JP4313929B2 - Abs制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ABS制御装置に係り、特に、個々のタイヤの特性に応じてABS制御を行うABS制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
タイヤの制動力は、タイヤと路面とのスリップにより発生する。つまり、タイヤの制動力は、タイヤが進む速度(車体の進行速度)とタイヤの周速との差により発生する。通常、ABS制御においては、車輪速度信号に基づき車輪スリップ、車輪減速度を演算し、これらに応じて制動液圧の増圧・保持・減圧を制御し、車輪のロックを防止する。
【0003】
タイヤと路面との摩擦力の特性(いわゆるμ−S特性)は、図25に示すようになっている。ABS制御の増圧時にはμ−S特性に沿って矢印X及び矢印Y方向に変化し、その減圧時には若干μ方向(矢印Z方向)に低下するサイクルになっている。
【0004】
タイヤのμ−S特性を利用してABS制御を効率的に行うためには、増圧時においては、μピークから外れたスリップの際はすぐに増圧し(矢印X)、μピーク付近では増圧量を僅かに抑える又はそれを保持して、できる限りμピーク付近に留まる時間を長くする。一方、減圧時においては、すぐにスリップを復帰させることが必要である。
【0005】
ところが、現在のABS制御は、一般的なタイヤの特性に適合するようにして増圧や減圧を行う閾値を設定している。したがって、その閾値は、あるタイヤのある路面に対して常に最適な値であるとは限らない。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば特開平7−165053号公報によると、タイヤと路面間の摩擦力特性を推定してABS制御性能を向上することが開示されている。この技術は、車輪加速度が制動トルクと路面反力(車両に作用する制動力)との差で生じることを用いて、車輪加速度と車両減速度との差が所定値となるスリップ率を求め、オフセットを考慮して目標のスリップ率を決定するものである。
【0007】
しかし、車輪速信号にはノイズが含まれており、また、車体加速度は車輪スリップを含んだ車輪速度から推定されることから、正確に車体加速度や車輪加速度を算出することが困難である。そのため、路面に対するタイヤ摩擦力特性を精度よく把握することができないという問題がある。さらに、従来の手法では、ABS制御時にμ−S特性上のどのような状況であるかを判定することができず、この結果、すぐに増圧すべきか、ゆっくり増圧すべきかの判定が困難であった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解消するために提案されたものであり、路面状態を正確に把握して、その状態にあった最適なABS制御を行うことができるABS制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップに対する路面μの勾配である路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定手段と、ABS制御用の制御パラメータとして、ABS制動液圧の減圧開始を示す減圧開始スリップ閾値またはABS制動液圧の増圧開始を示す増圧開始スリップ閾値を生成する閾値生成手段と、前記路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配に基づいて、前記閾値生成手段で生成された前記減圧開始スリップ閾値または前記増圧開始スリップ閾値を補正する補正手段と、前記補正手段で補正された減圧開始スリップ閾値または増圧開始スリップ閾値に基づいて、ABS制御を行うABS制御手段と、を備えている。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、路面μ勾配推定手段は、車輪速度に基づいて路面μ勾配を推定する。このとき、トルク勾配や微小ゲイン等のように、路面μ勾配とほぼ等価と考えられるものを推定してもよい。補正手段は、路面μ勾配に基づいて、タイヤがμ−S特性上のどの位置にあるかを判定し、タイヤのグリップ力が最も発揮されるμ−S特性のμピーク上にあるように、ABS制御用の減圧開始スリップ閾値または増圧開始スリップ閾値を補正する。なお、μピークにあるときは、ABS制御用の減圧開始スリップ閾値または増圧開始スリップ閾値を補正しなくてもよい。そして、ABS制御手段は、補正後の減圧開始スリップ閾値または増圧開始スリップ閾値を用いてABS制御を行う。このようなABS制御は、車両に設けられた各車輪に対してそれぞれ独立に行うことができる。
【0011】
前記補正手段は、請求項2記載のように、前記路面μ勾配推定手段が推定した減圧開始時の路面μ勾配が所定値より大きいときは、前記減圧開始スリップ閾値を大きくするように補正するか、または、前記路面μ勾配推定手段が推定した増圧開始時の路面μ勾配が所定値より大きいときは、前記増圧開始スリップ閾値を大きくするように補正するようにしてもよい。
【0012】
前記補正手段は、請求項3記載のように、前記路面μ勾配推定手段が推定した減圧開始時の路面μ勾配が所定値より小さいときは、前記減圧開始スリップ閾値を小さくするように補正するか、または、前記路面μ勾配推定手段が推定した増圧開始時の路面μ勾配が所定値より小さいときは、前記増圧開始スリップ閾値を小さくするように補正するようにしてもよい。
【0013】
請求項4記載の発明は、車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップに対する路面μの勾配である路面μ勾配、車輪スリップに対する制動トルクの勾配または車輪スリップに対する駆動トルクの勾配のいずれか1つの勾配を推定する勾配推定手段と、ABS制動液圧の増圧時において、前記勾配推定手段で推定された勾配が所定値より小さい場合には、ABS制御用の増圧デューティー比が小さくなるように補正する補正手段と、前記補正手段で補正された増圧デューティー比に基づいて、ABS制御を行うABS制御手段と、を備えている。
【0014】
請求項5記載の発明は、車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップに対する路面μの勾配である路面μ勾配、車輪スリップに対する制動トルクの勾配または車輪スリップに対する駆動トルクの勾配のいずれか1つの勾配を推定する勾配推定手段と、ABS制動液圧の減圧時において、前記勾配推定手段で推定された勾配が所定値より大きい場合には、ABS制御用の減圧デューティー比が小さくなるように補正する補正手段と、前記補正手段で補正された減圧デューティー比に基づいて、ABS制御を行うABS制御手段と、を備えている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図24を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
本発明は、例えば図1に示す構成のABS制御装置1に適用することができる。ABS制御装置1は、各車輪の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ10(10FL,10FR,10RL,10RR)と、ブレーキペダルが踏まれたことを検出するストップスイッチ11と、装置全体を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)20と、ECU20の制御に従ってブレーキ制御を行うABS液圧回路40とを備えている。
【0021】
ECU20は、車輪速センサ10からの信号を増幅するアンプ21(21FL,21FR,21RL,21RR)と、ストップスイッチ11からの信号を増幅するアンプ22と、入力された信号を内部処理可能な信号に変換する入力ポート23と、所定の演算処理を行うCPU24と、制御プログラム等を記憶するROM25と、信号を一時記憶するRAM26と、TMR27と、出力信号を所定の方式に変換する出力ポート28と、出力ポートからの信号を増幅して出力するアンプ29〜36とを備えている。
【0022】
CPU24は、ROM25に記憶された制御プログラムに従って動作し、入力ポート23を介して入力された信号をRAM26に記憶させる。そして、CPU24は、路面μ勾配を推定したり、ABS制御用の制御パラメータを生成しさらに補正する。そして、CPU24は、この補正後の制御パラメータに従ってABS制御を行うための信号を、出力ポート28,アンプ29〜36を介して、ABS液圧回路40に供給する。
【0023】
ABS液圧回路40は、ソレノイドSOL1〜SOL8からなるアクチュエータを備えている。ABS液圧回路40は、具体的には図2に示すように、ブレーキペダル41の踏力に応じた液圧が生じるマスタシリンダ42と、ブレーキ液の液圧の増加・減少・保持を行うソレノイドSOL1〜SOL8と、ブレーキ液を一時的に溜めるリザーバ43(43F,43R)と、リザーバ43に溜められたブレーキ液を汲み上げるポンプ44(44F,44R)と、ポンプ44の原動力となるモータ45と、液圧に応じたブレーキ力で車輪を制御するホイルシリンダ46(46FL,46FR,46RL,46RR)と、所定の方向への高圧ブレーキ液の流入を抑制するチェックバルブ47〜50とを備えている。
【0024】
ソレノイドSOL1とソレノイドSOL2、ソレノイドSOL3とソレノイドSOL4、ソレノイドSOL5とソレノイドSOL6、ソレノイドSOL7とソレノイドSOL8は、それぞれ液圧通路を介して直列に接続されている。これらの直列に接続された1組のソレノイドSOLは、それぞれ、一方側はマスタシリンダ42に接続され、他方側はリザーバ43に接続されている。
【0025】
ソレノイドSOL1,SOL3,SOL5,SOL7の各ポートの間には、それぞれ、ブレーキ液を供給するための液圧通路が設けられている。これらの液圧通路には、ホイルシリンダ46側のポートからマスタシリンダ42側のポートに高圧のブレーキ液が流入しないようにするためのチェックバルブ47〜50が設けられている。ホイルシリンダ46FL,46FR,46RL,46RRは、直列に接続された2つのソレノイドSOLの接続箇所X,Y,Z,Vに、それぞれ液圧通路を介して接続している。
【0026】
また、リザーバ43は、減圧制御モードのときに、ホイルシリンダ46から戻されてくるブレーキ液を溜める。ポンプ44は、ABS制御が行われている時にモータ45によって駆動され、リザーバ43に溜められたブレーキ液を汲み上げ、チェックバルブを介してマスタシリンダ42に供給する。
【0027】
上述したECU20は、このような構成のABS液圧回路40に対して、任意のソレノイドSOLを通電して任意のホイルシリンダ46の液圧を調整(増加・減少・保持)することによって、所望の車輪の制動トルクを制御することができる。
【0028】
このようなABS制御装置1は、機能的には図3に示すような構成になっている。すなわち、ABS制御装置1は、車輪速センサ10と、車輪速センサ10からの車輪速度に基づいてABS制御用のパラメータを生成するABS制御パラメータ生成回路61と、車輪速度に基づいて各車輪の路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定回路62と、路面μ勾配に基づいてABS制御用のパラメータを補正する補正回路63と、補正済みのパラメータを用いてABS液圧回路40を制御するABS制御回路64とを備えている。なお、ABS制御パラメータ生成回路61、路面勾配推定回路62、補正回路63、ABS制御回路64は、上述したCPU24に対応している。
【0029】
ABS制御パラメータ生成回路61は、ABS制御用のパラメータとして、減圧開始スリップ閾値S1_0,増圧開始スリップ閾値S2_0,減圧開始車輪加速度閾値G1_0,増圧開始車輪加速度閾値G2_0,減圧デューティ比D1_0,増圧デューティ比D2_0,減圧時間T1_0を生成し、これらのパラメータを補正回路63に供給する。
【0030】
路面μ勾配推定回路62は、車輪速センサ10で検出された各車輪の車輪速度に基づいて各車輪の路面μ勾配を推定し、この路面μ勾配を補正回路63に供給する。なお、路面勾配推定回路62の詳細な説明については後述する。
【0031】
補正回路63は、ABS制御パラメータ生成回路61で生成されたパラメータの初期設定を行なったり、路面μ勾配を用いて制御パラメータを補正し、そして動作モードを選択する。ABS制御回路64は、「減圧モード」、「パルス減圧モード」、「パルス増圧モード」のいずれかの動作モードに従ってABS液圧回路40に対して、ブレーキ液の液圧制御を行う。
【0032】
(路面勾配推定回路62の構成)
ここで、路面μ勾配推定回路62について説明する。本実施の形態に係る路面μ勾配推定回路62は、路面外乱ΔTd のみが加振入力として車輪共振系に入力されている場合にμ勾配を演算するものである。
【0033】
図4に示すように、路面μ勾配推定回路62は、車輪速センサ10で検出された各車輪の車輪速度ω1 から路面外乱ΔTd を受けた車輪共振系の応答出力としての各車輪の車輪速振動Δω1 を検出する前処理フィルタ71と、検出された車輪速振動Δω1 を満足するような各車輪の伝達関数を最小自乗法を用いて同定する伝達関数同定回路72と、同定された伝達関数に基づいてタイヤと路面との間の摩擦係数μの勾配を各車輪毎に演算するμ勾配演算回路73と、から構成される。
【0034】
前処理フィルタ71は、本車輪共振系の共振周波数と予想される周波数を中心として一定の帯域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタや、該共振周波数成分を含む高帯域の周波数成分のみを通過させるハイパスフィルタなどで構成することができる。このバンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタは、周波数特性を規定するパラメータを一定値に固定する。
【0035】
なお、この前処理フィルタ71の出力は、直流成分を除去したものとする。すなわち、車輪速度ω1 の回りの車輪速振動Δω1 のみが抽出される。
【0036】
いまここで、前処理フィルタ71の伝達関数F(s)を、
【0037】
【数1】
Figure 0004313929
【0038】
とする。ただし、ci はフィルタ伝達関数の係数、sはラプラス演算子である。
【0039】
次に、伝達関数同定回路72が依拠する演算式を導出しておく。なお、本実施の形態では、前処理フィルタ71の演算を、伝達関数同定回路72の演算に含めて実施する。
【0040】
まず、同定すべき伝達関数は、路面外乱ΔTd を加振入力として、このとき前処理フィルタ71により検出された車輪速振動Δω1 を応答出力とする2次のモデルとする。すなわち、
【0041】
【数2】
Figure 0004313929
【0042】
の振動モデルを仮定する。ここに、vは車輪速信号を観測するときに含まれる観測雑音である。(2)式を変形すると、次式を得る。
【0043】
【数3】
Figure 0004313929
【0044】
まず、(3)式に(1)式の前処理フィルタを掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1 、ΔTd 、vは、サンプリング周期Ts 毎にサンプリングされた離散化データΔω1 (k)、ΔTd (k)、v(k)(kはサンプリング番号:k=1,2,3,.... )として表される。また、ラプラス演算子sは、所定の離散化手法を用いて離散化することができる。本実施の形態では、1例として、次の双一次変換により離散化するものとする。なお、dは1サンプル遅延演算子である。
【0045】
【数4】
Figure 0004313929
【0046】
また、前処理フィルタの次数mは、2以上が望ましいので、本実施の形態では、演算時間も考慮してm=2とし、これによって次式を得る。
【0047】
【数5】
Figure 0004313929
【0048】
また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動Δω1 の各データから伝達関数を同定するために、(4)式を、同定すべきパラメータに関して一次関数の形式となるように、次式のように変形する。なお、”T ”を行列の転置とする。
【0049】
【数6】
Figure 0004313929
【0050】
上式において、θが同定すべき伝達関数のパラメータとなる。
【0051】
伝達関数同定回路72では、検出された車輪速振動Δω1 の離散化データを(9)式に順次当てはめた各データに対し、最小自乗法を適用することによって、未知パラメータθを推定し、これにより伝達関数を同定する。
【0052】
具体的には、検出された車輪速振動Δω1 を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、該データをN点サンプルし、次式の最小自乗法の演算式を用いて、伝達関数のパラメータθを推定する。
【0053】
【数7】
Figure 0004313929
【0054】
ここに、記号”^”の冠した量をその推定値と定義することにする。
【0055】
また、上記最小自乗法は、次の漸化式によってパラメータθを求める逐次型最小自乗法として演算してもよい。
【0056】
【数8】
Figure 0004313929
【0057】
ここに、ρは、いわゆる忘却係数で、通常は0.95〜0.99の値に設定する。このとき、初期値は、
【0058】
【数9】
Figure 0004313929
【0059】
とすればよい。
【0060】
また、上記最小自乗法の推定誤差を低減する方法として、種々の修正最小自乗法を用いてもよい。本実施の形態では、補助変数を導入した最小自乗法である補助変数法を用いた例を説明する。該方法によれば、(9)式の関係が得られた段階でm(k)を補助変数として、次式を用いて伝達関数のパラメータを推定する。
【0061】
【数10】
Figure 0004313929
【0062】
また、逐次演算は、以下のようになる。
【0063】
【数11】
Figure 0004313929
【0064】
補助変数法の原理は、以下の通りである。(15)式に(9)式を代入すると、
【0065】
【数12】
Figure 0004313929
【0066】
となるので、(19)式の右辺第2項が零となるように補助変数を選べばθの推定値は、θの真値に一致する。そこで、本実施の形態では、補助変数として、ζ(k)=[−ξy1(k)−ξy2(k)]T を式誤差r(k)と相関を持たないほどに遅らせたものを利用する。すなわち、
【0067】
【数13】
Figure 0004313929
【0068】
とする。ただし、Lは遅延時間である。
【0069】
上記のようにして伝達関数を同定した後、μ勾配演算回路73において、路面μ勾配D0 に関係する物理量を、
【0070】
【数14】
Figure 0004313929
【0071】
と演算する。このように(21)式により路面μ勾配D0 に関係する物理量を演算できると、例えば、該物理量が小さいとき、タイヤと路面との間の摩擦特性が飽和状態であると容易に判定できる。
【0072】
以上説明した路面μ勾配推定回路62は前処理フィルタ71では、バンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタの周波数特性を規定するパラメータを一定値に固定したものであるが、このパラメータを伝達関数同定回路72で同定されたパラメータに適応させて変化させるようにしてもよい。即ち、伝達関数同定回路72で同定されたパラメータに応じて前処理フィルタ71の特性を変化させる適応回路を更に設けてもよい(特開平11-78843号公報の第1の実施の形態の第2の態様(図9等参照))。
【0073】
また、路面μ勾配推定回路62は、励振トルクΔT1 が加振入力として車輪共振系に入力されている場合に車輪共振系の伝達関数を同定して、路面μ勾配を演算するようにしてもよい(特開平11-78843号公報の第3の実施の形態の第1の態様(図13等参照))。
【0074】
更に、路面μ勾配推定回路62は、励振トルクΔT1 が加振入力として車輪共振系に入力されている場合において、検出された加振入力と応答出力とから車輪共振系の伝達関数を同定するようにしてもよい(特開平11-78843号公報の第4の実施の形態の第1の態様(図16等参照))。
【0075】
加えて、路面μ勾配推定回路62は、応答出力の内、周期的な信号である応答出力のみを選別し、選別された応答出力に基づいて車輪共振系の伝達関数を同定し、μ勾配を演算するようにしてもよい(特開平11-78843号公報の第5の実施の形態(図18等参照))。
【0076】
以上説明した例では、タイヤと路面との間の摩擦特性を含む車輪共振系への加振入力に対する応答出力を検出し、加振入力から応答出力までの車輪共振系の伝達特性を、少なくともタイヤと路面との間のすべり易さに関する物理量を車輪状態の未知要素として含む振動モデルで表し、該振動モデルに基づいて、少なくとも上記検出された応答出力を略満足させるような未知要素を推定するものである。
【0077】
本発明はこれに限定されるものではなく、車輪速度信号からバネ下共振特性を表す物理モデルのパラメータを同定し、同定したパラメータから路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量を推定する物理量として、路面μ勾配を演算してもよい(特願平10-281660号の実施の形態の欄等参照)。
【0078】
ところで、以上説明した例では、路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量として、路面μ勾配を演算しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリップ速度に対する制動トルクの勾配(制動トルク勾配)、スリップ速度に対する駆動トルクの勾配(駆動トルク勾配)、及び微小振動等を求めるようにしてもよい。
【0079】
即ち、所定のサンプル時間毎に検出された車輪速度の時系列データに基づいて、制動トルク勾配や駆動トルク勾配を演算してもよい(特開平10-114263号公報(図1等参照))。
【0080】
また、所定のサンプル時間毎に検出された車輪減速度の時系列データ、及び所定のサンプル時間毎に検出されたブレーキトルク又は該ブレーキトルクに関連した物理量の時系列データに基づいて、制動トルク勾配を演算してもよい(特開平10-114263号公報(図2、図3等参照))。
【0081】
更に、車体と車輪と路面とから構成される振動系の共振周波数でブレーキ力を微小励振し、ブレーキ力を微小励振した場合のブレーキ力の微小振幅に対する車輪速度の共振周波数成分の微小振幅の比である微小ゲインを演算してもよい(特開平10-114263号公報(図4等参照))。
【0082】
(メインルーチン1)
このような構成のABS制御装置1は、ABS制御を行う際には、具体的には図5に示すステップST1からステップST13までの処理を実行する。
【0083】
各回路は、図5に示すように、最初に初期化される(ステップST1)。そして、各センサに信号が入力されると(ステップST2)、車輪速センサ10は車輪速度を演算する(ステップST3)。ABS制御パラメータ生成回路61は、この車輪速度に基づいて車輪加速度DVw(ステップST4)、推定車体速度(ステップST5)、実スリップ率Sを演算し(ステップST6)、ABS制御用のパラメータを生成する。
【0084】
路面勾配推定回路62は、車輪速センサ10からの各車輪の車輪速度に基づいて、各車輪の路面μ勾配を推定し(ステップST7)、これらの路面μ勾配を補正回路63に供給する。
【0085】
ステップST7の処理後、補正回路63は、ABS制御パラメータの初期設定を行う(ステップST8)。ここで、補正回路63は、具体的には図6に示すステップST21からステップST25までのサブルーチン処理を実行する。
【0086】
(パラメータ初期設定)
補正回路63は、制御対象となる車輪について、減圧開始スリップ閾値S1_0,増圧開始スリップ閾値S2_0,減圧開始車輪加速度閾値G1_0,増圧開始車輪加速度閾値G2_0,減圧デューティ比D1_0,増圧デューティ比D2_0,減圧時間T1_0を設定する(ステップST21)。なお、必要に応じて、一部のパラメータのみであってもよい。そして、補正回路63は、制御対象となる車輪の路面μ勾配値Kが所定値K1以下(K≦K1)であるかを判定する(ステップST22)。所定値K1は路面が低μ路であるかを示す値である。すなわち、(K≦K1)であるときは、その路面は低μ路である。
【0087】
補正回路63は、ステップST22で(K≦K1)を肯定したときは、以下の演算を行う(ステップST23)。
【0088】
S1_0←S1_0−S1_1 S2_0←S2_0−S2_1
G1_0←G1_0+G1_1 G2_0←G2_0+G2_1
D1_0←D1_0+D1_1 D2_0←D2_0−D2_1
T1_0←T1_0+T1_1
車両が低μ路を走行しているときは、車輪のグリップ度は限界に近くなっている。したがって、このように減圧開始スリップ閾値S1_0及び増圧開始スリップ閾値S2_0の値を小さくすることによって、車輪スリップが大きくなりすぎないようにして、車輪のグリップを維持している。同様の理由により、減圧開始車輪加速度閾値G1_0及び増圧開始車輪加速度閾値G2_0を大きくし、減圧デューティ比D1_0を大きくし、増圧デューティ比D2_0を小さくし、さらに減圧時間T1_0を長くすることによって、車輪スリップが大きくならないようにしている。なお、このように7つすべてのパラメータに対して補正を行うだけでなく、任意のパラメータのみ補正を行ってもよい。
【0089】
また、補正回路63は、ステップST22で(K≦K1)を否定したとき、又は、ステップST23が終了したときは、路面μ勾配Kが所定値K2以上(K≧K2)であるかを判定する(ステップST24)。所定値K2は、路面が高μ路であるかを示す値である。すなわち、(K≧K2)であるときは、その路面は高μ路である。
【0090】
そして、補正回路63は、ステップST22で(K≧K2)を肯定したときは、以下の演算を行う(ステップST25)。
【0091】
S1_0←S1_0+S1_2 S2_0←S2_0+S2_2
G1_0←G1_0−G1_2 G2_0←G2_0−G2_2
D1_0←D1_0−D1_2 D2_0←D2_0+D2_2
T1_0←T1_0−T1_2
車両が高μ路を走行しているときは、車輪のグリップ度は限界までまだ余裕がある。したがって、このように減圧開始スリップ閾値S1_0及び増圧開始スリップ閾値S2_0の値を大きくすることによって、車輪のグリップ力を最大限に利用して、速やかに減速することができる。同様の理由により、減圧開始車輪加速度閾値G1_0及び増圧開始車輪加速度閾値G2_0を小さくし、減圧デューティ比D1_0を小さくし、増圧デューティ比D2_0を大きく、さらに減圧時間T1_0を短くすることによって、車輪のグリップ力を最大限に利用することができる。
【0092】
なお、ステップST23と同様に、このように7つすべてのパラメータに対して補正を行うだけでなく、任意のパラメータのみ補正を行ってもよい。
【0093】
そして、補正回路63は、ステップST25で(K≧K2)を否定したとき、又は、ステップST25の処理を終了したときは、このサブルーチン処理を抜けて、図5に示すメインルーチンのステップST9に進む。
【0094】
(メインルーチン2)
メインルーチンに戻り、ABS制御回路64は、ABS制御中であるかを判定し(ステップST9)、ABS制御中であったときはABS制御が終了したかを判定する(ステップST10)。ABS制御が終了したときはステップST2に戻り、ABS制御が終了していないときはステップST12に進む。
【0095】
また、ABS制御回路64は、ステップST9でABS制御中でないと判定したときは、ABS制御を開始したかを判定する(ステップST11)。ABS制御回路64は、ABSの制御を開始したときはステップST12に進み、ABS制御を開始していないときはステップST2に戻る。
【0096】
補正回路63は、制御モードを選択するためのパラメータを補正処理を実行する(ステップST12)。補正回路63は、具体的には図7に示すサブルーチンのステップST31からステップST38までの処理を実行する。なお、前回の減圧開始時の路面μ勾配をK1とし、前回の増圧開始時の路面μ勾配をK2とする。
【0097】
(パラメータ補正)
補正回路63は、前回の減圧開始時の路面μ勾配K1が所定値K3以上(K1≧K3)であるかを判定し(ステップST31)、(K1≧K3)のときは減圧開始スリップ閾値S1をS1_3だけ大きく補正する(ステップST32)。この場合は、図8に示すように、減圧開始スリップ閾値S1で減圧が開始された際の路面μ勾配が高かったことになり、車輪のグリップ力にまだ余裕がある。したがって、減圧開始スリップ閾値S1を大きく補正することによって、μ−S特性のピークを有効に利用するようにしている。
【0098】
補正回路63は、ステップST31で(K1≧K3)を否定したとき、又は、ステップST32の処理が終了したときは、前回の減圧開始時の路面μ勾配K1が所定値K4以下(K1≦K4)であるかを判定する(ステップST33)。補正回路63は、K1≦K4を肯定したときは、減圧開始スリップ閾値S1をS1_4だけ小さく補正する(ステップST34)。この場合は、図9に示すように、減圧開始スリップ閾値S1で減圧が開始された際の路面μ勾配が低かったことになり、μ−S特性においてピークに到達しているか既にピークを超えている。したがって、減圧開始スリップ閾値S1を小さく補正することによって、μ−S特性のμピークを超えないように設定している。
【0099】
補正回路63は、ステップST33で(K1≦K4)を否定したとき、又は、ステップST34の処理が終了したときは、前回の増圧開始時の路面μ勾配K2が所定値K5以上(K2≧K5)であるかを判定する(ステップST35)。補正回路63は、(K2≧K5)を肯定したときは、増圧開始スリップ閾値S2をS2_3だけ大きく補正する(ステップST36)。この場合は、図10に示すように、増圧開始スリップ閾値S2で増圧が開始された際の路面μ勾配が高くなっており、車輪スリップが必要以上に回復している。したがって、増圧開始スリップ閾値S2を大きく補正することによって、制動液圧の減圧が不用意に大きくならないようにしている。
【0100】
補正回路63は、ステップST35で(K2≧K5)を否定したとき、又は、ステップST36の処理が終了したときは、前回の増圧開始時の路面μ勾配K2が所定値K6以下(K2≦K6)であるかを判定する(ステップST36)。補正回路63は、(K2≦K6)を肯定したときは、増圧開始スリップ閾値S2をS2_4だけ小さく補正する(ステップST37)。この場合は、図11に示すように、増圧開始スリップ閾値S2で増圧が開始された際の路面μ勾配が低くなっており、車輪スリップはまだ回復していない。したがって、増圧開始スリップ閾値S2を小さく補正することによって、車輪スリップが確実に回復するようにしている。
【0101】
そして、補正回路63は、ステップST37で(K2≦K6)を否定したとき、又は、ステップST37の処理が終了したときはサブルーチンを抜けて、図5に示すメインルーチンのステップST13に進む。
【0102】
なお、補正の際に用いたS1_3,S1_4,S2_3,S2_4の値は、K1やK2に応じた値とすることが好ましい。また、減圧開始スリップ閾値S1や増圧開始スリップ閾値S2を補正する場合には、これらの幅をほぼ一定にするのが好ましい。したがって、減圧開始スリップ閾値S1がスリップに対して大きくなるように補正された場合には、増圧開始スリップ閾値S2もスリップに対して大きくなるように補正するのが好ましい。
【0103】
なお、補正回路63は、前回の減圧開始時の路面μ勾配K1に代えて減圧開始直前の路面μ勾配K1’を、さらに、前回の増圧開始時の路面μ勾配K2に代えて増圧開始直前の路面μ勾配K2’を用いてもよい。このとき、補正回路63は、図12に示すステップST41からステップST48までの処理を実行する。具体的な処理内容は、図7に示すステップST31からステップST38までの処理と同様なので省略する。ここでは、K3,K4,K5,K6に代えてK7,K8,K9,K10を用い、さらに、S1_3,S1_4,S2_3,S2_4に代えてS1_5,S1_6,S2_5,S2_6を用いている。
【0104】
補正回路63は、以上のように図7に示すステップST31からステップST38までの処理、又は、図12に示すステップST41からステップST48までの処理を終了することで、図5に示すメインルーチンのステップST12を終了する。
【0105】
(制御モードの選択)
補正回路63は、パラメータの補正が終了すると、制御モードの選択処理を行う(ステップST13)。ここで、補正回路63は、具体的には図13に示すステップST51からステップST58までの処理を実行する。
【0106】
補正回路63は、制御対象の車輪の実スリップ率Sが閾値S2より大きいか(S>S2)を判定し(ステップST51)、(S>S2)を肯定するときはさらに実スリップ率Sは閾値S1より大きいか(S>S1)を判定し(ステップST52)、(S>S2)を否定するときはステップST58に進む。補正回路63は、ステップST52で(S>S1)を肯定したときは車輪加速度DVwが閾値G1より大きいか(DVw>G1)を判定し(ステップST53)、ステップST52で(S>S1)を否定したときはステップST55に進む。
【0107】
補正回路63は、ステップST53で(DVw>G1)を肯定したときは車輪加速度DVwが閾値G2より大きい(DVw>G2)かを判定し(ステップST54)、ステップST53で(DVw>G1)を否定したときはステップST56に進む。補正回路63は、ステップST54で(DVw>G2)を肯定したときはステップST58に進み、(DVw>G2)を否定したときはステップST57に進む。
【0108】
一方、補正回路63は、ステップST52で(S>S1)を否定したときも、(DVw>G1)であるかを判定し(ステップST55)、(DVw>G1)を肯定したときはステップST58に進み、それを否定したときはステップST56に進む。
【0109】
(減圧モード)
補正回路63は、ステップST53又はステップST55でDVw>G1を否定したときは、減圧モードを選択して、ABS制御回路64に対して減圧制御を指示する(ステップST56)。このとき、補正回路63は、具体的には図14に示すサブルーチンのステップST61からステップST65までの処理を実行する。
【0110】
補正回路63は、前回の減圧開始時の路面μ勾配K1又は減圧開始直前の路面μ勾配K1’が所定値K11以上であるか(K1 or K1’≧K11)を判定する(ステップST61)。補正回路63は、(K1 or K1’≧K11)を肯定するときは、減圧時間T1を所定値T1_3だけ小さくなるように補正する(ステップST62)。K1又はK1’の値が大きいときは、車輪のグリップに余裕があり、わずかな減圧で車輪スリップが回復することから、減圧時間を短く設定している。
【0111】
補正回路63は、ステップST61で(K1 or K1’≧K11)を否定したとき、又は、ステップST62の処理が終了したときは、K1又はK1’が所定値K12以下であるか(K1 or K1’≦K12)であるかを判定する(ステップST63)。補正回路63は、(K1 or K1’≦K12)を肯定したときは、減圧時間T1を所定値T1_4だけ大きくなるように補正する(ステップST64)。K1又はK1’の値が小さいときは、車輪のグリップに余裕がなくなっており、減圧時間を長くすることで、確実に車輪グリップを回復するようにしている。
【0112】
補正回路63は、ステップST63で(K1 or K1’≦K12)を否定したとき、又は、ステップST64の処理が終了したときは、補正後の減圧時間T1をABS制御回路64に供給する。ABS制御回路64は、ABS液圧回路40の各ソレノイドSOLに対して、補正後の減圧時間T1の信号を出力する(ステップST65)。補正回路63は、ステップST61からステップST65の処理を行うことで、図13に示すステップST56の処理を終了する。
【0113】
(パルス減圧モード)
補正回路63は、図13に示すステップST54でDVw>G2を否定したときは、パルス減圧モードを選択して、ABS制御回路64に対してパルス減圧制御を指示する(ステップST57)。このとき、補正回路63は、具体的には図15に示すサブルーチンのステップST71からステップST75までの処理を実行する。
【0114】
補正回路63は、前回の減圧開始時の路面μ勾配K1又は減圧開始直前の路面μ勾配K1’が所定値K13以上であるか(K1 or K1’≧K13)を判定する(ステップST71)。補正回路63は、(K1 or K1’≧K13)を肯定するときは、減圧デューティ比D1を所定値D1_3だけ小さくなるように補正する(ステップST72)。K1又はK1’の値が大きいときは、車輪のグリップに余裕があり、わずかな減圧で車輪スリップが回復することから、図16に示すように減圧デューティ比D1を小さくして、減圧量を少なくしている。
【0115】
補正回路63は、ステップST71で(K1 or K1’≧K13)を否定したとき、又は、ステップST72の処理が終了したときは、K1又はK1’が所定値K14以下であるか(K1 or K1’≦K14)であるかを判定する(ステップST73)。補正回路63は、(K1 or K1’≦K14)を肯定したときは、減圧デューティ比D1を所定値D1_4だけ大きくなるように補正する(ステップST74)。K1又はK1’の値が小さいときは、車輪のグリップに余裕がなくなっており、図17に示すように減圧デューティ比D1を大きくすることで減圧量を大きくし、確実に車輪グリップを回復するようにしている。
【0116】
補正回路63は、ステップST73で(K1 or K1’≦K14)を否定したとき、又は、ステップST74の処理が終了したときは、補正後の減圧デューティ比D1をABS制御回路64に供給する。ABS制御回路64は、ABS液圧回路40の各ソレノイドSOLに対して、補正後の減圧デューティ比D1の信号を出力する(ステップST75)。補正回路63は、ステップST71からステップST75の処理を行うことで、図13に示すステップST57の処理を終了する。
【0117】
(パルス増圧モード)
補正回路63は、図13に示すステップST51で(S>S2)を否定したとき、又は、ステップST54で(DVw>G2)を肯定したとき、又は、ステップST55で(DVw>G1)を肯定したときは、パルス増圧モードを選択し、ABS制御回路64に対してパルス増圧制御を指示する(ステップST58)。このとき、補正回路63は、具体的には図18に示すサブルーチンのステップST81からステップST87までの処理を実行する。なお、以下に示す所定値K15,K16,K17については、K15>K16>K17の関係がある。
【0118】
補正回路63は、前回の減圧開始時の路面μ勾配K2又は減圧開始直前の路面μ勾配K2’が所定値K15以上であるか(K2 or K2’≧K15)を判定する(ステップST81)。補正回路63は、(K2 or K2’≧K15)を肯定するときは、増圧デューティ比D2を所定値D2_3だけ大きくするように補正する(ステップST82)。K2又はK2’の値が大きいとき、例えば図19に示す点Aにいるときは、車輪のグリップに余裕がある。したがって、このグリップを利用するために、図19に示すように、増圧デューティ比D2を大きくすることで増圧量を大きくし、μ−S特性のμピーク(点B)に速く達するようにしている。
【0119】
補正回路63は、ステップST81で(K2 or K2’≧K15)を否定したとき、又は、ステップST82の処理が終了したときは、K2又はK2’が所定値K16以下であるか(K2 or K2’≦K16)であるかを判定する(ステップST83)。補正回路63は、(K2 or K2’≦K16)を肯定したときは、増圧デューティ比D2を所定値D2_4だけ小さくなるように補正する(ステップST84)。K2又はK2’の値が小さいときは、車輪のグリップは限界(点B)に近付きつつある。したがって、増圧デューティ比D2を小さくして増圧量をわずかにすることで、μ−S特性のμピーク近傍手前の状態を維持して、車輪のグリップを有効に利用している。
【0120】
補正回路63は、ステップST83で(K2 or K2’≦K16)を否定したとき、又は、ステップST84の処理が終了したときは、K2又はK2’が所定値K17以下であるか(K2 or K2’≦K17)であるかを判定する(ステップST85)。補正回路63は、(K2 or K2’≦K17)を肯定したときは、ABS液圧回路40の液圧を現状のまま保持する保持モードになる(ステップST86)。この場合、μピークに達していることから、その状態を維持してグリップを最大限に利用している。
【0121】
補正回路63は、ステップST85で(K2 or K2’≦K17)を否定したとき、又は、ステップST86の処理が終了したときは、補正後の増圧デューティ比D2をABS制御回路64に供給する。ABS制御回路64は、ABS液圧回路40の各ソレノイドSOLに対して、補正後の増圧デューティ比D2の信号を出力する(ステップST87)。補正回路63は、ステップST81からステップST87の処理を行うことで、図13に示すステップST58の処理を終了する。
【0122】
そして、図13に示すステップST56からステップST58の何れかの処理が終了すると、図5に示すメインルーチンのステップST13の処理が終了したことになり、再びステップST2に戻る。
【0123】
以上のように、ABS制御装置1は、ABS制御時の路面μ勾配を推定してABS制御パラメータの閾値を補正し、タイヤの状態を常にμ−S特性のμピーク上にすることによって、タイヤのグリップを最大限に利用することができる。このとき、さらにABS制御中の制動液の消費量を低減することができるので、ポンプ量を低減したり、ポンプレスシステムを可能にすることができる。
【0124】
また、ABS制御装置1は、実際に使用しているタイヤの路面勾配を推定してABS制御を行っているので、一般のタイヤの特性に従ってABS制御を行う場合に比べて応答性が向上し、車両状態を安定させることができる。
【0125】
(第2の実施の形態)
つぎに、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と重複する回路や処理等については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0126】
本実施の形態では、ABS制御装置1は、図20に示すように、ステップST7とステップST8の間に、μスプリット/旋回判定を行う(ステップST20)。ここでは、具体的には図21に示すステップST91からステップST95までのサブルーチン処理を行う。なお、この処理は、ABS制御中のときに行ってもよいし、ABS制御中でないときに行ってもよい。
【0127】
ABS制御装置1の補正回路63は、路面勾配推定回路62で推定された右車輪の路面μ勾配KRが所定値K18以上(KR≧K18)であるか、又は、左車輪の路面μ勾配KLが所定値K18以上(KL≧K18)であるかを判定する(ステップST91)。なお、μスプリットの場合、低μ側の路面μ勾配が低下することによって左右輪の路面μ勾配値の差が生じる。そこで、ステップST91で旋回状態かμスプリットであるかを判別するためには、所定値K18は直線走行時の路面μ勾配よりわずかに大きい値が好ましい。そして、(KR≧K18 or KL≧K18)を肯定したときはステップST92に進み、それを否定したときはステップST94に進む。
【0128】
補正回路63は、KRとKLの差の絶対値が所定値K20以上であるか(|KR−KL|≧K20)を判定し(ステップST92)、それを肯定したときは旋回制御を行い(ステップST93)、それを否定したときはサブルーチンを抜ける。ここで、例えば左旋回すると荷重が移動して、図22に示すように、旋回外輪(右輪)の路面μ勾配KRが増加し、旋回内輪(左輪)の路面μ勾配KLが減少する。図23に示すように、直線走行時の路面μ勾配と比べると、旋回外輪の路面μ勾配は大きくなり、旋回内輪の路面勾配は小さくなる。
【0129】
したがって、補正回路63は、旋回時、つまり車輪にスリップ角が与えられた場合、μピークを発生する車輪スリップが大きくなるため、減圧開始スリップ閾値S1や増圧開始スリップ閾値S2を大きく設定することで、ABS制御中のスリップを大きくし減速を得られるように補正する。
【0130】
一方、補正回路63は、ステップST91で(KR≧K18 or KL≧K18)を否定したときは、KRとKLの差の絶対値が所定値K19以上である(|KR−KL|≧K19)かを判定する(ステップST94)。(|KR−KL|≧K19)を肯定するときはμスプリット制御を行い(ステップST95)、それを否定するときはサブルーチンを抜ける。
【0131】
補正回路63は、μスプリット制御においては、低μ側の車輪スリップが大きくなって車両の操縦安定性が低下しないように、減圧開始スリップ閾値S1や増圧開始スリップ閾値S2を小さくする補正を行う。また、制動力の左右差に起因するヨーモーメントで車両安定性が低下しないように、いわゆるヨーコントロールを実行すべく、図24に示すように、高μ路側の増圧の時間勾配を補正する。
【0132】
右輪及び左輪の路面μ勾配の差は、その路面で発生可能な制動力の差を示している。したがって、高μ路側の増圧時間勾配は、路面μ勾配の差に基づいて決定する。つまり、左右輪の路面μ勾配の差が大きい場合は増圧時間勾配を小さくし、その差が小さい場合には増圧時間勾配を大きく設定する。
【0133】
以上のように、第2の実施の形態に係るABS制御装置1は、μスプリットや旋回状態を検出したときは、左右輪の路面μ勾配の差が小さくなるように、減圧開始スリップ閾値S1や増圧開始スリップ閾値S2等を補正して、車両走行状態の安定化を向上することができる。
【0134】
【発明の効果】
本発明に係るABS制御装置は、路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配に基づいて、制御パラメータ生成手段で生成された制御パラメータを補正し、補正済みの制御パラメータに基づいてABS制御を行うことによって、制御パラメータを適切に設定することができ、この結果、ABS制御時の制御応答性や車両安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るABS制御装置の具体的な構成を示すブロック図である。
【図2】ABS制御装置に備えられたABS液圧回路の構成を示す回路図である。
【図3】ABS制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】路面勾配推定回路の構成を示すブロック図である。
【図5】ABS制御装置の動作内容を説明するメインルーチンのフローチャートである。
【図6】ABS制御パラメータ初期設定の動作内容を説明するフローチャートである。
【図7】制御モード選択のためのパラメータ補正の動作内容を説明するフローチャートである。
【図8】車輪スリップ速度に対する路面μの特性を示す図である。
【図9】車輪スリップ速度に対する路面μの特性を示す図である。
【図10】車輪スリップ速度に対する路面μの特性を示す図である。
【図11】車輪スリップ速度に対する路面μの特性を示す図である。
【図12】制御モード選択のためのパラメータ補正の他の動作内容を説明するフローチャートである。
【図13】制御モード選択処理の動作内容を説明するフローチャートである。
【図14】減圧制御モードの動作内容を説明するフローチャートである。
【図15】パルス減圧制御モードの動作内容を説明するフローチャートである。
【図16】減圧デューティ比D1を小さくすることを説明する図である。
【図17】減圧デューティ比D1を大きくすることを説明する図である。
【図18】パルス増圧制御モードの動作内容を説明するフローチャートである。
【図19】車輪スリップ速度に対する路面μの特性と増圧デューティ比D2の関係を説明する図である。
【図20】ABS制御装置の動作内容を説明する他のメインルーチンのフローチャートである。
【図21】μスプリット/旋回判定を行うときの動作内容を説明するフローチャートである。
【図22】高μと低μの場合の車輪スリップ速度に対する路面μの特性を示す図である。
【図23】高μと低μの場合の車輪スリップ速度に対する路面μの特性を示す図である。
【図24】制動液圧を増圧する場合に増圧時間勾配を補正することを説明する図である。
【図25】車輪スリップ速度に対する路面μの特性を示す図である。
【符号の説明】
10 車輪速センサ
40 ABS液圧回路
61 ABS制御パラメータ生成回路
62 路面勾配推定回路
63 補正回路
64 ABS制御回路

Claims (5)

  1. 車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップに対する路面μの勾配である路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定手段と、
    ABS制御用の制御パラメータとして、ABS制動液圧の減圧開始を示す減圧開始スリップ閾値またはABS制動液圧の増圧開始を示す増圧開始スリップ閾値を生成する閾値生成手段と、
    前記路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配に基づいて、前記閾値生成手段で生成された前記減圧開始スリップ閾値または前記増圧開始スリップ閾値を補正する補正手段と、
    前記補正手段で補正された減圧開始スリップ閾値または増圧開始スリップ閾値に基づいて、ABS制御を行うABS制御手段と、
    を備えたABS制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記路面μ勾配推定手段が推定した減圧開始時の路面μ勾配が所定値より大きいときは、前記減圧開始スリップ閾値を大きくするように補正するか、または、前記路面μ勾配推定手段が推定した増圧開始時の路面μ勾配が所定値より大きいときは、前記増圧開始スリップ閾値を大きくするように補正する請求項1記載のABS制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記路面μ勾配推定手段が推定した減圧開始時の路面μ勾配が所定値より小さいときは、前記減圧開始スリップ閾値を小さくするように補正するか、または、前記路面μ勾配推定手段が推定した増圧開始時の路面μ勾配が所定値より小さいときは、前記増圧開始スリップ閾値を小さくするように補正する請求項1記載のABS制御装置。
  4. 車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップに対する路面μの勾配である路面μ勾配、車輪スリップに対する制動トルクの勾配または車輪スリップに対する駆動トルクの勾配のいずれか1つの勾配を推定する勾配推定手段と、
    ABS制動液圧の増圧時において、前記勾配推定手段で推定された勾配が所定値より小さい場合には、ABS制御用の増圧デューティー比が小さくなるように補正する補正手段と、
    前記補正手段で補正された増圧デューティー比に基づいて、ABS制御を行うABS制御手段と、
    を備えたABS制御装置。
  5. 車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップに対する路面μの勾配である路面μ勾配、車輪スリップに対する制動トルクの勾配または車輪スリップに対する駆動トルクの勾配のいずれか1つの勾配を推定する勾配推定手段と、
    ABS制動液圧の減圧時において、前記勾配推定手段で推定された勾配が所定値より大きい場合には、ABS制御用の減圧デューティー比が小さくなるように補正する補正手段と、
    前記補正手段で補正された減圧デューティー比に基づいて、ABS制御を行うABS制御手段と、
    を備えたABS制御装置。
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