JP4056852B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、系統に並列接続して使用する電力変換装置に関し、特に、電力貯蔵システムや無効電力補償装置に用いて好適な、系統電力の供給を安定化する電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような目的に用いる電力変換装置としては、ナトリウム・イオウ(NaS)電池とインバータを組み合わせた電力貯蔵システムや、無効電力補償装置(SVC:Static Var Compensator)等がある。これらのシステムにおいては、系統に誘導性インピーダンスを介してインバータを並列接続する。例えば、電力貯蔵システムでは、このインバータを、余剰電力でNaS電池を充電し、不足電力をNaS電池からの放電によって補うように制御する。この電力制御系に基き基準電流指令が決まり、電圧制御回路によりインバータの出力電流を前記基準電流に一致させるべく電圧制御信号を生成する。さらに、系統の検出電圧を電圧制御信号に加算してインバータの出力を補正し、系統電圧に変動があった時に、ただちにその変動に応答させようとしたものが知られている。しかしながら、上述の電力変換装置では、系統電圧に追従してその系統に電力を供給するので、系統電圧に不平衡成分や高調波成分が含まれている場合は、それらに対しても不要な動作をしてしまう。このため、定常時において電力変換装置に出力電圧の不平衡分や発生高調波が増大してしまう問題があった。これを解決する手段として、特許文献1には、系統の検出電圧を入力信号とするフィルタと、このフィルタの出力信号と系統の検出電圧信号のうちどちらか一方を出力する切り換え器を備えている。そして、検出電圧信号とフィルタ出力信号の差が所定の値よりも大きいときは、前記切り換え器の出力を系統電圧の検出電圧に切り換える技術を提案している。
【0003】
【特許文献1】
特開平07−123726号公報(全体)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、検出回路の入力にフィルタの出力信号を使用しているので、原理的に、系統異常発生からその現象の検出までに一定の検出遅れが生じる。このため、系統の電圧急変に対する高速応答性が不十分である。
【0005】
本発明の目的は、定常時においては、不平衡成分や高調波成分の出力を抑制するとともに、系統異常により系統電圧が急変した場合には、高速に応答して過電流の発生を防止し得る電力変換装置を提供することである。
【0006】
発明者が系統異常波形を解析したところ、系統異常が発生した直後から系統の検出電圧はその振幅および位相が急変すること、系統の検出電圧の急変時に電力変換装置の出力電圧信号を高速に補正できなければ過電流の発生を招くことが判った。
【0007】
本発明の他の目的は、系統の検出電圧の急変時に、電力変換装置の出力電圧信号を高速に補正し、過電流の発生を抑制することである。
【0008】
また、上記解析によれば、系統異常期間中は系統の電圧信号は激しく変動し、フィルタ出力信号とは周期的に乖離が見られることが判った。そして、再閉路前に誤って系統異常が収束したと判断し、電圧信号からフィルタの出力信号へ切り換えた場合に、出力電圧補正信号が不連続に急変して過電流の発生を招く可能性があることが判った。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、系統異常収束の時期を正確に判断し、出力電圧補正信号の不連続な急変と、これに基く過電流の発生を抑制することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴とするところは、系統の検出電圧に応じて電圧制御信号を補正する構成の電力変換装置において、補正信号の前段に系統の検出電圧を入力信号とする時定数可変の低域通過フィルタと、系統の異常を判定する系統異常判定手段と、この判定手段が系統異常と判定したことに応じて、前記フィルタの時定数をそれまでよりも短い状態に切換えるとともに、系統異常判定手段が系統異常の収束を判定したことに応じて、前記フィルタの時定数をそれ以前の長い時定数状態まで連続的に戻す時定数切換え手段を備えたことである。
【0011】
ここで言う連続的とは、必ずしも全部が連続しているものに限らず、多段階的であったり、あるいは一部に不連続部があっても構わない。要は、ステップ状に一挙に時定数が切換るものと区別する意味である。
【0012】
このように、フィルタの時定数を長い時定数状態まで連続的に戻すことによって、電圧補正信号の急変に起因する過電流の発生を防止する。
【0013】
本発明の他の特徴とするところは、系統の検出電圧振幅又は位相の変化率がしきい値を超えたことに応じて系統異常を判定する手段と、この系統異常判定手段が系統の異常を判定しているとき、前記フィルタの時定数をそれ以外の期間よりも短く又は前記フィルタを介さず前記系統の検出電圧を補正信号として取り込む手段を備えたことである。
【0014】
このように、フィルタを介することなく、直接に系統の検出電圧そのものの振幅又は位相の変化率がしきい値を超えたことに応じて系統異常を判定するので、系統の電圧急変に対する高速応答性を改善する。
【0015】
本発明の更に他の特徴とするところは、系統の検出電圧振幅又は位相の変化率がしきい値を超えたことに応じて系統異常と判定し、この変化率がしきい値を下回りかつ系統異常判定後に所定時間が経過したことに応じて系統異常の収束を判定することである。
【0016】
このように、フィルタを介することなく、直接に系統の検出電圧そのものの振幅又は位相の変化率がしきい値を超えたことに応じて系統異常を判定するとともに、系統異常収束の判定に所定時間の要素を導入することによって、過電流の発生を防止する。
【0017】
本発明の他の目的及び特徴は、以下に述べる実施例の説明で明らかにする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施例による電力変換装置を示すブロック図である。インバータ1は、誘導性インピーダンス2を介して系統電源3を有する系統に並列に接続されている。誘導性インピーダンス2としては、一般には変換装置用変圧器又は交流リアクトルが使用される。なお、電力貯蔵システムにおいては、18はNaS電池である。
【0020】
電圧制御回路は、電圧位相検出器4、三相/dq軸変換器5,6、d軸電流制御回路7、q軸電流制御回路8、dq軸/三相変換器9、パルス幅変調回路10、減算器11,12及び加算器13,14とで形成されている。インバータ1の出力電流Ia〜Icと、基準電流であるd軸及びq軸電流設定値Id’及びIq’との差に応じて電圧制御信号Ucd及びUcqを生成し、この電圧制御信号に応じて前記インバータの出力電圧を制御する。また、前記電圧制御回路は、系統の検出電圧Vsa〜Vscに応じて前記電圧制御信号Ucd及びUcqを補正し、Vcd及びVcqを得る。このとき、フィルタ15,16は、三相/dq軸変換器5を介して系統の検出電圧を入力している。系統異常判定手段17は、系統異常発生フラグτvを出力し、フィルタ15,16は系統異常発生時は応答時定数を短い状態に切り換え、それ以外のときは応答時定数を長い状態に切り換える。
【0021】
次に、本実施例の動作について説明する。先ず、本実施例の基本動作の概要を説明する。インバータ1が出力する各相の電圧をVca,Vcb,Vccとし、系統の各相の電圧をVsa,Vsb,Vscとし、系統の各相に流れる電流をIa,Ib,Icとする。誘導性インピーダンス2のインダクタンスをLとし、抵抗を無視すると上記諸量の間には、下記(1)〜(3)式の関係が成りたつ。
【0022】
L・(dIa/dt)=Vca−Vsa (1)
L・(dIb/dt)=Vcb−Vsb (2)
L・(dIc/dt)=Vcc−Vsc (3)
ここで、dq2軸への変換操作を行う。dq2軸への変換は、例えば、インバータ1の出力電圧に対して下記(4)式で変換操作を行う。他の量についても同様である。
【0023】
【数1】
【0024】
上記の変換操作を(1)〜(3)式について行えば(5),(6)式となる。
【0025】
L・(dId/dt)=Vcd−Vsd−ωLIq (5)
L・(dIq/dt)=Vcq−Vsq+ωLId (6)
ここで、Vcd,Vcqはインバータ1の発生電圧を2軸に変換した量、Vsd,Vsqは系統電圧を2軸に変換した量、Id,Iqはインバータ1の電流を2軸に変換した量、ωは系統電圧の角周波数である。
【0026】
更に、インバータ1の出力電圧を下記(7),(8)式に基づいて決める。
【0027】
Vcd=Vsd+ωLIq+Ucd (7)
Vcq=Vsq−ωLId+Ucq (8)
(7),(8)式を(5),(6)式に代入すると、(9),(10)式となる。
【0028】
L・(dId/dt)=Ucd (9)
L・(dIq/dt)=Ucq (10)
上記(9),(10)式から、Idを制御するにはUcdを、Iqを制御するにはUcqを制御すればよいことが分かる。したがって、インバータ1の各相の出力電圧は、Ucd,Ucqの操作量に基づいて(7),(8)式から得られるVcd,Vcqを三相に逆変換することで求められる。その逆変換は、下記(11)式で表せる。
【0029】
【数2】
【0030】
次に、図1を参照して具体的に説明する。電圧位相検出器4では、系統電源3から検出した三相検出電圧Vsa,Vsb,Vscに基づいて、系統電圧の位相を求めてサイン波(以下、sinωtと記す)とコサイン波(以下、cosωtと記す)の信号を発生する。三相/dq軸変換器6は、インバータ1の三相出力電流Ia,Ib,Icを入力して、電圧位相検出器4から出力されるsinωt信号とcosωt信号から、d軸電流Idとq軸電流Iqを出力する。
【0031】
d軸電流Idは、減算器11においてd軸電流設定値Id’と比較され、その偏差がd軸電流制御回路7に入力される。d軸電流制御回路7は、前記偏差が0になるような信号を出力する。このd軸電流制御回路7の出力Udcとフィルタ15の出力Vsd2は、加算器13において加算され、d軸電圧設定値Vcdとしてdq軸/三相変換器9に入力される。
【0032】
同様に、q軸電流Iqは、減算器12においてq軸電流設定値Iq’と比較され、その偏差がq軸電流制御回路8に入力される。q軸電流制御回路8は、前記偏差が0になるような信号を出力する。このq軸電流制御回路8の出力Ucqとフィルタ16の出力Vsq2は、加算器14において加算され、q軸電圧設定値Vcqとしてdq軸/三相変換器9に入力される。
【0033】
dq軸/三相変換器9は、入力したd軸電圧設定値Vcdとq軸電圧設定値Vcqとを逆変換することによって三相電圧指令値Vca’,Vcb’,Vcc’を得て、これらをパルス幅変調回路10に出力する。パルス幅変調回路10は、インバータの三相出力電圧Vca,Vcb,Vccが三相電圧指令値Vca’,Vcb’,Vcc’と等しくなるようにインバータ1を制御する。
【0034】
次に、本実施例の特徴動作を図1を参照して説明する。三相/dq軸変換器5は、系統から三相電圧Vsa,Vsb,Vscを入力して、d軸電圧Vsd1とq軸電圧Vsq1に変換する。フィルタ15は、d軸電圧Vsd1を入力してd軸電圧Vsd2として出力する。ここで、2軸変換された電圧は、正相電圧が直流、逆相電圧が2倍調波、高調波電圧が高調波成分となるため、低域フィルタを用いることにより、d軸電圧Vsd2は正相電圧成分のみとなる。同様に、フィルタ16は、q軸電圧Vsq1を入力して系統電圧の正相分のみであるq軸電圧Vsq2を出力する。
【0035】
系統異常判定手段17は、三相/dq変換器5の出力であるd軸電圧Vsd1を入力する。d軸電圧Vsd1は、通常、系統電圧の正相分振幅値に相当する。系統異常判定手段17は、d軸電圧Vsd1の変化率の絶対値|ΔVsd1|を演算して、所定の設定値ΔVmaxと比較する。Vsd1の変化率の絶対値|ΔVsd1|が、設定値ΔVmaxより大きい場合は、系統異常発生と判断して、フィルタ15,16に対してそれらの時定数τvを長い状態τv1から短い状態τv2に切り換える指令を出力する。この指令はVsd1の変化率の絶対値|ΔVsd1|が設定値ΔVmaxより小さくなる状態が、設定された系統異常継続想定時間t1を超過するまで継続される。言い換えると、系統電圧振幅の変化率|ΔVsd1|が、しきい値ΔVmax以内に戻った状態が所定時間t1だけ継続したことによって、系統異常の収束と判定している。
【0036】
フィルタ時定数の具体例は、通常時にτv1=2[ms]、系統異常時はτv2=0.1[ms]である。フィルタ15,16は、(12)式で表される機能を持つ構成とすることが望ましい。すなわち、i回目のサンプリング時のフィルタ出力値Yiは、入力値Xi、係数a、前回(i―1)の出力値Yi ― 1の下で、
Yi=aXi+(1−a)Yi ― 1 (12)
となる特性を持つことである。このようにすれば、フィルタの時定数τvが、τv=τv1=2[ms]からτv=τv2=0.1[ms]に短くなるときは、0.1[ms]の短時間に変化する。一方、τv2=0.1[ms]からτv1=2[ms]へと長くなるときは、2[ms]をかけて連続的に変化する。
【0037】
また、系統異常継続想定時間t1は、例えばt1=200[ms]である。検出電圧振幅の変化率ΔVsd1は、離散制御において検出電圧振幅の前回取込み値と今回取込み値の差分である。取込み周期は約100[μs]、しきい値ΔVmaxは、0.03[pu]/100[μs]としている。
【0038】
系統電圧の急変がない場合は、系統異常判定手段17において、電圧Vsd1の変化率は小さくなっているため、判定手段17はフィルタ15及び16に対して時定数切り換え指令を出力しない。これにより、フィルタ15及び16は、時定数が長い状態τv=τv1(≧τv2)に保たれ、フィルタ出力Vsd2,Vsq2は、系統の検出電圧Vsd1,Vsq1に含まれる逆相分や高調波分は充分に除去された状態となる。
【0039】
一方、系統電圧において、電圧の急変があった場合は、系統異常判定手段17において、電圧Vsd1の変化率は一定値よりも大きくなり、判定手段17はフィルタ15及び16に対して時定数切り換え指令を直ちに出力する。例えば、サンプリングタイム100[μs]とすれば、前回と今回のサンプリング電圧値そのものの偏差により、100[μs]強で電圧の急変を検出できる。これにより、フィルタ15及び16は、直ちに短い時定数状態τv=τv2(≦τv1)に切り換わり、フィルタ出力Vsd2,Vsq2は、系統の検出電圧Vsd1,Vsq1に含まれる逆相分や高調波分がほぼそのまま伝わる状態となる。
【0040】
これにより、系統が定常状態では、系統異常判定手段17における電圧Vsd1の変化率が一定値以下であり、長い時定数のフィルタ15,16を通して系統電圧正相分が得られる。したがって、逆相電圧や高調波成分の影響をなくすことができ、きれいな波形でインバータ1を動作させることができる。
【0041】
一方、系統異常で電圧急変が発生した場合には、系統異常判定手段17における電圧Vsd1の変化率が一定値を超え、フィルタ15,16の時定数切り換え指令が出力される。このため、短い時定数であるフィルタ15,16を通した制御に高速に切り換えられ、系統の瞬時電圧に高速に追従して応答できる。
【0042】
したがって、本実施例の電力変換装置は、定常時における波形改善と異常時等における応答改善との双方を実現することができる。
【0043】
図2は、本発明の第2の実施例による電力変換装置を示すブロック図である。なお、図1に示す第1の実施例の構成要素と同一のものには同一符号を付して説明を省略する。第1の実施例と異なる構成は、系統異常判定手段17の入力信号がd軸電圧Vsd1ではなく、q軸電圧Vsq1であることである。q軸電圧Vsq1は、通常時において系統電圧の位相に相当する。q軸電圧Vsq1が変動する状態は系統電圧位相が変動しており、系統異常状態にあることを意味する。
【0044】
本実施例は、第1の実施例に比べ、系統異常判定手段17の入力信号が異なるのみであり、入力信号の取扱いは第1の実施例と全く同一である。したがって、本実施例の電力変換装置は、第1の実施例の電力変換装置と全く同様に、定常時における波形改善と異常時等における応答改善との双方を実現することができる。
【0045】
図3は、本発明の第1及び第2の実施例による系統電圧波形の挙動例である。2線地絡系統異常におけるd軸電圧Vsd1、q軸電圧Vsq1の解析波形と、フィルタ時定数切り換えにより算出されたd軸電圧Vsd2、q軸電圧Vsq2の解析波形である。フィルタを通過する前の信号である電圧Vsd1とVsq1に注目すると、通常時はVsd1=1[pu]、Vsq1=0[pu]付近で細かく振動しており、系統異常時にVsd1、Vsq1が大きく変動していることが正相電圧軌跡から理解できる。フィルタを通過した後の信号であるVsd2(Vsq2も同じ)に注目すると、通常時はVsd2=1[pu](Vsq2=0[pu])付近でほぼ一定値になっている。また、系統異常時はVsd1(Vsq1)とほぼ同じ挙動をしていることが正相電圧軌跡から理解できる。
【0046】
これらの実施例の電力変換装置においては、系統電圧が定常状態であるときには、系統異常判定手段17における系統の検出電圧振幅または検出電圧位相の変化率が所定の値よりも小さい。したがって、フィルタの時定数は長い状態となり、そのフィルタの出力を用いてインバータを制御する。これにより、電力変換装置は、インバータの出力において逆相電圧や高調波成分を減少させることができる。
【0047】
更に、これらの実施例の電力変換装置は、系統異常によって電圧急変が発生した場合には、系統異常判定手段における系統の検出電圧振幅または検出電圧位相の変化率が所定の値よりも大きくなる。したがって、フィルタの時定数は短い状態となり、系統の検出電圧にほぼ追従した信号を用いてインバータを制御する。判定手段の入力信号として、フィルタを通過した信号を使用せず生の信号のみを使用しているため、フィルタによる検出遅れ、例えば10[ms]がなく、約100分の1である100[μs]で判定が可能である。また、フィルタ出力と生信号を切り換えるのではなく、フィルタの時定数を切り換えるため、(12)式で述べたように、フィルタ内部の積分成分が寄与して出力電圧補正信号が不連続に急変することがない。これにより、本電力変換装置は、電圧急変に対して安定して高速に応答することができる。
【0048】
系統異常解析結果から、所定値以上の系統の検出電圧振幅又は位相の変化率が観測されるのは、系統異常発生直後と系統異常除去直後、再閉路直後が主である。それ以外の期間では前記変化率が所定の値より小さくなる状態が継続することが確認されている。前記変化率が所定の値より小さくなっていても系統異常が継続しているわけで、この期間にフィルタ時定数を短い状態から長い状態に戻すと電圧急変に対して高速に応答できず過電流を招いてしまう。一方、系統異常発生から異常除去を経由して高速再閉路までの時間は、電力事業者毎に一定の管理値内で実施されている。この管理値より若干長い時間を系統異常継続想定時間に設定する。これらの実施例の電力変換装置では、前記変化率が所定の値より小さくなる状態が、系統異常想定継続時間を超えて継続した場合に、フィルタの時定数を短い状態から長い状態に切り換えて、そのフィルタの出力を用いてインバータを制御する。充分な確認時限を持たせているため系統の検出電圧の変動が無い状況での切り換えが確保される。
【0049】
なお、系統異常の様相によっては、中速再閉路、低速再閉路が選択される場合もあるが、この場合は、欠相検出、不足電圧検出により母線が遮断されるため、本発明でも対応できない領域となる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、定常時においては、不平衡成分や高調波成分の出力を抑制するとともに、系統異常により系統電圧が急変した場合には、高速に応答して過電流の発生を防止し得る電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による電力変換装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施例による電力変換装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1及び第2の実施例による系統電圧の挙動例を示す波形図である。
【符号の説明】
1…インバータ、2…誘導性インピーダンス、3…系統電源、4…電圧位相検出器、5,6…三相/dq軸変換器、7…d軸電流制御回路、8…q軸電流制御回路、9…dq軸/三相変換器、10…パルス幅変調回路、11,12…減算器、13,14…加算器、15,16…フィルタ、17…系統異常判定手段、18…NaS電池。
Claims (3)
- 系統に誘導性インピーダンスを介して並列接続されたインバータと、このインバータの出力電流と基準電流の差に応じて電圧制御信号を生成し、この電圧制御信号に応じて前記インバータの出力電圧を制御する電圧制御回路とを有し、系統の検出電圧に応じて前記電圧制御信号を補正する構成の電力変換装置において、補正信号の前段に挿入され前記系統の検出電圧を入力信号とする時定数可変の低域通過フィルタと、いかなるフィルタも通過しない系統電圧信号を用いて、この系統電圧信号の電圧振幅の変化率がしきい値を超えたことに応じて系統異常と判定し、この変化率がしきい値を下回りかつこの下回った状態が所定時間経過したことに応じて系統異常の収束を判定する系統異常判定手段と、この系統異常判定手段が系統の異常を判定したことに応じて、前記低域通過フィルタの時定数をそれ以前よりも短い状態に切換えるとともに、前記系統異常判定手段が系統異常の収束を判定したことに応じて、前記低域通過フィルタの時定数をそれ以前の長い時定数状態まで連続的に戻す時定数切換え手段を備えるとともに、前記低域通過フィルタは、i回目のサンプリング時のフィルタ出力値Y i が、入力値X i 、係数a、前回(i−1)の出力値Y i−1 の下で、(12)式で表される機能を持つ構成としたことを特徴とする電力変換装置。
Y i =aX i +(1−a)Y i−1 ………………………………………………(12) - 請求項1において、前記系統異常判定手段は、前記系統の三相電圧をdq軸に変換する手段と、この変換により得られたd軸電圧の変化率を予定値と比較する手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
- 請求項1において、前記系統異常判定手段は、前記系統の三相電圧をdq軸に変換する手段と、この変換により得られたq軸電圧の変化率を予定値と比較する手段を備えたことを特徴とする電力変換装置。
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