JP4232320B2 - 電磁駆動弁を有する内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸気弁及び排気弁の少なくとも一方として電磁駆動弁を搭載する内燃機関に関し、特に開弁動作を好適に制御することのできる内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の内燃機関としては、例えば特公平7−111127号公報に記載された内燃機関のように、電磁石(電磁コイル)等による電磁力とスプリング等によるバネ力との協働によって直接吸排気弁を駆動する電磁駆動弁機構を備える。 この電磁駆動弁機構は、所定の動作区間、言い換えれば閉弁位置と開弁位置との間の区間を直線的に往復動する弁体及びこれと連動する軸体をその動作方向の両側からスプリングによって付勢することにより、所定位置(中立位置)に保持する。そして、同じく弁体と連動する磁性部材(アーマチャ)に対し、その動作方向の両端から適宜電磁力を付与して吸引する。すなわち、スプリングのバネ力に基づいて固有振動する弁体に対し、その動作方向の両端部から電磁力を付加することでこれを駆動制御し、各弁体の開閉弁タイミングや開弁量(リフト量)を操作する。
【0003】
ここで、弁体やこれと連動して往復動する部材が各々の動作区間の端部に達する際の動作(以下、着座という)態様の制御は、専らアーマチャの動作方向側(端部)に設けられ、動作を開始したアーマチャを吸引する電磁コイルへの励磁電流を調整することによって行われている。すなわち、同電磁コイルには、動作区間の一方の端部から離脱した弁体が他方の端部に達するのに必要な駆動力のうちバネ力の不足分を補い、且つ滑らかに着座させるよう適度に加減された量(波形)の励磁電流が通電されることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように構成された電磁駆動弁がその開弁動作を行うにあたり、スプリングの機械的特性や各電磁コイルへの励磁電流の他、燃焼室内のガス圧と吸気通路(吸気ポート)との差圧、若しくは燃焼室内のガス圧と排気通路(排気ポート)内のガス圧との差圧が外力として及ぼす影響を無視することができない場合がある。
【0005】
例えば内燃機関の運転状態が軽負荷領域にある場合には、排気弁が開弁動作する際、排気ポート内のガス圧が燃焼室内のガス圧を上回ることで排気ポート内の排気が燃焼室内に逆流し、排気弁の弁体に対して同弁が開弁動作する方向に力がかかることがある。このような条件下において排気弁として機能する電磁駆動弁にあっては、閉弁位置を離脱した弁体に対して通常付与されるバネ力および電磁力以上の力が加わることとなる。
【0006】
ところが、電磁駆動弁では、動作区間の一方の端部から離脱した弁体にとって、他方の端部側に設けられた電磁コイルは、バネ力の不足分を補う電磁力を付与して弁体を吸引する機能を有するのが通常であり、過度に速められた弁体を積極的に減速することは難しい。このため、このような条件下で、一旦閉弁位置を離脱した弁体が開弁位置側に向かう電磁力に依ることなく開弁位置まで達するに十分、或いはそれを上回る力が加わってしまうと、開弁動作を行う弁体を滑らかに着座させることができず、着座の衝撃で振動や騒音が発生したり、電磁駆動弁自体の耐久性が低下することとなっていた。
【0007】
また、吸気弁に関し、例えば当該内燃機関の始動直後のように極めて軽負荷の状態にある場合等であって、排気弁を上死点(TDC)付近で開弁動作させ、且つ吸気弁の開弁動作を同上死点より遅らせるような場合等には、吸気弁が開弁動作する際、吸気ポート内のガス圧が燃焼室内のガス圧を上回ることで吸気ポート内の新気が燃焼室内に流入し、吸気弁の弁体に対して同弁が開弁動作する方向に力がかかるといったことが起こる。そしてこのような条件下にあっては排気弁として機能する電磁駆動弁と同じように、吸気弁として機能する電磁駆動弁についても、一旦閉弁位置を離脱した弁体が開弁位置側に向かう電磁力に依ることなく開弁位置まで達するに十分、或いはそれを上回る力が加わってしまうと、開弁動作を行う弁体を滑らかに着座させることができず、着座の衝撃で振動や騒音が発生したり、電磁駆動弁自体の耐久性が低下することとなっていた。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気弁として機能する電磁駆動弁の開弁動作を、無負荷若しくは軽負荷運転領域で好適に制御することのできる内燃機関を提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、吸気弁として機能する電磁駆動弁の開弁動作を、如何なるバルブタイミングを適用する場合であれ好適に制御することのできる内燃機関を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明は、電磁力とバネ力との協働により、開弁側の変位端である開弁位置から閉弁側の変位端である閉弁位置にかけて往復動する弁体を備えた電磁駆動弁を排気弁として有する内燃機関において、前記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向に電磁力を付与する閉弁電磁力付与手段と、前記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向に電磁力を付与する開弁電磁力付与手段と、当該機関の燃焼後、前記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向にかかるガス圧と、前記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向にかかるガス圧との差圧に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が前記開弁位置まで達する状態にあるときにはその旨を認識する認識手段と、を備え、前記閉弁電磁力付与手段は、前記旨が認識された場合に前記弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう動作を抑制することを要旨とする。
【0011】
なお、ここでいうガスには、吸入空気、供給される霧状燃料、これらの混合気(混合ガス)、或いは同混合気が燃焼した後に生じる排気等、当該内燃機関内を流動するあらゆる流体が含まれる。
【0012】
同構成によれば、例えば機関の運転状態が無負荷若しくは低負荷領域にある場合において、排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態にあっても、同排気弁の開弁動作を緻密に制御することができるようになる。
【0013】
また、第2の発明は、電磁力とバネ力との協働により、開弁側の変位端である開弁位置から閉弁側の変位端である閉弁位置にかけて往復動する弁体を備えた電磁駆動弁を吸気弁として有する内燃機関において、前記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向に電磁力を付与する閉弁電磁力付与手段と、前記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向に電磁力を付与する開弁電磁力付与手段と、前記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向にかかるガス圧と、前記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向にかかるガス圧との差圧に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が前記開弁位置まで達する状態にあるときにはその旨を認識する認識手段と、を備え、前記閉弁電磁力付与手段は、前記旨が認識された場合に前記弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう動作を抑制することを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、例えば機関の運転状態が無負荷若しくは低負荷領域にある場合において、排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態にあっても、同排気弁の開弁動作を緻密に制御することができるようになる。
【0015】
また、前記弁体が開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向にかかるガス圧と、前記弁体が閉弁位置から開弁位置に向かう方向にかかるガス圧との差圧に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が前記開弁位置まで達する状態にあるときにはその旨を認識する認識手段を備え、前記閉弁電磁力付与手段は、前記認識に基づいて前記弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう動作を抑制するのがよい。
【0016】
同構成によれば、閉弁位置から開弁位置に向かって動作する電磁駆動弁の弁体の離脱動作を抑制することで、前記閉弁位置から離脱した前記弁体がその離脱動作方向にかかる外力の影響により、過度な速度で動作する状態にあっても、開弁位置への到達直前における同弁体の動作の制御を容易にすることができるようになる。
【0017】
また、前記閉弁電磁力付与手段は、前記弁体が前記閉弁位置からの離脱動作を開始する時期に該弁体に電磁力を付与することにより、当該離脱動作を抑制するのがよい。
【0018】
同構成によれば、弁体による閉弁位置からの離脱動作に関し、当該離脱動作の開始時期における加速度、若しくは初速度の増大を抑制することで、当該弁体の離脱後動作にかかる制御の緻密性を容易に向上させることができるようになる。
【0019】
また、前記閉弁電磁力付与手段は、前記弁体が前記閉弁位置からの離脱動作を開始する時期を変更することにより、前記弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう動作を抑制するのがよい。
【0020】
同構成によれば、吸気弁若しくは排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかる状態を好適に回避することとなる。よって、弁体の動作そのものを操作するような制御構造の複雑化を伴うこともなく簡易にその動作抑制を行うことができるようになる。
【0021】
また、前記認識手段は、予め求められる当該機関の運転状態に関するパラメータに基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を予測認識するのがよい。
【0022】
同構成によれば、吸気弁若しくは排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態を、実際に同吸排気弁を駆動することなく正確に予測し、各弁の開弁動作の最適化を図ることができるようになる。
【0023】
また、前記認識手段は、当該機関の燃焼に供される混合ガスの充填量履歴に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を認識するのがよい。
【0024】
同構成によれば、電磁駆動弁を介したガス通路(吸気通路若しくは排気通路)及び燃焼室間でのガス流動の態様に基づき、吸気弁若しくは排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態を正確に推定することができるようになる。
【0025】
また、当該機関の運転に要求される機関トルクを演算する要求機関トルク演算手段をさらに備え、前記認識手段は、前記演算された機関トルクの履歴に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を認識するのがよい。
【0026】
同構成によれば、上記ガス流動の大きさを決定づける信頼性の高いパラメータである機関トルク、とくに当該内燃機関の運転状態に基づいて求められる機関トルクの最適値としての要求機関トルクの履歴を適用することにより、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を正確に認識することができるようになる。
【0027】
また、当該機関の燃焼に供される燃料を噴射供給する燃料噴射手段と、該噴射供給される燃料の供給量を認識する燃料供給量認識手段とを備え、前記認識手段は、前記認識される燃料の供給量に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が前記開弁位置に達する状態を認識するのがよい。
【0028】
同構成によれば、ガス流動の大きさに関連が大きく且つ、本来、機関運転状態の最適化制御に適用されるパラメータである燃料を適用することにより、簡易かつ高い精度で、弁体による閉弁位置からの離脱動作を制御することができるようになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を電磁駆動弁搭載の内燃機関に適用した第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、電磁駆動弁を吸気弁及び排気弁として搭載する内燃機関に本発明を適用した第1の実施の形態を概略的に示す構成図である。
同図1に示す内燃機関1は、複数の気筒21を備えるとともに、吸入行程、圧縮行程、燃焼行程及び排気行程の4行程サイクルを繰り返して機関出力を得るガソリンエンジンである。
【0031】
内燃機関1は、複数の気筒21及び冷却水路1cが形成されたシリンダブロック1bと、このシリンダブロック1bの上部に固定されたシリンダヘッド1aとを備えている。
【0032】
シリンダブロック1bには、機関出力軸であるクランクシャフト23が回転自在に支持され、このクランクシャフト23は、各気筒21内に摺動自在に装填されたピストン22と連結されている。
【0033】
ピストン22の上方には、ピストン22の頂面とシリンダヘッド1aの壁面とに囲まれた燃焼室24が形成されている。シリンダヘッド1aには、燃焼室24に臨むよう点火栓25が取り付けられ、この点火栓25には、同点火栓25に駆動電流を通電するためのイグナイタ25aが接続されている。
【0034】
シリンダヘッド1aには、2つの吸気ポート26の開口端と2つの排気ポート27の開口端とが燃焼室24に臨むよう形成されている。
また、各吸気ポート26は、内燃機関1のシリンダヘッド1aに取り付けられた吸気枝管33の各開口端と連通している。また、シリンダヘッド1aには、吸気ポート26に噴孔を臨ませるように燃料噴射弁32が取り付けられている。燃料噴射弁32は、加圧ポンプ(図示略)を介し燃料タンク(図示略)から移送された燃料(ガソリン)を、吸気ポート26内(燃焼室24方向)に噴射供給する。
【0035】
吸気枝管33は、吸気の脈動を抑制するためのサージタンク34に接続されている。サージタンク34には、吸気管35が接続され、吸気管35は、吸気中の塵や埃等を取り除くためのエアクリーナボックス36と接続されている。また、サージタンク34内には、同サージタンク34及びこれに連通する吸気管35、吸気枝管33内の圧力に応じた電気信号を出力する吸気圧センサ44が取り付けられている。また、吸気管35には、該吸気管35内を流れる吸気の流量を調整するスロットル弁39が設けられている。スロットル弁39には、印加電力の大きさに応じてスロットル弁39を開閉弁駆動するスロットル用アクチュエータ40と、スロットル弁39の開度に対応した電気信号を出力するスロットルポジションセンサ41と、アクセルペダル42に機械的に接続され該アクセルペダル42の操作量に対応した電気信号を出力するアクセルポジションセンサ43とが取り付けられている。
【0036】
一方、内燃機関1の各排気ポート27は、シリンダヘッド1aに取り付けられた排気枝管45の各枝管と連通している。排気枝管45は排気浄化触媒46を介して排気管47に接続され、排気管47はその下流にて図示しないマフラーと接続されている。
【0037】
排気枝管45には、同排気枝管45内を流れる排気の空燃比、言い換えれば排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比に対応した電気信号を出力する空燃比センサ48が取り付けられている。
【0038】
排気浄化触媒46は、例えば該排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比が理論空燃比近傍の所定の空燃比であるときには排気中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を浄化する三元触媒、該排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を吸蔵し、流入排気の空燃比が理論空燃比もしくはリッチ空燃比であるときには吸蔵していた窒素酸化物(NOx)を放出しつつ還元・浄化する吸蔵還元型NOx触媒、該排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比が酸素過剰状態にあり且つ所定の還元剤が存在するときに排気中の窒素酸化物(NOx)を還元・浄化する選択還元型NOx触媒、若しくは上述した各種の触媒を適宜組み合わせてなる触媒である。
【0039】
また、クランクシャフト23の端部に取り付けられたタイミングロータ51aとタイミングロータ51a近傍のシリンダブロック1bに取り付けられた電磁ピックアップ51bとからなるクランクポジションセンサ51は、クランクシャフト23の回転位相に応じた電気信号を出力することで、クランク角や機関回転数を把握できるようにする。また、シリンダブロック1bに取り付けられた水温センサ52は、内燃機関1の内部に形成された冷却水路1cを流れる冷却水の温度を検出する。
【0040】
一方、吸気ポート26の各開口端は、シリンダヘッド1aに進退自在に支持された電磁駆動弁(吸気弁)28によって開閉されるようになっており、これら吸気弁28は、シリンダヘッド1aに設けられた電磁駆動弁機構(以下、吸気側電磁駆動弁機構という)30によって開閉弁駆動されるようになっている。
【0041】
また、排気ポート27の各開口端はシリンダヘッド1aに進退自在に支持された電磁駆動弁(排気弁)29により開閉されるようになっており、これら排気弁29は、シリンダヘッド1aに設けられた電磁駆動弁機構(以下、排気側電磁駆動弁機構という)31によって開閉弁駆動されるようになっている。
【0042】
以上のように構成された内燃機関1には、同内燃機関1の運転状態を制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU、以下ECUという)20が併設されている。
【0043】
ECU20には、スロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、吸気圧センサ44、空燃比センサ48、クランクポジションセンサ51、水温センサ52等の各種センサが電気配線を介して接続され、各センサの出力信号がECU20に入力されるようになっている。
【0044】
またECU20には、イグナイタ25a、吸気側電磁駆動弁機構30、排気側電磁駆動弁機構31、燃料噴射弁32等が電気配線を介して接続されており、ECU20は、各種センサの出力信号値をパラメータとしてイグナイタ25a、燃料噴射弁32、吸気側電磁駆動弁機構30、排気側電磁駆動弁機構31等を各種駆動回路を介して駆動制御する。
【0045】
ここで、吸気側電磁駆動弁機構30と排気側電磁駆動弁機構31の具体的な構成について詳述する。なお、吸気側電磁駆動弁機構30と排気側電磁駆動弁機構31とはほぼ同等の構成を有するため、排気側電磁駆動弁機構31のみを例に挙げて説明する。
【0046】
図2は、排気側電磁駆動弁機構31の内部構造を概略的に示す側断面図である。
同図2に示すように、排気側電磁駆動弁機構31は、シリンダヘッド1aの頂面から燃焼室24(排気ポート27)にかけて形成された貫通孔内に、軸体と弁体とを一体として備えた排気弁29の軸体部分を組み込み、これを貫通孔に沿って直線的に往復動作(変位動作)させることにより燃焼室24に臨む排気ポート27の開口端を開閉する。
【0047】
先ず、シリンダヘッド1aは、その頂面から燃焼室24に向かって上層部材(アッパヘッド)1a'、中層部材(ミドルヘッド)1a''、及び下層部材(ロアヘッド)1a'''が積層された構造を有する。頂面から排気ポート27にかけて形成される上記の貫通孔は、これら各層を貫通する3つの孔が連通して形成されることとなっている。
【0048】
これら3つの孔のうち、アッパヘッド1a'に形成された孔300Aには、同上層部材1a'の上下面それぞれの側からアッパコア(上段)301及びロアコア(下段)302が組み込まれる。排気弁29の軸体(弁軸)29bは、これらアッパコア301及びロアコア302によって取り囲まれた状態で支持され、その上端部をアッパコア301の上面に延出させる。また、アッパコア301及びロアコア302間に確保された間隙G1内には、弁軸29bに周設された弁駆動体(アーマチャ)305が存在する。このアーマチャ305は、円板状の軟磁性体からなる。さらに、アッパコア301において間隙G1に臨む部位には、アッパ電磁コイル303が埋設されており、ロアコア302において同じくG2に臨む部位にはロア電磁コイル304が埋設されている。
【0049】
アッパヘッド1a'の頂面には、下端部にフランジを形成する円筒形状のアッパキャップ310が、アッパコア301を覆うかたちで同フランジを介してボルト締着されている。アッパキャップ310の上端部は、その内径と同等の外径を有する円柱形状の蓋材310aによって閉塞されている。蓋材310aは、その外周面をアッパキャップ310の内周面に螺合することによって取り付けられている。アッパキャップ310の蓋材310a下面には、保持部材310b及び同保持部材に上端部を保持されたアッパスプリング306が組み込まれている。アッパスプリング306はその下端部を、弁軸29bの上端部に固定されたアッパリテーナ311に当接させ、同アッパリテーナ311(弁軸29b)を燃焼室24方向に向かって付勢している。
【0050】
ミドルヘッド1a''を貫通する孔300B内では、排気弁29の弁軸29bがアッパヘッド1a'側、及びロアヘッド1a'''側に延設される二本の軸体として分離されている。機関運転中、熱膨張により弁軸29bが伸長することによって弁としてのシール性機能を悪化させることが、この分離部位の存在によって防止される。また、分離された両軸体が互いに対峙する部位において、ロアヘッド側に延設される軸体の端部にはラッシュアジャスタ29cが設けられている。このラッシュアジャスタ29cは他方の軸体の端部に設けられたキャップ29dとともに、孔300B内に確保された所定間隙G2に収容されることとなる。ラッシュアジャスタ29cは、排気弁29が全閉状態(最小リフト量)となったときにのみ油路P1を通じて供給されるオイルの油圧の作用を介して、その内部に設けられたプランジャをキャップ29dに向かって押し出す機能を有する周知の機構である。このラッシュアジャスタの働きにより両軸体間のあそび(クリアランス)がなくなり両軸体が好適に連動することとなる。
【0051】
ミドルヘッド1a''の孔300Bの一部(下部)は、これと連通するロアヘッド1a'''の孔300Cの一部(上部)と併せて、ラッシュアジャスタ29cよりも大きな内径を有する円柱形状のスプリング収容空間G3を形成している。スプリング収容空間G3の底面には、ロアスプリング307が組み込まれている。ロアスプリング307はその上端部を、弁軸29bに周設固定されたロアリテーナ312に当接させ、同ロアリテーナ312(弁軸29b)をアッパキャップ310方向に向かって付勢している。
【0052】
スプリング収容空間G3につづき、同収容空間G3の内径より小さな内径を有する孔が、同収容空間G3の底面から排気ポート27まで貫通する。このスプリング収容空間G3の底面から排気ポート27まで貫通する孔の内周には、筒状のバルブガイド201が固定されている。この筒状のバルブガイド201は、弁軸29bのうち、およそスプリング収容空間G3の底面から吸気ポート26に亘る部分を軸方向に沿って進退自在に支持する。
【0053】
弁軸29bの下端(排気ポート側端部)に固定された弁体29aは、燃焼室24における排気ポート27の開口端に設けられた弁座200に着座もしくは離座することによって排気ポート27の開閉を行う。
【0054】
なお、弁軸29bの軸方向の長さは、アーマチャ305が所定の間隙G1においてアッパコア301とロアコア302との中間位置に保持されているとき、すなわちアーマチャ305が中立状態にあるときに、弁体29aが全開側変位端と全閉側変位端との中間の位置(以下、中開位置という)に保持されるよう設定されているものとする。
【0055】
このように構成された排気側電磁駆動弁機構31では、アッパ電磁コイル303及びロア電磁コイル304へ励磁電流(指示電流)が通電されていない場合は、アーマチャ305が中立状態となり、それに伴って弁体29aが中開位置に保持される。
【0056】
排気側電磁駆動弁機構31のアッパ電磁コイル303に励磁電流が通電されると、アッパコア301とアッパ電磁コイル303とアーマチャ305との間には、アーマチャ305をアッパコア301側へ変位させる方向の電磁力が発生する。
【0057】
一方、排気側電磁駆動弁機構31のロア電磁コイル304に指示電流が通電されると、ロアコア302とロア電磁コイル304とアーマチャ305との間には、アーマチャ305をロアコア302側へ変位させる方向の電磁力が発生する。
【0058】
すなわち排気側電磁駆動弁機構31では、アッパ電磁コイル303とロア電磁コイル304とに交互に指示電流が通電されることにより、両電磁コイル303,304の電磁力とスプリング306,307の付勢力(バネ力)とが協働してアーマチャ305を進退させる。もって弁体29aが開閉弁駆動されることになる。このとき、スプリング306,307のバネ力によってアーマチャ305や弁体29aに固有振動が発生しているところに、電磁コイル303,304に対する指示電流の通電タイミングや通電量の変更が加味されることにより、排気弁29の開閉弁タイミング(バルブタイミング)や開弁量を制御することが可能となる。
【0059】
次に、ECU20(図1)の電気的構成について詳述する。
図3に示すように、ECU20は、双方向性バス400によって相互に接続されたCPU401とROM402とRAM403とバックアップRAM404と外部入力回路405と外部出力回路406とを備えた論理演算回路として構成されている。
【0060】
外部入力回路405は、スロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、吸気圧センサ44、空燃比センサ48、クランクポジションセンサ51、水温センサ52等各種センサの出力信号をCPU401やRAM403へ送信する。
【0061】
外部出力回路406は、CPU401から出力される制御信号をイグナイタ25a、燃料噴射弁32、吸気側電磁駆動弁機構30、或いは排気側電磁駆動弁機構31の各種駆動回路30b,31b等へ送信する。
【0062】
RAM403は、各センサの出力信号や、例えばクランクポジションセンサ51の出力信号に基づいて算出される機関回転数といったCPU401の演算結果等を記憶する。RAM403に記憶される各種のデータは、クランクポジションセンサ51が信号を出力する度に最新のデータに書き換えられる。
【0063】
バックアップRAM404は、内燃機関1の運転停止後もデータを保持する不揮発性のメモリである。
ROM402は、燃料噴射量を決定するための燃料噴射量制御ルーチン、燃料噴射時期を決定するための燃料噴射時期制御ルーチン、各気筒21の点火栓25の点火時期を決定するための点火時期制御ルーチン、スロットル弁39の開度を決定するためのスロットル開度制御ルーチン等、周知の各種アプリケーションプログラムや、制御マップ等を記憶している。
【0064】
また、ROM402は、吸気弁28を所望の動作タイミングや動作速度をもって開閉弁駆動するための(吸気弁)開弁量制御ルーチンや、排気弁29をこれも所望の動作タイミングや動作速度をもって開閉弁駆動するための(排気弁)開弁量制御ルーチンを記憶している。上述した各電磁駆動弁機構30,31の開閉弁駆動は、これら制御ルーチンに従ってECU20が出力する指令信号に基づいて行われる。
【0065】
ここで、通常の機関運転時において、ECU20が駆動回路30b、31bを介して行う各電磁駆動弁機構30、31の駆動制御について、排気側電磁駆動弁機構31を例にとって説明する。
【0066】
図4(a)〜(c)は、内燃機関1が通常の機関運転を行っている場合に、排気側電磁駆動弁機構31に取り付けられた排気弁29が閉弁状態から開弁状態に移行し、その後さらに開弁状態から閉弁状態に移行する際、アッパ電磁コイル303へ通電される指示電流の電流値(図4(a))、ロア電磁コイル304への通電される指示電流の電流値(図4(b))、及び同弁29のリフト量(図4(c))がどのように変化するのか、それぞれの変化態様を同一時間軸上に示すタイムチャートである。
【0067】
先ず、図4(a)に示すように、アッパ電磁コイル303に通電する指示電流は、排気弁29の開弁動作が開始される直前まで所定の電流値I1に保持する。この状態から同電流値I1を電流値I3(「0」値であるのが好ましい)まで降下させることにより、排気弁29の開弁動作が開始される(時刻t0)。
【0068】
また、図4(b)に示すように、上記アッパ電磁コイル303に通電される指示電流が電流値I3に降下された後所定時間が経過すると、ロア電磁コイル304に通電する指示電流が、電流値I3とほぼ同等の電流値I4(「0」値であるのが好ましい)を維持している状態から、比較的大きな電流値I5まで上昇する(時刻t1)。この電流値I5は所定時間維持され、その後電流値I6まで降下する(時刻t6)。
【0069】
すなわち、両電磁コイル303,304に全く通電が行われていない状態でも、アーマチャ305を中立状態に保持するスプリングの付勢力が働いている。このため、排気弁29を閉弁状態に保持するには、所定値I1の電流(保持電流)がアッパ電磁コイル303に通電されている必要がある。この保持電流の通電が中断され、電流値I3まで降下することで(時刻t0)、スプリングの付勢力がアーマチャ305を中立状態に復元させる力として作用し、開弁動作が開始される。
【0070】
その後、時刻t1においてロア電磁コイル304に所定値I5の指示電流が通電される。この所定値I5の指示電流は、排気弁29が開弁位置に達するために必要な力の不足分を吸引力として補い、アーマチャ305をロア電磁コイル304に到達(着座)させる。その後は、アーマチャ305を中立状態に復元させるスプリングの付勢力にうち勝つだけの吸引力をロア電磁コイル304に与える所定値I6の電流(保持電流)の通電が次回の閉弁動作の開始まで持続されることとなる(時刻t2〜t3)。
【0071】
すなわち、図4(c)に示すように、アーマチャ305がアッパ電磁コイル303に当接(着座)した状態(最小リフト量)にある排気弁29が、所定のタイミングで遷移(変位)を開始する。そしてスプリングによるバネ力によりある程度まで加速した後、ロア電磁コイル304の電磁力によって吸引され、開弁状態になったところ(最大リフト量)で停止する。
【0072】
また、閉弁動作に関しては、アッパ電磁コイル303への通電が上記閉弁動作におけるロア電磁コイル304への通電と同様の態様で実行される一方、ロア電磁コイル304への通電が上記閉弁動作におけるアッパ電磁コイル303への通電と同様の態様で実行される。
【0073】
すなわち、図4(a)〜(c)に併せ示すように、ロア電磁コイル304に通電されている保持電流の電流値I6が、再び電流値I4まで下降するとともに(時刻t3)、やや遅れてアッパ電磁コイル303へ通電される電流の電流値I3が電流値I7まで上昇する(時刻t4)。その後電流値I7は、保持電流の値に相当する電流値I1まで下降する(時刻t5)。こうした両電磁コイル303,304への通電態様に対応し、排気弁29のリフト量が最大リフト量(開弁状態)から最小リフト量(閉弁状態)まで滑らかに移行する。
【0074】
なお、吸気側電磁機構30への通電態様と吸気弁28の動作態様との関係も、上述した排気側電磁機構31に関するものと同様である。このため、ここでの詳しい説明は割愛する。
【0075】
次に、上記排気弁29の開閉弁動作に関し、両電磁コイル303,304への通電量を制御すべくECU20によって行われる制御手順の概要について、フローチャートを参照して説明する。
【0076】
図5には、アッパ電磁コイル303及びロア電磁コイル304へ供給される指示電流について、その電流量(電流値)、通電タイミング、及び通電時間を含めた電流の波形を決定するための「開弁量制御ルーチン」を示す。
【0077】
同ルーチンは、ECU20を通じて内燃機関1の始動と同時にその実行が開始されるとともに、所定時間毎に周期的に実行される。
同ルーチンに処理が移行すると、ECU20は先ず、ステップS1において、排気弁29に対する開弁要求、若しくは閉弁要求が生じているか否かを判断する。そして、この判断が肯定である場合には続くステップS2に移行し、否定である場合には本ルーチンを一旦抜ける。
【0078】
ステップS2においては、スロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、吸気圧センサ44、およびクランクポジションセンサ51等の出力信号に基づく各種信号に基づいて、スロットル弁39の開度、アクセルの踏み込み量、吸気圧、機関回転数といった内燃機関1の現在の運転状態に関する各種パラメータを認識する。また、上記アクセルの踏み込み量や機関回転数に基づき、内燃機関1が最適な運転状態を保持すために最適な機関トルク(要求トルク)を求めておく。
【0079】
続くステップS3においては、上記ステップS2で認識した運転状態に関する各種パラメータおよび要求トルクに基づいて、開弁動作の開始タイミング(バルブタイミング)若しくは閉弁動作の開始タイミング(バルブタイミング)や弁体29aの動作速度を含めた排気弁29の動作態様を設定する。
【0080】
ここで設定された排気弁29の動作態様を実現すべく、後続のステップS4においては、駆動対象となる排気弁29(作動弁)について指示電流の電流波形を決定する。なお、ここでいう指示電流の電流波形とは、先の図4(a)及び図4(b)において説明した電流値I1,I3,I4,I5,I6及びI7の大きさや通電開始タイミング、さらに当該各電流値間の切り替えタイミング等を意味する。
【0081】
そして、続くステップS5において、各排気側電磁駆動弁機構31に対し、決定された電流波形からなる指示電流を駆動回路31b(図3参照)を通じ供給することとなる。
【0082】
上記処理手順に基づき、本ルーチンでは、内燃機関1の各気筒21上に設けられた個々の排気側電磁駆動弁機構31に開閉弁動作を実行させる。
ところで、内燃機関1の運転状態が特定の領域、例えば、アイドリング運転時や平地や下り坂での等速度走行時等といった無負荷領域若しくは軽負荷領域にある場合、排気弁29が開弁動作する際、排気ポート27内のガス圧が燃焼室24内のガス圧を上回ることで排気ポート27内の排気が燃焼室24内に逆流し、排気弁29の弁体29aに対して同弁29aが開弁動作する方向に力がかかることがある。
【0083】
例えば図6は、内燃機関1の運転状態が上述したような特定領域にある際、燃焼室24内の容積Vと、同燃焼室24内の圧力Pとの関係が一回の機関サイクル(吸入行程、圧縮行程、燃焼行程及び排気行程を巡回するサイクル)中でどのように変化するかを示すグラフである。図中において、各点A、B、C、D及びIgは、各々吸気弁28の開弁動作開始時期(点A)、排気弁29の閉弁動作開始時期(点B)、吸気弁28の閉弁動作開始時期(点C)、排気弁29の開弁動作時期(点D)及び点火時期(Ig)に相当する。また、横軸上に示す容積Vtdcはピストン22が最上位にある時(上死点)の燃焼室内容積に相当し、容積Vbdcは同じくピストン22が最下位にある時(下死点)の燃焼室内容積に相当する。そして概ね、点Aから点Cまでの区間は吸入行程、点Cから点Igまでの区間は圧縮行程、点Igから点Dまでの区間は燃焼行程、点Dから点Aまでの区間は排気行程にあたる。
【0084】
ここで、内燃機関1の運転状態が中高負荷領域にある場合には、燃焼行程の終了後、排気弁29の開弁動作が開始する際、燃焼室24内の圧力は大気圧P0を上回り、排気ポート27内の圧力は排気流動に起因する慣性力により多少は上下するが、概ね大気圧P0と同程度であるのが通常である。すなわち、機関運転状態が中高負荷領域にある場合、燃焼行程の終了後、排気弁29が開弁動作を開始する際に燃焼室24内の圧力Pが排気ポート27内の圧力を上回っているため、排気弁29の弁体29aに対し、総体的には閉弁動作方向に向かう外力が付与される。
【0085】
ところが、同図6に示す機関サイクルが従う条件のように、内燃機関の運転状態が無負荷領域や軽負荷領域にある場合、燃焼行程の終了時、すなわち排気弁29が開弁動作を開始する際に、燃焼室24内の圧力Pが大気圧P0を下回ることがある。さらにこのような無負荷領域若しくは軽負荷領域では、排気流動も十分活発でないため排気ポート27内の圧力は大気圧P0とほぼ同等の圧力に留まり、相対的には燃焼室24内の圧力Pが排気ポート27内の圧力を下回ることになる。ちなみに、同図6中において、排気弁29による開弁動作の開始(点D)に伴い燃焼室22内の圧力Pが大気圧P0近傍まで上昇するのは、排気ポート27から燃焼室24内に向かって排気が逆流するためである。
【0086】
このような条件下において排気弁29では、閉弁位置を離脱する弁体29aに対し、その離脱方向に向かって通常付与されるバネ力および電磁力を合成した力以上の力が加わることとなる。
【0087】
そこで、本実施の形態にかかる内燃機関1では、当該機関の運転状態が上述した特定領域(以下、第1の特定領域という)にある場合、排気弁(電磁駆動弁)19を開弁動作させるにあたり以下に説明する通電制御を実行する。
【0088】
図7(a)〜(c)は、第1の特定領域において排気弁29が開弁動作を行う場合、アッパ電磁コイル303(図7(a))及びロア電磁コイル304(図7(b))に通電される電流の電流値がどのように変化し、またそのような電流値の変化に対応して同弁29のリフト量(図7(c))がどのように変化するのか、それぞれの変化態様を同一時間軸上に示すタイムチャートである。なお、同図7(a)及び図7(b)中に示す電流値I1,I3,I4,I5及びI6は、先の図4(a)及び図4(b)において同一符号の付された各電流値と同等の機能を有し、同図7(a)〜(c)の時間軸上に示す時刻t0,t1及びt2もまた、図4(a)〜(c)の時間軸上に示した同一符号の各時刻と同等の意義を有する。
【0089】
ここで、第1の特定領域において燃焼行程終了時の燃焼室24内の圧力Pが排気ポート27内の圧力を下回ることとなり、両者間の圧力差に起因して開弁動作を開始する排気弁29に対し開弁動作方向への外力が作用することとなるのは上述した通りである。この際、中高負荷領域においてアッパ電磁コイル303に対して行う通電制御と同様に図7(a)中に一点鎖線で示す態様で通電を行うとすれば、図7(c)中に同じく一点鎖線で示すように、閉弁位置から開弁位置に向かう排気弁29が過度に加速され、十分な減速が行われないまま着座することとなってしまう。このとき、ローア電磁コイル304より発生する吸引力を弱めたとしても、その効果によってアーマチャ305を減速させることは難しい。
【0090】
排気ポート27から燃焼室24内へ向かう(逆流する)ガス圧と、スプリングの復元力とを合成した力のみによって閉弁位置を離脱したアーマチャ305が開弁位置まで達してしまうような条件下では、たとえロア電磁コイル304に電流値I5の指示電流を通電する期間(時刻t1〜t2)その電流値(I5)を「0」値に設定したとしても着座速度を抑制することはできないからである。
【0091】
それどころか、着座したアーマチャ305をロア電磁コイル304に保持するための電流値I6を「0」値より立ち上げるとすれば、所定の立ち上げ時間を要することとなるため、ロア電磁コイル304には予め少なくとも電流値I6相当の指示電流を通電しておくことが好ましい。
【0092】
すなわち、時刻t1〜t2若しくはそれ以前、ロア電磁コイル304に通電される最小現の指示電流ですら、開弁位置に向かうアーマチャ305の動作を加速させることにはなれ、抑制する作用を及ぼし得ない。
【0093】
そこで本実施の形態にかかる内燃機関1では、同図7(a)中に実線で示すように、第1の特定領域において排気弁29に閉弁動作を開始させる際、その直前まで保持されていた電流値I1を一旦電流値I2まで下げ(時刻t0)、同電流値I2を所定時間保持した後、電流値I3までさらに下降させる(時刻th)よう排気側電磁駆動弁機構31への通電制御を行う。
【0094】
以下、電流値I1を電流値I3まで下降させる際、過渡的に適用する電流値I2の特性について詳しく説明する。
図8には、アッパ電磁コイル303に通電する電流値の大きさと、同コイルより発生する電磁力(吸引力)の大きさとの関係を示す。
【0095】
一般的な電磁コイル(電磁石)の示す特質と共通して、同図8に示すように、ロア電磁コイル303へ通電する電流値を増大すればこれに従い発生する電磁力も単調に増大する傾向を示す。電流値I1は、先の図4(a)や図7(a)についてした説明からも明らかなように、アーマチャ305をアッパ電磁コイル303に吸引保持しておくのに十分な電磁力F1を発生させる電流量に相当する。実際、アーマチャ305がアッパ電磁コイル303との当接位置(閉弁位置)にある時に発揮されるスプリングのバネ力(最大スプリング力)と同等の電磁力Fmを発生する電流量(電流値)Imを十分に上回る値に設定しておくのが好ましい。一方、電流値I2は、同電流値Im未満の値に設定する。
【0096】
すなわち、電流値I2は、スプリングによるバネ力に逆らって排気弁29を閉弁位置に保持しておく電磁力を発生するための電流値には満たないものの、閉弁位置からの離脱動作を開始する排気弁29の加速を緩和するために十分な電磁力、言い換えれば、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29の動作方向に作用する外力を、十分に相殺することのできる反力を発生させる電流値に相当する。
【0097】
なお、上記アッパ電磁コイル303への通電制御に関する各電流値やそれら電流値相互間の切り替えタイミングの決定は、ロア電磁コイル304への通電制御に関するものと併せて、先の「開弁量制御ルーチン」(図5参照)におけるステップS4においてなされる。そしてこのとき、アッパ電磁コイル303への通電制御に関し、電流値I2を適用するか否か、また電流値Im(図8)未満でどの程度の大きさに設定するのかといった決定は、同制御ルーチンのステップS2において認識される各種の運転状態パラメータや、要求トルク等に基づいて行われる。
【0098】
このように、内燃機関1では、特定の条件下(第1の特定領域)における排気弁29(弁体29a)の開弁動作、特にその初期動作にかかる駆動制御に関し、アッパ電磁コイル303に通電されている保持電流(電流値I3)を直接電流値I3(通常は「0」値)に切り替えず、上記最大スプリング力(Fc)を少なくとも下回る電磁力を発生させる電流値I2まで下降させこととしている。
【0099】
この電流値I2への切り替え後の指示電流に基づいて発生する電磁力は、アーマチャ305をアッパ電磁コイル303(閉弁位置)に当接保持しておくまでには及ばないまでも、アッパ電磁コイル303から離脱するアーマチャ303(閉弁位置から離脱する弁体29a)の離脱速度、若しくは加速度を抑制することになり、その動作方向にかかる外力を相殺してアーマチャ303が過度に加速されるのを好適に防止する。
【0100】
排気弁29の開弁動作に関し、スプリングのバネ力(復元力)による同弁29の駆動力の不足分は、ロア電磁コイル304による電磁力によって補うことが容易である上、その通電量を加減することで着座の際の速度を最小化するよう制御するができる。
【0101】
従って、本実施の形態にかかる内燃機関1によれば、同排気弁29による開弁位置での滑らかな着座を容易に実現することができるようになる。
なお、電流値I1を電流値I2に切り替えた後、電流値I3まで下降させる遷移期間として、アッパ電磁コイルへの通電量を、例えば図9(a)〜(c)に示すように、直線的、、或いは多段階に亘り除変する期間を設定してもよい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明を電磁駆動弁搭載の内燃機関に適用した第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0102】
なお、当該第2の実施の形態にあって、適用対象とする内燃機関、同機関に搭載される各電磁駆動弁機構、並びにECUのハードウエア構成について、その基本構成は先の第1の実施の形態で図1〜図3において各々示したものとほぼ同様である。また、先の図5で説明した「開弁量制御ルーチン」も、その基本的な処理手順については第1の実施の形態と同様の態様である。よって、それらハードウエア構成及び基本的な処理手順に関するここでの重複する説明は割愛する。
【0103】
先ず、第2の実施の形態にかかる内燃機関1のECU20が実行する排気側電磁駆動弁機構31(電磁コイル303,304)への通電制御について、その概要を説明する。
【0104】
先の第1の実施の形態では、第1の特定領域における排気弁29の開弁動作に関し、アーマチャ305をアッパ電磁コイル303に当接保持するための保持電流に相当する電流量(電流値)I1を電流値I3まで下降させる際、過渡的に電流値I2を適用することにより、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29の動作方向に作用する外力を相殺する制御を実行することとした。
【0105】
こうした制御構造に替え、第2の実施の形態においては、第1の特定領域における排気弁29の開弁動作の開始時期(バルブタイミング)を変更することにより、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29の動作方向に作用する外力を相殺する制御を実行する。
【0106】
図10は、第2の実施の形態にかかる内燃機関1の運転状態が第1の特定領域にある際、燃焼室24内の容積Vと、同燃焼室24内の圧力Pとの関係が一回の機関サイクル中でどのように変化するかを、図6と同一の態様で示すグラフである。
【0107】
同図10に実線で示すように、内燃機関1はその運転状態が第1の特定領域にある場合、排気弁29の開弁動作開始時期を本来のタイミングにあたる点D(図6を併せ参照)よりも早め、点D’に設定する。このようなバルブタイミングの変更制御を実行することにより、当該機関1の燃焼後、燃焼室24の圧力が大気圧P0(排気ポート27内の圧力)を下回る前に、排気弁29が開弁動作を行うこととなる。すなわち、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29に作用する外力は、燃焼室24から排気ポート27に向かう方向、すなわち排気弁29の開弁動作を抑制する方向に働くこととなる。
【0108】
次に、こうした排気弁29のバルブタイミングの変更を行うにあたり、排気側電磁駆動弁機構31(電磁コイル303,304)に対して実行される通電制御について説明する。
【0109】
図11(a)〜(c)は、第1の特定領域において本実施の形態にかかる内燃機関1の排気弁29が開弁動作を行う場合、アッパ電磁コイル303に通電される電流の電流値(図11(a))及びロア電磁コイル304に通電される電流の電流値(図11(b))がどのように変化し、またそのような電流値の変化に対応して同弁29のリフト量(図11(c))がどのように変化するのか、それぞれの変化態様を同一時間軸上に示すタイムチャートである。なお、同図11(a)及び図11(b)中に示す電流値I1,I3,I4,I5及びI6は、先の図7(a)及び図7(b)において同一符号の付された各電流値と同等の機能を有し、同図11(a)〜(c)の時間軸上に示す時刻t0,t1及びt2もまた、図7(a)〜(c)の時間軸上に示した同一符号の各時刻と同等の意義を有する。また、各図11(a)〜(c)において、一点鎖線で示す電流値若しくはリフト量の変化態様は、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29の動作方向に作用する外力の影響を考量しない従来の通電制御に基づくものであり、実線で示す電流値若しくはリフト量の変化態様が本実施の形態にかかる内燃機関1が実行する通電制御に基づくものである。
【0110】
図11(a)及び図11(b)を併せ参照すると、従来の通電制御に基づいて設定される電流波形(以下、基準電流波形という)と、本実施の形態における通電制御に基づいて設定される電流波形(以下、進角電流波形という)とを比較した場合、進角電流波形にかかる電流値I1や電流値I5の指示電流を開始するタイミングが基本電流にかかるものより所定時間早められている。
【0111】
基準電流波形に基づいて通電制御を行った場合、排気ポート27から燃焼室24内に逆流する排気により開弁動作する排気弁29が、その動作方向に向かって外力を受けて過度に加速され、高い動作速度を維持したまま開弁位置に着座することとなる。
【0112】
この点、進角電流波形に基づく通電制御によれば、先の図10において説明したように、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29に作用する外力が、燃焼室24から排気ポート27に向かう方向、すなわち排気弁29の開弁動作を抑制する方向に働く条件を選択して排気弁29の開弁動作を実行することとなる。このため、排気弁29による閉弁位置からの動作、およびその後の変位動作が好適に抑制され、スプリングのバネ力のみでは開弁位置まで到達しない条件が設定されることになる。この排気弁29が開弁位置に到達するための力(若しくはエネルギー)をロア電磁コイル304の電磁力によって補うことは容易であり、その電磁力を加減する制御を併せ行えば着座動作の最適化が図られることは先の第1の実施の形態において説明した通りである。
【0113】
従って、上記第2の実施の形態、すなわち上記のようなバルブタイミングの変更制御によっても、同排気弁29による開弁位置での滑らかな着座を容易に実現することができるようになる。
【0114】
なお、このような進角電流波形を適用して排気弁29の開弁時期を早めれば、排気温度は上昇する傾向を示すこととなるため、排気浄化触媒46の暖機が促進されるといった効果も奏されることとなる。
(変形例)
なお、上記第2の実施の形態では、排気弁29の開弁動作時期を本来のタイミングよりも早めることにより、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29に作用する外力が、排気弁29の開弁動作を抑制する方向に働くこととなる条件で同排気弁29が開弁動作するよう制御することとしたが、排気弁29の開弁動作時期を本来のタイミングよりも遅らせることによってもこれとほぼ同等の効果を得ることができる。
【0115】
すなわち、図12において先の図10と同一の態様で示すように、内燃機関1はその運転状態が第1の特定領域にある場合、排気弁29の開弁動作開始時期を本来のタイミングにあたる点D(図6を併せ参照)よりも遅らせ、点D''に設定する。このようなバルブタイミングの変更制御を実行することにより、当該機関1の燃焼後、燃焼室24の圧力が大気圧P0(排気ポート27内の圧力)を下回った後、再度上回るようになるのを待って、排気弁29が開弁動作することとなる。
【0116】
また、先の図11(a)〜(c)と同じく図13(a)〜(c)のタイムチャートに示すように、こうしたバルブタイミングの変更を行うには、従来の通電制御に基づいて設定される電流波形(基準電流波形;一点鎖線にて図示)と比べ、電流値I1や電流値I5等を時間軸上において遅らせた電流波形(遅角電流波形;実線にて図示)に基づいて通電制御を実行する。
【0117】
そしてこのような遅角電流波形を適用することによっても、図13(c)に示すように、従来の通電制御に比べ、第1の特定領域において排気弁29の開弁動作を滑らかにすることができるようになる。
【0118】
すなわち、先の進角電流波形を適用した通電制御と同様、燃焼室24内の圧力と排気ポート27内の圧力との差圧に起因して排気弁29に作用する外力が、燃焼室24から排気ポート27に向かう方向、すなわち排気弁29の開弁動作を抑制する方向に働く条件を選択して排気弁29の開弁動作を実行することとなる。このため、排気弁29による閉弁位置からの動作、およびその後の変位動作が好適に抑制され、スプリングのバネ力のみでは開弁位置まで到達しない条件が設定されることになる。この排気弁29が開弁位置に到達するための力(若しくはエネルギー)をロア電磁コイル304の電磁力によって補うことは容易であり、その電磁力を加減する制御を併せ行えば着座動作の最適化が図られることも先の進角電流波形を適用した通電制御による効果と同様である。
【0119】
なお、このような遅角電流波形を適用して排気弁29の開弁時期を遅延させると、燃焼室24内に燃焼ガスが閉じ込められる期間が長くなるため、当該機関1からの未燃炭化水素(HC)の排出が抑制されるといった効果も奏されることとなる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明を電磁駆動弁搭載の内燃機関に適用した第3の実施の形態について、第1及び第2の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0120】
なお、当該第3の実施の形態にあっても、適用対象とする内燃機関、同機関に搭載される各電磁駆動弁機構、並びにECUのハードウエア構成について、その基本構成は先の第1の実施の形態で図1〜図3において各々示したものとほぼ同様である。また、先の図5で説明した「開弁量制御ルーチン」も、その基本的な処理手順については第1の実施の形態と同様の態様である。よって、それらハードウエア構成及び基本的な処理手順に関するここでの重複する説明は割愛する。
【0121】
上記第1及び第2の実施の形態において説明した電磁駆動弁機構への通電制御は、何れも内燃機関の運転状態が第1の特定領域にある場合に、排気弁の開弁動作に関して実行するものであった。
【0122】
この他、吸気弁28が開弁動作を行う際にも、燃焼室24の圧力が吸気ポート26内の圧力を下回り、閉弁位置を離脱する弁体に対し、その離脱方向に向かって通常付与されるバネ力および電磁力を合成した力以上の力が加わることがある。このような場合にも、燃焼室24内の圧力と吸気ポート26内の圧力との差圧に起因して吸気弁28の動作方向に作用する外力の影響を考量しない通電制御を吸気側電磁駆動弁機構30に対して行うとすれば、排気側電磁駆動弁機構31に関する場合と同様、開弁動作を行う弁体が過度に加速され、これを滑らかに着座させることができなくなることは先の従来の技術においても説明した通りである。
【0123】
そこで、本実施の形態にかかる内燃機関1は、吸気側電磁駆動弁機構30についても、内燃機関1の運転状態に関する特定領域、すなわち、吸気弁28の開弁動作時、吸気ポート26内の圧力が燃焼室24内の圧力を上回り、アーマチャ(図示略)に電磁力が付与されなくとも吸気弁28が開弁位置まで到達してしまう状態(領域)にある場合には、閉弁位置から開弁位置に向かう吸気弁28の動作を抑制するための電磁力を、吸気側電磁駆動弁機構30のアッパ電磁コイル(図示略;排気側電磁駆動弁機構31のアッパ電磁コイル303に相当する)に発生させる。
【0124】
例えば、図14は、第3の実施の形態にかかる内燃機関1の運転状態が特定領域(以下、便宜上、第2の特定領域という)にある際、燃焼室24内の容積Vと、同燃焼室24内の圧力Pとの関係が一回の機関サイクル中でどのように変化するかを、先の図6等と同一の態様で示すグラフである。
【0125】
ここでいう第2の特定領域としては、例えば内燃機関1の始動直後等といった低温作動時における運転状態がある。このような場合、同図14に示すように、排気弁29の閉弁後に吸気弁の開弁を行うといったいわゆるバルブオーバーラップ期間を有しないバルブタイミングで吸気弁28及び排気弁29を作動させるよう両電磁駆動弁機構30,31を駆動する。ちなみに、このような機関サイクル(若しくはバルブタイミング)は、吸気ポート26に噴射供給される燃料と空気との混合ガスを、吸気弁28が開弁するのと同時に燃焼室24内に流れ込ませるよう意図的に設定される。このようなバルブタイミングを適用することにより、混合ガスが速やかに燃焼室24内に流入して断熱膨張し、燃料の霧化が促進されることで、低温条件下での燃焼悪化が好適に抑制されるといった効果が得られる。
【0126】
すなわち、このような機関サイクル(バルブタイミング)を設定すれば、必然的に吸気弁28の開弁動作時における燃焼室24内の圧力が吸気ポート26内の圧力P1を下回ることとなるため、開弁動作を行う吸気弁28に対し、閉弁位置から開弁位置に向かう外力が発生することとなる。
【0127】
また例えば、内燃機関1を搭載した車両が降板走行の状態にある場合等には、負の機関トルクを発生させるよう当該機関の運転状態を制御することがある。こうな運転状態も、ここでいう第2の特定領域に相当する。すなわち、このように意図的に負のトルクを発生させる場合、内燃機関1は、好ましくは燃料供給を停止(フューエルカットを実行)して機関燃焼を中断するとともに、バルブオーバーラップ期間を有しないバルブタイミングで吸気弁28及び排気弁29を作動させるよう両電磁駆動弁機構30,31を駆動する。
【0128】
このような条件下においても、吸気弁28の開弁動作時における燃焼室24内の圧力が吸気ポート26内の圧力P1を下回ることとなるため、開弁動作を行う吸気弁28に対し、閉弁位置から開弁位置に向かう外力が発生することとなる。
【0129】
そこで、本実施の形態にかかる内燃機関1では、こうした第2の特定領域において吸気弁28を開弁させる際には、先の図7(a)及び図7(b)に示したタイムチャートとほぼ同一の変化態様を示す電流波形を吸気側電磁駆動機構30のアッパ電磁コイル及びロア電磁コイルへの通電制御に適用して、吸気弁28の開弁動作を制御する。
(運転状態に関する認識)
ところで、上記第1〜第3の実施の形態にかかる各内燃機関1が排気電磁駆動弁機構31への通電制御(第1又は第2の実施の形態)、若しくは吸気側電磁駆動弁機構30への通電制御(第3の実施の形態)を行う場合、何れも先の「開弁量制御ルーチン」(図5参照)の処理手順に従って指示電流の電流波形を決定することは上述した通りである。
【0130】
ここで、電磁駆動弁機構30又は31のアーマチャをアッパ電磁コイルに当接保持するための保持電流に相当する電流量(電流値)I1を電流値I3まで下降させる際、電流値I2を過渡的に適用するか否かに関する判断(第1、第3の実施の形態)、或いは遅角(進角)電流波形の適用に関する判断(第2の実施の形態)にあたっては、内燃機関1の運転状態が上述した第1の特定領域、或いはこれも上述した第2の特定領域に属するか否かの認識に基づくこととなる。
【0131】
このような認識は、上記「開弁量制御ルーチン」のステップS2で説明した各種運転状態に関するパラメータや要求トルクの認識に基づいて、例えば予め設定しておくマップを参照することで同ルーチンのステップS3において行うこととなる。
【0132】
以下、「開弁量制御ルーチン」のステップS2及び続くステップS3において行われる第1の特定領域に関する認識、或いは第2の特定領域に関する認識として好適に適用される具体例について説明する。
【0133】
図15は、上記第1〜第3の実施の形態にかかる各内燃機関1に共通する機関サイクルの周期(排気行程から吸入行程、圧縮行程、燃焼行程へと順次続く)、燃料噴射時間、点火時期、及び吸排気弁のリフト量の推移を同一時間軸上に示すタイムチャートである。
【0134】
同図15に示すように、任意のN回目機関サイクルと、その前回(N−1回目)機関サイクルについて、各々の機関サイクル中における排気弁29の開閉弁動作(リフト量の増大及び減少として実線EXにより図示)と、これに続く吸気弁28の開閉弁動作(リフト量の増大及び減少として二点鎖線INにより図示)とが行われる。ここで、燃料噴射弁32による吸気ポート26への燃料噴射は、一回の噴射時間を期間TAUとして吸気弁28の開弁動作前に行われるのが通常であり、また、点火時期は、同図15におけるタイムチャート上、各機関サイクルの最終行程(燃焼行程)の開始点にあたる。なお、N回目機関サイクルで適用される燃料噴射量(燃料噴射時間)TAUは、それまでに検出された吸気圧や機関回転数の履歴に基づき同N−1回目機関サイクルにおける吸気弁28の閉弁動作終了時までに決定する。
【0135】
そこで、N−1回目機関サイクルの終了までに得られた各種運転状態パラメータに基づいて、N回目機関サイクルにかかる運転状態が属することになる領域が第1の特定領域若しくは第2の特定領域に属することになるか否かを推定認識することとしてもよい。
【0136】
例えば、N回目サイクルにおける排気弁開弁時のガス流動(燃焼室24から排気ポート27に向かうガス流動)は、N−1回目サイクルにおいて燃焼室24内にどれだけの混合ガスが充填されたか、その充填量より推定することができる。そこで、N−1回目サイクルの進行中に得られた吸気圧(吸気圧センサ44の出力信号に基づく)と、吸気弁28の閉弁時における燃焼室内容積V(クランクポジションセンサ51の出力信号に基づく)とを求め、さらに両者の関数(積)に基づいて燃焼室24内に充填される混合ガスの充填量を推定すれば、この推定された混合ガスの充填量に基づいてN回目機関サイクルにかかる運転状態が属する領域を特定することとしてもよい。この他、吸気ポート26内の圧力に応じた信号を出力する吸気ポート圧センサを内燃機関1の吸気ポート26に取り付ければ、吸気圧センサ44の出力信号に替え、吸気ポート圧センサの出力信号に基づき一層高い精度で高い混合ガスの充填量を推定することもできる。
【0137】
また、内燃機関1が、N回目サイクル或いはN−2回目以前のサイクルにおいて得られる混合ガスの充填量に基づいて、N回目サイクルで適用される燃料噴射量TAUを決定する制御をおこなっている場合には、この決定された燃料噴射量TAUに基づいて上記第1の特定領域や第2の特定領域を定義づけることとしてもよい。
【0138】
とくに、燃料噴射量TAUに基づいて上記第1の特定領域や第2の特定領域を定義づける制御構造によれば、例えば、「燃料噴射量TAUが所定値以下なら内燃機関1の運転状態が第1の特定領域、或いは第2の特定領域に属すると認識する」といったように、ECU20にとってごく小さな演算負荷で各特定領域の定義づけを的確に行うことができる。特にフューエルカットの実行・不実行に関係する第2の特定領域の定義づけは、この燃料噴射量TAUに基づいて行うのが好ましい。
【0139】
また、各種運転状態に基づいて現在の要求トルクを演算し、この要求トルクを基本量として吸排気弁のバルブタイミング、燃料噴射量、及び点火時期等といった各種運転条件を統括的に制御する方法を適用して機関運転を行う内燃機関にあっては、単に要求トルクのみに基づいて第1の特定領域や第2の特定領域の定義づけを行ってもよい。
【0140】
すなわち、N−1回目サイクルにおける各運転状態に基づいて演算された要求トルクが所定値以下である場合には、当該機関の運転状態が第1の特定領域、若しくは第2の特定領域にあると認識して、電磁駆動弁機構30又は31のアーマチャをアッパ電磁コイルに当接保持するための保持電流に相当する電流量(電流値)I1を電流値I3まで下降させる際、電流値I2を過渡的に適用する制御(第1、第3の実施の形態)や、遅角(進角)電流波形を適用する制御(第2の実施の形態)を実施するようにしてもよい。
【0141】
なお、上述したように、内燃機関の運転状態が第1の特定領域や第2の特定領域にあるか否かに関する認識は、いずれも排気弁若しくは吸気弁の開弁動作開始直後のガス流動の状態の予測に基づくものである。このため、予測値の誤差や、当該ガス流動の状態が過渡的に変化する際に生じる予測の追従遅れを予め加味して、上記運転状態に関する認識を行うのが好ましい。すなわち、上記内燃機関の運転状態が第1の特定領域や第2の特定領域にあるか否かを認識するための判定基準は、当該第1の特定領域や第2の特定領域の範囲をやや広げたかたちで設定するのが好ましい。実際には第1若しくは第2の特定領域内ある運転状態で、電流値I2を適用する通電制御や遅角(進角)電流波形を適用する制御を実行しない場合には、開弁時における吸気弁28若しくは排気弁29の動作速度(着座速度)が過度となることを免れない一方、実際には当該各特定領域外にある運転状態で、電流値I2を適用する通電制御や遅角(進角)電流波形を適用する制御を実行することとなっても、ロア電磁コイルの電磁力を付与することによって各弁28,29の開弁にかかる動作速度の不足分を補うことは容易だからである。
【0142】
また、周知の吸気ポート圧センサや排気ポート圧センサ、さらに筒内圧センサを採用して吸気ポート26や排気ポート27、さらに気筒21(燃焼室24)内の圧力を直接検出し、得られた検出値を運転状態に関するパラメータとして適用してもよい。この場合、例えば排気ポート27内の圧力と燃焼室24内の圧力との差圧、或いは吸気ポート26内の圧力と燃焼室24内の圧力との差圧に基づいて各々第1の特定領域、或いは第2の特定領域の定義づけを行うこと等により、上記各実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。
【0143】
また、上記各実施の形態で採用することとした各電磁駆動弁機構30,31は、アーマチャの変位する両変位端にそれぞれ電磁コイルを備えるとともに、これとは別途に、2本のスプリングがアーマチャを中立位置に保持べく互いに対向する方向に向かって各リテーナ311、312を付勢する構成を有している。これに対し、アーマチャの変位方向に沿って、一方の側からのみスプリングが弁若しくは弁と連動する部材を付勢するとともに他方の側にはアーマチャの変位動作を規制する規制部材を設け、さらに、スプリングの付勢力と対向する方向のみに向かってアーマチャに吸引力が作用するように電磁コイルを配設するよう各電磁駆動弁機構を構成してもよい。
【0144】
また、上記各実施の形態にかかる電磁駆動弁機構31(30)では、弁軸29bを2本の軸体に分離し、分離された両軸体間にラッシュアジャスタ機構を備えるものとした。これに対し、こうしたラッシュアジャスタ機構を設けることなく、単に弁軸を2つの軸体に分離し、分離された両軸体の端部が適宜互いに当接するのみの構成としてもよい。さらに、分離部位自体をとくに設けることなく、弁軸を一本の軸体として形成してもよい。
【0145】
また、上記各実施の形態で採用することとした内燃機関1は、吸気経路(吸気ポート)に燃料を噴射供給するいわゆる4サイクルガソリンエンジンであるが、各気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁32を具備したエンジンや、ディーゼルエンジン、さらには、2サイクルエンジンといった他の内燃機関にも本発明を適用することはできる。
【0146】
とくに、上記各実施の形態にかかる電磁駆動弁機構30,31のように、高い精度をもって吸気弁や排気弁の動作を制御することができる電磁駆動弁機構を搭載した内燃機関1では、スロットル弁39を設けずに、吸気弁や排気弁の開閉弁操作のみをもって当該内燃機関1を運転させるシステム構成(いわゆるスロットルレス・システム)を適用することとしてもよい。
【0147】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の発明によれば、例えば機関の運転状態が無負荷若しくは低負荷領域にある場合において、排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態にあっても、同排気弁の開弁動作を緻密に制御することができるようになる。
【0148】
また、第2の発明によれば、例えば機関の運転状態が無負荷若しくは低負荷領域にある場合において、吸気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態にあっても、同排気弁の開弁動作を緻密に制御することができるようになる。
【0149】
さらに、第1又は第2の発明によれば、閉弁位置から開弁位置に向かって動作する電磁駆動弁の弁体の離脱動作を抑制することで、前記閉弁位置から離脱した前記弁体がその離脱動作方向にかかる外力の影響により、過度な速度で動作する状態にあっても、開弁位置への到達直前における同弁体の動作の制御を容易にすることができるようになる。
【0150】
また、弁体による閉弁位置からの離脱動作に関し、当該離脱動作の開始時期における加速度、若しくは初速度の増大を抑制することとなるため、当該弁体の離脱後動作にかかる制御の緻密性が容易に向上する。
【0151】
また、吸気弁若しくは排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかる状態を好適に回避することとなる。
また、吸気弁若しくは排気弁の開弁動作に際してその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態を、実際に同吸排気弁を駆動することなく正確に予測し、各弁の開弁動作の最適化を図ることができるようになる。
【0152】
また、ガス流動の態様に基づき、吸気弁若しくは排気弁の開弁動作に際しその動作方向に向かって正のガス圧が外圧としてかかるような状態を正確に推定することができるようになる。
【0153】
また、ガス流動の大きさを決定づける信頼性の高いパラメータである要求トルクを適用することにより、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を正確に認識することができるようになる。
【0154】
また、ガス流動の大きさに関連が大きく且つ、本来、機関運転状態の最適化制御に適用されるパラメータである燃料を適用することにより、簡易かつ高い精度で、弁体による閉弁位置からの離脱動作を制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電磁駆動弁を有する内燃機関の第1の実施の形態を示す概略構成図。
【図2】同実施の形態に採用される排気側電磁駆動弁機構の内部構造を示す側断面図。
【図3】同実施の形態に採用されるECUの電気的構成を示すブロック図。
【図4】各電磁コイルに通電される指示電流、及びこれに対応する排気弁のリフト量の変化態様を示すタイムチャート。
【図5】同実施の形態にかかる開弁量制御手順を示すフローチャート。
【図6】燃焼室内の容積と、同燃焼室内の圧力との関係が一回の機関サイクル中でどのように変化するかを示すグラフ。
【図7】各電磁コイルに通電される指示電流、及びこれに対応する排気弁のリフト量の変化態様を示すタイムチャート。
【図8】アッパ電磁コイルに通電する電流値の大きさと、同コイルより発生する電磁力の大きさとの関係を示すグラフ。
【図9】アッパ電磁コイルに通電する指示電流の変化態様を示すタイムチャート。
【図10】燃焼室内の容積と、同燃焼室内の圧力との関係が一回の機関サイクル中でどのように変化するかを示すグラフ。
【図11】各電磁コイルに通電される指示電流、及びこれに対応する排気弁のリフト量の変化態様を示すタイムチャート。
【図12】燃焼室内の容積と、同燃焼室内の圧力との関係が一回の機関サイクル中でどのように変化するかを示すグラフ。
【図13】各電磁コイルに通電される指示電流、及びこれに対応する排気弁のリフト量の変化態様を示すタイムチャート。
【図14】燃焼室内の容積と、同燃焼室内の圧力との関係が一回の機関サイクル中でどのように変化するかを示すグラフ。
【図15】機関サイクルの周期、燃料噴射時間、点火時期、及び吸排気弁のリフト量の推移を同一時間軸上に示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 内燃機関
1a シリンダヘッド
1b シリンダブロック
1c 冷却水路
20 ECU
21 気筒
23 クランクシャフト
24 燃焼室
25 点火栓
25a イグナイタ
26 吸気ポート
27 排気ポート
28 吸気弁
29 排気弁
29a 弁体
29b 弁軸
29c ラッシュアジャスタ
29d キャップ
30 吸気側電磁駆動弁機構
30b 駆動回路
31 排気側電磁駆動弁機構
31b 駆動回路
32 燃料噴射弁
33 吸気枝管(吸気通路)
34 サージタンク
35 吸気管(吸気通路)
39 スロットル弁
40 スロットル用アクチュエータ
41 スロットルポジションセンサ
42 アクセルペダル
43 アクセルポジションセンサ
44 吸気圧センサ
45 排気枝管(排気通路)
46 排気浄化触媒
47 排気管(排気通路)
48 空燃比センサ
51a タイミングロータ
51b 電磁ピックアップ
52 水温センサ
200 弁座
201 バルブガイド
301 アッパコア
302 ロアコア
303 アッパ電磁コイル(ECUと併せて閉弁電磁力付与手段を構成する)
304 ロア電磁コイル(ECUと併せて開弁電磁力付与手段を構成する)
305 アーマチャ
306 アッパスプリング
307 ロアスプリング
311 アッパリテーナ
312 ロアリテーナ
400 双方向性バス
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 バックアップRAM
405 外部入力回路
406 外部出力回路

Claims (8)

  1. 電磁力とバネ力との協働により、開弁側の変位端である開弁位置から閉弁側の変位端である閉弁位置にかけて往復動する弁体を備えた電磁駆動弁を排気弁として有する内燃機関において、
    前記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向に電磁力を付与する閉弁電磁力付与手段と
    記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向に電磁力を付与する開弁電磁力付与手段と
    該機関の燃焼後、前記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向にかかるガス圧と、前記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向にかかるガス圧との差圧に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が前記開弁位置まで達する状態にあるときにはその旨を認識する認識手段と、を備え、
    前記閉弁電磁力付与手段は、前記旨が認識された場合に前記弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう動作を抑制することを特徴とする電磁駆動弁を有する内燃機関。
  2. 電磁力とバネ力との協働により、開弁側の変位端である開弁位置から閉弁側の変位端である閉弁位置にかけて往復動する弁体を備えた電磁駆動弁を吸気弁として有する内燃機関において、
    前記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向に電磁力を付与する閉弁電磁力付与手段と、
    記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向に電磁力を付与する開弁電磁力付与手段と、
    記弁体に対し、該弁体が前記開弁位置から前記閉弁位置に向かう方向にかかるガス圧と、前記弁体に対し、該弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう方向にかかるガス圧との差圧に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が前記開弁位置まで達する状態にあるときにはその旨を認識する認識手段と、を備え、
    前記閉弁電磁力付与手段は、前記旨が認識された場合に前記弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう動作を抑制することを特徴とする電磁駆動弁を有する内燃機関。
  3. 前記閉弁電磁力付与手段は、前記弁体が前記閉弁位置からの離脱動作を開始する時期に該弁体に電磁力を付与することにより、当該離脱動作を抑制することを特徴とする請求項1又は2記載の電磁駆動弁を有する内燃機関。
  4. 前記閉弁電磁力付与手段は、前記弁体が前記閉弁位置からの離脱動作を開始する時期を変更することにより、前記弁体が前記閉弁位置から前記開弁位置に向かう動作を抑制することを特徴とする請求項1又は2記載の電磁駆動弁を有する内燃機関。
  5. 前記認識手段は、予め求められる当該機関の運転状態に関するパラメータに基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を予測認識することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電磁駆動弁を有する内燃機関。
  6. 前記認識手段は、前回の機関サイクルにおいて当該機関の燃焼に供された混合ガスの充填量に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を認識することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電磁駆動弁を有する内燃機関。
  7. 当該機関の運転に要求される機関トルクを演算する要求機関トルク演算手段をさらに備え、
    前記認識手段は、前回の機関サイクルにおいて演算された機関トルクに基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が開弁位置に達する状態を認識することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の電磁駆動弁を有する内燃機関。
  8. 当該機関の燃焼に供される燃料を噴射供給する燃料噴射手段と、該噴射供給される燃料の供給量を認識する燃料供給量認識手段とを備え、
    前記認識手段は、前記認識される燃料の供給量に基づいて、前記開弁電磁力付与手段による電磁力が付与されない条件下でなお、前記閉弁位置から離脱した前記弁体が前記開弁位置に達する状態を認識することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の電磁駆動弁を有する内燃機関。
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