JP2001303996A - 電磁駆動式動弁機構を有する内燃機関 - Google Patents

電磁駆動式動弁機構を有する内燃機関

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JP2001303996A
JP2001303996A JP2000121589A JP2000121589A JP2001303996A JP 2001303996 A JP2001303996 A JP 2001303996A JP 2000121589 A JP2000121589 A JP 2000121589A JP 2000121589 A JP2000121589 A JP 2000121589A JP 2001303996 A JP2001303996 A JP 2001303996A
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internal combustion
combustion engine
electromagnetically driven
exhaust
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Keiji Yotsueda
啓二 四重田
Kiyoshi Nakanishi
清 中西
Yoshihiro Iwashita
義博 岩下
Kazuhiko Shiratani
和彦 白谷
Masaji Katsumata
正司 勝間田
Masato Ogiso
誠人 小木曽
Hideyuki Nishida
秀之 西田
Tomoumi Yamada
智海 山田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁駆動弁の作動制御により、バルブシート
に堆積するディポジットの除去力を向上させてバルブと
バルブシートとの間のシール性を高めて機関出力の向上
を期待できる電磁駆動弁を備えた内燃機関を提供するこ
と。 【解決手段】弁28を開又は閉方向に付勢するスプリン
グ314,316と、励磁電流を供給することでスプリ
ング付勢力に勝って弁28を閉じる電磁力及び開く電磁
力をそれぞれ発生する閉弁用電磁石301及び開弁用電
磁石302とを備える電磁駆動弁を有する内燃機関にお
いて、機関が特定運転条件下にある場合でありかつ弁2
8が開から閉に遷移する遷移期の終りに、弁28を開弁
用電磁石301の側から閉弁用電磁石302の側に引寄
せるに必要な励磁電流供給量を前記特定の運転条件下に
内燃機関がない場合に比して所定期間増大するECU2
0を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などに搭載
する内燃機関の動弁機構、詳しくは電磁力を利用して吸
気弁であるインテーク・バルブおよび排気弁であるエキ
ゾースト・バルブを開閉駆動する電磁駆動式動弁機構を
有する内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車などに搭載される内燃機関
では、インテーク・バルブおよびエキゾースト・バルブ
の開閉駆動に起因した機械損失の防止、吸入空気のポン
ピング損失の防止、正味熱効率の向上等を目的として、
電磁力を利用した電磁駆動機構を利用してインテーク・
バルブおよびエキゾースト・バルブを開閉駆動する電磁
駆動式動弁機構(以下特に断らない限り「電磁駆動弁」
という。)の開発が進められている。
【0003】電磁駆動弁は、磁性体からなりインテーク
・バルブやエキゾースト・バルブと連動して進退動する
可動片としてのアーマチャと、励磁電流を印加した時に
アーマチャを吸引しインテーク・バルブやエキゾースト
・バルブを閉じる閉弁用電磁石と、励磁電流を印加した
時にアーマチャを吸引しインテーク・バルブやエキゾー
スト・バルブを開く開弁用電磁石と、アーマチャを閉弁
方向に付勢する閉弁側戻しばねと、アーマチャを開弁方
向に付勢する開弁側戻しばねとを少なくとも構成部材に
備えたものが一般的である(例えば特開平9−2503
18号公報参照)。
【0004】このような電磁駆動弁では、閉弁用電磁石
と開弁用電磁石との間に適宜の空間(以下「空間部」)
を空けた状態で前記両磁石を直列配置し、前記空間部に
前記アーマチャを配置する。そして、電磁駆動弁に励磁
電流を印加しない時は、前記アーマチャが、閉弁側戻し
ばねの付勢力と開弁側戻しばねの付勢力とが釣り合う中
立状態で前記空間部の中間位置に保持される。
【0005】そして、励磁電流を印加することで、閉弁
用電磁石と開弁用電磁石との間には、アーマチャを閉弁
用電磁石側にまたは開弁用電磁石側に変位させる電磁力
が生じ、この電磁力と前記付勢力の影響で、アーマチャ
が閉弁用電磁石側にまたは開弁用電磁石側に向けて進退
し、以て前記のごとくアーマチャと連動するインテーク
・バルブやエキゾースト・バルブを開閉する。
【0006】換言すれば、アーマチャと連動するインテ
ーク・バルブやエキゾースト・バルブは、アーマチャが
前記閉弁用電磁石に吸着されることにより、弁座である
バルブ・シートに着座し、アーマチャが開弁用電磁石に
吸着されることにより、バルブ・シートから離座する。
【0007】したがって、両電磁石に対してアーマチャ
を交互に吸着させれば、インテーク・バルブやエキゾー
スト・バルブはともに開弁位置と閉弁位置との間で往復
運動する。
【0008】ところで、前記電磁石に供給される励磁電
流の電流値が一定に供給されるものとすると、各電磁石
とアーマチャとの間に作用する電磁力は、電磁石に対し
てアーマチャが近接するに連れて増大するので、アーマ
チャを前記空間部の中間位置から電磁石側に引き寄せる
には比較的大きな励磁電流を必要とするが、アーマチャ
が電磁石に近づくに連れて少ない励磁電流の供給で済
む。そして、アーマチャを電磁石に吸着した後は、より
小さな励磁電流の供給だけで電磁石に対するアーマチャ
の吸着状態を維持できる。
【0009】励磁電流の供給制御を行うのは内燃機関に
設けた電流制御回路である。この電流制御回路は、イン
テーク・バルブやエキゾースト・バルブを開弁位置と閉
弁位置との間で往復運動させる初期段階で大きな電流値
の励磁電流を供給し、開弁または閉弁するに連れて電流
値を徐々に小さくし、完全に開弁または閉弁した後はよ
り小さな電流値の励磁電流を供給する。かかる電流制御
回路は、電磁石を流れる励磁電流の供給を必要最小限で
制御できるので、省エネ性能として有効な技術といえ
る。
【0010】なお、インテーク・バルブやエキゾースト
・バルブを開弁用電磁石や閉弁用電磁石に引き寄せるに
必要な励磁電流のことを吸引電流といい、インテーク・
バルブやエキゾースト・バルブを吸引した後、開弁状態
や閉弁状態を維持するに必要な励磁電流のことを保持電
流という。
【0011】また、前記吸引電流を流すことにより弁が
少しでも開いた状態にある時を、弁が完全に開きまたは
閉じるまでの間の遷移期(以下単に「遷移期」)とい
い、前記保持電流を流すことにより弁が開状態または閉
状態にある時、すなわち完全に開弁または閉弁な状態に
ある時のことをこの明細書で開弁時または閉弁時という
ことにする。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】一方、内燃機関にあっ
ては、エンジン・オイルや機関燃料の酸化劣化等に起因
して生成される、いわゆるカーボン・ディポジットが機
関作動中にバルブ・シートに堆積してしまう場合があ
る。
【0013】そして、前記電流制御回路によって励磁電
流の流量制御がなされると、閉弁時にアーマチャに作用
する電磁力は、インテーク・バルブやエキゾースト・バ
ルブの閉じ状態を維持する前記保持電流による必要最小
限の力である。よって、かかる状況下では、バルブ・シ
ートに堆積している前記カーボン・ディポジットを閉弁
時に押しつぶすには不十分な場合が考えられ、それ故、
カーボン・ディポジットがバルブ・シートから排除され
ず、よってバルブとバルブ・シートとのシール性を悪化
してガス漏れを起こす虞がある。
【0014】そこで、前記公報では、閉弁時に前記保持
電流を所定期間だけ増大することで、カーボン・ディポ
ジットを押しつぶす技術を開示する。バルブとバルブ・
シートとの間のシール性を向上させることは、機関出力
の向上に直結する。したがって、これまでの技術よりも
さらに良好にカーボン・ディポジットを押しつぶす技術
の提供が望まれている。
【0015】本発明は上記実状に鑑みてされたものであ
り、電磁駆動式動弁機構の作動制御により、バルブ・シ
ートに堆積するカーボン・ディポジットの除去能力をこ
れまでよりも向上させてバルブとバルブ・シートとの間
のシール性を高め、延いては機関出力の向上を期待でき
る電磁駆動式動弁機構を有する内燃機関を提供すること
を技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、上記
課題を解決するために以下の手段を採用した。すなわ
ち、本発明に係る電磁駆動式動弁機構を有する内燃機関
は、励磁電流を供給することで弁を閉じる電磁力および
開く電磁力を発生する電磁手段を備える電磁駆動式動弁
機構を有する内燃機関において、前記内燃機関が特定の
運転条件下にある場合であってかつ前記弁が開状態から
閉状態に遷移する遷移期に、前記弁を開弁側から閉弁側
に引き寄せるに必要な励磁電流の供給量を内燃機関が前
記特定の運転条件下にない場合に比して所定期間増大す
る励磁電流量増大手段を備えることを特徴とする。
【0017】また、前記内燃機関が特定の運転条件下に
ある場合とは、前記弁とこの弁が着座する弁座との間の
シール性を阻害する物質が前記弁座に付着した場合であ
ってこの物質を前記弁座から排除する必要性が生じた場
合であることが好ましい。
【0018】さらに、内燃機関が特定の運転条件下にあ
る場合は、機関回転数が所定値以上であることが好まし
い。ここで、内燃機関全体の制御を行うとともに電磁駆
動機構の作動制御を行うECUについて簡単に述べ、併
せて本発明の構成要素について説明する。
【0019】ECUは、周知のごとくデジタルコンピュ
ータからなり、双方向性バスによって相互に接続され
た、中央処理制御装置CPU,読み出し専用メモリRO
M,ランダム・アクセス・メモリRAM,バックアップ
RAM,入力インタフェース回路,出力インタフェース
回路等から構成される。
【0020】入力インタフェース回路は、内燃機関や車
輌に取り付けられた各種センサと電気的に接続され、こ
れら各種センサの出力信号が入力インタフェース回路か
らECU内に入るとこれらのパラメータは一時的にラン
ダム・アクセス・メモリRAMに記憶される。
【0021】そして、これらのパラメータに基づいてC
PUが必要とする演算処理を行うが、この演算処理の実
行にあたり、CPUは双方向性バスを通じてランダム・
アクセス・メモリRAMに記憶しておいた前記パラメー
タを必要に応じて呼び出す。
【0022】前記出力インタフェース回路は、電磁駆動
弁の電磁駆動機構と電気的に接続されている。そして前
記各種センサの出力信号に基づいて行ったCPUの演算
結果に基づいて電磁駆動機構を作動し、その結果、弁の
開閉制御を行う。
【0023】「付勢手段」としてはスプリングを挙げら
れる。「弁とこの弁が着座する弁座との間のシール性を
阻害する物質」としては、エンジン・オイルや機関燃料
の酸化劣化等に起因して気筒内に生じるいわゆるカーボ
ン・ディポジットを挙げられる。
【0024】「この物質を前記弁座から排除する必要性
が生じた場合」について説明すると、前記物質がカーボ
ン・ディポジットの場合で述べれば、カーボン・ディポ
ジットは機関運転がなされることにより徐々に弁座に堆
積するものであり、その堆積量が微量な場合は、閉弁時
の弁と弁座との間のシール性に悪影響を与えることはな
いので、カーボン・ディポジットの排除は、閉弁ごとに
必ず行う必要はない。むしろ、省エネ化促進の観点で考
えれば、堆積によりカーボン・ディポジットがある程度
成長し、このまま放置しておくと前記シール性に悪影響
を与えることになると推定される状況になった場合での
みカーボン・ディポジットの排除を行うことが適切であ
る。よって、この場合を「弁座から(物質を)排除する
必要性が生じた場合」ということにする。なお、「弁と
この弁が着座する弁座との間のシール性を阻害する物
質」は主としてカーボン・ディポジットのことであるの
で、以降特に断らない限り、当該物質のことをカーボン
・ディポジットということにする。
【0025】カーボン・ディポジットは、これが特定条
件を満たした場合に堆積し易いという特性がある。よっ
て、当該特定条件を満たす機関運転が内燃機関の作動中
に何回行われたかを検知することで、カーボン・ディポ
ジットの堆積状態を推定できる。
【0026】例えば次のような推定手段が考えられる。
カーボン・ディポジットは、排気ガス温度が160℃位
の低温時で機関運転されている場合が一番堆積し易い。
よって、そのような温度の排気ガスを排出する機関運転
がどれだけなされたかを検知する。
【0027】具体的には、縦軸に負荷量をとり横軸に回
転数をとってなる負荷量−回転数マップを使い、このマ
ップ内に前記堆積し易い温度が実現される領域を予め実
験や演算によって定めておく。そして、この領域に入る
機関運転がこれまでにどれだけなされたかその時間を積
算する。そしてこの積算値をある所定値と比較し、その
値以上になった場合には、カーボン・ディポジットを排
除すべき状態に内燃機関が現在あると定める。このよう
にすれば、カーボン・ディポジットを排除すべき時期の
予測ができる。よって、前記負荷量−回転数マップのこ
とをディポジット堆積状態予測マップという。また、前
記比較の対象となる所定値は、積算値が当該所定値以上
になるとカーボン・ディポジットの堆積量が弁と弁座と
の間のシール性を阻害するほどに堆積したこと、または
前記シール性を阻害するほどにカーボン・ディポジット
がやがて堆積し得る状況下に現在内燃機関があることを
予測する数値といえる。
【0028】前記ディポジット堆積状態予測マップは前
記ROMに記憶しておく。そして、必要に応じてCPU
が呼び出す。「励磁電流量増大手段」は、内燃機関の制
御実行用の各種ルーチンを実現するために前記ROMに
記憶されている各種アプリケーション・プログラムのう
ちの一つである。また、励磁電流量増大手段に係るプロ
グラムを記憶するROMの属性はECUにあるので、E
CUを励磁電流量増大手段ということにする。
【0029】本発明電磁駆動式動弁機構を有する内燃機
関では、励磁電流量増大手段が、内燃機関が特定の運転
条件下にある場合であってかつ前記弁が開状態から閉状
態に遷移する遷移期に、前記弁を前記開弁用電磁石の側
から前記閉弁用電磁石の側に引き寄せるに必要な励磁電
流の供給量を内燃機関が前記特定の運転条件下にない場
合に比して所定期間増大するようになっているので、電
磁駆動式動弁機構の弁の運動エネルギはその所定期間増
大する。
【0030】運動エネルギは周知のごとく物体が運動す
ることによってその物体が有するエネルギをいい、その
大きさは運動している物体が静止するまでにする仕事量
で測る。物体の質量をmとし速度をvとするとその運動
エネルギは、(1/2)mv 2に等しくなる。運動して
いる物体が何かに衝突すると、その物体自身は速度を失
うとともに、衝突した相手や物体自身を壊したり動かし
たりする。
【0031】これを本発明の場合に換言すれば、物体は
弁(正確には弁およびこの弁に連動して動く部材)であ
り、衝突する相手は弁座に堆積しているカーボン・ディ
ポジットである。
【0032】そして、前記ディポジット堆積状態予測マ
ップからカーボン・ディポジットが堆積し易い温度が実
現される領域での内燃機関の運転がこれまでにどれだけ
なされたかの積算時間が前記のごとくある所定値以上に
なった場合において、その時に弁座に堆積しているカー
ボン・ディポジットを弁との衝突によって排除できるに
足る運動エネルギに達し得る速度vを実験や演算によっ
て予め定めておく。
【0033】そして、この速度vになるように前記励磁
電流の供給量を増大する。速度vが励磁電流の供給量に
応じて高まり、前記弁との衝突によってカーボン・ディ
ポジットを排除できるほどの速度になるとそれに応じて
運動エネルギも高まってカーボン・ディポジットをつぶ
す破壊力に至るので、カーボン・ディポジットを弁座か
ら排除できる。
【0034】ただし、カーボン・ディポジットをつぶす
破壊力が高まり過ぎたり、本来堆積して然るべきはずの
カーボン・ディポジットが何らかの原因によって堆積し
ていなかった場合に速度vが増大したままであると、弁
がカーボン・ディポジットのない弁座と直接衝突してし
まうことになり、その場合には弁や弁座が壊れることに
もなりかねない。このため、そのようなことがないよう
に速度vを落とし、代わりに衝突する回数を複数に分け
ることで、カーボン・ディポジットを除去することが望
ましい。
【0035】また、カーボン・ディポジットを衝突によ
って破壊する速度vは、弁がカーボン・ディポジットが
堆積している弁座にぶつかったまさにその時の弁の速度
をいい、これを着座速度と定義する。この着座速度如何
によって弁が有する運動エネルギが変化するのはこれま
での説明で明らかである。
【0036】このように考えることにより、励磁電流の
供給量を増大するための前記「所定期間」は、例えば次
のようにいうことができる。すなわち当該所定期間は、
カーボン・ディポジットを弁座から排除するに充分な期
間であるが、この期間とは、カーボン・ディポジットと
弁とを衝突させることでカーボン・ディポジットを弁座
から排除するに充分な、弁と弁座に堆積したカーボン・
ディポジットとの衝突回数が、終了するまでの期間とい
うことができる。
【0037】以上述べたことから明らかなように、本発
明電磁駆動式動弁機構を有する内燃機関では、弁をカー
ボン・ディポジットに衝突させることによりその時に弁
が有する運動エネルギを利用してカーボン・ディポジッ
トを破壊するので、弁座に堆積したカーボン・ディポジ
ットを効率的に排除できる。
【0038】また、弁座にカーボン・ディポジットが堆
積しているからといって、その堆積量が少ない場合でも
カーボン・ディポジットを弁座から排除するのではな
く、前記のごとくカーボン・ディポジットを弁座から排
除する必要性が生じた場合にのみ弁をカーボン・ディポ
ジットに衝突させるように機能するので、弁を作動させ
るに必要な励磁電流も少なくでき、よって省エネ性にも
優れている。
【0039】さらに、内燃機関の回転数が高い時や加速
要求のあった時等の場合は、燃焼音,吸気音,排気音等
の騒音を生じる。よって、これらの騒音発生時にカーボ
ン・ディポジットに弁が衝突するようにすれば、この時
に発生する衝突音は前記騒音によってかき消されてしま
う。よってカーボン・ディポジットを押しつぶすにあた
り発生する音は全く気にならなくなる。
【0040】したがって、機関運転の積算時間に係る所
定値とは別の所定値である、機関回転数に係る前記「所
定値」は、弁座に堆積しているカーボン・ディポジット
に弁が衝突する音が発生したとしても、この時の発生音
をかき消すことが可能なほどの燃焼音,吸気音,排気音
等の騒音を生ずるほどの高回転領域での機関回転数をい
うものとする。ただし、いわゆるスピードメータに示さ
れているレッドゾーン領域での回転数は考慮の対象とは
せず、通常の運転状態での高回転域、例えばほぼ400
0回転を対象とする。レッドゾーン領域での回転数にま
で高回転にして車輌走行することは現実性がないからで
ある。
【0041】さらに、カーボン・ディポジットが堆積し
ている弁座に弁が衝突する音が発生しても、この時に生
ずる音をかき消すことが可能なほどの燃焼音,吸気音,
排気音等の騒音を生ずる場合は、機関回転数が上昇時で
ある場合やアクセルを踏み込んでいる時も該当する。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電磁駆動式動
弁機構を有する内燃機関の具体的な実施態様について図
面に基づいて説明する。
【0043】図1は、本発明に係る電磁駆動式動弁機構
を有する内燃機関の概略構成を示す図である。図1に示
す内燃機関1は、複数(この実施の形態では4つ)の第
1の気筒21−1,第2の気筒21−2,第3の気筒2
1−3,第4の気筒21−4を備えるとともに、これら
各気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁であるインジ
ェクタ32を具備し、さらには点火順序が1−3−4−
2の気筒順に行われる直列4気筒4サイクルのガソリン
・エンジンである。また、図面では気筒は第1の気筒2
1−1のみ示すが、図1の手前側から向こう側にかけて
第1の気筒21−1,第2の気筒21−2,第3の気筒
21−3および第4の気筒21−4が配置されている。
【0044】前記内燃機関1は、4本の気筒21−1,
21−2,21−3,21−4(これらの気筒を総称し
て単に符号21を用いて呼称する場合がある。)および
機関冷却水通路であるウォータ・ジャケット2を有する
シリンダ・ブロック1bと、このシリンダ・ブロック1
bの上部に固定されたシリンダ・ヘッド1aと、シリン
ダ・ブロック1bの下部に固定されたオイルパン1cと
を備えている。なお、図示は省略するがシリンダ・ブロ
ック1bには、潤滑油の通路も設けられている。
【0045】シリンダ・ブロック1bには、機関出力軸
であるクランク・シャフト23が回転自在に支持され、
このクランク・シャフト23は、各気筒21内に摺動自
在に装填されたピストン22にコンロッド3を介して連
結してある。
【0046】前記ピストン22の上方には、ピストン2
2が上死点にある時に、気筒21の上部と、ピストン・
ヘッド22aに設けた凹部22bと、ピストン・ヘッド
22aとによって燃焼室が形成される(図面では、上死
点前にピストン22がある状態であるので、未だ燃焼室
となっていない空間部を符号24で示す。)。
【0047】前記燃焼室において吸入空気と機関燃料と
が混合されてなる混合気の圧縮・点火が行われる。ま
た、シリンダ・ヘッド1aには、燃焼室に臨むように点
火プラグ25が取り付けられ、この点火プラグ25に
は、該点火プラグ25に駆動電流を印加するイグナイタ
25aを接続してある。
【0048】シリンダ・ヘッド1aには、2つの吸入空
気ポート26,26(図面では一つのみ示す。)の各開
口端と2つの排気ポート27,27(図面では一つのみ
示す。)の各開口端とが燃焼室に臨むように形成されて
いるとともに、インジェクタ32を燃焼室に臨むように
取り付けてある。
【0049】前記吸入空気ポート26,26の各開口端
は、シリンダ・ヘッド1aに進退自在に支持された吸入
弁であるインテーク・バルブ28,28(図面では一つ
のみ示す)によって開閉される。
【0050】また、前記排気ポート27,27の各開口
端は、シリンダ・ヘッド1aに進退自在に支持された排
気弁であるエキゾースト・バルブ29,29(図面では
一つのみ示す)により開閉される。
【0051】そして、これらのインテーク・バルブ2
8,28およびエキゾースト・バルブ29,29は、電
磁力を利用して前記インテーク・バルブ28,28やエ
キゾースト・バルブ29,29を開閉駆動する次に述べ
る電磁駆動機構によって開閉される。
【0052】インテーク・バルブ28,28を開閉する
電磁駆動機構を符号30で示し以降、「吸入空気側電磁
駆動機構30」と記す。また、エキゾースト・バルブ2
9,29を開閉する電磁駆動機構を符号31で示し、以
降、「排気側電磁駆動機構31」と記す。
【0053】これら吸入空気側電磁駆動機構30および
排気側電磁駆動機構31がそれぞれもたらす電磁力を利
用して、内燃機関1のインテーク・バルブ28,28や
エキゾースト・バルブ29,29を含みそれらを開閉駆
動する動弁機構を電磁駆動式動弁機構といい、吸入空気
側電磁駆動式動弁機構および排気側電磁駆動式動弁機構
をそれぞれ符号30Aおよび31Aで示す。これら吸入
空気側電磁駆動式動弁機構30Aおよび排気側電磁駆動
式動弁機構31Aは気筒ごとに取り付けてある。
【0054】ここで、吸入空気側電磁駆動式動弁機構3
0A(以下「吸入空気側電磁駆動弁30A」という。)
と排気側電磁駆動式動弁機構31A(以下「排気側電磁
駆動弁31A」という。)の具体的な構成について詳述
するが、両機構30A,31Aは構成が同じである。こ
のため、一方の吸入空気側電磁駆動弁30Aについて図
1および図2を参照して説明し、他方の排気側電磁駆動
動弁31Aについての説明は吸入空気側電磁駆動式動弁
機構30Aの構成を参照されたい。
【0055】なお、吸入空気側電磁駆動弁30A中、イ
ンテーク・バルブ28の構成部材には例えば28a等、
符合28にアルファベットを付すことにし、これにより
排気側電磁駆動弁31Aのエキゾースト・バルブ29の
関連部材とは実質同じ部材でも用途先が異なるバルブ構
成部材であることを示す。
【0056】図1および図2からわかるように、内燃機
関1のシリンダ・ヘッド1aは、シリンダ・ブロック1
bの上面に直接固定されるロア・ヘッド10と、このロ
ア・ヘッド10の上部に設けたアッパ・ヘッド11とを
備える。
【0057】ロア・ヘッド10には、各気筒21に対応
した吸入空気ポート26,26が形成され、各吸入空気
ポート26の燃焼室側の開口端には、インテーク・バル
ブ28のバルブ・ヘッド28aが着座する弁座としての
バルブ・シート12を設けてある。そして機関作動中、
このバルブ・シート12にエンジン・オイルや機関燃料
の酸化劣化等に起因して生成されるいわゆるカーボン・
ディポジットが堆積してしまう。
【0058】カーボン・ディポジットは内燃機関が運転
されることにより徐々にバルブ・シート12やその近傍
に付着して徐々に堆積して行くものであり、その堆積量
が微量である場合は、バルブとバルブ・シートとの間の
シール性に悪影響を与えることはない。しかし堆積量が
ある程度増大すると、カーボン・ディポジットはインテ
ーク・バルブ28やエキゾースト・バルブ29とこれら
のバルブが着座するバルブ・シート12との間のシール
性を阻害する物質となってしまう。
【0059】省エネ化促進の観点から考慮すれば、堆積
によりカーボン・ディポジットがある程度成長し、この
まま放置しておくと前記シール性に悪影響を与えること
になると推定される状況になった場合でのみカーボン・
ディポジットの排除を行うことが適切である。よって、
この場合を「バルブ・シート12からカーボン・ディポ
ジットを排除する必要性が生じた場合」ということにす
る。また、この「必要性が生じた場合」が現出するの
は、機関運転がなされている間ずっとというものではな
いので、当該必要性が生じた場合のことを「内燃機関が
特定の運転条件下にある場合」ということにする。
【0060】そして、内燃機関1が特定の運転条件下に
ある場合は、機関回転数が所定値以上であることが好ま
しい。機関回転数の所定値については後述する。また、
バルブ・ヘッド28aのうちバルブ・シート12と密着
する部分であるバルブ・フェースは符合28eで示す。
カーボン・ディポジットの排除は、インテーク・バルブ
28やエキゾースト・バルブ29がその開状態から閉状
態に遷移する遷移期の終期にバルブ28や29を閉じ側
に引き寄せるに必要な励磁電流の供給量を、内燃機関1
が前記特定の運転条件下にない場合に比して所定期間増
大することで、バルブの一部であるバルブ・ヘッドが、
バルブ・シート12に堆積したカーボン・ディポジット
に衝突した際に生ずる運動エネルギを利用してバルブ・
フェース側でカーボン・ディポジットを押しつぶすこと
でなす。
【0061】ロア・ヘッド10には、各吸入空気ポート
26の内壁面からロア・ヘッド10の上面にかけて断面
円形の貫通孔を形成してある。そして、この貫通孔に
は、インテーク・バルブ28の弁軸28bを進退自在に
案内する筒状のバルブ・ガイド13を挿入してある。
【0062】アッパ・ヘッド11には、断面円形のコア
取付孔14を形成してある。このコア取付孔14は、前
記バルブ・ガイド13とともに同一軸心線P上に位置す
る。またコア取付孔14は、その上部に位置する径小部
14aと下部に位置する径大部14bとからなる。
【0063】前記径小部14aは、当該径小部14aの
両端開口にそれぞれ軟磁性体からなる環状のアッパ・コ
ア301およびロア・コア302を嵌挿してある。両コ
ア301,302は両者の間に所定の空間部303を空
けた状態で軸方向に直列配置してある。また、アッパ・
コア301の上端およびロア・コア302の下端には、
それぞれフランジ301aおよびフランジ302aを形
成してある。
【0064】アッパ・コア301は、図2の上方から、
またロア・コア302は図2の下方からそれぞれコア取
付孔14に嵌挿され、前記したフランジ301aとフラ
ンジ302aをコア取付孔14の周縁部に当接させるこ
とでアッパ・コア301とロア・コア302の径小部1
4aへのそれ以上のはめ込みを阻止する。また、このは
め込みにより前記空間部303が形成される。空間部3
03の軸方向における寸法は、主としてバルブ・ヘッド
28aのバルブ・リフト量によって定まる。
【0065】さらにアッパ・コア301の上方には筒状
のアッパ・キャップ305を取り付けてある。このアッ
パ・キャップ305はその下端にフランジ部305aが
形成され、このフランジ部305aをボルト304によ
ってアッパ・ヘッド11の上面で螺着することで、アッ
パ・キャップ305をアッパ・ヘッド11に固定する。
このときフランジ部305aを含むアッパ・キャップ3
05の下端が前記フランジ301aの上面周縁部に当接
し、この状態を保持することでアッパ・コア301がア
ッパ・ヘッド11に固定される。
【0066】一方、ロア・コア302は、そのフランジ
部302aを環状のロア・キャップ307を介してボル
ト306で螺着することでアッパ・ヘッド11に固定す
る。アッパ・コア301のうち前記空間部303側に位
置する面には円形の溝部を形成してあり、その中にアッ
パ・コイル308を装着してある。
【0067】他方、前記ロア・コア302のうち前記空
間部303側に位置する面にもアッパ・コア302と同
様に円形溝部を形成してあり、その中にロア・コイル3
09を装着してある。これらアッパ・コイル308とロ
ア・コイル309とは同一の軸線P上で対向する。そし
て、これらのコイル308,309に励磁電流を供給す
ることで電磁力を得る。よって、当該電流を励磁電流と
いう。また、励磁電流をコイル308や309に流すこ
とを励磁電流を電磁コイルに印加するという。
【0068】加えて、アッパ・コア301およびロア・
コア302の中心には、それぞれ貫通穴301bおよび
302bを形成してある。そして、前記空間部303の
中間には、軟磁性体からなる円盤状のアーマチャ311
を配置してある。
【0069】アーマチャ311はその中心から上下方向
に延びる円柱状のアーマチャ・シャフト310を有す
る。アーマチャ・シャフト310は、その上半分が前記
アッパ・コア301の貫通穴301bを通って前記アッ
パ・キャップ305内まで至る。
【0070】また、アーマチャ・シャフト310の下半
分はロア・コア302の貫通穴302bを通って前記径
大部14b内に至る。そして、アーマチャ・シャフト3
10を有するアーマチャ311がアッパ・コア301と
ロア・コア302とに対して摺動自在になるように、す
なわち図2の上下方向にアーマチャ311が自在に往復
運動できるように、前記各コア301および302の各
貫通穴301b,302bよりもアーマチャ・シャフト
310の径は幾分細い。
【0071】アッパ・キャップ305内に延出したアー
マチャ・シャフト310の先端部には円板状のアッパ・
リテーナ312を接合してある。またアッパ・キャップ
305の上部は開口部とされ、この開口部にはアジャス
ト・ボルト313を螺着してある。これらアッパ・リテ
ーナ312とアジャスト・ボルト313との間には、付
勢手段としてのアッパ・スプリング314を介在してあ
る。
【0072】なお、アジャスト・ボルト313とアッパ
・スプリング314との当接面には、前記アッパ・キャ
ップ305の内径と略同径の外径を有するスプリング・
シート315を介装してある。
【0073】一方、前記径大部14b内に延出したアー
マチャ・シャフト310の先端部は、インテーク・バル
ブ28のうちバルブ・ヘッド28aのある側と反対側に
位置する端部28dと当接し、これによりアーマチャ・
シャフト310とバルブ・ヘッド28aとが同一直線P
上に位置する。
【0074】また、前記端部28dの外周には、円盤状
のロア・リテーナ28cを接合してあり、ロア・リテー
ナ28cの下面とロア・ヘッド10の上面との間には付
勢手段としてのロア・スプリング316を介在してあ
る。
【0075】このように構成した吸気側電磁駆動機構3
0は、アッパ・コイル308およびロア・コイル309
に励磁電流を印加しないときは、アーマチャ・シャフト
310には、アッパ・スプリング314による付勢力
と、ロア・スプリング316による付勢力とが作用す
る。詳しくは、アーマチャ・シャフト310には、これ
をアッパ・スプリング314によって図2の下方側(す
なわち、インテーク・バルブ28を開く方向)に付勢す
る力と、ロア・スプリング316によって図2の上方側
(すなわち、インテーク・バルブ28を閉じる方向)に
付勢する力とが作用する。その結果、アーマチャ・シャ
フト310およびインテーク・バルブ28が互いに当接
した状態でかつ前記空間部の中間で弾性支持された状
態、いわゆる中立状態で保持されるようになる。
【0076】なお、構成部品の初期公差や経年変化等に
よってアーマチャ311の中立位置が前記した中間位置
からずれた場合は、アジャスト・ボルト313を調整し
てアーマチャ311が前記中間位置にくるようにする。
【0077】さらに前記アーマチャ・シャフト310お
よび前記弁軸28bの軸方向の長さは、前記アーマチャ
311が前記空間部303の中間位置にあるときに、前
記バルブ・ヘッド28aが全開位置と全閉位置との中間
位置(図2におけるバルブ・ヘッド28aが位置する箇
所)となるように設定してある。
【0078】一方、アッパ・コイル308に励磁電流を
印加したときは、アッパ・スプリング314の付勢力に
うち勝ってバルブ28を閉じる電磁力がアッパ・コア3
01で発生し、ロア・コイル309に励磁電流を印加し
たときは、ロア・スプリング316の付勢力にうち勝っ
てバルブ28を開く電磁力がロア・コア302で発生す
る。
【0079】前記した吸気側電磁駆動機構30では、ア
ッパ・コイル308に励磁電流を印加すると、アッパ・
コア301のアッパ・コイル308とアーマチャ311
との間には、アッパ・コア301側に向けてアーマチャ
311を変位させる電磁力が発生する。
【0080】また、ロア・コイル309に励磁電流を印
加すると、ロア・コア302のロア・コイル309とア
ーマチャ311との間には、ロア・コア302側に向け
てアーマチャ311を変位させる電磁力が発生する。
【0081】アッパ・コイル308とロア・コイル30
9とに交互に励磁電流を印加すると、印加された電磁コ
イルの側にアーマチャ311が移動し、以てインテーク
・バルブ28が開閉する。よって、アッパ・コア301
は閉弁用電磁石といえ、ロア・コア302は開弁用電磁
石といえる。
【0082】その際、アッパ・コイル308およびロア
・コイル309に対する励磁電流の印加タイミングと励
磁電流の大きさを変更することにより、インテーク・バ
ルブ28,28の開閉タイミングを制御することが可能
となる。
【0083】また、図示しない駆動回路による開閉制御
によって気筒ごとに2個ずつ設けたインテーク・バルブ
28,28が独立して開閉される。そして吸入空気側電
磁駆動弁30Aおよび排気側電磁駆動弁31Aは、気筒
中心線Lに対してわずかに傾斜した状態でシリンダ・ヘ
ッド1aに取り付けられ、両電磁駆動弁30Aおよび3
1Aが成すはさみ角φ(図1参照)が、換言すれば吸入
空気側電磁駆動弁30Aおよび排気側電磁駆動動弁31
Aの各軸心線Pが気筒中心線Lに対してなす傾斜角が、
吸・排気性能の要求を満足する角度となるように取り付
けてある。
【0084】次に図1の他の構成を説明する。内燃機関
1の各吸入空気ポート26は、シリンダ・ヘッド1aに
取り付けた吸入分岐管であるインテーク・マニホールド
(以下「イン・マニ」という。)33の各枝管と連通し
ている。また、イン・マニ33は、吸入空気の脈動を平
滑化するためのサージ・タンク34に接続してある。サ
ージ・タンク34には、吸入空気管35が接続してあ
る。吸入空気管35は、吸入空気中の塵や埃等を取り除
くためのエア・クリーナ・ボックス36と接続してあ
る。
【0085】また、吸入空気管35には、その中を流れ
る吸入空気量を電圧値として検出し、この電圧値に対応
した電気信号を出力するエア・フロー・メータ44を取
り付けてある。吸入空気管35のうちエア・フロー・メ
ータ44よりも下流の部位には、吸入空気管35を流れ
る吸入空気の量を制御するスロットル・バルブ39を設
けてある。
【0086】スロットル・バルブ39は、ステッパ・モ
ータ等からなり印加電流の大きさに応じてスロットル・
バルブ39を絞りスロットル・バルブ39の開度に応じ
て吸入空気管35の開口面積を増減調整するスロットル
用アクチュエータ40と、スロットル・バルブ39の開
度を電圧値として検出し、この電圧値に対応した電気信
号を出力するスロットル・ポジション・センサ41と、
アクセル・ペダル42の踏み込み量に対応した電気信号
を出力するアクセル・ポジション・センサ43と機械的
または電気的に組み合わせてある。
【0087】また、サージ・タンク34は、その内部圧
力に対応した電気信号を出力するバキューム・センサ5
0を有する。一方、前記各排気ポート27は、シリンダ
・ヘッド1aに取り付けた排気集合管であるエキゾース
ト・マニホールド(以下「エキ・マニ」という。)45
の各枝管と連通し、エキ・マニ45は排気管47とも連
通している。また、排気管47は、排気浄化用触媒を内
部に充填した触媒コンバータ46が途中に取付けられ、
触媒コンバータ46よりも下流には図示しないマフラー
を有する。
【0088】エキ・マニ45は、触媒コンバータ46の
排気浄化用触媒に流入する排気の空燃比(以下「排気空
燃比」という。)に対応した電気信号を出力する空燃比
センサ48を有する。
【0089】触媒コンバータ46の排気浄化用触媒は、
排気空燃比が例えば理論空燃比に近い所定の空燃比のと
きに排気中の炭化水素(以下「HC」という。)と一酸
化炭素(以下「CO」という。)と窒素酸化物(以下
「NOx」という。)とを浄化する三元触媒や、排気空
燃比がリーン空燃比であるときは排気中に含まれるNO
xを吸蔵し排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比
のときにそれまで吸蔵していたNOxを放出しこの放出
されたNOxを還元して排気を浄化する吸蔵還元型NO
x触媒や、排気空燃比がリーン空燃比でありかつ所定の
還元剤が存在するときに排気中のNOxを還元して排気
を浄化する選択還元型NOx触媒から形成するが、上記
各種触媒を適宜組み合わせて形成してもよい。
【0090】このような排気浄化用触媒を包蔵する触媒
コンバータ46には、該排気浄化用触媒の床温に対応し
た電気信号を出力する触媒温度センサ49を取り付けて
ある。
【0091】また、内燃機関1は、クランク・シャフト
23の端部に取り付けたタイミング・ロータ51aとそ
の近傍に設けた電磁ピック・アップ51bとからなるク
ランク・ポジション・センサ51を有する。
【0092】さらに、内燃機関1は、ウォータ・ジャケ
ット2を流れる冷却水の温度を検出する水温センサ52
をシリンダ・ブロック1bに取り付けてある。このよう
な構成の内燃機関1は、ECU20によってその運転状
態を制御する。
【0093】ECU20は、スロットル・ポジション・
センサ41,アクセル・ポジション・センサ43,エア
・フロー・メータ44,空燃比センサ48,触媒温度セ
ンサ49,バキューム・センサ50,クランク・ポジシ
ョン・センサ51,水温センサ52等の各種センサと電
気的に接続してあり、各センサの出力信号がECU20
に入力される。
【0094】また、ECU20は、イグナイタ25a,
吸入空気側電磁駆動機構30,排気側電磁駆動機構3
1,インジェクタ32などとも電気的に接続され、前記
各種センサからの出力信号に基づいてイグナイタ25
a,吸入空気側電磁駆動機構30,排気側電磁駆動機構
31,インジェクタ32を制御する。
【0095】加えて、ECU20は、図3に示すよう
に、双方向性バス400を介して相互に接続された、C
PU401と、ROM402と、RAM403と、バッ
クアップRAM404と、入力ポート405と、出力ポ
ート406と、入力ポート405に接続してあるA/D
・コンバータ(以下「A/D」という。)407とを有
する。
【0096】スロットル・ポジション・センサ41,ア
クセル・ポジション・センサ43,エア・フロー・メー
タ44,空燃比センサ48,触媒温度センサ49,バキ
ューム・センサ50,水温センサ52のようにアナログ
信号を出すセンサが出力する信号は、A/D407を介
して入力ポート405に入力され、入力ポート405に
入力された信号は、CPU401やRAM403に送信
される。
【0097】また、入力ポート405には、例えばクラ
ンク・ポジション・センサ51のようなデジタル信号形
式の信号を出力するセンサの出力信号がそのまま入力さ
れ、その場合、前記と同様に入力ポート405に入力さ
れた信号はCPU401やRAM403に送信される。
【0098】出力ポート406は、CPU401が出力
した制御信号をイグナイタ25a,吸入空気側電磁駆動
機構30,排気側電磁駆動機構31,インジェクタ3
2,スロットル用アクチュエータ40に送信する。
【0099】ROM402は、各種ルーチンを実現する
ためのアプリケーション・プログラムを記憶している。
前記ルーチンとしては、例えば、燃料噴射量(TAU)
を決定するための燃料噴射量制御ルーチン,燃料噴射時
期を決定するための燃料噴射時期制御ルーチン,インテ
ーク・バルブ28,28の開閉弁時期を決定するための
インテーク・バルブ開閉時期制御ルーチン,エキゾース
ト・バルブ29,29の開閉弁時期を決定するためのエ
キゾースト・バルブ開閉弁時期制御ルーチン,各気筒2
1の点火プラグ25の点火時期を決定するための点火時
期制御ルーチン,スロットル・バルブ39の開度(T
A)を決定するためのスロットル開度制御ルーチン,吸
入空気側電磁駆動機構30および排気側電磁駆動機構3
1に励磁電流を印加するタイミングを変化させてトルク
制御を実行するためのトルク制御ルーチン,必要に応じ
てインテーク・バルブ28やエキゾースト・バルブ29
を開弁用電磁石のロア・コア302および閉弁用電磁石
のアッパ・コア301うち一方の電磁石から他方の電磁
石に引き寄せるに必要な励磁電流である吸引電流を増大
する吸引電流増大制御ルーチン等を挙げられる。
【0100】また、ROM402は、前記した各種ルー
チン実行用のアプリケーションプログラムに加え,各種
の制御マップを記憶する。例えば、機関運転状態と燃料
噴射量との関係を示す燃料噴射量制御マップ,機関運転
状態と燃料噴射時期との関係を示す燃料噴射時期制御マ
ップ,機関運転状態とインテーク・バルブ28の開閉時
期との関係を示すインテーク・バルブ開閉時期制御マッ
プ,機関運転状態とエキゾースト・バルブ29の開閉時
期との関係を示すエキゾースト・バルブ開閉時期制御マ
ップ,機関運転状態と各点火プラグ25の点火時期との
関係を示す点火時期制御マップ,機関運転状態とスロッ
トル・バルブ39の開度との関係を示すスロットル開度
制御マップ,カーボン・ディポジットの堆積状態を予測
する本発明に係るディポジット堆積状態予測マップ等で
ある。
【0101】RAM403は、各種センサの出力信号や
CPU401の演算結果等を記憶する。RAM403に
記憶された各種のデータは、クランク・ポジション・セ
ンサ51が信号を出力するたびに最新のデータに書き換
えられる。
【0102】バックアップRAM405は、内燃機関1
の運転停止後もデータを保持する不揮発性のメモリであ
り、各種制御に係る学習値等を記憶する。CPU401
は、ROM402に記憶されたアプリケーション・プロ
グラムに従って動作し、燃料噴射制御,インテーク・バ
ルブ開閉制御,エキゾースト・バルブ開閉制御,点火制
御,励磁電流量制御等を実行する。
【0103】次に、本実施形態の電磁駆動式動弁機構を
有する内燃機関の作用効果について述べる。従来技術の
項で述べた公報開示の技術は、閉弁時に前記保持電流を
所定期間だけ増大することで、カーボン・ディポジット
を押しつぶすというものであった。
【0104】これに対し、本実施形態の電磁駆動式動弁
機構を有する内燃機関は、バルブ・シート12にカーボ
ン・ディポジットが堆積し、バルブ・シート12からカ
ーボン・ディポジットを排除する必要性が生じた場合で
あってかつ前記インテーク・バルブ28やエキゾースト
・バルブ29が開状態から閉状態に遷移する遷移期の終
期に大きな励磁電流を流し、これによりバルブの運動エ
ネルギを高めてバルブ・シートに堆積したカーボン・デ
ィポジットにバルブを衝突させることで、バルブ・シー
ト12に堆積したカーボン・ディポジットを除去すると
いうものである。
【0105】ここで、バルブ・シート12からカーボン
・ディポジットを排除する必要性が生じた場合とは、堆
積によりカーボン・ディポジットがある程度成長し、こ
のまま放置しておくとバルブとバルブ・シートとの間の
前記シール性に悪影響を与えることになると推定される
状況になった場合である。
【0106】そしてそのような状況下においてバルブ2
8,29が開状態から閉状態に遷移する遷移期の終期に
前記バルブ28,29を閉弁用電磁石であるアッパ・コ
ア301の側から開弁用電磁石であるロア・コア302
の側に引き寄せるに必要な励磁電流の供給量を所定期間
増大する。ここで、「バルブ28,29が開状態から閉
状態に遷移する遷移期の終期」とは、遷移期のうちバル
ブ28,29が完全に閉じる状態になる手前の期間であ
り、この期間をどれ位とするかは電磁駆動弁の種類や内
燃機関の種類によって異なる。
【0107】なお、カーボン・ディポジットの堆積量が
微量であり前記シール性に悪影響を与えることがない場
合は、省エネ化促進の観点から考慮して電力の無駄であ
るので前記遷移期の終期に励磁電流の供給量を増大する
ことはしない。
【0108】次に、前記終期にどの程度励磁電流を増大
するのかおよび励磁電流が増大される所定期間がどれだ
けかについて述べる。まず、どれだけ増大するかについ
てであるが、前記ディポジット堆積状態予測マップを示
す図4を参照して述べる。
【0109】カーボン・ディポジットは、排気ガス温度
が160℃位の低温時で機関運転されている場合が一番
堆積し易い。よって、そのような温度の排気ガスを排出
する機関運転がどれだけなされたかを検知するためのマ
ップが、このディポジット堆積状態予測マップである。
【0110】ディポジット堆積状態予測マップは、縦軸
に負荷量をとり横軸に回転数をとってなる負荷量−回転
数グラフであり、このマップ内に前記堆積し易い温度が
実現される領域Aを予め実験や演算によって定めてお
く。そして、この領域Aに入る機関運転がこれまでにど
れだけなされたかその時間をCPUが積算する。そして
この積算値をある特定の所定値と比較し、その値以上に
なった場合には、カーボン・ディポジットを排除すべき
状態に、現在、内燃機関があるとする。よって前記所定
値は、カーボン・ディポジットを排除するか否かを定め
る限界値のことであって、内燃機関の種類や車種によっ
て異なり、予め実験等によって求めらた値とする。換言
すれば、前記所定値は、積算値が当該所定値以上になる
とカーボン・ディポジットの堆積量がバルブ28,29
とバルブ・シート12との間のシール性を阻害するほど
に堆積したこと、または前記シール性をやがて阻害する
ほどにカーボン・ディポジットが堆積し得る状況下に現
在内燃機関1があることを予測する数値といえる。
【0111】このディポジット堆積状態予測マップは前
記ROMに記憶してあり、必要に応じてCPUが呼び出
す。そして、積算時間が前記所定値以上になった場合に
おいて、その時にバルブ・シート12に堆積しているカ
ーボン・ディポジットをバルブ28,29との衝突によ
って排除できるに足るバルブ28,29の速度v(以下
「バルブ速度v」という。)を実験や演算によって予め
定めておき、このバルブ速度vになるように前記励磁電
流の供給量を増大する。前記バルブ速度vが高いほどバ
ルブ28,29の運動エネルギは高まり、バルブ28,
29がバルブ・シート12に堆積しているカーボン・デ
ィポジットに衝突した時にカーボン・ディポジットをつ
ぶす破壊力も高まるので、カーボン・ディポジットをバ
ルブ・シート12から排除できる。
【0112】ただし、カーボン・ディポジットをつぶす
破壊力が高まり過ぎたり、本来堆積して然るべきはずの
カーボン・ディポジットが何らかの原因によって堆積し
ていなかった場合にバルブ速度vが増大したままである
と、バルブ28,29がカーボン・ディポジットのない
バルブ・シート12と直接衝突してしまうことになり、
その場合にはバルブ28,29やバルブ・シート12が
壊れることにもなりかねない。このため、そのようなこ
とがないようにバルブ速度vを落とし、代わりに衝突回
数を複数に分けることで、カーボン・ディポジットを除
去することが望ましい。この衝突回数をどれだけかにす
るかは、カーボン・ディポジットの堆積量によって異な
り、実験または演算によって予め決めておくが5,6回
程度の衝突によってカーボン・ディポジットを押しつぶ
す場合が好適であることが本発明者の実験によってわか
っている。
【0113】また、当該バルブ速度vは、バルブ28,
29がカーボン・ディポジットが堆積しているバルブ・
シート12にぶつかったまさにその時の弁の速度をい
い、この時のバルブ速度vを着座速度と定義する。この
着座速度の設定如何によってバルブ28,29が有する
運動エネルギが変化する。
【0114】なお、運動エネルギは周知のごとく物体が
運動することによってその物体が有するエネルギをい
い、その大きさは運動している物体が静止するまでにす
る仕事量で測る。物体の質量をmとし速度をvとすると
その運動エネルギは、(1/2)mv2に等しくなる。
【0115】運動している物体が何かに衝突すると、そ
の物体自身は速度を失うとともに、衝突した相手や物体
自身を壊したり動かしたりする。これを本実施形態の場
合で述べれば、物体はバルブ28,29(正確にはバル
ブ28,29およびバルブ28,29に連動して動く他
の構成部材)であり、衝突する相手はバルブ・シート1
2に堆積しているカーボン・ディポジットである。
【0116】このように考えることで、前記「所定期
間」を例えば次のようにいうことができる。すなわち所
定期間は、カーボン・ディポジットをバルブ・シート1
2から排除するに充分な期間であるが、この期間とは、
カーボン・ディポジットとバルブとを衝突させることで
カーボン・ディポジットをバルブ・シート12から排除
するに充分な、バルブとバルブ・シート12に堆積した
カーボン・ディポジットとの衝突回数が終了するまでの
期間ということができる。
【0117】本実施形態に係る電磁駆動式動弁機構を有
する内燃機関1では、バルブ28,29をカーボン・デ
ィポジットに衝突させることによりその時にバルブ2
8,29が有する運動エネルギを利用してカーボン・デ
ィポジットを破壊するので、バルブ・シート12に堆積
したカーボン・ディポジットを効率的に排除できる。
【0118】また、バルブ・シート12にカーボン・デ
ィポジットが堆積しているからといって、その堆積量が
少ない場合でもカーボン・ディポジットをバルブ・シー
ト12から排除するのではなく、カーボン・ディポジッ
トをバルブ・シート12から排除する前記必要性が生じ
た場合でのみバルブ28,29がカーボン・ディポジッ
トに衝突させるので、バルブ28,29を作動させるに
必要な励磁電流も少なくでき、よって省エネ性にも優れ
ているといえる。
【0119】さらに、内燃機関1の回転数が高い時や加
速要求のあった時等の場合は、燃焼音,吸気音,排気音
等の騒音が生じたり、ドライバが内燃機関の作動変化を
予想したりできる状態である。よって、これらの騒音発
生時にカーボン・ディポジットにバルブ28,29が衝
突するようにすれば、この時に発生する衝突音は前記騒
音によってかき消される。また当該運転状態でこのよう
な衝突音が発生してもドライバにとって違和感なく受け
入れられる発生音となる。よってバルブ28,29との
衝突によってカーボン・ディポジットを押しつぶす際に
発生する音は全く気にならない。
【0120】したがって、機関回転数に係る前記「所定
値」は、バルブ・シート12に堆積しているカーボン・
ディポジットにバルブ28,29が衝突する音が発生し
たとしても、この時の発生音をかき消すことが可能なほ
どの燃焼音,吸気音,排気音等の騒音を生ずるほどの機
関回転数のことをいうものとする。ただし、通常運転で
は入り得ない、いわゆるスピードメータに示されている
レッドゾーン領域での回転数は現実性に欠けるので考慮
の対象とはしない。よって、当該機関回転数は例えば4
000回転くらいを対象とする。
【0121】さらに、カーボン・ディポジットが堆積し
ているバルブ・シート12にバルブ28,29が衝突す
る音が発生したとしてもこの時に発生する音をかき消す
ことが可能なほどの燃焼音,吸気音,排気音等の騒音を
生ぜしめる場合とは、機関回転数が上昇時にある場合や
アクセルを踏み込んでいる場合も該当する。
【0122】次に前記した吸引電流増大制御ルーチンを
実現するためのプログラムについて図5のフローチャー
トを用いて説明する。このプログラムは、以下に述べる
ステップ101〜ステップ103からなる。また、この
プログラムは、ECU11のROMに記憶してあり必要
に応じてCPUが呼び出す。前記各ステップにおける処
理は、すべてECU11のCPUによる。なお、記号S
を用い、例えばステップ101であればS101と省略
して示す。
【0123】S101では、エンジン回転数が前記所定
値以上あるかどうかを判定し、肯定判定すればS102
に進み、否定判定した場合は、S103に進む。S10
2では、アッパー・コイルに流す励磁電流のうち吸引電
流を遷移期の終期に前記所定期間増大する。よってS1
02のことを励磁電流量増大手段または吸引電流増大手
段という。
【0124】なお、このS102を含むプログラムはE
CU20のROMに記憶され、ROMの属性はECU2
0にあるので、吸引電流増大制御を行うこのプログラム
の属するECU20のことを励磁電流量増大手段という
ことにする。
【0125】S103では、アクセルの踏み込み量が所
定値以上かどうかを判定し、肯定判定すればS103に
進み否定判定すればこのルーチンを終了する。ここで、
エンジン回転数に係る所定値およびアクセルの踏み込み
量に係る所定値とは、前記のごとく、バルブ・シート1
2に堆積しているカーボン・ディポジットにインテーク
・バルブ28やエキゾースト・バルブ29が衝突する音
が発生したとしても、この時の発生音をかき消すことが
可能なほどの燃焼音,吸気音,排気音等の騒音を生ずる
ほどの機関回転数やアクセルの踏み込み量のことであ
る。
【0126】次にアッパ・コイル308に励磁電流を流
した場合の運動エネルギについて図6を参照して説明す
る。図6は、上から順に、縦軸に、バルブ速度の変化,
バルブ・リフト量の変化,アッパ・コイル308に流れ
る励磁電流の変化およびロア・コイル309に流れる励
磁電流の変化をとり、それぞれ横軸に時間をとってなる
グラフである。
【0127】よって、バルブ速度vの変化を示すグラフ
をバルブ速度グラフといい,バルブ・リフト量の変化を
示すグラフをリフト量変化グラフといい,アッパ・コイ
ル308に流れる励磁電流の変化を示すグラフをアッパ
・コイル励磁電流変化グラフといい、ロア・コア302
に流れる励磁電流の変化を示すグラフをロア・コイル励
磁電流変化グラフということにする。
【0128】最初にリフト量変化グラフについて説明す
る。このグラフのうちA〜Eで示す領域は、それぞれバ
ルブの開閉状態を示しており、それぞれ次の状態にバル
ブ28,29があることを示す。
【0129】A領域:バルブ28,29が完全に閉じた
状態を示す領域 B領域:バルブ28,29が完全に閉じた状態から完全
に開くまでの遷移期を示す領域 C領域:バルブ28,29が完全に開いた状態を示す領
域 D領域:バルブ28,29が完全に開いた状態から完全
に閉じるまでの遷移期を示す領域 E領域:バルブ28,29が完全に閉じた状態を示す領
域 そしてこれらの領域によって、励磁電流の供給量(励磁
電流の種類)やバルブ速度vが異なる。なお、A領域と
E領域とは実質同じであるので、E領域のあとは再び遷
移期(具体的にはB領域に相当)に移行する。
【0130】前記A領域ではバルブ28,29が完全に
閉じた状態、すなわちアッパ・コイル308に吸着され
た状態にある。よって、その閉状態を維持するためにア
ッパ・コイル308には励磁電流のなかでも電流量の少
ない保持電流を流していることがわかる。また、一方の
ロア・コイル309にはバルブ28,29がロア・コイ
ル309から離れているので励磁電流が全く流されてい
ないことがわかる。さらにこのA領域ではバルブ28,
29が動いていないので、バルブ速度グラフよりバルブ
速度vは0であることがわかる。
【0131】そして、A領域の終わりの直後、換言すれ
ば遷移期Bの最初の領域では逆起電力により励磁電流が
マイナス方向に流されている、すなわち逆電流が流され
ていることがわかる。これは、B領域はバルブ28,2
9が完全に閉じた状態から完全に開くまでの遷移期にあ
ることを示す領域であるから、A領域でアッパ・コイル
308に流れていた保持電流を切らなければバルブ2
8,29を閉じる方向に作動させることができないから
である。
【0132】その後はB領域の中央部分まで、換言すれ
ば空間部303の中間までをアッパ・スプリング314
の付勢力によってバルブ28,29を変位させ、その後
はバルブ28,29が完全に開く状態になるまでロア・
コイル309に吸引電流を流す。このときからバルブ2
8,29には、ロア・スプリング316が抵抗力として
作用するようになる。よって、バルブ速度グラフのうち
B領域に係る速度は、B領域の中央で速度が最大になり
その両側、すなわちB領域の前半領域では徐々に速度が
速くなり同じく後半領域では徐々に速度が遅くなり、い
わゆる下に開いたほぼ放物線状の速度変移をなす。
【0133】そして、前記後半領域の終端でアーマチャ
311がロア・コイル309にバルブ速度vbで衝突
し、一気にバルブ速度が0になることを示す。そして、
バルブ速度が0になった時点以降、次にバルブ28,2
9が作動してアッパ・コイル308に向けて移動するま
で間のC領域は、バルブが完全に開いた状態を示す領域
である。よって、バルブが完全に閉じた状態を示すA領
域と同様、このC領域ではロア・コイル309に保持電
流を流してバルブ28,29の完全な開状態を保持す
る。
【0134】次にC領域の終わりの直後、換言すれば遷
移期Dの最初の領域では逆起電力により励磁電流がマイ
ナス方向に流されている。すなわち逆電流が流されてい
ることがわかる。これは、D領域はバルブ28,29が
完全に開いた状態から完全に閉じるまでの遷移期にある
ことを示す領域であるから、C領域でロア・コイル30
9に流れていた保持電流を切らなければバルブ28,2
9を閉じ方向に作動させることができないからである。
【0135】その後はD領域の中央部分まで、換言すれ
ば空間部303の中間までをロア・スプリング316の
付勢力によってバルブ28,29を変位させ、その後は
バルブ28,29が完全に閉じる状態になるまでアッパ
・コイル309に吸引電流を流す。このときからバルブ
28,29には、アッパ・スプリング314が抵抗力と
して作用するようになる。よって、バルブ速度グラフの
うちD領域に係る速度は、D領域の中央で速度が最大に
なりその両側、すなわちD領域の前半領域では徐々に速
度が速くなり同じく後半領域では徐々に速度が遅くな
り、いわゆる上に開いたほぼ放物線状の速度変移をな
す。なお、D領域とB領域とでは励磁電流の流れの向き
が異なるので、バルブ速度グラフのうち、前記D領域と
B領域とに該当する領域でのグラフ線の形状がそれぞれ
下に開いたほぼ放物線状と上に開いたほぼ放物線状にな
る。なお、外力が作用しなければ実際はsin曲線とな
る。
【0136】そして、前記D領域の後半領域の終端でア
ーマチャ311がアッパ・コイル308にバルブ速度v
dで衝突し、一気にバルブ速度が0になることを示す。
そして、バルブ速度が0になった時点以降のE領域は、
バルブが完全に閉じた状態を示す領域であって実質A領
域と同じである。よって、このE領域でも保持電流を流
してバルブ28,29の完全な閉状態を保持する。
【0137】また、バルブ速度グラフにおいてD領域に
係る速度部位のうち着座速度と示す箇所は、バルブ2
8,29がバルブ・シート12に衝突した時点のバルブ
28,29の速度vdを示す。これらの衝突の際にバル
ブ28,29がもつ運動エネルギは(1/2)mvd 2
あることを示す。
【0138】次にアッパ・コイル励磁電流変化グラフお
よびロア・コイル励磁電流変化グラフのうち斜線の引い
てある箇所は、当該箇所で励磁電流が流れていることを
示し、斜線部分のうち突出した部分では遷移期の終期で
吸引電流が流されていることを示す。また、突出した部
分以外の部分では、保持電流が流れていることを示す。
【0139】また、アッパ・コイル励磁電流変化グラフ
の前記突出した部分は、ロア・コイル309に流す吸引
電流に比べて左右斜め線の引いてある分だけ吸引電流を
増大させてあることを示す。この増大分に比例してバル
ブ28,29がバルブ・シート12に堆積したカーボン
・ディポジットに衝突した際に運動エネルギが増大しこ
の増大分を含む運動エネルギによってカーボン・ディポ
ジットを押しつぶす。
【0140】このように、バルブ28,29が閉状態か
ら開状態に遷移する遷移期に比してバルブ28,29が
開状態から閉状態に遷移する遷移期では吸引電流を増大
するので、両者の関係から吸引電流が間欠的に増大され
るということができる。
【0141】一方、一般的に内燃機関では、居眠り防止
制御手段がついている。具体的には車輌が駐車中、アイ
ドル状態でドライバが例えば居眠り状態にあり、何らか
の拍子にアクセルペダルに足が載かってだんだん踏み込
まれてしまった場合を想定すると、その場合、機関回転
数が過回転になってそのままでは壊れてしまう。このた
めその時点で燃料を自動的に止めるという制御が行われ
るようになっている。
【0142】それに代わるものとして本実施形態では、
エンジンが高回転になったときにバルブ28,29がバ
ルブ・シート12に衝突したときに生ずる音(以下「着
座音」という。)を大きくすることで、ドライバを起こ
すということにも適用できる。着座音を大きくしてドラ
イバの居眠りを防止するためには、運動エネルギの算式
(1/2)mv2のvを大きくすることが考えられる。
【0143】しかし、着座音に限らずアーマチャ311
がアッパ・コア301およびロア・コア302に当接す
る際の音で騒音を発生するようにしてもよい。この場合
は、アッパ・コイル308だけでなくロア・コイル30
9への吸引電流の量も大きくする。このようにすれば、
アーマチャ311を動かす運動エネルギが往復で高くな
るので、アーマチャ311がアッパ・コア301および
ロア・コイル309に当接する際の両方で騒音が発生す
るようになる。その結果、バルブ28,29がバルブ・
シート12に衝突する際に発生する着座音の場合に比し
て騒音の発生量が2倍になってけたたましい音が発生す
るようになる。このため、居眠り状態にあるドライバを
起こすには好適となる。
【0144】
【発明の効果】本発明に係る電磁駆動式動弁機構を有す
る内燃機関では、電磁駆動式動弁機構の作動制御により
バルブ・シートに堆積するカーボン・ディポジットの除
去能力をこれまでよりも向上させることにより、バルブ
とバルブ・シートとのシール性を高め、延いては機関出
力の向上を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる電磁駆動式動弁機構を有する
内燃機関の概略構成を示す図
【図2】 電磁駆動機構の構成を示す図
【図3】 ECUの内部構成を示すブロック図
【図4】 ディポジット堆積状態予測マップを示す図
【図5】 吸引電流増大制御ルーチンを実現するための
プログラムを示すフローチャート
【図6】 アッパ・コイルに励磁電流を流した場合の運
動エネルギについての説明図
【符号の説明】
1 内燃機関 1a シリンダ・ヘッド 1b シリンダ・ブロック 1c オイルパン 2 ウォータ・ジャケット 3 コンロッド 10 ロア・ヘッド 11 アッパ・ヘッド 12 バルブ・シート(弁座) 13 バルブ・ガイド 14 コア取付孔 14a 径小部 14b 径大部 20 ECU(励磁電流量増大手段) 21−1 気筒 21−2 気筒 21−3 気筒 21−4 気筒 22 ピストン 22a ピストン・ヘッド 22b 凹部 23 クランク・シャフト 24 空間部 25 点火プラグ 25a イグナイタ 26 吸入空気ポート 27 排気ポート 28 インテーク・バルブ(弁) 28a バルブ・ヘッド 28b 弁軸 28c ロア・リテーナ 28d インテーク・バルブの端部 28e バルブ・フェース 29 エキゾースト・バルブ(弁) 30 吸入空気側電磁駆動機構 30A 吸入空気側電磁駆動式動弁機構 31 排気側電磁駆動機構 31A 排気側電磁駆動式動弁機構 32 インジェクタ 33 イン・マニ 34 サージ・タンク 35 吸入空気管 36 エア・クリーナ・ボックス 39 スロットル・バルブ 40 スロットル用アクチュエータ 41 スロットル・ポジション・センサ 42 アクセル・ペダル 43 アクセル・ポジション・センサ 44 エア・フロー・メータ 45 エキ・マニ 46 触媒コンバータ 47 排気管 48 空燃比センサ 49 触媒温度センサ 50 バキューム・センサ 51 クランク・ポジション・センサ 51a タイミング・ロータ 51b 電磁ピック・アップ 52 水温センサ 301 アッパ・コア(閉弁用電磁石) 301a フランジ 301b 貫通穴 302 ロア・コア(開弁用電磁石) 302a フランジ 302b 貫通穴 303 空間部 304 ボルト 305 アッパ・キャップ 305a フランジ部 306 ボルト 307 ロア・キャップ 308 アッパ・コイル 309 ロア・コイル 310 アーマチャ・シャフト 311 アーマチャ 312 アッパ・リテーナ 313 アジャスト・ボルト 314 アッパ・スプリング(付勢手段) 315 スプリング・シート 316 ロア・スプリング(付勢手段) 400 双方向性バス 401 CPU 402 ROM 403 RAM 404 バックアップRAM 405 入力ポート 406 出力ポート 407 A/D A 領域 L 気筒中心線 P 軸心線 m バルブの質量 v バルブ速度 vb バルブ速度 vd バルブ速度 φ はさみ角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩下 義博 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 白谷 和彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 勝間田 正司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小木曽 誠人 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 西田 秀之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山田 智海 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3G018 AB09 AB19 BA38 CA16 DA45 DA82 EA02 EA04 EA08 EA14 EA16 EA17 EA19 EA22 EA31 EA35 FA07 GA06 GA25 GA27 3G092 AA01 AA06 AA09 AA11 AB02 DA01 DA02 DA07 DF05 DG09 EA01 EA11 EA17 EB04 EC09 FA00 FA02 GA06 GA09 GA12 GA18 HA01Z HA05Z HA06Z HA12X HD02Z HD05Z HE04Z HE08Z HF08Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励磁電流を供給することで弁を閉じる電
    磁力および開く電磁力を発生する電磁手段を備える電磁
    駆動式動弁機構を有する内燃機関において、 前記内燃機関が特定の運転条件下にある場合であってか
    つ前記弁が開状態から閉状態に遷移する遷移期に、前記
    弁を開弁側から閉弁側に引き寄せるに必要な励磁電流の
    供給量を内燃機関が前記特定の運転条件下にない場合に
    比して所定期間増大する励磁電流量増大手段を備えるこ
    とを特徴とする電磁駆動式動弁機構を有する内燃機関。
  2. 【請求項2】 前記内燃機関が特定の運転条件下にある
    場合とは、前記弁とこの弁が着座する弁座との間のシー
    ル性を阻害する物質が前記弁座に付着した場合であって
    この物質を前記弁座から排除する必要性が生じた場合で
    あることを特徴とする請求項1記載の電磁駆動式動弁機
    構を有する内燃機関。
  3. 【請求項3】 前記内燃機関が特定の運転条件下にある
    場合は、機関回転数が所定値以上であることを特徴とす
    る請求項2記載の電磁駆動式動弁機構を有する内燃機
    関。
  4. 【請求項4】 前記内燃機関が特定の運転条件下にある
    場合は、機関回転数が上昇時であることを特徴とする請
    求項3記載の電磁駆動式動弁機構を有する内燃機関。
  5. 【請求項5】 前記内燃機関が特定の運転条件下にある
    場合は、アクセル踏み込んでいる時であることを特徴と
    する請求項1〜請求項4記載の電磁駆動式動弁機構を有
    する内燃機関。
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