JP4235221B2 - コラム付けニーエアバッグ装置 - Google Patents

Description

本発明は、コラム付けニーエアバッグ装置に関する。

インストルメントパネルのアンダーカバー又はステアリングコラムカバー内に配設され、展開したエアバッグがステアリングコラムカバーの左右側方へ延びて左右への移動が規制されるニーエアバッグ装置が開示されている（特許文献１参照）。
特開平９−１２３８６２号公報 特開平９−１０４３１７号公報 特開２００２−３７００３号公報

しかしながら、上記した従来例では、展開したエアバッグ袋体が、ステアリングコラムカバー形状の影響により、該ステアリングコラムの軸線と略平行に展開し易く、所望の位置に安定して展開させることが難しかった。

本発明は、上記事実を考慮して、コラム付けニーエアバッグ装置において、ニーエアバッグをインストルメントパネルの後面に対して略平行に安定して展開させることができるようにすることを目的とする。

請求項１の発明は、ステアリングコラムカバー内に折り畳んだ状態で設けられると共にガスの供給を受けて前記ステアリングコラムカバー内から乗員の膝部側へ膨張展開可能に構成され、該展開時においてインストルメントパネル側に位置するインパネ側基布と乗員側に位置する乗員側基布とを有するニーエアバッグを備え、前記インパネ側基布と前記乗員側基布とは、車幅方向に延びる複数のストラップにより連結され、前記ニーエアバッグの展開時において、車両上方側の前記ストラップの車両前後方向幅寸法が車両下方側の前記ストラップの車両前後方向幅寸法よりも大きく設定され、前記複数のストラップのうち車両上方側の前記ストラップは、該ステアリングコラムカバーの車幅方向寸法よりも車幅方向に長く構成され、該ステアリングコラムカバーに対応する部位が切り欠かれていることを有することを特徴としている。

請求項１に記載のコラム付けニーエアバッグ装置では、車幅方向に延びニーエアバッグのインパネ側基布と乗員側基布とを連結する複数のストラップのうち、該ニーエアバッグの展開時において車両上方側のストラップの車両前後方向幅寸法が、車両下方側のストラップの車両前後方向幅寸法よりも大きく設定されているので、乗員の膝部の拘束時に、ニーエアバッグの車両上方部がインストルメントパネルの後面に沿うように、該ニーエアバッグを展開させることができる。このため、ニーエアバッグをインストルメントパネルの後面に対して略平行に安定して展開させることが可能である。
また複数のストラップのうち車両上方側のストラップは、該ステアリングコラムカバーの車幅方向寸法よりも車幅方向に長く構成され、ステアリングコラムカバーに対応する部位が切り欠かれているので、ステアリングコラムカバーとの干渉を抑制しつつニーエアバッグを展開させることができ、これによりニーエアバッグの展開時におけるステアリングコラムカバーの影響を低減して、該ニーエアバッグをインストルメントパネルの後面に略平行に安定して展開させることができる。

請求項２の発明は、請求項１に記載のコラム付けニーエアバッグ装置において、前記インパネ側基布を基準とした前記複数のストラップの車両前後方向幅寸法の差は、車両側面視において、水平面と前記インストルメントパネルの後面とがなす角度と、前記水平面と前記ステアリングコラムの軸線とがなす角度との差が大きいほど大きく設定されていることを特徴としている。

請求項２に記載のコラム付けニーエアバッグ装置では、インパネ側基布を基準とした複数のストラップの車両前後方向幅寸法の差が、車両側面視において、水平面とインストルメントパネルの後面とがなす角度と、水平面とステアリングコラムの軸線とがなす角度との差が大きいほど大きく設定されているので、当該角度差の大小にかかわらず、ニーエアバッグをインストルメントパネルの後面に対して略平行に安定して展開させることができる。

以上説明したように、本発明に係る請求項１に記載のコラム付けニーエアバッグ装置によれば、ニーエアバッグをインストルメントパネルの後面に対して略平行に安定して展開させることができる、という優れた効果が得られる。

請求項２に記載のコラム付けニーエアバッグ装置によれば、水平面とインストルメントパネルの後面とがなす角度と、水平面とステアリングコラムの軸線とがなす角度との差の大小にかかわらず、ニーエアバッグをインストルメントパネルの後面に対して略平行に安定して展開させることができる、という優れた効果が得られる。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図１において、本実施の形態に係るコラム付けニーエアバッグ装置１０は、ステアリングコラムカバー１４内に折り畳み状態で設けられたニーエアバッグ１６が、例えばインフレータ１８からのガスの供給を受けて乗員２０の膝部２０Ｋ側へ膨張展開し、これによって該膝部２０Ｋを拘束可能に構成されている。

図３において、ステアリングコラム１２は、軸芯部に配置されたステアリングメインシャフト２２と、該ステアリングメインシャフト２２を覆うと共に車体に支持されるコラムチューブ２４とを有して構成されており、インストルメントパネル３２に設けられた開口部（図示せず）に挿通され、該インストルメントパネル３２よりも車両後方側へ突出している（図１参照）。上記ステアリングコラム１２は、ステアリングコラムカバー１４によって覆われている。またこのステアリングコラム１２には、方向指示器やワイパー等（図示せず）を操作するための操作レバー２６，２８が、ステアリングコラムカバー１４の側面１４Ａから突出して設けられている。図３に示されるステアリングメインシャフト２２の端部には、図１に示されるように、車両を操舵するためのステアリングホイール３０が取り付けられている。

図１に示されるように、車両側面視において、ステアリングコラムカバー１４の下面１４Ｂは、ステアリングコラム１２の軸線Ｌｃと略平行に形成されている。このステアリングコラムカバー１４内には、折畳み状態のニーエアバッグ１６と、該ニーエアバッグ１６へ展開用のガスを供給するインフレータ１８とを含んだエアバッグモジュール（図示せず）が格納されている。インフレータ１８は、図示しないエアバッグＥＣＵからの点火電流により作動するように構成されており、該インフレータ１８からのガスの供給を受けてニーエアバッグ１６が膨張展開する際には、ステアリングコラムカバー１４に設けられたエアバッグドア（図示せず）が該ニーエアバッグ１６の展開圧によって展開し、これにより形成される開口部からニーエアバッグ１６が車室内へ膨出するように構成されている。

図１において、ニーエアバッグ１６は、展開時においてインストルメントパネル３２側に位置するインパネ側基布３６と乗員２０側に位置する乗員側基布３８とを袋状に縫製して構成され、かつインパネ側基布３６と乗員側基布３８とを連結する例えば車両上方側のストラップ４０及び車両下方側のストラップ４２を内部に有している。図２に示されるように、ニーエアバッグ１６の展開時において、車両上方側のストラップ４０の車両前後方向幅寸法ａは、車両下方側のストラップ４２の車両前後方向幅寸法ｂよりも大きく設定されている。即ち、車両前後方向幅寸法ａ，ｂの関係は、ａ＞ｂである。ここで、図１において、インストルメントパネル３２の後面３２Ａとは、該インストルメントパネル３２のうち乗員２０の膝部２０Ｋの車両前方に位置する部位であり、例えばステアリングコラム１２付近から車両下方に向かうに従って車両前方側へ傾斜している。

図１に示される車両側面視において、水平面Ｈとインストルメントパネル３２の後面３２Ａとがなす角度をθｉとし、水平面Ｈとステアリングコラム１２の軸線Ｌｃとがなす角度をθｃとすると、車両上方側のストラップ４０，車両下方側のストラップ４２の車両前後方向幅寸法ａ，ｂ（図２参照）の差は、角度θｉと角度θｃとの差に対応して設定されている。具体的には、角度θｉと角度θｃとの差が比較的大きい場合には、車両前後方向幅寸法ａ，ｂの差も大きく設定され、角度θｉと角度θｃとの差が比較的小さい場合には、車両前後方向幅寸法ａ，ｂの差も小さく設定される。これは、角度θｉと角度θｃとの差が大きいほど、ニーエアバッグ１６の上部とインストルメントパネル３２の後面３２Ａとの距離が離れるためである。なお、ステアリングコラム１２がチルト可能に構成され、角度θｃが所定範囲内で変化する場合には、車両上方側のストラップ４０の車両前後方向幅寸法ａを定めるに当たって、例えば角度θｃの平均値が用いられる。

図３において、ニーエアバッグ１６の展開時にステアリングコラムカバー１４の車両下方に位置する車両上方側のストラップ４０は、該ステアリングコラムカバー１４に対応する部位が切り欠かれている。本実施形態では、ニーエアバッグ１６の展開時に車両上方側のストラップ４０がステアリングコラムカバー１４の車両下方に位置するため、ニーエアバッグ１６が該ステアリングコラムカバー１４との干渉を抑制しつつ展開できるように、図２に示されるように、車両上方側のストラップ４０の上方部位の例えば車幅方向中央部に切欠き部４０Ｋが設けられている。この切欠き部４０Ｋの車幅方向寸法ｃは、ステアリングコラムカバー１４の車幅方向寸法ｃ’（図３）に応じて設定される。また切欠き部４０Ｋの車両前後方向幅寸法ｄは、車両上方側のストラップ４０の面方向に沿ったステアリングコラムカバー１４の下面１４Ｂとインストルメントパネル３２の後面３２Ａとの間の距離ｄ’（図１）に応じて設定される。

図２に示されるように、この車両上方側のストラップ４０は、上辺（前辺）４０Ａ及び切欠き部４０Ｋにおいてインパネ側基布３６に縫い付けられ、下辺（後辺）４０Ｂにおいて乗員側基布３８に縫い付けられている。この車両上方側のストラップ４０の切欠き部４０Ｋによりニーエアバッグ１６の展開形状が規制されることで、展開後のニーエアバッグ１６の車両上方部に凹部１６Ａが形成されるようになっており、該凹部１６Ａにより、ステアリングコラムカバー１４との干渉を抑制しつつニーエアバッグ１６を展開させることができるようになっている。一方、車両下方側のストラップ４２は、上辺（前辺）４２Ａにおいてインパネ側基布３６に縫い付けられ、下辺（後辺）４２Ｂにおいて乗員側基布３８に縫い付けられており、ニーエアバッグ１６の車両下方部の展開形状を規制できるようになっている。

図３において、車両上方側のストラップ４０，車両下方側のストラップ４２の車幅方向端部はインパネ側基布３６と乗員側基布３８の何れにも縫い付けられておらず、インフレータ１８からのガスが例えば車両上方側のストラップ４０，車両下方側のストラップ４２の間から供給された場合、該ガスは車両上方側のストラップ４０の車幅方向両端部からニーエアバッグ１６の車両上方に矢印Ａ方向に回り込むと共に、車両下方側のストラップ４２の両端部から車両下方に矢印Ｂ方向に回り込むようになっている。

なお図３においては、インフレータ１８が車両上方側のストラップ４０と車両下方側のストラップ４２との間に描かれているが、これはガスの流れを示すために見易い位置に配置したものであり、本来のインフレータ１８の位置は、図１に示されるように、ステアリングコラムカバー１４内である。また車両上方側のストラップ４０，車両下方側のストラップ４２の配置や形状は図示の例に限られるものではない。

（作用）
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図１において、コラム付けニーエアバッグ装置１０では、車両が前面衝突し、図示しないエアバッグＥＣＵが該衝突を判定すると、該エアバッグＥＣＵからインフレータ１８へ点火電流が流され、該インフレータ１８が作動して、折畳み状態のニーエアバッグ１６へ多量のガスが供給される。すると、ステアリングコラムカバー１４のエアバッグドア（図示せず）が、ニーエアバッグ１６の展開圧により押し開かれ、図１に示されるように、該ニーエアバッグ１６が、その開口部から車室側へ膨張展開する。このニーエアバッグ１６により、乗員２０の膝部２０Ｋを拘束することが可能である。

図３に示されるように、ニーエアバッグ１６の膨張展開過程において、インフレータ１８からのガスは、例えば車両上方側のストラップ４０と車両下方側のストラップ４２の間に供給される。このガスは、車両上方側のストラップ４０の車幅方向両端部からニーエアバッグ１６の車両上方に矢印Ａ方向に回り込むと共に、車両下方側のストラップ４２の両端部から車両下方に矢印Ｂ方向に回り込む。これにより、乗員２０の膝部２０Ｋ（図１）の車両前方に位置するニーエアバッグ１６の車幅方向両端部をいち早く展開させることができ、膝部２０Ｋに対する拘束性能を向上させることが可能である。

またコラム付けニーエアバッグ装置１０では、図２に示されるように、ニーエアバッグ１６のインパネ側基布３６と乗員側基布３８とを連結するストラップ４０，４２のうち、該ニーエアバッグ１６の展開時において車両上方側のストラップ４０の車両前後方向幅寸法ａが、車両下方側のストラップ４２の車両前後方向幅寸法ｂよりも大きく設定されているので、図１に示されるように、乗員２０の膝部２０Ｋの拘束時に、ニーエアバッグ１６の車両上方部がインストルメントパネル３２の後面３２Ａに沿うように、該ニーエアバッグ１６を展開させることができる。

ここで、車両上方側のストラップ４０，車両下方側のストラップ４２の車両前後方向幅寸法ａ，ｂ（図２参照）の差は、角度θｉ（車両側面視において、水平面Ｈとインストルメントパネル３２の後面３２Ａとがなす角度）と角度θｃ（車両側面視において、水平面Ｈとステアリングコラム１２の軸線Ｌｃとがなす角度）との差に対応して設定され、角度θｉと角度θｃとの差が比較的大きい場合には大きく、角度θｉと角度θｃとの差が比較的小さい場合には小さく設定されるので、当該角度差（θｉ−θｃ）の大小にかかわらず、ニーエアバッグ１６をインストルメントパネル３２の後面３２Ａに対して略平行に安定して展開させることができる。

また図３に示されるように、コラム付けニーエアバッグ装置１０では、ニーエアバッグ１６の展開時にステアリングコラムカバー１４の車両下方に位置する車両上方側のストラップ４０において、該ステアリングコラムカバー１４に対応する部位に、該ステアリングコラムカバー１４の形状に対応した切欠き部４０Ｋが設けられているので、ニーエアバッグ１６の展開形状を該切欠き部４０Ｋにより規制して、車両上方部に凹部１６Ａを形成することができる。切欠き部４０Ｋにより形成された該凹部１６Ａは、ステアリングコラムカバー１４との干渉を抑制するのに適した車幅方向寸法及び深さ寸法を有しているので、ニーエアバッグ１６の展開時におけるステアリングコラムカバー１４の影響を低減することができる。またニーエアバッグ１６のうち、凹部１６Ａの両側に位置する部位が、車両下方からステアリングコラムカバー１４の車幅方向両側に入り込み、ニーエアバッグ１６の車幅方向の移動が規制されるので、該ニーエアバッグ１６の車幅方向の展開位置が安定する。このため、ニーエアバッグ１６をインストルメントパネル３２の後面３２Ａに略平行に安定して展開させることが可能である。

このように、ニーエアバッグ１６をインストルメントパネル３２の後面３２Ａに対して略平行に展開させることで、図１に示されるように、乗員２０の膝部２０Ｋを拘束する際の反力を、インストルメントパネル３２の後面３２Ａから速やかに得ることができる。これにより、乗員２０の膝部２０Ｋの拘束性をより向上させることが可能である。

なお、上記実施形態では、複数のストラップの一例として、２枚のストラップ４０，４２を挙げたが、該ストラップの数は３枚以上であってもよい。

コラム付けニーエアバッグ装置において、ニーエアバッグがインストルメントパネルの後面に沿って展開して、乗員の膝部を拘束している状態を示す側面図である。 車両斜め前方から見た、展開状態のニーエアバッグを示す拡大斜視図である。 インフレータからガスの供給を受け、ステアリングコラムカバーとの干渉を抑制しつつ展開するニーエアバッグを示す拡大斜視図である。

符号の説明

１０ ニーエアバッグ装置
１２ ステアリングコラム
１４ ステアリングコラムカバー
１６ ニーエアバッグ
２０ 乗員
２０Ｋ 膝部
３２ インストルメントパネル
３２Ａ 後面
３６ インパネ側基布
３８ 乗員側基布
４０ 車両上方側のストラップ
４０Ｋ 切欠き部
４２ 車両下方側のストラップ
ａ 車両上方側のストラップの車両前後方向幅寸法
ｂ 車両下方側のストラップの車両前後方向幅寸法
Ｈ 水平面
Ｌｃ ステアリングコラムの軸線
θｃ 水平面とステアリングコラムの軸線とがなす角度
θｉ 水平面とインストルメントパネルの後面とがなす角度

Claims (2)

1. ステアリングコラムカバー内に折り畳んだ状態で設けられると共にガスの供給を受けて前記ステアリングコラムカバー内から乗員の膝部側へ膨張展開可能に構成され、該展開時においてインストルメントパネル側に位置するインパネ側基布と乗員側に位置する乗員側基布とを有するニーエアバッグを備え、
   前記インパネ側基布と前記乗員側基布とは、車幅方向に延びる複数のストラップにより連結され、
   前記ニーエアバッグの展開時において、車両上方側の前記ストラップの車両前後方向幅寸法が車両下方側の前記ストラップの車両前後方向幅寸法よりも大きく設定され、
   前記複数のストラップのうち車両上方側の前記ストラップは、該ステアリングコラムカバーの車幅方向寸法よりも車幅方向に長く構成され、該ステアリングコラムカバーに対応する部位が切り欠かれていることを特徴とするコラム付けニーエアバッグ装置。
2. 前記インパネ側基布を基準とした前記複数のストラップの車両前後方向幅寸法の差は、車両側面視において、水平面と前記インストルメントパネルの後面とがなす角度と、前記水平面と前記ステアリングコラムの軸線とがなす角度との差が大きいほど大きく設定されていることを特徴とする請求項１に記載のコラム付けニーエアバッグ装置。

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