JP4186592B2 - 成形性及びガス遮断性に優れた樹脂組成物及び包装材料 - Google Patents

成形性及びガス遮断性に優れた樹脂組成物及び包装材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性及びガス遮断性に優れた樹脂組成物に関し、より詳細には、常温以下の低温時においても酸素吸収までの誘導期間を短縮することが可能で、初期バリヤー性に優れた樹脂組成物及びこの樹脂組成物から成る層を有する包装材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、容器内に残留する酸素や容器壁を透過する酸素による内容物の変質やフレーバー低下が問題となっている。
特に、金属缶やガラスビンでは容器壁を通しての酸素透過がゼロであり、容器内に残留する酸素のみが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合には器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容品の保存性の点で問題となっている。
【0003】
これを防止するために、プラスチック容器では容器壁を多層構造とし、その内の少なくとも一層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の耐酸素透過性を有する樹脂を用いることや、或いは容器内の酸素を除去するために、脱酸素剤の使用も古くから行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
鉄粉等の酸素吸収剤を樹脂に配合して、包装材料の器壁に用いる方法は、酸素吸収性能が大きいという点では満足できるものであるが、樹脂を固有の色相に着色するために、透明性が要求される包装の分野には使用できないという用途上の制約があることから、ガスバリヤー性熱可塑性樹脂に遷移金属の有機金属錯体を配合した樹脂組成物をガスバリヤー性中間層とすること、ポリアミド樹脂等の酸化可能有機成分の金属触媒酸化により酸素を捕集すること等も提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0005】
しかしながら、遷移金属系触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物は、実質上透明である包装容器にも適用できるという利点を有しているが、遷移金属系触媒を配合した基材樹脂が酸化により劣化するため、器壁を通しての酸素透過が経時により大きくなり、また容器の強度も低下するという欠点がある。
かかる欠点を解決するものとして本発明者等は、特定の熱可塑性樹脂中に酸化性有機成分及び遷移金属触媒を配合した樹脂組成物は、成形性に優れていると共に、ガス遮断性にも優れていることを見出した(特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特公昭62−1824号公報
【特許文献2】
特公平4−60826号公報
【特許文献3】
特許第2991437号
【特許文献4】
特開2002−241608号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記樹脂組成物は、優れた酸素吸収性を有すると共に、樹脂層を通しての酸素透過を長期にわたって低減させることが可能であり、しかも成形性や機械的強度にも優れたものである。
かかる樹脂組成物での酸素吸収は、酸化性有機成分の酸化を経由して行われるものであり、後述するようにこの酸化は、▲1▼遷移金属触媒による炭素原子からの水素原子の引き抜きによるラジカルの発生、▲2▼ラジカルへの酸素分子の付加によるパーオキシラジカルの発生、▲3▼パーオキシラジカルによる水素原子の引き抜き、の各素反応を通して行われるため、常温以下の低温域では、これらの素反応が必ずしも迅速且つ有効に行われず、酸素吸収開始までに所定の誘導期間を要していた。
従って本発明の目的は、上記樹脂組成物が有する、優れた成形性及びガス遮断性を損なうことなく、常温以下の温度域における酸素吸収までの誘導期間を短縮でき、酸素吸収速度が速く、特に初期バリヤー性に優れた樹脂組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、熱可塑性樹脂Aと、無水マレイン酸変性ポリブタジエンから成る酸化性有機成分Bと、未変性ポリブタジエン及び/又は水酸基変性ポリブタジエンから成る、酸化性有機成分Bよりも酸化速度の速い酸化性成有機成分Cと、遷移金属触媒Dとから成ることを特徴とする成形性及びガス遮断性に優れた樹脂組成物が提供される。
【0009】
本発明の樹脂組成物においては、
.酸化性有機成分Bの酸素吸収速度が、酸化性有機成分Bと遷移金属触媒Dから成る組成物としたときの1日経過後の酸素吸収量が10(cc/g・day・at22℃)未満であること、
.酸化性有機成分Cの酸素吸収速度が、酸化性有機成分Cと遷移金属触媒Dから成る組成物としたときの1日経過後の酸素吸収量が10(cc/g・day・at22℃)以上であること、
.熱可塑性樹脂Aが連続相として存在し、酸化性有機成分B及びCから成る分散相として存在すること、
.酸化性有機成分B及びCから成る分散相が熱可塑性樹脂A中に最小長さが10μm以下の分散粒子として分散していること、
.熱可塑性樹脂Aが、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド乃至その共重合体、及びポリエステルから成る群より選択された少なくとも1種の樹脂から成ること、
.遷移金属触媒Dが、コバルト、マンガン、銅及び鉄から成る群より選択された少なくとも1種の金属塩であり、樹脂組成物中に金属換算量で少なくとも300ppmの量で存在すること、
.酸化性有機成分B及びCが、合計量で樹脂組成物中0.01乃至10重量%の量で存在すると共に、酸化性有機成分Bが酸化性有機成分B及びCの合計量の20重量%以上の量で存在すること、
が好ましい。
【0010】
本発明によればまた、上記樹脂組成物から成る層を少なくとも1層有する成形性及びガス遮断性に優れた包装材料が提供される。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂A、酸化性有機成分B及び酸化性有機成分Bよりも酸化速度の速い酸化性有機成分Cと、遷移金属触媒Dとから成ることを特徴とするものであり、特に酸化性有機成分として、少なくとも2種の酸化速度の異なる酸化性有機成分を用いることが重要な特徴である。
【0012】
熱可塑性樹脂、酸化性有機成分及び遷移触媒から成る樹脂組成物においては、酸化性有機成分が遷移金属触媒の作用により専ら酸化されることにより酸素吸収する作用を示すものである。
すなわち、酸化性有機成分の活性な炭素原子の位置で水素原子の引き抜きが容易に行われ、これによりラジカルが発生すると考えられる。遷移金属触媒と上記酸化性有機成分とを含有する組成物での酸素吸収は、当然のことながら、この有機成分の酸化を経由して行われるものであり、この酸化は、▲1▼遷移金属触媒による炭素原子からの水素原子の引き抜きによるラジカルの発生、▲2▼このラジカルへの酸素分子の付加によるパーオキシラジカルの発生、▲3▼パーオキシラジカルによる水素原子の引き抜きの各素反応を通して生じると信じられる。
【0013】
ところが、常態でも樹脂の劣化を生じないような少量の遷移金属触媒の共存下では、上記ラジカルの発生や、酸素の付加には誘導期があり、これらの素反応が必ずしも迅速且つ有効には行われていない。特に上記反応は温度に影響を受けることから、常温以下の温度では、酸素吸収までの誘導期間が特に長くなる傾向がある。
【0014】
本発明においては、この酸化性有機成分として、熱可塑性樹脂に対して優れた分散性を有する酸化性有機成分Bと、酸化速度の速い酸化性有機成分Cの2種類を組み合わせで用いることにより、優れた加工性を維持しながら、酸化速度の速い酸化性有機成分Cの配合割合に応じて上昇すると想定される酸化速度よりも速い酸化速度を有する樹脂組成物を得ることが可能になったのである。
すなわち本発明においては、経時初期に酸化反応の速い酸化性有機成分Cの水素原子が炭素原子から速やかに抜けてラジカルが発生し、このラジカルの発生により酸化性有機成分Bも含めてラジカル連鎖反応が生じることになり、全体として、酸化性有機成分Cの配合量相当以上の酸化速度の上昇という効果を得ることが可能になるのである。
【0015】
このことは、後述する実施例、図1及び図2の結果から明らかである。
すなわち、図1及び図2は、22℃(常温)及び5℃における、遷移金属触媒と酸化性有機成分から成る組成物の時間に対する酸素吸収量の変化を示す図であり、この酸化性有機成分を種々変化させた組成物について夫々示している。
このときの実験方法としては、酸化性有機成分B、酸化性有機成分Cまたは所定量の割合で混合した酸化性有機成分Bと酸化性有機成分Cの液状物とネオデカン酸コバルト(DICNATE5000:大日本インキ化学工業(株)製)Dを400対1(重量比)で十分攪拌した後、この液状混合物をアルミシャーレ上に0.05gで半径2cmの円状に均一に塗布し、迅速に230℃に昇温したバキュームボックスに入れ真空にして15分間真空下で放置した。その後、窒素でバキュームボックス内を常圧に戻し液状混合物の塗布されたアルミシャーレを内容積80mlの酸素不透過性容器[ハイレトフレックス:HR78−84東洋製罐(株)製・ポリプロピレン/スチール箔/ポリプロピレン製カップ状積層容器]に入れ、ポリプロピレン(内層)/アルミ箔/ポリエステル(外層)の蓋材でヒートシールした。このカップを22℃で1日間の期間保管し、小型高速ガスクロ(M200:日本タイラン(株))を用いてカップ内の酸素濃度を測定し、この酸素濃度から酸素吸収量(cc/g)を計算した。
この図1及び図2からも明らかなように、酸化性有機成分として無水マレイン酸変性ポリブタジエンのみを用いた組成物(MA−Pbd)と、未変性のポリブタジエンのみを用いた組成物(Pbd)、水酸基変性ポリブタジエンのみを用いた組成物(OH−Pbd)を比較すると、経時初期(1〜2日)においては水酸基変性ポリブタジエン又は未変性ポリブタジエンのみを用いた組成物の酸素吸収量が多く、酸変性ポリブタジエンを用いた組成物の酸素吸収速度よりも速いことが理解される。
【0016】
そこで酸化性有機成分として、無水マレイン酸変性ポリブタジエンと無水マレイン酸変性ポリブタジエンよりも酸化速度の速い未変性ポリブタジエンを90:10(重量比)の割合で組み合わせて用いた組成物(MA−Pbd/Pbd)、及び無水マレイン酸変性ポリブタジエンと無水マレイン酸変性ポリブタジエンよりも酸化速度の速い水酸基変性ポリブタジエンを90:10(重量比)の割合で組み合わせて用いた組成物(MA−Pbd/OH−Pbd)の22℃における酸素吸収量を見ると、未変性ポリブタジエンを10%配合した組成物では、無水マレイン酸変性ポリブタジエンを単独で用いた組成物に比して、経時初期(1日)において、ほぼ5倍以上に増加している。同様に、水酸基変性ポリブタジエンを10%配合した組成物では、無水マレイン酸変性ポリブタジエンを単独で用いた組成物と比して、経時初期(1日)においては、ほぼ19倍に近いレベルまで増加している。
一方5℃における酸素吸収量を見ると、15日経過まで無水マレイン酸変性ポリブタンジエンを単独で用いた組成物はほとんど酸素吸収が見られないのに対し、未変性ポリブタジエン又は水酸基変性ポリブタジエンを10%配合した組成物では、経時2日から酸素吸収量は増加し、7日経過後には既に40cc/gを超えているのである。
【0017】
また、本発明の樹脂組成物では、熱可塑性樹脂が実質上酸化されることなく、ガス遮断性に役立ち、一方酸化性有機成分が酸化による酸素の吸収に役立ち、ガス遮断性と酸素吸収性とが、分離した機能分担で行われる。
【0018】
特に、熱可塑性樹脂が連続相(マトリックス)として存在し且つ酸化性有機成分が分散相として存在する分散構造では、分散相である酸化性有機成分の表面積が増大しているので、酸素の吸収が能率的に行われると共に、分散層の酸化が進行した後にも、熱可塑性樹脂が連続相として残るので、優れたガス遮断性や機械的強度が維持されるという利点がある。また、酸化性有機成分が熱可塑性樹脂の連続相で覆われているので、衛生的特性にも優れているという利点もある。
本発明においては特に、酸化性有機成分B及びCから成る分散相が熱可塑性樹脂A中に最小長さが10μm以下、特に5乃至0.3μmの分散体として分散していることが望ましい。これにより、上述したような能率的な酸素吸収を行うことが可能であると共に、安定した溶融粘度を得ることができ、成形性を更に向上することが可能となる。
尚、分散体の最小長さとは2本の平行な直線で分散体に接するように挟んだ時に平行な直線の間隔がもっとも狭くなる部分の長さのことである。
【0019】
[熱可塑性樹脂A]
本発明の樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂としては任意の熱可塑性樹脂を用いることができるが、特に好適なものとして、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド乃至その共重合体、バリヤー性ポリエステル或いはそれらの組合せを挙げることができる。
【0020】
酸素や香気成分に対するバリヤー性に特に優れた樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体を挙げることができ、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。
このエチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の粘度を有することが望ましい。
【0021】
ポリアミド樹脂としては、(a)ジカルボン酸成分とジアミン成分とから誘導された脂肪族、脂環族或いは半芳香族ポリアミド、(b)アミノカルボン酸或いはそのラクタムから誘導されたポリアミド、或いはこれらのコポリアミド或いはこれらのブレンド物が挙げられる。
【0022】
ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数4乃至15の脂肪族ジカルボン酸やテレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、ジアミン成分としては、 1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン等の炭素数4〜25とくに6〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキレンジアミンや、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、4,4′-ジアミノ-3,3′-ジメチルジシクロヘキシルメタン、特にビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジアミン、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミンが挙げられる。
【0023】
アミノカルボン酸成分として、脂肪族アミノカルボン酸、例えばω−アミノカプロン酸、ω−アミノオクタン酸、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸や、例えばパラ−アミノメチル安息香酸、パラ−アミノフェニル酢酸等の芳香脂肪族アミノカルボン酸等を挙げることができる。
【0024】
これらのポリアミドの内でもキシリレン基含有ポリアミドが好ましく、具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等の共重合体、或いはこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス(2アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムの如きラクタム、7−アミノヘプタン酸の如きω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられるが、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とから得られるポリアミドが特に好適に用いることができる。
これらのキシリレン基含有ポリアミドでは、他のポリアミド樹脂に比して酸素バリヤー性に優れており、本発明の目的に好ましいものである。
【0025】
本発明では、ポリアミド樹脂が末端アミノ基濃度が40eq/10g以上、一層好適には末端アミノ基濃度が50eq/10gを超えるポリアミド樹脂であることが、ポリアミド樹脂の酸化劣化を抑制する点で好ましい。
ポリアミド樹脂の酸化劣化、つまり酸素吸収と、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度とは密接な関係がある。即ち、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が上述した比較的高い範囲にある場合には、酸素吸収速度は殆どゼロかゼロに近い値に抑制されるのに対して、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が上記範囲を下回るようになると、ポリアミド樹脂の酸素吸収速度が増大する傾向がある。
【0026】
これらのポリアミドもフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、濃硫酸中1.0dl/gの濃度で且つ30℃の温度で測定した相対粘度(ηrel)が1.1以上、特に1.5以上であることが望ましい。
【0027】
熱可塑性樹脂として、テレフタル酸やイソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールのようなジオール類とから誘導されたポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステルを用いることができる。
ガスバリヤー性に優れたものとして、いわゆるガスバリヤー性ポリエステルを用いることもできる。このガスバリヤー性ポリエステルは、重合体鎖中に、テレフタル酸成分(T)とイソフタル酸成分(I)とを、
T:I=95: 5乃至 5:95
特に 75:25乃至25:75
のモル比で含有し且つエチレングリコール成分(E)とビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン成分(BHEB)とを、
E:BHEB=99.999:0.001乃至2.0:98.0
特に、99.95:0.05乃至40:60
のモル比で含有する。BHEBとしては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。
このポリエステルは、少なくともフィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般にフェノールとテトラクロルエタンとの50:50の重量比の混合溶媒中、30℃の温度で測定して、0.3乃至2.8dl/g、特に0.4乃至1.8dl/gの固有粘度[η]を有することが望ましい。
【0028】
[酸化性有機成分]
本発明においては、前述した通り、酸化性有機成分として、酸化速度の異なる少なくとも2種の酸化性有機成分B及び酸化性有機成分C(酸化性有機成分Bよりも酸化速度が速い)を組み合わせて用いることが重要な特徴である。
酸化性有機成分Bとしては、側鎖または末端にカルボン酸基、カルボン酸無水物基等の官能基を有し且つ酸化可能なものであることが好ましく、これにより熱可塑性樹脂マトリックスに対する酸化性有機成分の分散性が向上し、樹脂組成物の加工性が向上するというきわめて好都合の作用が達成される。
すなわち、未変性の酸化性有機成分の場合、単に機械的な混練で分散させるため、分散性が不良であり、また分散の程度も不均一のものとなり易いという傾向があり、また樹脂組成物の加工性も低下するのを免れない。
これに対して、官能基含有酸化性有機成分では、前述した官能基の存在により、熱可塑性樹脂に対する親和性が大であり、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂に対する分散性が良好で、樹脂組成物の加工性にも優れているという利点が達成されるものである。
【0029】
酸化性有機成分Cは、かかる加工性に優れた酸化性有機成分Bよりも酸化速度の速いものであり、これにより酸化性有機成分Bを含めてラジカル連鎖反応を起こし、常温以下の低温における誘導期間を短縮化し、低温での酸素吸収速度の向上を図ることが可能となる。
【0030】
本発明においては、酸化性有機成分Bは、酸化性有機成分Bと遷移金属触媒Dから成る組成物としたときの1日経過後の酸素吸収量(cc/g・day・at22℃)が10未満であることが好ましく、上記酸素吸収量は0でも良い。上記範囲よりも経時初期の酸素吸収速度の速い酸化性有機成分は、加工性や総体的な酸素吸収量において満足し得ない場合があるからである。
また酸化性有機成分Cは、酸化性有機成分Cと遷移金属触媒Dから成る組成物としたときの1日経過後の酸素吸収量(cc/g・day・at22℃)が10以上、特に15乃至100であることが好ましい。上記範囲よりも経時初期の酸素吸収速度が遅い場合には、常温以下の低温における誘導期間の短縮化を充分図ることができないからである。
【0031】
(酸化性有機成分B)
酸化性有機成分は、水素の引き抜きが容易に行えるような活性な炭素原子を有するものが好ましく、このような活性炭素原子としては、これに必ずしも限定されないが、炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子、炭素側鎖の結合した第三級炭素原子、活性メチレン基が挙げられる。
一方、側鎖または末端に存在する官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩の基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、カルボニル基などが挙げられる。
【0032】
酸化性有機成分Bとしては、酸乃至酸無水物で変性されたポリエンオリゴマー乃至ポリマーを用いることが好ましい。
かかるポリエンとしては、炭素原子数4〜20のポリエン、鎖状乃至環状の共役乃至非共役ポリエンから誘導された単位を含むオリゴマー乃至ポリマーが好適に使用される。
これらの単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4,5-ジメチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレンなどが挙げられる。
【0033】
これらの単量体は、単独で或いは2種以上の組合せで、或いは他の単量体との組み合わせで単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体などの形に組み込まれポリエンとなる。
ポリエンと組み合わせで用いられる単量体としては、炭素原子数2〜20のα-オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンが挙げられ、他にスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどの単量体も使用可能である。
【0034】
ポリエン系重合体としては、具体的には、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等を挙げることができるが、特にポリブタジエンを好適に用いることができる。
【0035】
重合体中における炭素−炭素二重結合は、特に限定されず、ビニレン基の形で主鎖中に存在しても、またビニル基の形で側鎖に存在していてもよい。
【0036】
これらのポリエン系重合体は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基が導入されていることが好ましい。これらの官能基を導入するのに用いられる単量体としては、上記の官能基を有するエチレン系不飽和単量体が挙げられる。
【0037】
これらの単量体としては、不飽和カルボン酸またはこれらの誘導体を用いるのが望ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。
【0038】
ポリエン系重合体の酸変性は、炭素−炭素二重結合を有する樹脂をベースポリマーとし、このベースポリマーに不飽和カルボン酸またはその誘導体をそれ自体公知の手段でグラフト共重合させることにより製造されるが、前述したポリエンと不飽和カルボン酸またはその誘導体とをランダム共重合させることによっても製造することができる。
【0039】
本発明の目的に特に好適な酸化性有機成分Bとしては、不飽和カルボン酸乃至その誘導体を、0.01乃至10重量%含有している酸変性ポリエン系重合体、特に無水マレイン酸変性ポリブタジエンであることが好ましい。
不飽和カルボン酸乃至その誘導体の含有量が上記の範囲にあると、酸変性ポリエン系重合体の熱可塑性樹脂への分散が良好となると共に、酸素の吸収も円滑に行われる。
【0040】
本発明に用いるポリエン系重合体は、40℃における粘度が1乃至200Pa・sの範囲にあることが酸素吸収性樹脂組成物の加工性の点で好ましい。
【0041】
(酸化性有機成分C)
酸化性有機成分Cとしては、組み合わせで用いる酸化性有機成分Bよりも酸化速度が速い限り、上述した酸化性有機成分の中から任意の酸化性有機成分を使用することができる。
酸化速度の遅速は、用いる酸化性有機成分の種類、置換基、置換量等に左右されるので一概に言うことは難しく、用いる酸化性有機成分Bを基準に個々に判断すべきであり、例えば、酸化性有機成分Bとして、酸変性ポリエン系重合体を選択した場合には、未変性或いは水酸基変性ポリエン系重合体を用いることが好ましく、特に未変性ポリブタジエン、末端に水酸基を有する水酸基変性ポリブタジエンを良好に使用することができる。
本発明においては特に、酸化性有機成分Bとして無水マレイン酸変性ポリブタジエン、酸化性有機成分Cとして未変性ポリブタジエン及び/又は水酸基変性ポリブタジエンの組み合わせで用いることが好ましく、同じブタジエン同士を組み合わせることにより、優れた相溶性を有し、成形性を保持することができる。
【0042】
[遷移金属触媒]
本発明に用いる遷移金属触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族の金属成分を挙げることができる。これらの金属成分の内でもコバルト成分は、酸素吸収速度が大きく、本発明の目的に特に適したものである。
【0043】
遷移金属触媒は、上記遷移金属の低価数の無機酸塩或いは有機酸塩或いは錯塩の形で一般に使用される。
無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
一方有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。
一方、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
【0044】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物においては、酸化性有機成分B及びCが、合計量で樹脂組成物中0.01乃至10重量%の量、特に1.0乃至7重量%で含有されていると共に、酸化性有機成分Bが酸化性有機成分B及びCの合計量の20重量%以上の量で含有されていることが好ましい。
また、この樹脂組成物においては、遷移金属触媒が金属量換算で少なくとも300ppm、特に310乃至800ppmの量で含有されていることが好ましい。
【0045】
酸化性有機成分の量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、酸素吸収性が低下する傾向があり、一方酸化性有機成分の量が上記範囲を上回ると、酸素吸収性の点では格別の利点がなく、樹脂組成物の強度やガス遮断性が低下し、成形性が悪くなる傾向にあるので好ましくない。
また酸化性有機成分Bが、上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して全体的な酸素吸収量が低下し、ガス遮断性に劣ると共に成形性が悪くなる傾向があり、また上記範囲よりも酸化性有機成分Bの量が多い場合には、常温以下の低温における酸素吸収までの誘導期間の短縮を図ることができず、初期バリヤー性に劣る傾向にあるので好ましくない。
また、遷移金属触媒の量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して、酸素吸収性が低下する傾向があり、一方この量が上記範囲を上回ると樹脂組成物の劣化傾向が増大するので、やはり好ましくない。
【0046】
熱可塑性樹脂に酸化性有機成分及び遷移金属触媒を配合するには、種々の手段を用いることができる。この配合には、格別の順序はなく、任意の順序でブレンドを行ってよい。
例えば、酸化性有機成分を熱可塑性樹脂に乾式ブレンド或いはメルトブレンドすることにより、両者のブレンド物を容易に調製することができる。一方、遷移金属触媒は熱可塑性樹脂や酸化性有機成分に比して少量であるので、ブレンドを均質に行うために、一般に遷移金属触媒を有機溶媒に溶解し、この溶液と粉末或いは粒状の熱可塑性樹脂或いは更に酸化性有機成分とを混合し、必要によりこの混合物を不活性雰囲気下に乾燥するのがよい。
【0047】
遷移金属触媒を溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒を用いることができ、一般に遷移金属触媒の濃度が5乃至90重量%となるような濃度で用いるのがよい。
【0048】
熱可塑性樹脂、酸化性有機成分及び遷移金属触媒の混合、及びその後の保存は、組成物の前段階での酸化が生じないように、非酸化性雰囲気中で行うのがよい。この目的に減圧下或いは窒素気流中での混合或いは乾燥が好ましい。
この混合及び乾燥は、ベント式或いは乾燥機付の押出機や射出機を用いて、成形工程の前段階で行うことができる。
また、遷移金属触媒を比較的高い濃度で含有する熱可塑性樹脂及び/または酸化性有機成分のマスターバッチを調製し、このマスターバッチを未配合の熱可塑性樹脂と乾式ブレンドして、本発明の酸素吸収性樹脂組成物を調製することもできる。
尚、本発明で熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を用いる場合には、一般的な乾燥条件である120乃至180℃の温度で、0.5乃至2mmHgの減圧下2乃至6時間乾燥して後述する成形に用いるのがよい。
【0049】
本発明で用いる酸素吸収層には、一般に必要ではないが、所望によりそれ自体公知の活性化剤を配合することができる。活性化剤の適当な例は、これに限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、各種アイオノマー等の水酸基及び/またはカルボキシル基含有重合体である。
これらの水酸基及び/またはカルボキシル基含有重合体は、熱可塑性樹脂100重量部当たり30重量部以下、特に0.01乃至10重量部の量で配合することができる。
本発明に用いる酸素吸収層には、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
例えば、滑剤を配合することにより、スクリューへの樹脂の食い込みが改善される。滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケン、流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、およびそれらの混合系が一般に用いられる。滑剤の添加量は、熱可塑性樹脂基準で50乃至1000ppmの範囲が適当である。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、メルトブレンド後には、熱可塑性樹脂が連続相(マトリックス)及び酸化性有機成分B及びCから成る分散相として存在し、前述した通り、分散相である酸化性有機成分の最小長さが、10μm以下であることが酸素吸収性や成形性の点で好ましい。この分散粒径が上記範囲よりも上回ると、上記範囲内にある場合に比して、酸素吸収性が低下するので好ましくなく、また成形性及び透明性の点でも望ましくない。
【0051】
[多層包装材料]
本発明では、上記樹脂組成物の少なくとも1層を、必要により他の樹脂層の少なくとも1層と組み合わせて、カップ、トレイ、ボトル、チューブ容器等や蓋体等の包装材料として用いられる。
一般に、酸素吸収性の樹脂組成物の層は、容器などの外表面に露出しないように容器などの外表面よりも内側に設けるのが好ましく、また内容物との直接的な接触を避ける目的で、容器などの内表面より外側に設けるのが好ましい。かくして、多層包装材料の少なくとも1個の中間層として、酸素吸収性樹脂組成物層を設けるのが望ましい。
【0052】
多層構成の包装材料の場合、酸素吸収層と組み合わせる他の樹脂層としては、オレフィン系樹脂や熱可塑性ポリエステル樹脂などの耐湿性樹脂やガスバリヤー性樹脂等が挙げられる。
オレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物等が挙げられる。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、或いはこれらの共重合ポリエステル、更にはこれらのブレンド物等が挙げられる。
更に、ガスバリヤー性樹脂の最も適当な例としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を挙げることができ、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレンビニルアルコール共重合体ケン化物は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して0.01dl/g以上、特に0.05dl/g以上の粘度を有することが望ましい。
更にまた、バリヤー性樹脂の他の例としては、環状オレフィン系共重合体(COC)、特にエチレンと環状オレフィンとの共重合体、特に三井化学社製のAPEL等を用いることができる。
【0053】
積層構造の適当な例は、酸素吸収性樹脂組成物の層(以下単に酸素吸収層と呼ぶ)をOARとして表して、次の通りである。また、どちらの層を内面側にするかは、目的によって自由に選択することができる。
二層構造:PET/OAR、PE/OAR、PP/OAR、
三層構造:PE/OAR/PET、PET/OAR/PET、PE/OAR/PP、EVOH/OAR/PET、PE/OAR/COC、
四層構造:PE/PET/OAR/PET、PE/OAR/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/PET、PE/OAR/EVOH/COC、
五層構造:PET/OAR/PET/OAR/PET、PE/PET/OAR/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/COC/PET、PET/OAR/PET/COC/PET、PE/OAR/EVOH/COC/PET、
六層構造:PET/OAR/PET/OAR/EVOH/PET、PE/PET/OAR/COC/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/PET/COC/PET、
七層構造:PET/OAR/COC/PET/EVOH/OAR/PET、
などである。
【0054】
上記積層体の製造に当たって、各樹脂層間に必要により接着剤樹脂を介在させることもできる。
このような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル等に基づくカルボニル(−CO−)基を主鎖又は側鎖に、1乃至700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、特に10乃至500meq /100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。接着剤樹脂の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合熱可塑性等の1種又は2種以上の組合せである。これらの樹脂は、同時押出或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。
また、予め形成されたガスバリヤー性樹脂フィルムと耐湿性樹脂フィルムとの接着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化型接着剤樹脂も使用される。
【0055】
本発明の多層包装材料において、酸素吸収層の厚みは、特に制限はないが、一般に1乃至100μm、特に5乃至50μmの範囲にあるのが好ましい。即ち、酸素吸収層の厚みがある範囲よりも薄くなると酸素吸収性能が劣り、またある範囲よりも厚くなっても酸素吸収性の点では格別の利点がなく、樹脂量が増大するなど経済性の点、材料の可撓性や柔軟性が低下するなどの容器特性の点では不利となるからである。
【0056】
本発明の多層包装材料において、全体の厚みは、用途によっても相違するが、一般に30乃至7000μm、特に50乃至5000μmのあるのがよく、一方酸素吸収性中間層の厚みは、全体の厚みの0.5乃至95%、特に1乃至50%の厚みとするのが適当である。
【0057】
本発明の多層包装材料は、前述した酸素吸収層を用いる点を除けば、それ自体公知の方法で製造が可能である。
例えば、フィルム、シート或いはチューブの成形は、前記樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダイ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われ、T−ダイ法フィルム、ブローフィルム等が得られる。Tダイフィルムはこれを二軸延伸することにより、二軸延伸フィルムが形成される。
また、前記樹脂組成物を射出機で溶融混練した後、射出金型中に射出することにより、容器や容器製造用のプリフォームを製造する。
更に、前記樹脂組成物を押出機を通して、一定の溶融樹脂塊に押し出し、これを金型で圧縮成形することにより、容器や容器製造用のプリフォームを製造する。
成形物は、フィルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等の形をとり得る。
パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの形成は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行われる。
また、パイプ乃至はプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、延伸ブロー成形機中に供給し、金型内にセットして、延伸棒の押し込みにより軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向に延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
延伸ブロー成形されたボトルは、それ自体公知の手段で熱固定することもでき、熱固定はワンモールド法でブロー成形金型中で行うこともできるし、また、ツーモールド法でブロー成形金型とは別個の熱固定用金型で行うこともできる。
他の延伸ブロー成形としては、本願の出願人に係わる特許第2917851号公報に例示されるように、パイプ乃至プリフォームを、一次ブロー金型を用いて最終ブロー金型成形体よりも大きい寸法の一次ブロー成形体とし、次いでこの一次ブロー成形体を加熱収縮させた後、二次ブロー金型を用いて二軸延伸ブロー成形を行って最終ブロー成形体とする二段延伸ブロー成形体が挙げられる。
この延伸ブロー成形よれば、底部が十分に延伸薄肉化され、熱間充填、加熱滅菌時の底部の変形、耐衝撃性に優れた延伸ブロー成形体を得ることができる。 更に、また、フィルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器やフィルム乃至シートからなる蓋材が得られる。
【0058】
フィルム等の包装材料は、種々の形態の包装袋として用いることができ、その製袋は、それ自体公知の製袋法で行うことができ、三方或いは四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に限定されない。
【0059】
多層押出成形体の製造には、それ自体公知の共押出成形法を用いることができ、例えば樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いる以外は上記と同様にして押し出し成形を行えばよい。
また、多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により多層射出成形体を製造することができる。
更に、多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルムあるいはシートを製造することもできる。
【0060】
本発明の多層包装材料は、酸素による内容物の香味低下を防止しうる容器として有用である。
充填できる内容物としては、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品等、その他では医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品などが挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0061】
【実施例】
本発明を次の例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[評価方法]
1.酸化性有機成分の酸素吸収量
各実施例、比較例で用いた酸化性有機成分B、Cの液状物に、それぞれネオデカン酸コバルトを400:1(重量比)で十分攪拌した後、アルミシャーレ上に0.05gで半径2cmの円状に均一に塗布し、迅速に230℃に昇温したバキュームボックスに入れ真空にして15分間真空下で放置した。
その後、窒素でバキュームボックス内を常圧に戻し、液状混合物の塗布されたアルミシャーレを、内容積80mlの酸素不透過性容器[ハイレトフレックス:HR78−84東洋製罐(株)製・ポリプロピレン/スチール箔/ポリプロピレン製カップ状積層容器]に入れ、ポリプロピレン(内層)/アルミ箔/ポリエステル(外層)の蓋材でヒートシールした。
このカップを22℃で1日間の期間保管し、小型高速ガスクロ(M200:日本タイラン(株))を用いてカップ内の酸素濃度を測定し、この酸素濃度から酸化性有機成分B、Cの酸素吸収量(cc/g)を計算した。
【0062】
2.酸素吸収性ペレットの酸素吸収量
内容積80mlの酸素不透過性容器[ハイレトフレックス:HR78−84東洋製罐(株)製・ポリプロピレン/スチール箔/ポリプロピレン製カップ状積層容器]に、液体窒素下で凍結粉砕したペレット粉砕物0.3gを入れ、ポリプロピレン(内層)/アルミ箔/ポリエステル(外層)の蓋材でヒートシールした。
このカップを5℃で7日間の期間保管し、小型高速ガスクロ(M200:日本タイラン(株))を用いてカップ内の酸素濃度を測定し、この酸素濃度から酸素吸収量(cc/g)を計算した。
【0063】
3.酸素吸収性樹脂組成物中の酸化性有機成分の分散観察
作製した2種3層の多層フィルムから幅2mm、長さ30mmの試料片を切り出し、ウルトラミクロトームにて試料片断面を面出し後、減圧下にて60秒、10mAでPt蒸着し前処理した。走査型電子顕微鏡(JMS−6300F:日本電子(株)製)で加速電圧を3kVにして前処理した試料片断面を観察し、相構造を観察した。
【0064】
4.成形性
上記2種3層の多層フィルムを押出機で製膜して製造する際に、製膜性及び製膜後の外観を目視で確認評価した。
【0065】
5.多層フィルムの酸素バリヤー性
上記2種3層の多層フィルムを2軸延伸機(株)東洋精機製作所製)にて縦3倍、横3倍に105℃延伸速度5m/minで2軸延伸し、その片面のポリエチレンテレフタレート(PET)層を剥離して、その面に接着剤を介してポリプロピレンシートをラミネートして3種3層シートを作製した。
次いで、酸素濃度を3.416%に調整したグローブボックス内で、上記3種3層シートから成る蓋材のポリプロピレンシート面を、内容積80mlの酸素不透過性容器[ハイレトフレックス:HR78−84東洋製罐(株)製・ポリプロピレン/スチール箔/ポリプロピレン製カップ状積層容器]にヒートシールした後に取り出し、22℃6日間経過後の容器内酸素濃度(%)を測定し、酸素バリヤー性を評価した。
【0066】
[実施例1]
熱可塑性樹脂Aとして末端アミノ基濃度が87eq/10gであるポリメタキシリレンアジパミド樹脂(T−600:東洋紡績(株)製)を基材として用いた。
酸化性有機成分Bとしては、液状無水マレイン酸変性ポリブタジエン(M−2000−20:日本石油化学(株)製)、酸化性有機成分Cとしては液状未変性ポリブタジエン(B−2000:日本石油化学(株)製)を用い、重量比(B:C)80:20で十分攪拌した液状混合物を酸素吸収樹脂組成物(A、B、C及びD)に対し5重量%とした。
遷移金属触媒Dとしてネオデカン酸コバルト(DICNATE5000:大日本インキ化学工業(株)製)を金属換算で350ppmとし、上記熱可塑性樹脂A、酸化性有機成分B、Cから成る液状混合物、及び遷移金属触媒Dを二軸押出機(TEM−35東芝機械(株)製)を用いて混練、ペレタイズして酸素吸収性ペレットを得た。
上述した評価方法によりこの酸素吸収性ペレットの酸素濃度を測定し、酸素濃度から酸素吸収量(cc/g)を計算した。
次いで、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用い、内外層用押出機にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(RT543C:日本ユニペット(株)製)を、中間層用押出機に上記酸素吸収性ペレットを用い、成形温度270℃で製膜して各層100μmの2種3層の多層フィルムとし、上述した評価方法により、上記多層フィルムの酸素吸収樹脂層における酸化性有機成分の相構造を観測する共に成形性を評価した。
さらに、上記多層フィルムの片面のポリエチレンテレフタレート(PET)層を剥離して、その面に接着剤(TM-280(東洋モートン(株)製):CAT-RT3(東洋モートン(株)製):酢酸エチル(68.0:6.1:62.6)の混合溶液)を介して厚み50μmのポリプロピレンシート(トレファンNO:東レ合成フィルム(株)製)をラミネートして3種3層シートを作製した。
そして、上述した評価方法により、この3種3層シートから成る蓋材を酸素不透過性容器にヒートシールして、容器内酸素濃度(%)を測定し、上記多層フィルムの酸素バリヤー性を評価した。
【0067】
[実施例2]
酸化性有機成分Cとして液状水酸基変性ポリタジエン(R45HT:出光石油化学(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様に酸素吸収性ペレットの酸素吸収量、多層フィルムの作製、酸化性有機成分の相構造の観察、成形性の評価、3種3層シートの作製及び酸素バリヤー性の評価を行った。
【0068】
[実施例3]
熱可塑性樹脂Aとしてエチレン含有率が32モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)(EP−F101B:クラレ(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に酸素吸収性ペレットの酸素吸収量、多層フィルムの作製、酸化性有機成分の相構造の観察、成形性の評価、3種3層シートの作製及び酸素バリヤー性の評価を行った。
【0069】
[実施例4]
熱可塑性樹脂Aとしてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂(RT543C:日本ユニペット(株)製)としたこと以外は、実施例1と同様に酸素吸収性ペレットの酸素吸収量、多層フィルムの作製、酸化性有機成分の相構造の観察、成形性の評価、3種3層シートの作製及び酸素バリヤー性の評価を行った。
【0070】
[比較例1]
酸化性有機成分Bを用いなかったこと以外は、実施例1と同様に酸素吸収性ペレットの酸素吸収量、多層フィルムの作製、酸化性有機成分の相構造の観察、成形性の評価を行った。
【0071】
[比較例2]
酸化性有機成分Bを用いなかったこと、酸化性有機成分Cとして液状水酸基変性ポリタジエン(R45HT:出光石油化学(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様に酸素吸収性ペレットの酸素吸収量、多層フィルムの作製、酸化性有機成分の相構造の観察、成形性の評価を行った。
【0072】
[比較例3]
酸化性有機成分Cを用いなかったこと以外は、実施例1と同様に酸素吸収性ペレットの酸素吸収量、多層フィルムの作製、酸化性有機成分の相構造の観察、成形性の評価、3種3層シートの作製及び酸素バリヤー性の評価を行った。
【0073】
[比較例4]
遷移金属触媒Dとしてネオデカン酸コバルト(DICNATE5000:大日本インキ化学工業(株)製)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様に酸素吸収性ペレットの酸素吸収量、多層フィルムの作製、酸化性有機成分の相構造の観察、成形性の評価、3種3層シートの作製及び酸素バリヤー性の評価を行った。
【0074】
上記各実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
Figure 0004186592
【0076】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物によれば、熱可塑性樹脂Aと、酸化性有機成分Bと、酸化性有機成分Bよりも酸化速度の速い酸化性成有機成分Cと、遷移金属触媒Dとから成ることにより、優れた成形性及びガス遮断性を損なうことなく、常温以下の温度域における酸素吸収までの誘導期間を短縮でき、酸素吸収速度が速く、特に初期バリヤー性に優れた樹脂組成物を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】22℃における、遷移金属触媒と酸化性有機成分から成る組成物の時間に対する酸素吸収量の変化を示す図である。
【図2】5℃における、遷移金属触媒と酸化性有機成分から成る組成物の時間に対する酸素吸収量の変化を示す図である。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂Aと、無水マレイン酸変性ポリブタジエンから成る酸化性有機成分Bと、未変性ポリブタジエン及び/又は水酸基変性ポリブタジエンから成る、酸化性有機成分Bよりも酸化速度の速い酸化性成有機成分Cと、遷移金属触媒Dとから成ることを特徴とする成形性及びガス遮断性に優れた樹脂組成物。
  2. 前記酸化性有機成分Bの酸素吸収速度が、酸化性有機成分Bと遷移金属触媒Dから成る組成物としたときの1日経過後の酸素吸収量が10(cc/g・day・at22℃)未満である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記酸化性有機成分Cの酸素吸収速度が、酸化性有機成分Cと遷移金属触媒Dから成る組成物としたときの1日経過後の酸素吸収量が10(cc/g・day・at22℃)以上である請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱可塑性樹脂Aが連続相として存在し、酸化性有機成分B及びCから成る分散相として存在する請求項1乃至の何れかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記酸化性有機成分B及びCから成る分散相が熱可塑性樹脂A中に最小長さが10μm以下の分散粒子として分散している請求項1乃至の何れかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂Aが、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド乃至その共重合体、及びポリエステルから成る群より選択された少なくとも1種の樹脂から成る請求項1乃至の何れかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記遷移金属触媒Dが、コバルト、マンガン、銅及び鉄から成る群より選択された少なくとも1種の金属塩であり、樹脂組成物中に金属換算量で少なくとも300ppmの量で存在する請求項1乃至の何れかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記酸化性有機成分B及びCが、合計量で樹脂組成物中0.01乃至10重量%の量で存在すると共に、酸化性有機成分Bが酸化性有機成分B及びCの合計量の20重量%以上の量で存在する請求項1乃至の何れかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至の何れかに記載の樹脂組成物から成る層を少なくとも1層有する成形性及びガス遮断性に優れた包装材料。
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