JP4296636B2 - 酸素吸収性樹脂組成物及び包装材料並びに包装容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素吸収性樹脂組成物及びそれを用いた包装材料並びに包装容器に関するもので、より詳細には、酸素吸収速度の改善された酸素吸収性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、包装容器としては、金属缶、ガラスビン、各種プラスチック容器等が使用されているが、容器内に残留する酸素や容器壁を透過する酸素による内容物の変質やフレーバー低下が問題となっている。
【0003】
特に、金属缶やガラスビンでは容器壁を通しての酸素透過がゼロであり、容器内に残留する酸素のみが問題であるのに対して、プラスチック容器の場合には器壁を通しての酸素透過が無視し得ないオーダーで生じ、内容品の保存性の点で問題となっている。
【0004】
これを防止するために、プラスチック容器では容器壁を多層構造とし、その内の少なくとも一層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の耐酸素透過性を有する樹脂を用いることが行われている。
【0005】
容器内の酸素を除去するために、脱酸素剤の使用も古くから行われており、これを容器壁に適用した例としては、特公昭62−1824号公報の発明があり、これによると、酸素透過性を有する樹脂に鉄粉などの還元性物質を主剤とする脱酸素剤を配合して成る層と、酸素ガス遮断性を有する層とを積層して、包装用多層構造物とする。
【0006】
本発明者等の提案に係る特開平1−278344号公報には、20℃−0%RHでの酸素透過係数が10−12cc・cm/cm2・sec・cmHg以下で且つ20℃−100%RHでの水分吸着量が0.5%以上であるガスバリヤー性熱可塑性樹脂に遷移金属の有機金属錯体を配合した樹脂組成物を中間層とし、該中間層の両側に耐湿性可塑性樹脂の層を設けた積層構造物から成ることを特徴とするプラスチック多層容器が記載されている。
【0007】
特表平2−500846号公報には、ポリマーから成り酸素捕集特性を有する組成物または該組成物の層を含有する包装用障壁において、組成物が酸化可能有機成分の金属触媒酸化により酸素を捕集することを特徴とする包装用障壁が記載されており、酸化可能有機成分としては、ポリアミド、特にキシリデン基含有ポリアミドが使用されることも記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
鉄粉等の酸素吸収剤を樹脂に配合して、包装材料の器壁に用いる方法は、酸素吸収性能が大きいという点では満足できるものであるが、樹脂を固有の色相に着色するために、透明性が要求される包装の分野には使用できないという用途上の制約がある。
【0009】
一方、遷移金属系触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物は、実質上透明である包装容器にも適用できるという利点を有しているが、酸素の吸収速度が未だ十分でないという問題を有している。
【0010】
本発明者らは、ポリアミド樹脂と遷移金属系触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物についての研究課程で、ポリアミド樹脂の末端アミノ基がこの樹脂組成物の酸素吸収速度に大きな影響を与えること、及び用いるポリアミド樹脂として、末端アミノ基をある基準値以下に抑制されたポリアミド樹脂を選択することにより、該樹脂組成物の酸素吸収速度を増大させうることを見出した。
即ち、本発明の目的は、酸素吸収速度の増大したポリアミド樹脂と遷移金属系触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物を提供するにある。
本発明の他の目的は、増大した酸素吸収速度を有すると共に、ガスバリアー性、透明性にも優れており、広範な包装材料及び包装容器の用途に適用できる酸素吸収性樹脂組成物を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、キシリレンジアミンを主体とするジアミン成分とジカルボン酸成分とから誘導されたポリアミド樹脂と、酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカンから選ばれる遷移金属系触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物において、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が10〜30eq/106gであることを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物が提供される。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物においては、遷移金属系触媒がポリアミド樹脂当たり遷移金属量として10乃至5000ppmの量で含有されていること、が好ましい。
本発明によれば更に、上記酸素吸収性樹脂組成物からなる少なくとも1層を含むことを特徴とする包装材料及び包装容器が提供される。
【0012】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明の酸素吸収性樹脂組成物では、ポリアミド樹脂として、末端アミノ基濃度が10〜50eq/106gであるポリアミド樹脂を選択し、これを遷移金属系触媒と組み合わせたことが特徴であり、これにより樹脂組成物の酸素吸収速度を顕著に向上させることができる。
【0013】
添付図面の図1を参照されたい。図1は、後述する実施例の種々の末端アミノ基濃度のキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属系触媒との組成物について、末端アミノ基濃度と酸素吸収速度との関係をプロットしたものである。
この図1によると、末端アミノ基濃度が67eq/106gの場合には酸素吸収速度はゼロであるのに対して、末端アミノ基濃度が10〜50eq/106gとなる場合には、酸素吸収速度を3.0×10−4cc/cm2・day以上に保持できるという意外な事実が明らかとなる。
【0014】
本発明の酸素吸収性樹脂組成物では、更にポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度(eq/106g)/末端アミノ基濃度(eq/106g)の比が1〜12の範囲にあることが好ましい。
図2は、後述する実施例の種々の末端アミノ基濃度及び種々の末端カルボキシル基濃度のキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属系触媒との組成物について、末端カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比と酸素吸収速度との関係をプロットしたものである。
この図2によると、末端カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比が0.6である場合には酸素吸収速度はゼロであるのに対して、末端カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比が1〜12となる場合には、酸素吸収速度を3.0×10−4cc/cm2・day以上に保持できるというやはり意外な事実が明らかとなる。
【0015】
一般に、ポリマーの分子量測定の1方法として、末端基定量法が知られている。また、ポリアミドについては分子量測定法として一定の条件下での相対粘度(ηrel)を求める方法が一般的に採用されている。しかしながら、後述する例に示すとおり、一定の相対粘度のポリアミドであっても、末端アミノ基濃度が大きく相違するものがあり、前記樹脂組成物における酸素吸収速度は、ポリアミドの分子量ではなく、あくまで末端アミノ基濃度に依存するものと考えられる。
【0016】
遷移金属系触媒とポリアミド樹脂とから成る樹脂組成物の酸素吸収は、前記刊行物にも記載されているとおり、遷移金属系触媒によるポリアミド樹脂の酸化を経由して行われるものであり、この酸化は、▲1▼遷移金属系触媒によるポリアミド樹脂のメチレン鎖(特にアリーレン基に隣接するメチレン鎖)からの水素原子の引き抜きによるラジカルの発生、▲2▼このラジカルへの酸素分子の付加によるパーオキシラジカルの発生、▲3▼パーオキシラジカルによる水素原子の引き抜きの各素反応を通して生じると信じられる。
【0017】
本発明において、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度を一定基準値以下に抑制することにより酸素吸収速度を増大させうるのは、次の理由によると信じられる。
即ち、末端アミノ基がこれに隣接するメチレン鎖のラジカルを安定にトラッピングする作用を有し、しかもこのトラップされたラジカルは酸素分子の吸収には関与しないと考えられる。このため末端アミノ基濃度が基準値よりも高いポリアミド樹脂の組成物では、酸素吸収に誘導期が現れ、酸素吸収速度の低下がもたらされる。
これに対して、本発明の樹脂組成物では、この誘導期が解消乃至短縮され、その結果酸素吸収速度の増大がもたらされると信じられる。
【0018】
[酸素吸収性樹脂組成物]
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、末端アミノ基濃度が10〜50eq/106g、好ましくは10乃至40eq/106g、最も好ましくは10乃至30eq/106gのポリアミド樹脂と遷移金属系触媒とを含有してなる。
【0019】
ポリアミド樹脂としては、(a)ジカルボン酸成分とジアミン成分とから誘導された脂肪族、脂環族或いは半芳香族ポリアミド、(b) アミノカルボン酸或いはそのラクタムから誘導されたポリアミド、或いはこれらのコポリアミド或いはこれらのブレンド物が挙げられる。
ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数4乃至15の脂肪族ジカルボン酸やテレフタール酸やイソフタール酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、ジアミン成分としては、 1,6- ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、1,10- ジアミノデカン、1,12- ジアミノドデカン等の炭素数4〜25とくに6〜18の直鎖状又は分岐鎖状アルキレンジアミンや、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、4, 4′- ジアミノ-3,3′- ジメチルジシクロヘキシルメタン、特にビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジアミン、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミンが挙げられる。
アミノカルボン酸成分として、脂肪族アミノカルボン酸、例えばω−アミノカプロン酸、ω−アミノオクタン酸、ω−アミノウンデカン酸、ω−アミノドデカン酸や、例えばパラ−アミノメチル安息香酸、パラ−アミノフェニル酢酸等の芳香脂肪族アミノカルボン酸等を挙げることができる。
【0020】
本発明の目的には、これらのポリアミドの内でもキシリレン基含有ポリアミドが好ましく、具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等の共重合体、或いはこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス(2アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムの如きラクタム、7−アミノヘプタン酸の如きω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられるが、m−キシリレンジアミン及び/又はp−キシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸とから得られるポリアミドが特に好適に用いることができる。
これらのキシリレン基含有ポリアミドでは、ベンゼン環の隣接メチレン鎖の部分にラジカルの生成と酸素の吸収(パーオキサイドの生成)が効率よく起きるので酸素吸収性の点で好ましいものである。
【0021】
本発明に用いるポリアミド樹脂は、前述した範囲の末端アミノ基濃度を有している。末端アミノ基濃度が上記範囲をこえると、酸素吸収速度が低下するので好ましくなく、一方末端アミノ基濃度があまり低くても酸素吸収速度の向上には限度がある。
【0022】
また、本発明に用いるポリアミド樹脂は、末端カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比が、1〜12、好ましくは2乃至11の範囲にあるのがよい。
末端カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比が上記範囲をこえると、酸素吸収速度が低下するので好ましくなく、一方この比があまり低くても酸素吸収速度の向上には限度がある。
【0023】
末端アミノ基濃度或いは末端カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比が前記範囲内にあるポリアミド樹脂は、市販のポリアミド樹脂の樹脂から選択して用いることができる。
一般に固相重合法で製造されたポリアミド樹脂は、他の重合法で製造されたポリアミド樹脂に比して、末端アミノ基濃度が低い範囲内にある。
また、末端アミノ基濃度が本発明で規定した範囲を上回るポリアミド樹脂でも、末端アミノ基濃度を低下させる手段を講じることにより、本発明の条件を満足する末端アミノ基濃度のポリアミド樹脂とすることができる。
例えば、ポリアミドの製造工程中で、或いは製造後に、末端アミノ基にこれを封鎖するアシル化を行うことにより、末端アミノ基の低減処理を行うことができる。この目的に使用するアシル化剤としては、無水酢酸、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、トルエンスルホン酸等の酸、酸無水物、酸ハライドなどを挙げることができるが、これらの例に限定されない。
【0024】
これらのポリアミド樹脂は、容器の機械的特性及び加工の容易さから、98%硫酸中、1.0 g/dlの濃度及び20℃の温度で測定した相対粘度(ηrel )が1.3乃至4.2、特に1.5乃至3.8の範囲内にあることが望ましい。
【0025】
本発明に用いる遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等VI族、マンガン等のVII族の金属成分を挙げることができる。これらの金属成分の内でもコバルト成分は、酸素吸収速度が大きく、本発明の目的に特に適したものである。
【0026】
遷移金属系触媒は、上記遷移金属の低価数の無機酸塩或いは有機酸塩或いは錯塩の形で一般に使用される。
無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。
一方有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。
一方、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタン及びジピバロイルメタン等を用いることが出来る。
【0027】
本発明の樹脂組成物においては、遷移金属系触媒がポリアミド樹脂当たり、遷移金属量として10乃至5000ppmの量、特に50乃至3000ppmの量で含有されていることが好ましい。遷移金属系触媒の量が上記範囲を下回ると、上記範囲内にある場合に比して酸素吸収速度が低下するので好ましくなく、一方この量が上記範囲を上回っても酸素吸収速度の一層の向上はなく、成形時の樹脂の劣化や着色の問題が生じるのでやはり好ましくない。
【0028】
ポリアミド樹脂に遷移金属系触媒を配合するには、種々の手段を用いることができる。例えば、遷移金属触媒をポリアミド樹脂に単に乾式でブレンドすることもできるが、遷移金属系触媒がポリアミドに比して少量であるので、ブレンドを均質に行うために、一般に遷移金属触媒を有機溶媒に溶解し、この溶液と粉末或いは粒状のポリアミド樹脂とを混合し、必要によりこの混合物を不活性雰囲気下に乾燥するのがよい。
【0029】
遷移金属系触媒を溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒を用いることができ、一般に遷移金属系触媒の濃度が5乃至90重量%となるような濃度で用いるのがよい。
【0030】
ポリアミド樹脂と遷移金属系触媒との混合、及びその後の保存は、組成物の前段階での酸化が生じないように、非酸化性雰囲気中で行うのがよい。この目的に減圧下或いは窒素気流中での混合或いは乾燥が好ましい。
この混合及び乾燥は、ベント式或いは乾燥機付の押出機や射出機を用いて、成形工程の前段階で行うことができ、この場合には、遷移金属系触媒含有ポリアミド樹脂の保存に格別の配慮が不必要になるという利点が達成される。
また、遷移金属系触媒を比較的高い濃度で含有するポリアミド樹脂のマスターバッチを調製し、このマスターバッチを未配合のポリアミド樹脂と乾式ブレンドして、本発明の酸素吸収性樹脂組成物を調製することもできる。
尚、本発明に用いるポリアミドは、一般的な乾燥条件である120乃至180℃の温度で、0.5乃至2mmHgの減圧下2乃至6時間乾燥して後述する成形に用いるのがよい。
【0031】
本発明の酸素吸収性樹脂組成物には、一般に必要ではないが、所望によりそれ自体公知の活性化剤を配合することができる。活性化剤の適当な例は、これに限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、各種アイオノマー等の水酸基及び/またはカルボキシル基含有重合体である。
これらの水酸基及び/またはカルボキシル基含有重合体は、ポリアミド樹脂100重量部当たり30重量部以下、特に0.01乃至10重量部の量で配合することができる。
本発明に用いる酸素吸収性樹脂組成物には、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂乃至ゴム、等の公知の樹脂配合剤を、それ自体公知の処方に従って配合できる。
例えば、滑剤を配合することにより、スクリューへの樹脂の食い込みが改善される。滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケン、流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、およびそれらの混合系が一般に用いられる。滑剤の添加量は、ポリアミド当たり50乃至1000ppmの範囲が適当である。
【0032】
[包装材料及び包装容器]
本発明の酸素吸収性組成物は、粉末、粒状物或いはシート等の形で、酸素透過性を有する樹脂フィルム、紙、織布、不織布或いはこれらの積層体から成る袋に充填し、密封包装体内の酸素吸収に使用することができる。
また、本発明の酸素吸収性組成物は、ライナー乃至ガスケット用或いは被覆形成用の樹脂やゴム中に配合して、包装体内の残留酸素吸収に用いることもできる。
しかしながら、本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、フィルム、シートの形で包装材料として、またカップ、トレイ、ボトル、チューブ容器等の形で包装容器として用いるのが特に好ましい。
【0033】
即ち、本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、単層の形で包装材料及び包装容器として使用できるのは勿論のこと、この酸素吸収性樹脂組成物から成る少なくとも一層と、他の樹脂からなる少なくとも一層の積層物の形で包装材料及び包装容器として使用できる。
一般に、本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、容器などの外表面に露出しないように容器などの外表面よりも内側に設けるのが好ましく、また内容物との直接的な接触を避ける目的で、容器などの内表面より外側に設けるのが好ましい。かくして、多層の樹脂包装材料或いは包装容器の少なくとも1個の中間層として、酸素吸収性樹脂組成物を用いるのが望ましい。
【0034】
多層構成の包装材料及び包装容器の場合、本発明の酸素吸収性樹脂組成物層と組み合わせる他の樹脂層としては、オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、バリアー性樹脂等が挙げられる。
オレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、アイソタクテイツクポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)或いはこれらのブレンド物等が挙げられる。
また、熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、或いはこれらの共重合ポリエステル、更にはこれらのブレンド物等が挙げられる。
更に、ガスバリヤー性樹脂の最も適当な例としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を挙げることができ、例えば、エチレン含有量が20乃至60モル%、特に25乃至50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。このエチレンビニルアルコール共重合体ケン化物は、フイルムを形成し得るに足る分子量を有するべきであり、一般に、フエノール:水の重量比で85:15の混合溶媒中30℃で測定して0.01 dl/g 以上、特に0.05 dl/g 以上の粘度を有することが望ましい。
更にまた、バリアー性樹脂の他の例としては、環状オレフィン系共重合体(COC)、特にエチレンと環状オレフィンとの共重合体、特に三井化学社製のAPEL等を用いることができる。
【0035】
包装材料及び包装容器用の積層構造の適当な例は、本発明の酸素吸収性樹脂組成物をOARとして表して、次の通りである。また、どちらの層を内面側にするかは、目的によって自由に選択することができる。
二層構造:PET/OAR、PE/OAR、OPP/OAR、
三層構造:PE/OAR/PET、PET/OAR/PET、PE/OAR/OPP、EVOH/OAR/PET、PE/OAR/COC、
四層構造:PE/PET/OAR/PET、PE/OAR/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/PET、PE/OAR/EVOH/COC、
五層構造:PET/OAR/PET/OAR/PET、PE/PET/OAR/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/COC/PET、PET/OAR/PET/COC/PET、PE/OAR/EVOH/COC/PET、
六層構造:PET/OAR/PET/OAR/EVOH/PET、PE/PET/OAR/COC/EVOH/PET、PET/OAR/EVOH/PET/COC/PET、
七層構造:PET/OAR/COC/PET/EVOH/OAR/PET、
などである。
【0036】
上記積層体の製造に当たって、各樹脂層間に必要により接着剤樹脂を介在させることもできる。
を主鎖又は側鎖に、1乃至700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、特に10乃至500meq /100g樹脂の濃度で含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。接着剤樹脂の適当な例は、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフイン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフイン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の1種又は2種以上の組合せである。これらの樹脂は、同時押出或いはサンドイッチラミネーション等による積層に有用である。
また、予じめ形成されたガスバリヤー性樹脂フイルムと耐湿性樹脂フイルムとの接着積層には、イソシアネート系或いはエポキシ系等の熱硬化型接着剤樹脂も使用される。
【0037】
本発明に用いる包装材料及び包装容器において、酸素吸収性樹脂組成物の厚みは、特に制限はないが、酸素吸収性の点では一般に1μm以上、特に3μm以上の厚みを有するのが好ましい。一方酸素吸収性樹脂組成物の厚みは、一般に100μm以下、特に50μm以下の厚みを有するのが有利である。即ち、酸素吸収性樹脂組成物の厚みがある範囲よりも厚くなっても酸素吸収性の点では格別の利点がなく、樹脂量が増大するなど経済性の点、材料の可撓性や柔軟性が低下するなどの容器特性の点では不利となるからである。
【0038】
本発明の多層の包装材料及び包装容器において、全体の厚みは、用途によっても相違するが、一般に30乃至7000μm、特に50乃至5000μmであるのがよく、一方酸素吸収性樹脂組成物の中間層の厚みは、全体の厚みの0.5乃至95%、特に1乃至50%の厚みとするのが適当である。
【0039】
本発明の包装材料及び包装容器は、前述した酸素吸収性樹脂組成物を用いる点を除けば、それ自体公知の方法で製造が可能である。
例えば、フィルム、シート或いはチューブの成形は、前記樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、T−ダイ、サーキュラーダイ(リングダイ)等を通して所定の形状に押出すことにより行われ、T−ダイ法フィルム、ブローウンフィルム等が得られる。Tダイフィルムはこれを二軸延伸することにより、二軸延伸フィルムが形成される。
また、前記樹脂組成物を射出機で溶融混練した後、射出金型中に射出することにより、容器や容器製造用のプリフォームを製造する。
更に、前記樹脂組成物を押出機を通して、一定の溶融樹脂塊に押し出し、これを金型で圧縮成形することにより、容器や容器製造用のプリフォームを製造する。
成形物は、フイルム、シート、ボトル乃至チューブ形成用パリソン乃至はパイプ、ボトル乃至チューブ成形用プリフォーム等の形をとり得る。
パリソン、パイプ或いはプリフォームからのボトルの形成は、押出物を一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易に行われる。
また、パイプ乃至はプリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
更に、また、フイルム乃至シートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。
【0040】
フィルム等の包装材料は、種々の形態の包装袋として用いることができ、その製袋は、それ自体公知の製袋法で行うことができ、三方或いは四方シールの通常のパウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋などが挙げられるが、この例に限定されない。
【0041】
多層押出成形体の製造には、それ自体公知の共押出成形法を用いることができ、例えば樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いる以外は上記と同様にして押し出し成形を行えばよい。
また、多層射出成形体の製造には、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、共射出法や逐次射出法により多層射出成形体を製造することができる。
更に、多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができ、また、予め形成されたフィルムのドライラミネーションによって多層フィルムあるいはシートを製造することもできる。
【0042】
本発明の包装材料及び包装容器は、酸素による内容物の香味低下を防止しうる容器として有用である。
充填できる内容物としては、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、炭酸ソフトドリンク等、食品では果物、ナッツ、野菜、肉製品、幼児食品、コーヒー、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、佃煮類、乳製品等、その他では医薬品、化粧品、ガソリン等、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品などが挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0043】
【実施例】
本発明を次の例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものでない。
次の要領で試料を作成し、以下の実験に供した。
【0044】
・酸素吸収性フィルム
ポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレットを用いてラボプラストミル(株)東洋精機製作所製)にて厚み30μmの酸素吸収性フィルムを作成した。成形機の温度設定はすべて270℃とした。
【0045】
・酸素吸収性二軸延伸フィルム
PET樹脂(J125T 三井化学(株)社製)とポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレット(MX−ナイロン6007:三菱ガス化学(株)社製)に酢酸コバルトを400ppm(コバルト量)を付着させたものを使用して、共射出成形機(Husky社製)にて、2種5層多層プリフォームを成形した。このプリフォームを95℃に再加熱し二軸延伸ブロー成形を行った。得られた多層ボトルの酸素吸収性材料層をはぎ取り、酸素吸収性二軸延伸フィルムを得た。ボトルの目付量は33.7gであり、延伸倍率は内層2.3×4.0、外層2.3×2.7であった。層構成は以下の通り。
層構成 |PET|酸素吸収性材料|PET|酸素吸収性材料|PET|
(%) 30 2.5 35 2.5 30
【0046】
▲1▼ 末端アミノ基濃度(AEG)の測定
試料0.6mgをフェノール・エタノール混合溶液(4/1 v/v)50mlに溶解させた後、エタノール・水混合溶媒(3/2 v/v)を20ml加え撹拌下滴定を行った。滴定液には、1/200 N 塩酸エタノール・水混合規定液(1/9 v/v)、指示薬にはメチルオレンヂを用いた。また、試料を加えずに同様の操作を行いブランク測定とした。
この滴定量から、以下の式を用いて末端アミノ基濃度(AEG)を求めた。試料に遷移金属系触媒が含まれている場合は、同量の触媒のみを溶解させて滴定したAEG´を求めておき、これを差し引いた値を試料のAEGとした。
V:試料滴定に要した1/200N塩酸エタノール・水混合規定液(1/9v/v)量(ml)
V0:ブランク滴定に要した1/200N塩酸エタノール・水混合規定液(1/9v/v)量(ml)
N:エタノール・水混合規定液の規定度
f:規定液のファクター
W:試料重量(g)
AEG´:補正値(試料に遷移金属系触媒が含まれている場合)
【0047】
▲2▼ 末端カルボキシル基濃度(CEG)の測定
試料0.6mgをベンジルアルコール50mlに溶解させ、撹拌下滴定を行った。滴定液には、1/100 N 水酸化カリウムエタノール・水混合規定液(9/1 v/v)、指示薬にはフェノールフタレインを用いた。また、試料を加えずに同様の操作を行いブランク測定とした。
この滴定量から、以下の式を用いて末端カルボキシル基濃度(CEG)を求めた。
V:試料滴定に要した1/100 N 水酸化カリウムタノール・水混合規定液(9/1v/v)量(ml)
V0:ブランク滴定に要した1/100 N 水酸化カリウムエタノール・水混合規定液(9/1v/v)量(ml)
N:エタノール・水混合規定液の規定度
f:規定液のファクター
W:試料重量(g)
【0048】
▲3▼ 酸素吸収性能
酸素吸収性包装材料フィルムを96cm2に切り出し、調湿液(70%グリセリン水溶液)2.0mlと共に内容積52.0mlのハイレトカップ(HR78−84W 東洋製罐(株)社製)に入れアルミ入り蓋材でヒートシールして密封し、22℃−60%RHの条件下で保存した。7日保存後ガスクロマトグラフィー(GC−8AIT、GC−3BT:共に島津製作所(社)製、検出器:TCD(60℃)、カラム:モレキュラーシーブ5A(100℃)、キャリアーガス:アルゴン)を用いて、酸素濃度を測定した。この酸素濃度から、酸素吸収量を計算し、1日当たりの吸収量を酸素吸収速度とした。
【0049】
[実施例1]
ポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレット(MX−ナイロン6007:三菱ガス化学(株)社製)を防湿包装開封直後及び圧力1mmHg以下、温度150℃の条件において4時間乾燥させた後に、酢酸コバルトを400ppm(コバルト量)を付着させ、フィルムを作成した。得られたフィルムの酸素吸収速度とAEG、CEGを測定した。
【0050】
[実施例2]
二軸延伸ブロー成形を行い、得られた多層ボトルの酸素吸収性材料層(内層及び外層)をはぎ取り、酸素吸収性二軸延伸フィルムを得た。
得られたフィルムの酸素吸収速度とAEG、CEGを測定した。
【0051】
[実施例3]
ポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレット(MX−ナイロン6007:三菱ガス化学(株)社製)を圧力1mmHg以下、温度150℃の条件において4時間乾燥させた後に、コバルトカルボン酸塩(酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、クエン酸コバルト)をそれぞれ400ppm(コバルト量)を付着させ、フィルムを作成した。得られたフィルムの酸素吸収量を測定した。その結果、酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルトを用いたフィルムはほぼ同等の優れた酸素吸収能を示した。
【0052】
[比較例1]
ポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレット(T−630:東洋紡績(株)社製)を防湿包装開封直後及び圧力1mmHg以下、温度150℃の条件において4時間乾燥させた後に、酢酸コバルトを400ppm(コバルト量)を付着させ、フィルムを作成した。得られたフィルムの酸素吸収速度とAEG、CEGを測定した。
【0053】
[比較例2]
ポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレットに、酢酸コバルトを400ppm(コバルト量)を付着させ、下記のAEG、CEGを示すようなフィルムを作成した。得られたフィルムの酸素吸収量を測定した。
【0054】
[比較例3]
ポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレット(MX−ナイロン6007:三菱ガス化学(株)社製)に酢酸コバルトを付着させ、フィルムを作成した。
酢酸コバルト添加量を5000ppm(コバルト量)とすると添加量400ppmのものと同等の酸素吸収性能が得られた。添加量7000ppmでは押し出し後の溶融粘度が低下し、フィルムに成形することが不可能であった。
また、酢酸コバルト無添加及び0〜5ppmの場合は酸素吸収量が0ccであった。
【0055】
[比較例4]
ポリ(m−キシリレンアジパミド)樹脂ペレット(MX−ナイロン6007:三菱ガス化学(株)社製)に酢酸遷移金属塩(酢酸マンガン、酢酸鉄)を400ppm(遷移金属量)付着させ、フィルムを作成した。得られたフィルムの酸素吸収量を測定したところ、酢酸マンガン、酢酸鉄を用いたフィルムの酸素吸収量は共に0ccであった。
【0056】
【発明の効果】
本発明では、ポリアミド樹脂の末端アミノ基がこの樹脂の酸素吸収速度に大きな影響を与えることを見出し、用いるポリアミド樹脂として、末端アミノ基をある基準値以下に抑制されたポリアミド樹脂を選択し、これを遷移金属系触媒と組み合わせることにより、この樹脂組成物の酸素吸収速度を増大させることができる。
本発明の樹脂組成物は、増大した酸素吸収速度を有すると共に、透明性にも優れており、広範な包装材料及び包装容器の用途に適用して、酸素による香味低下を防止するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の種々の末端アミノ基濃度のキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属系触媒との組成物について、末端アミノ基濃度と酸素吸収速度との関係をプロットしたグラフである。
【図2】実施例の種々の末端アミノ基濃度及び種々の末端カルボキシル基濃度のキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属系触媒との組成物について、末端カルボキシル基濃度/末端アミノ基濃度の比と酸素吸収速度との関係をプロットしたグラフである。
Claims (4)
- キシリレンジアミンを主体とするジアミン成分とジカルボン酸成分とから誘導されたポリアミド樹脂と、酢酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルトから選ばれる遷移金属系触媒から成る酸素吸収性樹脂組成物において、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が10〜30eq/106gであることを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物。
- 遷移金属系触媒がポリアミド樹脂当たり遷移金属量として10乃至5000ppmの量で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の酸素吸収性樹脂組成物からなる少なくとも1層を含むことを特徴とする包装材料。
- 請求項1又は2に記載の酸素吸収性樹脂組成物からなる少なくとも1層を含むことを特徴とする包装容器。
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