JP4454790B2 - 車両用サンバイザーの軸受ホルダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等に乗員遮光用として装備されているサンバイザーを支持する軸受ホルダーに係り、詳しくはルーフパネルに対する軸受ホルダーの脱着技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、乗員遮光用として備えられている自動車用サンバイザーは、車内天井の前端部に配置され、フロントウインドウガラスに対応する乗員の前方位置と、フロントドアガラスに対応する側方位置との間で水平方向に回動変位することが可能で、また、天井面に沿う格納位置と、下方へ引き下げられる使用位置との間で上下方向に回動変位することが可能に支持されている。また、車内天井には、サンバイザーが乗員の前方位置へ変位されたとき、該サンバイザーの軸部を回動可能にかつ係脱可能に支持するための軸受ホルダーが装着されている。
そして、従来の軸受ホルダーは、一般的には鉄板製のルーフパネルに対してねじ止め又はホルダーベースに備えた係止爪(クリップ)によって取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、ねじ止めによる取付構造の場合は、その着脱には工具を必要とするものであり、手間が掛かるという点に問題がある。一方、係止爪を用いる取付構造の場合は、取付孔への挿入時における弾性を利用した、いわゆるスナップ作用により孔縁に係止する形式のため、係止爪を取付孔に押し込むだけで容易に取り付けることができるという長所を有するが、係止爪はルーフパネルの裏面側の孔縁に係止される構造であることから、この係止爪の係止を室内側から解除して取り外すことは頗る面倒であるという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、室内側から工具を用いることなくルーフパネルに対して容易に着脱することが可能な着脱性の高い車両用サンバイザーの軸受ホルダーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明に係る車両用サンバイザーの軸受ホルダーは、特許請求の範囲の各請求項に記載の通りの構成を備えた。
従って、請求項1に記載の発明によれば、ルーフパネルの取付孔への挿入方向を軸線として、該軸線に交差する方向に弾性変形による収縮又は拡開可能に設けられるとともに前記取付孔への挿入時に該取付孔の孔縁に抜け止め状態で係止可能な係止部を備えたので、該係止部をルーフパネルの取付孔内に押し込むことによって軸受ホルダーをルーフパネルに容易に取り付けることができる。
一方、軸受ホルダーをルーフパネルから取り外す場合には、係止部に連続する形で軸受部側に設けた操作部材を操作して係止部を収縮方向へ弾性変形することによって孔縁に対する係止部の係止を解除することができる。
すなわち、本発明によれば、ルーフパネルに対する軸受ホルダーの着脱作業を室内側から工具を用いることなく容易に行うことができる。
この場合、操作部材を軸受部によって構成したときは、構造の簡素化を図る上で有効となる。
【0006】
また、請求項2に記載の発明によれば、軸受部及び係止部をそれぞれ軸線方向に沿って2分割された分割片によって構成したことによって、シンプルな構造でありながら、ルーフパネルに対する着脱を容易に行うことが可能な車両用サンバイザーの軸受ホルダーを提供することができる。
【0007】
また、請求項3に記載の発明によれば、サンバイザーの軸部を支持した状態では、操作部材による係止部の係止解除操作を不能としたことによって、通常状態では操作部材による係止解除操作を規制してルーフパネルに対する軸受ホルダーの不測の抜け脱を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は車室天井面に取り付けられた自動車用サンバイザーを示す概略斜視図である。図示のように、サンバイザー1は車室天井の前端部に取り付けられる取付ブラケット2のアーム3によって支持されている。アーム3は縦軸部が取付ブラケット2に垂直軸線回りに回動可能に支持され、横軸部がサンバイザー1の右隅部又は左隅部に回動可能に支持されている。
従って、サンバイザー1はフロントウインドウガラスに対応する乗員の前方位置と、フロントドアガラスに対応する側方位置(仮想線位置)との間で水平方向に回動変位することができ、また、天井面に沿う格納位置(仮想線位置)と、下方へ引き下げられる使用位置(実線位置)との間で上下方向に回動変位することができる。
【0009】
前方位置へ回動変位されたサンバイザー1は、アーム3の横軸部の延長軸線上に設定された軸部1aを軸受ホルダー10によって回動可能に支持される。すなわち、軸受ホルダー10は、乗員の前方位置へ変位されたサンバイザー1を支持するものであって、サンバイザー1の軸部1aを係脱可能に支持する略フック状の軸ホルダー部23(図6参照)を有する軸受部20と、車室天井面に対する装着用としての係止部30とから構成されている。
【0010】
図2〜図5はそれぞれ軸受ホルダーの斜視図であり、図6は軸受ホルダーのルーフパネルへの取付態様を示す説明図、図7は軸受ホルダーのルーフパネルからの取り外し態様を示す説明図である。
軸受ホルダー10は、図6及び図7に示すルーフパネル40の取付孔41に対する挿入方向(上下方向)を縦軸線として、該縦軸線の下部側(基部側)には軸受部20を備え、上部側(先端側)には係止部30を備えた合成樹脂製の一体成型品であって、軸受部20及び係止部30がそれぞれ前記縦軸線(挿入方向に関する1つの垂直面)を挟んで前後(ルーフパネル40への装着状態で)に2分割構造とされており、図2及び図3には成形後の展開状態が示されている。
【0011】
軸受ホルダー10の分割された前後2つの部材は、係止部30の上端において弾性変形可能な薄肉部(以下、インテグラルヒンジという)11によって相互に連結されており、使用形態では図4及び図5に示すように、インテグラルヒンジ11を支点にして回動され、所定間隔を置いて対向される。このように、本実施の形態に係る軸受ホルダー10は、前後に2分割されるとともにインテグラルヒンジ11を介して連結された構造である。
【0012】
そして、図6及び図7に示すように、係止部30は所定間隔を置いて対向するプレート状の前後の分割片31,32からなり、両分割片31,32はインテグラルヒンジ11による連結点を頂点とする略アーチ状に形成されている。なお、係止部30における前後の分割片31,32には、インテグラルヒンジ11による連結部の真下に互いに当接する平面12が形成され、この平面12の突き合わせによって分割片31,32の狭まる方向の対向間隔を規制している。
【0013】
また、係止部30における前後の分割片31,32の外面側には、横方向に略山形状に突出する係止爪31a,32aが形成されている。前側の係止爪31aは分割片31に一体に形成されている。一方、後側の係止爪32aは、分割片32に形成された略U字状の切り込み33によって取り囲まれる形で設けられており、このことにより分割片31に対して弾性変形可能とされている。また、両係止爪31a,32aの頂点間の間隔がルーフパネル40の取付孔41の孔幅よりもやや大きく設定されている。
従って、係止部30が取付孔41に挿入された場合 、両係止爪31a,32aの上側斜面31b,32bが取付孔41の孔縁に当接して通過する際、後側の弾性変形することで両係止爪31a,32aの間隔が収縮され、通過後は、弾性復帰することで拡開され、下側斜面31c,32cが孔縁に係止されるようになっている。
【0014】
一方、軸受部20は係止部30の分割片31,32に連続した形で下方に延出する前後の分割片21,22によって構成される。
前側の分割片21は、略プレート状に形成されるとともに、車両後方から進入する前記サンバイザー1の軸部1aを受け得るように、その下端部が後側の分割片22の下端部よりも下方へ略フック状に延長されている。そして、その延長部21aの先端部21bと、付根側の内面に設けた内面突部21cと、後側の分割片22の下端縁22aとによって軸ホルダー部23が構成され、この軸ホルダー部23によって車両後方から進入する軸部1aを受け入れてこれを抱え込む如く3点で係脱可能に支持する(図7参照)。
【0015】
後側の分割片22は、図3に示すように、前方向に延びる補強用の左右の側壁22bを有しており、全体として平面視で略コ字形に形成されている。そして、このコ字形部分に図5に示す如く前側の分割片21が嵌り込む如く位置している。このため、コ字形に形成された後側の分割片32,22は、前後方向の剛性が高いものとなっているが、係止部30側をも含めて全長に亘って略プレート状に形成される前側の分割片31,21は、後ろ向きに外力が加えられたとき、平面12の突き合わせ部付近を起点として弾性変形が可能とされている。
【0016】
また、軸受部20における前後の両分割片21,22には、ルーフパネル40への取付時において、該ルーフパネル40の室内面側に配置されるルーフライニング50の下面側(室内面側)に当接するフランジ部24,25が設けられている。このフランジ部24,25は、ルーフパネル40の取付孔41に係止部30の係止爪31a,32aが係止されたとき、ルーフライニング50をルーフパネル40に向かって加圧して挟持する。
また、側壁22bの上部には、係止部30をルーフパネル40の取付孔41に挿入したときに、該ルーフパネル40の下面に当接する挿入深さ規制用のストッパ22cが形成されており、この側壁22bの前端部にもフランジ部25が形成されている。
【0017】
なお、鉄板製のルーフパネル40に形成される取付孔41及びルーフライニング50に形成される取付孔51は、共に軸受ホルダー10の係止部30の平面形状に対応した四角形に形成されており、また、ルーフライニング50の取付孔51はルーフパネル40の取付孔41よりやや大きく形成されている。
【0018】
次に、上記のように構成された本実施の形態に係る軸受ホルダー10のルーフパネル40に対する着脱作用を説明する。
軸受ホルダー10を取り付ける場合は、先ず、図6の(A)に示すように、該軸受ホルダー10の係止部30を前後の係止爪31a,32aがルーフライニング50の取付孔51を潜り抜けるように該取付孔51内に挿入する。
次に、図6の(B)に示すように、係止部30をルーフパネル40の取付孔41内に挿入すると、前後の係止爪31a,32aの上側斜面31b,32bが取付孔41の孔縁下面に当接するので、その状態でさらに強く押し押し込むと、後側の係止爪32aが弾性変形しつつ挿入される。そして、図6の(C)に示すように、前後の係止爪31a,32aの頂点が取付孔41を通過すると、後側の係止爪31aが弾性復帰し、このとき、図示しないがストッパ22cがルーフパネル40の下面に当接する。かくして、前後の係止爪31a,32aの下側斜面31c,32cが孔縁の裏面側に抜け止め状態で係止され、軸受ホルダー10はルーフパネル40に固定される。
また、このとき、ルーフライニング50は取付孔51の周縁下面をフランジ部24,25を介してルーフパネル40に加圧されて挟持される。
【0019】
このように、本実施の形態に係る軸受ホルダー10によれば、係止部30を取付孔41内に押し込むという操作を行うことによって軸受ホルダー10をルーフパネル40に簡単に取り付けることができる。そして、取付状態では、サンバイザー1を乗員の前方位置へ回動変位すれば、図7の(A)に示すように、該サンバイザー1の軸部1aが軸受部20の軸ホルダー部23によって受けられる。すなわち、軸部1aは前側の分割片21の延長部21aを弾性変形しつつ進入し、先端部21bと、内面突部21cと、前側の分割片22の下端縁22aとによって構成される軸ホルダー部23にて回動自在に支持される。
【0020】
次に、軸受ホルダー10をルーフパネル40から取り外す場合を図7に基づいて説明する。
上記のように、サンバイザー1の軸部1aを支持した状態では、係止部30を構成する前後の分割片31,32は、その対向間隔を収縮する方向に弾性変形することができない。従って、軸受ホルダー10を取り外す場合は、先ず、軸受部20の軸ホルダー部23からサンバイザー1の軸部1aを離脱する。そして、その状態で軸受部20における前後の分割片21,22を指先で摘み外側から加圧すれば、図7の(B)に示すように、軸受部20及び係止部30における前側の分割片21,31が対向間隔を収縮する方向に弾性変形する。このことによって前側の係止爪31aがルーフパネル40の取付孔41の孔縁から外れる。
従って、その後は下方へ抜き取ることによって、軸受ホルダー10をルーフパネル40から外すことができる。
【0021】
上記のように、本実施の形態に係る軸受ホルダー10によれば、軸受部20を掴んで外側から加圧することによって、係止部30を収縮方向に変形させて、取付孔41の孔縁に対する係止爪31a,32aの係止を解除できる。すなわち、室内側において、工具を用いることなく、軸受ホルダー10をルーフパネル40から簡単に取り外すことができる。従って、軸受部20における前側の分割片21が本発明でいう操作部材に対応する。
【0022】
また、本実施の形態では、サンバイザー1の軸部1aを支持した状態では、軸受部20の前後の分割片21,22に収縮方向の外力が加えられても軸部1aによって前側の分割片21,31が弾性変形できないため、軸受ホルダー10が不測にルーフパネル40から外れるといったことも生じない。また、軸受部20の分割片21,22が係止部30の係止解除用の操作部材を兼用する構成のため、シンプルな構造の軸受ホルダー10を提供できる。
また、本実施の形態では、2分割された前後の分割片21,22,31,32をベースにしてインテグラルヒンジ11にて接続してなる構成としたので、樹脂による一体成型品として容易に製作できる。
【0023】
なお、本発明は、図示の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、本実施の形態においては、軸受部20を構成する分割片21,22が係止部30の係止解除用の操作部材を兼用する構成としたが、係止解除専用の操作部材、つまり軸受部20には直接関係しない独立した形で操作部材を設けても何ら差し支えない。
また、本実施の形態では、係止部30に設定される係止爪31a,32aのうち、後側の係止爪32aを分割片31,32に対して弾性変形可能としたが、前側の係止爪31aをも弾性変形可能に構成してもよい。
また、ルーフパネル40から軸受ホルダー10を取り外すために、係止爪31a,32aの係止解除作用を前側の分割片21,31を弾性変形させて係止を解除する構成としたが、前後の両分割片21,31,22,32を共に弾性変形させて係止を解除する構成に変更してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、室内側において工具を用いることなくルーフパネルに容易に着脱することが可能な着脱性の高い車両用サンバイザーの軸受ホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は車室天井面に取り付けられた自動車用サンバイザーを示す概略斜視図である。
【図2】分割片を展開した状態の軸受ホルダーを外側からみた斜視図である。
【図3】同じく内側からみた斜視図である。
【図4】分割片を対向させた状態の軸受ホルダーの後方斜視図である。
【図5】分割片を対向させた状態の軸受ホルダーの前方斜視図である。
【図6】ルーフパネルに対する軸受ホルダーの取付態様を(A)(B)(C)の段階に分けて示す説明図であり、図4のA−A線に沿った断面で示している。
【図7】軸受ホルダーの取り外し態様を(A)(B)(C)の段階に分けて示す説明図であり、同じく図4のA−A線に沿った断面で示している。
【符号の説明】
1 サンバイザー
1a 軸部
10 軸受ホルダー
20 軸受部
21 分割片
22 分割片
23 軸ホルダー部
30 係止部
31 分割片
31a 係止爪
32 分割片
32a 係止爪
40 ルーフパネル
41 取付孔
Claims (3)
- ルーフパネルの取付孔に対する挿入方向を軸線として、該軸線の一側にはサンバイザーの軸部を支持する軸受部を有し、他側には前記軸線に交差する方向に弾性変形による収縮又は拡開可能に設けられるとともに前記取付孔への挿入時に該取付孔の孔縁に抜け止め状態で係止可能な係止部を有しており、前記軸受部側には前記取付孔に抜け止めされた前記係止部の係止を解除操作可能な操作部材が前記係止部に連続して設けられており、前記操作部材は前記軸受部によって構成されていることを特徴とする車両用サンバイザーの軸受ホルダー。
- 請求項1に記載の車両用サンバイザーの軸受ホルダーであって、前記軸受部と前記係止部とは、それぞれが前記軸線を挟んで2分割された分割片によって構成されており、しかも分割された2つの分割片が前記係止部の先端側において相互に連結されるとともにその連結部付近を起点にして少なくとも一方の分割片が他方の分割片に接近する方向に弾性変形されることで前記取付孔に対する前記係止部の係止が解除されることを特徴とする車両用サンバイザーの軸受ホルダー。
- 請求項1又は2に記載の車両用サンバイザーの軸受ホルダーであって、前記軸受部はサンバイザーの軸部を係脱可能に支持する構造とされ、該軸受部にサンバイザーの軸部が係合支持された状態では前記操作部材による前記係止部の係止解除操作が不能とされていることを特徴とする車両用サンバイザーの軸受ホルダー。
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