JP3966867B2 - ポリケトン処理コードおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは、本発明は、高強度・高弾性率の優れた力学特性を有し、かつ、極めて高い熱収縮性を有するポリケトン繊維を用いたポリケトン処理コード及びそれらの製造方法に関する。
本発明のポリケトン繊維は衣料用途や産業用資材用途など幅広く適用可能であり、とりわけ加工時や使用時に熱収縮および熱収縮力を発現することが要求される産業用資材分野、特にベルトやタイヤコード等の補強用繊維材料に適用できるポリケトン処理コードとして有用である。
ポリケトン繊維は、従来のポリオレフィン繊維に比べて融点が高く、また高強度・高弾性率の繊維が得られることが知られており、この優れた物性を活かして産業用資材、土木用資材、生活資材、衣料用途など幅広い用途への展開が検討されている。中でも高強度、高弾性率の優れた機械的特性と高融点の熱的特性を活かして産業用資材用途、特にタイヤコード用途への展開が期待されている。
タイヤコードにおいても用途や使用部位によっては要求される性能が全く異なり、例えばタイヤのカーカス部の心材として用いられるカーカスプライ等のコード用途では高強度でかつ熱収縮力の小さい特性が要求され、一方カーカスやベルトの形態維持等の目的で用いられるキャッププライやエッジプライ等のコード用途では高強度でかつ熱収縮力の大きい特性が要求される。
これまで高強度、高弾性率のポリケトン繊維については、いくつかの技術が開示されており、例えば、特許文献4、非特許文献2では溶融紡糸を行う方法が、また、特許文献5〜12では溶剤を用いて湿式紡糸を行う方法が開示されている。
これらの文献では、溶融紡糸や湿式紡糸によって得られたポリケトン未延伸糸を加熱下で高度に延伸することで高強度・高弾性率のポリケトン繊維を得る技術が開示されている。しかしながら、これらの文献に記載されている方法で紡糸・延伸したポリケトン繊維は強度10cN/dtex以上、弾性率200cN/dtex以上の高強度・高弾性率の性能は得られるものの、熱時に強い収縮力を示すポリケトン繊維及びその製造技術については一切開示されていない。
しかしながら、たとえ高い熱収縮応力や熱収縮率を有するポリケトン繊維を用いても、加工工程の熱処理によってポリケトン繊維の熱収縮応力や熱収縮率は低下してしまい、ポリケトン処理コードの熱収縮力は不十分なものになってしまう。
さらには、特許文献14ではラジアルタイヤのカーカス層にポリケトン繊維からなる処理コードを用いる技術が開示されている。しかしながら、この文献においても、キャッププライやエッジプライにポリケトン繊維を適用すること、キャッププライやエッジプライに適用可能な高い熱収縮応力を有するポリケトン処理コードに関する技術ついては一切開示されていない。
以上のように、高強度、高弾性率の優れた力学特性を有しながら極めて高い熱収縮応力を有するポリケトン繊維やポリケトン繊維処理コードおよびそれらを製造する技術についてはこれまで一切知られていない。
即ち、本発明は;
(1) ポリケトン繊維がレゾルシン−ホルマリン−ラテックス樹脂により処理された処理コードであるポリケトン繊維処理コードであって、最大熱収縮応力が0.2〜0.4cN/dtex、150℃における乾熱収縮率が0.5〜6%であるポリケトン処理コードを提供する。また、
(2) 最大熱収縮応力が0.3〜0.4cN/dtex、150℃における熱収縮率が1〜4%である点にも特徴を有する。また、
(3) 最大熱収縮力が500〜1079cN/コードである点にも特徴を有する。また、
(4) ポリケトン撚糸コードをレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液に浸漬後、熱処理するポリケトン処理コードの製造方法において、
撚糸コードの熱処理温度をT(℃)、熱処理時に印可する張力をσD(cN/dtex)とした時に、σDおよびTが下記式の範囲内である工程を含むポリケトン処理コードの製造方法を提供する。また、
1.01×σT ≦σD(cN/dtex)≦10×σT
100≦T(℃)≦270
(ここで、σTはポリケトン撚糸コードの温度Tにおける熱収縮応力である。)
また、該ポリケトン繊維を撚糸した撚糸コード、接着剤を付与した処理コードは、加工時や使用時に熱を受けた際に材料を締め付ける性能が要求される用途、例えばタイヤやベルト、ホースのゴム補強材料において製品の外周部、表面部に用いられるコード材料やFRP等の産業用資材用途に極めて有用である。
特に、本発明のポリケトン繊維を用いたポリケトン処理コードは従来の熱可塑性繊維からなるコードを超える優れた熱収縮力を示すため、使用する繊維の本数を減らすことも可能であり、キャッププライやベルトプライに適用した場合にはタイヤやベルトの更なる軽量化も可能となる。
本発明に用いるポリケトンポリマーは、繰返単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレンから構成されたポリケトンポリマーである。
なお、1−オキソトリメチレンから構成される繰返単位とは下記構造式(1)で表される基である。
繰返単位中の1−オキソトリメチレンの割合が高いほど高強度・高弾性率、高耐熱性の繊維が得られることから、97モル%以上、好ましくは99モル%以上、最も好ましくは100モル%が1−オキソトリメチレンであることが望ましい。
耐光性、耐熱性、高温時の物性の低下の観点からオレフィンと一酸化炭素が交互に配列した部分の含有率は多ければ多いほどよく、好ましくは97重量%以上、最も好ましくは100重量%である。
また、必要に応じてプロペン、ブテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ペンテン、シクロペンテン、オクテン、ノネン等のエチレン以外のオレフィンやメチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドン、塩化ビニル等の不飽和炭化水素を有する化合物を共重合してもよい。
極限粘度が1未満では分子量が低すぎて高強度のポリケトン繊維を得ることが困難となるばかりか、凝固糸の物性(強度・伸度)が低くなるため紡糸時や乾燥時、延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発する。一方、極限粘度が20を超えるとポリマーの重合に時間、コストがかかるばかりか、均一な溶解が困難となり紡糸性や繊維物性にも悪影響が出る。
このため、本発明に用いるポリケトンポリマーの極限粘度としては、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜8であることが望ましい。
このため、結晶化度としては50〜90%、好ましくは60〜85%であることが望ましい。
また、結晶配向度は95%未満の場合、分子鎖の配向が不十分で十分な弾性率を有する繊維が得られないため、結晶配向度としては95%以上、好ましくは97%以上であることが望ましい。
また、ポリケトン繊維は引張強度が10cN/dtex以上、引張弾性率が200cN/dtex以上であることが必要である。
引張強度は高いほど、強度の要求される分野での使用が可能となったり、使用する繊維の重量を少なくすることが出来るようになるため、15cN/dtex以上であることが望ましい。
また、引張弾性率は高いほど同一荷重下での寸法変化が小さく形態安定性に優れることから、300cN/dtex以上であることがより望ましい。
ポリケトン繊維は最大熱収縮応力が0.8cN/dtex以上であることが特に必要である。
熱収縮応力が0.8cN/dtex未満である場合、撚りコードや処理コードとした際の熱収縮力は原糸の値より1割以上も低下するため、成型品をしっかりと効率的に締め付ける力が不足し、形態保持のタガ材としての機能が十分に果たせなくなる。
このため、ポリケトン繊維の最大熱収縮応力としては0.8cN/dtex以上、好ましくは0.9cN/dtex以上であることが望ましい。最大熱収縮応力が1.0cN/dtex以上であることが特に望ましく、この場合従来の繊維素材(例えばナイロン6・6やポリエチレンテレフタレート)に比べて2倍近い熱収縮応力となり、使用する繊維の量を大幅に減らし軽量化が可能となる。
タイヤコードやベルト等のゴム補強用繊維材料として用いられる場合、RFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰返し使用や高速回転によってタイヤやベルト等の材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなること等から最大熱収縮温度は100〜250℃の範囲であることが望ましい。
最大熱収縮温度が100℃未満の場合、パッケージに巻取る際や製品を通常の条件で使用する際でも比較的高い収縮応力が発生してしまい、巻きしまりや製品の歪み等の問題が起こり易くなる。更に、処理コードへ加工する際に行うRFL処理によって最大熱収縮応力が大きく低下してしまい、十分な熱収縮応力を有するタイヤコードを得ることが困難になる。
また、最大熱収縮温度が250℃を超えると、熱処理時に繊維の変性が起こり易く熱応力特性を有効に活用することが困難となる。
このため、最大熱収縮温度としては好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜240℃であることが望ましい。
乾熱収縮率は加工条件や用途によって要求される性能が異なるため、一概に定義することは困難であるが、150℃、30分の乾熱処理における収縮率として1%以上であることが望ましい。
より好ましい性能としては2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上の収縮率を有することが望ましい。
一方で、乾熱収縮率が大きすぎる場合、パッケージに巻取った際の巻きしまりが顕著になる問題が生じるため、好ましくは7%以下、より好ましくは6%以下であることが望ましい。
単糸繊度としては好ましくは0.01〜100dtex、単糸数1〜10000f、総繊度30〜100000dtexの範囲であり、より好ましい範囲としては単糸繊度0.1〜10dtex、単糸数10〜5000、総繊度100〜10000である。
マルチフィラメントの場合には必要に応じて撚糸されていても良い。撚数は単糸繊度、総繊度、用途等に応じて変化するため一概には定義できないが、通常は繊維長さ1m当たりに2〜1000回程度である。
また、ポリケトン繊維中には、目的に応じて、油剤、酸化防止剤、クエンチング剤、ラジカル捕捉剤、重金属不活性化剤、ゲル化抑制剤、艶消剤、紫外線吸収剤、顔料等の添加剤、他のポリマー等を含んでいてもよい。
上述したポリケトンポリマーを用いてポリケトン未延伸糸の紡糸が行われるが、未延伸糸の製造方法については特に制限はなく、従来公知の紡糸方法をそのままあるいは必要に応じて改良して用いることが出来る。
例えば、湿式紡糸法を採用する場合、溶剤の安全性、取扱性の観点からハロゲン化亜鉛塩溶液を溶剤とする湿式紡糸方法が好適に用いられる。
ハロゲン化亜鉛を溶剤とする湿式紡糸法としては、例えば、ハロゲン化亜鉛を15〜80重量%含有する溶液にポリケトンポリマーを2〜30重量%溶解してドープとし、温度50〜130℃にて紡糸口金より凝固浴に吐出し、ドープを糸状物とし、得られた糸状物を必要に応じて洗浄して溶剤を除去した後に速度0.01〜100m/分にて引取ることでポリケトン凝固糸が得られる。さらに引き続き、この凝固糸を加熱乾燥することでポリケトン未延伸糸を得ることが出来る。
引取られた未延伸糸は一旦巻取機に巻取った後に、或いは巻取ることなく引き続き連続して延伸工程に供される。
伝熱効率及び糸温度の均一性の観点から、加熱ロール、加熱プレート上での延伸が好ましく、ロールとプレートを併用した延伸法であってもよい。また、ロールやプレートの周囲を密閉し、密閉空間内に加熱気体を充填するとより温度が均一な延伸が可能となり好ましい。
好ましい延伸温度範囲としては110℃〜融点、さらに好ましくは融点−50℃〜融点−5℃の範囲である。
未延伸糸から最終延伸糸までの総延伸倍率は好ましくは10倍以上、より好ましくは12倍以上、特に好ましくは15倍以上の倍率まで延伸することが望ましい。
本発明者らは、(i) 多段熱延伸工程において最後に特定の温度、倍率にて延伸すること、および/または(ii) 熱延伸が終了した直後に、繊維に高い張力をかけたまま急冷却することによって本発明の高い熱収縮特性を有するポリケトン繊維が得られるようになることを見出した。
、
110℃≦TL≦TB−3℃の温度にて1.01〜1.5倍の倍率で延伸するこ
とである。
多段熱延伸においてTLがTB −3℃を超えた温度にして延伸した場合、極めて高い熱収縮応力や乾熱収縮率を有する繊維を得ることは困難となる。
一方、TLが110℃より低温になると、巻取った糸が激しく収縮してパッケージが巻取機から取外せなくなる問題やパッケージの形態が著しく損なわれる問題が発生する。
このため、最終熱延伸温度TLとしては110℃〜TB−3℃、好ましくは1
50℃〜TB−5℃、さらに好ましくは200℃〜TB−10℃であることが望
ましい。
また、この際の最終延伸時の延伸倍率は1.01〜1.5倍であることが重要である。
延伸倍率が1.01倍未満の場合、非晶部に与える歪み量が不十分で高い熱収縮応力、熱収縮率を有するポリケトン繊維を得ることが出来ない。一方、延伸倍率が1.5倍を超える場合、非晶分子鎖に強い負荷がかかり毛羽や単糸切れ等の工程上のトラブルが多発するばかりか、延伸糸の強度低下を引き起こしてしまう。
このため、最終延伸倍率としては1.01〜1.5倍、好ましくは1.02〜1.3倍、より好ましくは1.03倍〜1.2倍であることが望ましい。
本発明者らは、熱延伸を行った直後の熱延伸で繊維に強い張力を印可したまま急冷却した場合、非晶部に歪みを残した高い熱収縮特性を有するポリケトン繊維が得られることを見出した。
この際に印可する張力は0.5cN/dtex以上であることが必要である。 張力0.5cN/dtex未満の場合、非晶部に残る歪みが小さく得られる繊維の熱収縮力が不十分である。一方、張力が4cN/dtexを超える場合には、繊維を安定して巻取ることが困難となる場合や毛羽・単糸切れ等の問題も起こり易くなる。
このため、印可する張力としては0.5〜4cN/dtex、好ましくは0.8〜3cN/dtex、より好ましくは1〜2cN/dtexの範囲である。
またこの際、延伸糸を30℃/秒以上の速度で50℃以下まで急冷却することが必要である。
冷却速度が30℃/秒未満の場合、繊維の熱収縮応力は不十分となる。また、冷却終了点の温度が50℃より高温の場合にも同様に得られる繊維の熱収縮応力は不十分となる。
このため、冷却速度としては30℃/秒以上、より好ましくは50℃/秒以上、さらに好ましくは100℃/秒以上であることが望ましい。
また、装置の取扱性、製造コストの点から急冷終了点の温度は、−40℃以上、より好ましくは0℃以上、さらに好ましくは10℃以上であることが望ましい。
延伸糸を急冷却する方法としては特に制限はなく、冷却されたロールやプレート等の固体、水や油等の液体、空気や窒素等の気体に接触せしめる等どのような方法を採用してもよく、これらの冷却媒体を併用してもよい。
伝熱効率、製造コストの点からロールを用いた冷却方法が好適に用いられる。ロールを用いて冷却する場合、回転速度が速い場合や延伸糸の総繊度が大きい場合には、延伸糸が持ち込む熱量によってロール表面の温度が高くなるため、ロール温度を一定に保つようにすることが肝要である。
具体的には、例えば、ロール内部に冷却水を流す、ロール表面に冷却風を吹き付ける、ロール表面に冷却水、冷却油剤を付与する等の方法が好適に用いられる。
また、ロール上での延伸糸の滑りは印可された張力の緩和につながり、得られるポリケトン繊維の熱収縮応力の低下が起こるため、ロール表面の材質を鏡面等の摩擦係数の高い材料にしてロール上の延伸糸の滑りを抑制することが重要である。
本発明者らは高熱収縮応力を有するポリケトン繊維を50〜100℃の温度下で緩和熱処理をすることで、高い熱収縮応力及び熱収縮率を殆ど損なうことなく上述の巻きしまりやパッケージ形態の問題を大幅に改善出来ることを見出した。 熱処理温度が100℃を超える場合、上述の結晶相転移によって繊維構造が安定化され熱収縮応力が低下してしまう。また、処理温度が50℃未満の場合、繊維が受けた弾性歪みの緩和が殆ど起こらず巻きしまりやパッケージ形態は改善されない。
緩和倍率としては0.980〜0.999倍、好ましくは0.990〜0.998倍、より好ましくは0.995〜0.997倍が望ましい。
このような50〜100℃の温度で緩和熱処理を行うことで、歪みを熱緩和されたポリケトン繊維を、速度規制ロールを介して或いは直接巻取機にて巻取ってパッケージとする。
巻取りの際の張力は、高すぎるとポリケトン繊維の弾性歪みによる巻きしまりが発生する。また、巻取り張力が低すぎるとパッケージの巻取形態の崩れが発生し易くなるため、好ましくは0.001〜0.8cN/dtex、より好ましくは0.01〜0.3cN/dtexの範囲で巻き取ることが望ましい。
また、パッケージの形態については特に制限はなく、チーズ状、コーン状、ケーク状、パーン状等どのような形態であってもよい。
総繊度が300dtex以上のような太繊度のフィラメントを巻取る場合には、チーズ状、パーン状のパッケージ形態が好適に用いられる。
短繊維の長さについては特に制限はなく、使用環境、使用目的に応じて任意の長さにカットすればよいが、通常は短繊維の平均長で0.1〜100mmの長さのものが好適に用いられる。
平均長が0.1mm未満の場合、紡績が困難となる等、加工性、取扱性に問題が生じる。
一方、平均長が100mmを超える場合には、紡績の工程通過性に問題が生じ易い。
なお、本発明において短繊維の平均長L(mm)は、1本の短繊維の長手方向(繊維軸方向)の長さを繊維長Liとして、任意に選ばれた100本の短繊維の平均の長さとして以下の式(3)で算出される。
このような短繊維は、コンクリートなどの補強材料として或いは紡績糸として編物やロープなどの用途に有用である。
本発明のポリケトン繊維を撚糸した撚糸物(撚糸コード)は、本発明のポリケトン繊維と同様に高い熱収縮応力、熱収縮率を示す。
撚糸の種類、方法、合撚本数については特に制限はなく、本発明のポリケトン繊維の撚糸の種類としては例えば、片撚糸、もろ撚糸、ピッコもろ撚糸、強撚糸などが挙げられる。
合撚する本数も特に制限はなく1本撚り、2本撚り、3本撚り、4本撚り、5本撚りのいずれでもよく6本以上の合撚であってもよい。
また、撚糸数についても単糸繊度や総繊度によって変化するため特に制限はなく、加工条件、使用環境に応じて任意に撚糸数を選定すればよい。例えば、単糸繊度が0.01〜10dtex、総繊度が30〜100000dtexであるポリケトンマルチフィラメントからなる撚糸コードの場合には、下式(4) で表される撚り係数Kが1000〜30000の範囲で撚糸されたものが好適に用いられる。
Kが1000未満の場合、コードの耐疲労性の低下が起こり易い。一方、Kが30000を超える場合、コードの強度が低下する。
このため、撚係数には1000〜30000、好ましくは5000〜25000であることが望ましい。
K=Y×D0.5 ・・・(4)
〔ここで、Yは1m当たりの撚数(T/m・dtex0.5 )、Dはポリケトンマルチフィラメントの総繊度(dtex)である。〕
撚り係数Kが上述の範囲内にあるポリケトン撚糸コードの最大熱収縮応力は0.6cN/dtex以上であることが望ましい。
撚糸コードの最大熱収縮応力が0.6cN/dtex未満の場合、原糸の熱収縮力が十分に活かされないばかりか、処理コードに加工する際や成型品に加工する際に熱収縮力が大幅に低下してしまい、成型品となった際の締め付け力が不足するようになる。
撚糸コードの最大熱収縮応力は、撚り構造や撚数により異なるが、原糸の最大熱収縮応力の75%以上、より好ましくは80%以上の熱収縮応力を有することが望ましく、具体的な値としては0.6〜0.7cN/dtex、より好ましくは上限値が0.8cN/dtexの最大熱収縮応力を有することが望ましい。
なお、本発明に係る繊維製品とは、本発明に係るポリケトン繊維のみから構成される糸、中空糸、多孔糸、綿、紐、編物、織物、不織布及びこれらを使用した衣類、医療用器具、生活資材、タイヤコード、ベルト、コンクリート補強材料等はもちろんのこと、該ポリケトン繊維を少なくとも一部に使用した繊維が含まれる。
該繊維製品においては、ナイロン6、ナイロン6・6等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維;ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維、羊毛、ポリアクリロニトリル繊維、木綿、ビスコースレーヨン等のセルロース繊維などの従来公知の繊維と複合して用いてもよい。
また、同一種の繊維であっても熱的・機械的特性の異なる繊維或いは繊度やフィラメント数の異なる繊維、または長繊維や短繊維、紡績糸等を複合して用いてもよい。
本発明のポリケトン繊維は、タイヤコードやホース、ベルト等のゴム補強材料、コンクリート補強材料、フィルターやハウスラップ等の不織布、更にはエアバッグやシート等の織物、魚網等の編物、釣り糸、縫い糸、ロープなどの産業用資材や生活用資材などに幅広く使用することが可能である。
本発明のポリケトン処理コードはゴムなどの材料中に埋め込まれた際に強い収縮を発現する能力を有する。
具体的には、最大熱収縮応力が0.2〜0.4cN/dtex、150℃における乾熱収縮率が0.5〜6%であることが必要である。
処理コードの最大熱収縮応力が0.2〜0.4cN/dtexであれば従来素材(ナイロン6・6など)と同等の収縮力であり、キャッププライ、エッジプライ等のタガ材としての機能を果たすのに十分となる。
処理コードの最大熱収縮応力は高ければ高いほど使用繊維量を減らしタイヤの軽量化が可能となるため、好ましくは0.3cN/dtex以上の最大熱収縮応力を有することが望まれる。
また、特にキャッププライ、エッジプラのタイヤコードとして用いる場合はコード1本あたりの熱収縮力が高いことが要求され、用いる原糸の繊度および撚糸数を適正にして、コードあたりの最大熱収縮力を500〜1079cN、特に好ましくは600cN以上とすることが望ましい。
高熱収縮力でありながら熱収縮率が低いと、成型時の僅かな寸法変化によって処理コードの収縮率が損なわれる問題や同一寸法に安定して成形することが困難となる問題などが生じる。
一方、熱収縮率が大きすぎるとタイヤに成形する際の寸法変化が大きく、設計通りの安定した成形が困難となる。このため、150℃における乾熱収縮率として0.5%〜5%、好ましくは1〜4%、より好ましくは2〜3%の熱収縮率を有することが望ましい。
このような高い熱収縮特性を有するポリケトン処理コードを得るためには、撚糸コードにRFL液を付着せしめて乾燥、熱処理を行う際に、該コードに印可する張力を特定の範囲に制御することが極めて重要である。
即ち、撚糸コードの熱処理温度をT(℃)、熱処理時に印可する張力をσD(cN/dtex)とした時に、σDを下式の範囲内とすることである。
1.01×σT≦σD≦10×σT (cN/dtex)
T=100〜270℃
(ここで、σTはポリケトン撚糸コードの温度Tにおける熱収縮応力である。)
処理コードを熱処理する際には熱運動による非晶分子鎖の緩和が起こるが、処理時に張力を印可することでこの緩和を抑制することが出来る。
σDがσTの1.01倍未満である場合、熱処理時に非晶分子鎖の緩和が支配
的に起こり、処理コードの最大熱収縮応力の低下度合いが大きくなって処理コードの最大熱収縮応力が不十分となる。一方、σDがσTの10倍を超えると撚り
構造が不安定になり処理コードの撚り縮みが大きくなったり、場合によっては処理時にコードの破断が起こる問題が生じる。
このため、処理コードに印可する張力(σD)は、好ましくはσTの1.01
〜10倍、より好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.05〜2倍であることが望ましい。
RFL液の組成は特に限定されず、従来公知の組成をそのまま或いは手を加えて使用することが出来る。
RFL液の好ましい組成としては、レゾルシンを0.1〜10重量%、ホルマリンを0.1〜10重量%、ラテックスを1〜28重量%であり、より好ましい組成としてはレゾルシン0.5〜3重量%、ホルマリン0.5〜3重量%、ラテックス10〜25重量%が望ましい。
また、RFL液の乾燥温度としては好ましくは100〜250℃、より好ましくは140〜200℃であり、少なくとも10秒、好ましくは20〜120秒間乾燥熱処理することが望ましい。
本発明の高い熱収縮力を有するポリケトン処理コードはキャッププライやエッジプライなどのタイヤ補強材、ベルト補強材として極めて有用である。
実施例の説明中に用いられる各測定値の測定方法は次の通りである。
(1)極限粘度
極限粘度[η](dl/g)は次の定義式に基づいて求められる値である。
[η]=lim(T−t)/(t・C)
C→0
(式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間である。また、Cは上記100ml中のグラム単位による溶質重量値である。)
(2) 繊度、引張強度、引張伸度、引張弾性率
JIS−L−1013に準じて測定した。
引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値を採用した。
(3) 撚りコードおよび処理コードの繊度
コード10m当たりの重量W1(g)を計量し、W1×1000を撚りコード
の繊度(dtex)とした。
(4) RFL樹脂付着率
コード10m当たりの重量W2(g)を計量する。次いで、処理コードを1mm長に細断して1.00gを精秤し、200mlのヘキサフルオロイソプロパノールにて攪拌下で60℃、2時間溶解する。
溶解後の濾過残渣重量W3(g)を精秤し、下式(6) からRFL樹脂付着率(%)及び処理コードの繊度を用いた。
RFL樹脂付着率(%)=W3×10/W2×100 ・・・(6)
東洋精機製作所(株)社製CORD−TESTER(Goodrich Type)を用いて、下記の条件で一定変位下における繊維およびコードの熱収縮力特性を測定した。
温度プログラム(Temperature Program) : EXPモード
ΘM : 250℃
T1 : 3分
初荷重 : 1/80(g/dtex)
初期試料長 : 250mm
計測された温度−収縮力カーブから温度Tにおける収縮力FT(cN)を読みとり、FTを試料の繊度(dtex)で除して温度Tにおける熱収縮応力σT(
cN/dtex)を求めた。
また、最大の収縮力Fmax(cN)および最大の収縮力を示す温度Tmax(℃
)を読みとりTmaxを最大熱収縮温度とした。
さらに、Fmaxを試料の繊度(dtex)で除した値を最大熱収縮応力σmax(cN/dtex)を求めた。
また、処理コードについてはFmaxをコードの最大熱収縮力(cN/コード)とした。
(6) 乾熱収縮率
オーブン中で150℃、30分の乾熱処理を行い、熱処理前後の繊維長を、1/30(cN/dtex)の荷重をかけて計測して下式(7) により求めた。
乾熱収縮率(%)=(Lb−La)/Lb×100 ・・・(7)
(ただし、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。)
パーキンエルマー社製示差熱測定装置「ピリスル(Pyrisl) 」を用いて下記条件で測定を行った。
測定温度 : 30℃ → 300℃
昇温速度 : 20℃/分
雰囲気 : 窒素、流量=200mL/分
得られた吸発熱曲線において200℃〜300℃の範囲で得られる最大の吸熱ピークの面積から計算される熱量ΔH(J/g)より下記式(8) により算出した。
結晶化度(%)=ΔH/225×100 ・・・(8)
(8) 結晶配向度
株式会社リガク製イメージングプレートX線回折装置「リント(RINT) 」2000を用いて下記の条件で繊維の回折像を取り込んだ。
X線源 : CuKα線
出力 : 40KV 152mA
カメラ長 : 94.5mm
測定時間 : 3分
得られた画像の2θ=21°付近に観察される(110)面を円周方向にスキャンして得られる強度分布の半値幅Hから下記式(9) により算出した。
結晶配向度(%)=(180−H)/180×100 ・・・(9)
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解しポリマー濃度8重量%のドープを得た。このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5重量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
引き続き凝固糸条を濃度2重量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。
仕上剤は以下の組成のものを用いた。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(重量%比)。
得られた未延伸糸を1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目の延伸を行った後に、引き続き5段目に200℃で1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段延伸を行い、巻取機にて巻取った。未延伸糸から5段延伸糸までの全延伸倍率は17.1倍であった。
この繊維は強度15.6cN/dtex、伸度4.2%、弾性率347cN/dtexと高物性を有しており、乾熱収縮率が4.3%、最大熱収縮応力0.92cN/dtexと高い熱収縮特性を具備していた。
本発明の実施例のポリケトン繊維および撚糸コードの繊維特性および熱処理条件を下記の製造例2〜製造例15の結果と併せて表1にまとめて示す。
製造例1において5段目を150℃で1.05倍の延伸として巻き取った。
(製造例3)
製造例1において5段目を250℃で1.10倍の延伸として巻き取った。
(製造例4)
製造例1において5段目を265℃で1.14倍の延伸として巻き取った。
(製造例5)
製造例1において4段目を263℃で1.17倍の延伸として巻き取った。
(製造例6)
製造例1において2.3cN/dtexの張力で272℃で4段延伸を行い、引き続き2.3cN/dtexの張力を掛けたまま、風速2m/秒の冷却風により表面を15℃に冷却した鏡面ロール上を7周通して急冷却した後に巻き取り機にて巻き取った。
製造例1において得られたドープを用い、紡口径0.10mm、L/D=1、250ホールの紡口より12.5cc/分の速度で押出し、凝固させた。凝固糸を引き続き濃度2重量%の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後、巻取速度2.5m/分で巻取り、さらに得られた糸状物を240℃にて乾燥して未延伸糸を得た。
この未延伸糸を240℃で1段目の延伸を行った後に、260℃で2段目、270℃で3段目、265℃で1.20倍の延伸を行い、トータルで16.3倍の延伸を行った。
(製造例8)
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度2.8のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解しポリマー濃度18重量%のドープを得た。このドープを製造例1と同様の温度、処方で紡糸、乾燥を行った。 この未延伸糸を1段目240℃、2段目255℃、3段目268℃の延伸を行い、さらに4段目を263℃で1.22倍、全延伸倍率17.3倍の4段延伸を行った。
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度9.8のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解しポリマー濃度5.5重量%のドープを得た。このドープを製造例1と同様の温度、処方で紡糸、乾燥を行った。
この未延伸糸を1段目240℃、2段目255℃、3段目268℃の延伸を行い、さらに4段目を263℃で1.11倍、全延伸倍率14.2倍の4段延伸を行った。
(製造例10)
製造例1において溶剤に塩化亜鉛40重量%/塩化カルシウム30重量%含有する水溶液を用いる他は同様の紡糸条件で紡糸、乾燥を行った。
この未延伸糸を1段目240℃、2段目255℃、3段目270℃の延伸を行い、さらに4段目を265℃で1.20倍、全延伸倍率16.3倍の4段延伸を行った。
製造例1の処方で得られた乾燥糸を19本合糸し、製造例1で用いた仕上げ剤を付与した後に、1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、270℃で3段目の延伸を行い、引き続き4段目に265℃で1.14倍(延伸張力1.5cN/dtex)、全延伸倍率16.1倍の4段延伸を行った後に巻き取り機にて巻き取った。
(製造例12)
製造例11の4段延伸糸を、1.5cN/dtexの延伸張力を掛けたまま、表面を15℃に冷却した鏡面ロール上を7周通した後に、引き続き75℃に加熱した梨地ロール上で0.995倍の緩和熱処理を行ってから巻取機にてチーズ状パッケージ形態で巻取り、巻取重量1.5kgのチーズ状パッケージを得た。
このパッケージでは巻きしまりは小さく、容易に巻取機より取り外せ、パッケージからの糸の解除も容易に出来た。
製造例12で得られたポリケトン延伸糸を双糸し、撚り数390回/mで下撚り(Z撚り)および上撚り(S撚り)を行い、撚り係数20000の撚糸コードを得た。この撚糸コードは高い熱収縮応力と熱収縮率を有していた。
(製造例14)
撚り数を250回/mとする以外は製造例13と同様にして下撚りおよび上撚りを行い、撚り係数12800の撚糸コードを得た。
(製造例15)
撚り数を100回/mとする以外は製造例13と同様にして下撚りおよび上撚りを行い、撚り係数の5100の撚糸コードを得た。
製造例13で得られた撚糸コードを下記の液組成のレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)接着剤に浸漬し、160℃で60秒熱処理後、引き続き215℃で60秒の乾燥、さらに215℃で60秒間の熱セットを行い、処理コードを得た。
(RFL液組成)
レゾルシン 22.0部
ホルマリン(30重量%) 30.0部
水酸化ナトリウム(10重量%) 14.0部
水 570.0部
ビニルピリジンラテックス(41重量%) 364.0部
得られた処理コードの性能およびDip処理条件を以下の実施例2〜4の結果と併せて表2にまとめて示す。
実施例1と同様の処方で浸漬(Dip)処理条件を変えて処理コードを得た。 (実施例4)
製造例15で得られた撚糸コードを用い、実施例1と同様の処方で浸漬(Dip)処理を行い処理コードを得た。
(製造例16)
製造例13で得られたポリケトンマルチフィラメントをステープラーにて平均糸長35mmの短繊維からなるスライバーとした。この短繊維を撚り係数60(メートル番手)にて単糸に精紡し紡績糸を得た。この紡績糸は高い熱収縮性を有していた。
製造例1で得られた5段延伸前の4段延伸糸は強度15.4cN/dtex、弾性率331cN/dtexと繊維物性は優れていたが、最大熱収縮応力は0.79cN/dtexと収縮力が不十分であった。
比較例に用いたポリケトン繊維および撚糸コードの特性および熱処理条件を下記の製造比較例2〜製造比較例11の結果と併せて表3にまとめて示す。
(製造比較例2)
製造例1で得られた未延伸糸は、強度・弾性率の繊維物性、最大熱収縮応力の全ての性能において全く不十分であった。
(製造比較例3)
製造例1において、未延伸糸を240℃で6倍の1段延伸を行った延伸糸は、強度、弾性率等の力学物性および最大熱収縮応力ともに不十分であった。
製造例1において、未延伸糸を1段目240℃、2段目255℃、3段目265℃でトータル延伸倍率が12倍の3段延伸を行った。
この延伸糸は強度、弾性率等の繊維物性は良好であったが、最大熱収縮応力が不十分であった。
(製造比較例5)
製造例1において5段目を270℃、1.05倍の5段延伸としたが、最大熱収縮応力は0.78cN/dtexと不十分であった。
(製造比較例6)
製造例1において5段目を200℃、1.00倍の5段延伸としたが、最大熱収縮応力は不十分であった。
製造例1において5段目を200℃、0.98倍の5段延伸としたが、最大熱収縮応力は全く不十分であった。
(製造比較例8)
製造例1において5段目を80℃、1.03倍の5段延伸としたが、最大熱収縮応力は変化しなかった。
(製造比較例9)
製造例1において、2.3cN/dtexの張力で272℃で4段延伸を行い、引き続き2.3cN/dtexの張力を掛けたまま、表面温度80℃の鏡面ロール上を7周通した後に巻取機にて巻取った。
製造例1の処方で得られた乾燥糸を19本合糸し、製造例1で用いた仕上剤を付与した後に、1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、4段目で272℃の全延伸倍率16.6倍の延伸を行った後に、引き続き75℃に加熱した梨地ロール上で熱処理を行ってから巻取機にて巻き取った。
(製造比較例11)
製造比較例10で得た延伸糸を用いて、製造例13と同様の処方で双糸し、撚り数390回/mで下撚りおよび上撚りを行い、撚り係数20000の撚糸コードを得た。この撚糸コードは熱収縮応力0.58cN/dtexであった。
製造比較例11で得た撚糸コードを用いて実施例1と同じ組成のRFL液を用いて熱処理を行いポリケトン処理コードを得たが、得られた処理コードの最大熱収縮応力は不十分であった。得られた処理コードの性能及び浸漬(Dip)処理条件を以下の比較例2〜7の結果と併せて表4にまとめて示した。
(比較例2、3)
比較例1と同様の処方で、浸漬(Dip)処理条件を変えて処理コードを得た。
(比較例4〜6)
製造例13で得た撚糸コードを用いて、浸漬(Dip)処理条件を変える以外は実施例1と同様にして処理コードを得た。それら製造例1〜16、実施例1〜4及び製造比較例1〜11、比較例1〜6の結果を下記表1〜4にまとめた。
表1は、本発明の処理コードの原料であるポリケトン繊維(製造例1〜15)の延伸条件、繊維特性及び繊維構造を表すものである。
(注)(i)(σD /σT )1 =RFL 浸漬時の張力/ 撚糸コードのRFL 浸漬温度における熱収縮力
(ii)(σD /σT )2 =乾燥張力/ 撚糸コードの乾燥温度における熱収縮力
(iii)(σD /σT )3=セット張力/撚糸コードのセット温度における熱収縮力
Claims (4)
- ポリケトン繊維がレゾルシン−ホルマリン−ラテックス樹脂により処理された処理コードであるポリケトン繊維処理コードであって、最大熱収縮応力が0.2〜0.4cN/dtex、150℃における乾熱収縮率が0.5〜6%であることを特徴とするポリケトン処理コード。
- 最大熱収縮応力が0.3〜0.4cN/dtex、150℃における熱収縮率が1〜4%であることを特徴とする請求項1記載のポリケトン処理コード。
- 最大熱収縮力が500〜1079cN/コードであることを特徴とする、請求項1又は2記載のポリケトン処理コード。
- ポリケトン撚糸コードをレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液に浸漬後、熱処理するポリケトン処理コードの製造方法において、
撚糸コードの熱処理温度をT(℃)、熱処理時に印可する張力をσD(cN/dtex)とした時に、σDおよびTが下記式の範囲内であることを特徴とする工程を含むポリケトン処理コードの製造方法。
1.01×σT ≦σD(cN/dtex)≦10×σT
100≦T(℃)≦270
(ここで、σTはポリケトン撚糸コードの温度Tにおける熱収縮応力である。)
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