JP2006322483A - 伝動ベルト - Google Patents

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Shigeki Okuno
茂樹 奥野
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Abstract

【課題】 ゴムの高弾性率化が可能であり、優れた耐磨耗性、耐クラック性を有し、低コストで製造することができる伝動ベルトを提供する。
【解決手段】 繊維長5mm以下のポリケトン短繊維をゴム100質量部あたり、3〜50質量部含有するゴム組成物を構成部材とする伝動ベルトであって、上記ポリケトン短繊維は、繰り返し単位の97モル%以上が下記式(1)
−CHCH(C=O)− (1)
で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトンからなるものであることを特徴とする伝動ベルト。
【選択図】 なし

Description

本発明は、伝動ベルトに関する。
近年、摩擦伝動ベルト、噛み合い伝動ベルト共に高負荷を伝動するニーズが高まっている。一般的に、このような高負荷を伝達するためには、ベルトの底ゴムの剛性を向上させる必要があり、また、プーリに対するベルトの面圧も高くする必要がある。このため、高負荷を伝達するためには、ゴムの耐磨耗性を向上する必要がある。
従来から高負荷を伝達する目的で、高負荷用の高弾性率短繊維が広く使用されており、例えば、特許文献1に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニルアルコール及び全芳香族ポリエステル繊維が挙げられている。
しかしながら、ここで挙げられているものは、ゴムとの接着性が悪いという問題があるものである。また、ゴムの剛性を向上させることは可能であるものの、耐磨耗性や耐クラック性が充分なものとはいえない。更に、コストが高いという問題もある。
特開2003−314619号公報
本発明は、上記現状に鑑み、ゴムの高弾性率化が可能であり、優れた耐磨耗性、耐クラック性を有し、低コストで製造することができる伝動ベルトを提供することを目的とする。
本発明は、繊維長5mm以下のポリケトン短繊維をゴム100質量部あたり、3〜50質量部含有するゴム組成物を構成部材とする伝動ベルトであって、上記ポリケトン短繊維は、繰り返し単位の97モル%以上が下記式(1)
−CHCH(C=O)− (1)
で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトンからなるものであることを特徴とする伝動ベルトである。
上記伝動ベルトは、Vベルト、平ベルト又は歯付ベルトであることが好ましい。
上記Vベルトは、Vリブドベルト、ローエッジタイプVベルト又はラップドタイプVベルトであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の伝動ベルトは、従来ゴムの剛性等の向上のために使用されてきた短繊維に代わってポリケトン短繊維を含有する伝動ベルトである。上記伝動ベルトは、繊維長5mm以下のポリケトン短繊維をゴム100質量部あたり、3〜50質量部含有するゴム組成物を構成部材とするものであって、上記ポリケトン短繊維は、繰り返し単位の97モル%以上が上記式(1)で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトンからなるものである。
本発明の伝動ベルトにおいては、上記ポリケトンを短繊維として配合することにより、優れた耐磨耗性を付与することができる。また、上記ポリケトン短繊維を配合した本発明の伝動ベルトは、優れた耐クラック性を有するものである。このため、上記ポリケトン短繊維とゴムとが界面で強固に接着していると推察される。また、上記ポリケトン短繊維は安価であるため、本発明の伝動ベルトはコストの面でも優れたものである。更に、上記ポリケトン短繊維を配合した伝動ベルトは、伝動ベルトに要求される弾性率、引張強度、破断伸び等の性能を有するものである。
また、本発明の伝動ベルトは、列理弾性率の温度依存性が優れたものである。従って、摩擦伝動ベルトの場合、高温でも、高い伝動能力を維持することができ、Vベルトの場合、高温でベルトの耐側圧性を維持することができ、耐久性も向上させることができる。また、歯付ベルトの場合、歯のせん断剛性を高温で維持することができるため、高負荷伝達時の歯の耐久性を高めることが可能となる。
上記伝動ベルトは、繊維長5mm以下のポリケトン短繊維を含有するゴム組成物を構成部材とするものである。これにより、本発明の伝動ベルトに、優れた耐磨耗性、耐クラック性を付与することができる。繊維長5mmを超えると、弾性率、引張強度、破断伸び等の性能が低下するおそれがある。1〜4mmであることが好ましい。
上記伝動ベルトは、上記ポリケトン短繊維をゴム100質量部あたり、3〜50質量部含有するゴム組成物を構成部材とするものである。3質量部未満であると、充分な改良効果が得られない。50質量部を超えると、ゴムの耐クラック性と、未加硫ゴムの加工性(圧延性)とが極端に悪くなる。5〜25質量部が好ましい。
上記ポリケトン短繊維において、1−オキソトリメチレンの割合が高いほど高強度、高弾性率繊維が得られることから、繰り返し単位の97モル%以上、好ましくは99モル%以上、より好ましくは100モル%が上記式(1)で表される1−オキソトリメチレンである。更に、上記ポリケトン短繊維は、極限粘度が2.5〜20dl/gであることが好ましく、Pd元素の含有量が0〜20ppmであることが好ましい。
上記ポリケトンの製造方法としては特に限定されず、例えば、湿式紡糸法、乾式紡糸法等を挙げることができる。例えば、湿式紡糸法の場合、ポリケトンを溶媒に溶解し、ドープを作成し、これをろ過しつつ、紡糸口金より押し出し、凝固浴にて溶媒を抽出した後に、乾燥、熱延伸を行い巻き取られる。乾式紡糸法の場合には、湿式紡糸法と同様に、ドープを作成した後、紡糸口金より押し出して、高温雰囲気中にて溶媒を揮発後、熱延伸して得られる。
上記ポリケトン短繊維は、強度が15cN/dtex以上であることが好ましい。
上記ゴム組成物としては特に限定されず、例えば、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、水素添加アクリロニトリルゴム等を含む組成物を挙げることができるが、なかでも、環境面や、耐摩耗性、耐クラック性等の性能に優れることから、エチレン−α−オレフィンエラストマー組成物(エチレン−α−オレフィンエラストマーと、必要に応じてその他の成分とからなる組成物)が好ましい。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレンを除くα−オレフィンとエチレンとジエン(非共役ジエン)との共重合体からなるゴム、エチレンを除くα−オレフィンとエチレンとの共重合体からなるゴム、それらの一部ハロゲン置換物、又は、これらの2種以上の混合物が用いられる。上記エチレンを除くα−オレフィンとしては、好ましくは、プロピレン、ブテン、ヘキセン及びオクテンからなる群より選択される少なくとも1種が用いられる。なかでも、エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(以下、EPDMともいう)、エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)、エチレン−ブテンコポリマー(EBM)、エチレン−オクテンコポリマー(EOM)、これらのハロゲン置換物(特に、塩素置換物)、これらの2種以上の混合物が好ましく用いられる。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーにおいて、上記エチレンの含有量は、上記エチレン−α−オレフィンエラストマーを構成するエチレン、α−オレフィン及びジエンの合計量100質量%中に、50〜80質量%であることが好ましい。
上記ジエン成分としては、通常、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボルネン等の非共役ジエンが適宜に用いられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーにおいて、上記非共役ジエンがエラストマーのヨウ素価として50以下であることが好ましく、4〜40であることがより好ましい。上記エチレン−α−オレフィンエラストマーは、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が20〜120のものが好ましく用いられる。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーの市販品としては、例えば、X−3012P、3085(商品名、三井化学社製)、EP21、EP65(商品名、JSR社製)、5754、582F(商品名、住友化学社製)等を挙げることができる。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマー組成物は、水素添加アクリロニトリルゴム(HNBR)を含むものであることが好ましい。上記エチレン−α−オレフィンエラストマー及び水素添加アクリロニトリルゴムを含むゴム組成物を使用した場合、本発明の効果をより効果的に得ることができる。ここで、水素添加アクリロニトリルゴムとして、ジメタクリル酸亜鉛補強水素添加アクリロニトリルゴムを使用することがより好ましい。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマー組成物として、上記エチレン−α−オレフィンエラストマー及び水素添加アクリロニトリルゴムを含むものを使用する場合、上記エチレン−α−オレフィンエラストマーの含有量は、上記エチレン−α−オレフィンエラストマー及び水素添加アクリロニトリルゴムの合計量100質量部中に、35〜75質量部であることが好ましい。これにより、本発明の効果を効率的に得ることができる。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマー組成物は、硫黄又は有機過酸化物によって架橋することができる。
上記有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,4−ジ−t−ブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、1,3−ジ−t−ブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルバレレート、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、t−ブチルパーオキシジラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル類;ジシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;これらの混合物等を挙げることができる。なかでも、半減期1分を与える温度が130〜200℃の範囲にある有機過酸化物が好ましく、特に、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを好適に用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマー組成物において、上記有機過酸化物の配合量は、上記エチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部(固形分)に対して、0.001〜0.1モルであることが好ましい。0.001モル未満であると、架橋が充分進行せず、機械的強度を発現しないおそれがある。0.1モルを超えると、加硫物のスコーチ安全性又は加硫物の伸びが実用的な範囲を逸脱するおそれがある。より好ましくは、0.005〜0.05モルである。
上記過酸化物架橋の場合はまた、架橋助剤を配合してもよい。架橋助剤を配合することによって、架橋度を上げて接着力をさらに安定させ、粘着摩耗性等の問題を防止することができる。上記架橋助剤としては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄等通常パーオキサイド架橋に用いるものを挙げることができる。
上記硫黄加硫の場合、硫黄の添加量は、エチレン−α−オレフィンエラストマー100質量部に対して1〜3質量部であることが好ましい。
硫黄加硫の場合はまた、加硫促進剤を配合してもよい。加硫促進剤を配合することによって、加硫度を上げて粘着摩耗等の問題を防止することができる。上記加硫促進剤としては、一般的に加硫促進剤として使用されるものであればよく、例えば、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(OBS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、N−シクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジスルフィド等を挙げることができる。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマー組成物は、上述した成分と共に、必要に応じて、他の短繊維、カーボンブラック、シリカ等の増強剤、炭酸カルシウム、タルク等の充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤等の通常のゴム工業で用いられる種々の薬剤を含有していてもよい。
上記他の短繊維としては特に限定されず、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、綿、アラミド等からなる短繊維を挙げることができる。上記短繊維を適宜選択することによって、耐摩耗性、異音防止性、屈曲疲労性等の性能を向上させることができる。上記短繊維の長さ又は形状等を適宜調整することにより、耐摩耗性、異音防止性等の性能を向上させることができるが、通常、上記短繊維の長さは、0.1〜3.0mmであることが好ましい。
上記エチレン−α−オレフィンエラストマー組成物は、エチレン−α−オレフィンエラストマーを、必要に応じて、上述したような成分と共に、ロール、バンバリー等、通常の混合手段を用いて均一に混合することによって得ることができる。
本発明の伝動ベルトは、上述したゴム組成物を構成部材とする圧縮ゴム層を有する摩擦伝動ベルトであってもよい。上記摩擦伝動ベルトは、上記ポリケトン短繊維を使用したものであるため、優れた性能を発揮するものである。上記圧縮ゴム層は、上述したゴム組成物を用い、従来公知の方法により製造することができる。
上記摩擦伝動ベルトは、更に、接着ゴム層を有するものであってもよい。このような摩擦伝動ベルトとしては、例えば、圧縮ゴム層と、上記圧縮ゴム層に接する接着ゴム層と、上記接着ゴム層に接する上帆布層とから構成され、更に上記接着ゴム層中にベルト長手方向に沿って心線が埋設されているもの等を挙げることができる。
上記接着ゴム層を形成するためのゴム組成物としては、例えば、上記圧縮ゴム層の形成に用いられるゴム組成物と同様のものを使用することができる。これにより、摩擦伝動ベルトとして要求される性能を有するものを得ることができる。
上記接着ゴム層を形成するためのエチレン−α−オレフィンエラストマー組成物は、上記圧縮ゴム層と同様に、上述した他の成分を含有していてもよい。また、上記接着ゴム層を形成するためのエチレン−α−オレフィンエラストマー組成物は、上記圧縮ゴム層と同様の方法により得ることができる。更に、上記接着ゴム層は、上記ポリケトン短繊維を含んでもよい。この場合、上記接着ゴム層におけるポリケトン短繊維の含有量は、カレンダー列理方向をベルトの長さ方向にする場合は、ゴム100質量部あたり、0〜10質量部であることが好ましく、0〜5質量部であることがより好ましい。また、カレンダー列理方向をベルト幅方向にする場合は、3〜50質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。
上記上帆布層としては、例えば、綿、ポリアミド、ポリエチレンフタラート、アラミド短繊維からなる糸を用いて、平織、綾織、朱子織等に製織した布を用いることができる。
上記心線としては、ポリエステル心線、ナイロン心線、ビニロン心線、アラミド心線等が好適に用いられるが、なかでも、上記ポリエステル心線としてはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等が、上記ナイロン心線としては6,6−ナイロン(ポリヘキサメチレンアジパミド)、6ナイロンが好適に用いられる。上記アラミド心線としてはコポリパラフェニレン・3,4′オキシジフェニレン・テレフタルアミドやポリパラフェニレンテレフタルアミドやポリメタフェニレンイソフタルアミド等が好適に用いられる。これらの心線は、一般に、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス接着剤組成物(RFL接着剤)等で接着処理されて、上記接着ゴム層内に埋設されている。
上記伝動ベルトとしては、例えば、Vベルト、平ベルト又は歯付ベルト等を挙げることができる。また、上記Vベルトとしては、例えば、Vリブドベルト、ローエッジタイプVベルト又はラップドタイプVベルト等を挙げることができる。
本発明の伝動ベルトの例を、図1〜図3を用いて説明する。
図1は、Vリブドベルトの一例の横断面図(ベルト長手方向に直角な面)を示し、ベルトの上面は、単層又は複数層の上帆布層1が形成されており、この内側に隣接して、接着ゴム層3が積層されている。この接着ゴム層には、繊維コードからなる複数の低伸度の心線2が間隔を置いてベルト長手方向に延びるように埋設されている。更に、この接着ゴム層の内側に隣接して、圧縮ゴム層5が積層されている。この圧縮ゴム層は、ベルト長手方向に延びるように相互に間隔を有するリブ4に形成されている。多くの場合、圧縮ゴム層5には、その耐側圧性を高めるために、ベルトの幅方向に配向してポリケトン短繊維6が分散されている。
図2は、ローエッジタイプVベルトの一例の横断面図を示し、ベルトの上面は、上記と同様に、単層又は複数層の上帆布層1が形成されており、必要に応じて、上ゴム層7が積層され、この内側に隣接して、上記と同様に心線2が埋設された接着ゴム層3が積層され、更に、この内側に隣接して、圧縮ゴム層5が積層されている。多くの場合、圧縮ゴム層5には、その耐側圧性を高めるために、ベルトの幅方向に配向してポリケトン短繊維6が分散されている。圧縮ゴム層の内側に隣接して通常、単層又は複数層のゴム引き帆布層1が積層されている。
図3は、平ベルトの一例の横断面図を示し、上記と同様、ゴム引き帆布層1、接着ゴム層3及び圧縮ゴム層5が積層されている。
本発明の伝動ベルトは、従来より知られている通常の方法によって製造することができる。例えば、Vリブドベルトを例にとれば、表面が平滑な円筒状の成形ドラムの周面に1枚又は複数枚のゴムコート帆布と、接着ゴム層を形成するためのゴム組成物未加硫シートとを巻き付ける。次いで、その上にポリエステル等の心線を螺旋状にスピニングし、更に、その上に接着ゴム層を形成するためのゴム組成物未加硫シートを巻き付けた後、圧縮ゴム層を形成するためのゴム組成物未加硫シートを巻き付けて積層体とし、これを加硫缶中にて加熱加圧し、加硫して、環状物を得る。次に、この環状物を駆動ロールと従動ロールとの間に掛け渡して、所定の張力の下で走行させながら、これに研削砥石にて表面に複数のリブを形成する。この後、この環状物を更に別の駆動ロールと従動ロールとの間に掛け渡して走行させながら、所定の幅に裁断すれば、製品としてのVリブドベルトを得ることができる。
本発明の伝動ベルトは、繊維長5mm以下のポリケトン短繊維をゴム100質量部あたり、3〜50質量部含有するゴム組成物を構成部材とするものであって、上記ポリケトン短繊維は、繰り返し単位の97モル%以上が上記式(1)で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトンからなるものである。このため、上記伝動ベルトは、優れた耐磨耗性、耐クラック性を有するものであり、また、上記ポリケトン短繊維は安価であるため、低コストで製造することができる。更に、要求される弾性率、引張強度、破断伸び等の性能を有するものである。
以下に本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
(実施例1〜2、比較例1〜4)
表1の配合内容に基づいて、バンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物を作製した。得られたゴム組成物はカレンダーにて、圧延し、0.8mm厚の未加硫のゴムシートを得た。
なお、ゴム配合を表1に、使用材料の詳細を表2に示した。
使用したポリケトン短繊維の物性は、以下の通りである。
繊維長:3mm
1−オキソトリメチレン割合:97%以上
Figure 2006322483
Figure 2006322483
〔引張試験〕
上記で得られた未加硫のゴムシートを3枚重ねて、170℃、20分間、プレス加硫することにより、約2.2mm厚の架橋ゴムシートを得た。カレンダー列理方向と直角の方向(反列理方向)にJIS3号ダンベルを打ち抜き、反列理方向の引張試験をJIS K6251に準拠して実施した。結果を表3に示した。
〔動的粘弾性〕
上記で得られた未加硫ゴムシートを170℃、20分間、プレス加硫することにより、約0.8mm厚の架橋ゴムシートを作製した。Rheometrics社のRSAIIを用いて、引張モードにおいて、静荷重3kgf/cm、動歪0.04%、周波数10Hzで数点の温度(25、100、130、150℃)にてカレンダー列理方向の動的粘弾性を測定した。
更に、動歪のみ0.6%(その他の条件は上記と同様)でカレンダー反列理方向の動的粘弾性測定を行った。結果を表3に示した。
〔磨耗試験〕
上記と同様に、図4に示すような形状の加硫ゴムを作成し、ピンオンディスク磨耗試験にて、表面粗さがRzで9.6μmのFC材を相手材とし、面圧1.2MPa、すべり速度0.15m/s、雰囲気温度100℃で、24時間磨耗試験を行い、下記式より10時間〜20時間の区間での比磨耗量を求めた。
比磨耗量=単位時間あたりの磨耗体積÷(単位時間あたりの摩擦距離×荷重)
また、摩擦係数も同時に評価した。結果を表3に示した。
以下に示す表3より、ポリケトンを短繊維として使用した実施例1、2は従来の短繊維を使用した比較例と比べて、同等の引張強度、伸びを示すことがわかる。
更に、列理方向の弾性率も同等水準が達成されている。特に特筆すべきは、列理弾性率の温度依存性(表中でE′130℃とE′25℃の比率:E′130℃/E′25℃)がポリケトン短繊維使用のゴム組成物は他の組成物と比較して優れている。これは、摩擦伝動ベルトの場合は、高温でも、高い伝動能力を維持することができることを意味する。Vベルトの場合は、高温でベルトの耐側圧性が維持することができ、耐久性も向上させることができることを意味する。歯付ベルトの場合は、歯のせん断剛性が高温で維持することができるため、高負荷伝達時の歯の耐久性に有利である。
更に特筆すべきは、ポリケトン使用の実施例が耐磨耗性に優れていることである。このため、摩擦伝動ベルトの磨耗寿命向上に効果があると考えられる。また、実施例はアラミド繊維に比べて、高い摩擦係数が達成されている。これは、VベルトやVリブドベルトや平ベルトの伝動能力を高めて、ベルトのスリップを防止することができる。違う見方では、同等の伝動能力を達成するのに、摩擦係数が高い分、ベルトに与える張力を低くすることができるため、プーリシャフト等のメカロスを低減でき、伝動システム全体の伝動効率が向上し、省エネルギーを達成することができた。
〔耐熱耐久試験〕
上述したゴム配合にて、ベルト幅10mm、厚み5mmの平ベルトを作成し、図5に示すレイアウトで耐熱走行を行った。表3にクラック発生時間を記載した。ポリケトン使用の実施例は、比較例に比べて、優れたクラック耐久性を有することを確認することができた。これは、ゴムが強固に界面で接着していることが原因であると考えられる。
〔耐熱スリップ試験〕
上述したゴム配合にて、ベルト幅10mm、厚み2.5mmの平ベルトを作成し、図5のレイアウトで、張力を85kgfから5kgfずつ段階的に下げ、ベルトがスライディングスリップを始める張力を測定した。明らかに摩擦係数の高い実施例は、比較例4のテクノーラ(アラミド繊維)に比べて、低いベルト張力でも、動力を伝達することができる。
比較例1のビニロンも摩擦係数は高く、スリップに対しては有利な結果となっているが、弾性率の温度依存性が大きいため、高温下での、伝動能力は低下する可能性がある。
これらの欠点を克服するため、ビニロンとポリケトンを併用することも可能であるし、性能と価格のバランスをとるために、アラミドとポリケトンを併用することも可能であることは、容易に推察される。
また、上述したゴム配合の組成物を使用することにより、Vベルト、歯付ベルトを好適に製造することも可能であった。
Figure 2006322483
本発明の伝動ベルトは、伝動ベルトは、Vリブドベルト、ローエッジタイプVベルト、ラップドタイプVベルト等のVベルト、平ベルト、歯付ベルト等として好適に使用することができる。
Vリブドベルトの横断面図(ベルト長手方向に直角な面)の一例である。 ローエッジタイプVベルトの横断面図の一例である。 平ベルトの横断面図の一例である。 磨耗試験に用いた試験片を示した概略図である。 耐熱耐久試験、耐熱スリップ試験の装置を示した概略図である。
符号の説明
1 上帆布層
2 心線
3 接着ゴム層
4 リブ
5 圧縮ゴム層
6 ポリケトン短繊維
7 上ゴム層
9 駆動プーリ
10 テンションプーリ
11 従動プーリ
12 アイドラープーリ

Claims (3)

  1. 繊維長5mm以下のポリケトン短繊維をゴム100質量部あたり、3〜50質量部含有するゴム組成物を構成部材とする伝動ベルトであって、
    前記ポリケトン短繊維は、繰り返し単位の97モル%以上が下記式(1)
    −CHCH(C=O)− (1)
    で表される1−オキソトリメチレンから構成されるポリケトンからなるものである
    ことを特徴とする伝動ベルト。
  2. 伝動ベルトは、Vベルト、平ベルト又は歯付ベルトである請求項1記載の伝動ベルト。
  3. Vベルトは、Vリブドベルト、ローエッジタイプVベルト又はラップドタイプVベルトである請求項2記載の伝動ベルト。
JP2005144638A 2005-05-17 2005-05-17 伝動ベルト Pending JP2006322483A (ja)

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