JP4361048B2 - アルミニウム及びアルミニウム合金溶湯用軽量キャスタブル耐火物 - Google Patents

アルミニウム及びアルミニウム合金溶湯用軽量キャスタブル耐火物 Download PDF

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本発明はアルミニウム及びアルミニウム合金溶湯と接触する溶解炉、保持炉、取り鍋、樋等の内張りに使用する軽量キャスタブル耐火物に関する。
アルミニウム及びアルミニウム合金(以下まとめて「アルミニウム」という)溶湯用耐火物には、(1)オバケの成長、(2)溶湯の汚染及び成分変化、(3)溶湯の保温、(4)溶湯容器全体の重量制限等に関して問題がある。
(1)のオバケとは業界用語であり、炉壁の溶湯界面直上部にできる付着物をこのように呼んでいる。この付着物は、耐火物に浸透して毛細管現象で吸い上げられたアルミニウム溶湯の成分と耐火物または空気中の酸素との反応によって生じる反応生成物(酸化物)が主で、一部浸透したアルミニウム地金が混入する。オバケは炉の有効容積を小さくし、その除去作業では炉壁の損傷をもたらし、さらに溶湯に混入した場合、粗大なハードスポットすなわち非金属介在物の原因となる。(2)の溶湯の汚染は、アルミニウム溶湯成分による耐火物(酸化物)の還元反応で遊離した金属(Si、Fe、Ti、Na等)が混入して起る製品の汚染である。また汚染とは反対の現象であるが、Mgその他の合金成分の減少による溶湯成分の変化も問題である。とくに溶解炉では、オバケ及び溶湯の汚染及び成分変化に対する対策が重要である。(3)の溶湯の保温については、溶湯の輸送・保持時に溶湯の温度低下をできるだけ小さくすることが必要である。(4)の溶湯容器全体の重量制限は、取り鍋のような移動容器においてクレーン、フォークリフト等の搬送能力が充分でない場合に問題になる。重量制限の中で溶湯量をできるだけ多くするには、耐火物施工体の軽量化が要求される。
アルミニウムの融点は約660℃と低く、溶湯温度も700〜850℃程度であるため、耐火物の溶損による損傷は起らない。その一方、アルミニウム溶湯は耐火物組織中に非常に浸透しやすく、かつ還元力が大きいという特性がある。そのため耐火物の損耗はもっぱらこの特性との関係で研究され、上記(1)及び(2)は正にこのことに関する問題である[保坂卓男他、「アルミニウム用耐火物の損傷、耐火物」44[5]、288〜294(1992)、非特許文献1]。アルミニウム溶湯の浸透を抑制するために、耐火物の緻密化が指向され、例えば溶解炉では長年緻密質・高強度タイプの低セメントキャスタブル耐火物が主に使用されている。また耐火物の組成については、アルミニウム溶湯成分による耐火物の還元反応及び耐火物に対するアルミニウム溶湯の濡れを抑制するために、鉱物組成、添加剤等が研究されている。
特開昭59-169971号(特許文献1)は、溶融アルミニウム合金の作用に抵抗性を有する耐火組成物において、耐火粒45〜90重量%、耐火結合剤3〜40重量%及び本質的に結晶性9Al2O3・2B2O3を含有する添加剤を包含し、該組成物中における9Al2O3・2B2O3の含量が1〜12重量%である耐火組成物を開示している。そして有用な添加剤としてフェロボロン生成の副生物であるアルミニウム・ホウ素スラグを挙げている。そのねらいはアルミニウム・ホウ素スラグがアルミニウム合金により湿潤されないという特性を利用することにある。
特開昭60-33486号(特許文献2)は、黒鉛10〜45%と残部耐火性原料とからなる黒鉛質耐火物の一体型で、圧縮強度が120kg/cm2以上、熱伝導率が20Kcal/mh℃以下である容器を内張り材として適用したアルミニウム用保持炉を開示している。
特開平1-192773号(特許文献3)は、溶融アルミニウム合金の作用に抵抗性を有する耐火組成物において、(a)耐火材粒子、(b)耐火性結合剤及び(c)溶融アルミニウムに対する非ぬれ性を付与する添加剤を少なくとも0.5質量%含有してなる耐火組成物を開示している。前記添加剤は、融解ホウ酸アルミニウムの不溶構造体内にフッ化カルシウムが分散してなる骨材であり、 アルミニウム溶湯の表面に形成されたドロスによる破壊作用、進入及び付着に対する抵抗性を改善する。しかし、特許文献3の耐火組成物は、セメント硬化時間の遅延や、ワーカビリテイ及びモールダブル組成物のたな寿命への悪影響のため、フッ化カルシウムを合成融解ホウ酸アルミニウムと事前焼成し不溶化してから添加する必要がある。
特開平3-177365号(特許文献4)は、(a) 骨材、中間粒及び微粉からなる耐火材料と、(b) 前記耐火材料との合計量を100重量%として、1〜5重量%のアルミナセメントと、(c) 前記耐火材料と前記アルミナセメントとの合計量を100重量%として、シリカ、クロミア、チタニア、ジルコニア及びアルミナより選ばれた1種以上の超微粉1〜15重量%とからなる耐火組成物に、前記耐火組成物の0.5〜5重量%の弗素化合物と前記耐火組成物の0.25重量%以下の分散剤とを添加してなるアルミニウム溶湯用不定形耐火物を開示している。特許文献4は、低セメントキャスタブル耐火物に弗素化合物(例えばフッ化カルシウム)を添加することにより混練物の流動性及び硬化性等の施工性を良好にすると共に、溶融アルミニウムに対する濡れ性を低下させ、耐食性を向上させ、耐スポーリング性を向上させることができると記載している。しかし特許文献4の耐火物に添加する弗素化合物は、混練物の施工性の改良が第一の目的であり、そのため使用量が少ない。
特開平3-183665号(特許文献5)は、融点が700℃以上の弗素化合物を1種以上配合し、弗素分(弗化カルシウム、弗化マグネシウム等)としての含有量が、0.3〜30重量%となるようにし、残部をその他の耐火原料及び結合材とした低融点金属用耐火組成物を開示しており、溶湯の浸透・溶湯との反応がほとんどなく、溶湯を汚染することがないと記載している。しかし特許文献5の実施例に記載されている耐火物は、れんがに関するものであり、キャスタブル耐火物、特に軽量キャスタブル耐火物を用いたときの効果は明らかでない。
特開平4-325457号(特許文献6)は、Al2O3分85重量%以上を含むアルミナ質耐火物中に窒化ケイ素を好ましくは5〜10重量%含有するAl−Li合金溶融精錬炉用耐火物を開示している。その目的は経済性を考慮した上で合金中のLi成分の減少およびFe、Si等の不純物の混入を極力抑えることにある。
特開平11-199334号(特許文献7)は、Al2O3を80重量%以上含むハイアルミナ質低セメントキャスタブル耐火物100重量部に対して、難溶性リン酸塩、フリット及び炭化硼素の中から選ばれる1種以上の添加物を合計で0.5〜3重量部含有するAl合金溶解炉用耐火物を開示している。すなわち溶融Al合金の浸透を抑制するため、耐火物組成を緻密質不定形耐火物である低セメントキャスタブルにし、溶融Al合金に対して浸透抑制効果のある水に不溶又は難溶性の添加物を添加している。水に不溶又は難溶性の添加物を添加するのは、水に可溶な添加物では適正な分散-凝集が阻害されるため緻密な組織が得られず、また乾燥時に添加物が施工体の表面に移動するため均一な施工体が得られないからであると記載している。
特開2002-274959号(特許文献8)は、耐火物中にフッ素含有量が0.01−30重量%となるようにフッ素化合物(弗化カルシウム、弗化アルミニウム等)を含有せたアルミニウムおよびアルミニウム合金用耐火物を開示し、アルミニウム溶湯の浸透防止および溶湯酸化物の耐火物表面への付着防止を図っている。しかし、特許文献8の実施例におけるフッ素化合物の使用量は2重量%以下と少なく、これは緻密質の耐火物を使用しているためと考えられ、軽量キャスタブル耐火物についての効果は不明である。
上記特許文献1〜8は何れも普通組織あるいは緻密質の耐火物に関するものであり、軽量キャスタブル耐火物におけるオバケの成長・溶湯の汚染等に対する改良技術は開示されていない。
一方、軽量かつ断熱質の耐火物に関しては、特開昭60-226438号(特許文献9)は、繊維状ウオラストナイト、特定の比表面積を有する2種類のハイアルミナセメント、及び有機増粘剤よりなる成形用耐火組成物を開示している。この成形用耐火組成物は高い断熱性及び強度を有し、アルミニウム及びアルミニウム合金溶湯に対し耐食性ある大型の成形品を容易に作ることができる。
特開2003-112256号(特許文献10)は、アルミニウム溶湯取鍋において、その内張り耐火材は、嵩比重が1.4〜1.8、かつ平均気孔径が0.1〜0.5μmになっているアルミニウム溶湯取鍋を開示している。その目的は内張り材の嵩比重を小さくすることによってアルミニウム溶湯取鍋全体の軽量化が図れ、その結果アルミニウム溶湯の搬送量が増加して搬送コストの低下が可能になり、また、平均気孔径を小さくすることによってアルミニウム溶湯の浸透を防止すると共に、気孔率を確保することで強度と断熱性とを保持することができるとしている。具体的な内張り材の材質は、ボーキサイトベースの低セメントキャスタブル耐火物と中空粒子状のバブルアルミナからなっている。
上述した様に、特許文献1〜10はいずれも前述の4つの問題を全て解決するものではない。
特開昭59-169971号公報 特開昭60-33486号公報 特開平1-192773号公報 特開平3-177365号公報 特開平3-183665号公報 特開平4-325457号公報 特開平11-199334号公報 特開2002−274959号公報 特開昭60-226438号公報 特開2003-112256号公報 保坂卓男他、アルミニウム用耐火物の損傷、耐火物44[5]、288〜294頁(1992)
従って、本発明の目的は、アルミニウム及びアルミニウム合金と接触する溶解炉、保持炉、取り鍋、樋等の内張りに使用する軽量キャスタブル耐火物であって、オバケ(付着物)の成長や溶湯の汚染が防止でき、かつ軽量で断熱性に優れた軽量キャスタブル耐火物を提供することである。
アルミニウム溶湯用キャスタブル耐火物においては、従来はアルミニウム溶湯の強い浸透性だけが注目され、オバケの成長及び溶湯の汚染を防止するための技術開発としては組織の緻密化と溶湯の濡れ性低下が中心であった。そのためアルミニウム溶湯容器の内張り材を多孔質にして、オバケの成長やアルミニウム溶湯による耐火物の還元を防止するとの発想は見当たらないようである。本発明者らは上記課題に鑑み鋭意研究した結果、弗化カルシウム(代表的天然原料としては螢石)を他の軽量耐火性骨材と共に併用すれば多孔質の軽量キャスタブル耐火物においてもオバケの成長がなくて、アルミニウム溶湯成分による耐火物の還元に起因する金属Si、Fe、Ti、Na等の成分のアルミニウム製品への混入(汚染)がなく、またMg等の合金成分の減少が防止できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち本発明は、少なくとも軽量耐火性原料、弗化カルシウム及び結合材からなるアルミニウム及びアルミニウム合金溶湯用軽量キャスタブル耐火物において、前記軽量耐火性原料がCaO・6Al 2 O 3 質軽量骨材であり、前記キャスタブル耐火物の固形分を100質量%として前記弗化カルシウムを3〜30質量%含有することを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金溶湯用軽量キャスタブル耐火物である。
本発明の効果は以下に述べる点である。
1.アルミニウム溶湯の汚染が少ないのでアルミニウム製品の品質が安定する。
2.Mg等の溶湯成分の減少がないので歩留まりが向上する。
3.炉壁面への付着物(オバケ)が少ないので、その除去作業が軽減できると共に炉の有効容積の減少が回避できる。
4.溶湯容器全体の重量が軽減できる。
5.溶湯の輸送・保持時の湯温低下が小さいので操業が安定する。
本発明は軽量耐火性原料、耐火性原料、弗化カルシウム、結合材を主要な構成成分とし、その他成分として増粘剤、界面活性剤、硬化調整剤等、通常のキャスタブル耐火物に添加する物質を含有することができる。
(1)軽量耐火性原料
アルミニウム及びアルミニウム合金溶湯用軽量キャスタブル耐火物を構成する軽量耐火性原料としては、多孔質粒、中空粒及び発泡粒からなる群から選ばれた少なくとも一種の軽量骨材を使用する。前記軽量骨材はアルミナ質、アルミナーシリカ質、マグネシア質、スピネル質及びカルシウム・アルミネート質などが好ましい。具体例としては軽量アルミナ、軽量シャモット、パーライト、バーミキュライト、中空アルミナ、中空シャモット、CaO・6Al2O3質断熱骨材(例アルコア社商品SLA-92)等から選ばれる少なくとも1種である。本発明においては、前記CaO・6Al 2 O 3 質断熱骨材を使用する。
(2)耐火性原料
本発明の軽量キャスタブル耐火物を構成する軽量耐火性原料以外の耐火性原料としては、シャモット、ボーキサイト、ムライト、カイアナイト、アンダリュサイト、電融又は焼結アルミナ、アルミナーマグネシアスピネル、マグネシア、シリカ、粘土、ジルコン、炭化珪素、窒化珪素及び炭化硼素等から選ばれる少なくとも1種であり、これらの耐火性原料を骨材又は微粉として使用する。
(3)弗化カルシウム
弗化物がアルミニウム溶湯の浸透又は溶湯酸化物の耐火物表面への付着の防止に有効であるとの知見は散見される。しかしその使用対象は普通組織又は緻密組織の不定形耐火物に限られ、軽量キャスタブル耐火物への適用はない。その理由は定かでないが、前述した様にアルミニウム溶湯は非常に浸透性が強いので、多孔質の耐火物に適用するには無理があるとの予断あるいは思いこみが一因としてあったのではないかと推量される。
オバケの成長ならびに耐火物の損傷に関して、アルミニウム溶湯の耐火物への浸透が重要な役割を示しているとの文献は多い。例をあげると耐火物の損傷が大きいAl-Mg合金と高アルミナ質キャスタブル耐火物を使用した場合について、次の様な記載がある。アルミニウム溶湯は耐火物に浸透し毛細管現象で上方向へ吸い上げられると共に、表面張力で耐火物表面をはい上がる。吸い上げられた金属Al-Mgは耐火物により酸化されるが、その際Mgの方がAlよりも酸化され易いのでAlからMgOが析出する形で酸化が進む。一方、毛細管現象・表面張力で上方向へ吸い上げられ、はい上がった金属Al-Mgは先端で過剰な酸素供給を受け、著しく酸化する。このときMg、Alともに酸化が進み、スピネル(MgO・Al2O3)を形成する。金属Al-Mgにおけるオバケの正体は、このスピネルが主成分である。このスピネル生成過程で進行する異常膨張により、耐火物に微細な欠陥を発生して弛緩した組織、すなわち溶湯の浸透しやすい前駆体組織を形成して、アルミニウム溶湯による耐火物の損傷を加速すると考えられている。(岡本公男:オバケ対策用耐火物について、軽金属学会第70回シンポジウム;保坂卓男他:アルミニウム用耐火物の損傷、耐火物 44[5]288〜294頁、(1992))
アルミニウム溶湯の浸透性は確かにオバケの成長及び耐火物の損傷に関して重要な因子には違いないと思われるが基本的なことではない。やはり耐火物又は空気によるアルミニウム溶湯成分の酸化反応が第一義的な現象であると考える。金属の酸化は、1モルのO2に対する金属酸化物の標準生成自由エネルギー(ΔG)が低い程起り易いと考えられる。金属酸化物の標準生成自由エネルギーはアルミニウム溶湯温度域(700−850℃)では、Ca<Mg<Al<Si<Mn<Na<Zn<Fe<Cuの順に高くなる。つまりCaが最も酸化されやすく、次いでMg、Al、Siの順となる。軽量キャスタブル耐火物においては、弗化カルシウムを用いた場合に溶湯の浸透防止及びオバケの成長防止効果が非常に大きいが、弗化マグネシウム及び弗化アルミニウムでは効果が小さい。このことは上記のCa、Mg、Alの酸化されやすさの序列と対応しているように見える。
本発明は弗化物として弗化カルシウムを含有する。弗化カルシウムは天然には蛍石として産出し、本発明の軽量キャスタブル耐火物に含有する弗化カルシウムとしては蛍石が好ましい。弗化カルシウムの使用目的は、オバケの生成を防止すること、アルミニウム溶湯の汚染を防止すること、及び溶湯成分の減少を防止することである。好ましい弗化カルシウムの使用量は、耐火組成物の合計量を100重量%として3〜30質量%である。弗化カルシウムの使用量が3質量%未満ではアルミニウム溶湯の耐火物あるいは空気との酸化反応を防止する効果、並びにオバケの生成を防止する効果が小さく、30質量%超では1200℃以上の温度で耐火物の焼結収縮が著しくなる。より好ましい使用量は5〜25質量%である。弗化カルシウムの粒度は0.1 mm以下の微粉が好ましい。
本発明者らの研究によれば、CaF2以外の弗化物、例えばMgF2,AlF3を使用すると、アルミニウム溶湯成分の酸化反応を防止する効果が小さいためオバケの付着及び溶湯成分の変動が起きる。特にAlF3については、アルミニウム溶湯中のMg成分の減少が著しく、オバケの付着も比較的多い。MgF2はCaF2とAlF3の中間的存在であり、やはりMg成分の減少が起こり、オバケの付着がある。CaF2を使用した場合、Mg成分の減少及びオバケの付着はほとんど起こらない。またアルミニウム地金の炉壁からの離れ、いわゆる地金離れもCaF2が極めて良好で、次いでMgF2、AlF3の順に悪化する。オバケの付着も地金の接着も、詰まるところ耐火物とアルミニウム溶湯成分が反応することによって惹起される現象であるという点で両者は密接な相関がある。(オバケの生成では更に空気によるアルミニウム溶湯の酸化も寄与する。)
弗化カルシウムは基本的にアルミニウム溶湯の耐火物あるいは空気との酸化反応を防止する働きが極めて優れているといえる。その結果、気孔径が大きくアルミニウム溶湯の浸透が著しいはずの軽量キャスタブル耐火物においても、その酸化反応防止効果が有効に働いてアルミニウム溶湯成分の変化、ひいてはオバケの発生がないのではないかと考えられる。弗化カルシウムのこのような働きの作用機構についてはまだ解明できてない。
(4)結合材
結合材はキャスタブル耐火物として従来から使用されているものが使用でき、軽量キャスタブル耐火物の施工方法に応じて各種のものを適宜選択できる。例えば流し込み及び鏝塗り施工用には、アルミナセメント、マグネシアセメント、水硬性アルミナ、珪酸塩、アルミン酸塩、シリカゾル、アルミナゾル、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、乳酸塩及び水酸化物等から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。吹付け施工の場合、乾式吹付け施工及び湿式吹付け施工共に、流し込みあるいは鏝塗り用の結合材をそのまま使用できる。
さらに湿式吹付け施工では、上記結合材を含有する吹付け材を水で混練してなる坏土をポンプ又は圧搾空気で輸送して、ノズル部で圧搾空気と共に急結剤を混合して吹付ける。急結剤とは坏土中に含有する結合材との組み合わせによって急結作用をもたらす材料であり、坏土中に含有する結合材以外の上記結合材、又は珪弗化ソーダ及びカルシウムアルミネート等から選ばれる少なくとも1種である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
試験に使用した軽量骨材及び各種添加剤の化学成分を表1に示す。
注(1)アルコア社製CaO・6Al2O3質軽量骨材(嵩比重0.84、気孔率77.0%)
(2)添加剤粒度:200メッシュ以下
(3)弗化マグネシウム、弗化アルミニウム:試薬、その他の添加剤:工業用製品
[1]実施例1〜3、参考例1〜3及び比較例1〜3
実施例1〜3、参考例1〜3及び比較例1〜3では、弗化カルシウム量及び軽量骨材の種類の影響を坩堝侵食試験で調べた。評価項目は地金成分の変化及び地金離れである。前述したようにアルミニウム溶湯成分と耐火物あるいは空気との反応がオバケの生成や地金の付着を惹起するが、その影響は地金成分の変化となって現れると考えられる。表2に示す配合の軽量キャスタブル耐火物を水で混練して坩堝型枠(80×80mm角、高さ75mm:凹部内径50mm、深さ50mm)に流し込み成形した。成形した坩堝は24時間養生後脱枠し、110℃で24時間乾燥して坩堝試験に供した。坩堝試験は地金にAl-Mg合金を使用して以下の要領で行った。45mmΦ×40mm形状の地金を坩堝に入れ、その坩堝を電気炉内に設置し、300℃/hrの昇温速度で800℃まで昇温した後72時間炉内で保持した。保持終了後、坩堝中の溶湯は黒鉛坩堝に排出して分析用試料とし、坩堝は自然冷却した後切断して断面を肉眼観察した。なお試験後地金の分析は発光分光分析で行った。坩堝試験における地金離れ状態及び試験後地金の分析結果を表3に示す。
実施例1〜3では、CaO・6Al2O3質軽量骨材を使用した軽量キャスタブル耐火物で螢石(弗化カルシウム)量を20、10、5質量%と変化させた。試験結果は、何れも地金離れは良好で、試験後地金の成分は供試地金成分との比較で殆ど変化していない。参考例1〜3では、螢石量を20質量%にして軽量骨材に各々軽量シャモット、バーミキュライト、パーライトを使用した。いずれも地金離れは良好で、試験後の地金成分の変化は殆どない。比較例1〜3は蛍石を含有していない耐火物であり、比較例1が実施例1と、比較例2が参考例2と、比較例3が参考例3と対応している。試験結果は、比較例1〜3は螢石を含有していないため地金離れが不良であり、試験後地金成分については、比較例1はSiとFeがやや増加してMgが減少し、比較例2は比較例1と同様でその傾向がいっそう顕著になり、比較例3は地金の変質が著しく分析ができなかった。
[2]実施例4及び比較例4〜8
比較例4〜8はこれまでアルミニウム溶湯の濡れ防止等に効果があると文献で報告されている幾つかの添加剤についてその効果を調べたものである。配合は実施例1に基づき螢石を各種添加剤に置き換えて行った。比較例4及び5は弗化カルシウム以外の弗化物の例で、各々弗化マグネシウム、弗化アルミニウムを添加したものであり、比較例6、7、8は各々硫酸バリウム、アパタイト、タルクを添加したものである。試験は前記の実施例の場合と同様であり、試験結果を表4に示す。なお、坩堝試験に使用した地金は実施例1〜3、参考例1〜3及び比較例1〜3で使用したものと同一品種だが異ロットであり、そのため多少成分に差異があるので参照試料として実施例4(実施例1の軽量キャスタブル耐火物と同じ配合)を入れた。
地金離れは、比較例4は良好、比較例5はやや不良であり、比較例6〜8は不良であった。試験後地金成分は、比較例4はMgが減少し、比較例5及び8はMgが著減してFeが増加し、比較例6はMgが著減してFe、Siが大きく増加し、そして比較例7はMgが減少してFeが増加、Siは著増している。
[3] 実施例5及び比較例9
実施例4に比べれば若干劣るものの、相対的に比較例の中では地金離れ、試験後地金成分の変化において優れていた比較例4について、さらに実施例4との優劣を明確にするため、長時間、すなわち800℃で336時間(14日間)の坩堝侵食試験を行った。実施例4及び比較例4に対応する長時間の坩堝侵食試験をそれぞれ実施例5及び比較例9とした。試験結果は試験後地金成分を表5に、地金離れ状態を図1(a:実施例5、b:比較例9)に示す。
試験後地金成分は、実施例5が供試地金成分と殆ど変わらないのに対して、比較例9はMg成分の減少が著しい。地金離れについては、実施例5は極めて容易に地金が剥離するが、比較例9は地金が坩堝と接着している。
以上の結果から、本発明の弗化カルシウムを添加した軽量キャスタブル耐火物は、地金離れが良好であり、地金成分の変動が極めて少ない耐火物であることがわかった。一方、同じ弗化物でも、弗化マグネシウムや弗化アルミニウムを添加剤として用いた場合は、前述の効果が小さく、軽量キャスタブル耐火物においては弗化カルシウムが特に優れた効果を示すことが解った。
実施例5(本発明)の坩堝侵食試験後の地金離れ状態を表した写真(a)及び比較例9の坩堝侵食試験後の地金離れ状態を表した写真(b)である。

Claims (1)

  1. 少なくとも軽量耐火性原料、弗化カルシウム及び結合材からなるアルミニウム及びアルミニウム合金溶湯用軽量キャスタブル耐火物において、前記軽量耐火性原料がCaO・6Al 2 O 3 質軽量骨材であり、前記軽量キャスタブル耐火物の固形分を100質量%として前記弗化カルシウムを3〜30質量%含有することを特徴とするアルミニウム及びアルミニウム合金溶湯用軽量キャスタブル耐火物。
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