JP3838040B2 - 電磁駆動弁の制御装置及び電磁駆動弁の制御方法 - Google Patents

電磁駆動弁の制御装置及び電磁駆動弁の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁力を利用して弁体を駆動する電磁駆動式動弁機構、特に車両用内燃機関の吸気弁若しくは排気弁を電磁力によって開閉駆動する電磁駆動式動弁機構の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに搭載される内燃機関に関し、従来より、電磁力を利用して吸気弁およびまたは排気弁を開閉駆動する電磁駆動式動弁機構が提案されている。この種の電磁駆動式動弁機構は、例えば、弁体と連動して変位する軸体と、この軸体を開弁側と閉弁側の双方から付勢することにより弁体を中立位置に保持する付勢部材と、軸体に周設された弁駆動体(アーマチャ)を開弁側から吸引する開弁側電磁石と、弁駆動体を閉弁側から吸引する閉弁側電磁石とを備え、開弁側電磁石と閉弁側電磁石とへ交互に励磁電流を印加することにより弁駆動体を開弁方向と閉弁方向とへ交互に変位させ、以て弁体を開閉駆動するものである。
【0003】
このような、電磁駆動式動弁機構を搭載した内燃機関は、各弁の開閉タイミング及び作用角の変更にかかる制御の自由度や、所望のリフト位置に弁を移動させる際の弁動作の応答性等、優れた側面を多々有する。
【0004】
ただし、かかる電磁駆動式動弁機構では、付勢部材のバネ定数、弁体や軸体などの可動部の重量、或いは、可動部の摺動抵抗等が個体毎に異なることが想定され、それにより個々の弁体毎に動作特性が異なる場合がある。
【0005】
そこで、従来では、例えば特開2000−8895号公報に記載されたような電磁駆動バルブの制御装置が提案されている。この公報に記載された電磁駆動バルブの制御装置は、個々の吸排気バルブにバルブリフトセンサを併設し、エンジン停止時又はエンジン始動時において、吸排気バルブを最初に全開又は全閉動作させたときのバルブリフトセンサの出力値に基づいてバルブリフトセンサの基準値を学習し、その学習値に基づいて電磁コイルの通電制御タイミングを補正するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来の電磁駆動バルブの制御装置では、電磁駆動バルブを搭載したエンジンの停止時又は始動時に電磁駆動バルブの学習制御が行われるため、電磁駆動バルブを搭載した内燃機関が初めて運転されるとき、言い換えれば、電磁駆動バルブが内燃機関に組み付けられた後に初めて使用されるときの学習制御に時間がかかる虞があり、その際の電磁駆動バルブの制御性が低下する場合がある。
【0007】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、電磁駆動式動弁機構が初めて使用される際の制御性を向上させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明に係る電磁駆動弁の制御方法は、電磁力を利用して弁を駆動する電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられる前に、該電磁駆動機構用アッセンブリを動作させるとともに、その動作特性を電子制御ユニットに学習させるようにしたことを特徴としている。
【0009】
このように構成された電磁駆動弁の制御方法では、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられる前に、該電磁駆動機構用アッセンブリの学習制御が行われることになる。このため、電磁駆動機構機構用アッセンブリが初めて使用される際には、組み付け前に行われた学習制御に従って電磁駆動機構用アッセンブリが制御されることになる。その結果、電磁駆動機構用アッセンブリが初めて使用されるときに、該電磁駆動機構用アッセンブリの学習制御に時間がかからなくなる。
【0010】
ここで、本発明に係る電磁駆動機構用アッセンブリとしては、相互に対向して配置された一対の電磁石と、前記電磁石が発生する電磁力を受けて往復移動することにより内燃機関の吸気弁又は排気弁を開閉動作させるアーマチャと、前記電磁石へ励磁電流を印加する駆動回路と、前記アーマチャが変位端に着座した時の振動を検出する加速度センサとを具備する電磁駆動機構用アッセンブリを例示することができる。この場合、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられる前に該電磁駆動機構用アッセンブリの動作特性を電子制御ユニットに学習させるとよい。すなわち、電磁駆動機構用アッセンブリが製造される場所と内燃機関が製造される場所とが異なる場合には、電磁駆動機構用アッセンブリが出荷される前に該電磁駆動機構用アッセンブリの動作特性を電子制御ユニットに学習させることが好ましいが、電磁駆動機構用アッセンブリの製造と内燃機関の製造とが同一の場所で行われる場合には、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられる前に該電磁駆動機構用アッセンブリの動作特性を電子制御ユニットに学習させることが好ましい。
【0011】
このように電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられる前に該電磁駆動機構用アッセンブリの動作特性が電子制御ユニットにより学習されると、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられた後に初めて内燃機関が運転されるときには、電磁駆動機構用アッセンブリの学習制御に時間がかからなくなる。尚、電磁駆動機構用アッセンブリは、内燃機関に組み付けられる前に、該内燃機関に搭載される吸気弁又は排気弁と同形状の疑似吸気弁又は疑似排気弁を搭載した治具に組み付けられて動作させられるようにしてもよい。その際、疑似吸気弁又は疑似排気弁は、前記内燃機関に搭載される吸気弁又は排気弁の初期公差の平均値を満たすように形成されるようにしてもよい。
【0012】
尚、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられた後であって、内燃機関が車両に搭載される前に、内燃機関を運転させて電磁駆動機構用アッセンブリの動作特性を再度電子制御ユニットに学習させるようにしてもよい。この場合、内燃機関が車両に搭載された後に初めて運転されるときには、電磁駆動機構用アッセンブリを所望の態様で動作させることが容易となる。
【0013】
更に、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられた後であって、内燃機関が車両に搭載される前に、内燃機関を運転させて電磁駆動機構用アッセンブリの動作特性を再度電子制御ユニットに学習させる場合には、内燃機関の負荷を変更させるようにしてもよい。この場合には、内燃機関が車両に搭載される前に種々の負荷に対応した学習制御が行われることになるため、内燃機関が車両に搭載された後に初めて運転されるときには、電子制御ユニットは内燃機関の負荷が如何様に変化しても電磁駆動機構用アッセンブリを所望の態様で動作させることが容易となる。
【0014】
また、本発明に係る電磁駆動機構用アッセンブリとして、相互に対向して配置された一対の電磁石と、前記電磁石が発生する電磁力を受けて往復移動することにより内燃機関の吸気弁又は排気弁を開閉動作させるアーマチャと、前記電磁石へ励磁電流を印加する駆動回路と、前記アーマチャが変位端に着座した時の振動を検出する加速度センサとを具備する電磁駆動機構用アッセンブリが使用される場合には、電子制御ユニットは電磁駆動機構用アッセンブリに適応した励磁電流の印加態様を学習するようにしてもよい。ここでいう励磁電流の印加態様とは、励磁電流の印加量、励磁電流の印加タイミング、又は励磁電流の印加量を変更するタイミングなどを含む。
【0015】
尚、励磁電流の印加態様を学習する方法としては、アーマチャの所定位置での変位速度を検出し、検出された変位速度が所望の目標変位速度となるように励磁電流の印加態様を学習する方法、弁体の最大変位量を検出し、検出された最大変位量が所望の目標変位量となるように励磁電流の印加態様を学習する方法、等を例示することができる。
【0016】
例えば、電子制御ユニットは、加速度センサが振動を検出するタイミング及び検出された振動の振幅に基づいてアーマチャの着座速度を推定するとともに、推定された着座速度が所望の目標着座速度となるように励磁電流の印加量や印加量の変更タイミングを学習するようにしてもよい。
【0017】
このような学習方法によれば、アーマチャの着座する際の衝突を緩和することが可能になるため、騒音の増加、電磁駆動機構用アッセンブリの耐久性低下、アーマチャの跳ね返りなど抑制することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電磁駆動弁の制御方法の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る電磁駆動機構用アッセンブリとして、車両用内燃機関の吸気弁及び排気弁を開閉駆動する電磁駆動機構用アッセンブリを例にあげて説明する。
【0019】
図1は、電磁駆動機構用アッセンブリを搭載した車両用内燃機関の概略構成を示す図である。
【0020】
図1に示す内燃機関1は、複数の気筒21及び冷却水路1cが形成されたシリンダブロック1bと、このシリンダブロック1bの上部に固定されたシリンダヘッド1aとを備えている。
【0021】
前記シリンダブロック1bには、機関出力軸たるクランクシャフト23が回転自在に支持され、このクランクシャフト23は、各気筒21内に摺動自在に装填されたピストン22とコネクティングロッド19を介して連結されている。
【0022】
前記クランクシャフト23の端部には、周縁に複数の歯が所定の間隔で立設されたタイミングロータ51aが取り付けられ、このタイミングロータ51a近傍のシリンダブロック1bには、電磁ピックアップ51bが取り付けられている。これらタイミングロータ51aと電磁ピックアップ51bは、クランクポジションセンサ51を構成し、タイミングロータ51aが所定角度回転する度に電磁ピックアップ51bがパルス信号を出力するようになっている。
【0023】
前記シリンダブロック1bには、前記冷却水路1c内を流れる冷却水の温度に対応した電気信号を出力する水温センサ52が取り付けられている。
【0024】
各気筒21のピストン22上方には、ピストン22の頂面とシリンダヘッド1aの壁面とに囲まれた燃焼室24が形成されている。前記シリンダヘッド1aには、各気筒21の燃焼室24に臨むよう点火栓25が取り付けられ、この点火栓25には、該点火栓25に駆動電流を印加するためのイグナイタ25aが電気的に接続されている。
【0025】
前記シリンダヘッド1aにおいて各気筒21の燃焼室24に臨む部位には、吸気ポート26の開口端が2つ形成されるとともに、排気ポート27の開口端が2つ形成されている。そして、前記シリンダヘッド1aには、前記吸気ポート26の各開口端を開閉する吸気弁28と、前記排気ポート27の各開口端を開閉する排気弁29とが進退自在に設けられている。
【0026】
前記シリンダヘッド1aには、励磁電流が印加されたときに発生する電磁力を利用して前記吸気弁28を進退駆動する電磁駆動機構30(以下、吸気側電磁駆動機構30と称する)が吸気弁28と同数設けられている。各吸気側電磁駆動機構30には、該吸気側電磁駆動機構30に励磁電流を印加するための駆動回路30a(以下、吸気側駆動回路30aと称する)が電気的に接続されている。
【0027】
前記シリンダヘッド1aには、励磁電流が印加されたときに発生する電磁力を利用して前記排気弁29を進退駆動する電磁駆動機構31(以下、排気側電磁駆動機構31と称する)が排気弁29と同数設けられている。各排気側電磁駆動機構31には、該排気側電磁駆動機構31に励磁電流を印加するための駆動回路31a(以下、排気側駆動回路31aと称する)が電気的に接続されている。
【0028】
続いて、内燃機関1のシリンダヘッド1aには、4つの枝管からなる吸気枝管33が接続され、前記吸気枝管33の各枝管は、各気筒21の吸気ポート26と連通している。
【0029】
前記シリンダヘッド1aにおいて前記吸気枝管33との接続部位の近傍には、その噴孔が吸気ポート26内に臨むよう燃料噴射弁32が取り付けられている。
【0030】
前記吸気枝管33は、吸気の脈動を抑制するためのサージタンク34に接続されている。前記サージタンク34には、吸気管35が接続され、吸気管35は、吸気中の塵や埃等を取り除くためのエアクリーナボックス36と接続されている。
【0031】
前記吸気管35には、該吸気管35内を流れる空気の質量(吸入空気質量)に対応した電気信号を出力するエアフローメータ44が取り付けられている。前記吸気管35において前記エアフローメータ44より下流の部位には、該吸気管35内を流れる吸気の流量を調整するスロットル弁39が設けられている。
【0032】
前記スロットル弁39には、ステッパモータ等からなり印加電力の大きさに応じて前記スロットル弁39を開閉駆動するスロットル用アクチュエータ40と、前記スロットル弁39の開度に対応した電気信号を出力するスロットルポジションセンサ41とが取り付けられている。
【0033】
前記スロットル弁39には、該スロットル弁39と独立に回動自在であり、且つアクセルペダル42に連動して回動する図示しないアクセルレバーが取り付けられ、そのアクセルレバーには、該アクセルレバーの回動量に対応した電気信号を出力するアクセルポジションセンサ43が取り付けられている。
【0034】
一方、前記内燃機関1のシリンダヘッド1aには、4本の枝管が内燃機関1の直下流において1本の集合管に合流するよう形成された排気枝管45が接続され、前記排気枝管45の各枝管が各気筒21の排気ポート27と連通している。
【0035】
前記排気枝管45は、排気浄化触媒46を介して排気管47に接続され、排気管47は、下流にて図示しないマフラーと接続されている。前記排気枝管45には、該排気枝管45内を流れる排気、言い換えれば、排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比に対応した電気信号を出力する空燃比センサ48が取り付けられている。
【0036】
ここで、上記した排気浄化触媒46としては、例えば、該排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比が理論空燃比近傍の所定の空燃比であるときに排気中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を浄化する三元触媒、該排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比がリーン空燃比であるときは排気中に含まれる窒素酸化物(NOx)を吸蔵するとともに該排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比が理論空燃比もしくはリッチ空燃比であるときは吸蔵していた窒素酸化物(NOx)を放出しつつ還元・浄化する吸蔵還元型NOx触媒、該排気浄化触媒46に流入する排気の空燃比が酸素過剰状態にあり且つ所定の還元剤が存在するときに排気中の窒素酸化物(NOx)を還元・浄化する選択還元型NOx触媒、もしくは上記した各種の触媒を適宜組み合わせてなる触媒である。
【0037】
次に、本発明に係る電磁駆動機構用アッセンブリに相当する吸気側電磁駆動機構30及び排気側電磁駆動機構31の具体的な構成について述べる。尚、吸気側電磁駆動機構30と排気側電磁駆動機構31とは同様の構成であるため、吸気側電磁駆動機構30のみを例に挙げて説明する。
【0038】
図3は、吸気側電磁駆動機構30の構成を示す断面図である。図3において内燃機関1のシリンダヘッド1aは、シリンダブロック1bの上面に固定されるロアヘッド10と、このロアヘッド10の上部に設けられたアッパヘッド11とを備えている。
【0039】
前記ロアヘッド10には、各気筒21毎に2つの吸気ポート26が形成され、各吸気ポート26の燃焼室24側の開口端には、吸気弁28の弁体28aが着座するための弁座12が設けられている。
【0040】
前記ロアヘッド10には、各吸気ポート26の内壁面から該ロアヘッド10の上面にかけて断面円形の貫通孔が形成され、その貫通孔には筒状のバルブガイド13が挿入されている。前記バルブガイド13の内孔には、吸気弁28の弁軸28bが貫通し、前記弁軸28bが軸方向へ摺動自在となっている。
【0041】
前記アッパヘッド11において前記バルブガイド13と軸心が同一となる部位には、断面円形のコア取付孔14が設けられている。前記コア取付孔14の下部14bは、その上部14aに比して径大に形成されている。以下では、前記コア取付孔14の下部14bを径大部14bと称し、前記コア取付孔14の上部14aを径小部14aと称する。
【0042】
前記径小部14aには、軟磁性体からなる環状の第1コア301と第2コア302とが所定の間隙303を介して軸方向に直列に嵌挿されている。これらの第1コア301の上端と第2コア302の下端には、それぞれフランジ301aとフランジ302aが形成されており、第1コア301は上方から、また第2コア302は下方からそれぞれコア取付孔14に嵌挿され、フランジ301aとフランジ302aがコア取付孔14の縁部に当接することにより第1コア301と第2コア302の位置決めがされて、前記間隙303が所定の距離に保持されるようになっている。
【0043】
前記第1コア301の上部には、環状のアッパプレート318が配置され、そのアッパプレート318の上部には、筒状体の下端に前記アッパプレート318と略同径の外径を有するフランジ305aが形成された形成されたアッパキャップ305が配置されている。
【0044】
前記したアッパキャップ305及びアッパプレート318は、アッパキャップ305のフランジ305a上面からアッパプレート318を介してアッパヘッド11の内部へ貫通するボルト304によりアッパヘッド11の上面に固定されている。
【0045】
この場合、アッパキャップ305及びアッパプレート318は、フランジ305aを含むアッパキャップ305の下端がアッパプレート318の上面に当接すると同時に、アッパプレート318の下面が第1コア301の上面周縁部に当接した状態でアッパヘッド11に固定されることになり、その結果、第1コア301がアッパヘッド11に固定されることになる。
【0046】
前記第2コア302の下部には、コア取付孔14の径大部14bと略同径の外径を有する環状体からなるロアプレート307が設けられている。このロアプレート307は、該ロアプレート307の下面からアッパヘッド11へ貫通するボルト306により、前記径小部14aと径大部14bの段部における下向きの段差面に固定されている。この場合、ロアプレート307が第2コア302の下面周縁部に当接した状態で固定されることになり、その結果、第2コア302がアッパヘッド11に固定されることになる。
【0047】
前記第1コア301の前記間隙303側の面に形成された溝部には、第1の電磁コイル308が把持されており、前記第2コア302の間隙303側の面に形成された溝部には第2の電磁コイル309が把持されている。その際、第1の電磁コイル308と第2の電磁コイル309とは、前記間隙303を介して向き合う位置に配置されるものとする。そして、第1及び第2の電磁コイル308、309は、前述した吸気側駆動回路30aと電気的に接続されている。
【0048】
前記間隙303には、該間隙303の内径より径小な外径を有する環状体からなるアーマチャ311が配置されている。このアーマチャ311は、例えば、軟磁性体で形成されている。
【0049】
前記アーマチャ311の中空部には、前記第1コア301及び前記第2コア302の中空部より径小な外径を有する円柱状の非磁性体からなるアーマチャシャフト310が前記アーマチャ311の軸心に沿って上下方向に延出するよう固定されている。
【0050】
その際、前記アーマチャシャフト310は、その上端が前記第1コア301の中空部を通ってその上方のアッパキャップ305内まで至るとともに、その下端が第2コア302の中空部を通ってその下方の径大部14b内に至るよう形成されるものとする。
【0051】
これに対応して、前記第1コア301の中空部の上端と前記第2コア302の中空部の下端との各々には、前記アーマチャシャフト310の外径と略同径の内径を有する環状のアッパブッシュ319とロアブッシュ320とが設けられ、これらアッパブッシュ319とロアブッシュ320とにより前記アーマチャシャフト310が軸方向へ摺動自在に保持されている。
【0052】
前記アッパキャップ305内に延出したアーマチャシャフト310の上端部には、円板状のアッパリテーナ312が接合されるとともに、前記アッパキャップ305の上部開口部にはアジャストボルト313が螺着され、これらアッパリテーナ312とアジャストボルト313との間には、アッパスプリング314が介在している。また、前記アジャストボルト313と前記アッパスプリング314との当接面には、前記アッパキャップ305の内径と略同径の外径を有するスプリングシート315が介装されている。
【0053】
前記径大部14b内に延出したアーマチャシャフト310の下端部には、吸気弁28の弁軸28bの上端部が当接している。前記弁軸28bの上端部の外周には、円盤状のロアリテーナ28cが接合されており、そのロアリテーナ28cの下面とロアヘッド10の上面との間には、ロアスプリング316が介在している。
【0054】
このように構成された吸気側電磁駆動機構30では、吸気側駆動回路30aから第1の電磁コイル308及び第2の電磁コイル309に対して励磁電流(以下、指示電流と称する)が印加されていないときは、アッパスプリング314からアーマチャシャフト310に対して下方向(すなわち、吸気弁28を開弁させる方向)への付勢力が作用するとともに、ロアスプリング316から吸気弁28に対して上方向(すなわち、吸気弁28を閉弁させる方向)への付勢力が作用し、その結果、アーマチャシャフト310及び吸気弁28が互いに当接しつつ所定の位置に弾性支持された状態、いわゆる中立状態に保持されることになる。
【0055】
尚、アッパスプリング314とロアスプリング316の付勢力は、前記アーマチャ311の中立位置が前記間隙303において前記第1コア301と前記第2コア302との中間の位置となるよう設定されており、構成部品の初期公差や経年変化等によってアーマチャ311の中立位置が前記した中間位置からずれた場合には、アーマチャ311の中立位置が前記した中間位置と一致するようアジャストボルト313によって調整することが可能になっている。
【0056】
前記アーマチャシャフト310及び前記弁軸28bの軸方向の長さは、前記アーマチャ311が前記間隙303の中間位置に位置するときに前記弁体28aが開弁側変位端と閉弁側変位端との中間の位置(以下、中開位置と称する)となり、且つ、前記アーマチャ311が第1コア301に当接したときに前記弁体28aが弁座12に着座するように設定されている。
【0057】
前記した吸気側電磁駆動機構30では、吸気側駆動回路30aから第1の電磁コイル308に対して指示電流が印加されている時は、第1コア301と第1の電磁コイル308とアーマチャ311との間に、アーマチャ311を第1コア301側へ変位させる方向の電磁力が発生するため、アーマチャ311がアッパスプリング314の付勢力に抗して第1コア301に当接した状態となる。
【0058】
アーマチャ311が第1コア301に当接した状態にあると、吸気弁28は、ロアスプリング316の付勢力を受けて退行し、該吸気弁28の弁体28aが弁座12に着座した状態、すなわち全閉状態となる。
【0059】
また、前記した吸気側電磁駆動機構30では、吸気側駆動回路30aから第2の電磁コイル309に対して指示電流が印加されている時は、第2コア302と第2の電磁コイル309とアーマチャ311との間に、アーマチャ311を第2コア302側へ変位させる方向の電磁力が発生するため、アーマチャ311がロアスプリング316の付勢力に抗して第2コア302に当接した状態となる。
【0060】
アーマチャ311が第2コア302に当接した状態にあると、アーマチャシャフト310がロアスプリング316の付勢力に抗して弁軸28bを開弁方向へ押圧することになり、その押圧力によって吸気弁28が全開状態に保持される。
【0061】
また、上記した吸気側電磁駆動機構30では、全閉状態にある吸気弁28を開弁させる場合は、先ず吸気側駆動回路30aが第1の電磁コイル308に対する指示電流の印加を停止する。
【0062】
このとき、第1コア301と第1の電磁コイル308とアーマチャシャフト310との間でアーマチャ311を第1コア301に引き付ける電磁力が消滅するため、アーマチャ311及び吸気弁28がアッパスプリング314の付勢力を受けて開弁方向へ変位する。
【0063】
吸気側駆動回路30aは、アーマチャ311がアッパスプリング314の付勢力を受けて第2コア302の近傍まで変位した時点で、第2の電磁コイル309に対して指示電流を印加することにより、第2コア302と第2の電磁コイル309とアーマチャ311との間にアーマチャ311を第2コア302に引き付ける電磁力を発生させる。この電磁力によりアーマチャ311が第2コア302と当接する位置(開弁側変位端)まで変位し、その結果、吸気弁28が全開状態となる。
【0064】
一方、上記した吸気側電磁駆動機構30では、全開状態にある吸気弁28を閉弁させる場合は、先ず吸気側駆動回路30aが第2の電磁コイル309に対する指示電流の印加を停止する。
【0065】
このとき、第2コア302と第2の電磁コイル309とアーマチャシャフト310との間でアーマチャ311を第2コア302に引き付ける電磁力が消滅するため、アーマチャ311及び吸気弁28がロアスプリング316の付勢力を受けて閉弁方向へ変位する。
【0066】
吸気側駆動回路30aは、アーマチャ311がロアスプリング316の付勢力を受けて第1コア301の近傍まで変位した時点で、第1の電磁コイル308に対して指示電流を印加することにより、第1コア301と第1の電磁コイル308とアーマチャ311との間に、アーマチャ311を第1コア301へ引き付ける電磁力を発生させる。この電磁力によりアーマチャ311が第1コア301と当接する位置(閉弁側変位端)まで変位し、その結果、吸気弁28の弁体28aが弁座12に着座する。
【0067】
このように吸気側駆動回路30aが第1の電磁コイル308と第2の電磁コイル309とに対して所定のタイミングで交互に指示電流を印加することにより、アーマチャ311が閉弁側変位端と開弁側変位端との間で進退動作し、それに伴って弁軸28bが進退駆動されると同時に弁体28aが開閉動作することになる。 従って、吸気側駆動回路30aが第1の電磁コイル308及び第2の電磁コイル309に対する指示電流の印加タイミングを変更することにより、吸気弁28の開閉タイミングを任意に制御することが可能となる。
【0068】
尚、上記した吸気側電磁駆動機構30には、アジャストボルト313の上面に取り付けられた加速度センサ317を備えている。この加速度センサ317は、該加速度センサ317に伝播される振動エネルギの大きさに応じた電気信号を出力するセンサである。
【0069】
ここで図1に戻り、上述したように構成された内燃機関1には、該内燃機関1の運転状態を制御するための電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)20が併設されている。
【0070】
前記ECU20には、スロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、エアフローメータ44、空燃比センサ48、クランクポジションセンサ51、水温センサ52、加速度センサ317等の各種センサが電気配線を介して接続され、各センサの出力信号がECU20に入力されるようになっている。
【0071】
前記ECU20には、イグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、スロットル用アクチュエータ40等が電気配線を介して接続され、ECU20は、上記した各種センサの出力信号値をパラメータとして、イグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、或いはスロットル用アクチュエータ40を制御することが可能になっている。
【0072】
ここで、ECU20は、図4に示されるように、双方向性バスによって相互に接続されたCPU401とROM402とRAM403とバックアップRAM404と入力ポート405と出力ポート406とを備えるとともに、前記入力ポート405に接続されたA/Dコンバータ(A/D)407を備えている。
【0073】
前記A/D407には、スロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、エアフローメータ44、空燃比センサ48、水温センサ52、加速度センサ317等のようにアナログ信号形式の信号を出力するセンサと電気配線を介して接続されている。このA/D407は、上記した各センサの出力信号をアナログ信号形式からデジタル信号形式に変換した後に前記入力ポート405へ送信する。
【0074】
前記入力ポート405は、前述したスロットルポジションセンサ41、アクセルポジションセンサ43、エアフローメータ44、空燃比センサ48、水温センサ52、加速度センサ317等のようにアナログ信号形式の信号を出力するセンサと前記A/D407を介して接続されるとともに、クランクポジションセンサ51のようにデジタル信号形式の信号を出力するセンサと接続されている。
【0075】
前記入力ポート405は、各種センサの出力信号を直接又はA/D407を介して入力し、それらの出力信号を双方向性バス400を介してCPU401やRAM403へ送信する。
【0076】
前記出力ポート406は、イグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、スロットル用アクチュエータ40等と電気配線を介して接続されている。前記出力ポート406は、CPU401から出力された制御信号を双方向性バス400を介して入力し、その制御信号をイグナイタ25a、吸気側駆動回路30a、排気側駆動回路31a、燃料噴射弁32、又はスロットル用アクチュエータ40へ送信する。
【0077】
前記ROM402は、燃料噴射弁32から噴射すべき燃料量を決定するための燃料噴射量制御ルーチン、燃料噴射弁32から燃料を噴射すべき時期を決定するための燃料噴射時期制御ルーチン、イグナイタ25aから点火栓25へ駆動電力を印加すべきタイミング(点火時期)を決定する点火タイミング決定制御ルーチン、吸気弁28の開閉タイミングを決定するための吸気弁開閉タイミング制御ルーチン、排気弁29の開閉タイミングを決定するための排気弁開閉タイミング制御ルーチン、吸気側駆動回路30aから吸気側電磁駆動機構30へ印加すべき指示電流の波形を制御するための吸気側電流調整制御ルーチン、排気側駆動回路31aから排気側電磁駆動機構31へ印加すべき指示電流の波形を制御するための排気側電流調整制御ルーチン、スロットル弁39の開度を決定するためのスロットル開度制御ルーチン等のアプリケーションプログラムを記憶している。
【0078】
前記ROM402は、前記したアプリケーションプログラムに加え、各種の制御マップを記憶している。前記した制御マップは、例えば、内燃機関1の運転状態と燃料噴射量との関係を示す燃料噴射量制御マップ、内燃機関1の運転状態と燃料噴射時期との関係を示す燃料噴射時期制御マップ、内燃機関1の運転状態と点火時期との関係を示す点火時期制御マップ、内燃機関1の運転状態と吸気弁28の開閉タイミングとの関係を示す吸気弁開閉タイミング制御マップ、内燃機関1の運転状態と排気弁29の開閉タイミングとの関係を示す排気弁開閉タイミング制御マップ、内燃機関1の運転状態と吸気側電磁駆動機構30に印加すべき指示電流値との関係を示す吸気側指示電流値制御マップ、内燃機関1の運転状態と排気側電磁駆動機構31に印加すべき指示電流値との関係を示す排気側指示電流値制御マップ、内燃機関1の運転状態とスロットル弁39の開度との関係を示すスロットル開度制御マップ等である。
【0079】
前記RAM403は、各センサの出力信号やCPU401の演算結果等を記憶する。前記演算結果は、例えば、クランクポジションセンサ51の出力信号に基づいて算出される機関回転数等である。前記RAM403に記憶される各種のデータは、クランクポジションセンサ51が信号を出力する度に最新のデータに更新される。
【0080】
前記バックアップRAM404は、内燃機関1の運転停止後もデータを保持する不揮発性のメモリであり、各種制御に係る学習値や、異常を発生した箇所を特定する情報等を記憶する。
【0081】
前記CPU401は、前記ROM402に記憶されたアプリケーションプログラムに従って動作し、燃料噴射制御、点火制御、スロットル制御、吸気弁開閉制御、排気弁開閉制御などを実行する。
【0082】
ここで、CPU401が吸気側駆動回路30a及び排気側駆動回路31aを介して行う吸気弁開閉制御及び排気弁開閉制御について、吸気弁開閉制御を例にとって説明する。
【0083】
図5(a)〜(c)は、吸気側電磁駆動機構30に取り付けられた吸気弁28が開弁状態から閉弁状態に移行する際、そのリフト量(図5(a))、吸気側駆動回路30aから第1の電磁コイル308へ通電される指示電流(以下、指示電流と称する)の電流値(図5(b))、及び吸気側駆動回路30aから第2の電磁コイル309(図5(b))へ通電される指示電流の電流値がどのように変化するのか、それぞれの変化態様を同一時間軸上に示すタイムチャートである。
【0084】
先ず、図5(a)に示すように、アーマチャ311が第2の電磁コイル309に当接した状態(最大リフト量)にある吸気弁28が、所定のタイミングで遷移(変位)を開始する。そして或る程度まで加速した後に所定の速度をもって上昇し、その後除々に減速して閉弁状態になったところ(最小リフト量)で停止する。ちなみに、吸気弁28が閉弁位置に達する際には、弁体28aがロアヘッド10の弁座12へ到達(着座)するのとほぼ同時に、アーマチャ311が第1の電磁コイル303へ到達(着座)する。
【0085】
次に図5(b)に示すように、吸気弁28を動作させるべく吸気側駆動回路30aを介して第1の電磁コイル308に通電される指示電流の電流波形は、比較的大きな電流値I1を所定時間継続し、一旦電流値I2まで下げ、次に比較的小さな電流値I3を所定時間継続して、その後さらに小さな電流値I4を保持するといったものとなる。
【0086】
一方、図5(c)に示すように、第2の電磁コイル309に通電する電流は、吸気弁28の閉弁動作が開始される直前まで所定の電流値I5に保持する。この状態から同電流値I5を電流値I6まで降下させる(若しくは逆方向へ電流を流す)ことで吸気弁28の閉弁動作が開始される。電流値I6は、その後さらに所定の電流値I7(ほぼ「0」値であるのが好適である)に切り替わる。
【0087】
すなわち、第1及び第2の電磁コイル308、309に全く通電が行われていない状態でも、アーマチャ311を中立状態に保持するアッパスプリング314及びロアスプリング316の付勢力が作用している。このため、吸気弁28を開弁状態に保持するには、所定値I2の電流(保持電流)が第2の電磁コイル309に通電されている必要がある。この保持電流の通電が中断されることで(時刻t0)、アッパスプリング314及びロアスプリング316の付勢力がアーマチャ311を中立状態に復元させる力として作用し、閉弁動作が開始される。その後、時刻t1において第1の電磁コイル308に所定量I1の電流が通電されることで、閉弁動作が加速される。
【0088】
その後、一旦電流値を所定値I3まで降下させ、続けて比較的小さな電流値I3をもって通電を継続することにより吸気弁28が減速され、弁体28a及びアーマチャ311が穏かに着座する(時刻tc)。
【0089】
弁体28a及びアーマチャ311の着座後は、弁体28a及びアーマチャ311を中立状態に復元させようとするアッパスプリング314及びロアスプリング316の付勢力に抗してこれらの弁体28a及びアーマチャ311を着座状態(吸気弁28を閉弁状態)に保持する電磁力を第1の電磁コイル308が発生するように、第1の電磁コイル308に対する所定値I4の電流(保持電流)の通電が次回の開弁動作の開始まで持続されることとなる。
【0090】
開弁動作に関しては、第1の電磁コイル308への通電が上記閉弁動作における第2の電磁コイル309への通電と同様の態様で実行される一方、第2の電磁コイル309への通電が上記閉弁動作における第1の電磁コイル308への通電と同様の態様で実行される。
【0091】
また、排気側電磁駆動機構31への通電態様と排気弁29の動作態様との関係も、上述した吸気側電磁駆動機構30に関するものと同様である。このため、ここでの詳しい説明は割愛する。
【0092】
次に、上記吸気弁28の開閉弁動作に関し、第1及び第2の電磁コイル308、309への通電量を制御すべくCPU401によって行われる制御手順の概要について図6のフローチャートに沿って説明する。
【0093】
図6に示すフローチャートは、第1及び第2の電磁コイル308、309へ供給される指示電流について、その電流値、通電タイミング、及び通電時間を含めた電流の波形を決定するための「開弁量制御ルーチン」を示すものである。
【0094】
前記開弁量制御ルーチンは、CPU401を通じて内燃機関1の始動と同時にその実行が開始されるとともに、所定時間毎(例えば、クランクポジションセンサ51がパルス信号を出力する度)に繰り返し実行される。
【0095】
前記開弁量制御ルーチンでは、CPU401は、先ずステップS601において、吸気弁28に対する開弁要求、若しくは閉弁要求が生じているか否かを判断する。CPU401は、吸気弁28の開弁要求又は閉弁要求の何れかが生じるまでステップS601の処理を繰り返し実行し、開弁要求又は閉弁要求が生じた時点でステップS602へ進む。
【0096】
ステップS602においては、CPU401は、吸気弁28の目標となる開弁タイミング若しくは閉弁タイミング、及び弁体28aの変位速度等を含む吸気弁28の動作態様や、燃焼室24内の圧力のように吸気弁28の動作に影響を及ぼすパラメータ(外乱)と相関のあるデータを入力する。
【0097】
続くステップS603においては、CPU401は、吸気弁28が目標となる動作態様をもって開弁動作若しくは閉弁動作を実行するよう、先のステップS602で入力した外乱要素を加味しつつ、図示しないマップを参照して指示電流の電流波形を演算する。
【0098】
なお、ここでいう指示電流の電流波形とは、先の図5において説明した電流値I0,I1,I2,I3,I4,I5,I6及びI7の値の大きさや、当該各電流値間の切り替えタイミング等を意味する。
【0099】
最後に、CPU401は、S604において、上記ステップS603で求められた波形の指示電流を、第1の電磁コイル308及び第2の電磁コイル309に供給する。
【0100】
以上説明した制御手順に基づいて決定される指示電流の通電量に対応して、機関運転中は、吸気弁28(排気弁29も同様)の弁体28aが所定の変位区間を継続的に往復動作することとなる。
【0101】
ところで、かかる吸気側電磁駆動機構30による吸気弁28の開閉動作にあっては、弁体28aの変位速度を着座点(例えば、図4における時刻tcに相当)直前で減速させ、弁体28a及びアーマチャ311と、これら弁体28a及びアーマチャ311の変位端に存在する変位規制部材(例えば、弁座12や第1及び第2の電磁コイル308、309)との衝突を緩和することが好ましい。つまり、弁体28a及びアーマチャ311が変位規制部材に勢いよく衝突すると、騒音の増加や各部材の耐久性低下を招くばかりか、弁体28a及びアーマチャ311が変位規制部材から跳ね返ってしまう虞がある。
【0102】
このような実状に対し、吸気側電磁駆動機構30の動作特性を学習し、その学習された動作特性に応じて吸気側電磁駆動機構30を制御する、所謂学習制御を行う技術が知られている。
【0103】
吸気側電磁駆動機構30に関する学習制御の方法としては、吸気側電磁駆動機構30が実際に動作したときのアーマチャ311の着座速度を学習し、着座音の抑制とアーマチャ311と変位端との衝突による耐久性の低下などを抑制とを図るべく指示電流値を適正化する方法を例示することができる。
【0104】
ここで、アーマチャ311の着座点直前における減速量が最適化された場合のリフト量の変化態様(実線S)と、着座点直前における減速量が不十分である場合のリフト量の変化態様(一点鎖線A)と、着座点直前における減速量が過大である場合のリフト量の変化態様(二点鎖線B)とを図7に示す。尚、図7(b)は、先の図5(b)と同じく、吸気弁28のリフト量の変化態様(実線S)に対応する第1の電磁コイル308へ通電される指示電流の変化態様を、図7(a)と同一時間軸上に示したものである。
【0105】
先ず、図7(a)において一点鎖線Aにて示すように、着座点直前での減速が不十分であると、目標となる着座点Ch(以下、目標着座点Chと記す)に比べ、実際の着座点(着座時期)が早まる。この場合、弁体28aやアーマチャ311が比較的速い変位速度を保持したままそれぞれの変位端に存在する弁座や第1の電磁コイル308に衝突することになる。
【0106】
一方、図7(a)において二点鎖線Bにて示すように、着座点直前での減速量が過大であると、目標となる着座点Chに比べ、実際の着座点(着座時期)は遅くなる。この場合、弁体28aやアーマチャ311が比較的早い時期に減速され、弁体28aが着座する前に一旦失速することもある。但し、所定値I1から所定値I2まで一旦下降した指示電流値が所定値I3まで再度上昇し、この値I3が所定時間持続されることで弁体28aやアーマチャ311の変位速度が再加速される。この結果、着座の際(着座直前)の変位速度(以下、着座速度と記す)はこの場合も最適値を上回ることとなる。
【0107】
上記のような着座点直前における弁体28aやアーマチャ311の挙動は、これらが弁座12や第1の電磁コイル308に衝突するときの振動を観測することで正確に把握することができるようになる。
【0108】
すなわち、図7(c)には、図7(a)における吸気弁28のリフト量の変化曲線(実線S)に応じて吸気側電磁駆動機構30の頂面に設けられた加速度センサ317が出力する検出信号の変化が示されている。また、図7(d)には、その検出信号の振幅を所定時刻Obまで積算していったときの積算値itgrlの変化が示されている。
【0109】
図7(c)に示すように、着座点(時期)とほぼ同時に加速度センサ317による検出信号は最大振幅を示し、その後急速に弱まって消滅する。また、加速度センサ317の検出信号が所定の閾値αを上回った時点から、所定時刻Obまでその信号振幅を累積的に積算していくと、図7(d)に示すような波形が得られる。この信号振幅の積算開始点は、図7(a)におけるリフト量の変化曲線(実線S)上の目標着座点Chと一致するのが望ましいことは、上記説明からも明らかであるが、図7(a)中、一点鎖線Aや二点鎖線Bとして示したように、減速が不十分か、或いは過大である場合には、着座点が目標着座点Chと異なるようになるとともに、加速度センサ317の検出信号の信号振幅を所定時刻まで積算して得られる積算値itgrlも最適なリフト量曲線に対応する値とは異なったものとなる。
【0110】
例えば図8は、加速度センサ317の検出信号が所定の閾値αを上回った後、その信号振幅を所定時刻Obまで累積的に積算して逐次得られる積算値itgrlを、先の図7(a)と対応するように、着座時の減速が適切に行われた場合(実線S)、着座時の減速が不十分な場合(一点鎖線A)、及び着座時の減速量が過大である場合(二点鎖線)についてそれぞれを同一時間軸上に示すタイムチャートである。
【0111】
この図8に示すように、着座時の減速が適切に行われると、着座点は目標着座点Chとほぼ一致することとなる。その一方、着座時の減速が不十分な場合、実際の着座タイミングが目標着座点Chより早まるとともに(着座点Ch')、十分な減速がなされる前に、弁体28aやアーマチャ311が着座してしまうため、着座速度が大きく(衝撃エネルギーが大きく)加速度センサ317の検出信号の最大振幅や信号出力の持続時間が増大し、結果として所定時刻Obまでの信号振幅の積算値itgrlも相対的に大となる。
【0112】
また、着座時の減速量が過大である場合、検出信号の出力開始点(Ch'')は目標着座点Chより遅れるものの、先述したように弁体28aやアーマチャ311の変位速度が着座直前に再加速されることで、着座速度が大きく(衝撃エネルギーが大きく)所定時刻Obまでの信号振幅の積算値itgrlは相対的に大となる。
【0113】
すなわち、(A)着座時の減速が不十分な場合、(B)着座時の減速が過大である場合のうち何れであれ、所定時刻Obまでの信号振幅の積算値itgrlが、着座時の減速が適切である場合にみられる信号振幅の積算値itgrlに比して大となることによって着座速度が最適値でない旨を認識することはできる。また、(A)の場合には着座点が目標着座点Chより早まるのに対し、(B)の場合には着座点が目標着座点Chより遅れることで、両者を相互に識別することもできる。
【0114】
さらに、(A)の場合であれ、(B)の場合であれ、実際の着座速度と最適値とのずれ量が大きくなるに従い、所定時刻Obまでの信号振幅の積算値itgrlは、単調に増加していくことが発明者らによって確認されている。
【0115】
そこで、CPU401が吸排気弁28、29の開弁動作及び閉弁動作に関して、各加速度センサ317の検出信号の信号振幅を適宜の期間積算することで、この積算値itgrlと極めて大きな相関性を有する着座速度(若しくは着座速度と、その最適値とのずれ量)を推定検出することが容易となる。
【0116】
こうして推定検出された着座速度と最適値とのずれは、例えば吸気弁28の閉弁動作に関する場合、先の図5(b)及び図5(c)にて説明した第1の電磁コイル308や第2の電磁コイル309へ通電される指示電流の波形を適宜調整することで修正することができる。従って、着座速度と最適値とのずれ量を逐次学習し、その学習されたずれ量に応じて、着座時若しくはその直前での弁体28aやアーマチャ311の変位速度に直接の影響を及ぼす指示電流値I1(図5(b)参照)を最適化することにより、同着座速度を最適値に収束させることが可能となる。
【0117】
例えば図9は、上記した学習制御により指示電流値I1を逐次変更していく過程において、加速度センサ317の信号振幅の積算値itgrlと指示電流値I1との関係が収束していくまでの軌跡を概略的に示した図である。
【0118】
この図9に示すように、(A)着座時の減速が不十分な場合には指示電流値I1を徐々に減少させ、(B)着座時の減速が過大である場合には指示電流値I1を徐々に増大させることで、指示電流値I1と積算値itgrlとの関係が最終的な収束点Pdに収束されるようになる。この収束点Pdに対応する積算値itgrldが、指示電流値I1の操作により実現し得る積算値の極小値であり、言い換えると、最適な着座速度を与える条件に相当する。
【0119】
このように、かかる学習制御によれば内燃機関1に搭載された吸気側電磁駆動機構30の動作特性を適正化することが可能となる。
【0120】
一方、吸気側電磁駆動機構30を搭載した内燃機関1が初めて運転されるとき、言い換えれば、吸気側電磁駆動機構30を搭載した内燃機関1が初めて使用されるときには、前述の学習制御に時間がかかってしまい、その間の吸気弁28の動作態様を所望の動作態様とすることができず、内燃機関1の運転状態が悪化してしまう虞がある。
【0121】
これは、吸気側電磁駆動機構30の製造工程において、吸気側電磁駆動機構30を構成する部材の初期公差、例えば、アーマチャ311やアーマチャシャフト310等の可動部材の重量、アッパスプリング314及びロアスプリング316のバネ定数、若しくは各構成部材の寸法等の公差が生じ、それらの初期公差によって個々の吸気側電磁駆動機構30毎に動作特性が異なるにも関わらず、全ての吸気側電磁駆動機構30が同一の指示電流値によって制御されることに起因していると考えられる。
【0122】
つまり、動作特性が互いに異なる複数の吸気側電磁駆動機構30を搭載した内燃機関1が初めて使用(運転)される際に、それら吸気側電磁駆動機構30の全てが同一のデフォルト値にて制御されると、個々の吸気弁28毎にバルブタイミング、リフト量、あるいは変位速度などが異なってしまう可能性が高い。 このような状況下で前述した学習制御が実行されると、全ての吸気側電磁駆動機構30の動作態様を統制のとれた適正な態様とするまでに時間がかかる場合がある。
【0123】
そこで、本実施の形態に係る電磁駆動弁の制御方法では、吸気側電磁駆動機構30の出荷前、又は、吸気側電磁駆動機構30が内燃機関1に組み付けられる前に、個々の吸気側電磁駆動機構30の動作特性を学習するようにした。
【0124】
例えば、吸気側電磁駆動機構30の製造と内燃機関1の製造とが異なる工場にて行われる場合には吸気側電磁駆動機構30の出荷前に学習制御が行われ、吸気側電磁駆動機構30の製造と内燃機関1の製造とが同一の工場にて行われる場合には吸気側電磁駆動機構30が内燃機関1に組み付けられる前に学習制御が行われるようにする。
【0125】
ここで、吸気側電磁駆動機構30の製造工程では、例えば、図10に示すように、第1コア301、第2コア302、アッパキャップ305、ロアプレート307、第1の電磁コイル308、第2の電磁コイル309、アーマチャシャフト310、アーマチャ311、アッパリテーナ312、アジャストボルト313、アッパスプリング314、スプリングシート315、アッパプレート318、アッパブッシュ319、及びロアブッシュ320をアッパヘッド11に組み付けるとともに、図示しない吸気側駆動回路30aをアッパヘッド11に取り付けることにより、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリが製造される。
【0126】
一方、内燃機関1の製造工程では、例えば、吸気弁28、弁座12、バルブガイド13、及びロアスプリング316が組み付けられたロアヘッド10に、上記した吸気側電磁駆動機構用アッセンブリを取り付けることによりシリンダヘッド1aが製造され、次いでシリンダヘッド1aをシリンダブロック1bに組み付けることにより内燃機関1が製造される。
【0127】
このような製造行程に対し、本実施の形態では、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリが製造された時点で、該吸気側電磁駆動機構用アッセンブリを実際に動作させ、個々の吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの動作特性を学習させるようにした。
【0128】
吸気側電磁駆動機構用アッセンブリを実際に動作させるにあたり、本実施の形態では、図11に示すような、ロアヘッド10と同形状のダミーヘッド500に、吸気弁28と同形状の疑似弁体510a、疑似弁軸510b、及び疑似ロアリテーナ510cからなる疑似吸気弁510、弁座12と同形状の疑似弁座520、バルブガイド13と同形状の疑似バルブガイド530、及びロアスプリング316と同形状の疑似ロアスプリング540が組み付けられた治具を用意し、この治具に吸気側電磁駆動機構用アッセンブリを取り付けるようにする。
【0129】
前記した治具において、疑似吸気弁510、疑似弁座520、疑似バルブガイド530、及び、疑似ロアスプリング540は、内燃機関1に組み付けるべく製造された吸気弁28、弁座12、バルブガイド13、及びロアスプリング316の各々の初期公差の平均値を満たすよう形成されるものとする。
【0130】
すなわち、疑似吸気弁510は吸気弁28の寸法、重量、及び摺動面(弁軸28bの外周面)の摩擦係数の平均値を満たすよう形成され、疑似弁座520は弁座12の寸法の初期公差の平均値を満たすよう形成され、疑似バルブガイド530はバルブガイド13の寸法及び摺動面(バルブガイド13の内周面)の摩擦係数の平均値を満たすよう形成され、さらに疑似ロアスプリング540はロアスプリング316の寸法、重量、及びバネ定数の初期公差の平均値を満たすよう形成されるものとする。
【0131】
上記したような治具を用いて、内燃機関1に組み付けられるべき全ての吸気側電磁駆動機構用アッセンブリについて学習制御を行うことにより、全ての吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの動作態様は、吸気弁28、弁座12、バルブガイド13、ロアスプリング316、の初期公差の平均値に適合したものとなる。その結果、各吸気側電磁駆動機構用アッセンブリと実際に組み合わされる吸気弁28、弁座12、バルブガイド13、或いはロアスプリング316に公差が生じていても、全ての吸気側電磁駆動機構30の動作態様が互いに大きく異なるようなことがなく、所定の範囲内で統制のとれた動作態様を示すようになる。
【0132】
さらに、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関1に組み付けられた段階で吸気側電磁駆動機構30の学習制御が行われる場合には、その時点で既に全ての吸気側電磁駆動機構30が所定の範囲内で統制のとれた動作態様を示すようになっているため、学習制御に要する時間を短縮することが可能になるとともに、全ての吸気側電磁駆動機構30の動作態様を統一化することも容易となる。
【0133】
以下、本実施の形態に係る学習制御について図12〜図15に基づいて説明する。ここでは、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの製造と内燃機関1の製造とが異なる工場で行われる場合を例に挙げて説明する。
【0134】
図12は、本実施の形態において、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの製造から内燃機関1の製造までの一連の流れを概略的に示す図である。
【0135】
図12において、先ず第1工程S1201では、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリが製造される。
【0136】
第2工程S1202では、第1工程S1201で製造された吸気側電磁駆動機構アッセンブリが前述の図11の説明で述べたような治具に組み付けられる。
【0137】
第3工程S1203では、アジャストボルト313の調整により、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリのアーマチャ311の中立位置が第1コア301と第2コア302との中間位置に合わせられる。
【0138】
第4工程S1204では、吸気側電磁駆動機構アッセンブリの吸気側駆動回路30a及び加速度センサ317とECU20とが電気的に接続される。尚、この工程は、第2工程S1202の前後に行われるようにしても良い。
【0139】
第5工程S1205では、ECU20から吸気側駆動回路30aを介して第1の電磁コイル308及び第2の電磁コイル309へ励磁電流(指示電流)の通電が開始される。
【0140】
第6工程S1206では、ECU20から吸気側駆動回路30aを介して第1の電磁コイル308及び第2の電磁コイル309へ励磁電流(指示電流)が通電された状態で、本実施の形態の要旨となる学習制御が実行される。尚、第6工程S1206が行われる前には、機関運転時と同等の動作環境を設定する工程が追加されるようにしてもよい。前記した動作環境としては、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリ周囲の温度や潤滑油の供給条件等を例示することができる。
【0141】
ここで、上記の第6工程S1206で行われる学習制御について図13及び図14に基づいて説明する。尚、図13及び図14には、疑似吸気弁510の閉弁動作に関し、該疑似吸気弁510の閉弁動作開始直後、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリに内蔵された第1の電磁コイル308に通電される指示電流の電流値I1(図5(b),図7(b)参照)を学習制御するための「学習制御ルーチン」を示す。
【0142】
図13及び図14に示す電流制御ルーチンは、吸気側電磁駆動機構アッセンブリの吸気側駆動回路30a及び加速度センサ317と電気的に接続されたECU20のCPU401により周期的に実行されるルーチンである。
【0143】
[初回ルーチン]
前記学習制御ルーチンでは、CPU401は先ず、ステップS1301において、本ルーチンの実行回数を記憶するカウンタaicntのカウント値が初期値「1」と等しいか否かを判別する。ここで、カウンタaicntは、RAM403の所定のアドレスに設定された記憶領域であってもよく、CPU401に内蔵されたレジスタであってもよい。
【0144】
CPU401は、前記ステップS1301においてカウンタaicntのカウント値が初期値「1」と等しいと判定された場合はステップS1302へ進み、前記ステップS1301においてカウンタaicntのカウント値が初期値「1」と等しくないと判定された場合はステップS1401へ進む。
【0145】
尚、ステップS1302の処理は、初回ルーチンでのみ実行される処理であり、2回目以降のルーチンでは、ステップS1401に続く一連の処理が実行されることとなる。そこで、先ずステップS1302に続く初回ルーチンについて説明し、ステップS1401に続く処理については後述することとする。
【0146】
ステップS1302においてCPU401は、弁体28a及びアーマチャ311の着座点の最新値tが目標着座点Chより早い時期にあるか否かを判別する。尚、着座点は、先の図7(c)に示したように、加速度センサ317による出力信号が所定の閾値αを上回った時刻として検出される。
【0147】
CPU401は、前記ステップS1302において弁体28a及びアーマチャ311の着座点の最新値tが目標着座点Chより早い時期にあると判定された場合は、(A)着座時の減速が不十分であると認識してステップS103に移行し、一方ステップS1302において弁体28a及びアーマチャ311の着座点の最新値tが目標着座点Chより早い時期にないと判定された場合は、(B)着座時の減速が過大であると認識してステップS104に移行する。
【0148】
ステップS1303、S1304では、CPU401は、後述の処理で指示電流値I1に加算されることとなる学習値I1aihを演算する。
【0149】
例えば、ステップS1303では、CPU401は、バックアップRAM404の所定領域(以下、学習値記憶領域と称する)に記憶されている学習値I1aih(初回ルーチンではデフォルト値(例えば、“0”))を読み出し、その学習値I1aihから所定の補正値I1hを減算して新たな学習値I1aihを算出する。続いてCPU401は、新たに算出された学習値I1aihをバックアップRAM404の学習値記憶領域に記憶させる。
【0150】
一方、ステップS1304では、CPU401は、バックアップRAM404の学習値記憶領域に記憶されている学習値I1aih(デフォルト値)を読み出し、その学習値I1aihに所定の補正値I1hを加算して新たな学習値I1aihを算出する。続いてCPU401は、新たに算出された学習値I1aihをバックアップRAM404の学習値記憶領域に記憶させる。
【0151】
前記ステップS1303又はステップS1304の処理を実行し終えたCPU401は、ステップS1305へ進み、カウンタaicntのカウント値を1つインクリメントする。このようにカウンタaicntが更新されることにより、本ルーチンへの割り込み回数の履歴が残される他、2回目以降のルーチンではCPU401が初回ルーチンの実行完了を認識することが可能となる。
【0152】
ステップS1306では、CPU401は、バックアップRAM404の所定領域(以下、指示電流値記憶領域と称する)に記憶されている指示電流値I1の前回値(初回ルーチンではデフォルト値)を読み出すとともに、バックアップRAM404の学習値記憶領域から最新の学習値I1aih(この場合は、ステップS1303又はステップS1304で算出された学習値I1aih)を読み出し、前記指示電流値I1に前記学習値I1aihを加算して新たな指示電流値I1を算出する。新たに算出された指示電流値I1は、バックアップRAM404の指示電流値記憶領域に記憶される。
【0153】
上記のステップS1306の処理を実行し終えたCPU401は、本ルーチンの実行を一旦終了する。つまり、CPU401は、前記ステップS1306の処理を実行し終えた時点で、初回ルーチンを実行し終えたことになる。
【0154】
[2回目以降のルーチン]
その後の2回目以降のルーチンでは、CPU401は、先ずステップS1301において、カウンタaicntのカウント値が初期値「1」と等しいか否かを判別する。言い換えれば、CPU401は、ステップS1301において、今回のルーチンが初回ルーチンであるか又は2回目以降のルーチンであるかを判別する。2回目以降のルーチンでは、CPU401は、前記ステップS1301においてカウンタaicntのカウント値が初期値「1」と等しくないと判定し、ステップS1401へ進むことになる。
【0155】
ステップS1401では、CPU401は、前述した図7(d)の説明で述べたように着座点から時刻0bまでの期間に加速度センサ317が出力した検出信号の振幅を積算して、最新の積算値itgrlを演算する。そして、CPU401は、前記した最新の積算値itgrlが所定の閾値βを上回っているか否かを判別する。
【0156】
ここで、積算値itgrlが閾値β以下であるときは、着座時の減速が最適な態様で行われ、弁体28aやアーマチャ311が着座時に発する振動も適当であることになる。従って、前記ステップS1401において前記した最新の積算値itgrlが閾値β以下であると判定された場合は、CPU401は、着座時の減速が最適な態様で行われているとみなし、ステップS1305へスキップしてカウンタaicntのカウント値を1つインクリメントする。
【0157】
次いで、CPU401は、ステップS1306へ進み、バックアップRAM404の指示電流値記憶領域から指示電流値I1を読み出すとともに、バックアップRAM404の学習値記憶領域から学習値I1aihを読み出す。その際、バックアップRAM404から読み出される学習値I1aihは、積算値itgrlを修正するためのパラメータ(補正値I1h)が加味されていない学習値I1aihとなる。つまり、前述したステップS1401において着座時の減速が最適な態様で行われていると判定された場合には、既存の学習値I1aihをそのまま使用して指示電流値I1が更新されることになる。
【0158】
一方、上記のステップS1401において前記した最新の積算値itgrlが閾値βを上回っていると判定された場合は、CPU401は、ステップS1402以降の処理を実行することになる。
【0159】
ステップS1402以降の処理は、基本的に前述した図8の説明で述べた制御に準じて積算値itgrlと指示電流値I1(厳密には指示電流値I1の学習値I1aih)との関係を収束点Pdに向かって収束させるための学習値調整処理となる。
【0160】
この学習値調整処理では、CPU401は、図15に示すように、学習値I1aihを徐々に変更しつつ、この変更に伴う積算値itgrlの変化を観測することにより、指示電流値I1と積算値itgrlとの関係が収束点Pdへ収束されるようにする。
【0161】
具体的には、CPU401は、積算値itgrlが大きくなるほど学習値I1aihの変更量(率)も大きくするとともに、積算値itgrlが小さくなるほど学習値I1aihの変更量(率)が小さくなるように制御を行う。言い換えれば、CPU401は、学習値I1aihと積算値itgrlにより決定される座標位置が収束点から遠くなるほど補正値I1hを大きくする一方、前記の座標位置が収束点に近づくほど補正値I1hを小さくすることにより、収束点Pdへの収束性を高める一方、収束点Pd近傍における制御の緻密性を確保する。
【0162】
このような学習値調整処理を実際に行うにあたり、CPU401は、先ずステップS1402において、バックアップRAM404に予め設定されている前回積算値記憶領域から前回の積算値itgrloldを読み出し、この前回の積算値itgrloldと前述のステップS1401で算出された最新の積算値itgrlとの差分(以下、積算値差と記す)Δitgrlを算出する(図15を併せ参照)。さらに、CPU401は、バックアップRAM404の前回積算値記憶領域に記憶されている前回積算値itgrloldを前記した最新の積算値itgrlにより更新する。
【0163】
ステップS1403では、CPU401は、バックアップRAM404の学習値記憶領域に記憶されている学習値I1aihを最新の学習値として読み出すとともに、バックアップRAM404に予め設定されている前回学習値記憶領域から前回の学習値I1aiholdを読み出す。CPU401は、前記した最新の学習値I1aihと前回の学習値I1aiholdとの差分(以下、学習値差と称する)ΔI1aihを算出する。
【0164】
ステップS1404では、CPU401は、バックアップRAM404の前回学習値記憶領域に記憶されている前回学習値I1aiholdを前記した最新の学習値I1aihにより更新する。
【0165】
以降のステップS1405〜ステップS1412では、CPU401は、上記したステップS1402及びステップS1403で得られた情報(積算値差Δitgrl、学習値差ΔI1aih)をもとに以下のような判定及び処理を実行する。
【0166】
すなわち、図15に示す座標(itgrl,I1aih)が収束点Pdに向かっている限り、積算値差Δitgrlは、負の数値であることは明らかであるため、積算値差Δitgrlが正の数値となった場合には、座標(itgrl,I1aih)が収束点Pdを通過したと判定することが可能となる。
【0167】
また、座標(itgrl,I1aih)が図15中に示す(A)の側から(B)の側に向かっているときは、学習値差ΔI1aihが負の数値となる一方、座標(itgrl,I1aih)が(B)の側から(A)の側に向かっているときは、学習値差ΔI1aihが正の数値となる。
【0168】
以上の観点から、(1)積算値差Δitgrlが所定値「−C」(−C<0)より小さく、且つ、学習値差ΔI1aihが「0」以下である場合には、図15における座標(itgrl,I1aih)が(A)の側から収束点Pdに向かっていると判定することができ、(2)積算値差Δitgrlが所定値「−C」より小さく、且つ、学習値差ΔI1aihが「0」より大きい場合には、図15における座標(itgrl,I1aih)が(B)の側から収束点Pdに向かっていると判定することができ、(3)積算値差Δitgrlが所定値「C」(C>0)より大きく、且つ、学習値差ΔI1aihが「0」以下である場合には、図15における座標(itgrl,I1aih)が(A)の側から(B)の側に向かって収束点Pdを通過したと判定することができ、(4)積算値差Δitgrlが所定値「C」より大きく、且つ、学習値差ΔI1aihが「0」より大きい場合には、図15における座標(itgrl,I1aih)が(B)の側から(A)の側に向かって収束点Pdを通過したと判定することができる。
【0169】
そこで、上記(1)の条件が成立した場合には、CPU401は、ステップS1405及びステップS1406を順次実行し、学習値I1aihから所定の補正値I1hを減算して最新の学習値I1aihを算出する。
【0170】
また、上記(2)の条件が成立した場合は、CPU401は、ステップS1407及びステップS1408を順次実行し、学習値I1aihに所定の補正値I1hを加算して最新の学習値I1aihを算出する。
【0171】
また、上記(3)の条件が成立した場合は、CPU401は、ステップS1409及びステップS1410を順次実行し、学習値I1aihに所定の補正値I1hを加算して最新の学習値I1aihを算出する。
【0172】
また、上記(4)の条件が成立した場合には、CPU401は、ステップS1411及びステップS1412を順次実行し、学習値I1aihから所定の補正1hを減算して最新の学習値I1aihを算出する。
【0173】
このようにステップS1406、ステップS1408、ステップS1410、又はステップS1412において最新の学習値I1aihが算出されると、CPU401は、この最新の学習値I1aihにより、バックアップRAM404の学習値記憶領域に記憶されている学習値I1aihを更新し、次いでステップS1305へ進む。
【0174】
ステップS1305では、CPU401は、カウンタaicntのカウント値を1つインクリメントする。
【0175】
続いて、CPU401は、ステップS1306において、補正値I1hが加味された学習値I1aihを用いて指示電流値I1を更新し、その後の処理を一旦終了する。
【0176】
尚、上記した(1)〜(4)の何れの条件も成立しない場合は、積算値差Δitgrlが所定範囲(「−C」以上、「C」以下)にあることになるため、CPU401は、座標(itgrl,I1aih)が収束点Pdと十分近い位置にあると判定することができる。従って、上記した(1)〜(4)の何れの条件も成立しない場合には、CPU401は、ステップS1405、ステップS1407、ステップS1409、及び、ステップS1411を順次経てステップS1305へ進むことになる。
【0177】
そして、CPU401は、ステップS1305においてカウンタaicntのカウント値を1つインクリメントし、続くステップS1306において補正値I1hが加味されていない学習値I1aihによって指示電流値I1を更新することになる。
【0178】
ちなみに、前記したステップS1406、ステップS1408、ステップS1410、及び、ステップS1412にて適用される補正値I1hについては、積算値itgrlが大きくなるに従って該補正値が相対的に大きな値となり、積算値itgrlが小さくなるに従って該補正値が相対的に小さな値となるよう予めマップ上に記憶させておくようにしてもよく、若しくは積算値itgrlをパラメータとして適宜演算するようにしてもよい。
【0179】
このように学習制御ルーチンが繰り返し実行されることにより、指示電流値I1の最適値が求められる。上記した学習制御ルーチンにおいて更新された指示電流値I1が最適値であるか否かを判別する方法としては、例えば、上記した(1)〜(4)の条件が何れも成立しないとき、つまり積算値差Δitgrlが所定範囲(「−C」以上、「C」以下)にあるときの指示電流値I1を最適値と判定する方法を例示することができる。このようにして求められた指示電流値I1の最適値は、バックアップRAM404の指示電流値記憶領域にデフォルト値として記憶されるようにしてもよく、ROM402の所定領域に指示電流値I1のデフォルト値として記憶されるようにしてもよい。
【0180】
尚、疑似吸気弁510の開弁動作については、第1の電磁コイル308に通電される指示電流と第2の電磁コイルに通電される指示電流とを入れ替えることにより、図6で説明した「開弁量制御ルーチン」、並びに図13及び図14で説明した「学習制御ルーチン」の制御ロジックを基本的にはそのまま適用することができる。
【0181】
従って、内燃機関1に搭載される全ての吸気側電磁駆動機構用アッセンブリについて上記した学習制御ルーチンを実行することにより、内燃機関1に搭載されるECU20には、個々の吸気側電磁駆動機構用アッセンブリに対応した最適な指示電流値I1がデフォルト値として記憶されることになる。
【0182】
ここで図12に戻り、前記した第6工程S1206の学習制御により求められた指示電流値I1(デフォルト値)が予め設定された所定の基準範囲にあれば、第7工程S1207が行われることになるが、第6工程S1206の学習制御により求められた指示電流値I1(デフォルト値)が前記した所定の基準範囲から外れていると、アーマチャ311が中立位置に正確に配置されるようアジャストボルト313が再度微調整された上で、前記した第6工程S1206が再度実行されることになる。こうした指示電流値I1の学習制御とアジャストボルト313の微調整とは、指示電流値I1が所定の基準範囲内となるまで交互に繰り返される。
【0183】
第7工程S1207では、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリが治具からはずされる。その際、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリとECU20とが分離されるようにしてもよいが、それら吸気側電磁駆動機構用アッセンブリとECU20との組み合わせが後に識別できるようにすることが好ましい。
【0184】
続く第8工程S1208では、前記した第6工程S1206の学習制御において互いに接続された吸気側電磁駆動機構用アッセンブリとECU20とが組にされて、内燃機関1の製造工場へ納品される。尚、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリに係る学習制御において、ECU20の代わりに専用の制御回路が用いられる場合には、その制御回路と吸気側電磁駆動機構用アッセンブリとが一組にされて内燃機関1の製造工場へ納品されるようにしてもよい。
【0185】
第9工程S1209では、前記第8工程S1208で納品された吸気側電磁駆動機構用アッセンブリとECU20とを一組にして内燃機関1に組み付け及び接続される。尚、前記した第8工程S1208においてECU20の代わりに専用の制御回路が吸気側電磁駆動機構用アッセンブリとともに納品された場合には、該第9工程S1209において、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリを内燃機関1に組み付けるとともに、前記の制御回路に記憶された学習内容を内燃機関1のECU20へ別途転送するようにしてもよい。
【0186】
第10工程S1210では、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリ及びECU20が内燃機関1に組み付けられた状態で、前記の第6工程S1206と同様の制御手順に従って指示電流値I1の学習制御が行われる。その際、内燃機関1をテスター等に組み付けた状態で運転させ、内燃機関1の負荷を適宜変更することで各負荷に対応した指示電流値I1の最適値を求めるようにすることが好ましい。そして、各負荷毎の最適な指示電流値I1をデフォルト値としてECU20に記憶させる。
【0187】
第11工程S1211では、内燃機関1とECU20とが一組にされて出荷される。
【0188】
以上述べたように、内燃機関1に取り付けられるべき吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの出荷前に、それら全ての吸気側電磁駆動機構用アッセンブリを前述の図11の説明で述べたような治具に取り付けて指示電流値I1の学習制御が実行されることにより、全ての吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの動作態様は、吸気弁28、弁座12、バルブガイド13、ロアスプリング316の初期公差の平均値に適合したものとなる。つまり、全ての吸気側電磁駆動機構用アッセンブリが耐久性能や騒音抑制性能に関して統制のとれた適当な態様で動作するように初期設定されることになる。
【0189】
この結果、内燃機関1の製造工程において各吸気側電磁駆動機構用アッセンブリと実際に組み合わされる吸気弁28、弁座12、バルブガイド13、或いはロアスプリング316に公差が生じていても、吸気側電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関1に組み付けられた後に初めて内燃機関1が運転されるときには、全ての吸気弁28の動作態様が互いに大きく異なることなく所定の範囲内で統制のとれた態様を示すようになる。
【0190】
また、排気側電磁駆動機構31についても、前述した図11の説明で述べた治具と同等の治具を用いて、吸気側電磁駆動機構30と同様の制御ロジックを適用することにより、全ての排気側電磁駆動機構31が耐久性能や騒音抑制性能に関して統制のとれた適当な態様で動作するように初期設定されることになり、内燃機関1が組み上げられた後に初めて運転されるときには、全ての排気弁の動作態様が互いに大きく異なることなく所定の範囲内で統制のとれた動作態様を示すようになる。
【0191】
従って、本実施の形態に係る電磁駆動弁の制御方法によれば、内燃機関1が組み上げられた後に初めて内燃機関1が運転されるときには、吸気側電磁駆動機構30及び排気側電磁駆動機構31の学習制御に要する時間を短縮することが可能になるとともに、弁の脱調等を抑制することも可能となる。
【0192】
更に、内燃機関1が組み上げられた段階で再度吸気側電磁駆動機構30及び排気側電磁駆動機構31の学習制御を行うことにより、内燃機関1が車両に搭載された後に初めて運転されるときには、全ての吸排気弁28、29が最適な態様で動作することになり、吸気側電磁駆動機構30及び排気側電磁駆動機構31の学習制御に時間がかからなくなる。
【0193】
尚、本実施の形態にかかる学習制御によって各電磁駆動機構用アッセンブリ毎に得られた指示電流値の最適値のばらつき(例えば各電磁駆動機構用アッセンブリ毎に得られた最適値と、ECU20の製造段階でROM402に記憶される基準値との間にみられる偏差)を、電磁駆動機構の製造工程にフィーバックさせるようにすれば、各電磁駆動機構毎の公差を小さくすることも容易となる。
【0194】
また、本実施の形態では、図5における指示電流値I1について学習制御を行う例について述べたが、図5における指示電流値I2等他の指示電流値について学習制御を行うこと、或いはこれら指示電流値を併せて同時に学習制御することとしてもよい。更に、制御対象として基準となる電流波形も、図5(b)に示した矩形波に限られるものではない。要は、弁体やアーマチャを所定の速度で変位させるとともに、これらを着座点到達前に減速させる電流波形を基準の電流波形として適用し、このうち、弁体やアーマチャの変位区間中、所定位置における当該弁体やアーマチャの変位速度に対応する電流供給量(指示電流値)を「学習制御ルーチン」(図13,図14)と同等の制御ロジックに従って、適宜変更すれば、上記各実施の形態と同等若しくはこれに準ずる効果を奏することはできる。
【0195】
また、本実施の形態では、吸気弁28や排気弁29の開閉弁動作に伴って発生する振動エネルギーに関する情報を検出する手段として、加速度センサ317を適用することとしたが、周知のノックセンサ等、振動エネルギーに関する情報を検出する他の検出手段を適用することもできる。その際、上記したような検出手段によって検出される信号出力は、必ずしも振動エネルギーと直線的な相関関係を有するものでなくてもよく、要は、振動エネルギーに関する情報を反映する検出信号を出力するものであればよい。
【0196】
また、本実施の形態において、加速度センサ317に出力させる検出信号は、各電磁駆動機構の機械的な特性にもよるが、アーマチャが各電磁コイルに衝突する際に発する振動と、弁体が弁座に衝突する際に発する振動(閉弁動作時のみ)とのうち何れの振動に関するものであってもよく、また、それら振動の合成に関するものであってもよい。
【0197】
また、本実施の形態に係る積算値itgrlは、例えば各加速度センサ317による出力信号を、所定時間(出力信号が閾値αを上回ってから所定時刻Obまで)分、例えば周知積分回路で処理することによって容易に得ることができる。この他、例えば、これも周知のピークホールド回路等、出力信号のピーク値を逐次検出する回路を利用して所定時間分の検出信号を確保しておき、当該確保された信号を適宜加工することによって積算値itgrlに相当するパラメータを得ることもできる。
【0198】
また、本実施の形態では、加速度センサ317の検出信号の信号振幅を適宜の期間積算することで、この積算値itgrlと極めて大きな相関性を有する着座速度を推定検出しているが、検出素子とこの検出素子と所定の隙間をもって対向する対象物との距離を検出可能な周知のギャップセンサを適用して上記着座速度を検出するようにしてもよい。
【0199】
その際、吸排気弁28、29のリフト量を微小時間間隔で観測するとともに、各観測点間の信号出力差を時間微分することで、各観測点における弁体等の変位速度を求めることができる。特に、例えば最大リフト量に相当するギャップを閾値として予め設定しておくことにより、ギャップセンサからの信号出力から演算されるギャップが閾値を上回る観測点を着座点として認識し、その観測点若しくはその観測点の直前の観測点における変位速度を着座速度と推定することができる。尚、各吸排気弁28、29のリフト量を微分して得られる速度信号に基づいて着座速度を推定することもできる。
【0200】
このようにして推定された着座速度を、前述した「学習制御ルーチン」において積算値itgrlと同等のパラメータとして取り扱うことにより、本実施の形態に準ずる効果を奏することはできる。
【0201】
また、本実施の形態における電磁駆動機構30、31は、アーマチャの変位する両変位端にそれぞれ電磁コイルを備えるとともに、2本のスプリングがアーマチャを中立位置に保持すべく互いに対向する方向に向かってアーマチャを付勢する構成を有している。これに対し、アーマチャの変位方向に沿って、一方の側からのみスプリングが当該アーマチャを付勢するとともに他方の側にはアーマチャの変位動作を規制する規制部材を設け、さらに、スプリングの付勢力と対向する方向のみに向かってアーマチャに吸引力が作用するように電磁石を配設するよう各電磁駆動機構を構成してもよい。
【0202】
また、本実施の形態では、吸排気弁28、29及びアーマチャ311の着座速度を学習して指示電流値のデフォルト値を最適化する例について述べたが、吸排気弁28、29及びアーマチャ311の所定位置における変位速度を学習して指示電流値のデフォルト値を最適化するようにしてもよく、吸排気弁28、29及びアーマチャ311の所定の時期における変位位置を学習して指示電流値のデフォルト値を最適化するようにしてもよく、又は電磁駆動機構用アッセンブリに付随する加速度センサ317などの出力特性を学習して指示電流値のデフォルト値を最適化するようにしてもよい。
【0203】
【発明の効果】
本発明に係る電磁駆動弁の制御方法では、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられる前に、該電磁駆動機構用アッセンブリの学習制御が行われるため、電磁駆動機構用アッセンブリが内燃機関に組み付けられた後に初めて使用される際には、組み付け前に行われた学習制御に従って電磁駆動機構用アッセンブリが制御されることになり、該電磁駆動機構用アッセンブリの学習制御に時間がかからなくなる。この結果、電磁駆動機構用アッセンブリが初めて使用される際には、該電磁駆動機構用アッセンブリを所望の態様で動作させ易くなり、電磁駆動機構用アッセンブリの制御性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の概略構成を示す平面図
【図2】 本発明に係る内燃機関の概略構成を示す断面図
【図3】 吸気側電磁駆動機構の内部構成を示す図
【図4】 ECUの内部構成を示すブロック図
【図5】 吸気弁が開弁状態から閉弁状態に移行する際のリフト量、並び に第1の電磁コイルに通電される指示電流等の変化態様を示す タイムチャート
【図6】 実施の形態に係る開弁量制御ルーチンを示すフローチャート
【図7】 吸気弁が開弁状態から閉弁状態に移行する際のリフト量、及び 第1の電磁コイルに通電される指示電流等の変化態様を示すタ イムチャート
【図8】 加速度センサの検出信号の信号振幅を累積的に積算して得られ る積算値の変化態様を示すタイムチャート
【図9】 指示電流値を逐次変更していく過程において加速度センサの信 号振幅の積算値が収束していく軌跡を示す図
【図10】 実施の形態に係る吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの構成 を示す図
【図11】 実施の形態に係る治具の構成を示す図
【図12】 吸気側電磁駆動機構用アッセンブリの製造から内燃機関が出 荷されるまでの工程を示すフローチャート
【図13】 吸気側電磁駆動機構に適用される学習制御ルーチンを示すフ ローチャート(1)
【図14】 吸気側電磁駆動機構に適用される学習制御ルーチンを示すフ ローチャート(2)
【図15】 本実施の形態に係る学習制御に従って加速度センサの信号振 幅の積算値が収束点に収束するまでの軌跡を示す図
【符号の説明】
1・・・・・内燃機関
10・・・・ロアヘッド
12・・・・弁座
13・・・・バルブガイド
20・・・・ECU
25・・・・点火栓
26・・・・吸気ポート
27・・・・排気ポート
28・・・・吸気弁
29・・・・排気弁
30・・・・吸気側電磁駆動機構
30a・・・吸気側駆動回路
31・・・・排気側電磁駆動機構
31a・・・排気側駆動回路
316・・・ロアスプリング
317・・・加速度センサ
500・・・ダミーヘッド
510・・・疑似吸気弁
520・・・疑似弁座
530・・・疑似バルブガイド
540・・・疑似ロアスプリング

Claims (3)

  1. 相互に対向して配置された一対の電磁石、前記電磁石が発生する電磁力を受けて往復移動することにより内燃機関の吸気弁又は排気弁を開閉動作させるアーマチャ、前記電磁石へ励磁電流を印加する駆動回路、及び前記アーマチャが変位端に着座した時の振動を検出する加速度センサを具備する電磁駆動機構用アッセンブリを組み立てる第1工程と、
    前記電磁駆動機構用アッセンブリの駆動回路及び加速度センサを電子制御ユニットと電気的に接続する第2工程と、
    前記電磁駆動機構用アッセンブリ及び前記電子制御ユニットが内燃機関に組み付けられる前に、前記電子制御ユニットにより前記電磁駆動機構用アッセンブリを動作させる第3工程と、
    前記第3工程において加速度センサが振動を検出したタイミング及び検出された振動の振幅に基づいて前記アーマチャの着座速度を推定するとともに、推定された着座速度が目標着座速度となる励磁電流の印加量及び印加量の変更タイミングを前記電子制御ユニットに学習させる第4工程と、
    を備える電磁駆動弁の制御方法。
  2. 前記第3工程において、前記電磁駆動機構用アッセンブリは、内燃機関に搭載される吸気弁又は排気弁と同形状の疑似吸気弁又は疑似排気弁を搭載した治具に組み付けられて動作させられることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動弁の制御方法。
  3. 前記疑似吸気弁又は前記疑似排気弁は、前記内燃機関に搭載される吸気弁又は排気弁の初期公差の平均値を満たすように形成されることを特徴とする請求項2に記載の電磁駆動弁の制御方法。
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