JP4161390B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比リーン領域でのリーン燃焼を行わせる内燃機関の空燃比制御装置であって、リーン燃焼時に発生する排ガス中の窒素酸化物(NOx )を浄化するためのNOx 吸蔵還元型触媒を有する内燃機関の空燃比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年における内燃機関の空燃比制御装置では、燃費改善を図るべく理論空燃比よりもリーン側で燃料を燃焼させる、いわゆるリーンバーン制御を実施する技術が多用化されつつある。こうしたリーン燃焼を行わせる場合、内燃機関から排出される排ガスにはNOx が多く含まれ、このNOx を浄化するためのリーンNOx 触媒が必要となる。例えば特許番号第2600492号公報の「内燃機関の排気浄化装置」には、排ガスの空燃比がリーンである時にNOx を吸収すると共に、排ガスの酸素濃度が低下された時に、すなわちリッチ化された時に前記吸収したNOx を放出するNOx 吸収剤(NOx 吸蔵還元型触媒)が開示されている。
【0003】
また一方、リーン燃焼時に発生するNOx をNOx 触媒にて吸収するシステムでは、NOx 触媒でNOx が飽和状態になるとNOx 浄化能力が限界に達する。そのため、NOx 触媒の浄化能力を回復させてNOx の排出を抑制すべく一時的にリッチ燃焼を行わせるようにした技術が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来技術では、リーン燃焼からリッチ燃焼に切り換える際において、触媒付近の空燃比が直ぐにはリッチに切り換わらない。そのため、リッチ時間を長めに設定し、排気通路内の雰囲気がリーンからリッチに移行する時間をも見込んだ時間でリッチ燃焼を継続させる必要があった。かかる場合、リッチ燃焼が継続されると、過多に噴射量が増量されてしまい燃費の悪化が懸念される。また、リッチ燃焼時には、リーン燃焼時に比べてエンジン発生トルクが増大する。そのため、リッチ時間が長引くと回転変動が大きくなり、ドライバビリティが悪化するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、リーン燃焼を実施すると共にNOx 触媒の浄化能力を回復させるべく一時的にリッチ燃焼を行わせる空燃比制御装置において、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができる内燃機関の空燃比制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明における内燃機関の空燃比制御装置ではその前提として、内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定してその目標空燃比に基づきリーン燃焼を行わせる。また、リーン燃焼時に排出される排ガス中のNOx をリーンNOx 触媒で吸蔵し、さらに空燃比を一時的にリッチに制御して前記吸蔵したNOx をリーンNOx 触媒から放出する。
【0007】
そして、請求項1に記載の発明ではその特徴として、機関運転状態と前記NOx 触媒による所望のNOx 浄化率とに応じてリッチ燃焼のためのリッチ時間を設定するリッチ時間設定手段を備える。
【0008】
要するに、従来装置では、リーン燃焼途中において一時的にリッチ燃焼を行わせる際、余裕分を見込んでリッチ時間を長めに設定していた。そのため、燃費の悪化やトルク変動を招くおそれがあった。これに対し本発明は、リッチ時間を短縮することで従来装置の不具合を解消することを狙う。すなわち、リッチ時間の短縮化を図る上で、同リッチ時間と機関運転状態とはある一定の関係を持ち、トルク変動のないリッチ燃焼を実施するにはエンジン回転数や吸気圧といった機関運転状態に応じてリッチ時間を設定するとよい。例えば内燃機関の高回転又は高負荷域ではリッチ時間を長くし、低回転又は低負荷域ではリッチ時間を短くする(図4参照)。一方で、リッチ時間とリーンNOx 触媒におけるNOx 浄化率とは例えば図5に示す関係を有する。
【0009】
以上の観点から、上記機関運転状態と所望のNOx 浄化率とに応じてリッチ時間を設定すれば、機関運転状態が変化しても常に適正なリッチ燃焼を行わせることが可能となる。その結果、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができる。
【0010】
また請求項2に記載の発明では、前記リッチ時間設定手段は、リーンNOx 触媒による所望のNOx 浄化率が得られる範囲内で、最短のリッチ時間を設定する。例えば図5において、NOx 浄化率の許容レベルを95%以上とした場合、機関運転状態(エンジン回転数Ne,吸気圧PM)に応じて、A1,A2,A3の各点により最適なるリッチ時間が設定できる。この場合、NOx 触媒でのNOx の浄化性能が維持できる。
【0011】
また、請求項3に記載の空燃比制御装置では、
・リーンNOx 触媒によるNOx 浄化状態を検出する触媒状態検出手段と、
・リッチ燃焼のためのリッチ時間を所定の時間周期で短縮側に更新するリッチ時間更新手段と、
・前記検出した触媒のNOx 浄化状態からその時のリッチ時間が限界値と判断されると、リッチ時間の短縮側への更新を中止する更新中止手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
かかる場合、リーンNOx 触媒によるNOx 浄化状態をモニタしつつリッチ時間が徐々に短縮される。そして、リッチ時間を短縮する過程で限界値に達すると、その時点でリッチ時間の更新が中止される。これにより、NOx 触媒のNOx 浄化性能を確保しつつ、リッチ時間を短縮することが可能となる。その結果、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができる。
【0013】
上記請求項3の発明は、次の請求項4又は請求項5の態様で実施できる。
請求項4に記載の発明では、前記触媒状態検出手段は、リーンNOx 触媒の下流側に設けられた空燃比センサ又はNOx センサと、当該センサの出力値に基づき、前記NOx 触媒によるNOx 浄化の程度を判定する判定手段とからなる。つまり、リーンNOx 触媒によるNOx 浄化の程度がセンサ出力に基づき判定され、その判定結果からリッチ時間の短縮(学習)が許容又は禁止される。かかる場合、リッチ時間の学習が適正に実施できる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、前記更新したリッチ時間を内燃機関の運転領域毎に記憶する記憶手段を更に備える。この場合、機関運転状態に応じたリッチ時間をその都度設定することが可能となり、機関運転状態の変化にも対処できるようになる。
【0015】
さらに、請求項6に記載の空燃比制御装置では、
・リッチ燃焼のためのリッチ時間の制御指令値を設定する制御指令値設定手段と、
・機関運転状態に基づき、前記設定したリッチ時間指令値によるリッチ燃焼時の排ガスがリッチとなってリーンNOx 触媒に供給される実際の時間を推定する実リッチ時間推定手段と、
・前記推定した実リッチ時間からリーン燃焼のためのリーン時間を設定するリーン時間設定手段と
を備えることを特徴とする。
【0016】
つまり、所定のリッチ時間(制御指令値)に基づきリーン燃焼とリッチ燃焼とで切り換えても、機関燃焼室に流入する混合気の空燃比はウエット等の影響によりその変化がなまり、また更に、リーンNOx 触媒に到達する際の排ガスの空燃比は、他の気筒の排ガスとの混合や排気管内の輸送遅れが原因でより一層なまる。こうした実状下において、請求項6の構成によれば、リーン時間が過不足無く設定でき、仮に実際のリッチ時間が短めに設定されたとしても、リーン燃焼不足により不用意にNOx が排出されることはない。その結果、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができる。
【0017】
但し、請求項6の発明では、リーンNOx 触媒に供給される排ガスが確実にリッチに切り換わるよう、請求項7に記載したように、その時々の機関運転状態に応じた下限値でリッチ時間の制御指令値をガードすることが望ましい。
【0018】
また請求項8に記載の発明では、前記実リッチ時間推定手段は、内燃機関の低負荷運転時ほど、リッチ時間指令値に対する実リッチ時間が短くなると推定する。この場合、排ガス空燃比のリーン⇔リッチ切り換えが遅れる低負荷などの条件下においても、リッチ時間やリーン時間の設定が適正に実施できる。
また上記請求項1又は請求項2の発明は、次の請求項9又は請求項10の態様で実施できる。
請求項9に記載の発明では、前記リッチ時間設定手段は、エンジン回転数が高いほど又は吸気圧が高いほど、リッチ燃焼のためのリッチ時間を大きな値として設定する。
また請求項10に記載の発明では、前記リッチ時間設定手段は、スロットル開度が大きいほど又はアクセル開度が大きいほど、リッチ燃焼のためのリッチ時間を大きな値として設定する。
また上記請求項6乃至請求項8に記載の発明は、請求項11に記載の発明のように、前記制御指令値設定手段は、エンジン回転数が高いほど又は吸気圧が高いほど、リッチ燃焼のためのリッチ時間の制御指令値を大きな値として設定することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について説明する。本実施の形態における空燃比制御システムでは、内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定し、その目標空燃比に基づいてリーン燃焼を行わせる、いわゆるリーンバーン制御を実施する。同システムの主たる構成として、内燃機関の排気通路の途中にはNOx 吸蔵還元型触媒(以下、NOx 触媒という)が設けられ、そのNOx 触媒の上流側には限界電流式空燃比センサ(A/Fセンサ)が配設されている。そして、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置(以下、ECUという)は、前記空燃比センサによる検出結果を取り込み、そのセンサ検出結果に基づいてリーン空燃比でのフィードバック制御を実施する。以下、図面を用いてその詳細な構成を説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における空燃比制御システムの概要を示す全体構成図である。図1において、内燃機関は4気筒4サイクルの火花点火式エンジン(以下、単にエンジン1という)として構成されており、エンジン1には吸気管2と排気管3とが接続されている。吸気管2には、アクセルペダル4に連動するスロットル弁5が設けられており、同スロットル弁5の開度はスロットル開度センサ6により検出される。また、吸気管2のサージタンク7には吸気圧センサ8が配設されている。
【0021】
エンジン1の気筒を構成するシリンダ9内には図の上下方向に往復動するピストン10が配設されており、同ピストン10はコンロッド11を介して図示しないクランク軸に連結されている。ピストン10の上方にはシリンダ9及びシリンダヘッド12にて区画された燃焼室13が形成されており、燃焼室13は、吸気バルブ14及び排気バルブ15を介して前記吸気管2及び排気管3に連通している。
【0022】
排気管3には、排ガス中の酸素濃度(或いは、未燃ガス中の一酸化炭素などの濃度)に比例して広域で且つリニアな空燃比信号を出力する、限界電流式空燃比センサからなるA/Fセンサ16が設けられている。また、排気管3においてA/Fセンサ16の下流側には、NOx 浄化機能を有するNOx 触媒19が配設されている。このNOx 触媒19は、NOx 吸蔵還元型触媒として知られており、リーン空燃比の状態下でNOx を吸蔵し、リッチ空燃比の状態下で前記吸蔵したNOx をCOやHCで還元し放出する。
【0023】
エンジン1の吸気ポート17には電磁駆動式のインジェクタ18が設けられており、このインジェクタ18には図示しない燃料タンクから燃料(ガソリン)が供給される。本実施の形態では、吸気マニホールドの各分岐管毎に1つずつインジェクタ18を有するマルチポイントインジェクション(MPI)システムが構成されている。この場合、吸気管上流から供給される新気とインジェクタ18による噴射燃料とが吸気ポート17にて混合され、その混合気が吸気バルブ14の開弁動作に伴い燃焼室13内(シリンダ9内)に流入する。
【0024】
シリンダヘッド12に配設された点火プラグ27は、イグナイタ28からの点火用高電圧により発火する。イグナイタ28には、点火用高電圧を各気筒の点火プラグ27に分配するためのディストリビュータ20が接続され、同ディストリビュータ20にはクランク軸の回転状態に応じて720°CA毎にパルス信号を出力する基準位置センサ21と、より細かなクランク角毎(例えば、30°CA毎)にパルス信号を出力する回転角センサ22とが配設されている。
【0025】
また、シリンダ9(ウォータジャケット)には、冷却水温を検出するための水温センサ23が配設されている。
ECU30は、周知のマイクロコンピュータシステムを中心に構成され、CPU31、ROM32、RAM33、バックアップRAM34、A/D変換器35、入出力インターフェース(I/O)36等を備える。前記スロットル開度センサ6、吸気圧センサ8、A/Fセンサ16及び水温センサ23の各検出信号は、A/D変換器35に入力され、A/D変換された後にバス37を介してCPU31に取り込まれる。また、前記基準位置センサ21及び回転角センサ22のパルス信号は、入出力インターフェース36及びバス37を介してCPU31に取り込まれる。
【0026】
CPU31は、前記各センサの検出信号に基づいてスロットル開度TH、吸気圧PM、空燃比(A/F)、冷却水温Tw、基準クランク位置(G信号)及びエンジン回転数Neなどのエンジン運転状態を検知する。また、CPU31は、エンジン運転状態に基づいて燃料噴射量や点火時期等の制御信号を演算し、その制御信号をインジェクタ18やイグナイタ28に出力する。
【0027】
次に、上記の如く構成される空燃比制御システムの作用を説明する。
図2は、CPU31により実行される燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャートであり、本ルーチンは各気筒の燃料噴射毎(本実施の形態では180°CA毎)に実行される。
【0028】
さて、図2のルーチンがスタートすると、CPU31は、先ずステップ101でエンジン運転状態を表すセンサ検出結果(エンジン回転数Ne、吸気圧PM、冷却水温Tw等)を読み込み、続くステップ102でROM32内に予め格納されている基本噴射マップを用いてその時々のエンジン回転数Ne及び吸気圧PMに応じた基本噴射量Tpを算出する。また、CPU31は、ステップ103で周知の空燃比F/B条件が成立しているか否かを判別する。ここで、空燃比F/B条件とは、冷却水温Twが所定温度以上であること、高回転・高負荷状態でないこと、A/Fセンサ16が活性状態にあることなどを含む。
【0029】
ステップ103が否定判別されれば(F/B条件不成立の場合)、CPU31は、ステップ104に進んで空燃比補正係数FAFを「1.0」とする。FAF=1.0とすることは、空燃比がオープン制御されることを意味する。また、ステップ103が肯定判別されれば(F/B条件成立の場合)、CPU31は、ステップ200に進んで目標空燃比λTGの設定処理を実施する。目標空燃比λTGの設定処理は後述する図3のルーチンに従い行われる。
【0030】
その後、CPU31は、ステップ105でその時々の実際の空燃比λ(センサ計測値)と目標空燃比λTGとの偏差に基づいて空燃比補正係数FAFを設定する。本実施の形態では、現代制御理論に基づく空燃比F/B制御を実施することとしており、そのF/B制御に際し、A/Fセンサ16の検出結果を目標空燃比に一致させるための空燃比補正係数FAFを次の(1),(2)式を用いて算出する。なお、このFAF値の設定手順については特開平1−110853号公報に詳細に開示されている。
【0031】
FAF=K1 ・λ+K2 ・FAF1 +
・・・+Kn+1 ・FAFn +ZI …(1)
ZI=ZI1 +Ka・(λTG−λ) …(2)
上記(1),(2)式において、λはA/Fセンサ16による限界電流の空燃比変換値を、K1 〜Kn+1 はF/B定数を、ZIは積分項を、Kaは積分定数をそれぞれ表す。また、添字1〜n+1はサンプリング開始からの制御回数を示す変数である。
【0032】
FAF値の設定後、CPU31は、ステップ106で次の(3)式を用い、基本噴射量Tp、空燃比補正係数FAF及びその他の補正係数FALL(水温、エアコン負荷等の各種補正係数)から最終の燃料噴射量TAUを算出する。
【0033】
TAU=Tp・FAF・FALL …(3)
燃料噴射量TAUの算出後、CPU31は、そのTAU値に相当する制御信号をインジェクタ18に出力して本ルーチンを一旦終了する。
【0034】
次に、上記ステップ200の処理に相当するλTG設定ルーチンについて、図3を用いて説明する。なお当該ルーチンでは、リーン燃焼の実施途中において一時的にリッチ燃焼が実施されるよう、目標空燃比λTGが適宜設定される。すなわち本実施の形態では、燃料噴射毎に計数される周期カウンタの値を基に、所定の時間比となるようにリーン時間TLとリッチ時間TRとが設定され、それら各時間TL,TRに応じてリーン燃焼とリッチ燃焼とが交互に実施される。
【0035】
図3において、CPU31は、先ずステップ201でその時の周期カウンタが「0」であるか否かを判別し、周期カウンタ=0であることを条件に(ステップ201がYES)、ステップ202でエンジン回転数Ne及び吸気圧PMに基づき、リーン時間TL及びリッチ時間TRを設定する。ステップ201がNOであれば(周期カウンタ≠0の場合)、CPU31はステップ202の処理を読み飛ばす。
【0036】
ここで、リーン時間TLとリッチ時間TRは、それぞれリーン空燃比での燃料噴射回数、リッチ空燃比での燃料噴射回数に相当するものであって、基本的にエンジン回転数Neが高いほど又は吸気圧PMが高いほど、大きな値に設定される。本実施の形態では、図4の関係に基づくマップ検索によりリッチ時間TRが求められる。なおこのとき、前記図4の関係は、NOx 触媒19による所望のNOx 浄化率が得られる範囲内で、最短のリッチ時間となるように設定される。
【0037】
つまり、リッチ時間に対するNOx 浄化率の特性は図5の関係にあり、同図によれば、エンジン運転状態(エンジン回転数Ne,吸気圧PM)によってNOx 浄化率の特性が変化する。総じてNe,PMが大きいほど、NOx 浄化率の特性は図の右方へ移行し、Ne,PMが小さいほど、NOx 浄化率の特性は図の左方へ移行する。従って、NOx 浄化率を所定レベル(例えば図5の95%以上)に保ちつつリッチ時間の短縮化を図るには、Ne,PM状態に応じて例えば図5中のA1,A2,A3から最適なるリッチ時間が求められる(但し、A1<A2<A3)。
【0038】
これに対し、リーン時間TLは、前記リッチ時間TRと所定の係数αとから、
TL=TR・α
として求められる。係数αは「100」程度の固定値とすればよいが、エンジン回転数Neや吸気圧PMなどのエンジン運転状態に応じて可変に設定することとしてもよい。
【0039】
その後、CPU31は、ステップ203で周期カウンタを「1」インクリメントする。さらにその後、CPU31は、ステップ204で周期カウンタの値が前記設定したリーン時間TLに相当する値に達したか否かを判別する。周期カウンタ<TLであってステップ204が否定判別された場合、CPU31はステップ205に進み、その時々のエンジン回転数Ne及び吸気圧PMに基づき、目標空燃比λTGをリーン制御値として設定する。λTG値の設定後、CPU31は元の図2のルーチンに戻る。
【0040】
このとき、λTG値は例えば図6に示す目標空燃比マップを検索して求められ、λTG値として例えばA/F=20〜23に相当する値が設定される(但し、定常運転時でないなどリーン燃焼の実施条件が不成立の場合にはストイキ近傍でλTG値が設定される)。かかる場合、上述のステップ205で設定したλTG値が前記図2のステップ105でFAF値の演算に用いられ、このFAF値により空燃比がリーン制御される。
【0041】
また、周期カウンタ≧TLであってステップ204が肯定判別された場合、CPU31はステップ206に進み、目標空燃比λTGをリッチ制御値として設定する。このとき、λTG値は、リッチ領域での固定値としてもよいし、エンジン回転数Neや吸気圧PMに基づきマップ検索して可変に設定するようにしてもよい。マップ検索を行う場合、エンジン回転数Neが高いほど又は吸気圧PMが高いほど、そのリッチ度合が強くなるようλTG値が設定される。
【0042】
その後、CPU31は、ステップ207で周期カウンタの値が前記設定したリーン時間TLとリッチ時間TRとの合計値「TL+TR」に相当する値に達したか否かを判別し、周期カウンタ<TL+TRであってステップ207が否定判別されればそのまま元の図2のルーチンに戻る。かかる場合、上述のステップ206で設定したλTG値が前記図2のステップ105でFAF値の演算に用いられ、このFAF値により空燃比がリッチ制御される。
【0043】
一方、周期カウンタ≧TL+TRであってステップ207が肯定判別された場合、CPU31は、ステップ208で周期カウンタを「0」にクリアしてその後元の図2のルーチンに戻る。周期カウンタのクリアに伴い次回の処理時にはステップ201が肯定判別され、リーン時間TL及びリッチ時間TRが新たに設定される。そして、そのリーン時間TL及びリッチ時間TRに基づき再度、空燃比のリーン制御とリッチ制御とが実施される。
【0044】
図7は、上記図2及び図3のルーチンによる制御動作を説明するためのタイムチャートである。
図7において、周期カウンタ=0〜TLの期間では、空燃比がリーン制御される。このとき、排ガス中のNOx がNOx 触媒19に吸蔵される。また、周期カウンタ=TL〜TL+TRの期間では、空燃比がリッチ制御される。このとき、排ガス中の未燃ガス成分(HC,CO)により触媒19の吸蔵NOx が還元されて放出される。こうして、空燃比のリーン制御とリッチ制御とがリーン時間TLとリッチ時間TRとに応じて繰り返し実施される。
【0045】
なお本実施の形態では、前記図3のステップ202(前記図4のマップ)が請求項記載のリッチ時間設定手段に相当する。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0046】
(a)エンジン運転状態とNOx 触媒19によるNOx 浄化率とに応じてリッチ燃焼のためのリッチ時間を設定するようにした。要するに、従来装置では余裕分を見込んでリッチ時間を長めに設定していたため、燃費の悪化やトルク変動を招くおそれがあったが、本実施の形態では、前記図4及び図5の関係に従いリッチ時間を設定して当該リッチ時間を短縮することで従来装置の不具合を解消することができる。従って、エンジン運転状態が変化しても常に適正なリッチ燃焼を行わせることが可能となる。その結果、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができる。
【0047】
図8は、1回当たりのリッチ時間とその時々のトルク変動との関係を示す実験データである。同図によれば、リッチ時間が短いほどルク変動が抑制されることが分かる。
【0048】
(b)NOx 触媒19による所望のNOx 浄化率が得られる範囲内で、最短のリッチ時間を設定するようにした。この場合、最適なるリッチ時間が設定でき、NOx 触媒19でのNOx の浄化性能が維持できる。
【0049】
次に、本発明における第2,第3の実施の形態を説明する。但し、第2,第3の各実施の形態の構成において、上述した第1の実施の形態と同等であるものについては図面に同一の記号を付すと共にその説明を簡略化する。そして、以下には第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0050】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態における空燃比制御システムの詳細を図9〜図11を用いて説明する。
【0051】
本実施の形態では、リッチ時間の最適なる短縮化を図るべく、NOx 触媒19によるNOx 浄化状態をモニタしながらリッチ時間を逐次学習することを特徴とする。その概要を略述すれば、本実施の形態では、図9に示すように、NOx 触媒19の下流側に触媒状態検出手段としてのNOx センサ41を設け、同センサ41の出力をECU30に取り込む。ECU30は、NOx センサ出力をモニタしつつリッチ時間を徐々に短縮側に学習する。そして、リッチ時間を短縮する過程でNOx センサ出力(NOx 濃度)が所定値以上となると、その時のリッチ時間が最小限界であるとみなし、当該リッチ時間をECU30内のバックアップRAM34に記憶する。
【0052】
なおNOx センサ41の詳細は、例えば特開平8−271476号公報や本願出願人による特願平9−171015号に開示されており、同センサ41は、安定化ジルコニア等の酸素イオン導電性の固体電解質基板を用いNOx 濃度に対応した電流信号を出力する。
【0053】
図10は、リッチ時間学習ルーチンを示すフローチャートであり、同ルーチンはCPU31により例えば1秒周期で実行される。
さて、図10のルーチンがスタートすると、CPU31は、先ずステップ301でエンジン運転状態が「i領域(但し、i=1,2,3・・・n)」にある時の学習完了フラグFiが「0」であるか否かを判別する。ここで、1〜nのエンジン運転領域はエンジン回転数Neや吸気圧PMに応じて設定され、これら運転領域毎に学習完了フラグFiが設けられている。なお、Fi=0はi領域でのリッチ時間の学習が完了していないことを、Fi=1はi領域でのリッチ時間の学習が完了していることを表すものであって、当該フラグFiは、ルーチンの起動当初において「0」に初期化されている。
【0054】
また、ステップ302では、CPU31は、所定のエンジン運転状態が10秒以上継続されているか否かを判別し、続くステップ303では、リーン⇔リッチ切り換えが実行されているか否か、すなわちエンジン1の低温始動時や高負荷運転時などにおいてストイキ運転が実施されていないか否かを判別する。
【0055】
そして、前記ステップ301〜303のいずれかがNOであれば、CPU31はステップ304に進み、同301〜303が全てYESであれば、ステップ305に進む。ステップ304に進むと、CPU31は、リッチ時間学習の時間間隔を計測するためのリッチ時間学習カウンタを「0」にクリアして本ルーチンを一旦終了する。
【0056】
また、ステップ305に進むと、CPU31は、リッチ時間学習カウンタを「1」インクリメントし、続くステップ306でその時のリッチ時間学習カウンタの値が所定時間(本実施の形態では60秒)に相当する値に達したか否かを判別する。リッチ時間学習カウンタ<60秒であれば、CPU31はそのまま本ルーチンを終了し、リッチ時間学習カウンタ≧60秒であれば、次のステップ307に進む。因みに、「60秒」という時間は、1回のリッチ時間学習に要する時間(学習期間)に相当する。
【0057】
そして、CPU31は、ステップ307でNOx センサ41の出力値が所望のNOx 浄化率を確保するための所定の判定値(本実施の形態では、NOx 濃度=20ppmに相当する値)以下であるか否かを判別する。このとき、1回の学習期間内でNOx センサ出力をなまし演算しておき、該演算したなまし値と所定の判定値(20ppm)とを比較判定するとよい。
【0058】
NOx センサ出力≦20ppmの場合、CPU31は、リッチ時間が今以上に短縮できるとみなし、ステップ308でリッチ時間(リッチ噴射回数)を1噴射分だけ短縮する。因みに、リッチ時間の初期値は例えば10噴射分程度とする。また、CPU31は、続くステップ309でリッチ時間学習カウンタを「0」にクリアして本ルーチンを終了する。こうしてステップ307の判別結果がYESとなる状態下では、リッチ時間が徐々に短縮される。
【0059】
一方、NOx センサ出力>20ppmの場合、CPU31は、今現在のリッチ時間では所望のNOx 浄化率が確保できないとみなし、ステップ310でリッチ時間(リッチ噴射回数)を1噴射分だけ長くする。また、CPU31は、続くステップ311でその時のリッチ時間をバックアップRAM34に記憶させる。このとき、前記の如く学習したリッチ時間をその時々のエンジン運転状態毎(1〜nの領域毎)に記憶する。バックアップRAM34に記憶したリッチ時間の学習値は、電源の遮断時にもその情報が記憶保持される。
【0060】
その後、CPU31は、ステップ312でその時の運転領域i(=1〜n)に対応する学習完了フラグFiに「1」をセットすると共に、続くステップ313でリッチ時間学習カウンタを「0」にクリアして本ルーチンを終了する。
【0061】
上述した通りリッチ時間が学習されてその値が更新されると、前記図3のステップ202では、その時々の運転領域i(=1〜n)に応じたリッチ時間がバックアップRAM34から読み出される。またこのとき、
リーン時間=α・リッチ時間
としてリーン時間が演算される。但し、係数αは「100」程度の固定値としてもよいし、エンジン回転数Neや吸気圧PMなどのエンジン運転状態に応じて可変に設定してもよい。
【0062】
次に、上記図10による動作を図11のタイムチャートを用いてより具体的に説明する。
図11において、時刻t1〜t4で区画された各期間はそれぞれリッチ時間の学習期間(本実施の形態では、60秒)を示す。このとき、時刻t1,t2,t3では、NOx センサ出力(学習期間内でのなまし値)が所定値(20ppm)を下回っている。そのため、リッチ時間が1噴射分だけ減じられる(前記図10のステップ308)。
【0063】
これに対し、時刻t4では、NOx センサ出力(時刻t3〜t4でのなまし値)が所定値(20ppm)を越える。そのため、リッチ時間が1噴射分だけ加算され、その時のリッチ時間が学習値としてメモリに記憶される(前記図10のステップ310,311)。またこの時刻t4では、学習完了フラグFiに「1」がセットされる(図10のステップ312)。
【0064】
なお本実施の形態では、前記図10のステップ307が請求項記載の触媒状態検出手段(判定手段)に相当し、同ステップ308がリッチ時間更新手段に相当する。また、同ステップ310が更新中止手段に相当し、同ステップ311が記憶手段に相当する。
【0065】
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
(a’)NOx 触媒19によるNOx 浄化状態をモニタしつつリッチ時間を徐々に短縮側に更新し、触媒19のNOx 浄化状態からその時のリッチ時間が限界値と判断されると、リッチ時間の短縮側への更新を中止するようにした。これにより、NOx 触媒19のNOx 浄化性能を確保しつつ、リッチ時間を短縮することができる。かかる場合にもやはり、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができる。
【0066】
(b’)NOx 触媒19の下流側にNOx センサ41を設け、当該センサ出力に基づきNOx 触媒19によるNOx 浄化の程度を判定するようにした。従って、リッチ時間の短縮がNOx センサ出力(NOx 濃度)に基づき許容又は禁止され、リッチ時間の学習が適正に実施できる。
【0067】
(c’)リッチ時間の学習値をエンジン1の運転領域毎に記憶するようにした。これにより、エンジン運転状態に応じたリッチ時間をその都度設定することが可能となり、当該運転状態の変化にも適宜対処できるようになる。
【0068】
(d’)NOx センサ出力を基にリッチ時間が短縮側の限界値に達したと判断されると、リッチ時間を逆側に更新するようにした(1噴射分加算した)。この場合、仮にリッチ時間を短くし過ぎたとしてもリッチ時間の修正が可能となる。また、NOx 触媒19の劣化などの経時変化により、リッチ時間を長引かせる必要が生じる場合にも常に最適なるリッチ時間が設定できる。
【0069】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態における空燃比制御システムの詳細を図12〜図15を用いて説明する。
【0070】
第3の実施の形態では、リーン⇔リッチ制御時において、リッチ燃焼させるためのリッチ時間の制御指令値と、その時々のエンジン運転状態とから実際のリッチ時間(実リッチ時間)を推定し、その実リッチ時間を基にリーン時間を設定することを特徴とする。
【0071】
図12は、本実施の形態におけるλTG設定ルーチンの一部を示すフローチャートである。但し、当該フローチャートは前記図3のフローチャートの一部(ステップ201,202)に置き換えて実施されるものであり、図3に準ずる処理についてはその説明を省略する。
【0072】
図12のルーチンにおいて、CPU31はその時の周期カウンタが「0」であることを条件に(ステップ401がYES)、ステップ402でその時々のエンジン回転数Ne及び吸気圧PMに基づき、リッチ時間(制御指令値)を設定する。ここで、リッチ時間(制御指令値)は、エンジン回転数Neが高いほど又は吸気圧PMが高いほど、大きな値に設定される(前記図4参照)。但しこのとき、NOx 触媒19に供給される排ガスが確実にリッチに切り換わるよう、その時々のエンジン運転状態に応じた下限値でリッチ時間がガードされる。これは、リッチ時間を短くし過ぎると、空燃比をリーン→リッチで切り換えても触媒入口での排ガス空燃比がリッチとならず、実質上NOx の還元ができなくなるためである。
【0073】
また、CPU31は、続くステップ403で実リッチ時間を演算する。実リッチ時間は、触媒入口での排ガス空燃比が実際にリッチとなる時間であって、例えば、
実リッチ時間=β・リッチ時間(制御指令値)
として演算される。ここで、係数βは、図13に示すように吸気圧PMやスロットル開度などのエンジン負荷に応じて設定される。同図によれば、エンジン負荷が小さいほど排ガスの混合が遅れるとして、係数βに小さい値が設定されるようになっている。
【0074】
その後、CPU31は、ステップ404で前記演算した実リッチ時間を基にリーン時間を設定する。このとき、リーン時間は、
リーン時間=α1・実リッチ時間
として演算される。但し、係数α1は、例えば図14に示す関係に基づき求められ、実リッチ時間が長いほど、係数α1に大きい値が設定されるようになっている。
【0075】
その後、CPU31は、前記図3のステップ203〜208に従い、既述した空燃比のリーン制御とリッチ制御とを交互に実施する。
図15は、本実施の形態における作用を補足説明するためのタイムチャートである。
【0076】
図15において、所定のリッチ時間(制御指令値)で目標空燃比λTGをリーンからリッチに切り換えた場合、エンジン燃焼室に流入する混合気の空燃比(燃焼A/F)はウエット等の影響によりその変化がなまる。また更に、NOx 触媒19に到達する際の排ガスの空燃比(排ガスA/F)は、他気筒の排ガスとの混合や排気管内の輸送遅れが原因でより一層なまる。そのため、触媒入口での排ガス空燃比が実際にリッチになる時間(実リッチ時間)は、制御指令値に対して幾分短い時間となる。かかる場合において、空燃比のリッチ制御は、所定のリッチ時間(制御指令値)に基づき実施されると共に、空燃比のリーン制御は実リッチ時間に基づき実施される。
【0077】
なお本実施の形態では、前記図12のステップ402が請求項記載の制御指令値設定手段に相当し、同ステップ403が実リッチ時間推定手段に相当する。また、同ステップ404がリーン時間設定手段に相当する。
【0078】
以上詳述した第3の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
(a”)エンジン運転状態に基づき、リッチ時間(制御指令値)に対する実リッチ時間を推定し、該推定した実リッチ時間からリーン時間を設定するようにした。この場合、リーン時間が過不足無く設定でき、仮に実際のリッチ時間が短めに設定されたとしても、リーン燃焼不足により不用意にNOx が排出されることはない。その結果、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができる。
【0079】
(b”)エンジン1の低負荷運転時ほど、リッチ時間指令値に対する実リッチ時間が短くなると推定するようにした。この場合、排ガス空燃比のリーン⇔リッチ切り換えが遅れる低負荷などの条件下においても、リッチ時間やリーン時間の設定が適正に実施できる。
【0080】
なお、本発明の実施の形態は、上記以外に次の形態にて実現できる。
上記第1の実施の形態では、リッチ時間の設定に際し、機関運転状態を知るためのパラメータとしてエンジン回転数Neと吸気圧PMとを用いたが、これを変更する。例えばスロットル開度やアクセル開度などを機関運転状態を知るためのパラメータとして用いてもよい。
【0081】
上記第2の実施の形態では、NOx 触媒19によるNOx 浄化状態を検出するための手段として触媒下流側にNOx センサ41を配設し、当該NOx センサ出力に基づきリッチ時間の学習を行ったが、この構成を変更する。例えば触媒下流側に空燃比センサを配設し、この空燃比センサの出力値に基づきリッチ時間の学習を行うようにする。この場合、空燃比のリーン⇔リッチ切り換え時における触媒前後の応答性(応答時間)から触媒状態を判定し、その判定結果に基づきリッチ時間の学習を許容又は禁止する。因みに、ここで使用する空燃比センサは、酸素濃度に応じたリニアな電流信号を出力する周知のA/Fセンサ(限界電流式空燃比センサ)や、理論空燃比を境にしてリーン側かリッチ側かに応じて異なる電圧信号を出力する周知のO2 センサなどが適用できる。
【0082】
また、上記第2の実施の形態では、リッチ時間の学習時において、1回のリッチ時間の更新幅を1噴射分としたが、2噴射分以上を1度に更新するようにしてもよい。この場合、例えばNOx センサ出力を基に、限界値までの余裕度を考慮してその更新幅を可変に設定するようにすればなお良い。
【0083】
さらに、上記第2の実施の形態では、リッチ時間の学習値をその都度バックアップRAM34に記憶し、電源の遮断時にもその内部情報を記憶保持するようにしたが、電源投入の度に、リッチ時間を初期値(例えば10噴射の相当時間)から学習し直すように構成してもよい。
【0084】
上記第3の実施の形態では、エンジン回転数Ne及び吸気圧PMに基づきリッチ時間(制御指令値)を設定していたが、例えば前記第2の実施の形態で説明したリッチ時間学習値を用いて同時間の制御指令値を設定するように変更してもよい。
【0085】
上記各実施の形態では、目標空燃比λTGをリーン制御値とリッチ制御値とで切り換えることにより、リーン燃焼とリッチ燃焼とを行わせるようにしていたが、これを変更する。例えば空燃比補正係数FAFをリーン補正側とリッチ補正側とで切り換え、それによりリーン燃焼とリッチ燃焼とを行わせるようにしてもよい。
【0086】
上記各実施の形態における空燃比制御システムでは、現代制御理論を用い、目標空燃比と実際に検出した空燃比(実空燃比)との偏差に応じて空燃比をフィードバック制御していたが、この構成を変更する。例えばPI制御により空燃比をフィードバック制御したり、空燃比をオープン制御したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるエンジンの空燃比制御システムの概要を示す全体構成図。
【図2】燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャート。
【図3】λTG設定ルーチンを示すフローチャート。
【図4】エンジン回転数及び吸気圧に応じてリッチ時間を設定するためのマップ。
【図5】リッチ時間とNOx 浄化率との関係をエンジン運転状態毎に示すグラフ。
【図6】エンジン回転数及び吸気圧に応じてリーン目標空燃比を設定するためのマップ。
【図7】第1の実施の形態における作用を説明するためのタイムチャート。
【図8】リッチ時間とその時のトルク変動との関係を示すグラフ。
【図9】第2の実施の形態において、制御システムの追加部分を示す構成図。
【図10】第2の実施の形態において、リッチ時間学習ルーチンを示すフローチャート。
【図11】第2の実施の形態における作用を説明するためのタイムチャート。
【図12】第3の実施の形態において、λTG設定ルーチンの一部を示すフローチャート。
【図13】エンジン負荷と係数βとの関係を示すグラフ。
【図14】実リッチ時間と係数α1との関係を示すグラフ。
【図15】第3の実施の形態における作用を説明するためのタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、3…排気管、19…NOx 触媒(NOx 吸蔵還元型触媒)、30…ECU(電子制御装置)、31…リッチ時間設定手段,リッチ時間更新手段,触媒状態検出手段(判定手段),更新中止手段,記憶手段,制御指令値設定手段,実リッチ時間推定手段,リーン時間設定手段を構成するCPU、34…バックアップRAM、41…触媒状態検出手段を構成するNOx センサ。

Claims (11)

  1. 内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定してその目標空燃比に基づきリーン燃焼を行わせると共に、リーン燃焼時に排出される排ガス中のNOx をリーンNOx 触媒で吸蔵し、さらに空燃比を一時的にリッチに制御して前記吸蔵したNOx をリーンNOx 触媒から放出するようにした内燃機関の空燃比制御装置において、
    機関運転状態と前記NOx 触媒による所望のNOx 浄化率とに応じてリッチ燃焼のためのリッチ時間を設定するリッチ時間設定手段を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記リッチ時間設定手段は、リーンNOx 触媒による所望のNOx 浄化率が得られる範囲内で、最短のリッチ時間を設定する請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定してその目標空燃比に基づきリーン燃焼を行わせると共に、リーン燃焼時に排出される排ガス中のNOx をリーンNOx 触媒で吸蔵し、さらに空燃比を一時的にリッチに制御して前記吸蔵したNOx をリーンNOx 触媒から放出するようにした内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記リーンNOx 触媒によるNOx 浄化状態を検出する触媒状態検出手段と、
    リッチ燃焼のためのリッチ時間を所定の時間周期で短縮側に更新するリッチ時間更新手段と、
    前記検出した触媒のNOx 浄化状態からその時のリッチ時間が限界値と判断されると、リッチ時間の短縮側への更新を中止する更新中止手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記触媒状態検出手段は、
    リーンNOx 触媒の下流側に設けられた空燃比センサ又はNOx センサと、
    当該センサの出力値に基づき、前記NOx 触媒によるNOx 浄化の程度を判定する判定手段と
    からなる内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の内燃機関の空燃比制御装置において、
    前記更新したリッチ時間を内燃機関の運転領域毎に記憶する記憶手段を更に備える内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定してその目標空燃比に基づきリーン燃焼を行わせると共に、リーン燃焼時に排出される排ガス中のNOx をリーンNOx 触媒で吸蔵し、さらに空燃比を一時的にリッチに制御して前記吸蔵したNOx をリーンNOx 触媒から放出するようにした内燃機関の空燃比制御装置において、
    リッチ燃焼のためのリッチ時間の制御指令値を設定する制御指令値設定手段と、
    機関運転状態に基づき、前記設定したリッチ時間指令値によるリッチ燃焼時の排ガスがリッチとなってリーンNOx 触媒に供給される実際の時間を推定する実リッチ時間推定手段と、
    前記推定した実リッチ時間からリーン燃焼のためのリーン時間を設定するリーン時間設定手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 請求項6に記載の空燃比制御装置において、
    制御指令値設定手段は、その時々の機関運転状態に応じた下限値でリッチ時間の制御指令値をガードする内燃機関の空燃比制御装置。
  8. 前記実リッチ時間推定手段は、内燃機関の低負荷運転時ほど、リッチ時間指令値に対する実リッチ時間が短くなると推定する請求項6又は請求項7に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  9. 前記リッチ時間設定手段は、エンジン回転数が高いほど又は吸気圧が高いほど、リッチ燃焼のためのリッチ時間を大きな値として設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  10. 前記リッチ時間設定手段は、スロットル開度が大きいほど又はアクセル開度が大きいほど、リッチ燃焼のためのリッチ時間を大きな値として設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  11. 前記制御指令値設定手段は、エンジン回転数が高いほど又は吸気圧が高いほど、リッチ燃焼のためのリッチ時間の制御指令値を大きな値として設定することを特徴とする請求項6乃至請求項8に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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