JP4094353B2 - 希土類金属含有不定形耐火物と施工体およびこれらで内張りされた窯炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は溶融金属や溶融塩などの高温物質を取り扱う窯炉の内張りに使用される耐火物および施工体ならびにこれ等で内張りされた窯炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼などの製造に使用される窯炉の内張りには多くの耐火物が使用されている。近年では、以前は多く使用させたれんがなどの定形耐火物に代わり、施工が容易で大型成形品も製造できる不定形耐火物が多く使用されるようになってきている。
【0003】
不定形耐火物は各種耐火材の粒子や粉末を混合したもので、必要に応じて粉末に水や樹脂などの混練剤を添加して混練し、流し込み、スタンピング、ラミング、パッチングなどの方法で施工する。その後必要に応じて乾燥してから使用する。
【0004】
不定形耐火物には施工の容易さや大型成形品が製造できるなどの優れた点がある反面、熱処理や焼成などの工程を経ないため、耐火物を構成する耐火粒子間の結合が弱く、特に高温での強度(以下では熱間強度と略す)が低いという欠点がある。熱間強度が低いので、熱応力で破壊しやすく、また溶鋼などによる磨耗で削剥されやすく、これらは不定形耐火物の短所となっている。
【0005】
ところで、希土類金属を含有することで不定形耐火物の耐用性向上を図ることができる。たとえば特開平7−315942号公報にはY2O3を含有するジルコニアを配合した不定形耐火物が記載されている。この発明は不定形耐火物の耐スラグ浸潤性向上を狙ったもので、ジルコニアが必須成分である。しかしこの発明では熱間強度の問題は注目されておらず、従って十分な改善は図れない。
【0006】
酸化セリウムとアルミナとからなる定形耐火物を内周に使用した誘導炉が特開2000−274956号公報に記載されている。この発明は誘導炉で溶解する高融点金属の耐火物への浸潤防止に注目しているのみで、問題としている熱間強度の向上には解決策を提示していない。
【0007】
また、希土類金属酸化物を含有する塩基性耐火物が特開2000−128624号公報に記載されている。この発明は定形の焼成れんがを対象にし、耐スラグ浸潤性と耐食性の改善を図っている。実施例によると希土類金属酸化物を添加することで熱間強度のやや高い焼成れんがが得られている。しかし焼成れんがは熱間曲げ強度が元来高く、改善幅は十分に大きくなく、たとえば破壊を抑制するレベルではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
不定形耐火物は、高温で焼成して製造することで、構成する耐火粒子間に強固な結合が形成される焼成れんがなどとは違い、事前に強固な結合が形成されない状態で使用に供される。結合は使用中の受熱により徐々に形成されるが、使用開始直後や、温度が十分に上昇しない部分では結合が十分発達せず、十分な強度に達さない場合がある。また形成された結合は必ずしも安定なものではなく、高温では弱まる傾向があり、高温における耐火物の強度(以下では熱間強度と称する)は、焼成れんがなどと比較して低いという問題がある。これが熱応力破壊や磨耗の原因となっている。
【0009】
本発明は、熱間強度を大幅に向上させ耐スポール性を改善することができ、損耗を大きく軽減することができる不定形耐火物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために研究を重ねた結果、本発明を得た。すなわち、本発明は以下のように構成される。
【0011】
(1)Al2O3を50〜99質量%と、少なくとも一種の希土類金属酸化物を0.005〜20質量%と、MgOを0.1〜40質量%と、を含み、
SiO 2 とCaOのいずれか一方または両方が添加された不定形耐火物であって、1400℃における熱間曲げ強度が5.0MPa以上である希土類金属含有不定形耐火物。
【0013】
(2)Al2O3を50〜99質量%と、少なくとも一種の希土類金属酸化物を0.005〜20質量%と、MgOを0.1〜40質量%と、を含み、
添加されたSiO2とCaOの合計含有量が1質量%以下である希土類金属含有不定形耐火物。
【0015】
(3)前記希土類金属酸化物はY2O3、La2O3またはCeO2である(1)または(2)に記載の希土類金属含有不定形耐火物。
【0016】
(4)(1)〜(3)の何れか1つに記載の希土類金属含有不定形耐火物からなる施工体。
【0017】
(5)(1)〜(3)の何れか1つに記載の希土類金属含有不定形耐火物及び/又は(4)に記載の施工体で内張りされた窯炉。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記(1)に記載のAl2O3を主成分とする中性の希土類金属含有不定形耐火物(以下単に「中性耐火物」とも称する)であり、この耐火物は、SiO2、CaO等の融点を低下させる成分が少なく、この点において従来の希土類金属含有耐火物とは異なり、優れた熱間強度および耐スポール性を実現したものである。以下詳細に説明する。
【0019】
本発明の耐火物は希土類金属酸化物を含むが、当該希土類金属酸化物は、特に不定形耐火物の熱間強度を大幅に増加させる効果がある。その理由は必ずしも明確ではないが、恐らく耐火物を構成する耐火粒子の焼結を促進し、またそれらの粒界における拡散を抑制することで粒子どうしが強固に接合され、大きな熱間強度が得られるものと推測される。その結果、熱応力破壊に対する抵抗性、すなわち耐スポール性や耐磨耗性の高い耐火物が得られる。また、耐火物は高純度とする(すなわち、SiO2、CaOが少ない)ことで、熱間強度を大幅に増加させる効果が発現しやすくなっているものと考える。すなわち、希土類金属酸化物はアルミナあるいはスピネル、マグネシアの粒界での拡散を抑えることで熱間強度が増すものであるが、その際にSiO2、CaOが少ないと、熱間強度を大幅に増加させる効果が非常に大きくなる。
【0020】
なお本明細書では、Al2O3、Y2O3のように化学式で表記したものは化学成分を表し、アルミナ、イットリアのようにカタカナで表記したものは物質、すなわち、一つの相として存在しているものを表す。言い替えれば、物質とは、化学的な操作なしに取り出すことができるような不可避的不純物を含有する可能性のある現実の原料の状態のものである。前者は化学分析によって定量でき、後者はたとえばX線回折などの方法で定量できる。
【0021】
前記(1)の発明に係る中性耐火物の場合、Al2O3は50〜99質量%含有される。50質量%未満ではスラグに対する耐食性が不十分となる。また99質量%を超えると焼結性が悪化し、高い強度が得られ難くなる。なおAl2O3の含有量は望ましくは70〜95質量%である。
【0023】
前記(1)の発明に係る中性耐火物は、少なくとも1種の希土類金属酸化物を含み、その量は、二種以上含む場合はその合計量で0.005〜20質量%の範囲とする。0.005質量%未満では意図する熱間強度が得られない。また20質量%超では焼結が進みすぎて耐スポーリング性が低下する。また希土類金属は一般に高価であるため不経済となる。なお希土類金属酸化物成分の含有量は望ましくは0.05〜2質量%である。
【0024】
前記(2)に係る発明のように、本発明の中性耐火物において、添加されたSiO2とCaOの量は、熱間強度を大幅に増加させる効果を発現させるためには、少ない方が好ましい。具体的には前記(1)に記載の中性耐火物においては、添加されたSiO2とCaOの合計含有量が1質量%以下であることが好ましい。このように規定するのは以下のような理由による。すなわち、不定形耐火物に添加されたSiO2とCaO成分は熱間強度に大きな影響を及ぼす。なお一般的に、SiO2は原料中に、CaO成分は施工した不定形耐火物を硬化させる目的で添加されているセメント(例えばアルミナセメント)に由来する。このような場合、添加されたSiO2とCaOはAl2O3と組み合わされ、さらにMgOが加わると融点を大きく低下させる原因となり得る。これが不定形耐火物の熱間強度が低い原因の一つともなっている。しかしながら、本発明の中性耐火物において、添加されたSiO2とCaOの合計含有量を1質量%以下にすることによって、このような問題を改善し、より高い熱間強度を得ることができる。
【0025】
例えば、前記(1)に係る発明である中性耐火物において、アルミナ(コランダム)を主成分とするAl2O3が50〜99質量%含まれる場合、アルミナやスピネルなどの原料中に合計1質量%程度以下のSiO2とCaOが不可避的に存在し得る。このようなSiO2とCaOは、安定な形で存在するので不定形耐火物の熱間強度には影響しない。従って、本発明において対象とされるSiO2とCaOとは、このような他の原料に不可避的に含まれるものではなく、例えば意図的にアルミナセメントのような形で添加されたSiO2とCaOのことであり、このような形態で含まれるSiO2とCaOは、融点が低い、あるいは周囲のアルミナやマグネシアと比較的低温で反応するため熱間強度を低下させるので、熱間強度を大幅に増加させる効果を発現させるためには、SiO2やCaOを含み得る材料は、添加量を耐火物全量に対して中性耐火物の場合で1質量%以下にとどめることが望ましい。
【0026】
本発明の耐火物に含まれる希土類金属酸化物は、周期表3A族に属する希土類金属の酸化物であればよく、特には限定されないが、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジウム)、Nd(ネオジウム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)の酸化物が挙げられ、これらの成分はいずれも不定形耐火物の熱間強度を増加させる効果があるため本発明において好ましく使用することができる。なおこれら希土類金属酸化物は、一種類でもよいし複数種を同時に用いてもよい。さらに前記(5)に係る発明のように、上記した希土類金属のなかでも、イットリウム、ランタン、セリウムの酸化物、すなわちY2O3、La2O3またはCeO2が特に好ましく、これらは他の希土類に比べて比較的安価であり、使用量の多い耐火物に適するためである。
【0027】
本発明の耐火物は、当業界で従来使用されている耐火原料を用いて、前記(1)に記載されている成分組成になるように調節することによって製造することができる。本発明において用いられ得る耐火原料としては、これらに限定されないが、アルミナ、水酸化アルミニウム、マグネシア、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、スピネル、ムライト、アルミナ−シリカ系原料などが好適に使用できる。
【0028】
本発明においてアルミナは電融品、焼結品を問わない。またアルミナ超微粉などとも呼ばれる仮焼アルミナを微粉状、具体的には粒径0.1〜10μmに調節したものをアルミナ原料として用いてもよい。このようなアルミナの純度は95質量%以上のものが好ましい。水酸化アルミニウムは通常入手できる範囲のものが使用できる。
【0029】
本発明においてマグネシアは焼結品、電融品のいずれでもよい。純度は好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。炭酸マグネシウムは、天然のマグネサイト、合成炭酸マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム(塩基性炭酸マグネシウム)等が使用でき、粒径は1mm以下が望ましい。水酸化マグネシウムは通常入手できるものが使用できる。
【0030】
主成分原料であるアルミナ及び/又はマグネシアは、流し込み材施工時の流動性や充填性等に配慮しながら粒度調整する。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは流動性を悪化させやすいので添加量に注意が必要であり、具体的にはいずれも5質量%以下にとどめておくことが好ましい。
【0031】
本発明においてシリカとしては揮発シリカや珪石などが使用できる。揮発シリカは通常、アルミナ−マグネシア質不定形耐火物や塩基性不定形耐火物に添加されるものであり、本発明においてもスピネル生成時の膨張応力緩和やマグネシアの水和抑制などに有効である。揮発シリカは、例えばシリコンまたは珪素合金製造の際の副産物として得られ、シリカフラワーまたはマイクロシリカ等の商品名で市販されており、スピネル生成時の膨張応力緩和やマグネシアの水和抑制に有効であるため、スピネル生成時の膨張応力緩和やマグネシアの水和抑制の効果を発現させるためには、本発明において好ましく使用できる。平均粒径1μm程度の超微粒子が望ましい。その配合割合は耐火物全量中、3質量%以下とするのが望ましい。3質量%を超えると低融点物質の生成が多くなり耐食性を低下させる。最も好ましい範囲は0.05〜1.5質量%である。
【0032】
スピネルは電融あるいは焼結のスピネル、スピネル質の鉱滓などが利用できる。本発明で用いられるスピネルとしては、Al2O3とMgO以外の不純物成分は10質量%未満であることが望ましい。また、化学量論組成から外れたスピネル類似物や、マグネシアやアルミナを含んだスピネルも使用できる。
【0033】
ムライトは焼結、電融のいずれも使用できる。また、化学量論組成からはずれたムライト類似物や、アルミナやシリカを含んだムライトも使用できる。
【0034】
アルミナ−シリカ系原料としてはろう石、粘土、シャモット、シリマナイト、アンダルサイト、カヤナイト、天然または合成焼結または電融のムライト、ばん土頁岩、ボーキサイトなどがあり、用途に応じて使用できる。いずれも通常品でよい。
【0035】
本発明において希土類金属酸化物は、使用中に酸化されて所望の希土類金属酸化物となるのであれば、他の種類の化合物や、未酸化の金属として添加してもよい。また希土類金属酸化物の形状は特には限定されないが、好ましくは粒状である。その粒径は分散性のよい1mm以下が望ましい。高純度の試薬を用いてもよいが、精製程度が低く複数の希土類が含まれるもの、またさらに希土類以外の成分を含むものも使用できる。希土類金属以外の不純物成分含有量は希土類金属を含む原料総量中に50質量%未満であることが望ましい。ただし、耐火物の主成分であるAl2O3とMgOは不純物としては考えない。また、希土類金属を含有する耐火材を添加してもよい。たとえばY2O3を含有するマグネシア、La2O3を含有するアルミナのようなものであり、混合物、固溶体、化合物のいずれでもよい。
【0036】
またこれら以外の耐火物に使用される原料、たとえばガラス粉末なども不定形耐火物に添加することができる。結合剤として例えば水硬性アルミナ微粉を添加してもよい。
【0037】
その他、流し込み材の添加物として知られている解こう剤、乳酸アルミニウム、耐火粗大粒子、硬化調整剤、金属短繊維(例えばステンレス鋼ファイバー)、有機繊維、セラミックファイバー、発泡剤等を添加してもよい。また硬化調整剤としてほう酸、炭酸リチウム等を添加してもよく、添加量は通常0.5質量%以下である。
【0038】
解こう剤としては、例えばトリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ、ウルトラポリリン酸ソーダ、酸性ヘキサメタリン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、クエン酸ソーダ、カルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤、酒石酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、スルホン酸ソーダ等がある。その添加割合は、耐火物100質量%に対して外掛けで0.01〜0.5質量%が好ましい。
【0039】
耐火粗大粒子とは、粒径10〜30mmの耐火性物質からなる粗粒の総称である。なお当該耐火粗大粒子は、前記(1)に記載のAl2O3、MgO、希土類金属酸化物、SiO2を含むものがあるが、本発明において耐火粗大粒子は焼結されても上述の成分と相溶することなく単に混合された状態で耐火物中に存在し、特有の効果を奏するために、本発明の耐火物を構成する成分としては扱わないこととする。当該耐火粗大粒子を添加することによって、耐火物組織内に発生した亀裂の発達を寸断し、剥離損傷防止の効果がある。具体例としてはアルミナ質、スピネル質、ムライト質、マグネシア質等からなる耐火粗大粒子が挙げられる。またアルミナ質あるいはスピネル質を主材としたれんが屑、耐火物使用後品等でもよい。耐火粗大粒子の粒径は10〜50mmが好ましい。また、その割合は耐火物100質量%に対して外掛けで35質量%以下、さらに好ましくは5〜30質量%であることが好ましい。
【0040】
本発明の耐火物中の各成分はガラスビード試料を用いた蛍光X線法により定量分析し、確認することができる。希土類金属元素などの含有量の少ない成分についてはICP(誘導結合プラズマ)法も好適である。
【0041】
本発明の耐火物は、様々な施工体に適用することができる。例えば、流し込み材に適用できるのはもちろん、乾式あるいは湿式の吹き付け材、プラスチック耐火物、パッチング材、スタンプ材、ラミング材、スリング材、コーティング材、圧入材、モルタルなどとしても使用できる。これらの施工体に適用する場合、必要に応じて結合剤や添加物の量や種類を調節することが好ましい。施工方法はそれぞれの種類の耐火物に従い、常法通りでよい。
【0042】
さらに本発明の耐火物および/または当該耐火物からなる施工体を内張りすることによって、熱間強度および耐スポール性に優れた窯炉を形成することができる。
【0043】
以下、本発明の耐火物を窯炉に適用する場合を説明する。流し込み材の場合は、本発明の耐火物100質量%に対して外掛けで4〜8質量%程度の水を添加して混練し、中子等の型枠を使用して流し込み施工して、本発明の耐火物で内張りした窯炉を構築する。なお流し込み時には振動の付与で充填率を向上させるとよい。あるいは本発明の耐火物を型に流し込んでプレキャストブロックのような施工体を製造し、これを一部または全部に使用して耐火物を内張りした窯炉とする。
【0044】
本発明の耐火物は熱間強度の高さが特徴であるので、特に強度、耐スポール性、耐磨耗性を要求される部位、たとえば溶鋼の流動磨耗やスポールが起こりやすいノズル、浸漬管、ランスなどに特に好適である。
【0045】
【実施例】
各種の耐火原料と希土類金属酸化物を表1に記載の組成で用いて耐火物を作成し、これを流し込み材として施工体を得て、その品質を調べた。耐火原料として、アルミナは焼結品で純度99.5質量%以上、マグネシアは焼結品で純度約95質量%、スピネルは焼結品で純度99質量%のものを使用した。本発明の中性耐火物を作成する場合は、マグネシアの粒径はおよそ100μm以下としたものを用い、また中性および塩基性耐火物のいずれの場合も、スピネルは1mm未満の粒径としたものを配合した。シリカフラワーとアルミナセメントは市販の通常品とした。アルミナ超微粉は粒径およそ3μmのものを使用した。希土類金属酸化物はいずれも純度99質量%以上の微粉末状の試薬を使用した。
【0046】
表1に示す所定の量比で耐火原料を配合し、さらに表1には示していないが、解こう剤としてポリアクリル酸ソーダを外掛けで0.1質量%添加し、アルミナセメントを配合しない場合は結合剤として乳酸アルミニウムを外掛けで1質量%添加し、さらに外掛けで7質量%の水を加えて混練し、型枠に流し込み施工した。施工時にはバイブレータで加振した。24時間そのまま養生してから脱枠し、110℃で24時間乾燥させて流し込み材を得て、各種の評価試験に供した。
【0047】
嵩比重、見掛比重、見掛気孔率の測定は、上記で得られた流し込み材を40mm角にしたものを試料として用いて行った。嵩比重、見掛比重、見掛気孔率は、いずれもJIS−R2205に準じた方法で白灯油を用いて測定した。また、常温曲げ強度は、40×40×160mmの試料を用いて、スパン100mmで行った。熱間曲げ強度は、1400℃のアルゴン雰囲気中でスパン100mmで測定した。溶損深さ指数は、侵食試験することによって算出され、具体的には、質量比でCaO/SiO2=2.8、Al2O3=10質量%のスラグと鋼とを質量比1:1で混合したものを侵食剤とした回転侵食法(熱源は酸素−プロパンバーナー)で行い、当該侵食試験前の厚さから侵食試験後の最小残寸を差し引いて求めた溶損深さを、比較例Fの試料の場合を100とした溶損深さ指数で表示した。値が小さいほど溶損が少なく耐食性が優れていることを示す。崩壊回数は、耐スポール性の評価であり、具体的には40×40×160mmの試料を1600℃の溶銑に長手方向に80mm分3分間浸漬し、10秒間水冷し、6分50秒間放冷することを最高10回繰り返し、下端面が消失するまでの回数を測定し、崩壊回数として示した。10回で下端が消失しない場合は10以上として表示した。回数が多いほど耐スポール性が優れていることを示す。これらの評価結果もまとめて表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
中性耐火物であって、アルミナ−マグネシア質の場合、比較例Fと実施例Bを比較すると、実施例Bはアルミナセメントが配合されているにもかかわらず、比較例Fの約4.5倍の熱間強度を示した。
【0050】
中性耐火物であって、アルミナ−スピネル質の場合、実施例Cの熱間強度は比較例Gの約3.5倍であった。なお本発明においては中性耐火物として言及されるアルミナ−マグネシア質やアルミナ−スピネル質は、主成分であるアルミナの熱膨張係数が小さいため元来耐スポール性が高い。それでもアルミナ−マグネシア質の比較例Fは9で、これに対応する実施例Bは10以上となり、改善傾向は認められた。アルミナ−スピネル質の比較例Gと実施例Cはいずれも10以上であり大きな差は見られなかった。
【0052】
なお実施例B〜Cの溶損深さ指数は、いずれの場合も比較例と同等かまたは上回った。
【0053】
【発明の効果】
純度の高い不定形耐火物に希土類金属酸化物を配合することで、熱間強度を大幅に向上させ耐スポール性を改善することができる。これにより不定形耐火物の損耗を大きく軽減することができ、耐火物内張りの寿命と耐火物コストを削減することができる。
Claims (5)
- Al2O3を50〜99質量%と、少なくとも一種の希土類金属酸化物を0.005〜20質量%と、MgOを0.1〜40質量%と、を含み、
SiO2とCaOのいずれか一方または両方が添加された不定形耐火物であって、1400℃における熱間曲げ強度が5.0MPa以上である希土類金属含有不定形耐火物。 - Al2O3を50〜99質量%と、少なくとも一種の希土類金属酸化物を0.005〜20質量%と、MgOを0.1〜40質量%と、を含み、
添加されたSiO2とCaOの合計含有量が1質量%以下である希土類金属含有不定形耐火物。 - 前記希土類金属酸化物はY2O3、La2O3またはCeO2である請求項1または2に記載の希土類金属含有不定形耐火物。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の希土類金属含有不定形耐火物からなる施工体。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の希土類金属含有不定形耐火物及び/又は請求項4に記載の施工体で内張りされた窯炉。
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