JPH11117791A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JPH11117791A
JPH11117791A JP27913397A JP27913397A JPH11117791A JP H11117791 A JPH11117791 A JP H11117791A JP 27913397 A JP27913397 A JP 27913397A JP 27913397 A JP27913397 A JP 27913397A JP H11117791 A JPH11117791 A JP H11117791A
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】リーン燃焼を実施すると共にNOx 触媒の浄化
能力を回復させるべく一時的にリッチ燃焼を行わせる空
燃比制御装置において、リッチ燃焼を最適なる時間にて
実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図る。 【解決手段】エンジン排気管3には、リーン空燃比の状
態下でNOx を吸蔵すると共に、リッチ空燃比の状態下
で前記吸蔵したNOx をCOやHCで還元し放出するN
Ox 触媒19が配設されている。ECU30内のCPU
31は、エンジン1に供給する混合気の目標空燃比を理
論空燃比よりもリーン側に設定し、その目標空燃比に基
づいてリーン燃焼を行わせる。また、CPU31は、エ
ンジン運転状態とNOx 触媒19によるNOx 浄化率と
に応じてリッチ燃焼のためのリッチ時間を設定する。こ
のとき、NOx 触媒19による所望のNOx 浄化率が得
られる範囲内で、最短のリッチ時間が設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空燃比リーン領域
でのリーン燃焼を行わせる内燃機関の空燃比制御装置で
あって、リーン燃焼時に発生する排ガス中の窒素酸化物
(NOx )を浄化するためのNOx 吸蔵還元型触媒を有
する内燃機関の空燃比制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年における内燃機関の空燃比制御装置
では、燃費改善を図るべく理論空燃比よりもリーン側で
燃料を燃焼させる、いわゆるリーンバーン制御を実施す
る技術が多用化されつつある。こうしたリーン燃焼を行
わせる場合、内燃機関から排出される排ガスにはNOx
が多く含まれ、このNOx を浄化するためのリーンNO
x 触媒が必要となる。例えば特許番号第2600492
号公報の「内燃機関の排気浄化装置」には、排ガスの空
燃比がリーンである時にNOx を吸収すると共に、排ガ
スの酸素濃度が低下された時に、すなわちリッチ化され
た時に前記吸収したNOx を放出するNOx 吸収剤(N
Ox 吸蔵還元型触媒)が開示されている。
【0003】また一方、リーン燃焼時に発生するNOx
をNOx 触媒にて吸収するシステムでは、NOx 触媒で
NOx が飽和状態になるとNOx 浄化能力が限界に達す
る。そのため、NOx 触媒の浄化能力を回復させてNO
x の排出を抑制すべく一時的にリッチ燃焼を行わせるよ
うにした技術が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上記従来技術
では、リーン燃焼からリッチ燃焼に切り換える際におい
て、触媒付近の空燃比が直ぐにはリッチに切り換わらな
い。そのため、リッチ時間を長めに設定し、排気通路内
の雰囲気がリーンからリッチに移行する時間をも見込ん
だ時間でリッチ燃焼を継続させる必要があった。かかる
場合、リッチ燃焼が継続されると、過多に噴射量が増量
されてしまい燃費の悪化が懸念される。また、リッチ燃
焼時には、リーン燃焼時に比べてエンジン発生トルクが
増大する。そのため、リッチ時間が長引くと回転変動が
大きくなり、ドライバビリティが悪化するという問題が
生じる。
【0005】本発明は、上記問題に着目してなされたも
のであって、その目的とするところは、リーン燃焼を実
施すると共にNOx 触媒の浄化能力を回復させるべく一
時的にリッチ燃焼を行わせる空燃比制御装置において、
リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やト
ルク変動の抑制を図ることができる内燃機関の空燃比制
御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明における内燃機関
の空燃比制御装置ではその前提として、内燃機関に供給
する混合気の目標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に
設定してその目標空燃比に基づきリーン燃焼を行わせ
る。また、リーン燃焼時に排出される排ガス中のNOx
をリーンNOx 触媒で吸蔵し、さらに空燃比を一時的に
リッチに制御して前記吸蔵したNOx をリーンNOx 触
媒から放出する。
【0007】そして、請求項1に記載の発明ではその特
徴として、機関運転状態と前記NOx 触媒によるNOx
浄化率とに応じてリッチ燃焼のためのリッチ時間を設定
するリッチ時間設定手段を備える。
【0008】要するに、従来装置では、リーン燃焼途中
において一時的にリッチ燃焼を行わせる際、余裕分を見
込んでリッチ時間を長めに設定していた。そのため、燃
費の悪化やトルク変動を招くおそれがあった。これに対
し本発明は、リッチ時間を短縮することで従来装置の不
具合を解消することを狙う。すなわち、リッチ時間の短
縮化を図る上で、同リッチ時間と機関運転状態とはある
一定の関係を持ち、トルク変動のないリッチ燃焼を実施
するにはエンジン回転数や吸気圧といった機関運転状態
に応じてリッチ時間を設定するとよい。例えば内燃機関
の高回転又は高負荷域ではリッチ時間を長くし、低回転
又は低負荷域ではリッチ時間を短くする(図4参照)。
一方で、リッチ時間とリーンNOx 触媒におけるNOx
浄化率とは例えば図5に示す関係を有する。
【0009】以上の観点から、上記機関運転状態とNO
x 浄化率とに応じてリッチ時間を設定すれば、機関運転
状態が変化しても常に適正なリッチ燃焼を行わせること
が可能となる。その結果、リッチ燃焼を最適なる時間に
て実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることが
できる。
【0010】また請求項2に記載の発明では、前記リッ
チ時間設定手段は、リーンNOx 触媒による所望のNO
x 浄化率が得られる範囲内で、最短のリッチ時間を設定
する。例えば図5において、NOx 浄化率の許容レベル
を95%以上とした場合、機関運転状態(エンジン回転
数Ne,吸気圧PM)に応じて、A1,A2,A3の各
点により最適なるリッチ時間が設定できる。この場合、
NOx 触媒でのNOxの浄化性能が維持できる。
【0011】また、請求項3に記載の空燃比制御装置で
は、 ・リーンNOx 触媒によるNOx 浄化状態を検出する触
媒状態検出手段と、 ・リッチ燃焼のためのリッチ時間を所定の時間周期で短
縮側に更新するリッチ時間更新手段と、 ・前記検出した触媒のNOx 浄化状態からその時のリッ
チ時間が限界値と判断されると、リッチ時間の短縮側へ
の更新を中止する更新中止手段とを備えることを特徴と
する。
【0012】かかる場合、リーンNOx 触媒によるNO
x 浄化状態をモニタしつつリッチ時間が徐々に短縮され
る。そして、リッチ時間を短縮する過程で限界値に達す
ると、その時点でリッチ時間の更新が中止される。これ
により、NOx 触媒のNOx浄化性能を確保しつつ、リ
ッチ時間を短縮することが可能となる。その結果、リッ
チ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク
変動の抑制を図ることができる。
【0013】上記請求項3の発明は、次の請求項4又は
請求項5の態様で実施できる。請求項4に記載の発明で
は、前記触媒状態検出手段は、リーンNOx 触媒の下流
側に設けられた空燃比センサ又はNOx センサと、当該
センサの出力値に基づき、前記NOx 触媒によるNOx
浄化の程度を判定する判定手段とからなる。つまり、リ
ーンNOx 触媒によるNOx 浄化の程度がセンサ出力に
基づき判定され、その判定結果からリッチ時間の短縮
(学習)が許容又は禁止される。かかる場合、リッチ時
間の学習が適正に実施できる。
【0014】請求項5に記載の発明では、前記更新した
リッチ時間を内燃機関の運転領域毎に記憶する記憶手段
を更に備える。この場合、機関運転状態に応じたリッチ
時間をその都度設定することが可能となり、機関運転状
態の変化にも対処できるようになる。
【0015】さらに、請求項6に記載の空燃比制御装置
では、 ・リッチ燃焼のためのリッチ時間の制御指令値を設定す
る制御指令値設定手段と、 ・機関運転状態に基づき、前記設定したリッチ時間指令
値によるリッチ燃焼時の排ガスがリッチとなってリーン
NOx 触媒に供給される実際の時間を推定する実リッチ
時間推定手段と、 ・前記推定した実リッチ時間からリーン燃焼のためのリ
ーン時間を設定するリーン時間設定手段とを備えること
を特徴とする。
【0016】つまり、所定のリッチ時間(制御指令値)
に基づきリーン燃焼とリッチ燃焼とで切り換えても、機
関燃焼室に流入する混合気の空燃比はウエット等の影響
によりその変化がなまり、また更に、リーンNOx 触媒
に到達する際の排ガスの空燃比は、他の気筒の排ガスと
の混合や排気管内の輸送遅れが原因でより一層なまる。
こうした実状下において、請求項6の構成によれば、リ
ーン時間が過不足無く設定でき、仮に実際のリッチ時間
が短めに設定されたとしても、リーン燃焼不足により不
用意にNOx が排出されることはない。その結果、リッ
チ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善やトルク
変動の抑制を図ることができる。
【0017】但し、請求項6の発明では、リーンNOx
触媒に供給される排ガスが確実にリッチに切り換わるよ
う、請求項7に記載したように、その時々の機関運転状
態に応じた下限値でリッチ時間の制御指令値をガードす
ることが望ましい。
【0018】また請求項8に記載の発明では、前記実リ
ッチ時間推定手段は、内燃機関の低負荷運転時ほど、リ
ッチ時間指令値に対する実リッチ時間が短くなると推定
する。この場合、排ガス空燃比のリーン⇔リッチ切り換
えが遅れる低負荷などの条件下においても、リッチ時間
やリーン時間の設定が適正に実施できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態について説明する。本実施の形態における空
燃比制御システムでは、内燃機関に供給する混合気の目
標空燃比を理論空燃比よりもリーン側に設定し、その目
標空燃比に基づいてリーン燃焼を行わせる、いわゆるリ
ーンバーン制御を実施する。同システムの主たる構成と
して、内燃機関の排気通路の途中にはNOx 吸蔵還元型
触媒(以下、NOx 触媒という)が設けられ、そのNO
x 触媒の上流側には限界電流式空燃比センサ(A/Fセ
ンサ)が配設されている。そして、マイクロコンピュー
タを主体とする電子制御装置(以下、ECUという)
は、前記空燃比センサによる検出結果を取り込み、その
センサ検出結果に基づいてリーン空燃比でのフィードバ
ック制御を実施する。以下、図面を用いてその詳細な構
成を説明する。
【0020】図1は、本実施の形態における空燃比制御
システムの概要を示す全体構成図である。図1におい
て、内燃機関は4気筒4サイクルの火花点火式エンジン
(以下、単にエンジン1という)として構成されてお
り、エンジン1には吸気管2と排気管3とが接続されて
いる。吸気管2には、アクセルペダル4に連動するスロ
ットル弁5が設けられており、同スロットル弁5の開度
はスロットル開度センサ6により検出される。また、吸
気管2のサージタンク7には吸気圧センサ8が配設され
ている。
【0021】エンジン1の気筒を構成するシリンダ9内
には図の上下方向に往復動するピストン10が配設され
ており、同ピストン10はコンロッド11を介して図示
しないクランク軸に連結されている。ピストン10の上
方にはシリンダ9及びシリンダヘッド12にて区画され
た燃焼室13が形成されており、燃焼室13は、吸気バ
ルブ14及び排気バルブ15を介して前記吸気管2及び
排気管3に連通している。
【0022】排気管3には、排ガス中の酸素濃度(或い
は、未燃ガス中の一酸化炭素などの濃度)に比例して広
域で且つリニアな空燃比信号を出力する、限界電流式空
燃比センサからなるA/Fセンサ16が設けられてい
る。また、排気管3においてA/Fセンサ16の下流側
には、NOx 浄化機能を有するNOx 触媒19が配設さ
れている。このNOx 触媒19は、NOx 吸蔵還元型触
媒として知られており、リーン空燃比の状態下でNOx
を吸蔵し、リッチ空燃比の状態下で前記吸蔵したNOx
をCOやHCで還元し放出する。
【0023】エンジン1の吸気ポート17には電磁駆動
式のインジェクタ18が設けられており、このインジェ
クタ18には図示しない燃料タンクから燃料(ガソリ
ン)が供給される。本実施の形態では、吸気マニホール
ドの各分岐管毎に1つずつインジェクタ18を有するマ
ルチポイントインジェクション(MPI)システムが構
成されている。この場合、吸気管上流から供給される新
気とインジェクタ18による噴射燃料とが吸気ポート1
7にて混合され、その混合気が吸気バルブ14の開弁動
作に伴い燃焼室13内(シリンダ9内)に流入する。
【0024】シリンダヘッド12に配設された点火プラ
グ27は、イグナイタ28からの点火用高電圧により発
火する。イグナイタ28には、点火用高電圧を各気筒の
点火プラグ27に分配するためのディストリビュータ2
0が接続され、同ディストリビュータ20にはクランク
軸の回転状態に応じて720°CA毎にパルス信号を出
力する基準位置センサ21と、より細かなクランク角毎
(例えば、30°CA毎)にパルス信号を出力する回転
角センサ22とが配設されている。
【0025】また、シリンダ9(ウォータジャケット)
には、冷却水温を検出するための水温センサ23が配設
されている。ECU30は、周知のマイクロコンピュー
タシステムを中心に構成され、CPU31、ROM3
2、RAM33、バックアップRAM34、A/D変換
器35、入出力インターフェース(I/O)36等を備
える。前記スロットル開度センサ6、吸気圧センサ8、
A/Fセンサ16及び水温センサ23の各検出信号は、
A/D変換器35に入力され、A/D変換された後にバ
ス37を介してCPU31に取り込まれる。また、前記
基準位置センサ21及び回転角センサ22のパルス信号
は、入出力インターフェース36及びバス37を介して
CPU31に取り込まれる。
【0026】CPU31は、前記各センサの検出信号に
基づいてスロットル開度TH、吸気圧PM、空燃比(A
/F)、冷却水温Tw、基準クランク位置(G信号)及
びエンジン回転数Neなどのエンジン運転状態を検知す
る。また、CPU31は、エンジン運転状態に基づいて
燃料噴射量や点火時期等の制御信号を演算し、その制御
信号をインジェクタ18やイグナイタ28に出力する。
【0027】次に、上記の如く構成される空燃比制御シ
ステムの作用を説明する。図2は、CPU31により実
行される燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャートで
あり、本ルーチンは各気筒の燃料噴射毎(本実施の形態
では180°CA毎)に実行される。
【0028】さて、図2のルーチンがスタートすると、
CPU31は、先ずステップ101でエンジン運転状態
を表すセンサ検出結果(エンジン回転数Ne、吸気圧P
M、冷却水温Tw等)を読み込み、続くステップ102
でROM32内に予め格納されている基本噴射マップを
用いてその時々のエンジン回転数Ne及び吸気圧PMに
応じた基本噴射量Tpを算出する。また、CPU31
は、ステップ103で周知の空燃比F/B条件が成立し
ているか否かを判別する。ここで、空燃比F/B条件と
は、冷却水温Twが所定温度以上であること、高回転・
高負荷状態でないこと、A/Fセンサ16が活性状態に
あることなどを含む。
【0029】ステップ103が否定判別されれば(F/
B条件不成立の場合)、CPU31は、ステップ104
に進んで空燃比補正係数FAFを「1.0」とする。F
AF=1.0とすることは、空燃比がオープン制御され
ることを意味する。また、ステップ103が肯定判別さ
れれば(F/B条件成立の場合)、CPU31は、ステ
ップ200に進んで目標空燃比λTGの設定処理を実施
する。目標空燃比λTGの設定処理は後述する図3のル
ーチンに従い行われる。
【0030】その後、CPU31は、ステップ105で
その時々の実際の空燃比λ(センサ計測値)と目標空燃
比λTGとの偏差に基づいて空燃比補正係数FAFを設
定する。本実施の形態では、現代制御理論に基づく空燃
比F/B制御を実施することとしており、そのF/B制
御に際し、A/Fセンサ16の検出結果を目標空燃比に
一致させるための空燃比補正係数FAFを次の(1),
(2)式を用いて算出する。なお、このFAF値の設定
手順については特開平1−110853号公報に詳細に
開示されている。
【0031】 FAF=K1 ・λ+K2 ・FAF1 + ・・・+Kn+1 ・FAFn +ZI …(1) ZI=ZI1 +Ka・(λTG−λ) …(2) 上記(1),(2)式において、λはA/Fセンサ16
による限界電流の空燃比変換値を、K1 〜Kn+1 はF/
B定数を、ZIは積分項を、Kaは積分定数をそれぞれ
表す。また、添字1〜n+1はサンプリング開始からの
制御回数を示す変数である。
【0032】FAF値の設定後、CPU31は、ステッ
プ106で次の(3)式を用い、基本噴射量Tp、空燃
比補正係数FAF及びその他の補正係数FALL(水
温、エアコン負荷等の各種補正係数)から最終の燃料噴
射量TAUを算出する。
【0033】 TAU=Tp・FAF・FALL …(3) 燃料噴射量TAUの算出後、CPU31は、そのTAU
値に相当する制御信号をインジェクタ18に出力して本
ルーチンを一旦終了する。
【0034】次に、上記ステップ200の処理に相当す
るλTG設定ルーチンについて、図3を用いて説明す
る。なお当該ルーチンでは、リーン燃焼の実施途中にお
いて一時的にリッチ燃焼が実施されるよう、目標空燃比
λTGが適宜設定される。すなわち本実施の形態では、
燃料噴射毎に計数される周期カウンタの値を基に、所定
の時間比となるようにリーン時間TLとリッチ時間TR
とが設定され、それら各時間TL,TRに応じてリーン
燃焼とリッチ燃焼とが交互に実施される。
【0035】図3において、CPU31は、先ずステッ
プ201でその時の周期カウンタが「0」であるか否か
を判別し、周期カウンタ=0であることを条件に(ステ
ップ201がYES)、ステップ202でエンジン回転
数Ne及び吸気圧PMに基づき、リーン時間TL及びリ
ッチ時間TRを設定する。ステップ201がNOであれ
ば(周期カウンタ≠0の場合)、CPU31はステップ
202の処理を読み飛ばす。
【0036】ここで、リーン時間TLとリッチ時間TR
は、それぞれリーン空燃比での燃料噴射回数、リッチ空
燃比での燃料噴射回数に相当するものであって、基本的
にエンジン回転数Neが高いほど又は吸気圧PMが高い
ほど、大きな値に設定される。本実施の形態では、図4
の関係に基づくマップ検索によりリッチ時間TRが求め
られる。なおこのとき、前記図4の関係は、NOx 触媒
19による所望のNOx 浄化率が得られる範囲内で、最
短のリッチ時間となるように設定される。
【0037】つまり、リッチ時間に対するNOx 浄化率
の特性は図5の関係にあり、同図によれば、エンジン運
転状態(エンジン回転数Ne,吸気圧PM)によってN
Ox浄化率の特性が変化する。総じてNe,PMが大き
いほど、NOx 浄化率の特性は図の右方へ移行し、N
e,PMが小さいほど、NOx 浄化率の特性は図の左方
へ移行する。従って、NOx 浄化率を所定レベル(例え
ば図5の95%以上)に保ちつつリッチ時間の短縮化を
図るには、Ne,PM状態に応じて例えば図5中のA
1,A2,A3から最適なるリッチ時間が求められる
(但し、A1<A2<A3)。
【0038】これに対し、リーン時間TLは、前記リッ
チ時間TRと所定の係数αとから、 TL=TR・α として求められる。係数αは「100」程度の固定値と
すればよいが、エンジン回転数Neや吸気圧PMなどの
エンジン運転状態に応じて可変に設定することとしても
よい。
【0039】その後、CPU31は、ステップ203で
周期カウンタを「1」インクリメントする。さらにその
後、CPU31は、ステップ204で周期カウンタの値
が前記設定したリーン時間TLに相当する値に達したか
否かを判別する。周期カウンタ<TLであってステップ
204が否定判別された場合、CPU31はステップ2
05に進み、その時々のエンジン回転数Ne及び吸気圧
PMに基づき、目標空燃比λTGをリーン制御値として
設定する。λTG値の設定後、CPU31は元の図2の
ルーチンに戻る。
【0040】このとき、λTG値は例えば図6に示す目
標空燃比マップを検索して求められ、λTG値として例
えばA/F=20〜23に相当する値が設定される(但
し、定常運転時でないなどリーン燃焼の実施条件が不成
立の場合にはストイキ近傍でλTG値が設定される)。
かかる場合、上述のステップ205で設定したλTG値
が前記図2のステップ105でFAF値の演算に用いら
れ、このFAF値により空燃比がリーン制御される。
【0041】また、周期カウンタ≧TLであってステッ
プ204が肯定判別された場合、CPU31はステップ
206に進み、目標空燃比λTGをリッチ制御値として
設定する。このとき、λTG値は、リッチ領域での固定
値としてもよいし、エンジン回転数Neや吸気圧PMに
基づきマップ検索して可変に設定するようにしてもよ
い。マップ検索を行う場合、エンジン回転数Neが高い
ほど又は吸気圧PMが高いほど、そのリッチ度合が強く
なるようλTG値が設定される。
【0042】その後、CPU31は、ステップ207で
周期カウンタの値が前記設定したリーン時間TLとリッ
チ時間TRとの合計値「TL+TR」に相当する値に達
したか否かを判別し、周期カウンタ<TL+TRであっ
てステップ207が否定判別されればそのまま元の図2
のルーチンに戻る。かかる場合、上述のステップ206
で設定したλTG値が前記図2のステップ105でFA
F値の演算に用いられ、このFAF値により空燃比がリ
ッチ制御される。
【0043】一方、周期カウンタ≧TL+TRであって
ステップ207が肯定判別された場合、CPU31は、
ステップ208で周期カウンタを「0」にクリアしてそ
の後元の図2のルーチンに戻る。周期カウンタのクリア
に伴い次回の処理時にはステップ201が肯定判別さ
れ、リーン時間TL及びリッチ時間TRが新たに設定さ
れる。そして、そのリーン時間TL及びリッチ時間TR
に基づき再度、空燃比のリーン制御とリッチ制御とが実
施される。
【0044】図7は、上記図2及び図3のルーチンによ
る制御動作を説明するためのタイムチャートである。図
7において、周期カウンタ=0〜TLの期間では、空燃
比がリーン制御される。このとき、排ガス中のNOx が
NOx 触媒19に吸蔵される。また、周期カウンタ=T
L〜TL+TRの期間では、空燃比がリッチ制御され
る。このとき、排ガス中の未燃ガス成分(HC,CO)
により触媒19の吸蔵NOx が還元されて放出される。
こうして、空燃比のリーン制御とリッチ制御とがリーン
時間TLとリッチ時間TRとに応じて繰り返し実施され
る。
【0045】なお本実施の形態では、前記図3のステッ
プ202(前記図4のマップ)が請求項記載のリッチ時
間設定手段に相当する。以上詳述した本実施の形態によ
れば、以下に示す効果が得られる。
【0046】(a)エンジン運転状態とNOx 触媒19
によるNOx 浄化率とに応じてリッチ燃焼のためのリッ
チ時間を設定するようにした。要するに、従来装置では
余裕分を見込んでリッチ時間を長めに設定していたた
め、燃費の悪化やトルク変動を招くおそれがあったが、
本実施の形態では、前記図4及び図5の関係に従いリッ
チ時間を設定して当該リッチ時間を短縮することで従来
装置の不具合を解消することができる。従って、エンジ
ン運転状態が変化しても常に適正なリッチ燃焼を行わせ
ることが可能となる。その結果、リッチ燃焼を最適なる
時間にて実施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図る
ことができる。
【0047】図8は、1回当たりのリッチ時間とその時
々のトルク変動との関係を示す実験データである。同図
によれば、リッチ時間が短いほどルク変動が抑制される
ことが分かる。
【0048】(b)NOx 触媒19による所望のNOx
浄化率が得られる範囲内で、最短のリッチ時間を設定す
るようにした。この場合、最適なるリッチ時間が設定で
き、NOx 触媒19でのNOx の浄化性能が維持でき
る。
【0049】次に、本発明における第2,第3の実施の
形態を説明する。但し、第2,第3の各実施の形態の構
成において、上述した第1の実施の形態と同等であるも
のについては図面に同一の記号を付すと共にその説明を
簡略化する。そして、以下には第1の実施の形態との相
違点を中心に説明する。
【0050】(第2の実施の形態)第2の実施の形態に
おける空燃比制御システムの詳細を図9〜図11を用い
て説明する。
【0051】本実施の形態では、リッチ時間の最適なる
短縮化を図るべく、NOx 触媒19によるNOx 浄化状
態をモニタしながらリッチ時間を逐次学習することを特
徴とする。その概要を略述すれば、本実施の形態では、
図9に示すように、NOx 触媒19の下流側に触媒状態
検出手段としてのNOx センサ41を設け、同センサ4
1の出力をECU30に取り込む。ECU30は、NO
x センサ出力をモニタしつつリッチ時間を徐々に短縮側
に学習する。そして、リッチ時間を短縮する過程でNO
x センサ出力(NOx 濃度)が所定値以上となると、そ
の時のリッチ時間が最小限界であるとみなし、当該リッ
チ時間をECU30内のバックアップRAM34に記憶
する。
【0052】なおNOx センサ41の詳細は、例えば特
開平8−271476号公報や本願出願人による特願平
9−171015号に開示されており、同センサ41
は、安定化ジルコニア等の酸素イオン導電性の固体電解
質基板を用いNOx 濃度に対応した電流信号を出力す
る。
【0053】図10は、リッチ時間学習ルーチンを示す
フローチャートであり、同ルーチンはCPU31により
例えば1秒周期で実行される。さて、図10のルーチン
がスタートすると、CPU31は、先ずステップ301
でエンジン運転状態が「i領域(但し、i=1,2,3
・・・n)」にある時の学習完了フラグFiが「0」で
あるか否かを判別する。ここで、1〜nのエンジン運転
領域はエンジン回転数Neや吸気圧PMに応じて設定さ
れ、これら運転領域毎に学習完了フラグFiが設けられ
ている。なお、Fi=0はi領域でのリッチ時間の学習
が完了していないことを、Fi=1はi領域でのリッチ
時間の学習が完了していることを表すものであって、当
該フラグFiは、ルーチンの起動当初において「0」に
初期化されている。
【0054】また、ステップ302では、CPU31
は、所定のエンジン運転状態が10秒以上継続されてい
るか否かを判別し、続くステップ303では、リーン⇔
リッチ切り換えが実行されているか否か、すなわちエン
ジン1の低温始動時や高負荷運転時などにおいてストイ
キ運転が実施されていないか否かを判別する。
【0055】そして、前記ステップ301〜303のい
ずれかがNOであれば、CPU31はステップ304に
進み、同301〜303が全てYESであれば、ステッ
プ305に進む。ステップ304に進むと、CPU31
は、リッチ時間学習の時間間隔を計測するためのリッチ
時間学習カウンタを「0」にクリアして本ルーチンを一
旦終了する。
【0056】また、ステップ305に進むと、CPU3
1は、リッチ時間学習カウンタを「1」インクリメント
し、続くステップ306でその時のリッチ時間学習カウ
ンタの値が所定時間(本実施の形態では60秒)に相当
する値に達したか否かを判別する。リッチ時間学習カウ
ンタ<60秒であれば、CPU31はそのまま本ルーチ
ンを終了し、リッチ時間学習カウンタ≧60秒であれ
ば、次のステップ307に進む。因みに、「60秒」と
いう時間は、1回のリッチ時間学習に要する時間(学習
期間)に相当する。
【0057】そして、CPU31は、ステップ307で
NOx センサ41の出力値が所望のNOx 浄化率を確保
するための所定の判定値(本実施の形態では、NOx 濃
度=20ppmに相当する値)以下であるか否かを判別
する。このとき、1回の学習期間内でNOx センサ出力
をなまし演算しておき、該演算したなまし値と所定の判
定値(20ppm)とを比較判定するとよい。
【0058】NOx センサ出力≦20ppmの場合、C
PU31は、リッチ時間が今以上に短縮できるとみな
し、ステップ308でリッチ時間(リッチ噴射回数)を
1噴射分だけ短縮する。因みに、リッチ時間の初期値は
例えば10噴射分程度とする。また、CPU31は、続
くステップ309でリッチ時間学習カウンタを「0」に
クリアして本ルーチンを終了する。こうしてステップ3
07の判別結果がYESとなる状態下では、リッチ時間
が徐々に短縮される。
【0059】一方、NOx センサ出力>20ppmの場
合、CPU31は、今現在のリッチ時間では所望のNO
x 浄化率が確保できないとみなし、ステップ310でリ
ッチ時間(リッチ噴射回数)を1噴射分だけ長くする。
また、CPU31は、続くステップ311でその時のリ
ッチ時間をバックアップRAM34に記憶させる。この
とき、前記の如く学習したリッチ時間をその時々のエン
ジン運転状態毎(1〜nの領域毎)に記憶する。バック
アップRAM34に記憶したリッチ時間の学習値は、電
源の遮断時にもその情報が記憶保持される。
【0060】その後、CPU31は、ステップ312で
その時の運転領域i(=1〜n)に対応する学習完了フ
ラグFiに「1」をセットすると共に、続くステップ3
13でリッチ時間学習カウンタを「0」にクリアして本
ルーチンを終了する。
【0061】上述した通りリッチ時間が学習されてその
値が更新されると、前記図3のステップ202では、そ
の時々の運転領域i(=1〜n)に応じたリッチ時間が
バックアップRAM34から読み出される。またこのと
き、リーン時間=α・リッチ時間としてリーン時間が演
算される。但し、係数αは「100」程度の固定値とし
てもよいし、エンジン回転数Neや吸気圧PMなどのエ
ンジン運転状態に応じて可変に設定してもよい。
【0062】次に、上記図10による動作を図11のタ
イムチャートを用いてより具体的に説明する。図11に
おいて、時刻t1〜t4で区画された各期間はそれぞれ
リッチ時間の学習期間(本実施の形態では、60秒)を
示す。このとき、時刻t1,t2,t3では、NOx セ
ンサ出力(学習期間内でのなまし値)が所定値(20p
pm)を下回っている。そのため、リッチ時間が1噴射
分だけ減じられる(前記図10のステップ308)。
【0063】これに対し、時刻t4では、NOx センサ
出力(時刻t3〜t4でのなまし値)が所定値(20p
pm)を越える。そのため、リッチ時間が1噴射分だけ
加算され、その時のリッチ時間が学習値としてメモリに
記憶される(前記図10のステップ310,311)。
またこの時刻t4では、学習完了フラグFiに「1」が
セットされる(図10のステップ312)。
【0064】なお本実施の形態では、前記図10のステ
ップ307が請求項記載の触媒状態検出手段(判定手
段)に相当し、同ステップ308がリッチ時間更新手段
に相当する。また、同ステップ310が更新中止手段に
相当し、同ステップ311が記憶手段に相当する。
【0065】以上詳述した第2の実施の形態によれば、
以下の効果が得られる。 (a’)NOx 触媒19によるNOx 浄化状態をモニタ
しつつリッチ時間を徐々に短縮側に更新し、触媒19の
NOx 浄化状態からその時のリッチ時間が限界値と判断
されると、リッチ時間の短縮側への更新を中止するよう
にした。これにより、NOx 触媒19のNOx 浄化性能
を確保しつつ、リッチ時間を短縮することができる。か
かる場合にもやはり、リッチ燃焼を最適なる時間にて実
施し、燃費の改善やトルク変動の抑制を図ることができ
る。
【0066】(b’)NOx 触媒19の下流側にNOx
センサ41を設け、当該センサ出力に基づきNOx 触媒
19によるNOx 浄化の程度を判定するようにした。従
って、リッチ時間の短縮がNOx センサ出力(NOx 濃
度)に基づき許容又は禁止され、リッチ時間の学習が適
正に実施できる。
【0067】(c’)リッチ時間の学習値をエンジン1
の運転領域毎に記憶するようにした。これにより、エン
ジン運転状態に応じたリッチ時間をその都度設定するこ
とが可能となり、当該運転状態の変化にも適宜対処でき
るようになる。
【0068】(d’)NOx センサ出力を基にリッチ時
間が短縮側の限界値に達したと判断されると、リッチ時
間を逆側に更新するようにした(1噴射分加算した)。
この場合、仮にリッチ時間を短くし過ぎたとしてもリッ
チ時間の修正が可能となる。また、NOx 触媒19の劣
化などの経時変化により、リッチ時間を長引かせる必要
が生じる場合にも常に最適なるリッチ時間が設定でき
る。
【0069】(第3の実施の形態)次に、第3の実施の
形態における空燃比制御システムの詳細を図12〜図1
5を用いて説明する。
【0070】第3の実施の形態では、リーン⇔リッチ制
御時において、リッチ燃焼させるためのリッチ時間の制
御指令値と、その時々のエンジン運転状態とから実際の
リッチ時間(実リッチ時間)を推定し、その実リッチ時
間を基にリーン時間を設定することを特徴とする。
【0071】図12は、本実施の形態におけるλTG設
定ルーチンの一部を示すフローチャートである。但し、
当該フローチャートは前記図3のフローチャートの一部
(ステップ201,202)に置き換えて実施されるも
のであり、図3に準ずる処理についてはその説明を省略
する。
【0072】図12のルーチンにおいて、CPU31は
その時の周期カウンタが「0」であることを条件に(ス
テップ401がYES)、ステップ402でその時々の
エンジン回転数Ne及び吸気圧PMに基づき、リッチ時
間(制御指令値)を設定する。ここで、リッチ時間(制
御指令値)は、エンジン回転数Neが高いほど又は吸気
圧PMが高いほど、大きな値に設定される(前記図4参
照)。但しこのとき、NOx 触媒19に供給される排ガ
スが確実にリッチに切り換わるよう、その時々のエンジ
ン運転状態に応じた下限値でリッチ時間がガードされ
る。これは、リッチ時間を短くし過ぎると、空燃比をリ
ーン→リッチで切り換えても触媒入口での排ガス空燃比
がリッチとならず、実質上NOx の還元ができなくなる
ためである。
【0073】また、CPU31は、続くステップ403
で実リッチ時間を演算する。実リッチ時間は、触媒入口
での排ガス空燃比が実際にリッチとなる時間であって、
例えば、 実リッチ時間=β・リッチ時間(制御指令値) として演算される。ここで、係数βは、図13に示すよ
うに吸気圧PMやスロットル開度などのエンジン負荷に
応じて設定される。同図によれば、エンジン負荷が小さ
いほど排ガスの混合が遅れるとして、係数βに小さい値
が設定されるようになっている。
【0074】その後、CPU31は、ステップ404で
前記演算した実リッチ時間を基にリーン時間を設定す
る。このとき、リーン時間は、 リーン時間=α1・実リッチ時間 として演算される。但し、係数α1は、例えば図14に
示す関係に基づき求められ、実リッチ時間が長いほど、
係数α1に大きい値が設定されるようになっている。
【0075】その後、CPU31は、前記図3のステッ
プ203〜208に従い、既述した空燃比のリーン制御
とリッチ制御とを交互に実施する。図15は、本実施の
形態における作用を補足説明するためのタイムチャート
である。
【0076】図15において、所定のリッチ時間(制御
指令値)で目標空燃比λTGをリーンからリッチに切り
換えた場合、エンジン燃焼室に流入する混合気の空燃比
(燃焼A/F)はウエット等の影響によりその変化がな
まる。また更に、NOx 触媒19に到達する際の排ガス
の空燃比(排ガスA/F)は、他気筒の排ガスとの混合
や排気管内の輸送遅れが原因でより一層なまる。そのた
め、触媒入口での排ガス空燃比が実際にリッチになる時
間(実リッチ時間)は、制御指令値に対して幾分短い時
間となる。かかる場合において、空燃比のリッチ制御
は、所定のリッチ時間(制御指令値)に基づき実施され
ると共に、空燃比のリーン制御は実リッチ時間に基づき
実施される。
【0077】なお本実施の形態では、前記図12のステ
ップ402が請求項記載の制御指令値設定手段に相当
し、同ステップ403が実リッチ時間推定手段に相当す
る。また、同ステップ404がリーン時間設定手段に相
当する。
【0078】以上詳述した第3の実施の形態によれば、
以下の効果が得られる。 (a”)エンジン運転状態に基づき、リッチ時間(制御
指令値)に対する実リッチ時間を推定し、該推定した実
リッチ時間からリーン時間を設定するようにした。この
場合、リーン時間が過不足無く設定でき、仮に実際のリ
ッチ時間が短めに設定されたとしても、リーン燃焼不足
により不用意にNOx が排出されることはない。その結
果、リッチ燃焼を最適なる時間にて実施し、燃費の改善
やトルク変動の抑制を図ることができる。
【0079】(b”)エンジン1の低負荷運転時ほど、
リッチ時間指令値に対する実リッチ時間が短くなると推
定するようにした。この場合、排ガス空燃比のリーン⇔
リッチ切り換えが遅れる低負荷などの条件下において
も、リッチ時間やリーン時間の設定が適正に実施でき
る。
【0080】なお、本発明の実施の形態は、上記以外に
次の形態にて実現できる。上記第1の実施の形態では、
リッチ時間の設定に際し、機関運転状態を知るためのパ
ラメータとしてエンジン回転数Neと吸気圧PMとを用
いたが、これを変更する。例えばスロットル開度やアク
セル開度などを機関運転状態を知るためのパラメータと
して用いてもよい。
【0081】上記第2の実施の形態では、NOx 触媒1
9によるNOx 浄化状態を検出するための手段として触
媒下流側にNOx センサ41を配設し、当該NOx セン
サ出力に基づきリッチ時間の学習を行ったが、この構成
を変更する。例えば触媒下流側に空燃比センサを配設
し、この空燃比センサの出力値に基づきリッチ時間の学
習を行うようにする。この場合、空燃比のリーン⇔リッ
チ切り換え時における触媒前後の応答性(応答時間)か
ら触媒状態を判定し、その判定結果に基づきリッチ時間
の学習を許容又は禁止する。因みに、ここで使用する空
燃比センサは、酸素濃度に応じたリニアな電流信号を出
力する周知のA/Fセンサ(限界電流式空燃比センサ)
や、理論空燃比を境にしてリーン側かリッチ側かに応じ
て異なる電圧信号を出力する周知のO2 センサなどが適
用できる。
【0082】また、上記第2の実施の形態では、リッチ
時間の学習時において、1回のリッチ時間の更新幅を1
噴射分としたが、2噴射分以上を1度に更新するように
してもよい。この場合、例えばNOx センサ出力を基
に、限界値までの余裕度を考慮してその更新幅を可変に
設定するようにすればなお良い。
【0083】さらに、上記第2の実施の形態では、リッ
チ時間の学習値をその都度バックアップRAM34に記
憶し、電源の遮断時にもその内部情報を記憶保持するよ
うにしたが、電源投入の度に、リッチ時間を初期値(例
えば10噴射の相当時間)から学習し直すように構成し
てもよい。
【0084】上記第3の実施の形態では、エンジン回転
数Ne及び吸気圧PMに基づきリッチ時間(制御指令
値)を設定していたが、例えば前記第2の実施の形態で
説明したリッチ時間学習値を用いて同時間の制御指令値
を設定するように変更してもよい。
【0085】上記各実施の形態では、目標空燃比λTG
をリーン制御値とリッチ制御値とで切り換えることによ
り、リーン燃焼とリッチ燃焼とを行わせるようにしてい
たが、これを変更する。例えば空燃比補正係数FAFを
リーン補正側とリッチ補正側とで切り換え、それにより
リーン燃焼とリッチ燃焼とを行わせるようにしてもよ
い。
【0086】上記各実施の形態における空燃比制御シス
テムでは、現代制御理論を用い、目標空燃比と実際に検
出した空燃比(実空燃比)との偏差に応じて空燃比をフ
ィードバック制御していたが、この構成を変更する。例
えばPI制御により空燃比をフィードバック制御した
り、空燃比をオープン制御したりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態におけるエンジンの空燃比制
御システムの概要を示す全体構成図。
【図2】燃料噴射制御ルーチンを示すフローチャート。
【図3】λTG設定ルーチンを示すフローチャート。
【図4】エンジン回転数及び吸気圧に応じてリッチ時間
を設定するためのマップ。
【図5】リッチ時間とNOx 浄化率との関係をエンジン
運転状態毎に示すグラフ。
【図6】エンジン回転数及び吸気圧に応じてリーン目標
空燃比を設定するためのマップ。
【図7】第1の実施の形態における作用を説明するため
のタイムチャート。
【図8】リッチ時間とその時のトルク変動との関係を示
すグラフ。
【図9】第2の実施の形態において、制御システムの追
加部分を示す構成図。
【図10】第2の実施の形態において、リッチ時間学習
ルーチンを示すフローチャート。
【図11】第2の実施の形態における作用を説明するた
めのタイムチャート。
【図12】第3の実施の形態において、λTG設定ルー
チンの一部を示すフローチャート。
【図13】エンジン負荷と係数βとの関係を示すグラ
フ。
【図14】実リッチ時間と係数α1との関係を示すグラ
フ。
【図15】第3の実施の形態における作用を説明するた
めのタイムチャート。
【符号の説明】
1…エンジン(内燃機関)、3…排気管、19…NOx
触媒(NOx 吸蔵還元型触媒)、30…ECU(電子制
御装置)、31…リッチ時間設定手段,リッチ時間更新
手段,触媒状態検出手段(判定手段),更新中止手段,
記憶手段,制御指令値設定手段,実リッチ時間推定手
段,リーン時間設定手段を構成するCPU、34…バッ
クアップRAM、41…触媒状態検出手段を構成するN
Ox センサ。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を
    理論空燃比よりもリーン側に設定してその目標空燃比に
    基づきリーン燃焼を行わせると共に、リーン燃焼時に排
    出される排ガス中のNOx をリーンNOx 触媒で吸蔵
    し、さらに空燃比を一時的にリッチに制御して前記吸蔵
    したNOx をリーンNOx 触媒から放出するようにした
    内燃機関の空燃比制御装置において、 機関運転状態と前記NOx 触媒によるNOx 浄化率とに
    応じてリッチ燃焼のためのリッチ時間を設定するリッチ
    時間設定手段を備えることを特徴とする内燃機関の空燃
    比制御装置。
  2. 【請求項2】前記リッチ時間設定手段は、リーンNOx
    触媒による所望のNOx 浄化率が得られる範囲内で、最
    短のリッチ時間を設定する請求項1に記載の内燃機関の
    空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を
    理論空燃比よりもリーン側に設定してその目標空燃比に
    基づきリーン燃焼を行わせると共に、リーン燃焼時に排
    出される排ガス中のNOx をリーンNOx 触媒で吸蔵
    し、さらに空燃比を一時的にリッチに制御して前記吸蔵
    したNOx をリーンNOx 触媒から放出するようにした
    内燃機関の空燃比制御装置において、 前記リーンNOx 触媒によるNOx 浄化状態を検出する
    触媒状態検出手段と、 リッチ燃焼のためのリッチ時間を所定の時間周期で短縮
    側に更新するリッチ時間更新手段と、 前記検出した触媒のNOx 浄化状態からその時のリッチ
    時間が限界値と判断されると、リッチ時間の短縮側への
    更新を中止する更新中止手段とを備えることを特徴とす
    る内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の内燃機関の空燃比制御装
    置において、 前記触媒状態検出手段は、 リーンNOx 触媒の下流側に設けられた空燃比センサ又
    はNOx センサと、 当該センサの出力値に基づき、前記NOx 触媒によるN
    Ox 浄化の程度を判定する判定手段とからなる内燃機関
    の空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】請求項3又は請求項4に記載の内燃機関の
    空燃比制御装置において、 前記更新したリッチ時間を内燃機関の運転領域毎に記憶
    する記憶手段を更に備える内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】内燃機関に供給する混合気の目標空燃比を
    理論空燃比よりもリーン側に設定してその目標空燃比に
    基づきリーン燃焼を行わせると共に、リーン燃焼時に排
    出される排ガス中のNOx をリーンNOx 触媒で吸蔵
    し、さらに空燃比を一時的にリッチに制御して前記吸蔵
    したNOx をリーンNOx 触媒から放出するようにした
    内燃機関の空燃比制御装置において、 リッチ燃焼のためのリッチ時間の制御指令値を設定する
    制御指令値設定手段と、 機関運転状態に基づき、前記設定したリッチ時間指令値
    によるリッチ燃焼時の排ガスがリッチとなってリーンN
    Ox 触媒に供給される実際の時間を推定する実リッチ時
    間推定手段と、 前記推定した実リッチ時間からリーン燃焼のためのリー
    ン時間を設定するリーン時間設定手段とを備えることを
    特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の空燃比制御装置におい
    て、 制御指令値設定手段は、その時々の機関運転状態に応じ
    た下限値でリッチ時間の制御指令値をガードする内燃機
    関の空燃比制御装置。
  8. 【請求項8】前記実リッチ時間推定手段は、内燃機関の
    低負荷運転時ほど、リッチ時間指令値に対する実リッチ
    時間が短くなると推定する請求項6又は請求項7に記載
    の内燃機関の空燃比制御装置。
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