JP4184692B2 - 空気入りタイヤ、空気入りタイヤの製造方法、ボディプライ用リボン,及び空気入りタイヤ用ボディプライ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空気入りタイヤに関するものであって、特に、空気入りタイヤの骨格を形成するボディプライ及びその関連技術に関するものである。具体的には、ボディプライに用いられるコード補強ゴム被覆リボン、そのリボンを用いたボディプライ、そのボディプライを用いた空気入りタイヤ及びその空気入りタイヤの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、小型、中型乗用車でも高い走行性能を要求され、スポーツ系の車両では、扁平タイヤが主に用いられ、このようなタイヤではサイド部に高い剛性としなやかさとの両立が要求されている。またこのようなタイヤでは、道路に埋設されたキャッツアイに乗り上げた際の衝撃からのコード切れを防止することも要求されている。このような要件を満たすための従来の扁平タイヤにおいては、図20及び図21に示すように、ボディプライ102,103を2層にした構成のタイヤ101が採用されている。また、大型車両に用いられるタイヤにおいても強度アップの観点から、特開2001−130215号公報に見られるように、複数のコード層を装架した構成のボディプライが採用されている。なお、大型車両とは、大型乗用車からトラック、バス、大型の建設車両までを含むものである。
【0003】
これら2層あるいは多層のボディプライ102,103を用いたタイヤ101は、通常以下のようにして製造される。すなわち、多数本(通常千五百本前後)のコードからなっている簾或いは多数本(通常千本前後)のリールから引き出されて、一列に揃えられたコード104に対して、或いはまた、特開2001−130215号公報に見られるように、一枚のゴムシートに2層或いは多層の簾に対して、いずれにしろ、カレンダーによりゴム105を被覆し、広幅反物状のコーテッドコードを作製する。次いで、そのコーテッドコードを裁断装置により所要幅に裁断し、2種類以上の幅及び長さの異なるボディプライ102,103を作製する。ここで、2種類のボディプライを準備する理由としては、折り返し端の重なりでの応力集中によるセパレーションの発生を防止するためである。これら2種類の幅の異なるボディプライ102,103をドラム上に積層巻回して、2層ボディプライとして構成される。
【0004】
たとえば大型車両用タイヤの2層あるいは多層のボディプライでは、特開2001−130215号公報に見られるように、内側から外側まで単一種のコードが使用されている。
【0005】
ボディプライの別の製造方法としては、特開2001−145961号公報に見られるように、コードを埋設したリボンをドラムに巻きつけ切り開きボディプライ用のシートを作成することも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、広幅反物状のボディプライ用素材を製造する方式では、千五百本前後のコードが並んだ広幅の簾や、千個前後ものリールを配置したり、それらコード104にゴム105を被覆する大型のカレンダーや必要幅にする大型の裁断装置を必要とする。さらに、広幅のコーテッドコードのための大きな面積の保管場所や搬送通路等を確保したりする必要がある。従って、これら大型装置の設備費用の増加に加えて、広い工場敷地を要するため、タイヤの製造原価を高める要因となっている。
【0007】
このような問題を解決するものとして、前述したように、リボンからボディプライ素材を製造する方式が知られている。この方法を用いて2層ボディプライを製造しようとする場合には、各層の幅に応じた径を持つ複数のマンドレルに巻きつける装置が必要になる。この結果、単に巻き付け装置の構造が複雑になるだけでなく、製造するタイヤ種類の変更に伴う設備の段取り変えも煩雑化し、製造原価を高める要因となることが予測される。
【0008】
また、上述した高性能タイヤでは、軽量でありながらかつ高い耐久性を持つために、隣接するコード列間のセパレーション等を防止する範囲内で図21に示すように最小のコード列間間隔Gを持つことが必要である。
【0009】
さらに、上述した高性能タイヤに対する別の技術的要求としては、高速回転における回転バランス性の観点および環境問題の一因となる鉛製バランサーの使用排除の観点から、タイヤ単体で高い回転バランスが与えられていること、すなわち高いユニフォミティーを持つことが要求される。
【0010】
従って、本発明の目的は、ボディプライ構造が複数のコード層からなる空気入りタイヤの製造コストを低減するとともに、製造工程を簡略化して容易に複数コード層タイヤを製造できるようにすることにある。また、この発明の目的は、タイヤの耐久性が高く、軽量化が容易で、高いユニフォミティーを持つタイヤの製造方法および同方法により製造されるタイヤを提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、上述した目的を達成し、かつタイヤの内側部と外側部での要求される性能の違いに応じて内側と外側のプライコードの種類や配列パターンの変更を容易にしうるタイヤの製造方法および同方法により製造されるタイヤを提供することである。
【0012】
さらに本発明の他の目的は、タイヤの製造方法および同方法により製造されるタイヤに使用される有用な素材を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、空気入りタイヤの製造に用いるボディプライ用リボンに関する請求項1においては、ほぼ四角形断面を有するゴム内に複数本のコードが並設されたコード列を埋設した未加硫状態のボディプライ用リボンにおいて、前記コード列を複数積層配置し、隣接するコード列の各コード列の配列ピッチが異なることを特徴とする。
【0014】
請求項2においては、請求項1において、複数積層配置した前記コード列において、2つのコード列のうち、一方のコード列のコードの径が他のコード列の径より大きく、且つ配列ピッチを当該他のコード列のコードの配列ピッチの2倍であることを特徴とした。
【0015】
請求項3においては、ほぼ四角形断面を有するゴム内に複数本のコードが並設されたコード列を埋設した未加硫状態のボディプライ用リボンにおいて、前記コード列を複数積層配置し、コード列を埋設するゴムの種類が、隣接するコード列と異なる種類であることを特徴とした。
請求項4においては、請求項3において、タイヤ外面側コーティングゴム層としてJIS硬さにおいて、タイヤ内面側コーティングゴム層よりも硬いものを使用したことを特徴とした。
【0016】
請求項5においては、請求項3において、タイヤ外面側コーティングゴム層としてJIS硬さにおいて、タイヤ内面側コーティングゴム層よりも軟らかいものを使用したことを特徴とした。
請求項6においては、請求項1〜5のいずれかにおいて、幅が5〜35mmの範囲内の値であることを特徴とした。
請求項7においては、請求項1〜6のいずれかにおいて、コード間隔がコードの直径に対して0.1〜1.5倍の範囲内の値であることを特徴とした。
請求項8では、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記コード列を2層にしたことを特徴とする。
請求項9においては、請求項3〜8のいずれかにおいて、隣接するコード列において、コードの配列が千鳥状をなすように形成したことを特徴とする。
請求項10においては、請求項1〜9のいずれかにおいて、コードの種類がコード列毎に異なることを特徴とする。
請求項11においては、請求項10において、コードの伸度がコード列毎に異なることを特徴とする。
請求項12の空気入りタイヤ用ボディプライにおいては、請求項1〜11のいずれかに記載のリボンをそれらの側縁を相互に密着させて構成したことを特徴とする。
請求項13においては、請求項12において、リボンがタイヤの軸方向に沿って延在するように、そのリボンをタイヤの軸方向に対して平行に配列したことを特徴とする。
請求項14の空気入りタイヤにおいては、請求項12または13に記載のボディプライを用いたことを特徴とする。
請求項15の空気入りタイヤの製造方法においては、請求項1〜11のいずれかに記載のリボンを製造し、そのリボンを螺旋状に巻回して円筒体を製造し、その円筒体を螺旋角と直交するように切開してボディプライを製造し、そのボディプライをリボンがタイヤの幅方向に沿って延在するようにして用いたことを特徴とした。
請求項16においては、請求項15において、前記リボンの螺旋状巻回をタイヤ1本分または複数本分のボディプライの巻回領域に設定されたドラム上で行うことを特徴とした。
【0017】
従って、この発明が具体化された実施の態様においては、空気入りタイヤのボディプライは、1本のリボンを連続的に螺旋巻回し、それを裁断、切開して、さらに円筒状に巻回し、成形されてタイヤ骨格として用いられる。そして、前記リボンには、コード列が複数に配置されるとともに、隣接するコード列間に所定の薄いコード間隔が形成されるため、このボディプライを用いたタイヤの製造コストを低減でき、軽量化できる。
特に、ボディプライ用リボンのコードの配列ピッチを隣接コード列毎で異なるようにすることで、タイヤ性能向上を図ることが出来る。つまり、内外のコードピッチを変え、更に、内側に圧縮疲労に強いコードを、外側には耐外傷性に強いコードを配置するなどして、容易にタイヤ性能向上を図ることが出来る。
また、ボディプライ用リボンにおいて、コード列を複数積層配置し、コード列を埋設するゴムの種類を、隣接するコード列と異なる種類で構成することで、タイヤのケーシング剛性を増大させて操縦安定性を高めたり、逆に、柔軟性を増して乗り心地が向上させたりすることができる。
なお、リボンには従来構成のような多数のコードが必要なく、しかも、その幅を5〜35mm程度の小さな幅にすれば、処理する装置は小型のものでよい。従って、多数のコード用リールを配置するための敷地や、大型の加工装置は必要とせず、それらに要するコストが不要になる。また、前記のように、リボン内には、複数のコード列が配置されているため、前述した大型車両用タイヤであっても、複数枚のボディプライを用意する必要がなく、製造工程のみならず、在庫管理面でも簡略化できる。
【0018】
加えて、コード列は、リボンの幅をひとつの単位として配列され、大巻反から小巻反へ巻いたり戻したりの工程もなく、すぐタイヤとなるので、配列乱れの生じる可能性は低い。従って、コードが周上均一に配分され、均一性に優れたタイヤを製造できる。
【0019】
しかも、均一に配列されることより、隣接する列間のコードを千鳥状に配置すれば、隣接する列間のコード間隔Gをボディプライ厚さ方向において斜め方向に対向するコード間に設ければよい。このため、コード列間の間隔を狭くして、リボンを薄くでき、結果としてボディプライを薄くでき、タイヤ軽量化が可能となる。
【0020】
さらに、コードの種類を隣接コード列毎に変更することで、タイヤ性能向上を図ることが出来る。つまり、内外コードに伸びの違うコードを配置し、タイヤになった時のコードパスの違いを吸収させて性能向上を図ることも出来る。
コード種としては、レーヨンやポリエステルの有機繊維コードから、無機繊維コードのスチールコードまで自在に選択できる。
【0021】
加えて、ゴムリボンの螺旋状巻回をタイヤ複数本分のボディプライの巻回領域に設定されたドラム上で行うようにすれば、ボディプライが積層巻回できて、特に大型車両用タイヤとすることが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
まず、この発明の第1の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0031】
図1に示すように、タイヤ11全体の骨格はボディプライ15により形成され、ボディプライ15に沿って、ビード部12,サイド部13,トレッド部14を備えている。ビード部12には、ビードコア16aとビードフィラー16bからなるビード16が設けられ、サイド部13には、サイドウォールゴム13aが設けられている。トレッド部14には、トレッドゴム19と2枚のベルト14a,14bが設けられている。なお、17はリム、20はインナーライナーを示す。
【0032】
図2,図3及び図9に示すように、前記ボディプライ15は、多数のリボン片21から構成されており、その長さ方向はタイヤ軸方向に延びている。各リボン片21は、タイヤ軸方向に対して平行に配列されるとともに、相互の側縁が密着されている。
【0033】
図2及び図3に示すように、各リボン片21は、断面ほぼ平行四辺形をなし、すなわちほぼ四角形断面をなし、それぞれ複数本(この第1の実施形態では10本)のコード23よりなる2層のコード列24,25に対してゴム26を被覆して構成されている。そして、コード列24,25のコード23は、千鳥状に配置されている。従って、各列24,25のコード23は、他の列25、24のコード23に対して斜め方向(ボディプライ15の厚さ方向に対して)で隣接しており、その位置で所定のコード間隔Gを隔てて配置されている。このコード間隔Gは、コード23の直径に対して0.1〜1.5倍の範囲内の特定の値が設定される。
【0034】
ここでは、前記コード23として、ポリエステルコードを採用している。
図4及び図5には、前記リボン22を製造するためのゴム被覆装置31が示されている。このケーシング38には、被覆通路32が貫設されており、中間部には、コーティングゴム26が供給充填される被覆室33が形成されている。この被覆室33は一対のゴム供給口33aよりなる。これらのゴム供給口33aには、それぞれ同一種類で、同一硬さのコーティングゴム26が供給充填される。そして、複数本のコード23よりなる2層のコード列24,25が被覆通路32内の被覆室33を通過して一方向に走行し、ゴム26が被覆される。このため、図3に示すように、同一種類で、同一硬さの2層のコーティングゴム層26A,26B内にそれぞれコード列24,25が埋設される。
【0035】
前記被覆室33の入り口側には前記各コード23をガイドするためのガイド部材34が組み込まれている。図5に示すように、このガイド部材34は2枚のガイド片35を重ね合わせて構成され、それらのガイド片35にはガイド孔36が貫設されている。各ガイド孔36は、互いに相手側のガイド片35に向かって開口するとともに、その内奥部が半円弧状をなし、この半円弧部内においてコード23の走行がガイドされる。そして、前記両ガイド片35のガイド孔36が他のガイド片35のガイド孔36に対して、配列ピッチがずれるように配置されている。このため、各ガイド孔36内を通過するコード23は、図3に示す状態に配列され、この状態で被覆室33内で各コード列24,25にゴム26が被覆される。
【0036】
前記被覆室33の出口側には口金51が組み込まれており、断面ほぼ平行四辺形をなす出口孔52が形成されている。従って、ゴム被覆されたコード23がこの出口孔52内を通過することにより、断面ほぼ平行四辺形をなす未加硫状態のリボン22が押出し成形される。このリボン22幅は、5〜35mmの範囲内の特定の値である。
【0037】
押出し成形されたリボン22は、図6に示すように、ドラム61上に、幅端側の側面を相互に密着させた状態で螺旋状に巻回される。このドラム61のリボン巻回領域は、タイヤ1本分のボディプライ15の寸法と等しくなるように設定されている。そして、図7に示すように、巻回形成されたリボン22の筒が螺旋角に対して直交する方向に裁断、切開されて、図8に示すような長方形のボディプライ15となる。つまり、このボディプライ15は、多数のリボン片21よりなっている。
【0038】
その後、このボディプライ15は、図9に示すように、リボン片21がタイヤ軸線方向に延在するように図示しない成形ドラム上に巻回され、円筒形をなす1層のボディプライ15となる。
【0039】
そして、この円筒ボディプライ15がトロイダル形状に膨出成形される。この状態では、一方のコーティングゴム層26Aまたは26Bがタイヤ内面側に、他方のコーティングゴム層26Bまたは26Aがタイヤ外面側に位置することになる。なお、図10に示すように、この第1実施形態においては、コーティングゴム層26A,26Bの硬さ(JIS硬さ)は、A65で同一である。なお、ここでのゴム硬さは、加硫後25゜Cでのゴム単体の硬さである。後述するコーティングゴムの硬さも同様である。
【0040】
その後、ボディプライ15に、ビード16、ベルト14a,14b、トレッドゴム19、サイドウォールゴム13a等の各種タイヤ部品が配置されて、生タイヤが成形される。この生タイヤに加硫が行われて、空気入りタイヤとなる。
【0041】
以上に述べた第1の実施形態においては、以下の効果を発揮する。
・ ボディプライ15がリボンにより構成されるため、広幅の簾コードや、千本前後ものコードリールを配置する必要がない。つまり、各リールから引き出されたコードやそれにゴム被覆が施された広幅の帯状体の走行経路を確保したりする必要がない。また、コード本数が少なく、リボン幅も5〜35mmと狭いため、図4から明らかなように、ゴム被覆装置31は、小型のものでよく、前記大型のカレンダーや裁断装置は不要となる。従って、工場の敷地が狭くなり、製造コストを削減できる。しかも、前記リボン22が5〜35mmの細幅であるため、ゴム被覆装置31以外の、リボン22を取り扱う他の装置も小型となり、前述の工場敷地を狭くする上で好適である。
【0042】
・ リボン22がコード23を2層に埋設したものであるため、2プライ構造のタイヤを製造する場合でも、ボディプライ15としては、1種類のリボン22を準備するだけでよい。このため、従来とは異なり、ボディプライ15を複数種類用意したりする必要がなく、製造工程及び工程管理を簡略化できる。
【0043】
・ リボン22は、複数本のコードを配列したものがひとつの単位になっている。ボディプライ15はその細幅リボン22を、連続的に、かつ均一に、密着させて生産され、小巻に巻いたり巻き戻したりもなく、コード23の配列乱れが生じることはほとんどなく、タイヤ周方向において均一性に優れた、良好な性能のタイヤが生産される。
【0044】
・ 隣接するコード列24,25のコード23が千鳥状に配列されているため、列間のコード間隔Gは、ボディプライ15の厚さ方向に対して斜め方向に隣接するコード23間に設ければよい。このため、ボディプライ15の厚さ方向にコード間隔Gを確保する場合と比較して、列間の間隔を狭くすることができる。つまり、ボディプライ15を薄くすることが可能になり、タイヤ軽量化を達成でき、コストダウンにもなる。
【0045】
・ 図10に示すようにリボン片の両面のコーティングゴム層26A、26Bが同一種類、同一硬さであるため、生産性が良く、その硬さを適宜に設定することにより、操縦安定性と乗り心地とをバランスさせたタイヤとすることができる。
【0046】
(第2の実施形態)
第2の実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。なお、これ以降の各実施形態及び変形例の説明においては、前記第1の実施形態と異なる部分のみについて説明する。この第2の実施形態においては、コード種類を列毎に変更したものである。この変更の形態は、以下に示すように3種類である。
【0047】
(その1)
図11に示すように、2つのコード列24,25のうち、一方のコード列24のコード27の径が大きく、且つ配列ピッチを他のコード列25のコード23の配列ピッチの2倍にしている。
【0048】
従って、図12に示すように、ガイド部材34の一方のガイド片35におけるガイド孔36の幅は広く、且つ、ガイドの配列ピッチが他方のガイド孔36の配列ピッチの2倍になっている。
【0049】
従って、タイヤ外面側に耐外傷性に強い高強力の太いコード27を本数少なく配置し、タイヤ内面側には圧縮に強く、素線径が細いコード23を配置することにより、高強度で疲労性に強いタイヤ構造が可能となる。コード23、27として有機繊維コード(レーヨン、ポリエステル等)を用いた場合でも、無機繊維コード(スチールコード等)を用いた場合でも同様である。
【0050】
(その2)
その2においては、前記外側コード列24の耐カット性コード種としてスチールコード1×2+4×0.20(0.20mmφの素線2本を撚り合せ、その周りに4本の素線を撚り合わせたコード)が採用され、内側コード列25の耐疲労性コード種としてアラミドコード830dtex/2が採用される。
【0051】
(その3)
その3においては、前記外側コード列24と内側コード列25とで、コード伸度が異なるコード(例えば、外内のコード撚り数が違うコードを採用し、ポリエステルコード1670dtex/2で、外側コード列24の撚り数を40回/10cm、内側コード列25の撚り数を36回/10cmとし、他の熱処理条件等は同じとする。この場合、撚り数の多い方が伸度が大きい)を配置する。このようにすれば、生タイヤから製品タイヤになる時のコードパスの違いを外内のコード伸度の違いで吸収して、均一なタイヤを容易に得ることが出来る。
【0052】
(その4)
その4においては、前記外側コード列24と内側コード列25とで、スチールコードの素線径、本数等の構造は同じで、最外層の撚り方向が逆のコード(外側コード列24には、最外層コード撚り方向が時計回りのコードを、内側コード列25には反時計回りのコード)を配置する。この様にすればコード列24,25が持つ残留トーションが互いに帳消し、リボンとしては捩れを持たない完全に平板なリボンができ成形の作業性が容易になる。もちろん、コード列24,25の列内の隣り合うコード種の撚り方向を逆にしトーションを帳消し、列として捩れを持たない平板な列を作るようにしてもよい。
【0053】
つまり、この第2の実施形態のその1,2,3及び4のように、ボディプライ15として、必要な強度、要求性能、作業性に応じてコード列24,25毎に、コード23,27の種類、本数等のコード種を変更して(及び列内のコード23,27の種類を変更して)、自由に選択すれば、強度と要求性能のバランスを好適に確保することができるとともに、設計の自由度を増すことが出来る。
【0054】
(第3の実施形態)
この発明の第3の実施形態を図13〜図15に基づいて説明する。
コード列24,25のコード間隔を大きくしたものである。なお、図13においては、各コード列24,25のコード23の本数を10本,図15においては少なくして、7本にしたものである。
【0055】
コード列24,25間の間隔が大きくなるため、ガイド部材34におけるガイド片35のガイド孔36の間隔を大きくする必要がある。このため、この第3の実施形態においては、図14に示すように、ガイド孔36を有しないガイド片35間に必要なスペースを設けて、それらの間に、ガイド孔36を形成した中間ガイド片39を設けている。そして、中間ガイド片39は、前記第1,第2実施形態とは逆に、ガイド孔36を外向きに形成している。
【0056】
この第3の実施形態においては、コード列24,25間の間隔が大きいため、ボディプライ15の厚さが増す。このため、この第3の実施形態においては、タイヤのクッション性が向上するのみならず、衝撃的エネルギーを吸収でき、縁石乗り上げや路面の大きな穴に落ち込んだ時に起きがちなボディプライの破損に対し、安全性を高めることが出来る。
【0057】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態においては、図16に示すように、リボン22及びリボン片21が断面ほぼ長方形状をなすとともに、コード列24,25のコード23が千鳥状に配列されることなく、ボディプライ15の厚さ方向において対向して配置されている。
【0058】
従って、図17に示すように、ガイド部材34における両ガイド片35のガイド孔36が対向するように形成されている。この実施形態における口金51の出口孔52の形状は、長方形である。
【0059】
(第5の実施形態)
次に、この発明の第5の実施形態を図18及び図19に基づいて説明する。この第5の実施形態においては、図4に示す前記ゴム被覆装置31の一対のゴム供給口33aに、それぞれ異なる種類のコーティングゴム26が供給充填されるものである。すなわち、この第5の実施形態における実施例1では、タイヤ外面側コーティングゴム層26Bとして硬さの硬いもの(JIS硬さA68)、タイヤ内面側コーティングゴム層26Aとして通常の硬さのもの(JIS硬さA65)を使用している。実施例2では、逆に、外面側コーティングゴム層26Bとして硬さの軟らかいもの(JIS硬さA62)、タイヤ内面側コーティングゴム層26Aとして硬さの硬いものを使用している(JIS硬さA68)。
【0060】
従って、この第5実施形態における実施例1においては、タイヤのケーシング剛性が増大するため、操縦安定性に優れたタイヤとなる。実施例2においては、柔軟性が増して乗り心地が向上する。
【0061】
なお、インナーライナーゴムへのコード出防止のために、タイヤ内面側コーティングゴムの硬さをアップさせてもよい。
(変形例)
この発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化することも可能である。
【0062】
・ 1本のリボン22内のコード列を3列以上にすること。このようにすれば、トラック・バス等の大型車両のタイヤに適合する。
・ 前記第2の実施形態において、コード列24,25におけるコード種の変更として、一方のコード列に対して他方のコード列におけるコードの素線径、素線数等を変えること。
【0063】
・ 前記第2の実施形態において、コード列24,25におけるコード種の変更であって、一方のコード列のコードとして有機繊維(ナイロン、レーヨン、ポリエステル、アラミド等)を、他方のコード列のコードとして無機繊維(スチール、炭素等)を用いること。あるいは、双方のコード列に有機繊維または無機繊維を用い、両コード列間で、それぞれの繊維の材質または構造を変更すること。
【0064】
・ 前記第2の実施形態において、一方のコード列に対して他方のコード列におけるコードの強度、弾性率、伸度、疲労性、カット性を変えること。すなわち、強度、弾性率を変えるのに高強度、高弾性率素線を用いたり、伸度を変えるのに、外内それぞれの列に使用するコードの熱履歴、コード作成時の撚り数を変えたり、リボン作成時のテンションを変えたりすること。
【0065】
・ コード列24,25のコ−ド間ゲージを大きくする手法として、両ガイド片の間にスペーサーを介在させること。
・ ボディプライ15の長さ方向寸法(円筒状のボディプライ15の軸方向長さ寸法)に対して整数倍の巻回領域長さのドラム長を有するドラム上に、ゴムリボンを螺旋状に巻回すること。これを切り開けば、タイヤ周長の整数倍長さのボディプライ15を得られる。これを成形ドラムに巻回することで、複数列構造のボディプライの複数巻き積層構造タイヤを製造できる。このような空気入りタイヤは、超大型車両用として適合する。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、製造コストを低減できるとともに、製造工程を簡略化でき、しかも、タイヤの軽量化を可能にするとともに、タイヤ性能向上を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化した空気入りタイヤの断面図。
【図2】 第1の実施形態を示すリボンの斜視図。
【図3】 同じくリボンの断面図。
【図4】 同じくゴム被覆装置の断面図。
【図5】 同じくガイド部材の断面図。
【図6】 リボンを螺旋巻回した状態を示す斜視図。
【図7】 螺旋巻回された円筒体を裁断切開した状態を示す斜視図。
【図8】 円筒体を展開した状態を示す平面図。
【図9】 成形前のボディプライを示す斜視図。
【図10】 コーティングゴムの硬さを示す表。
【図11】 第2の実施形態を示すリボンの断面図。
【図12】 同じくガイド部材の断面図。
【図13】 第3の実施形態を示すリボンの断面図。
【図14】 同じくガイド部材の断面図。
【図15】 同じくリボンの断面図。
【図16】 第4の実施形態を示すリボンの断面図。
【図17】 同じくガイド部材の断面図。
【図18】 第5の実施形態におけるコーティングゴムの硬さを示す表。
【図19】 同じくリボンの断面図。
【図20】 従来のボディプライを用いたタイヤの断面図。
【図21】 従来のボディプライを示す断面図。
【符号の説明】
11…空気入りタイヤ、15…ボディプライ、21…リボン片、22…リボン、23…コード、24…内側コード列、25…外側コード列、26…コーティングゴム、26A…タイヤ内面側コーティングゴム層、26B…タイヤ外面側コーティングゴム層、31…ゴム被覆装置。
Claims (16)
- ほぼ四角形断面を有するゴム内に複数本のコードが並設されたコード列を埋設した未加硫状態のボディプライ用リボンにおいて、
前記コード列を複数積層配置し、
隣接するコード列の各コード列の配列ピッチが異なることを特徴としたボディプライ用リボン。 - 請求項1において、
複数積層配置した前記コード列において、2つのコード列のうち、一方のコード列のコードの径が他のコード列の径より大きく、
且つ配列ピッチを当該他のコード列のコードの配列ピッチの2倍であることを特徴としたボディプライ用リボン。 - ほぼ四角形断面を有するゴム内に複数本のコードが並設されたコード列を埋設した未加硫状態のボディプライ用リボンにおいて、
前記コード列を複数積層配置し、コード列を埋設するゴムの種類が、隣接するコード列と異なる種類であることを特徴としたボディプライ用リボン。 - 請求項3において、
タイヤ外面側コーティングゴム層としてJIS硬さにおいて、タイヤ内面側コーティングゴム層よりも硬いものを使用したことを特徴としたボディプライ用リボン。 - 請求項3において、
タイヤ外面側コーティングゴム層としてJIS硬さにおいて、タイヤ内面側コーティングゴム層よりも軟らかいものを使用したことを特徴としたボディプライ用リボン。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
幅が5〜35mmの範囲内の値であることを特徴としたボディプライ用リボン。 - 請求項1〜6のいずれかにおいて、
コード間隔がコードの直径に対して0.1〜1.5倍の範囲内の値であることを特徴としたボディプライ用リボン。 - 請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記コード列を2層にしたことを特徴とするボディプライ用リボン。 - 請求項3〜8のいずれかにおいて、
隣接するコード列において、コードの配列が千鳥状をなすように形成したことを特徴とするボディプライ用リボン。 - 請求項1〜9のいずれかにおいて、
コードの種類がコード列毎に異なることを特徴とするボディプライ用リボン。 - 請求項10において、
コードの伸度がコード列毎に異なることを特徴とするボディプライ用リボン。 - 請求項1〜11のいずれかに記載のリボンをそれらの側縁を相互に密着させて構成したことを特徴とする空気入りタイヤ用ボディプライ。
- 請求項12において、
リボンがタイヤの軸方向に沿って延在するように、そのリボンをタイヤの軸方向に対して平行に配列したことを特徴とする空気入りタイヤ用ボディプライ。 - 請求項12または13に記載のボディプライを用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 請求項1〜11のいずれかに記載のリボンを製造し、
そのリボンを螺旋状に巻回して円筒体を製造し、
その円筒体を螺旋角と直交するように切開してボディプライを製造し、
そのボディプライをリボンがタイヤの幅方向に沿って延在するようにして用いたことを特徴とした空気入りタイヤの製造方法 - 請求項15において、
前記リボンの螺旋状巻回をタイヤ1本分または複数本分のボディプライの巻回領域に設定されたドラム上で行うことを特徴とした空気入りタイヤの製造方法。
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