JP4397129B2 - 静電型アクチュエータ及び該静電型アクチュエータを使用したインクジェットヘッド、インクジェットプリンタ - Google Patents

静電型アクチュエータ及び該静電型アクチュエータを使用したインクジェットヘッド、インクジェットプリンタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は静電型アクチュエータ及び該静電型アクチュエータを使用したインクジェットヘッド、インクジェットプリンタに関し、さらに詳しくは、記録を必要とする時にのみインク液滴を吐出し、記録紙面に付着させるインクジェット記録装置の静電型アクチュエータにおいて、使用環境が変化してもインク吐出し特性、振動板駆動特性が経時的に変化することがないようにしたは静電型アクチュエータ及び該静電型アクチュエータを使用したインクジェットヘッド、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、本発明に関連した従来技術を示す。
特開平6−71882号公報(インクジェットヘッド及びその製造方法)の発明は、静電方式のインクジェットに関し、振動板と電極間のギャップ長を規定している。実施例の中で振動板と電極間の封止を熱硬化型接着剤または光硬化型接着剤により封止を行っている。
【0003】
特開平11−179919号公報(静電型アクチュエータ及びその製造方法)の発明は、静電型アクチュエータを用いたインクジェットヘッドのインク室の底壁の表面及びセグメント電極の表面を含む振動室は、外部と結ぶ管と接続しており、この管は更にバイパス管を介して外部に連通している。管の開放端を封止剤で封止した後、振動室内部にバイパス管を介して疎水膜を形成するための化合物が処理槽内で注入される。注入後、処理槽外で封止剤によりバイパス管を封止することにより振動室を気密封止する。
【0004】
特開平10−304685号公報(静電アクチュエータ及びそれを利用したインクジェットヘッド)の発明は、静電気力によって相対変位する振動室と振動室に連通し気密封止されている通路を備えた静電アクチュエータにおいて、振動室に封止剤が侵入しないように安定して通路を気密封止する。振動室に連通している通路に封止用接着剤が溜まる封止溜まり部を形成し、封止用接着剤の振動室への侵入を停止する。
【0005】
特開平10−264381号公報(インクジェットヘッド及びその製造方法)の発明は、シリコン基板を用いたインクジェットヘッドの製造方法において、封止剤からの気体の発生を防ぐことにより吐出の出力を安定させ高気密な封止を可能にする。電極と振動板を貼り合わせ、その貼り合わせ基板の電極取り出し部に低融点ガラスを用いて封止する。
【0006】
特開平11−263012号公報(静電型アクチュエータ及びその製造方法)の発明は、静電型アクチュエータを用いたインクジェットヘッドのインク室の底壁(共通電極)の表面及びセグメント電極の表面を含む振動室は外部を結ぶ管と接続しており、この管は更にバイパス管を介して外部に連通している。また、管を取り出すための第1の貫通穴とバイパス管を取り出すための第2の貫通穴がキャビティープレートに形成されている。第1の貫通穴から管の解放端を封止材で封止した後振動室内部にバイパス管を介して疎水膜を形成するための化合物を処理槽内で注入される。注入後、処理槽外で第2の貫通穴よりバイパス管の解放端を封止材で封止することにより、振動室は気密封止される。
【0007】
特開平11−34319号公報(記録ヘッド)の発明は、静電型インクジェットヘッドにおいて、振動板基板と電極との間隔を一定に保つために、下基板に支柱部材を設け、この支柱部材に開口部を設けたものである。これにより、振動板が変形あるいは復元するときに発生するギャップ内の空気圧変動が、前記開口部から速やかに大気に解放されるため、振動板の動作が阻害されることがなくなり、振動板から発生する力がロスされないため駆動特性が向上する。
【0008】
特開2000−186541号公報(インクジェットヘッド及びその製造方法)の発明は、静電型インクジェットヘッドにおいて、振動室と外部を連通する連通孔を酸化膜により封止するものである。これにより、接着剤による封止時に懸念される硬化時の気体の発生、硬化収縮による振動板の変形がなく、また振動室への接着剤の入り込み量のバラツキがない高温高湿下での信頼性が向上する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録装置は記録時の騒音が極めて小さいこと、高速印字が可能なこと、インクの自由度が高く安価な普通紙を使用できること等多くの利点を有する。この中でも記録の必要なときにのみインク液滴を吐出するいわゆるインク・オン・デマンド方式が記録に不要なインク液滴の回収を必要としないため現在主流となっている。
【0010】
インク・オン・デマンド方式のインクジェットヘッドには、駆動手段が圧電素子であるもの(特公平2−51734号公報)や、インクを加熱して気泡を発生させその圧力でインクを吐出させるもの(特公昭61−59911号公報)等がある。しかしながら、上記方式のインクジェットヘッドには以下に述べるような問題がある。
【0011】
最近のインクジェット記録装置による印字には、高速・高印字品質が求められてきており、これを達成するためのマルチノズル化・ノズルの高密度化において、圧電素子を微細に加工して各々の振動板に接着することはかなり困難である。また、従来の機械加工における寸法精度では印字品質のばらつきが大きくなってしまうという問題がある。
また、インクを加熱する方法においては、駆動手段が薄膜の抵抗加熱体により形成されるため、上記のような問題は存在しないが駆動時の急速な加熱・冷却の繰り返しや気泡消滅時の衝撃により抵抗加熱体がダメージを受けるためにインクジェットヘッドの寿命が短いという問題がある。
【0012】
上記の問題を解決するものとして、特開平5−50601号公報で開示されているように駆動手段に静電気力を利用したインクジェットヘッド記録装置がある。この方式は、小型高密度、高印字品質および長寿命であるという利点を有している。
上記静電方式においてはインクノズルに連通しているインク吐出室の底面が弾性変形可能な振動板として形成されている。この振動板には一定の間隔で基板が対向配置されている。これらの振動板及び基板にはそれぞれ対向電極が配置され、これらの対向電極の間の空間は封止しておかなければならない。封止しない場合、インクジェットヘッドを駆動している間に、対向電極の表面すなわち対向している振動板の底面及び基板の表面に水分が付着し静電吸引特性及び静電反発特性が低下するおそれがある。また、基板の表面に付着した水分により振動板と電極基板が貼り付いたままの状態となり動作不能となるおそれがある。
【0013】
従来、上記封止は、特開平6−71882号公報に示されるように熱硬化型あるいは光硬化型の樹脂を用いて行われている。
しかし、この方法では接着剤が固まるときに接着剤から気体が発生する、接着剤が硬化収縮することにより振動板が変形を起こし吐出しが安定しない、接着剤が振動室領域に流れ込み振動板が吸着するといった問題がある。また、各ビット間での接着剤からの気体の発生量や接着剤の管の中への侵入量の差により振動板変形量のバラツキが生じてしまう等の問題がある。
弾性接着剤を使用して上記のような硬化収縮あるいは封止剤からのガスによる振動板の変形を接着剤により吸収することで回避する方法もあるが、弾性接着剤のみでの封止膜の場合、使用環境および保管環境(圧力,温度)が変化した場合にインク吐出特性、振動板駆動特性等が経時的に変化してしまう(封止剤を介して振動室内部と外部で空気が通過する)という問題がある。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、封止剤から発生する気体あるいは封止剤の硬化収縮による振動板の変形が生じることがなく、また使用環境及び保管環境(圧力,温度)が変化した場合に特性が経時的に変化してしまうことのない静電型アクチュエータ、該アクチュエータを使用したインクジェットヘッドを提供するものである。
【0015】
より詳しくは、固体振動板と、該振動板と対向配置された電極部と、前記振動板と該振動板と対向配置された電極間の前記振動板に変形を生じさせる振動室と該振動室を含み該振動室が外部に連通するための第1の管を備えている静電型アクチュエータであって、前記第1の管が外部と連通する箇所が複数の有機材料により封止されていることを特徴とする静電型アクチュエータ及び該アクチュエータを使用したインクジェットヘッドを提供するものである。また、前記第1の管の複数に連通する第2の管を有することにより、封止の際に前記振動板が変形を起こしてもビット間でのバラツキのない静電型アクチュエータ及び該アクチュエータを使用したインクジェットヘッドを提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、その第1の技術手段は、振動板と、該振動板と対向配置された対向電極と、前記振動板に変形を生じさせる振動室と、該振動室を含み該振動室が外部に連通するための第1の管を備えている静電型アクチュエータにおいて、前記対向電極と電気的に接続したフレキシブル基板を有し、前記第1の管が外部と連通する箇所が、有機材料によって封止された後、前記有機材料より低透気性の第2の有機材料によって、前記有機材料の上部が覆われ、かつ前記対向電極と前記フレキシブル基板との接続個所が封止されていることを特徴とする。
【0022】
の技術手段は、第1の技術手段の静電型アクチュエータにおいて、前記第1の管の複数に連通する第2の管を有していることを特徴とする。
【0023】
の技術手段は、第1〜の技術手段の静電型アクチュエータを使用したインクジェットヘッド、または該インクジェットヘッドを使用したインクジェットプリンタであることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1は、本発明の前提となる静電型アクチュエータの構成を示す断面図である。
静電型インクジェットヘッドを形成する個々の静電型アクチュエータは、吐き出し室基板1と電極基板2は振動室6によって形成される所定のギャップ長をもって陽極接合またはSi直接接合されている。接合時の温度は高いのでギャップ部の空気が膨張し、接合後常温に下がった時点ではギャップ部内の圧力が大気圧以下になるために吐き出し室5底部の振動板3が電極基板2表面に形成された対向電極4側にひずみ、対向電極4と接触し短絡したり、あるいは振動板3に不必要な応力を与えたりする等の障害が生じる。
このため、振動板3と対向電極4間のギャップ内を一度大気に解放する必要がある。ただし、ギャップを大気に解放したままにしておくと、静電気の作用により塵埃を吸引し塵埃が電極に付着したりして、振動板3の振動特性が変動する。そこで、従来例では振動室6を通路を介して大気に解放させると共に、通路の出口7を陽極接合またはSi直接接合後、吐き出し室基板1と電極基板2が常温に下がった時点で、粘度の高いエポキシ等の接着剤8を用いて封止している。
【0025】
この場合、封止時に接着剤硬化時の気体の発生、硬化収縮による振動板3の変形の発生が懸念される。また、振動室6への接着剤8の入り込み量のばらつきが生じ、振動板3の振動特性のばらつきが生じることも懸念される。
本発明では、上記した封止で懸念される問題点に鑑み、信頼性の高い静電型アクチュエータ及びインクジェットヘッドを提供するものである。
【0026】
図2は、本発明の静電型アクチュエータを製造する一連の工程を示す平面図であり、図3は、図2から引き続く工程を示す同様の平面図である。
まず、図2(A)に示すように、P型(100)Si基板11を用意し、その上に対向電極12及びギャップ13を形成する。なお、P型(100)Si基板11は、静電型アクチュエータの電極基板となるものである。
また、各々のアクチュエータの各ギャップ13を連通するように連通孔14を形成する。また、連通孔14の途中にダンパ部を設けておく。
【0027】
次に、図2(B)に示すように、ボロンを注入した(110)Si基板15を用意し、前記対向電極12及びギャップ13を形成したP型(100)Si基板11とボロンを注入した(110)Si基板15を直接接合により接合を行い、その後ボロンを注入した(110)Si基板15の厚さが100μmになるまで研磨を行う。なお、ボロンを注入した(110)Si基板15は、静電型アクチュエータの吐き出し室基板となるものである。
【0028】
次に、(100)Si基板11とボロンを注入した(110)Si基板15とを直接接合した基板にエッチングマスクとなる窒化膜をデポし、図2(C)に示すように裏面流路部16,吐き出し室部18,仮接着領域17をウェットエッチングにより形成する。(100)Si基板11とボロンを注入した(110)Si基板15との直接接合により、振動室が形成される。
【0029】
その後、図2(D)に示すように、ボロンを注入した(110)Si基板(吐き出し室基板)15の電極取り出し部19をドライエッチングにて開口を行う。
【0030】
その後、図3(E)に示すように、吐き出し室基板15と電極基板11の間の振動室(ギャップ部)を低アウトガス、低硬化収縮、高粘度の弾性接着剤20により封止を行う。ただし、この弾性接着剤20のみの封止では耐透気性に欠け、封止としては不十分である。
その後、ウェハ(Wafer)から各チップにダイシングにより切断する。
【0031】
その後、図3(F)に示すように、露出した個別電極の対向電極12とFPCケーブル21とを異方性導電膜によって電気的な接続を行なう。FPCケーブル21にはドライバICがワイヤーボンドによって搭載されている。
次に、低透気性の有機封止剤22を低アウトガス、低硬化収縮、高粘度の弾性接着剤20の上部を覆うように、かつFPCケーブル21に接触するように塗布を行う。この封止により、ギャップ部は完全に封止が行われる。またFPCケーブル21に接触するように塗布を行うためFPCケーブル21が電極基板11から剥離しないようになる。
【0032】
その後、ノズルプレート24と図3(A)〜(F)の工程で製造されたアクチュエータを接合する為に、吐き出し室基板15の上面に接着剤を塗布する。その後、仮接着塗布領域17に仮接着剤として光硬化型接着剤23をディスペンサにより塗布する。
その後、図3(G)に示すように、Ni電鋳により形成されたノズルプレート24と、接着剤が塗布された静電型アクチュエータを位置合わせし、仮加圧を行う。ここで、光硬化型接着剤に紫外線UVを照射して仮接着剤を硬化させ、本加圧を行い加熱硬化させる。
【0033】
上記したように、本製造方法では、まず低アウトガス、低硬化収縮、高粘度の弾性接着剤20にて第1の管、すなわちギャップ部が外部と連通する箇所を封止し、その後低透気性の有機封止材22によってFPCケーブル21とともに封止を行う。
このような構成にすることで、接着剤の硬化時に発生する振動板の変形を抑えることができ、また温度、圧力変化に伴う振動板変形量の経時変化を抑えることが可能となる。また、複数の第1の管を連通する第2の管、すなわち連通孔14を構成しているので、接着剤の管への侵入量の差による振動板変形量のバラツキを抑えることができる。
【0034】
また、本発明の異なる実施例では、無機材料あるいは該無機材料を最下層とした積層膜により封止を行う。このような構成とすることによって、樹脂封止のみのときと比較して耐透気性に優れ、前記実施例の構成同様に温度、圧力変化に伴う振動板変形量の経時変化を抑えることが可能となる。
無機材料によって完全に封止をする必要はなく、第1の管が外部に連通する箇所の構造が複雑で封止ができない場合は、その後低透気性の接着剤によって封止を行えば良い。無機封止を行うことにより、第1の管が外部に連通する箇所の断面積が小さくなり、低透気性の接着剤の振動室への侵入はほとんどない。
また、接着剤からの振動室へ侵入するアウトガスも少なく、それによる振動板の変形は小さい。
【0035】
また、無機材料として表面反応型の膜を使用すると、第1の管が外部に連通する箇所の構造が複雑な場合でも完全封止することは可能である。この場合は使用する装置によっては振動室内が大気圧以下になる場合がある。この時は第2の管を外部に連通させて、一度振動板の変形をなくす方法もある。
また、第2の管の途中に形成したダンパ部で吸収しても良い。
【0036】
次に、本発明による静電型アクチュエータを製造する異なる製造工程について図4,図5を用いて説明する。
図4は本発明による静電型アクチュエータを製造する一連の製造工程を示す吐き出し室部の断面図、図5は吐き出し室部と吐き出し室部の間の柱部の断面図である。
図4(A),図5(A)に示すように、P型(100)Si基板31(厚さ625μm)を用意し、2μmの厚さに酸化膜32をウェット酸化により形成した。酸化条件は1050℃、18.5hである。
【0037】
次に、図4(B)に示すように、グラデーションマスクを用いてレジストのパターニングを行い、ドライエッチング及びウェットエッチングにより酸化膜32のパターニングを行った。グラデーションマスクを使用して、電極形状を形成することにより非平行のギャップを形成することができ、低電圧化に有利な電極形状を形成することが可能となる。図5(B)に示すように、各電極パターン間の柱部には複数の振動室、すなわち第1の管を連通するように連通孔41、すなわち第2の管を形成した。
【0038】
次に、図4(C),図5(C)に示すように対向電極となるTiN33を200nmの厚さにスパッタ法で形成した。
その後、TiN33を個別電極用にエッチングにより分離を行い、その後電極保護膜としてシリコン酸化膜34を200nmの厚さに形成した。
次に、電極部以外の前記シリコン酸化膜32及びTiN33を各々ドライエッチング、ウェットエッチングにより除去した。
なお、図4(C),図5(C)に示すものが、静電型アクチュエータの電極基板となる。
【0039】
その後、図4(D),図5(D)に示すようにボロンを注入した厚さ400μmの(110)Si基板35を直接接合により900〜1000℃で接合を行い、その後100μmの厚さになるまで研磨を行った。
【0040】
次に、電極基板31およびSi基板35に窒化膜を積層、パターニングをして、図4(E),図5(E)に示すように電極基板(図4(C),図5(C))に裏面流路36をウェットエッチングにより形成した。
【0041】
その後、図4(F),図5(F)に示すように、吐き出し室37をウェットエッチングにより形成した。この時、図2,図3で説明した吐き出し室接合用の仮接着剤領域17及びパッド開口領域を同時に形成した。ボロンを注入した領域はボロン注入していないSi領域と比較してエッチングレートが低下するため、選択的にボロン注入領域のみ残すことが可能である。図4(C),図5(C)に示す電極基板とSi基板35を減圧下で接合しているためエッチングされて薄膜になった領域は下方に撓んだ形状となる。
その後、ボロン注入Si基板35及びシリコン酸化膜32をエッチングして裏面流路36の開口を行った。
【0042】
その後、図4(G),図5(G)に示すように、電極取り出し部のSi基板35をエッチングにて開口した。この時、ギャップ部(振動室)は大気に開放されるため振動板は水平形状となる。
【0043】
その後、図4(H),図5(H)に示すように、各振動室から外部に通ずる開放端を弾性接着剤39にて封止を行った。本実施例では、東邦化成製ウルタイト1540を使用して封止を行った。
その後、ダイシングにてウェハからチップの形状に分離を行った。
【0044】
また、各振動室から外部に通ずる開放端を封止する封止部材は、オゾンTEOSを用いたCVD酸化膜、または前記オゾンTEOSを用いたCVD酸化膜を最下層にした積層膜とすることができる。このような構成とすることによって、樹脂材料の封止の場合に比較して、透気性がなく、温度、圧力変化による振動板変形量の経時変化がなく安定した駆動が可能になる。また、オゾンTEOSを用いたCVD酸化膜を使用することで、第1の管すなわち振動室に通じた管が外部と連通する箇所の形状に依らず封止を行うことが可能である。
【0045】
さらに、振動室が外部と連通する箇所を封止する封止部材は、LP−CVDを用いた窒化膜、あるいは該LP−CVDを用いた窒化膜を最下層にした積層膜とすることができる。このような構成とすることによって、樹脂材料の封止の場合に比較して、透気性がなく、温度、圧力変化による振動板変形量の経時変化がなく安定した駆動が可能になる。またLP−CVDを用いた窒化膜を使用することで第1の管が外部と連通する箇所の形状に依らず封止を行うことが可能である。
【0046】
その後、図4(I),図5(I)に示すように、FPCケーブル40を異方性導電膜によって電気的な接続を行なった。FPCケーブル40にはドライバICがワイヤーボンドによって搭載されている。
次に、弾性接着剤39を上部から覆うように、さらにFPCケーブル40に接触するようにフッ素ゴム系の接着剤41にて封止を行った。このフッ素ゴム系の接着剤41は耐透気性に優れている。
上記した一連の工程により静電型インクジェットヘッドのアクチュエータ部の作製を行った。
【0047】
次に、前記のような製造工程によって形成した静電型アクチュエータを用いたインクジェットヘッドについて説明する。
図6は、静電型アクチュエータを用いたインクジェットヘッドを分解して示す斜視図である。
ドライバIC53が搭載されたFPCケーブル54が接続された静電アクチュエータ51とノズルプレート55とを接合する為に、静電アクチュエータ51に形成された吐き出し室基板の上面に接着剤を塗布した。吐き出し室基板とノズルプレート55を接着剤により接合する場合、接着剤のはみ出しが噴射特性に影響を与える為、塗布膜厚を1μm前後にする必要がある。したがって、吐き出し室上面に接着剤を塗布する方法は、転写法により塗布を行った。本実施例では、ローラにドクターブレードで接着剤を薄膜化し、転写パッドによりローラから接着剤を転写し、さらに転写パッドからシリコン液室上面に接着剤を転写する方法により行った。
【0048】
また、ノズルプレート55と吐き出し室の位置決めをする為に、仮接合用の紫外線硬化型接着剤を吐き出し室基板の仮接着剤塗布領域52にディスペンサにより塗布した。
そして、Ni電鋳により形成されたノズルプレート55と、接着剤が塗布された静電アクチュエータ51を位置合わせし、仮加圧を行なった。
その後、紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して接着剤を硬化させ、本加圧を行い加熱硬化させた。加熱接合する際に、シリコンとノズルプレート(NiまたはSUS)間の線膨張係数の差により反ってしまう。反りが発生すると、内部応力によりアクチュエータを破壊してしまう可能性がある。そこで、接着剤の硬化温度は低い方が良い為、2液混合型(常温硬化型)のエポキシ系接着剤を使用した。硬化温度は、低いほど良いが、本実施例では50℃で硬化を行った。
また、インク供給タンクまたはインクカートリッジからインクを供給する為のジョイント部56と、フィルター57が熱溶着されたフレーム58を接着接合した。
フレーム58にアクチュエータ51とノズルプレート55を接着接合する為に接着剤を塗布し、アクチュエータの位置合わせをして接着接合を行った。
【0049】
上記構成により、個別電極である対向電極にパルス電圧を印加することにより、振動板が静電気力によって対向電極側に変形する。そして、インクが共通液室から流体抵抗部を通り、吐き出し室に流入し、吐き出し室の体積が増加する。ここで、パルス電圧が解除されることで静電気力が無くなり、振動板がもとの状態に戻る。この振動板の弾性力によって吐き出し室の圧力が上昇し、ノズルプレートに設けられたノズル孔からインクが噴射される。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、静電型アクチュエータにおいて、第1の管が外部と連通する箇所が、有機材料からなる複数の積層膜により封止されているので、アウトガス、硬化収縮が少なく、高粘性の封止材を使用して封止され、その後低透気性の封止材により封止することで、封止材が硬化するときのアウトガス、硬化収縮による振動板の変形を防ぐことができ、透気性も少ないため、温度、圧力が変化した際の振動板変形量の経時変化を防ぐことができる。
【0051】
また、対向電極と電気的に接続したフレキシブル基板を有し、前記対向電極とフレキシブル基板の接続個所が、第2の有機材料により封止されているので、第2の有機材料に低透気性の材料を選ぶことにより温度、圧力が変化した際の振動板変形量の経時変化を防ぐことができる。また、第2の有機材料がフレキシブル基板と接触しているためフレキシブル基板が電極基板と剥離するのを防ぐことができ、高信頼性の静電型アクチュエータを提供することができる。
【0056】
請求項の発明によれば、第1の管の複数に連通する第2の管を有しているので、封止材料として有機材料を使用し、アウトガス、硬化収縮等により振動板変形が生じた場合でも第2の管があるためビット間のバラツキを低減することが可能である。
【0057】
請求項の発明によれば、請求項1〜の静電型アクチュエータを使用したインクジェットヘッドまたはインクジェットプリンタであるので、温度、圧力が変化した際の振動板変形量の経時変化を防ぐことができるため、高信頼性でインク滴速度、インク体積のバラツキの少ないインクジェットヘッドまたはインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の前提となる静電型アクチュエータの構成を示す断面図である。
【図2】 本発明の静電型アクチュエータを製造する一連の工程を示す平面図である。
【図3】本発明の静電型アクチュエータを製造する図2から引き続く工程を示す平面図である。
【図4】 本発明の静電型アクチュエータを製造する一連の製造工程を示す吐き出し室部の断面図である。
【図5】 図4における吐き出し室部と吐き出し室部の間の柱部の断面図である。
【図6】 静電型アクチュエータを用いたインクジェットヘッドを分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
1…吐き出し室基板、2…電極基板、3…振動板、4…対向電極、5…吐き出し室、6…振動室、7…通路の開口端、8…接着剤、11…P型(100)Si基板11(電極基板)、12…対向電極、13…ギャップ、14…連通孔、15…ボロンを注入した(110)Si基板(吐き出し室基板)、16…裏面流路部、
17…仮接着領域、18…吐き出し室、19…電極取り出し部、20…弾性接着剤、21…FPCケーブル、22…有機封止剤、23…光硬化型接着剤、24…ノズルプレート、31…P型(100)Si基板11(電極基板)、32…酸化膜、33…TiN、34…Si酸化膜、35…ボロンを注入した(110)Si基板(吐き出し室基板)、36…裏面流路、37…吐き出し室、39…弾性接着剤、40…FPCケーブル、41…フッ素ゴム系の接着剤、51…静電型アクチュエータ、52…仮接着剤塗布領域、53…ドライバIC、54…FPCケーブル、55…ノズルプレート、56…ジョイント部、57…フィルタ、58…フレーム。

Claims (3)

  1. 振動板と、該振動板と対向配置された対向電極と、前記振動板に変形を生じさせる振動室と、該振動室を含み該振動室が外部に連通するための第1の管を備えている静電型アクチュエータにおいて、
    前記対向電極と電気的に接続したフレキシブル基板を有し、
    前記第1の管が外部と連通する箇所が、有機材料によって封止された後、
    前記有機材料より低透気性の第2の有機材料によって、前記有機材料の上部が覆われ、かつ前記対向電極と前記フレキシブル基板との接続個所が封止されている
    ことを特徴とする静電型アクチュエータ。
  2. 請求項記載の静電型アクチュエータにおいて、前記第1の管の複数に連通する第2の管を有していることを特徴とする静電型アクチュエータ。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の静電型アクチュエータを使用したインクジェットヘッド、または該インクジェットヘッドを使用したことを特徴とするインクジェットプリンタ。
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