JP4372931B2 - カメラ用フォーカルプレンシャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影に際して、先羽根群と後羽根群とを同一方向へ順次作動させ、その二つの羽根群のスリット形成羽根同士によって形成されたスリットにより、露光を行うようにしたカメラ用のフォーカルプレンシャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の通常のフォーカルプレンシャッタは、先羽根群と後羽根群が、それらを連結している先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材によって作動させられる。そして、それらの駆動部材は、露光作動時には、夫々、先羽根用駆動ばねの付勢力と後羽根用駆動ばねの付勢力によって、露光作動開始位置から、撮影条件によって決定される所定の時間間隔で順に作動させられ、また、セット作動時には、セット部材によって、それらの駆動ばねの付勢力に抗して作動させられるようになっている。
【0003】
ところで、露光作動の開始に先立って、上記の各駆動部材を露光作動開始位置で保持する構成には、係止タイプと称されているものとダイレクトタイプと称されているものがある。本発明は、それらのうち、ダイレクトタイプのフォーカルプレンシャッタに関するものであるが、周知のように、このタイプの場合には、各駆動部材に鉄片部材を取り付けておき、露光作動の開始直前には、各駆動部材は、各鉄片部材が夫々の電磁石に吸着されることによって、露光作動開始位置に保持されるようにしている。そのため、係止タイプに比較して、部品点数も少なくコンパクト化し易い構成とはなっているが、製作上においては種々の対策を必要としている。
【0004】
先ず、セット部材が二つの駆動部材をセット作動させるとき、その作動の最終段階において、二つの鉄片部材を夫々の電磁石に対して全く同時に接触させるように製作することは、部品精度の上からも組立精度の上からも、不可能である。そのため、通常の場合は、各鉄片部材を、夫々の駆動部材に固定せず、ばねを介在させて取り付けるようにし、両方の鉄片部材を夫々の電磁石に接触させたい時点よりも各駆動部材を、各鉄片部材との間に介在させたばねを若干圧縮する程度に作動させて、両方の鉄片部材が確実に接触し得るようにしている。従って、そのセット完了状態においては、各駆動部材は、露光作動開始位置を越えた位置にあり、その分だけ上記の各駆動ばねを所謂オーバーチャージし、また、鉄片部材と電磁石との接触以後に、鉄片部材との間に介在させているばねを緊張させた状態にしている。
【0005】
また、最近のカメラは、撮影が終了すると、フィルムの巻上げとシャッタのセットが直ちに行なわれるようになっている。そして、電源電池の浪費を防ぐ意味から、上記の各電磁石に対する通電は、シャッタのセット段階においては行なわず、次の撮影が行なわれる直前になってから行なうようにしている。そのため、セット状態において各駆動部材を機械的に係止してしまうようにした係止タイプの場合とは異なり、ダイレクトタイプの場合には、セット部材を、セット作動終了後、直ちにセット前位置(以下、初期位置という)へ復帰させることができず、次の撮影が行なわれるまで、セット完了位置に留めておくようにしている。
【0006】
そして、次の撮影が行なわれるときには、先ず、各電磁石に通電し、各鉄片部材を吸着保持しておいてから、セット部材を初期位置へ復帰させ、その後に、各電磁石への通電を順に断ち、夫々の駆動部材に露光作動を行わせるようにしている。しかしながら、そのようにしてセット部材が初期位置へ復帰するとき、各駆動部材は、夫々、オーバーチャージされている各駆動ばねの付勢力と、鉄片部材との間に介在させられ上記のようにして緊張させられたばねの付勢力とによって、セット位置から僅かに作動させられ、既に電磁石によって吸着されている鉄片部材によってその作動を阻止される。このようにして停止した位置が、各駆動部材にとっての露光作動開始位置である。
【0007】
ところで、そのようにして各駆動部材が露光作動開始位置で停止するとき、上記の各ばねの付勢力などによって、鉄片部材に対して瞬間的に大きな衝撃力が作用する。そして、電磁石による吸着力が十分でないと、各駆動部材は、露光作動開始位置で停止せず、羽根群を伴って暴走してしまうことになる。そのため、そのような事態が生じないようにするために、従来は、各電磁石に対する供給電力を必要以上に大き目にしていた。しかし、最近のように、カメラの電動化が進んでくると、構造的には多少の複雑性を伴ったとしても、各電磁石に対する供給電力を如何にして少なくて済むようにするかが大きな課題となってきた。そして、そのような観点からの提案が、特開平9−304807号公報,特開平9−304808号公報,特開平10−48699号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の各公報に記載されたものは、それなりの効果はあるが、構成が比較的複雑であるため、コンパクト化や低コスト化という観点からは、問題なしとは言えない。また、上記のようにして各駆動部材が露光作動開始位置で停止するとき、各電磁石の吸引力に抗して各鉄片部材に作用する力は、上記の各ばねの固有の付勢力だけではなく、それによって作動される部材、特に、各駆動部材に連結されている羽根群の慣性力を無視することができない。ところが、従来、このような羽根群の慣性力に着目し、それによる影響を少しでも受けないようにしようとする観点からの提案は殆どなされていない。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、駆動部材が、露光作動に先立ってセット位置から露光作動開始位置に達したとき、従来のように羽根群の慣性力が、電磁石に吸着されている鉄片部材を、電磁石から離反させる力として余り作用しないようにしたダイレクトタイプのカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、電磁石に吸着保持される鉄片部材を取り付けておりセット作動時には初期位置から作動したセット部材により露光作動終了位置から駆動ばねの付勢力に抗して露光作動開始位置を越えセット位置まで回転させられ撮影時には前記鉄片部材が前記電磁石に吸着保持された後に前記セット部材が初期位置へ復帰するのに伴い前記セット位置から露光作動開始位置まで回転して一旦停止し前記電磁石に対する通電が断たれたとき前記駆動ばねの付勢力によって露光作動を開始する主駆動部材と、地板に枢着された複数のアームと該アームの先端部に向けて順に枢支された複数枚の羽根とからなっていて往復作動させられることによって該羽根が露光開口を開閉する羽根群と、前記アームを往復回転させて前記羽根群に往復作動を行わせるため前記アームの一つに連結させた駆動ピンを有しておりセット作動時には前記駆動ばねの付勢力よりも小さい付勢力を有するセットばねによって前記主駆動部材に追従して回転させられ前記アームの一つを一方へ回転させ撮影時には前記主駆動部材に押されて回転させられ前記アームの一つを他方へ回転させ前記主駆動部材が露光作動開始位置で一旦停止したときに前記セットばねの付勢力に抗して前記主駆動部材から一時的に離れても該セットばねの付勢力によって前記主駆動部材に接触するようにした副駆動部材と、を備えているようにする。
また、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタにおいては、前記セットばねは、前記主駆動部材と前記副駆動部材との間に掛けられているようにすると、有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1〜図4に示した実施例によって説明する。尚、これらの図面のうち、図1,図2,図4は、何れもカメラに組み込まれた状態において被写体側から視た場合の略左半分だけを示した平面図である。そして、図1は露光作動終了直後の状態を示したものであり、図2はセット状態を示したものであり、図3はレリーズ後に後羽根用駆動系の部材が露光作動開始位置で停止する直前の状態を示したものであり、図4は露光作動開始直前の状態を示したものである。また、構成の説明においては、被写体側を表面側と称し、フィルム面等の結像面側を背面側と称することにする。
【0012】
先ず、本実施例の構成を説明する。シャッタ地板1には、その略中央部に長方形を横長にした開口部1aが形成されているが、図1においてはその開口部1aの左側の一部だけが示されている。また、周知のように、シャッタ地板1の背面側には、所定の間隔を空けて、図示していない中間板と補助地板が取り付けられており、シャッタ地板1と中間板との間に先羽根群の羽根室を形成し、中間板と補助地板との間に後羽根群の羽根室を形成している。更に、中間板と補助地板にも、開口部1aと類似の開口部が形成されていて、通常は、それらの開口部を重ね合わせて露光開口を規制するようにしているが、本実施例においては、開口部1aの形状が露光開口を規制しているものとして説明する。
【0013】
開口部1aの左側には、円弧状の二つの長孔1b,1cが形成されており、それらの下方端部には、平面形状がC字状をしている周知の緩衝部材が取り付けられているが、図面が見にくくならないようにするために、図示を省略してある。また、シャッタ地板1の表面側には、軸1d,1e,1fが立設されていて、背面側には、軸1g,1h,1i,1jが立設されている。そして、それらの軸のうち、軸1dと軸1g、及び軸1eと軸1iは、夫々同心上に配置されている。そのため、通常は同一部材として製作され、シャッタ地板1に固定されるようにしていることが多い。
【0014】
上記の軸1dには、先羽根用主駆動部材2と先羽根用副駆動部材3とが回転可能に取り付けられている。そのうち、先羽根用主駆動部材2は、合成樹脂製であって、押動部2aと、被押動部2bと、取付部2cとを有していて、図示していない周知の先羽根用駆動ばねによって時計方向へ回転するように付勢されている。また、取付部2cは表面側に大きく***しており、各図においては、それを破断し、内部を理解し易いようにして示している。この取付部2cには、鉄片部材4が圧縮ばね5を介在させて取り付けられている。即ち、鉄片部材4は、鉄片部4aと、軸部4bと、頭部4cとで構成されていて、圧縮ばね5によって、鉄片部4aを外部へ突き出すように付勢されているが、図1においては、頭部4cが取付部2cに当接することによって、それ以上は突き出さない状態となっている。
【0015】
また、先羽根用副駆動部材3は、ピン3aと、駆動ピン3bとを有していて、シャッタ地板1との間に掛けられた図示していない先羽根用セットばねによって反時計方向へ回転するように付勢されている。但し、その先羽根用セットばねの付勢力は、上記した図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力よりも可成り小さいものである。また、ピン3aと駆動ピン3bとは同心上に設けられており、背面側に立設されている駆動ピン3bは、シャッタ地板1の長孔1bを貫通していて、先端部よりも直径の大きな根元部が、露光作動の終了時において上記の図示していない緩衝部材に当接するようになっている。
【0016】
シャッタ地板1の軸1eには、後羽根用主駆動部材6と後羽根用副駆動部材7とが回転可能に取り付けられている。そのうち、後羽根用主駆動部材6は、合成樹脂製であって、押動部6aと、被押動部6bと、取付部6cとを有していて、図示していない周知の後羽根用駆動ばねによって時計方向へ回転するように付勢されている。また、取付部6cは表面側に大きく***しており、内部には、鉄片部材8が圧縮ばね9を介在させて取り付けられている。即ち、鉄片部材8は、鉄片部8aと、軸部8bと、頭部8cとで構成されていて、圧縮ばね9によって、鉄片部8aを外部へ突き出すように付勢されているが、図1においては、頭部8cが取付部6cに当接することによって、それ以上は突き出さない状態となっている。
【0017】
また、後羽根用副駆動部材7は、ピン7aと、駆動ピン7bとを有していて、シャッタ地板1との間に掛けられた図示していない後羽根用セットばねによって反時計方向へ回転するように付勢されている。但し、その後羽根用セットばねの付勢力は、上記した図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力よりも可成り小さいものである。また、ピン7aと駆動ピン7bとは同心上に設けられており、背面側に立設されている駆動ピン7bは、シャッタ地板1の長孔1cを貫通していて、先端部よりも直径の大きな根元部が、露光作動の終了時において上記の図示していない緩衝部材に当接するようになっている。
【0018】
シャッタ地板1の軸1fには、セット部材10が回転可能に取り付けられていて、図示していないばねの付勢力によって反時計方向へ回転するように付勢されている。図1は、図示していないストッパによってその回転を停止された状態を示したものであるが、以下、セット部材10については、この位置を初期位置と称することにする。そして、このセット部材10は、押動部10a,10bと、被押動部10cとを有している。
【0019】
更に、周知であるため、詳細な構成の図示を省略しているが、シャッタ地板1の表面側には、所定の間隔を空けて、シャッタ地板1と平行に支持板が取り付けられていて、その支持板には、先羽根用電磁石11と後羽根用電磁石12が取り付けられているが、各図においては、その鉄芯の概略的な平面形状だけを一点鎖線で示し、符号を付けてある。そして、これらの電磁石11,12は、それらのコイルに通電されたとき、上記した鉄片部材4,8の鉄片部4a,8aを吸着するようになっている。
【0020】
次に、シャッタ地板1の背面側に配置されている先羽根群と後羽根群の構成を説明する。先ず、先羽根群は、シャッタ地板1の軸1g,1hに対して回転可能に取り付けられた二つのアーム13,14と、それらの先端部に向けて順に枢支された4枚の羽根15,16,17,18で構成されており、アーム13,14の先端部に枢支された羽根18がスリット形成羽根となっている。そして、アーム13に形成されている長孔13aには、先羽根用副駆動部材3の駆動ピン3bの先端部が嵌合している。
【0021】
また、後羽根群の構成は、実質的に先羽根群を裏返しにして配置した構成をしており、シャッタ地板1の軸1i,1jに対して回転可能に取り付けられた二つのアーム19,20と、それらの先端部に向けて順に枢支された4枚の羽根21,22,23,24で構成されていて、羽根24がスリット形成羽根となっている。そして、アーム19に形成された長孔19aには後羽根用副駆動部材7の駆動ピン7bの先端部が嵌合している。
【0022】
次に、図2〜図4も用いて本実施例の作動を説明するが、図2及び図4においては、各羽根群の図示が省略されている。図1は、露光作動終了直後の状態を示している。従って、先羽根用副駆動部材3の駆動ピン3bは、その根元部が長孔1bの下端部で図示していない緩衝部材に当接している。そして、このとき、先羽根群の4枚の羽根15,16,17,18は重畳されて開口部1aの下方位置に格納されている。また、後羽根用副駆動部材7の駆動ピン7bは、その根元部が長孔1cの下端部で図示していない緩衝部材に当接している。そして、後羽根群の4枚の羽根21,22,23,24は、展開状態となって開口部1aを覆っている。
【0023】
本実施例のセット作動は、このような図1の状態において、セット部材10が時計方向へ回転することによって行なわれる。即ち、セット部材10は、図示していないカメラ本体側の部材によって被押動部10cを押され、図示していないばねの付勢力に抗して時計方向へ回転されると、先ず、押動部10aが、被押動部2bを押して、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力に抗して先羽根用主駆動部材2を反時計方向へ回転させていく。このとき、先羽根用副駆動部材3も、上記した図示していない先羽根用セットばねの付勢力によって、ピン3aが押動部2aに追従しながら反時計方向へ回転していく。従って、先羽根群の4枚の羽根15,16,17,18は、隣接する羽根同士の重なり量を減じながら上方へ移動していくことになる。
【0024】
その後、先羽根群のスリット形成羽根18と、後羽根群のスリット形成羽根24との重なり量が所定量に達すると、セット部材10は、その押動部10bが後羽根用主駆動部材6の被押動部6bを押し始める。そのため、後羽根用主駆動部材6は、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して反時計方向へ回転させられていくが、このとき、後羽根用副駆動部材7も、上記した図示していない後羽根用セットばねの付勢力によって、ピン7aが押動部6aに追従しながら反時計方向へ回転していく。従って、後羽根群の4枚の羽根21,22,23,24は、隣接する羽根同士の重なり量を増しながら上方へ移動していく。
【0025】
このようにして、各羽根群のセット作動は続けられていくが、先羽根群の4枚の羽根15,16,17,18が展開され、開口部1aを完全に覆った段階になると、各鉄片部材4,8の鉄片部4a,8aは、相前後して電磁石11,12に接触し、それ以後は、圧縮ばね5,9を圧縮させながら取付部2c,6c内に押しこまれ、逆に、頭部4c,8cが取付部2c,6cから離れていくことになる。そして、その直後に、セット部材10の回転が停止され、セット作動が終了する。そのセット完了状態が図2に示されており、セット部材10は、次の撮影が行われるまで、この状態を維持させられる。
【0026】
次の撮影に際して、カメラのレリーズボタンが押されると、先ず、各電磁石11,12に通電され、鉄片部材4,8が吸着保持される。次に、セット部材10に対する図示していないカメラ本体側の部材による押圧力が解かれるため、セット部材10は、図示していないばねの付勢力によって初期位置へ復帰する。それによって、押動部10a,10bによる押圧力が解かれ、各主駆動部材2,6は、それらの取付部2c,6cが鉄片部材4,8の頭部4c,8cに当接するまで、図示していない各駆動ばねと圧縮ばね5,9の付勢力によって時計方向へ回転されることになる。また、このとき、各主駆動部材2,6の押動部2a,6aが各副駆動部材3,7のピン3a,7aを押すので、各副駆動部材3,7も、図示していない各セットばねの付勢力に抗して時計方向へ回転させられる。
【0027】
そして、各主駆動部材2,6の取付部2c,6cが鉄片部材4,8の頭部4c,8cに当接したとき、鉄片部材4,8には、各電磁石11,12から離反させるような力が作用するが、本実施例の場合には、その力が従来よりも小さくなるような構成にしているため、言い換えれば、各電磁石11,12に対して供給する電流値が従来よりも小さくて済むような構成にしているため、各主駆動部材2,6は、各副駆動部材3,7を伴って、各羽根群を暴走させてしまうようなことがなく、露光作動開始位置で好適に停止するようになっている。
【0028】
そこで、そのことを、図3を用いて、後羽根群の駆動系の構成の場合で具体的に説明する。先ず、従来の構成は、本実施例における後羽根用主駆動部材6と後羽根用副駆動部材7とが一体となっていた。そのため、取付部6cが鉄片部材8の頭部8cに当接する際には、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力と圧縮ばね9の付勢力のほかに、後羽根群の慣性力が作用するようになっていた。ところが、本実施例の場合には、取付部6cが鉄片部材8の頭部8cに当接する際、後羽根用副駆動部材7が後羽根群を伴って、図示していない後羽根用セットばねの付勢力に抗して僅かに作動を続けるため、鉄片部材8の頭部8cには、後羽根群の慣性力が作用しない。
【0029】
図3は、そのときの状態を示したものである。そして、この直後には、上記の後羽根用セットばねの付勢力によって、後羽根用副駆動部材7は反時計方向へ回転され、ピン7aを押動部6aに当接させることになるが、そのときには、鉄片部材8を後羽根用電磁石12から離反させる方向の力は作用しない。従って、後羽根用主駆動部材6と、後羽根群を連結している後羽根用副駆動部材7とは、露光作動開始位置で好適に停止することになる。そして、このことは、先羽根群の構成においても全く同じことが言えるので、両方の羽根群は、共に露光作動開始位置で好適に停止する。そのときの状態が、図4に示された状態である。
【0030】
このようにして図4の状態が得られた後、最初に先羽根用電磁石11に対する通電が断たれ、所定時間後に後羽根用電磁石12に対する通電が断たれる。それによって、先羽根用主駆動部材2と後羽根用主駆動部材6が、図示していない各駆動ばねの付勢力によって相次いで急速に時計方向へ回転させられ、各副駆動部材3,7の駆動ピン3b,7bが各アーム13,19を回転させ、各羽根群に露光作動を行わせる。その結果、二つのスリット形成羽根18,24によって形成されるスリットが、フィルムやCCDなどの結像面を露光していく。
【0031】
そして、露光作動を先に開始した先羽根群は、先羽根用副駆動部材3の駆動ピン3bが長孔1bの下端部にある図示していない緩衝部材に当接した直後に、図示していないストッパに当接して停止する。従って、それらの停止状態においては、先羽根群の4枚の羽根15,16,17,18は、重畳されて開口部1aの下方位置に格納される。他方、遅れて露光作動を開始した後羽根群も、4枚の羽根21,22,23,24が開口部1aを完全に覆った段階になると、後羽根用副駆動部材7の駆動ピン7bが長孔1cの下端部にある図示していない緩衝部材に当接した直後に、図示していないストッパに当接して停止する。そして、そのようにして行なわれた露光作動の終了状態が図1に示された状態である。
【0032】
尚、上記の実施例においては、図示していない各セットばねが、各副駆動部材3,7と、シャッタ地板1との間に掛けられている場合で説明した。しかしながら、各副駆動部材3,7は、各羽根群のアーム13,19に連結されていることから、それらのセットばねは、アーム13,19とシャッタ地板1との間に掛けてもよいし、アーム14,20とシャッタ地板1との間に掛けてもよいことになる。そして、後者の場合には、従来からアーム14,20に、ガタ寄せばねと称されているばねを掛けることが知られているが、その役目を兼用することにもなる。
【0033】
また、上記のように、セットばねの一端をシャッタ地板1に掛けた場合には、それらの付勢力が、各羽根群の露光作動に対して逆らうように作用することになる。そのため、仕様によっては、シャッタの高速化という観点から好ましくない場合があるが、そのような場合には、各セットばねを、各主駆動部材2,6と各副駆動部材3,7との間に掛けるようにすればよい。但し、その場合には、露光作動に先だって、各主駆動部材2,6がセット位置から露光作動開始位置まで作動して、それらの取付部2c,6cが各鉄片部材4,8の頭部4c,8cに当接したときだけ、各セットばねが緊張されていくようになるから、その力が、各鉄片部材4,8を各電磁石11,12から離反させるように作用することになる。しかし、その力のかかり方は、セット部材10が初期位置へ復帰するときに発生する離反力に比べれば、明らかに穏やかなものである。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフォーカルプレンシャッタは、従来の駆動部材を、駆動ばねによって付勢されている主駆動部材と、羽根群を連結している副駆動部材とに分け、撮影時に、露光作動に先立って、それらが、セット位置から露光作動開始位置に達したとき、従来のように、羽根群の慣性力が、電磁石に吸着されている鉄片部材を電磁石から離反させる力として作用しないか、殆ど作用しないようにしたので、少ない消費電力で電磁石の吸着保持力を確実に得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被写体側から視た場合の左側の略半分を示した実施例の平面図であって、露光作動を終了した直後の状態を示したものである。
【図2】図1と同じようにして示した実施例の平面図であって、セット完了状態を示したものである。
【図3】レリーズ後に後羽根用駆動系の部材が露光作動開始位置で停止する直前の状態を示した実施例の平面図である。
【図4】図1と同じようにして示した実施例の平面図であって、レリーズ後の露光作動開始直前の状態を示したものである。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a 開口部
1b,1c,12a,19a 長孔
1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j 軸
2 先羽根用主駆動部材
2a,6a,10a,10b 押動部
2b,6b,10c 被押動部
2c,6c 取付部
3 先羽根用副駆動部材
3a,7a ピン
3b,7b 駆動ピン
4,8 鉄片部材
4a,8a 鉄片部
4b,8b 軸部
4c,8c 頭部
5,9 圧縮ばね
6 後羽根用主駆動部材
7 後羽根用副駆動部材
10 セット部材
11 先羽根用電磁石
12 後羽根用電磁石
13,14,19,20 アーム
15,16,17,18,21,22,23,24 羽根
Claims (2)
- 電磁石に吸着保持される鉄片部材を取り付けておりセット作動時には初期位置から作動したセット部材により露光作動終了位置から駆動ばねの付勢力に抗して露光作動開始位置を越えセット位置まで回転させられ撮影時には前記鉄片部材が前記電磁石に吸着保持された後に前記セット部材が初期位置へ復帰するのに伴い前記セット位置から露光作動開始位置まで回転して一旦停止し前記電磁石に対する通電が断たれたとき前記駆動ばねの付勢力によって露光作動を開始する主駆動部材と、地板に枢着された複数のアームと該アームの先端部に向けて順に枢支された複数枚の羽根とからなっていて往復作動させられることによって該羽根が露光開口を開閉する羽根群と、前記アームを往復回転させて前記羽根群に往復作動を行わせるため前記アームの一つに連結させた駆動ピンを有しておりセット作動時には前記駆動ばねの付勢力よりも小さい付勢力を有するセットばねによって前記主駆動部材に追従して回転させられ前記アームの一つを一方へ回転させ撮影時には前記主駆動部材に押されて回転させられ前記アームの一つを他方へ回転させ前記主駆動部材が露光作動開始位置で一旦停止したときに前記セットばねの付勢力に抗して前記主駆動部材から一時的に離れても該セットばねの付勢力によって前記主駆動部材に接触するようにした副駆動部材と、を備えていることを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
- 前記セットばねは、前記主駆動部材と前記副駆動部材との間に掛けられていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP37430899A JP4372931B2 (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | カメラ用フォーカルプレンシャッタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP37430899A JP4372931B2 (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | カメラ用フォーカルプレンシャッタ |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2001188279A JP2001188279A (ja) | 2001-07-10 |
JP4372931B2 true JP4372931B2 (ja) | 2009-11-25 |
Family
ID=18503629
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP37430899A Expired - Lifetime JP4372931B2 (ja) | 1999-12-28 | 1999-12-28 | カメラ用フォーカルプレンシャッタ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP4372931B2 (ja) |
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JP4628387B2 (ja) | 2006-03-31 | 2011-02-09 | 日本電産コパル株式会社 | カメラ用フォーカルプレンシャッタ |
-
1999
- 1999-12-28 JP JP37430899A patent/JP4372931B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2001188279A (ja) | 2001-07-10 |
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