JP4125027B2 - 荷重受けブラケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械室を有しないエレベータの建物などへの据え付けを行う据付装置に用いられ、さらに詳しくは、作業足場が形成された本設用のかご枠を上、下部が固定されたガイドレールにより案内させながら昇降させて据え付けを行うガイドレールの上部の固定に用いられる荷重受けブラケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エレベータの据え付けには、昇降路のピット部から上部まで単管パイプを組み立てた仮設の固定足場を用いる方法がある。しかしながら、この据付方法では、固定足場の組立、解体を行う必要があり、また、作業者が固定足場を上下移動して作業を行うため、作業に多大な労力を要するなどの課題があった。
【0003】
一方、エレベータの据え付けには、例えば、図17に示すような仮設の移動足場としてのゴンドラ100を用いる方法もある。この据付方法では、予め昇降路101上部に吊り元梁102を取り付け、この吊り元梁102にロープ103によりゴンドラ100を吊る。この状態で、ゴンドラ100は、内部に設置されたウィンチ104によりロープ103が巻き取り等されることで昇降路101内を昇降できるようになっている。そして、作業者は、ゴンドラ100を昇降路101内で昇降させてそのゴンドラ100から不図示のガイドレールや機器類の取り付けなど各種作業を行うこととなる。この据付方法では、作業者の上下移動を無くして作業の労力を軽減することができるものの、吊り元梁102の取り付け、取り外し、およびゴンドラ100の組立、解体を行う必要があるため、この場合にも作業に多大な労力を要するなどの課題がある。
【0004】
そこで、上記のような課題を解決するためにエレベータの据え付けには、例えば、図18に示すような本設用のかご枠105を移動足場として用いる方法がある。この据付方法では、図18および図19に示すように、本設用の複数本のガイドレール106を昇降路107内に上、下部を固定して配設し、それらのガイドレール106に作業足場108a,108bが形成されたかご枠105を案内させながら昇降路107内を昇降させて各種作業が行われる。
【0005】
ガイドレール106の昇降路107内への配設は、機械室109に設置されたウィンチ110によりガイドレール106を吊り上げ、このガイドレール106の上、下部を昇降路107に固定することで行われる。このようにガイドレール106を配設した後には、ウィンチ110により釣り合いおもり111を昇降路107の最上部まで吊り上げて機械室109からかご枠105、釣り合いおもり111および巻上機112に主ロープ113掛けを行い、かご枠105を昇降可能状態とする。
【0006】
そこで、作業者は、かご枠105をガイドレール106に案内させながら機械室109に設置されている本設用の巻上機112により昇降させ、かご枠105の作業足場108から未固定のガイドレール106の上、下部間の固定・芯だし、機器類の取り付けなどの各種作業が行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、日照権などの観点から建物の屋上に突出する機械室を有しないエレベータが多く採用されている。この機械室を有しないエレベータでは、据付期間の短縮などのために主ロープを巻き掛けられた巻上機または巻上機に従動する上部シーブ(不図示)を、ガイドレールの上部で支持させている。このため、上記据付方法を適用できたとしても、かご枠を移動足場として用いる際に、巻上機または上部シーブを取り付けられて上、下部間が未固定のガイドレールが、かご枠または釣り合いおもりを案内する荷重に加え、巻き掛けられた主ロープを介して巻上機または上部シーブにかかるかご枠および釣り合いおもりなどの荷重を支持することとなり、未固定の上、下部間に過度の負担がかかってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の課題を考慮してなされたものであり、機械室を有しないエレベータであっても、かご枠を移動足場として用いる際にガイドレールの未固定の上、下部間に過度の負担をかけることを防止することができる荷重受けブラケットの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、複数本のレール部材が連結されてなるガイドレールがエレベータの昇降路内に、前記複数本のレール部材のうち、最上部に配置する上レール部材と最下部に配置する下レール部材が固定された状態で、作業足場が形成された本設用のかご枠を昇降させるための昇降手段を前記ガイドレールの前記上レール部材の上端部に支持し、前記かご枠を昇降動作させて前記上レール部材と前記下レール部材の間に連結された中間レール部材を、前記昇降路の壁面に固定する作業を行う工程を備えるエレベータの据付方法に用いられる荷重受けブラケットであって、前記昇降路上部の壁面における前記上レール部材の前記昇降手段の支持部分より下方に固定されるブラケット本体と、このブラケット本体に設けられて前記上レール部材の下端部と前記中間レール部材の上端部が取り付けられる取付部とを備え、前記取付部が取り付けられる前記ガイドレールは、前記かご枠用のガイドレールと前記釣り合いおもり用のガイドレールであり、前記取付部が前記かご枠用のガイドレールと前記釣り合いおもり用のガイドレールに共に固定され、前記取付部が前記上レール部材に支持された前記昇降手段の荷重およびこの昇降手段にかかる釣り合いおもりの荷重を受けることを特徴とする。
【0010】
このような本発明では、昇降手段を支持しているガイドレールの昇降手段の支持部分よりも下側が、荷重受けブラケットの取付部に取り付けられることで、そのガイドレールの上部(上レール部材)を固定すると共に、昇降手段およびこの昇降手段にかかる釣り合いおもりなどの荷重を支持するように構成されているため、かご枠を上、下部が固定されたガイドレールに案内させながら昇降させる際には、上部に昇降手段を支持しているガイドレールにかご枠などを案内する荷重のみを負担させることができる。特に、本発明では、取付部が取り付けられるガイドレールが、かご枠用のガイドレールと釣り合いおもり用のガイドレールであり、取付部が前記かご枠用のガイドレールと前記釣り合いおもり用のガイドレールに共に固定されているため、昇降路の壁面に固定された、かご枠用のガイドレールと釣り合いおもり用のガイドレールのそれぞれの上レール部材が荷重を受け止める作用も付加されるため、据付作業途中の荷重受けブラケットへの加重負担も軽減できる。このため、昇降手段およびこの昇降手段にかかる釣り合いおもりなどの荷重に十分耐え得る荷重受けブラケットとすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる荷重受けブラケットについて図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明にかかる荷重受けブラケットの第1実施形態が設けられている昇降路の概略構成を示す斜視図、図2は図1に示す昇降路の断面図、図3は図1に示す荷重受けブラケットが設けられている昇降路上部の斜視図である。
【0013】
本実施形態のエレベータの据付装置1は、図1〜図3に示すように、昇降路2内に複数のガイドレール3a(かご枠用),3b(かご枠用),3c(釣り合いおもり用),3d(釣り合いおもり用)が上、下部を固定されて配設されている。そして、据付装置1は、移動作業足場としての作業足場4が形成されたかご枠5を昇降させるための昇降手段として、主ロープ6が両端をガイドレール3b,3dの上部に支持されると共に、その主ロープ6が巻き掛けられた駆動シーブ(不図示)を有する巻上機7がガイドレール3aの上部に支持されている。このエレベータの据付装置1では、巻上機7を駆動させることで、かご枠5をガイドレール3a,3bにより案内させながら主ロープ6により昇降させ、かご枠5に形成されている作業足場4からエレベータの各種据付作業が行われる。
【0014】
ガイドレール3a〜3dは、それぞれ昇降路2の最下部のピット部2aに配置される下レール部材8aと、昇降路2の最上部に配置される上レール部材8bと、それらの下レール部材8aと上レール部材8bとの間に配置される中間レール部材8c,8dとが連結されてなる。
【0015】
各レール部材8a〜8d間は、図1および図2に示すように、目板9a〜9cが取り付けられることにより連結状態を保持されている。目板9a〜9cは、上部と下部とがそれぞれ上下に配置されたレール部材8a,8d、レール部材8c,8d、レール部材8b,8cの下端部と上端部とにボルト10aとナット10b(いずれも不図示)により締結・固定されている。また、目板9cにあっては、図5、図8、図10に示すように、ボルト10aを介して上レール部材8bおよびこのレール部材8bにかかる荷重を支持している。
【0016】
これらのガイドレール3a〜3dは、図1および図2に示すように、下レール部材8aが昇降路2のピット部2a底面に設置されたピットベース11a,11bから立設されていると共に、レールブラケット12a,12bにより昇降路2の壁面に固定されている。これによりガイドレール3a〜3dは下部が固定される。
【0017】
また、ガイドレール3a,3cは、相互に隣接しており上レール部材8bとこの上レール部材8bの下側に連結される中間レール部材8cとの間の連結を保持している目板9cが後述する荷重受けブラケット16aに取り付けられている。そして、ガイドレール3b,3dは、上レール部材8bの下側に連結される中間レール部材8cの上端部が後述する荷重受けブラケット16b,16cにそれぞれ取り付けられている。また、ガイドレール3a〜3dは、上レール部材8bがレールブラケット12c,12dにより昇降路2の壁面に固定されている。これによりガイドレール3a〜3dは上部が固定される。
【0018】
上記ガイドレール3aは、図1に示すように、上レール部材8bの上端部に巻上機7が取り付けられている。この巻上機7は、内部に自身の駆動力により回転駆動する駆動シーブを有しており、主ロープ6が巻き掛けられている。したがって、ガイドレール3aは、上レール部材8bにより巻上機7および主ロープ6の荷重、主ロープ6を介して巻上機7にかかる後述のかご枠5と釣り合いおもり15の荷重を支持している。また、ガイドレール3aの上レール部材8bには、図1に示すように、下レール部材8aに取り付けられたシーブ13aとの間に無端ループ状のロープ13bが巻き掛けられ、主ロープ6および巻上機7と共に昇降手段を構成する調速機13が取り付けられている。したがって、調速機13の荷重も上レール部材8bに支持されている。
【0019】
また、ガイドレール3b,3dは、図1および図2に示すように、上レール部材8bにそれぞれ主ロープ6の両端を固定するためのロープヒッチ14が設けられている。そして、巻上機7の駆動シーブに巻き掛けられた主ロープ6の両端が、それぞれかご枠5のシーブ5a,5bおよび釣り合いおもり15のシーブ16aに巻き掛けられてからガイドレール3b,3dのロープヒッチ14に固定されている。したがって、ガイドレール3b,3dは、上レール部材8bにより主ロープ6の両端にそれぞれかかるかご枠5および釣り合いおもり15の荷重を支持している。
【0020】
上述したかご枠5は、下側半分、つまり下枠5cと縦枠5dの半分からなり、本設用のかご床が取り付けられることにより作業足場4が形成されている。このかご枠5の作業足場4には、外周縁に沿って設けられた安全手すり4a、この安全手すり4a上に設けられた防護天井4b、および安全手すり4aの釣り合いおもり15に対応した部分に設けられてその釣り合いおもり15との接触を防止するための接触防止幕4cなどが形成されている。
【0021】
また、作業足場4には、乗り込んだ作業者のみが巻上機7を駆動できるように、つまりかご枠5を昇降できるように運転用スイッチ4dが設けられている。この運転用スイッチ4dは、不図示の所定の鍵によりオン・オフ操作でき、オン操作されることで巻上機7を駆動させてかご枠5が昇降路2内を昇降できるようになっている。
【0022】
このような本実施形態の据付装置1は、図1〜図3に示すように、ガイドレール3a〜3dの上部の巻上機7またはロープヒッチ14より下側部分が取り付けられる荷重受けブラケット16a,16b,16cを備えている。荷重受けブラケット16aは隣接するガイドレール3a上部の巻上機7より下側部分およびそれに対応したガイドレール3cの上部が取り付けられて共用され、荷重受けブラケット16b,16cはそれぞれガイドレール3b,3dの上部のロープヒッチ14より下側部分が取り付けられて独立して用いられている。
【0023】
荷重受けブラケット16aは、図4〜図6に示すように、昇降路2の壁面に固定されているブラケット本体17と、このブラケット本体17に上下に移動可能に支持されている取付部18とからなる。ブラケット本体17は、矩形板状に形成されて上下に沿って複数の補強用リブ17aが設けられている。このブラケット本体17は、四隅に上下一対の締結用孔17b,17bがそれぞれ設けられ、それらの締結用孔17b,17bを介してアンカーボルト19により昇降路2壁面に締結・固定されている。なお、ブラケット本体17は、上下の締結用孔17b,17bを選択的に用いることで、昇降路2の鉄筋などの位置に応じてアンカーボルト19による締結位置を変更可能としている。また、各締結用孔17bは幅方向に長く形成されており、各締結用孔17b内においても昇降路2の鉄筋などの位置に応じてアンカーボルト19による締結位置を変更可能としている。
【0024】
このブラケット本体17は表面に昇降路2内部側に突出する突出部17cが一体に設けられ、この突出部17c上には荷重受けプレート17dがボルト20aとナット20bとにより固定されている。そして、荷重受けプレート17dの上面には上方に向けてジャッキボルト21が立設されている。このジャッキボルト21には、ナット部材22が上下移動可能に螺合されている。
【0025】
取付部18は、ジャッキボルト21に挿通される挿通孔18aを有した接続部18bと、この接続部18bから下方に向けて突設されてガイドレール3a,3cの上レール部材8bと下レール部材8aとの間に設けられた目板9cが取り付けられている取付部本体18c,18dとからなる。接続部18bは、上述したように挿通孔18aを有しており、この挿通孔18aにブラケット本体17のジャッキボルト21が挿通されている。この接続部18bは、下面にジャッキボルト21に螺合されているナット部材22が当接しており、そのナット部材22の位置に応じたジャッキボルト21の所定の上下位置に支持されている。そして、接続部18bは、ナット部材22が回転して上下移動することによりジャッキボルト21への接続位置を上下に変更可能となっている。
【0026】
取付部本体18c,18dは、略矩形板状に形成され、接続部18bの昇降路2の中心部側およびガイドレール3aに隣接するガイドレール3c側に配置された端縁部から下方に向けて突設されている。これらの取付部本体18c,18dは、ボルト10aとナット10bにより目板9cと共にガイドレール3a,3cの上レール部材8bおよび中間レール部材8cに締結(共締)されている。この取付部本体18c,18dと目板9cとの締結は、取付部本体18c,18dに設けられた不図示の貫通孔を介して行われている。
【0027】
これにより取付部18は、目板9cをボルト23aとナット23bとを介して取付部本体18c,18dに取り付けられて支持し、目板9cにかかる上レール部材8bおよびこの上レール部材8bが支持する荷重、つまり巻上機7および主ロープ6の荷重、主ロープ6を介して巻上機7にかかるかご枠5および釣り合いおもり15の荷重を支持している。
【0028】
上述した荷重受けブラケット16bは、図10および図11に示すように、上記荷重受けブラケット16aと同様に、昇降路2の壁面に固定されているブラケット本体24と、このブラケット本体24に上下に移動可能に支持されている取付部25とからなる。
【0029】
ブラケット本体24は、左右一対のベース部24a,24bが、四隅に配置されている部分に不図示のアンカーボルト19により昇降路2壁面に締結・固定されている。このブラケット本体24の昇降路2壁面への固定は、上記荷重受けブラケット16aと同様に、不図示の締結用穴を介して行われている。このブラケット本体24は、ベース部24a,24bの上、下の各間に、それぞれ昇降路2内部側に突出する長孔26を有した上突出板27a,27bおよび下突出板27a,27bが設けられている。このブラケット本体24は、上突出板27a,27b間に荷重受けプレート29が架設され、下突出板28a,28b間にガイドレール3bの開止め部材30が架設されている。
【0030】
荷重受けプレート29は、コ字状に形成されて対向する両側板29a,29bがそれぞれ上突出板27a,27b上に載置されている。この荷重受けプレート29は、側板29a,29bの両側端縁部から下側に向けて取付板29c,29dが延設されている。この荷重受けプレート29は、取付板29c,29dが上突出板27a,27bの長孔28を介してその上突出板27a,27bボルト31と不図示のナットにより締結されて固定されている。
【0031】
この荷重受けプレート29は、側板29a,29bの先端上面からそれぞれ上方に向けてジャッキボルト21,21が立設されている。これらのジャッキボルト21,21にはそれぞれナット部材22が上下移動可能に螺合されている。
【0032】
取付部25は、ジャッキボルト21,21に挿通される挿通孔25aを有した一対の接続部25b,25cと、これらの接続部25b,25c間に設けられてガイドレール3bが取り付けられる取付部本体25dとからなる。接続部25b,25cは、上記荷重受けブラケット16aと同様に挿通孔25aにブラケット本体24のジャッキボルト21が挿通され、ジャッキボルト21に螺合されているナット部材22が上下移動することによりジャッキボルト21への接続位置を上下に変更可能となっている。
【0033】
取付部本体25dは、接続部25b,25c間に一体に成形された略矩形板状となっており、ボルト32aとナット32bとにより複数のレールクリップ33が表面に支持されている。これらのレールクリップ33は、ボルト32aを締められることによりガイドレール3bの端縁部を取付部本体25dの表面と共に狭持し、取付部本体25dにガイドレール3bの中間レール部材8cの上端部が取り付けている。
【0034】
また、取付部25は、取付部本体25dの上端縁が上レール部材8bと中間レール部材8cとの間に取り付けられている目板9cの下端縁に当接しており、これによりボルト10aを介して目板9cにかかる上レール部材8bおよびこの上レール部材8bが支持する荷重、つまり主ロープ6の一端にかかるかご枠5の荷重を支持している。
【0035】
荷重受けブラケット16cは、上記荷重受けブラケット16a,16bと同様に、昇降路2の壁面に固定されているブラケット本体34と、このブラケット本体34に上下に移動可能に支持されている取付部35とからなる。
【0036】
ブラケット本体34は、図9および図10に示すように、矩形板状に形成されて四隅をアンカーボルト19により昇降路2壁面に締結されて固定されている。このブラケット本体34の昇降路2壁面への締結・固定は、上記荷重受けブラケット16a,16bと同様に、締結用孔34a,34aを介して行われている。このブラケット本体34は、幅方向の一側端縁部の表面に昇降路2内部側に突出した突出板34bが一体に設けられている。この突出板34bは、上下方向に沿っていると共に相互に対向する一対の縦板34c,34dが、ブラケット本体34に沿ってその中心側に向けて設けられている。これらの縦板34c,34dは、対向する面にそれぞれ複数のボルト31とナットにより補強用板(いずれも不図示)が取り付けられている。そして、縦板34c,34dの上端には、荷重受けプレート37,37がそれぞれ溶接などにより固着されている。荷重受けプレート37,37の上面には、ナット部材22が上下移動可能に螺合されているジャッキボルト21,21が立設されている。
【0037】
取付部35は、ジャッキボルト21に挿通される挿通孔35aを有した一対の接続部35b,35cと、これらの接続部35b,35c間に設けられてガイドレール3dが取り付けられる取付部本体35dとからなる。接続部35b,35cは、上記荷重受けブラケット16bと同様に挿通孔35aにブラケット本体34のジャッキボルト21が挿通され、ジャッキボルト21に螺合されているナット部材22が上下移動することによりジャッキボルト21への接続位置を上下に変更可能となっている。
【0038】
取付部本体35dは、接続部35b,35c間に一体に成形された略矩形板状となっており、ボルト32aとナット32bとにより複数のレールクリップ33が表面に支持されており、それらのレールクリップ33により中間レール部材8cの上端部を取り付けられている。
【0039】
また、取付部35は、取付部本体35dの上端縁が上レール部材8bと中間レール部材3cとの間に取り付けられている目板9cの下端縁に当接しており、ボルト10aを介して目板9cにかかる上レール部材8bおよびこの上レール部材8bが支持する荷重、つまり主ロープ6の他端にかかる釣り合いおもり15の荷重を支持している。
【0040】
以下、本実施形態のエレベータの据え付けの一具体例について図面を参照して説明する。エレベータの据付を行う際には、図11および図12に示すように、昇降路2最上部にこの昇降路2最上部での作業を行うための据付用足場38を設置し、その据付用足場38からエレベータ設置の基準となる図示しないピアノ線を張設すると共に、揚重設備としてのウィンチ39を昇降路2の天井に取り付け、そのウィンチ39にウィンチワイヤ39aを掛ける。そして、かご枠5側のガイドレール3a,3bの下レール部材8aを固定し、ウィンチ39により中間レール部材8c,8dを吊り上げて下レール部材8a上に連結し、中間レール部材8c,8d上に上レール部材8bを連結してガイドレール3a,3bを昇降路2内に配設する。
【0041】
下レール部材8aの固定は、図11に示すように、ピアノ線により設定した基準に合わせてピット部2a底面にピットベース11aを設置し、このピットベース11a上にかご枠5用の下レール部材8aを取り付けると共にその下レール部材8aをレールブラケット12a,12bにより昇降路2の壁面に固定することで行われる。同様にしてピットベース11bを設置した後に、釣り合いおもり15側のガイドレール3c,3dの下レール部材8a,8aも固定する。
【0042】
ここで、昇降路2のピット部2aに固定されたガイドレール3a,3bの下レール部材8aに係合する状態でかご枠5を組み立て、このかご枠5にかご床を取り付けて作業足場4を形成する。この作業足場4には、図1および図11に示すように、外周縁に沿って安全手すり4aを、この安全手すり4aの上端に防護天井4bを、安全手すり4aの釣り合いおもり15に対応する部分にその釣り合いおもり15との接触を防止するための接触防止幕4cなどを設ける。また、作業足場4には、かご枠5を巻上機7により昇降させるための運転用スイッチ4dを設置する。そこで、下レール部材8a上に中間レール部材8c,8dを連結する。
【0043】
ガイドレール3a,3cの下レール部材8a上に中間レール部材8c,8dを連結する際には、予め据付用足場38から荷重受けブラケット16a〜16cを昇降路2最上部の壁面の上レール部材8bの下端となる位置に固定しておく。なお、荷重受けブラケット16a〜16cの固定は、ピアノ線により設定した基準に合わせて行われる。
【0044】
また、上レール部材8bの下側に連結される中間レール部材8cには、図示しないが上端部に目板9cの下部をボルト10aとナット10bとにより取り付ける。この状態では、図11に示すように、中間レール部材8cの上端から目板9cの上部が突出している。そこで、ウィンチ39により吊り上げながら、この吊り上げられた中間レール部材8cの下端に他の中間レール部材8dの上端を連結して一本化し、これに伴って各レール部材8c,8d間に目板9bを取り付ける。
【0045】
このように一本化して吊り上げたレール部材8c,8dの下端を、図1および図12に示すように、昇降路2のピット部2aにおいて固定されている下レール部材8aの上端に連結すると共にそれらの下レール部材8aと中間レール部材8dとの間に目板9aを取り付ける。また、据付用足場38において中間レール部材8cの上端に取り付けられている目板9cを、図13に示すように、荷重受けブラケット16aの取付部18の取付部本体18c,18dにボルト10aとナット10bとにより締結して取り付ける。
【0046】
また、ガイドレール3c,3dにあっては、図8,図10および図14,図15に示すように、吊り上げた中間レール部材8c,8dの上端部を、荷重受けブラケット16b,16cの取付部25,35の取付部本体25d,35dにそれらの表面とレールクリップ33とにより端縁部を狭持させることにより取り付ける。
【0047】
これによりガイドレール3a〜3dは、下レール部材8a上に中間レール部材8c,8dが連結される。ここで、各ガイドレール3a〜3dは、図13〜図15に示すように、取付部18,25,35がそれぞれナット部材22を回転させることにより上方に移動され、中間レール部材8c,8dの上端が引っ張られる。すると、各ガイドレール3a〜3dは、中間レール部材8c,8dの下端が下レール部材8aに取り付けられているので、その下レール部材8aと荷重受けブラケット16a〜16cとの間でそれぞれ張設される。そこで、中間レール部材8c上には上レール部材8bを連結する。
【0048】
ガイドレール3a,3cの上レール部材8bを中間レール部材8c上に連結する際には、図12に示すように、上レール部材8bを据付用足場38から昇降路2の最上部の壁面にレールブラケット12c,12dにより固定して下端を中間レール部材8cの上端に接するように配置する。そこで、図4および図5に示すように、上レール部材8bの下端部をボルト10a,43aとナット10b,43bとにより目板9cの上部に取り付け、上レール部材8bの芯だしを行う。このとき、目板9cは、上レール部材8bの荷重をボルト10aを介して支持するようにする。
【0049】
また、ガイドレール3b,3dにあっては、図7〜図10および図12に示すように、上レール部材8bを据付用足場38から昇降路2の最上部の壁面にレールブラケット12c,12dにより固定して下端を中間レール部材8cの上端に接するように配置した後に、上レール部材8bの下端部とその下の中間レール部材8cの上端部との間にボルト10aとナット10bとにより目板9cに取り付け、上レール部材8bの芯だしを行う。このとき、目板9cは、上レール部材8bの荷重をボルト10aを介して支持するようにすると共に、下端縁が荷重受けブラケット16b,16cの取付部25,35の取付部本体25d,35d上端縁に当接されて設置される。このようにしてガイドレール3a〜3dは、上、下部が固定されて昇降路2内に配設される。
【0050】
次に、据付用足場38から昇降路2の最上部での各種据付作業を行う。この据付用足場38での据付作業においては、図1および図2に示すように、ガイドレール3aの上レール部材8bの上端部に巻上機7や調速機13を取り付け、ガイドレール3b,3dの上レール部材8bの上端部にそれぞれロープヒッチ14を取り付け、図示しない回生抵抗などの昇降路2上部の機器類の取り付けなどの作業を行う。
【0051】
さらに、据付用足場38からは、主ロープ6のロープ掛けも行う。すなわち、ウィンチ39により釣り合いおもり15を昇降路2の最上部まで吊り上げ、巻上機7の駆動シーブに主ロープ6を巻き掛けると共に、その主ロープ6の両端をそれぞれかご枠5のシーブ5aおよび釣り合いおもり15のシーブ16aに巻き掛けてからガイドレール3b,3dに形成されているロープヒッチ14に固定する。これにより、かご枠5は主ロープ6を介して巻上機7により昇降可能状態となる。なお、釣り合いおもり15は予めピット部2aにおいてガイドレール3c,3d間に係合状態で組み立てておくと共に、ガイドレール3c,3dには釣り合いおもり15の外れ止め部材を取り付けておく。
【0052】
この状態では、ガイドレール3aの上レール部材8bが巻上機7を支持しており、巻上機7およびこの巻上機7に巻き掛けられた主ロープ6などの荷重、この主ロープ6を介して巻上機7にかかるかご枠5および釣り合いおもり15などの荷重が、上レール部材8bの荷重と共に巻上機7の支持部分よりも下側の目板9cにかかっている。そして、その目板9cにかかる荷重は、図4および図5に示すように、荷重受けブラケット16aの取付部18が、目板9cを取り付けられて支持していることにより受けている。
【0053】
また、ガイドレール3b,3dの上レール部材8bが、図1および図2に示すように、それぞれロープヒッチ14に固定された主ロープ6の両端を支持しており、それらの主ロープ6の両端にかかるかご枠5および釣り合いおもり15の荷重が、上レール部材8bの荷重と共に主ロープ6の両端の支持部分よりも下側の目板9cにかかっている。そして、それらの目板9cにかかる荷重は、図7〜図10に示すように、ガイドレール3b,3dの中間レール部材8cの上端部を取り付けらた荷重受けブラケット16b,16cの取付部25,35が、取付部本体25d,35dの上端縁をそれぞれ目板9cの下端縁に当接されて支持することにより受けている。
【0054】
すなわち、各ガイドレール3a〜3dでは、未固定の中間レール部材8c,8dが巻上機7および主ロープ6などの荷重、主ロープ6を介して巻上機7およびロープヒッチ14にかかるかご枠5、釣り合いおもり15などの荷重を負担していない。この結果、かご枠5または釣り合いおもり15の昇降の際には、各ガイドレール3a〜3dがかご枠5または釣り合いおもり15を案内する荷重のみを負担することとなる。
【0055】
次に、かご枠5の作業足場4に作業者が乗り込み、かご枠5をスロー運転により昇降させ、図2の二点差線に示すように、未固定の中間レール部材8c,8dをレールブラケット12e,12fにより固定・芯だしすると共に、各階の乗り場18に不図示の三方枠を取り付けるなどの各種据付作業を行っていく。そして、上レール部材8bの下側に連結されている中間レール部材8cまで固定・芯だしを行ったら、荷重受けブラケット16a〜16cを取り外し、据付用足場38を解体する。その後、かご枠5の作業足場4から安全手すり4aや接触防止幕4cなどを取り外し、かご枠5に不図示のかご室を形成することによりエレベータの据え付けが完了する。
【0056】
本実施形態では、昇降路2最上部の壁面に固定された荷重受けブラケット16aが、上部に巻上機7を取り付けられたガイドレール3aの巻上機7の支持部分よりも下側を取付部18に取り付けられることで、そのガイドレール3aの上部を固定すると共に、巻上機7および主ロープ6などの荷重、主ロープ6を介して巻上機7にかかるかご枠5、釣り合いおもり15などの荷重を受けるように構成されている。
【0057】
また、荷重受けブラケット16b,16cは、上部にロープヒッチ14を取り付けられたガイドレール3b,3dのロープヒッチ14の取付部分、つまりロープヒッチ14に固定された主ロープ6両端の支持部分よりも下側を取付部18に取り付けられることで、そのガイドレール3b,3dの上部を固定すると共に、主ロープ6の両端にかかるかご枠5、釣り合いおもり15などの荷重を受けるように構成されている。
【0058】
すなわち、荷重受けブラケット16a〜16cでは、巻上機7および主ロープ6などの荷重、主ロープ6を介して巻上機7およびロープヒッチ14にかかるかご枠5、釣り合いおもり15などの荷重を受けており、かご枠5を上、下部が固定されたガイドレール3a,3bに案内させながら昇降させる際、ガイドレール3a〜3dにかご枠5または釣り合いおもり15を案内する荷重のみを負担させ、未固定の上、下部間に過度の負担がかかる不具合を防止することができる。
【0059】
さらに、本実施形態の荷重受けブラケット16a〜16cでは、ガイドレール3a〜3dの上部を取付部18,25,35に取り付けられることにより固定し、巻上機7および主ロープ6などの荷重、主ロープ6を介して巻上機7およびロープヒッチ14にかかるかご枠5、釣り合いおもり15などの荷重を受けるため、それらの荷重受けのための作業を作業工数を多くすることなく行うことができる。
【0060】
また、本実施形態の荷重受けブラケット16a〜16cでは、巻上機7および主ロープ6などの荷重、主ロープ6を介して巻上機7およびロープヒッチ14にかかるかご枠5、釣り合いおもり15などの荷重を、取付部18,25,35がガイドレール3a,3b,3dの上レール部材8bとその下側に連結される中間レール部材8cとの間に設けられた目板9cを支持することにより受けている。このため、荷重受けブラケット16a〜16cでは、従来からある目板9cを利用して昇降手段の荷重、昇降手段にかかる荷重の支持を容易に実現することができる。
【0061】
また、荷重受けブラケット16aでは、ガイドレール3aの目板9cの支持を取付部18に目板9cを取り付けることにより行われるため、その目板9cの支持を容易に、かつ確実に行うことができる。
【0062】
さらに、荷重受けブラケット16b,16cにあっては、ガイドレールb,3dの目板9cの支持を、取付部25,35にそれぞれガイドレール3b,3dの中間レール部材8cの上端部を取り付けると共に、それらの中間レール部材8cの上端部に配置されている目板9cの下端縁を取付部本体25d,35dの上端縁に当接させることで行っている。このため、果樹受けブラケット16b,16cでは、の目板9cの支持を、より容易に、かつ確実に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態の荷重受けブラケット16aは、ガイドレール3aの上部に加えてそのガイドレール3aに隣接したガイドレール3cの上部を取付部18に取り付けられることにより、ガイドレール3a,3c間で共用されているため、部品点数を削減することができ、かつ据付作業の作業工数を低減して作業効率を向上することができる。
【0064】
また、本実施形態の荷重受けブラケット16a〜16cでは、ガイドレール3a〜3dを配設する際、下部を固定・芯だしされたガイドレール3a〜3dの上部を取付部18,25,35に取り付けられた状態で、それらの取付部18,25,35が上方に移動されることによりガイドレール3a〜3dを張設することができる。
【0065】
このため、本実施形態の荷重受けブラケット16a〜16cでは、ガイドレール3a〜3dの荷重を支持することができ、巻上機7および主ロープ6の荷重、主ロープ6を介して巻上機7およびロープヒッチ14にかかるかご枠5、釣り合いおもり15などの荷重を確実に受けることができる。
【0066】
さらに、荷重受けブラケット16a〜16cでは、ガイドレール3a〜3dの荷重受けブラケットの上部の固定を確実に行うために、ガイドレール3a〜3dの上部を荷重受けブラケット16a〜16cに取り付け、それらの荷重受けブラケット16a〜16cへの取付部分よりも上側を昇降路2の壁面に固定・芯だししても、ガイドレール3a〜3dを予め張設しておけば未固定の上、下部間の固定・芯だしした際にガイドレール3a〜3dの長さが変わるようなことがなく、すでに固定・芯だしされた上部を再度固定・芯だしするような不具合を防止することができる。
【0067】
(第2実施形態)
以下、本発明にかかる荷重受けブラケットの第2実施形態について図面を参照して説明する。図16は、本発明にかかる荷重受けブラケットの第2実施形態の概略構成を示す側面図である。
【0068】
図16に示すように本実施形態の荷重受けブラケット40は、昇降路2の壁面に固定されているブラケット本体41と、このブラケット本体41にそれぞれ上下に移動可能に支持されている上、下取付部42,43とで形成したものである。
【0069】
ブラケット本体41は、上記実施形態の荷重受けブラケット16aと同様に図示しないアンカーボルト19により昇降路2壁面に締結・固定されている。このブラケット本体41は表面に昇降路2内部側に突出する突出部41aが一体に設けられ、この突出部41aには上、下面からそれぞれ上方および下方に向けてジャッキボルト21a,21bが立設されている。これらのジャッキボルト21a,21bには、それぞれナット部材22が上下移動可能に螺合されている。
【0070】
上取付部42は、ジャッキボルト21aに挿通される挿通孔42aを有した接続部42bと、この接続部42bから上方に向けて突設されてガイドレール3aの上レール部材8bの下端部が取り付けられている取付部本体42cとからなる。接続部42bは、挿通孔42aにブラケット本体41のジャッキボルト21aが挿通され、下面にジャッキボルト21aに螺合されているナット部材22が当接しており、そのナット部材22の位置に応じたジャッキボルト21aの所定の上下位置に支持されている。そして、接続部42bは、ナット部材22が上下移動することによりジャッキボルト21aへの接続位置を上下に変更可能となっている。
【0071】
取付部本体42cは、略矩形板状に形成され、接続部42bの昇降路2の中心部側に配置された端縁部から上方に向けて突設されている。この取付部本体42cは、不図示のボルトとナットにより上レール部材8bの下端部または中間レール部材8cの上端部が締結されて取り付けられている。これにより上取付部42は、上レール部材8bおよびこの上レール部材8bが支持する荷重、つまり巻上機7および主ロープ6を介して巻上機7にかかるかご枠5および釣り合いおもり15の荷重を支持している。
【0072】
また、下取付部43は、上記取付部42と略同様に構成されている。すなわち、下取付部43は、挿通孔43aにブラケット本体41のジャッキボルト21bが挿通された接続部43bが、下面に当接しているナット部材22によりジャッキボルト21bへの接続位置を上下に変更となっており、その接続部43bに設けられた取付部本体43cにガイドレール3aの中間レール部材8bの上端部が取り付けられている。なお、図示しないが、ガイドレール3b〜3dに取り付けられる荷重受けブラケットも上記荷重受けブラケット40と同様に構成されている。
【0073】
また、本実施形態のエレベータの据付方法は、上記実施形態と略同様であり、主な相違点はガイドレール3aの上部を荷重受けブラケット40に取り付けて固定するときの手順である。
【0074】
ガイドレール3aの上部を固定するときには、図示しないが、予め一本化してウィンチ31により吊り上げたレール部材8c,8dの下端を、昇降路2のピット部2aにおいて固定されている下レール部材8aの上端に連結すると共に、中間レール部材8cの上端部を荷重受けブラケット40の下取付部43の取付部本体43cに不図示のボルトとナットとにより締結して取り付ける。
【0075】
ここで、各ガイドレール3a〜3dは、下取付部43がそれぞれ上方に移動されることにより、中間レール部材8c,8dの上端が引っ張られる。すると、各ガイドレール3a〜3dは、中間レール部材8c,8dの下端が下レール部材8aに取り付けられているので、その下レール部材8aと荷重受けブラケット16a〜16cとの間でそれぞれ張設される。そこで、中間レール部材8c上には上レール部材8bを固定する。
【0076】
ガイドレール3a〜3dの上レール部材8bを中間レール部材8c上に固定する際には、上レール部材8bを据付用足場38から昇降路2の最上部の壁面にレールブラケット74a,74bにより行われる。ここで、レールブラケット74a,74bは、レールクリップ33を用いたものであり、レールクリップ33を支持しているボルト32aを緩めることにより上レール部材8bを上下にスライド可能とする。
【0077】
このとき、上レール部材8bは、その下端を中間レール部材8cの上端との間に隙間を有するように配置し、その下端部をボルトとナットとにより荷重受けブラケット40の上取付部42の取付部本体42cに取り付ける。そこで、上レール部材8bの芯だしを行い、ガイドレール3aの上部を固定したこととなる。なお、ガイドレール3b〜3dも同様に上部を固定する。
【0078】
そして、上記実施形態と同様に、据付用足場38から上レール部材8bへの巻上機7の取り付けや主ロープ6のロープ掛けなどの昇降路2最上部での据付作業を行った後、かご枠5をスロー運転により昇降させ、未固定の中間レール部材8c,8dをレールブラケット12e〜12gにより固定・芯だしなどの各種据付作業を行っていく。
【0079】
中間レール部材8cまで固定・芯だしを行ったら、上レール部材8bの下端を中間レール部材8cの上端に連結する。上レール部材8bの下端を中間レール部材8cの上端に連結する際には、上レール部材8bを固定しているレールブラケット12c,12dのボルト32aを緩めることにより植えレール部材8bを上下にスライド可能状態とする。そこで、荷重受けブラケット40の上取付部42を下方に移動させ、上レール部材8bを下方に移動させることにより、その上レール部材8bの下端を中間レール部材8cの上端に連結する。その後、レールブラケット12c,12dのボルト56aを締めて上レール部材8bを再度固定・芯だしし、ガイドレール3aを完全に固定する。また、ガイドレール3b〜3dも同様に完全に固定する。
【0080】
本実施形態の荷重受けブラケット40においても、上記実施形態と同様の作用および効果を奏することができる。
【0081】
以上、本発明にかかる荷重受けブラケットの実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、構成の要素に付随する各種の設計変更が可能である。上記実施形態では、昇降手段としてガイドレール3aの上部に巻上機7を支持させると共に、その巻上機7に巻き掛けられている主ロープ6の両端をガイドレール3b,3dにより支持させていた場合であったが、例えば、巻上機を昇降路2のピット部2aに設置し、ガイドレール3aの上部に巻上機7に従動する上部シーブを取り付けた場合にでもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、主ロープ6のローピングが、ガイドレール3aの上部に取り付けられた巻上機7に巻き掛けられた主ロープ6の両端が、かご枠5および釣り合いおもり15を介してガイドレール3b,3dのロープヒッチ14に固定される2対1ローピングの場合であったが、巻上機7に巻き掛けられた主ロープ6の両端をそれぞれかご枠5および釣り合いおもり15に固定する1対1ローピングの場合であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態の荷重受けブラケット16aでは、目板9cが取付部本体18c,18dに取り付けられるように構成されていたが、例えば、荷重受けブラケット16b,16cのように取付部本体に中間レール部材8cの上端部が取り付けられ、その取付部本体の上端縁を目板9cの下端縁に当接させるように構成してもよい。
【0084】
逆に、荷重受けブラケット16b,16cでは、取付部本体25d,35dに中間レール部材8cの上端部が取り付けられ、それらの取付部本体25d,35dの上端縁を目板9cの下端縁に当接させるように構成されていたが、例えば、荷重受けブラケット16aのように目板9cが取付部本体に取り付けられるように構成してもよい。
【0085】
また、荷重受けブラケットは、ガイドレール3a〜3dを完全に固定した後に昇降路2から取り外されるが、ガイドレール3a〜3dを固定しても昇降路2から取り外すことなく、本設用のブラケットとして用いてもよい。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、昇降路上部の壁面に固定された荷重受けブラケットが、昇降手段を支持しているガイドレールの昇降手段の支持部分よりも下側を取付部に取り付けられることで、そのガイドレールの上部を固定すると共に、昇降手段の荷重および昇降手段にかかる荷重を受けることができる。このため、かご枠を上、下部が固定されたガイドレールに案内させながら昇降させる際には、上部に昇降手段を支持しているガイドレールにかご枠などを案内する荷重のみを負担させることができ、未固定の上、下部間に過度の負担がかかる不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明にかかる荷重受けブラケットの第1実施形態が設けられている昇降路の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す昇降路の断面図である。
【図3】図3は、図1に示す荷重受けブラケットが設けられている昇降路上部の斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す据付装置に設けられている荷重受けブラケットの概略構成の斜視図である。
【図5】図5は、図4に示す荷重受けブラケットの側面図である。
【図6】図6は、図4に示す荷重受けブラケットの平面図である。
【図7】図7は、図3に示す据付装置に設けられている別の荷重受けブラケットの概略構成の斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す荷重受けブラケットの側面図である。
【図9】図9は、図3に示す据付装置に設けられている別の荷重受けブラケットの概略構成の斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す荷重受けブラケットの側面図である。
【図11】図11は、昇降路内にガイドレールが配設するときの昇降路の断面図である。
【図12】図12は、昇降路内にガイドレールを配設した状態を示す昇降路の断面図である。
【図13】図13は、図4に示す荷重受けブラケットにガイドレールを固定するときの荷重受けブラケットの側面図である。
【図14】図14は、図7に示す荷重受けブラケットにガイドレールを固定するときの荷重受けブラケットの側面図である。
【図15】図15は、図9に示す荷重受けブラケットにガイドレールを固定するときの荷重受けブラケットの側面図である。
【図16】図16は、本発明にかかる荷重受けブラケットの第2実施形態の概略構成を示す側面図である。
【図17】図17は、従来のエレベータの据付方法に用いられている据付装置を示す斜視図である。
【図18】図18は、従来の別のエレベータの据付方法に用いられている据付装置を示す斜視図である。
【図19】図19は、図18に示す据付方法においてガイドレールを昇降路内に配設するときの斜視図である。
【符号の説明】
2 昇降路
3a,3b,3c,3d ガイドレール
4 作業足場
5 かご枠
6 主ロープ(昇降手段)
7 巻上機(昇降手段)
8a,8b,8c,8d レール部材
9a,9b,9c 目板
16a,16b,16c 荷重受けブラケット
17,24,34 ブラケット本体
18,25,34 取付部
Claims (4)
- 複数本のレール部材が連結されてなるガイドレールがエレベータの昇降路内に、前記複数本のレール部材のうち、最上部に配置する上レール部材と最下部に配置する下レール部材が固定された状態で、作業足場が形成された本設用のかご枠を昇降させるための昇降手段を前記ガイドレールの前記上レール部材の上端部に支持し、前記かご枠を昇降動作させて前記上レール部材と前記下レール部材の間に連結された中間レール部材を、前記昇降路の壁面に固定する作業を行う工程を備えるエレベータの据付方法に用いられ、
前記昇降路上部の壁面における前記上レール部材の前記昇降手段の支持部分より下方に固定されるブラケット本体と、このブラケット本体に設けられて前記上レール部材の下端部と前記中間レール部材の上端部が取り付けられる取付部とを備え、
前記取付部が取り付けられる前記ガイドレールは、前記かご枠用のガイドレールと前記釣り合いおもり用のガイドレールであり、前記取付部が前記かご枠用のガイドレールと前記釣り合いおもり用のガイドレールに共に固定され、
前記取付部が前記上レール部材に支持された前記昇降手段の荷重およびこの昇降手段にかかる釣り合いおもりの荷重を受けることを特徴とする荷重受けブラケット。 - 請求項1記載の荷重受けブラケットであって、
複数のレール部材間が目板により連結されてなり、
前記上レール部材の下端部と前記中間レール部材の上端部とを連結する前記目板に、前記昇降手段の荷重およびこの昇降手段にかかる釣り合いおもりの荷重がかかっており、
前記取付部は、前記上レール部材と前記中間レール部材との間の前記目板を支持していることを特徴とする荷重受けブラケット。 - 請求項2記載の荷重受けブラケットであって、
前記取付部は、前記中間レール部材の上端部を取り付けられて前記上レール部材と前記中間レール部材との間に設けられている前記目板の下側に配置されると共に、
前記取付部の上端縁が前記目板の下端縁に当接することにより前記目板を支持することを特徴とする荷重受けブラケット。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の荷重受けブラケットであって、
前記取付部は、前記ブラケット本体に上下に移動可能に支持され、前記ガイドレールの上部を取り付けられて上方に移動することにより前記ガイドレールを張設可能とすることを特徴とする荷重受けブラケット。
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