JP4250503B2 - 食酢 - Google Patents

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Description

本発明は酒粕を原料として製造され、酢酸とクエン酸を含有する食酢に関する。
食酢は各種穀類や果汁を原料として造られており、その原料の名称に従って、「米酢」や「リンゴ酢」などと分類されている(例えば、非特許文献1参照)。その中で酒粕を原料とする食酢については、粕酢として知られており、すしなどの和食への利用を中心に古くから使用されてきた。
従来、粕酢は、数年熟成を経た酒粕(熟成酒粕)を用いて、水或いはアルコールを含む水に溶解後圧搾した液、又は酒精発酵を行い、酒粕酒精発酵液を原料にして酢酸発酵を行うことにより造られる。原料となる熟成酒粕はアミノ酸をはじめとする旨味成分を豊富に含有しており、長期間の熟成により特有の香りや色調が形成されている。出来上がった粕酢には原料の味、香り、色が反映され、独特の香味と色調を有する食酢となる。
粕酢については、豊富な旨味や特有の重厚な香りと色調がすし用の食酢として高く支持されている反面、嗜好による差が大きく、使用される範囲が限定されることから、一般的に多くの人には好まれにくい傾向があった。
「食の科学NO.63」第60〜67頁、昭和56年12月15日、丸の内出版発行
本発明は、粕酢の長所である豊富な旨味や特有の重厚な香りと色調を保持しつつ、軽快感とさわやかさの付与された食酢を提供することを目的とするものであって、万人向けするバランスのとれた品質の食酢(粕酢)を提供することを目的とするものである。
本発明者は、粕酢としての長所を残しつつ、軽快で、さわやかな特徴を付与する方法について種々検討を行った。
その結果、原料として酒粕を用いてなり、かつ、各種有機酸の中で特にクエン酸を一定の割合で含有してなる食酢が、上記目的に合致することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に係る本発明は、原料として、新粕と熟成粕とを、前者:後者が80:20〜60:40の割合で用いた酒粕を用いてなり、かつ、クエン酸を総酸度(酢酸換算酸度)に対して1/20〜1/5の割合で含有してなる食酢を提供するものである。
次に、請求項2に係る本発明は、原料として、新粕と熟成粕とを、前者:後者が80:20〜60:40の割合で用いた酒粕を用いてなり、かつ、クエン酸を総酸度(酢酸換算酸度)に対して1/20〜1/5の割合で含有すると共に、遊離アミノ酸総量が400〜1200mg%である食酢を提供するものである。
なお、従来、クエン酸を含有する食酢については、「香酸柑橘果汁を原料とした果実酢及びその製法」(特開平11−146781号公報)、焼酎蒸留残液から醸造酢を製造する方法」特開2001−190266号公報)などが知られているが、酒粕を原料とした食酢でクエン酸を豊富に含有した例はない。
本発明によれば、粕酢の長所である豊富な旨味や特有の重厚な香りと色調を保持しつつ、軽快感とさわやかさの付与された食酢(粕酢)が提供される。
すなわち、軽快感、爽快感を有し、くどさがなく、酢持ちがよく、ムレ臭がなく、軽い臭いであって、酸味と旨味のバランスのとれた食酢(粕酢)が提供される。
このため、本発明の食酢(粕酢)は、すしめし(すし酢)、バーモントドリンク、酢豚(調味料)、サラダ(ドレッシング)などをはじめとして、幅広く用いることができる。
この結果、新たに使用範囲が広がり、食酢(粕酢)のさらなる用途拡大を図ることができる。
本発明は食酢に関し、原料として新粕と熟成粕とを、前者:後者が80:20〜60:40の割合で用いた酒粕を用いてなり、かつ、クエン酸を総酸度(酢酸換算酸度)に対して1/20〜1/5の割合で含有してなるものである。
本発明の食酢は、原料として酒粕を用い、これを発酵させてなるものである。
酒粕は、新粕と熟成粕とに分けられ、いずれも用いることができる。
新粕は、酒もろみを搾ったときに発生するが、搾りたてのみでなく、搾りたてを冷蔵や冷凍状態で保管し、品質、例えば色や香りが大きく変化していないものならば、貯蔵期間に関わらず新粕として使用することができる。この新粕は、次の熟成粕と比べて淡白な香りを有している。
一方、熟成粕とは、貯蔵槽に例えば隙間なく踏込んで、空気との接触を絶った状態で1年以上、望ましくは2〜3年間常温で貯蔵熟成されたものをいう。熟成が進むと色が褐色を帯び、香りも熟成粕特有の重厚な香りに変化する。
本発明の食酢としては、遊離アミノ酸総量が400〜1200mg%であるものが好ましい。
ここで遊離アミノ酸総量が400mg%未満であると、旨味として物足りない。一方、遊離アミノ酸総量が1200mg%を超えると、味にくどさが感じられる。これに対して、遊離アミノ酸総量が400〜1200mg%含まれるものであると、適度な旨味が感じられ、クエン酸の爽快感ともよく合う。
前記したような新粕と熟成粕とを前者:後者が80:20〜60:40の割合で用いると、熟成粕の重い香りが適度に軽減され、さわやかさが付与された適度な香りとなり、好ましい。
このような比率で新粕と熟成粕とを混合して用いることによって、貯蔵により増加するといわれるフルフラール、3−デオキシグルコソンやHMF(Hydroxy-methyl-furfural)などの重い香りに影響を与えている香気成分が減少し、逆に未熟臭といわれるアルデヒド類(アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレルアルデヒドなど)が混合されることにより、結果的にさわやかな香りの付与につながるようであった。
また、色についても淡色化が図れ、見た目にも褐色の色の程度が顕著に薄くなっていることが確認された。
次に、本発明の食酢は、クエン酸を総酸度(酢酸換算酸度)に対して1/20〜1/5の割合で含有してなるものである。すなわち、クエン酸含有比率が総酸度(酢酸換算酸度)に対して1/20〜1/5(5〜20%)の割合のものである。ここでクエン酸以外のもの(クエン酸以外の有機酸など)を多少含有させても、本発明の効果を損なわない限り差し支えない。
クエン酸については、粕酢において、総酸度(酢酸換算酸度)(一般には4〜6%であるが、これに限定されるものではない。)に対してクエン酸含有比率が1/20〜1/5が適しており、粕酢に爽快感が付与されることにより、すしなど狭い範囲に偏っていた使用をより広い範囲に広げることが可能となった。
ここでクエン酸含有比率が1/20未満であると、軽快感とさわやかさの付与された食酢とならない。一方、クエン酸含有比率が1/5を超えると、酸味が弱くなり過ぎてしまい、好ましくない。
クエン酸の起源については、レモン、ミカン、橙、スダチ、カボス、ライムなどの柑橘類、クエン酸を豊富に含む梅、クエン酸生成能を持つ麹(例えば、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・ウサミ、アスペルギルス・カワチ)、粉末クエン酸など食品に使用されているものであれば、どんなクエン酸でも使用可能である。
なお、従来の粕酢の長所である豊富な旨味を残す為には、酒粕を原料にした麹の利用が望ましい。酒粕は粕酢に旨味分を豊富に含有させるために、長期熟成、酵素分解などの、公知の処理、手段が適当である。酢酸発酵は、静置発酵,深部発酵どちらでも製造可能であるが、静置発酵の場合はアセトバクター・パスツーリアヌスなどの静置発酵好適菌、深部発酵の場合はアセトバクター・アセチなどの深部発酵好適菌の使用が望ましい。また、深部発酵の方が、クエン酸濃度、酸度(酢酸換算酸度)とも、高いところでの発酵が可能である。
このようにして目的とする食酢(粕酢)が得られる。
実験例1
粕酢原液(酸度=5%、遊離アミノ酸総量=2000mg%)をベースにして、高酸度ホワイトビネガー(酸度=15%)と粉末100%クエン酸を用いて、酸度(酢酸換算酸度)5%、遊離アミノ酸総量800mg%であり、クエン酸含有比率の種々異なる粕酢を7種試作した。
一例を挙げると、粕酢原液4L、粉末100%クエン酸50g、ホワイトビネガー1.69Lに水を加えて10Lにしてクエン酸含有比率1/10の粕酢を作ることができる。
その他のクエン酸含有比率の粕酢についても、これに準じて作り、出来上がった各粕酢を用いて官能評価を行った。食酢官能検査員20名にアンケートを実施した。官能評価結果を表1に示す。即ち、表1は、遊離アミノ酸総量800mg%として、クエン酸含有比率を種々変化させた場合の官能評価結果を示している。
ここで酸度とは、フェノールフタレイン容液を指示薬として、1規定水酸化ナトリウムで中和滴定し、酢酸酸度として算出した値(W/V%)のことをいう。また、クエン酸濃度は、有機酸分析計やクエン酸分析キットにて測定した値(W/V%)をいい、クエン酸濃度1%(W/V)は酸度0.94%に相当する。また、クエン酸含有比率は、クエン酸濃度を酸度で除した数値で表した。
官能評価方法は、まずそれぞれの粕酢にて合わせ酢(食酢:大さじ4、砂糖:小さじ2、塩:小さじ2)をつくり、米3合のご飯に使用した。出来上がったすしめしを食し、評価を行った。クエン酸含有比率0のコントロールと比較して、表1に示す5段階で評価した。
Figure 0004250503
表1から明らかなように、総酸度に対するクエン酸含有比率は1/20〜1/5において、「おいしい」という評価が高く、クエン酸含有比率として最適の範囲であるという結果を得た。おいしい理由としては、クエン酸の爽快感が適度に感じられ、すしめしによく合うというものであった。逆においしくない理由は酢の酸味が弱く、すしめしには物足りないというものであった。
実験例2
次に、実験例1において、クエン酸含有比率を1/10に固定して、遊離アミノ酸総量を変化させた粕酢を7種作成し、官能評価を行った。
例えば、遊離アミノ酸総量800mg%,クエン酸比率1/10で酸度5%の粕酢は前記実験例1のごとく作成できるが、粕酢原液の使用割合を変えることにより、遊離アミノ酸総量を決定し、ホワイトビネガーと水の添加量を調整することにより、表2に示された各種粕酢を作成した。クエン酸含有比率を1/10として、遊離アミノ酸総量を種々変化させた場合の官能評価結果を表2に示す。実験例1と同様に、食酢官能検査員20名にアンケートを実施した結果である。
Figure 0004250503
表2から明らかなように、遊離アミノ酸総量は400〜1200mg%の範囲で旨味として適当であるという評価を得た。また、200mg%以下では旨味として物足りないのでおいしくない、一方、1500mg%以上では味にくどさが感じられるのでおいしくないという評価であり、それに対して400〜1200mg%では適度な旨味が感じられ、クエン酸の爽快感ともよく合っているという評価であった。
従って、表1,2によれば、クエン酸含有比率が1/20〜1/5であり、かつ、遊離アミノ酸総量が400〜1200mg%であるならば、粕酢としての旨味を維持して、かつ、クエン酸の爽快感が付与された新しい粕酢となりうることが明らかとなった。
実験例3
すしめしについては、作られてから時間の経過とともに酸味が弱くなるという現象があるが、1日経過後の酸味について、使用したすしめしにて酢持ち(酸味維持)効果を官能評価した。
表1において、すしめしがおいしいと評価されたクエン酸含有比率1/20〜1/5の粕酢を用いて、クエン酸含有比率0の粕酢をコントロールとして比較した。遊離アミノ酸総量800mg%として、クエン酸含有比率を種々変化させた場合の酢持ち効果の官能評価結果を表3に示す。実験例1と同様に食酢官能検査員20名にアンケートを実施した結果である。
Figure 0004250503
表2から明らかなように、クエン酸が含まれるとすしめしの酸味は維持される傾向が顕著であった。クエン酸含有比率が1/20〜1/5ではすしめし作成1日経過後、コントロールと比較すると酸味が強く感じられるという結果が得られた。この範囲においてはクエン酸含有比率が高くなると酢持ち(酸味維持)効果が強くなるという傾向であった。
実験例4
次に、熟成粕を原料とした粕酢の香りに軽快さを付与するために、熟成粕と新粕の混合割合について検討した。
すなわち、酒粕のうち熟成粕のみで作った粕酢、新粕のみで作った粕酢を種々混合割合を変えて、6種の粕酢を試作した。この粕酢の香りについて、食酢官能検査員20名にて官能検査を行った。その結果を表4に示した。表4は、新粕と熟成粕の使用割合を変えて作られた粕酢の香りの官能評価結果である。
Figure 0004250503
表4から明らかなように、粕酢の香りを軽くする目的で新粕と熟成粕の使用比率を変えて試作を行ったところ、新粕:熟成粕が80:20〜60:40の範囲が適当な混合比率であり、最も好まれることが示された。熟成粕の重い香りが適度に軽減され、さわやかさが付与された適度な香りになることが見出されたが、新粕の比率が高すぎても香りが淡白になり過ぎて粕酢としては評価されなかった。熟成香であるフルフラールやHMF(Hydroxy-methyl-furfural)が減少し、逆にアセトアルデヒドやイソブチルアルデヒドなどの未熟臭が適度に混合されることによりさわやかな香りと感じられ、好ましい香りとして評価されるに至ったものと思われる。また、色についても淡色化が図れ、見た目にも褐色の程度が顕著に薄くなっていることが確認された。
なお、以後の試験や官能評価では、酒粕使用比率(新粕:熟成粕)=70:30の粕酢を基本に検討した。
実験例5
次に、この新しい粕酢をドレッシングとして用いた場合について検討した。
基本レシピとしては、フレンチドレッシング(食酢1+サラダ油2+塩、コショウ少々)で行った。食酢は前述の酒粕比率(新粕:熟成粕)=70:30として、クエン酸含有比率を変化させて試作した遊離アミノ酸総量800mg%の粕酢を用いて、キャベツの千切りにて試食した。クエン酸含有比率0の粕酢をコントロールとして比較した結果を表5に示した。表5は、遊離アミノ酸総量800mg%として、クエン酸含有比率を種々変化させた場合のサラダ(ドレッシング)の官能評価結果である。実験例1と同様に食酢官能検査員20名にアンケートを実施して得られた結果である。
Figure 0004250503
表5から明らかなように、サラダドレッシングでの結果は、クエン酸含有比率が1/20〜1/5でおいしい及びややおいしいとの評価が多く得られた。酸味の感じ方について聞いたところ、1/20以上のクエン酸含有比率では、酸味を強いと感じる人も弱いと感じる人も少なく、酸味が緩和されマイルドと感じるとの意見が比較的多かった。しかし、クエン酸含有比率1/4以上では、酸味の感じ方が弱くなり、刺激に欠ける傾向が見られた。
実験例6
次にドレッシングの場合と同じ粕酢を使ったバーモントドリンク(食酢1+蜂蜜2+水4)で官能評価を実施した。クエン酸含有比率0の粕酢をコントロールとして比較した結果を表6に示した。表6は、遊離アミノ酸総量800mg%として、クエン酸比率を変化させた場合のバーモントドリンクの官能評価結果である。実験例1と同様に食酢官能検査員20名にアンケートを実施した結果である。
Figure 0004250503
表6から明らかなように、粕酢はアミノ酸が高く、旨味のある食酢であるが、バーモントドリンクにした場合は酸の刺激と共に旨味と酸味のバランスが重要である。1/20以上のクエン酸含有比率では、酸の刺激が緩和され、酸味と旨味のバランスがとれておいしいと感じる人が増えるが、クエン酸含有比率が1/4以上になると、刺激が少なくなるが、酸と旨味のバランスは崩れておいしいと感じない傾向がみられた。クエン酸含有比率が1/30以下ではコントロールと差がないと評価された。
実験例7
クエン酸含有粕酢は中華料理にも好適に使用される。食酢を使用する代表的な中華料理として酢豚での試験(官能評価)結果を表7に示す。一般的な酢豚用の甘酢レシピの食酢を各種クエン酸含有粕酢にして試作、続いて酢豚にした後、官能評価を実施した。クエン酸含有比率0の粕酢をコントロールとして比較評価を行った。表7は、遊離アミノ酸総量800mg%として、クエン酸比率を変化させた場合の酢豚の官能評価結果である。実験例1と同様に食酢官能検査員20名にアンケートを実施して得られた結果である。
Figure 0004250503
表7から明らかなように、クエン酸を含有した粕酢ではクエン酸を全く含有しない粕酢と比較して酸味が緩和される傾向が見られ、官能評価においてもおいしい及びややおいしいと回答する割合が高くなった。特にクエン酸含有比率1/20〜1/5において好適であった。粕酢の場合旨味が強いこともあり、食酢のなかでも酢豚には比較的よく合う食酢であるが、クエン酸が適度に含有されると酸味と旨味のバランスがよくなり、さらに味として好まれるようであった。
以上述べてきたように、粕酢にクエン酸が含有されることにより、酸味としての感じられかたに変化があり、粕酢本来の旨さに、クエン酸の爽快感が加わることにより、粕酢を使用するすし周辺に限定されていた用途が広がる可能性が確認された。新しいすしの味だけでなく、サラダドレッシング、バーモントドリンクや酢豚のような中華料理への利用にまで可能性が広がった。そして好適範囲としてクエン酸含有比率[クエン酸濃度/酸度(酢酸換算酸度)]が1/20〜1/5であることを見出すことができた。また、新粕と熟成粕の使用比率を80:20〜60:40にすることにより、香りに軽快さが付与されることも確認できた。
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
新粕420kgと熟成粕180kgにアルコールと水を加えて2000Lにした後、溶解酒粕もろみを圧搾機にて圧搾することにより、アルコール濃度5%の酒粕抽出液を得た。この酒粕抽出液約1600Lに市販粉末発酵クエン酸を16kg加えて、仕込み液とした後、種酢として発酵中の粕酢(酢酸酸度=4%、アルコール1.5%)400Lを加えて、2000Lにて通気攪拌発酵を実施した。約40時間で発酵が終了し、総酸度(酢酸換算酸度)5.2W/V%、アルコール濃度0.3V/V%の発酵終了液を得た。
発酵終了液は常法に従って菌体除去処理を行い、総酸度5.0%、クエン酸濃度0.69%の粕酢原液を得た。この粕酢原液を精製ろ過、加熱殺菌を行って粕酢試作品とした。出来上がったクエン酸含有粕酢試作品は、総酸度5%、クエン酸濃度0.69%、アミノ酸800mg%であった。従って、クエン酸含有比率は、総酸度(酢酸換算酸度)に対して13.8%であった。
この試作品について、食酢の酸味、爽快感、旨味、香り、色で5段階の官能評価を行ったところ、表8に示した結果が得られた。表8は、食酢官能検査員20名の官能評価結果である。
Figure 0004250503
表8によれば、食酢の酸味、爽快感、旨味、香り、色で5段階評価を行ったが、各項目とも「適度」に多くの評価が集まり、試作品の品質評価が高いことが示された。
上記試作粕酢を用い、実験例1に示した方法にてすしめしを作成し、官能評価を行ったが、適度な旨味と適度な爽快感を有してすしめしにもよく合っていることが確認された。また、このすしめしを1日経過後に再度官能評価を実施したところ、まだ十分酸味が感じられ、酢持ちに効果のあることも確認された。同様にバーモントドリンクにおいてもクエン酸を含まない粕酢と比較して爽快感があると同時に旨味も適度に感じられ、飲みやすいという評価が得られた。
新粕160kgと熟成粕40kgにアルコールと水を加えて500Lにした後、圧搾機にて圧搾することにより、アルコール濃度10%の酒粕抽出液を得た。この酒粕抽出液300Lにクエン酸濃度5%市販レモン果汁50L、酢酸酸度15%ホワイトビネガー160L及び水490Lを加えて1000Lの仕込み液を作成した後、発酵適温(30℃)に加温し、1200Lの静置発酵槽に移した。膜状の酢酸菌を仕込み液の表面に移植して静置発酵を開始した。発酵日数は16日間かかったが、酸度4.9%、残留アルコール濃度0.4%、クエン酸濃度0.25%、遊離アミノ酸総量650mg%の発酵終了液を得た。この発酵終了液を精製ろ過、加熱殺菌を行ってクエン酸含有粕酢試作品とした。従って、クエン酸含有比率は、総酸度(酢酸換算酸度)に対して5.1%であった。
この粕酢試作品の評価を実施例1と同様に行ったところ、表9に示した結果が得られた。表9は、食酢官能検査員20名のクエン酸含有粕酢試作品の官能評価結果である。
Figure 0004250503
表9によれば、食酢の酸味、爽快感、旨味、香り、色で5段階評価を行ったが、各項目とも「適度」に多くの評価が集まり、クエン酸粕酢試作品の品質評価が高く、バランスのよいことが示された。
上記クエン酸含有粕酢試作品を用いて、実験例6に示したと同様の方法にてバーモントドリンクの官能評価を行ったが、酢酸の刺激が緩和されたマイルドな酸味と感じられ、飲みやすくおいしいとの回答が多く得られた。また、ドレッシングでも官能評価を実施したが、アミノ酸の旨味とクエン酸を含む酢酸の酸味がよく合っており、サラダとしておいしく食べられるとの評価が得られた。
常法にて作られた新粕原料粕酢750Lと熟成粕原料粕酢250Lに対して、市販食添用粉末発酵クエン酸5kgを添加することにより、酸度5%、クエン酸濃度0.5%、遊離アミノ酸総量550mg%のクエン酸含有粕酢を作成した。香りは重厚さが軽減され、さわやかさが付与された好ましい香りであった。従って、クエン酸含有比率は、総酸度(酢酸換算酸度)に対して10%であった。
この試作品の評価を実施例1と同様に行ったところ、表10に示した結果が得られた。表10は、食酢官能検査員20名のクエン酸含有粕酢の官能評価結果である。
Figure 0004250503
表10によれば、食酢の酸味、爽快感、旨味、香り、色で5段階評価を行ったが、各項目とも「適度」に多くの評価が集まり、バランスのよいことが示された。食酢のききが適度にあることと同時にクエン酸の爽快感も感じられた。
上記クエン酸含有粕酢を用いて、実験例1で示した方法にてすしめしを作成し、官能評価を行ったが、適度な旨味と適度な爽快感を有しており、すしめしにもよく合っていることが確認された。同様にバーモントドリンクにおいてもクエン酸を含まない粕酢と比較して爽快感があり、旨味も適度にあるので飲みやすいという高い評価が得られた。また、ドレッシングでも官能評価を実施したが、アミノ酸の旨味とクエン酸を含む酢酸の酸味がよく合っており、サラダとしておいしく食べられるとの評価を得た。
本発明の食酢(粕酢)は、すしめし(すし酢)、バーモントドリンク、酢豚(調味料)、サラダ(ドレッシング)などをはじめとして、幅広く用いることができる。
従って、本発明は、食品産業において有効に利用することができる。

Claims (2)

  1. 原料として、新粕と熟成粕とを、前者:後者が80:20〜60:40の割合で用いた酒粕を用いてなり、かつ、クエン酸を総酸度(酢酸換算酸度)に対して1/20〜1/5の割合で含有してなる食酢。
  2. 原料として、新粕と熟成粕とを、前者:後者が80:20〜60:40の割合で用いた酒粕を用いてなり、かつ、クエン酸を総酸度(酢酸換算酸度)に対して1/20〜1/5の割合で含有すると共に、遊離アミノ酸総量が400〜1200mg%である食酢。
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