JP4405258B2 - ニトリラーゼ - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
関連出願の相互引用
本出願は、米国仮特許出願60/351336号(2002年1月22日出願)、米国仮特許出願60/309006号(2001年7月30日出願)および米国仮特許出願60/300189号(2001年6月21日出願)に関して優先権を主張する。さらに本出願は米国特許出願09/751299号(2000年12月28日出願)の部分継続出願であり、前記09/751299号は米国仮特許出願60/254414号(2000年12月7日出願)および米国仮特許出願60/173609号(1999年12月29日出願)の各々に関して優先権を主張する。前記の出願は参照により全ての目的のためにそれら出願の全体が本明細書に含まれる。
著作権
37C.F.R.セクション1.71(e)にしたがい、本出願書類の一部は著作権保護を受ける資料を含んでいる。本著作権者は、何人による本特許書類または本特許の開示のファクシミリ複製に対しても、前記が特許商標局の特許ファイルまたは記録として出現する場合には異議を唱えるものではないが、その他の場合には全ての著作権はこれを留保する。
発明の分野
本発明は分子生物学、生化学および化学の分野に関し、具体的にはニトリラーゼ活性を有する酵素タンパク質に関する。本発明はまた前記酵素をコードするポリヌクレオチド並びに前記ポリヌクレオチドおよび酵素の使用に関する。
発明の背景
ニトリルを広範囲の有用な生成物および中間体に変換する工業的化学反応で使用するために大きな潜在能力を有する天然に存在する酵素がある。そのような酵素には、二トリルを直接カルボン酸に変換することができるニトリラーゼが含まれる。ニトリラーゼ酵素は広範囲の中温好性微生物で見出される。中温好性微生物には、バチルス、ノカルジア、バクテリジウム、ロードコッカス、ミクロコッカス、ブレビバクテリウム、アルカリゲネス、アシネトバクター、コリネバクテリウム、フザリウムおよびクレブシーラが含まれる。さらにまた、細菌に存在する好熱性ニトリラーゼがある。
ニトリルを同族酸に変換する主要な2つの経路が存在する:(1)ニトリラーゼがニトリルをカルボン酸に直接加水分解して同時にアンモニアを遊離させる;または(2)ニトリルヒドラターゼが水分子を炭素−窒素結合系に付加し対応するアミドを生じ、アミドは続いてアミダーゼ酵素の基質として機能し、アミダーゼ酵素は炭素−窒素結合を加水分解してカルボン酸生成物を生じ、同時にアンモニアを遊離させる。したがってニトリラーゼは酸へのより直接的な経路を提供する。
しばしば容易に分子構造へニトリルを導入し、多くのプロセスで遮蔽酸またはアミド基として保持される合成経路の設計にニトリル基は多くの利点を提供する。しかしながら、前記は、ニトリルが合成経路の対応する工程で遮蔽が解除される場合にのみ有益である。シアン化物は広範囲に利用可能な、炭素フレームワーク合成に利用することができるC1−シンソンである(シアン化物は数少ない水に安定なカルボアニオンの1つである)。しかしながら、このようにして得られたニトリルの更なる変換は、通常の化学合成方法を用いるニトリルの加水分解に必要な厳しい反応条件のために妨げられる。ニトリラーゼ酵素は、多くの慣用的な化学的方法よりも少ない環境有害試薬および副生成物で反応を達成できるので、ニトリルの反応を触媒する酵素を用いることは重要である。実際、化学的選択性を有する生体触媒によるニトリルの加水分解は、周囲温度および生理的pHに近いpHで生じるので重要な選択肢である。
ドラッグデザインおよび薬剤の発見における不斉有機合成の重要性は、生物学的に重要な複雑な分子の開発に用いることができる新規な合成方法およびキラル前駆体の探索を加速した。キラル分子の重要なクラスの一つはα−置換カルボン酸であり、前記にはα−アミノ酸が含まれる。これらの分子はこれまで長い間、生物学的に活性な広範囲の複雑な分子の重要なキラル前駆体と考えられ、きわめて多くの研究努力が鏡像体として純粋なα−アミノ酸およびキラル薬剤の合成方法の開発に捧げられてきた。
キラル薬剤を製造する合成化学者にとって特に重要なものは以下のような酵素系であろう:非無菌的条件下で有効である;非生物学的研究室で有効である;貯蔵および使用に便利な形態で入手することができる;広い基質特異性を有する;水に難溶性基質に作用する;予想可能な生成物構造を有する;酸またはアミド生成物を選択できる;さらにキラルの識別が可能である。したがって、鏡像体として純粋なα−置換カルボン酸(例えばα−アミノ酸およびα−ヒドロキシ酸)を製造する、効率のよい安価で収量が高い合成方法が要求される。
本出願中の種々の刊行物は著者および日付けによって引用される。前記刊行物の完全な内容は、本発明の開示現在における当業者の技術の状態をより詳細に述べるために、参照により本明細書に含まれる。
発明の概要
本発明は、以下の配列番号と少なくとも50%同一の配列を有する連続ヌクレオチドを含む単離核酸であって、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものを目的とする:配列番号 1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、289、291、293、295、297、299、301、303、305、307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、335、337、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、381、383、または385。本発明のある実施態様では、前記核酸は、前記配列番号と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%または100%同一の配列を有する連続ヌクレオチドを含む。本発明のある実施態様では、前記核酸は前記配列と実質的に同一の配列を有する連続ヌクレオチドを含む。別の実施態様では、本発明は、配列番号 33と少なくとも79%同一の配列を有する連続ヌクレオチドを含む単離核酸であって、前記核酸がニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものを提供する。本発明は前記核酸のフラグメントであって、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものを提供する。本発明はまた、前記核酸のいずれかと相補的な単離核酸を提供する。本発明はまた、前記核酸のいずれかとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離核酸を提供する。ある実施態様では、前記ストリンジェントな条件は、少なくとも50%のホルムアミドおよび約37℃から約42℃の温度を含む。
本発明は約15ヌクレオチドから約50ヌクレオチドを含む核酸プローブを提供し、この場合少なくとも15の連続ヌクレオチドは、以下の配列番号の核酸配列内の核酸標的領域と少なくとも50%相補性である:配列番号 1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、289、291、293、295、297、299、301、303、305、307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、335、337、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、381、383、または385。ある実施態様では、前記核酸プローブは、前記核酸標的領域と少なくとも55%相補性の連続ヌクレオチドを含む。ある実施態様では、本発明は、前記連続ヌクレオチドが前記核酸標的領域と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または100%相補性である核酸プローブを提供する。別の実施態様では、前記核酸は本質的に約20から約50ヌクレオチドから成る。
本発明は、本発明の核酸を含む、宿主細胞で複製することができる核酸ベクターを提供する。本発明はまた、前記核酸を含む宿主細胞を提供する。本発明はまた、前記宿主細胞を含む宿主生物を提供する。ある実施態様では、前記宿主生物は、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌または真核生物を含む。別の実施態様では、前記グラム陰性細菌は、大腸菌(Escherichia coli)またはシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)を含む。さらに別の実施態様では、前記グラム陽性細菌は、ストレプトミセス・ディベルサ(Streptomyces diversa)、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)または枯草菌(Bacillus subtilis)を含む。さらに別の実施態様では、前記真核生物は、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ハンセヌラ・プリモルファ(Hansenula plymorpha)またはアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)を含む。
本発明は、以下の配列番号と少なくとも50%同一の配列を有する連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離核酸であって、前記ポリペプチドがニトリラーゼ活性を有するものを提供する:配列番号 2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、380、382、384または386。ある実施態様では、前記ポリペプチドは、前記配列番号と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%または100%同一性を有する連続アミノ酸を含む。
本発明はまた、以下の配列番号のアミノ酸配列の一部分と同一の配列を有する少なくとも10の連続アミノ酸を含むポリペプチドをコードする単離核酸を提供する:配列番号 2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、380、382、384または386。
本発明はまた以下の配列番号と少なくとも50%同一の配列を有する連続アミノ酸を含む単離ポリペプチドであって、ニトリラーゼ活性を有するものを提供する:配列番号 2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、380、382、384または386。本発明のある実施態様では、前記ポリペプチドは、前記配列番号と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%または100%同一の配列を有する連続アミノ酸を含む。
本発明は以下の配列番号のいずれかに示す配列を有する連続ヌクレオチドを含む単離核酸を提供する:配列番号 1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、289、291、293、295、297、299、301、303、305、307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、335、337、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、381、383、または385(以下“A群核酸”と称する)。本発明はまた、前記A群核酸配列のいずれかと指定の最小パーセンテージの配列同一性を有する核酸を目的とする。
別の特徴では、本発明は、以下の配列番号のいずれかに示す配列を有する連続アミノ酸残基を含む精製ポリペプチドを提供する:配列番号 2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、380、382、384または386(以下では“B群アミノ酸配列”と称する)。本発明はまた、B群アミノ酸配列のいずれかと指定の最小パーセンテージの配列同一性を有する精製ポリペプチドを目的とする。
本発明は、長さが少なくとも50アミノ酸であるポリペプチドフラグメントであって、ニトリラーゼ活性を有するものを提供する。さらにまた、本発明は、ニトリラーゼ活性を有する、前記ポリペプチドのペプチド模倣体またはそれらのフラグメントを提供する。本発明はまた、ニトリラーゼ活性を有するコドン最適化ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供し、この場合前記コドンの使用は個々の生物または細胞について最適化されている。Narumら(Infec. Immun. 2001 Dec, 69(12):7250-3)はマウスの系でコドンの最適化を報告している。Outchkourovら(Protein Expr. Purif. 2002 Feb, 24(1):18-24)は酵母系でコドンの最適化を記載している。Fengら(Biochemistry 2000 Dec 19, 39(50):15399-409)は大腸菌でコドンの最適化を記載している。Humphreysら(Protein Expr. Purif. 2000 Nov, 20(2)252-64)は大腸菌での分泌にコドンの使用がどのように影響するかを報告している。
ある実施態様では、前記生物または細胞は、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌または真核生物を含む。本発明の別の実施態様では、前記グラム陰性細菌は、大腸菌(Escherichia coli)またはシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)を含む。本発明のさらに別の実施態様では、前記グラム陽性細菌は、ストレプトミセス・ディベルサ(Streptomyces diversa)、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)または枯草菌(Bacillus subtilis)を含む。本発明の別の実施態様では、前記真核生物は、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ハンセヌラ・プリモルファ(Hansenula plymorpha)またはアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)を含む。
別の特徴では、本発明は、ニトリラーゼ活性を有する、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する精製抗体を提供する。ある実施態様では、本発明は、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドと特異的に結合する前記抗体のフラグメントを提供する。
本発明は、本発明のポリペプチドの少なくとも1つを含む酵素調製物であって、前記調製物が液体または乾燥状態であるものを提供する。前記酵素調製物は、緩衝液、補助因子、または第二もしくは追加タンパク質を含む。ある実施態様では、前記調製物は、固相に固定される。本発明のある実施態様では、前記固相はゲル、樹脂、ポリマー、セラミック、ガラス、微小電極および前記のいずれかの組み合わせであろう。別の実施態様では、前記調製物はゲルまたはビーズ内に被包化されてあってもよい。
本発明はさらに、ニトリラーゼ活性を有する、本発明の少なくとも1つのポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体を含む本発明の少なくとも1つの核酸またはその組み合わせを含む組成物を提供する。
本発明は、ニトリラーゼ活性を有する、本発明の少なくとも1つのポリペプチドもしくはそのフラグメント、またはそれらのペプチド模倣体とニトリルをニトリラーゼ活性に適した条件下で接触させることを含む、ニトリルをカルボン酸に加水分解する方法を提供する。ある実施態様では、前記条件は水性条件を含む。別の実施態様では、前記条件は約8.0のpH、および/または約37℃から約45℃の温度を含む。
本発明は、分子のシアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を加水分解する方法を提供する。前記方法は、ニトリラーゼ活性を有する、本発明の少なくとも1つのポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体と前記分子をニトリラーゼ活性に適した条件下で接触させることを含む。
本発明は、キラルα−ヒドロキシ酸分子、キラルアミノ酸分子、キラルβ−ヒドロキシ酸分子、またはキラルγ−ヒドロキシ酸分子を製造する方法を提供する。前記方法は、シアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を有する分子を、鏡像選択性ニトリラーゼ活性を有する、B群アミノ酸配列のいずれかと少なくとも50%同一のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体と混合することを含む。ある実施態様では、前記キラル分子は(R)-鏡像体である。別の実施態様では、前記キラル分子は(S)-鏡像体である。本発明のある実施態様では、特定のある酵素は特定のある基質に対してR-特異性を有し、さらに同酵素は別の基質に対してS-特異性を有することができる。
本発明はまた組成物またはその中間体を製造する方法を提供する。前記方法は、前記組成物または中間体の前駆体(シアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を含む)を、ニトリラーゼ活性を有する、本発明の少なくとも1つのポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体と混合し、前記前駆体のシアノヒドリンまたはアミノニトリル部分を加水分解し、それによって前記組成物またはその中間体製造する。ある実施態様では、前記組成物またはその中間体は(S)-2-アミノ-4-フェニルブタン酸を含む。さらに別の実施態様では、前記組成物またはその中間体はL−アミノ酸を含む。さらに別の実施態様では、前記組成物は食品添加物または医薬を含む。
本発明は、(R)-エチル4-シアノ-3-ヒドロキシ酪酸を製造する方法を提供する。前記方法は、ニトリラーゼ活性をもつ、B群アミノ酸配列のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体とヒドロキシグルタリルニトリルを接触させることを含む。前記ニトリラーゼ活性は、選択的に(R)-鏡像体を生成して(R)-エチル4-シアノ-3-ヒドロキシ酪酸を生じる。ある実施態様では、eeは少なくとも95%または少なくとも99%である。別の実施態様では、前記ヒドロキシグルタリルニトリルは1,3-ジ−シアノ-2-ヒドロキシ−プロパンまたは3-ヒドロキシグルタロニトリルを含む。さらに別の実施態様では、前記ポリペプチドは、ニトリラーゼ活性を有する、B群アミノ酸配列のいずれかもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体のアミノ酸配列を有する。
本発明はまた、(S)-エチル4-シアノ-3-ヒドロキシ酪酸を製造する方法を提供する。前記方法は、ニトリラーゼ活性をもつ、B群アミノ酸配列のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体とヒドロキシグルタリルニトリルを接触させることを含む。前記ニトリラーゼ活性は、選択的に(S)-鏡像体を生成して(S)-エチル4-シアノ-3-ヒドロキシ酪酸を生じる。
本発明は、(R)-マンデル酸を製造する方法を提供する。前記方法は、適切なニトリラーゼ活性をもつ、B群アミノ酸配列のいずれかのアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドもしくはいずれかのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体とマンデロニトリルを混合することを含む。ある実施態様では、前記(R)-マンデル酸は(R)-2−クロロマンデル酸を含む。別の実施態様では、前記(R)-マンデル酸は、オルト−、メタ−またはパラ−位に存在する芳香環置換;(R)-マンデル酸の1−ナフチル誘導体、(R)-マンデル酸のピリジル誘導体、または(R)-マンデル酸のチエニル誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
本発明は、(S)-マンデル酸を製造する方法を提供する。前記方法は、ニトリラーゼ活性をもつ、B群配列のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのポリペプチドもしくはいずれかのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体とマンデロニトリルを混合することを含む。ある実施態様では、前記(S)-マンデル酸は(S)-メチルベンジルシアン化物を含み前記マンデロニトリルは(S)-メトキシ−ベンジルシアン化物を含む。ある実施態様では、前記(S)-マンデル酸はオルト−、メタ−またはパラ−位に存在する芳香環置換;、(S)-マンデル酸の1−ナフチル誘導体、(S)-マンデル酸のピリジル誘導体、または(S)-マンデル酸のチエニル誘導体、またはそれらの組み合わせを含む。
本発明はまた、(S)-フェニル乳酸誘導体または(R)-フェニル乳酸誘導体を製造する方法を提供する。前記方法は、B群アミノ酸配列の群から選択される少なくとも1つのポリペプチドもしくはその活性なフラグメントのいずれかまたはそれらのペプチド模倣体とフェニルラクトニトリルを接触させることを含む。前記ニトリラーゼ活性は、選択的に(S)-鏡像体または(R)-鏡像体を生成し、それによって(S)-フェニル乳酸誘導体または(R)-フェニル乳酸誘導体を生じる。
本発明は、本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントを製造する方法を提供する。前記方法は、(a)前記ポリペプチドをコードする核酸を、宿主細胞が前記ポリペプチドを産生することができる条件下で前記宿主細胞に導入すること、および(b)前記のようにして産生された前記ポリペプチドを回収することを含む。
本発明は、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸変種であって、天然に存在する生物学的活性から変化した活性をもつ核酸変種を作製する方法を提供する。前記方法は、(a)前記核酸を(i)1つまたは2つ以上のヌクレオチドを天然または非天然ヌクレオチドを含む別個のヌクレオチドに置換するか、;(ii)1つまたは2つ以上のヌクレオチドを欠失させるか;(iii)1つまたは2つ以上のヌクレオチドを付加するか、または(iv)前記のいずれかを組み合わせることによって改変させることを含む。ある実施態様では、非天然ヌクレオチドはイノシンを含む。別の実施態様では、前記方法は、前記改変核酸によってコードされるポリペプチドをニトリラーゼ活性の変化についてアッセイし、それによってニトリラーゼ活性が変化したポリペプチドをコードする改変核酸を同定することをさらに含む。ある実施態様では、工程(a)の改変は、PCR、変異性 (error-prone)PCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド誘導突然変異、アッセンブリーPCR、有性PCR突然変異、in vivo突然変異、カセット突然変異、再帰的アンサンブル(recursive ensemble)突然変異、指数関数的アンサンブル突然変異、部位特異的突然変異、遺伝子再アッセンブリー、遺伝子部位飽和突然変異、リガーゼ連鎖反応、in vitro突然変異、オリゴヌクレオチド合成、任意のDNA生成技術および前記のいずれかの組み合わせによって実施される。別の実施態様では、前記方法はさらに前記改変工程(a)を少なくとも1回繰り返すことを含む。
本発明はまた2つまたは3つ以上の核酸からポリヌクレオチドを生成する方法を提供する。前記方法は、(a)少なくともその1つが本発明の核酸を含む2つまたは3つ以上の核酸間で同一の領域および相違する領域を同定すること;(b)前記2つまたは3つ以上の核酸の少なくとも2つと配列が一致するオリゴヌクレオチドセットを提供すること;および、(c)ポリメラーゼを用いて前記オリゴヌクレオチドを伸長させ、それによって前記ポリヌクレオチドを生成することを含む。
本発明はさらにニトリラーゼを同定するスクリーニングアッセイを提供する。前記アッセイは、(a)本発明の核酸の少なくとも1つまたは本発明のポリペプチドの少なくとも1つを含む、複数の核酸またはポリペプチドを提供すること;(b)前記複数の核酸またはポリペプチドからニトリラーゼ活性についてテストされるポリペプチド候補物質を入手すること;(c)ニトリラーゼ活性について前記候補物質をテストすること;および、(d)ニトリラーゼであるポリペプチド候補物質を同定することを含む。ある実施態様では、前記方法はさらに、ニトリラーゼ活性についてテストする前に前記核酸またはポリペプチドの少なくとも1つを改変することを含む。別の実施態様では、工程(c)のテストはさらに、宿主細胞または宿主生物での前記ポリペプチドの発現の改善についてテストすることを含む。さらに別の実施態様では、工程(c)のテストはさらに、pH約3からpH約12のpH範囲内でニトリラーゼ活性についてテストすることを含む。さらに別の実施態様では、工程(c)のテストはさらに、約pH5から約pH10のpH範囲内でニトリラーゼ活性についてテストすることを含む。別の実施態様では、工程(c)のテストはさらに、約4℃から約80℃の温度範囲内でニトリラーゼ活性についてテストすることを含む。別の実施態様では、工程(c)のテストはさらに、約4℃から約55℃の温度範囲内でニトリラーゼ活性についてテストすることを含む。別の実施態様では、工程(c)のテストはさらに、鏡像選択性反応生成物を生じるニトリラーゼ活性についてテストすることを含む。別の実施態様では、工程(c)のテストはさらに、レジオ選択性(regio-selective)反応生成物を生じるニトリラーゼ活性についてテストすることを含む。
本発明は、本発明の核酸の態様または前記核酸によってコードされるポリペプチドの態様を最適化させるためにデザインされるプロセスで、本発明の核酸もしくはニトリラーゼ活性を有するそのフラグメントまたはニトリラーゼ活性を有するそれらのペプチド模倣体を使用することを提供する。ある実施態様では、前記プロセスは、前記核酸のヌクレオチド配列に改変を導入することを含む。別の実施態様では、前記改変は、PCR、変異性 PCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド誘導突然変異、アッセンブリーPCR、有性PCR突然変異、in vivo突然変異、カセット突然変異、再帰的アンサンブル突然変異、指数関数的アンサンブル突然変異、部位特異的突然変異、遺伝子再アッセンブリー、遺伝子部位飽和突然変異、リガーゼ連鎖反応、in vitro突然変異、オリゴヌクレオチド合成、他の任意のDNA生成技術および前記のいずれかの組み合わせによって導入される。さらに別の実施態様では、前記プロセスは繰り返される。
本発明は、工業的プロセスにおける、ニトリラーゼ活性を有する、本発明のポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体の使用を提供する。ある実施態様では、前記プロセスは医薬組成物製造プロセスであり、化学物質製造プロセスであり、食品添加物製造プロセスであり、廃棄物分解の触媒プロセスであり、または薬剤の中間体製造プロセスである。さらに別の実施態様では、前記プロセスは、前記ポリペプチドを使用してヒドロキシグルタリルニトリル基質を加水分解することを含む。また別の実施態様では、前記プロセスはLIPITOR(商標)の製造プロセスである。別の実施態様では、使用される前記ポリペプチドは、配列番号 44、196、208、210または238の配列の連続アミノ酸を有するポリペプチド、またはニトリラーゼ活性をもつその断片を含む。別の実施態様では、前記プロセスは洗剤製造プロセスである。別の実施態様では、前記プロセスは食品の製造プロセスである。
本発明は、トランスジェニック生物の作製においてニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする本発明の核酸またはそのフラグメントの使用を提供する。
本発明は、(a)ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする本発明の核酸またはそのフラグメント、または(b)ニトリラーゼ活性を有する、本発明のポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそのペプチド模倣体または前記の組み合わせ;および(c)緩衝液を含むキットを提供する。
本発明は以下の工程を含む分子の改変方法を提供する:(a)ニトリラーゼ活性を有する、本発明のポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体を出発分子と混合して反応混合物を作製すること;(b)前記出発分子を前記ポリペプチドと反応させて改変分子を生成すること。
本発明は以下の工程を含む改変化合物の同定方法を提供する:(a)ニトリラーゼ活性を有する、本発明のポリペプチドもしくはそのフラグメントまたはそれらのペプチド模倣体を出発化合物と混合し、反応混合物作製しその後で改変出発化合物のライブラリーを作製すること;(b)前記ライブラリーをテストして所望の活性を示す改変出発化合物が前記ライブラリー内に存在するか否かを決定すること;(c)所望の活性を示す前記改変化合物を同定すること。
本発明は、以下の配列番号からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列:配列番号 1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、289、291、293、295、297、299、301、303、305、307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、335、337、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、381、383、および385、および/または以下の配列番号からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列:配列番号 2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、380、382、384および386が保存されたコンピュータ読出し可能媒体を提供する。
本発明はプロセッサおよびデータ保存装置を含むコンピュータシステムを提供する。前記システムのデータ保存装置には、以下の配列からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列:配列番号 1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、185、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、221、223、225、227、229、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、283、285、287、289、291、293、295、297、299、301、303、305、307、309、311、313、315、317、319、321、323、325、327、329、331、333、335、337、339、341、343、345、347、349、351、353、355、357、359、361、363、365、367、369、371、373、375、377、379、381、383、および385および/または以下の配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列:配列番号 2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、202、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、250、252、254、256、258、260、262、264、266、268、270、272、274、276、278、280、282、284、286、288、290、292、294、296、298、300、302、304、306、308、310、312、314、316、318、320、322、324、326、328、330、332、334、336、338、340、342、344、346、348、350、352、354、356、358、360、362、364、366、368、370、372、374、376、378、380、382、384および386が保存されている。ある実施態様では、前記コンピュータシステムはさらに配列比較アルゴリズムを含み、データ保存装置には少なくとも1つのリファレンス配列が保存されている。別の実施態様では、前記配列比較アルゴリズムは多型性を同定するコンピュータプログラムを含む。
本発明は配列内の特徴を同定する方法を提供する。前記方法は、(a)配列をコンピュータにインプットすること;(b)前記配列内の特徴を同定するために前記コンピュータで配列の特徴を同定するプログラムを走らせること;および、(c)前記配列内の特徴を同定すること、を含む。前記方法では、前記配列は配列番号 1−386またはその任意の組み合わせの少なくとも1つを含む。
本発明は、以下の工程を含むポリペプチドの機能的フラグメントを同定するアッセイを提供する:(a)少なくとも1つの本発明のポリペプチドのフラグメントを得ること;(b)工程(a)の少なくとも1つのフラグメントをシアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を有する基質とニトリラーゼ活性に適した反応条件下で接触させること;(c)工程(b)の少なくとも1つのフラグメントの各々によって生成された反応生成物の量を測定すること;および、(d)ニトリラーゼ反応生成物を生成することができる少なくとも1つのフラグメントを同定し;それによって前記ポリペプチドの機能的フラグメントを同定すること。ある実施態様では、工程(a)のフラグメントはフラグメントの合成によって得られる。別の実施態様では、工程(a)のフラグメントは前記ポリペプチドの断片化によって得られる。本発明は、以下の工程を含むポリペプチドの機能的変種を同定するアッセイを提供する:(a)少なくとも1つの本発明のポリペプチドの少なくとも1つの変種を得ること;(b)工程(a)の少なくとも1つの変種をシアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を有する基質とニトリラーゼ活性に適した反応条件下で接触させること;(c)工程(b)の少なくとも1つの各変種によって生成された反応生成物の量を測定すること;および、(d)ニトリラーゼ反応生成物を生成することができる少なくとも1つの変種を同定し;それによって前記ポリペプチドの機能的変種を同定すること。
発明の詳細な記載
本発明は、ニトリラーゼ、ニトリラーゼをコードする核酸およびその使用に関する。本明細書で用いられるように、“ニトリラーゼ”という用語は、ニトリラーゼ活性、すなわちニトリルをそれらの対応するカルボン酸およびアンモニアに加水分解する能力を有する任意のポリペプチドを包含する。ニトリラーゼは、鏡像選択的芳香族および脂肪族アミノ酸またはヒドロキシ酸の合成で使用される生物触媒として産業的有用性を有する。
ニトリラーゼの化学反応は以下のとおりである:
Figure 0004405258
ヒドロキシ酸の製造のためのニトリラーゼの反応は以下のとおりである:





Figure 0004405258
アミノ酸の製造のためのニトリラーゼの反応は以下のとおりである:
Figure 0004405258
さらに前述の加水分解反応では、2つの水分子が消費され、1つのアンモニア分子が遊離される。
サンプル中のニトリラーゼ活性の存在についてテストするか、または特定のポリペプチドがニトリラーゼ活性を示すか否かをテストするために実施できるいくつかの異なるタイプのアッセイが存在する。例えば、ニトリラーゼによって触媒される化学反応から生成物または副生成物の有無を検出できるアッセイがある。例えばニトリラーゼ活性の存在は、シアノヒドリンまたはアミノニトリルからそれぞれ由来するα−ヒドロキシ酸またはα−アミノ酸の生成によって検出できる。さらにニトリラーゼの活性レベルは、生成された反応産物の相対量の測定によって定量することができる。図1は、立体配置選択性ニトリラーゼを用いて、キラルα−ヒドロキシ酸またはα−アミノ酸を高収量で生成する化学反応図を示している。出発物質は、アルデヒドまたはイミン(前記はアニモニアとの反応によりアルデヒドから生成される)である。アルデヒドまたはイミンとシアン化水素との反応によって、対応するシアノヒドリンおよびアミノニトリルの鏡像体混合物が生成される。続いて立体配置選択性ニトリラーゼを用いて、1つの鏡像体を対応するα−ヒドロキシ酸またはα−アミノ酸に立体配置選択的に変換することができる。図3は、ラクテートデヒドロゲナーゼによるα−ヒドロキシ酸の対応するα−ケト酸への変換および検出可能な染料の同時酸化−還元を基にする、α−ヒドロキシ酸の立体配置選択的ニトリラーゼ依存生成と分光光度計による測定を模式的に示している。図4は、アミノ酸ヒドロキシダーゼによるα−アミノ酸の対応するα−ケト酸への変換および検出可能な染料の同時酸化−還元を基にする、α−アミノ酸の立体配置選択的ニトリラーゼ依存生成と分光光度計による測定を模式的に示している。
本発明の実施で使用が意図されるニトリラーゼには、ニトリルまたはシアノヒドリンをそれらの対応する酸およびアンモニアに立体配置選択的に加水分解するものが含まれる。例えば、ニトリラーゼにはB群アミノ酸配列で示されるものが含まれる。立体配置選択的に基質を加水分解するいくつかのニトリラーゼは下記の表に示されている。
本発明のニトリラーゼはさらに以下の特徴を共有する:(1)約333アミノ酸から約366アミノ酸の完全長アミノ酸配列、(2)約2サブユニットから約16サブユニットのホモマルチマーとしての凝集性および活性、(3)Glu-Lys-Cysの3つ一組の触媒性連続アミノ酸の存在、(4)約pH5から約pH9の最適pH、(5)約0℃から約100℃、または約40℃から約50℃の最適温度。
新規なニトリラーゼ間のコンセンサス配列
本明細書に開示するニトリラーゼを生物情報プログラムおよび配列比較プログラムを用いて調べ、以下のコンセンサス情報が得られた。保存モチーフの3つの領域がニトリラーゼポリペプチド内で同定された。これらはニトリラーゼ酵素に存在する前記の触媒性3つ組(E-K-C)に対応する(H. Pace and C. Brenner (2001/1/15) “The Nitrilase Superfamily: classification, structure and function”, Genome Biology, Vol2, No.1, pp1-9)。
本明細書で用いられる略語はアミノ酸については通常の1文字コードである:A,アラニン;B,アスパラギンまたはアスパラギン酸;C,システイン;D,アスパラギン酸;E,グルタメートまたはグルタミン酸;F,フェニルアラニン;G,グリシン;H,ヒスチジン;I,イソロイシン;K,リジン;L,ロイシン;M,メチオニン;N,アスパラギン;P,プロリン;Q,グルタミン;R,アルギニン;S,セリン;T,スレオニン;V,バリン;W,トリプトファン;Y,チロシン;Z,グルタミンまたはグルタミン酸(以下の文献を参照されたい:L. Stryer, Biochemistry, 1988, W.H. Freeman and Company, New York)。

本発明のニトリラーゼポリペプチド配列間で実施されたコンピュータ配列比較によって、各アミノ酸の配列内にこれらモチーフが同定された:
Figure 0004405258
以下の残基(上記で下線を付されているもの)は同定されたニトリラーゼの全てで完全に保存されている:第一のモチーフまたは領域の3番目のアミノ酸(E,グルタメート);第二のモチーフの2番目の残基(R,アルギニン);第二のモチーフの3番目の残基(K,リジン);第三のモチーフの3番目の残基(C,システイン);および第三のモチーフの5番目の残基(E,グルタメート)。
前記枠組で、大文字は本発明のニトリラーゼ間で90%またはそれより高いコンセンサスを示し、一方、小文字は50%またはそれより高いコンセンサスを示す。イタリック体の文字は本発明のニトリラーゼ間で30%またはそれより高いコンセンサスを示す。
ニトリラーゼスーパーファミリーのニトリラーゼ群のニトリラーゼ配列は、前掲書(Genome Biology, 200, 2(1):1-9)で触媒性3つ組をもつと記載された。しかしながら、本発明のニトリラーゼの触媒性3つ組領域は前掲書(Pace and Brenner)で以前に同定されたものとは以下のとおり相違する:
第一のモチーフにおける相違:第一モチーフの1番目の枠のFは本発明のニトリラーゼの90%で保存されているのに対し、以前に同定されたニトリラーゼでは50%で保存されていただけである。第一モチーフの4番目の残基は、本発明のニトリラーゼでは“t”スレオニンであり、50%またはそれより高いコンセンサスで見出される。しかしながら、この残基はPace and Brennerによって“a”(アラニン)と同定された。第一モチーフの最後の残基は“f”(フェニルアラニン)と同定され、50%またはそれより高いコンセンサスで生じることが示された。しかしながら本発明のニトリラーゼでは“f”(フェニルアラニン)は30%のコンセンサスで生じることを示している。
第二のモチーフにおける相違:本発明のニトリラーゼの第二モチーフの1番目の枠には“r”(アルギニン)が存在する。しかしながら、Pace and Brennerのコンセンサスはこの位置に“h”(ヒスチジン)を示す。2番目の枠の“R”(アルギニン)は本発明のニトリラーゼでは完全に保存されているが、前記残基は、Pace and Brennerのリファレンスでは90%のコンセンサスで出現するだけである。第二モチーフの4番目の枠の“L”(ロイシン)は、本発明のニトリラーゼの90%またはそれより多くで保存されている。しかしながら、Pace and Brennerのニトリラーゼではそれら配列の50%でこの残基の保存が示されただけである。同様に、第二モチーフの6番目の枠の“P”(プロリン)は本発明のニトリラーゼでは90%またはそれより多く保存されている。しかしながら、Pace and Brennerのニトリラーゼではそれら配列の50%でこの残基の保存を示した。
第三のモチーフにおける相違:1番目の枠の“L”は本発明のニトリラーゼでは90%またはそれより高いコンセンサスで保存されている。しかしながら、Pace and Brennerのリファレンスでは前記残基は50%の事例に出現することを示している。最後に、本発明のニトリラーゼの第三モチーフの6番目の枠は50%の事例またはそれより多くでヒスチジンを示すが、Pace and Brennerのリファレンスは、この位置は50%の事例でアスパラギン(“n”)であることを示している。
本発明はニトリラーゼ活性を有する単離ポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは3つの領域を含む。第一の領域は5つのアミノ酸を含み、前記第一の領域の1番目のアミノ酸はFであり、さらに第一の領域の4番目のアミノ酸はTである。本発明はまたニトリラーゼ活性を有する単離ポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは3つの領域を含む。第二の領域は7つのアミノ酸を含み、前記第二の領域の1番目のアミノ酸はRであり、前記第二の領域の2番目のアミノ酸はRであり、さらに前記第二の領域の6番目のアミノ酸はPである。本発明はまたニトリラーゼ活性を有する単離ポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは3つの領域を含む。前記の第三の領域は9つのアミノ酸を含み、前記第三の領域の1番目のアミノ酸はLであり、さらに前記第三の領域の6番目のアミノ酸はHである。
本発明はまたニトリラーゼ活性を有する単離ポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは3つのコンセンサスサブ配列を含む。第一のコンセンサスサブ配列はFPETEであり、前記第二のコンセンサスサブ配列はRRKLXPTであり、前記第三のコンセンサスサブ配列はLXCWEHXXPである。
本発明はまたニトリラーゼ活性を有する単離ポリペプチドを提供し、前記ポリペプチドは3つのコンセンサスサブ配列を含む。第一のコンセンサスサブ配列はFPEXXであり、前記第二のコンセンサスサブ配列はXRKLXPTであり、前記第三のコンセンサスサブ配列はLXCWEXXXPである。
本発明にしたがえば、鏡像として純粋なα−置換カルボン酸を製造する方法が提供される。本発明の方法によって生成される鏡像的に純粋なα−置換カルボン酸は以下の構造を有する:
Figure 0004405258
式中、R1とR2は等しくなく、また別にはR1およびR2はそれぞれ別個に-H、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、または複素環であり、ここで前記置換基は低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、メルカプト、シクロアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、またはハロゲンであるか、または場合によってR1およびR2は直接または間接的に共有結合して、官能性環式部分を形成し、さらにEは-N(Rx)2または-OHであり、ここで各Rxはそれぞれ別個に-Hまたは低級アルキルである。
本明細書で用いられるように、“アルキル”という用語は、1から24の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖または環式炭化水素基を指し、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが含まれる。“低級アルキル”は、1から約6の炭素原子をもつ一価の直鎖もしくは分枝鎖または環式ラジカルを指す。
本明細書で用いられるように、“アルケニル”は、1つまたは2つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、さらに約2から約24の範囲の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖または環式炭化水素を指す。
本明細書で用いられるように、“アルキニル”は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、さらに約2から約24の範囲の炭素原子をもつ直鎖もしくは分枝鎖または環式炭化水素を指す。
本明細書で用いられるように、“シクロアルキル”は、約3から約14の範囲の炭素原子を含む環式炭化水素基を指す。
本明細書で用いられるように、“複素環”は、1つまたは2つ以上のヘテロ原子(例えばN、O、S、P、Se、Bなど)を環構造の部分として含み、さらに約3から約14の範囲の炭素原子を有する環式基を指す。
本明細書で用いられるように、“アリール”は、約6から約14の範囲の炭素原子をもつ芳香族基(すなわち共役二重結合系をもつ環式基)を指す。
化学基または化学的部分に関して本明細書で用いられるように、“置換(されてある)”という用語は、さらに1つまたは2つ以上の水素以外の置換基を有する基または部分を指す。そのような置換基の例には、オキシ(例えばケトン、アルデヒド、エーテルまたはエステルの場合)、ヒドロキシ、(低級アルキルの)アルコキシ、アミノ、チオ、(低級アルキルの)メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ニトロン、アミノ、アミド、-C(O)H、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カルバメート、スルフォニル、スルフォンアミド、スルフリルなどが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
好ましい実施態様では、本発明の方法によって生成される鏡像として純粋なα-置換カルボン酸は、α-アミノ酸またはα-ヒドロキシ酸である。いくつかの実施態様では、鏡像として純粋なα-アミノ酸は、D-フェニルアラニン、D-フェニルグリシン、L-メチルフェニルグリシン、L-tert-ロイシン、D-アラニン、またはD-ヒドロキシノルロイシン((S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸)、R-パントラクトン、2-クロロマンデル酸、または(S)-もしくは(R)-マンデル酸であり、さらに、鏡像として純粋なα-ヒドロキシ酸は(S)-シクロヘキシルマンデル酸である。本明細書で用いられるように、“小分子”は、少なくとも25ダルトンの分子量を有する任意の分子を包含する。
本明細書では、“約”という用語は、およそ、おざっぱに、ほぼ、または該当範囲内を指すために用いられる。“約”という用語が数字で表示された範囲と併せて使用されるときは、前記用語は、表示された数値の上下の境界を広げることによって該当範囲を改変する。一般に本明細書では、“約”という用語は、20%の増加または減少させる変動によって、数値を提示された値より高くおよび低く改変するために用いられる。
本明細書で用いられるように、“または”という語は、個々の一覧内の任意のメンバーを指し、さらに前記一覧内のメンバーの任意の組合せを含む。
本明細書で用いられるように、“核酸”という用語は天然に存在するか、または合成であるオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドを指し、DNAまたはRNAまたはDNA−RNAハイブリッド、一本鎖もしくは二本鎖、センスもしくはアンチセンスにかかわらない。前記は、ワトソン−クリックの塩基対形成によって相補性核酸とハイブリダイズすることができる。本発明の核酸にはまた、ヌクレオチド類似体(例えばBrdU)およびヌクレオシド間非ホスホジエステル結合(例えばペプチド核酸(PNA)またはチオジエステル結合)が含まれる。特に、核酸にはDNA、RNA、cDNA、gDNA、ssDNAもしくはdsDNAまたは前記の任意の組み合わせが含まれるが、ただしこれらに限定されない。いくつかの実施態様では、本発明の“核酸”には、例えばB群アミノ酸配列に示されるポリペプチドをコードする核酸およびその変種が含まれる。本明細書で用いられるように、“核酸配列”という語句は、ヌクレオチドを表す略語、文字、記号または単語の連続する列を指す。ある実施態様では、核酸は比較的短い核酸、通常は長さが100ヌクレオチド未満である“プローブ”であろう。核酸プローブはしばしば長さが約50ヌクレオチドから約10ヌクレオチドである。核酸の“標的領域”は、重要であると確認された核酸の部分である。
核酸の“コード領域”は、適切な調節配列の制御下に置かれたとき、配列に特異的な態様で転写され翻訳されて、固有のポリペプチドまたはタンパク質が生成される核酸の部分である。
“遺伝子”という用語は、ある態様でポリペプチドの発現を調節することができる適切な調節配列と機能的に結合したコード領域を指す。遺伝子には、コード領域(オープンリーディングフレーム、ORF)に先行する(上流)およびコード領域に続く(下流)DNAの翻訳されない調節領域(例えばプロモーター、エンハンサー、リプレッサーなど)とともに、適切な場合には、個々のコード領域(すなわちエキソン)の間にある介在配列(すなわちイントロン)が含まれる。
本明細書で用いられるように“ポリペプチド”とは、任意のペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、遺伝子生成物、発現生成物またはタンパク質を指す。ポリペプチドは連続するアミノ酸を含む。“ポリペプチド”という用語は天然に存在する分子または合成分子を包含する。
さらにまた本明細書で用いられるように、“ポリペプチド”という用語は、ペプチド結合または改変ペプチド結合(例えばペプチド同配体)によって互いに結合したアミノ酸を指し、さらに遺伝子によってコードされる20のアミノ酸以外の改変アミノ酸を含むことができる。ポリペプチドは、天然のプロセス(例えば翻訳後プロセッシング)によって、または当分野で周知の化学的改変技術によって改変することができる。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖およびアミノまたはカルボキシ末端を含むポリペプチド内のいずれの場所で生じてもよい。同じタイプの改変が、あるペプチド内のいくつかの部位に同程度でまたは種々の程度で存在していてもよいことは理解されよう。さらにまたポリペプチドは多くのタイプの改変を含むこともできる。改変には以下が含まれるが、ただしこれらに限定されない:アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、共有結合架橋または環状化、フラビンの付加共有結合、ヘム部分の付加共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の付加共有結合、脂質または脂質誘導体の付加共有結合、ホスホチジルイノシトールの付加共有結合、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、システインまたはピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ−カルボキシル化、糖化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペルギル化、タンパク分解プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、およびタンパク質へのt−RNA仲介アミノ酸付加(例えばアルギニル化)(例えば以下を参照されたい:Proteins Structure and Molecular Properties, 2nd Ed., T.E. Creigton, W.H. Freeman and Company, New York (1993); Posttranslation Covalent Modification of Proteins, B.C. Johnson, Ed., Academic Press, New York, pp.1-12 (1983))。
本明細書で用いられるように、“アミノ酸配列”という用語は、アミノ酸残基を表す略語、文字、記号または単語の列を指す。
本明細書で用いられるように、“単離(された)”という用語は、ある物質がその本来の環境から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、前記天然の系に一緒に存在するいくつかの物質または全てから分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されてある。そのようなポリヌクレオチドはベクターの一部分であってもよく、および/またはそのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部分であってもよい。前記は、そのようなベクターまたは組成物はその本来の環境の一部分ではないということで単離されてある。
核酸に関して本明細書で用いられるように、“リコンビナント”という用語は、核酸が、前記の本来の環境では隣接していないある核酸と共有結合しこれと隣接することを意味する。さらにまた、核酸集団中の特定の核酸に関して本明細書で用いられるように、“濃縮(enriched)”という用語は、前記核酸が前記分子集団中の核酸数の5%またはそれより多くを占めることを意味する。典型的には、前記濃縮核酸は、前記分子集団中の核酸数の15%またはそれより多くを占める。より典型的には、前記濃縮核酸は前記分子集団中の核酸数の50%、90%またはそれより多くを占める。
“リコンビナント”ポリペプチドまたはタンパク質は、リコンビナントDNA技術によって生成された、すなわち前記所望のポリペプチドまたはタンパク質をコードする外因性リコンビナントDNA構築物によって形質転換された細胞から生成されたポリペプチドまたはタンパク質を指す。“合成”ポリペプチドまたはタンパク質は、化学合成(例えば固相ペプチド合成)によって製造されたものである。化学的ペプチド合成は当分野で周知であり(例えば以下を参照されたい:Merrifield (1963), Am. Chem. Soc. 85:2149-2154; Geysen et al. (1984), Proc. Natl. Acad. Sci., USA 81:3998)、さらに合成キットおよび自動ペプチド合成装置は市販されている(例えば、Cambridge Research Biochemicals, Cleveland, United Kingdom; Model 431A synthesizer, Applied Biosystems Inc., Foster City, CA))。前記のような装置は、直接合成によって、または他の公知の技術を用いて結合させることが可能な一連の断片の合成によって本発明のペプチドの容易な入手を提供する。
核酸対またはアミノ酸配列に関して本明細書で用いられるように、“同一性”は、アラインメントできる配列内の位置において2つの配列の不変の程度を指す。ある2つの配列間のパーセント同一性は、アルゴリズム、例えばBLAST(Altschul et al. (1990), J. Mol. Biol. 215:403-410)を用いて計算できる。以下のウェブサイトを参照されたい:www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo。250ヌクレオチドまたは約80アミノ酸より短い配列(“短い検索符(short query)”)についてBLASTアルゴリズムを用いたときは、検索パラメーターは以下のとおりであろう:フィルターはoff、スコアリングマトリックスはPAM30、ワードサイズは3または2、E値は1000以上、さらにギャップコストは11、1である。250ヌクレオチドまたは80アミノ酸残基より長い配列については、デフォルト検索パラメーターを用いることができる。BLASTウェブサイトは、特定の環境で従うべき環境について助言している。
本明細書で用いられるように、“相同性”はヌクレオチド配列に関しては“同一性”と同じ意味を有する。しかしながら、アミノ酸配列に関しては、“相同性”には同一および保存的アミノ酸置換のパーセンテージが含まれる。相同性のパーセンテージはSmith and Waterman (Adv. Appl. Math. 2:482, 1981)のアルゴリズムにしたがって計算できる。
2つまたは3つ以上の核酸配列に関して本明細書で用いられるように、2つの配列が最大一致を得るようにアラインメントを実施して比較し、上記のような公知の配列比較アルゴリズムを用いて測定した場合、それらが少なくとも99.5%のヌクレオチド同一性を有するときは、前記2つの配列は“実質的に同一”である。さらに、配列が実質的に同一であるか否かを決定する目的で、コード領域の同類コドンは同一として処理し遺伝暗号の縮退によるとすることができる。典型的には、実質的同一を決定するための領域は少なくとも約20残基を含み、きわめて一般的には配列は少なくとも約25-200残基にわたって実質的に同一である。
2つまたは3つ以上のアミノ酸配列に関して本明細書で用いられるように、2つの配列が最大一致を得るようにアラインメントを実施して比較し、上記のような公知の配列比較アルゴリズムを用いて測定した場合、それらが少なくとも99.5%のヌクレオチド同一性を有するときは、前記2つの配列は“実質的に同一”である。さらにまた、配列が実質的に同一であるか否かを決定する目的のためには、前記ポリペプチドがその生物学的機能を保持している場合は、保存的アミノ酸置換は同一として処理することができる。
“ハイブリダイゼーション”は、核酸鎖が相補性塩基で水素結合を介して相補鎖と結合するプロセスを指す。ハイブリダイゼーションアッセイは感度が高く選択的であり、その結果、低濃度で存在するサンプルにおいてさえ問題の固有の配列を確認することができる。ストリンジェントな条件は、ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーション溶液の塩またはホルムアミドの濃度によって、またはハイブリダイゼーションの温度によって規定され、前記条件は当分野で周知である。ストリンジェンシーは塩濃度を減少させることによって、ホルムアミドの濃度を増加させることによって、またはハイブリダイゼーション温度を上昇させることによって高めることができる。特に、本明細書で用いられるように、“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”は、50%ホルムアミド、5x SSPE、0.3%SDSおよび220ng/mLのせん断変性サケ***DNAおよびその同等物中で42℃を含む。上記の範囲および条件の変型例は当分野で周知である。
“変種”という用語は、1つまたは2つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸残基で改変された本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドで、そのコードされたポリペプチドまたはポリペプチドがニトリラーゼ活性を保持するものを指す。変種はいずれの手段によっても生成することができる。前記手段には、例えば変異性 PCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド誘導突然変異、アッセンブリーPCR、有性PCR突然変異、in vivo突然変異、カセット突然変異、再帰的アンサンブル突然変異、指数関数的アンサンブル突然変異、部位特異的突然変異、遺伝子再アッセンブリー、遺伝子部位飽和突然変異または前記のいずれかの組み合わせが含まれる。
公知の配列を基にしてペプチド模倣体を製造する方法は、例えば米国特許第5,631,280号、同5,612,895号および同5,579,250号に記載されている。ペプチド模倣体の使用は、非アミド結合をもつ非アミノ酸残基のある位置における取り込みを含むことができる。本発明のある実施態様は、ペプチド類似体が適切な摸倣物で置換された結合、ペプチド骨格またはアミノ酸成分を有するものである。適切なアミノ酸摸倣物となることができる非天然のアミノ酸の例には、β-アラニン、L-α-アミノ酪酸、L-γ-アミノ酪酸、L-α-アミノイソ酪酸、L-ε-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、L-アスパラギン酸、N-ε-Boc-N-α-CBZ-L-リジン、N-ε-Boc-N-α-Fmoc-L-リジン、L-メチオニンスルフォン、L-ノルロイシン、L-ノルバリン、N-α-Boc-N-δCBZ-L-オルニチン、N-δ-Boc-N-α-CBZ-L-オルニチン、Boc-p-ニトロ-L-フェニルアラニン、Boc-ヒドロキシプロリン、Boc-L-チオプロリンが含まれる。
本明細書で用いられるように、“小分子”は、約20ダルトンから約1.5キロダルトンの分子量を有する分子を包含する。
分子生物学的技術(例えばサブクローニング)は当業者には周知の日常的な方法を用いて実施された(J. Sambrook, E.F. Fritsch, T. Maniatis (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview NY.)。
表2は、本発明のニトリラーゼの配列番号、最適合ヒット(Closest Hit)(BLAST)生物、最適合ヒット(BLAST)%アミノ酸同一性および%ヌクレオチド同一性を含む。











表2
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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表2つづき
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Arabidopsis thaliana:アラビドプシス・タリアナ
Brassica napus:ブラシカ・ナプス
Nicotiana tabacum:ニコチアナ・タバクム
Rhodococcus rhodochrous:ロドコッカス・ロドクロウス
common tobacco:コモンタバコ(一般的なタバコ)
Synechocystis sp.:シネコシスチス種
Oryza sativa:オリザ・サティバ
Streptococcus pneumoniae:ストレプトコッカス・ニューモニエ
Caenorhabditis elegans:カエノラブディチス・エレガンス
Agrobacterium tumefaciens:アグロバクテリウム・ツメファシエンス
Nostoc sp.:ノストック種
Ralstonia solanacearum:ラルストニア・ソラナシールム
Comamonas testosteroni:コマモナス・テストステロニ
Pyrococcus horikoshii:ピロコッカス・ホリコシイー
コンピュータシステム
本発明のある特徴では、コンピュータによる読出しおよびアクセスが可能な任意の媒体上で、本発明のいずれの核酸配列および/またはポリペプチド配列も保存、記録および処理することができる。本明細書で用いられるように、“記録”および“保存”はコンピュータ媒体に情報を保存するプロセスを指す。本発明の別の特徴は、配列番号 1-386に示した少なくとも2、5、10、15または20の核酸配列および前記と実質的に同一の配列が記録されたコンピュータ読出し可能媒体である。さらに別の実施態様では、本発明のまた別の特徴は、コンピュータによる本発明の核酸配列またはポリペプチド配列間の比較、および本発明の配列と他の配列間の比較である。コンピュータ読出し可能媒体には、磁気読出し可能媒体、光学的読出し可能媒体、電子的読出し可能媒体および磁気/光媒体が含まれる。例えばコンピュータ読出し可能媒体は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ランダムアクセスメモリー(RAM)または読出し専用メモリー(ROM)の他に当業者に公知の他のタイプの媒体であろう。
本発明の実施態様は、システム(例えばインターネットによるシステム)、特に本明細書に記載した配列情報を保存し処理するコンピュータシステムを含む。本明細書で用いられるように、“コンピュータシステム”はハード構成成分、ソフト構成成分およびデータ保存成分を指し、前記は配列番号 1-386のいずれか少なくとも1つに示した配列(核酸またはポリペプチドのいずれか)および前記配列と実質的に同一の配列の分析に用いられる。前記コンピュータシステムは、配列データのプロセッシング、前記データ−へのアクセスおよび処理のためのプロセッサを含む。前記プロセッサはいずれの周知のタイプの中央演算処理装置でもよく、例えばインテル(Intel Corporation)のペンチアムIIIまたは以下のメーカー(Sun, Motorola, Compaq, AMDまたはIBM(InteRNAtional Business Machine))の同様なプロセッサである。
典型的には、前記コンピュータシステムは汎用システムであり、プロセッサ、1つまたは2つ以上のデータ保存用内部データ保存装置、および前記データ保存装置に保存されたデータを検索する1つまたは2つ以上のデータ検索装置を含む。
ある特定の実施態様では、前記コンピュータシステムはバスに連結されたプロセッサを含み、前記バスはメインメモリー(好ましくはRAMとして提供される)および1つまたは2つ以上の内部データ保存装置(例えばハードドライブおよび/またはデータが記録されている他のコンピュータ読出し可能媒体)に連結されている。いくつかの実施態様では、前記コンピュータシステムは、さらに内部データ保存装置に保存されているデータを読み出すための1つまたは2つ以上のデータ検索装置を含む。
前記データ検索装置は、例えばフロッピー(登録商標)ディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、磁気テープドライブ、または遠隔のデータ保存システムに連結することができるモデム(例えばインターネットによる)などであろう。いくつかの実施態様では、前記内部データ保存装置は取り外し可能なコンピュータ読出し可能媒体、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、磁気テープなどであり、前記はそれに記録された制御体系および/またはデータを含んでいる。本発明のコンピュータシステムは、有利には、前記制御体系および/またはデータがいったんデータ検索装置に挿入されると、それらをデータ保存装置から読み出すための適切なソフトを含むか、または前記ソフトによってプログラムすることができる。
前記コンピュータシステムは、出力データをコンピュータユーザーに表示するために用いられるディスプレーを含む。前記コンピュータシステムを他のコンピュータシステムにネットワークまたは広域ネットワークで連結し、前記コンピュータシステムに中央へのアクセスを提供することができることもまた特記されるべきである。いくつかの実施態様では、前記コンピュータシステムはさらに配列比較アルゴリズムを含むことができる。“配列比較アルゴリズム”は、ヌクレオチド配列をデータ保存手段内に保存された他のヌクレオチド配列および/または化合物と比較するために前記コンピュータシステムに(端末としてまたは遠隔的に)提供される1つまたは2つ以上のプログラムを指す。
ニトリラーゼの使用
ニトリラーゼは、キラルα−ヒドロキシ酸(ファインケミカル工業における重要な中間体である)の製造に重要な酵素として、さらに医薬中間体として同定された。本発明のニトリラーゼ酵素は、シアノヒドリンおよびアミノニトリルの立体選択的加水分解を触媒し、キラルα−ヒドロキシ酸およびα−アミノ酸をそれぞれ生成するために有用である。
立体選択的酵素は、激烈な条件を必要とせず、より環境共存性なので化学的分解よりも重要な利点を提供する。ニトリラーゼの使用は、キラルアミノ酸およびα−ヒドロキシ酸の製造に特に重要である。立体選択的ニトリラーゼを用いれば水性条件下で基質のラセミ化のためにダイナミックな分解条件を確立することができる。したがって100%の理論的収量を達成することができる。
本発明は、天然に存在する供給源で見いだされ前記から単離されたニトリラーゼに向けられている。本発明はまた、多様で極端な環境源に由来する新規な遺伝子および遺伝子経路の開発に関する。利用可能な酵素を可能なかぎり寄せ集めたものを得るために、地球上の多様な生息環境から採集したサンプルから直接DNAを抽出した。このような努力により、世界で最大の環境内遺伝子ライブラリーコレクションが得られた。これらライブラリーの徹底的な高処理スクリーニングによって、192の新規な配列固有ニトリラーゼ酵素が今日までに見出された。本発明の前には20に満たない細菌由来ニトリラーゼが文献および公開データベースに報告されていた。
生物触媒(例えばニトリラーゼ)は、生きている生物の代謝反応の触媒で重要な役割を果たす。さらにまた、生物触媒は化学工業でも用途が見出された(化学工業では生物触媒は種々の多くの反応を惹起することができる)。ニトリラーゼ使用の利点のいくつかの例は以下のとおりである:ニトリラーゼは高い鏡像選択性、化学選択性およびレジオ選択性を提供し;穏やかな反応条件下で機能し;(最少の保護により)直接生成物にアクセスでき;高い触媒効率を有し;化学的代替方法と比較して廃棄物が少なく;酵素または細胞として容易に固定することができ;回収可能、リサイクル可能であり、さらに分子生物学的技術により操作することが可能で;全細胞プロセスで再生させることができ;有機溶媒に耐性を有し;さらに重要なことには、ニトリラーゼは進化させ最適化させることができる。最適化ニトリラーゼは本発明の実施例として本明細書に示される。
ニトリラーゼはニトリル部分の加水分解を触媒して対応するカルボン酸を生成する。ニトリルの通常の化学的加水分解は強酸または強塩基および高温を必要とする。しかしながら、本発明の利点の1つは、穏やかな条件で前記の反応を達成するニトリラーゼが提供されるということである。以下のように、高い鏡像選択性、化学的およびレジオ選択性を示しながら広範囲のニトリル基質を変換することができる。
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表3:本発明のニトリラーゼのいくつかの特徴
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動的キネティク分割
ニトリラーゼの使用によって2つの急速に平衡化する鏡像体間の識別が可能になり、100%の理論的収量で単一生成物を生じる。ニトリラーゼは重要なシアノヒドリンおよびアミノニトリルの動的分解に用いられ、鏡像体として純粋なα−カルボン酸およびα−アミノ酸を生成する。本明細書に開示した新規に発見されたニトリラーゼは、95%を越える鏡像体過剰(ee)を示す生成物を95%を越える収量で生じる。本ニトリラーゼは前記の変換を水溶液中または有機溶媒が存在する穏やかな条件下で効率的に達成する。
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上記で示したこれらの生成物はまた反対の鏡像体も含む(ただしそれらは示されていない)。ある特徴では、本発明は、A群の核酸配列のいずれかに示す配列を有するか、前記と実質的に同一の配列を有するか、または前記と相補的な配列を有する単離核酸を提供する。
別の特徴では、本発明は、A群の核酸配列に示すヌクレオチド配列の一部分と同一の少なくとも20の連続ヌクレオチドを含むか、前記と実質的に同一の配列を有するか、または前記と相補的な配列を有する単離核酸を提供する。
別の特徴では、本発明は、B群のアミノ酸配列に示す配列を有するか、または前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。
別の特徴では、本発明は、B群のアミノ酸配列に示す配列の一部分と同一の少なくとも10の連続アミノ酸を有するか、または前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチドをコードする単離核酸を提供する。
さらに別の特徴では、本発明は、B群のアミノ酸配列に示す配列を有するか、または前記と実質的に同一の配列を有する連続アミノ酸残基を含む実質的に精製されたポリペプチドを提供する。
別の特徴では、本発明は、本発明のポリペプチドと特異的に結合する単離抗体を提供する。本発明はまた、前記ポリペプチドと特異的に結合する能力を保持する前記抗体のフラグメントを提供する。
別の特徴では、本発明は、B群のアミノ酸配列に示す配列および前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチドを製造する方法を提供する。前記方法は、前記ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入し(前記核酸はプロモーターに機能的に結合されている)、さらに前記核酸の発現を許容する条件下で前記宿主細胞を培養することを含む。
別の特徴では、本発明は、B群のアミノ酸配列に示す配列に由来する少なくとも10の連続するアミノ酸および前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチドを製造する方法を提供する。前記方法は、前記ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入し(前記核酸はプロモーターに機能的に結合されている)、さらに前記核酸の発現を許容する条件下で前記宿主細胞を培養し、それによって前記ポリペプチドを製造することを含む。
別の特徴では、本発明はニトリラーゼの変種を作製する方法を提供する。前記方法は、A群の核酸配列に示す核酸配列を選択し、前記配列中の1つまたは2つ以上のヌクレオチドを別のヌクレオチドに変更するか、前記配列中の1つまたは2つ以上のヌクレオチドを欠失させるか、または前記配列に1つまたは2つ以上のヌクレオチドを付加することを含む。
別の特徴では、本発明は、B群アミノ酸配列のポリペプチドの酵素機能を保持するB群アミノ酸配列の機能的変種を同定するアッセイを提供する。前記アッセイは、B群アミノ酸配列の配列もしくはその一部分と同一の配列を有するか、B群アミノ酸配列の配列と実質的に同一の配列もしくはその一部分を有するか、またはニトリラーゼ活性を保持するB群アミノ酸配列の変種である配列を有する連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドを、前記ポリペプチドの機能を許容する条件下で基質分子と接触させ、さらに基質レベルの減少、または前記ポリペプチドと基質との間の反応における特異的反応生成物レベルの増加を検出し、それによってそのような配列の機能的変種を同定することを含む。
本発明のポリペプチドの改変
酵素は高度に選択性を有する触媒である。酵素の特徴は、通常の合成化学とは比較にならない強い立体選択性、レジオ選択性および化学選択性をもつ反応触媒能力である。さらにまた酵素はきわめて融通性を有する。それらは都合に合わせて調整することによって有機溶媒中で機能し、極端なpH(例えば酸性または塩基性条件)、極端な温度(例えば高温および低温)、極端な塩濃度(例えば高塩濃度および低塩濃度)で働き、酵素活性部位を除いてそれらの天然の生理学的基質と構造的に無関係の化合物との反応を触媒させることができる。
本発明は、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを改変し、ニトリラーゼ活性を保持するが所望のある特徴に関しては改善された新規なポリペプチド得る方法を提供する。そのような改善には、有機溶媒中で機能する能力(すなわちニトリラーゼ活性を示す)、極端なまたは特徴的でないpHで働く能力、極端なまたは特徴的でない温度で働く能力、極端なまたは特徴的でない塩濃度で働く能力、異なる基質との反応を触媒する能力が含まれる。
本発明は、ニトリラーゼの固有の触媒特性を開発するためにニトリラーゼを使用する方法を目的とする。一方、生物触媒(すなわち精製または未精製酵素)を化学的変換で用いる場合は、通常は特定の出発化合物と反応する固有の生物触媒の同定が要求されるが、本発明は、多くの出発化合物に存在する官能基に対して特異的な選択された生物触媒および反応条件を使用する。生物触媒は各々1つの官能基またはいくつかの関連する官能基に対して特異的であり、この官能基を含む多くの出発化合物と反応することができる。
酵素は、出発化合物内の特異的な部位に反応し、前記分子の残りには影響を与えない。前記は、通常の化学的な方法を用いて達成することが非常に難しいプロセスである。この高度な特異性は、化合物ライブラリー内のただ1つの活性化合物を同定する手段を提供する。前記ライブラリーはそれを生成するために用いられた一連の生物触媒反応、いわゆる“生合成歴”によって特徴付けられる。前記ライブラリーを生物学的活性についてスクリーニングし、その生合成歴を追跡することによって、前記活性化合物を生成する特異的な一連の反応が同定される。前記一連の反応を繰返し、合成化合物の構造を決定する。この同定態様は、他の合成およびスクリーニング手法と異なり固定技術を必要とせず、実質的に任意のタイプのスクリーニングアッセイを用いて化合物を溶液中で遊離状態で合成し調べることができる。官能基上での酵素反応の高度な特異性は、生物触媒生成ライブラリーを構築する特異的な酵素反応を“追跡する”ことを可能にする。(小分子を含む分子の改変に関する更なる開示についてはPCT出願(No. PCT/US94/09174)(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)を参照されたい)。
ある実施態様では、本発明は、関連ニトリラーゼ遺伝子ファミリーおよびそれらによってコードされる関連生成物ファミリーのキメラ化を提供する。したがって、本発明のこの特徴によれば、複数のニトリラーゼ核酸配列(例えばA群核酸)がニトリラーゼの“鋳型”として機能し、前記鋳型で配列比較アルゴリズム(例えば上記で述べたようなもの)を用いてアラインメントが実施される。続いて1つまたは2つ以上の境界設定点をアラインメントを施された鋳型配列で同定する(前記境界設定点は1つまたは2つ以上の相同領域に存在する)。前記境界設定点を用いて、核酸構築ブロックの境界を明確に描くことができる。前記核酸構築ブロックはキメラニトリラーゼの作製に用いられる。したがって、ニトリラーゼ鋳型分子で同定され選択された境界設定点は、キメラニトリラーゼ分子のアッセンブリーの潜在的なキメラ形成点として機能する。
典型的には有用な境界設定点は、少なくとも2つの原型(progenitor)鋳型間の局所同一性を有する領域であるが、好ましくは、境界設定点は、前記鋳型の少なくとも半分、前記鋳型の少なくとも2/3、前記鋳型の少なくとも3/4、または前記鋳型のほとんど全部が共有する同一性を有する領域である。
続いて、前記構築ブロック(これらブロックは境界設定点によってその範囲が示される)を混合し(文字通り溶液中で、または理論的に紙上でまたはコンピュータで混合し)、再度アッセンブリーを実施してキメラニトリラーゼ遺伝子を形成する。ある実施態様では、前記遺伝子の再アッセンブリープロセスを徹底的に実施し、可能性のある全ての組合せをもつ包括的ライブラリーを作製する。換言すれば、核酸構築ブロックの全ての可能な秩序だった組合わせが最終的なキメラ核酸分子セットに表現されている。しかしながら同時に、各組合わせの5'から3'方向にある各構築ブロックのアッセンブリーの順序は鋳型の順序を反映し、望ましくない機能不全生成物の形成を減少させるようにデザインされる。
いくつかの実施態様では、系統的に(例えば1つずつ)スクリーニングすることが可能な区画をもつ区画化ライブラリーを作製するために、前記遺伝子再アッセンブリープロセスは系統的に実施される。換言すれば、本発明では、特定の核酸構築ブロックを選択的および慎重に使用し、併せて一段ずつ連続するアッセンブリー反応を選択的および慎重に使用することによって、特定のキメラ生成物セットが各反応容器の各々で生成される実験デザインを達成することができる。これによって、系統的な検査およびスクリーニング方法の実施が可能になる。したがって、潜在的に膨大な数のキメラ分子をより小さな群で系統的に調べることが可能になる。
いくつかの実施態様では、前記構築ブロックが作製される工程または再アッセンブリー工程の合成的な性質は、場合によって後でin vitroプロセス(例えば突然変異誘発によって)またはin vivoプロセス(例えば宿主生物の遺伝子スプライシング能力を利用することによって)で除去できるヌクレオチド配列(例えばコドンまたはイントロンまたは調節配列)のデザインまたは導入を可能にする。これらヌクレオチドの導入は、有用な境界設定点を創出するという潜在的利益を含む多くの理由から望ましいであろう。
本発明の合成遺伝子再アッセンブリー方法は複数の核酸構築ブロックを利用し、その各々は2つの連結可能な末端を有する。各核酸構築ブロックの2つの連結性末端には2つの平滑末端、または1つの平滑末端および1つのオーバーハング、または2つのオーバーハングが含まれるがただしこれらに限定されない。さらに別の非限定的例を挙げれば、前記オーバーハングは1つの塩基対、2つの塩基対、3つの塩基対、4つの塩基対またはそれ以上を含むことができる。
二本鎖核酸構築ブロックは種々のサイズを有することができる。構築ブロックの好ましいサイズの範囲は、約1塩基対(bp)(オーバーハングは全く含まない)から約100000塩基対(オーバーハングは全く含まない)である。他の好ましいサイズ範囲もまた提供される。前記サイズ範囲は、約1bpから約10000bp(その間に存在する全ての整数値を含む)の下限および約2bpから約100000bp(その間に存在する全ての整数値を含む)の上限を有する。
ある実施態様にしたがえば、二本鎖核酸構築ブロックは、最初に2つの一本鎖核酸を作製し、それらをアニールさせて二本鎖核酸構築ブロックを生成することによって作製される。二本鎖核酸構築ブロックの2本の鎖は、オーバーハングは別として全てのヌクレオチドで相補的であり、したがってオーバーハング以外はミスマッチを含まないであろう。あるいは、二本鎖核酸構築ブロックの2本の鎖は、オーバーハングは別として全ヌクレオチドより少ないヌクレオチドにおいて相補性であってもよい。特に、鎖間のミスマッチを用いてコドンの縮退を導入することができる。前記は、例えば本明細書で述べる部位飽和突然変異誘発のような方法を用いて実施される。
分子のin vivoシャッフリングもまた変種の提供に有用で、細胞の天然の特性を利用してマルチマーを組換えることができる。in vivo組換えは分子の多様性への主要な天然の経路を提供してきたが、遺伝子組換えは以下を必要とするなお比較的複雑なプロセスである:(1)相同性の認識;(2)鎖の切断、鎖への侵入、および組換えキアズマの生成をもたらす代謝工程;および最後に(3)別個の組換え分子にキアズマを分離する工程。キアズマの形成は相同配列の認識を必要とする。
したがって、本発明は、少なくとも第一のポリヌクレオチドおよび第二のポリヌクレオチドからin vivoでキメラまたは組換えポリヌクレオチドを製造する方法を含む。本発明を用い、部分的な配列相同性を有する少なくとも1つの領域を共有する少なくとも第一のポリヌクレオチドおよび第二のポリヌクレオチド(例えばA群核酸配列およびその組み合わせ)を適切な宿主細胞に導入することによって組換えポリヌクレオチドを生成することができる。部分的な配列相同性を有する領域は、配列の再構成を生じて組換えポリヌクレオチドを生成するプロセスを促進する。そのようなハイブリッドポリヌクレオチドは、DNA分子間で配列の組み込みを促進する分子間組換え事象から生じる。さらに、そのようなハイブリッドポリヌクレオチドは分子内退縮再組合せ(reductive reassortment)プロセスから生じる(前記プロセスは反復配列を利用してDNA分子内のヌクレオチドを変化させる)。
本発明は、生物学的に活性な変種ポリペプチド(例えばニトリラーゼ変種)をコードする組換えポリヌクレオチドを生成する手段を提供する。例えば、ポリヌクレオチドはある微生物に由来する特定の酵素をコードすることができる。ある微生物に由来する第一のポリヌクレオチドによってコードされる酵素は、例えば特定の環境条件(例えば高い塩分)下で効率的に機能することができる。異なる生物に由来する第二のポリヌクレオチドによってコードされる酵素は、異なる環境条件(例えば超高温)下で効率的に機能することができる。第一および第二の最初のポリヌクレオチドに由来する配列を含む組換えポリヌクレオチドは、最初のポリヌクレオチドによってコードされる両酵素の特徴を示す変種酵素をコードする。したがって、組換えポリヌクレオチドによってコードされる酵素は、第一および第二のポリヌクレオチドによってコードされる酵素の各々が共有する環境条件下で(例えば高塩濃度および超高温)効率的に機能することができる。
変種ポリペプチドは、元の酵素では示されない特殊な酵素活性を示し得る。例えば、ニトリラーゼ活性をコードするポリヌクレオチドの組換えおよび/または退縮再組合せに続いて、組換えポリヌクレオチドによってコードされる生成変種ポリペプチドを最初の酵素の各々から得られる特殊なニトリラーゼ活性について(すなわちニトリラーゼが機能する温度またはpHについて)スクリーニングすることができる。最初のポリヌクレオチドの供給源は、個々の生物(“単離株”)、規定培地で増殖させた生物収集物(“濃縮培養”)または非培養生物(“環境サンプル”)から単離することができる。環境サンプルから新規な生物活性をコードするポリヌクレオチドを誘導するために培養に依存しないアプローチを使用することは、前記が未開発の生物多様性へのアクセスを可能にするので極めて好ましい。前記ポリヌクレオチドを調製することができる微生物には原核細胞微生物(例えばキサントバクター(Xanthobacter)、真性細菌(Eubacteria)および古細菌(Archaebacteria))、および下等な真核微生物(例えば真菌、いくつかの藍藻および原虫)が含まれる。ポリヌクレオチドは環境サンプルから単離することができる。その場合には、核酸は生物を培養することなく回収してもよいし、また1つまたは2つ以上の培養した生物から回収してもよい。ある特徴では、そのような微生物は極限環境好性菌(extremophile)、例えば超好熱菌、低温菌、低栄養菌、好塩菌、好圧菌および好酸菌であろう。極限環境好性細菌から単離された酵素をコードするポリヌクレオチドが特に好ましい。そのような酵素は、陸上の温泉および深海の熱放出孔内で100℃を越える温度で、さらに北極の海域で0℃より低い温度で、死海の飽和塩環境で、石炭廃棄物および硫黄に富む地熱温泉中の0近辺のpH値で、または下水汚泥中の11を越えるpH値で機能することができる。
リコンビナントタンパク質の発現に用いることができる哺乳類発現系の例には、COS-7、C127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞株が含まれる。哺乳類発現ベクターは、複製起点、適切なプロモーターおよびエンハンサー、さらにまた任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライシングドナーおよびアクセプター部位、転写終了配列、および5’フランキング非翻訳配列を含む。SV40のスプライスおよびポリアデニル化部位に由来するDNA配列を用いて必要な非転写遺伝子成分を提供することができる(米国特許第6,054,267号の開示は引用により本明細書に含まれる)。
問題のポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選別または遺伝子増幅に適するように改変した通常の栄養培地で培養することができる。培養条件(例えば温度、pHなど)は発現用に選択した宿主細胞に関して従前に用いられていたものであり、これらは当業者には明白であろう。所望の酵素活性または他の特性を有することが確認されたクローンを続いて配列決定し、所望の活性または特性を有する酵素をコードする組換えポリヌクレオチド配列を同定することができる。
ある実施態様では、本発明は、単離ニトリラーゼを単離核酸としてまたは単離ポリペプチドとして提供する。その態様では、前記核酸またはポリペプチドは、少なくとも1つの未培養微生物に由来するDNA集団からDNAを回収し、回収DNAでホストを形質転換して、特定のタンパク質(例えばニトリラーゼ活性)についてスクリーニングするクローンライブラリーを作製することによって調製された。米国特許第6,280,926号(Short)は前記のような方法の説明を提供する(前記文献の開示は引用により本明細書に含まれる)。
したがって、ある実施態様では、本発明は、生物学的に活性な組換えニトリラーゼポリペプチドを作製し、さらに前記ポリペプチドを所望の活性または特性についてスクリーニングする方法に関する。前記方法は以下の工程によって実施される:
1)少なくとも第一のニトリラーゼポリヌクレオチドおよび第二のニトリラーゼポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に導入し、ここで前記第一のニトリラーゼポリヌクレオチドおよび第二のニトリラーゼポリヌクレオチドは少なくとも1つの配列相同性領域を共有し;
2)配列の再構成を促進して組換えニトリラーゼポリヌクレオチドを生じる条件下で前記宿主細胞を増殖させ;
3)前記組換えニトリラーゼポリヌクレオチドによってコードされた組換えニトリラーゼポリペプチドを発現させ;
4)前記組換えニトリラーゼポリペプチドを所望の活性または特性についてスクリーニングし;
5)前記組換えニトリラーゼポリペプチドをコードする組換えニトリラーゼポリヌクレオチドを単離する。
使用できるベクターの例には、ウイルス粒子、バキュロウイルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌人工染色体、ウイルスDNA(例えばワクシニア、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病およびSV40の誘導体)、P1系人工染色体、酵母プラスミド、酵母人工染色体および対象のホストに特異的な任意の他のベクター(例えばバチルス、アスペルギルスおよび酵母)が含まれる。多数の適切なベクターは当業者に公知であり、市場で入手できる。細菌ベクターの例には以下が含まれる:pQEベクター(Qiagen, Valencia, CA);pBluescriptプラスミド、pNHベクターおよびラムダ-ZAPベクター(Stratagene, La Jolla, CA);およびpTRC99a、pKK223-3、pDR540およびpRIT2Tベクター(Pharmacia, Peapack, NJ)。真核ベクターの例には以下が含まれる:pXT1およびpSG5ベクター(Stratagene, La Jolla, CA);およびpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVLSV40ベクター(Pharmacia, Peapack, NJ)。しかしながら、他のいずれのプラスミドまたはベクターもそれらがホストで複製可能であり生命活性を保つことができるかぎり使用することができる。
本発明で使用する好ましいベクタータイプは、f因子(または稔性因子)複製起点を含む。大腸菌のf因子は、接合中にそれ自体の高頻度移入および細菌染色体自体の低頻度移入をもたらすプラスミドである。特に好ましい実施態様は、“フォスミド”または細菌人工染色体(BAC)ベクターと称されるクローニングベクターの使用である。これらは大腸菌のf因子に由来し、前記はゲノムDNAの大きなセグメントに安定的に組み込まれることができる。
発現ベクター中のDNA配列は適切な発現制御配列(プロモーターを含む)に機能的に結合され、RNA合成を指令する。有用な細菌性プロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダPR、PLおよびtrpが含まれる。有用な真核細胞プロモーターには、CMV極初期配列、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルスのLTRおよびマウスのメタロチオネイン-Iが含まれる。適切なベクターおよびプロモーターの選択は十分に当業者の技術レベル内にある。発現ベクターはまた翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写終了因子を含む。ベクターはまた発現を増幅する適切な配列を含む。プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクターまたは選別可能マーカーを有する他のベクターを用いて任意の所望遺伝子から選択することができる。
さらに、発現ベクターは1つまたは2つ以上の選別可能マーカー遺伝子を含み、形質転換宿主細胞選別のための表現型の特徴を提供することができる。有用な選別可能マーカーには、真核細胞培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、または大腸菌ではテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性が含まれる。
ベクターは以下を含む任意の多様な技術を用いて導入することができる:形質転換、トランスフェクション、トランスダクション、ウイルス感染、遺伝子銃、またはTi仲介遺伝子移転。具体的な方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン仲介トランスフェクション、リポフェクションまたはエレクトロポレーションが含まれる。
退縮再組合せ(Rductive Reassortment):別の特徴では、ニトリラーゼポリヌクレオチド変種は退縮再組合せのプロセスによって作製することができる。組換えは“分子間”プロセス(これは細菌では一般に“rec-A依存”として見られる)であるが、“退縮再組合せ”のプロセスは“分子内”、rec-A非依存プロセスによって生じる。前記の場合には、本発明は、細胞内の準反復配列の複雑さを欠失によって減少させる退縮再組合せプロセスを仲介する細胞の能力に依存することができる。この方法は、連続反復または準反復配列を含む構築物(最初のコード配列)の作製、これら配列の適切なベクターへの挿入、およびそれに続く前記ベクターの適切な宿主細胞への導入を必要とする。個々の分子本体の再組合せは、相同性領域を有する構築物中の連続配列間で、または準反復ユニット間でのコンビネーションプロセスによって生じる。前記再組合せプロセスは反復配列の組換えおよび/または反復配列の複雑さおよび程度の減少をもたらし、新規な分子種を生成する。多様な処理(例えば紫外光またはDNA損傷化学物質)を適用して再組合せ率を高めることができる。さらに“遺伝子不安定性”レベルが強化された宿主細胞株を用いることができる。
反復配列:反復または“準反復”配列は遺伝子不安定性に役割を果たす。本発明では、“準反復配列”は、構造においては同一ではないが、高い程度の類似性または同一性配列を有する連続配列アレーを示す。細胞内での退縮再組合せまたは欠失プロセスは、準反復配列内の位置間で配列を欠失させることによって、生成された構築物の複雑さを減少させる。欠失(挿入の可能性もある)事象は準反復配列ユニット内の実質的にいずれの場所でも生じ得るので、これらの配列は潜在的変種のために大きなレパートリーを提供する。
準反復配列を全て同じ向きで連結したとき(例えば頭部対尾部またはその逆)、欠失の末端はほとんどの部分について準反復配列内の任意の場所に等しく生じるようである。反対に、前記ユニットが頭部対頭部または尾部対尾部で提示されるときは、倒置された準反復配列はデュープレックスを形成し、これは隣接ユニットの末端の輪郭を明らかにし、それによって個々の分離ユニットの欠失を促進する。本発明ではしたがって、準反復配列は同じ向きで結合させるのが好ましい。なぜならば、ランダムな向きの準反復配列は再組合せ効率の低下をもたらし、一方、一定方向の配列は最高の効率を提供するからである。それにもかかわらず、同じ向きの連続配列が少ないことは退縮組合せ効率を減少させるけれども、新規な分子の効果的な回収については前記はなお十分な変型例を提供するであろう。
配列は、以下を含む任意の多様な方法を用いて頭部対尾部の向きで組み立てることができる:
a)ポリAヘッドおよびポリTテールをもつプライマーを利用することができる。前記は一本鎖になったとき、方向性を提供するであろう。これは、プライマーの最初の数塩基をRNAから作製することによって達成できる(したがってリボヌクレアーゼHで容易に除去できる)。
b)固有の制限切断部位を含むプライマーを用いることができる。マルチサイト、固有配列セットおよび合成と連結の反復工程が要求されるであろう。
c)プライマー内部のいくつかの塩基をチオール化し、エキソヌクレアーゼを用いて適切なテールをもつ分子を生成できる。
再組合せされた配列の回収は、反復インデックス(RI)が減少したクローニングベクターの同定を基にする。再組合せされたコード配列を続いて増幅によって回収することができる。生成物を再クローニングし発現させる。RIが減少したクローニングベクターの回収は以下によって達成することができる:
1)構築物の複雑さが減少したときにのみ安定に維持されるベクターの使用。
2)物理的方法による短縮ベクターの物理的回収。この場合は、前記クローニングベクターは標準的なプラスミド単離方法を用いて回収し、続いて標準的方法(例えば低分子量カットオフを示すアガロースゲルまたはカラム)を用いてサイズ分画されるであろう。
3)中断遺伝子を含むベクターの回収は挿入物のサイズが減少したときに選択できる。
4)直接選別技術を使用する。この場合は、発現ベクターが使用され、さらに適切な選別が実施される。
関連生物に由来するコード配列は高度な相同性を示すが、それにもかかわらず極めて多様なタンパク質生成物をコードすることができる。このようなタイプの配列は、準反復配列として本発明で特に有用である。しかしながら、下記に詳述する例は高度な同一性をもつコード配列(準反復配列)の再組合せを示すが、前記プロセスはほぼ同一の反復配列に限定されない。
以下の例は本発明の方法を提示している。3つの異なる種に由来する準反復コード配列を得る。各配列は別個の特性セットを有するタンパク質をコードする。前記配列の各々は配列内の固有の位置で1つまたは2つ以上の塩基対が異なっており、これらを“A”、“B”および“C”と称する。前記準反復配列は別個にまたは一緒に増幅し、可能な全ての置き換えおよび組合せが連結分子集団内で得られるように連結してランダム集合体を得る。準反復配列ユニットの数はアッセンブリー条件によって制御することができる。構築物中の準反復ユニットの平均数は反復インデックス(RI)と定義される。
いったん形成したら、この構築物を公知のプロトコルにしたがってアガロースゲル上でサイズ分画し、クローニングベクターに挿入し、適切な宿主細胞にトランスフェクトすることができる。続いて前記細胞を増殖させて退縮再組合せを惹起させる。退縮再組合せプロセスの発生率は、所望の場合はDNA損傷の導入によって高めることができる。RIの減少が、“分子内”メカニズムによる反復配列間での欠失形成によって仲介されるのか、または“分子間”メカニズムによる組換え様事象によって仲介されるのかは重要ではない。最終結果は可能な全ての組合せをもたらす分子の再組合せである。
別の特徴では、組換えまたは再組合せ前もしくはそれらの最中に、本発明のポリヌクレオチドまたは本明細書に記載した方法によって作製したポリヌクレオチドを、最初のポリヌクレオチドへの変異の導入を促進する薬剤またはプロセスに付すことができる。そのような変異の導入は、生成されるハイブリッドポリヌクレオチドおよびそれらによってコードされるポリペプチドの多様性を増加させるであろう。突然変異誘発を促進する薬剤またはプロセスには以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):(+)-CC-1065または合成類似体、例えば(+)-CC-1065-(N3-アデニン)(Sun et al. (1992) Biochemistry 31(10):2822-9);DNA合成を抑制することができるN-アセチル化または脱アセチル化4'-フルオロ-4-アミノビフェニル付加体(例えば以下を参照されたい:van de Poll et al. (1992) Carcinogenesis 13(5):751-8);またはDNA合成を抑制することができるN−アセチル化または脱アセチル化4-アミノビフェニル付加体(また上掲書(van de Poll et al. (1992)) を参照されたい);三価クロム、三価クロム塩、DNA複製を抑制することができる多環式芳香族炭化水素(“PAH”)DNA付加体、例えば7-ブロモメチル-ベンゾ[a]アントラセン(“BMA”)、トリス(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート(“トリス-BP”)、1,2-ジブロモ−3−クロロプロパン(“DBCP”)、2-ブロモアクロレイン(2BA)、ベンゾ[a]ピレン-7,8-ジヒドロジオール-9-10-エポキシド(“BPDE”)、ハロゲン化白金(II)塩、N-ヒドロキシ-2−アミノ-3-メチルイミダゾ[4,5-f]-キノリン(“N-ヒドロキシ-IQ”)、およびN-ヒドロキシ-2-アミノ-1-メチル-6-フェニルイミダゾル[4,5-f]-ピリジン(“N-ヒドロキシ-PhIP”)。PCR増幅を遅くするかまたは停止させる特に好ましい手段は、UV光(+)-CC-1065および(+)-CC-1065-(N3-アデニン)から成る。特に包含される手段は、DNA付加物または前記ポリヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド集団に由来するDNA付加物を含むポリヌクレオチドで、これらは、更なるプロセッシングの前にポリヌクレオチドを含む溶液を加熱することを含むプロセスによって遊離させるかまたは除去することができる。
GSSM(商標):本発明はまた縮退N,N,G/T配列を含むコドンプライマーを使用してポリヌクレオチドに点変異を導入し、それによって各アミノ酸位で全範囲の単一アミノ酸置換が出現する子孫ポリペプチドセットを作製することを提供する。前記方法は遺伝子部位飽和突然変異誘発(gene site-saturated mutagenesis)(GSSM(商標))と称される。使用されるオリゴは切れ目なく第一の相同配列、縮退N,N,G/T配列およびおそらく第二の相同配列で構成される。N,N,G/T配列の縮退性は全ての20アミノ酸に対するコドンを含むので、そのようなオリゴを使用して得られる子孫の翻訳生成物は、前記ポリペプチド上の各アミノ酸位に存在する全ての可能なアミノ酸変化を含む。
ある特徴では、そのような縮退オリゴの1つ(1つの縮退N,N,G/Tカセットを含む)が、親のポリヌクレオチド鋳型内の本来のコドンの各々を全範囲のコドン置換に付すために用いられる。別の特徴では、少なくとも2つの縮退N,N,G/Tカセットが、(同じオリゴ内または別のオリゴとして)親のポリヌクレオチド鋳型内の少なくとも2つの本来のコドンを全範囲のコドン置換に付すために用いられる。したがって2つ以上のN,N,G/T配列を1つのオリゴに含有させて、2つ以上の位置にアミノ酸変異を導入することができる。この複数のN,N,G/T配列は直接隣接していてもよいが、または1つもしくは2つ以上のヌクレオチド配列によって分離されてあってもよい。別の特徴では、付加および欠失を導入するために機能するオリゴは、単独またはN,N,G/T配列を含むコドンと併用して用い、アミノ酸付加、欠失および/または置換の任意の組合せまたは並べ換えを導入することができる。
特定の実施態様では、連続するN,N,G/Tトリプレットを含むオリゴ、すなわち縮退(N,N,G/T)n配列を用いて、2つまたは3つ以上の連続するアミノ酸位を同時に突然変異させることが可能である。
別の特徴では、本発明は、N,N,G/T配列よりも少ない縮退性をもつ縮退カセットの使用を提供する。例えば、いくつかの事例では、ただ1つのN(前記Nはトリプレットの第一、第二または第三の位置に存在することができる)のみを含む縮退トリプレット配列を使用することが所望される。任意の他の塩基(その任意の組合せおよび並べ換えを含む)を前記トリプレットの残りの2つの位置で用いることができる。また別には、いくつかの事例では、縮退N,N,Nトリプレット配列またはN,N,G/Cトリプレット配列を用いることが所望されるであろう。
しかしながら本発明で開示する縮退トリプレット(例えばN,N,G/TまたはN,N,G/Cトリプレット配列)の使用はいくつかの理由から有利であることは理解されよう。ある特徴では、本発明は、ポリペプチド内の各アミノ酸位の全てで20の可能なアミノ酸の完全な置換を系統的にさらに相当に容易に惹起させる手段を提供する。したがって、100アミノ酸ポリペプチドの場合は、本発明は系統的および相当に容易に2000の異なる種を生成する手段を提供する(すなわち各位置につき20の可能なアミノ酸x100のアミノ酸位)。縮退N,N,G/TまたはN,N,G/Cトリプレット配列を含むオリゴの使用により、20の可能なアミノ酸をコードする32の個々の配列が提供されることは理解されよう。したがって、親のポリヌクレオチド配列が前記のような1つのオリゴを用いた飽和突然変異誘発に付される反応容器には、20の異なるポリペプチドをコードする32の異なる子孫ポリヌクレオチドが生成される。対照的に、部位特異的突然変異誘発で非縮退オリゴを使用するときは、各反応容器につきわずか1つの子孫ポリペプチド生成物が生じるだけである。
本発明はまた非縮退オリゴヌクレオチドの使用を提供する。前記は開示の縮退プライマーと場合によって一緒に用いることができる。いくつかの状況では、非縮退オリゴを用いて使用中のポリヌクレオチドに特定の点変異を作製することが有利であることは理解されよう。前記によって、特定のサイレント点変異、対応するアミノ酸変化を生じる点変異、および終止コドンの生成およびポリペプチドフラグメントの対応する発現を生じる点変異を惹起する手段が提供される。
したがって、ある実施態様では、飽和突然変異誘発の各容器は、親のポリヌクレオチド内の突然変異を誘発されたコドンの位置に一致する特定の1つのアミノ酸位に全ての20アミノ酸が出現する少なくとも20の子孫ポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチドを含む。飽和突然変異誘発反応の各容器から生成される32倍の縮退子孫ポリペプチドをクローン増殖に付すことができる(例えば発現ベクターを用いて適切な大腸菌ホストでクローンニングする)。個々の子孫ポリペプチドを好ましい特性の変化(親のポリペプチドと比較した場合)を示すことについてスクリーニングによって確認するときは、配列決定によりその中に含まれる対応する好ましいアミノ酸置換を同定することができる。
ここに開示したように飽和突然変異誘発を用いて親のポリペプチドの各々全てのアミノ酸位で突然変異を誘発するとき、好ましいアミノ酸変化が2つ以上のアミノ酸位で同定できることは理解されよう。これら好ましいアミノ酸置換の全てまたは一部分を含む1つまたは2つ以上の新規な子孫分子が生成される。例えば、2つの別個の好ましいアミノ酸変化がポリペプチド内の3つのアミノ酸位の各々で確認された場合、前記の並べ換えは各位置で3つの可能性(最初のアミノ酸と変化がない可能性およびそれぞれ2つの好ましい変化の可能性)を3つの位置に含む。したがって3x3x3または合計27の可能性が存在する。前記には以前に調べられた7つ(6つの単一点変異(すなわち3つの位置の各々で2つ)プラスいずれの位置にも変化がないもの)が含まれる。
さらに別の特徴では、部位飽和突然変異誘発は、シャッフリング、キメラ化、組換え、および突然変異誘発プロセスと併せてスクリーニングとともに用いることができる。本発明は、飽和突然変異誘発を含む任意の突然変異誘発プロセスの反復態様における使用を提供する。ある具体例では、前記任意の突然変異誘発プロセスの反復使用はスクリーニングとともに用いられる。
したがって非限定的な具体例では、本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、さらに別の突然変異誘発プロセスと併用した飽和突然変異誘発によって誘導することができる。前記別の突然変異誘発プロセスは、例えば2つまたは3つ以上の関連ポリヌクレオチドが適切な宿主細胞に、組換えおよび退縮再組合せによってハイブリッドポリヌクレオチドが生成されるように導入されるプロセスである。
遺伝子配列全体上での突然変異誘発の実施の他に、ポリヌクレオチド配列内で任意の数の塩基のそれぞれを置換するために突然変異誘発を用いることができる。この場合、突然変異を誘発される塩基の数は約15から約100000の整数のいずれでもよい。したがって、1つの分子の各々の位置で突然変異を誘発する代わりに、各々全ての数の塩基または一定の数の塩基(例えば合計して約15から約100000のサブセット)を突然変異誘発に付してもよい。ある実施態様では、別個のヌクレオチドを用い、ポリヌクレオチド上の各位置または位置群で突然変異を誘発する。突然変異を誘発される3つの位置を含む一群はコドンでもよい。ある実施態様では、突然変異は、異種カセットを含む突然変異誘発性プライマー(突然変異誘発性カセットとも称される)を用いて導入される。例えばカセットは約1から約500塩基を含むことができる。そのような異種カセットの各ヌクレオチド位は、N、A、C、G、T、A/C、A/G、A/T、C/G、C/T、G/T、C/G/T、A/G/T、A/C/T、A/C/G、またはEでもよく、ここでEはA、C、GまたはTではない任意の塩基である。
一般的な意味で、飽和突然変異誘発は、突然変異を誘発される一定の範囲のポリヌクレオチド(例えば突然変異を誘発される配列は長さが約15から約100000塩基である)上の完全な突然変異誘発性カセットセット(例えば、各カセットは長さ1〜500塩基である)の突然変異を誘発することを含む。したがって、1群の変異(約1から約100の範囲の変異)が突然変異を誘発されるべき各カセットに導入される。1つのカセットに導入される変異集合群は、一回の飽和突然変異誘発の適用中に第二のカセットに導入される第二の変異集合群と異なっていても同じでもよい。前記のような集合群の具体的な例は欠失、付加、特定コドン集合群および特定のヌクレオチドカセット集合群である。
突然変異を誘発される一定範囲の配列には、遺伝子全体、経路、cDNA、オープンリーディングフレーム(ORF)全体、プロモーター、エンハンサー、リプレッサー/トランスアクチベーター、複製起点、イントロン、オペレーターまたは任意のポリヌクレオチド機能群が含まれる。一般には、この目的のための“一定範囲の配列”は、15塩基ポリヌクレオチド配列、および約15塩基から約15000塩基(本発明では間にある全ての整数も特に指定される)の長さを有するポリヌクレオチドである任意のポリヌクレオチドであろう。コドン集合群の選択で考慮することは、縮退変異誘発カセットによってコードされるアミノ酸のタイプを含む。
変異誘発カセットに導入することができる変異集合群の特に好ましい具体例では、本発明は、特に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20アミノ酸を各位置にコードする縮退コドン置換物(縮退オリゴを用いる)およびそれによってコードされるポリペプチドライブラリーを提供する。
本発明のある特徴は単離核酸であり、前記単離核酸は、A群核酸配列の配列、前記と実質的に同一の配列、前記と相補的な配列、またはA群核酸配列の配列の1つの少なくとも10、15、20、25、30、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むフラグメントの1つを含む。前記単離核酸はDNA(cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAを含む)を含むことができる。前記DNAは二本鎖でも一本鎖でもよいが、一本鎖である場合はコード鎖でも非コード(アンチセンス)鎖でもよい。あるいは、単離核酸はRNAを含んでもよい。
下記でさらに詳細に考察されるように、本発明の単離核酸配列を用いて、B群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列、またはB群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチドの1つの少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントを含むポリペプチドの1つを調製することができる。
あるいは、通常の技術(例えば部位特異的突然変異誘発)または当業者に周知の他の技術を用いて本発明の核酸配列の突然変異を誘発し、A群核酸配列および前記と実質的に同一の配列のポリヌクレオチドにサイレント変化を導入することができる。本明細書で用いられるように、“サイレント変化”には、例えば前記ポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を変更しない変化が含まれる。前記のような変化は、前記ポリペプチドをコードするベクターを含む宿主細胞によって生成されるポリペプチドレベルを、前記宿主生物で頻度高く生じるコドンまたはコドン対を導入することによって増加させるために所望されるであろう。
本発明はまた、本発明のポリペプチド(例えばB群アミノ酸配列)のアミノ酸置換、付加、欠失、融合および切端をもたらすヌクレオチド変化を有するポリヌクレオチドに関する。そのようなヌクレオチド変化は、部位特異的突然変異誘発、化学物質によるランダムな突然変異誘発、エキソヌクレアーゼIIIによる欠失、および他の組換えDNA技術を用いて導入することができる。あるいは、そのようなヌクレオチド変化は天然に存在する対立遺伝子変種であってもよい。前記変種は、A群核酸配列および前記と実質的に同一の配列(または前記と相補的な配列)の1つの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むプローブと本明細書で提供する高いストリンジェンシー、中等度のストリンジェンシーまたは低いストリンジェンシーの条件下で特異的にハイブリダイズする核酸配列を同定することによって単離される。
固定化酵素固相支持体
酵素、そのフラグメント並びに前記酵素およびフラグメントをコードする核酸は固相に固定することができる。この方法は、工業的プロセスで酵素を使用する場合にしばしば経済的であり効率的である。例えば、酵素(またはその活性フラグメント)の混合物またはカクテル(前記は特定の化学反応で用いられる)を固相に結合させ、プロセスタンクに浸し、酵素反応を惹起させることができる。続いて、繰り返し使用するために前記固相をそれに固定された酵素とともにタンクから取り出す。本発明のある実施態様では、前記単離核酸は固相に固定される。本発明の別の実施態様では、前記固相はゲル、樹脂、ポリマー、セラミック、ガラス、微小電極および前記の任意の組合せの群から選択される。
例えば本発明で有用な固相にはゲルが含まれる。ゲルのいくつかの例には以下が含まれる:セファロース、ゼラチン、グルタルアルデヒド、キトサン処理グルタルアルデヒド、アルブミン−グルタルアルデヒド、キトサン−キサンタン、トーヨーパールゲル(ポリマーゲル)、アルギネート、アルギネート−ポリリジン、カラジーナン、アガロース、グリオキシルアガロース、磁性アガロース、デキストラン−アガロース、ポリ(カルバモイルスルホネート)ヒドロゲル、BSA-PEGヒドロゲル、リン酸化ポリビニルアルコール(PVA)、モノアミノエチル-N-アミノエチル(MANA)、アミノまたは前記の任意の組合せ。
本発明で有用なまた別の固相は樹脂またはポリマーである。樹脂またはポリマーのいくつかの例には、セルロース、アクリルアミド、ナイロン、レーヨン、ポリエステル、陰イオン交換樹脂、AMBERLITE(商標)XAD-7、AMBERLITE(商標)XAD-8、AMBERLITE(商標)IRA-94、AMBERLITE(商標)IRC-50、ポリビニル、ポリアクリリック、ポリメタクリレート、または前記の任意の組合せが含まれる。本発明で有用な別のタイプの固相はセラミックである。いくつかの例には無孔セラミック、有孔セラミック、SiO2、Al2O3が含まれる。本発明で有用な別のタイプの固相はガラスである。いくつかの例には非多孔性ガラス、多孔性ガラス、アミノプロピルガラスまたは前記の任意の組合せが含まれる。使用することができる別のタイプの固相は微小電極である。一例はポリエチレンイミン被覆マグネタイトである。黒鉛粒子も固相として用いることができる。固相の別の例は細胞、例えば赤血球である。
固定化方法
酵素、そのフラグメントまたは核酸を固相に固定する当業者に周知の多くの方法が存在する。前記の方法のいくつかの例には、静電ドロップレット生成、電気化学的手段、吸着によるもの、共有結合によるもの、架橋によるもの、化学反応または化学プロセスによるもの、被包化によるもの、捕捉によるもの、アルギン酸カルシウムによるもの、またはポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)によるものが含まれる。同様な方法が以下の文献に記載されている:Methods in Enzymology, Immobilized Enzymes and Cells, Part C. 1987. Academic Press. S.P. Colowick and N.O. Kaplan ed. Vol. 136; Immobilization of Enzymes and Cells. 1997. Humana Press. G.F. Bickerstaff ed., Series: Methods in Biotechnology, J.M. Walker ed.
プローブ:A群核酸配列、前記と実質的に同一の配列、前記と相補的な配列、または前述の配列の1つの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むフラグメントの単離核酸をプローブとしてまた用いて、生物学的サンプル(例えば土壌サンプル)が、本発明の核酸配列を有する生物、または前記核酸が得られた生物を含むか否かを決定することができる。前記の方法では、前記核酸が単離された生物を含む可能性がある生物学的サンプルを入手し、核酸を前記サンプルから得る。プローブがサンプル内に存在する相補的配列のいずれかと特異的にハイブリダイズできる条件下で、核酸を前記プローブと接触させる。
必要な場合には、プローブが相補的配列と特異的にハイブリダイズすることができる条件は、相補的配列を含むことが判明しているサンプルに由来する相補的配列をコントロール配列(相補的配列を含まない)とともにプローブと接触させることによって決定することができる。ハイブリダイゼーション条件(例えばハイブリダイゼーション緩衝液の塩濃度、ハイブリダイゼーション緩衝液のホルムアミド濃度、またはハイブリダイゼーション温度)を変動させて、プローブが相補的核酸と特異的にハイブリダイズすることを可能にする条件を明らかにすることができる。
ハイブリダイゼーションは、検出可能試薬(例えば放射性同位元素、蛍光染料または検出可能産物の生成を触媒できる酵素)でプローブを標識することによって検出できる。サンプル中の相補的核酸の存在を検出するために標識プローブを用いる多くの方法が当業者によく知られている。これらの方法には、サザンブロット、ノザンブロット、コロニーハイブリダイゼーションおよびドットブロットが含まれる。前記の方法の各々についてのプロトコルは以下の文献で提供される:Ausubel et al. (1997), Current Protocols in olecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., ; Sambrook et al. (1989), Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed., Cold. Spring Harbor Laboratory Press(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。
ある実施態様では、プローブDNAは特異的結合対(すなわちリガンド)の一方のパートナーで“標識”され、前記結合対の他方のパートナーは固相マトリックスに結合され、標的の供給源から標的の分離を容易にする。例えば、リガンドおよび固有の結合パートナーは以下から選択できる(どちらがどちらであってもよい):(1)抗原またはハプテンおよび抗体またはその特異的結合フラグメント;(2)ビオチンまたはイミノビオチンおよびアビジンまたはストレプトアビジン;(3)糖およびそれに特異的なレクチン;(4)酵素およびその阻害物質;(5)アポ酵素および補助因子;(6)相補性ホモポリマーのオリゴヌクレオチド;およびホルモンおよび前記のレセプター。ある例では、固相は以下から選択される:(1)ガラスまたはポリマー表面;(2)ポリマービーズの充填カラム;および(3)磁性または常磁性粒子。
あるいは、2つ以上のプローブ(そのうちの少なくとも1つは、核酸サンプル中に存在する任意の相補配列と特異的にハイブリダイズすることができる)を増幅反応に用いて、前記サンプルが本発明の核酸配列を含む生物(例えば前記核酸が分離された生物)を含むか否かを決定することができる。典型的にはプローブはオリゴヌクレオチドを含む。ある実施態様では前記増幅反応はPCR反応を含むことができる。PCRプロトコルは上掲書(Ausubel et al. (1997);Sambrook et al. (1989))に記載されている。また別には、増幅はリガーゼ連鎖反応、3SRまたは鎖置換反応を含むことができる(例えば以下を参照されたい:Barany (1991), PCR Methods and Applications 1:5-16; Fahy et al. (1991) PCR Methods and Applications 1:25-33; Walker et al. (1992), Nucleic Acid Research 20:1691-1696)(前記の文献の開示は引用により本明細書に含まれる)。
A群核酸配列に示す配列および前記と実質的に同一の配列の末端近くの配列に由来するプローブを染色体ウオーキングに用い、上記に示す核酸配列に隣接して位置するゲノム配列を含むクローンを同定することもできる。前記の方法によって、さらに別のタンパク質をコードする遺伝子を宿主生物から単離することが可能になる。
A群核酸配列に示す単離核酸配列、前記と実質的に同一の配列、前記と相補的な配列、または前述の配列の1つの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400または500の連続する塩基を含むフラグメントをプローブとして用いて、関連する核酸を同定および単離することができる。いくつかの実施態様では、前記関連する核酸は、前記核酸が単離された生物以外の生物に由来するcDNAまたはゲノムDNAであろう。例えば、他の生物とは関連する生物であろう。前記の方法では、前記プローブが前記関連する配列と特異的にハイブリダイズすることができる条件下で前記核酸をプローブと接触させる。続いて、プローブと関連生物由来の核酸とのハイブリダイゼーションを上記の方法のいずれかを用いて検出する。
核酸のハイブリダイゼーション反応では、特定のレベルのストリンジェンシーを達成するために用いられる条件は、ハイブリダイズさせる核酸の性質にしたがって変動するであろう。例えば、核酸の長さ、核酸間の相補性の量、ヌクレオチド配列の組成(例えばG-C含有量が多いか、A-T含有量が多いか)、および核酸タイプ(例えばRNAであるかDNAであるか)はハイブリダイゼーション条件の選択において考慮することができる。ストリンジェンシーは、プローブの融解温度より低い種々の温度でハイブリダイゼーションを実施することによって変動させることができる。融解温度(Tm)は、(一定の範囲のイオン強度およびpH下で)標的配列の50%が完全に相補的なプローブとハイブリダイズする温度である。ストリンジェントな条件は、個々のプローブのTmと等しいかまたは約5℃低く選択される。プローブの融解温度は以下の式を用いて計算できる:
長さが14から70ヌクレオチドのプローブについては、融解温度(Tm)は次の式を用いて計算できる:Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(G+Cの割合)-(600/N)(式中Nはプローブの長さである)。
ハイブリダイゼーションがホルムアミドを含む溶液中で実施される場合は、融解温度は以下の等式を用いて計算できる:Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(G+Cの割合)-(0.63%ホルムアミド)-(600/N)(式中Nはプローブの長さである)。
発現ライブラリー:発現ライブラリーは、本発明のポリヌクレオチドを発現ベクターおよび適切な宿主細胞と組み合わせて用いることにより作製できる。発現ライブラリーは、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのin vivo発現を可能にする。発現ライブラリーを作製した後、細胞の仕分けによってスクリーニングする前に前記ライブラリーを“バイオパンニング”(biopanning)するさらに別の工程を加えることができる。“バイオパンニング”法とは、(i)特定の生物学的活性(例えばニトリラーゼ活性)を有するポリペプチドをコードするDNA配列の少なくとも一部分を含む少なくとも1つのプローブを使用して少なくとも1つの微生物に由来する標的DNAを選択的に単離すること;さらに(ii)場合によって前記単離標的DNAでホストを形質転換し、前記特定の生物学的活性についてスクリーニングされるクローンライブラリーを作製する、ことによって調製したクローンライブラリーにおける配列同一性をスクリーニングすることによって特定の生物学的活性を有するクローンを同定するプロセスを指す。
少なくとも1つの微生物に由来するDNAから問題の標的DNAを選択的に単離するために用いられるプローブDNAは、既知の活性をもつ酵素の完全長のコード領域配列でもまたは部分的コード領域配列でもよい。特殊な酵素活性を有する酵素をコードするDNA配列の少なくとも一部分を含むプローブの混合物を用いて、最初のDNAライブラリーを前記プローブで調べる。これらのプローブまたはプローブライブラリーは一本鎖であり、さらに前記プローブで調べられる微生物のDNAは一本鎖型に変換されてある。特に適切なプローブは、スクリーニングされるべき前記特定の酵素と類似または同一の活性を有する酵素をコードするDNAに由来するものである。
1つの生物から選択的に単離したDNAに由来する多数のクローンを調製したならば、前記のクローンを特定の酵素活性についてスクリーニングし、前記特定の酵素の特徴を有するクローンを同定する。
酵素活性のスクリーニングは個々の発現クローンについて実施してもよいし、または最初に発現クローンの混合物について実施し、前記混合物が1つまたは2つ以上の特定の酵素活性を有するか否かを確認してもよい。前記混合物が特定の酵素活性を有する場合は、個々のクローンを前記酵素活性についてまたは複数の酵素活性について再度スクリーニングすることができる。したがって、例えば1つのクローン混合物がニトリラーゼ活性を有する場合、個々のクローンを回収し、さらにスクリーングしてそれらクローンのいずれがニトリラーゼ活性を有するか決定できる。
上記の特徴の1つに関して記載したように、本発明は、以下の工程を含む、微生物に由来する選択DNAを含むクローンの酵素活性をスクリーニングするプロセスを提供する:特定の酵素活性についてライブラリーをスクリーニングし、(ここで、前記ライブラリーは複数のクローンを含み、前記クローンは、微生物のゲノムDNAから選択DNAを回収することによって調製されてあり、前記DNAは、前記特定の活性を有する酵素をコードするDNA配列の全てまたはその一部分である少なくとも1つのDNA配列とのハイブリダイゼーションによって選択される);さらに、前記選択DNAでホストを形質転換して、前記特定の酵素活性についてスクリーニングするクローンを作製する。
ある実施態様では、微生物に由来するライブラリーを選別工程に付し、以下の工程によって、特定の酵素活性を有する酵素をコードするDNA配列の全てまたは一部分である1つまたは2つ以上のプローブDNA配列とハイブリダイズするDNAを前記から選別する:
(a)DNAライブラリーの一本鎖DNA集団をリガンドに結合させたDNAプローブとストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で接触させ、前記プローブと前記DNAライブラリーのメンバーとの間で二重鎖を形成させる工程;
(b)前記二重鎖をリガンドに対する固相の特異的結合パートナーと接触させて固相複合体を形成させる工程;
(c)前記固相複合体をDNAライブラリーの二重鎖非形成メンバーから分離する工程;
(d)前記二重鎖を変性させてDNAライブラリーのメンバーを遊離させる工程;
(e)工程(d)のメンバーの相補的DNA鎖を作製して前記メンバーを二本鎖DNAにする工程;
(f)二本鎖DNAを適切なホストに導入して、前記メンバーDNAによってコードされるポリペプチドを発現させる工程;
(g)発現されたポリペプチドが特定の酵素活性を示すか否かを決定する工程。
別の特徴では、前記プロセスは、シグナルまたは分泌配列を含むDNAを回収するための予備選別を含む。前記態様では、シグナルまたは分泌配列を含むDNAのみを、上記で述べたようにハイブリダイゼーションによってゲノムDNA集団から選別することが可能である。以下のパラグラフでは、本発明のこの実施態様のためのプロトコル、アッセイまたは選別プロセスで前記の配列を一般的および典型的に適用した場合の分泌シグナル配列の性質および機能が記載される。
前記の特徴のある特別な実施態様ではさらに、(a)の後であって(b)の前に以下の工程が含まれる:
(i)前記(a)の一本鎖DNA集団をリガンド結合オリゴヌクレオチドプローブ(与えられたクラスのタンパク質に固有の分泌シグナル配列に相補的である)と二本鎖DNA二重鎖を形成するハイブリダイゼーション条件下で接触させる工程;
(ii)前記二重鎖を前記リガンドに固相の特異的結合パートナーと接触させて固相複合体を形成する工程;
(iii)前記固相複合体を前記(a)の一本鎖DNA集団から分離する工程;
(iv)前記二重鎖を変性させ、ゲノム集団の一本鎖DNAメンバーを遊離させる工程;および、
(v)前記一本鎖DNAメンバーを固相結合プローブから分離する工程。
続いて、前記選別および単離したシグナル配列を含むDNAを上記に記載した選別方法に付して、前記DNAから、特定の酵素活性を有する酵素をコードするDNAに由来する1つまたは2つ以上のプローブDNA配列と結合するDNAを選別および単離する。前記方法は米国特許第6,054,267号(この文献は参照により本明細書に含まれる)で例証され記載されている。
in vivoバイオパンニングはFACS系機械(蛍光活性化細胞分類装置)を利用して実施できる。複雑な遺伝子ライブラリーは、転写されたRNAを安定化させるエレメントを含むベクターを用いて構築される。例えば、RNAの転写領域をフランキングするように設計された、二次構造(例えばヘアピン)を生じる配列を包含することは、前記領域の安定性の強化に役立ち、したがって細胞内でのそれらの半減期を延長する。バイオパンニングのプロセスで用いられるプローブ分子は、レポーター分子(プローブと標的分子とが結合したときにのみ蛍光を発する)で標識したオリゴヌクレオチドから成る。これらのプローブはライブラリーからリコンビナント細胞にいくつかの形質転換方法の1つを用いて導入される。前記プローブ分子は転写された標的mRNAと結合して、DNA/RNAヘテロデュープレックス分子を生じる。プローブと標的との結合によって蛍光を発するシグナルが得られる。前記シグナルはFACS装置によってスクリーニングプロセスの間に検出されソーティングされる。
いくつかの実施態様では、B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列、またはその少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドの1つをコードする核酸は、翻訳されたポリペプチドまたはそのフラグメントの分泌を誘導することができるリーダー配列とともに適切な様相で組み立てられる。場合によって前記核酸は融合ポリペプチドをコードすることができる。前記融合ポリペプチドでは、B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列、またはその少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドの1つは異種のペプチドまたはポリペプチド、例えばN−末端認識ペプチド(前記は所望の特徴(例えば安定性の増加または精製の簡易化)を付与する)に融合される。
宿主細胞は、当業者に周知のいずれの宿主細胞でもよく、原核細胞、真核細胞、哺乳類細胞、昆虫細胞または植物細胞が含まれる。適切なホストの代表例として以下の多くのものが記載されている:細菌細胞、例えば大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)並びにシュードモナス、ストレプトミセスおよびスタフィロコッカス属の多様な種;真菌、例えば酵母;昆虫細胞、例えばショウジョウバエS2およびスポドプテラ(Spodoptera)Sf9;動物細胞、例えばCHO、COSまたはボウズメラノーマ;およびアデノウイルス。適切なホストの選択は当業者の技術範囲内である。
適切な場合には、前記遺伝子操作宿主細胞をプロモーターの活性化に適するように改変した通常の栄養培地で培養し、形質転換細胞を選別し、本発明の遺伝子を増幅させることができる。適切なホスと株を形質転換し、適切な細胞密度に前記宿主細胞を増殖させた後、選択したプロモーターを適切な手段で誘発し(例えば温度シフトまたは化学的誘発)、さらに新たな期間細胞を培養して所望のポリペプチドまたはそのフラグメントを産生させる。
細胞を典型的には遠心分離によって採集し、物理的または化学的手段によって破壊し、得られた粗抽出物を更なる精製のために保持する。タンパク質の発現に用いられる細菌細胞は任意の便利な方法によって破壊できる。前記方法は、凍結融解の繰返し、超音波処理、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含む。そのような方法は当業者には周知である。発現されたポリペプチドまたはそのフラグメントは以下を含む方法によってリコンビナント細胞から回収および精製することができる:硫安またはエタノール沈澱、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性反応クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィー。タンパク質の再折り畳み工程は、ポリペプチドの構成の完結に必要な場合に用いることができる。所望する場合には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終的精製工程で用いることができる。
種々の哺乳類細胞培養系もまた用いられ組換えタンパク質を発現させることができる。哺乳類発現系の例には、サル腎線維芽細胞のCOS-7株(Gluzman (1981) Cell 23:175)および適合するベクターからタンパク質を発現させることができる他の細胞株、例えばC127、3T3、CHO、HeLaおよびBHK細胞株が含まれる。
本発明はまた、B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列、またはその少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドの変種に関する。特に前記変種は、B群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列のポリペプチドと、アミノ酸配列において1つまたは2つ以上の置換、付加、欠失、融合および切端(前記は任意の組合せで存在できる)により異なっていてもよい。
前記変種は天然に存在するものでもin vitroで創出されたものでもよい。特に、前記の変種は遺伝子操作技術(例えば部位特異的突然変異誘発、化学物質によるランダム変異誘発、エキソヌクレアーゼIIIによる欠失方法および標準的クローニング技術)を用いて創出することができる。また別には、そのような変種、フラグメント、類似体または誘導体は化学的合成方法または改変方法を用いて創出することができる。
変種を作製する他の方法もまた当業者にはよく知られている。これらの方法には、天然の単離株から得られた核酸配列を改変して、工業的または実験室でのそれらの利用価値を高める特徴をもつポリペプチドをコードする核酸を作製する方法が含まれる。そのような方法では、天然の単離株から得られた配列に対して1つまたは2つ以上のヌクレオチドの相違を有する大量の変種配列を作製し、性状を決定する。典型的には、これらヌクレオチドの相違は、天然の単離株に由来する核酸によってコードされるポリペプチドに対してアミノ酸の変化を生じる。
変異性PCR(error prone PCR)
例えば、変種は変異性 PCRを用いて創出することができる。変異性 PCRでは、DNAポリメラーゼの複製信頼性が低い条件(PCR生成物の全長で高率の点変異が得られる条件)下でPCRが実施される。変異性 PCRは文献に記載されている(Leung et al.(1989) Technique 1:11-15; Caldwell et al. (1992) PCR Methods Applic. 2:28-33)(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。簡単に記せば、前記の方法では、突然変異を誘発される核酸をPCRプライマーおよび試薬(例えば反応緩衝液、MgCl2、MnCl2、Taqポリメラーゼおよび適切な濃度のdNTP)と混合し、PCR生成物の全長にわたって高率の点変異を発生させる。例えば、前記反応は、20fmolの変異誘発核酸;30pmolの各PCRプライマー;50mMのKCl、10mMのトリスHCl(pH8.3)および0.01%のゼラチンを含む反応緩衝液;7mMのMgCl2、0.5mMのMnCl2、5単位のTaqポリメラーゼ、0.2mMのdGTP、0.2mMのdATP、1mMのdCTPおよび1mMのdTTPを用いて実施できる。PCRは、94℃1分、45℃1分、および72℃1分を30サイクル実施できる。しかしながら前記パラメーターは適切なように変動させることができることは理解されよう。突然変異を誘発した核酸を適切なベクターでクローニングし、前記変異核酸によってコードされるポリペプチドの活性を調べる。
変種はまた、問題のDNAクローンのいずれかに位置特異的変異を創出するためにオリゴヌクレオチド誘導突然変異誘発を用いて作製することができる。オリゴヌクレオチド突然変異誘発はReidhhar-Olsonら(Svience, 241:53-57(1988))(この文献は参照により本明細書に含まれる)が記載した。簡単に記せば、前記方法では、クローン化DNAに導入されるべき1つまたは2つ以上の変異を含む複数の二本鎖オリゴヌクレオチドを合成し、突然変異を誘発すべきクローン化DNAに挿入する。変異DNAを含むクローンを回収し、前記変異DNAによってコードされるポリペプチドの活性を判定する。
アッセンブリーPCR
変種を作製する別の方法はアッセンブリーPCRである。アッセンブリーPCRは、小DNAフラグメントの混合物からPCR産物の集合組立を実施することを必要とする。多数の異なるPCR反応が同じバイアル中で平行して生じ、1つの反応の産物が別の反応の産物のプライマーとして機能する。アッセンブリーPCRは米国特許第5.965,408号に記載されている(前記文献は参照により本明細書に含まれる)。

有性PCR(sexual PCR)突然変異誘発
変種を作製するまた別の方法は有性PCR突然変異誘発である。有性PCR突然変異誘発では、相違するが高い関連性を有するDNA配列をもつ分子間で強制的相同性組換えがin vitroで発生する。前記は相同性配列によるDNA分子のランダムな断片化とそれに続くPCR反応でのプライマー伸長による交差の固定の結果である。有性PCR突然変異誘発は文献に記載されている(Stemmer (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:10747-10751)(この文献は参照により本明細書に含まれる)。簡単に記せば、前記方法では、組換えを生じるべき複数の核酸をDNA分解酵素で消化し、平均サイズが約50-200ヌクレオチドのフラグメントを生成する。所望の平均サイズのフラグメントを精製し、PCR混合物中で再懸濁させる。核酸フラグメント間の組換えを促進する条件下でPCRを実施する。例えば、PCRは、精製フラグメントを10-30ng/μLの濃度で以下を含む溶液に再懸濁させることによって実施することができる:0.2mMの各dNTP、2.2mMのMgCl2、50mMのKCl、10mMのトリスHCl(pH9.0)および0.1%トライトンX-100。反応混合物100μL当たり2.5単位のTaqポリメラーゼを添加し、以下の設定でPCRを実施する:94℃60秒、94℃30秒、50-55℃30秒、72℃30秒(30-45回)および72℃5分。しかしながら、前記パラメーターは適切なように変更できることは理解されよう。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドをPCR反応に包含することができる。他の実施態様では、PCR反応の最初のセットでDNAポリメラーゼIのクレノーフラグメントを用い、さらにTaqポリメラーゼはその後のPCR反応セットで用いてもよい。組換え配列を単離し、それらによってコードされるポリペプチドの活性を調べる。
in vivo突然変異誘発
変種はまたin vivo突然変異誘発によって作製できる。いくつかの実施態様では、問題の配列内のランダム変異は、DNA修復経路の1つまたは2つ以上に変異を含む細菌株(例えば大腸菌株)内で問題の配列を増殖させることによって作製される。前記のような“ミューテーター”株は野生型の親株よりも高いランダム変異率を有する。これらの株の1つでDNAを増殖させることによって、最終的にDNA内にランダム変異が創出されるであろう。in vivo突然変異誘発で使用するために適切なミューテーター株は、PCT公報WO91/16427に記載されている(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)。

カセット突然変異誘発
変種はまたカセット突然変異誘発を用いて作製できる。カセット突然変異誘発では、二本鎖DNA分子の小さな領域が、天然の配列と異なる合成オリゴヌクレオチド“カセット”で置換される。前記オリゴヌクレオチドはしばしば完全におよび/または部分的に任意抽出された天然の配列を含む。

再帰的(recursive)アンサンブル突然変異誘発
再帰的アンサンブル突然変異誘発もまた変種の作製に用いることができる。再帰的アンサンブル突然変異誘発はタンパク質エンジニアリング(タンパク質の突然変異誘発)のためのアルゴリズムであり、前記は表現型が関連する変異体の多様な集団(そのメンバーはアミノ酸配列が異なっている)を作製するために開発された。この方法は、組合せカセット突然変異誘発の連続ラウンドの制御にフィードバックメカニズムを使用する。再帰的アンサンブル突然変異誘発は文献に記載されている(Arkin et al. (1992) Proc. Natl. acad. Sci. USA, 89:7811-7815)(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)。

指数関数的アンサンブル突然変異誘発
いくつかの実施態様では、変種は指数関数的アンサンブル突然変異誘発を用いて作製される。指数関数的アンサンブル突然変異誘発は、高い割合で機能的な変異体を含む組合せライブラリーを作製するプロセスである。前記プロセスでは、小さな残基群が平行して任意抽出され、機能的タンパク質を生じるアミノ酸が各変更位置で同定される。指数関数的アンサンブル突然変異誘発は文献に記載されている(Delegrave et al. (1993) Biotechnology Research 11:1548-1552)(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)。

ランダム突然変異誘発および部位特異的突然変異誘発
ランダムおよび部位特異的突然変異誘発は文献に記載されている(Arnold (1993) Current Opinions in Biotechnology 4:450-455)(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)。
シャッフリング手順
いくつかの実施態様では、変種はシャッフリング手順によって作製される。前記方法では、別個のポリペプチドをコードする複数の核酸の部分が一緒に融合され、キメラポリペプチドをコードするキメラ核酸配列が作製される。前記方法は米国特許第5,965,408号および5,939,250号に記載されている(前記文献は各々引用により本明細書に含まれる)。B群アミノ酸配列のポリペプチドの変種は、B群アミノ酸配列のポリペプチドの1つまたは2つ以上のアミノ酸残基が保存または非保存アミノ酸残基(例えば保存アミノ酸残基)で置換される。さらに、そのような置換アミノ酸残基は遺伝暗号によってコードされたものでもよく、そうでなくてもよい。
保存的置換は、ポリペプチド内のあるアミノ酸を同様な特性を有する別のアミノ酸によって置換するものである。典型的に保存的置換と認められるものは以下の置換である:脂肪族アミノ酸例えばアラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンの別の脂肪族アミノ酸による置換;セリンのバリンによる置換またはその反対;酸性残基、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸の別の酸性残基による置換;アミド基をもつ残基、例えばアスパラギンおよびグルタミンのアミド基をもつ別の残基による置換;塩基性残基、例えばリジンおよびアルギニンの別の塩基性残基による交換;および芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシンの別の芳香族残基による置換。
他の変種は、B群アミノ酸配列のポリペプチドの1つまたは2つ以上のアミノ酸残基が置換基を含むものである。
さらに他の変種は、前記ポリペプチドが別の化合物(例えば前記ポリペプチドの半減期を延長させる化合物(例えばポリエチレングリコール))と結合したものである。
さらに別の変種は、例えば、リーダー配列、分泌配列、プロタンパク質配列、または前記ポリペプチドの精製、濃縮もしくは安定化を促進する配列のような、さらに追加のアミノ酸が前記ポリペプチドと融合されたものである。
いくつかの実施態様では、そのフラグメント、誘導体および類似体は、B群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列と同じ生物学的機能または活性を保持する。他の実施態様では、前記フラグメント、誘導体、または類似体はプロタンパク質を含み、前記プロタンパク質は、前記フラグメント、誘導体または類似体が前記プロタンパク質部分の切断によって活性ポリペプチドを生成するように含まれている。
本発明の別の特徴は、B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列、またはその少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドの1つと少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または約95%を越える相同性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントである。パーセント同一は上記で述べた任意のプログラムを用いて決定することができる。前記プログラムは比較されるポリペプチドまたはフラグメントにアラインメントを実施し、それらの間でアミノ酸の相同性または類似性の程度を決定する。アミノ酸の“相同性”には、保存的アミノ酸置換、例えば上記で述べたものも含まれることは理解されよう。本発明のある実施態様では、前記フラグメントは抗体の生成に用いることができる。これらの抗体を用いてニトリラーゼを固定し工業的プロセスで用いることができる。本発明のニトリラーゼをコードするポリヌクレオチドを同様な方法に用いることができる。
あるいは、相同なポリペプチドまたはフラグメントは生化学的な濃縮または精製方法により得ることができる。潜在的に相同なポリペプチドまたはフラグメントの配列はタンパク質分解消化、ゲル電気泳動および/またはミクロ配列決定によって決定することができる。相同性が期待されるポリペプチドまたはフラグメントの配列は、B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列、またはその少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドの1つと本明細書に記載する任意のプログラムを用いて比較することができる。
本発明の別の特徴は、B群アミノ酸配列もしくは前記と実質的に同一の配列のフラグメントまたは変種(前記はB群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列の酵素機能を保持する)を同定するためのアッセイである。例えば、前記ポリペプチドのフラグメントまたは変種を用いて生化学的反応を触媒することができる。このことは、前記フラグメントまたは変種がB群アミノ酸配列のポリペプチドの酵素活性を保持していることを示す。
変種のフラグメントが、B群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列のポリペプチドの酵素活性を保持しているか否かを決定するアッセイは以下の工程を含む:ポリペプチドフラグメントまたは変種を、前記ポリペプチドフラグメントまたは変種が機能できる条件下で基質分子と接触させる工程、および、基質のレベルの低下、または前記ポリペプチドと基質間の反応の特異的反応生成物レベルの増加のいずれかを決定する工程。
B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチド、またはその少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドを様々に応用して用いることができる。例えば、前記ポリペプチドまたはそのフラグメントを用いて生化学的反応を触媒することができる。本発明のある特徴にしたがえば、アミノニトリルの加水分解のために、B群アミノ酸配列および前記と実質的に同一の配列のポリペプチド、またはそのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを利用するプロセスが提供される。そのような方法では、ハロアルカン化合物を含む基質が、B群アミノ酸配列または前記と実質的に同一配列のポリペプチドの1つと、前記化合物の加水分解が促進される条件下で接触される。
抗体:B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチド、またはその少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドを用いて、前記酵素ポリペプチドまたはそのフラグメントと特異的に結合する抗体を作製することもできる。得られた抗体をイムノアフィニティークロマトグラフィーの方法で用いて前記ポリペプチドを単離もしくは精製するか、または前記ポリペプチドが生物学的サンプルに存在するか否かを決定できる。前記の方法では、タンパク質調製物(例えば抽出物)または生物学的サンプルを、B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列、または前述の配列のフラグメントのポリペプチドの1つと特異的に結合することができる抗体と接触させる。
イムノアフィニティー方法では、前記抗体は固相(例えばビーズまたはカラムマトリックス)に結合される。前記タンパク質調製物は、前記抗体がB群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列、または前述のフラグメントのポリペプチドの1つと特異的に結合する条件下で抗体と接触させる。洗浄して非特異的に結合したタンパク質を除去した後、特異的に結合したポリペプチドを溶出させる。
生物学的サンプル中のタンパク質が抗体と結合する能力は、当業者に周知の多様な方法のいずれかを用いて決定することができる。例えば、結合は、検出可能な標識(例えば蛍光剤、酵素標識または放射性同位元素)で抗体を標識することによって決定できる。また別には、抗体とサンプルとの結合は、前記のような検出可能な標識を有する二次抗体を用いて検出してもよい。具体的なアッセイにはELISAアッセイ、サンドイッチアッセイ、放射性免疫アッセイおよびウェスタンブロットが含まれる。
本発明の抗体を固相に結合させて本発明のニトリラーゼを固定するために用いることができる。上記で述べたように、そのような固定化ニトリラーゼは、ニトリラーゼを広範囲の有用な生成物および中間体に変換するための工業的な化学プロセスで用いることができる。
B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチド、またはその少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドに対して生成されるポリクローナル抗体は、動物に前記ポリペプチドの直接注射または前記ポリペプチドの動物への投与によって得ることができる。そのようにして得られた抗体は前記ポリペプチド自体と結合するであろう。このようにして、前記ポリペプチドのフラグメントのみをコードする配列でさえも、完全な天然のポリペプチドと結合することができる抗体を作製するために用いることができる。続いてそのような抗体を用い、前記ポリペプチドを発現している細胞から前記ポリペプチドを単離することができる。
モノクローナル抗体を調製するためには、連続的な細胞株培養によって産生される抗体を提供する任意の技術を用いることができる。その例には以下が含まれる:ハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein (1975) Nature, 256:495-497)(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al. (1983) Immunology Today 4:72)(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)、およびEBVハイブリドーマ技術(Cole et al. (1985) “Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy”, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)(この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)。
一本鎖抗体の生成のために記載された技術(米国特許第4,946,778号、この文献の開示は引用により本明細書に含まれる)を適合させて、ポリペプチド(例えばB群アミノ酸配列またはそのフラグメント)に対する一本鎖抗体を生成することができる。また別には、遺伝子導入マウスを用いて、これらのポリペプチドまたはそのフラグメントに対するヒト化抗体を発現させることができる。
B群アミノ酸配列、前記と実質的に同一の配列を有するポリペプチド、またはその少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100または150の連続するアミノ酸を含むフラグメントのポリペプチドに対して作製された抗体を、他の生物およびサンプルに由来する同様なポリペプチドのスクリーニングに用いることができる。そのような技術では、前記生物に由来するポリペプチドを前記抗体と接触させ、前記抗体と特異的に結合するポリペプチドを検出する。上記に記載したいずれの方法も、抗体の結合の検出に用いることができる。そのようなスクリーニングアッセイの1つは文献に記載されている:”Methods for Measuring Cellulase Activities”, Methods in Enzymology, 160:87-116)(この文献は参照により本明細書に含まれる)
核酸を含む全細胞(whole cell)の使用
本発明は、本発明のニトリラーゼの1つまたは2つ以上をコードする核酸(またはその活性フラグメント)で形質転換された細胞全体の使用を提供する。本発明はまた、基質とのニトリラーゼ反応の実施に前記の細胞全体の使用を提供する。したがって、本発明は、本明細書で開示した少なくとも1つの核酸またはポリペプチド(配列番号 1-386)を含む細胞全体を用いてシアノヒドリンまたはアミノニトリル結合を加水分解する方法を提供する。例えば、ニトリラーゼをコードする核酸で安定にトランスフェクトされた全細胞(本発明はまた一過性にトランスフェクトまたは形質転換された細胞全体も包含する)は、本発明の1つの実施態様である。前記の細胞は反応混合物中の試薬として有用であり、基質に作用してニトリラーゼ活性を示す。
配列解析ソフト
2つまたは3つ以上の配列間のパーセント同一性または相同性は、典型的には配列解析ソフトを用いて測定される(例えばジーネティクスコンピュータグループ(University of Wisconsin Biotechnology Center, Madison, WI)の配列解析ソフトウェアパッケージ)。前記のようなソフトは、種々の欠失、置換および他の改変に対してパーセント同一性または相同性を割り当てることによって類似する配列にマッチする。本文中において2つまたは3つ以上の核酸またはポリペプチド配列の“パーセント同一性”という用語は、指定領域または比較“ウィンドウ”にわたって最大の一致が得られるようにアラインメントを実施した後で比較したときに同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の割合を指す。いくつかのアルゴリズムでは、保存的アミノ酸置換は“同一”とみなされ、さらにコドンのゆらぎ部位(wobble site)の変化も“同一”とみなされるであろう。
“アラインメント”は、関連するアラインメントアルゴリズムの説明の中で定義したように、2つまたは3つ以上の配列を並べて、同一性または相同性を判定する目的で最大の一致を達成するプロセスを指す。
配列比較の場合、典型的には1つの配列がリファレンス配列として機能し、前記配列に対してテスト配列を比較する。配列比較アルゴリズムを用いるときは、テスト配列およびリファレンス配列をコンピュータに入力し、必要な場合にはサブ配列コーディネートを指定し、さらに配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを個々のアルゴリズムについて指定する。デフォルトプログラムパラメーターを用いてもよいが、また別のパラメーターを用いてもよい。続いて配列比較アルゴリズムにより、プログラムパラメーターを基にしてリファレンス配列に対するテスト配列のパーセント同一性または相同性が計算される。
本明細書において、“比較ウィンドウ”は、核酸またはアミノ酸残基内の連続する場所を構成するセグメントであり、20から600、通常は約50から約200、より通常は約100から約150ヌクレオチドまたは残基から成り、前記を、2つの配列の最適アラインメント後に同じ数または異なる数の連続する場所にあるリファレンス配列と比較することができる。比較のために配列アラインメントを実施する方法は、当業者には周知である。比較のための最適な配列アラインメントは、例えばSmith and Waterman(Adv. Appl. Math. 2:482 (1981))の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch(J. Mol. Biol. 48:443 (1970))の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448 (1988))の類似性検索方法によって、これらアルゴリズムのコンピュータによる実行によって、または手動アラインメントと目視精査によって実施できる。相同性または同一性を決定する他のアルゴリズムには例えば以下が含まれる:BLASTプログラム(Basic Local Alignment Search Tool, National Center for Biological Information)、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA(Wisconsin Genetics Software Package, Genetic Computer Group, Madison, WI)、ALIGN、AMAS(Analysis of Multiply Aliend Sequence)、AMPS(Alignment of Multiple Protein Sequece)、ASSET(Alined Segment Statistical Evaluation Tool)、BANDS、BESTSCOR、BIOSCAN(Biological Sequence Comparative Analysis Node)、インターバルズ・アンド・ポインツ(Interbals and Points)、BMB、CLUSTAL V、CLUSTAL W、CONSENSUS、LCONCENSUS、WCONSENSUS、Smith-Watermanアルゴリズム、DARWIN、ラスベガスアルゴリズム、FNAT(Forced Nucleotide Alignment Tool)、フレームアライン、フレームサーチ、DYNAMIC、FILTER、FSAP(Fristensky Sequence Analysis Package)、GAP(Global Alignment Program)、GENAL、GIBBS、GenQuest、ISSC(Sensitive Sequence Comparison)、LALIGN(Local Sequence Alignment)、LCP(Local Content Program)、MACAW(Multiple Alignment Construction and Analysis Workbench)、MAP(Multiple Alignment Program)、MBLKP、MBLKN、PIMA(Pattern-Induced Multi-Sequence Alignment)、SAGA(Sequence Alignment by Genetic Algorithm)およびWHAT-IF。前記のようなアラインメントプログラムはまたゲノムデータベースのスクリーニングに用い、実質的に同一の配列を有するポリヌクレオチド配列を同定することができる。多数のゲノムデータベースが利用可能で、例えばヒトゲノムの基本的部分がヒトゲノム配列決定プロジェクトの一部分として利用することができる(J. Roach, http://weber.u.Washington.edu/〜roach/human_genome_progress2.html)(Gibbs, 1995)。少なくとも21の他のゲノムが既に配列決定されている。それらには例えば以下が含まれる:M.ジェニタリウム(genitalium)(Fraser et al.,1995)、M.ジャンナシー(jannaschii)(Bult et al., 1996)、H.インフルエンザ(Fleischmann et al., 1995)、大腸菌(Blattner et al., 1997)、酵母(S. cerevisiae)(Mewes et al., 1997)、およびD.メラノガスター(melanogaster)(Adams et al., 2000)。顕著な進展がまたモデル生物(例えばマウス、C.エレガンス(elegans)およびシロイヌナズナ亜種(Arabidopsis sp.))のゲノムの配列決定で達成された。いくつかの機能的情報の注釈を有するゲノム情報を含むいくつかのデータベースが種々の機構によって維持され、インターネット介してアクセスできる(例えば、http://wwwtigr.org/tdb; http://www.genetics.wisc.edu; http://genome-www.stanford.edu/〜ball; http://hiv-web.lanl.gov; http://www.ncbi.nlm.gov; http://www.ebi.ac.uk; http://Pasteur. Fr/other/biology; http://www.genome.wi.mi.edu)。
有用なアルゴリズムの例はBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムで、前記は以下の文献にそれぞれ記載されている:Altschul et al. (1977) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402;およびAltschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410。BLAST分析を実施するためのソフトは米国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)から公的に入手できる(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)。前記アルゴリズムは、先ず初めに、長さがWの短いワードを問い合わせ配列で同定することによって高スコアの配列対(HSP)を同定することを必要とし、これはデータベース配列中に同じ長さをもつワードとアラインメントしたときに、ある正の値をもつ閾値スコアTとマッチするか、またはこれを満足させるものである。Tは隣接ワードスコア閾値と称される(Altschul et al. 上掲書)。これらの最初の隣接ワードヒットは検索開始の種として機能し、それらを含むより長いHSPを見出す。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加するかぎり各配列に沿って両方向に進行する。累積スコアはパラメーターMを用いて計算される(マッチ残基をもつ対については褒章スコア;常に0より大きい)。アミノ酸配列の場合、スコア付与マトリックスが累積スコアの計算に用いられる。各方向におけるワードヒットの進行は以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアがその最大達成値より量Xさがったとき;累積スコアが、1つまたは2つ以上の負のスコアをもつ残基アラインメントの累積のために0以下になったとき;またはいずれかの配列末端に達したとき。BLASTアルゴリズムパラメーターW、TおよびXはアラインメントの感度および速度を決定する。ヌクレオチド配列の場合、BLASTNプログラムはデフォルトとして以下を用いる:ワードの長さ(W)は11、伸長(E)は10、M=5、N=−4両方の鎖を比較する。アミノ酸配列の場合、BLSSTPプログラムはデフォルトとして以下を用いる:ワードの長さ(W)は3、伸長(E)は10、BLOSUM62スコア付与マトリックスを使用(以下の文献を参照されたい:Henikoff and Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915)。
BLASTアルゴリズムはまた2つの配列間の類似性の統計分析も実施する(例えば以下の文献を参照されたい:Karlin and Altshul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性測定の1つは、最小確率合計(smallest sum probability)(P(N))で、前記は、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間で偶然によってマッチングが生じる確率の指標を提供する。例えば、リファレンス核酸とテスト核酸の比較で前記最小確率合計が約0.2未満、約0.01未満、または約0.001未満ならば、核酸はリファレンス配列と類似と考えられる。
ある実施態様では、タンパク質および核酸配列の相同性は、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)を用いて判定される。特に下記の5つの特定のBLASTプログラムが下記のタスクの実行に用いられる:
(1)BLASTPおよびBLAST3は、タンパク質配列データベースに対してアミノ酸問い合わせ配列を比較する;
(2)BLASTNは、ヌクレオチド配列データベースに対してヌクレオチド問い合わせ配列を比較する;
(3)BLASTXは、タンパク質配列データベースに対して問い合わせヌクレオチド配列(両鎖)の6枠の想定的翻訳生成物を比較する。
(4)TBLASTNは、6読み枠(両鎖)の全てでヌクレオチド配列データベースに対して問い合わせタンパク質配列を比較し;さらに
(5)TBLASTXは、ヌクレオチド配列データベースの6枠の翻訳に対してヌクレオチド問い合わせ配列の6枠の翻訳を比較する。
BLASTプログラムは、類似のセグメントを同定することによって相同な配列を同定する。本明細書では、前記は、問い合わせアミノ酸または核酸配列と、タンパク質または核酸配列データベースから得ることができるテスト配列間の“高スコアセグメント対”と称される。高スコアセグメント対は、スコア付与マトリックスの手段によって同定される(すなわちアラインメントが実施される)。スコア付与マトリックスの多くは当分野で公知である。ある実施態様では、用いられる前記スコア付与マトリックスはBLOSUM62マトリックスである(Gonnet et al. (1992) Science 256:1443-1445; Henikoff (1993) Proteins 17:49-61)。別の例では、PAMまたはPAM250マトリックスもまた用いることができる(例えば以下の文献を参照されたい:Schwartz and Dayhoff, eds. (1978), Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlas of Protein Sequence and Structure, Washington: National Biomedical Research Foundation)。BLASTプログラムは米国立医学図書館からアクセスできる(例えばwww.ncbi.nlm.nih.gov)。
上記のアルゴリズムとともに用いられるパラメーターは、配列の長さおよび調べられる相同性の程度に応じて変更することができる。いくつかの実施態様では、前記パラメーターは、ユーザーから指示がない場合にはアルゴリズムによって使用されるデフォルトパラメーターであろう。
特定の実施態様では、本発明は小分子を改変する方法を提供する。本方法は、本明細書に記載したポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドまたはその酵素的に活性なフラグメントを小分子と接触させて、改変小分子を生成することを含む。改変小分子ライブラリーをテストして、所望の活性を示す改変小分子がライブラリーに存在するか否かを決定する。所望の活性を有する改変小分子を生成する特異的な生物触媒反応は、ライブラリーの一部分を作製するために使用された生物触媒反応の各々を系統的に削除し、続いてライブラリーの前記部分で生成された小分子を、所望の活性を有する改変小分子の有無についてテストすることによって同定される。前記特異的な生物触媒反応(所望の活性をもつ改変小分子を生成する)は場合によって繰り返される。前記生物触媒反応は以下の生物触媒を用いて実施される:1つの小分子の構造内で見出される別個の構造部分と反応する一群の生物触媒;各触媒は1つの構造部分または関連する一群の構造部分に特異的である;および各触媒は別個の構造部分を含む多くの異なる小分子と反応する。
いくつかの実施態様ではニトリラーゼは以下のように使用される:
α-ヒドロキシ酸:ニトリラーゼはシアノヒドリンの加水分解によりα−ヒドロキシ酸を生成する。マンデル酸およびその誘導体の生成はその例である。このタイプの重要な応用は、高収量かつ高鏡像選択性でマンデロニトリルから(R)-マンデル酸を工業的に製造するものを含む。マンデル酸およびその誘導体は、中間体および分割物質として多くのキラル医薬および農薬製剤の製造に広い用途を有する。類似体基質を用いるプロセスにおいて僅かな公知のニトリラーゼを利用しようとした以前の試みでは、極めて低い活性、生産性および選択性が大きな問題であった。
Figure 0004405258
フェニル乳酸誘導体:さらに別の応用は、高収量および高鏡像選択性の両方をもつ(S)-フェニル乳酸誘導体の生成である。フェニル乳酸誘導体は多くのキラル医薬および農薬製剤の製造で広い用途が見出された。
Figure 0004405258
β−ヒドロキシ酸:工業的に重要なことには、4-シアノ-3-ヒドロキシ酪酸のいずれかの鏡像体の製造に必要なニトリラーゼが提供される。4-シアノ-3-ヒドロキシ酪酸の鏡像体のそのうちの(R)-鏡像体は非常に強力な薬剤LIPITOR(商標)の合成の重要な中間体である。




Figure 0004405258
以下のニトリラーゼは、ヒドロキシグルタリルニトリルを(R)-3-ヒドロキシ-4-シアノ−酪酸に変換する場合に有用なニトリラーゼのさらに別の例である:配列番号 205、206、配列番号 207、208、配列番号 195、196、配列番号 43、44、配列番号 321、322、および配列番号 237、238。上記の模式図は、以下の“選択ニトリラーゼ”を用いてヒドロキシグルタリルニトリルを(S)-3-ヒドロキシ-4-シアノ-酪酸に変換できることを示している:配列番号 107、108、配列番号 109、110、配列番号 111、112、配列番号 127、128、配列番号 129、130、配列番号 133、134、配列番号 113、114、配列番号 145、146、配列番号 101、102、配列番号 179、180、配列番号 201、202、配列番号 159、160、配列番号 177、178、配列番号 181、182、配列番号 183、184、配列番号 185、186、配列番号 57、58、配列番号 197、198、配列番号 59、60、配列番号 67、68および配列番号 359、360。
本発明を以下の実施例を参照しながらさらに詳述する。しかしながら、本発明はそのような実施例に限定されないことは理解されるべきである。むしろ本発明の実施について現在のところ最良の態様であることから、本発明の範囲を外れることなく多くの改変および変更が当業者に提示されよう。請求の範囲と同等なものを意味するものおよび前記の範囲内に含まれる全ての変化、改変および変型は本発明の範囲内と考えられるべきである。
実施例1
ファージミド感染
ニトリラーゼについてスクリーニングされるべき各ライブラリーのために感染を以下のように設定した:
SEL700細胞のOD600nm=1の再懸濁液5mLおよびスクリーニングされるべきファージミドライブラリーの1mLを混合した。前記混合物を37℃の水浴で45分インキュベートした。
前記感染物の10μLを用い、10mMのMgSO4中で段階希釈物を作製した。

ライブラリーの力価 作製希釈
〜105cfu/mL 10-1希釈
〜106cfu/mL 10-1、10-2希釈
〜107cfu/mL 10-1、10-2、10-3希釈

以下の希釈物の各々60μLを小型のLB-kan50プレートに加えた:
ライブラリーの力価 作製希釈
〜105cfu/mL 未希釈感染物、10-1希釈
〜106cfu/mL 10-1、10-2希釈
〜107cfu/mL 10-2、10-3希釈

感染物中の細胞を卓上遠心器で4℃にて4600rpm、10分遠心して、ペレットを作製した。得られたペレットから上清をデカンテーションにより廃棄した。残留液で細胞を再懸濁した。懸濁させた細胞の全てを一枚の大型LB-kan50プレートに加えた。全てのプレートを30℃で一晩インキュベートした。
実施例2
選別スクリーニング
各感染プレートの細胞を約4mLの10mM MgSO4に再懸濁した。前記再懸濁物を試験管に入れた。各プレート上の残りの細胞を約3mLの10mM MgSO4に再懸濁し、同じプレートの最初の懸濁物と合わせた。各試験管の容積を10mM MgSO4で12mLにした。この試験管をボルテックスミキサーで激しく攪拌した。前記試験管を卓上遠心器で4℃にて4600rpm、10分間遠心してペレットを作製した。各懸濁物の上清をデカンテーションして廃棄した。各試験管の洗浄細胞を10mLの10mM MgSO4で再懸濁した。各ライブラリー由来の懸濁物を選別培養のセットアップの準備ができるまで4℃で保存した。
各懸濁物について、選別培養を以下のプロセスを用いて設定した:
1)以下を用いてニトリラーゼ選別培地を調製した:0.2%グルコースおよび50μg/mLのカナマイシンを含み、窒素を含まない1XのM9培地(pBKファージミドライブラリー専用、pBSライブラリーにはアンピシリンを使用)。
2)5mLの培地を50mLのスクリューキャップ付きコニカル試験管に分注した。
3)25μLの保存再懸濁物を前記試験管に添加した。
4)5μLのアジポニトリルを前記試験管に添加し、最終濃度を8.8mMにした。さらに別のニトリル基質をアジポニトリルの代わりに使用してもよい。
5)得られた混合物を30℃で培養した。
1−5の工程を各ニトリル基質について繰り返した。
実施例3
選別培養からニトリラーゼ陽性クローンの単離
増殖させた10μLの選別培養を小型LB-kan50プレートにストリークし、30℃で2晩増殖させた。各培養物をモニターし(増殖が陽性を示した場合はcfuを釣り上げた)、増殖が定常相であることがモニターによって示されたときに培養物を取り出した。1mLの培養を用いてプラスミド調製物を作製し、40μLの溶出緩衝液で溶出させた。5から8μLのDNAをPstI/XhoIまたはSacI/KpnI制限酵素で切断しベクターから挿入物を切り出した。制限フラグメントの長さの多型性(RFLP)を判定し、挿入物のサイズを同定した。前記挿入物の配列を決定した。
実施例4
ニトリラーゼのスクリーニングおよび性状決定
本発明のニトリラーゼを標的基質についてスクリーニングした。一次スクリーニングで加水分解活性を示したもののうち、20%を越える鏡像過剰(ee)の鏡像選択性を有する酵素を更なる性状決定のために選択した。これらの酵素は以下を基準に選択した:1)問題の基質の1つに対して活性を有する、および2)35%を越えるee(鏡像体過剰)を示す。このスクリーニングプロセスの結果は上記の表1に示されている。スクリーニングに用いた生成物は以下のとおりであった:D-フェニルグリシン、L-フェニル乳酸、(R)-2-クロロマンデル酸、(S)-シクロヘキシルマンデル酸、L-2-メチルフェニルグリシン、(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸、および4-メチル-L-ロイシン。
標的基質D-フェニルグリシンによるニトリラーゼのスクリーニング

Figure 0004405258
フェニルグリシノニトリルの加水分解を実施した。これらの酵素のいくつかは20%より高いeeを示し、予備的性状決定のために選択した。
予備的性状決定実験を基に、多数の仮想的ヒットがフェニルグリシノニトリルを用いて同定され、多くのデータがこれらの酵素に関して蓄積された。前記データは以下の多くの共通特性を明らかにした:前記酵素の大半はpH7で活性の至適pHを有し、さらに一般的に鏡像選択性はより低いpH値で強化された。前記酵素はより高い温度、特に38℃でより高い活性を示すことが見出された(ただし38℃はしばしばより低い鏡像選択性をもたらした)。水に混和性の共存溶媒を反応に使用することは実際的なオプションであることが示された。酵素反応への10-25%のメタノール(v/v)の混合は実質的に酵素活性に影響を与えないが、多くの事例で鏡像選択性の増加をもたらした。二相系の使用は有望で、70%(v/v)までのヘキサン(およびいくつかの事例ではトルエン)の添加で酵素はそれらのレベルを維持した。しかしながら二相系での酢酸エチルの使用は活性の低下をもたらした。
フェニルグリシノニトリルに対して活性が確認された酵素のうち、いくつかの酵素の鏡像選択性は成功基準の35%eeを超えることが示された。前記予備的性状決定データは、前記酵素のいくつかはD−フェニルグリシンについて高い鏡像選択性を示し、対応する生成物の変換は40-60%であった。更なる調査によって、これら酵素のいくつかの活性速度は基質のラセミ化の速度より速いことが示唆された。酵素濃度の減少は鏡像選択性の改善をもたらし、したがって、化学的ラセミ化の相対速度および酵素活性を制御することによっていくつかの利点を得ることができるようである。
標的基質(R)-2-クロロマンデル酸によるニトリラーゼのスクリーニング
Figure 0004405258
2-クロロマンデロニトリルに対して活性を示した酵素を同定した。2-クロロマンデロニトリルおよびフェニルグリシノニトリルに対して活性を有する酵素間には高いオーバーラップ度が存在した。これらの酵素の多くはまた別個の配列ファミリーを形成した。

より高い温度および中性pHは、前記活性酵素に対して最高の活性をもたらすようであった。ニトリラーゼの大半について、鏡像選択性もより高い温度、特に38℃で増加した。酵素は25%までのメタノールまたは10%までのイソプロパノールの存在下でそれらの活性を維持し、これらの事例の多くで鏡像選択性もまた強化された。二相系(特に非水性相としてヘキサンを用いた場合)における活性は水性条件に大いに匹敵し、トルエンに対する種々の耐性が種々のニトリラーゼ間で観察された。
表4:2-クロロマンデロニトリルの鏡像選択性加水分解のための酵素の例
Figure 0004405258
表4A:2-クロロマンデロニトリルの鏡像選択性加水分解のための性状決定実験により決定された至適条件のまとめ
Figure 0004405258
標的基質(S)-フェニル酢酸によるニトリラーゼのスクリーニング






Figure 0004405258
テストしたニトリラーゼの多くがフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリンに対して活性を示した。これら酵素の多くは2つの関連する配列ファミリーの一部であり、フェニルグリシノニトリルおよびクロロマンデロニトリルに対して活性を有する酵素とは異なっていた。
これら酵素の至適pHは一般的にpH7を越え(すなわちpH8または9)、これらのpHレベルでより高い鏡像選択性を示した。これらの酵素の大半が、より高い温度,特に38℃で優れた活性を示した。酵素の鏡像選択性に対する温度の影響は変動するが、ほとんどの事例で、鏡像選択性は高い温度でわずかに低下した。酵素は補助溶媒の添加(特に10%(v/v)のメタノール)に対して耐性を示したが、そのような添加で活性または鏡像選択性に対する利点は得られなかった。再び二相系が適していることが示された。
表5:フェニルアセトアルデヒドシアノヒドリンの鏡像選択性加水分解のための性状決定実験により決定された至適条件のまとめ
Figure 0004405258








表6:ヒット酵素のフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリンの鏡像選択性加水分解のまとめ
Figure 0004405258
1:実験は、25mMの基質を用い、記載のpHおよび温度条件で実施した。
*:ターンオーバーはg生成物/kgタンパク質/時間(m)、比活性はμモル生成物/mgタンパク質/時間(h)で示してある。
標的基質L-2-メチルフェニルグリシンによるニトリラーゼのスクリーニング
Figure 0004405258
ニトリラーゼはこの基質に対して活性を示し、要求したL-2-メチルフェニルグリシンではなくもっぱらD-2-メチルフェニルグリシンを生成した。











表7:2-メチルフェニルグリシノニトリルに対する配列番号 189,190の活性および鏡像選択性のまとめ
Figure 0004405258
標的基質L-ヒドロキシノルロイシン((S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸)によるニトリラーゼのスクリーニング
Figure 0004405258
多数のニトリラーゼが単離され、2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサンニトリルに対する活性を示した。これらの酵素の全てがL-異性体生成物への鏡像選択性を示した。
表8に示すように、酵素は全て、より高いpHでより高い鏡像選択性を示し、さらにテストされた他のニトリラーゼよりも溶媒の添加により感受性を示すように思われた。有機溶媒の存在下で活性は検出されたが、前記活性は水性コントロールの活性よりも一般に低かった。この場合も、酵素の活性は酸生成物およびアルデヒド出発物質によって悪影響を受けた。
表8:2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサンニトリルの鏡像選択性加水分解のための性状決定実験により決定された至適条件のまとめ
Figure 0004405258
一定範囲の加水分解活性が、前記確認ヒット酵素間で2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサニトリルに対して観察された。







表9:ヒット酵素の2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサニトリルの鏡像選択性加水分解のまとめ
Figure 0004405258
標的基質4-メチル-D-ロイシンおよび4-メチル-L-ロイシンによるニトリラーゼのスクリーニング
Figure 0004405258
2-アミノ-4,4-ジメチルペンタンニトリルの加水分解をいくつかのニトリラーゼを用いて実施した。これらのうちで、いくつかはニトリルを加水分解して対応する酸のL-異性体を生成することが示され、更なる性状決定のために選択した。
表10:ヒット酵素の2-アミノ-4,4-ジメチルペンタンニトリルの鏡像選択性加水分解のまとめ
Figure 0004405258






表11:2-アミノ-4,4-ジメチルペンタンニトリルの鏡像選択性加水分解のための性状決定実験により決定された至適条件のまとめ
Figure 0004405258
標的基質(S)-シクロヘキシルマンデル酸に対するニトリラーゼのスクリーニング
Figure 0004405258
標的基質マンデロニトリルに対するニトリラーゼのスクリーニング
Figure 0004405258
ニトリラーゼ収集物をマンデロニトリルによりスクリーニングした。前記のニトリラーゼはフェニルグリシノニトリルおよびクロロマンデルニトリルの両方を活発に加水分解した。
鏡像選択性を判定する酵素アッセイ
キラルα-ヒドロキシ酸およびα-アミノ酸を測定する分光計システムの設計において、生成物の形成および鏡像選択性の検出を可能にする酵素によるアッセイを開発し用いた。α-ヒドロキシ酸およびα-アミノ酸をラクテートデヒドロゲナーゼ(L-LDHおよびD-LDH)およびアミノ酸オキシダーゼ(L-AAオキシドおよびD-AAオキシド)によって検出する分光計システムは図6および7に記載されている。これらの酵素は、相応に広い基質レンジを有し、なおほぼ絶対的な鏡像選択性を維持するので選択した。
このシステムの全体的な適切性は確認されている(表12)。親化合物のヒドロキシニトリルもアミノニトリルも二次酵素または検出酵素によって代謝されず、したがって出発物質は妨害しない。熱処理を施さない細胞溶解物はLDHシステムのバックグラウンド活性をもたらした。しかしながら、熱不活化によってバックグラウンド活性は排除される。細胞溶解物はAAオキシダーゼアッセイにおいては妨害しないようである。1つの懸念は、残留シアン化物によるAAオキシダーゼ(前記はFMN補助因子を利用する)の不活化である。しかしながら、コントロール実験により、2mMのPGN(2mMまでHCNを遊離させる)の不活化は問題を生じないことが示された。このアッセイは384ウェル(おそらくさらに高い密度)のマイクロタイタープレートの自動化に適している。
表12:酸生成物のキラル検出のための二次酵素の同定のまとめ
Figure 0004405258
1:本アッセイは、三級アルコールがこの特定の酸化を受けにくいので、シクロヘキシルマンデル酸および2-メチルフェニルグリシンには適用できないであろう
実施例5
標準的アッセイ条件
以下の溶液を調製した
*基質ストック溶液:0.1Mのリン酸緩衝液(pH7)に50mMのアミノニトリル、または0.1Mの酢酸緩衝液(pH5)に50mMのシアノヒドリン基質
*酵素ストック溶液:20mgの凍結乾燥細胞溶解物を含む各バイアルに0.1Mのリン酸緩衝液(pH7)3.33mL(最終濃度は6mgタンパク質/mL)。

方法:
*50mMの基質溶液100μLを96ウェルプレートの適切な数のウェルに添加;
*各ウェルに80μLの緩衝液を添加;
*各ウェルに20μLの酵素溶液を添加;
*酵素溶液の代わりに20μLの緩衝液を用いてブランクコントロールを作製;
*180μLの緩衝液に20μLの酵素溶液から成る陰性コントロールもまた実験の多くに加えた。細胞溶解物が生成物の検出に干渉しないことが確認されたら、前記のコントロールは加えなかった。

反応物のサンプリング:
*各ウェルから部分標本(15-50μL)を取り出し以下のサンプルを希釈して反応物をサンプリングした:
*非キラルHPLC分析のためのサンプル:
*フェニルグリシン、2-クロロマンデル酸、およびフェニル乳酸:先ず初めに、サンプルを水で2倍に希釈し、さらにメタノールまたはアセトニトリルで2倍に希釈した(最終希釈は4倍)。これらのサンプルの8倍希釈によってクロマトグラフィーによる分離が改善されることが判明した。
*(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸、4-メチルロイシン、t-ロイシン、2-メチオルフェニルグリシンおよびシクロヘキシルマンデル酸:サンプルをメタノールまたはアセトニトリルで1:1に希釈した。溶媒の選択はHPLC分析法で用いられる溶媒を基準にした。
*キラルHPLC分析のためにサンプル:
*フェニルグリシン、2-クロロマンデル酸、およびフェニル乳酸:非キラル分析について上記で述べたように、キラル分析のためのサンプルは先ず2倍に希釈し、プロジェクトの後期の段階で4倍に希釈した。
*(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸、4-メチルロイシン、t-ロイシン、2-メチオルフェニルグリシン:サンプルをメタノールまたはアセトニトリルで1:1に希釈した。
*各実験について、生成物の標準曲線をHPLC泳動に含ませた。前記曲線をX−Y軸上にプロットし、サンプル中の生成物の濃度はこれら曲線から計算した。
*予備的性状決定実験の場合は、酵素活性が直線相にあるようにサンプルを採取した。前記は、完全な変換ではなく反応速度に対するパラメーターの作用における相違が決定できるように実施された。サンプリング時間は本文中に含まれる表に示されている。
*表20および21に概略した方法を用いてサンプルをHPLCによって分析した。
実施例6
酵素活性および鏡像選択性に対するpHの影響の決定
酵素活性および鏡像選択性に対するpHの影響を一定範囲の種々の緩衝液で標準アッセイを実施して調べた:
0.1Mクエン酸リン酸緩衝液、pH5
0.1Mクエン酸リン酸緩衝液、pH6
0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7
Mトリス-HCl、pH8
Mトリス-HCl、pH9
サンプルは非キラルおよびキラルHPLC法によって分析し、結果例は本明細書の表5、8および11に示されている。
実施例7
酵素活性および鏡像選択性に対する温度の影響の決定
活性および鏡像選択性に対する温度の影響を、室温、38℃および55℃で標準アッセイを実施して調べた。サンプルは非キラルおよびキラルHPLC法によって分析し、結果は本明細書の表5、8および11に示されている。
実施例8
酵素活性および鏡像選択性に対する溶媒の影響の決定
酵素反応を補助溶媒の存在下でおよび二相系として実施し、水に混和性および水に非混和性溶媒の酵素に対する影響を調べた。補助溶媒の存在下では、反応は標準条件下で実施し、緩衝液をメタノールまたはイソプロパノールで置き換えた。反応物中の溶媒の最終濃度は0、10、25および40%(v/v)とした。
二相系反応もまた標準的条件下で実施し、水に混和性有機溶媒は非水相を形成した。溶媒を以下のレベルで添加した:水相の0%、10%、40%および70%(v/v)。これらの反応から得たサンプルを真空下で遠心して蒸発させ、さらにメタノールまたはアセトニトリルおよび水の50:50混合物に再度溶解させた。サンプルを非キラルおよびキラルHPLC法によって分析した。
実施例9
酵素活性および鏡像選択性に対するプロセス成分の影響の決定
活性
酵素活性に対するプロセス成分の影響を、個々の成分を酵素反応に添加することによって確認した。これらの成分には、ニトリル合成の出発物質、アルデヒド、シアン化物およびアンモニウムとともにトリエチルアミン(ニトリル合成反応に触媒量で添加される)が含まれる。前記反応物の濃度は可能なプロセス条件を想定して選択し、さらに酵素アッセイで用いられる反応物レベルに適合させた。いくつかの事例では、アルデヒドおよび生成物の可溶性は比較的低く、これらの事例では最高レベルの可溶性を反応物に最高レベルとして加え、前記のレベルの10%をより低い値として加えた。
酵素反応は標準的条件下で、1つまたは2つ以上の以下の成分を添加して実施した:ベンズアルデヒド、フェニルグリシン、フェニルアセトアルデヒド、フェニル乳酸、2-クロロベンズアルデヒド、2-クロロマンデル酸、5-ヒドロキシペンタナール、(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸、4-メチルロイシン、KCN、トリエチルアミン、NH4Cl。コントロール反応は標準条件下で添加物無しで実施した。サンプルは非キラルHPLCで分析した。

安定性
プロセス条件に対する酵素の安定性は、標準条件下での酵素活性のアッセイ前に予め定めた時間個々の反応成分の存在下で酵素をインキュベートすることによってモニターした。これらの実験では、以下の反応成分の各々の存在下で1.2mgタンパク質/mLの濃度で酵素をインキュベートした:メタノール、ベンズアルデヒド、フェニルグリシン、フェニルアセトアルデヒド、フェニル乳酸、2-クロロベンズアルデヒド、2-クロロマンデル酸、5-ヒドロキシペンタナール、(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸、KCN、NH4Cl。

アッセイ条件
個々の添加物との0、2、6および24時間インキュベーションで、50μLの酵素溶液を取り出し、50μLの基質ストック溶液を添加し、標準条件下で酵素活性をアッセイした。基質添加後、以下の時間に反応物をサンプリングした:フェニルグリシノニトリル、10分;フェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン、1時間;2-クロロマンデロニトリル、2時間。コントロール反応は緩衝液のみで酵素をインキュベートして実施した。サンプルは非キラルHPLC法で分析した。
実施例10
仮想的ヒット酵素の確認
予備的性状決定実験に続いて、仮想的ヒットとして同定された酵素を決定された至適条件下でアッセイし、高い変換が達成されたときはそれらの性能、特に鏡像選択性に関して評価した。25mMの基質を用い、本文中の含まれる表に記載したpHおよび温度条件下で酵素をアッセイした。別に記載しないかぎり、0.6mg/mLの標準的タンパク質濃度を各酵素について用いた。
実施例11
酵素反応から選択したクロマトグラフィー例
このセクションでは、各基質と生成物の組合せの代表的なクロマトグラフィー例を示し、併せてこれらの方法で遭遇したいくつかの問題および解決に関して考察される。
D-フェニルグリシン
非キラル分析では基質ピークは2.6分および3.2分で溶出することを示した(図8A−8E参照)。2つのピークはより高い濃度のニトリルを含む全てのサンプルに存在した。第二のピークはニトリルに結合した生成物であると考えられ、これは時間とともに減少し、生成物への完全な変換が生じた後は存在しなくなった。図8Aに示したクロマトグラフィー図はブランクコントロールであり、ニトリルと緩衝液のみを含んでいる。上記のセクション1で説明したように、サンプルは全て水および溶媒で希釈した。これを下記で考察するように全てのサンプルについて繰り返した。酵素反応サンプルは図8Bのクロマトグラフィー図に示され、生成物は0.4分で溶出した。
これらのクロマトグラフィー図では、0.3分で溶出する小さな溶媒フロントピークが観察される。このピークは、緩衝液中の細胞溶解物から成る陰性コントロールを泳動した図8Cに示すクロマトグラフィー図でも示されている。生成物とともに非常に小さなピークが0.4分で同時に溶出した。適切なコントロールを各実験で泳動して正確さを維持したが、このプロジェクトの初期にはこのピークは解決が難しいと考えられた。これらの実験では、細胞溶解物から生じたピーク面積(ただしそれは比較的小さいが)は、酵素反応の生成物のピーク面積から差し引いた。この分析の改良は、サンプルをさらに希釈し、より低い注入容積をHPLCで使用することによって達成された。これらの改良を加えた後、前記のピークによる干渉は、図6Cのクロマトグラフィー図に示すように最小であることが判明した。
フェニルグリシンのキラル分析は、図6Dのクロマトグラフィー図に示されている。L-鏡像体は6分で溶出し、D-鏡像体は11分で溶出した。2つの異性体間で良好な分割が得られた。しかしながら、用いたカラムは非常に感度が高く、前記カラムの特性は時間によって変化し、酸の溶出時間を変化させるように思われた。前記は適切なコントロールおよび標準物を使用することによって容易に検出されるが、D-鏡像体と一緒にニトリルピークが同時に溶出するというより大きな問題が存在した(図6Eに示すクロマトグラフィー図)。この同時溶出の原因は不明であったが、前記は適切な標準物の使用によって容易に検出された。さらに、酸のUVスペクトルは非常に特有で、同時溶出の検出に前記ツールを使用することを効果的にする。前記問題はまた移動相中のメタノール含有量を調節することによって容易に解決された。
(R)-2-クロロマンデル酸
クロロマンデル酸およびクロロマンデロニトリルのHPLC分析は、フェニルグリシンサンプルの分析に関連する多くの重要な問題を提供した。図7Aに示したクロマトグラフィー図(緩衝液中にはクロロマンデロニトリルのみを含む)から、図7Bのクロマトグラフィー図(クロロマンデル酸標準物を示す)で示されている生成物と同じ時間でピークが溶出することは明瞭である。このピークに対する細胞溶解物の関与は小さいことが判明した。このピークに関与する最大のものはクロロマンデロニトリル(その分解産物または前記ニトリル調製物中の夾雑物質として)であるように思われる。そのピーク面積は各実験を通して一定であり、生成物のピーク面積から前記のピーク面積を適切なコントロールを用いて差し引くことによって十分な正確さが得られることが判明した。HPLC条件を変更してより遅い時間に生成物ピークが溶出するように多くの試みが実施されたが、その試みは成功しなかった。図7Cのクロマトグラフィー図は、生成物の出現および基質ピークの減少を示している。
クロロマンデル酸のキラル分析はほとんど問題がなかった。(S)-鏡像異性体と同じ時間に小さなピークが溶出することがいくらか気がかりであった(図7Dのクロマトグラフィー図で2.4分のピーク)。しかしながら、このピークが全てのサンプル(ブランクコントロールを含む)に同じレベルで存在し、さらに前記はクロロマンデル酸ピークと異なるUVスペクトルをもつことが確認されるや、前記はもはや問題とみなされなかった。従って、このピークを各サンプルで2.4分に溶出するピークから差し引いた。(R)-鏡像異性体は3分で溶出した。
(S)-フェニル乳酸
フェニル乳酸の分析でもフェニルグリシンおよび2-クロロマンデル酸について考察した問題と同じ問題に最初は悩まされた。しかしながら本事例では、非キラルHPLC法で溶媒の濃度を調節することによって、酸の保持時間をシフトさせることができ、したがって細胞溶解ピークともはや同時に溶出しなくなった。この後、非キラル方法でもキラル方法でも問題は生じなかった。生成物(1.9分)およびシアノヒドリン基質(3.7分)の代表的な非キラルクロマトグラフィー図は図8Aに示されている。一方、酸のキラル分析は図8Bに示されているが、L-鏡像体は2分で反対の鏡像体は6分で溶出している。

L-2-メチルフェニルグリシン
メチルフェニルグリシンの分析では問題は生じなかったが、ただし非キラル方法は細胞溶解物ピークと生成物ピークで図9Aのクロマトグラフィー図に示すように基線分離は提供されなかった。この方法のためのアミノ酸標準物はプロジェクトに最終段階で提供され、したがって方法開発の時間を最小限に留めた。図9Aに示したクロマトグラフィー図では、アミノ酸は0.7分で溶出し、アミノニトリルは5.0分で溶出した。2つの最初のピークの間で十分な分離が得られ、およその生成物への変換を計算することができた。
本化合物のキラル分析は、図9Bのクロマトグラフィー図に示すように2つの鏡像体間の良好な分離を提供した。L-鏡像体は5分で溶出し、D-鏡像体は8分で溶出した。
L-tert-ロイシン
t-ロイシンの非キラル分析の場合、細胞溶解物はこのプロジェクトの生成物群の中でもっとも重大な問題を生じた。アミノ酸の低い分光学的特性がこの問題に輪をかけ、細胞溶解物から生成物ピークを識別することを困難にした。個々の鏡像体生成物の良好な分離は、図10Aに示したキラル分析によって得られた。予備スクリーニング中に、ある種のサンプルで小さなピークがL-アミノ酸標準物と同じ時間で溶出し(図10B参照)、アミノ酸と考えられた。しかしながら、更なる方法の開発および適切なコントロールの使用によって、このピークは実際には細胞溶解物ピークであることが確認された。
アミノニトリルは、図10Cに示すように2つのt-ロイシンピークの間に溶出し、このクロマトグラフィー図では細胞溶解物ピークは4.8分に示されている。ニトリルのUVスペクトルはアミノ酸のそれとは明瞭に異なり、酸のピークとの識別を容易にした。

L-ヒドロキシノルロイシン((S)-2-アミノ-ヒドロキシへキサン酸)
(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸のキラル分析は一定で信頼性があった。対照的に、非キラル方法は、主にニトリルと酸のピーク間で分離が認められないことの結果として多くの問題をもたらした。本プロジェクトの後半に向けて、ある方法が開発され活性の確認に用いて成功が得られた。この方法以前では大半の分析はキラル方法を用いて実施し、反応を定量するために生成物の標準曲線が作製された。(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸の代表的なクロマトグラフィー図は図11Aに示されているが、(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸は6分で溶出した。アミノニトリルはこの方法では検出されなかった。
個々の2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸の鏡像体の分離は図11Bに示されている。L-鏡像体が最初に2分で溶出し、続いてD-鏡像体が3分で溶出する。図11Cでは、ある酵素サンプルが提示されているが、わずかに懸念が示されるただ1つの領域は、L-鏡像体の溶出に先行する陰性ピークである。しかしながら、これは前記鏡像体の溶出に顕著には干渉しないようであった。方法を改良してもこの陰性ピークは排除されなかった。
4-メチル-D-ロイシンおよび4-メチル-L-ロイシン
4-メチルロイシンの検出の場合、キラルHPLC法はまた信頼性がより高いことを証明した。前記化合物に対する本方法の低い活性と低い感受性があいまって、非キラルHPLCによる検出を困難にした。2.5mMのアミノ酸標準物質が図12Aで約40mAUの高さのピークで示され、これは芳香族化合物の場合に検出されるものよりも実質的に低かった。図12Bのクロマトグラフィー図はある酵素サンプルを示すが、前記サンプルでは変換はキラルHPLC法を用いて検出された。明瞭ではないが、4-メチルロイシンピークは2.7分で溶出し、前記はピークの高さおよび面積の両方で極めて小さいようである。このピークは、キラルHPLC分析で陰性であったサンプルでは出現しなかった。
4-メチル-L-ロイシンおよび4-メチル-D-ロイシンのキラル分析は全く問題を生じなかった。L-鏡像体は5分で溶出し、D-鏡像体は7分で溶出したが、ただし、フェニルグリシンについて節(i)で述べたようにカラムに対する感受性の結果としてある程度のピークシフトが生じた。図14C−14Dのクロマトグラフィー図にはこれらのアミノ酸の分離が示されている。第一のサンプルは両方の鏡像体を生じる酵素を表し,第二のサンプルでは、酵素は優先的にL-鏡像体を加水分解し少量のD-アミノ酸を生成する。

(S)-シクロヘキシルマンデル酸
シクロヘキシルマンデル酸の標準物質(図13A)および対応するニトリル(図13B)のクロマトグラフィー図が示されている。酸は1.3分で溶出し、一方シアノヒドリンは2.5分で観察された。2.1分で溶出するピークは、この時点でのケトン標準物質の溶出によって示されるようにシクロヘキシルフェニルケトンであると考えられる。
実施例12
酵素ライブラリーによる生物触媒へのアプローチ:カルボン酸誘導体の鏡像選択的生成のためのニトリラーゼプラットホームの開発
生物触媒による反応工程は、通常の化学的方法によって達成するには骨の折れる転換反応において固有の利点を有する(C.H. Wong, G.M. Whitesides, “Enzymes in Synthetic Organic Chemistry”, Pergamon, New York, 1994; K. Drauz, H. Waldmann, S.M. Roberts, Eds., “Enzyme Catalysis in Organic Synthesis”, VCH: Weinheim, Germany, 2nd ed., 2002)。ニトリラーゼ(EC3.5.5.1)は、オルガノニトリルの穏やかな加水分解変換を促進し、対応するカルボン酸を直接生成する(M. Kobayashi, S. Shimizu, FEMS Microbiol. Lett. 1994, 120:217; A.W. Bunch, In Biotechnology, H.-J. Rehm, G. Reed, A. Puhler, P. Stadler Eds., Wiley-VCH: Weinheim, Germany, Vol8a, Chapter 6, pp277-324; M. Wieser, T. Nagasawa, In Stereoselective Biocatalysis; R.N. Patel Ed., Marcel Dekker: New York, 2000, Chapter17, pp461-486)。今日までに性状が調べられ、報告された微生物由来ニトリラーゼは15に満たない(D.B. Harper, Int. J. Biochem. 1985, 17:677; S. Levy-Schil, F. Soubrier, A.M. Crutz-Le Coq, D. Faucher, J. Crouzet, D. Peter, Gene 161:15(1995); F. Yu (1999) 米国特許5872000; M. Ress-Loschke, T. Friedrich, B. Hauer, R. Mattes, D. Engels, PCT出願WO00/23577(2000年4月))。いくつかのニトリラーゼがこれまでに単一鏡像体カルボン酸の製造のために調べられたが、実行可能な合成ツールとしてのニトリラーゼの開発にはほとんど進展はなかった。本出願は大量で多様なニトリラーゼセットの開発について開示し、重要なヒドロキシカルボン酸誘導体の効率的な鏡像選択性を触媒する酵素を同定するために本ニトリラーゼライブラリーの有用性を示す。
天然に見出される極めて多様な酵素群にアクセスするために、我々は、地球上の多様な生育地から採集した環境サンプルから直接DNAを抽出し大きなゲノムライブラリーを作製した(これらの方法については以下を参照されたい:J.M.Short, Nature Biotech. 1997, 15:1322; J. Handelsman, M.J. Rondon, S.F. Brady, J. Clardy, R.M. Goodman, Chem. Biol. 1998, 5:R245; A. Henne, R. Daniel, R.A. Schmitz, G. Gottschalk, Appl. Environ. Microbiol. 1999, 65, 3901)。我々は、未培養DNAの混合集団をスクリーニングすることにより新規な活性を同定する多様な方法を確立した(D.E. Robertson, E.J. Mathur, R.V. Swanson, B.L. Marrs, J.M. Short, SIM News 1996, 3:46; J.M. Short米国特許5,958,672 (1999); J.M. Short米国特許6,030,779 (2000))。前記のアプローチにより、200近くの新規なニトリラーゼを発見し、性状を決定した(本研究の簡潔な説明については下記の材料と方法の節を参照されたい)。全てのニトリラーゼが配列レベルで固有であることが明らかにされ、保存された触媒性3つ組、Glu-Lys-Cysを有することが示された。前記3つ組は本酵素クラスに特徴的である(H. Pace, C. Brenner, Genome Biology 2001, 2:00001.1-0001.9)。我々の研究室のニトリラーゼを各々過剰発現させ、凍結乾燥細胞溶解物として保存し、個々の触媒機能についてライブラリーの迅速な評価を容易にした。
初期の研究は、シアノヒドリンの加水分解により生成されるα−ヒドロキシ酸の生成に対するニトリラーゼの有効性に焦点を当てた。シアノヒドリンは、HCNの可逆的低下により塩基性条件下で容易にラセミ化することが十分に立証されている(M. Inagaki, J. Hirataka, T. Nishioka, J. Oda, J. Org. Chem. 1992, 57:5643; (b) van Eikeren, 米国特許5,241,087 (1993))。したがって、動的キネティック分割プロセスが可能であり、それによって酵素は選択的にの鏡像体の一方のみを選択的に加水分解し、理論的に100%の収量および高レベルの鏡像体純度でを生じる。
このタイプの重要な応用の1つは、マンデロニトリルから(R)-マンデル酸を工業的に製造することを含む(M. Ress-Loschke, T. Friedrich, B. Hauer, R. Mattes; D. Engles, PCT出願WO00/23577(2000年4月);K. Yamamoto, K. Oishi, I. Fujimatsu, K. Komatsu, Appl. Environ. Microbiol. (1991) 57:3028;T. Endo, K. Tamura, 米国特許5,296,373(1994年3月))。マンデル酸および誘導体は、多くの医薬および農薬製剤の製造で中間体および分割剤として広範囲に使用される(G.M. Coppola, H.F. Schuster, “Chiral α-Hydroxy Acids in Enabtioselective Synthesis”, Wiley-VCH: Weinheim, Germany, 1997)。しかしながら、培養生物に由来する公知のニトリラーゼで類似基質の効率的で選択的な加水分解に有用であることが判明したものはほとんどない。
Figure 0004405258
ニトリラーゼライブラリーをマンデロニトリル(3a,Ar=フェニル)のマンデル酸への加水分解における活性および鏡像選択性についてスクリーニングした。予備的な結果によれば、27の酵素が90%を越えるeeでマンデル酸を生じることが明らかになった。ある酵素(配列番号 385,386)を極めて詳細に調査し、マンデロニトリルの加水分解について非常に活性が高いことが判明した。25mMの3aおよび0.12mg/mLの酵素(10%メタノール(v/v)、0.1Mリン酸緩衝液)を37℃でpH8で用いる標準的条件下で、(R)-マンデル酸が10分以内に98%のeeで定量的に生成された。合成の有用性を確認するために、反応は1.0gの3a(50mM)および9mgのニトリラーゼ(0.06mg/mLのニトリラーゼI)を用いて実施した。3時間後に(R)-マンデル酸が高収量(0.93g、86%)および98%eeで単離された。
Figure 0004405258



表13.配列番号385-386−マンデル酸誘導体および類似体4aの触媒生成
Figure 0004405258
a:反応は標準的条件下で実施された(本文参照)。への完全な変換に要する反応時間は1−3時間であった。エントリー8−9はpH9および5mMの基質濃度で実施した。
b:比活性は5分の変換時点で測定し、μmol-1mg-1-1として表した。
c:TOF=ターンオーバー頻度、mol生成物/mol触媒/秒。
d:鏡像選択性はキラルHPLC分析で決定した。ヒドロキシ酸を単離し,絶対配置は全ての事例で(R)と決定した。
配列番号 385,386の基質の範囲を次に調べた。表13に示すように、広範囲のマンデル酸誘導体が芳香族およびヘテロ芳香族類似体()と同様にこの方法によって調製することができる。配列番号 385,386は、マンデロニトリル誘導体のオルト−、メタ−およびパラ位の芳香環置換基を許容し、タイプの生成物が高い鏡像選択性で製造された。他のより大きな芳香基、例えば1−ナフチルおよび2-ナフチルもまた活性部位内に順応し、酸をまた高い選択性で生じた(表13、エントリー8−9)。最後に、マンデル酸の3-ピリジルおよび3-チエニル類似体が本プロセスを用いて容易に製造された(表13、エントリー10−11)。これは、一連のマンデル酸誘導体およびタイプのヘテロ芳香族類似体を生じることができるニトリラーゼを示した最初の報告である。より立体的な妨害を示すオルト−置換誘導体および1−ナフチル誘導体に対する高い活性が特に注目に値する。
我々は次にアリール乳酸誘導体の対応するシアノヒドリンの加水分解による調製を調べた。フェニル乳酸および誘導体は、多数の生物学的に活性な化合物の調製のための融通のきく構築ブロックとして機能する(G.M. Coppola, H.F. Schuster, Chiral α-Hydroxy Acids in Enantioselective Synthesis; Wiley-VCH: Weinheim, Germany: 1997)。我々のニトリラーゼライブラリーを親化合物のシアノヒドリン5a(Ar=フェニル)に対してスクリーニングしたとき、高い鏡像体過剰で6aを提供するいくつかの酵素を見出した。1つの酵素、配列番号 103,104の性状をさらに調べた。最適化の後で、配列番号 103,104は、6時間で完全な変換(50mM)および非常に高い鏡像選択性(98%ee)を示して(S)-フェニル乳酸(6a)を提供することが示された。
Figure 0004405258
からへの生物触媒変換について以前に報告された最高の鏡像選択性は75%eeで、シュードモナス株を用いて完全細胞の形質転換により達成された(Y. Hashimoto, E. Kobayashi, T. Endo, M. Nishiyama, S. Horinouchi, Biosci. Biotech. Biochem. 1996, 60:1279)。
表14.ニトリラーゼII-アリール酢酸誘導体および類似体6aの触媒生成
Figure 0004405258
a:表13と同じ反応条件であるが、ただし0.016mg/mLのニトリラーゼを用いた。への完全な変換は6時間以内に観察された。
bからd:表13を参照されたい。同一のキラルHPLCのピーク溶出順序を基準にして、絶対配置はフェニル乳酸については(S)であると決定され、エントリー2−11は、(S)に帰属した。
ニトリラーゼIIはオルトおよびメタ位の置換基をよく許容し、驚くべきことにオルト置換誘導体は、親の基質5aと比較してより高い速度で変換された。新規なヘテロ芳香族誘導体、例えば2-ピリジル、3-ピリジル、2-チエニルおよび3-チエニル乳酸が高い変換および鏡像選択性で調製された(エントリー8−11)。予期に反して、パラ置換基はこれらの反応速度を大いに低下させ、完全な変換には上記の条件下で2週間以上を要した。
我々が調べた最後の変換は、容易に入手可能なプロキラル基質、3-ヒドロキシグルタリルニトリル()の非対称化(desymmetrization)であった。非対称化によって、ヒドロキシ酸(R)-(これはいったん(R)-にエステル化される)が得られ、これはコレステロール低下薬LIPITOR(商標)の製造で使用される中間体である。前記プロセスのために酵素を用いる以前に報告された試みは成功せず、は低い選択性(最高で22%ee)および所望されない(S)-配置として生成された(J.A. Crosby, J.S. Parratt, N.J. Turner, Tetrahedron: Asymmetry (1992), 3:1547; T. Beard, M.A. Cohen, J.S. Parratt, N.J. Turner, Tetrahedron; Asymmetry (1993), 4:1085; H. Kakeya, N. Sakai, A. Sano, M. Yokoyama, T. Sugai, H. Ohta, Chem. Lett. (1991) 1823)。
Figure 0004405258


ニトリラーゼライブラリーをスクリーニングし、固有の酵素を発見しこれを単離した。この酵素は、要求される(R)-を高変換(>95%)および>90%eeで提供した。(R)-特異的ニトリラーゼの1つを用い、本プロセスを1.0gのスケール(240mM、30mgの酵素、22℃、pH7)で実施し、22時間後に(R)-が98%の収量および95%eeで単離された。興味深いことには、同じスクリーニングプログラムによって、反対の鏡像体(S)-を90−98%eeで得ることができるニトリラーゼもまた同定された。したがって、生物多様性の徹底的なスクリーニングによって、中間体のいずれの鏡像体にも容易にアクセスできる、高い鏡像選択性をもつ酵素が明らかになった。我々の(R)−を提供する最初の酵素の発見によって、多様性を有する大きなニトリラーゼライブラリーにアクセスできる利点が強調される。

ヒドロキシグルタリルニトリルに対するニトリラーゼ活性の概要(予備データ)
配列番号 %ee %変換 LIPITOR(商標)
107,108 100 79 S
109,110 100 79 S
111,112 91 32 S
127,128 92 106 S
129,130 100 22 S
133,134 86 14 S
113,114 100 108 S
145,146 100 100 S
101,102 100 61 S
179,180 100 75 S
201,202 100 100 S
159,160 100 71 S
177,178 100 11 S
181,182 100 58 S
183,184 100 19 S
185,186 100 78 S
191,192 100 67 S
57,58 100 73 S
197,198 100 64 S
41,42 100 16 R
59,60 100 100 S
207,208 100 111 R
209,210 92 100 R
73,74 100 3 R
153,154 35 39
171,172 27 33
195,196 100 87 R
43,44 100 111 R
67,68 100 35 S
359,360 100 87 S

未培養DNAから作製した我々の環境ゲノムライブラリーを綿密に調べることによって、我々は大量の新規なニトリラーゼ群を発見した。この研究によって、マンデル酸およびアリール乳酸誘導体(4-シアノ-3-ヒドロキシ酪酸のいずれの鏡像体も同様に)を高い収量および鏡像体過剰で提供する特異的なニトリラーゼが明らかにされた。
方法および分析データ
ヒドロキシグルタリルニトリルはTCIアメリカから購入し標準物として用いた。アリール乳酸標準物の調製に使用したアミノ酸はペプテック(PepTech, Cambridge, MA)から購入した。(R)-3-ヒドロキシ-4-シアノ酪酸はゲートウェーケミカルテクノロジー(Gateway Chemical Technology, St. Louis, MO)から入手した。(R)-および(S)-マンデル酸並びに(R)−および(S)−フェニル乳酸標準物はシグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)から購入した。他の全ての試薬はシグマアルッドリッチから購入し、さらに精製することなく使用した。シリカゲル(70-230メッシュ、60Å)はアルドリッチから購入し、クロマトグラフィー精製に使用した。全ての1H NMRおよび13C NMRはブルーカー(Bruker)モデルAM-500で泳動し、室温、500MHzおよび125MHz(それぞれ1Hおよび13Cについて)に設定した。質量分析およびユニット質量解析はパーキンエルマーサイエックス(Perkin-Elmaer Sciex)API−4000 TURBOION(登録商標)スプレーLC/MS/MSシステムを用いてフローインジェクション分析(FIA)によって実施した。LCフローはシマズLC-10Advpポンプにより0.05%酢酸およびメタノールを用いて提供された。インジェクションはバルコ(Valco)インジェクターバルブにより実施した。HPLC分析はアジレント(Agilent)1100HPLCで、アステックキロビオッティク(Astec's Chirobiotic)Rカラム(100x4.6mm、カタログ番号13022または150x4.6mm、カタログ番号13023)を用いるか、またはダイセルキラルセル(Daicel's Chiralcel)ODカラム(50x4.6mm、カタログ番号14022)およびDAD検出装置(210、220、230および250nmに設定)を用いて実施した。比旋光度についてはパーキンエルマーモデル341旋光計を用い、589nm、Naランプ、室温に設定し、100mmのパス長のセルを使用した。比回転のための濃度はグラム/100mL溶媒で示される。微生物学的技術は刊行物に記載のプロトコルに従って実施した(J. Sambrook, E.F. Fritsch, T. Maniatis (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview NY)。グリコール酸生成物が単離され、絶対配置は、立体配置的に明らかな化合物(我々の知るところでは単一の鏡像体としては知られていない(-)-3-ピリジルグリコール酸を除く)に関する文献記載の旋光データと比較することにより、全ての事例で(R)であると決定された。(マンデル酸、2-クロロマンデル酸、2-メチルマンデル酸、3-クロロマンデル酸、3-ブロモマンデル酸および4-フルオロマンデル酸については以下を参照されたい:J.R.E. Hoover, G.L. Dunn, D.R. Jakas, L.L. Lam, J.J. Taggart, J.R. Guarini, L. Phillips, J. Med. Chem. (1974) 17(1):34-41;2−ブロモマンデル酸については以下を参照されたい:A. Collet, J. Jacques (1973) Bull. Soc. Chem. Fr. 12:3330-3331;1−および2−ナフチルグリコール酸については以下を参照されたい:I. Takahashi, Y. Aoyagi, I. Nakamura, A. Kitagawa, K. Matsumoto, H. Kitajima, K. Isa, K. Odashima, K. Koga (1999) Heterocycles 51(6):1371-88;3−チエニルグリコール酸については以下を参照されたい:S. Gronowitz (1957) Ark. Kemi, 11:519-525)。
アリール乳酸生成物については、絶対配置は文献記載の旋光データと比較することによりフェニル乳酸については(S)であると確定され、さらに他の全てのフェニル乳酸生成物については絶対配置はキラルHPLCを用いたときの溶出順序を基準に予測された。3-ヒドロキシ-4-シアノ−ブタン酸の絶対配置は、(R)-(-)-メチル(3-O-[ベンゾイル]-4-シアノ)-ブタノエートへの誘導、および立体配置的に明らかな化合物についての文献記載の旋光データとの比較によって確定された(3.T. Beard, M. A. Cohen, A. J.S. Parratt, N.J. Turner (1993) Tetrahedron: Asymm. 4(6):1085-1104)。
ニトリラーゼの発見および性状決定方法
1.ニトリラーゼ選別
大腸菌株スクリーニングホスト株、SEL700をニトリル基質によるニトリラーゼ選別のために最適化させた。10mMのMgSO4中のSELスクリーニングホストの再懸濁液(Abs600nm=1)を、スクリーニング適用範囲がライブラリーを完全に含むことができるようにカナマイシン耐性環境DNAライブラリーで37℃で45分感染させた。感染細胞(以後カナマイシン耐性と称する)をカナマイシンLBプレートに平板培養し、一晩30℃で増殖させた。感染効率を測定するためにタイタープレートも作製した。細胞をプールし、洗浄し次ぎの朝に10mMのMgSO4を用いて再懸濁した。形質転換クローンを10mMのニトリル基質を含むM9培地(窒素を含まない)に接種した。M9培地は以下から成る:1xのM9塩(NH4Clは省略)、0.1mMのCaCl2、1mMのMgSO4、0.2%グルコースおよび約10mMのニトリル選別基質。続いて選別培養を200rpmで振盪しながら30℃で5週間までインキュベートした。陽性クローンのニトリラーゼ基質を加水分解する能力によって、陽性ニトリラーゼ培養物を増殖によって識別した。増殖した陽性クローンを選別培地にストリーク培養し、続いて単離コロニーを同じ限定培地で二次培養することによって陽性クローンを単離した。続いて、再増殖を示した任意の陽性二次培養からDNAを単離し、配列を決定してニトリラーゼ遺伝子の発見を確認し、前記遺伝子の固有の特性を確認した。
2.ニトリラーゼバイオパンニング
伝統的なフィルターリフトハイブリダイゼーションスクリーニングプロトコルでは、構成が約106から107のライブラリーに限定される。1つのライブラリーをスクリーニングしようとすると約5000のフィルターリフトが必要であろう。したがって、108までの構成メンバーを含む環境ライブラリーの迅速なスクリーニングを可能にする超高処理工程のために、溶液相バイオパンニングおよび他のバイオパンニング様式を開発した。溶液様式では、多数のライブラリークローンに由来するDNAはタグを付された問題の分子とハイブリダイゼーションを促進する条件下で混合される。前記タグが付されたクローンおよびハイブリダイズしたDNAを溶液から取り出し、あるレベルのストリンジェンシーで洗浄して、前記プローブと配列同一性をもたないクローンを除去する。続いてハイブリダイズしたDNAを溶出させ回収した。問題のクローンの配列を決定し、クローニングして問題の酵素活性を提供した。この方法は、問題の配列について1回当たり1000倍まで濃縮できることが示された。
3.ハイスループットニトリラーゼ活性アッセイ
活性のアッセイは、25mM(約3mg/mL)の基質、0.1mg/mLのニトリラーゼを用い0.25mLのアッセイ溶液中で実施した。アッセイ溶液は、0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7から9)中のメタノール0-10%(v/v)および37℃または22℃の温度から成っていた。比活性は、別に指定されないかぎり変換時間5分で測定し、ユニットμmol/mg/分で表される。鏡像体過剰および変換速度は、ラセミ酸生成物の標準曲線に対して酵素生成物を比較することにより高処理HPLCで決定した。生成物に対する分析条件は以下の一覧表に示されている。
















分析方法:
Figure 0004405258









Figure 0004405258
シアノヒドリン(基質)合成
マンデロニトリル合成方法A:アセトンシアノヒドリン(685μL、7.5mmol)、アルデヒド(5mmol)および触媒性DIEA(13μL、0.075mmol)を0℃で混合した。反応物を氷上で45分攪拌した。生成物を平衡化させるために、in vacuoでアセトンを除去した。続いて、粗反応物を、H2S04(3μL)で酸性化して、-20℃で保存した。TLCを用いて反応の進行をモニターした(3:1ヘキサン/酢酸エチル(EtOAc))。

マンデロニトリル合成方法B:0℃のメタノール(1mL)中のKCN(358mg、5.5mmol)の溶液に、アルデヒド(5mmol)および酢酸(315μL、5.5mmol)を添加した。氷上で1時間攪拌した後、メタノールをin vacuoで除去し、粗混合物を酢酸エチルおよび水を用いて分配した。有機分画を保持し、in vacuoで濃縮した。TLCを用いて反応の進行をモニターした(3:1ヘキサン/EtOAc)。

アリールアセトアルデヒドシアノヒドリン:窒素ガス雰囲気下でアリール酢酸(50mmol)を50mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に500mLの二首丸底フラスコ中で溶解した。0℃に冷却したこの溶液に、激しく攪拌しながら105mmolのテキシルクロロボラン−ジメチルスルフィド(thexylchloroborane-dimethyl sulfide)(塩化メチレン中で2.55M)をゆっくりと添加した。一晩反応を進行させた。過剰な酢酸(10mL)を添加して反応を停止させ、反応物を酸性化し、続いて10mLの水を添加した。室温で1時間攪拌した後、溶媒をin vacuoで除去し、残留物を100mLの水に溶解し、200mLのEtOAcで抽出した。前記EtOAc層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過してからin vacuoで濃縮した。続いて、60mmolのKCN、その後100mLのメタノールを前記残留物に添加した。続いて溶液を0℃に冷却し、酢酸(60mmol)を添加した。KCNが全て溶解した後、反応物を1−2時間攪拌した。溶媒をin vacuoで除去し、残留物を100mLの水および200mLのEtOAcに溶解させた。水相をEtOAcでもう一回抽出した。一緒にしたEtOAc抽出物を飽和ブラインで洗浄して硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過してからin vacuoで濃縮し、粗シアノヒドリン生成物を得た。必要な場合には、前記シアノヒドリンをシリカゲルカラム(ヘキサン/EtOAc)で精製した。
2-クロロマンデルニトリル: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.69 (m, 1H), 7.41 (m, 1H), 7.36 (m, 2H), 5.84 (s, 1H), 3.07 (br, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 132.89, 132.73, 131.22, 130.19, 128.48, 127.84, 118.24, 60.87. MS [C8H6ClNO]に対する計算値 167.01 実測値167.9 (LC-MS +).

2-ブロモマンデルニトリル: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.72 (d, 1H, J= 6.58), 7.62 (d, 1H, J= 8.35), 7.43 (t, 1H, J= 8.42), 7.30 (t, 1H, J= 7.00), 5.85 (s, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ134.550, 133.584, 131.564, 128.819, 128.535, 122.565, 118.153, 63.379.

2-メチルマンデルニトリル: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 7.60 (d, 1H, J = 7.4), 7.23-7.35 (m, 3H), 5.66 (s, 1H), 2.44 (s, 3H). 13C NMR (CDCl3, 298 K, 125 MHz) δ: 136.425, 133.415, 131.450, 130.147,127.204, 126.894, 118.952, 18.916. MS [C9H9NO]に対する計算値 147.07, 実測値 147.2 (ESI +).

3-クロロマンデルニトリル: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.55 (s, 1H), 7.43-7.37 (m, 3H), 5.54 (s, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 137.183, 135.480, 130.718, 130.303,127.047, 124.891, 118.395, 63.156. MS [C8H6ClNO]に対する計算値 167.01 実測値 167.9 (LC-MS +).
3-ブロモマンデルニトリル: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.69 (s, 1H), 7.56 (d, J= 6.2 Hz, 1H), 7.45 (d, J= 5.5Hz, 1H), 7.32 (t, J= 6.4. Hz, 1H), 5.53 (s, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 137.376, 133.201, 130.934, 129.208,125.359, 123.380, 118.458, 63.006. MS [C8H6BrNO]に対する計算値 212.0 実測値211.9 (LC-MS +).

4-フルオロマンデルニトリル: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 5.54 (s, 1H), 7.13 (m, 2H), 7.51-7.53 (m, 2H), 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 63.02, 116.44, 118.97, 128.90, 131.54, 132.51, 162.575.

4-クロロマンデルニトリル: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.47 (d, J= 7.0 Hz , 2H), 7.42 (d, J= 7.0 Hz , 2H), 5.53 (s , 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 136.209, 133.845, 129.647, 128.232, 118.630, 63.154. MS [C8H6ClNO]に対する計算値 167.01 実測値 167.9 (LC-MS +)
1-ナフチルシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.14 (d, 1H, J = 8.5), 7.92 (t, 2H, J = 6.1), 7.82 (d, 1H, J = 5.7), 7.62 (t, 1H, J = 6.1), 7.56 (t, 1H, J = 6.1), 7.50 (t, 1H, J = 6.1), 6.18 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 137.0, 135.7, 134.2, 131.1, 129.2, 127.5, 126.7, 125.8, 125.3, 123.1, 119.0, 62.4; MS [C12H9O]に対する計算値 183.21, 実測値 183.2 (ESI +).

2-ナフチルシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.03 (s, 1H), 7.92 (d, 1H, J = 8.6), 7.87-7.91 (m, 2H), 7.61 (dd, 1H, J = 6.7, 1.2), 7.55-7.60 (m, 2H), 5.72 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 134.9, 133.9, 132.7, 129.6, 128.6, 128.0, 127.4, 127.2, 126.4, 123.9, 118.9, 64.1; MS [C12H9O]に対する計算値 183.21, 実測値 183.2 (ESI +).

3-ピリジルシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ: 8.62 (d, 1H, J = 1.8), 8.57 (d, 1H, J = 5.1), 7.94 (d, 1H, J = 8.1), 7.41 (dd, 1H, J = 8.1, 5.1), 5.64 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 149.921, 147.355, 135.412, 133.044, 124.443, 118.980, 61.085. MS [C7H6N2O]に対する計算値 134.05, 実測値 135.2 (ESI +).

3-チエニルシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.45 (d, J = 2.2 Hz 1H), 7.56 (dd, J = 6.2 Hz, 1H), 7.45 (d, J= 5.5Hz, 1H), 7.32 (t, J= 6.4. Hz, 1H), 5.53 (s, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 137.376, 133.201, 130.934, 129.208,125.359, 123.380, 118.458, 63.006. MS [C6H5NOS]に対する計算値 139.01 実測値 139.9 (LC-MS +).

フェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.34 (m, 5H), 4.64 (t, J = 6.75 Hz, 1H), 3.11 (d, J = 6.75 Hz, 2H), 2.75 (br, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 133.96, 129.91, 129.16, 128.08, 119.47, 62.33, 41.55.

2-メチルフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.11 (m, 4H), 4.61 (t, J = 6.62 Hz, 1H), 3.12 (d, J = 6.62 Hz, 2H), 2.14(s, 3H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 136.94, 136.47, 132.57, 130.48, 127.61, 125.75, 120.11, 62.95, 44.73 MS [C10H11NO]に対する計算値: 161.08, 実測値 162.2 (M+Na, ESI +)

2-ブロモフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.20 (m, 4H), 4.78 (t, J = 6.5 Hz, 1H), 3.26 (d, J = 6.5 Hz, 2H). 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 133.93, 132.82, 131.72, 129.21, 128.12, 124.86, 119.41, 63.02, 44.89.

2-フルオロフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.2 (m, 2H), 7.02 (m, 2H), 4.50 (dd, J = 4.62 Hz, J = 7.88 Hz, 1H), 3.23(dd, J = 4.62 Hz, 1 J = 14.12 Hz, 1H), 2.97 (dd, 7.88 Hz, 14.12 Hz, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 132.18, 131.52, 129.66, 129.03, 128.07, 124.05, 115.8, 63.02, 44.79 MS [C9H8FNO]に対する計算値 165.06, 実測値 164.2 (ESI +).

3-メチルフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.18 (m, 1H), 7.02 (m, 3H), 4.54 (dd, J = 4.62 Hz, J = 8 Hz, 1H), 3.06 (dd, J = 4.62 Hz, J = 14.38 Hz, 1H), 2.83(dd, J = 8 Hz, J = 14.38 Hz, 1H), 2.36 (s, 3H) 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 176.25, 138.18, 136.0, 130.97, 128.93, 127.68, 126.58, 76.42, 34.29, 37.69 MS [C10H12O3]に対する計算値 180.08, 実測値 180.0 (ESI +).
3-フルオロフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.18 (m, 2H), 6.95 (m, 2H), 4.44 (dd, 1H), 3.11(dd, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 130.40, 125.53, 124.85, 116.92, 114.87, 114.50, 119.77, 61.97, 41.27.

1-ナフチルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.07(m, 1H), 7.86(m, 1H), 7.74(m, 1H), 7.41(m, 4H),4.20 (t, J = 7 Hz, 1H), 3.33 (d, J = 6.8 Hz, 2H) 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 177.7, 140.31, 129.74, 129.24, 128.92, 128.26, 127.84, 125.63, 124.53, 124.05, 123.42, 70.58, 38.0 MS [C13H11NO]に対する計算値 197.08, 実測値 197.1 (ESI +).

2-ピリジルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.50 (m, 1H), 7.85 (m, 1H), 7.48 (m, 1H), 7.34 (m, 1H), 4.42 (m, 1H), 3.19 (dd, J = 3.5 Hz, J = 13.7 Hz, 2H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 157.44, 145.69, 140.24, 126.96, 126.16, 122.99, 60.30, 42.60 MS [C8H8N2O]に対する計算値 148.06, 実測値 149.1 (ESI +).

3-ピリジルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.62 (d, 1H, J = 1.8), 8.57 (d, 1H, J = 5.1), 7.94 (d, 1H, J = 8.1), 7.41 (dd, 1H, J = 8.1, 5.1), 5.64 (s, 1H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ: 149.921, 147.355, 135.412, 133.044, 124.443, 118.980, 61.085. [C7H6N2O]に対する正確な質量計算値: 134.05, 実測値: 135.2 (ESI +).

2-チエニルアセトアルデヒドシアノヒドリン:1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.1 (m, 1H), 6.9 (m, 1H), 6.8 (m, 1H), 4.11 (t, J = 7.0Hz, 1H), 2.86 (d, J = 7.0Hz, 2H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 127.68, 127.41, 125.58, 124.60, 118.70, 63.25, 44.84.

3-チエニルアセトアルデヒドシアノヒドリン: 1H NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 7.09 (m, 3H), 4.60 (t, J = 6.25Hz, 1H), 3.12 (d, J = 6.25Hz, 2H). 13C NMR (CDCl3, 125 MHz) δ 129.05, 127.16, 125.27, 122.65, 119.87, 61.58, 44.90.
対応するシアノヒドリンからのラセミ化マンデル酸標準品の調製: (Stoughton, R.W. J. Am. Chem. Soc. 1941, 63, 2376) 2-ブロモマンデロニトリル (230mg, 1.08 mmol)を濃HCl(1mL)に溶解し、室温にて18時間撹拌し、次に70℃にて24h撹拌した。冷却した後、反応混合物をジエチルエーテル(4x 2ml)で抽出した。有機抽出物を合わせ、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。2-ブロモマンデル酸を無色の粉末として単離した (180mg, 0.78 mmol, 70%収率)。

対応するアミノ酸からのラセミ化アリール乳酸標準品の調製:フェニルアラニン (10 mmol, 1.65g)を30mlの2N H2SO4に室温にてN2(g)雰囲気下で溶解した。亜硝酸ナトリウム(1.4 g、3ml水性溶液, 2当量)溶液を反応混合物に、激しく撹拌しながら、N2(g)雰囲気下、室温にて3〜4時間かけてゆっくりと添加した。反応混合物を一晩撹拌し、フェニル乳酸産物をジエチルエーテル中に抽出した(3x30ml)。合わせたエーテル抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。(Kenji, I.; Susumu, A.; Masaru, M.; Yasuyoshi, U.; Koki, Y.; Koichi, K. Patent Number, WO0155074, 発行日: 2001-08-02.)。

α-ヒドロキシ酸の酵素的調製のための一般的方法:
(R)-(-)-マンデル酸: N2(g)でパージしておいた、10%メタノールを含む150mlのリン酸ナトリウム(100mM)バッファー、pH8中のマンデロニトリル(1.005 g, 7.56 mmol)の溶液へ、37℃にて9mgのニトリラーゼ1(ニトリラーゼ含量について正規化したもの)を添加した。反応はN2(g)下で、回転シェーカー上で行った。反応の進行はHPLC分析のために少量を分取してモニターした。3時間後、反応混合物を1NのHClでpH2に酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した(4 x 50 ml)。有機画分を真空中で濃縮し、残渣を10%炭酸水素ナトリウム溶液中に取り出した。次にこの水性溶液をジエチルエーテルで洗浄し(3x 50ml)、次に1N HClでpH2に酸性化し、ジエチルエーテルで抽出した(3x 50ml)。有機画分を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過紙、真空中で乾燥させた。(R)-(-)-マンデル酸(933mg, 6.22mmol)を着色粉末として86%の収率で得た。1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 12.6 (br, s, 1H) 7.41 (m, 2H), 7.34 (m, 2H), 7.28 (m, 1H), 5.015 (s, 1H). 13C NMR DMSO-d6, 125 MHz) δ 174.083, 140.216, 128.113, 127.628, 126.628, 72.359. MS [C8H8O3]に対する計算値 150.07, found 150.9 (ESI +); ee = 98% [HPLC]. [α]20 598 = -134.6 (c = 0.5, メタノール)。
(-)-2-クロロマンデル酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.75 (m, 1H), 7.44 (m, 1H), 7.34 (m, 2H), 5.34 (s, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 173.070, 137.985, 132.105, 129.399, 129.158, 128.705, 127.235. MS [C8H7ClO3]に対する計算値 186.0, 実測値 185.0 (LC-MS -). ee = 96% [HPLC]. 92% 収率. [α]20 598 = -137.6 (c= 0.5, エタノール).

(-)-2-ブロモマンデル酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.60 (d, J = 7.93, 1H), 7.48 (m, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.25 (m, 1H), 5.30 (s, 1H). 13C NMR DMSO-d6, 125 MHz)δ 172.994, 139.61, 132.355, 129.652, 128.753, 127.752, 122.681, 71.644. MS [C8H7BrO3]に対する計算値 230.0, 実測値 230.9. ee = 96% [HPLC]. 92% 収率. [α]20 598 = -116.4 (c= 0.5, エタノール).

(-)-2-メチルマンデル酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 11.78 (bs, 1H) 7.38 (m, 1H), 7.16-7.38 (m, 3H), 5.18 (s, 1H), 2.35 (s, 3H). 13C NMR DMSO-d6, 125 MHz) δ 174.229, 138.623, 135.649, 130.129, 127.491, 126.990, 125.698, 125.698, 69.733, 18.899. MS [C9H10O3]に対する計算値 166.1, 実測値 165.2. ee = 91% [HPLC]. 86% 収率. [α]20 598 = -164.4 (c = 0.5, エタノール).

(-)-3-クロロマンデル酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.46 (s, 1H), 7.36 (m, 3H), 5.07 (s, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 173.554, 142.685, 132.813, 130.069, 127.568, 126.355, 125.289,71.659. MS [C8H7ClO3] に対する計算値186.0, 実測値 185.34 (MALDI TOF -). ee = 98% [HPLC]. 70% 収率. [α]20 598 = -120.4 8 (c= 0.5, メタノール).
(-)-3-ブロモマンデル酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.60 (s, 1H ), 7.49 (m, 1H), 7.42 (m, 1H), 7.31 (m, 1H), 5.06 (s, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 173.551, 142.917, 130.468, 130.379, 129.237, 125.687, 121.404, 71.605. MS [C8H7BrO3]に対する計算値 229.98, 実測値 229.1 (LC-MS). ee = 98% [HPLC]. 82% 収率. [α]20 598 = -84.8 (c= 0.5, エタノール).

(-)-4-フルオロマンデル酸: 1H NMR (DMSO, 298K, 500MHz) δ 12.65 (s, 1H), 7.44 (m, 2H), 7.17 (m, 2H), 5.91 (s, 1H), 5.03 (s, 1H) 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 173.93, 162.57, 136.47, 128.61, 128.55, 114.96, 114.80, 71.61. MS [C8H7FO3]に対する計算値 170.0, 実測値 168.8. ee = 99% [HPLC]. 81% 収率. [α]20 598 = -152.8 (c= 0.5, メタノール).

(-)-1-ナフチルグリコール酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 8.28-8.26 (m, 1H), 7.87-7.93 (m, 2H), 7.47-7.58 (m, 4H), 5.66 (s, 1H). 13C NMR DMSO-d6, 125 MHz) δ 174.288, 136.284, 133.423, 130.654, 128.353, 128.192, 125.926, 125.694, 125.613, 125.266, 124.558, 70.940. MS [C12H10O3]に対する計算値: 202.21 実測値 201.37 (MALDI TOF -). ee = 95% [HPLC]. 90% 収率 [α]20 598 = -115.4 (c = 0.5, エタノール).

(-)-2-ナフチルグリコール酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 12.6 (bm, 1H), 7.88-7.93 (m, 4H), 7.48-7.56 (m, 3H), 5.20 (s, 1H). 13C NMR DMSO-d6, 125 MHz) δ 174.005,137.760,132.644,132.498, 127.811, 127.658, 127.506, 127.209, 125.993, 125.334, 124.761, 72.472. MS [C12H10O3]に対する計算値 202.21, 実測値 201.37 (MALDI TOF). ee = 98% [HPLC]. 68% 収率. [α]20 598 = -115.4 (c = 0.5, エタノール).
(-)-3-ピリジルグリコール酸: この反応は100mMギ酸アンモニウム、pH8バッファー注で行った。生成物を単離するため、反応混合物を10,000 MWCO 膜でろ過し、酵素を除去し、真空中で濃縮した。1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 8.56 (s, 1H), 8.36 (d, J = 4.57 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H), 7.71 (m, 1H), 7.25 (dd, J = 4.98, 4.80 Hz 1H), 5.45 (s, 1H). 13C NMR DMSO-d6, 125 MHz) δ 165.911, 147.862, 147.251, 139.118, 133.381, 122.746, 71.508. MS [C7H7NO3]に対する計算値 153.04, 実測値 154.0 ((MALDI TOF). ee = 92% [HPLC], 84% 収率, [α]20 598 = -65.2 (c = 0.5, H2O).

(-)-3-チエニルグリコール酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.48 (m, 1H), 7.45 (d, J= 2.81, 1H,), 7.10 (m, 1H), 5.09 (s, 1H), 3.33 (s, 1H) 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 173.704, 141.109, 126.446, 126.042, 122.247, 68.915 MS [C6H6O3S]に対する計算値 158.00, 実測値 157.224 (MALDI TOF). ee = 95% [HPLC]. 70% 収率. [α]20 598 = -123.2 8 (c= 0.5, メタノール).

(S)-(-)-フェニル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.28(m, 5H), 4.17(dd, J = 4.5 Hz, J = 8.3 Hz, 1H), 2.98(dd, J = 4.5 Hz, J = 13.7 Hz, 1H), 2.79 (dd, J = 8.3 Hz, J = 13.7 Hz, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 178.16, 133.4, 129.27, 128.6, 127.3, 70.45, 44.12. ee = 97% [HPLC], 84% 収率. [α]20 598 = -17.8 (c= 0.5, メタノール).

(-)-2-メチルフェニル乳酸 : 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.16 (m, 4H), 4.47 (dd, J = 3.9 Hz, J = 8.8 Hz, 1H), 3.25(dd, J = 3.9Hz, 14.3 Hz, 1H), 2.94 (dd, J = 8.8 Hz, J = 14.3Hz), 2.35(s, 3H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 178.61, 137.08, 134.74, 130.80, 130.25, 127.44, 126.34, 70.93, 37.67, 19.79. MS [C10H12O3]に対する計算値 180.08, 実測値 180.0 (ESI +). 86% 収率. ee = 95% [HPLC]. [α]20 598 = -13.2 (c= 0.5, メタノール).
(-)-2-ブロモフェニル乳酸 :1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.28 (m, 4H), 4.60(dd, J = 4.0 Hz, J = 9.1 Hz, 1H), 3.45(dd, J = 4.0 Hz, J = 14.1 Hz, 1H), 3.04(dd, J = 8.0 Hz, J = 14.1 Hz, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 178.70, 136.05, 133.21, 132.10, 128.99, 127.72, 125.0, 70.04, 40.76. MS [C9H9BrO3]に対する計算値 243.9, 実測値 243.3 (ESI +). 91% 収率. ee = 93% [HPLC], [α]20 598 = -17.6 (c= 0.5, メタノール)

(-)-2-フルオロフェニル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.10 (m, 4H), 4.64 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 3.11(d, J = 6.8 Hz, 2H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 132.18, 131.52, 129.66, 129.03, 128.07, 124.05, 115.8, 63.02, 44.79. MS [C9H8FNO]に対する計算値: 165.06, 実測値 164.2 (ESI +). 91% 収率. ee = 88% [HPLC]. [α]20 598 = -14.0 (c= 0.5, メタノール).

(-)-3-メチルフェニル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.18 (m, 1H), 7.02 (m, 3H), 4.54 (dd, J = 4.6 Hz, J = 8.0 Hz, 1H), 3.06(dd, J = 4.54 Hz, J = 14.4 Hz, 1H), 2.83(dd, J = 8.0 Hz, J = 14.4 Hz, 1H), 2.36 (s, 3H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 175.88, 163.80, 130.33, 130.09, 125.7, 116.68, 113.75, 71.31, 34.28. MS c [C10H11NO]に対する計算値 161.08, 実測値 162.2 (ESI +). 80% 収率. ee = 98% [HPLC]. [α]20 598 = -2.4 (c= 0.5, メタノール).

(-)-3-フルオロフェニル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.2 (m, 1H), 6.9 (m, 3H), 4.56 (dd, 4.5 Hz, J = 7.9 Hz, 1H), 3.09(dd, J = 4.5 Hz, J = 14.1 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 7.9 Hz, J = 14.1 Hz, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 175.88, 163.80, 130.33, 130.09, 125.7, 116.68, 113.75, 71.31, 34.28. MS [C9H9O3F]に対する計算値 184.05, 実測値 184.1 (ESI +). 82% 収率. ee = 97% [HPLC]. [α]20 598 = -5.2 (c= 0.5, メタノール).
(-)-1-ナフチル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 8.57 (m, 1H), 8.21(m, 1H), 8.08 (m, 1H), 7.61 (m, 4H), 4.64 (dd, 3.5 Hz, 8.5 Hz, 1H), 3.84 (dd, J = 3.5 Hz, J = 14.5 Hz, 1H), 3.38 (dd, J = 8.5 Hz, J = 14.5 Hz, 1H) 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 177.7, 140.31, 129.74, 129.24, 128.92, 128.26, 127.84, 125.63, 124.53, 124.05, 123.42, 70.58, 38.0. MS [C13H11NO]に対する計算値 197.08, 実測値 197.1(ESI +). 87% 収率. ee = 94% [HPLC]. [α]20 598 = -16.2 (c= 0.5, メタノール).

(-)-2-ピリジル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 8.49 (m, 1H), 7.62 (m, 1H), 7.21 (m, 2H), 4.50 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 3.01 (d, J = 5.0 Hz, 2H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125 MHz) δ 178.8, 159.79, 148.84, 136.89, 124.35, 121.75, 71.14, 44.09. MS [C8H9NO3]に対する計算値: 167.06, 実測値 167.0. (ESI +). 62% 収率. ee = 94% [HPLC], [α]20 598 = -3.6 (c= 0.5, メタノール).

(-)-3-ピリジル乳酸:1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 8.43(m, 2H), 7.62(m, 1H), 7.28(m, 1H), 4.57(t, 5.37Hz, 1H), 2.85(d, 5.37Hz, 2H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125 MHz) δ 176.6, 150.03, 147.12, 136.41, 129.45, 123.26, 61.56, 31.46 MS [C8H9NO3]に対する計算値 167.06, 実測値 167.0 (ESI +). 59% 収率. ee = 94% [HPLC]. [α]20 598 = -4.0 (c = 0.5, メタノール).

(-)-2-チエニル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.18(m, 1H), 6.94(m, 1H), 6.90 (m, 1H), 4.49 (dd, J = 4.1 Hz, J = 6.25 Hz, 1H), 3.36 (dd, J = 4.1 Hz, J = 15.0 Hz, 1H), 3.26(dd, J = 6.25 Hz, J = 15.0 Hz, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 127.68, 127.41, 125.58, 124.60, 118.70, 63.25, 44.84. MS [C7H7NOS]に対する計算値 153.02, 実測値 153.0 (ESI +). 85% 収率. ee = 95% [HPLC]. [α]20 598 = -13.0 (c= 0.5, メタノール).

(-)-3-チエニル乳酸: 1H NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 7.30(m, 1H), 7.13(m, 1H), 7.01(m, 1H), 4.50 (dd, J = 4.25 Hz, J = 6.5 Hz, 1H), 3.21(dd, J = 4.25 Hz, J = 15.0 Hz, 1H), 3.10 (dd, J = 6.5 Hz, J = 15.0 Hz, 1H). 13C NMR (DMSO, 298K, 125MHz) δ 127.50, 136.09, 128.83, 126.24, 123.32, 70.65, 34.84. MS [C7H8O3S]に対する計算値 172.02, 実測値 172.1 (ESI +). 81% 収率. ee = 96% [HPLC]. [α]20 598 = -18.8 (c= 0.5, メタノール).
3-ヒドロキシグルタリルニトリルの酵素加水分解
3-ヒドロキシグルタリルニトリル(1.0g,9.0mmol,240mM)を窒素ガスでパージしたリン酸ナトリウム緩衝液(37.5mL,pH7,100mM)に室温で懸濁した。細胞溶解物(30mg,ニトリラーゼ含有量を標準化)を添加し0.8mg/mLの酵素濃度にし、100rpmで振盪しながら室温で反応を実施した。反応の進行はTLC(1:1EtOAc:ヘキサン、Rf=0.32,ニトリル;Rf=0.00,酸)でモニターした。22時間後、反応物を1MのHClで酸性化した。反応混合物をジエチルエーテルで連続して抽出した。酸生成物を黄色の油として単離した(1.15g,98%収量)。1H NMR(DMSO,298K,500MHz)δ 12.32(s,1H),5.52(s,1H),4.10(m,1H),2.70(dd,1H,J=16.8,4.1Hz),2.61(dd,1H,J=16.9,6.3Hz),2.44(dd,1H,J=15.4,5.3Hz),2.37(dd,1H,J=15.6,7.8Hz).13C NMR(DMSO,298K,125MHz)δ 171.9,118.7,63.4,41.2,25.2.[C5H7NO3]の計算によるMSは129.0,測定値は130.0[M+H+](ESI+).

(R)-(-)-メチル(3-O-[ベンゾイル]-4-シアノ)-ブタノエートの調製:
塩化ベンゾイル(0.068mL,0.752mmol)をピリジン(2.0mL)中の(R)-メチル-(3-ヒドロキシ-4-シアノ)-ブタノエート(71.7mg,0.501mmol)の攪拌溶液に室温で添加した。19時間後、さらに0.5当量の塩化ベンゾイル(0.023mL,0.251mmol)を添加した。TLCで判定したとき反応は23時間で完了した。1mLのH2Oを添加し、エーテルで抽出する(3x10mL)。ブラインで洗浄し(2x10mL)、一緒にした水性抽出物をMgSO4で乾燥させる。乾燥剤をろ過して除き、回転エバポレーターで溶媒を除去する。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル(2:1))で精製する。分画を回転蒸発させて黄色の油として生成物を得る(46mg,0.186mmol,37%)。1H NMR(DMSO,289K,500MHz)δ 7.96(d,2H,J=7.8)7.70(t,1H,J=7.25),7.56(t,2H,J=7.8),5.55(m,1H),3.59(s,3H),3.13(m,2H),2.90(m,2H).13C NMR(DMSO,298K,125MHz)δ 169.6,164.5,133.8,129.3,128.9,128.5,117.3,66.0,51.8,37.5,22.2.[C13H13NO4]の計算によるMSは247.25,測定値は270.3[M+Na+].ee=95% [HPLC],[α]20 598=-32.4(c=0.5,CHCl3).

(R)-エチル-(3-ヒドロキシ-4シアノ)-ブタノエートの合成
無水エタノール(1.94mL)中の(R)-3-ヒドロキシ-4-シアノブタン酸(50mg,0.387mmol)の0.2M溶液を調製した。前記エタノール溶液を1MHCl無水エーテル溶液と無水エタノールの50:50(v/v)混合物1.0mLに1滴ずつ篩上で添加した。前記反応物を窒素ガス雰囲気下で室温で一晩攪拌した。反応はTLC(1:1EtOAc:ヘキサンRf=0.45,エステル;Rf=0.00,酸,p-アニスアルデヒドで染色)でモニターした。30時間後、溶媒を回転蒸発によって除去した。粗生成物を25mLのエーテルに加え、5mLの飽和重炭酸塩で、続いて5mLのブラインで洗浄した。有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過してからin vacuoで濃縮し、透明な油として生成物を得た。1H NMR(DMSO,289K,500MHz)δ 5.60(d,1H,J=5.58Hz),4.12(m,1H),4.07(q,2H,J=7.1),2.66(m,2H),2.47(m,2H),1.87(t,3H,J=7.0).13C NMR(DMSO,298K,125MHz)δ 170.21,118.60,63.40,59.98,41.10,25.14,14.02.[C7H11NO3]の計算によるMSは157.1,測定値は158.2[M+H+].
実施例13:(R)-2-クロロマンデル酸の鏡像選択的生成のためのニトリラーゼの最適化
クロロマンデル酸は以下の構造を有する:






Figure 0004405258
(R,S)-2-クロロマンデロニトリルから(R)-2-クロロマンデル酸を選択的に生成するニトリラーゼを同定した。酵素の鏡像選択性を改善するために有用なニトリラーゼを同定し、その酵素に対するプロセス条件の影響を確定した。生成物の鏡像過剰を改善するために、酵素によるニトリルの加水分解のための反応条件を調べた。さらにまた、酵素に対するプロセス条件の影響についての更なる実験を実施した。
Figure 0004405258
本実施態様では、(R)-2-クロロマンデル酸の鏡像選択的生成が目標であった。一つの酵素、配列番号 385, 386を2-クロロマンデロニトリルに対するその鏡像選択性の更なる確認のために選択した。配列番号 385, 386はプロセス成分に対して安定で、8時間の半減期を有することが示された。酵素は、2-クロロベンゾアルデヒドおよびシアノヒドリン基質中の夾雑物質、2-クロロ安息香酸によって阻害された。酵素反応を45mMの2−クロロマンデロニトリルの基質濃度までスケールアップした。90%を越える変換が、ee97%で達成された。キラルHPLC法を改善し、基質中に存在する夾雑物のピークを除去した。鏡像選択性の決定における正確性の改善が本方法によって達成された。
2-クロロマンデロニトリルに対してニトリラーゼをスクリーニングし、31のニトリラーゼが前記基質に対して活性を示した。9つの酵素が高い鏡像選択性を示した。これらの酵素のうちの5つの最適化を実施し、そのうちの1つを次の開発段階の候補として同定した。
(R)-2-クロロマンデル酸のために選択した酵素の鏡像選択性を改善するために、本特性に影響を与えることが判明している多数の因子を、酵素の活性と一緒に調べた。これらの因子にはpH、温度、緩衝液濃度および反応物への溶媒の添加が含まれる。先ず初めに、得られる高い鏡像選択性を基準にして5つのニトリラーゼをこれらの調査のために選択した。選択した酵素は以下のとおりである:配列番号 385,386、配列番号 197,198、配列番号 217,218、配列番号 55,56、および配列番号 167,168。
pHの影響
酵素反応はpH5から9のpH範囲で実施した。pHの増加にしたがって活性および鏡像選択性の両方の増加が全ての酵素について観察された。配列番号 385,386を除いて、pH9(0.1Mトリス−HCl緩衝液)は活性および鏡像選択性について最適であると判定された。配列番号 385,386のための至適pHはpH8(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液)であった。
温度の影響
酵素は類似の温度プロフィルを示し、最高の活性は37℃および45℃で測定された。ただし後者の温度でより高い変換が示されたが、ほとんどの酵素で鏡像選択性は低い方の温度が明瞭に好ましく、温度が37℃を越えるとee値は10−20%低下した。配列番号 385,386の場合、鏡像選択性は37℃でわずかに最適であった。したがって、37℃をこれらの酵素による2-クロロマンデロニトリルの加水分解のために最適であると確定した。
酵素濃度の影響
フェニルアセトアルデヒドシアノヒドリンのL-フェニル乳酸への鏡像選択的加水分解について同時に検討している最中に、反応物中の酵素の濃度が反応の鏡像選択性に対して重大な影響を有することが見出された。このことは、酵素による加水分解の速度は,反応物中の残存するシアノヒドリンのラセミ化速度より速いことを示唆した。このため、(R)-2-クロロマンデロニトリルへの酵素の鏡像選択性に対する酵素濃度の影響を調べた。酵素反応は、標準的酵素濃度(0.6mgタンパク質/mL)、標準濃度の半分および標準濃度の1/10で実施した。
以下の表は、反応で達成された最高の変換を対応するeeと併せて示している。配列番号 385,386を除いて、存在するとしても極めてわずかしか鏡像選択性の増加は観察されないようである。したがって、残存するクロロマンデロニトリルのラセミ化の速度は、より高い鏡像選択性を得るための制限因子ではないように思われる。
(R)-2-クロロマンデル酸の生成におけるニトリラーゼ活性および鏡像選択性に対する酵素濃度の影響
Figure 0004405258
他の陽性酵素の調査
上記の表の酵素の他に、多数の他のニトリラーゼを2-クロロマンデロニトリルに対するそれらの鏡像選択性についてスクリーニングした。前記酵素のいくつかは新規に発見された酵素であった。いくつかについては、これら酵素に最適であることが判明した条件(pH8および37℃)下で再度調べた。このスクリーニングの結果は下記の表に示されている。



2-クロロマデロニトリルに対して活性および鏡像選択性スクリーニングを実施した酵素の概要
Figure 0004405258
共存溶媒濃度の影響
酵素反応物に共存溶媒としてメタノールを添加することによってeeを高めることができることが示された。反応物に添加できる最低濃度のメタノールを決定するために、種々の濃度(0−20%(v/v))で酵素反応を実施した。鏡像選択性における顕著な相違は種々のメタノール濃度間で明瞭ではなかった。しかしながら、これらの反応でのeeは97−98%であったが、コントロール反応(メタノールの添加無し)のeeは95−96%であった。eeにおけるこの相違は小さなものだが、メタノールの前記影響はこの実験中に2つ以上の試験で示されたので、したがって有意なものとみなすことにした。
配列番号 385,386の活性に対する反応成分の影響
酵素のプロセス最適化についての解明の重要な部分は、酵素反応物に存在する可能性がある化合物の全ての影響を決定することを含む。配列番号 385,386の場合、これらの成分は出発物質並びに、シアノヒドリンの平衡生成物(2-クロロベンゾアルデヒド)、生成物(2-クロロマンデル酸)および基質中に検出される夾雑物質(2-クロロ安息香酸)であると確認された。反応物へのシアン化物の添加は酵素活性に影響を与えないことが判明した。微量のトリエチルアミンの存在もまた酵素にとって許容できることが判明した。
配列番号 385,386の活性に対する種々の反応成分の影響は、種々のレベルの可能な阻害物質を酵素反応に添加することによって判定した。これらの実験から、アルデヒドおよびその酸化生成物(2-クロロ安息香酸)の両者が酵素活性に対して有害のようであった。配5mMの2-クロロベンゾアルデヒドまたは5mMの2-クロロ安息香酸の反応物への添加で列番号 385,386の活性のそれぞれ約70%および40%が失われた。
2-クロロマンデロニトリルの加水分解のスケールアップ
(R)-2-クロロマンデル酸の生成について配列番号 385,386によって得られる変換および鏡像選択性を確認するために、より大きなスケールの反応を実施し、水性混合物から生成物を単離した。前記反応を20mLの反応容積で実施し、45mMの基質濃度で2-クロロマデロニトリルを使用した。シアノヒドリンの完全な変換が得られ30mMの生成物が形成された。生成物のeeは97%で、酵素の比活性は0.13mmol生成物/mgニトリラーゼ/時間であった。
この実験および実施した他の実験から、生成物の形成は基質の完全な消失を説明できないことは明瞭である。全ての実験で、シアノヒドリンの分解の程度を測定するためにニトリル含有コントロールサンプルを用いた。結局、基質の約50%が37℃で4時間で失われるようであった。この分解は、その平衡生成物、シアン化物および2-クロロベンゾアルデヒド(これらはさらに酸化される)をもたらすであろうと予想される。より大きな反応スケールもまた90mMの基質濃度の2-クロロマンデロニトリルで実施した。しかしながら、この反応では生成物は検出されなかった。より高い基質濃度では、平衡生成物2−クロロベンゾアルデヒドおよび夾雑物質2-クロロ安息香酸の濃度はより高い量で存在すると予想される。上記の結果から、酵素はそのような条件下で完全に阻害されることはあり得る。
二相条件下の反応
二相系の使用によって酵素反応工程後の生成物回収を促進することができる。これらの系はまた生成物または酵素に対して阻害的である副生成物の除去にも用いることができる。ニトリラーゼは多様な溶媒を使用する二相条件下で活性を有することが示された。上記の高基質濃度で得られた低い変換に続いて、二相系の更なる解明をヒット酵素385,386を用いて実施した。何らかの阻害因子が溶媒相によって除去できるか否か、および二相系を使用することによって何らかのプロセスに関する利点が得られるか否かを確認することが重要であった。
有望な結果が有機相としてヘキサンを用いて得られた。したがって、更なる実験は、前記溶媒を2つの異なるレベル(水相容積の100%および70%)を用い、基質の濃度を90mMまで上昇させることを含んでいた。基質は前記有機相に溶解させた。ヘキサンのレベルは、生成物形成レベルに、特により高い2-クロロマンデロニトリル濃度では影響を与えるようには見えなかった。
この場合も、高い変換が二相系で観察され、76%の生成物収量が5時間後に観察された.生成物形成速度は対応する一相系よりもわずかに低いように見えたが、反応は1時間以内に完了した。二相系ではより低い鏡像選択性が観察された。これらの結果の説明となりうるいくつかの可能性、(i)物質移動速度が酵素活性速度よりも低いか、または(ii)非極性溶媒が直接酵素に影響を与えるということである。
より高い基質濃度では、非常に低い変換が観察され、7mMの2-クロロマンデル酸が90mMの2-クロロマンデロニトリルから生成された。この変換レベルは低いけれども、同じ基質濃度で一相系で観察されたものより高かった。これらの結果は阻害的である2−クロロベンゾアルデヒドまたは2-クロロ安息香酸のいくらかは、非極性有機相に保持されること示唆している。
標準アッセイ条件
以下の溶液を調製した:
−基質ストック溶液:0.1Mリン酸緩衝液(pH8)中の50mMのシアノヒドリン基質
−酵素ストック溶液:20mgの凍結乾燥細胞溶解物を含む各バイアルに3.33mLの0.1Mリン酸緩衝液(pH8)(最終濃度6mg/mL)
反応容積は、採取時点の数に応じて実験毎に変動した。別に記載がないかぎり、全ての反応物は、25mMの2-クロロマンデロニトリルおよび10%(v/v)の酵素ストック溶液から成っていた(最終濃度0.6mgタンパク質/mL)。別に記載がないかぎり、反応は37℃で実施した。ニトリル分解モニター用コントロールは実験毎に実施した。前記コントロールは0.1Mリン酸緩衝液(pH8)中の25mMの2-クロロマンデロニトリルから成っていた。
反応物のサンプリング
反応物は、部分標本を各反応物から取り出し、これらサンプルを8倍希釈した。キラルおよび非キラルHPLC法による分析のために2組ずつのサンプルを採取した。上記の図でまた別に示されないかぎり、反応物は、0.5、1、1.5、2、3および4時間でサンプリングした。
HPLC法
非キラルHPLC法は、SYNERGI-RP(商標)カラム(4μm;50x2mm)で10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH2.5)の移動相を用いて実施した。メタノール勾配を3.5分で導入し、1.5分かけて50%に増加させた。その後、メタノールを0%に減少させた。2-クロロマンデル酸および2-クロロマデロニトリルの溶出時間は2.5分および6.1分で、別のピークがニトリルとともに5.9分で出現した。
上記で述べたように、キラルHPLC法は本実験中に最適化され、2-クロロ安息香酸と(S)-2-クロロマンデル酸の分離が改善された。前記の最適化方法を本実験の後半で用い、CHIROBIOTIC-R(商標)カラムで実施した。移動相は80%のアセトニトリル:20%の0.5%(v/v)酢酸であった。(S)-2-クロロマンデル酸および(R)-2-クロロマンデル酸の溶出時間はそれぞれ2.4および3.5分であった。各実験について、生成物の標準曲線をHPLC泳動に含めた。サンプル中の生成物の濃度はこれらの曲線の勾配から計算した。
pHの影響
酵素活性および鏡像選択性に対するpHの影響は、以下の一連の異なる緩衝液中で標準アッセイを実施して調べた:0.1Mのクエン酸リン酸緩衝液pH5;0.1Mのクエン酸リン酸緩衝液pH6;0.1Mの燐酸ナトリウムpH6;0.1Mリン酸ナトリウムpH7;0.1Mリン酸ナトリウムpH8;0.1Mトリス-HCl pH8;および0.1Mトリス-HCl pH9。全ての酵素について標準酵素濃度を用いたが、ただし配列番号 385, 386では標準濃度の半分を用いた(酵素ストック溶液の5%v/v)。
温度の影響
活性および鏡像選択性に対する温度の影響を以下の異なる温度範囲で標準アッセイを実施することによって調べた:室温、37℃、45℃、50℃および60℃。全ての酵素について標準酵素濃度を用いたが、ただし配列番号 385, 386では標準濃度の半分を用いた(酵素ストック溶液の5%v/v)。
酵素濃度の影響
反応を以下の種々の酵素濃度で標準条件下で実施した:酵素ストック溶液の1%、5%および10%(v/v)。反応容積は適切な緩衝液で標準化した。
溶媒の添加
補助溶媒としてメタノールの存在下で酵素反応を実施した。メタノールは標準反応混合物に以下のレベルで添加した:0、5、10、15および20%(v/v)。
ヘキサンを含む二相反応もまた調べた。水相は0.1Mのリン酸緩衝液(pH8)中の酵素ストック溶液10%(v/v)を含んでいた。シアノヒドリンは反応物に添加する前にヘキサンに溶解させ。以下の2つの有機相レベルを用いた:水相容積の1等量および0.7等量。さらに、ニトリル濃度の範囲を調べた:25、45および90mM。これらの反応は室温で実施した。
これらの反応物からサンプルを水相および溶媒相の両相から採取した。ヘキサンを真空下で遠心して蒸発させ、サンプルが水相サンプルと同じ希釈になるように50:50のメタノールと水の混合物に再溶解させた。サンプルの分析を非キラルおよびキラルHPLCによって実施した。
プロセス成分の影響
(i)活性:酵素の活性に対するプロセス成分の影響を以下の個々の成分を酵素反応物に添加することによって確認した:2-クロロベンゾアルデヒド、2-クロロ安息香酸または2-クロロマンデル酸。酵素反応は、可能性をもつ2つの阻害物質の存在下で、標準条件下で実施した:5、10、20および25mMの2-クロロベンゾアルデヒド;1.5および5mMの2-クロロ安息香酸;および10、20、40および80mMの2-クロロマンデル酸。コントロール反応は添加物無しで標準条件下で実施した。各サンプリング時に、サンプルを1:10のレベルに希釈した。酵素を含まない反応成分を含むコントロールサンプルを用い、同じレベルに希釈した。サンプルを非キラルHPLCによって分析した。
(ii)安定性:プロセス条件に対する酵素の安定性は、標準条件下で酵素活性をアッセイする前に、反応成分(2-クロロベンゾアルデヒドおよび2-クロロマンデル酸)の存在下で所定の時間、酵素をインキュベートすることによってモニターした。これらの実験では、酵素は3mgタンパク質/mLの濃度で以下の反応成分の各々の存在下でインキュベーションした:5、10、20および25mMの2-クロロベンゾアルデヒド;並びに10、20、40、および80mMの2-クロロマンデル酸。コントロール反応は酵素を緩衝液のみでインキュベートすることによって実施した。
アッセイ条件
個々の添加物と0、4、8および24時間インキュベートした時点で、20μLの酵素溶液を取り除き、41.6mMの基質ストック溶液60μLおよび20μLの緩衝液を添加した。したがって、酵素活性は標準条件下でアッセイされた。反応物から基質添加後90分でサンプリングし、非キラルHPLC法を用いて分析した。
酵素反応のスケールアップ
酵素反応を2つの異なる濃度(45mMおよび90mM基質)で実施した。反応は標準条件下で実施した、すなわちpH8(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液)、37℃および10%(v/v)の酵素ストック溶液。基質は緩衝液添加の前に10%(v/v)メタノールに溶解した。最終反応容積は20mLで、反応はマグネティック攪拌を用いて実施した。
実施例14:L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸の鏡像選択的生成のためのニトリラーゼ最適化
Figure 0004405258
単離した酵素のうち4つは、2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサンニトリルを(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシへキサン酸に加水分解し、L−鏡像体に選択性を有することが示された。(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシへキサン酸と類似の構造を有する新規な標的が同定された。単離ニトリラーゼ群を標的、5,5-ジメトキシペンタナールアミノニトリルに対してスクリーニングする。陽性酵素の性状を前記基質について調べる。特定の標的に対する鏡像選択性を改善するために、実験室内進化技術を用いてこれらニトリラーゼを最適化することができる。予備的スクリーニングを用いて仮想的アップミュータントを同定し、これをHPLCを用いて確認する。
酵素の最適化:L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸の生成に対する酵素の鏡像選択性および活性を改善するために、GSSM(商標)およびジーンリアッセンブリー(GeneReassembly)(商標)を選択ニトリラーゼについて実施することができる。2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサンニトリルをL-(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸に鏡像選択的に加水分解することができる4つの酵素を同定した。しかしながら、新規な標的分子、L-2-アミノ6,6-ジメトキシヘキサン酸にはわずかな構造的相違が存在する。この相違が酵素の活性および鏡像選択性に影響を与えるか否かを決定するために、ニトリラーゼ群の完全なスペクトルをこの新規な標的に対してスクリーニングする。
L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸の生成に対して最高の活性および鏡像選択性の組合せを示す酵素をGSSM(商標)のために選択する。標的酵素の変異後に、高処理スクリーニング技術を用いて生じた変異体を5,5-ジメトキシペンタナールアミノニトリルでスクリーニングする。アップミュータントをHPLC分析で確認した後、さらに変異酵素の特性を強化するために個々のアップミュータントを組み合わせる。
GSSM(商標)と平行して、ジーンリアッセンブリー(商標)を親酵素の組合せ(少なくともそのうちの1つはL-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸に対する活性および鏡像選択性を基にして選択することができる)を基にして実施することができる。少なくとも他の2つのニトリラーゼ(高い相同性を有する)を前者の酵素とともに再組み立てを実施する(これらの酵素は再組み立て配列に多様性を付与するために選択される)。
この進化工程を成功させるために必須であることは、鏡像選択性のためのハイスループットアッセイの開発である。そのようなアッセイは、通常用いられるHPLC法よりも極めて短時間で30,000を越える変異体のスクリーニングを可能にする、新規酵素による鏡像選択性アッセイである。
ある特徴では、非確率的的方法(合成連結再組み立てと称される)を用いて変種を作製することができる。この方法は、核酸構築ブロックがランダムにシャッフルまたは連鎖またはキメラ化されるのではなく寧ろ非確率的に組み立てられるという点を除いて、確率的シャッフリングと関連する。本方法は、シャッフルされる核酸間で高い相同性が存在することを必要としない。この連結再組立て方法を用いて、少なくとも10100または少なくとも101000の異なるキメラを有する子孫分子で構成されるライブラリー(またはセット)を非確率的に作製することができる。連結再組み立て方法は、計画的に選択した全体的なアッセンブリー順序を有する最終的キメラ核酸セットを作製する非確率的方法を提供する。前記方法は、核酸構築ブロックを組み立てるときに計画通りに全体的なアッセンブリー順序が得られるように、相互に連結できる利用可能な(serviceable)末端を有する複数の特定の核酸構築ブロックを計画的に作製する工程を含む。
組み立てられるべき前記核酸構築ブロックの相互に適合する連結可能末端は、それらが予め定めた順序で前記構築ブロックを結合させることができるならば、この定められたアッセンブリータイプについて“利用可能(serviceable)”であると考える。したがって、ある特徴では、核酸構築物が結合され得る全体的なアッセンブリーの順序は、連結可能末端の設計によって規定され、従って2つ以上のアッセンブリー工程が用いられる場合は、核酸構築ブロックが結合される全体的なアッセンブリーの順序もまた前記アッセンブリー工程の連続する順序によって規定される。本発明のある実施態様では、アニールされた構築ピースは酵素(例えばリガーゼ、例えばT4 DNAリガーゼ)で処理され、前記構築ピースの共有結合が得られる。
別の実施態様では、核酸構築ブロックのデザインは、最終的なキメラ核酸分子の子孫セットを作製するために基礎として機能する原型核酸鋳型セットの配列解析時に得られる。これらの原型核酸鋳型はしたがって、突然変異を誘発されるべき(すなわちキメラ化、組換えまたはシャッフルされるべき)核酸構築ブロックの設計の助けとなる配列情報の供給源として機能する。
ある実施態様では、本発明は、関連遺伝子ファミリーおよびそれらがコードする関連タンパク質ファミリーのキメラ化を提供する。具体的な実施態様では、コードされた生成物はニトリラーゼである。本発明のニトリラーゼをコードする核酸は本明細書に記載した方法にしたがって突然変異させることができる。
したがって、本発明のある特徴では、1つまたは2つ以上の境界設定点を選択するためにニトリラーゼをコードする複数の原型核酸鋳型の配列でアラインメントが実施される(前記境界設定点は相同領域に存在するであろう)。前記境界設定点を用いて、作製されるべき核酸構築ブロックの境界を明示することができる。したがって、原型分子で同定され選択された境界設定点は、子孫分子のアッセンブリーにおける潜在的キメラ化点として機能する。
典型的には、利用可能な境界設定点は、少なくとも2つの原型鋳型が共有する相同性領域(少なくとも1つの相同なヌクレオチド塩基を含む)であるが、前記境界設定点は、原型鋳型の少なくとも半分、原型鋳型の少なくとも2/3、原型鋳型の少なくとも3/4、および好ましくは原型鋳型のほとんど全てが共有する相同性領域であろう。さらに好ましくは、有用な境界設定点は全ての原型鋳型が共有する相同性領域である。
ある実施態様では、網羅的ライブラリーを作製するために、連結再組み立てプロセスは徹底的に実施される。換言すれば、全ての可能な順序をもつ核酸構築ブロックの組合せが最終的なキメラ核酸分子セット中に出現する。同時に、各組み合わせにおけるアッセンブリーの順序(すなわち、最終的キメラ核酸の各々の5'から3'方向における各構築ブロックのアッセンブリーの順序)は計画的(または非確率的、非ランダム)である。本方法の非確率的な性質のために、望ましくない副生成物の可能性は極めて減少する。
また別の実施態様では、本方法は、例えば系統的に区画化されたライブラリーを作製するために系統的に実施される連結再組み立てプロセスを提供する。前記ライブラリーは、系統的に(例えば1つずつ)スクリーニングすることができる区画を有する。各区画(または部分)は既知の特性を有するキメラまたはリコンビナントを含む。換言すれば、本発明は、連続した一段階ずつのアッセンブリー反応を選択的および慎重に使用するとともに特定の核酸構築ブロックを選択的および慎重に使用することにより、いくつかの反応容器中で固有の子孫生成物セットが生成される実験計画の達成を提供する。これによって、系統的な検査およびスクリーニング方法の実施が可能になる。したがって、潜在的に膨大な数の子孫分子をより小さなグループで系統的に調べることが可能である。
高度に融通性をもち、しかも網羅的で系統的な態様でキメラ化を実施することができるその能力のゆえに、(特に原型分子間に低レベルの相同性しか存在しない場合には)、本明細書に開示した発明は、多数の子孫分子を含むライブラリー(またはセット)の作製を提供することができる。連結再組み立て方法の非推計学的な性質のために、生成される子孫分子は、好ましくは、計画的に選択した全体的なアッセンブリー順序を有する最終的キメラ核酸分子のライブラリーを含む。具体的な実施態様では、そのように生成されたライブラリーは103から101000を越える種々の子孫分子を含む。
別の実施態様では、構築ブロックが作製される工程の合成的な性質は、後に場合によってin vitroプロセスで(例えば突然変異誘発によって)またはin vivoプロセスで(例えばホスト生物の遺伝子スプライシング能を利用することによって)除去することができるヌクレオチド(例えば1つまたは2つ以上のヌクレオチド、前記は例えばコドンでも調節配列でもよい)の設計または導入を可能にする。多くの事例で、これらヌクレオチドの導入はまた、有用な境界設定点の作製という利点の他に多くの他の理由から所望されるであろうということは理解されよう。
本発明の合成的な連結再組み立て方法は複数の核酸構築ブロックを利用する。前記ブロックの各々は好ましくは2つの連結可能末端を有する。各核酸構築ブロック上の2つの連結可能な末端は、2つの平滑端(すなわち各々は0個のヌクレオチドを含むオーバーを有する)でもよいが、好ましくは1つの平滑端および1つのオーバーハング、より好ましくは2つのオーバーハングを有するであろう。二本鎖核酸では、有用なオーバーハングは3'オーバーハングまたは5'オーバーハングであろう。核酸構築ブロックは、1つの3'オーバーハング、1つの5'オーバーハング、2つの3'オーバーハングまたは2つの5'オーバーハングを有することができる。核酸構築ブロックが組み立てられて最終的なキメラ核酸分子を形成する全体的な順序は、意図的な実験デザインによって(例えば5’および3’オーバーハングの配列を基にして構築ブロック核酸間で粘着末端をデザインすることによって)決定され、ランダムではない。
ある好ましい実施態様にしたがえば、核酸構築ブロックは、2つの一本鎖核酸(一本鎖オリゴヌクレオチドとも称される)を化学的に合成し、それらをハイブリダイゼーション条件下で一緒にしてアニールさせ二本鎖核酸構築ブロックを形成することによって作製される。二本鎖核酸構築ブロックは種々のサイズであろう。これらの構築ブロックのサイズは小さくても大きくてもよい。構築ブロックの好ましいサイズは1塩基対(オーバーハングは一切含まない)から100,000塩基対(オーバーハングは一切含まない)の範囲である。下限が1bpから100,000bp(間の整数値は全て含まれる)で上限が2bpから100,000bp(間の整数は全て含まれる)である他の好ましいサイズもまた提供される。
ある実施態様にしたがえば、二本鎖核酸構築ブロックは、先ず初めに2つの一本鎖核酸を作製し、それらをアニールさせて二本鎖核酸構築ブロックを形成することによって作製される。二本鎖核酸構築ブロックの2つの鎖は、オーバーハングを形成するものは別として、各ヌクレオチドで相補的であり、したがってオーバーハングはさておきミスマッチを全く含まない。別の実施態様にしたがえば、二本鎖核酸構築ブロックの2つの鎖は、オーバーハングを形成するものは別として、全てのヌクレオチドより少ないヌクレオチドにおいて相補的である。したがって、この実施態様にしたがえば、二本鎖核酸構築ブロックを用いてコドンの縮退を導入することができる。好ましくはコドンの縮退は、本明細書に記載した部位飽和突然変異誘発を用いて、1つまたは2つ以上のN、N、GITカセットを用いて、また別には1つもしくは2つ以上のN、N、Nカセットを用いて導入することができる。
実施例15:ニトリラーゼ活性および鏡像選択性評価のためのアッセイ
ニトリラーゼの開発および進化の両方努力のスクリーニング処理量を増加させる高処理オートメーションに適合し易いアッセイ方法を述べる。理想的なアッセイは、生成物の形成または基質の変換さらにまた鏡像過剰の両方の定量を可能にするアッセイである。高処理スクリーニングに適合し易い2つの非キラルおよび2つのキラル比色アッセイを開発した。

非キラル比色アッセイの開発
残留基質のためのOPAアッセイ:OPAアッセイはα-アミノまたはα-ヒドロキシニトリル基質に応用できる。全細胞の溶解は不要である。これらの結果は、2-クロロマンデロニトリルおよびフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリンについてHPLCによって確認された。本アッセイは芳香族ニトリルでもっともよく機能する。脂肪族化合物は直線状の標準曲線を示す。蛍光は低下し、アッセイの効率は低下する。

生成ヒドロキシ酸の定量およびee測定のためのLDHアッセイ:LDHアッセイはフェニル乳酸には適用できるが、2-クロロマンデル酸には適用できない。レサズリン検出系の使用は感度を高め、バックグラウンドを減少させる。全細胞のバックグラウンド蛍光は、アッセイの実施前に遠心または熱不活化のいずれかによって解決された。

生成アミノ酸の定量およびee測定のためのAAOアッセイ:AAOアッセイはフェニルアラニンおよび(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸に適用できる。アンプレックス紅(Amplex Red)検出系の使用は感度を高める。細胞溶解は必要ではないことが示された。バックグラウンド蛍光を防止するために細胞は規定培地で増殖させる。
OPAアッセイ
o-フタルアルデヒド(OPA)蛍光によるニトリラーゼアッセイを用いて、残存するα−ヒドロキシニトリル基質の量を定量する。OPAは、α-ヒドロキシニトリルの対応するアルデヒドおよびシアン化物へのpH制御分解により遊離されるシアン化物と反応して、蛍光を発する定量可能な生成物を生じる。OPAは、α−ヒドロキシニトリルの対応するアルデヒドおよびシアン化物へのpH制御分解により遊離されるシアン化物と反応して、蛍光性1-シアノ-2-R-ベンゾイソインドールを生じる。









Figure 0004405258
標準曲線を以下の基質について作製した:2-クロロマンデロニトリル(CMN, 0.998)、シクロヘキシルマンデロニトリル(CHMN, 0.99)、アセトフェノンアミノニトリル(APA, 0.99)、およびフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン(PAC, 0.97)、(図5)、(R2値は括弧内に示されている)。フェニルグリシン(PGN, 0.93)のための標準曲線もまた作製した。調べた基質のうち3つ、ジメチルブタナールアミノニトリル(DMB)、(2-アミノ-4,4-ジメチルペンタンニトリル)、ヒドロキシピブアルデヒドアミノニトリル(HPA)およびピブアルデヒドアミノニトリル(PAH)は、最初のアッセイ条件下では非常に低い蛍光の読みおよび信頼性のない結果を示した。前記化合物については、多数のパラメーターを調製したが、これらの化合物の蛍光シグナル強度はこれらの操作では増加しなかった。
前記3つの化合物の蛍光シグナルを増加させるために、ナフタレンジカルボキシアルデヒド(NDA)をOPAの代用とした。OPAまたはNDAのいずれかを用いたPAH、HPAおよびDMBの標準曲線を構築した。感度およびバックグラウンド蛍光を測定するために、各基質に対して触媒活性を有すると推測される凍結乾燥ニトリラーゼ溶解物(配列番号 189, 190)を添加した。加水分解は、4つの化合物のうち3つで検出された。NDAはシグナルを明瞭に(しばしば一桁)強化したが、おそらくシグナルの飽和のために直線性は低下した。
NDAは脂肪族化合物のためのまた別の検出試薬として確定された。しかしながら、アッセイでは全ての基質について同じ検出系を用いることが望ましい。なぜならば、それによって多数のニトリラーゼ基質の自動的な評価が容易になるからである。現在のところOPAによるアッセイが、PAC、CMN、CHMN、APA、MNおよびPGNの分析について効果的である。一方、標準曲線は脂肪族化合物PAH、HPAおよびDMBについて作製した。
全細胞最適化
アッセイ成分への凍結乾燥ニトリラーゼ溶解物(未処理または熱不活化のいずれかのもの)の添加の効果を調べた。バックグラウンド蛍光の干渉はいずれの場合にも認められなかった。次にOPAアッセイを調べ、全細胞様式におけるニトリラーゼ活性の検出について最適化を図った。ニトリラーゼ発現全細胞およびin situ溶解細胞の両方を調べた。凍結乾燥細胞溶解物を、コントロールとしてそれらの対応する全細胞とともに調べた。この最適化実験にために、マンデロニトリル(MN)をモデル基質として選択した。
配列番号 187, 188の凍結乾燥溶解物を、配列番号 187, 188発現全細胞および配列番号 187, 188発現in situ溶解細胞とともに調べた。全細胞の添加は蛍光に影響を与えず、蛍光の消光も生じなかった。3種の細胞溶解溶液のいずれを添加しても前記全細胞系におけるマンデロニトリルの浸透性(したがって変換)は改善された。以下の3種の細胞溶解溶液を調べ(B-PER(Pierce)、BugBuster(Novagen)およびCelLytic BII(Sigma))、OPAアッセイに有害な影響を与えないことが判明した。生成物α−ヒドロキシ酸またはα−アミノ酸の添加はOPAアッセイによる検出に影響を与えなかった。
前記アッセイをその最初の様式(いくつかの液体の移動工程を必要とする)からワンプレートプロセスに改変した。改変プロセスでは、細胞の増殖、ニトリルの加水分解およびOPAアッセイ反応は同じマイクロタイタープレートで行われる。マンデロニトリルをこの一ウェル様式を用いて検査した。この事例では、大腸菌遺伝子部位飽和突然変異誘発(GSSM(商標))細胞ホストを調べた。3つのクローンを調べた:配列番号 101, 102、配列番号 187, 188、および空ベクター(コントロールとして使用)。10および20mMさらにまた0mMコントロールについて4つの時点で加水分解を検定した。
以前の実験では、配列番号 187, 188のクローンをフェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン基質(この基質に対して前記酵素は活性を示さない)に対して調べ、活性は観察されなかった。
OPAアッセイは、α-ヒドロキシおよびα-アミノニトリル基質の両者の存在を検出することが判明した。芳香族化合物は本アッセイで容易に検出可能であるが、脂肪族化合物についてはある程度の検出の難しさがあった。バックグラウンドに関する問題は、凍結乾燥細胞溶解物、in situ溶解全細胞または非溶解全細胞を用いたときには明瞭ではなかった。前記アッセイはワンプレート分析に適している。前記分析では、同じプレート上で細胞を増殖させ、基質とインキュベートし、さらにアッセイされる。液体の移動は要求されず、自動化が容易である。調べた全てのニトリルが直線的反応を示し、脂肪族化合物は低い蛍光反応を生じた。
キラルLDHアッセイ
シアノヒドリンのニトリラーゼ触媒加水分解によって生成されるキラルα−ヒドロキシ酸の分析のためにラクテートデヒドロゲナーゼ(L-LDH)による分光分析系を開発した。ヒドロキシニトリル基質は二次酵素または検出酵素によって代謝されず、したがって出発物質は干渉しない。熱処理されない細胞溶解物はLDH系でバックグラウンド活性を生じるが、細胞溶解物の熱不活化またはペレット化によってバックグラウンド活性は除去される(図4参照)。
本明細書に開示したニトリラーゼに対して市販のD−およびL-ラクテートデヒドロゲナーゼの活性および鏡像選択性を調べた。D-およびL-フェニル乳酸分析の両方に適切なLDHを同定した。2-クロロマンデル酸分析に適した酵素は見出されなかった。選択したLDH酵素は実質的に完全な立体選択性を示した。凍結乾燥細胞溶解物を用いてPACから生成されたD-およびL-LDHを検出するアッセイの有効性が確立された。
最初に3つの比色染料を調べた。前記はいずれも以下のテトラゾリウム塩である:NBT(3,3-ジメトキシ-4,4'-ビフェニレン)ビス[2,(4-ニトロフェニル)-5-フェニル-2H]-クロリド)、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)、INT(2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-フェニル-2H-テトラゾリウムクロリド)。これら検出系の生成物の非溶解性は分析の難しさを提起した。これを解決するために、可溶性生成物と云われている別のテトラゾリウム塩、XTT(2,3-ビス-(2-メトキシ−ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキシアニリド)を評価した。XTTは可溶性の明赤色生成物を生じたが、基質が不溶性で、したがって同じ分析上の問題を生じた。テトラゾリウム染料類に対するまた別の選択肢として、比色/蛍光二重染料、レサズリンを調べた。レサズリンの酸化によってレゾルフィンが生成される。基質および生成物の両方が可溶性で、色の変化は比色または蛍光によって定量可能で、正確性が高まる。レサズリンの感度により0.05mMの乳酸を検出できる。最適な結果は、基質と同じ範囲の染料を用いたときに得られた。例えば0.5mMのレサズリンは、0.05から0.5の範囲の乳酸(および類似体)を定量できる。しかしながら、最良の直線性はこのスケールの下方端に存在する。レゾルフィンは28時間にわたって安定で、直線的な蛍光反応を示した。
LDHアッセイ成分の存在下では、凍結乾燥酵素はバックグラウンド蛍光/吸収を生じた。この問題を解決するために、溶解物を10分煮沸し、続いて遠心した。これによってバックグラウンドシグナルが90%減少した。興味深いことには、遠心だけ(14.1rcfで5分)または煮沸後遠心(100℃で5分)の両処置で蛍光はバックグラウンドレベルに減少した。高処理様式(例えば1536ウェルプレート)では、煮沸は蒸発を高め(ウェルサイズは8μL)、ニトリル基質を潜在的に蒸発させるので遠心が煮沸より好ましい。増殖培地(LBおよびTBおよびM9)または細胞溶解溶液(B-PER、CelLyticおよびBugBuster)により生じるバックグラウンドは観察されなかった。
キラルAAOアッセイ
アミノニトリルのニトリラーゼ触媒加水分解によって生成されるキラルα−アミノ酸の分析のためにアミノ酸オキシダーゼ(AAO)による分光分析アッセイを開発した。

アッセイの開発と有効性の立証
上記で概略したように、最初のアッセイの有効性立証には2,2'-アジノ-ジ-(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)検出系を用いた。しかしながら、色が安定でなかったので、λmax 510nmで分析されるフェノールアミノアンチピリン(PAAP)検出系を用いてさらに調べた。適切な活性を有する酵素が、4-メチル-ロイシン、フェニルアラニン、(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸およびtert-ロイシンの各鏡像体について見出された。このアッセイはメチルフェニルグリシンには適用できず、フェニルグリシンでは良好に機能しない。
標準曲線はフェニルアラニンについて0から15mMで作製した。この曲線は、濃度が1mM未満のときにより直線的である。色は、暗所で保存されるかぎり数日間安定である。3種の細胞溶解溶液、BugBuster(BB)、細菌タンパク質抽出試薬(BPER)および細胞溶解試薬(CLR)を標準曲線に添加し、発色に影響を与えないことが示された。細胞溶解物(cl)の添加はバックグラウンド発色を生じなかった。出発物質フェニルアセトアルデヒドアミノニトリルスルフェート(PAS)の添加もまた色の形成に影響しないことが示された。
AAO系は1mM基質濃度まで高い直線性を示した。AAO酵素の濃度および酸基質の濃度を調節して、L-AAOおよびD-AAO曲線の交点をグラフの中央により近く移動させようと試みた。PAAP、HPRおよびAAOの予備混合が有効で、観察される活性を変化させないことが示され、前記アッセイ成分をカクテル様式でアッセイに添加してもよいことが確認された。
全細胞のAAOアッセイで高レベルのバックグラウンドが観察され、これはTBおよびLB増殖培地中に存在するL-アミノ酸によるものであった。細胞を洗浄しさらにM9培地に再懸濁することによってバックグラウンドは除去された。以後の全ての実験では、細胞を0.2%のグルコースを含むM9培地で増殖させた。溶解細胞は非溶解細胞よりわずかに良好な反応を示しただけであった。したがって、細胞溶解は不要である。配列番号 187, 188は、HPLC分析による予備スクリーニングでHPAに対して活性を示した。
超ハイスループット態様(例えば1536ウェルまたはギガマトリックス様式)でのアッセイの実施を可能にする蛍光検出系の使用を検討した。我々の系にもっとも適した蛍光試薬はアンプレックス紅(Molecular Probs)で、前記は高度に蛍光性のレゾルフィン(λex545nm;λem590nm)を生成する。フェニルアラニンおよび(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸の標準曲線を作製した(0から100μM)。
アッセイ自動化のための調製において、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によりニトリラーゼ発現細胞をマイクロタイタープレート(M9、0.2%グルコース、0.25mMのIPTGの培養液を含む)に添加した。以下の3つのニトリラーゼ発現サブクローンおよび空ベクターコントロールを調べた:配列番号 101, 102、配列番号 187, 188、配列番号 29, 30および空ベクター。細胞ソーティング後の細胞の生存度は一定ではないことが判明した。したがってコロニー釣り上げ採取が現在のところ細胞をマイクロタイタープレートに添加する代替方法として評価されている。ロボットインキュベーターの蓋無し1536ウェルのマイクロタイタープレートの蒸発ロスは1日約30%(インキュベーター条件:37℃、85%相対湿度(RH))である。95%RHのインキュベーターによるインキュベーションでは蒸発ロスは1日当たり1%に減少した。
3.5mMまでのニトリルの存在下での前記3つのサブクローンの増殖能力はHPAニトリルを用いて明確にされた。増殖速度はわずかしか遅延しなかった(30%未満)。HPA存在下で増殖させたサブクローンは、アンプレックス紅検出系を用いて確認したとき、ヒドロキシノルロイシン(HNL)の生成を触媒するニトリラーゼを発現することが示された。酵素はS-選択性であるのでSのみが検定された。反応プレートを10分間隔で読みとり、最良の直線性は40分間示された。細胞をpH7で増殖させたとき、5mMを超えるHPAで細胞増殖は顕著に抑制されたが、細胞をpH8で増殖させた場合は増殖は0.1mMを超えるHPAで抑制された。
HPLCによるAAOの結果を確認するために、高濃度のHPA(40mMまで)((S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸に対するHPLC検出の困難さのため)および凍結乾燥細胞溶解物(配列番号 187,188)を用いて反応を実施した。
HNLに対するAAOおよびHPLCデータの比較
Figure 0004405258
HPLCによるスクリーニングで用いた20mMの基質範囲と比較して、より低い濃度でスクリーニングを実施することが結果の偏りを生じさせるのか否かを決定するために、3通りの濃度範囲を用いて配列番号 187, 188で実験を実施した。各実験は3組ずつで実施し、非系統的なエラーを一切排除した。











Figure 0004405258
M9 0.2%グルコース、0.25mM IPTG培養液に仕分けされた細胞を用いて384または1536ウェル様式でAAOアッセイを実施した。細胞はニトリル(この場合HPA)の存在下で増殖させてもよく、または一定の密度に増殖させてからニトリルを添加してもよい。細胞溶解試薬はアッセイを妨害しないが、HPAをアッセイするときは溶解試薬の添加は不要であることが判明した。前-添加でも後-添加でも、母プレートは娘プレートに分割し、続いてこれら娘プレートを対応するL-およびD-鏡像体含有量についてアッセイしなければならない。D-およびL-プレートを別々の時間に読みとることができるように、AAO/アンプレックス紅試薬とのインキュベーション時間を調整してもよい。
実施例16:一連の重要な鏡像選択的バイオプロセスのための、強力で新規な酵素の同定、開発および製造
本発明は、以下の標的化学物質の製造工程で重要な技術的および産業的利点を有するニトリラーゼの直接的進化による開発を提供する:
L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸
Figure 0004405258
ニトリラーゼ酵素は、2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサンニトリルを加水分解して(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸を生成し、L-アミノ酸に対する選択性を有することが示された。ニトリラーゼ群を標的5,5-ジメトキシペンタナールアミノニトリルでスクリーニングした。この基質を基に陽性酵素の性状を調べた。予備スクリーニングを用いて仮想的アップミュータントを同定し、前記を続いてHPLCを用いて確認した。
L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸の生成について酵素の鏡像選択性および活性を改善するために、選択ニトリラーゼについてGSSM(商標)およびジーンリアッセンブリー(商標)を実施した。2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサンニトリルを鏡像選択的に加水分解してL-(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸を生成することについてニトリラーゼを同定した。しかしながら、わずかな構造的相違がこの新規な標的分子、L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸によって提示されている。この相違が酵素の活性および鏡像選択性に影響するか否かを決定するために、この新規な標的に対してニトリラーゼ群の完全なスペクトルをスクリーニングした。
先ず初めに、L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸を生成するヒット酵素のより詳細な性状決定によりGSSMの正確な標的遺伝子の同定を実施した。この試みには、活性および鏡像選択性に対するpHおよび温度の影響についてのより徹底的な解明およびプロセス条件に対する酵素の安定性についてのより綿密な分析が含まれる。スクリーニングの開始の前に、アルキルアミノニトリルのただ1つの鏡像体の合成を実施し、このニトリルのラセミ化を調べ、この因子と酵素の鏡像選択性との関係を理解することを試みた。
L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸を生成する活性と鏡像選択性の最高の組合せを示す酵素をGSSMのために選択する。標的酵素の突然変異誘発に続いて、得られた変異体を5,5-ジメトキシペンタナールアミノニトリルについて高処理スクリーニング技術を用いてスクリーニングする。HPLC分析によるアップミュータントの確認後に、前記標的に対するGSSMの結果を評価する決定点に到達する。
GSSM(商標)と平行して、ジーンアセンブリー(商標)を親酵素(そのうちの少なくとも1つはL-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸に対する活性および鏡像選択性に関して選択される)を組合せて実施する。少なくとも2つの他のニトリラーゼが前者の酵素とともに再組み立てされる。これらの酵素は再組み立て配列に多様性を提供するために選択される。
本発明は、元々の基質であるアミノニトリルに関するラセミ化条件の開発を提供する。さらに、本発明は、動的キネティック分割(dynamic kinetic resolution)によって、これらアミノニトリルを標的α−アミノ酸へ変換することができる酵素の同定を提供する。本発明はまた、(R)-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸(アリシン)生成について、ニトリラーゼ触媒キネティック解析プロセスのスクリーニングおよび開発を提供する。(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸はこのキネティック分割開発のためのモデル基質として用いられるであろう。
標的α−アミノ酸生成物は以下に示される:
(i)D-4-フルオロフェニルグリシン
Figure 0004405258
(ii)L-2-アミノ-6,6-ジメトキシヘキサン酸(アリシン)







Figure 0004405258
D-4-フルオロフェニルグリシンおよび2−アミノ4,4-ジメチルペンタニトリル(アリシン)のニトリラーゼ触媒生成のためのアミノニトリル基質のラセミ化条件を開発する。2つのモデル基質、フェニルグリシノニトリルおよびペンタナールアミノニトリルを最初に用い、ラセミ化は酵素の非存在下で調べる。種々の可能なラセミ化条件下での1つまたは2つ以上の利用可能なニトリラーゼの性能決定を同時に実施する。さらに、(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸の生成についてヒドロキシペンタナールアミノニトリルに対してニトリラーゼをスクリーニングし、さらに有望な酵素を最適化させる。いったんラセミ化の条件が確立されたら、ニトリラーゼを活性についてスクリーニングする。生成物のキネティック分割のための更なる最適化を実施する。
α-アミノニトリルをα-アミノ酸に加水分解する多数の鏡像選択的ニトリラーゼを同定した。これらの酵素はある種のアミノニトリルの要求される鏡像体をより好むことが示されたが、候補ニトリラーゼの更なるスクリーニング、開発および比較における制限因子は、前記反応条件下でのアミノニトリル基質のラセミ化の速度である。
芳香族アミノニトリルのラセミ化
最初の工程は、芳香族アミノニトリルのラセミ化が生じる条件をモデル基質、フェニルグリシノニトリルを用いて確立することである。ラセミ化の方法には下記に挙げたものが含まれるが、ただしこれらに限定されない。それらの産業的適用性による優先順位にしたがって自由に選択できる。
(1)反応物のpHの操作。ラセミ化は高いpHで迅速であることが示されているので、このアプローチは、10より高いpHで活性を有しさらに前記pHで選択的であるニトリラーゼの発見および最適化を必要とする。
(2)既知の化学的ラセミ化剤(例えばアルデヒド、ケトン、弱塩基、樹脂、金属イオン、ルイス酸など)の添加。これらのラセミ化剤は低pHでラセミ化を強化する。
(3)N-アシル化アミノニトリル誘導体(例えばN-アセチルフェニルグリシノニトリル)の合成(これらはより容易にラセミ化できる)。N-アセチルフェニルグリシノニトリルの場合、アセチル基を除去する選択的D-アシラーゼはニトリラーゼ生成物の光学的純度を高めるであろう。
(4)二相系の使用。前記の系では塩基によって触媒されるラセミ化は疎水性有機相で生じ、酵素の加水分解は水相で生じる。
(5)ニトリラーゼおよびアミノニトリルラセマーゼを含む2-酵素系の使用。1つのアミノ酸ラセマーゼが現時点で市販されているが、フェニル−およびフルオロフェニルグリシノニトリルに対する活性についてテストされるであろう。既知のアミノ酸アミドラセマーゼ、ヒダントインラセマーゼ、または他の同定が可能ないずれかのラセマーゼと相同性を示す遺伝子について遺伝子ライブラリーが検索されるであろう。
いったん前記ラセミ化の条件が確立されたら、それら条件は、標的の芳香族基質、4-フルオロフェニルグリシノニトリル(FPGN)のラセミ化条件の開発の基礎を提供する。FPGNはモデル基質よりも安定性が低いと予想される。したがって、ラセミ化はより迅速であるが分解反応も同様に速いであろう。それらの条件下でサンプル酵素が良好な耐性を示す能力および/または良好に機能する能力が評価される。スクリーニング方法の最終的な最適化には、標的基質、サンプルニトリラーゼおよび基質のラセミ化条件が含まれる。
実施した実験によって、フェニルグリシノニトリルはpH10.8で容易にラセミ化することが示された。しかしながら、現存する酵素のいずれもがそのような厳しいpH条件で耐性を示すことができるとは思えない。高度にアルカリ性の環境に由来するサンプルを、そのような条件に耐性を示すニトリラーゼの存在についてスクリーニングする。いったんそのような酵素が発見されたら、前記酵素の配列を決定しサブクローニングし、すぐにスクリーニングに使用できるように凍結乾燥溶解物として製造する。
脂肪族アミノニトリルのラセミ化
モデルの脂肪族アミノニトリル、ペンタナールアミノニトリルをそのラセミ形で合成する。しかしながら、光学的に濃縮されたサンプルは以下のアプローチの1つを用いて調製される:(i)調製用キラルHPLC;(ii)ジアステレオマー塩分離;(iii)ジアステレオマー誘導体生成またはカラムクロマトグラフィー;(iv)L-N-BOCノルロイシンから合成。これらの化合物の検出にはHPLCを使用する。
HPLC分析
(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシ-ヘキサン酸の検出にはHPLCアッセイを用いる。プレカラム誘導体生成を含むアッセイを使用する。
スクリーニング/特徴決定
ニトリラーゼを2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサンニトリルに対してスクリーニングする。25mMを越える基質で良好に機能することができる酵素の場合、スケールアップ反応を実施する。他の酵素の基質/生成物耐性および安定性プロフィルを調べる。
ニトリラーゼをスクリーニングし、最適pHおよび温度、反応条件下での鏡像選択性および安定性に焦点を合わせながらヒット酵素の性状を調べる。
酵素進化
所望の特性を示す標的酵素をGSSM(商標)のために選択する。標的酵素の突然変異誘発後に、得られた変異体をハイスループットスクリーニング技術を用いて基質についてスクリーニングする。いったんアップミュータントがHPLC分析で確認されたら、性能向上に関与する個々の変異を合体させ付加的または相乗的効果の可能性を評価できる。
さらにまた、ジーンリアッセンブリー(商標)をリード酵素(これらはその望ましい特徴(活性、鏡像選択性および反応における安定性を含む)のために選択される)の組合せに対して実施する。
実施例17:(S)-フェニル乳酸の鏡像選択的生成のためのニトリラーゼの最適化
5つの異なるニトリル基質を鏡像選択的に加水分解するニトリラーゼを同定した。これらのニトリラーゼを単離し、選択した標的について最適化した。前記最適化には、プロセスの最適化および定方向進化が含まれる。特に、(S)-フェニル乳酸の生成に特異的な酵素の特徴を調べ最適化を実施した。これは、最初は前記酵素の活性をその高い鏡像選択性を維持しながら改善することが目的であった。酵素に対するプロセス条件の影響についてもまた精査した。







Figure 0004405258
潜在的定方向進化の結果得られた変異体をスクリーニングするハイスループットアッセイを開発した。ハイスループットアッセイに適合し易い、2つの非キラルおよび2つのキラル比色アッセイを開発し、これらをニトリラーゼの定方向進化に用いた。
配列番号 103,104は(S)-フェニル乳酸の生成について高い鏡像選択性を有するニトリラーゼであることが確認された。配列番号 103, 104の特徴決定によって、最適な反応pHおよび温度はそれぞれpH8および37℃であることが示された。反応出発物質、フェニルアセトアルデヒドおよび生成物、フェニル乳酸は、それぞれ5mMおよび30mMまでは酵素活性に影響を与えないことが示された。スケールアップさせた酵素反応の鏡像過剰(ee)は95%であった。
フェニルアセトアルデヒドシアノヒドリンに対する活性および鏡像選択性についてスクリーニングした酵素の概要
Figure 0004405258
実施例18:ニトリラーゼ酵素をコードする核酸の定方向進化
nitB遺伝子(GeneBank Accession # AX025996;アルカリゲネス=フェカリス(Alcaligenes faecalis)由来)をジーンサイトサチュレーテッドミュータゲネーシス(遺伝子部位飽和突然変異誘発)(Gene Site Saturated Mutagenesis(商標))またはGSSM(商標)に付し、酵素全体をカバーする一アミノ酸置換変異体ライブラリーを作製した。誘導進化に用いた“親”のnitB遺伝子の配列は配列番号 103, 104である。NitB変異体ライブラリーはGSSM(商標)を実施することにより作製された。続いて前記nitB変異体ライブラリーから、全細胞のヒドロキシメチルチオブトリオニトリル(HMTBN,前記はニトリラーゼの基質である)活性が増加したクローンをスクリーニングした。この基質によるニトリラーゼ反応生成物はヒドロキシメチルチオ酪酸である。
アッセイを35℃で100mMのHMTBNおよび100mMのK3PO4(pH7)を用いて実施し、約30−40%の変換を得た。2つの方法をHMTBN変換の定量に用いた。1つはHPLC分析によって生成されたHMTBSの直接測定であり、他方は蛍光シアン化物アッセイを用いる残留HMTBNの直接検出である(後者の方法は既に述べた)。
仮定的nitBアップミュータントを二次アッセイに付し、活性の増加を確認した。二次アッセイでは、アップミュータントおよび野生型コントロールを振盪フラスコの発現培溶液中で誘発した。振盪フラスコ培養を続いて100mMのK3PO4(pH7)で洗浄し、660nmで同じ光学濃度で再懸濁した。続いて、最初のアッセイで用いた条件と同じ条件下で、正規化細胞再懸濁物を用いてカイネテックアッセイを実施した。HMTBN活性が増加したことを確認した仮定的アップミュータントの配列を決定し、同じ発現株に戻し形質転換を実施した後で活性の増加について検査し、活性の増加はホストの変異によるものではないことを確認した。
確認されたnitBのGSSM(商標)アップミュータントはnitB G46Pである。これはアミノ酸46にグリシン(GGT)から(CCG)への置換を含む。この変異体の全細胞HMTBN活性は、25℃でも35℃でも野生型のそれよりも約50%高い。有利なG46P変異を同定したときに、GSSM(商標)を再び用い、二重変異体プールをnitB G46P鋳型を使用して作製した。これらの変異体は全てG46P変異およびさらに任意の位置に別の一アミノ酸置換を含んでいた。前記二重変異体を、nitB G46PのHMTBN活性よりも高い活性についてアッセイした。変異誘発プロセスを加速し、さらに有利な変異をより迅速に同定するために、二重、三重および四重変異体を作製した。最初のいくつかの突然変異誘発を同定し単離した後、それらを結合させて二重変異体を作製した。そのうちの最良の変異体はDM18であった。DM18を鋳型として用い、三重変異体を作製した。もっとも活性が高い変異体はTM3であり、前記を鋳型として用いて四重変異体を作製した。もっとも活性が高い変異体がQM2であった。下記の表はこれらの突然変異の概要である。
Figure 0004405258
先ず最初に変異体の全細胞HMTBN活性を調べることにより前記変異体の特徴を調べた。100mMのHMTBNでは、QM2のHMTBS生成速度は、親遺伝子のそれより1.2倍高い。しかしながら、200mMのHMTBNでは、QM2の速度は、親遺伝子のそれより3.6倍高い。これら変異体の生産性は、HMTBN濃度が100mMから300mMに増加したとき顕著に高まった。変換速度については、TM3は基質を270分後に完全に変換し、DM18およびSMは同じ時間で75%を越える変換を示した。NitBの活性/生産性に対するHMTBN濃度の影響に関してさらに調べるために、いくつかの変異体を400mMおよび528mMの両方のHMTBNでアッセイした。NitBは前記基質濃度では本質的に不活性であるが、変異体は前記濃度で顕著な活性を保持している。特に、これら高い濃度での活性は200mMの基質でのそれらの活性と本質的に同じであった。したがって、これら変異体を広範囲の基質濃度で用いることが可能で、NitB親遺伝子よりもより融通性の高い有用性を提供する。
前記変異体は親遺伝子よりも高い発現レベルを有することが示され、さらにまた、SDS−PAGE分析で見たとき、野生型よりもQM2およびTM3変異体はより高い割合で可溶性酵素を含むようであった。安定性に関しては、これらの酵素のいずれも25℃および35℃の両温度で本質的に同じ安定性パターンを示した。
最後に、前記変異体をコドン最適化に付した。本アプローチはコドンを最適化し、したがって特定のホスト細胞での発現レベルを高めることができる。このことは結局細胞あたりの酵素の活性を増加させるであろう。これによって、コドン最適化変異体ではコントロールと比較して完全細胞活性が増加する。活性の増加は約2倍であった。大腸菌発現系を使用した。
実施例20:ニトリラーゼ触媒反応から生成される化合物の選択した実施例

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さらに、下記は、ニトリラーゼストレッカー(Strecker)様式により作製できる潜在的生成物である。100を越えるアミノ酸および多くの新規な薬剤をそれらの対応するアルデヒドまたはケトンから本発明のニトリラーゼ酵素を用いて生成できる。例えば、本発明のニトリラーゼを用いて合成できる多くの市販薬剤には以下が含まれる:ホモフェニルアラニン、VASOTEC(商標)、VASOTRIC(商標)、TECZEM(商標)、PRINIVIL(商標)、PRINZIDE(商標)、ZESTRIL(商標)、ZESTORETIC(商標)、RAMACE(商標)、TARKA(商標)、MAVIK(商標)、TRANDOAPRIL(商標)、TRANDOLAPRILAT(商標)、ALTACE(商標)、ODRIK(商標)、UNIRETIC(商標)、LOTENSIN(商標)、LOTREL(商標)、CAPOTEN(商標)、MONOPRIL(商標)、TANATRIL(商標)、ACECOL(商標)、LONGES(商標)、SPIRAPRIL(商標)、QUINAPRIL(商標)、およびCILAZAPRIL(商標)。他のキラル薬剤には以下が含まれる:DEMSER(商標)(α-メチル-L-チロシン)、ALDOCHLOR(商標)、LEVOTHROID(商標)、SYNTHROID(商標)、CYTOMEL(商標)、THYOLAR(商標)、HYCODAN(商標)、CUPRIMINE(商標)、DEPEN(商標)、PRIMAXIN(商標)、MIGRANOL(商標)、D.H.E.−45、DIVOAN(商標)、CEFOBID(商標)、L-DOPA、D-DOPA、D-α-メチル-DOPA、L-α-メチル-DOPA、L-γ-ヒドロキシグルタメート、D-γ-ヒドロキシグルタメート、3-(2-ナフチル)-L-アラニン、D-ホモセリンおよびL-ホモセリン。
さらにまた、本発明のニトリラーゼ酵素は以下のアミノ酸の合成に有用であろう。これらアミノ酸の多くは医薬としての用途を有する。D-フェニルグリシン、L-フェニルグリシン、D-ヒドロキシフェニルグリシン、L-ヒドロキシフェニルグリシン、L-tert-ロイシン、D-tert-ロイシン、D-イソロイシン、L-イソロイシン、D-ノルロイシン、L-ノルロイシン、D-ノルバリン、L-ノルバリン、D-2-チエニルグリシン、L-2-チエニルグリシン、L-2-アミノブチレート、D-2-アミノブチレート、D-シクロロイシン、L-シクロロイシン、D-2-メチルフェニルグリシン、L-2-メチルフェニルグリシン、L-チエニルアラニンおよびD-チエニルアラニン。
本発明のニトリラーゼ酵素は以下の天然のアミノ酸の合成に有用である:グリシン、L-アラニン、L-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-フェニルアラニン、L-チロシン、L-トリプトファン、L-システイン、L-メチオニン、L-セリン、D-セリン、L-スレオニン、L-リジン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-アスパルテート、L-グルタメート、L-アスパラギン、L-グルタミンおよびL-プロリン。以下は本発明のニトリラーゼ酵素を用いて生成することができる天然には存在しないアミノ酸の例である:D-アラニン、D-バリン、D-ロイシン、D-イソロイシン、D-フェニルアラニン、D-チロシン、D-トリプトファン、D-システイン、D-メチオニン、D-スレオニン、D-リジン、D-アルギニン、D-ヒスチジン、D-アスパルテート、D-グルタメート、D-アスパラギン、D-グルタミンおよびD-プロリン。
さらにまた、本発明のニトリラーゼ酵素を非ストレッカー化学反応に用いることができる。前記反応は、より多くのキラル医薬(例えばTAXOTERE(商標))の他に3−ヒドロキシグルタロニトリル($5.5Bマーケット)(LIPITOR(商標)、BAYCOL(商標)およびLESCOL(商標))を含むキラル医薬の合成を含む。医薬ではない標的キラル生成物には以下が含まれる:PANTENOL(商標)、L-ホスフィノスリシン、D-ホスフィノスリシン、D-フルオロフェニルアラニンおよびL-フルオロフェニルアラニン。最後に、ニトリラーゼを用いて、キラル中心を欠く天然に存在しないアミノ酸化合物を生成することができる。前記は例えばサルコシン、イミノ二酢酸、EDTA、α-アミノブチレートおよびβ-アラニンである。
以下の部分には、本発明のニトリラーゼで生成することができる基質および生成物の例が含まれる。基質および生成物の化学構造が示されている。化学反応で有用であることが示された特定のニトリラーゼの活性および収量が、反応に続いて表に含まれている。ここに示されている化学反応は本発明のニトリラーゼの活性の非限定的な例である。
























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サブクローンおよびクローンの表示はそれぞれの配列番号の元々の単離された核酸のサブクローンを意味する。
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本発明をある好ましい実施態様を参照して詳細に説明してきたが、これらの改変および変更は本明細書および請求項に記載した本発明の精神の範囲内であることは言うまでもない。
立体選択的ニトリラーゼがシアノヒドリンまたはアミノニトリルを加水分解して、キラルα−ヒドロキシ酸またはα−アミノ酸を生成する化学反応模式図を示す。 ニトリラーゼ活性の存在を確認するために用いられるOPAによるシアン化物検出アッセイを示す。 立体選択的ラクテートデヒドロゲナーゼによるα−ヒドロキシ酸の検出および定量のための分光分析系を示す。 立体選択的アミノ酸オキシダーゼによるα−アミノ酸の検出および定量のための分光分析系を示す。 ニトリラーゼのスクリーニング方法の工程を示す作業工程図である。 6A−6EはD−フェニルグリシンのための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。6Aはブランクサンプル、6Bは酵素反応サンプル、6Cは緩衝液中の細胞溶解物から成る陰性コントロール、6Dはフェニルグリシンのキラル分析、および6EはD-鏡像体を含むニトリルピークの同時溶出である。 7A−7Eは(R)-2-クロロマデル酸のための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。7Aは緩衝液中のクロロマンデル酸のみを示し、7Bはクロロマデル酸標準物を示し、7Cのクロマトグラフィー図は生成物の出現および基質ピークの減少を示す。 8A−8Bは(S)-フェニル乳酸のための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。 9A−9BはL-2-メチルフェニルグリシンのための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。 10A−10CはL-tert-ロイシンのための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。 11A−11Cは(S)-2-アミノ-6-ヒドロキシヘキサン酸のための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。 12A−12Dは4-メチル-D-ロイシンおよび4-メチル-L-ロイシンのための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。 13A−13Bは(S)-シクロヘキシルマンデル酸のための基質および生成物の混合物に特徴的なクロマトグラフィー図を示す。

Claims (21)

  1. 以下のいずれかを含む、単離核酸、合成核酸、または組換え核酸:
    a)配列番号385記載の配列と少なくとも90%、95%、98%または100%の配列同一性を有する配列を含み、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸、
    b)配列番号386記載の配列と少なくとも90%、95%、98%または100%の配列同一性を有する配列を含み、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸、
    c)配列番号385記載の配列を有する核酸とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸、
    d)a)、b)またはc)に記載の核酸の配列と相補的な配列を含む核酸。
  2. 請求項1記載の核酸を含むベクター、発現ベクター、クローニングベクター、ウイルス粒子、ウイルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌人工染色体または人工染色体。
  3. 請求項1記載の核酸、または請求項2記載のベクター、発現ベクター、クローニングベクター、ウイルス粒子、ウイルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌人工染色体または人工染色体を含む宿主細胞。
  4. 請求項3記載の宿主細胞または請求項2記載のベクター、発現ベクター、クローニングベクター、ウイルス粒子、ウイルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、細菌人工染色体または人工染色体を含む宿主細胞を含む宿主またはトランスジェニック生物。
  5. 以下のいずれかを含む単離ポリペプチド、合成ポリペプチドまたは組換えポリペプチド:
    a)配列番号386と少なくとも90%、95%、98%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、ニトリラーゼ活性を有するポリペプチド、または、
    b)請求項1のa)、b)またはc)の核酸によってコードされるポリペプチド。
  6. ニトリラーゼ活性を有し請求項5記載のポリペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするコドン最適化核酸であって、コドン頻度が特定の生物又は細胞に最適化されている前記核酸。
  7. 請求項5記載のポリペプチドに特異的に結合する精製若しくは組換えニトリラーゼ−結合抗体または精製若しくは組換えニトリラーゼ結合抗体断片。
  8. 以下のいずれかを含む組成物:
    a)請求項1記載の核酸の少なくとも一つ、
    b)請求項5記載のポリペプチドの少なくとも一つ、および/または、
    c)請求項7記載の精製若しくは組換えニトリラーゼ−結合抗体または精製若しくは組換えニトリラーゼ結合抗体断片の少なくとも一つ。
  9. ニトリラーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドとニトリルとをニトリラーゼ活性に適した条件下で接触させることを含む、ニトリルをカルボン酸に加水分解する方法であって、前記ポリペプチドが請求項5記載のポリペプチドのアミノ酸配列を有する、または請求項1のa)、b)若しくはc)に記載の核酸によってコードされるポリペプチドである、前記方法。
  10. ニトリラーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドとシアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を有する分子とを、ニトリラーゼ活性に適した条件下で接触させることを含む、前記分子のシアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を加水分解する方法であって、前記ポリペプチドが請求項5記載のポリペプチドのアミノ酸配列を有する、または請求項1のa)、b)若しくはc)に記載した核酸によってコードされるポリペプチドである、前記方法。
  11. ニトリラーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドと、シアノヒドリン部分またはアミノニトリル部分を有する分子とをニトリラーゼ活性に適した条件下で混合することを含む、キラルα−ヒドロキシ酸分子またはキラルアミノ酸分子を製造する方法であって、前記ポリペプチドが請求項5記載のポリペプチドのアミノ酸配列を有する、または請求項1のa)、b)若しくはc)に記載の核酸によってコードされるポリペプチドである、前記方法。
  12. 組成物またはその中間体を製造する方法であって、シアノヒドリン部分若しくはアミノニトリル部分を含む組成物の前駆体またはシアノヒドリン部分若しくはアミノニトリル部分を含む中間体の前駆体を、ニトリラーゼ活性を有する、少なくとも1つのポリペプチドと混合し、前記前駆体のシアノヒドリンまたはアミノニトリル部分を加水分解することを含み、前記ニトリラーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドが請求項5記載のポリペプチドのアミノ酸配列を有する、または請求項1のa)、b)若しくはc)に記載の核酸によってコードされるポリペプチドである、前記方法。
  13. マンデロニトリルとニトリラーゼ活性を有する少なくとも1つの一つのポリペプチドとを混合することを含む、(R)-マンデル酸を製造する方法であって、前記ニトリラーゼ活性を有する少なくとも1つのポリペプチドが、請求項5記載のポリペプチドのアミノ酸配列を有する、または請求項1のa)、b)若しくはc)に記載した核酸によってコードされるポリペプチドである、前記方法。
  14. i)ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞へ、前記宿主細胞が前記ポリペプチドを産生することができる条件下で導入すること、および、
    ii)産生された前記ポリペプチドを回収すること、
    を含む、ポリペプチドを製造する方法であって、
    前記ポリペプチドが請求項5記載のポリペプチドのアミノ酸配列を有する、または請求項1のa)、b)若しくはc)に記載の核酸によってコードされる、前記方法。
  15. 以下を含む、ニトリラーゼ活性をもつポリペプチドをコードする核酸変種の作製方法:
    i)1つまたは2つ以上のヌクレオチドを、天然または非天然ヌクレオチドを含む異なるヌクレオチドに置換すること;または、
    ii)1つまたは2つ以上のヌクレオチドを欠失させること;または、
    iii)1つまたは2つ以上のヌクレオチドを付加すること;または
    iv)前記のいずれかを組み合わせること、
    によって請求項1記載の核酸を改変すること。
  16. ニトリラーゼをコードする、請求項1のa)、b)またはc)記載の核酸もしくはそのフラグメントの、前記核酸の特性または前記核酸によってコードされるポリペプチドの特性を最適化させるためにデザインされた方法における使用。
  17. 請求項1のa)、b)またはc)記載の核酸のトランスジェニック非ヒト生物の作製における使用。
  18. 以下の(I)および(II)を含むキット:
    (I) (a)少なくとも1つの請求項1記載の核酸、(b)少なくとも1つの請求項5記載のポリペプチド、および/または(c)少なくとも1つの、請求項7記載の精製若しくは組換えニトリラーゼ−結合抗体または精製若しくは組換えニトリラーゼ結合抗体断片、および、
    (II)バッファー
  19. 以下を含む、分子を改変する方法:
    i)少なくとも1つの請求項5記載のポリペプチド、および/または少なくとも1つの請求項7記載の精製若しくは組換えニトリラーゼ−結合抗体または精製若しくは組換えニトリラーゼ結合抗体断片を出発分子と混合して反応混合物を作製すること;および、
    ii)前記出発分子を前記ポリペプチドと反応させて改変分子を生成すること。
  20. 請求項1記載の核酸または請求項5記載のポリペプチドをコードする核酸を含むプローブ。
  21. (a)少なくとも1つの請求項1記載の核酸、(b)少なくとも1つの請求項5記載のポリペプチド、および/または(c)少なくとも1つの請求項7記載の精製若しくは組換えニトリラーゼ−結合抗体または精製若しくは組換えニトリラーゼ結合抗体断片を含む、ゲルまたはビーズ中に被包化された調製物。
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