JP4734027B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤ、特に通常内圧走行時の乗り心地性とランフラット耐久性に優れた空気入りタイヤに関するものである。
従来、パンク等によりタイヤの内圧が低下した状態でも、ある程度の距離を安全に走行することが可能なタイヤ、いわゆるランフラットタイヤの1つとして、タイヤのサイドウォール部のカーカスの最内側面に断面三日月状のサイド補強ゴム層を配置したランフラットタイヤ、いわゆるサイド補強型ランフラットタイヤが知られている。
かかるサイド補強型ランフラットタイヤがランフラット状態で走行する際には、トレッド踏面の中央が路面から浮き上がる現象である、いわゆるバックリングが発生することが知られている。バックリングの発生したタイヤは、トレッドショルダー部の接地圧が増加し、それによりショルダー部に近い位置に配置されている補強ゴムの発熱が大きくなる結果、タイヤが破壊に至るおそれがある。
このため、サイド補強型ランフラットタイヤにおけるランフラット走行時のバックリングを抑制して耐久性を向上させたサイド補強型ランフラットタイヤが望まれており、これらに関して種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、ベルトと、該ベルトの外周に配置されたナイロン繊維、アラミド繊維などの有機繊維コードよりなるベルト補強層との間に、タイヤ赤道面に対し実質上直交する多数のコード配列になる少なくとも1層の補強層を配置したタイヤが記載されている。このように補強層を配置することによって、バックリングを抑制して、ランフラット耐久性を向上することができるが、この補強層の配置によるトレッド部全体の剛性の増加に伴って、通常内圧走行時において路面からの突起入力があった際の振動乗り心地性が悪化するという問題があった。
特許文献2には、ベルトを構成するベルト層のうち、最外ベルト層を左右1対の小ベルト部材で構成し、バックリング発生時にトレッド部の変形が特に大きくなる、タイヤ赤道面を中心としてトレッド接地幅の20〜50%の範囲で両小ベルト部材をオーバーラップさせて、オーバーラップさせた範囲以外のベルトの面外曲げ剛性を増加させることなく、バックリングの発生を抑制することができる結果、乗り心地性を犠牲にすることなくランフラット走行時の耐久性を向上させたタイヤが記載されている。しかしながら、かかるタイヤでは、ベルト層の構造が複雑であるため、製造工程が煩雑となるという問題点があった。
特開平6−191243号公報 特開2004−359145号公報
そこで、本発明はこれら従来技術の問題を解決し、通常内圧走行時の乗り心地性を損なわずにランフラット耐久性を向上させた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべくベルト補強層を構成するコードの材質に着目して鋭意検討を行った結果、ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層を構成するコードとして、25℃の49N弾性率E(cN/dtex)と177℃熱収縮応力σ(cN/dtex)が特定の関係式を満たすポリケトン繊維コードを適用することによって、通常内圧走行時の乗り心地性を損なわずにランフラット走行時におけるバックリング現象の発生を抑制して、ランフラット耐久性を向上させたタイヤを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、1対のビード部と、1対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記1対のビード部間にトロイド状に延在する少なくとも1枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、前記サイドウォール部の前記ラジアルカーカスの内側に配置した1対のサイド補強ゴム層と、該トレッド部の内側に配置された少なくとも2層以上のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる少なくとも1枚のベルト補強層を備える空気入りタイヤにおいて、
前記ベルト補強層を構成するコードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II):
σ≧−0.01E+1.2 ・・・(I)
σ≧0.3 ・・・(II)
[式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことを特徴とする。
ここで、上記ポリケトン繊維からなるコードの177℃における熱収縮応力σは、25cmの長さサンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃での測定時にコードに発生する応力であり、また、上記ポリケトン繊維コードの25℃における49N荷重時の弾性率Eは、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した単位cN/dtexでの弾性率である。
本発明の空気入りタイヤの好適例において、前記ベルト補強層の幅は、前記ベルトの幅の95〜105%の範囲内であることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例は、前記ベルトのタイヤ半径方向内側に配置され、タイヤ幅方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる少なくとも1枚のコード補強層を更に備えることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記コード補強層を構成するコードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記コード補強層を構成するポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II):
σ≧-0.01E+1.2 ・・・(I)
σ≧0.02 ・・・(II)
[式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記コード補強層を構成するポリケトン繊維コードは、0.3以上の177℃における熱収縮応力σ(cN/dtex)を有することが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記ポリケトンが、下記一般式(III):
Figure 0004734027
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記一般式(III)中のAがエチレン基であることが好ましい。
本発明によれば、空気入りタイヤにおいて、ベルトのタイヤ半径方向外側に配置したベルト補強層を構成するコードとして特定の熱収縮応力と弾性率を有するポリケトン繊維コードを適用したため、通常内圧走行時の乗り心地性を損なわずにランフラット耐久性を向上させた空気入りタイヤを提供することができるという有利な効果を奏する。
また、本発明によれば、上記ベルト補強層を備える空気入りタイヤにおいて、ベルトのタイヤ半径方向内側に、タイヤ幅方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる少なくとも1枚のコード補強層を更に配設したため、ランフラット走行時のタイヤ幅方向のバックリングを更に抑制し、その結果ランフラット耐久性を更に向上させることができるという有利な効果を奏する。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す幅方向断面図であり、図2は、本発明の空気入りタイヤの変形例を示す幅方向断面図である。
図1に示すタイヤは、左右1対のビード部1と、1対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、該ビード部1内に夫々埋設した1対のビードコア4間にトロイド状に延在して、これら各部1、2、3を補強する少なくとも1枚のカーカスプライからなるラジアルカーカス5と、前記サイドウォール部2の前記ラジアルカーカス5の内側に配置された1対の断面三日月状サイド補強ゴム層6と、該トレッド部3の内側に配置された少なくとも2層以上のベルト層からなるベルト7と、該ベルト7のタイヤ半径方向外側に配置された少なくとも1枚のベルト補強層、図示例では、ベルト7全体を覆うように配置された第1ベルト補強層8と、該第1ベルト補強層8のタイヤ半径方向外側にベルト7の幅方向の各端部を覆うように配置された1対の第2ベルト補強層9とを備える。
図示例のラジアルカーカス5は、1枚のカーカスプライから構成され、また、1対のビードコア4の間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア4の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻き上げた折り返し部とからなるが、本発明の空気入りタイヤにおいて、ラジアルカーカス4のプライ数および構造はこれらに限られるものではない。
また、図示例のベルト7を構成するベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、更に2枚のベルト層が、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されている。なお、図示例のベルト7は、2枚のベルト層からなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、ベルト7を構成するベルト層の枚数は3枚以上であってもよい。
本発明の空気入りタイヤにおいては、第1ベルト補強層8が、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなり、該コードが、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードが下記式(I)及び(II):
σ≧-0.01E+1.2 ・・・(I)
σ≧0.3 ・・・(II)
[式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことを要する。
上記ポリケトン繊維コードは、高温における熱収縮応力が大きいため、ランフラット走行によりタイヤの温度が上昇すると、第1ベルト補強層8中のポリケトン繊維コードがその大きな熱収縮応力を発揮して、トレッド部全体の剛性を向上させることによって、タイヤのバックリング現象の発生を抑制し、その結果タイヤのランフラット耐久性が向上する。一方、低温下、すなわち、通常内圧走行時には、上記ポリケトン繊維コードの熱収縮応力がほとんど発揮されず、剛性がほとんど向上しないため、通常内圧走行時のタイヤの縦ばねがあまり上昇せず、通常内圧走行時のタイヤの乗り心地性が損なわれない。
なお、使用するコードが、上記式(I)の関係を満たさない場合、熱収縮応力σが大きいものの弾性率Eが低いコードを使用すると、ランフラット走行時、トレッド部全体の剛性向上効果が小さいため、ランフラット耐久性向上効果も小さい。一方、弾性率Eが高いものの熱収縮応力σが小さいコードを使用すると、ランフラット耐久性の向上はあるものの、通常内圧走行時のタイヤの乗り心地性が悪化する。また、使用するコードの177℃における熱収縮応力σが0.02cN/dtex未満では、バックリング抑制効果はあるものの、タイヤサイズや使用条件の違いにより充分な効果が得られないことがあるから、上記ポリケトン繊維コードの177℃における熱収縮応力σ(cN/dtex)は0.3以上である
本発明の空気入りタイヤの第1ベルト補強層8を構成するコードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードからなることを要し、該ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンとしては、上記式(III)で表される繰り返し単位から実質的になるポリケトンが好ましい。また、該ポリケトンの中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1-オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1-オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
上記ポリケトン繊維コードの原料のポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基が交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記一般式(III)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン,ブテン,ペンテン,シクロペンテン,ヘキセン,シクロヘキセン,ヘプテン,オクテン,ノネン,デセン,ドデセン,スチレン,アセチレン,アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート,メチルメタクリレート,ビニルアセテート,アクリルアミド,ヒドロキシエチルメタクリレート,ウンデセン酸,ウンデセノール,6-クロロヘキセン,N-ビニルピロリドン,スルニルホスホン酸のジエチルエステル,スチレンスルホン酸ナトリウム,アリルスルホン酸ナトリウム,ビニルピロリドン及び塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
更に、上記ポリケトンの重合度としては、下記式:
Figure 0004734027
(式中、t及びTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり;Cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が1〜20dL/gの範囲にあることが好ましく、2〜10dL/gの範囲にあることが更に好ましく、3〜8の範囲にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時及び延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間及びコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性及び物性に悪影響が出ることがある。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度及び倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)又は(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載のようなヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載のような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm-クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン,エタノール,イソプロパノール,n-ヘキサン,イソオクタン,アセトン,メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、更に脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩又はハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、更に、該未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。該熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲が好ましく、総延伸倍率は、10倍以上であることが好ましい。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。ここで、熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留が大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
上記ポリケトン繊維コードは、上記ポリケトンからなるフィラメント束を複数本、好ましくは2本又は3本撚り合わせてなり、例えば、上記ポリケトンからなるフィラメント束に下撚りをかけ、次いで、これを複数本合わせて、逆方向に上撚りをかけることで、双撚り構造の撚糸コードとして得ることができる。
上記のようにして得られたポリケトン繊維コードをコーティングゴムで被覆することによって、上記第1ベルト補強層8に用いるコード/ゴム複合体を得ることができる。ここで、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムとしては特に制限はなく、従来のベルト補強層に用いていたコーティングゴムを用いることができる。なお、ポリケトン繊維コードのコーティングゴムによる被覆に先立って、ポリケトン繊維コードに接着剤処理を施し、コーティングゴムとの接着性を向上させてもよい。
本発明の空気入りタイヤは、第1ベルト補強層8に、上述のポリケトン繊維コードを、タイヤ周方向と平行に配置し、コーティングゴムで被覆してなるコード/ゴム複合体を適用し、常法により製造することができる。また、本発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を変えた空気、もしくは窒素等の不活性ガスを用いることができる。
なお、第1ベルト補強層8の幅は、ベルト8の幅の95〜105%の範囲内であることが好ましい。
なお、本発明の空気入りタイヤは、図1に示すように、上記ベルト7のタイヤ半径方向外側に、該ベルト7の幅方向の各端部を覆うように配置された1枚の第2ベルト補強層9を備えるが、第2ベルト補強層9の配設は必須ではない。また、この第2ベルト補強層9は、第1ベルト補強層8と同じく、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなるが、該コードの材質は特に限定されず、該コードの材質としては、例えば、スチールや、ナイロン、ポリエステル、アラミド、ポリケトン等の有機繊維が挙げられる。より高いランフラット耐久性を得られることから、第2ベルト補強層9を構成するコードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであるのが好ましく、特に、該ポリケトン繊維コードが、上記式(I)及び(II)を満たすポリケトン繊維コードであることが好ましく、0.3以上の177℃における熱収縮応力σ(cN/dtex)を有するポリケトン繊維コードであることがより好ましい。
なお、第2ベルト補強層9の幅は、確実にランフラット耐久効果を得るために、ベルト端から見て20mm以上の幅であることが好ましい。また、第2ベルト補強層9の幅は、第1ベルト補強層8の幅と同じ幅であっても良い。
また、本発明の空気入りタイヤは、図2に示すように、ベルト7のタイヤ半径方向内側に配置され、タイヤ幅方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる少なくとも1枚のコード補強層10を更に備えてもよい。このコード補強層10をタイヤに適用することによって、ランフラット走行時のタイヤ幅方向のバックリングを抑制することができ、タイヤのランフラット耐久性をさらに向上させることができる。コード補強層10を構成するコードの材質は特に限定されず、該コードの材質としては、例えば、スチールや、ナイロン、ポリエステル、アラミド、ポリケトン等の有機繊維が挙げられる。ランフラット耐久性と通常内圧走行時の乗り心地性の両立の観点から、コード補強層10を構成するコードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであるのが好ましく、特に、該ポリケトン繊維コードが、上記式(I)及び(II)を満たすポリケトン繊維コードであることが好ましく、0.3以上の177℃における熱収縮応力σ(cN/dtex)を有するポリケトン繊維コードであることがより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1、2)
図1に示す構造のサイズ245/40R18のランフラットタイヤを常法に従って試作した。なお、供試タイヤのベルトは2枚のスチールベルト層から構成され、第1ベルト補強層8及び第2ベルト補強層9には、表1に示す構造のポリケトン繊維コードをそれぞれ表1に示す打ち込み数で平行に配列しコーティングゴムで被覆して作製したコード/ゴム複合体をそれぞれ適用した。また、前記ポリケトン繊維コードは、上記式(I)及び(II)を満たし、ほぼ100%が式(III)で表される繰り返し単位からなり、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンからなる。
(実施例3、4)
表1に示す構造のポリケトン繊維コードを有するコード補強層10をそれぞれベルト7のタイヤ半径方向内側に配設したこと以外は実施例1、2と同様にして、図2に示す構造のサイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。なお、実施例3、4におけるコード補強層10は、タイヤ幅方向に対し実質的に平行に配列した表1に示す材質、構造のコードのゴム引き層からなる。また、前記ポリケトン繊維コードは、上記式(I)及び(II)を満たし、ほぼ100%が式(III)で表される繰り返し単位からなり、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンからなる。
(比較例1、2)
第1ベルト補強層8及び第2ベルト補強層9を構成するコードとして、表1に示す材質、構造のコードをそれぞれ用いた以外は実施例1、2と同様にして、図1に示す構造のサイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。なお、比較例2で用いたポリケトン繊維コードは、上記式(I)及び(II)を満たしていないポリケトン繊維コードであって、式(III)で表される繰り返し単位からなり、Aが主としてエチレン基であるポリケトン(プロピレン約6%含有)からなる。
(比較例3)
第1ベルト補強層8、第2ベルト補強層9、コード補強層10を構成するコードとして、表1に示す構造のアラミド繊維コードをそれぞれ用いた以外は実施例3、4と同様にして、図2に示す構造のサイズ245/40R18のランフラットタイヤを試作した。
(性能評価)
実施例1〜4、比較例1〜3のタイヤの縦ばね及びランフラット耐久性を下記の方法で評価し、表1に示す結果を得た。
(1)縦ばね
230kPaの内圧を充填した供試タイヤの荷重−撓み曲線を測定し、得られた荷重−撓み曲線上のある荷重における接線の傾きを該荷重に対する縦ばね定数とし、比較例1のタイヤの縦ばね定数の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、縦ばね定数が大きいことを示す。
(縦ばね測定時のタイヤの内圧を補充下さい。)
(2)ランフラット耐久性
供試タイヤに内圧を充填することなく、荷重5.24kN、速度90km/h、温度38℃の環境下でドラム試験を行い、タイヤが故障に至るまでの走行距離を測定し、比較例1のタイヤの故障に至るまでの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きい程、故障に至るまでの走行距離が長く、ランフラット耐久性に優れることを示す。
Figure 0004734027
表1から、上記式(I)及び(II)を満たすポリケトン繊維コードを第1ベルト補強層8に適用した実施例1のタイヤでは、縦ばね、すなわち通常内圧走行時の乗り心地性がナイロン繊維コードを第1ベルト補強層8に適用した比較例1とほぼ同程度であったが、比較例1に比べてランフラット耐久性が大幅に向上していた。
一方で、上記式(I)及び(II)を満たさないポリケトン繊維コードを用いた比較例2のタイヤでは、通常内圧走行時の乗り心地性は比較例1とほぼ同程度であったが、実施例1ほどのランフラット耐久性の向上は得られなかった。
また、補強層を増設した実施例2〜4では、実施例1よりも乗り心地性が若干劣るもののランフラット耐久性が更に向上した。なお、実施例4と、実施例4に適用したポリケトン繊維コードの代わりにアラミド繊維コードを適用し、実施例4と同じ構造を有する比較例3とを比較すると、実施例4と比較例3のランフラット耐久性は同程度でありながら、実施例4の縦ばねは比較例3よりも小さく、すなわち、実施例4の通常内圧走行時の乗り心地性は比較例3よりも優れていた。
本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す幅方向断面図である。 本発明の空気入りタイヤの変形例を示す幅方向断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ビードコア
5 ラジアルカーカス
6 サイド補強ゴム層
7 ベルト
8 第1ベルト補強層
9 第2ベルト補強層
10 コード補強層

Claims (5)

  1. 1対のビード部と、1対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記1対のビード部間にトロイド状に延在する少なくとも1枚以上のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、前記サイドウォール部の前記ラジアルカーカスの内側に配置した1対のサイド補強ゴム層と、該トレッド部の内側に配置された少なくとも2層以上のベルト層からなるベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配置され、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる少なくとも1枚のベルト補強層を備える空気入りタイヤにおいて、
    前記ベルト補強層を構成するコードは、ポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードであって、該ポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II):
    σ≧−0.01E+1.2 ・・・(I)
    σ≧0.3 ・・・(II)
    [式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ベルト補強層の幅は、前記ベルトの幅の95〜105%の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ベルトのタイヤ半径方向内側に配置され、タイヤ幅方向に対し実質的に平行に配列したポリケトンからなるフィラメント束を複数本撚り合わせたポリケトン繊維コードのゴム引き層からなる少なくとも1枚のコード補強層を更に備え、該ポリケトン繊維コードは下記式(I)及び(II):
    σ≧−0.01E+1.2 ・・・(I)
    σ≧0.3 ・・・(II)
    [式中、σは177℃における熱収縮応力(cN/dtex)であり、Eは、25℃における49N荷重時の弾性率(cN/dtex)である]を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ポリケトンが、下記一般式(III):
    Figure 0004734027
    (式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一でも異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になることを特徴とする請求項1又はに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記一般式(III)中のAがエチレン基であることを特徴とする請求項記載の空気入りタイヤ。
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