JP4191871B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はブレーキ装置に関するものであり、ブレーキ部材がブレーキ回転体の摩擦面に摩擦係合し始める位置である0点位置の検出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上述のブレーキ装置の一例が、特開平10─181579号公報に記載されている。この公報に記載のブレーキ装置は、(a) ▲1▼車輪と共に回転するブレーキ回転体と、▲2▼そのブレーキ回転体の摩擦面と摩擦係合してブレーキ回転体の回転を抑制するブレーキ部材と、▲3▼自身は車体側部材に相対回転不能に保持され、前記ブレーキ部材をブレーキ回転体の摩擦面に接触・離間可能に保持する保持部材と、▲4▼ブレーキ部材をブレーキ回転体に押し付ける駆動装置とを備えたブレーキと、(b) ブレーキ部材がブレーキ回転体の摩擦面に押し付けられる際に、ブレーキ力が予め定められた設定値以上になった場合の駆動装置の位置を0点位置とする0点位置検出装置とを含む。
この公報に記載のブレーキ装置においては、イグニッションスイッチがOFF状態からON状態に切り換えられた場合に、ブレーキが作動させられて0点位置が検出されるようにされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
しかし、上記公報に記載のブレーキ装置においては、0点位置検出のために、わざわざブレーキが作動させられることになり、エネルギが無駄に消費されるという問題があった。また、0点位置を検出する機会が限られるという問題もあった。0点位置の検出のためにブレーキを作動させることになるため、例えば、イニシャルチェック時等のブレーキを作用状態にしても差し支えない場合に限られるのである。
そこで、本発明の課題は、ブレーキ解除時に0点位置の検出が行われるようにすることである。上記課題は、ブレーキ装置を、下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで,本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
(1) (a)車輪と共に回転するブレーキ回転体と、(b)そのブレーキ回転体の摩擦面と摩擦係合してブレーキ回転体の回転を抑制するブレーキ部材と、(c)自身は車体側部材に相対回転不能に保持され、前記ブレーキ部材を前記ブレーキ回転体の摩擦面に接触・離間可能に保持する保持部材と、(d)前記ブレーキ部材を前記ブレーキ回転体に押し付ける電動モータを有する駆動装置とを備えたブレーキと、
前記電動モータを制御することによって、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を制御するブレーキ制御装置と、
前記ブレーキ部材が前記ブレーキ回転体の摩擦面に摩擦係合し始める前記電動モータの位置である0点位置を、前記ブレーキ制御装置により前記押付力が減少させられる際に検出する0点位置検出装置と
を含むブレーキ装置であって、
前記ブレーキ制御装置が、前記0点位置検出装置による前記0点位置の検出の際に、前記電動モータを、前記ブレーキ部材が後退する向きに一定の回転数で回転させることにより、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を減少させる0点位置検出時ブレーキ制御部を含み、前記0点位置検出装置が、前記押付力が複数回検出されるのに要する予め定められた設定時間の間において、前記押付力の平均的な変化を表す減少勾配が予め定められた設定値以下に最初になった時点の、前記ブレーキ部材の位置である暫定0点位置より、その暫定0点位置と前記押付力が最初に0になる位置との間の長さから前記押付力が最初に0になっても直ちには戻らない前記ブレーキ部材の弾性変形量である非復元量を引いた値だけ前進側の位置を、前記0点位置とする検出部を含むことを特徴とするブレーキ装置(請求項1)。
本項に記載のブレーキ装置においては、ブレーキの解除時、すなわち、ブレーキ部材のブレーキ回転体への押付力が減少させられる際に、0点位置が検出される。車輪の回転を抑制する必要があって作用状態にされたブレーキが非作用状態にされる際に検出されるのであり、0点位置検出のためにブレーキを作動させる必要がなく、エネルギが無駄に消費されることを回避することができる。
また、電動モータは、ブレーキが作動状態にある場合においてそのブレーキ力を制御する場合や、0点位置を検出する場合等に制御される。前者のブレーキ力を制御する場合において、0点位置検出装置によって検出された0点位置に基づいて制御されるようにすれば、クリアランスの変化に起因するブレーキ力の効き遅れを小さくすることができる。
減圧勾配が、押付力が複数回検出されるのに要する予め定められた設定時間の間の、押付力の平均的な変化を表す値とされ、その減圧勾配が予め定められた設定値以下になった場合の、ブレーキ部材の位置である暫定0点位置より、その暫定0点位置と前記押付力が0になる位置との間の長さから前記押付力が0になっても直ちには戻らない前記ブレーキ部材の弾性変形量である非復元量を引いた値だけ前進側の位置が、ブレーキ部材がブレーキ回転体の摩擦面に摩擦係合し始める時点の電動モータの位置である0点位置とされる。
ブレーキ部材はブレーキが作用状態にある場合には圧縮(弾性変形)させられているのが普通である。そして、ブレーキが解除された場合には戻されて、元の状態(厚み)になるのであるが、ブレーキ部材に加えられる押付力が除かれた場合に直ちに戻るとは限らない。そのため、その直ちに戻らない弾性変形量分(非復元量)を考慮して0点位置を決定すれば、検出精度を向上させることができる。この場合において非復元量は一定の量としたり、そのブレーキ部材の材料等によって決まる最大値としたり、作用状態にある場合におけるブレーキ力に基づいて決まる量としたりしたりすることができる。ブレーキ部材の圧縮量はブレーキ力が大きいほど大きくなるため、ブレーキ力が大きいと非復元量も大きくなるのである。
0点位置は、電動モータの出力軸の位置として検出したり、電動モータの出力軸と一対一に対応して移動する可動部材の位置として検出したりすることができる。例えば、電動モータの出力軸に送りねじ装置等の運動変換装置を介して接続される直線移動部材が上記可動部材に該当する。また、少なくとも0点位置検出時において、電動モータの作動量と一対一に対応して前進・後退させられる可動部材(例えば、ブレーキ部材)の位置として0点位置を検出することも可能である。この場合において、電動モータの位置は、上記出力軸や可動部材の端面等のブレーキ本体に対する相対位置で表したり、電動モータの作動状態で表したりすることができる。例えば、電動モータの予め定められた状態(例えば、可動部材が後退端位置にある状態)からの累積回転角度で電動モータの位置を表すことができる。
0点位置は、ブレーキ部材がブレーキ回転体に摩擦係合し始める位置であり、ブレーキの作用が開始される位置である。例えば、ブレーキの非作用状態において、ブレーキ部材がブレーキ回転体から離間している状態にある場合には、0点位置は、ブレーキ部材がブレーキ回転体に接触し始める際の電動モータの位置である。また、非作用状態においても、ブレーキ部材がブレーキ回転体に軽く接触している(摩擦係合しておらず、ブレーキ力は発生していない状態)が、ブレーキ部材と駆動装置の押圧部材とは離間している状態にある場合には、押圧部材がブレーキ部材に接触し始める際の位置とされる。なお、ブレーキ部材が一対設けられて、共通の電動モータにより駆動される場合には、それら一対のブレーキ部材が共にブレーキ回転体に摩擦係合し始める電動モータの位置が0点位置である。
さらに、前記「押付力の減少中」には、運転者によるブレーキ操作が解除される場合のみではなく、運転者のブレーキ操作が行われない状態でブレーキが作用状態にされた場合において、その作用状態にされたブレーキが非作用状態にされる過程も含まれる。例えば、トラクション制御終了時,ビークルスタビリティ制御終了時,自動ブレーキ作動終了時等がある。
なお、ブレーキは、ドラムブレーキであっても、ディスクブレーキであってもよく、これらについては後述する。
(2)前記0点位置検出装置が、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を、前記電動モータの回転角の変化量が予め定められた設定数に達する毎に検出する検出部と、前記設定時間の間、前記検出部によって検出された複数の押付力の各々について、それぞれ、押付力の前記電動モータの単位回転角当たりの変化量を取得し、取得された複数の変化量の平均値を前記減少勾配として取得する手段とを含む(1)項に記載のブレーキ装置(請求項2)。
(3)前記0点位置検出装置が、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を、前記電動モータの回転角の変化量が予め定められた設定数に達する毎に検出する検出部と、前記設定時間の間に、前記検出部によって検出された最初の押付力から最後の押付力を引いた値を、その設定時間の間に回転させられた前記電動モータの回転角で割った値を前記減少勾配として取得する手段とを含む(1)項に記載のブレーキ装置(請求項3)。
(4)前記0点位置検出装置が、前記ブレーキ部材を前記0点位置から予め定められた設定値だけ前進させた場合において、前記押付力が予め定められた設定値以上増加しない場合に、前記検出された0点位置が妥当であると確認する0点位置確認部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項4)。
0点位置を確認すれば、0点位置の検出精度を向上させることができる。例えば、0点位置が検出された後、実際の電動モータの位置をその検出0点位置あるいはわずかに後方の位置まで移動させ、その状態において僅かに電動モータをブレーキの作用状態への方向に僅かに作動させて、ブレーキ力の変化状態を検出する。ブレーキ力が殆ど増加しない場合は0点位置は採用され、設定量以上の値になった場合は採用されないようにするのである。
(5)前記0点位置検出装置が、前記電動モータの作動状態に基づいて前記ブレーキの作動状態を検出するブレーキ作動状態検出部を備えた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、電動モータの作動状態に基づいてブレーキの作動状態が検出される。電動モータによってブレーキ部材がブレーキ回転体に押し付けられるため、電動モータの作動状態に基づけばブレーキの作動状態を検出することができる。
この場合において、電動モータの作動状態とブレーキの作動状態とは、電動モータが作動状態にあるすべての範囲において1対1に対応するとは限らないが、0点位置の検出時等には1対1に対応すると考えることができる。ブレーキの非作用状態と作用状態との切り換え時(ブレーキ部材がブレーキ回転体に接触し始めたり、離間し始めたりする時または、押圧部材がブレーキ部材に接触し始めたり、離間し始めたりする時)には1対1に対応するのである。
( 6 )前記ブレーキ制御装置が、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力が予め定められた設定値以下であり、かつ、前記押付力が減少傾向にある場合を除いた場合に、前記電動モータを前記要求ブレーキ力が得られるように制御する制御部を含み、前記0点位置検出時ブレーキ制御部が、前記押付力が減少傾向にあり、かつ、前記設定値以下になった場合に、前記電動モータを、予め定められたパターンに従って、前記ブレーキ部材が後退する向きに一定の回転数で回転させるものであり、前記0点位置検出装置が、前記押付力が減少傾向にあり、かつ、前記設定値以下になった場合に、前記0点位置の検出を行うものである (1) 項ないし (5) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項5)。
本項に記載のブレーキ装置においては、0点位置の検出の際に予め定められたパターンに従って電動モータが制御される。電動モータが予め定められたパターンに従って制御されれば、0点位置検出の際の条件のバラツキを小さくすることができ、検出された0点位置のバラツキを小さくすることができる。
また、ブレーキ作用開始時には、電動モータは、運転者によるブレーキ操作部材の操作状態に応じて制御されるのが普通であり、0点位置検出のために、制御されるようにすることは望ましくない。それに対して、ブレーキ解除時に、0点位置検出のために電動モータが制御されるようにしても、ブレーキ作用開始時より、車両への影響は小さい。
( 7 )前記ブレーキ制御装置が、前記0点位置検出装置によって0点位置が検出される際に、前記電動モータを予め定められた速度でブレーキ解除方向に作動させる0点位置検出時ブレーキ制御部を含む(1) 項ないし (6) 項に記載のブレーキ装置。
電動モータの回転数が一定に保たれれば、ブレーキ部材に加えられる押付力の減少速度を一定にすることができる。
( 8 )前記ブレーキ制御装置が、前記電動モータを、前記0点位置検出装置によって検出された0点位置に基づいて制御するブレーキ作動時ブレーキ制御部を含む(1) 項ないし (7) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置(請求項6)。
電動モータをクリアランスに基づいて制御すれば、ブレーキの効き遅れを小さくしたり、ブレーキ部材がブレーキ回転体に押し付けられる際に発せられる音を小さくしたりすることができる。また、ブレーキの作用開始時におけるオーバシュートを回避することもできる。
また、0点位置が検出されるため、オートアジャスタが不要となるという利点もある。さらに、ブレーキ部材の磨耗の程度を検出することができるため、磨耗の程度を運転者に報知することも可能である。この場合には、ブレーキ部材の交換時期を報知することもできる。
( 9 )前記ブレーキ制御装置が、前記ブレーキが非作用状態にある場合における前記ブレーキ部材の厚みに基づいて、前記電動モータを制御する(1) 項ないし (8) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
ブレーキ部材の厚みに基づいて電動モータを制御すれば、ブレーキ力を精度よく制御することができる。
( 10 )前記ブレーキ制御装置が、前記ブレーキ作動終了後に、前記電動モータの位置を前記0点位置検出装置によって検出された0点位置に戻す0点位置復帰部を含む(1) 項ないし (9) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
ブレーキ作動終了時に駆動装置が0点位置に戻されるようにすれば、次に作用状態にする際のブレーキの効き遅れを小さくすることができる。また、電動モータにおいて消費される無駄なエネルギを減少させることができる。オートアジャスタが設けられていないブレーキに有効である。
( 11 )前記ブレーキ制御装置が、前記電動モータを、前記0点位置検出装置によって検出された0点に対応する電動モータ位置において遠い位置におけるより小さい速度で作動させるブレーキ作動時ブレーキ制御部を含む(1) 項ないし (10) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
電動モータの位置が0点位置から離れている場合には電動モータの作動速度を早くして、0点位置にある場合には遅くする。それによって、ブレーキの効き遅れを小さくし、ブレーキ作用開始時にオーバシュートが生じることを回避することができる。なお、0点位置にある場合には作動速度を最小にすることもできる。
本項に記載のブレーキ装置は、0点復帰が行われないブレーキについて有効である。
( 12 )前記ブレーキ制御装置が、前記ブレーキ部材を前記ブレーキ回転体に押し付ける際に、前記電動モータを、その電動モータのブレーキ解除位置と前記0点位置に対応する位置との間の予め定められた設定位置から作動速度が減少するように制御するブレーキ作動時ブレーキ力制御部を含む(1) 項ないし (11) 項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
作動速度を減速すれば、0点位置付近における作動速度が小さくなる。
( 13 )前記ブレーキ回転体が回転ディスクであり、前記ブレーキ部材が、それぞれ回転ディスクの両側の摩擦面に対向して配設され、各々平板状の摩擦パッドとその摩擦パッドの背面に固定された裏板とを有するブレーキパッドであり、前記駆動装置が、それら一対のブレーキパッドを前記回転ディスクの両摩擦面に押し付ける押圧装置を含み、前記ブレーキがディスクブレーキである(1)項ないし(12)項のいずれか1に記載のブレーキ装置。
ディスクブレーキにおいては、ブレーキ回転体が回転ディスクとされ、ブレーキ部材が摩擦パッドと裏板とを有するブレーキパッドとされる。押圧装置は回転ディスクと一対のブレーキパッドとを跨ぐ状態で配設されるキャリパである。キャリパは、回転ディスクの回転軸線にほぼ平行な方向に移動可能な浮動キャリパでも、移動不能な固定キャリパでもよい。前者の場合には、キャリパの片側に電動モータが設けられ、後者の場合にはキャリパの両側に電動モータが設けられる。保持部材はマウンティングブラケットとされるが、上記固定キャリパにおいては、固定キャリパとマウンティングブラケットとが一体に形成される。
例えば、押圧装置が浮動キャリパである場合には、キャリパの片側に設けられた電動モータによって、一方のブレーキパッドに、そのブレーキパッドを回転ディスクに押し付ける押付力が加えられると、キャリパが軸方向に移動させられ、他方のブレーキパッドが回転ディスクに押し付けられる。その際、ブレーキパッドの摩擦パッドが圧縮され、キャリパが弾性変形させられる。押付力が大きくされれば、ブレーキ力が大きくなり、ブレーキパッドやキャリパの弾性変形量も大きくなる。
押圧装置により加えられた押付力が小さくされるとブレーキ力が小さくなる。キャリパ,摩擦パッドの弾性変形量が小さくなり、キャリパの上述のブレーキ作用開始時とは逆の方向への移動が許容され、ブレーキパッドがそれぞれ回転ディスクから離間することが許容される。押圧装置によってブレーキパッドに加えられる押付力が0になれば、ブレーキ力が0になる。
( 14 )前記駆動装置が、サービスブレーキ操作部材の操作時に前記ブレーキ部材をブレーキ回転体に押し付けるとともに、パーキングブレーキ操作部材の操作時に前記ブレーキ部材をブレーキ回転体に押し付けるものである(1)項ないし(13) 項に記載のブレーキ装置。
イグニッションスイッチがOFF状態からON状態に切り換えられた場合においては、パーキングブレーキが作用状態にあるのが普通である。そのため、イグニッションスイッチがON状態にされてから、最初にパーキングブレーキの作用が解除される際に0点位置が検出されるようにすれば、早期に0点位置を検出することができ、好都合である。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるブレーキ装置としての電動ブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すブレーキ装置は、左右前輪FL,FRに設けられた電動モータ20を含むディスクブレーキ22と、左右後輪RL,RRに設けられた電動モータ30を含むドラムブレーキ32とを含む。本実施形態においては、電動モータ20,30は共に超音波モータとされている。
本ブレーキ装置には、サービスブレーキ用のブレーキ操作部材としてのブレーキペダル40と、パーキングブレーキ用のブレーキ操作部材としてのパーキングブレーキレバー42とが設けられている。ブレーキペダル40が操作されれば、前輪のディスクブレーキ22,後輪のドラムブレーキ32が電動モータ20,30の駆動によりそれぞれ作動させられ、パーキングブレーキレバー42が操作されれば、後輪のドラムブレーキ32が作動させられる。また、緊急ブレーキ操作部材44が設けられており、緊急ブレーキ操作部材44が操作されると、それに伴って後輪のドラムブレーキ32が緊急ブレーキ作動装置46により機械的に作動させられる。
このように、ディスクブレーキ22は電動モータ20により作動させられる電動ディスクブレーキである。また、ドラムブレーキ32は電動モータ30により作動させられる場合と緊急ブレーキ作動装置46により機械的に作動させられる場合とがあるが、機械的にも作動可能な電動ブレーキと考えることができるため、以下、これらディスクブレーキ22,ドラムブレーキ32を、電動ディスクブレーキ22,電動ドラムブレーキ32と称する。
【0005】
サーピスブレーキのブレーキペダル40には、ストロークシミュレータ52が接続されている。このストロークシミュレータ52は、ブレーキペダル40と連動する連動部材54と、その電動ブレーキ54をガイドするガイド部材56と、連動部材54の移動によって伸縮させられて弾性力が増減させられる弾性部材としてのスプリング58とを含むものであり、ブレーキペダル40の操作力に応じて操作ストロークが得られるようにされている。
【0006】
まず、左右前輪に設けられた電動ディスクブレーキ22について図2に基づいて説明する。
電動ディスクブレーキ22は、車輪と共に回転するブレーキ回転体としての回転ディスク60と、回転ディスク60の両側に配設された一対のブレーキパッド62a,bと、ブレーキパッド62a,bを相対回転不能かつ接触・離間可能に保持するマウンティングブラケット64と、電動モータ20を有する駆動装置66とを含む。ブレーキパッド62a,bは、回転ディスク60の両側の摩擦面68a,bに対向して配設された平板状の摩擦パッド70a,bと、摩擦パッド70a,bの背面に固定された裏板72a,bとを含む。駆動装置66により、ブレーキパッド62a,bが回転ディスク60の摩擦面68a,bにそれぞれ押し付けられてブレーキ力が発生させられる。
【0007】
マウンティングブラケット64は、回転ディスク60を跨ぐ状態で車体に片持ち状にかつ固定的に取り付けられている。マウンティングブラケット64は、▲1▼一対のブレーキパッド62a,bを、回転ディスク60の両側から挟む位置において各摩擦面68a,bと交差する方向(ブレーキパッド62a,bの回転ディスク60に対する接触・離間方向であり、以下、軸方向と称する)に移動可能に支持する部分と、▲2▼各ブレーキパッド62a,bと回転ディスク60との接触時に各ブレーキパッド62a,bに発生する摩擦力を受ける部分とを備えたものである。本ディスクブレーキにおいては、マウンティングブラケット64が保持部材に該当する。
マウンティングブラケット64には駆動装置66が設けられている。駆動装置66は、マウンティングブラケット64に軸方向(ブレーキパッド62a,bの移動方向と平行な方向)に移動可能に設けられたキャリパ80等によって構成される。キャリパ80は、一方のブレーキパッド62bを背後から係合するリアクション部82と、他方のブレーキパッド62aに、そのブレーキパッド62aをブレーキ回転体60に押し付ける押付力を加える電動モータ20が取り付けられた押圧部84とこれらを連結する連結部とを含む。
【0008】
キャリパ80の押圧部84には、超音波モータとしての電動モータ20,電動モータ20の回転運動を直線運動に変換する運動変換装置86,電動モータ20の回転に伴って軸方向に直線移動させられる押圧ピストン88等が設けられている。
押圧ピストン88はキャリパ80の押圧部84に対して軸方向に相対移動可能に設けられている。また、押圧部84と押圧ピストン88との間にはシール部材90が設けられ、異物の混入が防止される。
超音波モータ20は、進行波式のものであり、ステータに超音波振動を与えて表面に波を生じさせるとともに、ステータとロータとの間の摩擦力によってロータを回転させるものである。本実施形態においては、超音波モータ20は、ステータ92とロータ94と押圧接触機構96とを含むものである。ステータ92は複数の圧電体を含むものであり、隣接する圧電体に互いに位相の異なる電圧を印加させることによってステータ92の表面に波を生じさせる。押圧接触機構96は、皿ばねを含むものであり、皿ばねによりロータ94がステータ92に押し付けられ、これらの間に必要な摩擦力が得られるようにされている。ロータ94のうちのステータ92と接触する部分には摩擦材料が接着されており、これにより、ステータ92に発生した進行波振動がロータ94に確実に伝達され、回転させられる。
また、電動モータ20においては、ステータ92の圧電体に電圧が印加されない限り、ステータ92とロータ94とが相対回転させられることはない。換言すれば、ステータ92に電圧が印加されない間は、押圧ピストン88の位置は保たれるのであり、ブレーキ力が保たれることになる。
【0009】
運動変換装置86は、ボールねじ機構を有するものであり、雄ねじ部材100と雌ねじ部材102とが複数個のボールを介して螺合された構造とされている。雄ねじ部材100は、回転は制限されるが軸方向移動は許容された部材とされ、雌ねじ部材102は回転は許容されるが軸方向移動は制限された部材とされている。
雄ねじ部材100は押圧部84に回転阻止部103によって回転不能に取り付けられており、雌ねじ部材102は、ロータ94に相対回転不能に、キャリパ80に対し相対回転可能かつ軸方向の相対移動不能な状態で取り付けられている。雌ねじ部材102は、軸方向の隔たった位置においてラジアル軸受け120とラジアルスラスト軸受け122とを介して押圧部84に支持されている。また、スナップリング124により、これら軸受け120,122の軸方向の移動が阻止される。
したがって、ロータ94が正方向に回転すれば、雌ねじ部材102がキャリパ80に対して相対回転させられ、それによって、雄ねじ部材100が前進させられ、押圧ピストン88がブレーキパッド62aが回転ディスク60に接近する向きに移動する。逆に、ロータ94が逆方向に回転すれば、雄ねじ部材100が後退し、押圧ピストン88がブレーキパッド62aが回転ディスク60から離間する向きに移動することが許容される。
【0010】
また、雄ねじ部材100の先端部には、荷重センサ140が設けられている。雄ねじ部材100は荷重センサ140を介して押圧ピストン88に背後から係合する。従って、荷重センサ140からの出力信号に基づいて電動モータ20によりブレーキパッド62bが加圧される際の加圧力が検出可能となる。
【0011】
本電動ディスクブレーキ22において、電動モータ20が正方向に回転させられた場合には、それに伴って押圧ピストン88が前進させられ、ブレーキパッド62aが回転ディスク60の摩擦面68aに押し付けられる。それによってキャリパ80がマウンティングブラケット64に対して軸方向に移動させられ、ブレーキパッド62bが回転ディスク60の摩擦面68bに押し付けられる。そして、キャリパ80が弾性変形させられ、摩擦パッド70a,bが弾性変形させられる。ブレーキが作用状態にされるのであり、この状態においては、ブレーキ力は押圧力の増加に伴って大きくなる。
電動モータ20が逆方向に回転させられれば、押圧ピストン88に加えられた押圧力が小さくされる。また、キャリパ80の弾性変形量,摩擦パッド70a,bが弾性変形量が小さくなり、キャリパ80の軸方向の上述とは反対方向の移動が許容される。押圧ピストン88の後退が許容され、ブレーキパッド62a,bの回転ディスク60の摩擦面68a,bからの離間が許容される。ブレーキパッド62a,bの回転ディスク60への押付力が0にされれば、ブレーキ力が0となり、ブレーキが非作用状態にされる。なお、ブレーキ力が0になった場合に、直ちに摩擦パッド70a,bが弾性変形前の状態に戻るとは限らない。完全に復元しない場合があるのであり、弾性変形させられた状態に保たれる場合があるのである。
【0012】
次に左右後輪用の電動ドラムブレーキ32について説明する。左右後輪用の電動ドラムブレーキ32は、図3に示すようにデュオサーボ型のものである。電動ドラムブレーキ32は、ほぼ円盤状を成した保持部材としてのバッキングプレート200と、そのバッキングプレート200に設けられ、概して円弧状を成した一対のブレーキシュー202a,bと、内周面に摩擦面204を備えて車輪と共に回転するドラム206と、一対のシュー202a,bの一端部同士を拡開させる駆動装置としての電動アクチュエータ207とを含む。バッキングプレート200は図示しない車体側部材に回転不能に取り付けられるのであり、バッキングプレート200が保持部材とされる。
【0013】
一対のブレーキシュー202a,bは、それぞれ、互いに対向する一端部において、バッキングプレート200に固定されたアンカピン208に係合させられることによって、ドラム206と共に回転することを防止された状態で回動可能に保持される。また、他端部同士がストラット210によって連結される。ストラット210によって一方のシューに作用する力が他方のシューに伝達されるのである。なお、一対のブレーキシュー202a,202bは、シューホールドダウン装置212a,212bによってバッキングプレート200にそれの面に沿って移動可能とされている。
【0014】
一対のブレーキシュー202a,202bの他端部同士は、図に示すように、スプリング214により互いに接近する向きに付勢されており、一端部には各シューリターンスプリング215a,215bによりアンカピン208に向かって付勢されている。また、一対のブレーキシュー202a,bを渡る状態で、ストラット216,リターンスプリング218が設けられている。
各ブレーキシュー202a,202bの外周面には、それぞれ、摩擦係合部材としてのブレーキライニング219a,219bが保持され、それら一対のブレーキライニング219a,219bがドラム206の内周面204に摩擦係合させられることにより、ブレーキライニング219a,219bとドラム206との間に摩擦力が発生する。本実施形態においては、ストラット210がアジャスト機構を備えたものであり、ブレーキライニング219a,219bの摩耗に応じてブレーキライニング219a,219bとドラム内周面204との隙間が調整される。ドラムブレーキにおいては、これらブレーキライニング219a,bを含むブレーキシュー202a,bによってブレーキ部材が構成される。
【0015】
各ブレーキシュー202a,202bは、それぞれリム220a,220bとウェブ222a,222bとを含み、ウェブ222a,222bに、それぞれ、レバー230a,230bの一端部がピン232a,232bを介して回動可能に設けられている。レバー230a,230bとウェブ222a,222bとの互いに対向する部分には、それぞれ、切欠が設けられており、これら切欠に、前記ストラット216が、両端がレバー230a,b、ウェブ222a,bに係合させられた状態で設けられている。
【0016】
レバー230aの他端部には、電動モータ30を含む電動アクチュエータ207が連結され、レバー230bの他端部には、パーキングブレーキケーブル242の一端部が連結されている。ブレーキペダル40またはパーキングブレーキレバー42が操作されると、電動モータ30の駆動によってレバー230aが回動させられ、ストラット216により、一対のブレーキシュー202a,bが拡開させられる。また、緊急ブレーキ操作部材44が操作されると、パーキングブレーキケーブル242が引っ張られ、レバー230bが回動させられ、一対のブレーキシュー202a,bが拡開させられる。
【0017】
電動アクチュエータ207は、上記電動モータ30の他に、減速機,運動変換機構を含む。電動モータ30の出力軸の回転が減速機によって減速させられ、その回転運動がボールねじ機構によって直線運動に変換されるのであり、そのボールねじ機構の出力部材にレバー230aの他端部が連結されるのである。
パーキングブレーキケーブル242の他端部は、図1に示すように、緊急ブレーキ作動装置46が設けられている。緊急ブレーキ作動装置46は緊急ブレーキ操作部材44の操作力により機械的に作動させられるものであり、一対のブレーキシュー202a,202bが拡張する向きにレバー230bが回動するようにブレーキケーブル242へ引張力が付与される。
【0018】
なお、レバー230bの他端部とバッキングプレート200との間には、リターンスプリング244がパーキングブレーキケーブル242と同軸に配設されている。また、レバー230aには荷重センサ246が設けられている。荷重センサ246は歪みゲージを含むものであり、電動アクチュエータ207によってレバー230aに加えられる荷重が検出される。
【0019】
電動ドラムブレーキ32において、電動モータ30が正方向に回転させられると、レバー230aがブレーキシュー202aに対して時計方向に回動させられ、一対のブレーキシュー202a,bにはこれらを互いに拡開させる方向の拡開力が加えられる。拡開力は、リターンスプリング218とシューリターンスプリング215a,bとを引っ張る引張力として作用する。
拡開力が、これらリターンスプリング218とシューリターンスプリング215a,bとのセット荷重の和(以下、リターンスプリング等のセット荷重と略称する)より大きくなると、一対のブレーキシュー202a,bがリターンスプリング等の弾性力に抗して拡開させられ、ブレーキシュー202a,bがドラムの内周面204に接触させられ、ブレーキが作用状態とされる。ブレーキの作用状態においては、電動アクチュエータ207によって加えられる拡開力の増加に伴って一対のブレーキシュー202a,bに加わる押付力が大きくされ、ブレーキ力が増加させられる。
なお、本実施形態においては、ブレーキシュー202a,bに加えられる拡開力がレバー230aに加えられる荷重fとして検出される。また、荷重fは、図9に示すように、一対のブレーキシュー202a,bがリタースプリング等の弾性力に抗して拡開させられる期間T2 においては、電動モータ30が正方向に回転させられても、増加せず、ほぼ一定の大きさに保たれる。その後、一対のブレーキシュー202a,bがドラム内周面204に接触した状態においては、ブレーキ力の増加に伴って大きくなる。
【0020】
また、一方のブレーキシュー202bにおいて生じた摩擦力に基づくつれまわり力と、電動アクチュエータ207による拡開力とが他端部からストラット210を介して他方のブレーキシュー202aの他端部に伝達される。ブレーキシュー202aは、このつれまわり力と拡開力との和によりによりドラム内周面204に押し付けられ、ブレーキシュー202bより大きな摩擦力が生じる。このように、ブレーキシュー202bの出力がブレーキシュー202aの入力となり、しかも、二重のサーボ効果が得られるため、デュオサーボ型ドラムブレーキにおいては、大きなブレーキ力を得ることができるのである。
【0021】
電動モータ30が逆方向に回転させられると、一対のブレーキシュー202a,bに加えられる拡開力は小さくされ、それに伴ってブレーキ力が小さくされる。拡開力がリターンスプリング等のセット荷重より小さくなれば、一対のブレーキシュー202a,bはリターンスプリング等の弾性力により互いに接近させられ、内周面204から離間させられる。ブレーキ力が0にされるのであり、ブレーキが非作用状態にされる。また、レバー230aのピン232aの周りの反時計方向の回動が許容される。
なお、レバー230aに加えられる荷重は、図9に示すように、一対のブレーキシュー202a,bがドラム内周面204に接触させられた状態においては、ブレーキ力の減少に伴って減少させられるが、一対のブレーキシュー202a,bがリタースプリング等の弾性力によって接近させられる期間T3 においては、電動モータ30が逆方向に回転させられても、減少せず、ほぼ一定の大きさに保たれる。
【0022】
次に、本ブレーキ装置のソフトウェア構成を説明する。
図1に示すように、コントローラ298は、CPU,ROMおよびRAMを含むコンピュータ300を主体として構成されている。このコントローラ298の入力側には操作力センサ302、ブレーキペダルスイッチ304、パーキングレバースイッチ306、荷重センサ140,246、エンコーダ308,310、電流センサ312等が接続されている。
操作力センサ302は、ブレーキペダル40に加えられた操作力を検出するものであり、操作力センサ302によって検出された操作力に基づいて運転者の所望する要求ブレーキ力が求められる。ブレーキペダルスイッチ304は、ブレーキペダル40が操作状態にある場合と非操作状態にある場合とで、異なる状態に切り換えられるものであり、パーキングレバースイッチ306は、同様に、パーキングブレーキレバー42の操作状態を検出するものである。また、エンコーダ308,310は、電動モータ20,30の回転回数をそれぞれ検出するものである。さらに、電流センサ312によって各電動モータ20,30に流れる電流が検出される。
【0023】
一方、コントローラ298の出力側には、ドライバ322が接続されている。ブレーキペダル40の操作時には、コントローラ298からそのドライバ322に指令が供給され、その指令に応じてドライバ322によってバッテリ320から電動モータ20,30に電流が供給される。
コンピュータ300のROMには、図4のフローチャートで表されるブレーキ制御ルーチン、図5のフローチャートで表されるディスクブレーキ用0点位置検出ルーチン,図6のフローチャートで表されるドラムブレーキ用0点位置検出ルーチン、フローチャートの図示は省略するが、ブレーキ力制御ルーチン等の複数のプログラムやテーブル等が記憶されている。
【0024】
以下、本ブレーキ装置の作動について説明する。
本実施形態においては、ブレーキペダル40が操作されると、その操作力に基づいて運転者の意図する要求ブレーキ力が求められ、その要求ブレーキ力が得られるように、コントローラ298の指令に基づき電動モータ20,30への供給電流が制御され、ブレーキ力が制御される。電動モータ20,30は、検出された0点位置等基づいて制御される。また、0点位置は、ブレーキが作用状態から非作用状態に切り換えられる場合に検出される。
【0025】
図4のフローチャートにおいて、ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ブレーキスイッチ304がON状態か否かが判定され、S2において、操作力センサ302によって検出されるブレーキペダル40の操作力が減少中であるか否かが判定され、S3において、その操作力が設定値以下であるか否かが判定される。S1〜3の判定がYESである場合には、S4において0点位置の検出が図5,6のフローチャートに従って行われる。また、操作力が減少中でない場合、設定値より大きい場合には、S2,3のいずれかのステップにおける判定がNOとなり、S5において、前述のように、操作力に基づいてブレーキ力が制御される。本実施形態においては、ブレーキ力が検出された0点に基づいて制御されるが、そのことについては後述する。
また、ブレーキスイッチ304がOFFになっても、0点位置検出フラグがリセットされていない場合、後述するが0点位置復帰フラグがセットされていない場合には、S6,7のいずれかの判定がNOとなり、S4において0点位置の検出が行われる。0点位置の検出や0点位置への復帰は、ブレーキスイッチ304がOFFになっても行われることがあるのである。
【0026】
まず、電動ディスクブレーキ22において0点位置が検出される場合について説明する。
本実施形態においては、図7,8に示すように、電動モータ20の単位回転角当たりの押圧力の変化量(押圧力の減少勾配)が予め定められたしきい値TH 以下になった場合の電動モータ20の回転位置と、摩擦パッド70a,bの非復元量とに基づいて0点位置が決定される。図8の(a),(b)に示すように、摩擦パッド70a,bは、ブレーキ作用時に圧縮させられるのであるが、ブレーキが解除された場合に直ちにブレーキ作動前の状態に戻るとは限らない。また、押圧力の減少勾配がしきい値TH 以下になった場合には、図7に示すように、その時点の電動モータ20の位置より前進側に0点位置がある。そのため、押圧力の変化量に基づいて検出された0点位置(以下、暫定0点位置と称する)より実際の0点位置は前進側にあると考えられる。これらの事情を考慮すると、暫定0点位置より前進側に実際の0点位置があるため、(真の)0点位置を、非復元量αを考慮した値βだけ前進側に移動した位置とする。非復元量αは、図8に示す非復元量の2倍の大きさである。ディスクロータ60に対して摩擦パッド70a,bが一対設けられているからである。
【0027】
また、0点位置が検出された場合には、その位置が妥当な位置であるか否かが判定される。妥当な値である場合には、その値が0点位置として作用され、妥当でない場合には0点位置として採用されることはない。
さらに、0点位置を検出する際には、電動モータ20を、一定の回転数で逆方向に回転させる。運転者のブレーキペダル40の解除状態とは関係なく、一定の速度で後退させるのである。
また、0点が検出された場合には、ブレーキ解除後、電動モータ20の回転位置が0点位置に復帰させられる。
【0028】
以下、0点位置の検出について図5のフローチャートに基づいて説明する。
S21において、電動モータ20の単位回転角当たりの押圧力の減少勾配(ΔF/Δsと表す、以下、押圧力の変化量と略称する)が読み取られる。本実施形態においては、電動モータ20の回転角の変化量(今回値と前回値との差)が設定数に達するとトリガとしてのパルスが出力され、押圧力が検出される。そして、例えば、その押圧力の単位回転角当たりの変化量の過去6回の平均値が他のルーチンによって計算されて、押圧力の変化量として求められるのである。なお、過去6回分の押圧力のデータが記憶されるようにしておき、その記憶された6回分のデータに基づいて変化量が検出されるようにすることもできる。また、6回のうちの最初の押圧力の値と最後の値との差を6回分の回転角の変化量で割った値を押圧力の変化量として採用することもできる。このようにしても、平均的な押圧力の変化量を検出することができる。さらに、6回に限らず、所定の回転角毎に変化量が求められるようにすることもできる。いずれにしても、回転角が予め定められた設定回転角だけ変化する間の押圧力の変化量が検出されればよいのである。
【0029】
次に、S22において、0点位置復帰処理が終了したか否かが判定され、S23において、0点位置の検出が終了したか否かが判定される。0点位置復帰フラグがセット状態にあるか否か、0点位置検出フラグがセット状態にあるか否かが判定されるのである。
いずれも終了していない場合には、S24において、電動モータ20がその位置から逆方向、すなわち、後退方向に予め定められた回転数で回転させられる。S25において、S21において読み取られた押圧力の変化量ΔF/Δsがしきい値TH より小さいか否かが判定される。しきい値TH 以上である場合には、判定がNOとなる。この場合には、S1〜3,4(S21〜25)が繰り返し実行される。
【0030】
押付力の変化量ΔF/Δsがしきい値TH より小さい場合には、S25における判定がYESとなり、S26において、電動モータ20の累積回転数に基づいてその時点の電動モータ20の回転位置が暫定0点位置とされ、その暫定0点位置よりβだけ前進側の位置が0点位置とされる。電動モータ20の回転位置は、予め定められた後退端位置からの回転数の累積回転回数(総回転角)に基づいて検出される。そして、S27において、0点位置の過去数回分の平均値が求められ、S28において、0点位置検出フラグがセットされる。図7に示す0点位置が求められるのである。
【0031】
0点位置の検出が終了した場合には、0点位置検出フラグがセットされるため、S23における判定がYESとなり、S29において、現在0点位置あるいはそれより後退側(0点位置とそれより後方側の予め定められた後方側位置との間の位置)にあるか否かが判定され、そうでない場合には、S30において、電動モータ20が制御される。0点位置が検出された場合の電動モータ20の位置(暫定0点位置)は、図7に示すように、0点位置より後退側にあるため、電動モータ20が正方向に回転させられることになる。そして、S1,2,3,4(21〜23,29,30)または、S1,6,7,4が繰り返し実行されるのであるが、実際の位置が0点位置あるいはやや後方側に達した場合には、S29における判定がYESとなり、S31以降が実行される。
【0032】
この場合には、0点位置が妥当な値であるか否かの確認が行われる。S31において、荷重センサ140の0点オフセット処理が行われる。この場合の検出値が0点とされるのである。また、S32において、電動モータ20が僅かに正方向に回転させられる。そして、S33において、荷重センサ140による検出値が上昇したか否かが判定される。上昇しない場合には、S34において、その時点の実際の電動モータ20の回転位置が読み取られ、検出された0点位置近傍であるか否かが判定される。実際の電動モータ20の回転位置が0点位置近傍にあれば、検出は妥当な値であるとされてその値が採用される。S35において、0点位置復帰フラグがセットされる。この場合には、摩擦パッド70a,bは復元していない状態にあるため、0点位置にあり、かつ、電動モータ20を正方向に僅かに回転させても、押圧力は上昇しないはずである。そのため、上昇しない場合であって、かつ、ほぼ検出された0点位置近傍にある場合には、その0点位置は妥当な値であるとすることができるのである。その後、電動モータ20は、S32において正方向に回転させられた分だけ逆方向に回転させられ、0点位置に戻される。
それに対して、荷重センサ140の検出値が設定値以上上昇した場合には、検出された0点位置が妥当でないため、その値は採用されない。S36において、0点位置復帰フラグはセットされるが、この場合には、例えば、前回の0点位置が採用されるようにすることができる。その後、前回の0点位置まで電動モータ20が回転させられる等の処理が行われる。また、荷重センサ140のオフセットも前回の値に戻すことが望ましい。
【0033】
このように、本実施形態においては、摩擦パッド70a,bの非復元量αが考慮されるため、0点位置を精度よく検出することができる。また、ブレーキの解除時に検出されるため、電動モータ20の作動速度が一定の大きさに保たれるように、すなわち、ブレーキ力の制御を0点位置検出のために行うことができるのであり、検出精度の向上を図ることができる。0点位置の検出の際の条件が同じになるため、0点位置のバラツキを小さくすることができるのである。
【0034】
さらに、検出された0点位置に基づいてブレーキ作動時に電動モータ20が制御されるため、クリアランスの変化に起因するブレーキ力の効き遅れを小さくすることができる。具体的には、ブレーキ解除後に電動モータ20が0点位置あるいは0点位置よりやや後方側に復帰させられるため、次にブレーキを作用させる際のブレーキの効き遅れが小さくなる。また、電動モータ20の無駄な作動を減らすことができ、エネルギ消費量の低減を図ることができる。この効果は、ディスクブレーキ特有の効果である。この場合には、0点位置が摩擦パッド70a,bの非復元量αに基づいて検出されるため、電動モータ20が摩擦パッド70a,bの通常の厚みを考慮して制御されると考えることもできる。
【0035】
なお、上記実施形態においては、押圧力の変化量ΔF/Δsが複数回の平均値として求められたが、平均値とすることは不可欠ではなく、1回づつ求められるようにしてもよい。また、〔押圧力の変化量ΔF/Δsの6回の平均値〕に対応する電動モータ20の回転位置を、〔最新の押圧力が検出された時点の位置〕とするのではなく、〔押圧力が6回各々検出される時点の電動モータ20の回転位置の平均値〕とすることもできる。さらに、荷重センサ140によって検出された押圧力Fが最初に0になった電動モータ20の回転位置を記憶し、その最初に0になった場合の回転位置に基づいて暫定0点位置を検出することもできる。例えば、その最初に0になった場合の回転位置を暫定0点位置としたり、最初に0になった場合の回転位置より設定量だけ後退側あるいは前進側の位置を暫定0点位置としたりすることができる。最初に0になった位置は誤差を含むことが多いからである。この場合には、暫定0点位置より後退側に非復元量αだけ移動させた位置を0点位置とすることもできる。
また、電動モータ20の単位回転角当たりの変化量ではなく、単位時間当たりの変化量がしきい値以下であるか否かが判定されるようにすることもできる。電動モータ20が一定の回転数で逆方向に回転させられる場合にはこれらは同じになる。
【0036】
さらに、電動モータ20を一定の回転数で回転させることは不可欠ではない。運転者の解除速度に応じて解除してもよい。また、操作力が設定値以下になった後に0点位置の検出が行われるようにすることは不可欠ではない。
さらに、0点位置の検出は、ブレーキペダル40の操作が解除された場合に限らず、ブレーキが作用状態から非作用状態にされる過程に行うこともできる。この場合には、荷重センサ140によって検出された押圧力が減少傾向にあり、かつ、押圧力が設定値以下になった場合に0点位置の検出が行われるようにすることができる。ブレーキペダル40の操作に伴わないで、ブレーキが作動させられることがあるからである。例えば、トラクション制御が終了させられる過程、ビークルスタビリティ制御が終了させられる過程、自動ブレーキが解除される過程、疑似的に作動させられたエンジンブレーキが解除される過程等が該当する。これらの場合においても0点位置の検出が行われるようにすれば、0点検出の機会を増やすことができ、正確に0点位置を検出することができる。
【0037】
次に、ドラムブレーキにおいて0点位置が検出される場合について説明する。
本実施形態においては、レバー230aに加わる荷重の減少勾配が設定勾配より緩やかになった場合における電動モータ30の回転位置を0点位置とする。レバー230aに加わる荷重は、前述のように、図9のグラフに示すように変化させられるため、荷重がリターンスプリング等のセット荷重に対応する大きさとなり、一対のブレーキシュー202a,bがリターンスプリング等の弾性力によって互いに接近させられ、ドラム内周面204から離間させられた時点ts における電動モータ30の回転位置を0点位置とするのである。なお、この場合には、電動モータ30は、実際の荷重が目標値(0)に近くように制御される。
【0038】
図6のフローチャートにおいて、S51において、レバー230aに加わる荷重fが検出され、0でないか否かが判定される。0である場合は電動ドラムブレーキ32が非作用状態にある。非作用状態ではなく、作用状態にある場合には、S52以降において0点位置の検出が行われる。S52において0点位置検出仮フラグがセットされているか否かが判定される。最初にS52が実行される場合にはセットされていないため、判定がNOとなり、S53において、レバー230aの荷重の減少勾配が予め定められた設定範囲内の大きさにあるか否かが判定される。減少勾配が緩やかになったか否かが判定されるのである。緩やかでない場合には、判定がNOとなる。
S1〜3,4(51,52,53)が繰り返し実行され、減少勾配が緩やかになった場合には、S53における判定がYESとなり、その時点ts における荷重fと電動モータ30の回転位置とが検出される。そして、0点位置検出仮フラグがセットされる。
【0039】
この場合には荷重fは0ではないが0点位置検出仮フラグはセットされているため、S52における判定がYESとなり、S55において、変化勾配が0より大きい(上昇勾配に転じた)か、設定勾配より大きい(急勾配になった)かが判定される。いずれかの場合には、判定がYESとなり、S56において、0点位置検出仮フラグがリセットされる。図9の時間ts に達したわけではなかった可能性があるのである。以下、レバー230aの荷重が0になるまでの間、〔S51,52,53〕、〔S51,52,53,54〕、〔S51,52,55〕、〔S51,52,55,56〕が実行される。レバー230aの荷重が0になった場合には、S57において、時点ts に出来るかぎり近い位置が0点位置として作用される。例えば、連続してS54において求められた0点位置のうちの最も過去に検出された位置を0点位置としたり、S54において求められた0点位置を減少勾配と対応付けて記憶させ、記憶されたデータのうちの最も妥当な値(時点ts に最も近い値)としたりすることができる。また、最初にS54が実行された場合に検出された位置を0点位置とすることも可能である。
【0040】
このように、本実施形態においては、荷重fが実際に0になるまで、押圧力の減少勾配に基づいて電動モータ30の位置が検出され、複数のデータから妥当なものが0点位置とされるのであり、精度よく0点位置を検出することができる。また、電動ドラムブレーキ32においては、0点復帰が行われることはない。アジャスタ機能付きストラット210によってクリアランスが調整されるのである。電動ドラムブレーキ32における0点位置の検出においては、0点位置復帰フラグは常にセット状態に保たれるようにしたり、S57において、0点位置検出フラグがセットされるとともに0点位置復帰フラグがセットされるようにすることもできる。
【0041】
ブレーキ作動時においては検出された0点位置に基づいて電動モータ30が制御される。電動ドラムブレーキ32においては、図10に示すように、電動モータ30の回転数が0点位置近傍において小さくされる。ブレーキシュー202a,bのドラム内周面204に対する接触速度が小さくされるのであり、それによってオーバシュートが防止される。前述のように、電動ドラムブレーキ32においては、アジャスタ機能付きストラッド210によってクリアランスが一定の量に調節されるため、0点位置に復帰させる必要はない。そのため、ブレーキシュー202a,bが接触する直前まで回転数を大きくすれば、ブレーキの効き遅れを小さくすることができる。
【0042】
この場合には、図10の(a)に示すように、電動モータ30の作動開始時から大きな電流が供給されるようにしても、(b)に示すように、最初に供給される電流(突入電流)を小さくし、その後大きくしてもよい。このように、突入電流を小さくすれば、電動モータ30に過大な電流が供給されることを回避することができる。また、0点位置以前に供給される電流の最大値が電動モータ30の定格電流より小さくされれば、定格電流より大きい場合に比較して、電源容量を小さくすることができる等の利点がある。
【0043】
また、パーキングブレーキレバー42の操作が解除された場合にも、電動ドラムブレーキ32において、同様に0点位置が検出されるようにすることができる。この場合には、パーキングブレーキレバー42のブレーキスイッチ306がON状態からOFF状態にされた場合に、0点位置の検出が行われる。パーキングブレーキレバー42が操作された場合にも電動モータ30が作動させられ、ブレーキ力が発生させられるのであるが、電動モータ30は超音波モータであるため、電流が供給されなくなれば、その状態が保持される。パーキングブレーキ作動時には電流を供給し続ける必要はないのである。
パーキングブレーキは、イグニッションスイッチがOFF状態にある場合に作動させられ、ON状態に切り換えられた場合に解除されることが多い。このパーキングブレーキの解除時に0点位置を検出することができるのであり、イグニッションスイッチがONにされてから早急に検出することができるというメリットがある。
【0044】
以上のように、本実施形態においては、コントローラ298の図5,6のフローチャートで表される0点位置検出プログラムを記憶する部分,実行する部分等により0点位置検出装置が構成される。また、そのうちの、S21,25,S53,55等を記憶する部分,実行する部分等によって、ブレーキ作動状態検出部が構成される。また、S24を記憶する部分,実行する部分等によって、0点位置検出時ブレーキ制御部が構成され、S5を記憶する部分,実行する部分等によってブレーキ作用時ブレーキ制御部が構成される。
【0045】
なお、上記実施形態においてはブレーキ解除時に0点位置が検出されるようにされていたが、ブレーキ作動時に検出することもできる。リターンスプリング等の弾性変形に伴う荷重の変化状態を利用すれば、作動時にも検出できる。この場合には、図9の時点t0 における位置が0点位置とされることになる。いずれにしても、ブレーキ力が0か否かに基づく場合より、0点位置の検出精度を向上させることができる。
【0046】
また、後輪側を電動ディスクブレーキとすることができる。この場合においても、サービスブレーキとパーキングブレーキとで電動モータ20を共用することができ、上記実施形態における場合と同様の効果を得ることができる。
さらに、電動ディスクブレーキにおいて、一対のブレーキ部材62a,bにリターンスプリングを設ければ、ドラムブレーキ用の0点位置検出プログラムの実行に従って0点位置を検出することが可能となる。逆に、ドラムブレーキにディスクブレーキ用の0点位置検出ルーチンに従って0点位置を検出することも不可能ではない。
【0047】
また、ドラムブレーキの構造,ディスクブレーキの構造は、上記実施形態におけるそれに限らない。電動ドラムブレーキについてはデュオサーボ型のものに限らず、ツーリーディング型,リーディング・トレーディング型,ユニサーボ型等のドラムブレーキにも同様に適用することができる。また、電動モータは超音波モータに限らず、DCブラシレスモータ等とすることもできる。この場合には、ブレーキ力を電流を供給しなくてもその大きさに保つことができる保持装置を設けることが望ましい。パーキングブレーキと共有のモータとする場合には、特に有効である。
その他、〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の欄に記載した態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態である電動ブレーキ装置の全体構成を示す系統図である。
【図2】上記電動ブレーキ装置に含まれる電動ディスクブレーキを示す断面図である。
【図3】上記電動ブレーキ装置に含まれる電動ドラムブレーキを示す断面図である。
【図4】上記電動ブレーキ装置に含まれるコントローラのROMに格納されたブレーキ制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図5】上記コントローラのROMに格納された0点位置検出ルーチンを表すフローチャートである。
【図6】上記コントローラのROMに格納された0点位置検出ルーチンを表すフローチャートである。
【図7】上記電動ディスクブレーキにおいてモータ位置と加圧力との関係を示す図である。
【図8】上記電動ディスクブレーキにおける摩擦パッドの非復元量を示す図である。
【図9】上記電動ドラムブレーキが作用状態にある場合におけるレバー荷重の変化状態を示す図である。
【図10】上記電動ドラムブレーキの供給電流の変化状態を示す図である。
【符号の説明】
20,30 電動モータ
22 電動ディスクブレーキ
32 電動ドラムブレーキ
40 ブレーキペダル
42 パーキングペダル
140,246 荷重センサ
298 コントローラ
Claims (6)
- (a)車輪と共に回転するブレーキ回転体と、(b)そのブレーキ回転体の摩擦面と摩擦係合してブレーキ回転体の回転を抑制するブレーキ部材と、(c)自身は車体側部材に相対回転不能に保持され、前記ブレーキ部材を前記ブレーキ回転体の摩擦面に接触・離間可能に保持する保持部材と、(d)前記ブレーキ部材を前記ブレーキ回転体に押し付ける電動モータを有する駆動装置とを備えたブレーキと、
前記電動モータを制御することによって、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を制御するブレーキ制御装置と、
前記ブレーキ部材が前記ブレーキ回転体の摩擦面に摩擦係合し始める前記電動モータの位置である0点位置を、前記ブレーキ制御装置により前記押付力が減少させられる際に検出する0点位置検出装置と
を含むブレーキ装置であって、
前記ブレーキ制御装置が、前記0点位置検出装置による前記0点位置の検出の際に、前記電動モータを、前記ブレーキ部材が後退する向きに一定の回転数で回転させることにより、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を減少させる0点位置検出時ブレーキ制御部を含み、前記0点位置検出装置が、前記押付力が複数回検出されるのに要する予め定められた設定時間の間において、前記押付力の平均的な変化を表す減少勾配が予め定められた設定値以下に最初になった時点の、前記ブレーキ部材の位置である暫定0点位置より、その暫定0点位置と前記押付力が最初に0になる位置との間の長さから前記押付力が最初に0になっても直ちには戻らない前記ブレーキ部材の弾性変形量である非復元量を引いた値だけ前進側の位置を、前記0点位置とする検出部を含むことを特徴とするブレーキ装置。 - 前記0点位置検出装置が、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を、前記電動モータの回転角の変化量が予め定められた設定数に達する毎に検出する検出部と、前記設定時間の間、前記検出部によって検出された複数の押付力の各々について、それぞれ、押付力の前記電動モータの単位回転角当たりの変化量を取得し、取得された複数の変化量の平均値を前記減少勾配として取得する手段とを含む請求項1に記載のブレーキ装置。
- 前記0点位置検出装置が、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力を、前記電動モータの回転角の変化量が予め定められた設定数に達する毎に検出する検出部と、前記設定時間の間に、前記検出部によって検出された最初の押付力から最後の押付力を引いた値を、その設定時間の間に回転させられた前記電動モータの回転角で割った値を前記減少勾配として取得する手段とを含む請求項1に記載のブレーキ装置。
- 前記0点位置検出装置が、前記ブレーキ部材を前記0点位置から予め定められた設定値だけ前進させた場合において、前記押付力が予め定められた設定値以上増加しない場合に、前記検出された0点位置が妥当であると確認する0点位置確認部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記ブレーキ制御装置が、前記ブレーキ部材の前記ブレーキ回転体への押付力が予め定められた設定値以下であり、かつ、前記押付力が減少傾向にある場合を除いた場合に、前記電動モータを前記要求ブレーキ力が得られるように制御する制御部を含み、前記0点位置検出時ブレーキ制御部が、前記押付力が減少傾向にあり、かつ、前記設定値以下になった場合に、前記電動モータを、予め定められたパターンに従って、前記ブレーキ部材が後退する向きに一定の回転数で回転させるものであり、前記0点位置検出装置が、前記押付力が減少傾向にあり、かつ、前記設定値以下になった場合に、前記0点位置の検出を行うものである請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
- 前記ブレーキ制御装置が、前記電動モータを、前記0点位置検出装置によって検出された0点位置に基づいて制御するブレーキ作用時ブレーキ制御部を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
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