JP4029284B2 - 交流−交流電力変換器の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体スイッチング素子を用いて多相の交流電圧から多相の交流電圧を出力する交流−交流電力変換器に関し、特に、大容量のエネルギーバッファを有しない交流−交流電力変換器において、その入力電圧に高調波を含む場合に出力電圧波形の歪みを低減する高調波補償を行うための制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、交流−直流−交流変換方式(コンバータ−インバータ方式)を用いた従来の交流−交流電力変換器の構成を示している。ここでは、入力側、出力側の多相の例として最も一般的な三相を例示しており、入力側(電源側)の各相をR,S,T相、出力側(負荷側)の各相をU,V,W相と呼ぶものとする。
【0003】
図6において、20は交流スイッチ21〜26からなる三相の電流形PWM整流器、40は環流ダイオードを有するIGBT等の半導体スイッチング素子41〜46からなる三相の電圧形PWMインバータ、30は整流器20とインバータ40との間の直流リンク部に接続され、かつリアクトル31及びコンデンサ32からなるフィルタ、50は整流器20内の交流スイッチ21〜26のオン、オフを制御する整流器制御手段、60はインバータ40内のスイッチング素子41〜46のオン、オフを制御するインバータ制御手段である。
【0004】
上記従来技術では、入力電流指令に従って整流器20により入力電流を制御しながら所望の大きさの直流電圧を得ると共に、この直流電圧をインバータ40に入力して、出力電圧指令どおりの所望の大きさ及び周波数を有する三相交流電圧に変換し、出力している。
ここで、前記フィルタ30を構成するリアクトル31及びコンデンサ32は大容量のエネルギーバッファとして機能しており、このエネルギーバッファによって整流器20及びインバータ40のそれぞれ独立した制御を可能にしている。
【0005】
なお、整流器20の制御は、整流器制御手段50により入力電流指令とキャリア波形とを比較し、その大小関係によりPWM指令を得て交流スイッチ21〜26に対する制御パルスを生成する。
インバータ40側についても同様に、インバータ制御手段60により出力電圧指令とキャリア波形とを比較し、その大小関係によりPWM指令を得てスイッチング素子41〜46に対する制御パルスを生成する。
【0006】
上記従来技術では、入力電圧に高調波成分が含まれていたとしても、この高調波成分はフィルタ30により平滑されるのでその影響は出力側に現れない。
すなわち、図6の回路では、入力電圧に高調波成分が重畳されている場合でも、出力電圧を所望の大きさ、周波数に制御することができ、良好な波形を得ることができる。
【0007】
なお、図6のようなコンバータ−インバータ方式の交流−交流電力変換器は従来から種々提供されているが、例えば以下の特許文献1に記載されたものがある。
【0008】
【特許文献】
特開平11−299290号公報(図1,[0018],[0019]等)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記コンデンサ32や特許文献1に記載された平滑コンデンサには、通常、電解コンデンサが用いられているが、電解コンデンサは外形が大きく、また、寿命も短いため、装置の小形化、長寿命化の妨げとなっている。更に、コンデンサ32と共にフィルタ30を構成する前記リアクトル31も大形であり、小形化の妨げとなる。
すなわち、直流リンク部に挿入されているフィルタ30を除去すれば装置の小形化、長寿命化が可能であることから、フィルタ30を有しない電力変換器の実現が要請されている。
【0010】
ここで、図7は、図6の構成から直流リンク部のフィルタ30を除去した場合において、入力電圧に高調波成分(5次高調波が5%、7次高調波が2.5%)が含まれる場合の入力電圧波形及び出力電圧波形を単位法表示したものである。
図7のように入力電圧に高調波成分が含まれる場合、入力電流を正弦波に制御すると有効電力が脈動し、直流リンク部の電圧にリプルが現れる。従来のフィルタ30のように大容量のエネルギーバッファがある場合には、入力側の有効電力脈動はエネルギーバッファにより吸収することができるが、大容量のエネルギーバッファを有しない電力変換器では、直流リンク部の電圧に脈動が発生し、その結果、図7に示す如く出力電圧波形に歪みが発生する。出力電圧の歪みは、交流−交流電力変換器の負荷として電動機が接続されている場合、電動機のトルク振動や騒音を生じさせるだけでなく、高調波電流により銅損が増加し、効率を低下させることとなる。
【0011】
そこで本発明は、直流リンク部に大容量のエネルギーバッファを有しない電力変換器や、マトリクスコンバータのようにエネルギーバッファを介さずに交流−交流直接変換を行う場合において、入力電圧に高調波成分が含まれる場合でも出力電圧波形に歪みのない正弦波を得ることにより、小形かつ長寿命であり、電動機等の負荷の運転に障害を与えることがない交流−交流電力変換器の制御装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、直流リンク部にエネルギーバッファを持たずに多相交流電圧を多相交流電圧に変換する交流−交流電力変換器において、
この電力変換器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段により検出された入力電圧に応じて入力側の瞬時有効電力が一定になるような入力電流の高調波成分を演算する瞬時有効電力一定化手段と、この一定化手段により演算された高調波成分を入力電流基本波指令に重畳して前記電力変換器に与える入力電流指令を生成する入力電流指令発生手段と、
を備えたものである。
【0013】
請求項2記載の発明は、多相交流電圧を直流電圧に変換する整流器と、この整流器から出力される直流電圧を多相交流電圧に変換するインバータと、を有する交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記整流器の入力電流指令が与えられて整流器を制御する整流器制御手段と、前記インバータを制御するインバータ制御手段と、を備えた制御装置において、
前記整流器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段により検出された入力電圧の基本波成分及び高調波成分を検出する基本波検出手段及び高調波検出手段と、これらの基本波検出手段及び高調波検出手段により検出された入力電圧の基本波成分の振幅及び高調波成分の振幅、並びに入力電流基本波指令を用いて、入力側の瞬時有効電力が一定になるような前記高調波成分と同じ次数の入力電流の高調波成分を演算し、高調波電流指令として出力する高調波電流指令演算手段と、前記高調波電流指令を入力電流基本波指令に重畳して前記電力変換器に与える入力電流指令を生成する手段と、
を備えたものである。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2の発明の特徴的な構成をマトリクスコンバータに適用したものであり、多相交流電圧を仮想整流器及び仮想インバータにより多相交流電圧に変換するマトリクスコンバータを備えた交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記仮想整流器の入力電流指令が与えられて仮想整流器の制御パルスを出力する整流器制御手段と、前記仮想インバータの制御パルスを出力するインバータ制御手段と、前記仮想整流器の制御パルス及び前記仮想インバータの制御パルスを合成して前記マトリクスコンバータに与えるパルス合成手段と、を備えた制御装置において、
前記仮想整流器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、この電圧検出手段により検出された入力電圧の基本波成分及び高調波成分を検出する基本波検出手段及び高調波検出手段と、これらの基本波検出手段及び高調波検出手段により検出された入力電圧の基本波成分の振幅及び高調波成分の振幅、並びに入力電流基本波指令を用いて、入力側の瞬時有効電力が一定になるような前記高調波成分と同じ次数の入力電流の高調波成分を演算し、高調波電流指令として出力する高調波電流指令演算手段と、前記高調波電流指令を入力電流基本波指令に重畳して前記整流器制御手段に与える入力電流指令を生成する手段と、
を備えたものである。
【0015】
請求項4記載の発明は、多相交流電圧を直流電圧に変換する整流器と、この整流器から出力される直流電圧を多相交流電圧に変換するインバータと、を有する交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記整流器の入力電流指令が与えられて整流器を制御する整流器制御手段と、前記インバータを制御するインバータ制御手段と、を備えた制御装置において、
前記電力変換器の瞬時有効電力を求める手段と、この手段により求めた瞬時有効電力の脈動分を検出する手段と、この手段により求めた脈動分をゼロに調節する調節手段と、この調節手段の出力を入力電流基本波指令に重畳して前記整流器に与える入力電流指令を生成する手段と、
を備えたものである。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4の発明の特徴的な構成をマトリクスコンバータに適用したものであり、多相交流電圧を仮想整流器及び仮想インバータにより多相交流電圧に変換するマトリクスコンバータを備えた交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記仮想整流器の入力電流指令が与えられて仮想整流器の制御パルスを出力する整流器制御手段と、前記仮想インバータの制御パルスを出力するインバータ制御手段と、前記仮想整流器の制御パルス及び前記仮想インバータの制御パルスを合成して前記マトリクスコンバータに与えるパルス合成手段と、を備えた制御装置において、
前記マトリクスコンバータの瞬時有効電力を求める手段と、この手段により求めた瞬時有効電力の脈動分を検出する手段と、この手段により求めた脈動分をゼロに調節する調節手段と、この調節手段の出力を入力電流基本波指令に重畳して前記仮想整流器に与える入力電流指令を生成する手段と、
を備えたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態を示すブロック図である。この実施形態は、大容量のエネルギーバッファを有しない交流−交流電力変換器100と、三相交流電源10からの入力電圧を検出する電圧検出手段200と、入力側の瞬時有効電力が一定になるように制御を行う瞬時有効電力一定化手段300と、この瞬時有効電力一定化手段300により求められた入力電流の高調波成分を入力電流基本波指令に重畳して電力変換器100の入力電流指令を生成する入力電流指令発生手段400とを備えている。
なお、交流−交流電力変換器100は、例えば図6に示したように電流形PWM整流器20と電圧形PWMインバータ40とから構成されており、直流リンク部にはリアクトル及びコンデンサからなるフィルタ等のエネルギーバッファが設けられていない。
【0018】
以下に、本実施形態において、入力側の瞬時有効電力が一定になるように入力電流を制御することにより、出力電圧波形が改善される原理について述べる。
この種の交流−交流電力変換器は、交流入力電圧から所望の大きさ、周波数の交流電圧を出力する。電力変換器から出力される対称三相交流電圧voutを瞬時空間ベクトルにて表すと、数式1となる。なお、数式1において、Vmoutは出力電圧の振幅、θ=ωt、αは位相角である。
【0019】
【数1】
Figure 0004029284
【0020】
また、電力変換器から出力される対称三相正弦波電流を瞬時空間ベクトルにて表すと、数式2となる。なお、数式2において、Imoutは出力電流の振幅、φは位相角である。
【0021】
【数2】
Figure 0004029284
【0022】
従って、数式1,数式2から、瞬時有効電力は数式3となる。この結果、電力変換器の出力側の瞬時有効電力は一定であることがわかる。
【0023】
【数3】
Figure 0004029284
【0024】
一方、入力電圧にn次高調波が重畳されている場合、入力電圧ベクトルは数式4となる。なお、数式4において、Vminは入力電圧の振幅、Vninは入力電圧のn次高調波成分の振幅、ζ=ωt、βは位相角である。
【0025】
【数4】
Figure 0004029284
【0026】
このとき、入力電流として対称三相交流電流を流した場合、入力電流ベクトルは数式5で表されると共に、数式4,数式5から、瞬時有効電力は数式6となる。数式5において、ρは位相角を示し、数式6において、Reは実数部を示す。
【0027】
【数5】
Figure 0004029284
【0028】
【数6】
Figure 0004029284
【0029】
前述した数式3は出力側の瞬時有効電力であり、数式6は入力側の瞬時有効電力である。エネルギー保存の法則から、エネルギーバッファのない電力変換器では、入力側と出力側の瞬時有効電力を一致させる必要がある。
しかし、数式6は右辺第2項にζを含んでいることから脈動分を持っており、入力電圧に高調波成分を含んでいる場合には入力電流と出力電圧とを対称三相正弦波とすることは物理的に不可能である。
【0030】
数式3と数式6を一致させるためには、入力電流または出力電圧のいずれかもしくはその両方を歪ませることにより、数式6の第2項を打ち消す必要がある。電力変換器に電動機等が接続されている場合、出力電圧をひずませて高調波が含まれると、電動機にトルクリプルを生じ、騒音が発生するので好ましくない。
そこで、入力側の瞬時有効電力が一定になるように、入力電流指令に高調波成分を重畳して数式7により制御することとした。
【0031】
【数7】
Figure 0004029284
【0032】
ここで、入力側の瞬時有効電力を求めると、数式8となる。
【0033】
【数8】
Figure 0004029284
【0034】
数式8右辺第4項は、入力電圧及び入力電流の高調波成分によって生じる瞬時有効電力であり、ζに対し、定数項C及び高調波次数nに応じた変動項f(nζ)によって表すことができるので、数式8は数式9となる。
【0035】
【数9】
Figure 0004029284
【0036】
数式9において、右辺第1項と第4項は定数項であり、一定である。瞬時有効電力の脈動は、ζを含む右辺第2項、第3項及び第5項により発生する。従って、瞬時有効電力を一定とするためには、数式10を満たす高調波成分ΣIninjkn(ζ+ρ)を入力電流指令に重畳すればよい。
【0037】
【数10】
Figure 0004029284
【0038】
なお、スイッチングを伴う電力変換器では有効電力は入力側から出力側に伝達されるが、無効電力は電力変換器の還流モードにより発生する。これは従来の直流−交流電力変換器(インバータ)を考えれば、明らかである。インバータの入力は直流であるから、瞬時電力はすべて瞬時有効電力である。
しかし、インバータの出力側では負荷に応じて無効電力が発生し、瞬時有効電力の他に、負荷に応じた瞬時無効電力が発生している。従って、入力側の電流波形を変化させ、入出力の瞬時有効電力を一致させることで、大容量のエネルギーバッファがない場合でも出力側に一定の瞬時有効電力を取り出すことができる。
【0039】
図1において、電圧検出手段200は数式4に基づいて入力電圧vinを検出し、瞬時有効電力一定化手段300は、Vmin,Vnin,ζ,β,n(高調波次数)を用いて数式10を満たす入力電流の高調波成分ΣIninjkn(ζ+ρ)を算出する。そして、入力電流指令発生手段400は、数式5で示される入力電流基本波指令に前記高調波成分ΣIninjkn(ζ+ρ)を重畳し、数式7により交流−交流電力変換器100に与える入力電流指令iinを生成して出力する。
これにより、入力側の瞬時有効電力が一定に制御され、電力変換器100の出力電圧波形を歪みのない正弦波にすることができる。
【0040】
次に、図2は本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
この実施形態では、交流−交流電力変換器として、入力電流を制御する電流形PWM整流器20と電圧形PWMインバータ40とがフィルタなしに直接接続されており、整流器制御手段50は、入力電流指令に応じた入力電流を流すように整流器20を制御し、インバータ制御手段60は、出力電圧指令に従った電圧を出力するべくインバータ40を制御するように構成されている。21〜26は交流スイッチ、41〜46は半導体スイッチング素子である。
【0041】
また、三相交流電源10には電圧検出手段200が接続され、その出力は基本波検出手段310及び高調波検出手段320に加えられていると共に、これらの検出手段310,320の出力は、入力電流基本波指令と一緒に高調波電流指令演算手段330に加えられている。そして、高調波電流指令演算手段330から出力される高調波電流指令は入力電流基本波指令と加算手段410により加算され、その加算結果が入力電流指令として整流器制御手段50に入力されている。
【0042】
本実施形態では、以下の理由により、入力電圧に含まれる5次高調波と7次高調波について補償を行うものとする。
(1)数式10は比較的複雑であり、すべての次数の高調波について補償するためには演算量が多くなるため高速の制御装置が必要である。
(2)負荷が電動機の場合、入力電圧の高次高調波は漏れインダクタンスにより平滑され、電流に現れる影響は小さくなる。
(3)加えて、高周波のトルクリプルは電動機の慣性モーメントに吸収されるため、回転ムラとしては現れず、問題にならない。
(4)電源電圧高調波に最も多く含まれるのは、一般に5次、7次である。また、高次高調波は入力フィルタを設けることで減衰させることができる。
【0043】
そこで、数式10に基づき、入力電圧に5次高調波と7次高調波が含まれる場合について瞬時有効電力pinを求めると、数式11となる。なお、数式11において、V5in,V7inは5次高調波、7次高調波の電圧振幅、I5in,I7inは5次高調波、7次高調波の電流振幅である。
【0044】
【数11】
Figure 0004029284
【0045】
数式11の右辺第3項以降が、ζによる変動項である。入力力率を1とし(β=ρ)、数式11の右辺第3項以降をゼロとするためには、数式12が成立すればよい。
【0046】
【数12】
Figure 0004029284
【0047】
数式12により、入力電流基本波指令に重畳する5次高調波、7次高調波の電流振幅は数式13となる。
【0048】
【数13】
Figure 0004029284
【0049】
図2では、入力電圧を電圧検出手段200により検出し、基本波検出手段310により、基本波の電圧振幅Vを抽出し、高調波検出手段320により5次、7次高調波の電圧振幅V5in,V7inを検出する。高調波電流指令演算手段330では数式13の演算により5次、7次高調波電流の振幅I5in,I7inを求め、これらを加算手段410により入力電流の基本波指令(振幅指令)に加算して整流器制御手段50に与える入力電流指令を得る。
【0050】
図3は、この実施形態によるシミュレーション結果を示す入力電圧波形及び出力電圧波形であり、図7の場合と同様に、入力電圧には5次高調波が5%、7次高調波が2.5%含まれている場合である。入力電流に5次、7次高調波電流を重畳することにより、入力側の瞬時有効電力を一定にし、入力電流波形及び出力電圧波形を歪みのない正弦波にすることができる。
【0051】
次に、図4は本発明の第3実施形態を示す構成図であり、この実施形態では、主変換器としてマトリクスコンバータ90を用いている。
このマトリクスコンバータ90は、入力端子R,S,Tと出力端子U,V,Wとの間に双方向スイッチ91〜99を接続して構成されており、各スイッチ91〜99は、例えばIGBT等の2個の半導体スイッチング素子を逆方向に直列接続すると共に、各スイッチング素子に環流ダイオードをそれぞれ逆並列に接続して構成される。
【0052】
上記マトリクスコンバータ90の制御に当たっては、図2におけるPWM整流器20、PWMインバータ40と同様な構成のPWM整流器、PWMインバータを仮想し、これらの仮想整流器及び仮想インバータに対するPWMパルス(スイッチング関数)を整流器制御手段50及びインバータ制御手段60により作成すると共に、これらのパルスをPWMパルス合成手段70により合成してマトリクスコンバータ90を制御する方法が知られている(例えば、「マトリクスコンバータにおける入出力無効電力の非干渉制御法」,伊藤里絵・高橋勲,電気学会半導体電力変換研究会SPC-01-121,IEA-01-64を参照)。
【0053】
ここで、マトリクスコンバータ90の電力変換動作は、以下の数式14によって表される。なお、数式14において、v,v,vは出力相電圧、v,v,vは入力相電圧、S91〜S99は双方向スイッチ91〜99のスイッチング関数である。
【0054】
【数14】
Figure 0004029284
【0055】
また、上記スイッチング関数S91〜S99は、仮想整流器側のスイッチング関数及び仮想インバータ側のスイッチング関数を用いて、数式15のように表すことができる。
【0056】
【数15】
Figure 0004029284
【0057】
図4におけるPWMパルス合成手段70は、整流器制御手段50からのスイッチング関数とインバータ制御手段60からのスイッチング関数とを用いて数式14によりスイッチング関数を演算し、このスイッチング関数に従ってマトリクスコンバータ90内の双方向スイッチ91〜99をオンオフ制御する。
なお、仮想整流器側の動作は、電源短絡を許容しないため電流形のPWM整流器と等価な動作となる。
【0058】
本実施形態では、マトリクスコンバータ90の入力電圧に高調波が含まれる場合でも、仮想整流器に対する入力電流指令を得るために基本波電流指令に数式13の高調波電流指令を重畳することにより、入力側の瞬時有効電力が一定となるように制御を行い、入力電流波形及び出力電圧波形の歪みを低減することができる。ここで、図4における各手段200,310,320,330,410の動作は第2実施形態と同様であるため、詳述を省略する。
【0059】
次いで、図5は本発明の第4実施形態を示すブロック図である。この実施形態では、瞬時有効電力を一定にする演算を簡単に行うため、入力電流基本波指令に重畳する高調波成分を調節器により得るようにした。
【0060】
すなわち、図5において、交流−交流電力変換器100の出力側には電流検出手段340が接続されており、この検出手段340により出力電流を検出し、出力電圧指令と出力電流とから出力側の瞬時有効電力を瞬時有効電力演算手段350により演算する。
脈動分検出手段360は、演算した瞬時有効電力の脈動分を検出する。瞬時有効電力の脈動を、入力電流の基本波の振幅指令に高調波成分を重畳することにより抑制できることは、各実施形態で説明したとおりである。
従って、脈動分検出手段360の出力とゼロが図示の符号で入力される加算器370と調節器380とを設けることにより、調節器380の出力が瞬時有効電力を一定にするような高調波成分となる。この高調波成分を入力電流基本波指令に加算することにより、電力変換器100の出力側の瞬時有効電力を一定にして出力電圧波形を正弦波に制御することができる。
ここで、調節器380には、例えば比例調節器、比例積分調節器等を用いることができる。
【0061】
なお、瞬時有効電力は、出力電圧指令から演算する以外に、図示されていない出力電圧検出手段を設けて出力電流及び出力電圧の各検出値から求めても良いし、電力変換器100の入力側に電流検出手段を設け、入力電圧と入力電流とから求めても良い。
更に、この実施形態は図2の回路にも適用可能であり、直流リンク部に直流電圧検出手段及び直流電流検出手段を設け、直流リンク部の瞬時電力を求めてもよい。
また、この実施形態は、図4に示した回路にも適用可能であり、その場合には、マトリクスコンバータ90の瞬時有効電力を検出し、その脈動成分をゼロにするように調節動作する調節器の出力を入力電流基本波指令に重畳して整流器制御手段50に加えれば良い。この場合の瞬時有効電力も、出力電流及び出力電圧の各検出値、入力電流及び入力電圧の各検出値等から求めることができる。
【0062】
また、本発明は、各実施形態で説明した三相以外の多相交流の相互変換にも適用可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、直流リンク部に大容量のエネルギーバッファを持たずに整流器及びインバータから構成される電力変換器や、マトリクスコンバータ等の交流−交流直接変換形電力変換器において、入力電圧に高調波が含まれる場合でも、出力電圧波形として歪みのない正弦波を得ることができる。
この結果、小形、長寿命であり、電動機等の負荷の運転に障害を与えない交流−交流電力変換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示すブロック図である。
【図3】第2実施形態によるシミュレーション結果を示す入力電圧波形及び出力電圧波形である。
【図4】本発明の第3実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明の第4実施形態を示すブロック図である。
【図6】従来技術を示すブロック図である。
【図7】従来技術における入力電圧波形及び出力電圧波形である。
【符号の説明】
10:三相交流電源
20:電流形PWM整流器
21〜26:交流スイッチ
40:電圧形PWMインバータ
41〜46:半導体スイッチング素子
50:整流器制御手段
60:インバータ制御手段
70:PWMパルス合成手段
100:交流−交流電力変換器
110:マトリクスコンバータ
111〜119:双方向スイッチ
200:電圧検出手段
300:瞬時有効電力一定化手段
310:基本波検出手段
320:高調波検出手段
330:高調波電流指令演算手段
340:電流検出手段
350:瞬時有効電力演算手段
360:脈動分検出手段
370,410:加算手段
400:入力電流指令発生手段
R,S,T:交流入力端子
U,V,W:交流出力端子

Claims (5)

  1. 直流リンク部にエネルギーバッファを持たずに多相交流電圧を多相交流電圧に変換する交流−交流電力変換器において、
    この電力変換器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、
    この電圧検出手段により検出された入力電圧に応じて入力側の瞬時有効電力が一定になるような入力電流の高調波成分を演算する瞬時有効電力一定化手段と、
    この一定化手段により演算された高調波成分を入力電流基本波指令に重畳して前記電力変換器に与える入力電流指令を生成する入力電流指令発生手段と、
    を備えたことを特徴とする交流−交流電力変換器の制御装置。
  2. 多相交流電圧を直流電圧に変換する整流器と、この整流器から出力される直流電圧を多相交流電圧に変換するインバータと、を有する交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記整流器の入力電流指令が与えられて整流器を制御する整流器制御手段と、前記インバータを制御するインバータ制御手段と、を備えた制御装置において、
    前記整流器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、
    この電圧検出手段により検出された入力電圧の基本波成分及び高調波成分を検出する基本波検出手段及び高調波検出手段と、
    これらの基本波検出手段及び高調波検出手段により検出された入力電圧の基本波成分の振幅及び高調波成分の振幅、並びに入力電流基本波指令を用いて、入力側の瞬時有効電力が一定になるような前記高調波成分と同じ次数の入力電流の高調波成分を演算し、高調波電流指令として出力する高調波電流指令演算手段と、
    前記高調波電流指令を入力電流基本波指令に重畳して前記電力変換器に与える入力電流指令を生成する手段と、
    を備えたことを特徴とする交流−交流電力変換器の制御装置。
  3. 多相交流電圧を仮想整流器及び仮想インバータにより多相交流電圧に変換するマトリクスコンバータを備えた交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記仮想整流器の入力電流指令が与えられて仮想整流器の制御パルスを出力する整流器制御手段と、前記仮想インバータの制御パルスを出力するインバータ制御手段と、前記仮想整流器の制御パルス及び前記仮想インバータの制御パルスを合成して前記マトリクスコンバータに与えるパルス合成手段と、を備えた制御装置において、
    前記仮想整流器の入力電圧を検出する電圧検出手段と、
    この電圧検出手段により検出された入力電圧の基本波成分及び高調波成分を検出する基本波検出手段及び高調波検出手段と、
    これらの基本波検出手段及び高調波検出手段により検出された入力電圧の基本波成分の振幅及び高調波成分の振幅、並びに入力電流基本波指令を用いて、入力側の瞬時有効電力が一定になるような前記高調波成分と同じ次数の入力電流の高調波成分を演算し、高調波電流指令として出力する高調波電流指令演算手段と、
    前記高調波電流指令を入力電流基本波指令に重畳して前記整流器制御手段に与える入力電流指令を生成する手段と、
    を備えたことを特徴とする交流−交流電力変換器の制御装置。
  4. 多相交流電圧を直流電圧に変換する整流器と、この整流器から出力される直流電圧を多相交流電圧に変換するインバータと、を有する交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記整流器の入力電流指令が与えられて整流器を制御する整流器制御手段と、前記インバータを制御するインバータ制御手段と、を備えた制御装置において、
    前記電力変換器の瞬時有効電力を求める手段と、
    この手段により求めた瞬時有効電力の脈動分を検出する手段と、
    この手段により求めた脈動分をゼロに調節する調節手段と、
    この調節手段の出力を入力電流基本波指令に重畳して前記整流器に与える入力電流指令を生成する手段と、
    を備えたことを特徴とする交流−交流電力変換器の制御装置。
  5. 多相交流電圧を仮想整流器及び仮想インバータにより多相交流電圧に変換するマトリクスコンバータを備えた交流−交流電力変換器の制御装置であって、前記仮想整流器の入力電流指令が与えられて仮想整流器の制御パルスを出力する整流器制御手段と、前記仮想インバータの制御パルスを出力するインバータ制御手段と、前記仮想整流器の制御パルス及び前記仮想インバータの制御パルスを合成して前記マトリクスコンバータに与えるパルス合成手段と、を備えた制御装置において、
    前記マトリクスコンバータの瞬時有効電力を求める手段と、
    この手段により求めた瞬時有効電力の脈動分を検出する手段と、
    この手段により求めた脈動分をゼロに調節する調節手段と、
    この調節手段の出力を入力電流基本波指令に重畳して前記仮想整流器に与える入力電流指令を生成する手段と、
    を備えたことを特徴とする交流−交流電力変換器の制御装置。
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