JP4608894B2 - フッ化物単結晶の製造装置及び製造方法 - Google Patents

フッ化物単結晶の製造装置及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般光学機器や光リソグラフィー装置用の光学系に用いて好適な大口径のフッ化物単結晶の製造装置に関するものである。
近年、ウエハ上に集積回路パターンを描画するリソグラフィー技術が急速に発展している。集積回路の高集積化の要求は年々高まっており、その実現のためには投影露光装置の投影光学系の解像力を上げる必要がある。投影光学系の解像力は、使用する光の波長と投影光学系のNA(開口数)により決定される。即ち、使用する光の波長をより短く、また、投影光学系のNAがより大きいほど解像力を上げることができる。
まず、光の短波長化については、投影露光装置に使用する光源の波長は、すでにg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)と変遷してきている。そして今後、更に波長の短いArFエキシマレーザー光(波長193nm)やF2レーザー光(波長157nm)等を用いるには、投影光学系等の結像光学系のレンズ材料として、一般の多成分系の光学ガラスを使用することは、透過率低下が大きくなるため不可能である。このため、エキシマレーザー投影露光装置の光学系には、石英ガラスまたはフッ化物結晶、例えばフッ化カルシウム単結晶を光学部材として使用することが一般的である。
次に、NAを大きくすることについて述べる。NAを大きくするには光学部材の直径を大きくする必要がある。投影露光装置の高性能化に伴って、最近は直径φ120 mm〜φ350mm程度の大きなサイズのフッ化カルシウム単結晶が要求されるようになってきた。このようなフッ化カルシウム単結晶は、一般の光学ガラスや石英ガラスに比べて屈折率が小さく分散(屈折率の波長依存性)も小さい。そのため、石英ガラス等の材料からなる光学部材と併用することで色収差を補正できるというメリットもある。また、最近では、フッ化カルシウム単結晶以外のフッ化物単結晶であるフッ化バリウムやフッ化ストロンチウムの単結晶も同じ立方晶系に属していて性質が類似しているという点で、次世代の光学材料として注目されている。
フッ化物単結晶の工業的な製造方法としては、垂直ブリッジマン法が広く用いられている(特許文献1参照)。以下、垂直ブリッジマン法によるフッ化カルシウム単結晶の製造方法の一例を示す。
紫外ないし真空紫外域で用いるためのフッ化カルシウム単結晶の製造には、その原料として化学的に合成された高純度なフッ化カルシウム原料を用いる。粉末状の原料から直接単結晶を製造すると、原料の熔融に伴う体積減少が大きいため大きな単結晶を得に難いので、まず、粉末原料から半熔融品やその粉砕品を作り、これらを再び熔融して単結晶を製造するのが一般的である。
具体的には次のような工程でフッ化カルシウム単結晶を製造する。即ち、単結晶製造装置の中に半熔融品、あるいは、その粉砕品を充填したルツボをセットして、製造装置内を10-3〜10-4Paの真空雰囲気に維持する。次に、製造装置内の上部側ヒーターにより加熱し、ルツボ内の温度をフッ化カルシウムの融点以上(1370℃〜1450℃)まで上げて半熔融品、あるいは、その粉砕品を熔融する。次に、予め上部側ヒーターよりも低温に設定された下部側ヒーターの領域に向けて、0.1 〜5mm/h 程度の速度でルツボを引き下げることにより、ルツボの下部から徐々に結晶を成長させ、融液の最上部まで結晶化したところで終了する。製造された単結晶(インゴット)は割れないように室温近傍まで徐冷し、その後、製造装置内を大気開放してインゴットを取り出す。
ルツボの材料としてはカーボン材を使用するのが一般的である。ルツボは上部が円筒形で下部は円錐形の、いわゆるペンシル型になっている。ルツボ下端の円錐形の先端部には引き下げ棒が取り付けられるようになっていて、結晶成長段階では引き下げ棒によりルツボを引き下げる。従って、ルツボ下端の円錐形の先端から結晶の成長が開始して徐々に結晶化が進み最終的にペンシル型のインゴットが得られる。
インゴットの結晶面方位を制御する目的で先端部分に種結晶を入れることもある。しかし、大きなフッ化物結晶を垂直ブリッジマン法により育成する場合、結晶成長方位には法則性がなく、結晶育成を行なう毎にインゴットの結晶方向はランダムになると考えられている。特に、直径がφ120mmを越えるような比較的大きな単結晶インゴットでは結晶面方位の制御は極めて難しい。
単結晶製造後、ルツボから取り出したインゴットには大きな残留応力が存在するため、インゴット形状のままで簡単な熱処理を行ない、残留応力を低減する。
このようにして得られたフッ化カルシウム単結晶のインゴットは、目的の製品に応じて適当な大きさに切断加工される。
結晶面方位が問題とされない光学素子を製造する場合には、より効率よく素材をインゴットから切り出すために、インゴットは水平に平行平板状に切断(輪切り)される。切断された素材は、所望の結像性能(屈折率の均質性と複屈折)を得るために熱処理が施される。
結晶面方位を考慮しなければならない光学素子を製造する場合、例えば、光軸を{111}結晶面に垂直とする場合には、フッ化物単結晶インゴットの{111}結晶面を測定により決定し、{111}面が平行二平面となるように素材を切り出した後、更に熱処理を行なう。
ところで、垂直ブリッジマン法による単結晶製造においては、ルツボ内で一旦熔融させた材料をルツボの底の部分からゆっくり固化させることにより単結晶を成長させる。そこで、結晶化が起こっている部分には温度勾配を持たせる必要がある。そのため、結晶製造装置のヒーターは上部側ヒーターと下部側ヒーターの二つのゾーンに分けて、それぞれ別個に温度制御するようになっているが、更に、上部側ヒーターと下部側ヒーターの間に仕切板を設置したり、また、ルツボ下部の円錐形部分全面を熱伝導のよい支持部材(水冷することもある)により支持することで、温度勾配をより大きくする方法が提案されている。
特開平11−292696号公報
露光装置の光学部材に使用するフッ化物単結晶は、大口径でかつ全体が均質な単結晶であることが求められる。しかしながら従来の垂直ブリッジマン法による単結晶製造装置で単にルツボ径を拡大した場合、結晶成長の途中で多結晶化が起こることが多く、特に口径φ350mmを超えるフッ化物単結晶を製造することは極めて困難であった。
本発明は、露光装置の光学部材に適した、大口径で全体が均質なフッ化物単結晶を製造できる単結晶製造装置を提供するものである。
本発明は第1に、垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置において、仕切部によって上部と下部とに仕切られた加熱炉と、該加熱炉内に配置された上部が円筒形で下部が円錐形のルツボと、該ルツボの円錐形部分を囲んで配置された、上方に開いた円錐状の板状部材と、該ルツボの下端部に配置された円板状またはカップ状の部材とを有し、前記上方に開いた円錐状の板状部材および、前記円板状またはカップ状の部材の外径は、前記ルツボの円筒形部分の外径とほぼ等しいことを特徴とする。
また本発明は第に、請求項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置において、前記上方に開いた円錐状の板状部材を複数備え、該複数の板状部材は円錐の頂角が互いに等しく、かつ鉛直方向に積層して配置されたことを特徴とする。
また本発明は第に、請求項または請求項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置において、前記上方に開いた円錐状の板状部材および/または、前記円板状またはカップ状の部材と、前記ルツボとの間が、熱絶縁されていることを特徴とする。
また本発明は第に、請求項ないし請求項のいずれか一項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置において、前記上方に開いた円錐状の板状部材および/または、前記円板状またはカップ状の部材と、前記ルツボとの間が、断熱材を介して接続されていることを特徴とする。
また本発明は第に、請求項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置において、前記断熱材がカーボンフェルトであることを特徴とする。
また本発明は第に、請求項ないし請求項のいずれか一項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置において、前記上方に開いた円錐状の板状部材および/または、前記円板状またはカップ状の部材が、カーボン材で構成されたことを特徴とする。
また本発明は第に、請求項ないし請求項のいずれか一項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置において、前記上方に開いた円錐状の板状部材の頂角は、前記ルツボの円錐形部分の頂角よりも大きいかまたは等しいことを特徴とする。
本発明に係る製造装置によれば、エキシマレーザーを光源とする露光装置に好適に使用しうる、大口径でかつ全体が均質なフッ化物単結晶を製造することができる。
図1は本発明に係る単結晶製造装置の一例について、その主要部を示す概略図である。
加熱炉1は仕切部10によって上部9と下部11とに仕切られており、仕切部10の内側には仕切板13が略水平に張り出している。加熱炉の上部9は上部ヒーター3により、また加熱炉の下部11は下部ヒーター4によりそれぞれ独立に温度制御され、下部11は上部9よりも低温に保たれる。加熱炉全体は断熱部材12によって囲まれ、真空排気可能な容器内に設置される。
上部が円筒形で下部が円錐形のルツボ5は加熱炉内1内に配置され、その下端はルツボ支持棒6に支持されており、図示しない駆動機構によって上下に駆動される。
ルツボ5の円錐形部分の周囲には熱流束制御板8が、ルツボ5の下端には熱流束遮断板7が配置される。熱流束制御板8および熱流束遮断板7の外径は、いずれもルツボ5の円錐形部分の外径とほぼ等しく、前記駆動機構によって、ルツボ5と一体として加熱炉1内で上下に可動する。
本発明において熱流束遮断板の果たす役割は次のとおりである。
垂直ブリッジマン法による単結晶製造工程では、はじめにルツボ5を加熱炉上部9に位置させた状態でルツボ5内の原料を加熱し、熔融させる。このとき熱流束遮断板7は加熱炉上部9(高温部)から加熱炉下部11(低温部)への熱流束を遮断して、ルツボ5全体の温度を原料の融点以上に保つ作用がある。一方ルツボ下端部のみはルツボ支持棒6を通じて放熱するため温度がやや低いので、ルツボの引き下げを開始すれば、ルツボ下端部の種結晶を唯一の開始点として単結晶を成長させることができる。
熱流束遮断板7の構造は、ルツボ5が加熱炉上部9に位置する際に、加熱炉上部9から加熱炉下部11への熱流束を遮断する構造を有するものである。具体的には外径がルツボ5の円筒形部分の外径とほぼ等しい円板状部材が好適であり、また円板状部材の周辺を鉛直上方に折り曲げたカップ状部材も好ましい。このような構造を有する部材は、ルツボ5が加熱炉最上部にあるときに、加熱炉上部9から下部11への熱流束を十分に遮断し、結晶成長開始前のルツボ5の温度を一様に保つことができるためである。なおカップ状部材を用いる場合は、該部材の鉛直面(円筒面)の高さを調整することにより、後述するルツボ円錐形部への熱流束制御機能を併せ持たせることができる。
次に熱流束制御板について説明する。
垂直ブリッジマン法による単結晶製造工程では、ルツボ5に充填した原料を熔融した後、単結晶を成長させるためルツボ5の引き下げを開始する。このとき、まずルツボ下端部が、つづいて円錐形部が加熱炉1の下部11(低温部)に進入する。そしてルツボ下端部の種結晶を開始点として単結晶が成長していく。
本来結晶成長はルツボ下端部の種結晶から開始され、周囲に向かって成長していくことが必要であり、そのためにルツボ5内の融液温度は中心が最も低く、周辺に行くほど高くなければならない。なぜならルツボ周辺部の融液温度の方が低くなると周辺の至るところを開始点として結晶が成長し始め、種結晶とは無関係な方位が発生し、最終的にルツボ内の結晶が多結晶体となってしまうからである。このような現象を回避して種結晶からの結晶成長を維持するためには、結晶成長中において常にルツボ中心が周辺よりも温度が低い状態を保つ必要がある。ルツボ中心の温度が周辺より低ければ、結晶は中心から周辺に向かって成長するため、多結晶化が起こる恐れがないためである。
ところがルツボの円錐形部に熱流束制御板を持たない従来の単結晶製造装置では、結晶成長開始時にルツボが降下を始めると、まず円錐形部分が仕切部を越えて低温部に移動し、円錐形部の温度が急激に低下する。このため種結晶から周辺に向かう結晶成長に先行して、温度が低下した円錐形部の周辺で多くの結晶が生成し、全体が多結晶化してしまうのである。上記の現象は、大口径の単結晶を製造するために直径の大きいルツボを用いた場合、特に顕著に発現する。
本発明が提供する製造装置の特徴である熱流束制御板8は、このような結晶成長開始時におけるルツボ円錐形部の急激な温度低下を抑制する効果を有するものである。すなわち該熱流束制御板は、ルツボ5の円錐形部分が加熱炉の仕切部10を通過する際に、加熱炉上部9から該円錐形部分への熱流束を透過させ、かつ該円錐形部分から加熱炉下部11への熱流束を遮断する構造を有する。このため結晶成長開始時において円錐形部分が加熱炉下部11に進入した際に、高温の加熱炉上部9からの熱流束を円錐形部分に流入させ、かつ該円錐形部分から低温の加熱炉下部11への熱流束を遮断することによって、該円錐形部分の温度を高く維持し、周辺からの結晶成長を抑制することができるのである。
図4は、単結晶成長時において、ルツボの円錐形部分5aが加熱炉の仕切部10を通過する状態を模式的に示した図である。ここでは熱流束制御板として円錐状の板状部材8aを5枚積層したものを、また熱流束遮断板7として円板状部材を用いた例を示す。
ルツボ引き下げにより結晶成長を開始した後、図4に示した時点において、加熱炉上部9は上部ヒーター3により相対的に高温に保たれている。加熱炉上部9からの熱流束は、熱流束制御板8を構成する5枚の板状部材8aの間隙14を透過し、ルツボの円錐形部分5aに到達する。一方ルツボの円錐形部分5aからの熱流束は、熱流束制御板8によって遮断され、下部ヒーター4により相対的に低温に保たれている加熱炉下部11に流入することが妨げられる。したがって円錐形部分5aが加熱炉下部11に進入した後も、円錐形部分5aの温度は高温に維持され、円錐形部分5aの温度低下によって周辺部から内部に向かって多結晶が発生することが妨げられる。
熱流束制御板は上記のようにルツボの円錐形部分への熱流束を制御できる構造を有するものであって、具体的構造としては、上方に開いた円錐状の板状部材であって、外径がルツボの円筒形部分の外径とほぼ等しいものが好適である。円錐状の板状部材は単一の部材であっても良いが、円錐の頂角が等しい複数の板状部材を積層したものであれば、ルツボの円錐形部が加熱炉の仕切部を通過する際に、ルツボ位置の変動に伴う熱流束の変化が少なく、より安定した熱流束制御を行うことができる。
また該円錐状の板状部材において、その頂角は、ルツボの円錐形部分の頂角よりも大きいかまたは等しいことが望ましい。該円錐状の板状部材の頂角がルツボの円錐形部分の頂角よりも小さい場合には、加熱炉上部からルツボの円錐形部分への熱流束に対する開口面積が小さく、温度維持効果が不十分となるからである。
円錐状の板状部材はルツボ5の円錐形部分を取り囲むように配置されるため、その中心にはルツボ5を通すための開口部が設けられる。該開口部とルツボ5との空隙は、熱の漏れを最低限に止めるためできるだけ小さいことが望ましい。
以上の構造を有する円錐状の板状部材は、加熱炉およびルツボとの間に存在する空隙を最小限とすることができ、該空隙を通しての熱の漏れを抑制して、制御効率の高い熱流束制御板として作用する。またルツボの円錐形部分の周囲に存在する空間を利用することによって、大幅な改造を必要とせずに従来の単結晶製造装置に取り付けられるという利点がある
なお、ルツボの円錐形部分への熱供給バランスを最適に調整するためには、熱流束制御板が単一の板状部材からなる場合はその頂角を、また複数の板状部材を積層したものである場合は頂角に加えて積層間隔を調整すればよい。
本発明に係る単結晶製造装置において、多結晶の生成を抑制するためには、熱流束制御板8および/または熱流束遮断板7と、ルツボ5の下端部との間は熱絶縁されていることが望ましい。熱流束制御板8または熱流束遮断板7が受けた熱流束がルツボ下端部へ導かれると、ルツボ下端部すなわち種結晶側の温度が相対的に上昇し、相対的に温度が低下したルツボ周辺部からの結晶成長を引き起こして、多結晶化につながる恐れが高いからである。熱流束制御板8および/または熱流束遮断板7をルツボ5の下端部から熱絶縁するためには、これらの部材間が断熱材を介して接続されるようにすれば良い。断熱材としては、高温に耐え、単結晶に対する汚染源となる不純物を放出せず、かつ熱伝導率の低い材質が好ましく、具体的にはカーボンフェルトが好適である。
熱流束制御板8および熱流束遮断板7の材質は、フッ化物の融点以上の高温に耐えることができ、かつ成長中の単結晶を汚染するような不純物を放出することが少ない材質が好ましく、具体的にはカーボン材が好適である。
実施例1では、本発明に係る単結晶製造装置を用いてフッ化カルシウム単結晶を製造する。
図2は、本実施例で用いる単結晶製造装置について、その主要部を図示したものである。図示しない部分については図1の装置と同様であるので説明を省略する。
図2の装置はルツボ5の直径=400mm、円錐形部分の頂角θ1=105度、熱流束制御板18の頂角θ2=140度とした。熱流束制御板18は、外径がルツボ5の円筒形部分の外径と等しい円錐状の板状部材を4枚積層した構造とした。また各板状部材の中心にある開口部の径は、ルツボ5との間に僅かな隙間が空くように調整した。熱流束遮断板23については、円板状部材の周辺を鉛直上側に折り曲げたカップ状構造とし、ルツボ支持棒6の上端に固定した。ルツボ支持棒6を介し外部から熱が流入することによって、ルツボ5の下端部すなわち種結晶部の温度が上昇しないよう、ルツボ支持棒6の外周にはカーボンフェルト製の断熱材24を配した。ルツボ5、熱流束制御板18および熱流束遮断板23の材質はいずれもカーボン材である。
原料として高純度フッ化カルシウム粉末を用意し、スカベンジャーとしてフッ化鉛(PbF2)1mol%を添加してから一旦熔融・凝固させ、嵩密度を上げた前処理品を製造した。
次に、この前処理品を図2に示した単結晶製造装置のルツボ5に充填し、装置内を真空排気した。装置内の真空度が10-4Paに達したらルツボ5を加熱炉最上部に位置させ、加熱炉上部を1450℃、加熱炉下部を1300℃に設定して原料を熔融した。原料が十分に熔融した後、0.2mm/時の一定速度でルツボ5を引き下げ、単結晶を成長させた。ルツボ5の内容物が完全に固化してから室温近傍まで徐冷し、その後、製造装置内を大気開放してインゴットを取り出した。
続いてインゴットが単結晶かどうかを評価する評価方法について説明する。インゴット先端の円錐形部分(コーン部と称する)と、その反対側の端面部分(トップ部と称する)を30mm程度の厚さに切断して、結晶面方位測定用のテストピースとする。これらのテストピースの結晶面方位測定をラウエ法にて行ない、インゴットの結晶面方位を特定する。
結晶面方位の評価方法には、X線による方法、機械的方法、光学的方法等がある。これらの中でX線による方法は、短時間で高精度に、しかも非破壊で測定することができる。X線による方法の中でも、特にラウエ法は本発明に適している。
コーン部とトップ部において、それぞれの全面において結晶面方位が一様であること、及びこれらの両者の結晶面方位が一致していることで、インゴットが単結晶であるかどうかを判断できる。
上記方法により複数のインゴットを製造し評価を行なった。その結果、単結晶が得られた確率は88%であり、高い確率で高品質な単結晶が得られることがわかった。
実施例2は熱流束制御板および熱流束遮断板の取り付け構造に関するものである。
図3は実施例2に係る単結晶製造装置の主要部を示す概略図であり、図示しない部分については実施例1の装置と同一である。実施例2では、カップ状部材からなる熱流束遮断板25は、断熱部材としてのカーボンフェルト21を介してルツボ支持棒6に固定される。また熱流束制御板18を構成する円錐状の板状部材はカーボン材からなる段付き棒22によって熱流束遮断板25に固定される。
本実施例の単結晶製造装置では、熱流束遮断板25とルツボ5とがカーボンフェルト21によって熱的に絶縁されているため、熱流束遮断板25が受けた熱がルツボ5の下端部に伝達されにくく、種結晶側の温度が常に低く保たれる。その結果、周辺部からの多結晶生成が抑制され、大口径の単結晶を収率良く製造することができる。
また本実施例の製造装置では、熱流束制御板18が熱流束遮断板25に固定されており、熱流束遮断板25は上記のとおりルツボ5との間が熱絶縁されているので、熱流束制御板18が受けた熱もルツボ5の下端部に伝達されにくく、大口径の単結晶を収率良く製造することができる。
比較例
実施例1で使用した単結晶製造装置の熱流束制御板を取り外し、その他は実施例1と同一の条件でフッ化カルシウム単結晶を製造した。実施例1と同一の評価方法で結晶性の評価を行なった結果、単結晶の得られた確率は43%であり、本発明の優位性が実証された。
本発明に係る単結晶製造装置の一例について、主要部を示す概略図である。 実施例1に係る単結晶製造装置について、主要部を示す概略図である。 実施例2に係る単結晶製造装置について、主要部を示す概略図である。 本発明に係る単結晶製造装置の一例について、単結晶成長時の主要部を示す概略図である。
符号の説明
1:加熱炉、3:上部ヒーター、4:下部ヒーター、5:ルツボ、6:ルツボ支持棒、7:熱流束遮断板、8:熱流束制御板、9:加熱炉上部、10:仕切部、11:加熱炉下部、12:断熱部材、13:仕切板、18:熱流束制御板、21:カーボンフェルト、23:熱流束遮断板、24:断熱材、22:段付き棒








Claims (8)

  1. 仕切部によって上部と下部とに仕切られた加熱炉と、該加熱炉内に配置された上部が円筒形で下部が円錐形のルツボと、該ルツボの円錐形部分を囲んで配置された、上方に開いた円錐状の板状部材と、該ルツボの下端部に配置された円板状またはカップ状の部材とを有し、
    前記上方に開いた円錐状の板状部材および、前記円板状またはカップ状の部材の外径は、前記ルツボの円筒形部分の外径とほぼ等しいことを特徴とする垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置。
  2. 前記上方に開いた円錐状の板状部材を複数備え、該複数の板状部材は円錐の頂角が互いに等しく、かつ鉛直方向に積層して配置されたことを特徴とする請求項1に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置。
  3. 前記上方に開いた円錐状の板状部材および/または、前記円板状またはカップ状の部材と、前記ルツボとの間が、熱絶縁されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置。
  4. 前記上方に開いた円錐状の板状部材および/または、前記円板状またはカップ状の部材と、前記ルツボとの間が、断熱材を介して接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置。
  5. 前記断熱材がカーボンフェルトであることを特徴とする請求項4に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置。
  6. 前記上方に開いた円錐状の板状部材および/または、前記円板状またはカップ状の部材が、カーボン材で構成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置。
  7. 前記上方に開いた円錐状の板状部材の頂角は、前記ルツボの円錐形部分の頂角よりも大きいかまたは等しいことを特徴とする請求項ないし請求項6のいずれか一項に記載の垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の製造装置を用いることを特徴とする垂直ブリッジマン法によるフッ化物単結晶の製造方法
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