JP2002311254A - 屈折率分布型光学樹脂材料の製造方法 - Google Patents

屈折率分布型光学樹脂材料の製造方法

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JP2002311254A
JP2002311254A JP2002008228A JP2002008228A JP2002311254A JP 2002311254 A JP2002311254 A JP 2002311254A JP 2002008228 A JP2002008228 A JP 2002008228A JP 2002008228 A JP2002008228 A JP 2002008228A JP 2002311254 A JP2002311254 A JP 2002311254A
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refractive index
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polymer
fluoropolymer
monomer
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JP2002008228A
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Yasuhiro Koike
康博 小池
Masaki Narutomi
正樹 成富
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐湿性、耐薬品性、不燃性を有
し、紫外光から近赤外光までの光を極めて低損失に伝送
することを可能とする新規な屈折率分布型光学樹脂材料
をモノマーを用いて製造する方法を提供する。 【解決手段】 実質的にC−H結合を有しない非結晶性
の含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との
比較において屈折率が0.001以上高い少なくとも1
種類の物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中
に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有して分
布している屈折率分布型光学樹脂材料を、物質(b)ま
たは物質(b)を形成するモノマーと含フッ素重合体
(a)を形成するモノマーとの混合物を重合させること
によって製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来の光学樹脂では実
現が困難であった、高い透明性と耐熱性を合わせ持った
屈折率分布型光学樹脂材料(以下、光学樹脂材料と略す
ことがある)の製造法に関するものである。
【0002】本発明における光学樹脂材料は、それ自身
が光ファイバー等の光伝送体であってもよく、また光フ
ァイバーのプリフォーム等の光伝送体の母材であっても
よい。
【0003】本発明における光学樹脂材料である光伝送
体は、非結晶樹脂であるため光の散乱がなくしかも紫外
光から近赤外光まで広範囲の波長帯で透明性が非常に高
いため、多種多様な波長の光システムに有効利用が可能
である。特に光通信分野において幹線石英ファイバーに
利用されている波長である1300nm、1550nm
で低損失である光伝送体を与えるものである。
【0004】また本発明における光学樹脂材料である光
伝送体は、自動車のエンジンルーム等での過酷な使用条
件に耐える、耐熱性、耐薬品性、耐湿性、不燃性を備え
るものである。
【0005】本発明における光学樹脂材料である光伝送
体は、屈折率分布型の光ファイバー、ロッドレンズ、光
導波路、光分岐器、光合波器、光分波器、光減衰器、光
スイッチ、光アイソレーター、光送信モジュール、光受
信モジュール、カップラー、偏向子、光集積回路等の多
岐にわたる屈折率分布型光伝送体として有用である。こ
こで、屈折率分布とは光伝送体の特定の方向に沿って屈
折率が連続的に変化する領域を意味し、例えば屈折率分
布型光ファイバーの屈折率分布は、ファイバーの中心か
ら半径方向に向かって屈折率が放物線に近い曲線で低下
している。
【0006】本発明における光学樹脂材料が光伝送体の
母材の場合は、これを熱延伸等で紡糸して、屈折率分布
型光ファイバー等の光伝送体を製造できる。
【0007】
【従来の技術】従来より知られている屈折率分布型プラ
スチック光伝送体用の樹脂としては、メチルメタクリレ
ート系樹脂を代表とした光学樹脂や、WO94/049
49に記載されたテトラフルオロエチレン樹脂やビニリ
デンフルオライド樹脂が提案されている。
【0008】段階屈折型プラスチック光ファイバーとし
てはコアをメチルメタクリレート樹脂、スチレン樹脂、
カーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等の光学樹脂を使
用し、クラッドを含フッ素ポリマーとする提案が多くな
されている。また特開平2−244007号公報にはコ
アとクラッドに含フッ素樹脂を用いた提案もされてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、メチルメタ
クリレート樹脂、カーボネート樹脂、ノルボルネン樹脂
等の光伝送体では達し得なかった、自動車、オフィスオ
ートメーション(OA)機器、家電機器用途等で要求さ
れる耐熱性、耐湿性、耐薬品性、不燃性を有する光学樹
脂材料の製造方法を提供するものである。
【0010】また本発明は、メタクリレート樹脂、カー
ボネート樹脂、ノルボルネン樹脂等の光伝送体では達し
得なかった紫外光(波長200nmから400nm)と
近赤外光(波長700nmから2500nm)を利用可
能とし、さらに広範囲の伝送領域帯で低い光伝送損失を
もつ光学樹脂材料の製造方法を新規に提供することを目
的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
の認識に基づいて鋭意検討を重ねた結果、耐熱性、耐湿
性、耐薬品性、不燃性を付与しかつ近赤外光で光吸収が
起こるC−H結合(すなわち、炭素−水素結合)をなく
すためにはC−H結合を実質的に含まない含フッ素重合
体が最適であるとの知見を得た。この含フッ素重合体は
C−H結合の代わりにC−F結合(すなわち、炭素−フ
ッ素結合)を有する。
【0012】すなわち、物質に光を照射すると、ある原
子間の結合の伸縮振動や、変角振動と共鳴振動する波長
の光が、優先的に吸収されることになる。これまでプラ
スチック光ファイバーに用いられた高分子物質は主にC
−H結合を有する化合物であった。このC−H結合を基
本とする高分子物質では、水素原子が軽量で振動しやす
いために、基本吸収は、赤外域に短波長側(3400n
m)に現れる。従って、光源の波長である近赤外〜赤外
域(600〜1550nm)では、このC−H伸縮振動
の比較的低倍音吸収がとびとびに現れ、これが吸収損失
の大きな原因になっている。
【0013】そこで水素原子をフッ素原子に置換する
と、それらの倍音吸収ピークの波長は長波長側に移動
し、近赤外域での吸収量が減少する。理論値から見れ
ば、C−H結合を有するPMMA(ポリメチルメタアク
リレート)の場合には波長650nmにおいてC−H結
合の吸収損失は、105dB/kmと見積もられてお
り、波長1300nmにおいては10000dB/km
以上になる。
【0014】一方、水素原子をフッ素原子に置き換えた
物質では波長650nmでは実質的に吸収による損失は
なく、波長1300nmにおいてもC−F結合の伸縮振
動の6倍音と7倍音の間で、1dB/kmのオーダーで
あり吸収損失はないと考えてよい。そのために我々はC
−F結合を有する化合物を用いることを提案する。
【0015】また、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、不燃性
を阻害する要因となるカルボキシル基やカルボニル基等
の官能基を除外することが望ましい。また、カルボキシ
ル基があると近赤外光の光吸収があり、カルボニル基が
あると紫外光の光吸収があるため、これらの基を除外す
ることが望ましい。さらに光の散乱による伝送損失を低
減するためには非結晶性の重合体にする事が重要であ
る。
【0016】更に、段階屈折率型光ファイバーの場合、
マルチモードの光はコアとクラッドの界面で反射されな
がら伝搬する。そのためモード分散が起こり伝送帯域が
低下する。しかし屈折率分布型光ファイバーではモード
分散が起こりにくく伝送帯域は増加する。
【0017】そこで光学樹脂材料として実質的にC−H
結合を有しない非結晶性の含フッ素重合体、特に主鎖に
環構造を有する含フッ素重合体と、該重合体に比較して
屈折率の異なる物質の濃度が特定の方向に勾配を有する
光学樹脂材料を見出し、さらにその光学樹脂材料を含フ
ッ素重合体を形成し得るモノマーを用いて製造する方法
を新規に見出し、下記本発明(イ)および(ロ)に至っ
た。
【0018】(イ)実質的にC−H結合を有しない非結
晶性の含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)
との比較において屈折率が0.001以上高い少なくと
も1種類の物質(b)とからなり、含フッ素重合体
(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を
有して分布している屈折率分布型光学樹脂材料の製造方
法であって、中空状の含フッ素重合体(a)からなる管
の内部に物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を形成
するモノマーを密封し、管を回転しながら該モノマーを
重合させることを特徴とする屈折率分布型光学樹脂材料
の製造方法。
【0019】(ロ)実質的にC−H結合を有しない非結
晶性の含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)
との比較において屈折率の差が0.001以上である少
なくとも1種類の重合体である物質(b)とからなり、
含フッ素重合体(a)中に物質(b)が特定の方向に沿
って濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光学樹
脂材料の製造方法であって、含フッ素重合体(a)を形
成するモノマーと物質(b)を形成するモノマーであっ
てかつそれらのモノマーの反応性が異なる2種のモノマ
ーを用いて、生成する含フッ素重合体(a)と物質
(b)の組成比が周辺部から中心に向かって連続的に変
化するように重合反応を進行させることを特徴とする屈
折率分布型光学樹脂材料の製造方法。
【0020】含フッ素重合体として、従来よりテトラフ
ルオロエチレン樹脂、パーフルオロ(エチレン−プロピ
レン)樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂、ビニリデン
フルオライド樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン
樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂等が広く知られ
ている。しかしながら、これらの含フッ素樹脂は結晶性
を有するため、光の散乱が起こり、透明性が良好でな
く、プラスチック光伝送体の材料としては好ましくな
い。
【0021】これに対して、非結晶性の含フッ素重合体
は、結晶による光の散乱がないため、透明性に優れる。
本発明における含フッ素重合体(a)としては、モノマ
ーからその場で重合して製造されるC−H結合を有しな
い非結晶性の含フッ素重合体であれば何ら限定されない
が、主鎖に環構造を有する含フッ素重合体が好ましい。
主鎖に環構造を有する含フッ素重合体としては、含フッ
素脂肪族環構造、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリ
アジン環構造または含フッ素芳香族環構造を有する含フ
ッ素重合体が好ましい。含フッ素脂肪族環構造を有する
含フッ素重合体では含フッ素脂肪族エーテル環構造を有
するものがさらに好ましい。
【0022】含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重
合体は、含フッ素イミド環構造、含フッ素トリアジン環
構造または含フッ素芳香族環構造を有する含フッ素重合
体に比べ、後述の熱延伸または溶融紡糸によるファイバ
ー化に際してもポリマー分子が配向しにくく、その結果
光の散乱を起こすこともないなどの理由から、より好ま
しい重合体である。
【0023】含フッ素重合体(a)の溶融状態における
粘度は、溶融温度200℃〜300℃において103
105ポイズが好ましい。溶融粘度が高過ぎると溶融紡
糸が困難なばかりでなく、屈折率分布の形成に必要な、
物質(b)の拡散が起こりにくくなり屈折率分布の形成
が困難になる。また、溶融粘度が低過ぎると実用上問題
が生じる。すなわち、電子機器や自動車等での光伝送体
として用いられる場合に高温にさらされ軟化し、光の伝
送性能が低下する。
【0024】含フッ素重合体(a)の数平均分子量は、
10,000〜5000,000が好ましく、より好ま
しくは50,000〜1000,000である。分子量
が小さ過ぎると耐熱性を阻害することがあり、大き過ぎ
ると屈折率分布を有する光伝送体の形成が困難になるた
め好ましくない。
【0025】含フッ素脂肪族環構造を有する重合体とし
ては、含フッ素環構造を有するモノマーを重合して得ら
れるものや、少なくとも2つの重合性二重結合を有する
含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に含フッ
素脂肪族環構造を有する重合体が好適である。
【0026】含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを
重合して得られる主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する
重合体は、特公昭63−18964号公報等により知ら
れている。即ち、パーフルオロ(2,2−ジメチル−
1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有
するモノマーを単独重合することにより、またこのモノ
マーをテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレン、パーフルオロ(メチルビニールエーテル)など
のラジカル重合性モノマーと共重合することにより主鎖
に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が得られる。
【0027】また、少なくとも2つの重合性二重結合を
有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、特開昭63−
238111号公報や特開昭63−238115号公報
等により知られている。即ち、パーフルオロ(アリルビ
ニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテ
ル)等のモノマーを環化重合することにより、またはこ
のようなモノマーをテトラフルオロエチレン、クロロト
リフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニールエ
ーテル)などのラジカル重合性モノマーと共重合するこ
とにより主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体が
得られる。
【0028】また、パーフルオロ(2,2−ジメチル−
1,3−ジオキソール)等の含フッ素脂肪族環構造を有
するモノマーとパーフルオロ(アリルビニルエーテル)
やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等の少なく
とも2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーと
を共重合することによっても主鎖に含フッ素脂肪族環構
造を有する重合体が得られる。
【0029】上記の含フッ素脂肪族環構造を有する重合
体としては、具体的には以下の(I)〜(IV)式から
選ばれる繰り返し単位を有するものが例示される。な
お、これらの含フッ素脂肪族環構造を有する重合体中の
フッ素原子は、屈折率を高めるために一部塩素原子で置
換されていてもよい。
【0030】
【化1】
【0031】[上記(I)〜(IV)式において、lは
0〜5、mは0〜4、nは0〜1、l+m+nは1〜
6、o,p,qはそれぞれ0〜5、o+p+qは1〜
6、RはFまたはCF3、R1はFまたはCF3、R2はF
またはCF3、X1はFまたはCl、X2はFまたはCl
である。] 含フッ素脂肪族環構造を有する重合体は、主鎖に環構造
を有する重合体が好適であるが、環構造を有する重合単
位を20モル%以上、好ましくは40モル%以上含有す
るものが透明性、機械的特性等の面から好ましい。
【0032】物質(b)は、含フッ素重合体(a)との
比較において屈折率の差が0.001以上である少なく
とも1種類の物質であり、含フッ素重合体(a)よりも
高屈折率であっても低屈折率であってもよい。光ファイ
バー等においては通常は含フッ素重合体(a)よりも高
屈折率の物質を用いる。
【0033】この物質(b)としては、ベンゼン環等の
芳香族環、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、エー
テル結合等の結合基を含む、低分子化合物、オリゴマ
ー、ポリマーが好ましい。又、物質(b)は、含フッ素
重合体(a)と同様な理由から実質的にC−H結合を有
しない物質であることが好ましい。含フッ素重合体
(a)との屈折率の差は0.005以上であることが好
ましい。
【0034】オリゴマーやポリマーからなる重合体であ
る物質(b)としては、前記したような含フッ素重合体
(a)を形成するモノマーの重合体からなり、含フッ素
重合体(a)との比較において屈折率の差が0.001
以上であるオリゴマーやポリマーであってもよい。モノ
マーとしては、含フッ素重合体(a)との比較において
屈折率の差が0.001以上である重合体を形成するも
のから選ばれる。たとえば、屈折率の異なる2種の含フ
ッ素重合体(a)を用い、一方の重合体(a)を物質
(b)として他の重合体(a)中に分布させることがで
きる。
【0035】これらの物質(b)は、上記マトリックス
との比較において、溶解性パラメータの差が7(cal
/cm31/2以内であることが好ましい。ここで溶解性
パラメータとは物質間の混合性の尺度となる特性値であ
り、溶解性パラメータをδ、物質の分子凝集エネルギー
をE、分子容をVとして、式δ=(E/V)1/2で表さ
れる。
【0036】低分子化合物としては、例えば炭素原子に
結合した水素原子を含まないハロゲン化芳香族炭化水素
がある。特に、ハロゲン原子としてフッ素原子のみを含
むハロゲン化芳香族炭化水素やフッ素原子と他のハロゲ
ン原子を含むハロゲン化芳香族炭化水素が、含フッ素重
合体(a)との相溶性の面で好ましい。また、これらの
ハロゲン化芳香族炭化水素は、カルボニル基、シアノ基
などの官能基を有していないことがより好ましい。
【0037】このようなハロゲン化芳香族炭化水素とし
ては、例えば式Φr−Zb[Φrは水素原子のすべてがフ
ッ素原子に置換されたb価のフッ素化芳香環残基、Zは
フッ素以外のハロゲン原子、−Rf、−CO−Rf、−
O−Rf、あるいは−CN。ただし、Rfはパーフルオ
ロアルキル基、ポリフルオロパーハロアルキル基、また
は1価のΦr。bは0または1以上の整数。]で表され
る化合物がある。芳香環としてはベンゼン環やナフタレ
ン環がある。Rfであるパーフルオロアルキル基やポリ
フルオロパーハロアルキル基の炭素数は5以下が好まし
い。フッ素以外のハロゲン原子としては、塩素原子や臭
素原子が好ましい。
【0038】具体的な化合物としては例えば、1,3−
ジブロモテトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモテ
トラフルオロベンゼン、2−ブロモテトラフルオロベン
ゾトリフルオライド、クロロペンタフルオロベンゼン、
ブロモペンタフルオロベンゼン、ヨードペンタフルオロ
ベンゼン、デカフルオロベンゾフェノン、パーフルオロ
アセトフェノン、パーフルオロビフェニル、クロロヘプ
タフルオロナフタレン、ブロモヘプタフルオロナフタレ
ンなどがある。
【0039】ポリマーやオリゴマーからなる重合体であ
る物質(b)としては、前記(I)〜(IV)の繰り返
し単位を有するものの内、組み合される含フッ素重合体
(a)とは異なる屈折率を有する含フッ素重合体(例え
ば、ハロゲン原子としてフッ素原子のみを含む含フッ素
重合体とフッ素原子と塩素原子を含む含フッ素重合体と
の組み合せ、異なる種類や異なる割合の2以上のモノマ
ーを重合して得られた2種の含フッ素重合体の組み合せ
など)が好ましい。
【0040】また、上記のごとき主鎖に環構造を有する
含フッ素重合体以外に、テトラフルオロエチレン、クロ
ロトリフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキル
ビニルエーテルなどの水素原子を含まないモノマーから
なるオリゴマー、それらモノマー2種以上の共重合オリ
ゴマーなども物質(b)として使用できる。また、−C
2CF(CF3)O−や−(CF2nO−(nは1〜3
の整数)の構造単位を有するパーフルオロポリエーテル
なども使用できる。これらオリゴマーの分子量は、非結
晶性となる分子量範囲から選ばれ、数平均分子量300
〜10,000が好ましい。拡散のしやすさを考慮する
と、数平均分子量300〜5000がさらに好ましい。
【0041】特に好ましい物質(b)は、含フッ素重合
体(a)特に主鎖に環構造を有する含フッ素重合体との
相溶性が良好であること等から、クロロトリフルオロエ
チレンオリゴマーである。相溶性が良好であることによ
り、含フッ素重合体(a)、特に主鎖に環構造を有する
含フッ素重合体、とクロロトリフルオロエチレンオリゴ
マーとを200〜300℃で加熱溶融により容易に混合
させることができる。又、含フッ素溶媒に溶解させて混
合した後、溶媒を除去することにより両者を均一に混合
させることができる。クロロトリフルオロエチレンオリ
ゴマーの好ましい分子量は、数平均分子量500〜15
00である。
【0042】本発明において光学樹脂材料は屈折率分布
型光ファイバーであることが最も好ましい。この光ファ
イバーにおいて、物質(b)は含フッ素重合体(a)中
に中心から周辺方向に沿って濃度勾配を有して分布して
いる。好ましくは、物質(b)が含フッ素重合体(a)
よりも高屈折率の物質であり、この物質(b)が光ファ
イバーの中心から周辺方向に沿って濃度が低下する濃度
勾配を有して分布している光ファイバーである。ある場
合には物質(b)が含フッ素重合体(a)よりも低屈折
率の物質であり、この物質が光ファイバーの周辺から中
心方向に沿って濃度が低下する濃度勾配を有して分布し
ている光ファイバーも有用である。前者の光ファイバー
などの光伝送体は通常物質(b)を中心に配置し周辺方
向に向かって拡散させることにより製造できる。後者の
光ファイバーなどの光伝送体は物質(b)を周辺から中
心方向に拡散させることによって製造できる。
【0043】本発明における光学樹脂材料である光伝送
体は、波長700〜1,600nmで、100mの伝送
損失が100db以下とすることができる。特に主鎖に
脂肪族環構造を有する含フッ素重合体では同様な波長
で、100mの伝送損失が50db以下とすることがで
きる。波長700〜1,600nmという比較的長波長
において、このような低レベルの伝送損失であることは
極めて有利である。すなわち、石英光ファイバーと同じ
波長を使えることにより、石英光ファイバーとの接続が
容易であり、また波長700〜1,600nmよりも短
波長を使わざるをえない従来のプラスチック光ファイバ
ーに比べ、安価な光源で済むという利点がある。このよ
うな光学樹脂材料製造において、樹脂の成形と屈折率分
布の形成は同時であっても別々であってもよい。たとえ
ば、紡糸や押し出し成形等により屈折率分布を形成する
と同時に屈折率分布を形成して光学樹脂材料を製造でき
る。また、紡糸や押し出し成形で樹脂の成形を行った
後、屈折率分布を形成することができる。さらに、屈折
率分布を有するプリフォーム(母材)を製造し、このプ
リフォームを成形(たとえば紡糸)して光ファイバー等
の光学樹脂材料を製造できる。なお、前記のように本発
明における光学樹脂材料は、上記屈折率分布を有するプ
リフォームをも意味する。
【0044】本発明における光学樹脂材料を製造する方
法としては、たとえば以下の(1)〜(7)の方法があ
る。しかしこれらに限られるものではない。これらの製
造方法の内、本発明(イ)は(3)の方法であり、本発
明(ロ)は(4)の方法である。
【0045】(1)含フッ素重合体(a)を溶融し、含
フッ素重合体(a)の溶融液の中心部に物質(b)また
はその物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を注入
し、物質(b)を拡散させながら、または拡散させた後
に成形する方法。
【0046】この場合、物質(b)を注入するには、中
心部に1層のみ物質(b)を注入する場合のみならず、
中心部に物質(b)を多層に注入してもよい。成形には
光ファイバーのプリフォーム等のごときロッド状母材を
成形するために適する押出溶融成形、光ファイバーを成
形するために適する溶融紡糸成形等がある。
【0047】(2)溶融紡糸や延伸などによって得られ
た含フッ素重合体(a)からなる芯材に、物質(b)ま
たはその物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を繰り
返しディップコートする方法。
【0048】(3)回転ガラス管などを利用して中空状
の含フッ素重合体(a)からなる管を形成し、この重合
体管の内部に物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を
形成するモノマー相を密封し、低速で回転させながら重
合させる方法。
【0049】この界面ゲル共重合の場合、重合過程にお
いて、含フッ素重合体(a)からなる管がモノマー相に
膨潤し、ゲル相が形成され、モノマー分子が選択的にゲ
ル相内に拡散しながら重合される。
【0050】(4)含フッ素重合体(a)を形成するモ
ノマーと物質(b)を形成するモノマーであって、それ
らモノマーの反応性が異なる2種のモノマーを用いて、
生成する含フッ素重合体(a)と物質(b)の組成比が
周辺部から中心に向かって連続的に変化するように重合
反応を進行させる方法。
【0051】(5)含フッ素重合体(a)と物質(b)
を均一に混合した混合物または溶媒中で均一に混合した
後、溶媒のみを揮発除去させることにより得られる混合
物を、熱延伸または溶融押出によりファイバー化し、次
いで(またはファイバー化直後に)加熱状態で不活性ガ
スと接触させて物質(b)を表面から揮発させることに
より屈折率分布を形成する方法。または、上記ファイバ
ー化した後、含フッ素重合体(a)を溶解せずに物質
(b)のみを溶解する溶媒中にファイバーを浸漬し、物
質(b)をファイバー表面から溶出させることにより屈
折率分布を形成する方法。
【0052】(6)含フッ素重合体(a)からなるロッ
ドまたはファイバーに、含フッ素重合体(a)よりも屈
折率が小さい物質(b)のみを被覆するか、または含フ
ッ素重合体(a)と物質(b)との混合物を被覆し、次
いで加熱により物質(b)を拡散させて屈折率分布を形
成する方法。
【0053】(7)高屈折率重合体と低屈折率重合体と
を加熱溶融または溶媒を含有する溶液状態で混合し、そ
れぞれ混合割合の異なる状態で多層押出させながら(ま
たは押出したのちに)両者を互いに拡散させ、最終的に
屈折率分布の形成されたファイバーを得る方法。この場
合、高屈折率重合体が含フッ素重合体(a)で低屈折率
重合体が物質(b)でもよく、高屈折率重合体が物質
(b)で低屈折率重合体が物質(b)でもよい。
【0054】
【実施例】次に、本発明の実施例について更に具体的に
説明するが、この説明が本発明を限定するものでないこ
とは勿論である。合成例は重合体の製造例、参考例は本
発明以外の方法で光学樹脂材料を製造した例である。
【0055】「合成例1」パーフルオロ(ブテニルビニ
ルエーテル)[PBVE]の35g、1,1,2−トリ
クロロトリフルオロエタン(R113)の5g、イオン
交換水の150g、及び重合開始剤として((CH32
CHOCOO)2の90mgを、内容積200mlの耐
圧ガラス製オートクレーブに入れた。系内を3回窒素で
置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行った。その
結果、数平均分子量約1.5×10 5の重合体(以下、
重合体Aという)を28g得た。
【0056】重合体Aの固有粘度[η]は、パーフルオ
ロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)[PBTHF]中
30℃で0.50であった。重合体Aのガラス転移点は
108℃であり、室温ではタフで透明なガラス状の重合
体であった。また10%熱分解温度は465℃であり、
溶解性パラメーターは5.3(cal/cm31/2であ
り、屈折率は1.34であった。図1に重合体Aの光線
透過率を示す。
【0057】「合成例2」パーフルオロ(2,2−ジメ
チル−1,3−ジオキソール)[PDD]とテトラフル
オロエチレンを重量比80:20でラジカル重合し、ガ
ラス転移点160℃で数平均分子量約5×105の重合
体(以下、重合体Bという)を得た。重合体Bは無色透
明であり、屈折率は1.3で、光線透過率も高かった。
【0058】またPDDとクロロトリフルオロエチレン
(CTFE)を重量比75:25でラジカル重合し、ガ
ラス転移点150℃で数平均分子量約3×105の重合
体(以下、重合体Cという)を得た。重合体Cは無色透
明であり、屈折率は1.4で、光線透過率も高かった。
【0059】「合成例3」PBVEの8g、PDDの2
g、PBTHFの10g、重合開始剤として((C
32CHOCOO)2の20mgを、内容積50ml
の耐圧ガラス製アンプルに入れた。系内を3回窒素で置
換した後、40℃で20時間重合を行った。その結果、
数平均分子量約2×105の透明な重合体(以下、重合
体Dという)6.7gを得た。
【0060】重合体Dのガラス転移点157℃、屈折率
は1.32、IRスペクトルの1930cm-1の吸収の
吸光度よりPDDの重合単位含量を求めたところ12重
量%であった。
【0061】また、PBVEの2g、PDDの8g、P
BTHFの10g、重合開始剤として((CH32CH
OCOO)2の20mgを、内容積50mlの耐圧ガラ
ス製アンプルに入れた。系内を3回凍結脱気した後、3
0℃で20時間重合を行った。その結果、数平均分子量
約3×105の透明な重合体(以下、重合体Eという)
を7g得た。
【0062】重合体Eのガラス転移点210℃、屈折率
は1.29、IRスペクトルの1930cm-1の吸収の
吸光度よりPDDの重合単位含量を求めたところ82重
量%であった。
【0063】「参考例1」上記合成で得られた重合体A
をPBTHF溶媒中で溶解し、これに屈折率1.52で
あり重合体Aとの溶解性パラメーターの差が3.2(c
al/cm31/2である1,3−ジブロモテトラフルオ
ロベンゼン(DBTFB)を12重量%量添加し混合溶
液を得た。この溶液を脱溶媒し透明な混合重合体(以
下、重合体Fという)を得た。
【0064】重合体Aを溶融し、その中心に溶融液の重
合体Fを注入しながら300℃で溶融紡糸することによ
り屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下する
光ファイバーが得られた。
【0065】得られた光ファイバーの光伝送特性は、7
80nmで300dB/km、1550nmで130d
B/kmであり、可視光から近赤外光までの光を良好に
伝達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0066】「実施例1」PBVEの40g、重合開始
剤として((CH32CHOCOO)2の500mlを
加えガラス管に仕込み、凍結脱気した後、高速で回転し
ながら重合した。合成された中空状の管をガラス管より
取り出し数平均分子量約1×105のポリマーからなる
管を得た。この管の中空部にPBVEの20g、高屈折
率物質としてDBTFBの2g、重合開始剤として
((CH32CHOCOO)2の200mlを加えて、
密封し、低速で回転しながら重合した。
【0067】重合過程において、管のポリマーがモノマ
ー相に膨潤し、ゲル相が形成されるため、重合反応はこ
のゲル相内でゲル効果によって促進され、ポリマー相は
周辺部より形成される。この際にモノマー分子は高屈折
率物質分子に比べて分子サイズが小さいために選択的に
ゲル相内に拡散し、高屈折率物質が中心部に集められて
重合されるために、中心部から周辺部に向けて屈折率が
徐々に減少する屈折率分布が形成される。こうして得ら
れたプリフォームを熱延伸して屈折率分布を有する光フ
ァイバーが得られた。
【0068】得られた光ファイバーの光伝送特性は、6
50nmで500dB/km、1550nmで150d
B/kmであり、可視光から近赤外光までの光を良好に
伝達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0069】「参考例2」前記合成で得られた重合体D
で30ミクロンの芯材を作成した。またPBTHF溶媒
中に重合体Dを1重量%濃度で含む溶液(以下、溶液D
という)を調整した。同じくPBTHF溶媒中に重合体
Eを1重量%で含む溶液(以下、溶液Eという)を調整
した。重合体Dの芯材に溶液Dを引き上げ速度6cmで
ディップコートし180℃で乾燥した。重合体Dの径が
100nm増加するのを確認した。この溶液Dに上記溶
液Eを重量で250分の1ずつ加え同様にディップコー
トと乾燥を500回繰り返した。最後に10重量%濃度
の溶液Eのディップコートと乾燥を5回繰り返し180
℃で2時間乾燥した。径が約600ミクロンの屈折率が
中心部から周辺部に向かって徐々に低下する光ファイバ
ーが得られた。
【0070】得られた光ファイバーの光伝送特性は、6
50nmで1050dB/km、950nmで460d
B/km、1300nmで130dB/kmであり、可
視光から近赤外光までの光を良好に伝達できる光ファイ
バーであることを確かめた。 「参考例3」前記で合成された重合体Bと重合体Cの等
量をPBTHF溶媒に溶解し混合した。これを脱溶媒し
透明の重合体混合物(B+C)を得た。重合体Bを溶融
し、その内側に溶融した重合体混合物(B+C)を、さ
らに中心に溶融した重合体Cを注入しながら溶融紡糸す
ることにより屈折率が中心部から周辺部に向かって徐々
に低下する光ファイバーが得られた。
【0071】得られた光ファイバーの光伝送特性は、6
50nmで550dB/km、1550nmで130d
B/kmであり、可視光から近赤外光までの光を良好に
伝達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0072】「参考例4」DBTFBを12重量%用い
る代わりに数平均分子量800のCTFEオリゴマーを
30重量%用いる以外実施例1と同様な方法で光ファイ
バーを得た。このオリゴマーの屈折率は1.41であ
り、重合体Aとの溶解性パラメーターの差は1.4(c
al/cm31/2であった。得られた光ファイバーは屈
折率が中心部から周辺部に向かって徐々に低下してい
た。
【0073】この光ファイバーの光伝送特性は、780
nmで280dB/km、1550nmで120dB/
kmであり、可視光から近赤外までの光を良好に伝達で
きる光ファイバーであることを確かめた。
【0074】「実施例2」反応性比r1(PDD/PB
VE共重合体の生成速度定数に対するPDD単独重合体
の生成速度定数の比)が1.9のPDD50部と反応性
比r2(PDD/PBVE共重合体の生成速度定数に対
するPBVE単独重合体の生成速度定数の比)が0.1
9のPBVE50部および光開始剤としてジアルコキシ
アセトフェノン1部を5部のHCFC225に溶解した
ものをガラスアンプルに入れ系内を3回凍結脱気した
後、低圧水銀ランプを用いて光重合を行ったところ、周
辺部の屈折率1.31中心部が1.33の連続した屈折
率分布を有するプリフォームが得られた。これを熱延伸
して屈折率分布を有する光ファイバーを得た。
【0075】得られた光ファイバーの光伝送特性は、6
50nmで320db/Km、1550nmで250d
b/Kmであり、可視光から紫外光までの光を良好に伝
達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0076】「参考例5」重合体A85部とDBTFB
15部とを溶融混合し、ロッドを成形した。このロッド
を200℃で加熱延伸させファイバーを作成した。この
とき、加熱延伸部から出るファイバーを120℃に加熱
した長さ1mの電気炉を通す。この電気炉中にはあらか
じめ120℃に加熱した乾燥空気を流し、これによりフ
ァイバーの表面からDBTFBを揮発させ、屈折率分布
の形成された光ファイバーが得られた。
【0077】得られた光ファイバーの光伝送特性は65
0nmで420dB/km、780nmで250dB/
km、1300nmで110dB/kmであり、可視光
から近赤外までの光を良好に伝達できる光ファイバーで
あることを確かめた。
【0078】「参考例6」PBVE90部とCTFE1
0部とを重合することにより数平均分子量約2×105
の重合体(以下、重合体Fという)を得た。重合体Fに
数平均分子量800のCTFEオリゴマーを溶融均一混
合してそのオリゴマー含量が20重量%となるようなロ
ッドを得た。
【0079】これを熱延伸して直径500μmのファイ
バーを作成した。このファイバーをエタノール中に通し
てCTFEオリゴマーを溶出させた後、200℃に加熱
した円筒状の加熱炉中を約10秒の滞留時間で通すこと
により乾燥させた。その結果、外周部の屈折率1.36
中心部の屈折率1.38の屈折率分布のついた光ファイ
バーが得られた。
【0080】得られた光ファイバーの光伝送特性は、6
50nmで250db/Km、1550nmで150d
b/Kmであり、可視光から紫外光までの光を良好に伝
達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0081】「参考例7」重合体Cを270℃で押出法
により紡糸し、得られたファイバーを直ちに220℃に
加熱したヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFP
O)オリゴマー(数平均分子量2100)中に滞留時間
が3分となるように通過させた。その結果、HFPOオ
リゴマーがファイバー中に拡散浸透し、外周部から中心
に向かって連続的に屈折率が変化する外径600μmの
光ファイバーが得られた。このとき外周部の屈折率は
1.34中心部の屈折率は1.35であった。
【0082】得られた光ファイバーの光伝送特性は、6
50nmで300db/Km、1550nmで130d
b/Kmであり、可視光から紫外光までの光を良好に伝
達できる光ファイバーであることを確かめた。
【0083】「参考例8」PDDとPBVEを重合させ
て、PDD含量が20重量%の数平均分子量約1×10
5の重合体(以下、重合体Gという)および60重量%
の数平均分子量約5×105の重合体(以下、重合体H
という)を合成した。屈折率はそれぞれ、重合体Gが
1.33であり、重合体Hが1.31であった。
【0084】重合体GとHそれぞれをパーフルオロトリ
ブチルアミン/パーフロロオクタン=20/80(重量
比)に重合体濃度が20重量%となるように溶解したの
ち、表1に示す割合で両者を混合した11種類の溶液を
調整したのち、加熱により溶媒を一部揮発させて約30
000cPのゲル状溶液とした。この11種類の混合割
合の異なるゲルを80℃に加熱させながら多層ノズルを
用いて同心円状に多層ファイバーを押し出した。このフ
ァイバーを空気を流通させた加熱炉中(約150〜20
0℃)を通過させ残存溶媒を除去した。この結果、屈折
率分布が形成されたファイーバーを得た。
【0085】得られた光ファイバーの光伝送特性は、6
50nmで350dB/km、950nmで150dB
/km、1300nmで120dB/kmであり、可視
光から近赤外までの光を良好に伝達できる光ファイバー
であることを確かめた。
【0086】「比較例」屈折率分布型プラスチック光フ
ァイバーにおいて、PMMAの光伝送損失は波長650
nmで約400dB/km、また波長780nm、13
00nm、1550nmでは非常に伝送損失が大きく光
伝送体としては実用性がないものであった。
【0087】又、段階屈折率型プラスチック光ファイバ
ーにおいて、コアとクラッドが含フッ素樹脂光ファイバ
ーは可視光から近赤外光までの光を伝送可能だが、その
光伝送損失は約300dB/kmと報告されている。
【0088】これに比較して本発明による屈折率分布型
透明フッ素樹脂光ファイバーは可視光から近赤外光まで
の光を極めて低損失に伝送することが可能である。
【0089】
【表1】
【0090】
【発明の効果】本発明は非結晶性のフッ素樹脂を形成し
うるモノマーを用いて屈折率分布型光学樹脂材料を製造
する方法であり、本発明の方法によって得られる屈折率
分布型光学樹脂材料は、屈折率分布型光ファイバー、屈
折率分布型光導波路、屈折率分布型ロッドレンズ等の多
岐にわたるプラスチック光伝送体において非結晶性のフ
ッ素樹脂を利用することにより、紫外光から近赤外光ま
での光を極めて低損失に伝送することが可能になった。
【0091】特に屈折率分布型光ファイバーはファイバ
ー径が大きいにもかかわらずフレキシブルで分岐・接続
が容易であるため短距離光通信用に最適であるが、これ
まで実用可能な低損失の光ファイバーは提案されなかっ
た。本発明は短距離光通信用に実用可能な低損失の光フ
ァイバーの製造方法を提供するものである。
【0092】又、本発明によって得られる光伝送体は、
自動車のエンジンルーム、OA機器、プラント、家電等
での過酷な使用条件に耐える、耐熱性、耐薬品性、耐湿
性、不燃性を備えるプラスチック光伝送体を提供するも
のである。更に、本発明によって得られる屈折率分布型
光学樹脂材料は、光ファイバーのみならず平板型やロッ
ド型のレンズとしても利用可能である。その場合、中心
部から周辺部への屈折率変化を低くするか高くするかに
より、凸レンズ及び凹レンズとして機能させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重合体Aの光線透過率を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 3/00 G02B 3/00 B 6/18 6/18 Fターム(参考) 2H050 AA17 AB47Z AB48Z AC05 4J011 AA01 AA05 AB01 GA00 GA02 PA66 PB07 PB08 PC02 PC08 PC12 4J026 AA23 AA26 BA09 BA11 DA10 DB07 FA01 GA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にC−H結合を有しない非結晶性
    の含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との
    比較において屈折率が0.001以上高い少なくとも1
    種類の物質(b)とからなり、含フッ素重合体(a)中
    に物質(b)が特定の方向に沿って濃度勾配を有して分
    布している屈折率分布型光学樹脂材料の製造方法であっ
    て、中空状の含フッ素重合体(a)からなる管の内部に
    物質(b)を含む含フッ素重合体(a)を形成するモノ
    マーを密封し、管を回転しながら該モノマーを重合させ
    ることを特徴とする屈折率分布型光学樹脂材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 含フッ素重合体(a)を形成するモノマ
    ーが、含フッ素環構造を有するモノマーおよび少なくと
    も2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーから
    選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 光学樹脂材料が光ファイバー製造用母材
    である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 実質的にC−H結合を有しない非結晶性
    の含フッ素重合体(a)と、含フッ素重合体(a)との
    比較において屈折率の差が0.001以上である少なく
    とも1種類の重合体である物質(b)とからなり、含フ
    ッ素重合体(a)中に物質(b)が特定の方向に沿って
    濃度勾配を有して分布している屈折率分布型光学樹脂材
    料の製造方法であって、含フッ素重合体(a)を形成す
    るモノマーと物質(b)を形成するモノマーであってか
    つそれらのモノマーの反応性が異なる2種のモノマーを
    用いて、生成する含フッ素重合体(a)と物質(b)の
    組成比が周辺部から中心に向かって連続的に変化するよ
    うに重合反応を進行させることを特徴とする屈折率分布
    型光学樹脂材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 含フッ素重合体(a)を形成するモノマ
    ーが、含フッ素環構造を有するモノマーおよび少なくと
    も2つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーから
    選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 光学樹脂材料が光ファイバー製造用母材
    である、請求項4または5に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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