JP4147595B2 - 蛍石単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍石単結晶を製造する方法に関するものである。本発明により製造される蛍石単結晶は、一般光学機器や光リソグラフィー用の光学系に好適であり、特に大口径の蛍石単結晶は、高度な光学性能が要求されるエキシマレーザーステッパーの光学系に使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
近年において、VLSIはますます高集積化、高機能化され、論理VLSIの分野ではチップ上により大きなシステムが盛り込まれるシステムオンチップ化が進行している。
これに伴い、その基板となるシリコン等のウェハ上において、微細加工化及び高集積化が要求されている。そして、シリコン等のウェハ上に集積回路の微細パターンを露光・転写する光リソグラフィーにおいては、ステッパと呼ばれる露光装置が使用されている。
【0003】
VLSIの中でDRAMを例にあげると、近年256M以上の容量が現実のものとなり、加工線幅が0.35μm 以下と微細になっているため、光リソグラフィー技術のかなめであるステッパーの投影レンズには、高い結像性能(解像度、焦点深度)が要求されている。
解像度と焦点深度は、露光に用いる光の波長とレンズのNA(開口数)によって決まる。
【0004】
露光波長λが同一の場合には、細かいパターンほど回折光の角度が大きくなるので、レンズのNAが大きくなければ回折光を取り込めなくなる。また、露光波長λが短いほど、同一パターンにおける回折光の角度は小さくなるので、レンズのNAは小さくてよいことになる。
解像度と焦点深度は、次式により表される。
【0005】
解像度=k1 ・λ/NA
焦点深度=k2 ・λ/(NA)2
(ここで、k1 、k2 は比例定数)
上式より、解像度を向上させるためには、レンズのNAを大きくする(レンズを大口径化する)か、或いは露光波長λを短くすればよいことが判る。
【0006】
まず、露光波長λの短波長化について述べると、短波長性を生かした超微細リソグラフィー用光源として、KrFエキシマレーザー(248nm)とArFエキシマレーザー(193nm)に進展がみられている。
エキシマレーザーは、紫外から真空紫外波長領域において、高出力、高繰り返しの発振が可能であり、高効率な短波長パルス光源として、研究開発や実用化が行われている。
【0007】
次に、レンズの大口径化について述べると、単に大口径であればよいというものではなく、前記エキシマレーザーを用いたエキシマレーザーステッパーの光学系には、光学特性が特にすぐれたレンズが要求される。
このような250 nm以下の短波長領域においては、光リソグラフィー用として使える光学材料は非常に少なく、蛍石及び石英ガラスの2種類の材料が用いられている。
【0008】
ここで、従来の蛍石単結晶の製造方法(一例)を示す。蛍石単結晶の製造は、一般に垂直ブリッジマン法を用いて行われる。
垂直ブリッジマン法とは、蛍石原料を収納したルツボを、蛍石原料の融点前後にわたる温度勾配を有する結晶成長炉の中で垂直に降下させることにより、蛍石原料を融解させて融液を形成するとともに、一端から前記融液を順次固化させて蛍石単結晶を成長させる方法である。
【0009】
蛍石原料の酸化を防ぐため、一般に蛍石単結晶は真空中で成長させるが、この場合には、育成装置(結晶成長炉を含む蛍石単結晶の製造装置)の内部を構成する部材(例えば、ルツボ、ヒーター、断熱材等)の材質に黒鉛を用いることが多い。
また、垂直ブリッジマン法による単結晶成長においては、多結晶化を防止するため、一般にルツボ底部の形状が工夫される。例えば、ルツボ底部を円錐形状にしてコーン部を設け、該コーン部の先端から結晶成長を開始させる場合が非常に多い。
【0010】
これは、結晶化の初期においては、ルツボ内壁の複数箇所から結晶化が開始されるため、この結晶の成長開始点数を制限することにより、全体の単結晶化が可能になるとの考えに基づいている。
この他に、長い小孔構造を持たせたルツボ底部から結晶成長を開始させる方法もある。これは、数多くの結晶を最初に成長させておき、長い小孔構造内で成長が進行するにつれ、幾何的な成長選別を行うことにより、全体の単結晶化を試みるものである。
【0011】
また、種子結晶をルツボ底部に設置して単結晶成長を開始させる方法がある。この方法は、小直径の種子結晶から徐々に結晶を成長させ、コーン部などの結晶直径が増大する部分を経て、所定の直径を有する直胴部まで結晶を成長させる点に特徴がある。
前記種子結晶としては、小直径の種子結晶ではなく、成長させようとする単結晶と略同一の断面形状と寸法を有する、比較的大きな種子結晶を用いることもある。
【0012】
ルツボの直胴部においては、固液界面を上凸形状に保持することにより単結晶化を継続させる技術が重要である。固液界面を上凸形状に保持するためには、固液界面近傍の温度分布を制御すること、すなわち等温面の形状を制御することが必要である。
かかる制御について言及すると、直胴部の下部においては、支持棒との距離が小さいため、支持棒による熱伝導冷却を温度分布の制御に利用できるが、直胴部の中部および上部においては、支持棒による熱伝導冷却は、上凸形状の固液界面形成のための温度分布制御に対してもはや効果を発揮しない。
【0013】
そこで、上部ヒーター等の補助加熱部を用いてルツボ上部の温度を制御することで、側面ヒーター等の主加熱部によるルツボ側面の温度とのバランスをとることにより、固液界面近傍の温度分布の制御を行うことが必要となる。
このように、ルツボ上部とルツボ側面との温度バランスをうまくとれば、固液界面を上凸形状に保持できるので、直径250mmまでの蛍石単結晶を得ることが可能となる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の垂直ブリッジマン法による単結晶成長方法では、成長させようとする蛍石単結晶の直径が250mmを越えると、多結晶化、クラック、サブグレインバンダリー、インクルージョンが頻繁に発生し、その結果、エキシマレーザーステッパーの光学系に使用できる、高度な光学性能を有する大口径の蛍石単結晶が得られないという問題点があった。
【0015】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、エキシマレーザーステッパーの光学系にも使用可能な、高度な光学性能を有する大口径の蛍石単結晶が得られる蛍石単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は第一に「底部に種子結晶を収納し、その上に蛍石原料を収納したルツボを、前記種子結晶及び蛍石原料の融点前後にわたる温度勾配を有する結晶成長炉の中で垂直に降下させることにより、前記種子結晶及び蛍石原料を融解させて融液を形成するとともに、前記底部から前記融液を順次固化させて蛍石単結晶を成長させる、垂直ブリッジマン法による光学用蛍石単結晶の製造方法において、
(111)結晶面を表面(または断面)に有する種子結晶を使用して、前記種子結晶の表面が水平または略水平となるように、該種子結晶を前記ルツボ底部に収納し、種付けから連続成長を進行させることにより、インゴット全体を単結晶として成長させることを特徴とする光学用蛍石単結晶の製造方法(請求項1)」を提供する。
【0017】
また、本発明は第二に「底部に種子結晶を収納し、その上に蛍石原料を収納したルツボを、前記種子結晶及び蛍石原料の融点前後にわたる温度勾配を有する結晶成長炉の中で垂直に降下させることにより、前記種子結晶及び蛍石原料を融解させて融液を形成するとともに、前期底部から前記融液を順次固化させて蛍石単結晶を成長させる、垂直ブリッジマン法による光学用蛍石単結晶の製造方法において、
(111)結晶面となす角度が2°以下である表面(または断面)を有する種子結晶を使用して、前記種子結晶の表面が水平または略水平となるように、該種子結晶を前記ルツボ底部に収納し、種付けから連続成長を進行させることにより、インゴット全体を単結晶として成長させることを特徴とする光学用蛍石単結晶の製造方法(請求項2)」を提供する。
【0018】
また、本発明は第三に「固液界面の形状を平坦または略平坦に保持しつつ単結晶を成長させることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法(請求項3)」を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
前述したように、解像度を高めるには、露光光の波長を短くすることや、レンズの開口数を大きくする(即ち、大口径レンズを使用する)ことが有効であり、また250 nm以下の短波長領域においては、光リソグラフィー用として使える光学材料は非常に少なく、蛍石及び石英ガラスの2種類の材料が用いられている。
【0020】
しかし、蛍石においては、単にルツボの大きさや形状、単結晶成長装置(育成装置)の規模を大きくするだけでは、高品質な大口径の蛍石単結晶は得られないことは、広く知られるところである。
そこで、垂直ブリッジマン法による蛍石単結晶の製造方法である本発明においては、(111)結晶面を表面(または断面)に有する種子結晶を使用して、種付けから連続成長を進行させることにより、インゴット全体を単結晶として成長させることとした(請求項1)。
【0021】
また、垂直ブリッジマン法による蛍石単結晶の製造方法である本発明(請求項2)においては、(111)結晶面となす角度が2°以下である表面(または断面)を有する種子結晶を使用して種付けから連続成長を進行させることにより、インゴット全体を単結晶として成長させることとした。
本発明(請求項1、2)によれば、成長させる蛍石単結晶の直径が250mmを越える場合にも、多結晶化、クラック、サブグレインバンダリー、インクルージョンの発生を防止して、その結果、エキシマレーザーステッパーの光学系にも使用できる、高度な光学性能を有する大口径の蛍石単結晶を製造することができる。
【0022】
本発明においては、種子結晶の表面が水平または略水平となるように、種子結晶をルツボ底部に収納する(請求項1、2)。
かかる構成にすると、(111)結晶成長面を水平(または略水平)にして単結晶化させたインゴットが得られ、かかるインゴットは任意の厚さで容易に水平(または略水平)に切断可能である。
【0023】
そして、切断された部材は、円柱状の光学部材として最大(または略最大)の口径を確保できる。
また、インゴットの中心軸と、切断された部材から得られる光学部材(レンズ等)の中心軸とを一致させることができるので、屈折率分布の中心対称性が高く高精度な光学部材を形成できる。
【0024】
本発明においては、固液界面の形状を平坦または略平坦に保持しつつ単結晶を成長させることが好ましい(請求項3)。
かかる構成にすると、成長させる蛍石単結晶の直径が250mmを超える場合にも、多結晶化、クラック、サブグレインバンダリー、インクルージョンの発生を完全(または略完全)に防止することができる。
【0025】
また、かかる構成にすると、単結晶成長時における熱応力の発生を著しく抑制できる。そのため、得られる蛍石単結晶の残留応力による複屈折を低減することもできる。
以下に、(111)結晶成長面を水平平面状の固液界面と一致させることにより大口径蛍石インゴット全体の単結晶化を可能にさせる本発明の技術(一例)について述べる。
【0026】
本発明者らは、種子結晶の断面(または表面)が正確に(111)結晶面となるように種子結晶を製作し、この種子結晶を用いて直径300mmの大口径蛍石単結晶を成長させる実験を行った。
同様にして、種子結晶の断面(または表面)と(111)結晶面とのなす角度を様々に変化させ、これらの種子結晶を用いて直径300mmの大口径蛍石単結晶を成長させる実験を行った。
【0027】
この結果、種子結晶の断面(または表面)と(111)結晶面とのなす角度を2°以下に抑えることで、種付けから連続成長を進行させ、インゴット全体を単結晶として成長させることができることを見いだした。
固液界面形状の測定は、蛍石の構成成分とは異なるバリウムをドープすることにより行った。また、単結晶化の際に、引下げ速度を断続的にわずかに変化させることで、人工的に多数のストライエーションを導入した。
【0028】
こうして成長させた蛍石単結晶に対して、40°Cの過塩素酸カリウム水溶液で30分間エッチング処理を行うことにより、ストライエーションの可視化を行った。
ストライエーションの形状は、結晶成長中の固液界面形状を反映しているため、固液界面形状の測定には非常に有効である。
【0029】
固液界面形状を平坦に保持した場合、種子結晶の断面(または表面)と(111)結晶面とのなす角度を2°以下に抑えることにより、大口径蛍石の単結晶化に成功するだけでなく、クラック、サブグレインバンダリー、インクルージョンの発生を完全に防止できることを見いだした。
従来より垂直ブリッジマン法における固液界面形状は、上凸形状となるのが良いとされていた。しかし、本発明(請求項3)においては、固液界面形状を平坦(または略平坦)に保持するため、熱応力を大幅に低減することができる。したがって、クラックを防止するだけではなく、残留応力による複屈折を低減させることができる。
【0030】
(111)結晶成長面を水平(または略水平)にして単結晶化させたインゴットより大口径蛍石単結晶を水平に切り出す場合、円柱状の光学部材としては最大口径を確保することができるだけでなく、インゴットの中心軸とレンズなどの光学部材の中心軸とを一致させることが可能であるため、屈折率分布の中心対称性が高く高精度な光学部材となる。
【0031】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
本実施例にかかる、直径300mmの大口径蛍石単結晶を成長させる方法を以下に示す。
直胴部の内径300mm、直胴部の高さ400mm、下部コーン部角度が90度である黒鉛ルツボを使用する。黒鉛製のルツボは蛍石の固着が無く、多結晶化を防止できるので、蛍石単結晶の成長には適している。
【0033】
種子結晶を収納(設置)するルツボ最下部(底部)の内径は40mm、長さ(深さ)は50mmである。
ルツボ最上部の開口部には、ネジにより黒鉛の蓋を装着することができる。ルツボの内壁は、傷や微小な凹凸のないように滑らかに仕上げてある。
また、ルツボのコーン部角度が最大120°である黒鉛ルツボを使用することも可能であり、かかる黒鉛ルツボを使用する場合には、蛍石原料の充填量を増大させて、大口径蛍石の収率を向上させることができる。
【0034】
ルツボは、黒鉛により作製された支持棒に設置した。また、設置および取り外しが容易な差し込み式の構造とした。支持棒とルツボとの間には黒鉛により作製された受け台をコーン部全体を覆う形状で設置した。
受け台の側面は、ルツボ直胴部の外形と一致させた円筒形状であり、底部には支持棒に設置するためのネジ式の装着部が設けてある。さらに、受け台底部の内側上面には同心円状の段差が設けてあり、黒鉛により作製された複数の円筒を設置した。
【0035】
かかる円筒は、円筒を受け台に設置した際、コーン部に接触しないような円筒高さとなるように、精密に製作してある。受け台内部には、温度測定センサーが設置され、種子結晶部の温度を精密に測定できる構成を取っている。
支持棒は、内部に水を通すことにより冷却された冷却棒に接続されている。さらに、冷却棒はストローク450mmにわたって精密な速度調節が可能な引下げ機構に接続されている。
【0036】
冷却棒には、応力に対する強度、耐熱性、防錆性に優れたステンレスを用い、その表面は鏡面状に研磨加工が施されている。
冷却棒のうち、ベルジャー内部に位置する部分は、揮発物質の付着による汚染と腐食を防止するため、伸縮可能な鞘状の円筒形黒鉛により隙間なく囲われて保護されており、冷却棒表面を常に清浄なまま維持することが可能である。
【0037】
冷却棒部分の気密性は、多重のO―リングにより確保されており、回転を伴った引下げ運動が可能である。
ヒーターは、通電加熱が可能な黒鉛により作製されており、縦方向に複数のスリットを設けた円筒型である。
このヒーターは、通電が可能な二本の黒鉛製の支柱により、ルツボの中心を通る仮想鉛直軸を中心軸として、ルツボ外周とヒーターの間隔が全周にわたって正確に20mmとなるように、円筒状に固定配置されている。
【0038】
ヒーターの温度は、温度測定センサーにより直接測定され、出力コントローラにより精密に制御される。ヒーターの全周には、黒鉛製の耐熱均熱部材および断熱部材が配置されている。
一定温度に保持された冷却水で水冷されたベルジャーにより、引下げ機構を除いた育成装置(成長装置)全体の気密を保つことが可能である。また、液体窒素コールドトラップ機構を装備した油拡散ポンプを真空排気装置として用いることにより、高真空雰囲気とすることが可能である。
【0039】
種子結晶の形状は、直径30〜40mm、長さ50〜70mmの円柱であり、断面(または表面)が(111)結晶面となるように作製された単結晶である。得ようとする蛍石単結晶中におけるインクルージョンの発生を防止するため、原料には高純度フッ化カルシウム粉末を予め一旦融解および固化させた多結晶原料を用いた。
【0040】
(111)結晶面が水平となるように種子結晶をルツボ最下部の所定の位置に収納し、合計60kgの多結晶原料を充填した後、蓋を装着した。蓋の下部にはフッ素化剤を充填できる容器が設置されており、フッ素化剤としてフッ化物重合体の粉末を200g充填する。
ヒーターと他部位との絶縁状態を電気抵抗値を測定することにより確認する。また、ヒーターを含む導通経路間の電気抵抗値が所定値であることを確認する。
【0041】
ルツボを成長装置内の所定位置に設置した後、充分に真空排気を行う。制御しながら毎時50°Cで徐々に温度を上昇させ、種子結晶部を融点に到達させる。融点に達する直前(融点―5°C)からの昇温過程においては、過熱を避け、種子結晶を徐々に融解させるため、昇温の速度を毎時5°Cと小さくする。さらに、種子結晶部の温度を融点のまま6時間保持することにより、融液の均質化と脱気および種付けを行う。
【0042】
この後、毎時1mmの速度でルツボの引下げを行うことにより、単結晶化を進行させる。引下げの速度は、モーターの制御により任意に設定することが可能であり、連続的なスケジュールでの速度可変も可能である。
融液すべてが単結晶化したところで引下げを停止し、ヒーターの温度を室温まで徐々に低下させる。
【0043】
結晶成長時の各温度、冷却水温度、室温、真空度、ルツボ位置は常に監視および記録する。こうして直径300mm、重量60kgの蛍石単結晶がインゴットとして得られる。
本発明により製造されたインゴットは、内部に発生している熱応力が小さいため、切断加工工程において、割れや傷などの破損を生じない良質な蛍石単結晶である。
【0044】
さらに、本発明により(111)結晶成長面が水平となるように単結晶化させたインゴットは、任意の厚さで容易に水平切断することが可能であり、円柱形状としては最大口径のものを得ることができる。
例えば、厚さ60mmで複数に切断する場合には、重量10kgを越える直径300mmの大口径の蛍石単結晶が得られる。これらは、クラック、インクルージョン、サブグレインバンダリーが存在しないため、高精度な光学部材として使用可能である。
【0045】
本実施例により製造された大口径蛍石単結晶は、投影レンズとしてエキシマレーザーステッパーの光学系に使用することができた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エキシマレーザーステッパーの光学系にも使用可能な、高度な光学性能を有する大口径の蛍石単結晶が得られる。
以上
Claims (3)
- 底部に種子結晶を収納し、その上に蛍石原料を収納したルツボを、前記種子結晶及び蛍石原料の融点前後にわたる温度勾配を有する結晶成長炉の中で垂直に降下させることにより、前記種子結晶及び蛍石原料を融解させて融液を形成するとともに、前記底部から前記融液を順次固化させて蛍石単結晶を成長させる、垂直ブリッジマン法による光学用蛍石単結晶の製造方法において、
(111)結晶面を表面(または断面)に有する種子結晶を使用して、前記種子結晶の表面が水平または略水平となるように、該種子結晶を前記ルツボ底部に収納し、種付けから連続成長を進行させることにより、インゴット全体を単結晶として成長させることを特徴とする光学用蛍石単結晶の製造方法。 - 底部に種子結晶を収納し、その上に蛍石原料を収納したルツボを、前記種子結晶及び蛍石原料の融点前後にわたる温度勾配を有する結晶成長炉の中で垂直に降下させることにより、前記種子結晶及び蛍石原料を融解させて融液を形成するとともに、前期底部から前記融液を順次固化させて蛍石単結晶を成長させる、垂直ブリッジマン法による光学用蛍石単結晶の製造方法において、
(111)結晶面となす角度が2°以下である表面(または断面)を有する種子結晶を使用して、前記種子結晶の表面が水平または略水平となるように、該種子結晶を前記ルツボ底部に収納し、種付けから連続成長を進行させることにより、インゴット全体を単結晶として成長させることを特徴とする光学用蛍石単結晶の製造方法。 - 固液界面の形状を平坦または略平坦に保持しつつ単結晶を成長させることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
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