JP4095122B2 - 光学樹脂材料およびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の光学樹脂では実現が困難であった、高い透明性と耐熱性を合わせ持ちマイクロボイドを低減した屈折率分布型光学樹脂材料(以下、光学樹脂材料と略すことがある)及びその製造法に関するものである。
【0002】
本発明の光学樹脂材料は、それ自身が光ファイバー等の光伝送体であってもよく、また光ファイバーのプリフォーム等の光伝送体の母材であってもよい。
【0003】
本発明の光学樹脂材料である光伝送体は、非結晶樹脂であるため光の散乱がなく、しかも紫外光から近赤外光まで広範囲の波長帯で透明性が非常に高いため、多種多様な波長の光システムに有効利用が可能である。特に光通信分野において幹線石英ファイバーに利用されている波長である1300nm、1550nmで低損失である光伝送体を与えるものである。
【0004】
また本発明の光学樹脂材料である光伝送体は、自動車のエンジンルーム等での過酷な使用条件に耐える、耐熱性、耐薬品性、耐湿性、不燃性を備えるものである。
【0005】
本発明の光学樹脂材料である光伝送体は、屈折率分布型の光ファイバー、ロッドレンズ、光導波路、光分岐器、光合波器、光分波器、光減衰器、光スイッチ、光アイソレーター、光送信モジュール、光受信モジュール、カップラー、偏向子、光集積回路等の多岐にわたる屈折率分布型光伝送体として有用である。ここで、屈折率分布とは光伝送体の特定の方向に沿って屈折率が連続的に変化する領域を意味し、例えば屈折率分布型光ファイバーの屈折率分布は、ファイバーの中心から半径方向に向かって屈折率が放物線に近い曲線で低下している。
【0006】
本発明の光学樹脂材料が光伝送体の母材の場合は、これを熱延伸等で紡糸して、屈折率分布型光ファイバー等の光伝送体を製造できる。
【0007】
【従来の技術】
従来より知られている屈折率分布型プラスチック光伝送体用の樹脂としては、メチルメタクリレート系樹脂を代表とした光学樹脂や、WO94/04949に記載されたテトラフルオロエチレン樹脂やビニリデンフルオライド樹脂が提案されている。WO94/04949には、2層以上の多層押し出し溶融成形法で屈折率分布型プラスチック光伝送体を製造する方法が提案されている。
【0008】
段階屈折率型プラスチック光ファイバーとしてはコアをメチルメタクリレート樹脂、スチレン樹脂、カーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等の光学樹脂を使用し、クラッドを含フッ素ポリマーとする提案が多くなされている。また特開平2−244007号公報にはコアとクラッドに含フッ素樹脂を用いた提案もされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、メチルメタクリレート樹脂、カーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等の光伝送体では達し得なかった、自動車、オフィスオートメーション(OA)機器、家電機器用途等で要求される耐熱性、耐湿性、耐薬品性、不燃性を有する光学樹脂材料及びその製造法を提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、メチルメタクリレート樹脂、カーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等の光伝送体では達し得なかった紫外光(波長200nmから400nm)と近赤外光(波長700nmから2500nm)を利用可能とし、さらに広範囲の伝送領域帯で低い光伝送損失をもつ光学樹脂材料及びその製造法を提供することを目的とする。
【0011】
また、従来のコア部とクラッド部とでガラス転移温度の異なる素材を用いたロッドインチューブ成形法や、2層以上の多層押し出し溶融成形法などで散乱損失増大の原因となっていた、成形後冷却時の成形体中心部と外周部との熱膨張率差に起因するマイクロボイドを低減した、低い光伝送損失をもつ光学樹脂材料及びその製造法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点の認識に基づいて鋭意検討を重ねた結果、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、不燃性を付与しかつ近赤外光で光吸収が起こるC−H結合(すなわち、炭素−水素結合)をなくすためにはC−H結合を実質的に含まない含フッ素重合体が最適であるとの知見を得た。この含フッ素重合体はC−H結合の代わりにC−F結合(すなわち、炭素−フッ素結合)を有する。
【0013】
すなわち、物質に光を照射すると、ある原子間の結合の伸縮振動や、変角振動と共鳴振動する波長の光が、優先的に吸収されることになる。これまでプラスチック光ファイバーに用いられた高分子物質は主にC−H結合を有する化合物であった。このC−H結合を基本とする高分子物質では、水素原子が軽量で振動しやすいために、基本吸収は、赤外域の短波長側(3000〜4000nm)に現れる。従って、光源の波長である近赤外〜赤外域(600〜1550nm)では、このC−H伸縮振動の比較的低倍音吸収がとびとびに現れ、これが吸収損失の大きな原因になっている。
【0014】
そこで水素原子をフッ素原子に置換すると、それらの倍音吸収ピークの波長は長波長側に移動し、近赤外域での吸収量が減少する。理論値から見れば、C−H結合を有するメチルメタクリレート樹脂の場合には波長650nmにおいてC−H結合の吸収損失は、105dB/kmと見積もられており、波長1300nmにおいては10000dB/km以上になる。
【0015】
一方、水素原子をフッ素原子に置き換えた物質では波長650nmでは実質的に吸収による損失はなく、波長1300nmにおいてもC−F結合の伸縮振動の6倍音と7倍音の間で、1dB/kmのオーダーであり吸収損失はないと考えてよい。そのために我々はC−F結合を有する化合物を用いることを提案する。
【0016】
また、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、不燃性を阻害する要因となるカルボキシル基やカルボニル基等の官能基を除外することが望ましい。また、カルボキシル基があると近赤外光の光吸収があり、カルボニル基があると紫外光の光吸収があるため、これらの基を除外することが望ましい。さらに光の散乱による伝送損失を低減するためには非結晶性の重合体にする事が重要である。
【0017】
更に、段階屈折率型光ファイバーの場合、マルチモードの光はコアとクラッドの界面で反射されながら伝搬する。そのためモード分散が起こり伝送帯域が低下する。しかし屈折率分布型光ファイバーではモード分散が起こりにくく伝送帯域は増加する。
【0018】
更に、成形体冷却時の熱膨張率差に起因するマイクロボイドの発生を抑えるためには、成形体の中心部とその外周部とに関わらず、光学樹脂材料全体が実質的に均一のガラス転移温度を持つことが重要であることを提案する。
【0019】
そこで光学樹脂材料として実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体、特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体と、該重合体に比較して屈折率の異なる物質の濃度が特定の方向に勾配を有しかつ、光学樹脂材料全体が実質的に均一のガラス転移温度を有する光学樹脂材料及びその製造法を新規に見いだし、下記本発明に至った。
【0020】
[1]実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001以上である少なくとも1種類の実質的にC−H結合を有しない物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光学樹脂材料であって、その中心部と外周部とに関わらず、光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一であることを特徴とする光学樹脂材料。
[2]含フッ素重合体(a)中に実質的にC−H結合を有せず、物質(b)の分布により変化する光学樹脂材料のガラス転移温度を修正する物質(c)
が分布している[1]に記載の光学樹脂材料。
[3]含フッ素重合体(a)が主鎖に環構造を有する含フッ素重合体である[1]または[2]に記載の光学樹脂材料。
[4]光学樹脂材料が屈折率分布型光ファイバー製造用のプリフォームまたは屈折率分布型光ファイバーである[1]、[2]または[3]に記載の光学樹脂材料。
[5]実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001以上である少なくとも1種類の実質的にC−H結合を有しない物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光学樹脂材料を、2層以上の多層押し出し溶融成形法で製造するに当たり、ノズル中心部に供給する材料のガラス転移温度と、外周部に供給する材料のガラス転移温度を実質的に均一にすることにより中心部と外周部とに関わらず、光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一である光学樹脂材料を得ることを特徴とする光学樹脂材料の製造法。
【0023】
含フッ素重合体として、従来よりテトラフルオロエチレン樹脂、パーフルオロ(エチレン−プロピレン)樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂、ビニリデンフルオライド樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂等が広く知られている。しかしながら、これらの含フッ素樹脂は結晶性を有するため、光の散乱が起こり、透明性が良好でなく、プラスチック光伝送体の材料としては好ましくない。
【0024】
これに対して、非結晶性の含フッ素重合体は、結晶による光の散乱がないため、透明性に優れる。本発明における含フッ素重合体(a)としては、C−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体であれば何ら限定されないが、主鎖に環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。主鎖に環構造を有する含フッ素重合体としては、含フッ素脂肪族環構造、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリアジン環構造または含フッ素芳香族環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体では含フッ素脂肪族エーテル環構造を有するものがさらに好ましい。
【0025】
含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体は、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリアジン環構造または含フッ素芳香族環構造を有する含フッ素重合体に比べ、後述の熱延伸または溶融紡糸によるファイバー化に際してもポリマー分子が配向しにくく、その結果光の散乱を起こすこともないなどの理由から、より好ましい重合体である。
【0026】
含フッ素重合体(a)の溶融状態における粘度は、溶融温度200℃〜300℃において103〜105ポイズが好ましい。溶融粘度が高過ぎると溶融紡糸が困難なばかりでなく、屈折率分布の形成に必要な、物質(b)の拡散が起こりにくくなり屈折率分布の形成が困難になる。また、溶融粘度が低過ぎると実用上問題が生じる。すなわち、電子機器や自動車等での光伝送体として用いられる場合に高温にさらされ軟化し、光の伝送性能が低下する。
【0027】
含フッ素重合体(a)の数平均分子量は、10,000〜5000,000が好ましく、より好ましくは50,000〜1000,000である。分子量が小さ過ぎると耐熱性を阻害することがあり、大き過ぎると屈折率分布を有する光伝送体の形成が困難になるため好ましくない。
【0028】
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、含フッ素環構造を有するモノマーを重合して得られるものや、少なくとも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
【0029】
含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特公昭63−18964号公報等により知られている。即ち、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを単独重合することにより、またこのモノマーをテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニールエーテル)などのラジカル重合性モノマーと共重合することにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0030】
また、少なくとも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特開昭63−238111号公報や特開昭63−238115号公報等により知られている。即ち、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等のモノマーを環化重合することにより、またはこのようなモノマーをテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニールエーテル)などのラジカル重合性モノマーと共重合することにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0031】
また、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーとパーフルオロ(アリルビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等の少なくとも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーとを共重合することによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0032】
上記の含フッ素脂肪族環構造を有する重合体としては、具体的には以下の(I)〜(IV)式から選ばれる繰り返し単位を有する含フッ素重合体、または以下の(I)〜(IV)式から選ばれる繰り返し単位および(V)式の繰り返し単位を有する含フッ素重合体が例示される。なお、これらの含フッ素脂肪族環構造を有する重合体中のフッ素原子は、屈折率を高めるために一部塩素原子で置換されていてもよい。
【0033】
【化1】
Figure 0004095122
【0034】
[上記(I)〜(IV)式において、sは0〜5、tは0〜4、uは0〜1、s+t+uは1〜6、p,q,rはそれぞれ0〜5、p+q+rは1〜6、RはFまたはCF3、R1はFまたはCF3、R2はFまたはCF3、X1はFまたはCl、X2はFまたはCl、X3はFまたはClである。]
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、主鎖に環構造を有する重合体が好適であり、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体の全重合単位に対して環構造を有する重合単位を20モル%以上、好ましくは40モル%以上含有するものが透明性、機械的特性等の面から好ましい。
【0035】
物質(b)は、含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001以上である少なくとも1種類の物質で、含フッ素重合体(a)と同様な理由から実質的にC−H結合を有しないものである。物質(b)は、含フッ素重合体(a)よりも高屈折率であっても低屈折率であってもよい。光ファイバー等においては通常は含フッ素重合体(a)よりも高屈折率の物質を用いる。
【0036】
物質(b)としては、低分子化合物、オリゴマー、ポリマーいずれであってもく、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のハロゲン原子、ベンゼン環等の芳香族環、エーテル結合等の結合基を含むものが好ましい。物質(b)は、通常含フッ素重合体(a)のガラス転移温度を低下させる物質から選ばれ、また含フッ素重合体(a)との屈折率の差は0.005以上であることが好ましい。
【0037】
物質(b)は、含フッ素重合体(a)との比較において、溶解性パラメータの差が7(cal/cm3)1/2以内であることが好ましい。ここで溶解性パラメータとは物質間の混合性の尺度となる特性値であり、溶解性パラメータをδ、物質の分子凝集エネルギーをE、分子容をVとして、式δ=(E/V)1/2で表される。
【0038】
低分子化合物としては、例えば炭素原子に結合した水素原子を含まないハロゲン化芳香族炭化水素がある。特に、ハロゲン原子としてフッ素原子のみを含むハロゲン化芳香族炭化水素やフッ素原子と他のハロゲン原子を含むハロゲン化芳香族炭化水素が、含フッ素重合体(a)との相溶性の面で好ましい。また、これらのハロゲン化芳香族炭化水素は、カルボニル基、シアノ基などの官能基を有していないことがより好ましい。
【0039】
このようなハロゲン化芳香族炭化水素としては、例えば式Φr−Zb[Φrは水素原子のすべてがフッ素原子に置換されたb価のフッ素化芳香環残基、Zはフッ素以外のハロゲン原子、−Rf、−CO−Rf、−O−Rf、あるいは−CN。ただし、Rfはパーフルオロアルキル基、ポリフルオロパーハロアルキル基、または1価のΦr。bは0または1以上の整数。]で表される化合物がある。芳香環としてはベンゼン環やナフタレン環がある。Rfであるパーフルオロアルキル基やポリフルオロパーハロアルキル基の炭素数は5以下が好ましい。フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子や臭素原子が好ましい。
【0040】
具体的な化合物としては例えば、1,3−ジブロモテトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモテトラフルオロベンゼン、2−ブロモテトラフルオロベンゾトリフルオライド、クロロペンタフルオロベンゼン、ブロモペンタフルオロベンゼン、ヨードペンタフルオロベンゼン、デカフルオロベンゾフェノン、パーフルオロアセトフェノン、パーフルオロビフェニル、クロロヘプタフルオロナフタレン、ブロモヘプタフルオロナフタレンなどがある。
【0041】
オリゴマーやポリマーである物質(b)としては、前記したような含フッ素重合体(a)を形成するモノマーの重合体からなり、含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001以上であるオリゴマーやポリマーであってもよい。このモノマーとしては、含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001以上であるオリゴマーやポリマーを形成するものから選ばれる。たとえば、屈折率の異なる2種の含フッ素重合体(a)を用い、一方の重合体(a)を物質(b)として他の重合体(a)中に分布させることができる。
【0042】
オリゴマーやポリマーである物質(b)としては、前記(I)〜(V)の繰り返し単位を有するものの内、組み合される含フッ素重合体(a)とは異なる屈折率を有する含フッ素重合体(例えば、ハロゲン原子としてフッ素原子のみを含む含フッ素重合体とフッ素原子と塩素原子を含む含フッ素重合体との組み合せ、異なる種類や異なる割合の2以上のモノマーを重合して得られた2種の含フッ素重合体の組み合せなど)が好ましい。
【0043】
また、上記のごとき主鎖に環構造を有する含フッ素重合体以外に、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどの水素原子を含まないモノマーからなるオリゴマー、これらモノマー2種以上からなる共重合オリゴマーなども物質(b)として使用できる。また、−CF2CF(CF3)O−や−(CF2nO−(nは1〜3の整数)の構造単位を有するパーフルオロポリエーテルなども使用できる。これらオリゴマーの分子量は、非結晶性となる分子量範囲から選ばれ、数平均分子量300〜10,000が好ましい。拡散のしやすさを考慮すると、数平均分子量300〜5000がさらに好ましい。
【0044】
特に好ましい物質(b)は、含フッ素重合体(a)特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体との相溶性が良好であることなどから、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーである。相溶性が良好であることにより、含フッ素重合体(a)、特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体、とクロロトリフルオロエチレンオリゴマーとを200〜300℃で加熱溶融により容易に混合させることができる。又、含フッ素溶媒に溶解させて混合した後、溶媒を除去することにより両者を均一に混合させることができる。クロロトリフルオロエチレンオリゴマーの好ましい分子量は、数平均分子量500〜1500である。
【0045】
本発明の光学樹脂材料は、含フッ素重合体(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有して分布しているために、その分布状況によっては光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一とならないことがある。この場合、含フッ素重合体(a)中に物質(c)を分布させることにより、物質(b)の濃度分布によって変化した光学樹脂材料のガラス転移温度を修正でき、光学樹脂材料全体のガラス転移温度を実質的に均一とできる。
【0046】
通常物質(b)と(c)はいずれも、含フッ素重合体(a)のガラス転移温度を低下させる物質から選ばれる。含フッ素重合体(a)中で物質(b)の濃度が低いためにガラス転移温度が高くなる領域は、物質(c)を分布させ物質(b)と(c)を混在させることによりガラス転移温度を低下させることができる。また、含フッ素重合体(a)中で物質(b)または物質(c)のみが分布する領域がある場合には、これらの領域と物質(b)と(c)が混在する領域のガラス転移温度が実質的に均一となるように、物質(b)と(c)の種類や濃度を選択する。図1に含フッ素重合体(a)と物質(c)の混合物のガラス転移温度(Tg)が混合物中の物質(c)の濃度が高くなるに従い低下する関係を示す。
【0047】
したがって、例えば含フッ素重合体(a)のガラス転移温度を低下させる度合いが同じである物質(b)と(c)を使用し、含フッ素重合体(a)全体に物質(b)と(c)が分布している場合、物質(b)と(c)の合計の濃度を含フッ素重合体(a)全体で等しくするように両物質を分布させれば光学樹脂材料全体のガラス転移温度を実質的に均一とできる。含フッ素重合体(a)のガラス転移温度を低下させる度合いが物質(b)と(c)で異なる場合には、含フッ素重合体(a)中の両物質の分布の度合を調節することにより光学樹脂材料全体のガラス転移温度を実質的に均一とできる。
【0048】
なお、「含フッ素重合体(a)、物質(b)および物質(c)の混合物」、「含フッ素重合体(a)と物質(b)の混合物」または「含フッ素重合体(a)と物質(c)を混合物」は均一な混合物とすることにより、これらの混合物には一定のガラス転移温度が存在する。
【0049】
上記の本発明製造法(2)において、ノズル中心部に供給する材料は通常含フッ素重合体(a)と物質(b)の混合物からなり、外周部に供給する材料は通常含フッ素重合体(a)からなる。同様に本発明製造法(3)において、プリフォームのコア部に相当する部分の材料は通常含フッ素重合体(a)と物質(b)の混合物からなり、プリフォームのクラッド部に相当する部分の材料は通常含フッ素重合体(a)からなる。
【0050】
ノズル中心部に供給する材料のガラス転移温度と外周部に供給する材料のガラス転移温度を実質的に均一にするためには、外周部に供給する含フッ素重合体(a)中に含フッ素重合体(a)と相溶性のある物質(c)を混合することが有効である。同様にプリフォームのコア部に相当する部分の材料のガラス転移温度とプリフォームのクラッド部に相当する部分の材料のガラス転移温度を実質的に均一にするためには、クラッド部に相当する部分の含フッ素重合体(a)中に含フッ素重合体(a)と相溶性のある物質(c)を混合することが有効である。
【0051】
本発明製造法(2)の好ましい例は、ノズル中心部に供給する材料を、含フッ素重合体(a)と物質(b)の混合物または物質(b)とし、ノズル外周部に供給する材料を、含フッ素重合体(a)と物質(c)を溶融混合して得た均一な混合物とする、ノズル中心部と外周部の2層からなる押し出し溶融成形法である。この場合、含フッ素重合体(a)と物質(c)の混合物の溶融液の中心部に、含フッ素重合体(a)と物質(b)の混合物または物質(b)を注入し、物質(b)および物質(c)を拡散させながら、または拡散させた後に成形する方法が好ましい。
【0052】
光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一である光学樹脂材料を得るために、本発明製造法(2)においてノズル中心部に供給する材料のガラス転移温度とノズル外周部に供給する材料のガラス転移温度を予め実質的に均一にする。
【0053】
本発明の光学樹脂材料が物質(c)を含む場合、上記好ましい方法の様に光学樹脂材料の中心部から周辺部に向かって物質(b)が拡散する状況においては、それと同時に周辺部から中心に向かって物質(c)が拡散するため、光学樹脂材料全体として均一なガラス転移温度が保持される。すなわち、中心部から周辺部に向かって物質(b)が拡散すると、通常ガラス転移温度は通常中心部から周辺部に向かって変化するが、この変化分を補う様に周辺部から中心に向かって物質(c)が拡散されてくるため、本発明製造法(2)においてノズル中心部に供給する重合体のガラス転移温度とノズル外周部に供給する重合体のガラス転移温度を予め実質的に均一にしておけば、最終的に光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一である光学樹脂材料が得られる。
【0054】
ノズル中心部に供給する材料あるいはノズル外周部に供給する材料は、1層のみならず多層に注入してもよい。成形方法には光ファイバーのプリフォーム等のごときロッド状母材を成形するために適する押出溶融成形、光ファイバーを成形するために適する溶融紡糸成形等がある。
【0055】
本発明製造法(3)において、プリフォームにはある程度以上の屈折率分布を形成しておくことが好ましい。プリフォームにはある程度以上の屈折率分布を形成しておくことにより、プリフォームから屈折率分布型光ファイバーを製造する効率が向上する。本発明製造法(3)の好ましい例には、以下の(4)〜(6)の方法がある。
【0056】
(4)回転ガラス管などの回転管を利用して中空状の含フッ素重合体(a)と物質(c)の均一混合体からなり、プリフォームのクラッド部に相当する管(チューブ)を形成し、この管の内部に物質(b)を均一に含む含フッ素重合体(a)からなり、プリフォームのコア部に相当するロッドを挿入した後、両者を熱融着させて一体化してプリフォームを製造する方法。
【0057】
上記(4)の方法においては、熱融着時に物質(b)および物質(c)の拡散を起こしてもよく、またその後の線引き工程時に拡散を起こさせてもよい。また、プリフォームのクラッド部に相当する管の製造法としては他にも、アルミ管を心棒としてその回りに含フッ素重合体(a)と物質(c)の均一混合体からなる管を形成し、後にそのアルミ管を酸で溶解除去する方法や、ガラス管を心棒として成形し、後にフッ化水素酸でガラス管を溶解除去する方法などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
(5)含フッ素重合体(a)と物質(c)の均一混合体からなり、上記(4)の方法と同様にして得た管を型として、その内面に物質(b)を均一に含む含フッ素重合体(a)からなり、プリフォームのコア部に相当する少なくとも1つの層を回転成形により形成し、内外少なくとも2層の構成を有する円筒状ないし円柱状の成形物からなるプリフォームを製造する方法。
【0059】
(6)上記(5)の方法で外層となる成形体を回転成形により成形すると共に、引き続き物質(b)を均一に含む含フッ素重合体(a)からなる内層を回転成形により形成し、内外少なくとも2層の構成を有する円筒状ないし円柱状の成形物からなるプリフォームを製造する方法。
【0060】
光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一である光学樹脂材料を得るために、本発明製造法(3)においてプリフォームのコア部に相当する部分の材料のガラス転移温度とプリフォームのクラッド部に相当する部分の材料のガラス転移温度を予め実質的に均一にする。
【0061】
本発明の光学樹脂材料が物質(c)を含む場合、例えば上記(4)の方法で光学樹脂材料の中心部から周辺部に向かって物質(b)が拡散する状況において、それと同時に周辺部から中心に向かって物質(c)が拡散するため、光学樹脂材料全体として均一なガラス転移温度が保持される。すなわち、中心部から周辺部に向かって物質(b)が拡散すると、通常ガラス転移温度は通常中心部から周辺部に向かって変化するが、この変化分を補う様に周辺部から中心に向かって物質(c)が拡散されてくるため、本発明製造法(3)においてプリフォームのコア部に相当する部分の材料のガラス転移温度とプリフォームのクラッド部に相当する部分の材料のガラス転移温度を予め実質的に均一にしておけば、最終的に光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一である光学樹脂材料が得られる。物質(c)は、含フッ素重合体(a)と同様な理由から実質的にC−H結合を有しない物質であることが好ましい。また、上述の通り物質(b)の分布により変化する光学樹脂材料のガラス転移温度を修正するものである。物質(c)は、含フッ素重合体(a)よりも高屈折率であっても低屈折率であってもよい。通常、光ファイバー等においては物質(b)の拡散による屈折率分布を阻害しないために、含フッ素重合体(a)よりも低屈折率、または含フッ素重合体(a)と同程度の屈折率を持つ物質を用いる。
【0062】
物質(c)の屈折率は、含フッ素重合体(a)および物質(b)との関係において下記式 (1) (2) (3)または(4) を満足するものから選ばれる。
【0063】
(1) 物質(c)の屈折率≦含フッ素重合体(a)の屈折率<物質(b)の屈折率(2) 含フッ素重合体(a)の屈折率≦物質(c)の屈折率<物質(b)の屈折率(3) 物質(c)の屈折率≧含フッ素重合体(a)の屈折率>物質(b)の屈折率(4) 含フッ素重合体(a)の屈折率≧物質(c)の屈折率>物質(b)の屈折率光ファイバー等においては、ファイバー中心部と外周部の屈折率の差が大きくとれ、光ファイバーを折り曲げた際の伝送損失を抑制できることから、上記 (1)〜(4) のうち、 (1)または(3) を満足するものが好ましい。
【0064】
物質(c)としては、前述の物質(b)として挙げた低分子化合物、オリゴマーおよびポリマーから選ばれるものが好ましい。物質(c)は、物質(b)と同様に含フッ素重合体(a)との比較において、溶解性パラメータの差が7(cal/cm3)1/2以内であることが好ましい。
【0065】
物質(c)がオリゴマーの場合、その分子量は非結晶性となる分子量範囲から選ばれ、数平均分子量300〜10,000が好ましい。これらの化合物は成形条件において拡散することが好ましく、ガラス転移温度を調整するのに十分な量を均一に混合するためには、含フッ素重合体(a)との相溶性を考慮すると、数平均分子量500〜5000がさらに好ましい。
【0066】
特に好ましい物質(c)は、含フッ素重合体(a)特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体との相溶性が良好であること等から、パーフルオロポリエーテルである。相溶性が良好であることにより、含フッ素重合体(a)、特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体、とパーフルオロポリエーテルとを200〜300℃で加熱溶融により容易に混合させることができる。又、含フッ素溶媒に溶解させて混合した後、溶媒を除去することにより両者を均一に混合させることができる。パーフルオロポリエーテルの好ましい分子量は、数平均分子量500〜5000である。
【0067】
本発明の光学樹脂材料は屈折率分布型光ファイバーであることが最も好ましい。この光ファイバーにおいて、物質(b)は含フッ素重合体(a)中に中心から周辺方向に沿って濃度勾配を有して分布している。好ましくは、物質(b)が含フッ素重合体(a)よりも高屈折率の物質であり、この物質(b)が光ファイバーの中心から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している光ファイバーである。ある場合には物質(b)が含フッ素重合体(a)よりも低屈折率の物質であり、この物質が光ファイバーの周辺から中心方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布している光ファイバーも有用である。前者の光ファイバーなどの光伝送体は通常物質(b)を中心に配置し周辺方向に向かって拡散させることにより製造できる。後者の光ファイバーなどの光伝送体は物質(b)を周辺から中心方向に拡散させることによって製造できる。
【0068】
本発明の光学樹脂材料は光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一であることにより、製造後冷却する際に発生する熱膨張率差に伴うマイクロボイドの生成が抑制され、散乱損失が低く抑えられる。本発明においてガラス転移温度を実質的に均一にするとは、上記冷却時に発生する熱膨張率差に伴うマイクロボイドの生成が抑制されれば、ガラス転移温度が多少相違していてもよい意味である。マイクロボイドの生成を抑制するためには冷却速度が重要であり、冷却速度が速くなればなる程、ガラス転移温度をできるだけ均一に近づける必要がある。
【0069】
また、物質(c)による可塑化効果により、一定温度における溶融粘度が含フッ素重合体(a)単独の場合よりも低下するため、低温、短時間で物質(b)の拡散が可能となり、従来と比較して生産性向上、あるいは成形に伴う素材の熱劣化の大幅な低減をもたらす等の効果がある。
【0070】
本発明の光学樹脂材料である光伝送体は、波長700〜1,600nmで、100mの伝送損失が100db以下とすることができる。特に主鎖に脂肪族環構造を有する含フッ素重合体では同様な波長で、100mの伝送損失が50db以下とすることができる。波長700〜1,600nmという比較的長波長において、このような低レベルの伝送損失であることは極めて有利である。すなわち、石英光ファイバーと同じ波長を使えることにより、石英光ファイバーとの接続が容易であり、また波長700〜1,600nmよりも短波長を使わざるをえない従来のプラスチック光ファイバーに比べ、安価な光源で済むという利点がある。本発明の光学樹脂材料製造において、樹脂の成形と屈折率分布の形成は同時であっても別々であってもよい。たとえば、紡糸や押し出し成形等により屈折率分布を形成すると同時に屈折率分布を形成して本発明光学樹脂材料を製造できる。また、紡糸や押し出し成形で樹脂の成形を行った後、屈折率分布を形成することができる。さらに、屈折率分布を有するプリフォーム(母材)を製造し、このプリフォームを成形(たとえば紡糸)して光ファイバー等の光学樹脂材料を製造できる。なお、前記のように本発明光学樹脂材料は、上記屈折率分布を有するプリフォームをも意味する。
【0071】
【実施例】
「合成例1」
パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)[PBVE]の35g、イオン交換水の150g、及び重合開始剤として((CH3)2CHOCOO)2の90mgを、内容積200mlの耐圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を3回窒素で置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行った。その結果、数平均分子量約1.5×105の重合体(以下、重合体Aという)を28g得た。
【0072】
重合体Aの固有粘度[η]は、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[PBTHF]中30℃で0.50であった。重合体Aのガラス転移点は108℃であり、室温ではタフで透明なガラス状の重合体であった。また10%熱分解温度は465℃であり、溶解性パラメーターは5.3(cal/cm3)1/2であり、屈折率は1.34であった。
【0073】
「参考例1」
−CF2CF(CF3)O−、−(CF2)O−および−(CF2)2O−の構造単位を有するパーフルオロポリエーテル(屈折率1.29、数平均分子量1800、以下PFPEという)と重合体Aをガラス管中に真空封管して、250℃で溶融混合させて混合重合体を得た。PFPEの含有量を、5〜30重量%まで5重量%刻みに混合比を変えたところ、30重量%までは均一透明な混合重合体が得られることを確認した。これらの混合重合体に対して、アッベの屈折率計で屈折率を、DSCでガラス転移温度の測定を行った結果、屈折率は含有量と共に緩やかに低下し、ガラス転移温度はほぼ直線的に低下することを見い出した。図1に結果のグラフを示す。
【0074】
「実施例1」
重合体AをPBTHF溶媒中で溶解し、これに屈折率1.52であり重合体Aとの溶解性パラメーターの差が3.2(cal/cm3)1/2である1,3−ジブロモテトラフルオロベンゼン(DBTFB)を12重量%量添加し混合溶液を得た。この溶液を脱溶媒し透明な混合重合体(以下、重合体Bという)を得た。この重合体Bのガラス転移温度は82℃であった。
【0075】
さらに重合体AにPFPEを12重量%溶融混合した均一透明な混合重合体(以下、重合体Cという)を得た。この重合体Cのガラス転移温度は82℃であった。その重合体Cを250℃で溶融させ、その中心に溶融液の重合体Bを注入しながら250℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバーが得られた。
【0076】
得られた光ファイバーの光伝送特性は、780nmで150dB/km、1550nmで80dB/kmであり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバーであることを確かめた。またこのファイバーを液体窒素で冷却して割断した面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、散乱の原因となる様なマイクロボイド等の不均一構造は一切観察されなかった。
【0077】
「実施例2」
DBTFBを12重量%用いる代わりに数平均分子量800のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)オリゴマーを12重量%用いる以外実施例1と同様な方法で光ファイバーを得た。このオリゴマーの屈折率は1.41であり、重合体Aとの溶解性パラメーターの差は1.4(cal/cm3)1/2であった。得られた光ファイバーは屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下していた。
【0078】
この光ファイバーの光伝送特性は、780nmで100dB/km、1550nmで65dB/kmであり、可視光から近赤外までの光を良好に伝達できる光ファイバーであることを確かめた。なお、重合体Aに上記数平均分子量800のクロロトリフルオロエチレン(CTFE)オリゴマーを12重量%溶融混合した重合体は、均一透明な混合重合体でありこのガラス転移温度は82℃であった。
「実施例3」
重合体Aと15重量%PFPEをガラス管中に真空封管して250℃で溶融混合し、均一な混合重合体(以下、重合体Dという)を得た。この重合体Dのガラス転移温度は76℃であった。この重合体Dを同心円状に2重構造を持つガラス管の一層目と、2層目の隙間に250℃で溶融させて溶かし落とした。これを冷却後、外側のガラス管は割り、中心のガラス管は中空管の内壁を傷つけないために、50%のフッ化水素酸で溶解させて取り除いた。こうして外径17mm、内径9mmの重合体Dの中空管を得た。
【0079】
さらに、重合体Aと数平均分子量1000のCTFEオリゴマー15重量%をガラス管中に真空封管して、250℃で溶融混合し均一な混合重合体(以下、重合体Eという)の直径8mmのロッドを得た。この重合体Eのガラス転移温度は76℃であった。
【0080】
こうして得られた重合体Dの中空管に、重合体Eのロッドを挿入し、中空管の外側に熱収縮チューブを装着した後、全体をガラス管中に真空封管して、200℃にて重合体Dの中空管と重合体Eのロッドを熱融着させてプリフォーム(以下、プリフォームFという)を得た。このプリフォームFを240℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバーが得られた。
【0081】
得られた光ファイバーの光伝送特性は、780nmで100dB/km、1550nmで70dB/kmであり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0082】
「実施例4」
PBVE90部とCTFE10部とを重合することにより数平均分子量約2×105の重合体(以下、重合体Gという)を得た。重合体Gのガラス転移温度は100℃であった。重合体Gに数平均分子量1800のPFPEを溶融均一混合してそのPFPE含量が12重量%となるような混合重合体(以下、重合体Hという)を得た。重合体Hのガラス転移温度は75℃であった。
【0083】
この重合体Hをガラス管中に真空封管した後、水平にセットした中空電気炉に挿入して、両端にベアリングを、一端にモーターを取り付けた。2000rpmの回転数で水平に回転させながら、300℃で加熱することにより、ガラス管内壁に重合体Hが均一に積層された。これを回転しながら徐々に冷却した後、外側のガラス管を取り除くことにより、重合体Hの中空管を得た。
【0084】
この重合体Hの中空管中に実施例3と同様にして作成した重合体Eのロッドを挿入して、プリフォーム(以下、プリフォームIという)を得た。このプリフォームIを210℃で溶融紡糸することにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバーが得られた。
【0085】
得られた光ファイバーの光伝送特性は、780nmで150dB/km、1550nmで80dB/kmであり、可視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0086】
「比較例1」
屈折率分布型プラスチック光ファイバーにおいて、PMMAの光伝送損失は波長650nmで約400dB/km、また波長780nm、1300nm、1550nmでは非常に伝送損失が大きく光伝送体としては実用性がないものであった。
【0087】
又、段階屈折率型プラスチック光ファイバーにおいて、コアとクラッドが含フッ素樹脂光ファイバーは可視光から近赤外光までの光を伝送可能だが、その光伝送損失は約300dB/kmと報告されている。
【0088】
これに比較して本発明による屈折率分布型透明フッ素樹脂光ファイバーは可視光から近赤外光までの光を極めて低損失に伝送することが可能である。
【0089】
「比較例2」
PFPEを加えない以外は「実施例1」と同様にしてつくったファイバーの場合には、中心部のガラス転移温度が82℃であるのに対して、外周部のガラス転移温度は108℃となり、得られた光ファイバーの光伝送特性は、780nmで400dB/km、1550nmで280dB/kmとなり、PFPEを加えた場合の数倍以上の伝送損失増加をもたらした。また、このファイバーの割断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、ファイバー内に多くのマイクロボイドが発生していることが確認された。
【0090】
【発明の効果】
本発明の光学樹脂材料は、非結晶性のフッ素樹脂を利用しかつマイクロボイド等の発生が抑制されているため、プラスチック光伝送体において紫外光から近赤外光までの光を極めて低損失に伝送することが可能になった。
【0091】
特に屈折率分布型光ファイバーはファイバー径が大きいにもかかわらずフレキシブルで分岐・接続が容易であるため短距離光通信用に最適であるが、これまで実用可能な低損失の光ファイバーは提案されなかった。本発明は短距離光通信用に実用可能な低損失の光ファイバーを提供するものである。
【0092】
又、本発明の光学樹脂材料は、自動車のエンジンルーム、OA機器、プラント、家電等での過酷な使用条件に耐える、耐熱性、耐薬品性、耐湿性、不燃性を備えるプラスチック光伝送体を提供するものである。更に、本発明の光学樹脂材料は、光ファイバーのみならず平板型やロッド型のレンズとしても利用可能である。その場合、中心部から周辺部への屈折率変化を低くするか高くするかにより、凸レンズ及び凹レンズとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重合体AとPFPEの均一透明混合物における、PFPE含有率と屈折率、及びガラス転移温度の相関を示す図。

Claims (5)

  1. 実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)
    と、含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001以上である少なくとも1種類の実質的にC−H結合を有しない物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光学樹脂材料であって、その中心部と外周部とに関わらず、光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一であることを特徴とする光学樹脂材料。
  2. 含フッ素重合体(a)中に実質的にC−H結合を有せず、物質(b)の分布により変化する光学樹脂材料のガラス転移温度を修正する物質(c)
    が分布している請求項1に記載の光学樹脂材料。
  3. 含フッ素重合体(a)が主鎖に環構造を有する含フッ素重合体である請求項1または2に記載の光学樹脂材料。
  4. 光学樹脂材料が屈折率分布型光ファイバー製造用のプリフォームまたは屈折率分布型光ファイバーである請求項1、2または3に記載の光学樹脂材料。
  5. 実質的にC−H結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体(a)
    と、含フッ素重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001以上である少なくとも1種類の実質的にC−H結合を有しない物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光学樹脂材料を、2層以上の多層押し出し溶融成形法で製造するに当たり、ノズル中心部に供給する材料のガラス転移温度と、外周部に供給する材料のガラス転移温度を実質的に均一にすることにより中心部と外周部とに関わらず、光学樹脂材料全体のガラス転移温度が実質的に均一である光学樹脂材料を得ることを特徴とする光学樹脂材料の製造法。
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