JP3630596B2 - エレベータのロープ掛け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、かご枠の下部にかご下プーリを有して構成したエレベータのロープ掛け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来におけるかご枠の下部にかご下プーリを有して構成したエレベータは、例えば、特開平7−10437号公報および特開平11−130365号公報に記載されたものが知られており、これを昇降路の断面図である図2を用いて説明する。
【0003】
昇降路1の全行程にわたって図示しない作業足場を組み立て、この作業足場を利用して昇降路1の両側壁に乗かご用ガイドレール2を取り付けたり、昇降路1の出入口に出入口部品3等の取り付けを行なう。これらのエレベータ機器を昇降路1の全行程にわたって取り付けたなら、次に、かご枠4をガイドレール2間に組み立てるが、この作業に邪魔になる作業足場を解体する。作業足場の解体後、かご枠4を組み立ててその下部にかご下プーリ4aを設ける。その後、つり合いおもり5を所定の位置に組み立て、昇降路1の下部1aにトラクションマシン7を配置し、一方、最上階ホール1cには、例えば特開平9−194160号公報に記載された跳ね出し式の作業足場30等を設置し、この跳ね出し式の作業足場30から昇降路1の頂部1bの側壁にプーリビーム8を固定し、このプーリビーム8に転向プーリ8a,8bを取り付け、その後、ロープ掛け作業を行なっている。
【0004】
このロープ掛け作業は、ロープ6の一端6aをプーリビーム8に連結してから垂下させてかご下プーリ4aに掛け、また立ち上げて転向プーリ8aに掛け、再び垂下して今度はトラクションマシン7に掛け、その後、再び立ち上げて転向プーリ8bおよびつり合いおもり5のおもり上プーリ5aに掛けて他端6bをプーリビーム8に連結している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来のエレベータのロープ掛け方法は、かご枠4を乗かご用ガイドレール2に組み込むために作業足場を解体するため、その後のロープ掛け時には、跳ね出し式の作業足場を最上階ホール1cから設置しなければならず、仮設品である跳ね出し式の作業足場を準備したり、それをロープ掛け作業だけのために最上階ホール1cまで運搬して設置しなければならず、作業効率が悪いだけでなく、仮設品であるために設備費がかかって経済的でなかった。
【0006】
本発明の目的は、跳ね出し式の作業足場等を使用しなくとも、効率良く据え付けることができるようにしたエレベータのロープ掛け方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、昇降路内に配置した乗かご用ガイドレール間にかご枠を配置して乗かごを構成し、上記昇降路の上部に設けた転向プーリと上記かご枠の下部に設けたかご下プーリ間に少なくともロープを掛けて構成したエレベータのロープ掛け方法において、上記昇降路のほぼ全行程にわたって作業足場を組み立て、この作業足場を用いて上記昇降路内の所定の機器の取り付けを行なった後、上記乗かご用ガイドレールに上記かご枠を除く上記かご下プーリを仮固定し、上記作業足場を用いて上記かご下プーリと上記転向プーリ間に上記ロープを掛ける作業を行ない、上記作業足場を解体した後、上記かご枠を組み立てて上記乗かご用ガイドレールから取り外した上記かご下プーリを上記かご枠に固定したことを特徴とする。
【0008】
本発明によるエレベータのロープ掛け方法は、上述したようにロープ掛けを行なうためにかご枠を乗かご用ガイドレール間に組み込むのではなく、かご枠を組み立てずにかご下プーリのみを乗かご用ガイドレールに仮固定するようにしたため、従来、かご枠を乗かご用ガイドレール間に組み込むときに邪魔になっていた作業足場をまだ解体せずに、この作業足場を利用して昇降路の上方でのロープ掛け作業を行なうことができる。従って、昇降路上方のロープ掛けのために従来必要とした跳ね出し式の作業足場は不要となり、作業足場を利用しての作業効率を向上することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるエレベータのロープ掛け方法を採用した組立作業中のエレベータ昇降路の断面図である。
昇降路1のビル側には複数階のエレベータ出入り口が形成されており、この出入り口から見て左右の昇降路壁には一対の乗かご用ガイドレール2が固定され、この乗かご用ガイドレール2の奥側には一対のつり合いおもり用ガイドレール12が固定されている。組立完了状態において、乗かご用ガイドレール2に沿って乗かごが昇降案内されるように配置され、またつり合いおもり用ガイドレール12に沿ってつり合いおもり5が昇降案内されるように配置される。昇降路1の上部1bの壁にはプーリビーム8が適当な固定手段によって固定され、このプーリビーム8には転向プーリ8a,8bがそれぞれ支持されると共に、詳細を後述するロープ6の両端6a,6bがそれぞれ固定されている。一方、昇降路1の底部1aにはトラクションマシン7が設置されており、一般的なエレベータにおいて昇降路1の上部に形成している機械室は省略されている。
【0010】
次に、上述した昇降路1内にエレベータの各構成要素を組み立てて行く作業手順について説明する。
先ず、昇降路1の底部1aにマシンベース11を固定し、このマシンベース11上にトラクションマシン7を設置すると共に、乗かご用ガイドレール2、つり合いおもり用ガイドレール12およびつり合いおもり5等を昇降路1の底部1aに仮置きする。次いで、昇降路1のほぼ全行程にわたって作業足場10を組み立て、この作業足場10を利用して所定長に達するまで複数のガイドレール2,12を連結しながら昇降路壁に固定したり、各階床の出入口に出入口部品3等を取り付ける。また作業足場10の最上部ではプーリビーム8を昇降壁に固定し、このプーリビーム8に転向プーリ8a,8bを取り付ける。こうして昇降路1内の所定の機器の取り付けを完了する。
【0011】
この取付作業が完了したなら、従来では乗かご枠を乗かご用ガイドレール2間に組み立てていたため、乗かご枠の組み立てに障害となる作業足場10を解体していた。しかしながら、ここでは作業足場10の解体は行なわず、次に作業足場10を利用しながらのロープ6の敷設作業を行なう。このように昇降路1内に組み立てた作業足場10を継続的に利用して、昇降路1の全行程にわたって昇降路1内の所定の機器の取付作業と、ロープ6の掛け作業を行なうことができる。
【0012】
つまり、ロープ6を布設するために、先ず図示しないかご枠とロープ6を介してつるべ式に連結されるつり合いおもり5を、図示しない揚重設備により昇降路1の上方まで吊り上げる。このつり合いおもり5の上部にはおもり上プーリ5aを予め取り付けておいたり、その後に取り付けておく。また、かご枠の下部に取り付けることになるかご下プーリ4aを、昇降路1の下方に位置する乗かご用ガイドレール2にプーリ支持部材20を介して取り外し可能に支持固定する。
【0013】
この状態で、昇降路1の底部1aからトラクションマシン7およびかご下プーリ4aへロープ6を掛け、また作業足場10の最上部から転向プーリ8a,8bおよびおもり上プーリ5aへロープ6を掛け、作業足場10の最上部でロープ6の両端6a,6bをそれぞれ昇降路1の頂部1b付近に固定したプーリビーム8に連結する。従って、プーリビーム8に一端6aを連結したロープ6は、一度垂下してかご下プーリ4aに掛け、その後立ち上げて転向プーリ8aに掛け、再び垂下して底部1aに固定したトラクションマシン7のプーリに巻き掛け、さらに立ち上げて転向プーリ8bおよびおもり上プーリ5aに掛けた後、プーリビーム8に他端6bを連結したことになって敷設作業が完了する。このロープ6の敷設作業は、作業足場10を利用して行なうことができるので、比較的簡単に短時間で行なうことができる。
【0014】
このロープ6の敷設作業の後、作業足場10を全て解体して撤去し、その後、図示しないかご枠を乗かご用ガイドレール2に係合させながらかご下プーリ4a上に組み立てる。最終的にはかご下プーリ4aを乗かご用ガイドレール2から分離し組み立てたかご枠の下部にかご下プーリ4aを固定する。このとき、プーリ支持部材20は取り外しても良いし、かご下プーリ4aと共にかご枠に固定してもよい。いずれの場合も、乗かご用ガイドレール2にかご下プーリ4aを仮固定したときの連結構造は、その後かご下プーリ4aをかご枠へ連結できるように予め考慮しておくとよい。
【0015】
このようにかご枠を乗かご用ガイドレール2間に組み立てる前に、かご下プーリ4aを乗かご用ガイドレール2に仮固定するようにしたため、作業足場10を解体することなくそのままロープ掛け作業に利用することができるので、従来のように仮設品である跳ね出し式の作業足場等を準備したり、それを昇降路の上部に配置する必要がなく、効率良く経済的に据え付けを行なうことができるようになる。
【0016】
なお、上述した実施の形態では、一つのプーリビーム8に転向プーリ8a,8bと、ロープ6の両端6a,6bを固定したが、かご枠の下部にかご下プーリ4aを有すると共に、昇降路上部でのロープ掛け作業を伴う構成であれば本発明を適用することができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によるエレベータのロープ掛け方法は、かご下プーリを乗かご用ガイドレールに仮固定した状態で、昇降路内に所定の機器の取付作業のために組み立てた作業足場を解体することなく、この作業足場を利用してロープ掛け作業を行なうようにしたため、作業足場をロープ掛け作業のためにも効率的に使用することができるようになり、しかも、従来のように跳ね出し式の作業足場等を準備したり、それを昇降路の上部に配置する必要がなく、据付作業を比較的簡単に行なうことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるエレベータのロープ掛け方法を採用した作業途中状態を示す昇降路の断面図である。
【図2】従来のエレベータのロープ掛け方法を採用した作業途中状態を示す昇降路の断面図である。
【符号の説明】
1 昇降路
1a 底部
1b 頂部
2 乗かご用ガイドレール
4a かご下プーリ
6 ロープ
6a 一端
6b 他端
7 トラクションマシン
8 プーリビーム
8a,8b 転向プーリ
10 作業足場
20 プーリ支持材
Claims (2)
- 昇降路内に配置した乗かご用ガイドレール間にかご枠を配置して乗かごを構成し、上記昇降路の上部に設けた転向プーリと上記かご枠の下部に設けたかご下プーリ間に少なくともロープを掛けて構成したエレベータのロープ掛け方法において、上記昇降路のほぼ全行程にわたって作業足場を組み立て、この作業足場を用いて上記昇降路内の所定の機器の取り付けを行なった後、上記乗かご用ガイドレールに上記かご枠を除く上記かご下プーリを仮固定し、上記作業足場を用いて上記かご下プーリと上記転向プーリ間に上記ロープを掛ける作業を行ない、上記作業足場を解体した後、上記かご枠を組み立てて上記乗かご用ガイドレールから取り外した上記かご下プーリを上記かご枠に固定したことを特徴とするエレベータのロープ掛け方法。
- エレベータの昇降路の上部に二つの転向プーリを配置し、上記昇降路の底部にトラクションマシンを配置し、このトラクションマシンにより駆動されるロープにより乗かご用ガイドレールに沿って昇降するかご枠の下部にかご下プーリを設け、その両端を上記昇降路の上部に連結した上記ロープを上記転向プーリと上記かご下プーリ間に掛けるようにしたエレベータのロープ掛け方法において、上記トラクションマシンを上記昇降路の底部に設置し、上記昇降路のほぼ全行程にわたって作業足場を設置し、この作業足場を用いて上記ガイドレールを含む上記昇降路内の所定の機器を取り付けた後、上記かご枠の下部に取り付けられる上記かご下プーリを上記ガイドレールに仮固定させた状態で、上記ロープの掛け作業を行ない、上記作業足場を解体した後、上記かご枠を組み立てて上記乗かご用ガイドレールから取り外した上記かご下プーリを上記かご枠に固定したことを特徴とするエレベータのロープ掛け方法。
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