JP4314580B2 - 物理量センサ、およびこれに使用するリードフレーム - Google Patents
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Description
上述した機能を携帯端末装置に持たせるためには、磁気センサ、加速度センサ等の物理量センサを携帯端末装置に内蔵させることが必要となる。また、このような物理量センサにより三次元空間での方位や加速度を検知可能とするためには、物理量センサチップの設置面を傾斜させることが必要となる。
そして、この磁気センサはこれら一対の磁気センサチップにより検出された磁気成分により、地磁気成分を3次元空間内のベクトルとして測定を行っている。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、物理量センサチップを小型かつ薄型のパッケージ内において傾斜させて収納できる物理量センサ及びこれに用いるリードフレームを提供することを目的としている。
本発明は、各々の表面に物理量センサチップを載置する少なくとも2つのステージ部と、その周囲に配される複数のリードを備えるフレーム部とを有する金属製薄板からなるリードフレームであって、前記複数のリードの一部が、各ステージ部の一端部に連結される複数の連結リードを構成し、相互に対向する前記2つのステージ部の各他端部には、前記ステージ部の裏面側に突出する突出片が形成され、前記2つのステージ部に連結された全ての前記連結リードは、各ステージ部の一端部から前記2つのステージ部を並べた方向に突出し、各連結リードの中途部に、前記フレーム部に対して基準軸線を中心に前記ステージ部を揺動させる易変形部が形成され、前記ステージ部と、前記易変形部を含む前記中途部から前記ステージ部までの間に位置する前記連結リードの先端部とが、前記中途部よりもステージ部から離れて位置する前記連結リードの基端部に対して、前記金属製薄板の厚さ方向にずれた位置に配されていることを特徴とするリードフレームを提案している。
ここで、易変形部は連結リードの中途部に形成されているため、この易変形部よりもステージ部側に位置する連結リードの先端部は、ステージ部と共に傾斜することになる。すなわち、この連結リードの先端部と物理量センサチップとを金属製薄板の厚さ方向に重なる位置に配しても、物理量センサチップと連結リードとが相互に干渉することを防止できる。
リードフレーム1は、図1,2に示すように、平面視矩形の板状に形成された磁気センサチップ(物理量センサチップ)3,5を配置するための2つのステージ部7,9と、ステージ部7,9を支持するフレーム部11とを備えており、これらステージ部7,9とフレーム部11とは一体的に形成されている。フレーム部11は、ステージ部7,9を囲むように平面視矩形の枠状に形成された矩形枠部13と、この矩形枠部13から内方に向けて突出する複数のリード15,17とからなる。ここで、リード15は、磁気センサチップ3,5のボンディングパッド(図示せず)と電気的に接続されるものであり、リード17(以下、連結リード17とも呼ぶ。)は、矩形枠部13とステージ部7,9とを相互に連結する連結リードの役割を果たしている。なお、電気接続のためのリード15には、矩形枠部13の角部から突出するリードも含まれている。
なお、ステージ部7,9及びステージ部7,9側に位置する連結リード17の先端部17aから中途部までの表面7a,9a,17bには、フォトエッチング加工により凹状の溝が形成されており、連結リード17の先端部17a及びステージ部7,9の厚さ寸法が、連結リード17の基端部17cや後述する突出片19,21よりも薄く形成されている。ここで、連結リード17の先端部17aの表面17bは、ステージ部7,9の表面7a,9aと共に同一平面を形成しており、磁気センサチップ3,5を載置するように形成されている。
すなわち、突出片19,21の基端部は他の部分よりも薄く形成され、容易に変形可能となっているため、ステージ部7,9に対する突出片19,21の傾斜角度を精度よく設定することが可能となる。
さらに、これら突出片19,21は、図3(a),(c)に示すように、金属製薄板からリードフレーム1を形成するパンチング加工において、その裏面19b,21bから表面19a,21aに向けて打ち抜いて形成されており、突出片19,21の裏面19b,21b側の先端部19c,21cが滑らかな丸みを帯びた形状となっている。
はじめに、図1,2に示すように、ステージ部7,9の表面7a,9aに磁気センサチップ3,5を接着する。この状態において、各磁気センサチップ3,5は、その一辺が連結リード17の長手方向に直交するように配されている。また、各磁気センサチップ3,5は、前述のフォトエッチング加工により薄く形成された連結リード17の先端部17aから中途部に至る領域に配されている。
次いで、ワイヤー(図示せず)を配して磁気センサチップ3,5の表面に均等間隔で配されたボンディングパッド(図示せず)と連結リード17とを電気的に接続する。なお、ワイヤーを配する際には、ステージ部7,9を傾斜させる段階において、ワイヤーと磁気センサチップ3,5とのボンディング部分、および連結リード17とのボンディング部分が互いに変化するため、このワイヤーの材質は、曲げやすく柔らかいことが好ましい。
すなわち、はじめに、図4に示すように、凹部E1を有する金型Eの表面E2にリードフレーム1の矩形枠部13を配する。この際には、矩形枠部13の内側にあるリード15,17、ステージ部7,9、磁気センサチップ3,5、突出片19,21は、凹部E1の上方に配される。また、この状態においては、凹部E1側から上方側に向けて、磁気センサチップ3,5、ステージ部7,9、突出片19,21が順番に配されている。
突出片19,21の上方には、平坦面F1を有する金型Fが配されており、前述した金型Eと共にリードフレーム1の矩形枠部13を挟み込むように構成されている。なお、このリードフレーム1と金型Fとの間には、リード15への樹脂バリを防止したり、金型Fと樹脂とを剥離しやすくするためのシートSが配されている。
最後に、矩形枠部13を切り落としてリード15,17を個々に切り分け、磁気センサ30の製造が終了する。
また、磁気センサチップ5は、外部磁界の2方向の磁気成分に対して感応するものであり、これら2つの感応方向は、磁気センサチップ5の表面5aに沿って互いに直交する方向(C方向およびD方向)となっている。
ここで、A,C方向は基準軸線L1と平行な方向となっており、互いに逆向きとなっている。また、B,D方向は基準軸線L1に直交する方向となっており、互いに逆向きとなっている。
なお、A−B平面とC−D平面とがなす角度θは、0°よりも大きく、90°以下であり、理論上では、0°よりも大きい角度であれば3次元的な地磁気の方位を測定できる。ただし、実際上は20°以上であることが好ましく、30°以上であることがさらに好ましい。
また、ステージ部7,9を傾斜させるために用いた連結リード17の中途部17d及び先端部17aは、ステージ部7,9と共に傾斜しているため樹脂モールド部27内に埋まっており、連結リード17の基端部17cに位置する裏面17eのみが樹脂モールド部27の下面27a側に露出している。
この磁気センサ30は、例えば、図示しない携帯端末装置内の基板に搭載され、この携帯端末装置では、磁気センサ30により測定した地磁気の方位を携帯端末装置の表示パネルに示すようになっている。
また、磁気センサチップ3,5をステージ部7,9の表面7a,9aに載置した際には、易変形部よりもステージ部7,9側に位置する連結リード17の先端部17aの表面17bにも載置させることができるため、磁気センサチップ3,5をステージ部7,9の表面7a,9aに対して安定して載置することができる。
また、前述のフォトエッチング加工により、磁気センサチップ3,5を接着するステージ部7,9の表面7a,9aが窪んで形成されているため、磁気センサチップ3,5の配置を低くして、磁気センサ30の薄型化を図ることができる。
さらに、シートSに接触する突出片19,21の先端形状は丸みを帯びた形状に形成されているため、突出片19,21によってシートSが破れることを防止でき、金型Fへの樹脂流出を防止できる。したがって、所望の外観形状を有する磁気センサ30を製造することができる。
また、磁気センサチップ3,5は、連結リード17の先端部17aの表面17bに載置若しくは接着されることに限らず、磁気センサチップ3,5を傾斜させた状態において、少なくとも連結リード17と磁気センサチップ3,5とが相互に干渉することを防止できればよい。
すなわち、例えば、図8に示すように、ステージ部7,9、及び、易変形部を含む中途部17dからステージ部7,9までの間に位置する連結リード17の先端部17aとが、連結リード17の基端部17cに対して金属製薄板の厚さ方向にずれた位置に配してリードフレームを構成するとしてもよい。この構成においては、基準軸線L1の位置もステージ部7,9と同様にずれた位置に配されることになる。
なお、この構成に加え、磁気センサチップ3,5に対向する連結リード17の基端部17cの表面をフォトエッチング加工等により削って凹部17fを形成した場合には、磁気センサチップ3,5と連結リード17の基端部17cとの干渉をさらに確実に防止できる。
この構成の場合には、連結リード17の中途部17cと樹脂モールド部27の下面27aとの間における樹脂の充填領域が厚さ方向に増加するため、この部分に樹脂を確実に充填することができる。また、中途部17cの易変形部が樹脂モールド部の内部に埋没するため、樹脂モールド部27の下面27aに露出する連結リード17のバリを抑制することも可能となる。
この構成の場合には、ワイヤー29によりリード15とボンディングパッド28とを電気的に接続した後にステージ部7,9を傾斜させても、リード15とボンディングパッド28との相対位置の変化を小さくできる。したがって、ステージ部7,9の傾斜の際に、ワイヤー29に張力が発生することを抑制して、ワイヤー29がリード15やボンディングパッド28から外れたり、ワイヤー29が断線することを防止できる。
この一端部16aは、その側面に凹状の切り欠きを設けて、連結用リード16の他の部分よりも細く形成されており、ステージ部7,9を傾斜させる際に、一対の一端部16aを結ぶ基準軸線L3を中心として容易に変形して捻ることができる捻れ部となっている。
ステージ部7,9の裏面7d,9d側に位置する突出片19,21の基端部には、フォトエッチング加工により凹状の溝18が形成されている。突出片19,21の基端部の厚さ寸法は、前記溝18によって他の部分よりも薄く形成され、容易に変形可能となっているため、ステージ部7,9に対する突出片19,21の傾斜角度を精度よく設定することが可能となる。
このリードフレーム2を用いて磁気センサを製造する際には、第1の実施形態と同様の金型により突出片19,21を押圧して、ステージ部7,9及び磁気センサチップ3,5をフレーム部11に対して傾斜させる。この際には、基準軸線L3回りに連結用リード16の一端部16aが捻れることになる。また、この際には、図13に示すように、連結リード17の表面17bに対向する物理量センサチップ3,5が凹部20に入り込ませることができる。
また、傾斜した磁気センサチップ3,5は、連結リード17の表面17bに形成された凹部20に入り込ませることができるため、連結リード17に対して金属製薄板の厚さ方向にステージ部7,9をずらす長さを伸ばすことなく、磁気センサチップ3,5と連結リード17との干渉を防いで、磁気センサチップ3,5をフレーム部11に対して大きく傾斜させることができる。したがって、磁気センサ31の薄型化を図ることができる。
また、ステージ部7,9は、連結用リード16や連結リード17に連結されるとしたが、これに限ることはなく、図14に示すように、少なくとも捻れ部を有する連結用リード16に連結されていればよい。すなわち、ステージ部7,9は、磁気センサチップ3,5と厚さ方向に重なる連結リード17に連結していなくてもよい。ただし、この場合においても、磁気センサチップ3,5との干渉を防止するために、連結リード17には、その表面17bから窪んだ凹部22を形成しておくことが好ましい。
また、突出片19,21の基端部には、凹状の溝18が形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくともステージ部7,9に対して突出片19,21を容易に屈曲させることができればよい。すなわち、突出片19,21の基端部には、溝18の代わりに切り込みを形成するとしても構わない。
また、上記屈曲加工を施す場合には、図17,18に示すように、突出片19,21の先端部19c,21cの表面19a,21aや裏面19b,21bにフォトエッチング加工を施して、先端部19c,21cの厚さ寸法を他の部分よりも薄く形成してもよい。この構成の場合には、先端部19c,21cを容易に屈曲させることができる。
すなわち、例えば、図19,20に示すように、突出片41〜44を相互に対向するステージ部7,9の他端部7c,9c、及び、ステージ部7,9の側端部7e,9fに形成するとしても構わない。ここで、同一のステージ部7(9)に形成される突出片41,42(43,44)は相互に90°の角度で突出している。
また、例えば、図21,22に示すように、ステージ部7,9の側端部7e,7f,9e,9fに形成され、側端部7e,7f,9e,9fから2つのステージ部7,9を並べる方向に延びる一対の突出片45〜48を設けるとしても構わない。なお、同じ側端部7e,9e(7f,9f)側に形成される突出片45,47(46,48)は、ステージ部7,9の幅方向に並べて配されることが好ましい。
この構成において、図23,24に示すように、突出片49,50は、ステージ部7,9の他端部7c,9c側に突出していてもよいし、また、図25,26に示すように、突出片51,52は、ステージ部7,9の一端部7b,9b側に突出していてもよい。
これらの構成の場合には、突出片49〜56がステージ部7,9の外方に突出しないため、磁気センサチップ3,5やステージ部7,9の面積が大きくなっても、磁気センサのさらなる小型化を図ることが可能となる。
また、L4は、基準軸線L1,L3からステージ部7,9の表面7a,9aに沿って垂直に延び、突出片19,21,41〜56の基端部に至るまでのステージ部長さを示している。L5は、突出片19,21,41〜56の基端部から先端部までの突出片長さを示している。なお、〔数1〕における突出片19,21,41〜56の基端部は、ステージ部7,9の裏面7d,9dと突出片19,21,41〜56の裏面19b,21b,41b〜56bとが交差する位置を示している。
また、〔数1〕において、(t/2+h0)は、金属製薄板の厚さ方向に関する連結リード17の裏面17eから基準軸線L1,L3までの距離を示しているが、(t/2)は、L1に対して十分に小さい(L1:t=10:1)ため、傾斜角度θ1や屈曲角度θ2の値に影響を与えることがない。
例えば、図19のように、同一のステージ部7(9)に形成される突出片41,42(43,44)を相互に90°の角度で突出させたリードフレームにおいては、突出片長さL5を0.5mm、屈曲角度θ2を90°としたときに、ステージ部長さL4が1.87mmとなる。
また、例えば、図21のように、ステージ部7,9の側端部7e,7f,9e,9fから2つのステージ部7,9を並べる方向に延びる一対の突出片45〜48を有するリードフレームにおいては、突出片長さL5を0.7mm、屈曲角度θ2を120°としたときに、ステージ部長さL4が1.91mmとなる。
なお、図19,27のように、各ステージ部7,9に複数の突出片41〜44,53〜56が設けられ、突出片41〜44,53〜56毎に、ステージ部長さL4が異なる場合には、各突出片41〜44,53〜56について突出片長さL5を算出する必要がある。
さらに、ステージ部7,9は、突出片41〜44,53〜56を利用して傾斜させるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも磁気センサの製造が終了した段階において、2つの磁気センサチップ3,5が相互に傾斜していればよい。
また、図30に示すように、ステージ部7,9の一端部7b,9bが基準軸線L1,L3よりも連結リード17側に位置する場合には、ステージ部7,9を傾斜させた際に一端部7b,9bが樹脂モールド部27の下面27a側に近づく方向に移動することになる。このため、この傾斜の際にステージ部7,9の一端部7b,9bが下面27aから外方に露出しないように、ステージ部7,9の表面7a,9aに沿って基準軸線L1,L3から一端部7b,9bに至るまでのステージ部7,9の長さを調整することが好ましい。
さらに、本発明の実施形態では、3次元空間内の磁気方向を検出する磁気センサに適用して説明したが、これに限ることはなく、少なくとも3元空間内の方位や向きを測定する物理量センサであればよい。ここで物理量センサは、例えば、磁気センサチップの代わりに加速度の大きさや方向を検出する加速度センサチップを搭載した加速度センサであってもよい。
Claims (5)
- 各々の表面に物理量センサチップを載置する少なくとも2つのステージ部と、その周囲に配される複数のリードを備えるフレーム部とを有する金属製薄板からなるリードフレームであって、
前記複数のリードの一部が、各ステージ部の一端部に連結される複数の連結リードを構成し、
相互に対向する前記2つのステージ部の各他端部には、前記ステージ部の裏面側に突出する突出片が形成され、
前記2つのステージ部に連結された全ての前記連結リードは、各ステージ部の一端部から前記2つのステージ部を並べた方向に突出し、
各連結リードの中途部に、前記フレーム部に対して基準軸線を中心に前記ステージ部を揺動させる易変形部が形成され、
前記ステージ部と、前記易変形部を含む前記中途部から前記ステージ部までの間に位置する前記連結リードの先端部とが、前記中途部よりもステージ部から離れて位置する前記連結リードの基端部に対して、前記金属製薄板の厚さ方向にずれた位置に配されていることを特徴とするリードフレーム。 - 前記ステージ部、及び、前記ステージ部側に位置する前記連結リードの先端部から前記中途部までが、前記ステージ部の表面側から窪むことで、前記中途部よりも前記ステージ部から離れて位置する前記連結リードの基端部よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。
- 前記突出片が、各ステージ部に一対形成され、
一対の突出片の中途部が、リブによって相互に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリードフレーム。 - 前記ステージ部の表面と同じ方向に向く各突出片の表面に、その突出方向にわたってV字状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリードフレーム。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリードフレームを用いて、前記ステージ部、前記物理量センサチップ、および複数の前記リードを一体的に固定してなることを特徴とする物理量センサ。
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