JP4414142B2 - 特異的結合タンパク質およびその使用 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は、増幅した上皮増殖因子レセプター(EGFR)およびそのEGFRのde2−7EGFR短縮型に結合する、特異的結合メンバー、特に、抗体およびそれらのフラグメントに関する。特に、その特異的結合メンバー、特に抗体およびそれらのフラグメントによって認識されるエピトープが、異常な翻訳後改変によって増強されているかまたは顕性である。これらの特異的結合メンバーは、癌の診断および処置において有用である。本発明の結合メンバーまたは、治療において、化学療法剤もしくは抗癌剤ならびに/または他の抗体もしくはそれらのフラグメントと併用して使用され得る。
(発明の背景)
化学療法的手段による増殖性疾患、特に癌の処置は、しばしば、ヒトまたは動物の身体の中の、標的増殖細胞と他の正常細胞との間の差異を探索することに依存する。例えば、多くの化学薬剤は、迅速に複製するDNAによって取り込まれ、その結果、DNA複製および細胞***のプロセスが破壊されるように設計される。別のアプローチは、発達したヒト組織では正常に発現されない腫瘍細胞または、他の異常細胞の表面における抗原(例えば、腫瘍抗原または胚性抗原)を同定することである。このような抗原は、この抗原をブロックまたは中和し得る抗体のような結合タンパク質を用いて標的化され得る。さらに、これらの結合タンパク質(抗体およびそれらのフラグメントを含む)は、毒性因子または直接的もしくは間接的に毒性因子を腫瘍部位で活性化し得る他の物質を送達し得る。
EGFRは、腫瘍標的化抗体療法について魅力的な標的である。なぜならば、EGFRは、多くの型の上皮腫瘍において過剰発現されているからである(27,28)。さらに、EGFRの発現は、胃、結腸、膀胱、胸部、前立腺、子宮内膜、腎臓および脳を含む多くの型の腫瘍(例えば、神経膠腫)の乏しい予後に関連する。結果的に、多くのEGFR抗体が、文献に報告されており、いくつかでは、臨床的評価を行っている(18,19,29)。頭頸部の癌、扁平上皮細胞肺癌、脳神経膠腫、および悪性星細胞腫を有する患者においてEGFR mAbを使用した研究からの結果は、助長的であった。殆どのEGFR抗体の抗腫瘍活性は、それらのリガンド結合をブロックする能力によって増強されている(30,31)。このような抗体は、細胞増殖および抗体依存性免疫機能(例えば、補体活性化)の両方の調節を介してこれらの効力を媒介し得る。しかし、これらの抗体の使用は、EGFRの高い内因性レベルを有する器官(例えば、肝臓および皮膚)における取り込みに制限され得る(18,19)。
EGFR遺伝子の増幅(すなわち、EGFR遺伝子の複数のコピー)を含む、有意な割合の腫瘍はまた、de2−7 EGFR、ΔEGFR、またはΔ2−7(本明細書中で、交換可能に使用される用語)(2)として知られているそのレセプター(13)の短縮型バージョンを同時に発現する。そのde2−7 EGFRにおいて見出される再配置は、エキソン2〜7に及ぶ801ヌクレオチドを欠失しているインフレームの成熟mRNAを生じさせる(6〜9)。対応するEGFRタンパク質は、細胞外ドメインの残基6〜273を含む267アミノ酸の欠失と融合連結部の新規グリシン残基とを有する(9)。この欠失は、グリシン残基の挿入と一緒に、欠失の境界点において独特の連結ペプチドを生み出す(9)。このde2−7 EGFR(2)は、神経膠腫、胸部、肺、卵巣、および前立腺を含む多くの型の腫瘍において報告されている(1−4)。この短縮型のレセプターはリガンドに結合しないが、このレセプターは、低い構成的活性を保持しており、そして、ヌードマウスにおいて腫瘍異種移植片として増殖した神経膠腫細胞に対して顕著な増殖jyを与え、そして、NIH3T3細胞(11)およびMCF−7細胞を形質転換し得る。神経膠腫細胞においてde2−7 EGFRにより使用されるこれらの細胞機構は、完全には定義されていないが、アポトーシスの減少(12)および増殖の僅かな増強(12)を含むことが報告されている。
この短縮されたレポーターの発現が腫瘍細胞に限定されているので、この短縮されたレポーターは、抗体療法のための高度に固有の標的を示している。したがって、多くの研究機関は、de2−7 EGFRの特異的なペプチドに対して特異的な、ポリクローナル抗体(14)およびモノクローナル抗体(3,15,16)の両方の産生を報告している。一連のマウスmAb(これらは、独特のde2−7ペプチドで免疫した後に単離される)は、全て、短縮型レセプターに対して、選択性および特異性を示し、そして、ヌードマウスで増殖したde2−7 EGFR陽性異種移植片を標的化した(3,25,32)。
しかし、de2−7 EGFR抗体の1つの潜在的欠点は、EGFR遺伝子の増幅を提示する腫瘍の僅かに一部分のみがde2−7EGFR(5)をもまた発現する(5)ということである。このde2−7 EGFRを含む腫瘍の正確な割合は、完全には、確定されていない。なぜなら、様々な技術(すなわち、PCR 対 免疫組織化学的方法)および種々の抗体の使用によって、その存在の頻度について報告される値に広い範囲が生じているからである。公開されたデータは、約25〜30%の神経膠腫が、de2−7 EGFRを発現し、その発現は、未分化の星状細胞腫において最も低く、そして、神経膠芽腫の多形態(multiforme)において最も高いことを示している(6,13,17)。de2−7 EGFRを発現している神経膠腫における陽性細胞の割合は、37〜86%の範囲に及ぶと報告されている(1)。27%の胸部癌腫および17%の肺癌は、de2−7 EGFRについて陽性であることが見出された(1,3,13,16)。したがって、de2−7 EGFR特異的抗体は、EGFR陽性腫瘍の一部のみにおいて有用であることが期待される。
したがって、EGFR抗体の活性に関する既存の証拠に助長されているものの、上記を反映した適用性および効力の範囲に関して観察される限界は依然として残る。したがって、広範な腫瘍への効力を実証する抗体および類似の因子を開発することが所望され、そして、これは本発明が指向する目的の達成に向かうものである。
本明細書中での参考文献の引用は、これらの参考文献が本発明の先行技術であるという承認として解釈されるべきではない。
(発明の要旨)
広範な局面において、本発明は、野生型EGFRから全くアミノ酸配列の変更も置換も示さず、そして、腫瘍形成性細胞、過増殖性細胞または異常細胞であることが見出され、そして、正常細胞においても野生型細胞(本明細書中で使用される「野生型細胞」との用語は、内因性EGFRを発現するがde2−7 EGFRは発現しない細胞を企図し、そしてこの用語は、このEGFR遺伝子を過剰発現する細胞を具体的に排除し;用語「野生型」とは、異常細胞または腫瘍形成性細胞ではなく正常細胞において存在する、遺伝子型もしくは表現型またはその他の特性をいう)においても検出可能ではないEGFRエピトープを認識する、単離された特異的な結合メンバー、特に、抗体またはそれらのフラグメントを提供する。さらなる局面において、本発明は、腫瘍形成性細胞、過増殖性細胞、または異常細胞において見出されるが、正常細胞においても野生型細胞においても検出されないEGFRエピトープを認識する、特異的結合メンバー、特に、抗体またはそれらのフラグメントを提供し、ここで、このエピトープは、異常な翻訳後改変または異常発現に際して増強されるかまたは顕性となる。本明細書中で提供される特定の非限定的な例示において、このEGFRエピトープは増強されるかまたは顕性となるが、ここで、翻訳後改変が野生型細胞におけるEGFRの正常発現にみられる程度まで完全ではなく十分でもない。1つの局面において、EGFRエピトープは、最初のもしくは単純な炭水化物改変または初期のグリコシル化、特に、高次のマンノース改変に際して増強されるかまたは顕性となり、そして、複雑な炭水化物改変の存在下では減少されるかまたは顕性とならない。
この特異的結合メンバーは、抗体またはそれらのフラグメント(例えば、その免疫原性フラグメント)であり得、このメンバーは、異常発現の非存在下でありかつ正常なEGFR翻訳後改変の存在下では正常なEGFRエピトープまたは野生型EGFRエピトープを含む正常細胞または野生型細胞に結合しないかまたはそれらを認識しない。より具体的には、本発明の特異的結合メンバーは、抗体またはそれらのフラグメントであり得、特に、異常な翻訳後改変が存在下ではEGFRを過剰発現する(例えば、EGFRが増幅されている)かまたはde2−7 EGFRを発現してる細胞において存在し、そして、特に、正常な翻訳後改変が存在している場合には、通常の条件下でEGFRを発現する細胞において検出可能ではないEGFRエピトープを認識する。
本発明者らは、異常発現されるEGFRを特異的に認識する、新規のモノクローナル抗体(本明細書中において、mAb 806として示される抗体によって例示される)を発見した。特に、本発明の抗体は、腫瘍形成性細胞、過増殖性細胞、または異常細胞において見いだされ、かつ正常細胞においても野生型細胞においても検出されないEGFRエピトープを認識し、ここで、そのエピトープは、異常な翻訳後改変に際して増強されるかまたは顕性となる。本発明の抗体はさらに、本明細書中に記載される、抗体mAb 124および抗体mAb1133によって例示される。本発明の新規の抗体はまた、増幅された野生型EGFRおよびde2−7EGFRを認識し、なおそのde2−7EGFR変異の独特の接合部(junctional)ペプチドとは異なるエピトープに結合する。本発明の抗体は、特に異常翻訳後改変に際して異常発現されるEGFRを特異的に認識し、その異常発現されるEGFRは増幅されたEGFRおよび変異EGFR(本明細書中で、de2−7変異によって例示される)を含む。さらに、mAb806は、正常量のEGFRを発現している神経膠腫細胞株の細胞表面において発現されている場合に、EGFRを認識しないが、mAb806は、ELISAプレートの表面に固定されたEGFRの細胞外ドメイン(sEGFR)に結合し、このことは、高次構造の(conformational)エピトープの認識を示している。mAb806は、A431細胞の表面に結合し、その細胞は、増幅されたEGFR遺伝子を有しているが、de2−7EGFRを発現しない。重要なことは、mAb806は、殆どの他の組織よりも高いレベルの内因性の野生型(wt)EGFRを発現するが、EGFRを異常発現も増幅もしていない、肺および皮膚のような正常組織に有意に結合しない。
本発明の抗体は、染色によってかまたは異常なEGFR発現(EGFR増幅および/またはEGFR変異を含み、特にde2−7 EGFRである)が存在する腫瘍または細胞を認識する他の手段によって、EGFR腫瘍または腫瘍形成性細胞の性質を特異的に分類し得る。さらに、本発明の抗体は、mAb806によって例示され、増幅されたEGFRを含む腫瘍およびde2−7 EGFR陽性異種移植片に対する顕著なインビボ抗腫瘍活性を実証する。
mAb806がde2−7 EGFRおよび増幅されたEGFRに結合するが正常な野生型EGFRには結合しないとううmAb806の独特の特異性によって、これまで知られていたEGFR抗体において見られ得た正常組織の取り込みに関連する問題なしに、多くの腫瘍型、例えば、頭頚部の腫瘍、胸部腫瘍または前立腺腫瘍および神経膠腫を同定し、特徴づけ、そして標的化するための診断的および治療的な使用が提供される。
従って、本発明は、接合部ペプチドとは異なるエピトープにおけるde2−7EGFRに結合するが、そのEGFR遺伝子の増幅の非存在下にて正常細胞中のEGFRには結合しない特異的結合タンパク質(例えば、抗体)を提供する。増幅とは、その細胞が複数のEGFR遺伝子のコピーを含まないことを包含むことを意味する。
好ましくは、mAb806によって認識されるエピトープは、成熟正常EGFR配列または成熟野生型EGFR配列の残基273〜501を含む領域の中に位置づけられる。したがって、EGFR配列の残基273〜501を含む領域に位置づけられるエピトープにおいてde2−7EGFRに結合する、特異的結合タンパク質(例えば、抗体)がまた、提供される。このエピトープは、当業者に公知である任意の従来のエピトープマッピング技術によって決定され得る。あるいは、残基273〜501をコードするDNA配列は消化され得、そしてその得られたフラグメントは適切な宿主において発現され得る。抗体結合は、上述のように決定され得る。
好ましい局面において、その抗体は、本発明者が同定しそして特徴付けた抗体(特に、増幅されたEGFRおよびde2−7EGFRにおいて見出される、異常発現EGFRを認識する抗体)の特徴を有する抗体である。特に好ましい局面において、この抗体は、mAb806またはその活性フラグメントである。さらに好ましい局面において、本発明の抗体は、図14(配列番号2)および図5(配列番号4)においてそれぞれ示されるような、VHアミノ酸配列およびVLアミノ酸配列を含む。
別の局面において、本発明は、806抗体のVH配列およびVL配列を有する少なくとも10%の抗体が、ELISAアッセイにおいてこのような抗体に競合することによって、de2−7 EGFRに対する結合からブロックされる条件下で、806抗体と競合し得る抗体を提供する。特に、抗イディオタイプ抗体が、本明細書中で企図され、そして、例示される。抗イディオタイプ抗体である、LMH−11、LMH−12、およびLMH−13が本明細書中で提供される。
成熟した正常な野生型EGFRの残基273〜501(成熟de2−7 EGFRの残基6〜234)を含むエピトープから本質的になる単離されたポリペプチドは、本発明の別の局面を形成する。本発明のペプチドは、診断アッセイまたは診断キットにおいて、治療的または予防的に(腫瘍ワクチンまたは抗癌ワクチンを含む)において特に有用である。従って、本発明のペプチドの組成物としては、薬学的組成物および免疫学的組成物が挙げられる。
抗体の標的抗原への結合は、その重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDR)を通して媒介され、CDR3の役割は特に重要である。従って、その重鎖または軽鎖のCDR3領域、および好ましくは、mAb806の軽鎖および重鎖の両方のCDR3領域に基づく特異的結合メンバーは、インビボ治療法のために有用な特異的結合メンバーである。mAb806抗体のCDRは、図16および図17において示されている。
従って、特異的結合タンパク質(例えば、同定されたmAb806抗体のCDR、特に、CDR3領域に基づく抗体)は、それらのde2−7 EGFRの状態にかかわらず、増幅したEGFRを有する腫瘍を標的化するのに有用である。mAb806は、正常な野生型レセプターには有意には結合しないので、現在開発されているEGFR抗体の制限である。正常組織における有意な取り込みは存在しない(18,19)。
添付の図面において、806VH遺伝子の核酸配列(配列番号1)およびその翻訳物(配列番号2)は図14において示される。この806抗体のVL遺伝子は図15にて核酸配列(配列番号3)および推定アミノ酸配列(配列番号4)として示される。図16および図17において、mAb806のVHポリペプチド配列およびVLポリペプチド配列が示され、そのCDRを枠で囲む。
さらなる局面において、本発明は、抗原に結合し得る単離された特異的結合メンバーを提供し、ここで、この特異的結合メンバーは、配列番号2の残基93〜102として実質的に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド結合ドメインを含む。本発明は、配列番号2の残基26〜35Aおよび49〜64として実質的に示されるポリペプチド結合ドメインの1つまたは両方(好ましくは、両方)をさらに含む上記の単離された特異的結合メンバーをさらに提供する。このような実施形態の1つの例は、配列番号2において実質的に示される配列である。好ましい実施形態において結合ドメインはヒト抗体フレームワークによって保持される。
別の局面において、本発明は、腫瘍抗原に結合し得る単離された特異的結合メンバーを提供し、ここで、上記特異的結合メンバーは、そのアミノ酸配列番号4の中に実質的に見出されるCDRを含む軽鎖と一緒に、すくなくとも配列番号2のCDR3配列を含む重鎖配列を含むポリペプチド結合ドメインを含む。このような実施形態の1つの例は、配列番号4において実質的に見出される配列である。好ましい実施形態において、そのCDRは、ヒト抗体フレームによって保持されている。
さらなる局面において、本発明は、上記で定義されたような、特異的結合メンバーをコードする配列を含む単離された核酸、ならびに本発明の特異的結合メンバーを調製する方法を提供し、この方法は、このような結合メンバーの発現を生じる条件下で、上記核酸を発現する工程、およびこの結合メンバーを回収する工程を包含する。
本発明のなおさらなる局面は、さらなる結合タンパク質を有するこのような結合タンパク質(例えば、EGFRに結合する結合タンパク質であって、好ましくは、EGFRへのリガンドの結合を阻害するタンパク質)の組成物である。このような組成物は、「ワンポット」カクテル、キットなどであり得、好ましくは投与の容易性のために処方され得る。
本発明に従う特異的結合メンバーは、ヒトまたは動物の身体の処置または診断の方法(例えば、ヒトの患者における腫瘍を処置する方法であって、この患者に有効量の本発明の特異的結合メンバーを投与する工程を包含する方法)において有用であり得る。
本発明はまた、本発明の抗体をコードする、組換えDNA分子もしくはクローン化された遺伝子またはそれらの縮重改変体に関し;好ましくは、本発明は、図14(配列番号1)に示されるDNAは配列を有するか、またはその配列に相補的である抗体VHをコードする核酸分子、特に、組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子に関する。別の実施形態において、本発明はまた、組換えDNA分子もしくはクローン化された遺伝子またはそれらの縮重改変体に関し、好ましくは、図15(配列番号3)において示されるヌクレオチド配列を有しているかまたはそのDNA配列に相補的である抗体VLをコードする、核酸分子、特に、組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子に関する。
本発明はまた、本明細書で示される活性を有し、そして、上で示され、本明細書の図14および図15において示され、そして配列番号2および4から選択される、アミノ酸配列を提示する、ポリペプチドまたは抗体を含む。
本発明のさらなる実施形態において、本明細書に提供された組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子の全長DNA配列は、適切な宿主に導入され得る発現制御配列に作動可能に連結されて得る。従って、本発明は、本発明の抗体のVHおよび/またはVLあるいはそれらの部分、そしてより具体的には、上記で示され、配列番号1および配列番号3において示される、VHおよび/またはVLをコートするDNA配列を含む、そのクローン化した遺伝子または組換えDNA分子で形質転換される単細胞宿主に及ぶ。
本発明は、本明細書において例示されるように、公知の組換え技術を含む、抗体およびその活性フラグメントの調製のためのいくつかの手段を必然的に企図し、従って、本発明は、その範囲において、このような合成抗体またはキメラ抗体の調製物に及ぶことが意図される。本明細書において開示される、cDNA配列およびアミノ酸配列の単離によって、このような組換え技術による本発明の抗体の再現が容易に行われ、従って、本発明は、組換えDNA技術による宿主系における発現のための、その開示されたDNA配列から調製される発現ベクターに及び、そしてそれにより得られる形質転換された宿主に及ぶ。
本発明は、抗体に結合し得、それによってこの抗体の活性の調節、阻害、増強を行い得る、薬物または他の実体(抗イディオタイプ抗体のような抗体を含む)を提供する。従って、mAb806に対する抗イディオタイプ抗体が本明細書中で提供され、そして、例示される。このような抗イディオタイプ抗体は、抗体に特異的に結合する薬物(mAb806またはそのエピトープ)、またはその活性を高める薬物の開発において有用である。
本発明の診断的用途は、腫瘍もしくは細胞サンプルを特徴付けるため、または腫瘍もしくは癌についてスクリーニングをするためのアッセイ(インビトロおよびインビボの診断アッセイを含む)における本発明の抗体の使用にまで及ぶ。
免疫アッセイにおいて、制御された量の抗体などが調製され得、酵素、特異的結合パートナーおよび/または放射性元素で標識され得、次いで、細胞サンプルに導入され得る。標識された物質またはその結合パートナーが、サンプル内の部位と反応する機会を有した後で、生じた質量を公知技術によって試験しえ得る。この公知技術は、結合した標識の性質に応じて変動し得る。
本発明の特異的結合メンバーは、検出可能な標識または機能的な標識を有し得る。特定の結合メンバーは、放射性標識(例えば、同位体H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、121I、124I、125I、131I、111In、211At、198Au、67Cu、225Ac、213Bi、99Tc、および186Re)を有し得る。放射性標識が使用される場合、公知の現在利用可能な計数手順が、特定の結合メンバーを同定および定量するために使用され得る。例えば、標識が酵素である場合、検出は、当該分野で公知の任意の現在使用されている比色技術、分光測定技術、蛍光測定技術、電流測定技術、または気体測定技術により達成され得る。
放射性標識された特定の結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント)は、インビトロでの診断技術およびインビボでの放射性画像化技術において有用である。本発明のさらなる局面において、放射性標識された特定の結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント(特に、放射性免疫結合体))は、放射性免疫治療において(特に、癌治療のための放射性標識された抗体として)有用である。なおさらなる局面において、放射性標識された特定の結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント)は、放射性免疫誘導性外科手順において有用である。この手順において、それらは、癌細胞、前癌細胞、腫瘍細胞、および過剰増殖細胞の存在および/または位置を、このような細胞を除去する外科手術の前、最中、または後に同定および示し得る。
本発明の免疫結合体または抗体融合タンパク質(ここで、本発明の特定の結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント)は、他の分子または因子に結合体化または付着されている)としてはさらに、化学的除去剤、毒素、免疫モジュレーター、サイトカイン、細胞毒性剤、化学療法剤、または薬物に結合体化された結合メンバーが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明は、例えば、増幅されたEGFRまたはde2−7EGFRの存在の程度の定量的分析のための試験キットの形態で調製され得るアッセイ系を包含する。この系または試験キットは、本明細書中に記載される放射性技術および/または酵素技術のうちの1つ(抗体への標識の連結)により調製される標識成分、ならびに1つ以上のさらなる免疫化学薬剤を含み得、これらのうちの少なくとも1つは、決定される遊離もしくは固定化された成分またはそれらの結合パートナーである。
さらなる実施形態において、本発明は、結合メンバー、抗体、もしくはその活性フラグメントの活性、または同じ活性を有することが決定された薬剤または他の薬物に基づく特定の治療方法に関する。第1の治療方法は、癌(頭頸部癌、乳癌、前立腺癌、および神経膠腫が挙げられるがこれらに限定されない)の予防または処置に関する。
特に、本発明の結合メンバーおよび抗体、ならびに特定の実施形態においては、806抗体(その配列は、本明細書中で、配列番号2および4において示される)またはその活性フラグメント、およびそれらに由来するキメラ(二機能性)抗体または合成抗体が、薬学的組成物(治療が適切である(例えば、癌を処置するために)場合の投与のための、適切なビヒクル、キャリア、または希釈剤を含む)中で調製され得る。このような薬学的組成物はまた、ペグ化のような当該分野で公知の方法により、結合メンバー、抗体、またはフラグメントの半減期を調節する方法を含み得る。このような薬学的組成物はさらに、さらなる抗体または治療剤を含み得る。
従って、本発明の組成物は、処置される状態に依存して、単独または他の処置、治療、または薬剤と、同時にかまたは連続的に組み合わせて、投与され得る。さらに、本発明は、本明細書中に記載される結合メンバー(特に、抗体またはそのフラグメント)、および他の薬剤または治療(例えば、抗癌剤もしくは抗癌治療、抗EGFR剤もしくは抗体、または免疫モジュレーター)を含む組成物を企図し、それを包含する。より一般的に、これらの抗癌剤は、チロシンキナーゼインヒビターもしくはリン酸化カスケードインヒビター、翻訳後モジュレーター、細胞増殖インヒビターもしくは細胞***インヒビター(例えば、抗有糸***剤)、PDGFRインヒビター、またはシグナル伝達インヒビターであり得る。他の処置または治療としては、適切な用量の鎮痛薬(例えば、非ステロイド性抗炎症剤(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェン、またはケトプロフェン)、あるいは鎮痛剤(例えば、モルヒネまたは抗催吐剤))の投与を包含し得る。従って、これらの薬剤は、抗EGFR特異的薬剤(例えば、AG1478)であり得るか、またはより一般的な抗癌剤および抗新生物剤であり得、非限定的な例として、ドキソルビシン、カルボプラチン、およびシスプラチンが挙げられる(がこれらに限定されない)。さらに、この組成物は、免疫モジュレーター(例えば、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、もしくは他の増殖因子、サイトカイン、またはホルモン(例えば、デキサメタゾン))と共に投与され得、これらは、癌細胞または腫瘍の免疫応答、および減少または排除を刺激する。この組成物はまた、他の抗EGFR抗体(抗EGFR抗体528;225;SC−03;108(ATCC HB9764)米国特許第6,217,866号;14E1(米国特許第5,942,602号);DH8.3;L8A4;Y10;HuMAX−EGFr(Genmab/Medarex);ICR62;およびABX−EGF(Abgenix)と共に投与され得るか、またはこれらとの組み合わせを含み得る。
本発明はまた、他の分子または薬剤に共有結合されているかそうでなければこれらに不随する結合メンバー(抗体およびそのフラグメントを含む)を含み得る。これらの他の分子または薬剤としては、別個の認識特性を有する分子(抗体または抗体フラグメントを含む)、毒素、リガンド、および化学治療剤が挙げられるがこれらに限定されない。
(詳細な説明)
本発明に従って、当業者の範囲内にある従来の分子生物学、微生物学および組換えDNA技術が使用され得る。このような技術は、文献中に十分に記載されている。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」Volumes I−III[Ausubel,R.M.編(1994)];「Cell Biology:A Laboratory Handbook」Volumes I−III[J.E.Celis編(1994))];「Current Protocols in Immunology」Volumes I−III[Coligan,J.E.編(1994)];「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編1984);「Nucleic Acid Hybridization」[B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1985)];「Transcription And Translation」[B.D.HamesおよびS.J.Higgins編(1984)];「Animal Cell Culture」[R.I.Freshney編(1986)];「Immobilized Cells And Enzymes」[IRL Press、(1986)];B.Perbal、「A Practical Guide To Molecular Cloning」(1984)を参照のこと。
従って、本明細書中に現れる場合、以下の用語は、以下に示される意味を有するべきである。
(A.専門用語)
用語「特異的結合メンバー」は、互いに結合特異性を有する分子対のメンバーを記述する。特異的結合対のメンバーは、天然由来であり得るか、または完全もしくは部分的に合成的に生成され得る。分子対の一方のメンバーは、分子対の他方のメンバーの特定の空間的構成および極性構成に特異的に結合し、従って、これらに相補的な、表面上のある領域または空洞を有する。従って、対のメンバーは、互いに対して特異的に結合する特性を有する。特異的結合対の型の例は、抗原−抗体、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモンレセプター、レセプター−リガンド、酵素−基質である。この適用は、抗原−抗体型の反応に関する。
用語「異常発現」は、その種々の文法的形態で、組織中のタンパク質の上昇した発現または変更された発現または過剰発現のいずれか(例えば、増強された発現もしくは翻訳、タンパク質のプロモーターもしくはレギュレーターの調節、タンパク質についての遺伝子の増幅、または半減期もしくは安定性の増強を含む、任意の手段によって引き起こされるタンパク質量の増加。その結果、過剰発現されていない状態とは対照的に、より多くのタンパク質が存在するか、または任意の1つの時点において検出され得る)を、意味しかつ含み得る。異常な発現は、任意のシナリオまたは変更を含みかつ意図し、ここで、細胞中のタンパク質発現機構または翻訳後修飾機構は、タンパク質(ここでは、変更されたタンパク質は、例えば、変異したタンパク質、あるいは配列の変更、欠失もしくは挿入または変化した折り畳みに起因した改変体が発現される場合を含む)の増強された発現または量もしくはレベルの増加に起因して、負荷をかけられるかさもなければ破壊される。
用語「異常発現」は、その異常な量またはレベルの有効な原因にかかわらず、タンパク質の異常な(通常増加した)量/レベルが存在する状態を包含するように、本明細書中で特に選択されていることを理解することが重要である。従って、タンパク質の異常な量は、遺伝子増幅(この場合、例えば、癌を有する被験体の頭部および頸部から採取した多くの細胞/組織サンプルにおいてであるが、他のサンプルは、遺伝子増幅に寄与し得る異常なタンパク質レベルを示す)の非存在下での、タンパク質の過剰発現から生じ得る。
後者に関して、本発明を説明するために本明細書中に示される本発明者らの研究のいくつかは、EGFRの増幅から生じる異常なタンパク質レベルを示す特定のサンプルの分析を含む。従って、このことは、増幅に対して言及がなされる実験的知見の本明細書中での表示、およびEGFRの異常なレベルを記述する際の用語「増幅/増幅された」などの使用を説明する。しかし、これは、本発明の結合メンバーの助けを借りることによる臨床的調査が意図される環境または状況を規定する、タンパク質の異常な量またはレベルの観察であり、そしてこの理由のために、本明細書は、用語「異常発現」が、EGFRレベルの対応する異常を生じる原因環境をより広く捉えるとみなす。
従って、用語「過剰発現」および「増幅」は、その種々の文法的形態において、別個の技術的意味を有することが理解されるが、これらは、本発明の文脈において、異常なEFGFタンパク質レベルが存在する状態を示す限り、互いに等価であるとみなされるべきである。結果として、用語「異常発現」は、本明細書中の目的のために、その範囲内に用語「過剰発現」および「増幅」を包含すると考えられるように選択されており、その結果、全ての用語が本明細書中で使用される場合に互いに等価とみなされ得る。
用語「抗体」は、天然または部分的もしくは全体的に合成により生成された免疫グロブリンを記述する。この用語はまた、結合ドメイン(これは、抗体結合ドメインであるか、または抗体結合ドメインに相同である)を有する任意のポリペプチドまたはタンパク質をカバーする。CDR移植された抗体もまた、この用語によって意図される。
抗体は、多数の方法で改変され得るので、用語「抗体」は、必要な特異性を有する結合ドメインを有する任意の特定の結合メンバーまたは物質をカバーするように解釈されるべきである。従って、この用語は、抗体フラグメント、抗体の誘導体、機能的等価物およびホモログ(天然または全体的もしくは部分的に合成であるかにかかわらず、免疫グロブリン結合ドメインを含む任意のポリペプチドを含む)をカバーする。従って、別のポリペプチドに融合した免疫グロブリン結合ドメインまたは等価物を含むキメラ分子が含まれる。キメラ抗体のクローニングおよび発現は、EP−A−0120694およびEP−A−0125023ならびに米国特許第4,816,397号および同第4,816,567号に記載される。
抗体全体のフラグメントが、抗原に結合する機能を遂行し得ることが示されている。結合フラグメントの例は、以下である:(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント;(ii)VHドメインおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iii)単鎖抗体のVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward,E.S.ら、Nature 341,544−546(1989));(v)単離されたCDR領域;(vi)2つの連結されたFabフラグメントを含む二価フラグメントである、F(ab)’2フラグメント;(vii)単鎖Fv分子(scFv)、ここで、VHドメインおよびVLドメインは、2つのドメインを結合させて抗原結合部位を形成するペプチドリンカーによって連結される(Birdら、Science,242,423−426,1988;Hustonら、PNAS USA,85,5879−5883,1988);(viii)多価抗体フラグメント(scFvのダイマー、トリマーおよび/またはテトラマー(PowerおよびHudson,J Immunol.Methods 242:193−204 9(2000)));(ix)二重特異的単鎖Fvダイマー(PCT/US92/09965);および(x)遺伝子融合によって構築された多価または多重特異的フラグメントである「二価抗体(diabody)」(W094/13804;P.Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90 6444−6448,(1993))。
「抗体結合部位」は、抗原に特異的に結合する、軽鎖または重鎖および軽鎖の可変領域および超可変領域から構成される抗体分子の構造的部分である。
句「抗体分子」は、その種々の文法的形態において、本明細書中で使用する場合、インタクトな免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の両方を意図する。
例示的な抗体分子は、インタクトな免疫グロブリン分子、実質的にインタクトな免疫グロブリン分子、およびパラトープ(paratope)を含む免疫グロブリン分子の部分(Fab、Fab’、F(ab)’およびF(v)として当該分野で公知の部分を含み、これらの部分は、本明細書中に記載される治療方法における使用のために好ましい)である。
抗体はまた、二重特異的であり得、ここで、抗体の1つの結合ドメインは、本発明の特異的結合メンバーであり、そして他方の結合ドメインは、例えば、エフェクター機能などを補充するための異なる特異性を有する。本発明の二重特異的抗体としては、抗体の1つの結合ドメインが本発明の特異的結合メンバー(そのフラグメントを含む)であり、そして他方の結合ドメインが別個の抗体またはそのフラグメント(別個の抗EGFR抗体(例えば、抗体528(米国特許第4,943,533号)、キメラ225抗体およびヒト化225抗体(米国特許第4,943,533号およびWO/9640210)、抗de2−7抗体(例えば、DH8.3(Hills,D.ら、(1995)Int.J.Cancer 63(4):537−543))、抗体L8A4および抗体Y10(Reist,CJら、(1995)Cancer Res.55(19):4375−4382;Foulon CFら、(2000)Cancer Res.60(16):4453−4460)、ICR62(Modjtahedi Hら、(1993)Cell Biophys.Jan−Jun;22(1−3):129−46;Modjtahediら、(2002)P.A.A.C.R.55(14):3140−3148)、またはWikstrandらの抗体(Wikstrand C.ら(1995)Cancer Res.55(14):3140−3148))のフラグメントを含む)であるものが挙げられる。他の結合ドメインは、特定の細胞型を認識または標的化する抗体(例えば、神経特異的抗体またはグリア細胞特異的抗体)であり得る。本発明の二重特異的抗体において、本発明の抗体の1つの結合ドメインは、特定の細胞レセプターを認識し、そして/または特定の様式で細胞を調節する他の結合ドメインまたは分子(例えば、免疫調節因子(例えば、インターロイキン)、増殖調節因子またはサイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子(TNF)および特に2002年2月13日出願のU.S.S.N.60/355,838号(これは、本明細書中でその全体が参考として援用される)において実証されたTNF二重特異的様式)または毒素(例えば、リシン)あるいは抗有糸***剤もしくは抗有糸***因子、またはアポトーシス剤もしくはアポトーシス因子)と組み合わされ得る。
抗体分子のFab部分およびF(ab’)部分は、周知の方法によって、実質的にインタクトな抗体分子に対するパパインおよびペプシンのタンパク質分解反応によってそれぞれ調製され得る。例えば、Theofilopolousらに対する米国特許第4,342,566号を参照のこと。Fab’抗体分子部分もまた周知であり、そしてこれは、F(ab’)部分から作成され、次いで例えばメルカプトエタノールによって2つの重鎖部分を連結するジスルフィド結合が還元され、次いで、ヨードアセトアミドのような試薬によって得られたタンパク質メルカプタンがアルキル化される。インタクトな抗体分子を含む抗体が、本明細書中で好ましい。
句「モノクローナル抗体」は、その種々の文法的形態において、特定の抗原と免疫反応し得る、抗体結合(combining)部位の1つの種のみを有する抗体をいう。従って、モノクローナル抗体は、代表的に、それが免疫反応する任意の抗原に対して、単一の結合親和性を示す。モノクローナル抗体はまた、複数の抗体結合部位(各々が、異なる抗原について免疫特異的である)を有する抗体分子(例えば、二重特異的(キメラ)モノクローナル抗体)を含み得る。
用語「抗原結合ドメイン」は、抗原の一部または全てに特異的に結合し、かつこれらに相補的な領域を含む抗体の一部を記述する。抗原が大きい場合、抗体は、抗原の特定の一部のみ(この部分は、エピトープと称される)に結合し得る。抗原結合ドメインは、1以上の抗体可変ドメインを含む。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
「翻訳後修飾」は、共有結合的修飾を含む修飾のいずれか1つまたは組み合わせを包含し得、タンパク質は、翻訳完了後、およびリボソームから放出された後か、または同時翻訳的に初期ポリペプチド上で、この修飾を受ける。翻訳後修飾としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:リン酸化、ミリスチル化、ユビキチン化、グリコシル化、補酵素結合、メチル化およびアセチル化。翻訳後修飾は、タンパク質の活性、その細胞内もしくは細胞外の目的地点、その安定性もしくは半減期、および/またはリガンド、レセプターもしくは他のタンパク質による認識を調節し得るかまたは影響を与え得る。翻訳後修飾は、細胞オルガネラにおいて、核または細胞質において、あるいは細胞外で生じ得る。
用語「特異的」は、特異的結合対の1つのメンバーが、その特異的結合パートナー以外の分子に対する有意な結合を示さない状況をいうために使用され得る。この用語はまた、例えば、抗原結合ドメインが、多数の抗原によって保有される特定のエピトープに対して特異的である場合に適用可能であり、この場合、抗原結合ドメインを保有する特異的結合メンバーは、エピトープを保有する種々の抗原に結合し得る。
用語「含む(comprise)」は、一般に、含む(include)意味で使用され、すなわち、1以上の特徴または成分の存在を許容することをいう。
用語「から実質的になる」は、より大きい産物に共有結合していない、規定された残基数の産物(特にペプチド配列)をいう。しかし、本発明のペプチドが上記のことをいう場合、当業者は、ペプチドのN末端またはC末端への軽微な改変(例えば、保護基などを付加するための末端の化学的改変(例えば、C末端のアミド化))が意図され得ることを理解する。
用語「単離された」とは、本発明の特異的結合メンバーまたはこのような結合メンバーをコードする核酸が本発明に従って存在する状態をいう。メンバーおよび核酸は、これらが天然に会合する物質(例えば、他のポリペプチドまたは核酸)、これらがその天然の環境において見出される物質、またはこのような調製物がインビトロまたはインビボで実施される組換えDNA技術による場合には、これらが調製される環境(例えば、細胞培養物)において見出される物質を含まないかまたは実質的に含まない。メンバーおよび核酸は、希釈剤またはアジュバントを用いて処方され得、そしてなお特定の目的のために単離され得る。例えば、これらメンバーは、通常、イムノアッセイにおける使用のためにマイクロタイタープレートをコーティングするために使用される場合、ゼラチンまたは他のキャリアと混合されるか、あるいは診断または処置において使用される場合、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と混合される。特異的結合メンバーは、天然にかまたは異種真核生物細胞の系によってかのいずれかでグリコシル化されてもよいし、あるいは(例えば、原核生物細胞における発現によって産生される場合)グリコシル化されなくてもよい。
また、本明細書中で使用される場合、用語「グリコシル化」および「グリコシル化される(た)」は、オリゴ糖の添加によるタンパク質の翻訳後修飾(糖タンパク質と呼ばれる)を含みかつ包含する。オリゴ糖は、糖タンパク質(特に、N連結糖タンパク質およびO連結糖タンパク質が挙げられ得る)のグリコシル化部位にて添加される。N連結糖タンパク質は、Asn残基に加えられる。詳細には、このAsn残基は、配列N−X−S/T中にあり、ここでXは、ProでもAspでもあり得ず、かつグリコシル化において見いだされる最も一般的な残基である。N連結糖タンパク質の生合成において、高マンノース型オリゴ糖(一般的には、ドリコール、N−アセチルグルコサミン、マンノースおよびグルコースから構成される)が、最初に小胞体(ER)において見出される。次いで、この高マンノース型糖タンパク質は、ERからゴルジ(Golgi)に輸送され、ここで、オリゴ糖のさらなるプロセシングおよび修飾が生じる。O連結オリゴ糖が、Ser残基またはThr残基のヒドロキシル基に加えられる。O連結オリゴ糖において、ER中のN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼによって、N−アセチルグルコサミンが、Ser残基またはThr残基に最初に移動される。次いで、タンパク質がゴルジに移動し、ここで、さらなる改変および鎖伸長が生じる。O連結改変は、Ser部位またはThr部位(これらの部位はまた、異なる条件下にて、グリコシル化ではなくリン酸化され得る)にて、OG1cNAc単糖単独の単純な添加とともに生じ得る。
本明細書中で使用される場合、「pg」は、ピコグラムを意味し、「ng」は、ナノグラムを意味し、「ug」または「μg」は、マイクログラムを意味し、「mg」は、ミリグラムを意味し、「ul」または「μl」は、マイクロリットルを意味し、「ml」は、ミリリットルを意味し、そして「l」は。リットルを意味する。
用語「806抗体」、「mAb806」、「ch806」および具体的に列挙されていない任意の改変体は、本明細書中で相互交換可能に使用され得、本出願および特許請求の範囲全体を通して使用される場合、単一のタンパク質または複数のタンパク質を含むタンパク質性物質をいい、そして本明細書中に記載され、配列番号2および配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、ならびに配列番号7および配列番号8に組み込まれて、これらの配列の一部を形成するキメラ抗体ch806にわたり、そしてその活性プロフィールが、本明細書中および特許請求の範囲に示される。従って、実質的に等価な活性または変化された活性を表示するタンパク質が、同様に企図される。これらの改変は、例えば、部位特異的変異誘発によって得られる改変のように意図的であってもよいし、その複合体または指定のサブユニットを産生する宿主の変異によって得られるように偶発的であってもよい。また、用語「806抗体」、「mAb806」および「ch806」は、本明細書中で具体的に列挙されるその範囲内のタンパク質、ならびに全ての実質的に相同なアナログおよび対立遺伝子改変体を含むことが意図される。
本明細書中に記載されるアミノ酸残基は、「L」異性体形態であるのが好ましい。しかし、免疫グロブリン結合の所望の官能化特性がポリペプチドによって維持される限り、「D」異性体形態の残基が、任意のL−アミノ酸残基と置換され得る。NHは、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基をいう。COOHは、ポリペプチドのカルボキシル末端に存在する遊離カルボキシ基をいう。標準的なポリペプチドの命名法に賛同して(J.Biol.Chem,243:3552−59(1969))、アミノ酸残基についての略語が、以下の対応の表に示される:
Figure 0004414142
全てのアミノ酸残基配列は、左から右への方向が、従来のアミノ末端からカルボキシル末端への方向である構造式によって、本明細書中で表されることに留意すべきである。さらに、アミノ酸残基配列の始まりまたは終わりにおけるダッシュは、1つ以上のアミノ酸残基のさらなる配列に結合したペプチドを示すことに留意すべきである。上記表は、本明細書中で代替的に現され得る3文字表記および1文字表記の対応を示す。
「レプリコン」は、任意の遺伝学的エレメント(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)である、この遺伝学的エレメントは、インビボでのDNA複製(すなわち、それ自体の制御下で複製し得る)の自律的単位としての役目を果たす。
「ベクター」は、プラスミド、ファージまたはコスミドのようなレプリコンであり、結合したセグメントの複製を生じるように、別のDNAセグメントがこれに結合され得る。
「DNA分子」とは、そのいずれかの一本鎖形態におけるデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、またはシトシン)のポリマー形態、または二本鎖ヘリックスをいう。この用語は、分子の一次構造および二次構造のみをいい、任意の特定の三次形態に対して限定しない。従って、この用語は、とりわけ、直鎖DNA分子(例えば、制限フラグメント)、ウイルス、プラスミド、および染色体において見出される、二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を議論する際に、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同な配列を有する鎖)に沿って5’方向から3’方向の配列のみを与える一般的な慣習に従って、本明細書中に記載され得る。
「複製起点」とは、DNA合成に関係するDNA配列をいう。
DNA「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれた場合、インビボにおいて転写されてポリペプチドに翻訳される、二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシル)末端の翻訳停止コドンによって、決定される。コード配列としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:原核生物配列、真核生物mRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳動物)DNA由来のゲノムDNA配列、およびさらに合成DNA配列。ポリアデニル化シグナル配列および転写末端配列は、通常、コード配列に対して3’側に位置される。
転写制御配列および翻訳制御配列は、宿主細胞中でコード配列の発現を与えるDNA調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーターなど)である。
「プロモーター配列」は、細胞内のRNAポリメラーゼに結合し得、かつコード領域の下流(3’方向)の転写を開始し得る、DNA調節領域である。本発明を規定する目的で、このプロモーター配列は、その転写開始部位によって、その3’末端で結合され、上記バックグラウンドを検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含むように、上流(5’方向)に伸長する。プロモーター配列内で、転写開始部位(簡便には、ヌクレアーゼS1を用いたマッピングによって規定される)、およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。真核生物プロモーターは、常にではなくしばしば、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含む。原核生物プロモーターは、−10および−35のコンセンサス配列に加えて、Shine−Dalgarno配列を含む。
「発現制御配列」は、別のDNA配列の転写および翻訳を制御および調節する、DNA配列である。コード配列は、RNAポリメラーゼがこのコード配列をmRNAに転写する場合、細胞内の転写制御配列および翻訳制御配列の「制御下」であり、次いで、このコード配列は、このコード配列によってコードされるタンパク質に翻訳される。
「シグナル配列」は、コード配列の前に含まれ得る。この配列は、シグナルペプチド(ポリペプチドに対するN末端)をコードし、このシグナルペプチドは、宿主細胞と連絡して、ポリペプチドを細胞表面に指向させるかまたはポリペプチドを媒体に分泌させ、このシグナルペプチドは、タンパク質が細胞から放出される前に、宿主細胞によって切断される(clipped off)。シグナル配列は、原核生物および真核生物に対してネイティブな種々のタンパク質に関連して見出され得る。
用語「オリゴヌクレオチド」とは、本明細書中で使用される場合、本発明のプローブをいい、2種以上のリボヌクレオチド、好ましくは、3種以上のリボヌクレオチドからなる分子として定義される。その正確なサイズは、同様に最終的な機能およびこのオリゴヌクレオチドの使用に依存した多くの因子に依存する。
用語「プライマー」とは、本明細書中で使用される場合、精製された制限消化物におけるように天然に生じるかまたは合成的に生成される、オリゴヌクレオチドをいい、これは、プライマー伸長産物(これは、核酸鎖に相補的である)の合成が誘導される条件下(すなわち、ヌクレオチドおよび誘導因子(例えば、DNAポリメラーゼ)の存在下、ならびに適切な温度およびpH)に置かれた場合、合成の開始点として作用し得る。プライマーは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、誘導因子の存在下で所望のプライマー伸長産物の合成を初回刺激するのに十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、多くの因子(温度、プライマーの供給源および方法の使用)に依存する。例えば、診断適用については、標的配列の複雑性に依存して、オリゴヌクレオチドプライマーは、代表的には、15〜25ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチドを含むが、このオリゴヌクレオチドプライマーは、ほとんどヌクレオチドを含み得ない。
本明細書中のプライマーは、異なる鎖の特定の標的DNA配列に「実質的に」相補的であるように選択される。これは、プライマーがそれらのそれぞれの鎖とハイブリダイズするのに十分相補的でなければならないことを意味する。従って、プライマー配列は、テンプレートの正確な配列を示す必要がない。例えば、非相補的ヌクレオチドフラグメントが、プライマーの5’末端に結合され得、このプライマー配列の残りは、その鎖に相補的である。あるいは、非相補的な塩基またはより長い配列が、プライマー中に分散され得、但し、そのプライマー配列は、その鎖の配列と十分な相補性を有し、この鎖とハイブリダイズし、それによって、伸長産物の合成のためのテンプレートを形成する。
本明細書中で使用される場合、用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」とは、細菌性酵素をいい、それらの各々は、二重鎖DNAを特定のヌクレオチド配列にて、または特定のヌクレオチド配列近位で、切断する。
細胞は、外来性DNAまたは非相同性DNAによって、このようなDNAが細胞内に導入された際に「形質転換される」。この形質転換DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNAに組み込まれても組み込まれなくてもよい(共有結合されても共有結合されなくてもよい)。例えば、原核生物、酵母、および哺乳動物細胞において、この形質転換DNAは、プラスミドのようなエピソームエレメントにより維持され得る。真核生物について、安定に形質転換される細胞は、形質転換DNAが染色体内に組み込まれ、その結果、染色体複製を介する娘細胞によって遺伝される細胞である。この安定性は、真核生物細胞が、形質転換DNAを含有する娘細胞の集団からなる細胞株またはクローンを樹立する能力によって証明される。「クローン」は、単細胞または有糸***による共通の祖先由来の細胞集団である。「細胞株」は、多くの世代について、インビボで安定に増殖し得る初代細胞のクローンである。
ヌクレオチドの少なくとも約75%(好ましくは、少なくとも約80%、そして最も好ましくは、少なくとも約90%または95%)がDNA配列の規定された長さと一致する場合、2つのDNA配列は、「実質的に相同」である。実質的に相同な配列は、配列データバンクで利用可能な標準的なソフトウェアを使用してか、または例えば、特定の系について規定されるようなストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において、配列を比較することによって、同定され得る。規定される適切なハイブリダイゼーション条件は、当業者の範囲内である。例えば、Maniatisら、前出;DNA Cloning、第I巻および第II巻、前出;Nucleic Acid Hybridization、前出。
本発明の特定の結合メンバー(抗体)をコードするDNA配列(これは、例えば、配列番号2または配列番号4と同じアミノ酸配列を有する抗体をコードするが;配列番号2または配列番号4に縮重される)もまた本発明の範囲内であることが、理解されるべきである。「〜に縮重する」とは、異なる3文字コドンを使用して特定のアミノ酸を特定化することを意味する。以下のコドンを相互交換可能に使用して、各々の特定のアミノ酸をコードし得ることは、当該分野で周知である:
Figure 0004414142
上で特定化されたコドンはRNA配列についてのコドンであることが、理解されるべきである。DNAについての対応するコドンは、Uの代わりにTを有する。
変異は、配列番号2または配列番号4においてなされ得、この結果、特定のコドンが、異なるアミノ酸をコードするコドンに変化される。このような変異は、一般的に、最小のヌクレオチド変化を可能にすることによって、なされ得る。この種類の置換変異は、非保存的な様式でか(すなわち、特定のサイズまたは特徴を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸から別の分類に属するアミノ酸まで、コドンを変化させることによって)、または保存的な様式で(すなわち、特定のサイズまたは特徴を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸から同じ分類に属するアミノ酸まで、コドンを変化させることによって)、得られるタンパク質中のアミノ酸を変化させるようになされ得る。このような保存的変化は、一般に、得られるタンパク質の構造および機能の変化を引き起こさない。非保存的変化は、得られるタンパク質の構造、活性または機能をより変化させるようである。本発明は、得られるタンパク質の活性または結合特性を有意に変化させない保存的変化を含む配列を含むように考慮されるべきである。
以下は、アミノ酸の種々の分類の1つの例である:
(非極性R基を有するアミノ酸)
アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン。
(非荷電の極性R基を有するアミノ酸)
グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン。
(荷電した極性R基を有するアミノ酸(pH6.0にて負に帯電している))
アスパラギン酸、グルタミン酸。
(塩基性アミノ酸(pH6.0にて正に帯電している))
リジン、アルギニン、ヒスチジン(pH6.0)。
別の分類は、フェニル基を有するアミノ酸であり得る:
フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン。
別の分類は、分子量(すなわち、R基のサイズ)に従い得る:
Figure 0004414142
以下の置換基が、特に好ましい:
−Argに対するLys(逆もまた同様)(その結果、正電荷が維持され得る);
−Aspに対するGlu(逆もまた同様)(その結果、負電荷が維持され得る);
−Thrに対するSer(その結果、遊離−OHが維持され得る);および、
−Asnに対するGln(その結果、遊離NHが維持され得る)。
アミノ酸置換はまた、特定の好ましい性質を有するアミノ酸を置換するために導入され得る。たとえば、Cysは、別のCysとジスルヒド結合するための潜在的部位を導入され得る。Hisは、特定の「触媒」部位として導入され得る(すなわち、Hisは、酸または塩基として作用し得、そして生化学的な触媒において最も一般的なアミノ酸である)。Proは、タンパク質構造のβ−ターンを誘導するその特定の平面構造に起因して、誘導され得る。
アミノ酸残基の少なくとも約70%(好ましくは、少なくとも約80%、そして最も好ましくは少なくとも90%または95%)が、同一であるか、または保存的置換を表す場合、2つのアミノ酸配列は、「実質的に相同」である。
DNA構築物の「非相同的」領域は、天然の大きな分子に関連して見出されない大きなDNA分子内で、DNAのセグメントと同一視することができる。従って、非相同的領域が哺乳動物遺伝子をコードする場合、この遺伝子は、通常、供給源生物体のゲノムにおける哺乳動物のゲノムDNAに隣接しないDNAによって隣接される。非相同性コード配列の別の例は、コード配列自身が天然に見出されない構築物である(例えば、cDNA、ここで、ゲノムのコード配列は、イントロンまたはネイティブな遺伝子と異なるコドンを有する合成配列を含む)。対立遺伝子の変異または天然に生じる変異事象は、本明細書中に定義されるようなDNAの非相同性領域を生じさせない。
句「薬学的に受容可能」は、生理学的に耐用性があり、そしてヒトに投与される場合、代表的にアレルギーまたは同様の有害反応(例えば、胃の不調、めまい感など)を起こさない分子実体および組成物をいう。
句「治療的有効量」は、本明細書中で使用され、予防するのに十分な量、および少なくとも約30%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%まで、標的細胞の質量の増殖または進行あるいは有糸***、癌細胞または腫瘍のグループ、もしくは病理の他の特性において臨床的に有意な変化を好ましくは減少するのに十分な量を意味する。例えば、EGFR活性化もしくはEGFR活性の程度、またはEGFR陽性細胞(特に抗体または反応性細胞もしくは陽性細胞の結合メンバー)の量もしくは数は、減少され得る。
DNA配列は、発現制御配列が、DNA配列の転写および翻訳を制御し、そして調節する場合、発現制御配列に「作動可能に連結される」。用語「作動可能に連結される」は、発現されるべきDNA配列の前の適切な開始シグナル(例えば、ATG)を有すること、そして発現制御配列およびDNA配列によってコードされた所望の産物の生産の制御下で、DNA配列の発現を可能にする正しいリーディングフレームを維持することを包含する。組換えDNA分子中に挿入されることが所望される遺伝子が、適切な開始シグナルを含んでいない場合、このような開始シグナルは、遺伝子の前部分に挿入され得る。
用語「標準的ハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の両方について5×SSCおよび65℃に実質的に等価な塩および温度条件およびをいう。しかし、当業者は、このような「標準的ハイブリダイゼーション条件」は、緩衝液中のナトリウムおよびマグネシウムの濃度、ヌクレオチド配列の長さおよび濃度(ミスマッチ%、ホルムアミド%など)を含む特定の条件に依存することを理解する。「標準的ハイブリダイゼーション条件」の決定において重要なことはまた、ハイブリダイズする2つの配列が、RNA−RNA、DNA−DNAまたはRNA−DNAであるか否かである。このような標準的ハイブリダイゼーション条件は、周知の式に従って当業者によって容易に決定され、ここでハイブリダイゼーションは、代表的に、所望である場合、より高いストリンジェンシーの洗浄を用いて、予測されるかまたは測定されたTよりも10〜20℃下である。
(B.詳細な開示)
本発明は、腫瘍形成性細胞、過剰増殖性細胞または異常細胞において見出されるEGFRエピトープを認識する新規の特異的結合メンバー、特に、抗体またはそのフラグメント(免疫原性フラグメントを含む)を提供し、このエピトープは、異常な翻訳後改変の際に増大されるか、または顕性であり、正常細胞または野生型細胞において検出可能ではない。特定ではあるが、非限定の実施形態において、この結合メンバー(例えば、抗体)は、EGFRエピトープを認識し、これは、単純な炭水化物改変または初期のグリコシル化の際に増大されるか、または顕性であり、そして複雑な炭水化物改変またはグルコシル化の存在において減少されるか、または顕性ではない。特異的結合メンバー(例えば、抗体またはそのフラグメント)は、過剰発現が存在しない場合および正常なEGFR翻訳後改変が存在する場合において、正常EGFRエピトープまたは野生型EGFRエピトープを含む正常細胞または野生型細胞に結合も認識もしない。
本発明は、EGFRエピトープを認識する特異的結合メンバー、特に、抗体またはそのフラグメントに関し、このEGFRエピトープは、増幅したEGFRまたはde2−7EGFRを発現する細胞において存在し、正常EGFRまたは野生型EGFRを発現する細胞において(特に、正常な翻訳後改変の存在において)検出可能ではない。
本発明の抗体のさらなる非限定的な観察または特徴は、初期のグリコシル化または単純な炭水化物改変の特徴である、高マンノース基の存在におけるそれらのエピトープの認識であることは、さらに記載され、そして本明細書中で実証される。従って、変更されたか、または異常なグリコシル化は、この抗体エピトープの存在および/または認識を容易にするか、あるいはこの抗体エピトープの一部を含む。
グリコシル化には、オリゴ糖の付加によるタンパク質(糖タンパク質と称される)の翻訳後改変が挙げられ、そして包含する。オリゴ糖は、糖タンパク質(特に、N−連結オリゴ糖およびO−連結オリゴ糖を含む)のグリコシル化部位に付加される。N−連結オリゴ糖はAsn残基に付加され、特にAsn残基は、配列N−X−S/Tに存在し、ここで、XはProでもAspでもあり得ず、そして糖タンパク質において最も共通に見出される。N−連結糖タンパク質の生合成において、高マンノース型オリゴ糖(一般的にドリコール、N−アセチルグリコサミン、マンノースおよびグルコース含む)は、最初に小胞体(ER)において形成される。次いで、高マンノース型糖タンパク質は、ERからゴルジに移送され、ここで、オリゴ糖のさらなるプロセシングおよび改変が通常生じる。O−連結オリゴ糖は、Ser残基またはThr残基のヒドロキシル基に添加される。O−連結オリゴ糖において、N−アセチルグリコサミンは、最初にERにおいてN−アセチルグリコサミニルトランスフェラーゼによってSer残基またはThr残基に転移される。次いで、このタンパク質は、ゴルジまで移動し、ここでさらなる改変および鎖の伸長が生じる。
本発明の特定の局面および上記のような場合において、本発明は、新規のモノクローナル抗体(mAb 806およびそのキメラのch806と命名された抗体によって本明細書中で例示される)を発見し、これらは、増幅された野生型EGFRおよびde2−7EGFRを特異的に認識し、さらに、de2−7EGFR変異の特有の接合部ペプチドとは明らかに異なるエピトープに結合する。本発明の抗体は、特に、異常な翻訳後改変の際に過剰発現したEGFR(増幅したEGFRおよび変異体EGFR(de2−7変異によって本明細書中で例示される)を含む)を特異的に認識する。さらに、mAb806は、神経膠腫細胞の細胞表面において発現される正常な、野生型EGFRを認識しないが、ELISAプレートの表面上に固定されたEGFRの細胞外ドメインに結合する。このことは、ポリペプチドの局面を有する高次構造エピトープを示す。重要なことに、mAb806は、多くの他の正常組織において発現されるレベルより高いレベルの内在性wtEGFRを発現するが、EGFRは過剰発現も増幅もされない肝臓および皮膚のような正常な組織には顕著に結合しない。従って、mAb806は、新規であり、かつ有用な特異性(de2−7EGFRおよび増幅されたEGFRを認識するが、正常な、野生型EGFRも、de2−7EGFRの特徴である特有の接合部ペプチドも認識しない)を実証する。
好ましい局面において、抗体は、本発明者が、増幅したEGFRおよびde2−7EGFRを特に認識することを同定および特徴付けた特徴を有する抗体である。特に好ましい局面において、抗体は、mAb 806であるか、またはその活性フラグメントである。さらに好ましい局面において、本発明の抗体は、VHアミノ酸配列およびVLアミノ酸配列(それぞれ、図14(配列番号2)および図15(配列番号4)に示される)を含む。
好ましくは、特異的結合メンバーまたは抗体のエピトープは、成熟した正常EGFR配列または野生型EGFR配列の残基273〜501を含む領域内に局在される。従って、EGFR配列の残基273〜501を含む領域内に局在するエピトープで、de2−7EGFRに結合する、特異的結合タンパク質(例えば、抗体)もまた、提供される。このエピトープは、当業者に公知の、任意の慣用的なエピトープマッピング技術によって決定され得る。あるいは、残基273〜501をコードするDNA配列は消化され得、そして得られるフラグメントは適切な宿主において発現される。抗体結合は、上記のように決定され得る。
特に、このメンバーは成熟した正常EGFRまたは野生型EGFRの前記273〜501を含むエピトープに結合する。しかし、同様か、または実質的に類似する反応性パターンを示す他の抗体または、本発明の局面を形成する。これは、それぞれ、配列番号2および配列番号4に示されるVHドメインおよびVLドメインを含む抗体と、このようなメンバーを比較することによって決定され得る。比較は、代表的には、ウエスタンブロット(結合メンバーは、細胞の核調製物から調製された二重ブロットに結合される)を用いてなされ、その結果、結合パターンを直接比較し得る。
別の局面において、本発明は、806抗体のVH配列およびVL配列を有する抗体の少なくとも10%が、ELISAアッセイにおいてこのような抗体との競合によってde2−7EGFRへの結合をブロックする条件下で、806抗体と競合し得る抗体を提供する。上記のように、抗イディオタイプ抗体は、本明細書中で意図され、図解される。
成熟した野生型EGFRの残基273〜501(成熟したde2−7EGFRの残基6〜234)を含むエピトープから本質的に構成される、単離されたポリペプチドは、本発明の別の局面を形成する。本発明のペプチドは、診断アッセイまたはキットにおいて特に有用であり、そして治療的または予防的(抗腫瘍ワクチンまたは抗癌ワクチン)に有用である。従って、本発明のペプチドの組成物は、薬学的組成物および免疫原性組成物を包含する。
(診断用途および治療的用途)
本発明の特異的結合メンバー(特に、抗体またはそのフラグメント)に特有な特異性(それによって結合メンバーはEGFRエピトープ(腫瘍形成性細胞、過剰増殖性細胞または異常細胞において見出されるが、正常細胞または野生型細胞において検出可能ではない)を認識し、ここで、このエピトープは異常な翻訳後改変の際に増大されるか、または顕性であり、そしてこのメンバーはde2−7EGFRおよび増幅したEGFに結合するが、wtEGFRには結合しない)は、多くの腫瘍形成性細胞型および腫瘍型(例えば、頭部および頸部、胸部、肺、膀胱または前立腺の腫瘍および神経膠腫)を同定、特徴づけ、標的化および処置、減少または排除するための診断用途および治療用途を、以前から公知であるEGFR抗体に見られ得るような正常組織取込みに関連する問題を伴わずに、提供する。従って、EGFRを(例えば、変異体EGFRまたは改変体EGFRの増幅または発現によって)過剰発現する細胞、特に、異常な翻訳後改変を示す細胞は、本発明の結合メンバー(特に、抗体またはそのフラグメント)を利用して、認識、単離、特徴づけ、標的化および処置または排除され得る。
従って、本発明の抗体は、EGFR過剰発現(特に増幅)および/またはEGFR変異(特にde2−7EGFR)が存在する、腫瘍または細胞を染色あるいは認識することによって、EGFR腫瘍細胞または腫瘍形成性細胞の性質を特異的に分類し得る。さらに、本発明の抗体(mAb806およびキメラ抗体ch806によって増幅されるような)は、増幅されたEGFRを含む腫瘍細胞およびde2−7EGFR陽性異種移植片に対する有意な抗腫瘍活性をインビボで実証する。
上に概説するように、本発明者らは、本発明の特異的結合メンバーが、正常細胞において発現する場合、正常な、野生型レセプターではなく、EGFR(de2−7EGFRおよび増幅したEGFR)の腫瘍関連形態を認識することを発見した。抗体の認識は、EGFR遺伝子の過剰発現を示す細胞において発現したEGFRの異常な翻訳後改変(例えば、特有のグリコシル化改変体、アセチル化改変体またはリン酸化改変体)に依存すると考えられる。
下に記載するように、mAb806およびch806は治療的研究において使用されている。mAb806およびch806は、EGFRを過剰発現した(例えば、増幅された)異種移植片およびヒトde2−7EGFRを発現するヒト腫瘍の異種移植片の増殖を阻害することおよびこのような腫瘍内の壊死を有意に誘導することが示される。
さらに、本発明の抗体は、予防モデルにおいて頭蓋内腫瘍の増殖を阻害する。このモデルは、ヌードマウスへ、de2−7EGFRを発現する神経膠腫細胞を注射すること、次いで、同日または1〜3日以内のいずれかで、抗体を頭蓋内に注射すること(必要に応じて反復される用量で)を包含する。抗体の用量は、適切には約10μgである。抗体を注射したマウスは、コントロールと比較され、そして処置したマウスの生存が有意に増加することを見出した。
従って、本発明のさらなる局面において、腫瘍、癌性状態、前癌性状態および任意の過剰増殖性細胞増殖に関連する状態または過剰増殖性細胞増殖から生じる状態の処置方法を提供し、この方法は、本発明の特異的結合メンバーの投与を包含する。
本発明の抗体は、ヒト被験体および動物被験体における腫瘍(特に、上皮腫瘍)の診断方法および処置方法において使用されるように設計される。これらの腫瘍は、任意の型の一次固形腫瘍または二次固形腫瘍であり得、これらの腫瘍としては、神経膠腫、胸部、肺、前立腺、頭部または頸部の腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
(結合メンバーおよび抗体生成)
ハイブリドーマによってモノクローナル抗体を作製するための一般的な方法論は周知である。不死化の抗体生成細胞株はまた、融合以外の技術(例えば、オンコジーンDNAを用いるBリンパ球の直接的な形質転換、またはエプスタイン−バーウイルスを用いるトランスフェクション)によっても作製され得る(例えば、M.Schreierら、「Hybridoma Techniques」(1980);Hammerlingら「Monoclonal Antibodies And T−cell Hybridomas」(1981);Kennettら、「Monoclonal Antibodies」(1980)を参照のこと;米国特許第4,341,761号;同第4,399,121号;同第4,427,783号;同第4,444,887号;同第4,451,570号;同第4,466,917号;同第4,472,500号;同第4,491,632号;同第4,493,890号もまた参照のこと)。
EGFRに対して産生されたモノクローナル抗体のパネルは、種々の特性;すなわち、アイソタイプ、エピトープ、親和性などについてスクリーニングされ得る。EGFRまたはそのサブユニットの活性を模倣するモノクローナル抗体が特に興味深い。このようなモノクローナル抗体は、特異的結合活性アッセイにおいて容易に同定され得る。高親和性抗体はまた、ネイティブまたは組換えの特異的結合メンバーの免疫親和性精製が可能である場合、有用である。
ポリクローナル抗EGFR抗体を生成するための方法は当該分野で周知である。Nestorらに対する米国特許第4,493,795号を参照のこと。モノクローナル抗体(代表的に、有用な抗体分子のFabおよび/またはF(ab’)部分を含む)は、以下に記載されるハイブリドーマ技術を用いて調製され得る:Antibodies−A Laboratory Manual、HarlowおよびLane編、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(1988)、これは、参考として本明細書中で援用される。簡単に言うと、モノクローナル抗体組成物が生成されるハイブリドーマを形成するために、骨髄腫細胞株または他の自己永続性細胞株が、適切なEGFRで過剰に免疫された哺乳動物の脾臓から得られたリンパ球と融合される。
脾細胞は代表的に、ポリエチレングリコール(PEG)6000を用いて骨髄腫細胞と融合される。融合されたハイブリットは、HATに対するそれらの感受性によって選択される。本発明の実施において有用なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、本発明の抗体または結合メンバーと免疫応答する能力、および標的細胞における特定の腫瘍形成または過剰増殖活性を阻害する能力によって同定される。
本発明の実施に有用なモノクローナル抗体は、適切な抗原特異性の抗体分子を分泌するハイブリドーマを含有する栄養培地を含むモノクローナルハイブリドーマ培養を開始することによって産生され得る。この培養物は、ハイブリドーマが培地中に抗体分子を分泌するために十分な条件および時間で維持される。次いで、抗体含有培地が収集される。次いで、抗体分子は、周知の技術によってさらに単離され得る。
これらの組成物の調製のために有用な培地は、当該分野で周知の培地および市販の培地の両方であり、合成培養培地、近交マウスなどを含む。例示的な合成培地は、4.5gm/lグルコース、20mmグルタミンおよび20%胎仔血清を補充したダルベッコ最小必須培地(DMEM;Dulbeccoら、Virol.8:396(1959))である。例示的な近交マウス系は、Balb/cである。
モノクローナル抗EGFR抗体を生成する方法はまた、当該分野で周知である。Nimanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:4949−4953 (1983)を参照のこと。代表的に、EGFRまたはペプチドアナログは、以前に記載された抗EGFRモノクローナル抗体を産生するための手順における免疫原として、単独または免疫原性キャリアに結合体化するかのいずれかで使用される。ハイブリドーマは、腫瘍形成性細胞、異常な細胞または過剰増殖性細胞に存在するEGFRと免疫応答する抗体を産生する能力についてスクリーニングされる。他の抗EGFR抗体としては、Genmab/MedarexからのHuMAX−EGFr抗体、108抗体(ATCC HB9764)(米国特許第6,217,866号)およびSchering AGからの抗体14E1(米国特許第5,942,602号)が挙げられるが、これらに限定されない。
(組換え結合メンバー、キメラ、二重特異性およびフラグメント)
一般的に、CDR3領域(配列番号2および配列番号4のCDR3領域として実質的に記載されるアミノ酸配列を含む)が、腫瘍抗原へのCDR3の結合を可能にする構造に含まれる。配列番号4のCDR3の場合において、好ましくは、これは配列番号4のVL領域によって含まれる。
「実質的に記載される」とは、本発明のCDR3領域が、配列番号2および配列番号4の特異的領域に対する同一性および高い相同性のいずれかであることを意味する。「高い相同性」とは、いくつかの置換のみ、好ましくは1〜8、好ましくは1〜5、好ましくは1〜4、または1〜3もしくは1〜2の置換がCDRにおいて作製され得ることが意図される。
本発明のCDR3を有する構造は、一般的に、抗体の重鎖配列または軽鎖配列あるいはその実質的な部分であり得、ここで、CDR3は、再配置された免疫グロブリン遺伝子によってコードされる、天然に存在するVHおよびVL抗体の可変ドメインのCDR3領域に対応する位置に局在される。免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest.第4版.US Department of Health and Human Services.1987およびそれらの最新のもの、インターネット(http://immuno.bme.nwu.edu)で現在利用可能なものを参照することによって決定され得る。
好ましくは、配列番号2の残基93〜102に実質的に記載されるようなアミノ酸配列は、ヒト重鎖可変ドメインまたはその実質的な部分においてCDR3として保持され、そして配列番号4の残基24〜34、50〜56および89〜97に実質的に記載されるようなアミノ酸配列は、それぞれ、ヒト軽鎖可変ドメインまたはその実質的な部分においてCDR1〜3として保持される。
可変ドメインは、任意の生殖細胞系列または再配置されたヒト可変ドメインから誘導され得るか、あるいは公知のヒト可変ドメインのコンセンサス配列に基づいて合成可変ドメインであり得る。本発明のCDR3由来配列(前述の段落に規定されるように)は、組換えDNA技術を使用して、CDR3領域を欠く可変ドメインのレパートリーに導入され得る。
例えば、Marksら(Bio/Technology,1992,10:779−783)は、抗体の可変ドメインのレパートリーを産生する方法を記載し、ここで、可変ドメイン領域の5’末端に指向されるか、または近接されるコンセンサスプライマーは、ヒトVH遺伝子の第3フレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーとの結合に使用され、CDR3を欠くVH可変ドメインのレパートリーを提供する。Marksらはさらに、このレパートリーがどのように特定の抗体のCDR3と結合し得るのかを記載する。類似の技術を使用して、本発明のCDR3由来配列は、CDR3を欠くVHドメインまたはVLドメインのレパートリーと混ぜ合わせられ得、そして混合された完全VHドメインまたはVLドメインは、本発明の特異的結合メンバーを提供するために、同系のVLドメインまたはVLドメインと結合され得る。次いで、レパートリーは、適切な宿主系(例えば、W092/01047のファージディスプレイ系)において提示され得、その結果、適切な特異的結合メンバーが選択され得る。レパートリーは、10個以上(例えば、10〜10または1010メンバー)の任意の個々のメンバーからなり得る。
類似の混合またはコンビナトリアル技術はまた、Stemmer(Nature,1994,370:389−391)によって開示され、Stemmerは、β−ラクタマーゼ遺伝子に関連する技術を記載するが、このアプローチが抗体の産生のために使用され得ることを観察する。
さらなる代替物は、全体の可変ドメイン内で変異を生じるために、例えば、mAb806のVH遺伝子またはVL遺伝子のランダム変異誘発を用いて、本発明のCDR3由来配列を含む、新規のVH領域またはVL領域を生成することである。このような技術は、Gramら(1992,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,89:3576−3580)によって記載される(Gramは、エラー頻発型PCRを使用した)。
使用され得る別の方法は、VH遺伝子またはVL遺伝子のCDR領域に変異誘発を指向させることである。このような技術は、Barbasら(1994,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91:3809−3813)およびSchierら(1996,J.Mol.Biol.263:551−567)によって開示される。
上記の技術の全ては、それ自体、当該分野で公知であり、そしてそれら自体で本発明の一部を形成しない。当業者は、当該分野において慣用的な方法論を用いて、本発明の特異的結合メンバーを提供するために、このような技術を使用することが可能である。
免疫グロブリン可変ドメインの実質的部分は、それらの介在性フレームワーク領域と共に、少なくとも3つのCDR領域を含む。好ましくは、この部分はまた、第1および第4フレームワーク領域の、または両方のいずれかの少なくとも約50%、第1フレームワーク領域のC末端50%および第4フレームワーク領域のN末端50%を含む。可変ドメインの実質的部分のN末端またはC末端でのさらなる残基は、天然に存在する可変ドメイン領域と通常会合しない残基である。例えば、組換えDNA技術によって作成された本発明の特異的結合メンバーの構築は、導入されたリンカーによってコードされるN末端またはC末端の残基の導入を生じさせ得、クローニングまたは他の操作工程を容易にし得る。他の操作工程としては、免疫グロブリン重鎖、他の可変ドメイン(例えば、二重抗体の産生における)またはより詳細に下に考察されるようなタンパク質標識を含むさらなるタンパク質配列に本発明の可変ドメインを結合するためのリンカーの導入が挙げられる。
本発明の好ましい局面において、配列番号2および配列番号4に実質的に記載される配列に基づく1対の結合ドメインを含む特異的結合メンバーが好ましいが、これらの配列のいずれかに基づく単一結合ドメインは本発明のさらなる局面を形成する。配列番号2に実質的に記載される配列に基づく結合ドメインの場合において、このような結合ドメインは、腫瘍抗原に対する標的薬剤として使用され得る。なぜなら、免疫グロブリンVHドメインが特異的様式で標的抗原に結合し得ることが公知であるからである。
単鎖抗体に特異的に結合するドメインのうちのいずれかの場合、これらのドメインは、2つのドメインに特異的に結合するメンバーを形成し得る相補的ドメインについてスクリーニングするために使用され得、このメンバーは、本明細書中に開示されるmAb806抗体と同程度に良好であるかまたは等しいインビボ特性を有する。
このことは、米国特許第5,969,108号に開示されるような、いわゆる階層的二重コンビナトリアルアプローチを使用するファージディスプレイスクリーニング法によって、達成され得る。ここで、H鎖クローンまたはL鎖クローンのいずれかを含む個々のコロニーが、他方の鎖(LまたはH)をコードするクローンの完全なライブラリーを感染するために使用され、そして得られる2つの鎖に特異的な結合メンバーが、この参考文献に記載されるもののようなファージディスプレイ技術に従って選択される。この技術はまた、Marksら(同書)にも開示されている。
本発明の特異的結合メンバーは、抗体定常領域またはその一部をさらに含み得る。例えば、配列番号4に基づく特異的結合メンバーは、そのC末端において、抗体の軽鎖定常ドメイン(ヒトCκ鎖またはヒトCλ鎖が挙げられ、好ましくはCλ鎖)に付着し得る。同様に、配列番号2に基づく特異的結合メンバーは、そのC末端において、任意の抗体アイソタイプ(例えば、IgG、IgA、IgE、IgDおよびIgM)および任意のアイソタイプサブクラス(特に、IgG1、IgG2b、およびIgG4であり、IgG1が好ましい)由来の免疫グロブリン重鎖のすべてまたは一部に付着し得る。
25年前のモノクローナル抗体(mAb)技術の出現は、有用な研究試薬の莫大なレパートリーを提供し、そして抗体を、癌治療、自己免疫障害、移植拒絶、抗ウイルス予防法における認可された薬学的試薬、および抗血栓剤として使用する機会を生じた(GlennieおよびJohnson 2000)。マウスmAbをキメラmAb(マウスV領域、ヒトC領域)に転換するための分子操作の適用、およびmAb相補性決定領域(CDR)のみがマウスを起源とする場合のヒト化試薬は、mAb治療の臨床的成功のために重要であった。操作されたmAbは、免疫原性が顕著に減少しているかまたは有さず、血清半減期が増加しており、そしてmAbのヒトFc部分は、補体および細胞傷害性細胞の免疫効果を漸増させる可能性を増加させる(Clark 2000)。生体分布、薬物速度論および臨床的に投与されたmAbに対する免疫応答の何らかの誘導についての調査は、薬学的タンパク質と内因性タンパク質とを区別するための分析の開発を必要とする。
抗体、またはその任意のフラグメントはまた、任意の細胞毒素、細菌毒素または他の毒素(例えば、シュードモナス体外毒素、リシン、またはジフテリア毒素)に結合体化され得るか、または組換え的に融合され得る。使用される毒素の一部は、毒素全体、または毒素の任意の特定のドメインであり得る。このような抗体−毒素分子は、異なる種類の癌の標的化および治療のために、首尾よく使用されている。例えば、Pastan,Biochim Biophys Acta.1997 Oct 24;1333(2):C1−6;Kreitmanら,N Engl J Med.2001 Jul 26;345(4):241−7;Schnellら,Leukemia.2000 Jan;14(1):129−35;Ghetieら,Mol Biotechnol.2001 Jul;18(3):251−68を参照のこと。
二重特異的多量体および三重特異的多量体は、異なるscFv分子の会合によって形成され得、そして腫瘍内へのT細胞漸増のための架橋剤(免疫療法)、ウイルス再標的化(遺伝子療法)および赤血球凝集試薬(免疫診断)として、設計されている。例えば、Todorovskaら,J Immunol Methods.2001 Feb 1;248(1−2):47−66;Tomlinsonら,Methods Enzymol.2000;326:461−79;McCallら,J Immunol.2001 May 15;166(10):6112−7を参照のこと。
完全ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の大部分を保有するトランスジェニックマウスを免疫することによって、調製され得る。これらのマウス(このようなマウスの例は、XenomouseTM(Abgenix,Inc.)(米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号)、HuMAb−MouseTM(Medarex,Inc./GenPharm)(米国特許第5545806号および同第5569825号)、TransChromo MouseTM(Kirin)およびKM MouseTM(Medarex/Kirin)である)は、当該分野において周知である。次いで、抗体は、例えば、標準的なハイブリドーマ技術またはファージディスプレイによって調製され得る。このようにして、これらの抗体は、完全ヒトアミノ酸配列のみを含む。
完全ヒト抗体はまた、ヒトライブラリーからファージディスプレイを使用して作製され得る。ファージディスプレイは、当業者に周知の方法(例えば、HoogenboomらおよびMarksら(Hoogenboom HRおよびWinter G.(1992)J Mol Biol.227(2):381−8;Marks JDら(1991)J Mol Biol.222(3):581−97;ならびにまた米国特許第5885793号および同第5969108号))を使用して実施され得る。
(治療抗体および使用)
本発明の特異的結合メンバーのインビボ特性(特に、腫瘍:血液比およびクリアランス速度に関して)は、少なくともmAb806に匹敵する。ヒトまたは動物の被験体にこのような特異的結合メンバーを投与した後に、1:1より大きいピークの腫瘍対血液比を示す。好ましくは、このような比において、特異的結合メンバーはまた、1:1より大きい比、好ましくは2:1より大きい比、より好ましくは、5:1より大きい比の腫瘍対器官比を有する。好ましくは、このような比において、特異的結合メンバーはまた、腫瘍の部位から離れた器官において、1:1未満の器官対血液比を有する。これらの比は、投与された特異的結合メンバーの異化作用器官および分泌器官を除く。従って、scFvおよびFabの場合(添付の実施例に示されるように)、結合メンバーは、腎臓によって分泌され、そして腎臓に、他の器官より多く存在する。IgG全体の場合、クリアランスは、少なくとも部分的に、肝臓による。インタクトな抗体のピーク局在比は、通常、特異的結合メンバーの投与の10時間後と200時間後との間に達成される。より具体的には、この比は、無胸腺症ヌードマウスの一方の側腹部において皮下に形成される、約0.2〜1.0gの腫瘍異種移植片において測定され得る。
本発明の抗体は、検出可能な標識または機能的標識で標識され得る。検出可能な標識としては、同位体H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、121I、124I、125I、131I、111In、211At、198Au、67Cu、225Ac、2l3Bi、99Tcおよび186Reのような放射性同位元素標識が挙げられるが、これらに限定されず、抗体画像化の分野において公知の従来の化学を使用して、本発明の抗体に付着され得る。標識としてはまた、蛍光標識およびMRI−CT画像のために当該分野において従来使用される標識が挙げられる。これらとしてはまた、ホースラディッシュペルオキシダーゼのような酵素標識が挙げられる。標識としてはさらに、ビオチンのような化学部分が挙げられ、これは、特定の同源物質を検出可能な部分(例えば、標識アビジン)に結合することによって、検出され得る。
機能的標識としては、腫瘍の部位に標的化されて腫瘍組織の破壊を引き起こすように設計された物質が挙げられる。このような機能的標識としては、細胞傷害性薬物(例えば、5−フルオロウラシルまたはリシン)および酵素(例えば、細菌性カルボキシペルオキシダーゼまたはニトロレダクターゼ)が挙げられ、これらは、腫瘍の部位において、プロドラッグを活性薬物に転換し得る。
また、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体との両方を含む抗体、ならびに特異的結合メンバー、抗体および/またはこれらのサブユニットの産生または活性を調節する薬物は、特定の診断適用を有し得、そして例えば、癌、癌前の病変、過剰増殖性の細胞の増殖に関連するかまたはその結果である状態などのような状態を検出および/または測定する目的で、利用され得る。例えば、特異的結合メンバー、抗体またはそのサブユニットを使用して、公知の技術(例えば、融合したマウス脾臓リンパ球および骨髄腫細胞を利用するハイブリドーマ技術など)によって、種々の細胞培地中で、それら自体に対するポリクローナル抗体とモノクローナル抗体との両方を産生し得る。同様に、本発明の特異的結合メンバーの活性を模倣または拮抗する低分子が、発見または合成され得、そして診断および/または治療のプロトコルにおいて使用され得る。
放射性同位体標識された特異的結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント)は、インビトロ診断技術ならびにインビボでの放射線画像化技術および放射免疫治療において有用である。インビボでの画像化の例において、本発明の特異的結合メンバーは、放射性同位体よりむしろ、画像化薬剤(磁気共鳴画像増強剤が挙げられるが、これに限定されない)に結合体化され得、ここで、例えば、抗体分子が、多数の常磁性イオンを、キレート基を介して負荷される。キレート基の例としては、EDTA、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、およびポリオキシムが挙げられる。常磁性イオンの例としては、ガドリニウム、鉄、マンガン、レニウム、ユーロピウム、ランタン、ホルミウム、およびテルビウム(ferbium)が挙げられる。本発明のさらなる局面において、放射性同位体標識された特異的結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント、特に、放射性免疫結合体)は、放射免疫治療において、特に、癌治療のための放射性同位体標識された抗体として、有用である。なおさらなる局面において、放射性同位体標識された特異的結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント)は、放射免疫誘導手術技術において有用であり、ここで、これらのメンバーは、癌細胞、癌前細胞、腫瘍細胞、および過剰増殖細胞の存在および/または位置を、このような細胞を除去する手術の前、手術の間または手術の後に、同定および指示し得る。
本発明の免疫結合体または抗体融合タンパク質(ここで、本発明の特異的結合メンバー、特に、抗体およびそのフラグメントは、他の分子または薬剤に結合体化または付着されている)としては、さらに、化学解離剤、毒素、免疫調節因子、サイトカイン、細胞傷害性因子、化学療法剤または薬物に結合体化された、結合メンバーが挙げられるが、これらに限定されない。
放射免疫治療(RAIT)は、種々の抗体免疫結合体を使用して、臨床的効力および実証効力を増強させた。131Iで標識されたヒト化抗癌胎児抗原(抗CEA)抗体hMN−14は、結腸直腸癌において評価され(Behr TMら(2002)Cancer 94(補遺4):1373−81)、そして90Y標識を有するこの抗体は、髄質の甲状腺癌腫において評価された(Stein Rら(2002)Cancer 94(1):51−61)。モノクローナル抗体を使用する放射免疫治療もまた、非ホジキンリンパ腫および膵臓癌について、評価および報告されている(Goldenberg DM(2001)Crit Rev Oncol Hematol 39(1−2):195−201;Gold DVら(2001)Crit Rev Oncol Hematol 39(1−2)147−54)。特定の抗体を用いる放射免疫治療の方法もまた、米国特許第6,306,393号および同第6,331,175号に記載されている。放射免疫誘導手術(RIGS)もまた、臨床実習に入り、そして効力および有用性が実証されている(抗CEA抗体および腫瘍関連抗原に対する抗体の使用を含む)(Kim JCら(2002)Int J Cancer 97(4):542−7;Schneebaum Sら(2001)World J Surg 25(12):1495−8;Avital Sら(2000)Cancer 89(8):1692−8;McIntosh DGら(1997)Cancer Biother Radiopharm 12(4):287−94)。
本発明の抗体は、処置を必要とする患者に、任意の適切な経路で、通常は、血流もしくはCSFへ、または腫瘍の部位への直接の注射によって、投与され得る。正確な用量は、多数の要因(その抗体が診断用であるか処置用であるか、腫瘍の大きさおよび位置、抗体の正確な性質(抗体全体であるか、フラグメントであるか、ダイアボディー(diabody)であるかなど)、ならびにその抗体に付着した検出可能標識または機能的標識の性質が挙げられる)に依存する。放射性核種が治療のために使用される場合、適切な最大の単回用量は、約45mCi/mであり、最大で約250mCi/mである。好ましい投薬量は、15〜40mCiの範囲であり、さらに好ましい投薬範囲は、20〜30mCi、または10から30mCiである。このような治療は、骨髄置換または幹細胞置換を必要とし得る。腫瘍の画像化または腫瘍の処置のいずれかのための、代表的な抗体の用量は0.5〜40mg、好ましくは1〜4mgの、F(ab’)2形態の抗体の範囲である。裸の抗体は、1用量あたり20〜1000mgのタンパク質、または1用量あたり20〜500mgのタンパク質または1用量あたり20〜100mgのタンパク質の用量で、好ましく投与される。これは、成人患者の1回の処置についての用量であり、これは、小児および幼児に対しては適切に調節され得、そしてまた、分子量に比例させて、他の抗体形式について調整され得る。処置は、毎日、1週間に2回、隔週または隔月で、医師の計らいで繰り返され得る。
これらの処方物は、第二の結合タンパク質(例えば、前出で記載されたEGFR結合タンパク質)を含み得る。特に好ましい形態において、この第二の結合タンパク質は、前出で議論された528または225のようなモノクローナル抗体である。
(薬学製組成物および治療組成物)
本発明の特異的結合メンバーは、通常、薬学的組成物の形態で投与され、この組成物は、この特異的結合メンバーに加えて、少なくとも1つの成分を含有し得る。
従って、本発明による薬学的組成物は、本発明による使用のために、活性成分に加えて、薬学的に受容可能な賦形剤、キャリア、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含有し得る。このような材料は、非毒性であるべきであり、そして活性成分の効力に影響を与えないべきである。キャリアまたは他の材料の正確な性質は、投与経路(これは、経口、または注射(例えば、静脈内)であり得る)に依存する。
経口投与のための薬学的組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤または液体形態であり得る。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントのような固体キャリアを含有し得る。液体の薬学的組成物は、一般に、水、石油、動物性油または植物性油、鉱油あるいは合成油のような、液体キャリアを含有する。生理食塩水、ブドウ糖または他の糖類の溶液、あるいはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)が、含有され得る。
静脈内注射、または苦痛の部位での注射のためには、活性成分は、非経口的に受容可能な水溶液(これは、発熱物質を含まず、そして適切なpH、等張性および安定性を有する)の形態である。当業者は、例えば、等張性ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム注入剤、リンガー注入剤、乳酸加リンガー注入剤)を使用して、適切な溶液を調製することが十分に可能である。防腐剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤、および/または他の添加剤が、必要に応じて含有され得る。
組成物は、処置される状態に依存して、単独でかまたは他の処置、治療剤もしくは薬剤と組み合わせて、同時にかまたは連続してかのいずれかで、投与され得る。さらに、本発明は、本明細書中に記載される結合メンバー(特に、抗体またはそのフラグメント)、および他の薬剤または治療剤(例えば、抗癌剤もしくは治療剤、ホルモン、抗EGFR抗原もしくは抗体、または免疫調節因子)を含有する組成物を企図し、そして包含する。より一般的には、これらの抗癌剤は、チロシンキナーゼインヒビターまたはリン酸化カスケードインヒビター、翻訳後修飾因子、細胞増殖インヒビターまたは***インヒビター(例えば、抗有糸***薬)、あるいはシグナル伝達インヒビターであり得る。他の処置および治療としては、適切な用量の疼痛軽減薬物(例えば、非ステロイド系抗炎症薬物(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェンもしくはケトプロフェン)またはモルヒネのようなアヘン剤)、あるいは制吐薬の投与が挙げられ得る。この組成物は、チロシンキナーゼインヒビター(AG1478およびZD1839、STI571、OSI−774、SU−6668が挙げられるが、これらに限定されない)、ドキソルビシン、テモゾロミド、シスプラチン、カルボプラチン、ニトロソ尿素、プロカルバジン、ビンクリスチン、ヒドロキシ尿素、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エピポドフィロトキシン、カルムスチン、ロムスチン、および/または他の化学療法剤と組み合わせて(連続的に(すなわち、前もしくは後に)または同時にのいずれか)、投与され得る。従って、これらの薬剤は、抗EFGR特異的抗原、またはチロシンキナーゼインヒビター(例えば、AG1478、ZD1839、STI571、OSI−774、またはSU−6668)であり得るか、あるいはより一般的な抗癌剤および抗腫瘍剤(例えば、ドキソルビシン、シスプラチン、テモゾロミド、ニトロソ尿素、プロカルバジン、ビンクリスチン、ヒドロキシ尿素、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エピポドフィロトキシン、カルムスチン、またはロムスチン)であり得る。さらに、この組成物は、デキサメタゾンのようなホルモン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)のような免疫調節因子、あるいは免疫応答および癌細胞もしくは腫瘍の減少または排除を刺激する他の増殖因子またはサイトカインと共に投与され得る。TNFのような免疫調節因子は、二重特異的抗体の形態で、本発明のメンバーと一緒に組み合わせられ、806EGFRエピトープを認識し、そしてTNFレセプターに結合し得る。この組成物はまた、他の抗EGFR抗体とともに投与され得るか、またはこの抗体との組み合わせを含有し得、この抗体としては、抗EGFR抗体528、225、SC−03、DR8.3、L8A4、Y10、ICR62およびABX−EGFが挙げられるが、これらに限定されない。
以前に、ドキソルビシンおよびシスプラチンのような薬剤の、抗EGFR抗体と組み合わせての使用は、増強された抗腫瘍活性を生じた(Fanら,1993;Baselgaら,1993)。ドキソルビシンとmAb528との組合せは、樹立されたA431異種移植片の完全な根絶をもたらし、一方でいずれかの薬剤単独を用いる処置は、インビボでの増殖の阻害を一時的にのみ引き起こした(Baselgaら、1993)。同様に、シスプラチンと、mAb28または225のいずれかとの組合せもまた、十分に樹立されたA431異種移植片の根絶をもたらし、これは、いずれかの薬剤を用いる処置が使用された場合には、観察されなかった(Fanら、1993)。
(従来の放射線治療)
さらに、本発明は、従来の放射線治療と組み合わせた結合メンバーの使用のための、治療組成物を企図し、そして包含する。EGFレセプターを標的化する抗体を用いる処置は、従来の放射線治療の効果を増強し得ることが示されている(Milasら,Clin Cancer Res.2000 Feb:6(2):701 8,Huangら,Clin Cancer Res.2000 Jun:6(6):2166 74)。
本明細書中で実証されるように、本発明の結合メンバー(特に、抗体またはそのフラグメント、好ましくは、mAb806、ch806またはそのフラグメント)と、抗癌治療剤(特に、抗EGFR治療剤であり、他の抗EGFR抗体を含む)との組合せは、異種移植された腫瘍に対する効果的な治療、および特に、相乗作用を示す。実施例において、AG1478とmAb806との組合せは、いずれかの薬剤単独での処置と比較して、有意に増強されたA431異種移植腫瘍体積の減少を生じることが実証される。AG1478(4−(3−クロロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン)は、EGFレセプターキナーゼの強力かつ選択的なインヒビターであり、そして特に、米国特許第5,457,105号(その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載されている(Liu,W.ら(1999)J.Cell Sci.112:2409;Eguchi,S.ら(1998)J.Biol.Chem.273:8890;Levitsky,A.およびGazit,A.(1995)Science 267:1782もまた参照のこと)。本明細書の実施例は、806抗体の、他の抗EGFR抗体(特に、528抗EGFR抗体)との治療的相乗作用をさらに実証する。
本発明は、本発明の治療方法を実施する際に有用な治療組成物をさらに企図する。本発明の治療組成物は、混合物中に、薬学的に受容可能な賦形剤(キャリア)、および活性成分として、本明細書中に記載されるような1種以上の特異的結合メンバー、そのポリペプチドアナログまたはそのフラグメントを含有する。好ましい実施形態において、この組成物は、本発明の結合メンバー/抗体の、標的細胞との特異的結合を調節し得る抗原を含有する。
ポリペプチド、アナログまたは活性フラグメントを、活性成分として含有する治療組成物の調製は、当該分野において十分に理解されている。代表的に、このような組成物は、注射可能物(injectable)(液体の溶液または懸濁液としてのいずれか)として調製される。しかし、注射の前に液体中の溶液または懸濁液に適切な固体形態もまた、調製され得る。この調製物はまた、乳化され得る。活性な治療剤成分は、しばしば、薬学的に受容可能でありかつその活性成分と適合性の賦形剤と混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組合せである。さらに、所望であれば、この組成物は、活性成分の有効性を増強する少量の補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤)を含有し得る。
ポリペプチド、アナログまたは活性なフラグメントは、中和された、薬学的に受容可能な塩の形態で、治療組成物に処方され得る。薬学的に受容可能な塩としては、酸付加塩(ポリペプチドまたは抗体分子の遊離アミノ基と形成される)が挙げられ、そしてこれらは、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸など)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)と形成される。遊離カルボキシル基から形成される塩もまた、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化鉄など)および有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導され得る。
治療用のポリペプチド含有組成物、アナログ含有組成物または活性フラグメント含有組成物は、例えば、単位用量の注入によって静脈内に慣用的に投与される。本発明の治療用組成物に関して使用される場合、用語「単位用量」は、ヒトに対する単位投薬量として適切な物理的に別個の単位をいい、各単位は、必要とされる希釈剤(すなわち、キャリア、またはビヒクル)とともに、所望される治療効果を生じるように計算された、予め決められた量の活性物質を含む。
この組成物は、投薬量処方物と適合可能な様式で、かつ治療有効量で投与される。投与される量は、処置される被験体(活性成分を利用するための被験体の免疫系の能力、および所望されるEFGRの結合能力の程度)に依存する。投与されるのに必要とされる活性成分の正確な量は、医者の判断に依存し、各個体に特有である。しかし、適切な投薬量は、1日に、個体の体重1kg当たり、約0.1mg〜20mg、好ましくは、約0.5mg〜約10mg、そしてより好ましくは、1mg〜数mgの活性成分の範囲であり得、そして投与の経路に依存し得る。初回の投与およびブースターショットのための適切なレジメンもまた変動し得るが、初回の投与後に、続く注射または他の投与により1時間以上の間隔を空けて投薬が繰り返されるのが典型的である。あるいは、血液中で10nM〜10μMの濃度を維持するのに十分な連続する静脈注入が、企図される。
経口投与のための薬学的組成物は、錠剤形態、カプセル形態、粉末形態または液体形態であり得る。錠剤は、固体キャリア(例えば、ゼラチンまたはアジュバンド)を含み得る。液体の薬学的組成物は、一般に、液体キャリア(例えば、水、石油、動物油、植物油、鉱油、または合成油)を含む。生理食塩水溶液、デキストロース溶液もしくは他のサッカライド溶液、またはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)が、含まれ得る。
静脈内注射、または痛みのある部位での注射のために、活性成分が、発熱物質を含まず、かつ適切なpH、等張性および安定性を有する、非経口的に受容可能な水溶液の形態である。当業者は、例えば、等張性ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム注射液、リンガー液、乳酸加リンガー液)の使用に適切な溶液を十分に調製し得る。保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤および/または他の添加剤が、必要な場合に、含まれ得る。
(診断アッセイ)
本発明はまた、種々の診断適用(本発明の特定の結合メンバーによって認識されるそれらの能力を参照することにより、異常に発現したEGFRのような刺激物の存在を検出するための方法を含む)に関する。上記のように、このEGFRは、種々の公知の技術によって、抗体をそれ自体に産生するために使用され得、次いで、このような抗体は単離され、推定標的細胞中における特定のEGFR活性の存在についての試験において利用され得る。
本発明の特定の結合メンバー(特に、抗体およびそのフラグメント)の診断適用としては、当業者に周知かつ標準的であり、本明細書中の記載に基づく、インビボ適用およびインビトロ適用が挙げられる。(特に、EGFRの異常な発現に関する)EFGR状態のインビトロ判定およびインビトロ評価のための、診断アッセイおよび診断キットは、癌、前癌状態、過剰増殖細胞の増殖に関連する状態を有していることが既知であるか、もしくはこれらの状態を有していると疑われるものを含む患者のサンプルまたは腫瘍サンプル由来のサンプルを判定、評価およびモニタリングするために利用され得る。EGFR判定の診断および評価はまた、薬物の臨床実験についての患者の適合性、または本発明の特定の化学療法剤もしくは特異的な結合メンバー(特に、抗体)(これらの組み合わせを含む)の投与についての患者の適合性を、異なる薬剤または結合メンバーに対して決定するのに有用である。このタイプの診断モニタリングおよび判定は、乳癌においてHER2タンパク質に対する抗体を既に実際に利用しており(Hercep Test,Dako Corporation)、ここで、このアッセイをまた使用して、Herceptinを利用する抗体療法のために患者を評価する。インビトロ適用としては、腫瘍の画像化または個体の癌の状態の評価(放射線画像化を含む)が挙げられる。
上記で示唆したように、本発明の診断方法は、EFGR/タンパク質に対する有効量のアンタゴニスト(例えば、抗−EFGR抗体、好ましくは、親和性により精製されたポリクローナル抗体、そしてより好ましくは、mAb)を含むアッセイ手段によって、細胞サンプルまたは培地を試験する工程を包含する。さらに、本明細書中で使用される抗−EFGR抗体分子が、Fab部分、Fab’部分、F(ab’)部分、もしくはF(v)部分、または抗体分子全体の形態であることが、好ましい。上記で議論されるように、この方法から利益を受け得る患者としては、癌、前癌病変、ウイルス感染、過剰増殖細胞の増殖もしくは他の同様の病理的障害に関連するかもしくはこれにより生じる病理、を患っている患者が挙げられる。EFGRを単離して、抗EFGR抗体を誘導するための方法、ならびに標的細胞の試験を補助する抗EFGR抗体の能力を決定および最適化するための方法は、全て、当該分野で周知である。
好ましくは、本発明の診断方法において使用される抗EFGR抗体は、親和性により精製されたポリクローナル抗体である。より好ましくは、この抗体は、モノクローナル抗体(mAb)である。さらに、本明細書中で使用される抗EFGR抗体分子は、Fab部分、Fab’部分、F(ab’)部分、もしくはF(v)部分、または抗体分子全体の形態であり得る。
上記で詳細に議論されているように、EGFRに対する抗体は、周知のハイブリドーマ技術を含む標準的な方法によって産生および単離され得る。便宜のために、EGFRに対する抗体は、本明細書中で、Abと呼ばれ、そして別の種において惹起される抗体をAbと呼ぶ。
細胞中でのEGFRの存在は、このような決定に対して適切な、通常のインビトロ免疫学的手順またはインビボ免疫学的手順によって確認され得る。多数の有用な手順が、公知である。特に有用であるこのような3つの手順は、検出可能な標識で標識されたEGFR、検出可能なレベルで標識された抗体Ab、または検出可能な標識で標識された抗体Abのいずれかを利用する。この手順は、以下の式によって要約され得、ここでこのアスタリスクは、この粒子が標識されていることを示し、「R」は、EGFRを表す:
A.R+Ab=RAb
B.R+Ab=RAb
C.R+Ab+Ab =RAbAb
この手順およびそれらの適用は、当業者に全て熟知されており、従って、本発明の範囲内で利用され得る。この「競合」手順(手順A)は、米国特許第3,654,090号および同第3,850,752号において記載されている。手順C(サンドイッチ手順)は、米国特許RE31,006号および同第4,016,043号に記載されている。「二重抗体」または「DASP」手順のような、さらに別の手順が公知である。
上記の各場合において、EGFRは、1種以上の抗体または結合パートナーとの複合体を形成し、その複合体の1つのメンバーは、検出可能な標識で標識される。複合体が形成されるという事実、および所望の場合、その量が、標識の検出に適用可能な公知の方法によって決定され得る。
Abの特徴のある特性は、AbがAbと反応することであるということが、上記から理解される。これは、ある哺乳動物種において惹起されるAbが、抗体Abを惹起するために、抗原として別の種において使用されているからである。例えば、Abは、ヤギにおいて、抗原としてウサギの抗体を使用して惹起され得る。従って、Abは、ヤギにおいて惹起される抗ウサギ抗体である。この記載および特許請求の範囲の目的のために、Abは、一次抗体または抗EGFR抗体をいい、そしてAbは、二次抗体または抗Ab抗体をいう。
これらの研究のために最も一般的に使用される標識は、放射性元素、酵素、紫外線に曝露した場合に蛍光を発する化学物質などである。多数の蛍光物質が公知であり、そして標識として利用され得る。これらには、例えば、フルオレセイン、ローダミン、オーラミン、Texas Red、AMCAブルーおよびLuciferイエローが挙げられる。特定の検出物質は、ヤギにおいて調製される抗ウサギ抗体であり、そしてイソチオシアネートを介してフルオレセインと結合体化される。
EGFRまたはその結合パートナー(例えば、本発明の特異的な結合メンバー)はまた、放射性元素または酵素により標識され得る。この放射性標識は、現在利用可能な計数手順のいずれかによって検出され得る。好ましい同位体は、H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、121I、124I、125I、131I、111In、211At、198Au、67Cu、225Ac、213Bi、225Ac、213Bi、99Tcおよび186Reから選択され得る。
酵素標識は、同様に有用であり、そして現在利用されている,比色技術、分光測光技術、蛍光分光測光技術、電流測定技術または気体定量技術によって検出され得る。この酵素は、架橋分子(例えば、カルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなど)との反応によって選択粒子に結合体化される。これらの手順において使用され得る多くの酵素は、公知であり、そして利用され得る。ペルオキシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが、好ましい。米国特許第3,654,090号;同第3,850,752号;および同第4,016,043号には、代替の標識物質および標識方法の開示が、例示の目的で言及されている。
本発明に従って有利に利用され得る特定のアッセイシステムは、レセプターアッセイとして公知である。レセプターアッセイにおいて、特異的な結合メンバーのようなアッセイされる物質が、適切に標識され、次いで、特定の細胞試験コロニーに、一定量の標識された物質および標識されていない物質の両方とともに播種し、この後、結合研究を、標識された物質が細胞レセプターに結合する程度を決定するために行う。この方法において、物質間の親和性の差を、確認し得る。
従って、精製した量の特異的な結合メンバーを、放射標識し得、例えば、このメンバーに対する抗体または他のインヒビターと合わせ得、この後、結合研究を実施する。次いで、一定の量の、標識された未結合の特異的結合メンバーおよび標識されていない未結合の特異的結合メンバーを含む溶液を調製し、次いで、細胞サンプルを播種し、そしてその後、インキュベートする。次いで、得られた細胞の単層を洗浄し、溶解し、次いで十分な時間をかけてγ線計数器で計数し、5%未満の標準誤差を得た。次いで、これらのデータを、Scatchard分析に供し、その後、物質の活性に関する観察および結果が得られ得る。上記は、例示であるが、レセプターアッセイが実施され得、そして利用され得る様式を例示し、この場合、アッセイされる材料の細胞結合能は、区別可能な特性として役立ち得る。
本発明に従って有用であり、そして企図されるアッセイは、「シス/トランス」アッセイとして公知である。簡単には、このアッセイは、2種類の遺伝子構造を利用する、その一方は、代表的に、適切な細胞株中にトランスフェクトされた場合に、目的の特定のレセプターを構成的に発現するプラスミドであり、そしてその2番目は、レセプター/リガンド複合体の制御下で、ルシフェラーゼのようなレポーターを発現するプラスミドである。従って、例えば、特定のレセプターに対するリガンドとして化合物を評価することが所望される場合、そのプラスミドの一方は、選択された細胞株中でレセプターの発現を生じる構築物であるが、この2番目のプラスミドは、特定のレセプターに対する応答エレメントが挿入されている、ルシフェラーゼ遺伝子に連結されたプロモーターを有する。試験において化合物が、レセプターに対するアゴニストである場合、このリガンドは、レセプターとの複合体を形成し、そして得られた複合体は、応答エレメントに結合し、そしてルシフェラーゼ遺伝子の転写を開始する。次いで、得られた化学発光を、測光法により測定し、そして用量応答曲線を得、そして公知のリガンドの用量応答曲線と比較する。上記のプロトコールは、米国特許第4,981,784号およびPCT国際公開番号WO88/03168号(当業者がその目的について参照する)において詳細に記載されている。
本発明のさらなる実施形態において、医療専門家による使用に適した市販の試験キットが、EGFRの異常な発現(推定される標的細胞中における、増幅されたEGFRおよび/またはEGFRの変異が挙げられるが、これらに限定されない)の存在または非存在を決定するために調製され得る。上記で議論した試験技術に従って、このようなキットの一つのクラスは、少なくとも標識されたEGFRまたはその結合パートナー(例えば、このEGFRに特異的な抗体)、および指示書を含み、当然、この指示書は、選択される方法(例えば、「競合」、「サンドイッチ」、「DASP」など)に依存する。このキットはまた、周辺的な試薬(例えば、緩衝液、安定剤など)も含むみ得る。
従って、試験キットは、EGFRの存在、またはEGFRの異常な発現または翻訳後の改変に関する細胞の能力を実証するために調製され得、このキットは、以下:
(a)本発明の特異的な結合メンバーまたはそれに対する特異的な結合パートナーを、検出可能なラベルに直接的または間接的に結合させることによって得られる、予め決められた量の少なくとも1種の標識された免疫学的反応成分;
(b)他の試薬;および
(c)上記キットの使用のための指示書、
を含む。
より具体的に、診断用試験キットは、以下:
(a)一般に固相に結合して、イムノソルベントを形成するか、あるいは最終産物などのような適切なタグ(または、それらの結合パートナー)に結合する、上記のような公知の量の特異的な結合メンバー(または結合パートナー)
(b)必要な場合、他の試薬;および
(c)上記試験キットの使用のための指示書、
を含む。
さらなるバリエーションにおいて、この試験キットは、上述の目的のために調製および使用され得、これは、予め決められたプロトコール(例えば、「競合」、「サンドイッチ」、「二重抗体」など)に従って操作され、このキットは、以下:
(a)特異的な結合メンバーを検出可能なラベルにカップリングすることによって得られた、標識された成分;
(b)少なくとも1種の試薬が、リガンドまたは固定リガンドである、1種以上のさらなる免疫化学的試薬;および
(c)EFGRとEFGRに対する特異的な結合メンバーとEFGRに対する特異的な結合パートナーとの間の免疫化学的反応の1つ以上の成分を検出および/または測定するためのプロトコールの実施のための指示書、
を含むキットであって、このリガンドは、以下:
(i)標識された成分(a)と結合し得るリガンド;
(ii)標識された成分(a)の結合パートナーと結合し得るリガンド;
(iii)測定される、成分の少なくとも1種と結合し得るリガンド;および
(iv)測定される、少なくとも1種の成分の結合パートナーの少なくとも1種と結合し得るリガンド、
からなる群から選択される。
上記に従って、EFGRの活性、EFGRの異常な発現もしくは翻訳後の改変、および/または特異的な結合メンバーの活性もしくは結合を調節するのに有効な、潜在的な薬物をスクリーニングするためのアッセイシステムが、調製され得る。このレセプターまたは結合メンバーは、試験システムに導入され得、そしてこの推定薬物がまた、得られた細胞培養物中に導入され得、そしてその後、この培養物を、推定薬物単独の添加か、または公知の薬剤の追加量の効果のいずれかに起因する、細胞のS期活性におけるいかなる変化も観察するために試験され得る。
(核酸)
本発明は、本発明の特異的な結合メンバーをコードする、単離された核酸を提供する。核酸は、DNAおよびRNAを含有する。好ましい局面において、本発明は、上に定義されるような本発明のポリペプチドをコードする核酸を提供し、これには、以下が挙げられる:配列番号2の残基93〜102または配列番号2の26〜35A、49〜64および93〜102として記載されるようなポリペプチド、配列番号4の残基24〜34、50〜56および89〜97として記載されるようなポリペプチド、ならびに配列番号2および配列番号4のポリペプチド全体。
本発明はまた、上記のような少なくとも1種のポリヌクレオチドを含む、プラスミド、ベクター、転写カセットまたは発現カセットの形態の構築物を提供する。
本発明はまた、上記のような1種以上の構築物を含む、組換え宿主細胞を提供する。それ自体が提供される、任意の特異的な結合メンバーをコードする核酸は、特異的な結合メンバーの産生方法を同様に、本発明の局面を形成し、この方法は、コードする核酸からの発現を含む。発現は、適切な条件下で、核酸を含む組換え宿主細胞を培養することによって簡便に達成され得る。発現による産生後に、特異的結合メンバーは、任意の適切な技術を使用して単離および/または精製され得、次いで適切に使用され得る。
本発明に従う、特異的結合メンバーならびにコードする核酸分子およびベクターを、例えば、それらの天然の環境から、実質的に純粋な形態もしくは均質な形態で単離および/または精製して提供し得、あるいは核酸の場合において、これらの特異的結合メンバーならびにコードする核酸分子およびベクターは、必要とされる機能を有するポリペプチドをコードする配列以外の核酸または遺伝子起源を、含まないか、または実質的に含まないものであり得る。本発明に従う核酸は、DNAまたはRNAを含み得、そして全体的または部分的に合成され得る。
種々の異なる宿主細胞において、ポリペプチドのクローニングおよび発現系は、周知である。適切な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物細胞、酵母、およびバキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現のために当該分野で利用可能な哺乳動物の細胞株としては、チャイニーズハムスターの卵巣細胞、HeLa細胞、乳児ハムスターの腎臓細胞、NSOマウス黒色腫細胞および他に多くが挙げられる。一般に、好ましい細菌の宿主は、E.coliである。
原核生物細胞(例えば、E.coli)における抗体および抗体フラグメントの発現は、当該分野で十分に確立されている。総説として、例えば、Plueckthum,A.Bio/Technology 9:545−551(1991)を参照のこと。培養物中での真核生物細胞の発現はまた、特異的結合メンバーの産生に関する選択肢として当業者に利用可能であり、最近の総説として、例えば、Raff,M.E.(1993)Curr.Opinion Biotech.4:573−576;Trill J.J.ら(1995)Curr.Opinion Biotech 6:553−560を参照のこと。
適切な調節配列を含む適切なベクターが、選択または構築され得、この調節配列としては、適切な場合、プロモーター配列、末端配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および他の配列が挙げられる。ベクターは、適切な場合、プラスミド、ウイルス(例えば、ファージまたはファージミド)であり得る。さらに詳細に、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:第2版、Sambrookら,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。核酸の操作(核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、DNAの細胞中への導入および遺伝子の発現、ならびにタンパク質の分析)のための多くの公知の技術およびプロトコールは、Short Protocols in Molecular Biology,第2版,Ausubelら編,John Wiley & Sons,1992に詳細に記載されている。SambrookらおよびAusbelらの開示は、本明細書中で参考として援用されている。
従って、本発明のさらなる局面は、本明細書中に開示されるような核酸を含む宿主細胞を提供する。なおさらなる局面は、このような核酸を宿主細胞に導入する工程を包含する方法を提供する。この導入は、任意の利用可能な技術を利用し得る。適切な技術としては、真核生物細胞に関して、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−Dextran、エレクトロポレーション、リポソーム媒介トランスフェクション、およびレトロウイルスまたは他のウイルス(例えば、ワクシニアウイルス)が挙げられ得、あるいは昆虫細胞に関して、バキュロウイルスが挙げられ得る。細菌細胞に関して、適切な技術は、塩化カルシウム形質転換、エレクトロボレーション、およびバクテリオファージを使用するトランスフェクションが挙げられ得る。
この導入の後に、例えば、遺伝子の発現のための条件下で宿主細胞を培養することによって、核酸から発現を引き起こすか、または核酸からの発現を可能にすることが続き得る。
一つの実施形態において、本発明の核酸は、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)中に組み込まれる。組込みは、標準的な技術に従って、ゲノムとの組換えを促進する配列を包含することによって促進され得る。
本発明はまた、上記の特異的結合メンバーまたはポリペプチドを発現させるための発現系において上述の構築物を使用する工程を包含する方法を提供する。
上述のように、本発明はまた、配列番号2および/または配列番号4に記載のアミノ酸配列を有する、特異的結合メンバー、特に抗体またはそのフラグメントをコードする、組換えDNA分子もしくはクローン化された遺伝子、またはその縮重改変体に関し;好ましくは、この結合メンバーまたは抗体をコードする核酸分子、特に組換えDNA分子またはクローン化された遺伝子は、配列番号1および/もしくは配列番号3に提供されるヌクレオチド配列を有するかまたは配列番号1および/もしくは配列番号3に提供されるDNA配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する。
本発明の別の特徴は、本明細書中に開示されるDNA配列の発現である。当該分野で周知のように、DNA配列は、適切な発現ベクター中の発現制御配列にそれらを作動可能に連結し、そしてその発現ベクターを使用して適切な単細胞宿主を形質転換することにより発現され得る。
発現制御配列への、本発明のDNA配列のこのような作動可能な連結は、当然のことながら、既にそのDNA配列の一部でない場合は、そのDNA配列の上流の正しいリーディングフレームに開始コドンATGを準備することを含む。
広範な種々の宿主/発現ベクターの組み合わせが、本発明のDNA配列を発現させる際に使用され得る。例えば、有用な発現ベクターは、染色体DNA配列、非染色体DNA配列および合成DNA配列のセグメントから構成され得る。適切なベクターとしては、以下が挙げられる:SV40の誘導体および公知の細菌プラスミド(例えば、E.coliプラスミドcol El、pCRl、pBR322、pMB9およびそれらの誘導体、RP4のようなプラスミド);ファージDNA(例えば、ファージλの多数の誘導体(例えば、NM989)および他のファージDNA(例えば、M13))ならびに線状一本鎖ファージDNA;2μプラスミドのような酵母プラスミドまたはその誘導体;真核生物細胞において有用なベクター(例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞において有用なベクター);プラスミドおよびファージDNAの組み合わせに由来するベクター(例えば、ファージDNAまたは他の発現制御配列を使用するように改変されたプラスミド);など。
任意の広範な種々の発現制御配列(その配列に作動可能に連結されたDNA配列の発現を制御する配列)は、本発明のDNA配列を発現させるためにこれらのベクターにおいて使用され得る。このような有用な発現制御配列としては、例えば、SV40、CMV、ワクシニア、ポリオーマまたはアデノウイルスの初期プロモーターもしくは後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、LTR系、ファージλの主要オペレーター領域およびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3−ホスホグリセレートキナーゼもしくは他の解糖酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼ(例えば、Pho5)のプロモーター、酵母接合因子のプロモーター、ならびに原核生物細胞もしくは真核生物細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが公知の他の配列、およびこれらの組合せが挙げられる。
広範な種々の単細胞宿主細胞はまた、本発明のDNA配列を発現する際に有用である。これらの宿主としては、以下が挙げられ得る:周知の真核生物宿主および原核生物宿主(例えば、E.coli、Pseudomonas、Bacillus、Streptomycesの株)、真菌(例えば、酵母)、ならびに動物細胞(例えば、CHO細胞、YB/20細胞、NSO細胞、SP2/0細胞、R1.1細胞、B−W細胞、およびL−M細胞)、アフリカミドリザル腎臓細胞(例えば、COS 1、COS 7、BSC1、BSC40、およびBMT10)、昆虫細胞(例えば、Sf9)、ならびに組織培養物中のヒト細胞および植物細胞。
全てのベクター、発現制御配列および宿主が、本発明のDNA配列を発現するように等しく十分に機能するのではないことが理解される。また、全ての宿主が、同じ発現系で等しく十分に機能するわけでもない。しかし、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、所望の発現を達成するために過度の実験をすることなく、適切なベクター、発現制御配列、および宿主を選択することができる。例えば、ベクターを選択する際に、ベクターが宿主において機能しなければならないので、その宿主を考慮しなければならない。ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力、およびそのベクターによりコードされる任意の他のタンパク質(例えば、抗生物質マーカー)の発現もまた考慮される。
発現制御配列を選択する際に、種々の因子が、通常考慮される。これらとしては、例えば、その系の相対的強度、その制御可能性、および、特に潜在的2次構造に関して、発現される特定のDNA配列または遺伝子との適合性が挙げられる。適切な単細胞宿主は、以下を考慮することにより選択される:例えば、選択されたベクターとのそれらの適合性、それらの分泌特徴、タンパク質を正確に折り畳むそれらの能力、およびそれらの発酵要件、ならびに発現されるDNA配列によりコードされる産物の宿主に対する毒性、および発現産物の精製の容易さ。
これらおよび他の因子を考慮して、当業者は、発酵または大規模動物培養において本発明のDNA配列を発現する、種々のベクター/発現制御配列/宿主の組合せを構築し得る。
特異的結合メンバーのアナログが、本発明の範囲内において、タンパク質複合体/由来するサブユニットのヌクレオチド配列から調製され得ることがさらに意図される。フラグメントのようなアナログは、例えば、特異的結合メンバー材料のペプシン消化により生成され得る。ムテインのような他のアナログは、特異的結合メンバーのコード配列の標準的な部位特異的変異誘発により生成され得る。プロモーターまたはインヒビターのどちらとして機能しても、低分子のような「特異的結合メンバー活性」を示すアナログは、公知のインビボアッセイおよび/またはインビトロアッセイにより同定され得る。
上述のように、特異的結合メンバーをコードするDNA配列は、クローニングよりも合成により調製され得る。特異的結合メンバーアミノ酸配列についての適切なコドンを有するDNA配列が、設計され得る。一般的に、配列が発現に使用される場合、意図される宿主について好ましいコドンを選択する。完全な配列は、標準的な方法により調製される重複しているオリゴヌクレオチドから組み立てられ、そして完全なコード配列へと組み立てられる。例えば、Edge,Nature,292:756(1981);Nambairら,Science,223:1299(1984);Jayら,J.Biol.Chem.,259:6311(1984)を参照のこと。
合成DNA配列は、特異的結合メンバーのアナログまたは「ムテイン」を発現する遺伝子の都合の良い構築を可能にする。あるいは、ムテインをコードするDNAは、ネイティブ特異的結合メンバー遺伝子またはcDNAの部位特異的変異誘発により作製され得、そしてムテインは、従来のポリペプチド合成を使用して直接作製され得る。
タンパク質への非天然アミノ酸の部位特異的組込みのための一般的な方法は、Christopher J.Noren,Spencer J.Anthony−Cahill,Michael C.Griffith,Peter G.Schultz,Science,244:182−188(1989年4月)に記載されている。この方法は、非天然アミノ酸を有するアナログを生成するために使用され得る。
本発明は、翻訳レベルにおいてEGFRの発現を妨害するために使用され得る、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムの調製に及ぶ。このアプローチは、アンチセンス核酸を有する特異的mRNAをマスクするかまたはそれをリボザイムで切断することのいずれかにより、そのmRNAの翻訳をブロックするために、アンチセンス核酸およびリボザイムを利用する。
アンチセンス核酸は、特定のmRNA分子の少なくとも一部に対して相補的であるDNA分子またはRNA分子である。(Weintraub,1990;Marcus−Sekura,1988を参照のこと。)細胞において、アンチセンス核酸は、そのmRNAにハイブリダイズし、二本鎖分子を形成する。この細胞は、この二本鎖形態のmRNAを翻訳しない。従って、アンチセンス核酸は、mRNAのタンパク質への発現を妨害する。約15個のヌクレオチドのオリゴマーおよびAUG開始コドンにハイブリダイズする分子は、特に有効である。なぜなら、これらは、合成が容易であり、そしてこれらを産生細胞中に導入する場合に、より大きな分子よりも引き起こす問題が少ないようであるからである。アンチセンス法は、多くの遺伝子のインビトロでの発現を阻害するために使用されている(Marcus−Sekura,1988;Hamborら,1988)。
リボザイムは、DNA制限エンドヌクレアーゼといくらか類似した様式で、他の一本鎖RNA分子を特異的に切断する能力を有するRNA分子である。リボザイムは、特定のmRNAが、それ自身のイントロンを切除する能力を有するという知見から発見された。これらのRNAのヌクレオチド配列を改変することにより、研究者らは、RNA分子中の特定のヌクレオチド配列を認識して、かつそれを切断する分子を操作することができた(Cech,1988)。これらは配列特異的であるので、特定の配列を有するmRNAのみが、不活化される。
研究者らは、2つの型のリボザイム、Tetrahymena型および「ハンマーヘッド」型を同定した。(HasselhoffおよびGerlach,1988)。Tetrahymena型リボザイムは、4塩基の配列を認識するが、一方「ハンマーヘッド」型は、11〜18の塩基の配列を認識する。認識配列が長いほど、排他的に標的mRNA種において起こる可能性が高くなる。したがって、ハンマーヘッド型リボザイムは、特定のmRNA種を不活化するためにTetrahymena型リボザイムより望ましく、そして18個の塩基の認識配列は、より短い認識配列よりも望ましい。
従って、本明細書中に記載されるDNA配列を使用して、EFGRおよびそのリガンドのmRNAに対するアンチセンス分子、およびこのmRNAを切断するリボザイムを調製し得る。
本発明は、本発明の例示として提供される以下の非限定的な実施例を参照することによりよりよく理解され得る。以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態をより完全に例示するために示されるが、いかなる場合も本発明の広い範囲を限定するとは解釈するべきではない。
(実施例1)
(抗体の単離)
材料
(細胞株)
免疫化および特異性分析のために、ネイティブか、あるいは正常、野生型または「wtEGFR」遺伝子もしくはΔ2−7欠失変異を有するΔEGFR遺伝子でトランスフェクトされたいくつかの細胞株が使用された:マウス線維芽細胞株NR6、NR6ΔEGFR(ΔEGFRでトランスフェクトされた)およびNR6wtEGFR(wtEGFRでトランスフェクトされた)、ヒト神経膠芽細胞腫細胞株U87MG(低レベルの内因性wtEGFRを発現する)、U87MGwtEGFR(wtEGFRでトランスフェクトされた)、U87MGΔEGFR(ΔEGFRでトランスフェクトされた)、およびヒト扁平上皮癌細胞株A431(高レベルのwtEGFRを発現する)[38]である。細胞株およびトランスフェクションは、以前に記載された(Nishikawa R.,ら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91(16):7727−7731)。
U87MG星状細胞腫細胞株(20)(内因的に低レベルのwtEGFRを発現する)を、de2−7EGFRを含有するレトロウイルスに感染させて、U87MG.Δ2−7細胞株を産生した(10)。トランスフェクトされた細胞株U87MG.wtEGFRを、Naganeら1996(Cancer Res.,56:5079−5086)に記載されるように生成した。U87MG細胞は、約1×10個のEGFRを発現するが、U87MG.wtEGFR細胞は、約1×10個のEGFRを発現し、従って遺伝子増幅で見られる状況を模倣する。
ヒト扁平上皮癌A431細胞を、ATCC(Rockville,MD)から入手した。全ての細胞株を、10%FCS(CSL,Melbourne,Australia)を補充した、GlutaMAXTM(Life Technologies,Melbourne,Australia)を含むDMEM/F−12中で培養した。
(試薬)
de2−7 EGFRからのビオチン化した特有の接合部(junctional)ペプチド(ビオチン−LEEKKGNYVVTDH(配列番号5)およびLEEKKGNYVVTDH−ビオチン(配列番号6))を、標準的なFmoc化学により合成し、純度(>96%)を、逆相HPLCおよび質量スペクトル分析(Auspep,Melbourne,Australia)により決定した。
(研究で使用される抗体)
本発明者らの発見を他の試薬と比較するために、さらなるmAbを、本発明者らの研究に含めた。これらの試薬は、wtEGFRに対するmAb528(Sato,J.D.ら(1983)Mol.Biol.Med.1(5):511−529)、およびΔ2−7 EGFR欠失変異の接合部配列にわたる合成ペプチドに対して生成されたDH8.3である。このDH8.3抗体(IgG1)は、以前に記載されており(Hillsら,1995,Int.J.Cancer 63(4);537−543)、そしてde2−7 EGFRにおいて見出される特有の接合部ペプチドを用いてマウスを免疫化した後に得られた(16)。この528抗体(de2−7および野生型EGFRの両方を認識する)は、以前に記載されており(21)、そしてATCC HB−8509から得られるハイブリドーマを使用して、Biological Production Facility(Ludwig Institute for Cancer Research,Melbourne)において生成された。SC−03は、EGFRのカルボキシ末端ペプチドに対して惹起され、アフィニティ精製されたウサギポリクローナル抗体である(Santa Cruz Biotechnology Inc.)。
(モノクローナル抗体の作製)
マウス線維芽細胞株NR6ΔEGFRを免疫原として使用した。マウスハイブリドーマを、アジュバント中に5×10〜2×10個の細胞で、皮下に2〜3週間の間隔で5回BALB/cマウスを免疫することにより作製した。完全フロイントアジュバントを、第1の注射に使用した。その後、不完全フロイントアジュバント(Difco)を使用した。免疫したマウス由来の脾臓細胞を、マウス骨髄腫細胞株SP2/0と融合させた。新しく作製したクローンの上清を、細胞株NR6、NR6wtEGFR、およびNR6ΔEGFRとの反応性について血球吸着アッセイでスクリーニングし、次いでヒト神経膠芽細胞株U87MG、U87MGwtEGFR、およびU87MGΔEGFRを用いる血球吸着アッセイにより分析した。選択されたハイブリドーマ上清を、続けてウエスタンブロットにより試験し、そして免疫組織化学によりさらに分析した。予測された反応性パターンを示す新しく生成されたmAbを、精製した。
5つのハイブリドーマを樹立し、そして、3つのクローン124(IgG2a)、806(IgG2b)および1133(IgG2a)を、血球凝集アッセイにおけるNR6ΔEGFRの高い力価およびNR6細胞およびNR6wtEGFR細胞における低いバックグランドに基づいて、さらなる特徴付けのために選択した。その後の血球凝集分析において、これらの抗体は、ネイティブヒト神経膠芽細胞腫細胞株U87MGおよびU87MGwtEGFRとに反応性を示さなかった(希釈していない上清で≦10%)が、U87MGΔEGFRとは強い反応性であり;A431とのより低い反応性が見られた。対照的に、FACS分析において、806は、ネイティブU87MGと非反応性であり、そしてU87MGΔEGFRを強く染色し、そしてより低い程度でU87MGwtEGFRを染色し、このことは、ΔEGFRおよびwtEGFRの両方への806の結合を示す(以下を参照のこと)。
ウエスタンブロットアッセイにおいて、次いで、mAb124、mAb806およびmAb1133を、wtEGFRおよびΔEGFRとの反応性について分析した。界面活性剤溶解物を、NR6ΔEGFR、U87MGΔEGFRおよびA431から抽出した。3つのmAb全てが、細胞溶解物との類似した反応性パターンを示し、wtEGFRタンパク質(170kDa)およびΔEGFRタンパク質(140kDa)の両方を染色した。基準試薬として、wtEGFRと反応性であることが既知(Waterfield M. D. ら(1982)J.Cell Biochem.20(2):149−161)のmAb R.Iを、ウエスタンブロット分析において非反応性であることが既知のmAb 528の代わりに使用した。Mab R.Iは、wtEGFRおよびΔEGFRとの反応性を示した。3つの新たに作製されたクローンの全てが、ΔEGFRとの反応性およびwtEGFRとのより少ない反応性を示した。DH8.3は、U87MGΔEGFRおよびNR6ΔEGPRの溶解物中で唯一ポジティブであった。
異種移植片腫瘍U87MG、U87MGΔEGFR、およびA431におけるクローン124、806、および1133ならびにmAb 528およびmAb DH8.3の免疫組織化学的分析を表1に示す。全てのmAbは、異種移植片U87MGΔEGFRの強い染色を示した。mAb 528のみが、ネイティブU87MG異種移植片においける弱い反応性を示した。A431異種移植片において、mAb 528は、強い均一な反応性を示した。MAb124、MAb806、およびMAb1133は、A431の扁平上皮細胞癌の最も底部に位置する細胞との反応性が明らかとなり、そして上部細胞層または角化成分とは反応しなかった。DH8.3は、A431異種移植片においてネガティブであった。
(表1)
(抗体528、DH8.3および124、806および1133の免疫組織化学的分析)
Figure 0004414142
内因性マウス抗体の検出に起因する少量の間質染色
(実施例2)
(FACSによる細胞株への抗体の結合)
mAb806の特異性を決定するために、U87MG細胞、U87MG.Δ2−7細胞およびU87MG.wtEGFR細胞に対するその結合を、フロー活性化細胞ソーティング(flow activated cell sorting)(FACS)により分析した。簡潔には、細胞を関連抗体(10μg/ml)次いでフルオレセイン結合ヤギ抗マウスIgG(1:100希釈;Calbiochem San Diego,USA)で標識した。FACSデータを、最少で5,000事象を観測することによりCoulter Epics Elite ESPで得、そしてWindows(登録商標)用EXPO(バージョン2)を使用して分析した。非関連IgG2bは、mAb 806についてのアイソタイプコントロールとして含まれ、そして528抗体は、de2−7EGFRおよびwt EGFRの両方を認識するので含まれた。
528抗体のみが、親US7MG細胞株を染色し得た(図1)。このことは、これらの細胞がwt EGFRを発現することを実証する以前の報告(Nishikawaら、1994)と一致している。MAb 806およびDH8.3は、コントロール抗体と同様の結合レベルを有しており、明らかにこれらがwtレセプターと結合できないことを実証している(図1)。U87MG.Δ2−7細胞およびU87MG.wtEGFR細胞へのアイソタイプコントロール抗体の結合は、U87MG細胞について観察された結合と同様であった。
MAb 806は、U87MG.Δ2−7細胞およびU87MG.wtEGFR細胞を染色した。このことは、mAb 806が、de2−7 EGFRおよび増幅されたEGFRを特異的に認識することを示す(図1)。DH8.3抗体は、U87MG.Δ2−7細胞を染色した。このことは、DH8.3抗体が、de2−7 EGFRを特異的に認識することを裏付けした(図1)。予測されるとおり、528抗体は、U87MG.Δ2−7細胞株およびU87MG.wtEGFR細胞株の両方を染色した(図1)。予測されるとおり、528抗体は、これらの細胞において同時発現されるde2−7レセプターおよび野生型細胞の両方に結合するので、親細胞より高い強度でU87MG.Δ2−7を染色した(図1)。同様の結果を、ヒト赤血球(O型)でコーティングされたプロテインAの標的細胞への出現により表面結合IgGを検出するプロテインA混合血球吸着を使用して得た。モノクローナル抗体806は、U87MG.Δ2−7細胞と反応性であったが、U87MG発現野生型EGF−Rとは有意な反応性を示さなかった(希釈していない上清で10%未満)。
(実施例3)
(アッセイにおける抗体の結合)
mAb 806およびDH8.3抗体の特異性をさらに特徴付けるために、これらの結合を、ELISAにより調べた。2つの型のELISAを、これらの抗体の特異性を決定するために使用した。第1のアッセイにおいて、プレートをsEGFR(0.1M炭酸塩緩衝液(pH 9.2)中10μg/ml)で2時間コーティングし、次いでPBS中の2%ヒト血清アルブミン(HSA)でブロックした。sEGFRは、野生型EGFRの組換え細胞外ドメイン(アミノ酸1〜621)であり、そして以前に記載されるように生成した(22)。抗体を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中2%HSA中の増加する濃度において3連でウェルに加えた。結合した抗体を、基質としてABTS(Sigma,Sydney,Australia)を使用して西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヒツジ抗マウスIgG(Silenus,Melbourne,Australia)により検出し、そして吸光度を405nmで測定した。
mAb 806および528抗体の両方が、固定化された野生型sEGFRに対する用量依存性でかつ飽和した結合を示した(図2A)。de2−7 EGFR中に見出される特有の接合部ペプチドが、sEGFR内に含まれていないので、mAb 806は、野生型EGFR配列内に位置するエピトープに結合していなければならない。この528抗体の結合は、mAb 806について観察された結合より低かった。予測されたとおり、DH8.3抗体は、10μg/mlまでの濃度でさえ野生型sEGFRに結合しなかった(図2A)。溶液中のsEGFRは、用量依存性様式で、固定化されたsEGFRへの528抗体の結合を阻害したが、mAb 806の結合を阻害することはできなかった(図2B)。このことは、mAb 806が、一旦ELISAプレートに固定化された(コンホメーション変化を誘導し得るプロセス)野生型EGFRのみに結合し得ることを示唆する。同様の結果が、BIAcoreを使用して観察され、これによりmAb 806は、固定化されたsEGFRを結合したが、固定化されたmAb 806は、溶液中のsEGFRを結合することができなかった(データ示さず)。DH8.3抗体は、特有のde2−7 EGFRペプチドに対する用量依存性でかつ飽和可能な結合を示した(図2C)。
第2のアッセイでは、ビオチン化されたde2−7特異的ペプチド(ビオチン−LEEKKGNYVVTDH(配列番号5))を、ストレプトアビジン(Pierce、Rockford、Illinois)で予めコーティングされたELISAプレートに結合させた。抗体を、第1のアッセイにおけるのと同じようにして、結合させ、そして検出した。mAb 806も528抗体も、DH8.3の飽和結合を得るために使用された濃度よりも高い濃度においてさえ、ペプチドに結合しなかった。このことはさらに、mAb 806が、このペプチド内のエピトープ決定基を認識しないことを示している。
mAb 806が、接合部ペプチドとは異なるエピトープを認識することをさらに実証するために、さらなる実験を行った。C末端をビオチン化したde2−7ペプチド(LEEKKGNYVVTDH−ビオチン(配列番号6))を、de2−7ペプチドに対して生成されたmAb 806およびmAb L8A4と共に、研究において使用した(Reist,CJら(1995)Cancer Res.55(19):4375−4382;Foulon CFら(2000)Cancer Res.60(16):4453−4460)。
(ペプチド研究において使用された試薬)
接合部ペプチド:LEEKKGNYVVTDH−OH(Biosource,Camarillo,CA);
ペプチドC:LEEKKGNYVVTDH(K−Biot)−OH(Biosource,Camarillo,CA);
sEGFR:野生型EGFRのCHO細胞由来組換え可溶性細胞外ドメイン(aa1−621)(LICR Melbourne);
mAb 806:マウスモノクローナル抗体、IgG2b(LICR NYB);
mAb L8A4:マウスモノクローナル抗体、IgG(Duke University);
IgGアイソタイプコントロールmAb;
IgG2bアイソタイプコントロールmAb。
ペプチドCを、350RU(+/−30RU)の表面密度で、ストレプトアビジンマイクロセンサーチップ上に固定した。mAbの段階希釈物を、ペプチドとの反応性について試験した。ビオチン化されていないペプチドを用いたブロッキング実験を行って、特異性を評価した。
mAb L8A4は、低い抗体濃度(6.25nM)においてでさえ、ペプチドCと強い反応性を示した(図2D)。mAb 806は、100nMの抗体濃度(試験された最高濃度)まで、ペプチドCと検出可能な特異的反応性を示さなかった(図2Dおよび2E)。mAb L8A4は、ペプチドCと反応することが予期された。なぜなら、このペプチドは、mAb L8A4の生成において免疫原として使用されたからである。接合部ペプチド(非ビオチン化、50μg/ml)の添加により、ペプチドCとmAb L8A4の反応は完全にブロックされる。このことにより、接合部ペプチドのエピトープに対する抗体の特異性が確認される。
第2セットのBIAcore実験では、sEGFRを、約4000RUの表面密度で、CMマイクロセンサーチップ上に固定した。mAbの段階希釈物を、sEGFRとの反応性について試験した。
mAb 806は、変性したsEGFRと強く反応性であったが、mAb L8A4は、変性したsEGFRと反応しなかった。変性したsEGFRとmAb 806の反応性は、抗体濃度が減少するにつれて減少する。mAb L8A4は、sEGFRとは反応しないことが予期された。なぜなら、mAb L8A4は、免疫原として接合部ペプチドを使用することにより生成されたものであり、そしてsEGFRは接合部ペプチドを含まないからである。
ドットブロット免疫染色実験もまた実施した。ペプチドの段階希釈物を、PVDFメンブレンまたはニトロセルロースメンブレン上に0.5μlでスポットした。メンブレンを、PBS中の2%BSAでブロックし、次いで、806抗体、L8A4抗体、DH8.3抗体およびコントロール抗体でプローブした。L8A4抗体およびDH8.3抗体は、メンブレン上でペプチドに結合した(データは示さず)。L8A4が明らかに結合を示した濃度において、mAb 806はペプチドを結合しなかった(データは示さず)。コントロール抗体もまた、ペプチド結合についてネガティブであった。
mAb 806は、イムノブロッティング後の細胞溶解産物中で、wtEGFRに結合した(結果は示さず)。このことは、de2−7EGFRと反応したがwtEGFRとは反応しなかった、DH8.3抗体で得られた結果とは異なる。従って、mAb 806は、レセプターが細胞表面上においてその天然の状態にある場合を除き、変性後のwtEGFRを認識し得る。
(実施例4)
(スキャッチャード分析)
U87MG.Δ2−7細胞を使用するスキャッチャード分析を、免疫反応性についての補正後に実施して、各抗体の相対的親和性を決定した。抗体を、125I(Amrad、Melbourne、Australia)で、クロラミンT方法により標識化し、そして免疫反応性を、Lindmoアッセイ(23)により決定した。すべての結合アッセイを、1〜2×10個の生存U87MG.Δ2−7細胞またはA431細胞において、1%HSA/PBS中で90分間にわたり4℃で穏やかに回転させながら実施した。10ng/mlの125I標識化抗体の一定の濃度セットを、適切な未標識抗体の漸増濃度の存在下において使用した。非特異的結合は、10,000倍過剰の未標識抗体の存在下において決定された。インキュベーションの完了後、細胞を洗浄し、そしてCOBRA IIγ計数器(Packard Instrument Company、Meriden、USA)を用いて、結合した125I標識化抗体について計数した。
mAb 806およびDH8.3抗体は両方とも、ヨウ素化された場合に高い免疫反応性を保持しており、そして代表的には、mAb 806については90%より高く、そしてDH8.3抗体については45〜50%高かった。mAb 806は、de2−7EGFRレセプターに対して、1.1×10−1の親和性を有したが、DH8.3の親和性は、1.0×10−1でおよそ1/10倍近く低かった。125Iで放射性標識されたmAb 806も、125Iで放射性標識されたDH8.3抗体も、親のU87MG細胞には結合しなかった。mAb 806は、1細胞あたり平均で2.4×10個の結合部位を認識し、DH8.3抗体は、平均で5.2×10個の部位に結合した。従って、この抗体間でレセプター数に良好な一致が見られるだけでなく、同じ細胞株で異なるde2−7EGFR特異的抗体により測定された場合に1細胞あたり2.5×10個のde2−7レセプターを示した以前の報告(25)とも良好な一致を示した。
(実施例5)
(U87MG.Δ2−7細胞による、抗体のインターナリゼーション)
標的細胞への結合後に抗体をインターナリゼーションする速度は、その腫瘍標的化特性および治療対象の両方に影響を及ぼす。従って、本発明者らは、FACSによって、U87MG.Δ2−7細胞への結合後のmAb 806およびDH8.3抗体のインターナリゼーションを試験した。U87MG.Δ2−7細胞を、DMEM中で4℃にて1時間にわたり、mAb 806またはDH8.3抗体(10μg/ml)のいずれかと共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、37℃に予め暖めておいたDMEMに移し、そして37℃でのインキュベーション後の種々の時点で、アリコートを採取した。氷冷洗浄緩衝液(1%HSA/PBS)中でアリコートを迅速に洗浄することによって、インターナリゼーションを停止させた。時間経過の終了時に、細胞を、上記のようにFACSによって染色した。インターナリゼーションのパーセンテージを、以下の式を使用して、0時間目に対して種々の時点での表面抗体染色を比較することにより算出した:インターナライズされた抗体のパーセント=(x時間目の平均蛍光 バックグラウンド蛍光)/(0時間目の平均蛍光−バックグラウンド蛍光)×100。この方法は、以前(24)に記載されたようなインターナリゼーションを測定するためのヨウ素化抗体(mAb 806)を使用して、1アッセイで確認された。異なる時点でのインターナリゼーション速度の差異を、スチューデントt検定を使用して比較した。
両方の抗体は、mAb 806については10分間で、そしてDH8.3については30分間で定常状態レベルに達する比較的急速なインターナリゼーションを示した(図3)。DH8.3のインターナリゼーションは、速度(mAb 806についての36.8%と比較して、10分間でインターナライズされたDH8.3は80.5%、p<0.01)および60分間でインターナライズされた総量(30.4%に対して93.5%、p<0.001)の両方に関して有意に高かった。mAb 806は、実施された4回のアッセイすべてにおいて、20分間目と比較して30分間目および60分間目には、わずかに低いレベルのインターナリゼーションを示した(図3)。この結果はまた、ヨウ素化されたmAb 806に基づくインターナリゼーションアッセイを使用して確認された。
(実施例6)
(抗体のインターナリゼーションの電子顕微鏡検査分析)
抗体間でのインターナリゼーション速度における上記で着目された差異を考慮して、抗体の細胞内輸送に関する詳細な分析を、電子顕微鏡検査を使用して実施した。
U87MG.Δ2−7細胞を、ゼラチンコーティングされたチャンバースライド(Nunc、Naperville、IL)上で80%コンフルエンスまで増殖させ、次いで、氷冷DMEMで洗浄した。次いで、細胞を、DMEM中で45分間にわたり4℃で、mAb 806またはDH8.3抗体と共にインキュベートした。洗浄後、細胞を、金結合体化(20nm粒子)抗マウスIgG(BBInternational、Cardiff、UK)と共に、4℃にてさらに30分間インキュベートした。さらなる洗浄後、予め暖めておいたDMEM/10%FCSを細胞に添加し、これを、37℃で1〜60分間の種々の時間にわたりインキュベートした。抗体のインターナリゼーションを、氷冷培地によって停止させ、そして、PBS/0.1%HSA中の2.5%グルタルアルデヒドを用いて細胞を固定し、次いで、2.5%四酸化オスミウム中で後固定(post−fix)した。段階的な一連のアセトンを通して脱水した後、サンプルをEpon/Araldite樹脂中に包埋し、Reichert Ultracut−Sミクロトーム(Leica)を用いて超薄切片として切り出し、そしてニッケルグリッド上に収集した。この切片を、酢酸ウラニルおよびクエン酸鉛で染色し、その後、Philips CM12透過電子顕微鏡において80kVで観察した。コーティングされた孔内に含まれた金粒子の統計分析を、カイ2乗検定を用いて実施した。
DH8.3抗体は、コーティングされた孔を介して優勢にインターナライズされたが、mAb 806は、マクロピノサイトーシスによってインターナライズされるようであった(図19)。実際、mAb 806と共にインキュベートされた細胞において形成された32個のコーティングされた孔の詳細な分析によって、これらがいずれも抗体を含まないことが明らかにされた。対照的に、DH8.3と共にインキュベートされた細胞由来のすべてのコーティングされた孔のうちの約20%が、抗体についてポジティブであり、多数のものは複数の金粒子を含んだ。コーティングされた孔に含まれた金粒子の総数に関する統計分析によって、この差異が高度に有意(p<0.01)であることが見出された。20〜30分後、両方の抗体は、形態学的にリソソームに類似した構造体において観察され得る。これらの構造体内における細胞砕片の存在はまた、そのリソソームの性質と一致した。
(実施例7)
(腫瘍保有ヌードマウスにおける抗体の生体内分布)
mAb 806およびDH8.3抗体の生体内分布を、一方の側にU87MG異種移植片を含みかつ他方の側にU87MG.Δ2−7異種移植片を含むヌードマウスにおいて比較した。比較的短い時間を、この研究のために選択した。なぜなら、以前の報告により、DH8.3抗体は、4〜24時間の間に腫瘍標的化のピークレベルを示すことが実証されていたからである(16)。
腫瘍異種移植片を、3×10個のU87MG細胞、U87MG.Δ2−7細胞またはA431細胞のs.c.注射によって、ヌードBALB/cマウスにおいて確立した。U87MG.Δ2−7異種移植片におけるde2−7EGFRの発現は、生体内分布の全期間を通じて安定なままであった。また、A431細胞は、免疫組織化学によって決定されるように腫瘍異種移植片として増殖される場合に、mAb 806とのその反応性を保持していた(データは示さず)。U87MG細胞またはA431細胞を一方の側で、U87MG.Δ2−7細胞を他方の側に注射する7〜10日前に注射した。この理由は、de2−7 EGFRを発現する異種移植片について観察されたより早い増殖速度の為である。抗体を放射性標識し、そして上記のようにして免疫反応性について評価し、そして腫瘍が100〜200mg重量になった時点で、眼窩後方(retro−orbital)経路によりマウスに注射した。各マウスは、2種類の異なる抗体(1抗体あたり2μg)を受けた:2μCiの125I標識化mAb 806および2μCiの131I標識化DH8.3または528。示されない限り、5匹のマウスの群を、感染後の種々の時点で屠殺し、そして心臓穿刺によって採血した。腫瘍、肝臓、脾臓、腎臓および肺を、切開によって得た。すべての組織の重さを測り、そして二重チャネル計数Windowを使用して、125Iおよび131I活性についてアッセイした。データは、注射された用量標準に対して比較することによって決定される%ID/g腫瘍として各抗体について表されるか、または腫瘍 対 血液/肝臓比に変換された(すなわち、%ID/g腫瘍を、%ID/g血液または肝臓で除算した)。群間の差異を、スチューデントt検定によって分析した。
%ID/g腫瘍に関して、mAb 806は、8時間で18.6%m/gの腫瘍のU87MG.Δ2−7異種移植片においてそのピークレベルに達した(図4A)。これは、血液を除くすべての他の組織よりもかなり高い。DH8.3もまた8時間でピーク腫瘍レベルを示したが、そのレベルは、mAb 806と比較して、統計的により低い(p<0.001)8.8%m/g腫瘍であった(図4B)。両方の抗体のレベルは、24時間目および48時間目には緩やかに低下した。いずれの抗体も、U87MG親異種移植片の特異的標的化を示さなかった(図4A、B)。腫瘍 対 血液/肝臓比に関して、mAb 806は、血液(1.3の比)および肝臓(6.1の比)の両方について、24時間目に最高の比を示した(図5A、B)。DH8.3抗体は、血液中では8時間目に(0.38の比)、そして肝臓では24時間目に(1.5の比)、その最高比率を有した(図5A、B)。これらは両方とも、mAb 806について得られた値よりもかなり低かった。
上記のように、腫瘍内におけるmAb 806のレベルは8時間目にピークに達した。このピークは、多くの腫瘍標的化抗体と比較して比較的早いが、これは、同様の用量の抗体を使用する場合に感染後4〜24時間目にすべてピークを示した、de2−7 EGFR特異的抗体を使用した他の研究と完全に一致する(16、25、33)。実際、初期の報告とは異なり、8時間目の時点は、抗体標的化が迅速にピークに達するという仮定のもとに含まれていた。mAb 806で観察された%ID/g腫瘍は、標準的なヨウ素化技術を使用した場合に他のde2−7 EGFR特異的抗体について報告されていたものと類似していた(16、24、32)。この早期ピークの理由はおそらく、2つの部分から構成される。第1には、de2−7 EGFRを発現する腫瘍(トランスフェクトされたU87MG細胞を含む)は、腫瘍異種移植片として極めて迅速に増殖する。従って、これらの生体内分布研究において使用された比較的短い期間の間でさえ、腫瘍のサイズは、%ID/g腫瘍が、緩やかに増殖する腫瘍と比較して低減されるような程度(4日間にわたって質量において5〜10倍増加)まで増加する。第2に、mAb 806のインターナリゼーションは、DH8.3と比較して比較的緩徐であったが;それはなお、多くの他の腫瘍抗体/抗原系と比較すると迅速である。インターナライズされた抗体は、迅速なタンパク質分解を受け、その分解産物が細胞から***される(34)。このインターナリゼーション、分解および***のプロセスは、細胞内に保持されるヨウ素化抗体の量を減少させる。結果として、インターナライズされる抗体は、そのインターナライズされない対応物よりも低いレベルの標的化を示す。本明細書で報告された電子顕微鏡データは、インターナライズされたmAb 806が迅速にリソソームに輸送され、このリソソームにおいて迅速な分解がおそらく生じることを実証する。この観察は、細胞からのヨウ素の迅速な***と一致する。
de2−7 EGFRにおいて見出された固有の接合部ペプチドに対する以前に記載されたL8A4モノクローナル抗体は、mAb 806と同様の様式(35)で挙動する。de2−7 EGFRでトランスフェクトされたU87MG細胞を使用すると、この抗体は、類似のインターナリゼーション速度を有し(mAb 806についての1時間で30%と比較して、1時間で35%)、そしてde2−7 EGFRでトランスフェクトされた3T3線維芽細胞を使用した場合に匹敵するインビボ標的化を示した(mAb 806についての8時間で18%ID/g腫瘍と比較して、24時間で24%ID/g腫瘍のピーク)(25)。興味深いことに、腫瘍異種移植片におけるこの抗体のインビボ保持率は、N−スクシンイミジル5−ヨード−3−ピリジンカルボキシレートで標識された場合に増強された(25)。この標識化された補欠分子族は、リソソームのpHでは正に荷電し、そのため、増強された細胞保持率を有する(33)。保持率の増強は、放射性免疫治療用の抗体を考慮する場合に潜在的に有用であり、そしてこの方法を使用して、ヨウ素化されたmAb 806またはそのフラグメントの保持率を改善し得る。
(実施例8)
(増幅されたEGFRを含有する細胞へのmAb 806の結合)
mAb 806が、増幅されたレセプター遺伝子を含有する細胞において発現されるEGFRを認識し得るか否かを試験するために、A431細胞に対するその結合を分析した。以前に記載されたように、A431細胞は、ヒト扁平上皮癌細胞であり、そして高レベルのwtEGFRを発現する。A431細胞に対するmAb 806の弱いが再現性は高い結合が、FACS分析によって観察された(図6)。DH8.3抗体はA431細胞に結合しなかった。このことは、mAb 806の結合が、de2−7EGFRの低レベル発現の結果ではなかったことを示す(図6)。予期されたように、抗EGFR528抗体は、A431細胞の強い染色を示した(図6)。この結果を考慮して、A431に対するmAb 806の結合を、スキャッチャード分析によって特徴付けた。ヨウ素化されたmAb 806の結合は比較的低かったが、スキャッチャードについて一貫したデータを得ることが可能であった。このような実験の平均は、1細胞あたり2.4×10レセプターで、9.5×10−1の親和性値を与えた。従って、このレセプターについての親和性は、de2−7EGFRについての親和性よりもおよそ1/10倍近く低かった。さらに、mAb 806は、A431細胞表面上に見出されるEGFRの小さな部分のみを認識するようである。528抗体を使用して、本発明者らは、1細胞あたり約2×10個のレセプターを測定した。これは、多くの他の研究(26)と一致する。
mAb 806による野生型sEGFRの認識は明らかに、エピトープを露出させるためのレセプターのいくらかの変性を必要とする。必要とされる変性の程度はごくわずかにすぎない。なぜなら、プラスチック表面上への野生型sEGFRの吸着でさえ、ELISAアッセイにおいてmAb 806の頑強な結合を誘導したからである。mAb 806のみが、A431細胞表面上で約10%のEGFRに結合したので、このレセプターのサブセットがde2−7EGFR短縮化によって誘導されるのと同様のコンフォメーション変化を有し得ると推測することは興味を引く。実際、A431細胞において遺伝子増幅により媒介されるEGFRの極めて高い発現は、いくつかのレセプターを不適切にプロセシングさせ、これによりコンフォメーション変化を誘導し得る。興味深いことに、mAb 806によるA431細胞溶解産物の半定量的イムノブロッティングによって、mAb 806が、SDS−PAGEおよびウェスタントランスファー後に、大半のA431 EGFレセプターを認識し得ることが示された。この結果はさらに、mAb 806が、コンフォメーション変化を有する、A431細胞表面上のレセプターサブセットに結合するという議論を支持する。A431細胞におけるこれらの観察は、mAb 806が、EGFR遺伝子の増幅物を含有するグリオームに結合することを示した免疫組織化学データと一致する。mAb 806の結合は、親のU87MG細胞に対しては完全にネガティブであったので、この表現型は、増幅されたEGFRを含有する細胞に限定され得る(しかし、U87MG細胞表面における「変性」レセプターのレベルは、検出レベル未満であり得る)ように思われた。しかし、ヨウ素化されたmAb 806は、1×10個までの細胞を含むU87MG細胞ペレットに結合しなかったので、この可能性は低いように思われた。
(実施例9)
(mAb 806によるA431細胞のインビボ標的化)
第2の生体内分布研究を、mAb 806を用いて実施することにより、mAb 806がA431腫瘍異種移植片を標的化し得るか否かを決定した。この研究を、より長い期間にわたって行い、mAb 806(これは、ポジティブコントロールとして、すべてのマウスに含まれた)によるU87MG.Δ2−7異種移植片の標的化に関してより多くの情報を得た。さらに、抗EGFR528抗体を、A431異種移植片についてのポジティブコントロールとして含ませた。なぜなら、以前の研究により、ヌードマウスにおいて増殖したA431細胞に対するこの抗体の弱いが有意な標的化が示されていたからである(21)。
最初の48時間の間、mAb 806は、最初の実験において観察されたものとほぼ同一の標的化特性を示した(図4Aと比較した図7A)。%ID/g腫瘍に関して、U87MG.Δ2−7異種移植片におけるmAb 806のレベルは、24時間後に緩やかに低下したが、常に、正常組織において検出されるよりも高いレベルを維持していた。A431異種移植片における取り込みは比較的低かったが、最初の24時間の間では、正常組織(例えば、肝臓、脾臓、腎臓および肺)では観察されない%ID/g腫瘍の小さな増加が見られた(図7A)。528抗体の取り込みは、%ID/g腫瘍として表された場合に(図7B)、両方の異種移植片において非常に低かった。これは、血液からのこの抗体の迅速なクリアランスに一部起因する。腫瘍 対 血液比に関して、mAb 806は、U87MG.Δ2−7異種移植片については72時間目およびA431異種移植片については100時間目でピークとなった(図8A、B)。mAb 806についての腫瘍 対 血液比は、A431腫瘍に対して決して1.0を上回ることはなかったが、この比は、時間経過全体を通して増加し(図8B)、そして低レベルの標的化を示す試験された他のすべての組織(データは示さず)よりも高かった。
528抗体についての腫瘍 対 血液比は、mAb 806と類似したプロフィールを示したが、より高いレベルが、A431異種移植片において見られた(図8A、B)。mAb 806は、72時間目に、U87MG.Δ2−7異種移植片において7.6のピーク腫瘍 対 肝臓比を有した。このことは明らかに、正常組織と比較してこれらの腫瘍における優先的な取り込みを示す(図8C)。mAb 806についての他の腫瘍 対 器官比は、肝臓において観察された比と類似していた(データは示さず)。A431異種移植片におけるmAb 806についてのピーク腫瘍 対 肝臓比は、100時間目に2.0であった。これもまた、正常組織と比較して腫瘍におけるわずかに優先的な取り込みを示している(図8D)。
(実施例10)
(治療研究)
mAb806の効果を、疾患の2つの異種移植片モデル(予防モデルおよび確立された腫瘍モデル)において評価した。
(異種移植片モデル)
これまでの以前の報告(Nishikawaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91(16);7727〜7731)と一貫して、de2−7EGFRでトランスフェクトされたU87MG細胞は、親細胞およびwtEGFRでトランスフェクトされたU87MG細胞よりも迅速に増殖した。故に、同じマウスにおいて両方の細胞型が増殖することは不可能であった。
100mlのPBS中の3×10個の腫瘍細胞を、4〜6週齢の雌のヌードマウス(Animal Research Centre,Western Australia,Australia)の両方の側腹部に皮下投与した。mAb 806の治療効果を、予防モデルおよび確立された腫瘍モデルの両方で研究した。予防モデルにおいて、それぞれ2つの異種移植片を有する5匹のマウスを、腫瘍細胞接種の前日に開始し、1mgもしくは0.1mgのmAb 806、またはビヒクル(PBS)のいずれかを用いて心膜内処置した。この処置を、計6用量で、一週間あたり3回、2週間続けた。確立されたモデルにおいて、腫瘍が平均量の65±6.42mm(U87MGΔ2−7)、84±9.07mm(U87MG)、73±7.5mm(U87MG.wtEGFR)または201±19.09mm(A431腫瘍)に到達した場合に、処置を開始した。腫瘍体積(mm)を、式(長さ×幅)/2を用いて決定し、ここで長さは最長軸であり、そして幅は、長さに直角で測定された(Scottら、2000)。データを各処置群についての平均腫瘍体積±S.E.として表した。統計学的分析を、スチューデントのt検定を用いて所定の時間で実行した。異種移植片が約1.5cmの体積に到達し、そして腫瘍が組織学的試験のために摘出された場合に、動物を安楽死させた。この研究プロジェクトを、Animal Ethics Committee of the AustinおよびRepatriation Medical Centreによって立証した。
(腫瘍の異種移植片の組織学的試験)
異種移植片を摘出し、そして二等分した。その半分を、パラフィン中に包埋する前に10%ホルマリン/PBSで固定した。次いで、4ミクロンの切片を切断し、そして通常の組織学的試験のためにヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)を用いて染色した。もう半分を、Tissue Tek(登録商標)OCT化合物(Sakura Finetek、Torrance,CA)に包埋し、そして液体窒素で凍結させて−80℃で保存した。薄い(5ミクロン)のクリオスタット切片を、切断し、そして氷浴アセトンで10分間固定化し、続いてさらに10分間風乾させた。切片を、タンパク質ブロッキング剤(Lipshaw Immunon,Pittsburgh U.S.A)で10分間ブロッキングし、次いでビオチン化1次抗体(1mg/ml)を用いて室温(RT)で30分間インキュベートした。全ての抗体を、製造者の指示とおりに、ECLタンパク質ビオチン化モジュール(Amersham,Baulkham Hills、Australia)を用いてビオチン化した。PBSでリンスした後、切片を、ストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体と共にさらに30分間インキュベートした(Silenus,Melbourne,Australia)。PBSでの最終的な洗浄後、切片を過酸化水素の存在下で、3−アミノ−9−エチルカルボゾール(AEC)基質(0.1M酢酸、0.1M酢酸ナトリウム、0.02M AEC(Sigma Chemical Co.,St Louis,MO))に30分間曝露した。切片を水でリンスし、そしてヘマトキシリンを用いて5分間対比染色し、そして標本にした。
(予防モデルにおけるmAb806の効果)
MAb806を、予防異種移植片モデルにおけるU87MGおよびU87MGΔ2−7腫瘍に対する効果について試験した。抗体またはビヒクルを、腫瘍接種の前日に腹腔内投与し、そして1週間当たり3回、2週間投与した。MAb806は、親U87MG異種移植片の増殖に効果を有さず、これは、1回の注射あたり1mgの容量でwtEGFRを発現した(図9A)。対照的に、mAb 806は、用量依存性の様式でU87MG.Δ2−7異種移植片の増殖を有意に阻害した(図9B)。20日目、コントロール動物を屠殺した場合に、平均腫瘍体積は、コントロール群について、1637±178.98mmであり、0.1mgの注射群(p<0.0001)について526±94.74mmそして1mgの注射群(p<0.0001)について197±42.06mmより統計学的に小さかった。処置群を、24日目に屠殺し、この時点で腫瘍体積は、0.1mgの処置群について1287±243.03mmおよび1mgの処置群について492±100.8mmであった。
(確立された異種移植片モデルにおけるmAb806の効果)
予防異種移植片モデルにおけるmAb806の効果を与えて、次いで、確立された腫瘍異種移植片の増殖を阻害するその能力を試験した。抗体処置は、腫瘍が、U87MG.Δ2−7異種移植片について65±6.42mmおよび親のU87MG異種移植片について84±9.07mmの平均腫瘍体積に到達した場合に開始することを除いて、予防モデルに記載されたとおりであった。前と同じように、mAb 806は、注射あたり1mgの用量で親のU87MG異種移植片の増殖に影響しなかった(図10A)。対照的に、mAb806は、用量依存性の様式においてU87MG.Δ2−7異種移植片の増殖を有意に阻害した(図10B)。17日目、1日前にコントロール動物を屠殺し、平均腫瘍体積は、コントロール群について935±215.04mm、0.1mgの注射群(p<0.01)について386±57.51mm、そして1mgの注射群(p<0.002)について217±58.17mmであった。
mAb806で観察される増殖阻害が、de2−7 EGFRの細胞発現を制限するか否かを決定するために、U87MG.wtEGFR腫瘍異種移植片に対するその効果を、確立されたモデルで試験した。これらの細胞は、de2−7 EGFR発現なしのEGFR遺伝子の増幅を含む腫瘍のためのモデルとして働く。腫瘍が、73±7.5mmの平均腫瘍体積に到達した場合に、MAb806の処置を開始した。ビヒクルで処置したコントロール腫瘍と比較した場合、MAb806は、確立されたU87MG.wtEGFR異種移植片の増殖を有意に阻害した(図10C)。コントロール動物を屠殺した日において、平均腫瘍体積は、コントロール群について960±268.9mm、そして1mg注射(p<0.04)で処置した群について468±78.38mmであった。
(確立された腫瘍の組織学的分析および免疫組織化学的分析)
mAb 806処置したU87MG.Δ2−7およびコントロールU87MG.Δ2−7、ならびにU87MG.wtEGFR異種移植片(それぞれ、24日目と42日目に収集した)の間の潜在的な組織学的差異を評価するために、ホルマリンで固定し、パラフィンで包埋した切片をH&Eで染色した。ネクローシスの範囲は、mAb 806で処置したU87MG.Δ2−7(処置終了後3日目に収集した)、およびU87MG.wtEGFR異種移植片(処置終了後9日目に収集した)の両方由来の切片において見られた。この結果は、多数の腫瘍異種移植片(n=4)において一貫して観察された。しかし、コントロールで処置した異種移植片由来の切片の分析は、mAb806処置で見出されるネクローシスと同じ範囲を示さなかった。mAb806またはU87MG異種移植片処置したコントロール由来の切片をまたH&Eで染色し、そして2つの群の間に何の細胞生存性における差異も無いことを明らかにし、さらに、mAb806結合が、腫瘍の異種移植片内の細胞生存性/ネクローシスの減少を誘導するという仮説を支持した。
U87MG、U87MG.Δ2−7およびU87MG.wtEGFR異種移植片切片の免疫組織化学的分析を実行して、mAb806処置後のde2−7およびwtEGFR発現のレベルを決定した。切片を、上記のように24日目と42日目に収集し、そして528抗体または806抗体で免疫染色した。予想どおり、528抗体は、処置された腫瘍とコントロール腫瘍との間に明らかな強度の減少を伴なわずに全ての異種移植片切片が染色された。U87MG切片の染色は、mAb806では検出不可能であったが、U87MG.Δ2−7およびU87MG.wtEGFR異種移植片切片の陽性染色を観察した。コントロールおよび処置されたU87MG.Δ2−7、ならびにU87MG.wtEGFR異種移植片の間にmAb806染色強度の差異はなく、抗体処置は、de2−7またはwtEGFR発現をダウンレギュレートしないことを示唆した。
(mAb806を用いたA431異種移植片の処置)
mAb806の抗腫瘍効果がU87MG細胞に制限されないことを実証するために、抗体を、A431異種移植片と共にマウスに投与した。これらの細胞は、増幅されたEGFR遺伝子を含み、そして細胞あたり約2×10個のレセプターを発現する。上記のように、mAb806は、約10%のこれらのEGFRおよび標的A431異種移植片に結合する。以前に記載された予防異種移植片モデルにおいて試験される場合、MAb 806は、A431異種移植片の増殖を有意に阻害した(図11A)。13日目、コントロール動物を屠殺した場合に、平均腫瘍体積は、コントロール群について1385±147.54mm、および1mgの注射処置群(p<0.0001)について260±60.33mmであった。
別の実験において、0.1mgの用量のmAbはまた、予防モデルにおけるA431異種移植片の増殖を有意に阻害した。
予防A431異種移植片モデルにおけるmAb806の効果を与え、確立された腫瘍異種移植片の増殖を阻害するその能力を試験した。抗体処置は、腫瘍が、201±19.09mmの平均腫瘍体積に到達するまで開始しないことを除いて、予防モデルに記載されるとおりであった。mAb806は、確立された腫瘍異種移植片の増殖を優位に阻害した(図11B)。13日目、コントロール動物を屠殺した場合に、平均腫瘍体積は、コントロール群について1142±120.06mm、および1mg注射群(p<0.0001)について451±65.58mmであった。
要約すれば、本明細書中に記載されるmAb806を用いた治療研究は、U87MG.Δ2−7異種移植片増殖の用量依存性阻害を明らかに実証した。対照的に、親U87MG異種移植片の阻害は、これらが、インビボでwtEGFRを発現し続ける事実に関わらず観察されなかった。mAb806は、異種移植片の量を有意に減少するのみでなく、腫瘍内の有意なネクローシスを誘導した。これは、神経膠腫異種移植片を発現するヒトde2−7 EGFRに対するインビボでの抗体の都合よい治療の使用を示す。
EGFRの遺伝子増幅は、多数の異なる腫瘍において報告されており、そして約50%の神経膠腫において観察される(Voldbergら、1997)。レセプター遺伝子増幅によって媒介される実質的なEGFR過剰発現は、細胞内シグナルおよび細胞増殖によって増加される増殖の利点を与え得る(Filmusら、1987)。EGFR遺伝子増幅のプロセスを模倣する神経膠腫細胞を生成するために、U87MG細胞を、wtEGFRでトランスフェクトした。mAb806での確立されたU87MG.wtEGFR異種移植片の処置は、有意な増殖阻害を生じた。従って、mAb806はまた、EGFR遺伝子の増幅を含む細胞に対するインビボでの抗腫瘍活性を媒介する。興味深いことに、U87MG.wtEGFR異種移植片のmAb 806阻害は、U87MG.Δ2−7腫瘍で観察されるよりも少ない効果を示す。これは、mAb 806が、増幅されたEGFRに対してより低い親和性を有し、そして細胞表面で発現される少い割合のレセプターのみに結合するという事実を反映している。しかし、U87MG.wtEGFR異種移植片容量における少ない効果にも関わらず、mAb 806処置が、これらの異種移植片内に大規模なネクローシスをつくるということに、注意すべきである。この可能性を指摘するために、mAb 806は、本発明者らが、A431異種移植片に対するその効果を試験したU87MG由来細胞株の阻害のみを媒介する。これらの扁平上皮細胞癌由来の細胞株は、有意なEGFR遺伝子増幅を含み、これらはインビトロおよびインビボの両方で保持される。mAb806を用いたA431異種移植片の処置は、予防モデルおよび確立されたモデルの両方において、優位な増殖阻害を生じ、mAb 806の抗腫瘍効果は、トランスフェクトされたU87MG細胞株に制限されないことを示す。
(実施例11)
(A431異種移植片とmAb806およびAG1478との併用治療処置)
AG1478と組み合わせたmAb 806の抗腫瘍効果を、A431異種移植片を伴なうマウスにおいて試験した。AG1478(4−(3−クロロアニリノ)−6,7−ジメトキシキナゾリン)は、HER2−neuおよび血小板由来の増殖因子レセプターキナーゼに対する強力かつ選択的なEGFRキナーゼのインヒビターである(Calbiochem、カタログ番号658552)。3つのコントロールが挙げられた:ビヒクルのみでの処置、ビヒクル+mAb806のみでの処置、そしてビヒクル+AG1478のみでの処置。この結果は、図12に例示される。0.1mgのmAb806を、異種移植の1日前、および異種移植の1日後、3日後、6日後、8日後、および10日後に投与した。400μgのAG1478を、異種移植の0日後、2日後、4日後、7日後、9日後、および11日後に投与した。
単独で投与した場合、AG1478およびmAb806の両方が、有意な腫瘍体積の減少を生じた。しかし、組み合わせることによって、腫瘍体積の減少が、大幅に増大した。
さらに、A431細胞のEGFRへのmAb 806の結合を、AG1478の非存在下および存在下で評価した。細胞を、無血清培地に一晩置き、次いでAG1478で、37℃で10分間処理し、PBSで2回洗浄し、次いで1% Tritonに溶解させて、溶解物を調製した。この溶解物を、本明細書中の実施例20に記載されるとおりに調製した。次いで、溶解物を、ELISA(SchoolerおよびWiley,Analytical Biochemistry 277,135〜142(2000)によって記載されるアッセイの改変バージョン)によって806の反応性について評価した。プレートを、PBS/EDTA中の10μg/mlのmAb 806で、室温で一晩コーティングし、次いで2回洗浄した。次いで、プレートを、10%の血清アルブミン/PBSを用いて、37℃で2時間ブロックし、そして2回洗浄した。1:20の細胞溶解物を、10%血清アルブミン/PBSに37℃で1時間添加し、次いで4回洗浄した。10%血清アルブミン/PBS中の抗−EGFR(SC−03(Santa Cruz Biotechnology Inc.))を、室温で90分間反応させ、プレートを4回洗浄し、そして10%血清アルブミン/PBS中の抗ウサギ−HRP(無症候由来の場合1:2000)を室温で90分間添加し、4回洗浄し、そしてABTSを基質として用いて発色させた。mAb806結合がAG1478の量の増加の存在下で有意に増加することを見出した(図13)。
(実施例12)
(EGFR状態について事前に分類されたヒト神経膠腫前駆型における免疫反応性)
EGFR発現の高い発生率を与えて、神経膠腫における増幅および変異の詳細な免疫組織化学的研究を、異種移植片以外の806個の腫瘍における特性を評価するために実行した。16個の神経膠腫のパネルを、免疫組織化学によって分析した。16個の神経膠腫のパネルを、増幅された野生型EGFRおよびde2−7EGFR発現の存在についてRT−PCRによって事前に分類した。これらの腫瘍のうち6個のみが、wtEGFR転写を発現し、10個は、wtEGFR遺伝子を増殖し、これらのうち5個は、野生型EGFR転写のみを示し、そして5個は、野生型EGFRとde2−7遺伝子転写の両方を示した。免疫組織化学的分析を、組織学的スライドに塗布された新鮮な凍結組織の5mm切片を用いて実行し、そして冷アセトンで10分間固定した。結合した1次抗体を、ビオチン化ホース抗マウス抗体に続くアビジン−ビオチン−複合体反応を用いて検出した。ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド(DAB)を、色素原として使用した。組織における免疫組織化学的反応の程度を、光学顕微鏡によって見積もり、そして以下のような25%の成分における免疫反応性細胞の数に従って、格付けした:
病巣=5%未満
+=5〜25%
++=25〜50%
+++=50〜75%
++++=75%より上。
528抗体が、全ての腫瘍において強い反応性を示した一方で、DH8.3免疫染色を、de2−7EGFRを発現する腫瘍に制限した(表2)。FACSおよびロゼッティングアッセイにおける事前の観察と一貫して、mAb806は、非増幅EGFR遺伝子由来のwtEGFR転写物を発現する神経膠腫とは反応しなかった(表2)。mAb806に対する反応のパターンは、異種移植片研究において観察されたパターンと類似しており、そしてこの抗体が、細胞表面で発言される場合、de2−7EGFRおよび増幅されたEGFRを認識するが、wtEGFRは認識しないことを再度示唆した。
(表2)
(野生型EGFRの存在について事前に分類された神経膠腫におけるMAb528、DH8.3および806の免疫反応性、ならびに変異de2−7およびその増幅状態について)
Figure 0004414142
(実施例13)
(正常組織におけるEGFR免疫反応性)
de2−7 EGFRが、正常組織において発現されるか否かを決定するために、mAb806およびDH8.3についての免疫組織化学的研究を、25個の組織において実行した。de2−7 EGFRが正常組織に存在しないことを示唆する任意の試験された組織において、mAb806またはDH8.3のいずれも強い免疫反応性を示さなかった(表3)。上皮の表皮および粘性平滑細胞の基底細胞層に制限されたmAb806を用いた扁桃におけるいくつかの生存可能な染色が存在する。胎盤において、栄養膜上皮の時折の免疫染色を、観察した。興味深いことに、高い内因性レベルのwtEGFRを発現する2つの組織(肝臓および皮膚)は、任意の有意なmAb806反応性を示し損なった。全ての肝臓サンプルで反応性は観察されず、そして弱い不安定な病巣の反応性のみを、皮膚サンプル中の基底のケラチノサイトおよび扁桃粘膜の平滑上皮細胞において時折(研究した全てのサンプルの10%未満)検出し、さらにこの抗体が、細胞の表面上で発現されるwtEGFRに任意の有意な程度で結合しないことを実証した(表3)。全ての組織は、528抗体で見られる普遍的な染色によって確証されたとおりwtEGFRについて陽性であった(表3)。
Figure 0004414142
(実施例14)
(種々の腫瘍におけるEGFR免疫反応性)
他の腫瘍型におけるde2−7 EGFRの程度を、12個の異なる悪性疾患を用いて試験した。528抗体は、黒色腫およびセミノーマを除く分析された多くの腫瘍においてしばしば相同性染色を示した。存在する場合、DH8.3免疫反応性を、時折の病巣の腫瘍細胞に制限し、これらはこの検出系を用いて脳の外側の腫瘍におけるde2−7 EGFR発現はほとんどないことを示した(表4)。血管の病巣の染色、およびいくつかの腫瘍におけるDH8.3抗体と結合性組織との可変性の拡散染色もまた、存在する(表4)。この染色は、使用された抗体結合性に強く依存しており、そして非特異的なバックグラウンド反応と考えられた。mAb806は、64%の頭部腫瘍および頸部腫瘍、ならびに50%の配癌において陽性染色を示した(表4)。30%の場合において陽性である尿の腫瘍を除く全ての部位でmAb806の反応性は、ほとんど存在しなかった。頭部癌および頸部癌および肺癌は、DH8.3抗体について陰性であるため、これらの腫瘍においてmAbと共に見出される反応性は、EGFR遺伝子増幅と関連し得る。
Figure 0004414142
(実施例15)
(EGFR状態に対して非選択のヒトグリア芽細胞腫における免疫反応性)
mAb806の独特の特異性を確認し、そして反応性を評価するために、これを、528抗体およびDH8.3抗体と、EGFR状態に対して予備選択されていない46のグリア芽細胞腫のパネルにおいて比較した。この528抗体は、2つ(No.27およびNo.29)を除く全てのサンプルにおいて強力にかつ同質にポジティブである(44/46、95.7%)。これら2つの場合はまた、mAb806およびmAb DH8.3に対してもネガティブであった。mAb806は、27/46(58.7%)のケースにおいてポジティブであり、そのうちの22ケースは、50%より多くの腫瘍において同質の免疫反応性を示した。DH8.3抗体は、15/46(32.6%)のグリア芽細胞腫においてポジティブであり、そのうちの9つは同質の免疫反応性を示した。これらの非選択の腫瘍の免疫組織化学染色を、表5に示す。
1つの場合(No.35)を除く全ての場合において、mAb806とDH8.3との間に一致性が存在した。
EGFR増幅の存在についての分子的分析を、44ケースにおいて行った(表5)。これらのうち、30ケースは、以前に確立されたmAb806の免疫反応性の様式と同型を示した(co−type):例えば、16のmAb806ネガティブなケースは、EGFR増幅を全く示さず、そして14のEGFRが増幅したケースもまた、mAb806免疫ポジティブだった。しかし、806免疫反応性を示した13のケースは、EGFR増幅についてはネガティブであり、一方で1つのEGFRが増幅したケースは、mAb806ネガティブであった。これらの増幅ネガティブかつ806ポジティブの変異状態のさらなる分析は、以下に記載され、そしてEGFR増幅についてネガティブであり、かつ806によって認識される、13のケースの大部分についての説明を提供する。
引き続いて、RT−PCRによって欠失変異の分子的分析を、41/46のケースに対して実施した(表5)。これらのうち、34ケースは、欠失変異に特異的なDH8.3と同型を示した:12ケースは、RT−PCRおよび免疫組織化学の両方においてポジティブであり、そして22ケースはネガティブ/ネガティブであった。3つのケース(#2、#34、#40)は、欠失変異についてDH8.3ポジティブ/RT−PCRネガティブであり、そして3つのケース(#12、#18、#39)は、DH8.3ネガティブ/RT−PCRポジティブであった。本発明者らの以前の特異性の分析に基づいて予想された通り、mAb806の免疫反応性が、1つのケース(#35)を除く全てのDH8.3ポジティブな組織において、観察された。
ケース#3もまた、変異を示した(表5においてA2と記される)、これは、de2−7変異の配列を含むが、このことは、801塩基の消失している古典的なde2−7欠失であるようではなかった(データは示さず)。このケースは、DH8.3反応性についてネガティブであったが、806と反応性を示し、このことは、806がさらなる可能性のある独特のEGFR変異を認識し得ることを示す。
(表5)
(mAb528、mAb806およびmAb DH8.3を用いた、46の非選択のグリア芽細胞腫の免疫組織化学分析)
Figure 0004414142
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N=増幅していない、A−増幅した
WT=野生型、5’−mut
nd=非実施
806抗体の反応性は、19/27のケースまたは70%を越えるケースにおいて、増幅したEGFRまたはde2−7変異EGFRと同型を示した。これらの8ケースのうちの2ケースはまた、DH8.3反応性であったことに注目するべきである。
(実施例16)
(頭蓋内神経膠腫腫瘍の組織的処置および分析)
抗ΔEGFRモノクローナル抗体mAb806の効率を試験するために、本発明者らは、頭蓋内ΔEGFR過剰発現グリーマ異種移植片を有するヌードマウスを、mAb806、アイソタイブコントロールIgGまたはPBSの頭蓋内注入で処置した。
ヒト神経膠腫細胞株U87MG、LN−Z308およびA1207(Dr.S.Aaronson,Mount Sinai Medical Center,New York,NYより供与)を、ΔEGFRウイルス、キナーゼ欠損ΔEGFR(DK)ウイルス、または野生型EGFR(wtEGFR)ウイルスで感染させた。同程度に高いレベルのEGFRを発現する集団を、蛍光活性化セルソーティングによって選択し、そしてそれぞれ、U87MG.ΔEGFR、U87MG.DK、U87MG.wtEGFR、LN−Z308.ΔEGFR、LN−Z308.DK、LN−Z308.wtEGFR、A1207.ΔEGFR、A1207.DKおよびA1207.wtEGFRと称する。各々をG418(U87MG細胞株、400μg/ml;LN−Z308細胞株およびA1207細胞株、800μg/ml)を含む培地中で維持した。
U87MG.ΔEGFR細胞をヌードマウスに頭蓋内移植し、そして同日に処置を開始した。5μlのPBS中の10個の細胞をヌードマウスの脳の右線条体中に移植した。mAb806、またはIgG2bアイソタイプコントロールを用いる全身処置を、移植後0日〜14日に、1日おきに容量100μl中ので1mgのmAbの腹腔内注入によって行った。頭蓋内U87MG.ΔEGFR腫瘍の直接的な治療のために、10μgのmAb806、またはIgG2bアイソタイブコントロールを、容量5μlで、第1日に開始して5日間、1日おきに、腫瘍注入部位に注入した。
PBSまたはアイソタイブコントロールIgGで処置した動物は、13日の生存中央値を有し、一方ではmAb806で処置したマウスは、21日までの生存中央値の61.5%の増加を有した(P<0.001)。
腫瘍確立後、移植後3日のマウスの処置はまた、コントロール群と比較して、mAb806処置動物の生存中央値を46.1%(13日〜19日;p<0.01)延長した。
これらのmAb806の抗腫瘍効果がU87MG.ΔEGFR異種移植片に対して延長するかどうかを決定するために、同様の処置を、LN−Z308.ΔEGFRおよびA1207.ΔEGFRの他の神経膠腫細胞異種移植片を有する動物に施行した。LN−Z308.ΔEGFR異種移植片を有するマウスのmAb806処置の生存中央値を、コントロールについての19日から58日に延長した(P<0.001)。注目すべきは、mAb806処置動物の8匹のうち4匹が、60日を越えて生存したことである。A1207.ΔEGFR異種移植片を有する動物の生存中央値をまた、コントロールについての24日から29日に延長した(P<0.01)。
(mAb806処置は、ΔEGFR過剰発現脳腫瘍の増殖を阻害する)
U87MG.ΔEGFR異種移植片およびLN−Z308.ΔEGFR異種移植片を有するマウスを、それぞれ9日および15日に安楽死させた。腫瘍切片を組織病理学的に分析して、そして腫瘍容量を決定した。動物の生存について観察された結果と一致して、mAb806処置は、U87MG.ΔEGFRのおよそ90%までの容量を有意に低減し(P<0.001)、そしてLN−Z308.ΔEGFRは、コントロール群のものと比較して、95%より多くの異種移植片を低減した(P<0.001)。同様の結果を、A1207.ΔEGFR腫瘍を有する動物について得た(65%容量の低減、P<0.01)。
(mAb806での腫瘍内処置は、U87MG.ΔEGFR脳腫瘍を有するマウスの生存を延長する)
U87MG.ΔEGFR異種移植片の処置に対する、mAb806の直接的腫瘍内注入の有効性もまた、決定した。移植後1日に、mAb806またはアイソタイプコントロールIgGの腫瘍内注入を動物に施した。コントロールの動物は、15日間生存し、一方でmAb806処置したマウスは、18日間生存し続けた(P<0.01)。mAb806の腫瘍内処置はいくらか有効であるが、複数回の頭蓋内注入の困難さ、および感染のリスクの増大を伴う。従って、本発明者らは、さらなる研究のために全身処置に着目した。
(mAb806処置は、U87MG.wtEGFR頭蓋内異種移植片を有するマウスの生存を僅かに延ばすが、U87MG頭蓋内異種移植片を有するマウスもU87MG.DK頭蓋内異種移植片を有するマウスも、生存を延ばさない)
mAb806による増殖阻害がΔEGFRを発現する腫瘍に選択的であるかどうかを決定するために、本発明者らはU87MG、U87MG.DK(キナーゼ欠損ΔEGFR)およびU87MG.wtEGFRの脳異種移植片を有する動物を処置した。mAb806処置は、低レベルの内在性の野生型EGFR(wtEGFR)を発現するU87MG腫瘍を移植されたマウスの生存も、低レベルの内在性wtEGFRに加えて、キナーゼ欠損ΔEGFRを過剰発現するU87MG.DK異種移植片を有する動物の生存も、延ばさなかった。mAb806処置は、wtEGFRを過剰発現するU87MG.wtEGFR腫瘍を有するマウスの生存を僅かに延ばした(P<0.05、コントロール群に対して、生存中央値23日 対 26日)。
(mAb806の反応性は、インビボの抗腫瘍効果と相関がある)
異なるレベルのEGFRまたは異なる型のEGFRを発現する腫瘍に対する、mAb806の異なる効果を理解するために、本発明者らは、FACS分析によって種々の腫瘍細胞とのmAb806の反応性を決定した。以前の報告と一致して、抗EGFRモノクローナル抗体528は、ΔEGFRおよびwtEGFRの両方を認識し、そしてU87MG細胞と比較して、U87MG.ΔEGFR細胞に対してより強い染色を実証した。対照的に、抗体EGFR.1は、U87MG.ΔEGFR細胞がU87MG細胞と同程度に弱い反応性であったので、wtEGFRと反応したが、ΔEGFRとは反応しなかった。このEGFR.1抗体は、U87MG.wtEGFR細胞がwtEGFRを過剰発現していたので、U87MG細胞よりもより強力にU87MG.wtEGFRと反応した。mAb806は、U87MG.ΔEGFR細胞およびU87MG.DK細胞と強力に反応し、そしてU87MG細胞とは反応しないが、U87MG.wtEGFRとは弱く反応した。このことは、mAb806が、過剰発現したwtEGFRに対して弱い交差活性を有するΔEGFRに対して選択的であることを示す。U87MG.wtEGFRとの反応性のこのレベルは、抗体処置によって媒介される生存延長に対して、量的および質的に類似であった。
本発明者らはさらに、免疫沈降によってmAb806の特異性を決定した。種々の細胞株におけるEGFRを、抗体528、EGFR.1およびmAb806を用いて免疫沈降した。次いで、電気泳動によって分離されたタンパク質をブロットを、抗EGFR抗体C13(これは、wtEGFRならびにΔEGFRおよびDKを認識する)を用いて探索した。FACS分析と一致して、抗体528はwtEGFRおよび変異レセプターを認識し、一方で抗体EGFR.1は、wtEGFRと反応したが、変異種とは反応しなかった。さらに、U87MG.ΔEGFR細胞およびU87MG.DK細胞における変異レセプターのレベルは、U87MG.wtEGFR細胞におけるwtEGFRのレベルに合致した。しかし、抗体mAb806は、U87MG.ΔEGFR細胞およびU87MG.DK細胞から沈殿した大量の変異レセプターと比較して、U87MG.wtEGFR細胞溶解物からの少量のwtEGFRのみを沈殿可能であり、そしてU87MG細胞からは検出可能な量は沈殿出来なかった。まとめると、これらのデータは、mAb806が、細胞表面に過剰発現される場合にのみwtEGFRの小さな画分中にも存在する、ΔEGFRにおけるエピトープを認識することを示唆する。
(mAb806処置は、U87MG.ΔEGFR脳腫瘍において、ΔEGFRの自己リン酸化を低減し、そしてBcl.Xの発現を下方制御する)
本発明者らは、次に、mAb806による増殖阻害の背景にある機構を調査した。構成的に活性なキナーゼ活性およびΔEGFRのカルボキシル末端の自己リン酸化は、生物学的機能に必須であるので、本発明者らは、処理された動物およびコントロール動物由来の腫瘍において、ΔEGFRリン酸化状態を決定した。レセプターのレベルは、mAb806処置した異種移植片において僅かに減少するのみであったが、mAb806処置は、ΔEGFR自己リン酸化を劇的に低減することを見出した。本発明者らは以前に、レセプターの自己リン酸化が、ΔEGFR過剰発現腫瘍のアポトーシスを低減することに重要な役割を有する抗アポトーシス遺伝子Bcl−Xを上方制御することを示した。従って、本発明者らは、次に、Bcl−XLの発現に対するmAb806の効果を決定した。mAb806処置動物からのΔEGFR腫瘍は、実際に、Bcl−Xの低下したレベルを示した。
(U87MG.ΔEGFR腫瘍において、mAb806処置は、増殖および脈管新生を低下し、そしてアポトーシスを増大させる)
mAb806処置によって生じるインビボ抑制およびレセプターシグナル伝達に対するその生化学的効果を考えて、本発明者らは、コントロールまたは処置したマウス由来の腫瘍の増殖速度を決定した。mAb806処置した腫瘍のKi−67染色によって測定する増殖指標は、コントロール腫瘍の指標よりも有意に低かった(P<0.001)。更に、TUNEL染色を介したアポトーシス指標の分析は、コントロール腫瘍と比較して、mAb806処置した腫瘍におけるアポトーシス細胞の数の有意な増加を実証した(P<0.001)。腫瘍の血管新生の範囲をまた、CD31に対する処置種およびコントロール種由来の腫瘍の免疫染色によって分析した。腫瘍の血管新生を定量するために、微小血管の領域(MVA)を、コンピューター処理の画像解析を使用して測定した。mAb806処置した腫瘍は、コントロール腫瘍よりも30%未満のMVAを示した(P<0.001)。レセプターと抗体との間の相互作用が炎症応答を導き得るかどうかを理解するために、本発明者らは、マクロファージマーカーのF4/80、およびNK細胞マーカーのアシアロGM1について腫瘍切片を染色した。マクロファージは、腫瘍マトリクス全体で認識され、そして特にmAb806処置したU87MG.ΔEGFR腫瘍の周囲の辺りに蓄積した。本発明者らは、腫瘍中および腫瘍周辺に浸潤した、僅かなNK細胞、およびmAb806処置とアイソタイプコントロール腫瘍との間に有意な差異のないことを観察した。
(実施例17)
(mAb806およびmAb528を用いる併用治療)
この研究が理解戴けてますか?この実施例は、他の前記の実施例とはいくらか異なる形式である。
本明細書中に記載される実験は、本発明に従う抗体の効果を決定するために設計された、インビボ研究を記載する。
メスのヌードマウス(4〜6週齢)を実験動物として使用した。マウスは、各々の腹側部において3×10個の腫瘍細胞の皮下(subscutaneous)接種を受けた。この動物は、U87MG.D2−7、U87MG.DK、またはA431細胞のいずれか(こららの全ては前出に記載されている)を受けた。治療は、腫瘍が十分な大きさに成長した時に開始した。
次いでマウスは、(i)リン酸緩衝化生理食塩水、(ii)mAb806(1回の注入当たり0.5mg)、(iii)mAb528(1回の注入当たり0.5mg)または(iv)両方のmAbの併用、のうちの1つの注入を受けた。「(iv)」に関して、異なる群のマウスが、各mAbの1回の注入当たり0.5mg、または各mAbの1回の注入当たり0.25mgを受けた。
試験したマウスの第1群は、U87MG.D2−7の注入を受けた群であった。この処置プロトコルは、接種後9日に開始し、そして1週当たり3回を2週間続けた(すなわち、これらの動物に、細胞の注入を受けた後、9日、11日、13日、16日、18日および20日に接種した)。処置プロトコルの開始時に、平均腫瘍直径は115mmだった。各群は、50匹のマウスを含み、各々は2つの腫瘍を有した。
抗体(各々、1回の注入当たり0.5mg)の併用を受けたマウスの群内で、3つの完全な退行があった。他の全ての群においては退行は全くなかった。図18Aは、結果を図示する。
マウスの第2群においては、1回の注入当たり各抗体0.25mgを含む併用治療を除き、注入された物質は同一である。この注入を、細胞接種後10日、12日、14日、17日、19日および21日に、施した。治療の開始時点で、平均腫瘍サイズは114mmであった。結果を図18Bに示す。
マウスの第3群は、U87MG.DKの接種を受けた。治療剤の注入を、細胞の接種後18日に開始し、そして20日、22日、25日、27日および29日まで続けた。処置開始時の平均腫瘍サイズは、107mmだった。図18Cは、結果の要約を示す。治療剤の注入は、第1群における注入と同一だった。
最後に、マウスの第4群は、A431細胞で接種されて、接種後8日、10日、12日および14日に、群Iおよび群IIIにおける注入と同じ注入を受けた。開始時点で、平均腫瘍サイズは71mmだった。結果を図18Dに示す。
これらの結果は、併用の抗体治療が腫瘍を低減させることにおいて相乗効果を示したことを示す。図18Aを参照のこと。同様の効果は、図18Bにより、より低い用量で見られ、このことは、この効果が投薬レベルのみに起因するのではないことを示唆する。
併用治療は、U87MG.DKの増殖を阻害しなかった(図18C)。このことは、抗体の免疫機能が、図18Aおよび図18Bにおいて見られる低下の原因ではないことを示した。
図18Dに示されるように、併用治療はまた、A431腫瘍に対する相乗的な有効性を提示し、4用量が60%の完全な応答比率を導いたことが、注目される。これらのデータは、mAb806によって認識されるEGFR分子が、528によって阻害されるEGFR分子とは機能的に異なることを示唆する。
(参考文献)
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(実施例18)
(DE2−7上皮細胞増殖因子レセプター(EGFR)に対して特異的な新規のモノクローナル抗体は、EGRF遺伝子増幅を含有する細胞において発現されるEGFRもまた認識する)
以下の実験は、Johnsら(2002)Int.J.Cancer,98、および同時継続中の出願番号第60/342、258号(2001年12月21日出願)(この両方の開示の全体が、本明細書において、適切な場合、本明細書中の図に相互参照される参考として援用される)において提示される。モノクローナル抗体mAb806を研究して、そしてEGFレセプターに関する結合特性に関係する追加データを得た。これは本明細書中の前の方に提示されるデータに追加して、そしてそれらの実証である。従って、以下の提示は特許出願および対応する刊行物において記載される、概要および物質を示す。
モノクローナル抗体(MAb806)は、潜在的に、腫瘍細胞の表面上に発現したEGFRを標的化することに関連する困難さを打開する。MAb806は、de2−7EGFRでトランスフェクションされたU87MG神経膠腫細胞(U87MG.Δ2−7)に高親和性(約1×10−1)で結合したが、野生型EGFRを発現する親細胞には結合しなかった。この観察と一致して、MAb806は細胞外ドメインを含む野生型EGFRの可溶性バージョンに結合し得ない。対照的に、この細胞外ドメインのELISAプレートへの固定化は、MAb806の飽和かつ用量応答性の結合を導き、このことはMAb806が特定の条件下で野生型EGFRに結合し得ることを示唆する。MAb806はまた、EGFR遺伝子増幅に起因して多量のEGFRを発現するA431細胞の表面に結合した。興味深いことに、MAb806は、A431細胞により発現される総EGFR分子の10%のみを認識し、そして結合親和性はde2−7EGFRについて決定された親和性よりも低かった。MAb806は、U87MG.Δ2−7異種移植片を特異的に標的化し、そしてA431異種移植片は、注入後8hに検出されるU87MG.Δ2−7異種移植片におけるピークレベルで、ヌードマウスにおいて増殖した。親のU87MG異種移植片の特異的な標的化は、観察されなかった。U87MG.Δ2−7細胞への結合の後、MAb806をマクロビノサイトーシス(macropinocytosis)により直ちに内部移行させて、続いてリポソームに輸送した(初期の標的化ピークに貢献する可能性のあるプロセスが、異種移植片において観察された)。従って、MAb806を使用して、EGFR遺伝子増幅またはde2−7EGFRを含む腫瘍細胞を標的化し得るが、これは細胞表面に発現されない場合、野生型EGFRには結合しない。
上記に論じられるように、MAb806はde2−7EGFRに特異的であるが、特有の接合部ペプチドからは明確に識別可能なエピトープに結合する。興味深いことに、MAb806は神経膠腫細胞の細胞表面上に発現される野生型EGFRを認識しなかったが、これはELISAプレート表面に固定された野生型EGFRの細胞外ドメインに実際に結合した。さらに、MAb806は、EGFR遺伝子の増幅を有するが、de2−7EGFRを発現しない、A431細胞の表面に結合した。従って、本発明者らの結果は、変異したレセプターを共発現する腫瘍が依然として好ましい標的化を示すが、MAb806を使用して、腫瘍のde2−7EGFRの状態に関係なく、増幅されたEGFRを有する腫瘍を特異的に標的化し得ることが、可能である。MAb806は遺伝子増幅の非存在下において野生型レセプターに結合しないので、現在開発されているEGFR抗体(18、19)に関係する潜在的な問題である、正常組織における取り込みは存在しない。
(材料および方法)
(MAbおよび細胞株)
U87MG星状細胞腫細胞株は、先に詳細に記載されている20。この細胞株を、de2−7 EGFRを含むレトロウイルスで感染し、U87MG.Δ2−7細胞株を生成した。10のヒト扁平上皮癌腫A431細胞を、ATCC(Rockville、MD)から得た。これらの細胞株を、10%FCS(CSL、Melbourne、Australia)で補填したGlutaMAXTM(Life Technologies、Melbourne、Australia)とともにDMEM/F−12中で培養した。任意の公知のEGFR関連分子を発現しない、マウスpro−B細胞株BaF/3を、上記のように、de2−7 EGFRでトランスフェクトした。DH8.3抗体(IgG1)は先に記載されており、そしてde2−7 EGFR中で見出される特有の接合部ペプチドを用いたマウスの免疫化の後に得た16。MAb 806(IgG2b)は、de2−7 EGFRでトランスフェクトしたNR6マウス線維芽細胞を用いたマウスの免疫化の後に産生された。それは、さらなる特徴付けのために選択され、血球凝集アッセイは、NR6.ΔEGFR細胞に対しで高い力価を、しかしNR6.wtEGFR細胞に対しては低バックグラウンドを示した。de2−7および野生型EGFRの両方を認識する528抗体は、先に記載され21、そしてATCCから得たハイブリドーマを用い、Biological Production Facility(Ludwig Institute for Cancer Research、Melbourne)において生産された。EGFRのCOOH末端ドメインに対して惹起されたポリクローナル抗体sc−03は、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)から購入した。
(その他の試薬)
野生型EGFRの組換細胞外ドメイン(アミノ酸1−621)(sEGFR)は、先に記載22のように生産された。de2−7 EGFRからのビオチン化された特有の接合部ペプチド(ビオチン−LEEKKGNYVVTDH)は、標準的なFmoc化学により合成し、そして純度(>96%)は、逆相HPLCおよび質量スペクトル分析(Auspep、Melbourne、Australia)により決定した。
(FACS分析)
細胞を、関係する抗体(10μg/ml)、次にフルオレセイン結合体化ヤギ抗マウスIgG(1:100希釈;Calbiochem、San Diego、CA)で標識した。FACSデータを、Coulter Epics Elite ESP上で、最小5,000事象を観察することにより得、そしてWindows(登録商標)用のEXPO(version 2)を用いて分析した。
(ELISAアッセイ)
2つのタイプのELISAを用いて抗体の特異性を決定した。第1のアッセイでは、プレートをSegfr(0.1M炭酸緩衝液pH9.2中で10μg/ml)で2時間コートし、そして次にPBS中の2%ヒト血清アルブミン(HSA)でブロックした。抗体を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の2%HSA中、漸増濃度で、ウェルに添加した(3連で)。結合した抗体は、基質としてABTS(Sigma、Sydney、Australia)を用い、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化ヒツジ抗マウスIgG(Silenus、Melbourne、Australia)により検出し、そして405nmで吸光度を測定した。第2のアッセイでは、ビオチン化de2−7特異的ペプチドを、ストレプトアビジン(Pierce、Rock−ford、Illinois)でプレコートしたELISAプレートに結合させた。抗体は、第1のアッセイにおけるように結合および検出した。
(Scatchard分析)
抗体を、クロラミンT法により、125I(Amrad、Melbourne、Australia)で標識し、そして免疫反応性をLindmoアッセイにより測定した23。すべての結合アッセイは、1%HSA/PBS中で、1〜2×10生存U87MG.Δ2−7細胞またはA431細胞に対し、90分間4℃で穏やかに回転して実施した。10ng/mlの125I標識抗体の設定濃度を、漸増濃度の適切な非標識抗体の存在下で用いた。非特異的結合は、非標識抗体の10,000倍過剰の存在下で測定した。125I−放射標識MAb 806またはDH8.3抗体のいずれも親U87MG細胞に結合しなかった。インキュベーションが終了した後、細胞を洗浄し、そしてCOBRA IIγカウンター(Packard Instrument Company、Meriden、CT)を用い、結合した125I−標識抗体についてカウントした。Scatchard分析は、免疫反応性の補正の後に行った。
(内在化アッセイ)
U87MG.Δ2−7細胞を、MAb 806またはDH8.3抗体のいずれか(10μg/ml)と1時間DMEM中4℃でインキュベートした。洗浄後、細胞を37℃に予め暖められたDMEMに移し、そして37℃でのインキュベーションの後、種々の時点でアリコートを採取した。内在化(インターナリゼーション)を、氷冷洗浄緩衝液(1%HSA/PBS)中でアリコートを直ちに洗浄することにより停止した。時間経過の終了時、細胞を上記のようにFACSによって染色した。内在化のパーセントは、以下の式を用いてゼロ時間に対する種々の時点における表面抗体染色を比較することにより算出した:
内在化抗体のパーセント=(時間における平均蛍光−バックグラウンド蛍光)/(時間0における平均蛍光−バックグラウンド蛍光)×100。この方法は、先に記載のような24内在化を測定するためのヨウ素化抗体(MAb 806)を用い、1アッセイで有効にした。異なる時点での内在化率における差異は、Studentのt検定を用いて比較した。
(U87MG.Δ2−7細胞の電子顕微鏡観察)
U87MG.Δ2−7細胞を、ゼラチンでコートしたチャンバースライド(Nunc、Naperville、IL)上で80%集密まで増殖させ、そして次に氷冷DMEMで洗浄した。次いで、細胞をMAb 806またはDH8.3抗体と、DMEM中45分間4℃でインキュベートした。洗浄後、細胞を、金結合体化(20nm粒子)抗マウスIgG(BBInternational、Cardiff、UK)と4℃でさらに30分間インキュベートした。さらなる洗浄の後、予め暖めたDMEM/10%FCSを細胞に添加し、これを、1〜60分の種々の時間の間37℃でインキュベートした。抗体の内在化は、氷冷培地により停止させ、そして細胞を、PBS/0.1%HSA中2.5%グルタルアルデヒドで固定し、そして次に2.5%四酸化オスミウム中で後固定した。アセトンの段階付けた系列により脱水した後、サンプルをEpon/Araldite樹脂中に包埋し、Reichert Ultracut−Sミクロトーム(Leica)を用いて超薄片として切断し、そしてニッケルグリッド上に集めた。これら切片を、Philips CM12透過電子顕微鏡上80kVで観察する前に、酢酸ウランおよびクエン酸鉛で染色した。コートされたピット内に含まれる金粒子の統計分析は、χ検定を用いて実施した。
(免疫沈降研究)
細胞を、16時間、100μCi/mlのTran35S−Label(ICN Biomedicals、CA)と、5%透析FCSで補填したメチオニン/システインなしのDMEM中で標識した。PBSでの洗浄の後、細胞を、溶解緩衝液(1%Triton X−100、30mM HEPES、150mM NaCl、500μM AEBSF、150nMアプロチニン、1μM E−64プロテアーゼインヒビター、0.5mM EDTAおよび1μMロイペプチン、pH7.4)中に4℃で1時間置いた。溶解物を、12,000gにおける10分間の遠心分離により清澄化し、次いで、Protein A−Sepharoseの添加の前に、4℃で30分間、5μgの適切な抗体とインキュベートした。免疫沈降物を、溶解緩衝液で3回洗浄し、SDSサンプル緩衝液と混合し、4〜20%Tris/グリシンゲルを用いるゲル電気泳動により分離し、次にそれを乾燥し、そしてX線フィルムに曝した。
(腫瘍をもつヌードマウスにおける生体分布)
腫瘍異種移植片を、3×10のU87MG細胞、U87MG.Δ2−7細胞またはA431細胞の皮下注射によってヌードBALB/cマウス中に確立した。U87MG.Δ2−7異種移植片におけるde2−7EGFR発現は、種々の時点で免疫組織化学により測定したとき、生体分布の期間を通じて安定なままである(データは示さず)。A431細胞はまた、腫瘍異種移植片として増殖するとき、免疫組織化学により決定されるように、それらのMAb806反応性を保持していた。U87MG細胞またはA431細胞は、U87MG.Δ2−7細胞を1つの側に注射する7〜10日前に、他方の側に注射した。なぜなら、de2−7EGFRを発現する異種移植片についてより速い増殖速度が観察されたからである。抗体を放射線標識し、そして上記のように免疫反応性を評価し、そして腫瘍が100〜200mg重量であったとき、後眼窩(retro−orbital)経路によりマウス中に注射した。各マウスは、2つの異なる抗体(2μg/抗体):2μCiの125I−標識MAb806および2μCiの131I−標識DH8.3または528を受けた。示されなければ、5匹のマウスの群を、注射後の種々の時点で屠殺し、そして心臓穿刺により血液を得た。腫瘍、肝臓、脾臓、腎臓および肺を解剖により得た。すべての組織を秤量し、そして2チャンネルの計数ウインドウを用いて125I活性および131I活性についてアッセイした。各抗体についてのデータは、注射用量標準に対する比較により決定されたグラム腫瘍あたりの注射用量のパーセント(%ID/g腫瘍)で表されるか、または血液/肝臓に対する腫瘍の比(すなわち、%ID/g腫瘍÷%ID/g血液または肝臓)に変換された。群間の差異は、Studentのt検定で分析した。放射標識MAb806注射の後、いくつかの腫瘍をホルマリン中に固定し、パラフィン中に包埋し、5μm切片に切断し、そして次にX線フィルム(AGFA、Mortsel、Belgium)に曝し、オートラジオグラフィーにより抗体局在化を決定した。
(結果)
(細胞株への抗体の結合)
MAb 806およびDH8.3抗体の特異性を確認するために、U87MG細胞およびU87MG.Δ2−7細胞への結合をFACSにより分析した。関連のないマウスIgG2bを、MAb806のイソ型コントロールとして含め、そして528抗体を、これがde2−7および野生型EGFRの両方を認識するので含めた。528抗体のみがU87MG細胞株を染色し得たことは(図1)、これら細胞が野生型EGFRを発現することを示す先の報告10と一致する。MAb806およびDH8.3抗体の両方が関連のない抗体と類似の結合レベルを有したことは、それらが野生型レセプターを結合し得ないことを明確に示す(図1)。イソ型コントロール抗体のU87MG.Δ2−7細胞への結合は、U87MG細胞について観察されたそれと同様であった。MAb806およびDH8.3抗体が、U87MG.Δ2−7細胞を免疫染色したことは、これらの抗体がde2−7EGFRを特異的に認識することを示す(図1)。528抗体は、U87MG.Δ2−7を、親細胞より高い強度で染色した(図1)。なぜなら、この抗体が、これら細胞で同時発現されるde2−7および野生型レセプターの両方を結合するからである。重要なことは、MAb806がまた、BaF/3.Δ2−7細胞株を結合したことであり、野生型EGFRの同時発現はMAb806反応性に必要ではないことを示す(図1に示される、しかしデータは本明細書中に示さず)。
(ELISAアッセイにおける抗体の結合)
MAb806およびDH8.3抗体の特異性をさらに特徴付けるために、それらの結合をELISAにより調べた。MAb806および528抗体の両方は、固定化された野生型sEGFRに対し、用量依存性かつ飽和する結合曲線を示した(図2A)。de2−7EGFR中で見出された上記特有の接合部ペプチドがsEGFR内に含まれていないとき、MAb806は、野生型EGFR配列内に位置するエピトープに結合されているはずである。528抗体の結合は、MAb806について観察された結合よりおそらく低かった。なぜなら、それは、構造的決定基を認識するからである。予期されるように、DH8.3抗体は、10μg/mlまでの濃度でさえ野生型sEGFRを一様に結合しなかった(図2A)。溶液中のsEGFRは、528抗体の固定化されたsEGFRへの結合を用量依存様式で阻害したけれども、それは、MAb806の結合を阻害し得なかった(図2B)。これは、MAb806が、一旦ELISAプレート上に固定化された(立体構造変化を誘導し得るプロセス)野生型EGFRのみを結合し得ることを示唆する。BIAコアを用いて同様の結果が観察され、それによって、MAb806は固定化sEGFRを結合したが、固定化されたMAb806は、溶液中のsEGFRを結合し得なかった(データは示さず)。95℃における10分間の加熱による変性の後、溶液中のsEGFRは、MAb806の固定化されたsEGFRへの結合を阻害し得(図2Cに示すが本明細書中にデータは示さない)、MAb806は、特定の条件下で、野生型EGFRを結合し得ることを確認した。興味深いことに、この変性したsEGFRが、528抗体の結合を阻害し得なかったことは(図2Cに示すが本明細書中にデータは示さない)、この抗体が立体構造エピトープを認識することを示す。DH8.3抗体は、特有のde2−7EGFRペプチドに対し、用量依存性で、かつ飽和可能な結合を示した(図2D)。MAb806または528抗体のいずれも、DH8.3の飽和結合を得るために用いた濃度より高い濃度でさえ、このペプチドに結合しなかったことは、MAb806が、このペプチド内のエピトープ決定基を認識しないことをさらに示す。
(抗体のScatchard分析)
各抗体の相対的親和性を決定するために、U87MG.Δ2−7細胞を用いてScatchard分析を実施した。MAb806およびDH8.3抗体の両方は、ヨウ素化されたとき高い免疫反応性を保持し、そして代表的には、MAb806については90%より大きく、そしてDH8.3抗体については45〜50%であった。MAb806は、de2−7EGFRレセプターに対して1.1×10−1の親和性を有し、その一方、DH8.3の親和性は、1.0×10−1で数10倍、より低かった。いずれのヨウ素化抗体もU87MG親細胞に結合しなかった。MAb806は、平均して細胞あたり2.4×10の結合部位を認識し、DH8.3抗体結合は平均して5.2×10部位であった。従って、抗体間でレセプター数が良好に一致していたのみならず、同じ細胞株上の異なるde2−7EGFR特異的抗体により測定されたような、細胞あたり2.5×10de2−7レセプターを示す先の報告25とも一致した。
(U87MG.Δ2−7細胞による抗体の内在化)
標的細胞への結合後の抗体内在化の割合は、その腫瘍標的化性質および治療オプションの両方に影響する。その結果、本発明者らは、U87MG.Δ2−7細胞への結合後のMAb806およびDH8.3抗体の内在化をFACSにより調べた。両方の抗体は比較的迅速な内在化を示し、MAb806は10分で、そしてDH8.3は30分で定常状態に到達した(図3)。DH8.3の内在化は、割合(10分で、MAb806の36.8%と比較して内在化DH8.3の80.5%、P<0.01)および60分における内在化総量(93.5%対30.4%、p<0.001)の点の両方で有意により高かった。MAb806は、実施した4つのアッセイのすべてにおいて、20分に比較して30分および60分におけるわずかにより低いレベルの内在化を示した(図3)。この結果はまた、ヨウ素化MAb806に基づく内在化アッセイを用いて確認された(データは示さず)。
(抗体内在化の電子顕微鏡分析)
抗体間の内在化割合におけるこの差異が得られたので、抗体細胞内輸送の詳細な分析を、電子顕微鏡を用いて実施した。DH8.3抗体は、コートされたピットを経由して優先的に内在化したが(図19A)、MAb806は、マクロピノサイトーシスにより内在化するようであった(図19B)。事実、MAb806とインキュベートした細胞中で形成された32のコートされたピットの詳細な分析は、それらのいずれも抗体を含まなかったことを示した。対照的に、DH8.3とインキュベートした細胞からのすべてのコートされたピットの約20%は、複数の金粒子を含む数でもって抗体陽性であった。コートされたピット内に含まれた金粒子の総数の統計的分析は、この差異が高度に有意であったことを見出した(p<0.01)。20〜30分後、両方の抗体は、形態学的にリソソームに似ている構造中に観察することができた(図19C)。これら構造内の細胞細片の存在はまた、それらのリソソーム性質と一致する。
(腫瘍保持ヌードマウスにおける抗体の生体分布)
MAb806およびDH8.3抗体の生体分布を、1つの側にU87MG異種移植片を、そして他方の側にU87MG.Δ2−7異種移植片を含むヌードマウス中で比較した。比較的短時間の期間をこの研究のために選択した。なぜなら、先の報告16は、DH8.3抗体が4〜24時間の間で腫瘍標的化のピークレベルを示すことを証明していたからである。%ID/g腫瘍について、MAb806は、U87MG.Δ2−7異種移植片において、8時間で18.6%ID/g腫瘍のそのピークレベルに到達し(図4A)、血液を除く任意のその他の組織よりかなり高かった.DH8.3もまた、8時間でピーク腫瘍レベルを示したが、そのレベルは、MAb806と比較して統計的により低い(p<0.001)8.8%ID/g腫瘍であった(図4B)。両方の抗体のレベルは、24時間および48時間でゆっくりと傾斜した。125Iで標識したMAb806単独での注射後8時間で集めたU87MG.Δ2−7異種移植片組織切片のオートラジオグラフィーは、生存腫瘍への抗体の局在化を明らかに示す(図20)。いずれの抗体もU87MG親異種移植片の特異的標的化は示さなかった(図4A、4B)。血液/肝臓に対する腫瘍の比に関し、MAb806は、血液(1.3の比)および肝臓(6.1の比)の両方について、24時間で最高の比を示した(図5A、5B)。DH8.3抗体は、血液において8時間で最高の比(0.38の比)そして肝臓において24時間で最高の比(1.5の比)を有し(図5A、5B)、その両方は、MAb806について得られた値よりかなり低い。
(増幅されたEGFRを含む細胞へのMAb806の結合)
MAb806が、増幅されたレセプター遺伝子を含む細胞中で発現されたEGFRを認識し得るか否かを調べるために、A431細胞に対するその結合を分析した。FACS分析により、低いが、高度に再現性のあるA431細胞へのMAb806の結合が観察された(図6)。DH8.3抗体がA431細胞を結合しなかったことは、MAb806の結合が低レベルde2−7EGFR発現の結果ではなかったことを示す(図6)。予期されるように、抗EGFR528抗体は、A431細胞の強い染色を示した(図6)。3つのこのような実験の平均は、細胞あたり2.4×10レセプターとの9.5×10−1の親和性の値を与えた。従って、このレセプターに対する親和性は、de2−7EGFRに対する親和性より数10倍低かった。さらに、MAb806は、A431細胞の表面上に見出されるEGFRの小部分のみを認識するようである。528抗体を用いて細胞あたり約2×10のレセプターが測定され、これは、多くの他の研究26と一致する。これらの結果が単にA431細胞株に限定されなかったことを確実にするために、MAb806反応性を、EGFR遺伝子の増幅を示す2つの他の細胞株中で調べた。HN5頭頸部細胞株27およびMDA−468胸部癌細胞株28の両方は、EGFR遺伝子の複数コピーを含むことが報告されている。これらの報告と一致して、528抗体は、両方の細胞株の強い染色を示した(図21)。A431細胞株とのように、MAb806は、両方の細胞株を明らかに染色したが、528抗体で観察されたより低いレベルであった(図21)。従って、MAb806結合は、単にA431細胞に限定されず、EGFR遺伝子の増幅を含む細胞について一般的な観察であるようである。
(免疫沈降)
MAb806反応性を、35S標識化細胞を用いる免疫沈降によりさらに特徴付けた。sc−03抗体(EGFRのc末端ドメインに特異的な市販のポリクローナル抗体)は、U87MG.Δ2−7細胞からの3つのバンドを免疫沈降させた;2つのde2−7EGFRバンドに対応するダブレットがこれらの細胞で観察され、そしてより大きい分子量バンドはwtEGFRに対応する(図22)。対照的に、MAb806は、2つのde2−7EGFRバンドを免疫沈降したが、wtEGFRは全くなかった。このsc−03抗体は、A431細胞からのwtEGFRに対応する1つのバンドを免疫沈降した(図22)。MAb806もまた、A431細胞からのwtEGFRに対応する1つのバンドを免疫沈降した(図22)が、FACSおよびScatchardデータと一致して、MAb806により免疫沈降されたEGFRの量は、細胞表面上に存在する総EGFRより実質的に少なかった。MAb806およびsc−03は、同様の量のde2−7EGFRを免疫沈降したので、この結果は、MAb806抗体が、レセプターを過剰発現する細胞において、EGFRの一部分のみを認識するという観念を支持している。関連のないIgG2b(MAb806のイソ型コントロール)は、いずれの細胞株からのEGFRも免疫沈降しなかった(図22)。同一の条件を用いて、MAb806は、親U87MG細胞からのEGFRを免疫沈降しなかった(データは示さず)。
(MAb806によるA431細胞のインビボ標的化)
第2の生体分布研究は、MAb806を用いて実施し、それがA431腫瘍異種移植片を標的にし得るか否かを決定した。この研究は、MAb806によるU87MG.Δ2−7異種移植片の標的化に関するより多くの情報を得るためにより長い時間経過に亘り実施し、これは、ポジティブコントロールとしてすべてのマウスに含められた。さらに、抗EGFR528抗体を、A431異種移植片に対するポジティブコントロールとして含めた。なぜなら、先の研究21が、ヌードマウスで増殖したA431細胞への、低いが有意であるこの抗体の標的化を示していたからである。最初の48時間の間、MAb806は、初期実験で観察されたのとほぼ同じ標的化性質を示した(図4Aと比較される図7A)。%ID/g腫瘍に関し、U87MG.Δ2−7異種移植片中のMAb806のレベルは、24時間の後にゆっくりと傾いたが、正常組織中で検出されたレベルより常に高く維持された。A431異種移植片中の取り込みは比較的低かったが、肝臓、脾臓、腎臓および肺のような正常組織中で観察されなかった、最初の24時間の間の%ID/g腫瘍のわずかな増加が存在した(図7A)。%ID/g腫瘍として表されたとき、528抗体の取り込みは、両方の異種移植片において低かった(図7B)。125I標識MAb806単独での注射の後24時間で集められたA431異種移植片組織切片のオートラジオグラフィーは、腫瘍周縁の周囲あり、かつ壊死の中央領域にない生存腫瘍への抗体の局在化を明瞭に示す(図23)。血液に対する腫瘍の比に関し、MAb806は、U87MG.Δ2−7異種移植片について72時間、そしてA431異種移植片について100時間でピークとなった(図8A、8B)。MAb806について、腫瘍:血液比は、A431腫瘍に関して1.0を超えることは決してなかったが、時間経過の全体に亘って増加し(図8B)、そして調べた他のすべての組織より高かったこと(データは示さず)は、標的化のレベルが低いことを示す。528抗体についての血液に対する腫瘍の比は、A431異種移植片でより高いレベルが注記されたが、MAb806に類似のプロフィールを示した(図8A、8B)。MAb806が、U87MG.Δ2−7異種移植片において、72時間で7.6の肝臓に対する腫瘍の比のピークを有したことは、正常組織に比較したこれら腫瘍における優先的取り込みを明らかに示す(図8C)。MAb806についての器官に対する他の腫瘍の比は、肝臓において観察された比と類似した(データは示さず)。A431異種移植片におけるMAb806の肝臓に対する腫瘍の比のピークが、約1(1od)時間において2.0であったことは、正常組織と比較して腫瘍のわずかに優先的な取り込みを再び示す(図8D)。
(討論)
de2−7EGFR中で見出された特有の接合部ペプチドに対して惹起された先に記載のL8A4モノクローナル抗体は、MAb806に類似の様式で挙動する38。de2−7EGFRでトランスフェクトされたU87MG細胞を用い、この抗体は、類似の内在化率(MAb806について1時間で30%と比較して1時間で35%)を有し、そしてde2−7EGFRでトランスフェクトされた3T3線維芽細胞を用いるとき、匹敵するインビボ標的化を示した(MAb806について8時間で18%ID/g腫瘍と比較して24時間で24%ID/g腫瘍のピーク)25
おそらく、現存のEGFR抗体と比較して最も重要なMAb 806の利点は、MAb806が、細胞障害性因子に直接結合し得ることである。このアプローチは、現在のEGFR特異的抗体を用いて可能ではない。なぜなら、これらの抗体は、肝臓を標的化し、そして細胞障害性結合が、ほとんど確実に、重篤な毒性を引き起こすからである。抗体への細胞障害性因子(例えば、薬物41または放射線同位体42)の結合は、効力を改善し、そしてこれらの因子の全身的毒性を減少させる可能性を有する。腫瘍の殺傷を媒介する結合抗体の能力は、それが内部移行される可能性に依存する。従って、U87MG.Δ2−7細胞におけるMAb 806を用いた場合に観察される迅速な内部移行は、MAb 806がこのタイプのアプローチの理想的な候補であることを示唆する。
MAb 806は、特有の接合ペプチドと会合していないエピトープに対する第1のde2−7 EGFR特異的抗体であるという点において、新規である。これは、DH8.3(以前に記載されたde2−7 EGFR抗体)よりも優れた親和性および良好な腫瘍標的化特性を有する。しかし、重要な特性は、EGFR遺伝子の増幅を示す腫瘍細胞の表面上で発現されるEGFR分子のサブセットを認識する能力である。このことは、MAb 806が、独特の臨床的特性(de2−7および増幅されたEGFRの両方を標的化するが、野生型レセプターは標的化しない能力)を有し得ることを示唆する。正確に実証される場合、この抗体は、肝臓のような器官を標的化せず、従って、EGFR(これは、細胞毒性因子の結合には使用され得ない)に対する現在の抗体よりも汎用性となる18,19。最終的に、MAb 806は、de2−7 EGFRにおいて見出される短縮により誘導されるコンフォメーション変化を分析するための有用な試薬であり得る。
(参考文献)
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(実施例19)
(レセプターに対する新規なモノクローナル抗体である、モノクローナル抗体(mAb)806の全身投与による、変異上皮増殖因子レセプターを過剰発現する頭蓋内異種移植神経芽腫の増殖抑制)
この実施例は、ヌードマウスにおける頭蓋内異種移植神経芽腫の増殖に対するmAb 806の評価を示す。以下は、Mishimaら(2001) Cancer Research,61: 5349−5354に対応し、これに示されており、そしてこの刊行物全体は、適切な場合、本明細書中の図面を相互参照と共に本明細書中で参考として援用され、そしてこの一部をなす。Mishimaらのデータおよび知見は、以下に記載される。
mAb 806での全身処置は、腫瘍の容量を有意に減少し、そしてU87 MG.ΔEGFR神経芽腫、LN−Z308.ΔEGFR神経芽腫またはA1207神経芽腫(これらの各々は、高レベルのΔEGFRを発現する)の異種移植片を有するマウスの生存度を増加した。逆に、mAb 806処置は、親U87 MG腫瘍(これは低レベルの内在性野生型EGFRを発現した)またはU87 MG.DK腫瘍(これは、高レベルのキナーゼ欠失ΔEGFRを発現した)を有するマウスに対して効果的ではなかった。野生型EGFR過剰発現U87 MG神経芽腫(U87 MG.wtEGFR)を異種移植されたマウスの生存度のわずかな増加は、このような細胞との弱い交差反応性と一致するmAb 806によって、達成された。マウスにおけるU87 MG.ΔEGFR腫瘍の、mAb 806での処置は、腫瘍増殖および新脈管形成の両方の減少、ならびにアポトーシスの増加を引き起こした。機構的には、インビボのmAb 806処置は、構成的に活性なΔEGFRのリン酸化の減少を生じ、そしてアポトーシスプロテクターであるBcl−XLの下方制御された発現を引き起こした。これらのデータは、mAb 806処置が、ΔEGFRを発現する攻撃的な神経芽腫のための有用な生体治療剤であり得るという前臨床的証拠を提供する。
本実施例は、新規のΔEGFR特異的mAbであるmAb 806での全身処置が、構成的に活性なΔEGFRのリン酸化の減少を引き起こし、それにより、ヌードマウスにおいてこの変異レセプターを過剰発現する頭蓋内に移植された神経芽腫の増殖を抑制し、そしてそれらの生存を延長することを実証する。腫瘍増殖の阻害は、増殖および新脈管形成の減少、ならびに腫瘍細胞のアポトーシスの増加により媒介された。この抑制は、ΔEGFRによる活発なシグナル伝達に影響を与えた。なぜなら、キナーゼ欠失ΔEGFR(DK)を過剰発現する細胞由来の頭蓋内異種移植片(これは、同様に、mAb 806により十分に認識される)は、同じ治療の後に有意には抑制されなかったからである。
(材料および方法)
(細胞株)ヒト神経膠芽腫の一次移植は、培養物中の増殖されて再配置されたレセプターの発現を迅速に損失するので、現存の神経膠芽腫細胞株はこのような発現を示さない。ヒト腫瘍において観察される発現レベルに匹敵する発現レベルの維持を強いるために、U87 MG細胞、LN−Z308細胞およびA1207細胞(Dr.S.Aaronson、Mount Sinai Medical Center,New York,NYから寄贈)を、ΔEGFRウイルス、キナーゼ欠失ΔEGFR(DK)ウイルス、またはwtEGFRウイルス(これらはまた、以前に記載されたように(21)、G418に対する耐性を与えた)で感染した。類似のレベルの種々のEGFR対立遺伝子を発現する集団(これらの発現レベルは、25遺伝子コピーの増幅レベルにほぼ対応し;ヒト神経膠芽腫は、代表的に、短縮型レセプターの10〜50遺伝子コピーの増幅レベルを有する)を、以前に記載されたようにして(21)、FACSによって選択し、そしてそれぞれ、U87 MG.ΔEGFR、U87 MG.DK、U87 MG.wtEGFR、LN−Z308.ΔEGFR、LN−Z308.DK、LN−Z308.wtEGFR、A1207.ΔEGFR、A1207.DK、およびA1207.wtEGFRと命名した。各々は、G418(U87 MG細胞株、400mg/ml;LN−Z308細胞株およびA1207細胞株、800mg/ml)を含む培地中で維持した。ΔEGFR特異的mAbであるmAbs.mAb 806(IgG2b,k)を、ΔEGFRを発現するNR6マウス線維芽細胞でのマウスの免疫の後に、生成した。これを、いくつかのクローンから選択した。なぜなら、赤血球凝集アッセイにより、これが、NR6.ΔEGFR細胞に対する高度な反応性、およびNR6.wtEGFR細胞に対する低い反応性を有し、そしてNR6.細胞に対しては反応性を有さなかったからである。
(免疫沈降およびウエスタンブロット分析)細胞を、溶解緩衝液(50mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、10%グリセロール、1% Triton、X−100、2mM EDTA、0.1% SDS、0.5% デオキシコール酸ナトリウム、10mM ナトリウムPPi、1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド、2mM NaVO、5μg/ml ロイペプチン、および5μg/mlアプロチニンを含む)を用いて溶解した。抗体を、細胞溶解物と共に、4℃で1時間インキュベートし、その後、プロテインAセファロースおよびプロテインGセファロースを添加した。免疫沈降物を、溶解緩衝液で2回、およびHNTG緩衝液[50mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、0.1% Triton X−100、および10% グリセロール]で1回洗浄し、電気泳動し、そしてニトロセルロース膜に移した。ブロットを、抗EGFR抗体であるC13でプローブし、そしてタンパク質を、ECL化学発光検出システム(Amersham Pharmacia Biotech.)を使用して可視化した。沈降のために使用したmAbは、mAb 806、抗EGFR mAbクローン528(Oncogene Research Products,Boston,MA)、またはクローンEGFR.1(Oncogene Research Products)であった。免疫ブロットにおける野生型およびΔEGFRの両方の検出のために使用したmAb、C13は、Dr.G.N.Gill(University of California,San Diego,CA)から提供された。Bcl−Xに対する抗体(ウサギポリクローナル抗体;Transduction Laboratories,Lexington,KY)およびホスホチロシン(4G10、Upstate Biotechnology,Lake Placid,NY)を、以前に記載されたようにして(26)、ウエスタンブロット分析のために使用した。
(フローサイトメトリー分析)細胞を、以前に記載されるようにして(21)、関連の抗体で標識し、次いで、フルオレセイン結合ヤギ抗マウスIgG(1:100希釈;Becton−Dickinson PharMingen,San Diego,CA)で標識した染色した。細胞を、Cell Questソフトウエア(Becton−Dickinson PharMingen)を使用するFACSCaliburで分析した。一次抗体について、以下のmAbを使用した:mAb 806、抗EGFR mAbクローン528、およびクローンEGFR.l。マウスIgG2aまたはIgG2bを、アイソタイプコントロールとして使用した。
(腫瘍治療)PBS5μl中の、U87 MG.ΔEGFR細胞(1×10)または5×10のLN−Z308.ΔEGFR、A1207.ΔEGFR、U87 MG、U87 MG.DKおよびU87 MG.wtEGFR細胞を、以前に記載されたようにして(27)、ヌードマウスの脳の右線条体に移植した。mAb 806、またはIgG2bアイソタイプコントロールを用いる全身治療を、移植後0日目から14日目まで一日おきに、100μlの容量で、1μgのmAbを腹腔内注射することによって、達成した。脳内U87 MG.ΔEGFR腫瘍の直接治療について、10μgのmAb 806、またはIgG2bアイソタイプコントロールを、5μlの容量で、1日目から始めて5日間、一日おきに、腫瘍注入部位に注射した。
(免疫組織化学)腫瘍における新脈管形成を評価するために、これらを、塩化亜鉛を含む溶液中に固定し、パラフィン包埋し、切片化し、そしてモノクローナルラット抗マウスCD31抗体(Becton−Dickinson PharMingen;1:200)を用いて免疫染色した。腫瘍細胞増殖の評価を、Ki−67免疫組織化学によって、ホルマリンで固定してパラフィン包埋した腫瘍組織について実施した。パラフィン除去(deparaffinization)および再水和の後、この組織切片を、メタノール中3%の過酸化水素と共にインキュベートして、内在性ペルオキシダーゼをクエンチした。これらの切片を、ヤギ血清で30分間ブロックし、そして一次抗体と共に、4℃で一晩インキュベートした。次いで、これらの切片を、PBSで洗浄し、そしてビオチン化した二次抗体と共に30分間インキュベートした。PBSで数回洗浄した後、生成物を、色素原としてのジアミノベンジジンおよび対比染色としてのヘマトキシリンを含むストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼを使用して可視化した。増殖の測定値として、Ki−67標的指数を、強力な(3400)場における標識した核:全核の比として決定した。約2000個の核を、系統的ランダムサンプリングによって、各場合において計数した。マクロファージおよびNK細胞の染色について、緩衝化した4%のパラホルムアルデヒド溶液で固定した凍結切片を、それぞれ、ビオチン化mAb F4/80(Serotec,Raleigh,NC)およびポリクローナルウサギ抗アシアロ(antiasialo)GM1抗体(Dako Chemicals,Richmond,VA)を使用して、免疫染色した。新脈管形成を、コンピューター分析を使用して、血管面積として定量した。この目的のために、切片を、抗CD31を使用して免疫染色し、そして対比染色を行わずに、コンピューター画像分析システムを使用して分析した。MVAを、以前に記載されるようにして(27)、CCDカラーカメラを使用して、3200倍の倍率でこれらの切片のデジタル画像を取り込むことによって、決定した。次いで、Image Pro Plusバージョン4.0ソフトウエア(Media Cybernetics,Silver Spring,MD)を使用して、画像を分析し、そしてMVAを、各切片における全染色量を測定することによって、決定した。各スライドについて、4つの領域を評価した。この値を、各領域における全面積の割合として表した。結果を、少なくとも2人の観察者による各々の実験において、確認した(K.M.,H−J.S.H.)。
(TUNELアッセイ)腫瘍組織中のアポトーシス細胞を、以前に記載されるようにして(27)、TUNEL方法を使用することによって検出した。TUNEL陽性細胞を、X400で計数した。そのアポトーシス指数を、各領域中のアポトーシス細胞数:全細胞数の比として計算した。
(統計的分析)このデータを、インビボ生存アッセイ以外は、スチューデントt検定によって、有意性について分析し、これを、ウィルコクソン分析によって分析した。
(結果)
(mAb 806の全身処置は、ΔEGFR過剰発現脳内神経芽腫瘍を有するマウスの生存を延長する)
抗ΔEGFR mAbであるmAb 806の効力を試験するために、本発明者らは、脳内ΔEGFR過剰発現神経芽腫異種移植片を有するヌードマウスを、mAb 806、アイソタイプコントロールのIgG、またはPBSの腹腔内注射を用いて処置した。U87 MG.ΔEGFR細胞を、ヌードマウスに脳内移植し、そして「材料および方法」において記載されるようにして、同日に処置を始めた。
PBSまたはアイソタイプコントロールのIgGで処置された動物は、13日の中央生存期間を有し、一方、mAb 806で処置されたマウスは、21日まで、中央生存期間の61.5%の増加を有した(p<0.001;図24A)。移植の3日後、腫瘍が確立された後のマウスの処置もまた、コントロール群の中央生存期間と比較して、46.1%だけ(13日から19日目;P<0.01)mAb 806処置動物の中央生存期間を延長した(データは示さず)。mAb 806のこれらの抗腫瘍効果がU87 MG.ΔEGFR異種移植片を越えて延びるか否かを決定するために、本発明者らはまた、LN−Z308.ΔEGFRおよびA1207.ΔEGFRの他の神経芽腫細胞移植片を有する動物に対して同様の処置を行った。LN−Z308.ΔEGFR異種移植片を有するmAb 806で処置したマウスの中央生存期間は、コントロールについての19日間から58日間に延びた(P<0.001;図24B)。驚くべきことに、mAb 806で処置した8匹の動物のうち4匹が、60日以上生存した(図24B)。A1207.ΔEGFR異種移植片を有する動物の中央生存期間はまた、コントロールについての24日間から29日間にのびた(P<0.01;データは示さず)。
(mAb 806処置は、ΔEGFR過剰発現脳腫瘍増殖を阻害する)
U87 MG.ΔEGFR異種移植片およびLN−Z308.ΔEGFR異種移植片を有するマウスを、それぞれ、9日目および15日目に殺傷した。腫瘍部分を、組織病理学的に分析し、そして腫瘍容量を、「材料および方法」において記載されるようにして決定した。動物の生存期間について観察された結果と一致して、mAb 806処置は、コントロール群の移植片の容量と比較して、U87 MG.ΔEGFR移植片の容量を90%有意に減少し(P<0.001;図24C)、LN−Z308.ΔEGFR移植片の容量を95%有意に減少した(P<0.001;図24D)。類似の結果を、A1207.ΔEGFR腫瘍を有する動物について観察した(65%の容量減少;P<0.01;データは示さず)。
(mAb 806での腫瘍内処置は、U87 MG.ΔEGFR脳腫瘍を有するマウスの生存期間を延長する)
本発明者らはまた、U87 MG.ΔEGFR異種移植片の処置のためのmAb 806の直接腫瘍内注射の効力を決定した。「材料および方法」において記載されるようにして、動物に、mAb 806またはアイソタイプコントロールのIgGの腫瘍内注射を、移植の1日後に実施した。コントロール動物は、15日間生存し、一方、mAb 806で処置したマウスは、18日間生存し続けた(P<0.01;図24E)。mAb 806を用いる腫瘍内処置は、幾分か効果的であったが、これは複数回の頭蓋内注射および感染の危険性の増加という問題を伴った。従って、本発明者らは、さらなる研究のための全身処置に焦点をあてた。
(mAb 806処置は、U87 MG.wtEGFRを有するマウスの生存期間をわずかに延長するが、U87 MG脳内異種移植片またはU87 MG.DK脳内異種移植片を有するマウスの生存期間は延長しない)
mAb 806による増殖阻害が、ΔEGFRを発現する腫瘍に対して選択的であるか否かを決定するために、本発明者らは、U87 MG脳異種移植片、U87 MG.DK(キナーゼ欠失ΔEGFR)脳異種移植片またはU87 MG.wtEGFR脳異種移植片を有する動物を、処置した。mAb 806処置は、U87 MG腫瘍(これは低レベルの内在性wtEGFRを発現する(22))を移植したマウスの生存期間(図25A)も、U87 MG.DK異種移植片(これは、低レベルの内因性wtEGFRに加えて、キナーゼ欠失ΔEGFRを過剰発現する)を有する動物の生存期間(図25B)も延長しなかった。mAb 806処置は、U87 MG.wtEGFR腫瘍(これは、wtEGFRを過剰発現する)を有するマウスの生存期間をわずかに増加した(P<0.05;中央生存期間、23日 対 26日(コントロール群))(図25C)。
(mAb 806の反応性はインビボ抗腫瘍効果と相関する)
種々のレベルのEGFRまたは異なるタイプのEGFRを発現する腫瘍に対するmAb806の差次的効果を理解するために、本発明者らは、FACS分析によって、種々の腫瘍細胞とのmAb 806反応性を決定した。以前の報告(21)と一致して、抗EGFR mAb 528は、ΔEGFRおよびwtEGFRの両方を認識し、そしてU87 MG細胞と比較して、U87 MG.ΔEGFR細胞のより強力な染色を示した(図26A、528)。逆に、抗体EGFR.1は、ΔEGFRと反応しなかったが、wtEGFRと反応した(21)。なぜなら、U87 MG.ΔEGFR細胞は、U87 MG細胞と同程度に弱い反応性であったからである(図26A、パネルEGFR.1)。このEGFR.1抗体は、U87 MG細胞とよりも、U87 MG.wtEGFRとより強く反応した。なぜなら、U87 MG.wtEGFR細胞は、wtEGFRを過剰発現したからである(図26A、パネルEGFR.1)。mAb 806は、U87 MG.ΔEGFRおよびU87 MG.DK細胞と激しく反応し、U87 MG細胞とは反応しなかったが、これはU87 MG.wtEGFRと弱く反応し、このことは、mAb 806が、過剰発現されたwtEGFRに対する弱い交差活性を有するΔEGFRについて選択的であることを示した(図26A、パネルmAb 806)。このレベルのU87 MG.wtEGFRとの反応性は、抗体処置により媒介される生存期間の延長と定量的かつ定性的に類似していた(図25C)。
本発明者らは、免疫沈降によって、mAb 806の特異性をさらに決定した。種々の細胞株におけるEGFRを、抗体528、EGFR.1およびmAb 806を用いて免疫沈降した。次いで、電気泳動で分離したタンパク質のブロットを、抗EGFR抗体、wtEGFRを認識するC13、ならびにΔEGFRおよびDKでプローブした(22)。FACS分析と一致して、抗体528は、wtEGFRおよび変異レセプターを認識し(図26B、パネルIP:528)、一方、抗体EGFR.1は、wtEGFRと反応したが、変異腫とは反応しなかった(図26B、パネルIP:EGFR.1)。さらに、U87 MG.ΔEGFR細胞およびU87 MG.DK細胞中の変異レセプターのレベルは、U87 MG.wtEGFR細胞中のwtEGFRのレベルに匹敵する(図26B、パネルIP:528)。
しかし、抗体mAb 806は、U87 MG.ΔEGFR細胞およびU87 MG.DK細胞から沈殿されるより大量の変異レセプターおよびU87 MG細胞から沈殿される検出不可能な量の変異レセプターと比較して、U87 MG.wtEGFR細胞溶解物由来の少量のwtEGFRのみを沈殿し得た(図26B、パネルIP:mAb 806)。まとめて、これらのデータは、mAb 806が、ΔEGFR(これもまた、細胞表面上で過剰発現される場合にのみ、少量のwtEGFR中に存在する)中のエピトープを認識することを示唆する。
(mAb 806処置は、ΔEGFR自己リン酸化を減少し、そしてU87 MG.ΔEGFR脳腫瘍におけるBcl−XL発現を下方制御する)
mAb 806による増殖阻害の基礎となる機構を、次に研究した。ΔEGFRの構成的に活性なキナーゼ活性およびΔEGFRのCOOH末端の自己リン酸化は、生物学的機能に必須であるので(21、22、28、29)、ΔEGFRのリン酸化状態を、処置動物由来の腫瘍およびコントロール動物由来の腫瘍において決定した。図27Aに示されるように、mAb 806処置は、ΔEGFR自己リン酸化を劇的に減少させたが、レセプターレベルは、mAb 806処置した異種移植片においてわずかしか減少しなかった。本発明者らは、レセプターの自己リン酸化は、抗アポトーシス遺伝子であるBcl−X(これはΔEGFR過剰発現腫瘍のアポトーシスの減少において重要な役割を果たす)の上方制御を引き起こすことを以前に示している(28、29)。従って、Bcl−X発現に対するmAb 806処置の効果を、次に決定した。mAb 806で処置した動物由来のΔEGFR腫瘍は、減少したレベルのBcl−XLを確かに示した(図27A)。
(mAb 806処置は、U87 MG.ΔEGFR腫瘍における増殖および新脈管形成を減少し、そしてこの腫瘍のアポトーシスを増加する)
mAb 806処置により引き起こされるインビボ抑制およびレセプターシグナル伝達に対するその生物学的効果の観点から、本発明者らは、コントロールマウス由来の腫瘍または処置マウス由来の腫瘍の増殖速度を決定した。mAb 806処置腫瘍のKi−67染色により測定される増殖指数は、コントロール腫瘍の増殖指数よりも有意に低かった(P<0.001;図28)。さらに、TUNEL染色によるアポトーシス指数の分析により、コントロール腫瘍と比較した、mAb 806処置した腫瘍におけるアポトーシス細胞の数の有意な増加が実証された(P<0.001;図28)。腫瘍の血管形成の程度をまた、CD31についての処置検体およびコントロール検体由来の腫瘍の免疫染色によって分析した。腫瘍の血管形成を定量するために、MVAを、コンピューター化画像分析を使用して測定した。mAb 806処置した腫瘍は、コントロール腫瘍よりも、MVAの30%の減少を示した(P<0.001;図28)。レセプターと抗体との間の相互作用が、炎症応答を引き起こし得るか否かを理解するために、本発明者らは、マクロファージマーカーのF4/80、およびNK細胞マーカーのアシアロGM1について、腫瘍切片を染色した。マクロファージを、腫瘍マトリクス全体にわたって特定し、そしてこれは、mAb 806処置したU87 MG.ΔEGFR腫瘍の周辺部の周りに特に堆積していた(図28)。本発明者らは、この腫瘍中およびこの周りに浸潤したわずかなNK細胞を観察したが、mAb 806処置した腫瘍およびアイソタイプコントロール腫瘍との間の有意な差違は観察されなかった(データは示さず)。
(考察)
ΔEGFRは、神経膠腫の癌処置のために魅力的な、潜在的な治療標的であるようである。ΔEGFRが、悪い予後に関連する(25)のに対して、ΔEGFRの遺伝的阻害または薬学的阻害は、インビトロおよびインビボの両方において、ΔEGFR過剰発現細胞の増殖を効果的に抑制する(29、30)。この変異体EGFRは細胞表面上で発現されるので、これは、抗体ベースの治療のための潜在的な標的を示し、ここで、本発明者らは、ヌードマウスにおける、異なる細胞のバックグラウンドのΔEGFR過剰発現神経膠腫の頭蓋内異種移植片の処置について、新規の抗ΔEGFR mAb、mAb 806の効果を試験した。mAb 806の全身投与は、腫瘍増殖を阻害し、動物の生存を延長した。mAb 806の効果は、各細胞株に対して明白であり、腫瘍のp53の状態に依存しなかった。なぜなら、U87 MG.ΔEGFRおよびA1207.ΔEGFRは、野生型p53を発現するのに対して、LN−Z308.ΔEGFRは、p53ヌルであった。
ΔEGFRの腫瘍形成性の増大は、COOH末端におけるその構成的に活性なキナーゼ活性およびチロシン自己リン酸化を介して媒介される(22、28、29)。mAb 806で処置した腫瘍におけるΔEGFRのリン酸化は、有意に減少し、増殖は減少し、そしてアポトーシスは増加した。このことは、mAb 806の抗腫瘍効果が、少なくとも部分的に、レセプターの固有の機能の阻害に起因し得ることを示唆する。ΔEGFRシグナル伝達は、抗アポトーシス遺伝子(Bcl−XL)のアップレギュレーションを引き起こし(28)、そして、mAb 806を用いた処置は、Bcl−XL発現のダウンレギュレーションを生じた。このことは、mAb 806の抗腫瘍効果が、ΔEGFRシグナル伝達の阻害を介して媒介されることをさらに示唆する。mAb 806で処置した腫瘍におけるΔEGFRのレベルはまた、わずかに減少した(図27A)が、変異体レセプターの脱リン酸の程度と一致した程度またはこの生物学的効果の大きさを説明するために十分な程度までは減少しなかった。mAb 806のこの抗腫瘍効果は、おそらく少なくとも部分的には、ΔEGFRの固有のシグナル伝達機能の阻害から生じる。この主張はまた、DK腫瘍に対する抗腫瘍効果の欠損によって指示され、このDK腫瘍は、抗体へと結合するが、キナーゼ欠損性である。
異なる抗ΔEGFR抗体(mAb Y10)の腫瘍内注射は、マウスの脳におけるΔEGFR発現B16黒色腫の増殖を、Fc/Fcレセプター依存性機構を介して阻害した(31)。これに関連して、mAb Y10は、インビトロでマウスエフェクター細胞およびヒトエフェクター細胞の両方を用いて、抗体依存性マクロファージ細胞傷害性を媒介することを示した(17)。この抗体依存性マクロファージ細胞傷害性は、本発明者らのmAb 806で処置した腫瘍において見出されたマクロファージ浸潤に関してほとんど効果を有さないが、mAb 806の抗癌効果が、マクロファージ媒介性細胞傷害性によって達成され得るかどうかに関する疑問が生じる。本発明者らは、このことがありそうにもないことであると考えている。なぜなら、マクロファージ浸潤はまた、U87 MG.DK(キナーゼ欠損性ΔEGFR)腫瘍のmAb 806処置の際に生じ、この腫瘍において、このmAb 806処置は、腫瘍増殖の調節において、効果がなかった。
mAb 806は、過剰発現されたwtEGFRを用いた弱い交差反応性を有するΔEGFRに対して選択的であるようである。インビトロでの特異性に一致して、mAb 806処置は、ΔEGFR過剰発現腫瘍において非常に有効であったのに対して、このmAb 806処置は、非常により低く頑強であるが、再現可能であり、wtEGFRを過剰発現する腫瘍の増殖阻害を示した。しかし、mAb 806とその標的分子との間の単純な相互作用は、腫瘍増殖を阻害するために不十分である。なぜなら、mAb 806は、キナーゼ欠損性ΔEGFR(DR)レセプターおよびΔEGFRへと等しく良好に結合し得るが、このmAb 806は、DK発現腫瘍増殖に影響を与える効果はない。mAb 806に、細胞に通常存在する低レベルのwtEGFRと相互作用する能力がないことは、通常の組織と比較する場合、ΔEGFRを過剰発現した癌および、より少ない程度でwtEGFRを過剰発現した癌に対する大きな治療範囲を示唆する。
mAb 806処置は、頭蓋内異種移植片の抑制に効果的であったが、ΔEGFR腫瘍が最終的に増殖し、永続的な回復は達成されないということは留意されるべきである。このことは、腫瘍の塊における不十分な抗体の分布から生じ得る。癌処置のために、他の治療モーダリティー(例えば、毒素、アイソトープまたは薬物)と組合わせたmAbは、多くの場合において、抗体単独より効果的であることが示された(2,3,32−34)。wtEGFR抗体と化学療法薬物(例えば、ドキソルビシンおよびシスプラチン)との組合せはまた、抗腫瘍活性の強化を示した(35,36)。腫瘍増殖と脈管形成の発達とで標的化される組合せ処置は、いずれかの処置単独よりも効果的に阻害された神経膠芽腫を有する(27)。このことは、化学療法薬物または脈管形成を調節する化合物とmAb 806の組合せが、mAb 806単独よりさらに効率的である可能性を上昇する。
(参考文献)
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(実施例20)
(モノクローナル抗体806は、de2−7または増幅された上皮増殖因子レセプター(EGFR)のいずれかを発現する腫瘍異種移植片の増殖を阻害するが、野生型EGFRを発現する腫瘍異種移植片の増殖は阻害しない)
以下の実施例は、Luworら、(2001)Cancer Research,61;5355−5361にもまた示される、本発明者らによる、知見を示す。この刊行物の開示は、適切である場合、本明細書中の図を引用しながら、その全体が本明細書中に援用され、そして、本明細書の一部をなす。
モノクローナル抗体(mAb)806は、Δ2−7上皮増殖因子レセプター(de2−7EGFRまたはEGFRvIII)に対して惹起され、EGFRの短縮バージョンは、神経膠腫に共通に発現された。意外にも、mAb 806はまた、EGFRの増殖を示す細胞によって発現されるEGFRに結合するが、遺伝子増幅の非存在下で、野生型レセプターを発現する細胞または正常組織によって発現されるEGFRには結合しない。mAb 806の独特の特異性は、現在のEGFR抗体を超える利点を提供し、これら抗体全ては、ヒトにおいて肝臓および皮膚への有意な結合を示す。従って、本発明者らは、ヌードマウスにおいて増殖したヒト腫瘍異種移植片に対する、mAb 806の抗腫瘍活性を試験した。U87 MG異種移植片(遺伝増幅の非存在下で約10のEGFRを内因的に発現する神経膠腫細胞株)は、mAb 806によって阻害されなかった。対照的に、mAb 806は、予防的腫瘍モデルおよび確立された腫瘍モデルの両方を使用する用量依存的様式で、de2−7EGFRでトランスフェクトされたU87 MG異種移植片の増殖を有意に阻害した。重要なことには、野生型EGFRでトランスフェクトされたU87 MG細胞(これは、約10EGFR/細胞まで発現増加し、遺伝子増幅の状態を模倣する)はまた、ヌードマウス中で異種移植片として増殖する場合、mAb 806によって阻害された。mAb 806によって処置された異種移植片は全て、コントロール腫瘍において存在しなかった大きな壊死領域を示した。この異種移植片の生存能力の減少によって、レセプターのダウンレギュレーションまたはクローンの選択によって媒介されなかった。なぜなら、抗原発現のレベルは、コントロール群と処置された群との間で類似であったからである。mAb 806の抗腫瘍効果は、U87 MG細胞に限定されなかった。なぜなら、抗体は、新規かつ確立されたA431異種移植片(これは10EGFR/細胞を超えて発現する細胞株)の増殖を阻害したからであった。この研究は、mAb 806が、有意な抗腫瘍活性を保持することを実証する。
de2−7EGFR特異的mAb 806は、短縮型de2−7EGFRを発現するNR6マウス線維芽細胞でマウスを免疫した後に、産生された。mAb 806は、de2−7EGFRでトランスフェクトされたU87 MG神経膠腫細胞株に結合するが、de2−7EGFRでトランスフェクトされた親U87 MG細胞株には結合しない。この親U87 MG細胞株は、遺伝子増幅を有さずにwtEGFRを発現する(3)。類似する結果は、U87 MG異種移植片を発現するde2−7EGFRの特異的な標的化を示すmAb 806を用いて、インビボで観察されたが、親U87 MG腫瘍では観察されなかった(3)。興味深いことに、mAb 806は、増幅されたEGFR遺伝子を含むA431細胞株の表面上のEGFR部分集合(約10%)を結合し得た。従って、de2−7EGFR短縮化によって生成された独特のペプチド結合を認識する他の全てのde2−7EGFR特異的抗体とは違って、mAb 806は、過剰発現されたwtEGFRでもまた見出されるエピトープに結合する。しかし、このエピトープが、好ましくはde2−7EGFRにおいて露出され、レセプターの小さな部分が、wtEGFR遺伝子増幅を含む細胞において発現されることは明らかである。重要なことには、高レベルの内因性wtEGFRを発現する正常組織(例えば、肝臓および皮膚)は、有意なmAb 806の結合を示さない。通常のレベルで発現される場合、de2−7EGFRおよび増幅されたwtEGFRの両方に結合するが、ネイティブなwtEGFRには結合しないmAb 806の独特の特徴に基づいて、本発明者らは、ヌードマウスで、異種移植片として増殖するいくつかの腫瘍細胞株に対するmAb 806の有効性を試験することを決定した。
(材料および方法)
(細胞株およびモノクローナル抗体)
ヒト神経膠芽腫細胞株U87 MG(これは、wtEGFRを内因的に発現する)ならびにトランスフェクトされた細胞株U87 MG.Δ2−7およびU87 MG.wtEGFR(これらは、それぞれde2−7EGFRおよび過剰発現されたwtEGFRを発現する)は、以前に記載されている(16、23)。類表皮腫癌細胞株A431は、以前に記載されている(24)。
全ての細胞株を、10% FCS(CSL,Melbourne,Victoria,Australia)、2mMグルタミン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)、およびペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies,Inc.,Grand Island,NY)を含むDMEM(DMEM/F12;Life Technologies,Inc.,Grand Island,NY)中に維持した。さらに、U87 MG.Δ2−7およびMG.wtEGFR細胞株を、400mg/mlのジェネティシン(Life Technologies,Inc.,Melbourne,Victoria,Australia)中に維持した。細胞株を、加湿された5%CO2雰囲気中37℃で増殖させた。このmAb 806(IgG2b)を、de2−7EGFRを発現するNR6マウス線維芽細胞を用いたマウスの免疫後、産生した。mAb 806を、de2−7EGFRを過剰発現する(1:2500の力価)、NR6細胞への結合を示したロゼットアッセイの後、選択した。mAb528(これは、de2−7EGFRおよびwtEGFRの両方を認識する)は、以前に記載されており(10)、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から得られたハイブリドーマを使用して、Biological Production Facility(Ludwig Institute for Cancer Research,Melbourne,Victoria, Australia)において産生した。DH8.3 mAb(これは、de2−7EGFRに対して特異的である)は、William Gullick教授(University of Kent and Canterbury,Kent,United Kingdom)によって親切に提供された(19)。EGFRのOOH−末端ドメインへと指向されるポリクローナル抗体(sc−03)を、Santa Cruz Bio−technology(Santa Cruz Biotechnology,Santa Cruz,CA)から購入した。
(レセプター発現のFACS分析)
培養された、親U87 MG細胞株およびトランスフェクトされたU87 MG細胞株を、wtEGFRおよびde2−7EGFR発現について、528抗体、806抗体、およびDH8.3抗体を使用して、分析した。細胞(1 3 10 6)を、1% HSAを含有するPBS中、5mg/mlの、適切な抗体またはアイソタイプ適合性ネガティブコントロールと共に、4℃で30分間インキュベートした。PBS/1% HSAでの3回の洗浄後、細胞を、FITC結合ヤギ抗マウス抗体(1:100希釈;Calbiochem,San Diego,CA)と共に、4℃でさらに30分間インキュベートした。続いての3回の洗浄後、細胞を、Epics Elite ESP(Beckman Coulter,Hialeah,FL)上で、20,000事象の最小値を観察することによって分析し、Windows(登録商標)用のEXPO(バージョン2)を使用して分析した。
(スキャッチャード分析)
mAb 806を、クロラミンT法によって、125I(Amrad,Mel−bourne,Victoria,Australia)で標識した。全ての結合アッセイを、1% HSA/PBS中で、1〜2×10の、生存するU87 MG.Δ2−7またはA431細胞に対して、穏やかに回転しながら、4℃で90分間実施した。、10ng/ml 125I標識mAb 806の設定濃度を、漸増濃度の非標識抗体の存在下で使用した。非特異的な結合を、10,000倍過剰の非標識化抗体の存在下で決定した。インキュベーションの後、細胞を、洗浄し、結合した125I標識化mAb 806について、COBRA IIγカウンター(Packard Instrument Company,Meriden,CT)を使用して計数した。スキャッチャード分析を、免疫反応性について校正した後、実施した。
(免疫沈降研究)
細胞を、5%の、透析されたFCSを補充されたメチオニン/システインを含有しないDMEM中、100mCi/mlのTran 35S−Label(ICN Biomedicals,Irvine,CA)を用いて16時間標識した。PBSで洗浄した後、細胞を、溶解緩衝液(1% Triton X−100、30mM HEPES、150mM NaCl、500mM 4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフロリド、150nMアプロチニン、1mM E−64プロテアーゼインヒビター、0.5mM EDTA、および1mM ロイペプチン,pH7.4)中に、4℃で1時間配置した。溶解物を、12,0003gで10分間の遠心分離によって精製し、次いで、プロテインA−セファロースの添加の前に、5mgの適切な抗体と共に、4℃で30分間インキュベートした。免疫沈降物を、溶解緩衝液で3回洗浄し、SDSサンプル緩衝液と混合し、7.5%ゲルを使用したゲル電気泳動によって分離し、次いで、それを乾燥させ、X線フィルム中に露光した。
(異種移植片モデル)
以前の報告と一致して(23、25)、de2−7EGFRでトランスフェクトされたU87 MG細胞は、wtEGFRでトランスフェクトした、親細胞およびU87 MG細胞より、より迅速に成長した。100mlのPBS中の腫瘍細胞(3x10)を、4〜6週齢の、雌性ヌードマウスの両脇腹へと、s.c.接種した(Animal Research Center,Western Australia,Perth,Australia)。mAb 806の治療効果を、予防腫瘍モデルおよび確立された腫瘍モデルの両方において調査した。予防モデルにおいて、2つの異種移植片を有する5匹のマウスは、0.1mgまたは1mgのmAb 806またはビヒクル(PBS)のいずれかでi.p.処置した(これを、腫瘍細胞接種の前の日に開始した)。処置を、1週間当たり3回で2週間、計6用量について継続した。確立されたモデルについて、腫瘍は、65mm3(U87 MG.Δ2−7)、84mm3(U87 MG)、73mm3(U87 MG.wtEGFR)、または201mm3(A431腫瘍)の平均体積に達した場合処置を開始した。腫瘍体積(mm3)は、式(長さ3幅2)/2を使用して決定し、ここで、長さは、最長軸であり、幅は、この長さに直角をなす測定値であった(26)。データを、各処置群に対して平均腫瘍体積6SEとして示した。この研究プロジェクトは、Animal Ethics Committee of the Austin and Repatriation Medical Centreによって認可された。
(腫瘍異種移植片の組織学的試験)
異種移植片を、示した時間に切除し、2等分した。半分を、パラフィン中に包埋する前に、10%ホルマリン/PBS中で固定した。次いで、4mmの切片を、切り出し、慣用的な組織学的試験のためにH&Eを用いて染色した。もう半分を、組織Tek OCT化合物(Sakura Finetek,Torrance,CA)中に包埋し、液体窒素中で凍結させ、そして280℃で保存した。薄い(5−mm)凍結切片を、切り出し、10分間氷冷アセトン中で固定し、その後、さらに10分間空気乾燥させた。切片を、タンパク質ブロッキング試薬(Lipshaw Immunon,Pittsburgh,PA)中で10分間ブロッキングし、次いで、ビオチン化一次抗体(1mg/ml)と共に、室温で30分間インキュベートした。全ての抗体を、製造業者の指示書のとおり、ECLタンパク質ビオチン化モジュール(Amersham,Baulkham Hills,NSW,Australia)を使用して、ビオチン化した。PBSでリンスした後、切片を、ストレプトアビジン西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体と共に、さらに30分間インキュベートした(Silenus,Melbourne,Victoria,Australia)。最終的なPBS洗浄の後、この切片を、過酸化水素存在下において、3−アミノ−9−エチルカルバゾール基質[0.1M酢酸、0.1M酢酸ナトリウム、0.02M 3−アミノ−9−エチルカルバゾール(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)]に30分間曝露した。切片を、水でリンスし、ヘマトキシリンで5分間対比染色し、そしてマウントした。
(統計学的分析)
インビボ腫瘍測定値(mm3)を、平均6SEとして示す。所定の時点での処値群間の差異を、スチューデントのt検定を使用して、統計的有意性について試験した。
(結果)
(細胞株への抗体の結合)
mAb 806の特異性を決定するために、このmAb 806の、U87MG細胞、U87MG.D2−7細胞、およびU87MG.wtEGFR細胞への結合を、FACSによって分析した。無関係のIgG2b(ヒト抗原A33に指向したmAb 100−310)は、mAb 806に対するアイソタイプコントロールとして含まれ、そして528抗体は、それがde2−7EGFRおよびwtEGFRの両方を認識するので、含まれる。528抗体のみが、親U87 MG細胞株を染色することが可能であり(図29)、このことは、これらの細胞がwtEGFRを発現することを実証する以前の報告と一致した(16)。mAb 806が、コントロール抗体に類似する結合レベルを有し、このことは、明らかに、wtEGFRを結合することができないことを実証する(図29)。U87MG.D2−7細胞株およびU87MG.wtEGFR細胞株へのアイソタイプコントロール抗体の結合は、U87MG細胞について観察される結合と類似した。mAb 806は、U87MG.D2−7細胞およびU87MG.wtEGFR細胞を染色し、このことは、mAb 806がde2−7EGFRおよび過剰発現されたEGFRの部分集団を特異的に認識した(図29)ことを示した。期待されるように、528抗体は、U87MG.D2−7細胞株およびU87MG.wtEGFR細胞株の両方を染色した(図29)。U87MG.wtEGFR細胞を染色する528抗体の強度は、mAb 806抗体よりはるかに高く、このことは、mAb 806のみが、過剰発現されたEGFRの一部を認識することを示唆した。U87MG.wtEGFR細胞で観察されたmAb 806の反応性は、A431細胞(wtEGFR.3を過剰発現する別の細胞株)で観察される反応性に類似する。
スキャッチャード分析を、U87MG.D2−7細胞およびA431細胞を使用して実施し、相対的親和性および各細胞株上のmAb 806に対する結合部位を決定した。mAb 806は、1.1×10−1のde2−7EGFRレセプターに対する親和性を有し、平均(3つの別個の実験)2.4×10結合部位/細胞を認識した。対照的に、A431細胞上のwtEGFRに対するmAb 806の親和性は、ほんの9.5×10−1であった。興味深いことに、mAb 806は、A431細胞の表面上の2.3×10結合部位を認識し、この数は、これらの細胞に見出されるEGFRの報告された数より、約10倍低い。本発明者らのA431細胞の表面上のEGFRの数を確認するために、本発明者らは、125I−標識528抗体を使用して、スキャッチャード分析を実施した。期待されるように、この抗体は、A431細胞の表面上の約2×10部位への結合した。従って、mAb 806は、A431細胞の表面上のEGFRレセプターの一部を結合するだけのようである。重要なことには、125I−標識化mAb 806は、細胞の数が、1×10まで増加した場合でさえも、全く親U87 Mg細胞へと結合しなかった。
(免疫沈降)
mAb 806、sc−03(EGFRのCOOH末端ドメインに対して特異的な市販のポリクローナル抗体)およびIgG2bアイソタイプコントロールを使用した35S標識化の後、免疫沈降によって種々の細胞株における、mAb 806の反応性をさらに特徴付けた。sc−03抗体は、U87MG.Δ2−7細胞から3つのバンドを免疫沈降し、2つのde2−7EGFRのバンドに対応する二重のバンドがこれらの細胞において観察され、そして高分子量のバンドは、wtEGFRに対応した(図30)。対照的に、mAb 806が、2つのde2−7EGFRのバンドを免疫沈降したにも関わらず、wtEGFRは、完全に存在しなかった(図30)。U87MG.wtEGFR細胞およびA431細胞において見られるパターンは、本質的に同一であった。sc−03抗体は、両方の細胞株からwtEGFRに対応する単一のバンドを免疫沈降した(図30)。このmAb 806はまた、U87MG.wtEGFR細胞およびA431細胞の両方からwtEGFRに対応する単一のバンドを免疫沈降した(図30)。FACSおよびスキャッチャードデータと一致して、mAb 806によって免疫沈降されるEGFRの量は、細胞表面に存在する全EGFRより実質的に少なかった。mAb 806およびsc−03が、類似する量のde2−7EGFRを免疫沈降したと仮定すれば、この結果は、mAb 806抗体のみが、レセプターを過剰発現する細胞においてEGFRの一部を認識するという概念を支持する。mAb 806抗体と528抗体との間の比較は、同一の反応性のパターンを示した(データは示さず)。無関係のIgG2b(mAb 806に対するアイソタイプコントロール)は、細胞株のいずれからもEGFRを免疫沈降しなかった(図30)。同一の条件を使用して、mAb 806は、親U87 MG細胞からEGFRを免疫沈降した(データは示さず)。
(予防モデルにおけるmAb 806の有効性)
mAb 806を、予防移植片モデルにおけるU87 MG腫瘍およびU87 MG.Δ2−7腫瘍に対する有効性について試験した。抗体またはビヒクルを、腫瘍接種の1日前にi.p.投与し、1週間あたり3回で2週間、与えた(「材料および方法」を参照のこと)。1mg/1回注射の用量で、mAb 806は、wtEGFRを発現する親U87 MG異種移植片の増殖に対して効果を有さなかった(図9A)。対照的に、mAb 806は、U87 MG.Δ2−7異種移植片の増殖を、用量依存性様式で有意に阻害した(図9B)。腫瘍接種の20日後に、コントロール動物を屠殺した場合、平均的な腫瘍体積は、コントロール群については1600±180mmであり、0.1mg/1回注射群については500±95mm(P<0.0001)、および1mg/1回注射群についての200±42mm(P<0.0001)より有意に小さかった。処置群を、24日目に屠殺し、屠殺した時点での平均の腫瘍体積は、0.1mg処置群については1300±240mm3であり、1mg群については500±100mm(P<0.005)であった。
(確立された異種移植片モデルにおけるmAb 806の有効性)
予防異種移植片モデルにおけるmAb 806の有効性が与えられた場合、確立された腫瘍異種移植片の増殖を阻害するmAb 806の能力を試験した。抗体処置を、腫瘍が、U87 MG.Δ2−7異種移植片について65mmの平均腫瘍体積(移植10日後)および親U87 MG異種移植片について84mmの平均腫瘍体積(移植19日後)に到達した場合に、抗体処置が開始されることを除いて、予防モデルに記載されたとおりであった。もう一度、mAb 806は、1mg/1回注射の用量でさえも、親U87 MG異種移植片の増殖に対して効果を有さなかった(図10A)。対照的に、mAb 806は、用量依存性様式でU87 MG.Δ2−7異種移植片の増殖を有意に阻害した(図10B)。17日目において、コントロール動物を屠殺する1日前で、平均腫瘍体積は、コントロール群については900±200mmであり、0.1mg/1回注射群については400±60mm(P<0.01)であり、そして1mg/1回注射群については220±60mm(P<0.002)であった。IgG2bアイソタイプコントロールを用いたU87 MG.Δ2−7異種移植片の処置は、腫瘍の増殖に効果を有さなかった(データは示さず)。
mAb 806を用いて観察される増殖阻害が、de2−7EGFRを発現する細胞に限定されるかどうかを試験するために、U87MG.wtEGFR異種移植片に対するmAb 806の効果をまた、確立されたモデルにおいて試験した。これらの細胞を、de2−7EGFRを発現しないEGFR遺伝子の増幅を含む腫瘍についてのモデルとして扱った。mAb 806処置を、腫瘍が、73mm3の平均腫瘍体積に到達した(移植22日後)場合に開始した。mAb 806は、ビヒクルで処置されたコントロール腫瘍と比較された場合、確立されたU87MG.wtEGFR異種移植片の増殖を有意に阻害した(図10C)。コントロール動物が屠殺された日において、平均腫瘍体積は、コントロール群については1000±300mmであり、1mg/1回注射で処置した群については、500±80mm(P<0.04)であった。
(樹立された腫瘍の組織学的分析および免疫組織化学的分析) mAb 806で処理したU87 MG.Δ2−7異種移植片およびmAb 806で処理したU87 MG.wt EGFR異種移植片と、コントロールのU87 MG.Δ2−7異種移植片およびU87 MG.wt EGFR異種移植片との間の可能な組織学的差異を評価するために、ホルマリン固定しパラフィン包埋した切片を、H&Eで染色した(図31)。壊死領域が、mAb 806で処理したU87 MG.Δ2−7由来の切片(mAb 806で処理したU87 MG.Δ2−7異種移植片は、腫瘍接種の24日後に収集し、ビヒクルで処理した異種移植片は、18日目に収集した)およびU87 MG.wt EGFR異種移植片由来の切片(mAb 806異種移植片は、腫瘍接種の42日後に収集し、ビヒクルで処理した異種移植片は、37日目に収集した)において観察された(図31)。この結果は、多数の腫瘍異種移植片(各細胞株についてn5 4)において一貫して観察された。しかし、ビヒクルで処理したU87 MG.Δ2−7異種移植片由来の切片およびビヒクルで処理したU87 MG.wt EGFR異種移植片由来の切片(n 5 5)は、mAb 806処理後観察された同じ壊死領域を示さなかった(図31)。ビヒクルで処理した異種移植片およびmAb 806で処理した異種移植片を、同じ時間で取り出した。そしてこれらはまた、腫瘍壊死においてこれらの差異を示した(データは示さず)。従って、観察される壊死の増加は、mAb 806で処理された異種移植片について使用された、より長い増殖期間によって引き起こされたのではない。さらに、mAb 806で処理したU87 MG異種移植片由来の切片もまた、H&Eで染色した。そしてこれらは、いかなる壊死領域も示さなかった(データは示さず)。このことはさらに、mAb 806結合が、細胞生存度を減少させ、腫瘍異種移植片内で壊死の増加を生じるという仮説を支持する。
U87 MG異種移植片、U87 MG.Δ2−7異種移植片、およびU87 MG.wt EGFR異種移植片の切片の免疫組織化学分析が、mAb806処理後のde2−7発現レベルおよびwt EGFR発現レベルを測定するために実施した(図32)。予期された通り、528抗体は、すべての異種移植片切片を染色した。処理した腫瘍とコントロール腫瘍との間で、強度の明らかな減少はなかった(図32)。U87 MG切片の染色は、mAb 806を用いては検出不可能であったが、U87 MG.Δ2−7異種移植片切片およびU87 MG.wt EGFR異種移植片切片のポジティブ染色が、観察された(図32)。コントロールのU87 MG.Δ2−7異種移植片およびU87 MG.wt EGFR異種移植片と、処理したU87 MG.Δ2−7異種移植片およびU87 MG.wt EGFR異種移植片との間で、mAb 806染色強度の差異は存在しなかった。このことは、抗体処理が、mAb 806反応性を欠くクローン改変体の選択をもたらさないことを示唆する。
(mAb 806でのA431異種移植片の処理) mAb 806の抗腫瘍効果がU87 MG細胞に限定されないことを示すために、この抗体を、A431異種移植片を含むマウスに投与した。これらの細胞は、増幅されたEGFR遺伝子を含み、そして約2×10個のレセプター/細胞を発現する。本発明者らは、mAb 806がこれらのEGFRのうちの約10%に結合し、そしてA431異種移植片を標的とすることを以前に示した(3)。mAb 806は、以前に記載された予防異種移植片モデルにて試験した場合に、A431異種移植片の増殖を有意に阻害した(図11A)。13日目に、コントロール動物を屠殺した場合、平均腫瘍体積は、ビヒクルで処理した群で1400±150mmであり、1mg/注射処理群について260±60mmであった(P<0.0001)。別個の実験において、用量0.1mgのmAbもまた、予防モデルにおいてA431異種移植片の増殖を有意に(P<0.05)を阻害した(データは示さず)。
上記予防的A431異種移植片モデルにおけるmAb 806の効力を考慮して、樹立された腫瘍異種移植片の増殖を阻害する能力を試験した。抗体処理は、上記の予防モデルにおいて記載した通りであったが、但し、腫瘍が平均腫瘍体積200±20mmに達するまで抗体処理を開始しなかった。mAb 806は、樹立したA431異種移植片の増殖を有意に阻害した(図11B)。13日目(コントロール動物を屠殺した日である)に、平均腫瘍体積は、コントロール群について1100±100mmであり、1mg/注射群については450±70mmであった(P<0.0001)。
本発明者らは、mAb 806が、wt EGFRを過剰発現する、de2−7 EGFRトランスフェクトU87 MG異種移植片とA431異種移植片との両方を標的とすることを以前に示した(3)。mAb 806は、約10個のEGFRを発現する(3)親U87 MG細胞を標的としなかった(16)。FACS、免疫組織化学および免疫沈降により評価した場合、本発明者らは、mAb 806がまた、>10個のEGFR/細胞を発現するU87 MG.wt EGFR細胞を特異的に結合可能であることをここに示す。従って、以前に観察されたA431細胞へのmAb 806の結合は、これらの細胞のいくらか通常ではない特性の結果ではなく、むしろwt EGFRの過剰発現と関連するより一般的な現象であるようである。
(a)本発明者らは、1×10個のwt EGFR/細胞を発現する親U87 MG細胞株へのmAb 806の結合(16)を、FACS、免疫沈降、免疫組織化学によっても、ヨウ素付加抗体を用いても、検出できなかった。実際、ヨウ素付加mAb 806は、1×10個の細胞を含むU87 MG細胞ペレットに結合しなかった。これは、1×10個のA431細胞を使用するスキャッチャードデータに基づくと、低レベル抗体結合を検出するはずの条件である(すなわち、両方の場合で、レセプターの総数が類似している)。
(b)スキャッチャード分析は、mAb 806が、A431細胞の表面上の総EGFRのうちの10%にのみ結合したことを明らかに示した。mAb 806が、低親和性でこのwt EGFRと単に結合する場合、そのmAb 806は、そのレセプターのうちのかなり高い割合と結合しているはずである。
(c)A431およびU87 MGの比較免疫沈降。mAb 806およびsc−03抗体を含むwt EGFR細胞株もまた、レセプターの部分集団のみが、mAb 806により認識されるという仮説を支持した。まとめると、これらの結果は、mAb 806が、EGFRを過剰発現する細胞の表面上のEGFR部分集団を認識するという知見を支持する。本発明者らは、mAb806が、グリコシル化またはキナーゼ活性と関連する変化した生化学的特性を提示するかどうかを観察するために、mAb 806によるEGFR免疫沈降を現在分析中である。
本明細書中に記載されるmAb 806を用いる異種移植片研究は、U87 MG.D2−7異種移植片増殖の用量依存性阻害を示す。対照的に、親U87 MG異種移植片がインビボでwt EGFRを発現し続けるという事実にも関わらず、親U87 MG異種移植片の阻害は、全く観察されなかった。mAb 806は、異種移植片の体積を有意に減少しただけでなく、このmAb 806はまた、その腫瘍内で有意な壊死を誘導した。上記のように、他のde2−7EGFR特異的mAbが生成された(20〜22)が、これは、ヒトde2−7 EGFR発現神経膠腫異種移植片に対してインビボでそのような抗体を首尾良く治療的に使用することを示す、最初の報告である。最近の報告は、de2−7 EGFR特異的Y10 mAbが、ヒトde2−7 EGFRのマウスホモログでトランスフェクトされたマウスB16黒色腫細胞に対して、インビボで抗腫瘍活性を有したことを示した(33)。Y10は、補体もエフェクター細胞も存在しない場合に、de2−7 EGFRを発現するB16黒色腫細胞のインビトロ細胞溶解(>90%)を媒介した。そのインビトロでの観察とは対照的に、インビボでのY10抗体の効力は、免疫応答性モデルにおいて異種移植片として増殖したB16黒色腫細胞を使用した場合、Fc機能を介して完全に媒介された。従って、細胞が腫瘍異種移植片として増殖された場合、インビトロで観察される直接の効果は、複製されないようである。
EGFRの過剰発現が、多数の種々の腫瘍において報告されており、そしてこの過剰発現は、ほとんどの神経膠腫において観察される(4、14)。レセプター遺伝子増幅により媒介されるその後のEGFR過剰発現は、細胞内シグナル伝達および細胞増殖を増加することによって増殖を有利にし得ることが提唱されている(34)。このU87 MG細胞株を、wt EGFRでトランスフェクトして、EGFR遺伝子増幅プロセスを模倣する神経膠腫細胞を生成した。樹立されたU87 MG.wt EGFR異種移植片をmAb 806で処理すると、有意な増殖阻害を生じた。従って、mAb 806はまた、EGFRを過剰発現する細胞に対するインビボでの抗腫瘍活性を媒介する。興味深いことに、U87 MG.wt EGFR異種移植片のmAb 806による阻害は、U87 MG.Δ2−7腫瘍を用いて観察されるよりも顕著ではない。このことは、mAb 806が、過剰発現したwt EGFRについてより低い親和性を有しており、そして細胞表面上に発現される低比率のレセプターにのみ結合するという事実を、おそらく反映する(3)。しかし、U87 MG.wt EGFR異種移植片の体積に対するこの小さな効果にも関わらず、mAb 806処理が、これらの異種移植片内で大きな壊死領域を生成したことが、注意されるべきである。mAb 806が、U87 MG由来細胞株の阻害のみを媒介するという可能性を排除するために、本発明者らは、A431異種移植片に対するmAb 806の効力を試験した。この扁平上皮細胞癌腫由来細胞株は、有意なEGFR遺伝子増幅を含み、これは、インビトロおよびインビボの両方で保持される。mAb 806でA431異種移植片を処理すると、予防モデルおよび樹立されたモデルの両方において、有意な増殖阻害を生じた。このことは、mAb 806の抗腫瘍効果が、トランスフェクトされたU87 MG細胞株に限定されないことを示す。
抗体処理によるA431異種移植片増殖の完全な防止が、以前に報告されている。wt EGFR mAbである528、225、および425は、すべて、腫瘍接種日または腫瘍接種1日後のいずれかに投与した場合に、A431異種移植片の形成を防止した(9、10)。これらのwt EGFR抗体とmAb806との間のこの効力の差異の原因は、既知ではないが、細胞増殖阻害の機構に関連し得る。wt EGFR抗体は、EGFRへのリガンド結合をブロックすることによって機能するが、これは、おそらく、mAb 806については事実ではない。なぜなら、wt EGFR抗体は、A431細胞の表面上のEGFR小部分集団にのみ結合するからである。リガンド非依存性de2−7EGFRを発現するU87 MG細胞に対するmAb 806の有意な効力は、この抗体が、リガンドブロックを含まない機構によりその抗腫瘍活性を媒介するという知見を支持する。従って、本発明者らは、mAb 806の抗腫瘍効果に寄与する非免疫学的機構および免疫学的機構を現在調査中である。非免疫学的機構は、レセプターレベルの微妙な変化、シグナル伝達のブロック、または不適切なシグナル伝達の誘導を包含し得る。
以前、wt EGFR抗体と組み合わせた薬剤(例えば、ドキソルビシンおよびシスプラチン)が、抗腫瘍活性の増強を生じた(35、36)。ドキソルビシンとmAb 528との組み合わせは、樹立したA431異種移植片の全体的な根絶を生じた一方、いずれかの薬剤単独での処理は、インビボでの一時的な増殖阻害しか生じなかった(36)。同様に、シスプラチンと、mAb 528または225のいずれかとの組み合わせもまた、十分に樹立されたA431異種移植片の根絶をもたらした。これは、いずれかの薬剤での処理が使用された場合は観察されなかった(35)。従って、mAb 806と化学療法剤との組み合わせを含む将来の研究は、異種移植片モデルを使用して計画される。
おそらく、現在のEGFR抗体と比較したmAb 806の最も重要な利点であり得るのは、mAb 806に細胞傷害性因子を直接結合することが可能であることである。このアプローチは、現在のEGFR特異的抗体を用いて実現可能ではない。なぜなら、これらの抗体は、肝臓を標的とし、細胞傷害性結合体は、重篤な毒性をほとんど確実に誘導するからである。細胞傷害性薬剤(例えば、薬物(37)または放射性同位体(38))を抗体に結合体化することは、これらの薬剤の効力を改善しそして全体的毒性を減少する可能性を有する。この研究は、mAb 806は、de2−7 EGFRポジティブ異種移植片およびEGFR過剰発現腫瘍に対する有意なインビボ抗腫瘍活性を有することを明らかに示す。mAb 806の独特の特異性は、正常組織の取り込みと関連する限定を伴わない、多数の腫瘍型(特に、頭部および頸部の腫瘍および神経膠腫)を標的とする際の免疫治療能力を示唆する。
(参考文献)
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(実施例21)
(キメラ806抗体の構築、発現、および分析)
キメラ抗体は、例えば、マウス、ラット、または他の種の重鎖および軽鎖の可変領域が、ヒトの重鎖領域および軽鎖領域に結合されている、分子の分類である。キメラ抗体は、組換え生成される。キメラ抗体の1つの利点は、キメラ抗体が、異種抗原性効果(非ヒト抗体(例えば、マウス、ラット、または他の種)の固有の免疫原性)を減少し得ることである。さらに、組換えにより調製されたキメラ抗体は、しばしば、特に高レベル発現ベクターを使用した場合に、大量に生成され得る。
高レベル生成のために、ほとんどの広範に使用される哺乳動物発現系は、デヒドロ葉酸還元酵素欠損(「dhfr−」)チャイニーズハムスター卵巣細胞により与えられる遺伝子増幅手順を使用する系である。この系は、当業者に周知である。この系は、DHFR酵素(デヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸への変換を触媒する)をコードするデヒドロ葉酸還元酵素「dhfr」遺伝子に基づく。高生成を達成するために、dhfr−CHO細胞を、機能的DHFR遺伝子を所望のタンパク質をコードする遺伝子とともに含む発現ベクターで、トランスフェクトする。この場合、所望のタンパク質は、組換え抗体の重鎖および/または軽鎖である。
競合的DHFRインヒビターであるメトトレキサート(MTX)の量を増加することによって、その組換え細胞は、dhfr遺伝子を増幅することによって耐性を生じる。標準的な場合、使用される増幅単位は、dhfr遺伝子のサイズよりもかなり大きく、結果として、その抗体の重鎖が、同時に増幅される。
そのタンパク質(例えば、抗体鎖)の大スケール生成が望まれる場合、使用される細胞の発現レベルおよび安定性の両方が、重要である。長期培養において、組換えCHO細胞集団は、その集団は単一の親クローンに由来するけれども、増幅の間にその特異的抗体生産性に関して均一性を失う。
二シストロン性発現ベクターを、このキメラ抗体の組換え発現において使用するために調製した。これらの二シストロン性発現ベクターは、「内部リボソーム侵入部位」すなわち「IRES」を使用する。キメラ抗EGFRの生成のためのこれらの構築物において、免疫グロブリン鎖および選択マーカーのcDNAを、IRESを介して連結する。IRESは、細胞のトランス作用性因子の補助によって、そのmRNA中の内部開始因子コドンに小リボソームサブユニットを動員する、シス作用性エレメントである。IRESは、真核生物細胞におけるポリシストロン性転写単位からの2つ以上のタンパク質の発現を容易にする。選択マーカー遺伝子がcap依存性様式で翻訳されそして目的の遺伝子がIRES依存性様式で発現される、二シストロン性発現ベクターの使用が、種々の実験的方法に適用されている。IRESエレメントは、細胞形質転換のためのベクター、トランスジェニック動物の生成のためのベクター、組換えタンパク質生成のためのベクター、遺伝子治療のためのベクター、遺伝子トラッピングのためのベクター、および遺伝子ターゲッティングのためのベクター中に、首尾良く組み込まれている。
(キメラ抗体806(ch806)構築の要約)
このキメラ806抗体を、標準的な分子生物学的技術を使用して、親マウスハイブリドーマから806抗体のVHおよびVLをクローニングすることによって生成した。その後、このVHおよびVLを、pREN哺乳動物発現ベクター中にクローニングした。このベクターの構成は、配列番号7および配列番号8に示される。そしてこのpREN哺乳動物発現ベクターを、増幅および発現のためにCHO(DHFR−/−ve)細胞中にトランスフェクトした。簡単に述べると、トリプシン処理した後、4×10個のCHO細胞を、標準的な条件下でエレクトロポレーションを使用して、LC発現ベクターおよびHC発現ベクター各々10μgで同時トランスフェクトした。室温で10分間の休止期間の後、これらの細胞を、15mlの培地(10%ウシ胎仔血清、添加物を含むヒポキサンチン/チミジン補充物)に添加し、そして15×10cmの細胞培養ペトリ皿に移した。その後、この皿を、通常の条件下でインキュベーター中に2日間配置した。この時点で、ゲンタマイシンの添加、5nMメトトレキサートの添加、ウシ胎仔血清を透析した胎仔血清で置換すること、およびヒポキサンチン/チミジンの除去によって、その培地からLCおよびHCの両方で首尾良くトランスフェクトされたクローンについての選択が開始した。トランスフェクション後17日目に、選択下で増殖する個々のクローンを選択し、そしてキメラ806抗体の発現についてスクリーニングした。ELISAを、スクリーニングに使用した。ELISAは、変性可溶性EGFレセプター(変性EGFRは、806の結合を可能にすることが既知である)でELISAプレートをコーティングすることからなった。このアッセイによって、個々のクローンによる生成レベルのスクリーニングが可能になり、そしてまた、スクリーニングされる抗体の機能性についてのスクリーニングが可能になる。すべてのクローンが、機能性ch806を生成していることが示された。最良の生成クローンを採取し、そして増幅のために増殖させた。生成されるch806のレベルを増幅するために、最高の生成クローンを、より高濃度のメトトレキサート(100nM対5nM)下での再選択に供した。これは、上記の手順を使用して行った。
その後、100nM MTXで増殖するクローンを、Biological Proction Facility,Ludwig Institute,Melbourne,Australiaに、生成レベルの測定、血清の分離、細胞バンク登録のために渡した。この細胞株は、回転ビンにおいて、約10mg/リットルを安定して生成することが示された。
pREN ch806 LC neoベクターの核酸配列が、配列番号7中に提供されている。pREN ch806 HC DHFRベクターの核酸配列が、配列番号8中に提供されている。
図33は、IRESを使用する、ベクターpREN−HCおよびpREN−LCを示す。pREN二シストロン性ベクター系は、2002年2月13日出願の同時係属中の米国特許出願番号60/355,838に記載され開示されている。この米国特許出願は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
ch806を、FACS分析によって評価して、キメラ806が、マウス親抗体の結合特異性と同じ結合特異性を示すことを示した。分析は、野生型細胞(U87 MG親細胞)、EGFレセプターを過剰発現する細胞(A431細胞およびUA87 wt EGFR細胞)、およびUA87Δ−7細胞を使用して実施した(データは示さず)。Mab806とch806とで類似する結合特異性を、EGFRを過剰発現する細胞と、de2−7 EGFRを発現する細胞を使用して得た。野生型細胞において、結合は観察されなかった。スキャッチャード分析によって、U87 MGde2−7細胞を使用して、放射性標識ch806についての結合親和性6.4×10−1が示された(データは示さず)。
ch806抗体の生体分布分析を、U87 MG−de2−7異種移植片腫瘍を保有するBALB/cヌードマウスにおいて実施し、そしてその結果を、図34に示す。マウスに、5μgの放射性標識抗体を注射し、そしてそのマウスを、8時間、24時間、48時間、および74時間の時点あたり4匹のグループとして屠殺した。器官を収集し、秤量し、そして放射能をγ計数管にて測定した。125I標識ch806は、111In標識ch806と比較して減少した腫瘍標的化を示した。111In標識ch806は、高い腫瘍取り込みを有し、74時間にわたって蓄積する腫瘍保持を有する。74時間目に、111In標識抗体は、約30%のID/g組織を示し、そして腫瘍:血液比4.0を示す(図35)。111In標識ch806は、肝臓、脾臓、および腎臓において、いくらかの非特異的保持を示す。これは、この同位体の使用について共通しており、そして時間とともに減少する。このことは、この結合が、ch806に非特異的であり、111In結合に起因することを支持する。
キメラ抗体ch806を、樹立された腫瘍モデルにおいて治療効力について評価した。100μlのPBS中の3×10個のU87 MG.Δ2−7細胞を、4〜6週齢の雌ヌードマウス(Animal Research Center,Weatern Australia、Australia)の両方の側腹部に皮下接種した。このmAb806は、ポジティブコントロールとして含まれた。その結果を図36に示す。腫瘍が平均体積50mmに達したときに処置を開始した。処置は、示される日に合計5回注射するために腹腔内投与される1mgのch806またはmAb806からなった。腫瘍体積(mm)を、式(長さ×幅)/2を使用して測定した。この式において、長さは、最長の軸であり、幅は、その長さに対して直角の測定値である。データは、各処置群についての平均腫瘍体積±標準誤差として表した。ch806およびmAb806は、U87 MG.Δ2−7異種移植片に対してほぼ同じ抗腫瘍活性を示した。
(ch806免疫エフェクターの機能の分析)
(材料および方法)
(抗体および細胞株)
マウス抗−de2−7 EGFRモノクローナルmAb806、キメラ抗体ch806(IgG)およびキメラ抗G250モノクローナル抗体cG250に一致したコントロールアイソタイプを、Biological Production Facility,Ludwig Institute for Cancer Research,Melbourne,Australiaにより調製した。補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイおよび抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)アッセイの両方は、標的細胞としてU87MG.de2−7およびA431細胞を利用した。以前に記載されたU87MG.de2−7細胞株は、de2−7EGFRを含むレトロウイルスに感染したヒト星状細胞腫細胞株である(Nishikawa,R.ら(1994)Proc Natl Acad Sci USA.91:7727−31)。ヒト扁平上皮癌A431細胞を、American Type Culture Collection(Manassas,VA)から購入した。全ての細胞株を、GlutamaxTM(Life Technologies,Melbourne,Australia)を含み、10%熱失活FCS(CSL,Melbourne,Australia)、100単位/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを補充した、DMEM/F−12中で培養した。レトロウイルスによりトランスフェクトしたU87MG.de2−7細胞についての選択を維持するために、400μg/mlのG418を培地に含ませた。
(ヒト末梢血単核細胞(PBMC)エフェクター細胞の調製)
PBMCを、健康なボランティアドナーの血液から単離した。ヘパリン処理した全血を、Ficoll−Hypaque(ICN Biomedical Inc.,Ohio,USA)における密度遠心分離により分画した。PBMC画分を収集し、そして5%熱失活FCSを含む、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン、2mM L−グルタミンを補充した、RPMI1640で3回洗浄した。
(標的細胞の調製)
CDCアッセイおよびADCCアッセイを、以前に開示されている方法(Nelson,D.L.ら(1991):J.E.Colignan,A.M.Kruisbeek,D.D.Margulies,E.M.ShevachおよびW.Strober(編)、Current Protocols in Immunology,7.27.1頁、New York:Greene Publishing Wiley Interscience)の改変により行った。簡単には、5×10個の標的U87MG.de2−7およびA431細胞を、1×10個の細胞あたり50μCi51Cr(Geneworks,Adelaide,Australia)で標識し、そして37℃にて2時間インキュベートした。次いで、細胞をPBS(0.05M、pH7.4)で3回洗浄し、そして培養培地を用いて4回目の洗浄を行った。標識細胞のアリコート(1×10細胞/50μl)を、96ウェルマイクロタイタープレート(NUNC,Roskilde,Denmark)の各ウェルに添加した。
(CDCアッセイ)
50μlの標識した標的細胞に、50μlのch806またはアイソタイプコントロール抗体cG250を、0.00315〜10μg/mlの濃度範囲にわたって三連で添加し、そして氷上で5分間インキュベートした。次いで、5μlの新たに調製した健康なドナーの補体(血清)を添加して、1:3の最終希釈の血清を得た。マイクロタイタープレートを37℃にて4時間インキュベートした。遠心分離の後、上清中の放出された51Crを、計数した(Cobra II automated Gamma Counter,Canberra Packard,Melbourne,Australia)。特異的溶解のパーセンテージを、実験的51Cr放出、総放出(50μlの標的細胞+100μlの10% Tween 20)および自発的(50μlの標的細胞+100μlの培地)放出から計算した。
(ADCCアッセイ)
健康なドナーPBMCによりもたらされるCh806−媒介ADCCを、2つの4時間の51Cr放出アッセイにより測定した。第1のアッセイにおいて、標識した標的細胞を、エフェクター細胞と共に、96ウェル「U」底マイクロプレート(NUNC,Roskilde,Denmark)中に、50:1のエフェクター/標的(E:T)細胞比でプレートした。ADCC活性測定について、0.00315−10μg/ml(最終濃度)の試験抗体およびコントロール抗体を、各ウェルに三連で添加した。第2のADCCアッセイにおいて、ch806のADCC活性を、エフェクター:標的細胞の割合の範囲にわたって、一定の1μg/mlの試験抗体濃度で、親マウスmAb806と比較した。両方のアッセイにおいて、マイクロタイタープレートを、37℃にて4時間インキュベートし、次いで、50μlの上清を各ウェルから収集し、そして放出された51Crを、γ線計数(Cobra II automated Gamma Counter,Canberra Packard,Melbourne,Australia)により決定した。このアッセイに含まれるコントロールは、自発的な放出(培地単独)および総放出(10%Tween20/PBS)について収集される。同じサブクラスの抗体を有する適切なコントロールを、並行して実行した。
細胞溶解(細胞傷害性)パーセントを、以下の式に従って計算した:
細胞傷害性パーセント=(サンプル計数−自発的放出)/(総放出−自発的放出)×100
細胞傷害性パーセント(%)を、抗体の濃度(μg/ml)に対してプロットした。
(結果)
CDC分析の結果を、図37に表す。最小のCDC活性を、10μg/mlまでのch806の存在下で観察し、これは、アイソタイプコントロールcG250で観察されたCDCに匹敵するCDCを有する。
50:1のE:T比での、標的U87MG.de2−7細胞およびA431細胞に対するch806媒介ADCCを、図38に示す。有効なch806特異的細胞傷害性を、標的U87MG.de2−7細胞に対して示したが、最小のADCCが、A431細胞に対するch806により媒介された。達成された細胞傷害性のレベルは、2つの細胞集団におけるch806結合部位の数を反映する。標的U87MG.de2−7細胞は、ch806により特異的に認識される約1×10個のde2−7EGFRを発現し、一方、A431細胞で発現した1×10個の野生型EGFR分子の1つのサブセットのみが、ch806により認識される(上記実施例を参照のこと)。
さらなるADCC分析を、標的U87MG.de2−7細胞に対して1μg/mlのch806により媒介されるADCCを、1μg/mlの親マウスmAb806によりもたらされるADCCと比較するために行った。結果を図39に示す。mAb806のキメラ化は、25:1および50:1のE:T比でもたらされる30%の細胞傷害性を超える、親マウスmAbにより達成されるADCCの著しい改変をもたらす。
親マウスmAb806免疫エフェクター機能の欠如は、キメラ化において著しく改変された。ch806は、良好にADCCを媒介するが、最小のCDC活性である。
(実施例22)
(キメラ抗体ch806に対する抗イディオタイプ抗体の作製)
mAb806またはch806の臨床的評価を補助するために、実験室アッセイは、抗体の血清薬物動態学およびにマウス−ヒトキメラ抗体に応答する任意の免疫の量をモニターすることを必要とする。マウスモノクローナル抗イディオタイプ抗体(抗id)を作製し、そして患者血清サンプル中のch806を測定するためのELISA試薬としての適合性について、およびヒト抗キメラ抗体免疫応答分析における陽性コントロールとしての使用のために特徴付けした。これらの抗イディオタイプ抗体はまた、患者において自然な抗EGFR抗体応答を生じさせる、治療用ワクチンまたは予防用ワクチンとして有用であり得る。
抗イディオタイプ抗体を作製するための方法は、当該分野で周知である(Bhattacharya−Chatterjee,Chatterjeeら、2001、Uemuraら、1994、Steffens,Boermanら、1997、SafaおよびFoon 2001、BrownおよびLing 1988)。
マウスモノクローナル抗イディオタイプ抗体(抗id)を、簡潔に述べると、以下のように作製した。ch806で免疫したマウス由来の脾臓を、SP2/0−AG14プラスマ細胞腫細胞と融合し、そして抗体産生ハイブリドーマを、ch806に対する特異的な結合および抗原に対する競合結合についてのELISAを通じて選択した(図40)。25個のハイブリドーマを、最初に選択し、そして、ch806、mAb806に対する特異的結合を実証し、そしてch806抗原結合活性またはmAb806抗原結合活性を中和し得た、4つをLMH−11分泌抗体、LMH−12分泌抗体、LMH−13分泌抗体およびLMH−14分泌抗体と命名した(図41)。ch806/mAb806イディオトープまたはCDR領域の認識を、精製したポリクローナルヒトIgGとの交差反応を欠くことにより実証した。
血清サンプル中のch806の決定を補助するための容易に利用な可能な組換え抗原de2−7 EGFRの非存在下で、806の可変領域に同時に結合する新規の抗イディオタイプch806抗体の能力を、臨床サンプルにおいてch806を測定するための、高感度の特異的なELISAの開発において、開発した(図42)。捕捉のためにLMH−12および検出のためにビオチン化−LMH−12を用いて、有効なELISAは、3ng/mlの検出限界を用いて、血清中のch806(2μg/ml〜1.6ng/ml)を測定するための高度に再現性のある結合曲線を実証した。(n=12;1〜100ng/ml、変動係数<25%;100ng/ml〜5μg/ml、変動係数<15%)。バックグラウンド結合がないことは、試験された3つの健康な血清で明白であり、そして無視出来る結合が、アイソタイプコントロールhu3S193で観察された。ハイブリドーマは、高いレベルの抗体LMH−12を産生し、そして大スケールの産生を、ch806の測定、および臨床試験サンプルにおける任意の免疫応答の定量化を可能にするために計画する(BrownおよびLing1988)。
(結果)
(マウス免疫およびハイブリドーマクローン選択)
免疫前の血清サンプルおよび免疫後の血清サンプルの免疫反応性は、高力価のマウス抗ch806および抗huIgG mAbの開発を示した。ch806に結合するがhuIgGに結合しない抗体を産生する25個のハイブリドーマを最初に選択した。これらのハイブリドーマのいくつかの結合特性を、図42Aおよび42Bに示す。これらの抗ch806ハイブリドーマのうち、高いアフィニティー結合を有する4つ(クローン3E3、5B8、9D6および4D8)を、引き続いて、限界希釈による単一の細胞からのクローン増殖を行い、そして、それぞれ、Ludwig Institute for Cancer Research Melbourne Hybridoma(LMH)−11、−12、−13、および−14と命名した(図42)。
(選択した抗イディオタイプ抗体の結合活性およびブロッキング活性)
2つのch806抗体に同時に結合する抗ch806抗体の能力は、血清ch806レベルを決定するためのELISAにおける試薬としてのそれらの用途について望ましい特徴である。クローンのハイブリドーマである、LMH−11、LMH−12、LMH−13、およびLMH−14は、同時結合を実証した(データ示さず)。
クローン増殖後、ハイブリドーマ培養上清を、sEGFR621とのch806またはmAb806の抗原結合活性を中和する能力について、ELISAにより試験した。結果は、sEGFRでコートされたプレートに結合するch806およびマウスmAb806の両方の溶液中でのブロッキングを有する、抗イディオタイプmAbであるLMH−11、LMH−12、LMH−13、およびLMH−14のアンタゴニスト活性を実証した(LMH−11、LMH−12、LMH−13について図41)。
ローラーボトル中での大スケール培養の後、確立したクローンハイブリドーマであるLMH−11、LMH−12、LMH−13、およびLMH−14の結合特異性は、ELISAにより変化した。LMH−11〜LMH−14の抗体を、マウスモノクローナル抗体アイソタイプ決定キットにより、アイソタイプIgG1κとして同定した。
(臨床的血清サンプル中のch806:薬物動態学的ELISAアッセイの開発)
血清サンプル中のch806の決定を補助するために、806の可変領域に同時に結合する抗イディオタイプch806抗体の能力を、臨床用サンプル中のch806についての高感度かつ特異的ELISAアッセイも開発において利用した。3つの精製したクローンLHM−11、LHM−12およびLHM−13(それぞれ、図49、B、およびC)を、血清中のch806を捕捉し、そして結合したch806を検出する能力について比較した。捕捉についてLMH−12(10μg/ml)および検出についてビオチン化LMH−12を用いて示された結果は、無視出来るバックグラウンド結合を有する、血清中のch806に対する最も高い感受性(3ng/ml)を生じた。
捕捉および検出に、それぞれ、1μg/mlの抗イディオタイプLMH−12および1μg/mlのビオチン化LMH−12を用いる、最適な薬物動態学的ELISA条件を確立することによって、方法の確認を行った。3つの別々のELISAを、4連で行って、3人の健康なドナー由来のドナー血清中、またはアイソタイプコントロールhu3S193を有する1%BSA/培地のch806を測定した。確認の結果を、図43に表し、そしてこの結果は、3ng/mlの検出限界を有する血清においてch806(2μg/ml〜1.6ng/ml)を測定するための高度に再現性のある結合曲線を実証する。(n=12;1〜100ng/ml、変動係数<25%;100ng/ml〜5μg/ml、変動係数<15%)。バックグラウンド結合がないことは、試験された3つの血清で明白であり、そして無視出来る結合が、アイソタイプコントロールhu3S193で観察された。
(参考文献)
これらは、本当は、実施例17の終りに組み込まれるべきであり、そして全ての実施例の終りに加えられるべきである。
Figure 0004414142
(実施例23 糖質構造および抗体認識の評価)
実験を、mAb806抗体による、EGFR(増幅されたEGFRおよびde2−7EGFRの両方)の結合および認識における糖質構造の役割をさらに評価するために行った。
糖質構造が、mAb806エピトープに直接関与するか否かを決定するために、CHO細胞において発現される組換えsEGFR発現を、PNGaseFを用いて処理して、N連結グリコシル化を排除した。処置後、タンパク質を、SDS−PAGEで泳動し、膜に転写し、そしてmAb806を用いて免疫ブロットした(図44)。予想されるように、脱グリコシル化sEGFRは、SDS−PAGE上でより速く泳動し、このことは、糖質が首尾よく除去されたことを示した。mAb806抗体は、脱グリコシル化物質を明白に結合し、このことは、抗体エピトープは本質的にペプチドであり、そしてグリコシル化エピトープではないことを実証した。
35Sで代謝的に標識した細胞株から調製した溶解物を、EGFRに対して指向された異なる抗体を用いて免疫沈降させた(図45)。予想されるように、528抗体は、U87MG.Δ2〜7細胞由来の3つのバンドを免疫沈降させた(上のバンドは、野生型(wt)EGFRに対応し、2つの下のバンドは、de2−7EGFRに対応する)。これらの2つのde2−7EGFRバンドは以前に報告されており、そして異なるグリコシル化を表すと考えられる(Chuら(1997)Biochem.J.Jun 15;324(Pt 3):885−861)。対照的に、mAb806は、2つのde2−7EGFRバンドのみを免疫沈降させ、wtレセプターは、過剰な曝露の後でさえ完全に存在しなかった(データ示さず)。興味深いことに、mAb806は、より低いde2−7 EGFRバンドとの増加した相対的反応性を示したが、528抗体と比較した場合、上のバンドとの減少した反応性を示した。SC−03抗体(EGFRのC末端ドメインに対して指向された市販のウサギポリクローナル抗体)は、528抗体で見られたように3つのEGFRバンドを免疫沈降させたが、この抗体により免疫沈降されたレセプターの総量は、極めて少なかった。mAb806のコントロールとして無関係のIgG2b抗体を用いる場合、バンドは観察されなかった。
528抗体は、wtレセプターに対応するU87MG.wtEGFR細胞から単一のバンドを免疫沈降させた(図45)。mAb806はまた、これらの細胞から単一のバンドを免疫沈降させたが、このEGFRバンドは、528反応性レセプターよりも明らかにより速く移動した。このSC−03抗体は、U87MG.wtEGFR細胞由来の両方のEGFR反応性バンドを免疫沈降させ、このことにより、さらに、mAb806および528は、これらの細胞からの全細胞溶解物中のEGFRの異なる形態を認識することを確認した。
U87MG.wtEGFR細胞で確認されたように、528抗体は、A431細胞から単一のEGFRバンドを免疫沈降させた(図45)。この528反応性EGFRバンドは、これらの低パーセントゲル(6%)において非常にブロードであり、そして、このことは、恐らく、レセプターグリコシル化の多様性を反映している。単一のEGFRバンドはまた、mAb806での免疫沈降の後にも見られた。このEGFRバンドは、528のブロードな反応性バンドの全体よりも、かなり速くは移動しなかったが、これは、再現性のある様式でブロードな528バンドの先端に位置付けられた。U87MG.Δ2−7細胞溶解物とは異なり、A431溶解物からmAb806により免疫沈降されるEGFRの総量は、528抗体を用いるよりもかなり少なく、結果は、mAb806のみがこれらの細胞の表面上のEGFRの部分を認識することを示す、本発明者らのスキャッチャードデータと一致した(上記実施例4を参照のこと)。SC−03での免疫沈降は、528抗体の場合の単一のブロードなEGFRバンドを生じた。類似の結果を、HN5細胞を用いて得た(データ示さず)。まとめると、このデータは、mAb806は、EGFRのより速い移動種と優先的に反応し、これは、レセプターの差次的なグリコシル化形態を表すことを示す。
mAb806反応性をプロセスするどの段階のレセプターが、現れたかを決定するために、パルス/チェイス実験を実施した。A431およびU87MG.Δ2−7細胞を、35Sメチオニン/システインと5分間パルスし、次いで、mAb806または528を用いる免疫沈降の前の種々の時間で37℃にてインキュベートした(図46)。528抗体を用いるA431細胞における免疫沈降パターンは、EGFRに特異的な立体配座依存抗体に特有であった。少量のレセプターを、各時点で増加する標識EGFRの量を用いて、0分(すなわち、5分のパルスの後)で免疫沈降させた。時間と共にレセプターの分子量の同時増加もまた存在した。対照的に、mAb806反応性EGFR物質は、0分に高レベルで存在し、20分にピークに達し、次いで、さらに各時点で減少した。従って、mAb806は、プロセスの初期段階で見出されるEGFRの形態を優先的に認識することが明らかである。
パルスし標識したU87MG.Δ2−7細胞において観察される抗体反応性は、さらに複雑である。0分での528抗体を用いる免疫沈降は、少量のより低いde2−7EGFRバンドを標識したことを示した(図46)。時間と共に増加した528反応性de2−7EGFRの下のバンドの量は、60分でピークに達し、そして2時間および4時間でゆっくりと下降した。有意な量のde2−7EGFRの標識したより上のバンドは、60分まで検出されなかったが、この後、このレベルは、時間経過の終りまで増加し続けた。このことは、上のde2−7EGFRが、レセプターのより成熟した形態であることを明らかに示す。mAb806の反応性はまた、経時的研究の間で変化したが、mAb806は、de2−7EGFRの下のバンドを優先的に沈降させた。実際に、標識の4時間後まで、有意なレベルのmAb806の上のバンドは見られなかった。
上の実験は、mab806が、未成熟のグリコシル化形態のde2−7およびwtEGFRと優先的に反応することを示唆する。この可能性は、35Sメチオニン/システインで一晩標識した異なる細胞株からEGFRを免疫沈降させ、次いで、得られた沈殿物を、エンドグリコシダーゼH(Endo H)消化に供することにより試験した。この酵素は、タンパク質から、高マンノース型の糖質(すなわち、未成熟のグリコシル化)を優先的に除去する一方で、複雑な糖質(すなわち、グリコシル化)をインタクトなまま残す。528、mAb806およびSC−03を用いる、標識されたU87MG.Δ2−7細胞溶解物の免疫沈降およびEndo Hでの消化は、類似の結果を与えた(図47)。予想されるように、下のde2−7EGFRバンドは、Endo H消化に非常に感受性であり、Endo H消化の後のSDS−PAGEにおいてより速く移動し、このバンドが、de2−7EGFRの高マンノース形態を表すことを実証した。この上のde2−7EGFRバンド上の糖質は、Endo H消化に対して本質的に耐性であり、このことは、Endo H消化の後の移動における非常にわずかな差異のみを示し、大部分の糖質構造が、複雑な型であることを示した。酵素消化の後の上のバンドの分子量の小さいが再現可能な減少は、上のde2−7EGFRバンドが、主に複雑な型をとるが、これはいくつかの高マンノース構造を有することを示唆する。興味深いことに、これらの細胞はまた、528免疫沈降の後に明らかに眼に見える、低い量の内因性のwt EGFRを発現する。Endo H消化の後のwtレセプターの分子量における小さいが注目すべき減少もまた存在し、このことは、高マンノース構造もまた含むことを示した。
Endo H消化に対する免疫沈降したwt EGFRの感受性は、U87MG.wtEGFR細胞およびA431細胞の両方に類似した(図47)。528抗体により沈殿した材料の大部分は、Endo H酵素に対して耐性であったが、少量の材料は、高マンノース形態であった。再度、Endo H消化の後にwt EGFRの分子量の小さな減少が存在し、このことは、いくつかの高マンノース構造を含むことを示唆した。SC−03抗体を用いた結果は、528抗体に類似していた。対照的にmAb806により沈降したEGFRの大部分は、U87MG.wtEGFR細胞およびA431細胞の両方においてEndo Hに感受性であり、このことにより、mAb806が、EGFRの高マンノース形態を優先的に認識することを確認した。類似の結果を、HN−5細胞を用いて得た。ここで、mAb806により沈殿した物質の大部分は、Endo H消化に感受性であったが、mAb528およびSC−03により沈降した物質の大部分は、Endo H消化に対して耐性であった(データ示さず)。
A431細胞株の細胞表面ヨウ素化を、125Iを用いて行い、次いで、806抗体を用いて免疫沈降させた。表面ヨウ素化のためのプロトコルは以下の通りである:細胞溶解、免疫沈降、Endo H消化、SDS PAGEおよびオートラジオグラフィーは、本明細書中で上に記載される通りである。標識のために、細胞を、10%FCSを含む培地中で増殖させ、EDTAで剥離させ、PBSで2回洗浄し、次いで、400μlのPBSに再懸濁した(約2〜3×10細胞)。これに、15μlの125I(100mCi/mlストック)、100μlのウシラクトペルオキシダーゼ(1mg/ml)ストック、10μl H(0.1%ストック)を添加し、そしてこれを、5分間インキュベートした。次いで、さらに10μlのHを、添加し、そしてインキュベーションをさらに3分間続けた。次いで、PBSで細胞を再度3回洗浄し、そして1%Triton中に溶解した。ラクトペルオキシダーゼを用いるA431細胞株の細胞表面ヨウ素化、次いで806抗体を用いる免疫沈降は、上記の総細胞溶解物に類似して、A431細胞の細胞表面上に結合した806により認識されるEGFRの主要な形態は、Endo H消化に対して感受性であったことを示した(図48)。このことにより、A431細胞の細胞表面上の806により結合されるEGFRの形態は、Endo H感受性形態であり、これにより高マンノース型であることを確認した。
本発明は、本発明の精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の形態で具現化され得るか、または他の方法で実行され得る。従って、本開示は、全ての局面を例示するためのものであるとみなされるべきであり、そして添付の特許請求の範囲により示される本発明の範囲を制限せず、そして等価な意味および範囲の中で起こる全ての変更は、本発明に包含されることが意図される。
種々の参考文献を、本明細書を全体を通じて引用し、これらの各々は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
他の目的および利点は、以下の例示的な図面、および添付の特許請求の範囲に関する引き続く詳細な説明を見れば、当業者に明らかとなる。
図1は、神経膠腫細胞株のフローサイトメトリー分析の結果を示す。U87MG(薄灰色のヒストグラム)細胞およびU87MG.Δ2−7(暗灰色のヒストグラム)細胞を、示されるような無関係のIgG2b抗体(白抜きのヒストグラム)、DJ8.3(de2−7EGFRに特異的)、MAb806または528(野生型EGFRおよびde2−7EGFRの両方に結合する)のいずれかで染色した。 図2A〜Cは、MAb806、DH8.3、または528抗体のELISAの結果を示す。(A)sEGFRをコートしたELISAプレートに対するMAb806(黒三角)、DH8.3(黒丸)、または528(黒四角)抗体の増加した濃度の結合。(B)溶液中でのsEGFRの濃度を増加させることによるsEGFRをコートしたELISAプレートに対するMAb806および528の結合の阻害。(C)de2−7連結ペプチドに対するDH8.3の増加した濃度の結合は、固定化された野生型sEGFRに対するmAb806および528抗体の結合曲線を示す。 図2Dおよび2Eは、C末端ビオチニル化ペプチドを用い、そして他の公知の抗体(とりわけ、de2−7EGFR変異体の連結ペプチドを認識するL8A4抗体)、およびコントロールと共に、本発明のモノクローナル抗体を含む、BIAcore結合研究の結果を図示する。 図3は、MAb806およびDH8.3抗体のインターナリゼーションを示す。U87MG.Δ2−7細胞を、MAb806(黒三角)またはDH8.3(黒丸)と共に4℃にてプレインキュベートし、37℃に移し、そしてインターナリゼーションを、FACSにより決定した。データは、3つ(DH8.3)または4つ(MAb806)の別々の実験の各時点での平均インターナリゼーション±SEを示す。 図4Aおよび4Bは、U87MGおよびU87MG.Δ2−7異種移植片を保有するヌードマウスにおける放射標識された(a)125I−MAb806および(b)131I−DH8.3の生物分布(%ID/g腫瘍)を示す。各点は、1時間を除く5匹のマウスの平均±SEを示す(n=4)。 図5Aおよび5Bは、U87MG.Δ2−7異種移植片を保有するヌードマウスにおける、(a)腫瘍:血液または(b)腫瘍:肝臓の比として表される、放射標識された125I−MAb806(白抜きのバー)および131I−DH8.3(黒塗りのバー)の生物分布を示す。各バーは、n=4の場合の1時間を除く、5匹の平均±SEを示す。 図6は、EGFR遺伝子の増幅を含む細胞株のフローサイトメトリー分析を示す。A431細胞を、MAb806、DH8.3、または528(黒のヒストグラム)のいずれかで染色し、そして無関係のIgG2b抗体(白抜きのヒストグラム)と比較した。 図7Aおよび7Bは、U87MG.Δ2−7およびA431異種移植片を保有するヌードマウスにおける放射標識された(a)125I−MAb806および(b)131I−528の生物分布(%ID/g腫瘍)を示す。 図8A〜Dは、(a、c)U87MGΔ2−7および(b、d)A431異種移植片を保有するヌードマウスにおける、(a、b)腫瘍:血液または(c、d)腫瘍:肝臓の比として表される、放射標識された125I−MAb806(白抜きのバー)および131I−528(黒塗りのバー)および抗体の生物分布を示す。 図9は、予防的モデルにおける、A)U87MGおよびB)U87MG.Δ2−7異種移植片の増殖率に対するmAb806の抗腫瘍効果を示す。3×10個のU87MGまたはU87MG.Δ2−7細胞を、第0日に、4〜6週齢のBALB/cヌードマウス(n=5)の両方側にs.c.注入した。マウスに、1mgのmAb806(黒丸);0.1mgのmAb806(黒三角);またはビヒクル(白丸)のいずれかを、腫瘍細胞接種の1日前に開始してi.p.注入した。注入を、矢印で示されるように、2週間にわたって1週間に3回与えた。データを、平均腫瘍体積±SEとして示す。 図10は、確立されたモデルにおける、A)U87MG、B)U87MG.Δ2−7およびC)U87MG.wtEGFR異種移植片に対するmAb806の抗腫瘍効果を示す。3×10個のU87MG、U87MG.Δ2−7またはU87MG.wtEGFR細胞を、4〜6週齢のBALB/cヌードマウス(n=5)の両方側にs.c.注入した。マウスに、1mg用量のmAb806(黒丸);0.1mg用量のmAb806(黒三角);またはビヒクル(白丸)のいずれかを、腫瘍が、平均腫瘍体積65〜80mmに達した場合に開始して、i.p.注入した。注入を、矢印で示されるように、2週間にわたって1週間に3回与えた。データを、平均腫瘍体積±SEとして示す。 図11は、A)予防的モデルおよびB)確立されたモデルにおけるA431異種移植片に対するmAb806の抗腫瘍効果を示す。3×10個のA431細胞を、4〜6週齢のBALB/cヌードマウス(n=5)の両方側にs.c.注入した。マウスに、1mg用量のmAb806(黒丸);またはビヒクル(白丸)のいずれかを、予防的モデルにおいて、腫瘍細胞接種の1日前または腫瘍が、平均腫瘍体積200mmに達した場合に開始して、i.p.注入した。注入を、矢印で示されるように、2週間にわたって1週間に3回与えた。データを、平均腫瘍体積±S.E.として示す。 図12は、予防的モデルにおけるA431異種移植片に対する、AG1478処置と組み合わせたmAb806処置の抗腫瘍効果を示す。データを、平均腫瘍体積±S.E.として示す。 図13は、増加した濃度のAG1478(0.5uMおよび5uM)の存在下における、A431細胞に対する抗体806の結合を示す。 図14は、806VH遺伝子の核酸配列およびそのアミノ酸翻訳物(それぞれ、配列番号1および配列番号2)を示す。 図15は、806VL遺伝子の核酸配列およびそのアミノ酸翻訳物(それぞれ、配列番号3および配列番号4)を示す。 図16は、Kabatに従って番号付けられたVH配列を示す(CDRを囲んでいる)。VHの重要な残基は、24、37、48、67、および78である。 図17は、Kabatに従って番号付けられたVL配列を示す(CDRを囲んでいる)。VLの重要な残基は、36、46、57、および71である。 図18A〜Dは、組み合わせ抗体治療(特に、mAb806および528抗体)の治療効果を決定するために設計されたインビボ研究の結果を示す。マウスは、U87MG.D2−7(AおよびB)、U87MG.DK(C)、またはA431(D)細胞の接種を受けた。 図19A〜Dは、電子顕微鏡によるインターナリゼーションの分析を示す。U87MG.Δ2−7細胞を、MAb806またはDH8.3と共に、その後、金結合抗マウスIgGと共に、4℃にてプレインキュベートし、37℃に移し、そしてインターナリゼーションを、種々の時点で、電子顕微鏡により試験した。(A)5分後の、コーティングされたピット(矢印)に対するDH8.3抗体の局在化;(B)2分後の、巨視的飲作用(矢印)によるMAb806のインターナリゼーション;(C)20分後の、リソソーム(矢印)へのDH8.3の局在化;(D)30分後の、リソソーム(矢印)へのMAb806の局在化。全ての画像の元の倍率は、×30,000である。 図20は、125I−MAb806の注入の8時間後に回収された、U87MG.Δ2−7異種移植片切片のオートラジオグラフィーを示す。 図21は、EGFR遺伝子の増幅を含む細胞株のフローサイトメトリー分析を示す。HN5およびMDA−468細胞を、無関係のIgG2b抗体(点線での白抜きのヒストグラム)、MAb806(黒のヒストグラム)、または528(実線白抜きのヒストグラム)で染色した。DH8.3抗体は、両方の細胞株において完全に陰性であった(データは示していない)。 図22は、細胞株からのEGFRの免疫沈降を示す。EGFRを、MAb806、sc−03抗体、またはIgG2bアイソタイプコントロールを用いて、35S標識U87MG.Δ2−7またはA431細胞から免疫沈降させた。側面の矢印は、de2−7およびwtEGFRの位置を示す。同一のバンドパターンを、3つの独立した実験において獲得した。 図23は、125I−MAb806の注入の24時間後に回収されたA431異種移植片切片のオートラジオグラフィーを示す。生存組織に対する局在化の領域を示す(矢印)。 図24AおよびBは、全身性mAB806処置による、頭蓋内U87MG.ΔEGFR(A)およびLN−Z308.ΔEGFR(B)異種移植片を保有するヌードマウスの延長された生存性を示す。U87MG.ΔEGFR細胞(1×10)またはLN−Z308.ΔEGFR細胞(5×10)を、ヌードマウスの脳に移植し、そしてこの動物を、mAb806、PBS、またはアイソタイプIgGのいずれかを用いて、移植後0日〜第14日まで処置した。CおよびDは、mAb806処置による頭蓋内腫瘍の増殖阻害を示す。mAb806またはアイソタイプIgGコントロールのいずれかで処置したヌードマウス(5匹/群)を、U87MG.ΔEGFR(C)については第9日に、そしてLN−Z308.ΔEGFR(D)については第15日に安楽死させ、そしてそれらの脳を回収し、固定し、そして切り出した。データを、コントロールの腫瘍体積を100%と考えて算出した。値は、平均±SD、***、P<0.001;コントロール対mAb806である。矢頭、腫瘍組織。Eは、腫瘍内mAb806処置による頭蓋内U87MG.ΔEGFR異種移植片を保有するヌードマウスの延長された生存率を示す。U87MG.ΔEGFR細胞を、上記のように移植した。5μlの体積中の10mgのmAb806またはアイソタイプIgGコントロールを、第1日で開始して1日おきに5回腫瘍注入部位に注入した。 図25は、mAb806が、U87MG.wtEGFR脳腫瘍を有するマウスの生存性を延長させたが、U87MG.DK.またはU87MG脳腫瘍を有するマウスの生存性は延長させなかったことを示す。U87MG(A)、U87MG.DK(B)、またはU87MG.wtEGFR(C)細胞(5×10)を、ヌードマウス脳に移植し、そしてこの動物を、移植後0日から第14日までmAb806で処置し、続いて、治療の中止後に観察した。 図26Aは、U87MG細胞株とのmAb806の反応性のFACS分析を示す。U87MG、U87MG.ΔEGFR、U87MG.DK、およびU87MG.wtEGFR細胞を、抗EGFRmAb528、EGFR.1、および抗ΔEGFR抗体、mAb806で染色した。モノクローナルEGFR.1抗体は、wtEGFRを排他的に認識し、そしてモノクローナル528抗体は、wtEGFRおよびΔEGFRの両方と反応した。mAb806は、U87MG.ΔEGFRおよびU87MG.DKと強力に反応し、そしてU87MG.wtEGFRと弱く反応した。横軸上のバーは、一次抗体の非存在下での細胞の最大染色を示す。結果を、3つの独立した実験において再現した。Bは、EGFR形態のmAb806免疫沈降を示す。変異体およびwtEGFRを、(レーン1)U87MG、(レーン2)U87ΔEGFR、(レーン3)U87MG.DK、および(レーン4)U87MG.wtEGFR細胞から、抗EGFR抗体、528、またはEGFR.1、あるいは抗ΔEGFR抗体、mAb806を用いて免疫単離し、次いで、抗汎用EGFR抗体C13を用いてウェスタンブロットにより検出した。 図27は、mAb806による全身処置が、U87MG.ΔEGFR脳腫瘍におけるΔEGFRのリン酸化およびBcl−X発現を減少させることを示す。U87MG.ΔEGFR腫瘍を、mAb806処置の9日目に切り出し、液体窒素中で直ちに凍結させ、そして腫瘍溶解物の調製前に−80℃で保存した。Aは、ΔEGFRの発現および自己リン酸化の程度のウェスタンブロット分析を示す。30μgの腫瘍溶解物を、SDS−ポリアクリルアミドゲルに供し、ニトロセルロースメンブレンに移し、そして抗ホスホチロシンmAbでプローブし、次いで、剥離しそして抗EGFR抗体C13で再プローブした。Bは、Aにおけるような同一の腫瘍溶解物を用いることによるBcl−Xのウェスタンブロットを示す。メンブレンに、抗ヒトBcl−Xポリクローナル抗体をプローブした。レーン1および2、アイソタイプコントロールで処置したU87MG.ΔEGFR脳腫瘍;レーン3および4、mAb806で処置したU87MG.ΔEGFR脳腫瘍。 図28は、MAb806処置が、U87MG.ΔEGFR腫瘍において、増殖および血管形成の減少ならびにアポトーシスおよびマクロファージ蓄積の増加を誘導することを示す。腫瘍切片を、Ki−67について染色した。細胞増殖指数を、各グループの4匹のマウス由来の頭蓋内腫瘍における、4つの無作為に選択された高倍率場(×400)からのKi−67ポジティブである総細胞のパーセンテージにより評価した。データは、平均±SEである。アポトーシス細胞を、TUNELアッセイにより検出した。アポトーシス指数を、TUNELポジティブ細胞:各グループの4匹のマウス由来の頭蓋内腫瘍における、4つの無作為に選択された高倍率場(×400)からの総細胞比により評価した。データは、平均±SEである。腫瘍切片を、抗CD31抗体で免疫染色した。MVAを、各グループの4匹のマウス由来の頭蓋内腫瘍からの4つの無作為に選択された場(×200)からのコンピューター画像分析により分析した。mAb806処置したU87MG.ΔEGFR腫瘍におけるマクロファージの腫瘍周辺浸潤。腫瘍切片を、抗F4/80抗体で染色した。 図29は、親およびトランスフェクトU87MG神経膠腫細胞株のフローサイトメトリー分析を示す。細胞を、示されるように、無関係のIgG2b抗体(白抜きのヒストグラム)または528抗体またはmAb806(黒塗りのヒストグラム)のいずれかで染色した。 図30は、細胞株からのEGFRの免疫沈降を示す。EGFRを、35S標識U87MG.wtEGFR、U87MG.Δ2−7、およびA431細胞から、mAb806(806)、sc−03抗体(c末端)、またはIgG2bアイソタイプコントロール(con)で免疫沈降させた。矢印は、de2−7およびwtEGFRの位置を示す。 図31は、U87MG.Δ2−7およびU87MG.wtEGFR異種移植片の例示的なH&E染色したパラフィン切片を示す。U87MG.Δ2−7(腫瘍接種の24日後に収集した)およびU87MG.wtEGFR(腫瘍接種の42日後に収集した)異種移植片を、上記図10において記載されるように処置されたマウスから切り出し、そしてH&Eで染色した。ビヒクル処置したU87MG.Δ2−7(腫瘍接種の18日後に収集した)およびU87MG.wtEGFR(腫瘍接種の37日後に収集した)異種移植片は、非常に小さな領域の壊死を示したが(左パネル)、広範な壊死(矢印)を、mAb806で処置したU87MG.Δ2−7およびU87MG.wtEGFR異種移植片の両方において観察した(右パネル)。 図32は、U87MG、U87MG.Δ2−7、およびU87MG.wtEGFR異種移植片由来の凍結切片におけるEGFR発現の免疫組織化学分析を示す。切片を、上記図31に記載される時点で収集した。異種移植片切片を、528抗体(左パネル)およびmAb806(右パネル)で免疫染色した。wtEGFR、増幅EGFR,またはde2−7EGFRのいずれに対する免疫反応性の減少も、mAb806で処置した異種移植片において観察されなかった。インビトロでのデータと一致して、親U87MG異種移植片は、528抗体に対してポジティブであったが、mAb806染色に対してはネガティブであった。 図33は、作製された二シストロン性発現構築物の概略図を示す。キメラ抗体鎖の転写物は、伸長因子−1プロモーターで開始し、そして強力な人工終結配列で終了する。IRES配列を、軽鎖のコード領域とNeoRのコード領域との間、および重鎖のコード領域とdhfr遺伝子のコード領域との間に導入した。 A)125IまたはB)111Inのいずれかで放射性標識されたch806の生体分布分析を、U87MG−de2−7異種移植片腫瘍を有するBALB/cヌードマウスにおいて実施した。マウスに、5μgの放射性標識抗体を注射し、各時点について4匹のマウスの群において、8時間、28時間、48時間または74時間のいずれかにおいて屠殺した。器官を収集し、計量し、そしてγカウンターにて放射活性を測定した。 図35は、(A)%IDグラムの腫瘍組織および(B)血液に対する腫瘍の比率を示す。インジウム−111抗体は、約30%ID/グラムの組織および4.0の血液に対する腫瘍の比率を示す。 図36は、確立された腫瘍モデルにおけるキメラ抗体ch806の治療的効力を示す。100μlのPBS中の3×10のU87MG.Δ2−7細胞を、4〜6週齢メスヌードマウスの両脇腹に皮下接種した。mAb806を、ポジティブコントロールとして含めた。腫瘍が50mmの平均容積に達した時に処置を開始し、この処置は、示された日における合計5回の注射について、腹腔内に投与された1mgのch806またはmAb806から構成された。データを、各処置群について平均腫瘍容積+/−S.E.で表示した。 抗EGFRキメラIgG1抗体ch806およびコントロールcG250についての、標的A)U87MG.de2−7およびB)A431細胞に対するCDC活性。三連の決定の平均(バー;±SD)%細胞傷害性が示される。 ch806およびアイソタイプコントロールcG250(0〜10μg/ml)によって媒介される、50:1のエフェクター:標的細胞の比での標的A)U87MG.de2−7およびB)A431細胞に対するADCC。結果を、三連の決定の平均(バー;±SD)%細胞傷害性として示す。 ある範囲のエフェクター:標的の比で、標的U87MG.de2−7細胞に対する、1μg/mlの親mAb 806およびch806によって媒介されるADCC。三連の決定の平均(バー;±SD)を示す。 ch806に結合する抗体を産生するが、huIgGに結合する抗体は産生しない25個のハイブリドーマを、最初に選択した。高い親和性の結合を有するこれらの抗ch806ハイブリドーマのうち4個(クローン3E3、5B8、9D6および4D8)を、限界希釈によって単一の細胞からのクローン性増殖のために引き続き追跡し、そして、それぞれ、Ludwig Institute for Cancer Research Melbourne Hybridoma (LMH)−11、LMH−12、LMH−13およびLMH−14と称した。さらに、huIgGに特異的なmAbを産生する2つのハイブリドーマもまたクローニングし、さらに特徴付けた:クローン2C10(LMH−15)および2B8(LMH−16)。 クローン性増殖後に、ハイブリドーマ培養物上清を、sEGFR621とch806またはmAb806との抗原結合特異性を中和する能力について、ELISAによって三連で試験した。平均(±SD)結果は、ch806およびマウスmAb806の両方の溶液中にて、sEGFRでコーティングされたプレートへの結合をブロックする、抗イディオタイプmAb LMH−11、LMH−12、LMH−13およびLMH−14のアンタゴニスト活性を実証した(LMH−14は示さず)。 マイクロタイタープレートを、10μg/mlの精製したA)LMH−11、B)LMH−12およびC)LMH−13でコーティングした。3つの精製したクローンを、血清中または1%FCS/培地中のch806またはmAb806を捕捉するその能力について比較し、次いで、結合したch806またはmAb806を検出した。血清中または1%FCS/培地中のアイソタイプコントロール抗体hu3S193およびm3S193を、二次結合体アビジン−HRPおよびABTS基質についてのコントロールに加えて、含めた。結果は、検出のためにビオチン化LMH−12(10μg/ml)を使用した三連のサンプルの平均(±SD)として示され、そして捕捉および検出のために使用したLMH−12が、無視できるバックグラウンドの結合を伴って、血清中のch806(3ng/ml)について最も高い感受性を有したことを示す。 捕捉および検出のために、それぞれ、1μg/mlの抗イディオタイプLMH−12および1μg/mlのビオチン化LMH−12を使用する、最適な薬物動態ELISA条件の検証。3回の別個のELISAを、血清中(上向き黒三角)または1%BSA/培地(下向き黒三角)におけるアイソタイプコントロールhu3S193と共に、3人の健康なドナー由来のドナー血清(黒丸)、または1%BSA/培地(黒四角)におけるch806を測定するために、四連で実施した。二次結合体化アビジン−HRP(菱形)についてのコントロールおよびABTS基質(六角形)単独もまた、各ELISAと共に含めた。平均(±SD)結果は、3ng/mlの検出限界で、血清においてch806(2μg/ml〜1.6ng/ml)を測定するための、非常に再現性のある結合曲線を実証する(n=12;1〜100ng/ml、変動係数<25%;100ng/ml〜5μg/ml、変動係数<15%)。バックグラウンドの結合は、試験した3つの血清のいずれにおいても明白ではなく、そして無視できる結合が、アイソタイプコントロールhu3S193で観察された。 図44は、mAb806でブロットされたCHO細胞において発現された組換えsEGFRのイムノブロットを示す。組換えsEGFRを、N連結グリコシル化を除去(脱グリコシル化)するためにPNGaseFで処理したか、または処理しなかった(未処理)。このタンパク質を、SDS−PAGEで泳動し、そしてメンブレンに移し、そしてmAb806でイムノブロットした。 図45は、異なる抗体(SC−03抗体、806抗体および528抗体)を用いた、35S標識した細胞株(U87MG Δ2−7、U87MG−wtEGFRおよびA431)からのEGFRの免疫沈降を示す。 図46は、35Sメチオニン/システインでのパルス標識の後の異なる時点(時間0〜240分)での、異なる細胞(A431およびU87MGΔ2−7)からのEGFRの免疫沈降を示す。抗体528および806が、免疫沈降のために使用される。 図47は、高マンノース型炭水化物を除去するためのEndo H消化の非存在下(−)およびEndo H消化の後(+)での、種々の抗体(SC−03、806および528)を用いた種々の細胞株(U87MGΔ2−7、U87MG−wtEGFRおよびA431)からのEGFRの免疫沈降を示す。 図48は、A431およびU87MGΔ2−7細胞株の細胞表面ヨウ素化、その後のEndo H消化を伴うかまたは伴わない806抗体での免疫沈降を示し、mAb806が結合した、A431細胞の細胞表面上のEGFRが、Endo H感受性形態であることを確認する。

Claims (35)

  1. (i)EGFR遺伝子の増幅物を含有する腫瘍におけるEGFRであって、ここで、該腫瘍細胞は、EGFR遺伝子の複数のコピーを含む、EGFR、および
    (ii)EGFR de2−7の短縮型形態を発現する腫瘍におけるEGFR、
    に結合し得る抗体であって、ここで、該抗体は、配列番号2および配列番号4に示されるポリペプチド配列を含む、抗体。
  2. (i)EGFR遺伝子の増幅物を含有する腫瘍におけるEGFRであって、ここで、該腫瘍細胞は、EGFR遺伝子の複数のコピーを含む、EGFR、および
    (ii)EGFR de2−7の短縮型形態を発現する腫瘍におけるEGFR、
    に結合し得る抗体であって、ここで、該抗体は、軽鎖および重鎖を含み、
    ここで、該重鎖配列は、配列番号2の重鎖可変領域アミノ酸配列を含み、そして、該軽鎖配列は、配列番号4の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、抗体。
  3. (i)EGFR遺伝子の増幅物を含有する腫瘍におけるEGFRであって、ここで、該腫瘍細胞は、EGFR遺伝子の複数のコピーを含む、EGFR、および
    (ii)EGFR de2−7の短縮型形態を発現する腫瘍におけるEGFR、
    に結合し得る抗体であって、ここで、該抗体は、アミノ酸配列LEEKKGNYVVTDHからなるde2−7 EGFR接合部ペプチドに結合せず、
    ここで、該抗体は、免疫組織化学によって決定する場合、正常肝組織に結合せず、
    ここで、該抗体は、軽鎖および重鎖を含み、
    ここで、該重鎖配列は、配列番号2の重鎖可変領域アミノ酸配列を含み、そして、該軽鎖配列は、配列番号4の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、抗体。
  4. (i)EGFR遺伝子の増幅物を含有する腫瘍におけるEGFRであって、ここで、該腫瘍細胞は、EGFR遺伝子の複数のコピーを含む、EGFR、および
    (ii)EGFR de2−7の短縮型形態を発現する腫瘍におけるEGFR、
    に結合し得るキメラ抗体であって、ここで、該抗体は、アミノ酸配列LEEKKGNYVVTDHからなるde2−7 EGFR接合部ペプチドに結合せず、
    ここで、該抗体は、軽鎖および重鎖を含み、
    ここで、該重鎖は、配列番号2の重鎖可変領域アミノ酸配列、および、ヒトIgG1重鎖定常領域を含み、
    ここで、該軽鎖は、配列番号4の軽鎖可変領域アミノ酸配列、および、ヒトκ軽鎖定常領域を含む、キメラ抗体。
  5. (i)EGFR遺伝子の増幅物を含有する腫瘍におけるEGFRであって、ここで、該腫瘍細胞は、EGFR遺伝子の複数のコピーを含む、EGFR、および
    (ii)EGFR de2−7の短縮型形態を発現する腫瘍におけるEGFR、
    に結合し得る抗体であって、ここで、該抗体は、アミノ酸配列LEEKKGNYVVTDHからなるde2−7 EGFR接合部ペプチドに結合せず、
    ここで、該抗体は、軽鎖および重鎖を含み、
    ここで、該重鎖は、配列番号2の重鎖可変領域アミノ酸配列を含み、
    ここで、該軽鎖は、配列番号4の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、抗体。
  6. 請求項5に記載の抗体であって、ここで、該抗体の前記重鎖可変領域のポリペプチド結合ドメインは;
    (a)アミノ酸GYSITSDFAWN;
    (b)アミノ酸YISYSGNTRYNPSLKS;または、
    (c)アミノ酸VTAGRGFPY、
    を含む、抗体。
  7. 請求項5に記載の抗体であって、ここで、該抗体の前記軽鎖可変領域のポリペプチド結合ドメインは;
    (a)アミノ酸HSSQDINSNIG;
    (b)アミノ酸HGTNLDD;または、
    (c)アミノ酸VQYAQFPWT、
    を含む、抗体。
  8. 請求項1〜3または5〜のいずれか1つ以上に記載の抗体であって、完全なヒト抗体、ヒト化抗体、または、キメラ化抗体である、抗体。
  9. 請求項1〜3または5〜のいずれか1項に記載の抗体の、F(ab’)2フラグメント、または、scFvフラグメント。
  10. 検出可能な標識または機能性標識をともなう、請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体。
  11. 薬物または毒素に共有結合した、検出可能な標識または機能性標識をともなう、請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体。
  12. 放射標識である、検出可能な標識または機能性標識をともなう、請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体。
  13. ヒトまたは動物の身体において、癌の処置法または診断法において使用するための、請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体。
  14. EGFRが異常に発現する腫瘍、または、短縮型タンパク質の形態でEGFRを発現する腫瘍の診断のためのキットであって、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体ならびに使用するための試薬および/または指示書を含む、キット。
  15. 請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体、および、薬学的に受容可能なビヒクル、キャリア、または、希釈剤を含む、薬学的組成物。
  16. ヒト患者において腫瘍を処置するためのキットであって、
    請求項15に記載の薬学的組成物の医薬剤形、ならびに、
    化学治療剤、抗EGFR抗体、放射免疫治療剤、および、これらの組合せからなる群から選択される1つ以上のさらなる抗癌剤を含む、別の、医薬剤形、
    を含む、キット。
  17. 前記化学療法剤が、チロシンキナーゼインヒビター、リン酸化カスケードインヒビター、翻訳後モジュレーター、細胞増殖インヒビターまたは細胞***インヒビター、シグナル伝達インヒビター、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のキット。
  18. 前記チロシンキナーゼインヒビターが、AG1478、ZD1839、STI571、OSI−774、および、SU−6668からなる群から選択される、請求項17に記載のキット。
  19. ヒト患者において腫瘍を処置するためのキットであって、
    請求項15に記載の薬学的組成物の医薬剤形、および、
    チロシンキナーゼインヒビターAG1478の、別の医薬剤形、
    を含む、キット。
  20. (i)EGFR遺伝子の増幅物を含有する腫瘍におけるEGFRであって、ここで、該腫瘍細胞は、EGFR遺伝子の複数のコピーを含む、EGFR、および
    (ii)EGFR de2−7の短縮型形態を発現する腫瘍におけるEGFR、
    に結合し得る抗体であって、ここで、該抗体は、アミノ酸配列LEEKKGNYVVTDHからなるde2−7 EGFR接合部ペプチドに結合せず、
    ここで、該抗体は、軽鎖および重鎖を含み、
    ここで、前記重鎖可変領域配列は、アミノ酸GYSITSDFAWN、アミノ酸YISYSGNTRYNPSLKSおよびアミノ酸VTAGRGFPYに対応するポリペプチド結合ドメインCDRを含み、そして、ここで、前記軽鎖可変領域配列は、アミノ酸HSSQDINSNIG、アミノ酸HGTNLDDおよびアミノ酸VQYAQFPWTに対応するポリペプチド結合ドメインCDRを含む、抗体。
  21. 完全なヒト抗体、ヒト化抗体、または、キメラ化抗体である、請求項20に記載の抗体。
  22. 請求項20に記載の抗体の、F(ab’)2フラグメント、または、scFvフラグメント。
  23. 検出可能な標識または機能性標識をともなう、請求項20に記載の抗体。
  24. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の抗体またはその活性フラグメントをコードする配列を含む、単離された核酸。
  25. 請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体またはその活性フラグメントをコードする、DNA配列またはその縮重改変体であって、以下:
    (A)図14(配列番号1)のDNA配列、および、図15(配列番号3)のDNA配列;
    (B)配列番号8に示される定常IgG1配列を有する図14(配列番号1)のDNA配列、および、配列番号7に示される定常κ配列を有する図15(配列番号3)のDNA配列
    (C)上記(A)または(B)のDNA配列のいずれかにコードされるアミノ酸配列の発現産物をコードするDNA配列、
    からなる群から選択されるDNA配列またはその縮重改変体を含む、組換えDNA分子によって形質転換された単細胞宿主細胞であって、
    ここで、該DNA配列は、発現制御配列に作動可能に連結されている、単細胞宿主細胞。
  26. 前記単細胞宿主が、E.coli、Pseudomonas、Bacillus、Streptomyces、酵母、CHO細胞、YB/20細胞、NSO細胞、SP2/0細胞、R1.1細胞、B−W細胞、L−M細胞、COS1細胞、COS7細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、およびBMT10細胞、植物細胞、昆虫細胞、および組織培養物中のヒト細胞からなる群から選択される、請求項25に記載の単細胞宿主。
  27. 請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体またはその活性フラグメントを調製するための方法であって、
    請求項24に記載の核酸を、該抗体またはその活性フラグメントの発現をもたらす条件下で発現させる工程、および、
    該抗体またはその活性フラグメントを回収する工程、
    を包含する、方法。
  28. 哺乳動物の癌を処置または予防するための医薬の製造のための、請求項1〜のいずれか1項に記載の抗体またはその活性フラグメントを含む組成物。
  29. 前記癌が脳に局在するか、または、脳に隣接する、請求項28に記載の組成物。
  30. 請求項29に記載の組成物であって、ここで、前記癌は、グリア芽細胞種、髄芽細胞腫、髄膜腫、腫瘍性星状細胞種および腫瘍性動静脈先天異常から選択される、脳内在性癌である、請求項29に記載の組成物。
  31. 前記癌が神経腫瘍である、請求項28に記載の組成物。
  32. 請求項28〜31のいずれか1項に記載の組成物であって、前記抗体またはその活性フラグメントが全身投与される、組成物。
  33. 診断画像化において使用するための医薬の製造のための、請求項10に記載の抗体またはその活性フラグメントを含む組成物。
  34. 請求項28〜31のいずれか1項に記載の組成物であって、ここで、処置の手順が放射免疫治療を包含する、組成物。
  35. 請求項28〜31のいずれか1項に記載の組成物および指示書を含むキットであって、該組成物が最初に投与され、その後、化学療法剤を含む組成物が投与される、キット。
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