JP4210713B2 - 導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法 - Google Patents
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Description
導電性のある酸化物(導電性酸化物)はITOに限らず、IGZO(In−Ga−Zn−O系複合酸化物)、ZnO、Zn−SnO2、SnO2、Co−In−O系複合酸化物、Ni−Sn−O系複合酸化物、Cu−Ga−O系複合酸化物、Pb−Sn−O系複合酸化物、Cd−Zn−O系複合酸化物、Ca−Gu−O系複合酸化物、Sb−In−O系複合酸化物、Fe−Ge−O系複合酸化物、Pb−Sn−O系複合酸化物、Ti−In−O系複合酸化物など、多数の導電性のある酸化物が存在する。そして、同様にターゲットを作製し、これをスパッタリングして薄膜を形成し、各種の電子部品に利用されている。
したがって、使用済みのスパッタリングターゲットには多くの非エロージョン部、すなわち未使用のターゲット部分が残存することになり、これらは全てスクラップとなる。また、これらの導電性のある酸化物からなるスパッタリングターゲットの製造時においても、研磨粉や切削粉からスクラップ(端材)が発生する。
例えば、ITOスクラップを洗浄及び粉砕後、塩酸に溶解し、溶解液に硫化水素を通して、亜鉛、錫、鉛、銅などの不純物を硫化物として沈殿除去した後、これにアンモニアを加えて中和し、水酸化インジウムとして回収する方法である。
しかし、この方法によって得られた水酸化インジウムは、ろ過性が悪く操作に長時間を要し、Si、Al等の不純物が多く、また生成する水酸化インジウムはその中和条件及び熟成条件等により、粒径や粒度分布が変動するため、その後ITOターゲットを製造する際に、ITOターゲットの特性を安定して維持できないという問題があった。導電性のある他の酸化物も同様である。
その一つとして、基板上に被着されたITO膜を電解液中で電気化学的反応により還元させ、さらにこの還元された透明導電膜を電解液に溶解させる透明導電膜のエッチング方法がある(特許文献1参照)。但し、目的がマスクパターンを高精度で得る方法であり、回収方法とは異なる技術である。
ITOからの有価金属を回収するための事前処理として、バッキングプレートとの接合に用いていたIn系のロウ材に含まれる不純物を電解液中で分離する技術がある(特許文献2参照)。しかし、これはITOから有価金属を回収する直接的な技術に関するものではない。
また、高純度インジウムの回収方法として、ITOを塩酸で溶解し、これにアルカリを加えてpHが0.5〜4となるようにし、錫を水酸化物として除去し、次に硫化水素ガスを吹き込み銅、鉛等の有害物を硫化物として除去し、次いでこの溶解液を用いて電解によりインジウムメタルを電解採取する技術が開示されている(特許文献4参照)。この技術も精製工程が複雑であるという問題がある。
これ自体は有効な方法であるが、導電性のある酸化物の基本的な回収方法ではないという欠点がある。以上から、効率的かつ回収工程に汎用性がある方法が求められている。
本発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法は、アノード又はカソードに不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となるもう片方のカソード又はアノードに導電性のある酸化物を含有するスクラップを使用することが大きな特徴であるが、さらにこの場合、アノード及びカソードの双方の極性を周期的に反転して電解する、すなわち周期的に極性を交互に変化させて電解するものである(アノードの極性⇔カソードの極性の相互反転)。
これにより、水酸化物として効率良く回収することが可能となる。従来このような技術は存在せず、またこの方法を示唆するような一切の文献も存在していない。したがって、本願発明の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法は基本発明となるものである。
ITO等の上記に列挙した物質自体が導電性を備えていることは既に知られていることであるが、これは例えば、ITOについて説明すれば、酸化錫(SnO2)及び酸化インジウム(In2O3)の焼結体であるITO酸化物の酸素欠損によるものと考えられている。上記の他の、導電性のある酸化物も同様である。
本願発明は、このような物質自体の導電性を利用するものであるが、ITO等の物質自体に備わる導電性が電解による有価金属の回収が可能であるという知見と判断は、多くの実験を行わなければ実現できないものであることは理解されるべきものである。
これらの工程において問題となるのは、導電性のある酸化物を含有するスクラップの粉砕工程で不純物が混入することであり、その後の工程で、粉砕工程で混入した不純物を、さらに除去する必要があるので、工程がより煩雑になるということである。
したがって、導電性のある酸化物を含有するスクラップから電解により直接有価金属を回収できることは、極めて大きな利点を持つことが理解できるであろう。
一般に、設備が固定されれば、反転時期の定常的に最適条件が把握できるので、それに従って、一定の時期に反転させることもできる。したがって、このアノード及びカソード極性の反転時期のコントロールは、任意でありこの条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるべきものである。
また、上記電解に際して、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、導電性のある酸化物を含有するスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって、任意に変更することができる条件である。これは好適な条件を示すものであって、上記と同様にこの条件に拘束されるものでないことは容易に理解されるであろう。
この場合、pH2以下又はpH12を超えると、イオンとして溶解し、電着するため効率が落ちるためである。しかし、pH2以下又はpH12を超える場合でも、硝酸イオン等の添加によりメタ錫酸として沈殿させることにより、この不都合を改善できるので、必ずしもPHを2〜12に限定する必要もない。また、物質(スクラップ)の種類により、水酸化物を生成する領域が異なるので、この意味からも、上記領域に限定する必要はない。本願発明は、これらを全て包含するものである。
電解液としては、有害ガスの発生がない液であり、また水酸化物として回収する場合には、これらの物質中に不純物として含有されない材料を選択するのが望ましい。このことから、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して使用することができる。
本願発明は、導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収に際して、電解することにより得た水酸化物を回収することにより、目的は達成しているのであるが、さらにこの水酸化物を焙焼して金属の酸化物又は2種以上の金属酸化物の混合物として回収することも可能である。
さらに、上記電解することにより得た水酸化物を酸浸出して金属を含有する溶液とし、この溶液をpH調整して、それぞれの目的とする金属を採取することもできる。
これは、本願発明の著しい利点であることは言うまでもない。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有するものである。
また、電流密度等の電解条件は、端材等のスクラップであるために一義的に決められるものではなく、電流密度はその端材の量や材料の性質に応じて適宜選択して実施する。電解質溶液の液温は、通常0〜100°Cの範囲とするが、室温(15〜30°C)で十分である。
焙焼温度としては、100〜1000°Cとする。好ましくは100〜500°Cとするのが良い。100°C未満では水分が残り、1000°Cを超えると焼結してしまうので、上記の範囲とする。
しかし、この焙焼温度の選択は任意である。本願発明は上記の通り、本願発明の極性を周期的に反転する電解により得た水酸化物を焙焼することが、本願発明の本質であり、これが公知技術として存在しない限り、上記焙焼温度に限定されるべき理由はない。また、後に焙焼温度の工夫又は改良があったとしても、本願発明の上記思想の範囲内にあり、本願発明に包含されるものであることは明らかである。
また、陰イオンが塩素系の場合は、陽極の不働態化に伴って塩素ガスの発生があり、また硝酸系の場合は陽極不導体化に伴って酸化窒素ガスの発生と排水の窒素負荷があるので、その処理に注意を要する。
硫酸系ではこれらの問題は殆んどないので、硫酸系は好適な材料と言える。しかし、その他の電解液の使用も、上記の問題を解決できれば、使用を妨げる理由は存在しない。
この他に、電流効率を上げるために、一般に知られている公知の添加材を使用することも可能である。
これによって、導電性のある酸化物を含有するスクラップに含有されている以上の不純物の増加又は混入を避けることができる。不溶性電極としては、既に公知のものを使用できる。カーボン等が好ましい材料であるが、この不溶性電極に限定する必要はない。一般に不溶性電極と言われているものは全て適用可能である。不溶性電極の選択に本願発明の本質があるのではないことは、容易に理解できるであろう。
また、電解温度も特に制限はないが、0〜100°Cに調整して電解することが望ましい。室温で十分電解することができる。端材となったスクラップは、カソードボックス(籠)に入れて電解すれば良い。スクラップ自体が所定の大きさ(電極として使用できるサイズ)を有するものは、そのまま電極板として使用することができる。
導電性のある酸化物を含有するスクラップのカソードでは、通電開始と共に水素ガスが発生し、導電性のある酸化物を含有するスクラップが水素還元されメタルとなる。例えば、スクラップがITOの場合は、インジウム−錫メタルとなる(ITO+H2→In−Snメタル)。水素の発生は水の電気分解による(H2O→1/2H2+OH−)。
このメタルは導電性のある酸化物を含有するスクラップのカソードの表面に蓄積する。一部は水酸化物として析出する。
これは、メタル表層が水素の浸透を抑制していること、またメタル表層にのみ電流が流れ、導電性のある酸化物を含有するスクラップ内部への電流の流れが抑制されることが、電解の進行を妨害する主な原因と考えられる。この状態では、導電性のある酸化物を含有するスクラップのカソードにおいて、目的とする電解が抑制されることとなる。ここで、導電性のある酸化物を含有するスクラップのアノードと同カソードの極性を反転させる。これは極めて重要な工程である。
他方、新カソードでは(旧アノード)は、不溶性の電極を使用しているので、本質的には変動はなく、若干の水素ガスが発生するのみである。
この電極を定期的に反転する工程を採用することにより、電極に発生するガス、すなわち水素及び酸素の発生は、アノード又はカソードの一方の固定電極とする場合に比べ、著しく減少する。これは発生ガスが酸化及び還元に有効に消費されていることを物語るものである。
また、実験によれば、1分〜10分周期でアノード及びカソードの極性を反転するのが好適である。しかし、極性の反転の時期も亦、電解槽の容量、導電性のある酸化物を含有するスクラップの量、電流密度、電圧、電流、電解液の種類によって任意に変更することができる条件である。
横長20mm×縦長100×厚さ6tのITO(酸化インジウム−酸化錫)の板状端材(スクラップ)90gを原料とした。この原料中の成分は酸化錫(SnO2)が9.8wt%、残部酸化インジウム(In2O3)であった。
この原料をカソードとし、アノードには不溶性陽極であるカーボンを使用した。硫酸ナトリウム70g/Lを含有する電解液1Lを使用し、pH:4.0、電解温度:30°Cとして電解を行った。
電圧は10V(定電圧)、電流は2.95A(開始時)〜1.2A(終了時)、通電時間(5分×12サイクルの極性変換)延べ時間60分(1時間)で実施した。
この結果、ITO端材は約2.1gの減少があった。電解槽中に水酸化インジウム及び水酸化錫の混合物が沈殿した。
これによって、In(OH)3は2.2g(In品位:69.23wt%)、Sn(OH)2は0.2g(Sn品位:7.73wt%)を得た。この水酸化インジウム及び水酸化錫又はメタ錫酸の混合物の純度は、スクラップの純度と同等の純度を有していた。
さらに、このようにして得た水酸化インジウム及び水酸化錫又はメタ錫酸の混合物を、150°Cで焙焼して、In酸化物(In2O3)及びSn酸化物(SnO2)の混合物を得ることができた。この混合物は約2.0gであった。この方法により得られる比率は、通常In2O3:90wt%、SnO2:10wt%にあり、再生ITOの原料として使用可能であった。
電解することにより得た水酸化インジウムと水酸化錫又はメタ錫酸の混合物を、さらに硫酸で酸浸出してインジウムと錫の溶液とし、この溶液をpH2.0に調整して錫を水酸化錫として除去し、さらにインジウムを電解温度30°C、電流密度2A/dm2という条件で電解採取した。
以上により、ITOスクラップから約1.5gのInの有価金属を回収することができた。
実施例1のITO端材をカソードに、アノードにPtを用い、硝酸ナトリウム100g/Lの液を用いて、pH10で電解を行った。この結果、インジウムの水酸化物とメタ錫酸を得た。回収量及び純度は実施例1と同様であった。
電流量を2Aと一定にし、電圧10V以上になった時点で極性を反転するように設定した。その他は、実施例1と同様の条件とし、積算電流量も同じとした。
この結果、回収量及び純度は実施例1とほぼ同等であった。
周期を1分間とし、その他は実施例1と同じ条件で電解した。この結果、回収量及び純度は実施例1と同等であった。
周期を10分間とし、その他は実施例1と同じ条件で電解した。この結果、約1.7gのIn酸化物(In2O3)及びSn酸化物(SnO2)からなる混合物が得られた、純度は実施例1と同等であった。
ITO端材をカソードボックスに10Kg入れ、アノードにPtを用い、塩化ナトリウム100g/L、pH10.5の電解液中で電解した。極性の変換は5分間隔で行った。また、電解の積算電流量は1万AHrであった。この結果、In酸化物(In2O3)及びSn酸化物(SnO2)からなる混合物を約6kg得ることができた。また、得られた混合物の純度は実施例1と同程度であった。
実施例1と同じITOスクラップを用いて、これをカソードとし、アノードに不溶性カーボンを用いた。電解条件は実施例1と同様とした。この結果カソードには、インジウム−錫メタルが得られたが、それはカソード表面のみであり、カソード全体のメタル化はできず、効果的な回収ができなかった。
また、ITOにさらに少量の副成分を添加したものもあるが、基本的にITOが基本成分であれば、本願発明は、これらにも適用できることは言うまでもない。
本願発明は、アノード又はカソードの一方に不溶性電極を使用すると共に、他方にITOスクラップを使用し、かつ極性を変えることにより効率良く水酸化インジウム及び水酸化錫又はメタ錫酸の混合物としてITOスクラップから有価金属を効率良く回収できることが分る。次に、ITO以外の実施例について説明する。
・回収対象スクラップ:IGZO(In‐Ga‐Zn‐O系複合酸化物)
アノードには不溶性陽極であるカーボンを使用した。IGZO系の板状端材スクラップを対極(電極)とし、硫酸ナトリウム70g/Lを含有する電解液1Lを用いて、pH9、温度20°Cで電解を行なった。電解は、電圧10Vになった時点で、周期的に極性変換(カソード→アノード→カソード・・・)して実施した。その結果、In,Ga,Znの水酸化物を得た。歩留まりは91%であった。
その後は、通常実施されている湿式方法(酸浸出→溶媒抽出→電解等)を使用することにより、In,Ga,Znのメタルあるいは酸化物の回収を行なうことができた。
以上のように、導電性があるIGZO(In‐Ga‐Zn‐O系複合酸化物)は、効率良く有価物(金属)を回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:ZnO
アノードには不溶性陽極であるカーボンを使用した。ZnO の板状端材スクラップを対極とし、硫酸アンモニウム50g/Lを含有する電解液を用いて、pH10、温度50°Cで電解を行なった。電解は、電圧15Vになった時点で、周期的に極性変換を行なって実施した。その結果、Znの水酸化物が得られた。歩留まりは99.5%であった。純度は、元材(原料の純度)と同一であった。
この水酸化物を用いて、再度脱水、焼結することによりZnOターゲットとして使用可能であった。以上のように、導電性がある酸化物であるZnOは、効率良く回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:ZnO‐SnO2
アノードには不溶性陽極であるカーボンを使用した。ZnO‐SnO2の端材スクラップを対極とし、硫酸ナトリウム100g/Lを含有する電解液を用いて、pH9、電解温度70°Cで電解を行なった。
電解は、5分後毎に周期的に極性を反転させた。その結果、ZnとSnの水酸化物が得られた。歩留まりは99.0%であった。以上のように、導電性酸化物であるZnO‐SnO2は、効率良くZnとSnの水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:SnO2
アノードには不溶性陽極であるカーボンを使用した。SnO2の端材スクラップを対極とし、硫酸ナトリウム70g/Lの溶液で、pH2、電解温度30°Cで行なった。電解は10分毎に周期的に反転させて行った。その結果、Snの水酸化物を得た。歩留まりは99.7%であった。以上のように、導電性酸化物であるSnO2は、効率良くSnの水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Co‐In‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH9とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは97.0%であった。
実施例9と同様に、導電性があるCo‐In‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Ni‐Sn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは98.2%であった。
実施例9と同様に、導電性があるNi‐Sn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Cu‐Ga‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH9とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは99.1%であった。
実施例9と同様に、導電性があるCu‐Ga‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Pb‐Sn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH10とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは99.5%であった。
実施例9と同様に、導電性があるPb‐Sn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Cd‐Zn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは98.1%であった。
実施例9と同様に、導電性があるCd‐Zn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Ga−Cu−O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH10とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは99.6%であった。
実施例9と同様に、導電性があるGa−Cu−O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Sb‐In‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH8とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは98.7%であった。
実施例9と同様に、導電性があるSb‐In‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Fe‐Ge‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは96.7%であった。
実施例9と同様に、導電性があるFe‐Ge‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Pd‐Sn‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH8とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは97.8%であった。
実施例9と同様に、導電性があるPd‐Sn‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
・回収対象スクラップ:Ti‐In‐O系複合酸化物
実施例9と同様に、電解をpH7とし、周期的に反転して電解を行い、水酸化物を得た。歩留まりは93.7%であった。
実施例9と同様に、導電性があるTi‐In‐O系複合酸化物は、効率良く有価物(金属)を水酸化物として回収することが可能であった。
さらに、本願発明の導電性のある酸化物スクラップからの有価金属の回収は、電解に供する導電性のある酸化物スクラップ自体が高純度の材料からなるスクラップであれば、その純度はそのまま維持でき、高純度の水酸化物又は水酸化物と亜水酸化物等の混合物又は金属酸化物又は2種以上の金属酸化物の混合物として回収することができる。
これは、本願発明の著しい利点である。従来の煩雑な工程及び製造途中で混入する不純物を除去する工程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有価金属の回収が可能となるという優れたメリットを有し、導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法として極めて有用である。
Claims (2)
- アノード又はカソードの一方に不溶性電極を使用すると共に、それぞれの対極となる他方のカソード又はアノードに導電性のある酸化物を含有するスクラップを使用し、極性を周期的に反転して電解し、当該スクラップを水酸化物として回収することを特徴とする導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法。
- 酸化物系スクラップが、導電性のある酸化物であり、水素でメタル又は亜酸化物に還元できる物質であることを特徴とする請求項1記載の導電性のある酸化物を含有するスクラップからの有価金属の回収方法。
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