JP4046827B2 - 平面コイル及び平面トランス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平面コイル及び平面トランス、特に10W以下の小さいパワーで作動する平面コイル及び平面トランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平面コイルは、デジタルオーディオディスクの二軸アクチエータや人工衛星などの電源用又は信号用として広く用いられている。
ところで、最近、平面コイルの精密部品用としての需要が高まるに従い、幅が細く、かつ厚さの大きい、いわゆるハイアスペクト導体パターンを狭い間隔で複数個並列的に形成させたものが要求されるようになってきた。これまで、このような平面コイルは、絶縁基板上に、導体薄膜を被着し、その上にネガ型ホトレジスト層を施し、常法に従いレジストパターンを形成させたのち、エッチング処理して、導体薄膜の露出部分を食刻し、次いでレジストパターンを除去することによって製造されている。
【0003】
しかしながら、このようにして得られる平面コイルは、導体薄膜のエッチングに際し、エッチング液がレジストパターンで被覆されている部分にも入り込み、その部分の導体までも溶解除去してしまう結果、残存する導体の断面が台形となり、コイルパターン間の間隔が大幅に増大したものになるのを免れない。
【0004】
このような欠点を改善するために、前記の絶縁基板と導体薄膜との電気抵抗の差を利用して、導体薄膜へ選択的に厚いめっきを施す方法が提案されたが(特開昭58−12315号公報)、めっき下地膜が薄く、特にスパイラルパターンを形成する場合などに下地の配線抵抗が増大し、めっき電流を大きくすることができない上、めっきの成長速度に異方性がないため導体パターンの厚さを大きくすることができない。
【0005】
そのほか、絶縁基板全面に金属薄膜を設け、この上に厚いレジストパターンを形成させたのち、パターンめっきでハイアスペクト導体を形成させ、レジストを除去したのち、イオンミリングなどのドライエッチングで、線間の金属薄膜を除去する方法なども知られているが、レジストの厚さは、せいぜい50μmが限度であるので、導体パターンの厚さとしては、40μm程度が得られるにすぎない。
このように従来の平面コイルは、コイル導体の層厚自体を厚くすることが困難である上、エッチングにより導体パターンを形成するので、コイル導体を構成する各線条間の間隔はコイル導体の層厚の2倍程度が限度であるため、コイル導体部の空間的な意味での占積率が低く、直流抵抗が大きくなるのを免れず、良好な電気特性を得ることができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コイル導体の層厚を大きくするとともに、コイル導体を構成する各線条の間隔を狭くして、小型で直流抵抗の小さい高性能平面コイル及びそれを用いた高性能トランスを提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、高性能平面コイルを得るために、鋭意研究を重ねた結果、コイル導体の各線条を異方性成長させて、マッシュルーム状断面に形成することにより、コイル導体の高さを50μm以上に、かつ各線条間の間隔を20μm以下で形成させうること、したがって、見掛け上の占積率を増大して電気特性を向上させうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、絶縁基板の片面又は両面に厚さ50〜400μmの複数のコイル導体線条をギャップ部のアスペクト比(H/G)1以上で設け、かつ所望によりその表面が金属めっき薄膜層で被覆されている平面コイルにおいて、該コイル導体線条がマッシュルーム状断面を有し、その断面の頭部の幅(L)が首部の幅(l)の2〜5倍、頭部の高さ(H)の0.5〜1.5倍及び各コイル導体線条間の最小間隔(G)の4〜10倍であることを特徴とする平面コイル、及びその平面コイルを、絶縁性フィルムを介して複数個積層し、全体を薄型強磁性体コアで挟着して構成された平面トランスを提供するものである。
なお、ここでマッシュルーム状断面とは、図1に示されるように、ひさし部分が大きく膨出し、脚部すなわち首部が細く短かい形状を意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面に従って、本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の平面コイルの部分断面拡大図であって、絶縁基板1の上に金属薄膜層2を介してコイル導体線条3,3′,3″…が並列的に設けられている。この各線条は頭部4と首部5からなるマッシュルーム状断面を有し、その頭部の幅(L)は首部の幅(l)の2〜5倍、頭部の高さ(H)の0.5〜1.5倍、各コイル導体線条間の最小間隔(G)の4〜10倍であることが必要である。
【0010】
図2は、本発明の平面コイルを製造する方法の1例であって、先ず円板状絶縁基板1上にスルーホール7を穿設し、次いで該基板上に金属めっき薄膜層2を設け、さらにホトレジストパターン層6を形成した構造体を形成する(イ)。
次に、上記の金属めっき薄膜層2が露出している部分を中心として、好ましくはこれと同じ金属を光沢電気めっきすることにより、マッシュルーム状断面をもつ線条3,3′,3″…を並列的に形成させる(ロ)。
次いで、残存してるレジストを剥離したのち(ハ)、選択的なエッチング処理を施して、各線条間の金属めっき薄膜層のみを除去する(ニ)。
この場合、所望ならば、ハイアスペクトめっきの後で、保護用金属をめっきして、コイル導体線条の表面を被覆する。
【0011】
このように、ホトレジスト層が除去され、コイルパターン状に金属めっき薄膜層が露出した部分を中心に光沢電気めっきを行う場合、めっき条件を適切にすれば、高さ方向の成長速度が幅方向の成長速度に比べて大きくなり、めっき部分が膨成して1回の処理でもマッシュルーム状の、直流抵抗の小さいコイル導体線条が形成される。
【0012】
この際のめっき条件は、めっき浴の組成、めっき槽の形状、浴の撹拌条件に依存するが、予備的試験を繰り返すことにより容易に最適条件を選定することができる。この際の電流密度については、限界電流密度の70%以上で異方性成長を行わせる。
【0013】
また、この際のコイル導体の各線条の首部の幅は、まずレジストパターン上の露出している金属薄膜の幅をレジストの解像度及びコイル導体を形成したときの強度を考慮して最小に選び、このパターンでのめっき条件を検討して、もっともアスペクト比の大きい条件に設定し、所定の膜厚まで成長させたのち、各線条間の間隔の最小値を測定し、これに設計値を減じた値だけレジストパターン上の露出している金属薄膜の幅を増加することによって調整する。
【0014】
なお、この際のめっき浴としては、抵抗の低い金属の光沢めっき浴であればよく、特に制限はないが、無光沢めっき浴の場合は、コイル導体の線条間の間隔が狭くなると線条間でショートするので用いることはできない。
【0015】
本発明の平面コイルにおいて、アスペクト比の大きいものが得られる理由としては次のことが考えられる。すなわち、スルーホールめっきにおいて、孔のアスペクト比が大きい場合は孔内の膜厚が外部の膜厚より小さくなり、この傾向はアスペクト比が大きいほど顕著になるが、本発明において、コイル導体パターンを光沢めっきにより形成する場合も、これと類似した現像が起り、最初の間はめっきが等方的に成長するが、膜厚が大きくなるに従って、溝部のアスペクトが大きくなり異方的な成長が行われ、頭部を形成することにより、次第にこの傾向が助長されてアスペクト比が益々増大する。
図3は、本発明の平面コイルの1例を示す平面図であって、この図においては、コイルパターンが円形スパイラル状に形成されているが、このコイルパターンの形状としては、これ以外に角形スパイラル状、折れ線状など従来の平面コイルで用いられている任意の形状をとることができる。
このようにして得た平面コイルは、薄型強磁性体コアに挟着して用いることもできる。この薄型強磁性体コアとしては、例えば厚さ1.2mmのNiZn系フェライトなどが用いられる。
【0016】
次に、本発明の平面コイルを絶縁性フィルムを介して複数個積層し、全体を薄型強磁性体コアで挟着すれば、非常に電気特性の優れた平面トランスを得ることができる。
この際の絶縁性フィルムとしては、厚さ0.05mmのポリエステルフィルムのようなプラスチックフィルムが適当であり、薄型強磁性体コアとしては前記したものと同じものを用いることができる。
【0017】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
実施例1
3インチ基板に284個のコイルを製造するため、以下の処理を行った。すなわちアンクラッドFR4基板(厚さ100μm)の所定の位置に、直径0.2mmのスルーホールを開け、無電解銅めっき液でその両面に1μmの厚さの銅層を形成した。
その上にポジ型ホトレジストを乾燥膜厚で5μmになるようにスピンコートした。
次いで、スルーホール周囲のレジストを除去すると同時に、コイル部を形成するために、レジストパターン幅90μm、レジストパターン間隔(露出する導体の線幅)20μmのパターンをホトリソグラフィー法により形成した。ここでスルーホールは両面の銅層の接続のために用いている。コイル部となるレジスト除去部のパターンは円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mmで巻数は11.5回である。
これを光沢硫酸銅めっき浴でめっきした。めっき液の硫酸銅の濃度は70g/lであり、液温度は25℃である。小孔の開いているパイプをカソードの付近に設置して、ここからめっき液を20mm/秒で噴出させ、電流密度2.5A/dm2で膜厚が150μmになるまでめっきした。このときの導体間隔は10μmであった。
次に、レジストを剥離し、下地銅膜をイオンミリングでエッチングしてコイル導体部を形成したのち、単一の平面コイルにカットした。このようにして得た284個の平面コイルは、それぞれ外形寸法が3.1×3.1×0.4mmであり、コイル導体層の厚さ(H)が150μm、コイル導体線条間の間隔(G)が10μm、頭部の幅(L)が100μm、首部の幅(l)が20μm、L/l比が5、L/H比が0.67、L/G比が5であった。また、このものの電気特性は、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.37μHであった。
比較のために、同じパターンのコイルを通常のプリント配線板の製法によって、36μmの銅箔を両面に貼った100μm厚のFR4基板を用いて作成した。ファインパターンであるために、歩留まりは大幅に減少したが、良品の電気的特性を測定すると、直流抵抗1.1Ω、インダクタンス値0.37μHであった。なお、外形寸法は3.1×3.1×0.2mmである。
このことから、本発明の平面コイルは、通常のプリント配線板の製法で作成したものに比べて直流抵抗を1/10以下にできることが分かる。
【0019】
比較例
実施例1で導体の断面形状の首の幅が頭の幅と同じコイルをパターンめっき法により形成した。すなわち、実施例1と同じ手法で同一基板上に下地銅膜を形成し、コイル導体線条のギャップ位置に厚さ35μm、幅10μmのレジストパターンを形成し、これに実施例と同一条件で厚さ30μmのめっきを施した。これを5回繰り返し、レジストを剥離してイオンミリングで導体間の下地銅膜をエッチングして、実施例1で首の幅が頭の幅と同じ断面形状のコイルを片面に形成した。この時の基板の反りは1.2mmであった。一方、実施例1と同じ手法で片面のみにコイルを形成し、基板の反りを測定すると0.25mmであった。首を細くすることで基板の反り量が1/5に減少しているのが分かる。
【0020】
実施例2
実施例1で用いたものと同じアンクラッドFR4基板の所定の位置に、直径0.2mmのスルーホールを設け、無電解銅めっき液でその両面に1μmの厚さの銅層を形成した。
その上にポジ型ホトレジストを乾燥膜厚で5μmになるようにスピンコートし、レジストパターン幅110μm、レジストパターン間隔(露出する導体の線幅)20μmのパターンをホトリソグラフィー法により形成した。ここでスルーホールは両面の銅層の接続のために用いている。コイル部となるレジスト除去部のパターンは円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mmで巻数は11.5回である。
これを光沢硫酸銅めっき浴でめっきした。めっき液の硫酸銅の濃度は70g/lであり、液温度は25℃である。小孔の開いているパイプをカソードの付近に設置して、ここからめっき液を20mm/秒で噴出させ、電流密度2.5A/dm2で膜厚が200μmになるまでめっきした。このときの導体間隔は10μmであった。実施例1に比べて、頭部の長さ(L)が10μm長くなっているので、導体高さが大きく取れる。
次に、レジストを剥離し、下地銅膜をイオンミリングでエッチングしてコイル導体部を形成したのち、単一の平面コイルにカットした。このようにして得た284個の平面コイルは、それぞれ外形寸法が3.1×3.1×0.4mmであり、コイル導体層の厚さ(H)が200μm、コイル導体線条間の間隔(G)が10μm、頭部の幅(L)が100μm、首部の幅(l)が20μm、L/l比が5、L/H比が0.5、L/G比が10であった。また、このものの電気特性は、直流抵抗0.06Ω、インダクタンス値0.36μHであった。
比較のために、同じパターンのコイルを通常のプリント配線板の製法によって、36μmの銅箔を両面に貼った100μm厚のFR4基板を用いて作成した。ファインパターンであるために、歩留まりは大幅に減少したが、良品の電気的特性を測定すると、直流抵抗0.9Ω、インダクタンス値0.37μHであった。なお、外形寸法は3.1×3.1×0.2mmである。
このことから、本発明の平面コイルは、通常のプリント配線板の製法で作成したものに比べて直流抵抗を1/10以下にできることが分かる。
【0021】
実施例3
実施例1で用いたものと同じアンクラッドFR4基板の所定の位置に、直径0.2mmのスルーホールを設け、無電解銅めっき液でその両面に1μmの厚さの銅層を形成した。
その上にポジ型ホトレジストを乾燥膜厚で5μmになるようにスピンコートし、レジストパターン幅90μm、レジストパターン間隔(露出する導体の線幅)20μmのパターンをホトリソグラフィー法により形成した。ここでスルーホールは両面の銅層の接続のために用いている。コイル部となるレジスト除去部のパターンは円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mmで巻数は11.5回である。
これを光沢高速硫酸銅めっき浴でめっきした。めっき液の硫酸銅の濃度は110g/lであり、液温度は35℃である。小孔の開いているパイプをカソードの付近に設置して、ここからめっき液を50mm/秒で噴出させ、電流密度9A/dm2で膜厚が150μmになるまでめっきした。このときの導体間隔は10μmであった。
次に、レジストを剥離し、下地銅膜をイオンミリングでエッチングしてコイル導体部を形成した。このようにして得た平面コイルは、外形寸法が3.1×3.1×0.4mmであり、コイル導体層の厚さ(H)が150μm、コイル導体線条間の間隔(G)が10μm、頭部の幅(L)が100μm、首部の幅(l)が20μm、L/l比が5、L/H比が0.67、L/G比が5であった。また、このものの電気特性は、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.37μHであった。
比較のために、同じパターンのコイルを通常のプリント配線板の製法によって、36μmの銅箔を両面に貼った100μm厚のFR4基板を用いて作成した。ファインパターンであるために、歩留まりは大幅に減少したが、良品の電気的特性を測定すると、直流抵抗1.1Ω、インダクタンス値0.37μHであった。なお、外形寸法は3.1×3.1×0.2mmである。
このことから、本発明の平面コイルは、通常のプリント配線板の製法で作成したものに比べて直流抵抗を1/10以下にできることが分かる。
【0022】
実施例4
直径3インチ、厚さ350μm、比透磁率800のNiZn系フェライト基板に、無電解銅めっき液でその両面に1μmの厚さの銅層を形成した。
その上にポジ型ホトレジストを乾燥膜厚で5μmになるようにスピンコートし、レジストパターン幅90μm、レジストパターン間隔(露出する導体の線幅)20μmのパターンをホトリソグラフィー法により形成した。コイル部となるレジスト除去部のパターンは円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mmで巻数は5.75回である。
これを光沢硫酸銅めっき浴でめっきした。めっき液の硫酸銅の濃度を70g/l、液温度を25℃として、実施例1と同様にして、電流密度2.5A/dm2で膜厚が150μmになるまでめっきした。このときの導体間隔は10μmであった。
次に、レジストを剥離し、下地銅膜をイオンミリングでエッチングしてコイル導体部を形成した。さらにこの上にカーテンコート法で感光性エポキシ樹脂をギャップ部も含めて塗布し、仮硬化後、所定の位置に、慣用のホトリソグラフィー法によりコンタクトホールを形成し、本硬化した。次いで前記の感光性エポキシ樹脂を絶縁基板として、前記と同じ方法を繰り返し、第二のコイル層を形成し積層平面コイル集合体を製造した。この集合体を分割して得た1個の平面コイルは、外形寸法が3.1×3.1×0.7mmであり、コイル導体層の厚さ(H)が150μm、コイル導体線条間の間隔(G)が10μm、頭部の幅(L)が100μm、首部の幅(l)が20μm、L/l比が5、L/H比が0.67、L/G比が5であった。また、このものの電気特性は、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.6μHであった。このものは、実施例1の平面コイルに比べてインダクタンス値が約50%増加している。
【0023】
実施例5
直径3インチ、厚さ300μmのNiZn系複合フェライト基板(フェライト粉末70容量%及びエポキシ樹脂30容量%)に、無電解銅めっき液で1μmの厚さの銅層を形成した。
その上にポジ型ホトレジストを乾燥膜厚で5μmになるようにスピンコートし、レジストパターン幅90μm、レジストパターン間隔(露出する導体の線幅)20μmのパターンをホトリソグラフィー法により形成した。コイル部となるレジスト除去部のパターンは円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mmで巻数は5.75回である。
これを光沢硫酸銅めっき浴でめっきした。めっき液の硫酸銅の濃度を70g/l、液温度を25℃として、実施例1と同様にして、電流密度2.5A/dm2で膜厚が150μmになるまでめっきした。このときの導体間隔は10μmであった。
次に、レジストを剥離し、下地銅膜をイオンミリングでエッチングしてコイル導体部を形成した。さらにこの上にカーテンコート法で感光性エポキシ樹脂をギャップ部も含めて塗布し、仮硬化後、所定の位置に、慣用のホトリソグラフィー法によりコンタクトホールを形成し、本硬化した。次いで前記の感光性エポキシ樹脂を絶縁基板として、前記と同じ方法を繰り返し、第二のコイル層を形成し積層平面コイル集合体を製造した。この集合体を分割して得た1個の平面コイルは、外形寸法が3.1×3.1×0.6mmであり、コイル導体層の厚さ(H)が150μm、コイル導体線条間の間隔(G)が10μm、頭部の幅(L)が100μm、首部の幅(l)が20μm、L/l比が5、L/H比が0.67、L/G比が10であった。また、このものの電気特性は、直流抵抗0.1Ω、インダクタンス値0.48μHであった。このものは、実施例1の平面コイルに比べてインダクタンス値が約30%増加している。
【0024】
実施例6
実施例1で作成したコイルの中央部に穿孔し、外形寸法が3.2×3.2×1.3mmのNiZn系EI型フェライトコアで挟着し、平面コイルを形成した。この時のインダクタンス値は11μHであり、インダクタンス値が約30倍に増大している。
【0025】
実施例7
実施例1で用いたものと同じアンクラッドFR4基板の所定の位置に、直径0.2mmのスルーホールを設け、無電解銅めっき液でその両面に1μmの厚さの銅層を形成した。
その上にポジ型ホトレジストを乾燥膜厚で5μmになるようにスピンコートし、レジストパターン幅200μm、レジストパターン間隔(露出する導体の線幅)20μmのパターンをホトリソグラフィー法により形成した。ここでスルーホールは両面の銅層の接続のために用いている。コイル部となるレジスト除去部のパターンは円形スパイラル状で、最内周の半径は0.9mmで巻数は6回である。
これを光沢硫酸銅めっき浴でめっきした。めっき液の硫酸銅の濃度を70g/l、液温度を25℃として、液撹拌はカソードロックを3mm/秒の速さでストローク100mm、電流密度2.5A/dm2で膜厚が150μmになるまでめっきした。このときの導体間隔は10μmであった。
次に、レジストを剥離し、下地銅膜をイオンミリングでエッチングしてコイル導体部を形成した。外形寸法は3.1×3.1×0.4mmであり、電気特性は、直流抵抗0.05Ωであった。
これを絶縁性フィルムを介して実施例1で得た平面コイルの中央部を穿孔してから積層し、全体を外形寸法3.2×3.2×1.7mmのNiZn系EI型フェライトコアで挟着して、平面トランスを形成した。結合係数は、周波数500kHzで測定して0.95であった。
【0026】
参考例
コイル導体線条の頭部の幅(L)が110μmのもの(A)と170μmのもの(B)について、導体線条の間隔(G)を10μmとして同定してめっきを行い、(L−l)/2、すなわちマッシュルーム断面のひさしの長さを変えて、導体の厚さ(H)の変化を測定し、その結果をグラフとして図4に示す。なお、このグラフには参考のために等方成長の場合の結果をCとして示した。
このことより、オーバーハング部のひさしの長さを大きくすることで、横方向へのめっきの成長速度が抑制される結果、導体間隔を一定にしたままで、導体の厚さを大きくすることができ、直流抵抗の小さい平面コイルが得られることが分かる。
また、ひさしの長さを大きくするほど導体の厚さを大きくしうることが分かる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の平面コイルは、コイル導体線条間の間隔を小さくしたまま、導体の厚さを大きくすることができるので、直流抵抗を小さくすることができ、これを用いて平面トランスを構成すると、特に10W以下の小パワーにおいて優れた電気特性を示すものになるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の平面コイルの部分断面図。
【図2】 本発明の平面コイルを製造する方法の1例の工程図。
【図3】 本発明の平面コイルの形状の1例を示す平面図。
【図4】 本発明の平面コイルにおけるひさし長さと導体高さとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 金属薄膜層
3,3′,3″ コイル導体線条
6 ホトレジストパターン層
7 スルーホール
Claims (3)
- 絶縁基板の片面又は両面に厚さ50〜400μmの複数のコイル導体線条をギャップ部のアスペクト比(H/G)1以上で設けた平面コイルにおいて、該コイル導体線条がマッシュルーム状断面を有し、その断面の頭部の幅(L)が首部の幅(l)の2〜5倍、頭部の高さ(H)の0.5〜1.5倍及び各コイル導体線条間の最小間隔(G)の4〜10倍であることを特徴とする平面コイル。
- コイル導体線条が保護用金属めっき薄膜層で被覆されている請求項1記載の平面コイル。
- 請求項1又は2の平面コイルを、絶縁性フィルムを介して複数個積層し、全体を薄型強磁性体コアで挟着して構成された平面トランス。
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