JP2006508899A - EGFrに対する抗体を使用する腎癌の治療方法 - Google Patents

EGFrに対する抗体を使用する腎癌の治療方法 Download PDF

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Abstract

本発明は上皮成長因子受容体(EGFr)に対する完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGFとその抗原結合フラグメントを使用する腎癌の治療方法に関する。特に単独療法としてのこれらの腎癌治療薬の使用方法にも関する。更に、腎癌治療用キット及び製品も提供する。

Description

本発明は腎細胞癌の治療方法に関する。より詳細には、本発明はヒト上皮成長因子受容体(EGFr)に対する完全ヒトモノクローナル抗体を使用する腎癌の治療方法に関する。
腎細胞癌又は腎臓癌は伝統的治療形態に抵抗性の重病であり、死に至ることが多い。近年、米国では年間約12,000件の腎癌関連死と年間約31,000件の新規腎癌が報告されている。腎癌は初期危険信号がないため、一般に診断時に疾患の進行形態又は転移形態で患者に検出される。根治的腎摘出術後の総再発率は高いが、局部疾患が早期に検出される場合には外科手術が治癒の可能性のある唯一の選択肢となる。
残念ながら、転移性腎癌は全身療法に非常に抵抗性であるため、疾患の進行形態の患者の治療選択肢は非常に制限される。放射線、化学療法、及び外科手術等の現行腫瘍治療法は単独で使用しても併用しても大半の患者には無効である。外科技術の進歩と免疫治療薬の使用にも拘わらず、大半の転移性腎癌患者は診断から1年以内に死亡する。効力が高く、毒性の少ない腎癌療法が緊急に必要である。
この問題により、研究者らは免疫調節剤の治療可能性を探り始めた。インターロイキン−2とαインターフェロンを使用する免疫療法の臨床試験が行われているが、殆どの患者では有効な治療法となっていない。科学者らはEGF受容体と結合して腫瘍形成と生存に重大な細胞内シグナルを提供する上皮成長因子(EGF)の役割を検討し始めた。これらのシグナルは細胞侵入と転移、血管形成による新血管の形成、及び既存療法に対する腫瘍抵抗性等の数種の腫瘍促進応答を開始することが分かった。しかし、従来の受容体生物学研究は有効な治療に直接つながっていない。
1企業であるImClone Systems Incorporatedは腎細胞癌を治療するためにC225として知られるキメラ抗EGFr抗体を使用した。しかし、治療効果のあった患者の割合はごく僅かであった。
Abgenix,Inc.(Fremont,CA)等の企業はXenoMouse(登録商標)と呼ばれる完全ヒト抗体産生マウスを開発したが、腎細胞癌の治療に有用な治療用抗体はまだみつかっていない。従って、有効で安全な腎細胞癌の治療方法が当分野で必要とされている。
本発明の1態様はまず腎癌の治療を必要とする患者を識別することにより患者の腎癌を治療する方法である。次に、治療有効量の完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又は上皮成長因子受容体(EGFr)と結合することが可能なその抗原結合フラグメントを患者に投与する。この投与の結果、腎癌の有効な治療が得られる。好ましい代替態様では、この方法は用量関連皮膚発疹を代替バイオマーカーとして利用する段階を更に含む。
更に別の態様はヒト患者における腎癌の治療用キットである。このキットは医薬的に許容可能なキャリヤーに加えた完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又は上皮成長因子受容体(EGFr)と結合するそのフラグメントと、治療有効用量の前記完全ヒト抗体をヒト患者に投与するための説明書を含む。
別の態様は容器と、前記容器に収容された組成物と、説明書又はラベルを含む製品である。説明書又はラベルは上皮成長因子受容体(EGFr)を発現する癌細胞により特徴付けられる腎癌を治療するために組成物を使用できることを表示する。加えて、この組成物は完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを含む。
以上、本発明と従来技術に勝る利点を要約する目的で本発明の所定目的と利点を記載した。当然のことながら、必ずしもこのような目的又は利点の全てを本発明の特定態様で達成する必要はない。従って、例えば、当業者に自明の通り、本明細書に教示又は示唆される他の目的又は利点を必ずしも達成せずに本明細書に教示する1又は複数の利点を達成又は最適化するように本発明を具体化又は実施することができる。
これらの全態様を本明細書に開示する本発明の範囲に含むものとする。本発明のこれらの態様と他の態様は、添付図面を参考に好適態様に関する以下の詳細な説明から当業者に自明であり、本発明は開示する特定の好適態様に限定されない。
本発明の1態様はEGFrに対する完全ヒトモノクローナル抗体をヒト患者に投与することによる腎癌の治療方法である。しかし、本発明は全長抗体に限定されない。例えば、完全ヒト抗EGFr抗体の抗原結合フラグメント又はFab’フラグメントも本発明の範囲に含まれる。これらのフラグメントと全長EGFr抗体を単独療法、併用療法、治療キット、及び製品で腎癌治療薬として使用する方法も提供する。
A.定義
文脈からそうでないことが明らかな場合を除き、単数形は複数形も含み、複数形は単数形も含むものとする。
「天然抗体及び免疫グロブリン」とは一般に2個の同一軽(L)鎖と2個の同一重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖蛋白質である。各軽鎖は1個の共有ジスルフィド結合により重鎖と結合しており、ジスルフィド結合の数は各種免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖は更に定間隔に配置された鎖間ジスルフィド結合をもつ。各重鎖は一端に可変領域(VH)とそれに続く多数の定常領域をもつ。各軽鎖は一端に可変領域(VL)と他端に定常領域をもち、軽鎖の定常領域は重鎖の最初の定常領域と整列し、軽鎖可変領域は重鎖の可変領域と整列している。特定アミノ酸残基は軽鎖可変領域と重鎖可変領域の間に界面を形成すると考えられている(1985;Novotny and Haber,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:4592(1985);Chothiaら,Nature 342:877−883(1989))。
「抗体」なる用語は無傷の抗体だけでなく、無傷の抗体と特異的結合を競合するその抗原結合フラグメントも意味する。「その抗原結合フラグメント」とは、抗原結合機能を維持する無傷の抗体分子の一部又はフラグメントを意味する。結合フラグメントは組換えDNA技術又はパパイン等の無傷の抗体の酵素もしくは化学的切断により作製される。結合フラグメントとしてはFab、Fab’、F(ab’)、Fv、1本鎖抗体(「scFv」)、Fd’及びFdフラグメントが挙げられる。モノクローナル抗体から各種フラグメントを作製するための方法は当業者に周知である(例えば,Pluckthun,1992,Immunol.Rev.130:151−188参照)。「二重特異性」又は「二官能性」抗体以外の抗体は同一結合部位をもつとみなされる。抗体が過剰になって受容体のリガンド結合量が(in vitro競合結合アッセイで測定した場合に)約20%、40%、60%又は80%以上低下するときに抗体は受容体がリガンドに接着するのを実質的に阻害するとみなす。
「単離」抗体とは同定され、その天然環境の成分から分離及び/又は回収された抗体である。天然環境の汚染成分は抗体の診断又は治療使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、及び他の蛋白又は非蛋白性溶質が挙げられる。好適態様では、(1)ローリー法とスピニングカップシークエネーターの使用による末端又は内部アミノ酸配列により決定した場合に抗体が95%重量%を上回るまで、又は(3)クーマシーブルー、もしくはより好ましくは銀染色を使用して還元もしくは非還元条件下でSDS−PAGEにより均質に達するまで抗体を精製する。組換え細胞内のin situ抗体も抗体の天然環境の少なくとも1種の成分が存在しないので単離抗体と言える。しかし、通常、単離抗体は少なくとも1回の精製段階により製造される。
「抗体依存性細胞媒介細胞毒性」及び「ADCC」とはFc受容体(FcRs)を発現する非特異的細胞毒性細胞(例えばナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)がターゲット細胞上の結合抗体を認識した後にターゲット細胞の溶解を生じる細胞媒介反応を意味する。ADCCを媒介する主要細胞であるNK細胞はFcγRIIIしか発現しないが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞でのFc発現はRavetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9 :457−92(1991)の464頁の表3にまとめられている。該当分子のADCC活性を測定するためには、米国特許第5,500,362号又は5,821,337号に記載されているようなin vitro ADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては末梢血単核細胞(PBMC)とナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替法又は付加法として、例えばClynesら PNAS(USA)95:652−656(1988)に開示されているような動物モデルで該当分子のADCC活性をin vivo測定することもできる。
「可変」なる用語は、可変領域の所定部分が配列において抗体間で大幅に異なるという事実を、ならびに、同所定部分が結合においておよび各特定抗体まその特定抗原についての特異性において使用されるという事実を、意味する。しかし、可変性は抗体の可変領域全体に均一に分布しているわけではない。軽鎖及び重鎖可変領域のいずれでも相補性決定領域(CDR)又は超可変領域と呼ばれる3個のセグメントに集中している。可変領域の高度保存部分をフレームワーク(FR)と呼ぶ。天然重鎖及び軽鎖の可変領域は各々、3個のCDRにより連結された4個のFR領域を含んで、主にβシート構造をとり、このCDRはこのβシート構造を連結するループを形成する(ある場合にはループの部分を形成する)。各鎖のCDRはFR領域により相互に緊密に保持され、他の鎖のCDRと共に抗体の抗原結合部位の形成に関与する(Kabatら(1991)参照)。定常領域は抗体と抗原の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与等の種々のエフェクター機能を示す。
「Fv」は完全抗原認識及び結合部位を含む最小抗体フラグメントである。2本鎖Fv種では、この領域は1個の重鎖可変領域と1個の軽鎖可変領域との緊密に非共有結合した二量体から構成されている。1本鎖Fv種では、軽鎖と重鎖が2本鎖Fv種と同様に「二量体」構造で結合できるように、フレキシブルペプチドリンカーにより1個の重鎖可変領域と1個の軽鎖可変領域を共有結合させることができる。この構造では、各可変領域の3個のCDRはVH−VL二量体の表面に抗原結合部位を規定するように相互作用する。全体で6個のCDRが抗体に対する抗原結合特異性を付与する。しかし、完全結合部位よりも親和性は劣るが、単一可変領域(又は抗原に特異的なCDRを3個しか含まないFvの半分)でも抗原を認識し、結合することができる。
本明細書で使用する「超可変領域」なる用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は一般に「相補性決定領域」ないし「CDR」からのアミノ酸残基(例えば軽鎖可変領域の残基24−34(L1)、50−62(L2)、及び89−97(L3)と重鎖可変領域の31−55(H1)、50−65(H2)及び95−102(H3);Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))及び/又は「超可変ループ」からのアミノ酸残基(例えば軽鎖可変領域の残基26−32(L1)、50−52(L2)及び91−96(L3)と重鎖可変領域の26−32((H1)、53−55(H2)及び96−101(H3);Chothia and Lesk J. Mol.Biol 196:901−917(1987))を含む。「フレームワーク領域」ないし「FR」残基は本明細書に定義する超可変領域残基以外の可変領域残基である。
本明細書で使用する「相補性決定領域」ないし「CDR」なる用語は、特定リガンドと接触してその特異性を決定する免疫受容体の部分を意味する。免疫受容体のCDRは受容体にダイバーシティを与える受容体蛋白質の最可変部分であり、受容体の2個の可変領域の各々から3個ずつの6個のループに受容体の可変領域の遠位端で支持されている。
「エピトープ」なる用語は蛋白質抗原上の(モノクローナル又はポリクローナル)抗体の結合部位を表すために使用される。
本明細書で使用する「アミノ酸」又は「アミノ酸残基」なる用語は変異体に関して以下に記載する天然Lアミノ酸又はDアミノ酸を意味する。本明細書では一般に使用されているアミノ酸の1文字及び3文字略語を使用する(Bruce Albertsら,Molecular Biology of the Cell,Garland Publishing,Inc.,New York(4th ed.2002))。
「疾患状態」なる用語は細胞もしくは身体機能、系、又は臓器の中断、停止、又は障害が生じている細胞又は哺乳動物個体の生理的状態を意味する。
「治療する」又は「治療」なる用語は治療処置だけでなく、癌の発生や増殖等の望ましくない生理的変化又は障害を予防又は減速(減退)させることを目的とする予防処置も意味する。本発明の目的では、有益又は所望臨床効果としては限定されないが、検出可能であるか否かに拘わらず、症状の緩和、疾患の程度の低下、疾患状態の安定化(即ち非悪化)、疾患進行の遅延又は減速、疾患状態の緩和又は一時的軽減、及び(部分的又は全体的な)回復が挙げられる。「治療」は治療を受けない場合に予測される生存に比較して生存の延長も意味することができる。治療を必要とするものとしては、疾患又は障害を既に持つものと、疾患又は障害を持つ可能性のあるものあるいは疾患又は障害を予防すべきものが挙げられる。
「障害」とは本発明の治療の効果を受ける任意状態を意味する。これは哺乳動物を該当疾患にかかり易くする病態等の慢性及び急性障害又は疾患を含む。本発明で治療する障害の非限定的な1例は腎細胞癌(RCC)である。
治療目的の「哺乳動物」とはヒト、家畜及び農場動物、動物園動物、競技用動物又はペット動物を含む哺乳動物として分類される任意動物を意味し、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等が挙げられる。哺乳動物はヒトが好ましい。
「抗腫瘍剤」なる用語は本明細書ではヒトの腫瘍、特に癌、肉腫、リンパ腫、又は白血病等の悪性(癌性)病変の発生又は進行を抑制する機能特性をもつ物質を意味する。転移の抑制が抗腫瘍剤の特性であることが多い。抗腫瘍剤としては標準化学療法及び生物療法剤が挙げられる。「抗腫瘍療法」は1種以上の抗腫瘍剤の治療投与である。
「実質的に安定な薬物動態」を示す治療は所望用量で投与した場合に約1カ月間患者の血流中に止まる治療である。治療は治療剤をターゲット細胞に実質的に安定して暴露させることが好ましい。
本発明によると、腎細胞癌の治療のためにヒトモノクローナル抗体を最大限に使用する方法が提供される。この治療については、併用療法、単独療法及び低用量療法の3種類の臨床経路が明白な臨床効果の可能性をもたらすと思われる。
「併用療法」とは本発明の抗体と抗腫瘍剤(例えば化学療法又は生物療法剤)及び/又は放射線療法を併用して患者を治療する腎細胞癌の治療を意味する。標準第1及び第2療法に抗EGFr抗体を追加することによるプロトコールで腎細胞癌を治療する。プロトコールデザインは腫瘍質量の低下と標準抗腫瘍療法の通常用量を低減する能力により評価される効力を考慮する。これらの用量低減の結果、化学療法剤の用量関連毒性を減らすことにより更なる及び/又は延長した治療が可能になる。代替併用療法態様では、腎癌治療効力を増加するために、抗EGFr抗体、又はそのフラグメントをトキシン又は他の治療薬と結合する。
「単独療法」とは抗腫瘍剤を併用せずに抗EGFr抗体を患者に投与することによる腎細胞癌の治療を意味する。
更に、単独療法としての腎細胞癌抗体療法は、下記のように抗EGFr抗体を使用して腫瘍増殖を安定化又は低減するのに臨床試験で成功した。その結果、本明細書に記載する抗体は腎細胞癌に対する抗腫瘍剤との併用療法に加えて単独療法としても有効であることが実証された。
更に、ABX−EGF抗体(Abgenix,Inc.,Fremont,CA)は従来技術の抗体で観察されるよりも低用量で腎癌を治療するのに有効であると思われる。
B.本発明を実施するための方法
本発明の態様は腎細胞癌に対する抗体とこのような抗体の作製及び使用方法に関する。本発明の1態様は腎細胞癌の進行能に作用する抗体を提供する。
1.抗EGFr抗体の作製
本発明により使用される抗体の作製技術の例について以下に記載する。
(i)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体はKohlerら,Nature 256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製することもできるし、組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)により作製することもできる。
ハイブリドーマ法では、マウス又は他の適当な宿主動物(例えばハムスターやカニクイザル)を上記のように免疫し、免疫に使用した蛋白質と特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することが可能なリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球にin vitro免疫してもよい。次に、電気的細胞融合法又はポリエチレングリコール等の適当な融合剤を使用することによりリンパ球又は、より好ましくはB細胞について富化したリンパ球を、ミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies :Principles and Practice,pp 59−103,[Academic Press,1996])。
こうして作製したハイブリドーマ細胞を好ましくは未融合親ミエローマ細胞の増殖又は生存を阻害する1種以上の物質を添加した適切な培養培地に播種し、増殖させる。例えば、親ミエローマ細胞がヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)酵素を欠損している場合には、ハイブリドーマの培養培地は一般にHGPRT欠損細胞の増殖を防ぐ物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有する(HAT培地)。
好ましいミエローマ細胞は効率的に融合し、選択した抗体産生細胞により安定した高レベルの抗体産生を維持し、HAT培地等の培地に感受性のものである。これらのうちで好ましいミエローマ細胞株はSalk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California,米国から入手可能なMOP−21及びMC−11マウス腫瘍や、American Type Culture Collection,Rockville,Maryland,米国から入手可能なSP−2又はX63−Ag8−653細胞に由来するもの等のマウスミエローマ株である。ヒトミエローマ細胞株とマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株もヒトモノクローナル抗体の作製について記載されている(Kozbor,J.Immnunol.133:3001(1984);Brodeurら,Monoclonal Antibody Production Techniques and Application,pp.51−63,Marcel Dekker,Inc.,New York,[1987])。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地が抗原に対するモノクローナル抗体を産生するか否かをアッセイする。ハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は免疫沈降法又はラジオイムノアッセイ(RIA)や酵素免疫法(ELISA)等のin vitro結合アッセイにより測定することが好ましい。
モノクローナル抗体の結合親和性は例えばMunsonら,Anal.Biochem.107:220(1980)のスキャッチャード分析により測定することができる。
所望特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定されたら、細胞を限界希釈法によりサブクローニングし、標準方法により増殖させることができる(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59−103,Academic Press,1996)。この目的に適した培養培地としては例えばDMEM又はRPMI−1640培地が挙げられる。更に、ハイブリドーマ細胞を動物で腹水腫瘍としてin vivo増殖させてもよい。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は例えば蛋白質A−Sepharose、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィー等の慣用免疫グロブリン精製法により培養培地、腹水、又は血清から適切に分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは(例えばモノクローナル抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)慣用方法を使用して容易に単離及び配列決定される。ハイブリドーマ細胞はこのようなDNAの好適ソースとして利用される。単離されたDNAを発現ベクターに組込んだ後に大腸菌、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はミエローマ細胞等の通常は免疫グロブリン蛋白質を産生しない宿主細胞にトランスフェクトし、組換え宿主細胞でモノクローナル抗体の合成を得る。例えば、非免疫グロブリンポリペプチドのコーディング配列の全部又は一部を免疫グロブリンコーディング配列と共有結合させることによりDNAを修飾してもよい。こうして、本明細書に記載するモノクローナル抗体の結合特異性をもつ「キメラ」又は「ハイブリッド」抗体が作製される。
一般に、このような非免疫グロブリンポリペプチドを本発明の抗体の定常領域に置換するか、又は本発明の抗体の1個の抗原結合部位の可変領域に置換し、EGFrに特異性をもつ1個の抗原結合部位と別の抗原に特異性をもつ別の抗原結合部位を含むキメラ2価抗体を作製する。
架橋剤の利用等の合成蛋白質化学において公知の方法を使用してキメラ又はハイブリッド抗体を作製することもできる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することによりイムノトキシンを構築することができる。この目的に適切な試薬の例としてはイミノチオール酸とメチル−4−メルカプトブチルイミデートが挙げられる。
(ii)ヒト抗体
ヒトmAbを作製するための同一技術を使用する試みは、適切なヒトミエローマ細胞株がないために阻まれている。最良結果はヘテロミエローマ(マウスとヒトのハイブリッドミエローマ)を融合パートナーとして使用した場合に得られた(Kozbor,J.Immunol.133:3001(1984);Brodeurら,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51−63,Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)。あるいは、エプスタイン・バールウイルス(EBV)の感染によりヒト抗体分泌細胞を不死化することができる。しかし、EBV感染細胞はクローニングしにくく、一般に比較的低収率の免疫グロブリンしか産生しない(James and Bell,J.Immunol.Methods 100:5−40[1987])。将来、ヒトB細胞の不死化は恐らくトランスフォーミング遺伝子の特定組合せを導入することにより達成されると思われる。このような可能性は、テロメラーゼ触媒サブユニットをSV40ラージT癌蛋白質及びH−rasの発癌対立遺伝子と共に発現させると、正常ヒト上皮及び線維芽細胞の発癌変換をがじたという最近の報告により注目を集めている(Hahnら,Nature 400:464−468[1999])。
免疫後に内因性免疫グロブリン産生の不在下でヒト抗体のレパートリーを産生することが可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)を作出することが現在では可能である(Jakobovitsら,Nature 362:255−258[1993];Lonberg and Huszar,Int.Rev.Immunol.13:65−93[1995];Fishwildら,Nat.Biotechnol.14:845−851[1996];Mendezら,Nat.Genet.15:146−156[1997];Green,J.Immunol.Methods 231:11−23[1999];Tomizukaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:722−727[2000];reviewed in Littleら,Immunol.Today 21:364−370[2000])。例えば、キメラ及び生殖細胞系突然変異マウスにおいて抗体重鎖結合領域(J)遺伝子をホモ欠失させると、内因性抗体産生が完全に阻害される(Jakobovitsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−2555[1993])。ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレーをこのような生殖細胞系突然変異マウスに導入すると、抗原投与後にヒト抗体が産生される(Jakobovitsら,Nature 362:255−258[1993])。
Mendezら(Nature Genetics 15:146−156[1997])は、抗原投与することにより高親和性完全ヒト抗体を産生するトランスジェニックマウス系「XenoMouse(登録商標)II」を作出した。これは、上記のように内在Jセグメントを欠失させたマウスにメガ塩基ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子座の生殖細胞系を組込むことにより行われた。XenoMouse(登録商標)IIは約66個のV遺伝子と、完全D及びJ領域と、3個の異なる定常領域(μ、δ及びγ)を含む1,020kbのヒト重鎖遺伝子座と、32個のVκ遺伝子と、Jκセグメントと、Cκ遺伝子を含む800kbのヒトκ遺伝子座をもつ。これらのマウスで産生される抗体は遺伝子再配列、アセンブリ、及びレパートリーを含む全ての点でヒト抗体と非常によく似ている。ヒト抗体はマウス遺伝子座の遺伝子再配列を阻止する内在Jセグメントを欠失するために内在抗体よりも優先的に発現される。
このようなXenoMouseをEGFr等の該当抗原で免疫することができる。このような免疫動物からの血清を当初の抗原に対する抗体反応性について選別(スクリーニング)することができる。リンパ節又は、脾細胞からリンパ球を単離し、CD138−及びCD19+細胞を選別することにより更にB細胞について選択することができる。1側面では、このようなB細胞培養物(BCC)をミエローマ細胞と融合させ、上記に詳述したようにハイブリドーマを作製することができる。別の側面では、このようなB細胞培養物を、更に当初の抗原、好ましくはEGFr蛋白質に対する反応性について選別することができる。このような選別方法として、EGFr−His蛋白質によるELISA、該当抗原と結合する既知抗体(例えば抗体G250)との競合アッセイ、及び全長EGFrを発現する一過的にトランスフェクトしたCHO細胞とのin vitro結合が挙げられる。このような選別については実施例に更に記載する。該当抗体を分泌する単一B細胞を単離するためにはEGFr特異的溶血プラークアッセイを実施する。溶解標的細胞はEGFr抗原を被覆したヒツジ赤血球(SRBC)が好ましい。該当免疫グロブリンと補体を分泌するB細胞培養物の存在下にプラークが形成されると、ターゲット細胞の特異的EGFr媒介溶解が生じたことがわかる。プラークの中心の単一抗原特異的プラズマ細胞を分離し、mRNAの単離に使用することができる。
逆転写酵素PCRを使用して分泌される抗体の可変領域をコードするDNAをクローニングすることができる。このようなクローニングしたDNAを次に適切な発現ベクター、好ましくはpcDNA等のベクターカセット、より好ましくは免疫グロブリン重鎖及び系鎖の定常領域を含むこのようなpcDNAベクターに更に挿入することができる。作製したベクターを次に宿主細胞、好ましくはCHO細胞にトランスフェクトし、プロモーターを誘導、形質転換細胞を選択、又は所望配列をコードする遺伝子を増幅するように適宜改変した慣用栄養培地で培養することができる。
トランスフェクションとはコーディング配列が実際に発現されるか否かに関係なく、宿主細胞による発現ベクターの取込みを意味する。多数のトランスフェクション法が当業者に公知であり、例えば、CaPO沈殿法やエレクトロポレーションが挙げられる。このベクターの機能の何らかの兆候が宿主細胞内で生じるときにトランスフェクションは一般に成功したと認められる。
別の態様では、ファージディスプレイ技術を使用して非免疫ドナーからの免疫グロブリン可変(V)領域遺伝子レパートリーからヒト抗体及び抗体フラグメントをin vitro作製することができる(McCaffertyら,Nature 348:552−553[1990];reviewed in Kipriyanov and Little,Mol.Biotechnol.12 :173−201[1999];Hoogenboom and Chames,Immunol.Today 21:371−378[2000])。この方法によると、抗体V領域遺伝子をM13又はfd等の糸状バクテリオファージの大小いずれかのコート蛋白質遺伝子にインフレームクローニングし、ファージ粒子の表面に機能抗体フラグメントとして表示させる。糸状粒子はファージゲノムの1本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づく選択の結果、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子も選択できる。従って、ファージはB細胞の特性と多少似ている。ファージディスプレイは種々のフォーマットで実施することができる(Johnson and Chiswell,Current Opinion in Structural Biology 3:564−571[1993)];Winterら,Annu Rev.Immunol.12:433−455[1994];Dall’Acqua and Carter,Curr.Opin.Struct.Biol.8:443−450[1998];Hoogenboom and Chames,Immunol.Today 21:371−378[2000])。ファージディスプレイには数種のV遺伝子セグメントのソースを使用することができる。Clacksonら(Nature 352:624−628[1991])は免疫マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小さいランダム組合せライブラリーから多様な抗オキサゾロン抗体を単離した。主にMarksら,J Mol.Biol.222:581−597(1991)又はGriffithsら,EMBO R 12:725−734(1993)に記載されている方法に従って、非免疫ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構築し、種々の抗原(自己抗原を含む)に対する抗体を単離することができる。
自然免疫応答において、抗体遺伝子は高率で突然変異を蓄積する(体細胞超変異)。導入される変異の一部は高親和性を与え、その後の抗原投与の間に高親和性表面免疫グロブリンを表示するB細胞が優先的に複製分化する。「チェーンシャフリング」(Marksら,Bio/Technol.10:779−783[1992])として知られる方法を使用することにより、この自然プロセスを模倣することができる。
この方法では、重鎖及び軽鎖V領域遺伝子を非免疫ドナーから得られたV領域遺伝子の天然変異体のレパートリー(レパートリー)で順次置換することにより、ファージディスプレイにより得られた「一次」ヒト抗体の親和性を改善することができる。この方法によると、nM範囲の親和性をもつ抗体及び抗体フラグメントを作製することができる。非常に大きなファージ抗体レパートリー(「マザーライブラリー」としても知られる)を作製するストラテジーはWaterhouseら,Nucl.Acids Res.21:2265−2266(1993)により記載されており、このような大きなファージライブラリーからの直接高親和性ヒト抗体の単離はGriffithsら,EMB0J 13 :3245−3260(1994)により報告されている。遺伝子シャフリングを使用して齧歯類抗体からヒト抗体を誘導し、出発齧歯類抗体に類似する親和性と特異性をもつヒト抗体を得ることもできる。「エピトープインプリンティング」とも呼ばれるこの方法によると、ファージディスプレイ法により得られた齧歯類抗体の重鎖又は軽鎖V領域遺伝子をヒトV領域遺伝子のレパートリーで置換し、齧歯類−ヒトキメラを作製する。抗原選択の結果、機能的抗原結合部位を復元することが可能なヒト可変領域を単離することができ、即ち、エピトープがパートナーの選択を決定(インプリンティング)する。残りの齧歯類V領域を置換するためにこのプロセスを繰返すと、ヒト抗体が得られる(PCT特許出願第WO93/06213号,公開日1993年4月1日参照)。CDR移植による伝統的な齧歯類抗体のヒト化と異なり、この方法では齧歯類起源のフレームワーク又はCDR残基をもたない完全ヒト抗体が得られる。
C.投与用量及び経路
「有効用量」としては、0.1〜10mg/kg、より好ましくは1.0〜5.0mg/kg、最も好ましくは約0.5mg/kg〜2.5mg/kgが挙げられ、毎週、2週間おき、又は3週間おきに投与することが好ましい。下記臨床試験(実施例1)では、患者1名は抗EGFr抗体ABX−EGF1.5mg/kgを42日間に4回投与した処、50%腫瘍収縮の部分応答を示した。用量は毎週、隔週、又は当業者により決定される他の任意の有効な時間間隔で投与することができる。別の臨床試験(実施例3)では、毎週1.0mg/kg〜2.5mg/kgを投与した88人の患者のうちの56%(49人)が腫瘍収縮又は安定疾患状態を示し、6%(5人)が腫瘍収縮を示した。本明細書の開示に基づき、用量を増減しても有効であることが当業者に理解されよう。例えば、所定患者には0.5mg/kg〜5.0mg/kgの用量が有効であると予想される。更に、本明細書に開示する用量範囲は2〜3週間に1回投与した場合にも有効であると予想される。
本発明の1態様による抗体はEGFrに対する親和性がC225等の従来技術抗体の4〜5倍である(C225親和性2×10−10に対してABX−EGF親和性5×10−11)。例えば、本発明の好適態様により使用される抗体(特にABX−EGFのE2.5及びE7.6.3形)は有意に高い親和性をもつ(E2.5:1.6×10−11M;E7.6.3:5.7×10−11M)。好適態様により使用される抗体は更にリガンド結合を阻止することが好ましく、更に、EGF依存性EGFrリン酸化及び腫瘍細胞増殖を阻害することが好ましい。1好適態様ではKD=約50pMの親和性でEGFrと結合する完全ヒトIgG2k抗体を利用する。所定の好適態様は単独療法で有効であり、他の好適態様は併用療法(例えばトキシンと結合するか又は下記に記載するような腎細胞癌に対する抗腫瘍剤と併用投与する)で有効である。
更に、ABX−EGF抗体は一般に5〜400mg/mの用量を投与していた従来技術の抗体よりも低用量で有効であると思われる。更に、本発明の抗体は完全ヒト抗体であるので、血液からのクリアランスが比較的遅い。従って、本発明の抗体の患者投与量は低くすることができ、恐らく50〜300mg/mまで下げても有効であると予想される。従来の用量単位であるmg/kgに対してmg/mで表した用量は表面積当たりの単位であり、乳児から成人まで全サイズの患者を含むように意図した簡便な用量単位である。
「治療有効送達経路」とは抗体が許容できない副作用を生じずにEGFrと結合できるようにターゲット腫瘍に完全ヒトモノクローナル抗体を有効に送達する任意治療送達経路を意味する。本発明の抗体の送達には2種の別個の送達アプローチが有用であると予想される。慣用静脈内送達は大多数の腫瘍について標準的な送達法であると推測される。しかし、腹腔内の腫瘍については、腫瘍に高用量の抗体を得ると共に抗体クリアランスを最小限にするためには腹腔内投与が有用であると思われる。同様に、所定の充実性腫瘍は局所潅流に適した脈管構造をもつ。局所潅流は腫瘍部位に高用量の抗体が得られ、抗体の短期クリアランスを最小限にすることができる。更に、皮下送達と筋肉内送達も有効に利用することができよう。
以下の実施例は実施した実験と達成結果に関するが、単に例証を目的とし、本発明を限定するものではない。
腎細胞癌患者に抗EGFr抗体ABX−EGF(Abgenix,Inc.,Fremont,CA)1.5mg/kgを静脈内投与した。4週間治療後の患者の胸部CTスキャンによると、患者は週に1回ずつ僅か4回投与後に症状の改善を示すことが判明した。治療開始から42日間経過後に、患者は50%を上回る腫瘍収縮を示した。腫瘍収縮はCT撮影を使用して測定した。この結果、ABX−EGF抗体は転移性腎癌のサイズを縮小するのに有効であり、従って、腎細胞癌を治療できることが立証された。
以下、無胸腺マウスにおける転移性ヒト腎癌のABX−EGF単独療法の試験について記載する。これらの試験はEGFrが所定型のヒト腎細胞癌細胞の表面に過剰発現されるか否かを調べるためと、ABX−EGF等のEGFr抗体がEGFr自己リン酸化を阻害するか否かを調べるために実施した。
A.材料と方法:
1.細胞培養
SK−RC−29(腎癌)、Caki−1(転移性腎明細胞癌)、及びCaki−2(原発性腎明細胞癌)の3種のヒト腎癌細胞株を試験に選択した。ヒト腎癌細胞株Caki−1、Caki−2はAmerican Type Culture Collection(ATCC,Rockville,MD)から購入した。SK−RC−29はLudwig Institute for Cancer Researchから入手した。Caki−1及びCaki−2細胞は10%胎仔ウシ血清(FBS)を添加したMcCoy5A培地に常法通りに培養し、SK−RC−29細胞は10%FBSを添加したダルベッコイーグル培地(DMEM)で増殖させた。
2.腎腫瘍細胞株でのEGFrの測定と定量
Caki−1、Caki−2及びSK−RC−29細胞株(0.1×10個)をABX−EGF又はヒトIgG2アイソタイプ対応対照で染色した後に、FITC標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(Caltage CA)で二次染色した。EGFr数をQuantum Simply Cellular Microbeads(Flow Cytometry Standards Corporation)により定量した。
3.EGFrリン酸化阻害アッセイ
Caki−1、Caki−2及びSK−RC−29細胞を96ウェルプレートに1.5×10個/ウェルの割合で一晩播種した。プレートを洗浄し、EGF(Sigma)200ng/mlとABX−EGF25μg/mlを添加した無血清培地と1時間、2時間、4時間及び24時間交換した。次に細胞を溶解させた。抗EGFrAbと抗EGFrリン酸化抗体(アイソタイプ対応対照)を使用してELISAによりEGFrリン酸化を測定した。EGFrに1時間又は2時間暴露後の結果を夫々図1A及び1Bに示す。細胞の基線EGFrリン酸化は僅か0.16であった。この結果から明らかなように、ABX−EGFによる治療はEGFrリン酸化を濃度依存的に有意に低減した。
4.クローン形成アッセイ
ヒト腎癌Caki−1及びCaki−2細胞を1×10個/皿の割合で播種し、対照抗体PK16.3.1又は5μg/ml ABX−EGFの存在下に7日間培養した。培養皿を更に2週間インキュベートした。腫瘍細胞コロニーを染色し、計数した。洗浄してトリプシン処理した単一細胞懸濁液を60mm培養皿に合計0.2×10個/皿の割合でプレーティングした。週に1回ずつ培地を交換して14日間インキュベーション後に、コロニーを5mMメチレンブルーで染色し、計数した。図2に示す結果は平均腫瘍サイズ±SEMを表す。
5.マウス異種移植
BALB/c雄ヌードマウス(6〜8週齢)にCaki−1、Caki−2又はSK−RC−29細胞5×10個/匹を皮下移植した。腫瘍をバーニヤカリパーで測定した。計算式:長さ×幅×高さ×π/6により腫瘍体積を計算した。確定腫瘍をもつマウスをランダムに治療群に分けた(n=10)。ABX−EGFを週2回ずつ3週間腹腔内注射した。
ヒト腎癌SK−RC−29細胞に対するABX−EGFの効果を調べるために、SK−RC−29細胞(5×10個)をヌードマウス(n=10)に皮下注射した。ABX−EGF(1.0mg)又はPBS対照を6日目から週2回ずつ3週間腹腔内投与した。得られたデータを腫瘍サイズ平均±SEMとして図3に示す。この結果から明らかなように、ABX−EGFは腫瘍サイズを経時的に縮小するのに有効であった。
ヒト腎癌SK−RC−29細胞に対するABX−EGFの用量応答を調べるために、SK−RC−29細胞(5×10個)を0日目にヌードマウス(n=10)に皮下注射した。腫瘍サイズが約0.2cmに達したら、ABX−EGF又はPBSを3週間腹腔内投与した。得られたデータを腫瘍サイズ平均±SEMとして図4に示す。この結果から明らかなように、ABX−EGFは腫瘍サイズを経時的に縮小するのに有効であった。
ヒト腎癌Caki−1細胞に対するABX−EGFの効果を調べるために、Caki−1細胞(5×10個)を0日目にヌードマウスに皮下注射した。腫瘍サイズが16日目に約0.25cmに達したら、ABX−EGF(1mg)又はPBSを週2回ずつ3週間腹腔内投与した。得られたデータを腫瘍サイズ平均±SEMとして図5に示す。
ヒト腎癌Caki−2細胞に対するEGFr抗体の用量応答を調べるために、Caki−2細胞(5×10個)を0日目にヌードマウス(n=10)に皮下接種した。腫瘍サイズを週2回ずつ測定した。腫瘍サイズが約0.3cmに達したら、ABX−EGF(1mg)又はPBS対照を週2回ずつ3週間腹腔内投与した。得られたデータを腫瘍サイズ平均±SEMとして図6に示す。
B.結果
1.ヒト腎細胞癌細胞の表面におけるEGFr発現
フローサイトメトリーによる分析の結果、本試験の対象とした全3種の腎腫瘍細胞株は下表1に示すように有意レベルのEGFrを発現することが実証された。
Figure 2006508899
2.ABX−EGFによるEGFr自己リン酸化の阻害
ABX−EGFはSK−RC−29細胞を使用した場合にin vitro EGFr自己リン酸化とin vivo腫瘍増殖を阻害した。従って、ABX−EGFによる単独療法の結果、異種移植モデルで腫瘍増殖の顕著な阻害が得られた。このデータはABX−EGFがヒト腎細胞癌の治療に有効な単独療法剤であることを示唆している。
A.緒言
安全性と臨床効果を評価するためと、薬物動態を分析するために、腎癌患者にABX−EGFを複数用量投与した。実験の詳細は以下の通りである。
B.実験デザイン
試験は複数用量オープンラベルとした。各コホート21〜23人の患者からなる4群のコホートに順次用量を増やしながらABX−EGFを投与した。第1のコホートの患者には各々1.0mg/kg/週を投与した。更に、第2のコホートの患者には1.5mg/kg/週を投与し、第3のコホートの患者には2.0mg/kg/週を投与し、第4のコホートの患者には2.5mg/kg/週を投与した。全4群のコホートに上記用量を合計39週間投与し、8週おきに応答を測定した。
C.患者集団
1.集団選択
この試験の全対象患者は転移性腎細胞癌患者とした。更に、IL−2又はインターフェロン療法に失敗しているか、IL−2又はインターフェロン療法を望まないか/実施できない患者を対象とした。二次元測定可能な疾患と診断に利用可能な腫瘍組織をもつ患者を選択した。更に、十分な骨髄、腎及び肝機能をもち、ECOGスコアが0又は1の患者とした。表2はその他の患者素質データを示し、表3は患者統計データをまとめたものである。
Figure 2006508899
Figure 2006508899
2.集団除外
低又は高カルシウム症でないとしても潜在脳転移患者は除外した。30日以内に癌治療を受けているか又は既存抗EGFr剤治療を受けている患者は選択しなかった。更に、MUGAスキャンによる左心室駆出分画が<45%であるか又は心筋梗塞の潜在患者も試験集団から除外した。
Figure 2006508899
D.結果
1.薬物動態
ABX−EGF治療は患者間変動が低いことが判明した。このように患者間変動が低いことは、ヒト抗ヒト抗体形成(HAHA)がないことを支持した(n=69)。更に、ヒト抗ヒト抗体は検出されなかった。投与した薬剤の薬物動態を血清ABX−EGF濃度−時間経過として図7に示す。有利なことに、ABX−EGFの薬物動態は実質的に安定しており、腎癌が安定してABX−EGFに暴露されたことが判明した。
2.治療急性副作用の発生
ABX−EGFは全試験用量レベルで一般に忍容性が良好であり、殆どの副作用は軽度から中等度であった。これらの軽度から中等度の副作用(皮膚発疹を除く)を表5に示す。有意輸液関連又はアレルギー反応は観察されなかった。表6に示すように、全重度副作用は最終的に解消された。
Figure 2006508899
Figure 2006508899
3.皮膚発疹の発生
用量関連座瘡様皮膚発疹はABX−EGF治療の一般副作用であり、皮膚発疹の発生率は図9に示すように一般に用量と共に増加することが判明した。薬物動態によると、用量を2.5mg/kgまで増加すると患者の100%が皮膚発疹を示すことが判明した。更に、モデル化ED90は1.5mg/kgであることが判明した。用量別皮膚発疹強度を図9に示す。従って、ABX−EGFrで治療中の患者の皮膚発疹の発生は有効用量を決定するための代替バイオマーカーとして有用である。例えば、患者の腎癌を治療するために有効なEGFr抗体の治療有効量は用量を投与後に座瘡様皮膚発疹が患者に発生するかどうかを試験することにより部分的に決定される。皮膚発疹が観察されるならば、医療従事者は皮膚発疹前の投与用量に用量レベルを設定することができる。皮膚発疹が観察されないならば、医療従事者は皮膚発疹が観察されるまで用量を増加することができる。表7は本実施例で使用した発疹等級スケールを示し、表6及び図9に示す発疹重度値と次のように相関することができる:1=軽度、2=中等度、及び3=重度。
Figure 2006508899
4.抗腫瘍活性
治療結果の分析の結果、腎細胞癌で単剤抗腫瘍活性が判明した。ABX−EGFr治療結果の詳細を表8及び9と図10に示す。疾患進行までの時間を表10に示し、百分率はModified Intent to Treat(MITT)患者数を基準とする。このプロトコールの目的では、この分析集団は少なくとも1回分の用量のABX−EGFを投与した全試験患者として定義した。
The Journal of The National Cancer Institute.92(3):179−81(Feb 2,2000)に要約されているような公知充実性腫瘍応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors;RECIST)法を使用して腫瘍応答を評価した。部分応答(PR)は基線合計LDを基線としてターゲット病変部の最大直径(LD)の合計の少なくとも30%の減少に等しい。低応答(MR)は基線合計LDを基線としてターゲット病変部の最大直径(LD)の合計の約20%〜30%の減少である。表7と図10に示すように、毎週1.0mg/kg〜2.5mg/kgを投与した合計88人の患者のうちの56%(49人)が腫瘍収縮又は安定疾患状態を示し、6%(5人)が腫瘍収縮を示した。このデータによると、本明細書に開示する範囲の用量のABX−EGFを2〜3週間おきに1回投与しても有効な治療であると思われる。従って、安定疾患状態又は腫瘍収縮と判定された患者では、本明細書に要約するABX−EGF治療はその腎細胞癌を治療するのに有効であった。
Figure 2006508899
表8に示す腫瘍応答データに関して、疾患進行までの時間のカプラン−マイヤー中央値を表10に示す。
Figure 2006508899
Figure 2006508899
表11と、予備治療と腫瘍収縮応答の相関を示す表9から明らかなように、EGFrに対する抗体(又はその抗原結合フラグメント)を投与する前に好ましくは全身療法(例えば生物療法及び/又は化学療法等の1種以上の抗腫瘍療法)で患者を予備治療すると、腎細胞癌治療の効力を増すことができる。従って、本発明の1好適態様はEGFrに対する抗体(又はその抗原結合フラグメント)を投与する前に1種以上の生物療法及び/又は化学療法、好ましくは1〜4回の予備治療で患者を予備治療する段階を含む。予備治療の非限定的な例としてはインターロイキン−2、インターフェロン、5−フルオロウラシル、サリドマイド、樹状細胞ワクチン、及び/又は抗VEGFモノクローナル抗体治療薬の投与が挙げられる。
Figure 2006508899
従って、以上の実施例から明らかなように、完全ヒト抗EGFr抗体は単独療法として腎癌を治療するために有効である。実施例1はABX−EGF抗体が腎癌のサイズを縮小するのに有効であるため、腎細胞癌を治療できることを実証した。実施例2は無胸腺マウスでEGFrが所定型のヒト腎細胞癌細胞の表面で過剰発現されると共に、ABX−EGFとして知られるEGFr抗体がEGFr自己リン酸化を阻害することを例証した。実施例3は腎細胞癌治療としてのABX−EGFの安全性、薬物動態、及び効力を示すと共に、ヒト臨床試験における好適用量範囲を決定した。更に、実施例3は患者を1種以上の抗腫瘍療法で予備治療すると、その後のEGFr抗体投与の効力を増加できることを例証した。更に、上記実施例の結果は、EGFrに対するABX−EGF抗体を特に単独療法として非常に有効に利用できる同一量を併用療法で利用しても有利であることを示す。
本発明はEGFrに対するABX−EGF完全ヒト抗体を使用して腎癌を治療する有効な方法に関する。本発明は更に、腎癌を治療するためのABX−EGFとこれらの抗体を有効に使用するための説明書を含む治療キットにも関する。
等価物
以上、所定の好適態様と実施例について本発明を開示したが、当業者に自明の通り、本発明は具体的に開示した態様に止まらず、本発明の他の代替態様及び/又は使用とその明白な変形にも及ぶ。従って、本明細書に開示した本発明の範囲は上記特定開示態様に限定されず、その全等価物を含めて特許請求の範囲の正しい解釈のみにより判断すべきである。
図1AはEGFrに1時間暴露後にELISAにより測定したEGFrリン酸化に及ぼすABX−EGFとアイソタイプ対応対照抗体PK16.3.1の効果を示す。 図1BはEGFrに2時間暴露後にELISAにより測定したEGFrリン酸化に及ぼすABX−EGFとアイソタイプ対応対照抗体PK16.3.1の効果を示す。 ヒト腎癌Caki−1及びCaki−2細胞を播種し、ABX−EGF又は対照抗体PK16.3.1で処理した場合の腫瘍コロニー±SEMを示すクローン形成アッセイのグラフである。 マウス異種移植モデルにおけるヒト腎癌SK−RC−29の増殖に対するABX−EGFの効果を示すグラフである。 マウス異種移植モデルにおけるヒト腎癌SK−RC−29の増殖に対するABX−EGFの効果を示すグラフである。 マウス異種移植モデルにおけるヒト腎癌Caki−1の増殖に対するABX−EGFの効果を示すグラフである。 マウス異種移植モデルにおけるヒト腎癌Caki−2の増殖に対するABX−EGFの効果を示すグラフである。 各種用量のABX−EGFを投与した患者におけるABX−EGFの薬物動態のグラフである。 皮膚発疹を生じた患者の発生率のABX−EGFの用量との関係におけるグラフである。 ABX−EGFで治療した患者における用量別皮膚発疹強度を示す棒グラフである。 ABX−EGFで治療した患者における用量別腫瘍応答を示す棒グラフである。

Claims (33)

  1. 腎細胞癌の治療用医薬の製造におけるABX−EGF抗EGFr抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
  2. 医薬が更に抗腫瘍剤を含有する請求項1に記載の使用。
  3. 抗原結合フラグメントがF(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv、Fd’、及びFdから構成される群から選択される請求項1に記載の使用。
  4. 完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントが治療剤と結合している請求項1に記載の使用。
  5. 完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントが組換え体である請求項1に記載の使用。
  6. 腎細胞癌の治療を必要とするヒト患者を識別する段階と;
    治療有効量の完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又は上皮成長因子受容体(EGFr)と結合することが可能なその抗原結合フラグメントをヒト患者に投与することにより腎細胞癌を有効に治療する段階を含む患者における腎細胞癌の治療方法。
  7. 抗腫瘍剤を前記患者に投与する段階を更に含む請求項6に記載の方法。
  8. 抗原結合フラグメントがF(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv、Fd’、及びFdから構成される群から選択される請求項6に記載の方法。
  9. 投与前に完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを治療剤と結合する請求項6に記載の方法。
  10. 静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与及び局所潅流から構成される群から選択される治療有効送達経路により完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを投与する請求項6に記載の方法。
  11. 完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントが組換え体である請求項6に記載の方法。
  12. 患者の皮膚発疹を代替バイオマーカーとして利用することにより前記治療有効量を予測する請求項6に記載の方法。
  13. 治療有効量の完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを投与した後に患者に座瘡様皮膚発疹を生じるかどうかを試験することにより、完全ヒトモノクローナル抗体、又はその抗原結合フラグメントの治療有効量が患者の腎癌を治療するために有効であるか否かを判定する段階を更に含む請求項6に記載の方法。
  14. 完全ヒトモノクローナル抗体、又はその抗原結合フラグメントの治療有効量が患者の腎癌を治療するために有効であるか否かを判定する段階が、患者が皮膚発疹を示さない場合に完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントの投与量を調節する段階を更に含む請求項13に記載の方法。
  15. 完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントの投与量を調節する段階が、治療有効量の完全ヒトモノクローナル抗体、又はその抗原結合フラグメントの投与後に患者が皮膚発疹を示すまで投与量を増加する段階を更に含む請求項13に記載の方法。
  16. 皮膚発疹が観察された場合に、皮膚発疹の発現前と同一の各週投与量で完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを投与し続ける段階を更に含む請求項13に記載の方法。
  17. 治療有効量の完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを投与する前に、1種以上の抗腫瘍療法で患者を予備治療する段階を更に含む請求項6に記載の方法。
  18. ヒト抗ヒト抗体(HAHA)形成を実質的に誘発しない患者に完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを投与する請求項6に記載の方法。
  19. 患者に投与する完全ヒト抗体ABX−EGF又はその抗原結合フラグメントの治療有効量が0.5mg/kg〜5mg/kgである請求項6に記載の方法。
  20. 患者に投与する完全ヒト抗体ABX−EGF又はその抗原結合フラグメントの治療有効量が0.5mg/kg〜2.5mg/kgである請求項19に記載の方法。
  21. 患者に投与する完全ヒト抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントの治療有効量が1mg/kg〜2.5mg/kgである請求項20に記載の方法。
  22. 治療有効量の完全ヒト抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントの投与スケジュールが毎週1回である請求項21に記載の方法。
  23. 治療有効量の完全ヒト抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントの投与スケジュールが2〜3週間おきに1回である請求項21に記載の方法。
  24. ABX−EGF治療の効力を増すために、ABX−EGF抗体、又はその抗原結合フラグメントを投与する前に、1種以上の抗腫瘍療法で患者を予備治療する段階を更に含む請求項6に記載の方法。
  25. 患者に投与した場合に完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントが実質的に安定した薬物動態を示す請求項6に記載の方法。
  26. 患者に投与する完全ヒト抗体ABX−EGF又はその抗原結合フラグメントの治療有効量が0.5mg/kg〜5mg/kgである請求項25に記載の方法。
  27. 患者に投与する完全ヒト抗体ABX−EGF又はその抗原結合フラグメントの治療有効量が1mg/kg〜2.5mg/kgである請求項25に記載の方法。
  28. 患者に皮膚発疹を誘発する量に完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGFの治療有効量を設定する段階を更に含む請求項6に記載の方法。
  29. 患者に皮膚発疹を誘発する量がABX−EGF抗体の複数用量を含む請求項28に記載の方法。
  30. 医薬的に許容可能なキャリヤーに加えた完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又は上皮成長因子受容体(EGFr)と結合するそのフラグメントと、
    治療有効用量の前記完全ヒト抗体をヒト患者に投与するための説明書を含むヒト患者における腎癌の治療用キット。
  31. 完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はそのフラグメントが1mg/kg〜2.5mg/kgの用量に分割されている請求項30に記載のキット。
  32. 患者に投与した場合に完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はそのフラグメントが実質的に安定した薬物動態を示す請求項31に記載のキット。
  33. 容器と、前記容器に収容された組成物と、上皮成長因子受容体(EGFr)を発現する癌細胞により特徴付けられる腎癌を治療するために組成物を使用できることを表示した説明書又はラベルを含み、前記組成物が完全ヒトモノクローナル抗体ABX−EGF、又はその抗原結合フラグメントを含む製品。
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