、抗体産生不死化B細胞(ハイブリドーマなど))が有する内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子によりコードされる免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子(好ましくはcDNA)であり、該cDNAは、既知の細胞工学技術及び遺伝子組換え技術を用いて常法に従って下記のようにして調製することができる。
【0028】
(1)所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから、市販の試薬(例えば、FastTrack2.0kit(INVITROGEN製)など)を用いて常法に従ってPolyA+RNAの抽出、精製する。具体的には、例えば、下記のとおりである。
凍結して保存しておいたハイブリドーマを、細胞溶解緩衝液(Lysis Buffer)に溶解し、市販の細胞溶解試薬(例えば、POLYTRONなど)により細胞を破壊し、可溶化する。該可溶化物を適切な温度(例えば、約45℃)でインキュベーションした後、Oligo(dT) celluloseを加え適切な時間(例えば、約1時間)緩やかに振盪する。
次いで、Oligo(dT) celluloseを洗浄後、PolyA+RNA をEllution Bufferで溶出させる。溶出したPolyA+RNAをエタノール沈殿させ、適切量のTris-EDTA緩衝液に溶解する。得られたPolyA+RNAの濃度を、適切な波長(例えば、260nm)での吸光度を測定することにより決定する。
【0029】
(2)得られたPolyA+RNAを鋳型とし、市販の試薬(例えば、Marathon cDNA Amplification Kit(CLONTECH製)など)を用いてRACE-PCR法により常法によりcDNAを合成する(「遺伝子増幅PCR法・基礎と新しい展開」、1992年第2刷、共立出版株式会社発行、p.13-15)。具体的には下記のとおりである、
適切量の精製PolyA+RNA(例えば約1乃至5μg)を鋳型として、1st strand cDNA及び2nd strand cDNAを順次合成する。該cDNAを、フェノール/クロロホルム/イソアミノアルコール並びにクロロホルムを用いて抽出に供する。次いで、cDNAをエタノール沈殿させ、アダプターDNAに連結する。得られたDNA反応物を適切な濃度に希釈(例えば、1/250)したものを鋳型とし、該ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を基に設計したプライマー及び該アダプターDNAの塩基配列を基に設計したプライマーを用いて、常法によりPCRを行う。得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動で分画し、cDNAを回収する。
【0030】
(3)得られた該モノクローナル抗体の重鎖の全長あるいは一部のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を市販の試薬(例えば、Dye Terminator Cycle Sequence Kit(PE-Applied Biosystems製)、及びPRISM377 DNA Sequencer(PE-Applied Biosystems製))を用いて決定する。
(4)該モノクローナル抗体の重鎖の一部のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を基に、PCRにより該重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列の全長をコードするcDNAが可能なように一対のプライマーDNAを合成し、該一対のプライマーを用いて、前記の精製PolyA+RNAを鋳型として前記と同様にPCRを行し、該重鎖ポリペプチドの全長をコードするcDNAを得る。
【0031】
本発明のモノクローナル抗体の製造方法は、上記で詳述した「免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子」を、該免疫グロブリン重鎖ポリペプチドからなるモノクローナル抗体を分泌する細胞(好ましくは該遺伝子の調製においてソースとしたモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ自体、即ち、上述のモノクローナル抗体産生B細胞あるいは不死化B細胞と同義)に、常法に従って遺伝子工学技術を用いて導入し、該遺伝子により形質転換された形質転換細胞を選別、単離し、該形質転換細胞を培養することにより細胞培養液中から該モノクローナル抗体を精製、取得することからなる。
【0032】
該細胞への該遺伝子(例えば、cDNA)の導入は、該遺伝子を常法に従って該遺伝子が宿主細胞中で発現可能なようにプラスミドベクター組み込み発現ベクターを作製し、該発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより行う。
プラスミドにcDNAを組み込む方法としては、例えばManiatisらの方法(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory, p.1.53, 1989)に記載の方法などが挙げられる。
プラスミドを宿主に導入する方法としては、(Molecular Cloning, A Laboratory Manual, second edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Vol.1.74, 1989)に記載の塩化カルシウム法または塩化 カルシウム/塩化ルビジウム法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
【0033】
本発明で使用されるベクターとしては、宿主細胞(好ましくは真核細胞)内で複製保持または自己増殖できるものであれば特に制限されず、プラスミドベクターおよびファージベクターが包含される。
具体的には、プラスミドとしては例えば、pLS407、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13、pUC19、pSH19、pSH15、pUB110、pTP5、pC194、pcD2、pBSV、CMD、pSV2、さらにpMAL C2、pEF-BOS(ヌクレイックアシッドリサーチ(Nucleic Acid Research)、第18巻、第5322頁、1990年等)あるいはpME18S(実験医学別冊「遺伝子工学ハンドブック」、1992年等)等などが例示される。
また、ファージとしては、λファージなどのバクテリオファージが、さらにレトロウイルス、ワクシニヤウイルス、核多角体ウイルスなどの動物や昆虫のウイルス(pVL1393、インビトロゲン製)が例示される。
【0034】
宿主細胞として細菌、特に大腸菌を用いる場合、一般に発現ベクターは少なくともプロモーター−オペレーター領域、開始コドン、並びに上述の所望の免疫グロブリン重鎖(IgH鎖)をコードする遺伝子、終止コドン、ターミネーター領域および複製可能単位から構成される。
宿主として酵母、動物細胞または昆虫細胞を用いる場合、発現ベクターは少なくともプロモーター、開始コドン、上述の所望の免疫グロブリン重鎖(IgH鎖)をコードする遺伝子、終止コドンを含んでいることが好ましい。
またシグナルペプチドをコードするDNA、エンハンサー配列、上述の所望の免疫グロブリン重鎖(IgH鎖)をコードする遺伝子をコードする遺伝子の5’側および3’側の非翻訳領域、スプライシング接合部、ポリアデニレーション部位、選択マーカー領域または複製可能単位などを含んでいてもよい。
さらに、目的に応じて通常用いられる遺伝子増幅遺伝子を含んでいてもよい。
【0035】
哺乳動物細胞等の真核細胞で上述の所望の免疫グロブリン重鎖(IgH鎖)をコードする遺伝子を発現させるためのプロモーターとしては、例えば、ニワトリ由来のβアクチンプロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒートショックプロモーターなどが挙げられる。好ましくは、ニワトリ由来のβアクチンプロモーター、SV40由来のプロモーター、SV40、レトロウイルスのプロモーターである。しかしながら、特にこれらに限定されるものではない。
また、発現にはエンハンサーの利用も効果的な方法であり、好ましいエンハンサーとしてはCMVエンハンサーが挙げられる。
細菌中で上述の所望の免疫グロブリン重鎖(IgH鎖)をコードする遺伝子を発現させるためのプロモーター−オペレータ−領域は、プロモーター、オペレーター及びShine-Dalgarno(SD) 配列(例えば、AAGGなど)を含むものである。例えば宿主がエシェリキア属菌の場合、好適にはTrpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーター、tacプロモーターなどを含むものが例示される。
酵母中で上述の所望の免疫グロブリン重鎖(IgH鎖)をコードする遺伝子を発現させるためのプロモーターとしては、PH05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターが挙げられ、宿主がバチルス属菌の場合は、SL01プロモーター、SP02プロモーター、penPプロモーターなどが挙げられる。
【0036】
好適な開始コドンとしては、メチオニンコドン(ATG)が例示される。
終止コドンとしては、常用の終止コドン(例えば、TAG、TGA、TAA)が例示される。ターミネーター領域としては、通常用いられる天然または合成のターミネーターを用いることができる。
【0037】
複製可能単位とは、宿主細胞中でその全DNA配列を複製することができる能力をもつDNAを言い、天然のプラスミド、人工的に修飾されたプラスミド(天然のプラスミドから調製されたDNAフラグメント)および合成プラスミド等が含まれる。好適なプラスミドとしては、E. coli ではプラスミドpBR322、もしくはその人工的修飾物(pBR322を適当な制限酵素で処理して得られるDNAフラグメント)が、酵母では酵母2μプラスミド、もしくは酵母染色体DNAが、また哺乳動物細胞ではプラスミドpRSVneo ATCC 37198、プラスミドpSV2dhfr ATCC 37145、プラスミドpdBPV-MMTneo ATCC 37224、プラスミドpSV2neo ATCC 37149等があげられる。
【0038】
エンハンサー配列、ポリアデニレーション部位およびスプライシング接合部位については、例えばそれぞれSV40に由来するもの等、当業者において通常使用されるものを用いることができる。
上述の発現ベクターの作製は、上述のプロモーター、開始コドン、上述のIgH鎖をコードする遺伝子及び/またはターミネーター領域などを連続的かつ環状に適当な複製可能単位に連結することによって調製することができる。またこの際、所望により制限酵素での消化やT4 DNAリガーゼを用いるライゲーション等の常法により適当なDNAフラグメント(例えば、リンカー、他の制限酵素切断部位など)を用いることができる。
【0039】
上述の発現ベクターで形質転換された宿主細胞、即ち形質転換細胞の選別は、該発現ベクターに所望の選択マーカー(例えば、薬剤耐性遺伝子など)を挿入しておき、該形質転換細胞を、該薬剤の存在下で培養することにより可能である。
選択マーカーとしては、通常使用されるものを常法により用いることができる。例えばテトラサイクリン、アンピシリン、またはカナマイシン等の抗生物質耐性遺伝子等が例示される。
【0040】
上述の本発明のモノクローナル抗体の製造方法には、上記発現ベクターに挿入された上述した所望のモノクローナル抗体の重鎖ポリペプチドをコードする遺伝子とともに、遺伝子増幅遺伝子を挿入しておくことにより、該重鎖ポリペプチドをコードする遺伝子のコピー数を増幅させることにより、該形質転換細胞による所望のモノクローナル抗体の産生効率をさらに増大させる態様も本発明の態様として包含する。
【0041】
本発明において使用され得る遺伝子増幅遺伝子としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、グルタミン酸合成酵素(GS)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ遺伝子、オルニチンデカルボキシラーゼ遺伝子、ヒグロマイシン−B−ホスホトランスフェラーゼ遺伝子、アスパルラートトランスカルバミラーゼ遺伝子等を例示することができる。好ましくは、DHFR遺伝子またはGS遺伝子である。
【0042】
本発明のモノクローナル抗体の製造方法において、上記で詳述した「免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子」により形質転換される細胞(宿主細胞)は、即ち、「該免疫グロブリン重鎖ポリペプチドからなるモノクローナル抗体を分泌する細胞」であれば、いかなる細胞でも良いが、特に好ましくは該遺伝子の調製においてソースとしたモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ自体(即ち、上述のモノクローナル抗体産生B細胞あるいは不死化B細胞と同義)である。
【0043】
当該ハイブリドーマ以外の宿主細胞の例としては、当該所望のモノクローナル抗体を産生する限り、天然細胞あるいは人工的に樹立された組換細胞など種々の細胞(例えば、細菌(エシェリキア属菌、バチルス属菌)、酵母(サッカロマイセス属、ピキア属など)、動物細胞または昆虫細胞などのいずれをも包含する。
当該所望のモノクローナル抗体を産生する細胞であれば、当該細胞の起源が、例えば、大腸菌(DH5α、TB1、HB101等)、マウス由来細胞(COP、L、C127、Sp2/0、NS-1またはNIH3T3等)、ラット由来細胞(PC12,PC12h)、ハムスター由来細胞(BHK及びCHO等)、サル由来細胞(COS1、COS3、COS7、CV1及びVelo等)およびヒト由来細胞(Hela、2倍体線維芽細胞に由来する細胞、ミエローマ細胞およびHepG2等)などのいずれであっても良い。
【0044】
上述した該所望の免疫グロブリンの重鎖をコードする遺伝子が挿入された発現ベクターの宿主細胞への導入(形質転換(形質移入))は従来公知の方法を用いて行うことができる。
例えば、動物細胞の場合は、例えばGrahamの方法(Virology, Vol.52, p.456, 1973)に従って、細菌(E.coli、Bacillus subtilis 等)の場合は、例えばCohenらの方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.69, p.2110, 1972)、プロトプラスト法(Mol. Gen. Genet., Vol.168, p.111, 1979)やコンピテント法(J. Mol. Biol., Vol.56, p.209, 1971)によって、Saccharomyces cerevisiaeの場合は、例えばHinnenらの方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA., Vol.75, p.1927, 1978)やリチウム法(J. Bacteriol., Vol.153, p.163, 1983)によって、昆虫細胞の場合は、例えばSummersらの方法(Mol. Cell. Biol., Vol.3, p.2156-2165, 1983)によってそれぞれ形質転換することができる。
【0045】
上述した本発明のモノクローナル抗体の製造方法における「形質転換細胞」であって、上述の所望の免疫グロブリンの重鎖をコードする遺伝子で形質転換された形質転換細胞の培養は常法によって下記のように行うことができる。当該培養により、細胞培養液中から所望モノクローナル抗体を得ることができる。
【0046】
該所望の免疫グロブリンの重鎖をコードする遺伝子で形質転換される細胞が、該遺伝子の調製においてソースとしたモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ自体(上述のモノクローナル抗体産生B細胞あるいは不死化B細胞と同義)であり、即ち、得られる形質転換細胞が、組換えハイブリドーマである場合には、通常のハイブリドーマの一般的な培養方法と同様にして行うことができる。
【0047】
具体的には、該組換えハイブリドーマを、インビトロ、またはマウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギ等、好ましくはマウスまたはラット、より好ましくはマウスの腹水中等でのインビボで行い、得られた培養上清、または哺乳動物の腹水から単離することにより行うことができる。
インビトロで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存させ、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられるような既知栄養培地あるいは既知の基本培地から誘導調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。
【0048】
基本培地としては、例えば、Ham'F12培地、MCDB153培地あるいは低カルシウムMEM培地等の低カルシウム培地及びMCDB104培地、MEM培地、D-MEM培地、RPMI1640培地、ASF104培地あるいはRD培地等の高カルシウム培地等が挙げられ、該基本培地は、目的に応じて、例えば血清、ホルモン、サイトカイン及び/または種々無機あるいは有機物質等を含有することができる。
【0049】
該組換えハイブリドーマからのモノクローナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あるいは腹水を、飽和硫酸アンモニウム、ユーグロブリン沈澱法、カプロイン酸法、カプリル酸法、イオン交換クロマトグラフィー(DEAEまたはDE52等)、抗イムノグロブリンカラムあるいはプロテインAカラム等のアフィニティカラムクロマトグラフィーに供すること等により行うことができる。
【0050】
一方、該所望の免疫グロブリンの重鎖をコードする遺伝子で形質転換される細胞が、上述した組換え蛋白の製造において一般的に使用される例えば、CHO細胞などの宿主細胞である場合には、組換え蛋白の製造における一般的な培養方法と同様にして行うことができる。
【0051】
即ち、該形質転換細胞を栄養培地で培養することによって製造することができる。
栄養培地は、宿主細胞(形質転換体)の生育に必要な炭素源、無機窒素源もしくは有機窒素源を含でいることが好ましい。炭素源としては、例えばグルコース、デキストラン、可溶性デンプン、ショ糖などが、無機窒素源もしくは有機窒素源としては、例えばアンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などが例示される。また所望により他の栄養素(例えば、無機塩(例えば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウム)、ビタミン類、抗生物質(例えばテトラサイクリン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン等)など)を含んでいてもよい。
培養は当業界において知られている方法により行われる。培養条件、例えば温度、培地のpHおよび培養時間は、該形質転換細胞から本発明の所望のモノクローナル抗体が大量に生産されるように適宜選択される。
【0052】
なお、下記に宿主細胞に応じて用いられる具体的な培地および培養条件を例示するが、何らこれらに限定されるものではない。
宿主が細菌、放線菌、酵母、糸状菌である場合、例えば上記栄養源を含有する液体培地が適当である。好ましくは、pHが5〜8である培地である。
宿主がE. coliの場合、好ましい培地としてLB培地、M9培地(Millerら、 Exp. Mol. Genet、Cold Spring Harbor Laboratory, p.431, 1972)等が例示される。かかる場合、培養は、必要により通気、撹拌しながら、通常14〜43℃、約3〜24時間行うことができる。
宿主がBacillus属菌の場合、必要により通気、撹拌をしながら、通常30〜40℃、約16〜96時間行うことができる。
【0053】
宿主が酵母である場合、培地として、例えばBurkholder最小培(Bostian, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.77, p.4505, 1980)が挙げられ、pHは5〜8であることが望ましい。培養は通常約20〜35℃で約14〜144時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。
宿主が動物細胞の場合、培地として例えば約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地(Science, Vol.122, p.501, 1952)、 DMEM培地(Virology, Vol.8, p.396, 1959)、RPMI1640培地(J. Am. Med. Assoc., Vol.199, p.519, 1967)、199培地(proc. Soc. Exp. Biol. Med., Vol.73, p.1, 1950)等を用いることができる。培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は通常約30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。
宿主が昆虫細胞の場合、例えば胎児牛血清を含むGrace's 培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.82, p.8404, 1985)等が挙げられ、そのpHは約5〜8であるのが好ましい。培養は通常約20〜40℃で15〜100時間行なわれ、必要により通気や撹拌を行うこともできる。
本発明における所望のモノクローナル抗体は、そのようにして培養された形質転換細胞の培養上清中から上述したモノクローナル抗体の一般的な精製方法により得ることができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を以って本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が該実施例に記載される態様のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0055】
実施例1 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの調製
既報に記載されるヒトIL-8に対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを以下の試験において用いた(Nature genetics Vol.15, p.146-156, 1997、及び国際特許出願公開WO96/33735号公報)。
なお、該ハイブリドーマは、下記のように製造された。
マウスの重鎖及び軽鎖の各々の内在性遺伝子座を不活性化し、且つヒト免疫グロブリンの重鎖(Cμ及びCγ2)及び軽鎖(κ)の各々遺伝子座を含むDNAをマウスの内在性ゲノムに組み込むことにより作製したヒトIgG2/κモノクローナル抗体を産生する既報のトランスジェニックマウスを被免疫動物として用いた(Nature Genetics, Vol.15, p.146-156, 1997; Nature Genetics, Vol.7, p.13-21, 1994; 表平4-504365号公報;国際出願公開WO94/25585号公報;日経サイエンス、6月号、第40〜第50頁、1995年;Nature, Vol.368, p.856-859, 1994; 及び特表平6-500233号公報)。
【0056】
該ヒトIgG2/κ抗体産生トランスジェニックマウス(8乃至10週齢)に、組換えヒトIL-8(25μg)を完全フロインドアジュバントとともに腹腔内投与して初回免疫した。初回免疫から2週間毎に、該IL-8を不完全フロインドアジュバントとともに追加免疫(3回)し、以下の細胞融合の4日前に最終免疫した。
最終免疫の後、該被免疫マウスの脾臓及びリンパ節を採取してリンパ球(抗体産生Bリンパ球を含む)を回収した。該抗体産生リンパ球を、常法に従って、いずれの自己抗体をも産生しないマウスミエローマ細胞(NSO-bsl2細胞株)と細胞融合した。細胞融合により得られるハイブリドーマを常法に従ってHAT選択法により選別した。
得られたハイブリドーマが産生するヒトモノクローナル抗体のヒトIL-8に対する反応性の有無を、常法に従ってELISAにより測定し、抗ヒトIL-8ヒトモノクローナル抗体を産生する複数のハイブリドーマを得た。各々のハイブリドーマは凍結保存された。
【0057】
実施例2 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマからの内在性IgH遺伝子の単離
上記のようにして調製した抗ヒトIL-8ヒトIgG2/κモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ(クローン:K2.2.1)の凍結細胞を、細胞溶解緩衝液(Lysis Buffer)に溶解し、POLYTRONにより細胞を破壊し、可溶化させた。
次いで、該細胞可溶化物から、市販のRNA抽出キット(FastTrack2.0kit(INVITROGEN製))を用いてPolyA+RNAを抽出、精製した。
該細胞可溶化物を45℃でインキュベーションした後、Oligo(dT) celluloseを加え約1時間緩やかに振盪した。次いで、Oligo(dT) celluloseを洗浄後、PolyA+RNA をEllution Bufferで溶出させた。溶出したPolyA+RNAをエタノール沈殿させ、Tris-EDTA緩衝液に溶解した。得られたPolyA+RNAの濃度を、260nmの波長での吸光度を測定することにより決定した。
【0058】
得られたPolyA+RNAを鋳型とし、市販のMarathon cDNA Amplification Kit(CLONTECH製)を用いたRACE-PCR法により常法によりcDNAを合成した(「遺伝子増幅PCR法・基礎と新しい展開」、1992年第2刷、共立出版株式会社発行、p.13-15)。即ち、該ハイブリドーマから精製したPolyA+RNA(1乃至5μg)を鋳型として、1st strand cDNA及び2nd strand cDNAを順次合成した。該cDNAを、フェノール/クロロホルム/イソアミノアルコール並びにクロロホルムを用いて各々1回ずつ抽出に供した。次いで、cDNAをエタノール沈殿させ、該キットに付属のアダプターDNAに連結させた。
得られたDNA反応物の希釈物を鋳型とし、合成プライマーを用いて常法により5'RACE-PCRを行い内在性免疫グロブリン重鎖ポリペプチドの一部をコードするcDNAを調製した。該PCRには免疫グロブリン重鎖定常領域のアミノ酸配列をコードする塩基配列を基に設計したプライマーHG2-3-437(配列番号3)及び該アダプターDNAの塩基配列を基に設計したプライマーを用いた。
【0059】
PCR産物をアガロースゲル電気泳動で分画し、DNAを回収した。得られたcDNAの塩基配列の決定を、市販のDyeTerminator Cycle Sequencing FS Kit(PE-Applied Biosystems製)及びPRISM377 DNA Sequencer(PE-Applied Biosystems製)を用いて行った。なお、本配列決定のためのSequencing Primerは、前述のPCRにおいて使用したプライマーを使用した。
決定した該免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドの一部をコードするcDNAの塩基配列(翻訳開始点の付近の塩基配列を含む)を基に、一対のプライマーVH4-21(配列番号4)及びCG2-1(配列番号5)を合成した。この一対のプライマーを用いて、上述と同様にしてさらにPCRを行った。得られたPCR産物から上述と同様にして得たcDNAの塩基配列を上述と同様にして決定し、該ハイブリドーマK2.2.1が産生する抗ヒトIL-8ヒトモノクローナル抗体の重鎖ポリペプチド(IgH)の全長をコードするcDNAを得た(塩基配列:配列番号1、及びアミノ酸配列配列番号2)。
【0060】
実施例3 ハイブリドーマK2.2.1へのIgH cDNAの導入、及び組換えハイブリドーマによるモノクローナル抗体の製造
前記で得たハイブリドーマK2.2.1が分泌する抗ヒトIL-8ヒトモノクローナル抗体の重鎖ポリペプチド(IgH)の全長をコードするcDNA(配列番号1)を、常法に従ってDNAリガーゼを用いて、CMVエンハンサー/ニワトリBアクチンプロモーター及びDHFR遺伝子を保持するプラスミドpLS407のEcoRI制限酵素部位に挿入、連結し、発現ベクターpDH502を作製した(図1)。
該DHFR遺伝子は、マーカー遺伝子であると同時に遺伝子増幅遺伝子であり、該遺伝子の存在により該発現ベクターによる形質転換細胞の選別は、該細胞をメソトレキセイト(MTX)存在下で培養することにより可能となる。
該IgH遺伝子発現ベクターpDH502を、エレクトロポレーションによりハイブリドーマK2.2.1に導入した。次いで、該ハイブリドーマを、選択培地(IMDM (JRH BIOSCUENCE);10%FBS及び300mM MTXを含有)中で培養し、生育した約100個の形質転換体(組換えハイブリドーマ)を選別、取得した。該選別した各々の組換えハイブリドーマを、96ウェルマイクロプレート中で培養した。
【0061】
各ウェル中で培養されている各々の形質転換体(組換えハイブリドーマ)の培養上清中に産生されるヒトモノクローナル抗体(IgG2)の量を常法に従って、サンドイッチELISAにより測定した。なお、固相抗体(一次抗体)として抗ヒトIgG(Fc)(Organon Teknika製)を、検出抗体(二次抗体)として西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した抗ヒトIgκ抗体(PROTOS IMMUNORESEARCH製)を用いた。また、対照標準品としてヒトIgG/κ(The Binding Site)を用いた。
結果を図2に示す。
その結果、親株ハイブリドーマであるK2.2.1のほとんどのクローンのモノクローナル抗体の産生量が極めて低い値であるのに対し、組換えハイブリドーマのほとんどのクローンにおいて、有意なモノクローナル抗体の産生量の増大が認められた。
また、該組換えハイブリドーマのいくつかのクローンのモノクローナル抗体の産生量を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004488579
【0063】
次に、組換えハイブリドーマクローンの中で、特に高濃度のモノクローナル抗体の産生を示したクローン(クローンNo.12、15、41、89)を、限界希釈法によりサブクローニングしてサブクローンド(sub-cloned)組換えハイブリドーマを得た(クローンNo.12-6、15-4、15-12、41-2、及び89-5)。各々のsub-cloned組換えハイブリドーマのモノクローナル抗体の産生量を、上述と同様のELISAにより測定した。結果を表2(上段)に示す。
【0064】
【表2】
Figure 0004488579
【0065】
その結果、各々のsub-cloned組換えハイブリドーマのモノクローナル抗体の産生量は、親組換えハイブリドーマのそれに比べ有意に高い値であった。例えば、親組換えハイブリドーマ(No.15)の抗体産生量は、約37.3μg/mlであったのに対し、該親株からサブクローニングした組換えハイブリドーマ(No.15-4)の抗体産生量は、約95.3μg/mlに増大した。
【0066】
実施例4 遺伝子増幅を施した組換えハイブリドーマからのモノクローナル抗体の製造
DHFR遺伝子によるIgH遺伝子の増幅のモノクローナル抗体の産生効率上昇に対する効果の有無を検討した。
前記で作製したsub-cloned組換えハイブリドーマ(クローンNo.12-6、15-4、15-12、41-2、及び89-5)の各々を、1、2または5μMのメトトレキセート(MTX)を含む栄養培地中でさらに培養してMTX耐性細胞株を選択、取得した。
各々のsub-cloned組換えハイブリドーマから、下記MTX耐性細胞株を取得した。
<クローンNo.12-6> クローンNo.12-5μ-96-8
<クローンNo.15-4> クローンNo.15-1μ-82-1
<クローンNo.15-12> クローンNo.15-1μ-87-4
<クローンNo.41-2> クローンNo.41-2μ-75-4
<クローンNo.89-5> クローンNo.89-2μ-2-5、及び89-2μ-33-12
各々のMTX耐性組換えハイブリドーマクローンのモノクローナル抗体の産生量を、前記と同様のサンドイッチELISAにより測定した。結果を前記表2(下段)に示した。
その結果、MTX選択した各々の組換えハイブリドーマの1細胞数当りのモノクローナル抗体の産生効率は、MTX選択する前(DHFRによる遺伝子増幅前)のそれに比べ低いものの、IgH遺伝子で形質転換する前の野生型親ハイブリドーマK2.2.1のモノクローナル抗体の産生量が極めて低い(図2)ことを考慮すると、該MTX選択した組換えハイブリドーマのモノクローナル抗体の産生効率は、該野生型親ハイブリドーマのそれに比べ有意に増大していた。
【0067】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法を用いれば、医薬品として有用なモノクローナル抗体の製造において、モノクローナル抗体産生細胞によるモノクローナル抗体の産生量を簡便に有意に増大させることが可能となる。
特に、モノクローナル抗体の製造において一般的に用いられるモノクローナル抗体産生不死化B細胞(ハイブリドーマ)のモノクローナル抗体の産生効率が、内在性IgH遺伝子の発現の不安定さまたは低発現性に依存して低い場合には、本発明の方法を用いることにより該親ハイブリドーマのモノクローナル抗体の分泌量を有意に増大させることが可能である。
従って、本発明のモノクローナル抗体の製造方法及び該方法により得られるモノクローナル抗体産生形質転換細胞(組換え細胞)は、抗体医薬品の製造において極めて有用な手段である。
【0068】
【配列表】
Figure 0004488579
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Figure 0004488579
Figure 0004488579
Figure 0004488579
【0069】
「配列表フリーテキスト」
配列番号:3
他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成したプライマー配列HG2-3-437。
配列番号:4
他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成したプライマー配列VH4-21。
配列番号:5
他の情報:人工配列についての記載:人工的に合成したプライマー配列CG2-1。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】発現ベクターpDH502の構造及び制限酵素地図を模式的に示す図。
【図2】組換えハイブリドーマによる抗ヒトIL-8モノクローナル抗体の産生量を示す図。縦軸は、モノクローナル抗体の産生量を示し、横軸はマイクロプレート中の各ウェルの各組換えハイブリドーマクローンの種類を示す。

Claims (14)

  1. モノクローナル抗体の製造方法であって、下記工程:
    (a)再配列された内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子及び再配列された内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子を有し、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン重鎖ポリペプチド及び該内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子に由来する免疫グロブリン軽鎖ポリペプチドとからなるモノクローナル抗体を分泌する細胞に、該免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子を含む外来性DNAを導入し、該外来性DNAにより形質転換された形質転換細胞を得る工程;及び
    (b)該形質転換細胞を培養し、細胞培養液中に分泌された該モノクローナル抗体を取得する工程、
    からなることを特徴とするモノクローナル抗体の製造方法。
  2. 該免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする遺伝子が、該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子と同一の塩基配列を有する遺伝子であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 該細胞が、哺乳動物のB細胞に由来する不死化B細胞であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. 該不死化B細胞が、該B細胞をミエローマ細胞または組換えミエローマ細胞と融合することにより得られる融合細胞であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 該哺乳動物が、非ヒト哺乳動物であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の製造方法。
  6. 該哺乳動物が、ヒトであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の製造方法。
  7. 該哺乳動物が、ヒト抗体を産生する能力を有するトランスジェニック非ヒト哺乳動物であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の製造方法。
  8. 該内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子が、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子であることを特徴とする請求項1乃至請求項4、請求項6または請求項7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 該内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子が、ヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子であることを特徴とする請求項1乃至請求項4、請求項6または請求項7のいずれかに記載の製造方法。
  10. 該モノクローナル抗体が、非ヒト哺乳動物のモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の製造方法。
  11. 該モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1乃至請求項4、請求項6または請求項7のいずれかに記載の製造方法。
  12. 該外来性DNAが、さらに遺伝子増幅遺伝子を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 該遺伝子増幅遺伝子が、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子であることを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれかの方法により製造される形質転換細胞。
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