JP4313928B2 - Abs制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ABS制御装置に係り、特に、個々のタイヤの特性に応じてABS制御を行うABS制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
タイヤの制動力は、タイヤと路面とのスリップにより発生する。つまり、タイヤの制動力は、タイヤが進む速度(車体の進行速度)とタイヤの周速との差により発生する。通常、ABS制御においては、車輪速度信号に基づき車輪スリップ、車輪減速度を演算し、これらに応じて制動液圧の増圧・保持・減圧を制御し、車輪のロックを防止する。
【0003】
タイヤと路面との摩擦力の特性(いわゆるμ−S特性)は、図13に示すようになっている。ABS制御の増圧時にはμ−S特性に沿って矢印X及び矢印Y方向に変化し、その減圧時には若干μ方向(矢印Z方向)に低下するサイクルになっている。
【0004】
タイヤのμ−S特性を利用してABS制御を効率的に行うためには、増圧時においては、μピークから外れたスリップの際はすぐに増圧し(矢印X)、μピーク付近では増圧量を僅かに抑える又はそれを保持して、できる限りμピーク付近に留まる時間を長くする。一方、減圧時においては、すぐにスリップを復帰させることが必要である。
【0005】
ところが、現在のABS制御は、一般のタイヤの特性に適合するようにして増圧や減圧を行う閾値を設定している。したがって、その閾値は、あるタイヤのある路面に対して常に最適な値であるとは限らない。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば特開平7−165053号公報によると、タイヤと路面間の摩擦力特性を推定してABS制御性能を向上することが開示されている。この技術は、車輪加速度が制動トルクと路面反力(車両に作用する制動力)との差で生じることを用いて、車輪加速度と車両減速度との差が所定値となるスリップ率を求め、オフセットを考慮して目標のスリップ率を決定するものである。
【0007】
しかし、車輪速信号にはノイズが含まれており、また、車体加速度は車輪スリップを含んだ車輪速度から推定されることから、正確に車体加速度や車輪加速度を算出することが困難である。そのため、路面に対するタイヤ摩擦力特性を精度よく把握することができないという問題がある。さらに、従来の手法では、ABS制御時にμ−S特性上のどのような状況であるかを判定することができず、この結果、すぐに増圧すべきか、ゆっくり増圧すべきかの判定が困難であった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解消するために提案されたものであり、路面状態を正確に把握して、その状態にあった最適なABS制御を行うことができるABS制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップ速度に対する路面μの勾配である路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定手段と、前記車両速度検出手段で検出された車両速度に基づいた車両スリップ速度が所定の上限値以下でかつ所定の下限値以上である場合には、前記路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配に基づいて制動トルク量を制御し、前記車両速度検出手段で検出された車両速度に基づいた車両スリップ速度が所定の上限値を超えた場合及び所定の下限値未満の場合の少なくとも一方の場合には、それぞれの場合について予めマップに設定された制動液圧の制御の動作モードに基づいて、制動トルク量を制御する制動トルク制御手段と、を備えている。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、車輪速度検出手段は、車両に設けられている各車輪の車輪速度を検出する。路面μ勾配推定手段は、この車輪速度に基づいて、各車輪の路面μ勾配を推定する。ここでは、例えば駆動トルク勾配やいわゆる微小ゲインのように路面μ勾配とほぼ等価であるものを推定してもよい。制動トルク制御手段は、前記路面μ勾配に基づいて、各車輪のグリップ力を最大限に利用するように制御トルク量を制御する。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて車輪加速度を検出する車輪加速度検出手段をさらに備え、前記制動トルク制御手段を、前記車両速度検出手段で検出された車両速度に基づいた車両スリップ速度が所定の上限値以下でかつ所定の下限値以上である場合には、前記路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配と、前記車輪加速度検出手段で検出された車輪加速度との関係に基づいて、制動トルク量を制御するようにしたものである。
【0012】
これにより、路面μ勾配から車輪と路面の状態を判別し、車輪加速度から走行状態を判別することができ、ABS制御に際して最適な動作モードを選択することができる。
【0013】
請求項3記載のように、前記制動トルク制御手段は、さらに、車輪スリップ速度に基づいて、制動トルクの増加量、制動トルクの減少量の少なくともいずれか1つを制御してもよい。このように制御パラメータを増やすことにより、路面μ勾配や車輪加速度だけでは判別できない状態を判別することができる。このとき、所定の制御パラメータの算出に誤りがあったとしても、他の制御パラメータを用いることで、誤動作を防止することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図12を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明は、例えば図1に示す構成のABS制御装置1に適用することができる。ABS制御装置1は、各車輪の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ10(10FL,10FR,10RL,10RR)と、ブレーキペダルが踏まれたことを検出するストップスイッチ11と、装置全体を制御する電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)20と、ECU20の制御に従ってブレーキ制御を行うABS液圧回路40とを備えている。
【0015】
ECU20は、車輪速センサ10からの信号を増幅するアンプ21(21FL,21FR,21RL,21RR)と、ストップスイッチ11からの信号を増幅するアンプ22と、入力された信号を内部処理可能な信号に変換する入力ポート23と、所定の演算処理を行うCPU24と、制御プログラム等を記憶するROM25と、信号を一時記憶するRAM26と、TMR27と、出力信号を所定の方式に変換する出力ポート28と、出力ポートからの信号を増幅して出力するアンプ29〜36とを備えている。
【0016】
CPU24は、ROM25に記憶された制御プログラムに従って動作し、入力ポート23を介して入力された信号をRAM26に記憶させる。そして、CPU24は、路面μ勾配を推定し、ABS制御用の制御パラメータを生成し、さらにその補正等も行う。そして、CPU24は、この制御パラメータに従ってABS制御を行うための信号を、出力ポート28,アンプ29〜36を介して、ABS液圧回路40に供給する。
【0017】
ABS液圧回路40は、ソレノイドSOL1〜SOL8からなるアクチュエータを備えている。ABS液圧回路40は、具体的には図2に示すように、ブレーキペダル41の踏力に応じた液圧が生じるマスタシリンダ42と、ブレーキ液の液圧の増加・減少・保持を行うソレノイドSOL1〜SOL8と、ブレーキ液を一時的に溜めるリザーバ43(43F,43R)と、リザーバ43に溜められたブレーキ液を汲み上げるポンプ44(44F,44R)と、ポンプ44の原動力となるモータ45と、液圧に応じたブレーキ力で車輪を制御するホイルシリンダ46(46FL,46FR,46RL,46RR)と、所定の方向への高圧ブレーキ液の流入を抑制するチェックバルブ47〜50とを備えている。
【0018】
ソレノイドSOL1とソレノイドSOL2、ソレノイドSOL3とソレノイドSOL4、ソレノイドSOL5とソレノイドSOL6、ソレノイドSOL7とソレノイドSOL8は、それぞれ液圧通路を介して直列に接続されている。これらの直列に接続された1組のソレノイドSOLは、それぞれ、一方側はマスタシリンダ42に接続され、他方側はリザーバ43に接続されている。
【0019】
ソレノイドSOL1,SOL3,SOL5,SOL7の各ポートの間には、それぞれ、ブレーキ液を供給するための液圧通路が設けられている。これらの液圧通路には、ホイルシリンダ46側のポートからマスタシリンダ42側のポートに高圧のブレーキ液が流入しないようにするためのチェックバルブ47〜50が設けられている。ホイルシリンダ46FL,46FR,46RL,46RRは、直列に接続された2つのソレノイドSOLの接続箇所X,Y,Z,Vに、それぞれ液圧通路を介して接続している。
【0020】
また、リザーバ43は、減圧制御モードのときに、ホイルシリンダ46から戻されてくるブレーキ液を溜める。ポンプ44は、ABS制御が行われている時にモータ45によって駆動され、リザーバ43に溜められたブレーキ液を汲み上げ、チェックバルブを介してマスタシリンダ42に供給する。
【0021】
上述したECU20は、このような構成のABS液圧回路40に対して、任意のソレノイドSOLを通電して任意のホイルシリンダ46の液圧を調整(増加・減少・保持)することによって、所望の車輪の制動トルクを制御することができる。
【0022】
このようなABS制御装置1は、機能的には図3に示すような構成になっている。すなわち、ABS制御装置1は、車輪速度を検出する車輪速センサ10と、車輪速センサ10からの車輪速度に基づいて各車輪の車輪加速度を検出する車輪加速度検出回路61と、その車輪速度に基づいて路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定回路62と、車輪加速度や路面μ勾配等に基づいて動作モードの選択制御を行うモード制御回路63と、モード制御回路63による制動液圧の制御に従って各車輪を制動するABS液圧回路40とを備えている。なお、車輪加速度検出回路61、路面勾配推定回路62、モード制御回路63は、上述したCPU24に対応する。
【0023】
車輪速センサ10は、各車輪の車輪速度を検出して、これを車輪加速度検出回路61、路面勾配推定回路62、モード制御回路63に供給する。車輪加速度検出回路61は、この車輪速度に基づいて各車輪の車輪加速度を検出してモード制御回路63に供給する。
【0024】
路面μ勾配推定回路62は、車輪速センサ10で検出された各車輪の車輪速度に基づいて各車輪の路面μ勾配を推定し、この路面μ勾配をモード制御回路63に供給する。なお、路面勾配推定回路62の詳細な説明については後述する。
【0025】
モード制御回路63は、車輪加速度、路面μ勾配に基づいて、「減圧モード」、「パルス減圧モード」、「パルス増圧モード」のいずれかの動作モードを選択し、ABS液圧回路40に対して、動作モードに応じたブレーキ液の液圧制御を行う。
(路面勾配推定回路62の構成)
ここで、路面μ勾配推定回路62について説明する。本実施の形態に係る路面μ勾配推定回路62は、路面外乱ΔTd のみが加振入力として車輪共振系に入力されている場合にμ勾配を演算するものである。
【0026】
図4に示すように、路面μ勾配推定回路62は、車輪速センサ10で検出された各車輪の車輪速度ω1 から路面外乱ΔTd を受けた車輪共振系の応答出力としての各車輪の車輪速振動Δω1 を検出する前処理フィルタ71と、検出された車輪速振動Δω1 を満足するような各車輪の伝達関数を最小自乗法を用いて同定する伝達関数同定回路72と、同定された伝達関数に基づいてタイヤと路面との間の摩擦係数μの勾配を各車輪毎に演算するμ勾配演算回路73と、から構成される。
【0027】
前処理フィルタ71は、本車輪共振系の共振周波数と予想される周波数を中心として一定の帯域の周波数成分のみを通過させるバンドパスフィルタや、該共振周波数成分を含む高帯域の周波数成分のみを通過させるハイパスフィルタなどで構成することができる。このバンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタは、周波数特性を規定するパラメータを一定値に固定する。
【0028】
なお、この前処理フィルタ71の出力は、直流成分を除去したものとする。すなわち、車輪速度ω1 の回りの車輪速振動Δω1 のみが抽出される。
【0029】
いまここで、前処理フィルタ71の伝達関数F(s)を、
【0030】
【数1】
Figure 0004313928
【0031】
とする。ただし、ci はフィルタ伝達関数の係数、sはラプラス演算子である。
【0032】
次に、伝達関数同定回路72が依拠する演算式を導出しておく。なお、本実施の形態では、前処理フィルタ71の演算を、伝達関数同定回路72の演算に含めて実施する。
【0033】
まず、同定すべき伝達関数は、路面外乱ΔTd を加振入力として、このとき前処理フィルタ71により検出された車輪速振動Δω1 を応答出力とする2次のモデルとする。すなわち、
【0034】
【数2】
Figure 0004313928
【0035】
の振動モデルを仮定する。ここに、vは車輪速信号を観測するときに含まれる観測雑音である。(2)式を変形すると、次式を得る。
【0036】
【数3】
Figure 0004313928
【0037】
まず、(3)式に(1)式の前処理フィルタを掛けて得られた式を離散化する。このとき、Δω1 、ΔTd 、vは、サンプリング周期Ts 毎にサンプリングされた離散化データΔω1 (k)、ΔTd (k)、v(k)(kはサンプリング番号:k=1,2,3,.... )として表される。また、ラプラス演算子sは、所定の離散化手法を用いて離散化することができる。本実施の形態では、1例として、次の双一次変換により離散化するものとする。なお、dは1サンプル遅延演算子である。
【0038】
【数4】
Figure 0004313928
【0039】
また、前処理フィルタの次数mは、2以上が望ましいので、本実施の形態では、演算時間も考慮してm=2とし、これによって次式を得る。
【0040】
【数5】
Figure 0004313928
【0041】
また、最小自乗法に基づいて、車輪速振動Δω1 の各データから伝達関数を同定するために、(4)式を、同定すべきパラメータに関して一次関数の形式となるように、次式のように変形する。なお、”T ”を行列の転置とする。
【0042】
【数6】
Figure 0004313928
【0043】
上式において、θが同定すべき伝達関数のパラメータとなる。
【0044】
伝達関数同定回路72では、検出された車輪速振動Δω1 の離散化データを(9)式に順次当てはめた各データに対し、最小自乗法を適用することによって、未知パラメータθを推定し、これにより伝達関数を同定する。
【0045】
具体的には、検出された車輪速振動Δω1 を離散化データΔω(k)(k=1,2,3,...)に変換し、該データをN点サンプルし、次式の最小自乗法の演算式を用いて、伝達関数のパラメータθを推定する。
【0046】
【数7】
Figure 0004313928
【0047】
ここに、記号”^”の冠した量をその推定値と定義することにする。
【0048】
また、上記最小自乗法は、次の漸化式によってパラメータθを求める逐次型最小自乗法として演算してもよい。
【0049】
【数8】
Figure 0004313928
【0050】
ここに、ρは、いわゆる忘却係数で、通常は0.95〜0.99の値に設定する。このとき、初期値は、
【0051】
【数9】
Figure 0004313928
【0052】
とすればよい。
【0053】
また、上記最小自乗法の推定誤差を低減する方法として、種々の修正最小自乗法を用いてもよい。本実施の形態では、補助変数を導入した最小自乗法である補助変数法を用いた例を説明する。該方法によれば、(9)式の関係が得られた段階でm(k)を補助変数として、次式を用いて伝達関数のパラメータを推定する。
【0054】
【数10】
Figure 0004313928
【0055】
また、逐次演算は、以下のようになる。
【0056】
【数11】
Figure 0004313928
【0057】
補助変数法の原理は、以下の通りである。(15)式に(9)式を代入すると、
【0058】
【数12】
Figure 0004313928
【0059】
となるので、(19)式の右辺第2項が零となるように補助変数を選べばθの推定値は、θの真値に一致する。そこで、本実施の形態では、補助変数として、ζ(k)=[−ξy1(k)−ξy2(k)]T を式誤差r(k)と相関を持たないほどに遅らせたものを利用する。すなわち、
【0060】
【数13】
Figure 0004313928
【0061】
とする。ただし、Lは遅延時間である。
【0062】
上記のようにして伝達関数を同定した後、μ勾配演算回路73において、路面μ勾配D0 に関係する物理量を、
【0063】
【数14】
Figure 0004313928
【0064】
と演算する。このように(21)式により路面μ勾配D0 に関係する物理量を演算できると、例えば、該物理量が小さいとき、タイヤと路面との間の摩擦特性が飽和状態であると容易に判定できる。
【0065】
以上説明した路面μ勾配推定回路62は前処理フィルタ71では、バンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタの周波数特性を規定するパラメータを一定値に固定したものであるが、このパラメータを伝達関数同定回路72で同定されたパラメータに適応させて変化させるようにしてもよい。即ち、伝達関数同定回路72で同定されたパラメータに応じて前処理フィルタ71の特性を変化させる適応回路を更に設けてもよい(特開平11-78843号公報の第1の実施の形態の第2の態様(図9等参照))。
【0066】
また、路面μ勾配推定回路62は、励振トルクΔT1 が加振入力として車輪共振系に入力されている場合に車輪共振系の伝達関数を同定して、路面μ勾配を演算するようにしてもよい(特開平11-78843号公報の第3の実施の形態の第1の態様(図13等参照))。
【0067】
更に、路面μ勾配推定回路62は、励振トルクΔT1 が加振入力として車輪共振系に入力されている場合において、検出された加振入力と応答出力とから車輪共振系の伝達関数を同定するようにしてもよい(特開平11-78843号公報の第4の実施の形態の第1の態様(図16等参照))。
【0068】
加えて、路面μ勾配推定回路62は、応答出力の内、周期的な信号である応答出力のみを選別し、選別された応答出力に基づいて車輪共振系の伝達関数を同定し、μ勾配を演算するようにしてもよい(特開平11-78843号公報の第5の実施の形態(図18等参照))。
【0069】
以上説明した例では、タイヤと路面との間の摩擦特性を含む車輪共振系への加振入力に対する応答出力を検出し、加振入力から応答出力までの車輪共振系の伝達特性を、少なくともタイヤと路面との間のすべり易さに関する物理量を車輪状態の未知要素として含む振動モデルで表し、該振動モデルに基づいて、少なくとも上記検出された応答出力を略満足させるような未知要素を推定するものである。
【0070】
本発明はこれに限定されるものではなく、車輪速度信号からバネ下共振特性を表す物理モデルのパラメータを同定し、同定したパラメータから路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量を推定する物理量として、路面μ勾配を演算してもよい(特願平10-281660号の実施の形態の欄等参照)。
【0071】
ところで、以上説明した例では、路面と車輪との間の滑り易さに関する物理量として、路面μ勾配を演算しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリップ速度に対する制動トルクの勾配(制動トルク勾配)、スリップ速度に対する駆動トルクの勾配(駆動トルク勾配)、及び微小振動等を求めるようにしてもよい。
【0072】
即ち、所定のサンプル時間毎に検出された車輪速度の時系列データに基づいて、制動トルク勾配や駆動トルク勾配を演算してもよい(特開平10-114263号公報(図1等参照))。
【0073】
また、所定のサンプル時間毎に検出された車輪減速度の時系列データ、及び所定のサンプル時間毎に検出されたブレーキトルク又は該ブレーキトルクに関連した物理量の時系列データに基づいて、制動トルク勾配を演算してもよい(特開平10-114263号公報(図2、図3等参照))。
【0074】
更に、車体と車輪と路面とから構成される振動系の共振周波数でブレーキ力を微小励振し、ブレーキ力を微小励振した場合のブレーキ力の微小振幅に対する車輪速度の共振周波数成分の微小振幅の比である微小ゲインを演算してもよい(特開平10-114263号公報(図4等参照))。
(メインルーチン)
このような構成のABS制御装置1は、ABS制御を行う際には、具体的には図5に示すステップST1からステップST13までの処理を実行する。
【0075】
各回路は、図5に示すように、最初に初期化される(ステップST1)。そして、各センサに信号が入力されると(ステップST2)、車輪速センサ10は車輪速度を演算する(ステップST3)。車輪加速度検出回路61は、この車輪速度に基づいて車輪加速度DVwを算出する(ステップST4)。さらに、推定車体速度(ステップST5)、実スリップ率Sも算出される(ステップST6)。
【0076】
路面勾配推定回路62は、車輪速センサ10からの各車輪の車輪速度に基づいて、各車輪の路面μ勾配を推定し(ステップST7)、これらの路面μ勾配をモード制御回路63に供給する。
【0077】
ステップST7の処理後、モード制御回路63は、ABS制御パラメータの初期設定を行う(ステップST8)。そして、モード制御回路63は、ABS制御中であるかを判定し(ステップST9)、ABS制御中であったときはABS制御が終了したかを判定する(ステップST10)。ABS制御が終了したときはステップST2に戻り、ABS制御が終了していないときはステップST12に進む。
【0078】
また、モード制御回路63は、ステップST9でABS制御中でないと判定したときは、ABS制御を開始したかを判定する(ステップST11)。モード制御回路63は、ABSの制御を開始したときはステップST12に進み、ABS制御を開始していないときはステップST2に戻る。
【0079】
モード制御回路63は、ABS制御を開始したとき又はABS制御中のときは、制御モードの選択処理を行う(ステップST12)。ここで、モード制御回路63は、具体的には図6に示すステップST21からステップST28までの処理を実行する。
(制御モードの選択)
モード制御回路63は、制御対象の車輪の路面μ勾配Kが閾値K1より小さいか(K<K1)を判定し(ステップST21)、(K<K1)を肯定するときはさらに路面μ勾配Kは閾値K2より小さいか(K<K2)を判定する(ステップST22)。そして、ステップST21で(K<K1)を否定するときはステップST28に進む。
【0080】
モード制御回路63は、ステップST22で(K<K2)を肯定したときは車輪加速度DVwが閾値G1より大きいか(DVw>G1)を判定し(ステップST23)、ステップST22で(K<K2)を否定したときはステップST25に進む。
【0081】
モード制御回路63は、ステップST23で(DVw>G1)を肯定したときは車輪加速度DVwが閾値G2より大きいか(DVw>G2)を判定し(ステップST24)、ステップST23で(DVw>G1)を否定したときはステップST26に進む。モード制御回路63は、ステップST24で(DVw>G2)を肯定したときはステップST28に進み、(DVw>G2)を否定したときはステップST27に進む。
【0082】
一方、モード制御回路63は、ステップST22で(K<K2)を否定したときは、(DVw>G1)であるかを判定し(ステップST25)、(DVw>G1)を肯定したときはステップST28に進み、それを否定したときはステップST26に進む。
【0083】
モード制御回路63は、ステップST23又はステップST25でDVw>G1を否定したときは減圧モードを選択し、ABS液圧回路40の制御対象となる車輪について制動液圧の減圧制御を行う(ステップST26)。
【0084】
モード制御回路63は、ステップST24でDVw>G2を否定したときはパルス減圧モードを選択し、ABS液圧回路40の制御対象となる車輪について制動液圧のパルス減圧制御を行う(ステップST27)。
【0085】
さらに、モード制御回路63は、ステップST21で(K<K1)を否定したとき、又は、ステップST24で(DVw>G2)を肯定したとき、又は、ステップST25で(DVw>G1)を肯定したときはパルス増圧モードを選択し、ABS液圧回路40の制御対象となる車輪について制動液圧のパルス増圧制御を行う(ステップST28)。
【0086】
そして、ステップST26からステップST28の何れかの処理が終了すると、図5に示すメインルーチンのステップST13の処理が終了したことになり、再びステップST2に戻る。
【0087】
ステップST21からステップST28までの処理を行うことによって、路面μ勾配と車輪加速度に対応する制動液圧の関係は、図7に示す選択マップのようになる。
【0088】
以上のように、ABS制御装置1は、ABS制御時の路面μ勾配を推定してタイヤと路面の状態を求め、さらに車輪加速度から車両の状態を求めることで、ABS制御に最適な制動液圧の制御を行って、タイヤのグリップを最大限に利用することができる。このとき、さらにABS制御中の制動液の消費量を低減することができるので、ポンプ量を低減したり、ポンプレスシステムを可能にすることができる。
【0089】
また、ABS制御装置1は、実際に使用しているタイヤの路面μ勾配を推定してABS制御を行っているので、一般のタイヤの特性に従ってABS制御を行う場合に比べて応答性が向上し、さらに車両状態を安定させることができる。
(他の実施の形態)
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、次のような場合にも適用することができる。なお、モード制御回路63の制御内容について選択マップを挙げながら説明するが、その他については第1の実施の形態と同様なので省略する。
【0090】
モード制御回路63は、車両が低μ路を走行し、ABS制御時の減速度よりも操縦安定性を必要とされているときは、例えば図8に示す選択マップに従って動作モードを選択してもよい。
【0091】
また、モード制御回路63は、図9に示すように、車輪スリップ速度の下限値S1と上限値S2とを設定した選択テーブルに従って、制動液圧の制御を行ってもよい。このとき、例えば路面μ勾配K1やK2の推定に誤りがあったとしても、車輪スリップ速度S1やS2でガードするので、フェイルセーフを確保することができる。なお、車輪スリップ速度S1,S2の両方を設定するだけでなく、いずれか1つだけを設定してもよい。
【0092】
また、モード制御回路63は、図9に示す選択テーブルとは逆に、図10に示すように、路面μ勾配の上限値K1と下限値K2でガードした選択テーブルに従って、制動液圧の制御を行ってもよい。この場合は、例えば4輪駆動車のように、4輪の同時ロック傾向が発生しやすい車両に好適である。すなわち、車輪スリップ速度とは異なる制御パラメータである路面μ勾配を用いることによって、4輪同時ロック傾向を防止することができる。さらに、従来の4輪同時ロックを防止するシステムに設けられているGセンサやGスイッチを省くことができ、システムの簡素化を図ることもできる。
【0093】
モード制御回路63は、図11に示す選択テーブルに従って、増圧開始をS1に設定し、減圧開始をK2に設定して、制動液圧の制御を行ってもよい。さらに、モード制御回路63は、図12に示す選択テーブルに従って、増圧開始をK1に設定し、減圧開始をS2に設定して、制動液圧の制御を行ってもよい。
【0094】
【発明の効果】
本発明に係るABS制御装置は、路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配に基づいて制動トルク量を制御することによって、タイヤのグリップを最大限に利用することができる。さらに、実際に使用しているタイヤの路面勾配を推定してABS制御を行っているので、一般のタイヤの特性に従ってABS制御を行う場合に比べて応答性が向上し、さらに車両状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るABS制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ABS制御装置に備えられたABS液圧回路の構成を示す回路図である。
【図3】ABS制御装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】路面勾配推定回路の構成を示すブロック図である。
【図5】ABS制御装置の動作内容を説明するメインルーチンのフローチャートである。
【図6】制御モード選択処理の動作内容を説明するフローチャートである。
【図7】路面μ勾配と車輪加速度に対応する制動液圧の制御を説明する図である。
【図8】路面μ勾配と車輪加速度に対応する制動液圧の制御を説明する図である。
【図9】車輪スリップ速度、路面μ勾配及び車輪加速度に対応する制動液圧の制御を説明する図である。
【図10】車輪スリップ速度、路面μ勾配及び車輪加速度に対応する制動液圧の制御を説明する図である。
【図11】車輪スリップ速度、路面μ勾配及び車輪加速度に対応する制動液圧の制御を説明する図である。
【図12】車輪スリップ速度、路面μ勾配及び車輪加速度に対応する制動液圧の制御を説明する図である。
【図13】車輪スリップ速度に対応する路面μ勾配の特性を示す図である。
【符号の説明】
1 ABS制御装置
10 車輪速センサ
61 車輪加速度検出回路
62 路面勾配推定回路
63 モード制御手段
40 ABS液圧回路

Claims (4)

  1. 車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて、車輪スリップ速度に対する路面μの勾配である路面μ勾配を推定する路面μ勾配推定手段と、
    前記車両速度検出手段で検出された車両速度に基づいた車両スリップ速度が所定の上限値以下でかつ所定の下限値以上である場合には、前記路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配に基づいて制動トルク量を制御し、前記車両速度検出手段で検出された車両速度に基づいた車両スリップ速度が所定の上限値を超えた場合及び所定の下限値未満の場合の少なくとも一方の場合には、それぞれの場合について予めマップに設定された制動液圧の制御の動作モードに基づいて、制動トルク量を制御する制動トルク制御手段と、
    を備えたABS制御装置。
  2. 前記車輪速度検出手段で検出された車輪速度に基づいて車輪加速度を検出する車輪加速度検出手段をさらに備え、
    前記制動トルク制御手段は、前記車両速度検出手段で検出された車両速度に基づいた車両スリップ速度が所定の上限値以下でかつ所定の下限値以上である場合には、前記路面μ勾配推定手段で推定された路面μ勾配と、前記車輪加速度検出手段で検出された車輪加速度との関係に基づいて、制動トルク量を制御する請求項1記載のABS制御装置。
  3. 前記制動トルク制御手段は、さらに、車輪スリップ速度に基づいて、制動トルクの増加量、制動トルクの減少量の少なくともいずれか1つを制御する請求項2記載のABS制御装置。
  4. 前記制動トルク制御手段は、前記路面μ勾配推定手段が推定した路面μ勾配が所定値以下のときは、制動トルクを減少する制御を行う請求項1記載のABS制御装置。
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