JP5527919B2 - 水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物 - Google Patents

水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5527919B2
JP5527919B2 JP2006122052A JP2006122052A JP5527919B2 JP 5527919 B2 JP5527919 B2 JP 5527919B2 JP 2006122052 A JP2006122052 A JP 2006122052A JP 2006122052 A JP2006122052 A JP 2006122052A JP 5527919 B2 JP5527919 B2 JP 5527919B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
acid
copolymer
oxygen barrier
moisture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006122052A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007291271A (ja
Inventor
威久男 小松
洋介 阿久津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP2006122052A priority Critical patent/JP5527919B2/ja
Publication of JP2007291271A publication Critical patent/JP2007291271A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5527919B2 publication Critical patent/JP5527919B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、水分及び酸素バリヤー性に優れた樹脂組成物に関するものである。
食品や薬品の包装分野において、内容物の品質劣化を防ぐ目的で、水分バリヤー層及び酸素バリヤー層を含む積層フィルムが食品包装用として提案されている。しかしながら、水分バリヤー層と酸素バリヤー層とを別々に設ける場合には、層構成が複雑となり、また押出機を増設しなければならず、設備コストが大きいなど製造性の点で問題がある。
一方、樹脂に無機層状化合物を分散させて水分バリヤー性及び酸素バリヤー性を併せ持った樹脂層も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、これらの樹脂層は分散状態が悪く、薄褐色を呈し、透明性に欠ける。また、水分バリヤー性及び酸素バリヤー性に関しても不十分である。
特開2004−292677号公報 特表2005−513251号公報
本発明は、従来の設備を改造することなく、酸素バリヤー性及び水分バリヤー性に優れ、また透明性に優れた層をもつ樹脂容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を重ねた結果、水分バリヤー樹脂である環状オレフィン共重合体と酸素バリヤー樹脂であるエチレンビニル共重合体とを混合した樹脂組成物を用いることにより上記課題を解決した樹脂容器を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、環状脂肪族炭化水素を含む樹脂(A)と酸素バリヤー樹脂(B)とを含む水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物を提供する。
また、本発明は、前記樹脂組成物からなる水分及び酸素バリヤー性樹脂層を提供する。
また、本発明は、前記樹脂層を有する包装体を提供する。
本発明により、従来の設備を改造することなく、酸素バリヤー性及び水分バリヤー性に優れ、また透明性に優れた層をもつ樹脂容器を提供することができる。
本発明の水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物は環状脂肪族炭化水素を含む樹脂(A)を含む。
環状脂肪族炭化水素を含む樹脂(A)としては、オレフィンと環状オレフィンとの非晶質又は低結晶性共重合体(COC:cycloolefincopolymer)などを使用する事が出来る。これらの樹脂は単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
オレフィンとしては、エチレンが好適であるが、他にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、3−メチル1−ペンテン、1−デセン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが、単独或いはエチレンとの組み合わせで使用される。
環状オレフィンとしては、エチレン系不飽和結合とノルボルネン環、若しくはビシクロ環とを有する脂環族炭化水素化合物、特にビシクロ[2,2,1]ヘプト−2エン骨格を有する炭化水素化合物が挙げられる。具体的にはノルボルナン構造を有する繰り返し単位を構成するものやノルボルナン構造を持たない脂環構造を含有する繰り返し単位を構成するものが挙げられるが、勿論これに限定されるものではない。
ノルボルナン構造を有する繰り返し単位の具体例としては、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.12,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−ドデカ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−ドデカ−3−エンおよびテトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−ドデカ−3−エン等が挙げられる。また、ノルボルナン構造を有しない繰り返し単位を構成するものとしては、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、テトラシクロ[7.4.0.02,7.110,13]−テトラデカ−11−エン、テトラシクロ[7.4.0.02,7.110,13]−トリデカ−2,4,6,11−テトラエン等が挙げられる。
この共重合体(COC)は、10〜50モル%、特に15〜40モル%の環状オレフィンと残余のオレフィンとから誘導され且つ200℃以下、特に60〜150℃のガラス転移点(Tg)を有することが望ましい。
この共重合体の分子量は、特に制限されないが、デカリン中135℃で測定して、0.1〜5dL/gの極限粘度[η]を有するのが良く、また、その結晶化度は、X線回折法で測定して、一般に10%以下、特に5%以下であることが望ましい。
また、本発明の水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物は酸素バリヤー樹脂(B)を含む。
酸素バリヤー樹脂(B)としては、従来から公知の酸素バリヤー性樹脂を用いることができ、例えばエチレンビニルアルコール共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくは、樹脂(B)はエチレンビニルアルコール共重合体である。
エチレンビニルアルコール共重合体としては、それ自体公知の任意のものを用いることができ、例えば、エチレン含有量が20〜60モル%、特に25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用できる。
このエチレンビニルアルコール共重合体ケン化物は、フィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フェノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して 0.01dL/g以上、特に0.05dL/g以上の粘度を有することが望ましい。
ポリアミド樹脂としては、(a)ジカルボン酸成分とジアミン成分とから誘導された脂肪族、脂環族或いは半芳香族ポリアミド、(b)アミノカルボン酸或いはそのラクタムから誘導されたポリアミド、或いはこれらのコポリアミド或いはこれらのブレンド物が挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数4〜15の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、ジアミン成分としては、 1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン等の炭素数4〜25、特に6〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4, 4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、特にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジアミン、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミンが挙げられる。
アミノカルボン酸成分として、脂肪族アミノカルボン酸、例えばω−アミノカプロン酸、ω−アミノオクタン酸、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸や、パラ−アミノメチル安息香酸、パラ−アミノフェニル酢酸等の芳香脂肪族アミノカルボン酸等を挙げることができる。
これらのポリアミドの内でもキシリレン基含有ポリアミドが好ましく、具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等の共重合体、或いはこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス(2アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムの如きラクタム、7−アミノヘプタン酸の如きω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられるが、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とから得られるポリアミドが特に好適に用いることができる。
これらのキシリレン基含有ポリアミドは、他のポリアミド樹脂に比してガスバリヤー性に優れており、本発明の目的に好ましいものである。
これらのポリアミドもフィルムを形成するに足る分子量を有するべきであり、濃硫酸中1.0g/dl の濃度で且つ30℃の温度で測定した相対粘度(ηrel)が1.1以上、特に1.5以上であることが望ましい。
ポリエステル樹脂としては、テレフタル酸やイソフタル酸のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコールのようなジオール類とから誘導された熱可塑性ポリエステル、いわゆるガスバリヤー性ポリエステルが挙げられる。このガスバリヤー性ポリエステルは、重合体鎖中に、テレフタル酸成分(T)とイソフタル酸成分(I)とを、T:I=95:5〜5:95、特に75:25〜25:75のモル比で含有し、且つエチレングリコール成分(E)とビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン成分(BHEB)とを、E:BHEB=99.999:0.001〜2.0:98.0、特に99.95:0.05〜40:60のモル比で含有する。BHEBとしては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。
このポリエステルは、少なくともフィルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般にフェノールとテトラクロルエタンとの60:40の重量比の混合溶媒中、30℃の温度で測定して、0.3〜2.8dl/g、特に0.4〜1.8dl/gの固有粘度[η]を有することが望ましい。
ポリグリコール酸を主体とするポリエステル樹脂、或いはこのポリエステル樹脂と上記芳香族ジカルボン酸とジオール類とから誘導されたポリエステル樹脂をブレンドしたポリエステル樹脂を用いることもできる。
これらの上記樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50℃以上であることが好ましい。
環状脂肪族炭化水素を含む樹脂(A)と酸素バリヤー樹脂(B)との配合比率((A)/(B))は、好ましくは90/10〜20/80であり、より好ましくは60/40〜40/60であり、さらに好ましくは55/45〜45/55である。上記範囲内の配合比率とすることで、本発明の樹脂組成物からなる樹脂層が厚さ方向の断面において脂肪族環状炭化水素からなる樹脂(A)と酸素バリヤー樹脂(B)とが層状構造を形成し、それによってより優れた水分及び酸素バリヤー性を有するものとなる。
本発明の樹脂組成物は、好ましくはさらに酸化性有機成分(C)を含む。ここで、酸化性有機成分とは、酸化されることにより酸素を吸収する作用を示すものを意味する。
酸化性有機成分としては、主鎖或いは側鎖に脂肪族性の炭素・炭素二重結合を有する樹脂、主鎖に三級炭素原子を含む樹脂或いは主鎖に活性メチレン基を有する樹脂や、主鎖にキシリデン基を有するポリアミド樹脂、分子構造にエチレン構造を有する熱可塑性樹脂(D)と樹脂(D)以外の樹脂であって樹脂(D)の酸化のトリガーとなる樹脂(E)の混合物を挙げる事が出来る。これらの酸化性を有する基は、樹脂中に単独で含有されていても良いし、また2種以上の組み合わせで含有されていても良い。また、酸化性有機成分は、単独でも2種以上のブレンド物の形で用いられることも出来る。
主鎖或いは側鎖に脂肪族性の炭素・炭素二重結合を有する樹脂としては、鎖状又は環状の共役ポリエンから誘導された単位を含む樹脂が好適に使用される。これらの単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエンなどが挙げられる。具体的な重合体としては、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,2−イソプレン、ポリ−1,4−イソプレンのような共役ジエンポリマー;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等の共役ジエン共重合体;エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体等が挙げられる。
主鎖に三級炭素原子を含む樹脂としては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンから誘導された単位を含む重合体又は共重合体が好適に使用される。上記α−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−キセノン、1−ペプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。具体的な重合体としては、特にポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体等が挙げられる。
主鎖に活性メチレン基を有する樹脂としては、主鎖に電子吸引性の基、特にカルボニル基とこれに隣接するメチレン基とを有する樹脂が挙げられ、具体的には、一酸化炭素とオレフィンとの共重合体、特に一酸化炭素−エチレン共重合体等が挙げられる。
主鎖にキシリデン基を有するポリアミド樹脂としては、具体的にはポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、等の共重合体、或いはこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス[2アミノエチル]ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムの如きラクタム、7−アミノヘプタン酸の如きω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等の共重合体が挙げられる。特にm−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とから得られるポリアミドが好適に用いる事が出来る。これらのキシリレン基含有ポリアミドでは、ベンゼン環の隣接メチレン鎖の部分にラジカルの生成と酸素の吸収(パーオキサイドの生成)が効率よく起きるので酸素吸収の点で好ましいものである。
分子構造にエチレン構造を有する熱可塑性樹脂(D)と樹脂(D)以外の樹脂であって樹脂(D)の酸化のトリガーとなる樹脂(E)の混合物において、前記樹脂(D)としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、アイソタクティック又はシンジオタクテイクスポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体或いはこれらのブレンド物等が挙げられる。また、これらの樹脂をベースポリマーとし、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体でグラフト変性された酸変性オレフィン系樹脂を樹脂(D)として用いることもできる。好ましくは、樹脂(D)は低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体等のエチレン系共重合体であり、特に好ましくは低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンである。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(D)の酸化のトリガーとなる樹脂(E)としては、主鎖又は側鎖にエチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂、主鎖に三級炭素原子を含む樹脂及び主鎖に活性メチレン基を有する樹脂を挙げることができる。これらは、樹脂中に単独で含有されていてもよいし、二種以上の組合せで含有されていてもよい。主鎖又は側鎖にエチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂は、鎖状又は環状の共役又は非共役ポリエンから誘導された単位を含む樹脂が好ましい。これらの単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエン等が挙げられる。具体的な重合体としては、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,2−イソプレン、ポリ−1,4−イソプレンのような共役ジエンポリマー;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等の共役ジエン共重合体;エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体等が挙げられる。また、主鎖に三級炭素を有する樹脂としては、側鎖にベンゼン環を有する重合体や共重合体が好適に用いられる。このうち、前記樹脂(D)に対するトリガー効果が顕著である点から、側鎖にベンゼン環を有するスチレン共重合体が好ましく、スチレン−ジエン共重合体やそのジエン部分を水添した共重合体等が好ましい。特に、スチレン−イソプレン共重合体の一種であるスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、ジエン部分に水素化処理を行った水添スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体及び水添スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体が好ましい。
前記樹脂(D)と前記樹脂(E)からなる酸化性有機成分を用いる以外に、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂のみを酸化性有機成分として使用することもできる。この場合、本発明の水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物のうち、使用期間中実質的には酸化しない樹脂組成物に、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂を配合して使用する形態が好ましい。また、この場合、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂は官能基を有することが好ましい。官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボニル基などが挙げられるが、カルボン酸基、カルボン酸無水物基が、相溶性等の点で特に好ましい。これらの官能基は樹脂の側鎖に存在していても、末端に存在していてもよい。これらの官能基を導入するのに用いられる単量体としては、上記の官能基を有するエチレン系不飽和単量体が挙げられる。エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂にカルボン酸基又はカルボン酸無水物基を導入するために用いる単量体としては、不飽和カルボン酸またはこれらの誘導体を用いるのが望ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等のα,β不飽和カルボン酸無水物、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂の酸変性は、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂をベースポリマーとし、このベースポリマーに不飽和カルボン酸またはその誘導体をそれ自体公知の手段でグラフト共重合させることにより製造されるが、前述したエチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂と不飽和カルボン酸またはその誘導体とをランダム共重合させることによっても製造することができる。ガスバリヤー性樹脂への分散性の点で、特に好適なカルボン酸又はカルボン酸無水物基を有するエチレン系炭化水素を有する樹脂は、カルボン酸又はその誘導体を、酸価が5KOHmg/g以上となる量で含有している液状樹脂であることが好ましい。不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が上記の範囲にあると、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂のガスバリヤー性樹脂への分散が良好となると共に、酸素の吸収も円滑に行われる。
本発明の樹脂組成物に配合する場合、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂は、遷移金属触媒の存在下において、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂1g当たり常温で2×10-3mol以上、特に4×10-3mol以上の酸素を吸収する能力を有することが好ましい。すなわち、酸素吸収能力が上記値以上である場合、良好な酸素バリヤー性を発現させるために多量のエチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂をガスバリヤー性樹脂に配合する必要がなく、従って、配合した樹脂組成物の加工性や成形性の低下を招くこともない。
本発明に用いるエチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂における炭素−炭素二重結合は、特に限定されず、ビニレン基の形で主鎖中に存在しても、またビニル基の形で側鎖に存在していてもよく、要は酸化可能なものであればよい。
また、本発明の樹脂組成物は、酸化性有機成分に加えて、さらに遷移金属触媒を添加することもできる。遷移金属触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等VI族、マンガン等のVII族の金属成分を挙げることができる。これらの金属成分の内でもコバルト成分は、酸素吸収速度が大きく、本発明の目的に特に適したものである。遷移金属触媒は、上記遷移金属の低価数の無機酸塩或いは有機酸塩或いは錯塩の形で一般に使用される。
無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
一方有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。
一方、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることができる。
酸化性有機成分として分子構造にエチレン構造を有する熱可塑性樹脂(D)と樹脂(D)以外の樹脂であって樹脂(D)の酸化のトリガーとなる樹脂(E)、及び遷移金属触媒を含む樹脂組成物を用いる場合、前記樹脂(E)は前記樹脂(D)と前記樹脂(E)の合計重量に対して1〜10重量%で配合されることが好ましい。前記樹脂(E)の配合量がこの範囲内であれば、前記樹脂(E)のトリガー効果が効率よく発現し、成形中の劣化を抑制することができる。また、樹脂(D)及び樹脂(E)の合計量は、樹脂組成物に対して1〜30重量%、特に3〜20重量%の範囲で含有されるのが好ましい。樹脂(D)及び樹脂(E)の合計量が上記範囲内であれば、十分な酸素吸収能を有し、樹脂組成物の成形性も維持することができる。また、遷移金属触媒は、酸素吸収性樹脂組成物合計重量に対して、遷移金属量として、10〜3000ppm、特に50〜1000ppmが好ましい。遷移金属触媒が、上記範囲であれば、酸素吸収性層は十分な酸素吸収能を有し、樹脂組成物の成形性も維持することができる。
一方、酸化性有機成分としてエチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂と遷移金属触媒を配合した樹脂組成物を用いる場合、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂は、樹脂組成物に対して1〜30重量%、特に3〜20重量%の範囲で含有されるのが好ましい。エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂の配合量が上記範囲内であれば、十分な酸素吸収能を有し、樹脂組成物の成形性も維持することができる。また、遷移金属触媒は、酸素吸収性樹脂組成物合計重量に対して、遷移金属量として100〜1000ppm、特に200〜500ppmの量で含有されていることが好ましい。遷移金属触媒の量が上記範囲内であれば、良好なガスバリヤー性を得ることができ、酸素吸収性樹脂組成物の混練成形時における劣化傾向を抑制することができる。
エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂と遷移金属触媒を含む本発明の樹脂組成物を樹脂層に用いる場合、樹脂層の厚み方向断面における面積法平均分散粒径が1μm以下、その分散粒子により占める面積率が1%以上となるように、エチレン系不飽和炭化水素を有する樹脂の分散状態を制御することも重要である。分散粒径が上記範囲内であれば、良好な成形性を得ることができ、高湿度下でのバリヤー性の低下を招くこともなく、また面積率が上記範囲内であれば、良好なバリヤー性を得ることができる。
本発明の水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物は、フィルム、シートの形で包装材料として、また、カップ、トレイ、ボトル、チューブ容器等のキャップ形で包装容器として包装体の製造に用いることができる。
本発明の水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物は、これからなる少なくとも一層(以下、「水分及び酸素バリヤー性樹脂層」という。)と、他の樹脂の層からなる多層構造体の形で使用することが好ましい。
本発明の水分及び酸素バリヤー性樹脂層は、厚さ方向の断面において環状脂肪族炭化水素を含む樹脂(A)と酸素バリヤー樹脂(B)とが層状構造を形成するように構成されている必要がある。層状構造とは、分散粒子が円又は楕円形状(海島構造)ではなく、クレイや雲母のようなアスペクト比の高い鱗片状を成している事を言う。このような層状構造を形成する事により各種気体との接触面積が大きくなり、バリヤー性能を発現する。環状構造を有しないオレフィンでは前記層状構造を達成することはできず環状脂肪族炭化水素を用いることにより初めて前記層状構造を達成することが可能となる。前記層状構造の製造方法としては、公知の押出成形法、射出成形法を用いる事が出来る。好ましくは剪断速度が速い射出成形法、Tダイを用いたフィルム成形法である。剪断速度としては、1sec-1以上であり、より好ましくは5sec-1以上である。このような剪断速度であれば、層状構造の厚みが厚くなり過ぎず、透明性がよく、水分及び酸素バリヤー性能に問題はない。また、環状脂肪族炭化水素を含む樹脂(A)と酸素バリヤー樹脂(B)との配合比率((A)/(B))を、好ましくは90/10〜20/80の範囲、より好ましくは60/40〜40/60の範囲、特に55/45〜45/55の範囲とすることで、各層のアスペクト比が大きくなり、より効果的な層状構造を形成することができる。また、本発明の前記層状構造の各層の厚みは、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは1μm以下である。このような厚みであれば、透明性がよく、水分及び酸素バリヤー性能に問題はない。水分及び酸素バリヤー性樹脂層全体の厚みは好ましくは3〜50μmである。
多層構造体を構成する、酸素吸収性層以外の樹脂層は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から、その使用態様や要求される機能により適宜選択できる。例えば、オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
オレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物等が挙げられる。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリグリコール酸を主体とするポリエステル樹脂、或いはこれらの共重合ポリエステル、更にはこれらのブレンド物等が挙げられる。
上記多層構造体の構造は、使用態様、要求される機能により適宜選択できる。例えば、水分及び酸素バリヤー性樹脂層をOARとして表して、次の構造がある。
二層構造:PET/OAR、PE/OAR、PP/OAR、
三層構造:PE/OAR/PET、PET/OAR/PET、PE/OAR/PP、EVOH/OAR/PET、PE/OAR/COC、PP/OAR/PET、PP/OAR/PP、PP/OAR/COC
四層構造:PE/PET/OAR/PET、PE/OAR/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/PET、PE/OAR/EVOH/COC、PE/OAR/EVOH/PE、PP/PET/OAR/PET、PP/OAR/EVOH/PET、PP/OAR/EVOH/COC、PP/OAR/EVOH/PE、PP/OAR/EVOH/PE
五層構造:PET/OAR/PET/OAR/PET、PE/PET/OAR/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/COC/PET、PET/OAR/PET/COC/PET、PE/OAR/EVOH/COC/PET、PE/EVOH/OAR/EVOH/PE、PP/PET/OAR/EVOH/PET、PP/OAR/EVOH/COC/PET、PP/EVOH/OAR/EVOH/PP
六層構造:PET/OAR/PET/OAR/EVOH/PET、PE/PET/OAR/COC/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/PET/COC/PET、PE/EVOH/OAR/PE/EVOH/PE、PP/PET/OAR/COC/EVOH/PET、PP/EVOH/OAR/PP/EVOH/PP
七層構造:PET/OAR/COC/PET/EVOH/OAR/PET、
尚、PEとは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)を意味する。PEやPPを中間層として使用する場合には、PEやPPは本発明の多層構造体のリグラインド樹脂組成物を含む層であってもよい。前記リグラインド樹脂組成物は、本発明の多層容器の成形等を行うときに発生するスクラップ樹脂を含むものであり、通常成形性等の点からスクラップ樹脂と多層容器を構成するオレフィン樹脂等のバージン樹脂との混合樹脂を含む。また、リグラインド樹脂組成物には、脱臭剤又は吸着剤を配合してもよい。
この積層体に、各樹脂層間に必要により接着剤樹脂を介在させることもできる。このような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸を主鎖又は側鎖に、1〜700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、好ましくは、10〜500meq/100g樹脂、の濃度で含有する重合体が挙げられる。
接着剤樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等があり、これらを2種以上の組み合わせたものでもよい。
これらの接着剤樹脂は、同時押出又はサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。また、予め形成されたガスバリヤー性樹脂フィルムと耐湿性樹脂フィルムとの接着積層には、イソシアネート系又はエポキシ系等の熱硬化型接着剤樹脂も使用される。
本発明の水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物に酸化性有機成分を添加して用いる積層体においては、酸素吸収時に発生する副生成物の捕捉のために、上記の層のいずれか、特に、酸素吸収材層より内層側に位置する層に脱臭剤或いは酸化副生成物の吸着剤(本明細書においては、「酸化副生成物捕捉剤」とも呼ぶ。)を使用するのが好ましい。
酸化副生成物捕捉剤としては、それ自体公知のもの、例えば天然ゼオライト、合成ゼオライト、シリカゲル、活性炭、添着活性炭、活性白土、活性酸化アルミニウム、クレー、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、セピオライト、アタバルジャイト、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロタルサイト、アミン担持多孔質シリカが使用できる。中でも、アミン担持多孔質シリカは、酸化副生成物であるアルデヒドとの反応性の点で好ましく、また、種々の酸化副生物に対して優れた吸着性を示す。特に、透明である点でシリカ/アルミナ比が大きい所謂ハイシリカゼオライトが好ましい。ハイシリカゼオライトとしては、シリカ/アルミナ比(モル比)が80以上であることが好ましく、より好ましくは90以上であり、さらに好ましくは100〜700である。このようなシリカ/アルミナ比のゼオライトは、シリカ/アルミナ比が低いゼオライトが吸着性を低下させてしまうような高湿度条件において逆に酸化副生成物の捕捉性能が向上するという性質を有しており、水分を含む内容品を包装する包装体に使用した場合、特に有効である。ハイシリカゼオライトの交換カチオンは、ナトリウム、リチウム、カリウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の一種又は2種以上の混合物であることが必要である。この場合、交換カチオンとして少なくともナトリウムイオンを含有するのが好ましく、特に、実質的に全ての交換カチオンがナトリウムであるのが好ましい。このようなハイシリカゼオライトとしては、ZSM−5型ゼオライトが特に好ましいものとしてあげられる。また、ハイシリカゼオライトが、微粒子が凝集した柘榴状構造を有することも重要であり、柘榴状構造により、吸着表面積が増大し、単純なゼオライト孔から予想される以上の大きさの有機化合物に対しても有効に作用するのである。本発明で用いるゼオライトとしては、平均粒径が0.5〜10μmであるのが好ましい。
上記多層構造体は、それ自体公知の方法で製造が可能である。例えば、樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いて通常の押出成形を行えばよい。
また、本発明の多層構造体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により多層射出成形体を製造することができる。
更に、本発明の多層構造体を用いたフィルムやシートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルムあるいはシートを製造することもできる。
フィルム等の包装材料は、種々の形態の包装袋として用いることができ、その製袋は、それ自体公知の製袋法で行うことができ、三方或いは四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に限定されない。
本発明の多層構造体を用いた包装容器は、水及び酸素による内容物の変質や香味低下を防止できる容器として、また、水分の揮発を防止する容器として有用である。
充填できる内容物としては、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク、ウーロン茶、緑茶等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品等、その他では医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品などが挙げられるが、これらの例に限定されない。
上記包装容器は、さらに外装体によって包装した包装体としてもよい。
次に、実施例及び比較例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
[水分透過率測定]
内容量85mlの酸素及び水分不透過性容器(ハイレトフレックスHR78−84;東洋製罐(株)製ポリプロピレン/スチール箔/ポリプロピレン製カップ状積層容器)に水分測定用塩化カルシウム(和光純薬工業(株)製)を30g入れ、各サンプルフィルムでヒートシールし、30℃80%RH条件下で保存した。経時日時において、この容器全体の質量を天秤(LIBROR AEL−200(株)島津製作所製)で0.0001gまで測定し、プロットした直線の傾きより水分透過率を求めた。
[酸素透過率測定]
内容量85mlの酸素及び水分不透過性容器(ハイレトフレックスHR78−84;東洋製罐(株)製ポリプロピレン/スチール箔/ポリプロピレン製カップ状積層容器)に蒸留水1mlを入れ、窒素雰囲気下で各サンプルフィルムを容器内の初期酸素濃度を0.02%以下になるようにヒートシールし、30℃、80%RHで保存した。経時日時において、この容器内酸素濃度をガスクロマトグラフィー(GC−8A(株)島津製作所製)で測定し、プロットした直線の傾きより酸素透過率を求めた。
[Haze測定]
Haze測定は、SMカラーコンピューターHGM−2K(スガ試験機(株)製)を用いた。
[実施例1]
3層ダイを連結したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用い、内層としてポリプロピレンMG2T(日本ポリプロピレン(株)製)30μm/接着層としてSF730(三井化学(株)製)20μm/外層として環状脂肪族炭化水素を含む樹脂である環状オレフィン共重合体樹脂APL9509T(三井化学(株)製)に10重量%の酸素バリヤー樹脂であるエチレンビニルアルコール共重合体EP−L101B((株)クラレ製)を混練した層50μmの全体厚み100μmのフィルムを作製し、水分及び酸素透過率測定を行った。
また、前記環状脂肪族炭化水素を含む樹脂に、10重量%の前記酸素バリヤー樹脂を混合し、射出機NN75JS Hipershot7000(新潟鉄工(株))を用い、温度設定210℃、射出速度20mm/secの条件で厚さ1.5mm×縦90mm×横90mmのプレートを作製し、Haze測定及び断面をレーザースキャン顕微鏡LSM5 PASCAL MAT(Zeiss製)で観察した(図1−1及び図1−2)。
[実施例2]
3層ダイを連結したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用い、内層としてポリプロピレンMG2T(日本ポリプロピレン(株)製)30μm/接着層としてSF730(三井化学(株)製)20μm/外層として前記環状脂肪族炭化水素を含む樹脂に20重量%の前記酸素バリヤー樹脂を混練した層50μmの全体厚み100μmのフィルムを作製し、水分及び酸素透過率測定を行った。
また、前記環状脂肪族炭化水素を含む樹脂に、20重量%の前記酸素バリヤー樹脂を混合し、射出機NN75JS Hipershot7000(新潟鉄工(株))を用い、温度設定210℃、射出速度20mm/secの条件で厚さ1.5mm×縦90mm×横90mmのプレートを作製し、Haze測定した。
[実施例3]
前記酸素バリヤー樹脂の配合量を40重量%にした以外は実施例2と同様にサンプルを作製し、評価を行った。
[実施例4]
前記酸素バリヤー樹脂の配合量を60重量%にした以外は実施例2と同様にサンプルを作製し、評価を行った。
[実施例5]
前記酸素バリヤー樹脂の配合量を80重量%にした以外は実施例2と同様にサンプルを作製し、評価を行った。
[実施例6]
前記酸素バリヤー樹脂の配合量を90重量%にした以外は実施例2と同様にサンプルを作製し、評価を行った。
[比較例1]
前記環状脂肪族炭化水素を含む樹脂の替わりに、ポリエチレン樹脂LJ803(日本ポリエチレン(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にサンプルを作製し、評価を行った。
[比較例2]
前記環状脂肪族炭化水素を含む樹脂の替わりに、ポリエチレン樹脂LJ803(日本ポリエチレン(株)製)を用い、前記酸素バリヤー樹脂の配合量を40重量%にした以外は実施例2と同様にサンプルを作製し、評価を行った。
[比較例3]
前記環状脂肪族炭化水素を含む樹脂を配合しなかった以外は実施例2と同様にサンプルを作製し、評価を行った。
実施例1の断面の顕微鏡写真を示す図である。 比較例1の断面の顕微鏡写真を示す図である。 本発明のHazeを示すグラフである。 本発明の水分透過率を示すグラフである。 本発明の酸素透過率を示すグラフである。

Claims (4)

  1. オレフィンと環状オレフィンの共重合体(A)と、エチレンビニルアルコール共重合体である酸素バリヤー樹脂(B)とを含み、共重合体(A)と樹脂(B)との配合比率が60/40〜40/60であり、共重合体(A)と樹脂(B)とが層状構造を形成し、前記層状構造がミクロな鱗片状の相分離構造を示す、水分及び酸素バリヤー性樹脂層。
  2. 共重合体(A)中に酸化性有機成分(C)が存在する、請求項1記載の樹脂層。
  3. 樹脂(B)中に酸化性有機成分(C)が存在する、請求項1又は2記載の樹脂層。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂層を有する包装体。
JP2006122052A 2006-04-26 2006-04-26 水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物 Active JP5527919B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006122052A JP5527919B2 (ja) 2006-04-26 2006-04-26 水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006122052A JP5527919B2 (ja) 2006-04-26 2006-04-26 水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007291271A JP2007291271A (ja) 2007-11-08
JP5527919B2 true JP5527919B2 (ja) 2014-06-25

Family

ID=38762211

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006122052A Active JP5527919B2 (ja) 2006-04-26 2006-04-26 水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5527919B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5380930B2 (ja) * 2007-07-24 2014-01-08 大正製薬株式会社 睡眠改善剤
JP7124326B2 (ja) * 2018-02-02 2022-08-24 三菱ケミカル株式会社 フィルムおよび包装体

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5128146A (ja) * 1974-09-04 1976-03-09 Showa Denko Kk Echirennsakusanbinirukyojugotaikenkabutsuto kaikanjugotaitokaranaru jushisoseibutsu
JPH11216817A (ja) * 1998-01-30 1999-08-10 Nippon Zeon Co Ltd 複合フィルム
JP4099870B2 (ja) * 1998-07-30 2008-06-11 日本ゼオン株式会社 車両灯具用レンズ
JP2001031768A (ja) * 1999-07-23 2001-02-06 Showa Denko Kk 酸素バリア性ポリマー
JP2002318301A (ja) * 2001-04-23 2002-10-31 Okura Ind Co Ltd マイクロレンズアレイおよびその製造方法
JP2003268167A (ja) * 2002-03-15 2003-09-25 Sekisui Chem Co Ltd 透明樹脂組成物及び透明フィルム
JP4186592B2 (ja) * 2002-11-08 2008-11-26 東洋製罐株式会社 成形性及びガス遮断性に優れた樹脂組成物及び包装材料
JP4136996B2 (ja) * 2004-04-26 2008-08-20 シーアイ化成株式会社 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる物品の成形方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007291271A (ja) 2007-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4934286B2 (ja) 吸着捕捉ゼオライト及びこれを含有する吸着捕捉樹脂組成物
JP4082023B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物、包装材料及び包装用多層容器
JP4241382B2 (ja) ガスバリヤー性に優れた多層構造体
JP3896875B2 (ja) 成形性及びガス遮断性に優れた樹脂組成物及び包装材料
JP4406921B2 (ja) 多層構造体
US9956716B2 (en) Multilayered container
KR101799167B1 (ko) 다층 용기
JP4399860B2 (ja) 多層容器
US20160039572A1 (en) Multilayered container excellent in oxygen-barrier property
JP4831519B2 (ja) アミン担持多孔質シリカ、該多孔質シリカを含有する樹脂組成物及び該樹脂組成物を含有する多層構造体
JP2007283564A (ja) ガスバリア性フィルム、並びに該フィルムを用いた包装材及び包装体
JP3882802B2 (ja) 包装体
JP4192478B2 (ja) 多層包装材料
JP5019000B2 (ja) 多層構造体
JP5527919B2 (ja) 水分及び酸素バリヤー性樹脂組成物
JP3903997B2 (ja) 包装容器
JP2004025664A (ja) 酸素バリヤー性多層構造体
JP2004002566A (ja) 樹脂組成物及びこれを用いた多層包装材料
JP4671161B2 (ja) 酸素吸収性樹脂組成物
KR102294466B1 (ko) 산소 흡수성 수지 조성물 및 그 제조 방법, 그리고 용기
JP6205963B2 (ja) 多層構造プラスチック容器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20090325

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110613

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110809

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20120604

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120802

A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20130510

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Effective date: 20130523

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

A02 Decision of refusal

Effective date: 20130626

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

A521 Written amendment

Effective date: 20130926

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20131003

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20131025

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20140415

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5527919