JP5035952B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ内圧の異常低下又はパンク時にランフラット走行が可能である、いわゆるサイド補強タイプのランフラットタイヤに関し、より詳細には、ランフラット耐久性と通常内圧時の乗り心地とを高度にバランスさることにより安全性と快適性を高めたランフラットタイヤに関する。
車両走行時に起こり得る路面突起や穴、或いは鋭利な異物によるタイヤへの衝撃入力によりタイヤが損傷を受け、その結果タイヤ内部の充填空気が急激に漏出し、荷重負荷能力を失うことで、車両運動の安定性に著しく害を及ぼす場合がある。
このような現象を回避すべく、通常は可撓性を持つタイヤのサイドウォール部を、比較的高モジュラスのゴムを厚ゲージにして補強し、内部圧力が殆んどゼロとなる場合においても、たわみを極端に増加させることなく荷重を負荷できる構造が、従来より提案されている。例えば、特許文献1では、両サイド部の全域またはほぼ全域にわたり、タイヤのサイド部全体がほぼ均一な厚みになるように、子午断面が三日月状のサイド補強ゴム層を備えた構造のランフラットタイヤが提案され、パンクなどによってタイヤの充填内圧が低下しても、荷重を支えてタイヤが継続して走行することを可能にしている。
また、ランフラット動作状態で圧縮荷重や引張り荷重を支える各種インサートを設けることにより、タイヤ寿命と乗物操縦特性と乗り心地との向上を図ったサイド補強タイプのランフラットタイヤも提案されている(特許文献2)。
特開2000−309211号公報 特表2002−519238号公報
しかしながら、従来のランフラットタイヤでは、ランフラット走行中においてサイド部のゴムが荷重を負担するため、ゴムの温度が非常に高温になり、ゴムの軟化によりサイド部の剛性が低下し、ランフラット走行末期には、例えば、断面三日月型のサイド補強ゴム層を備えるランフラットタイヤでは当該サイド補強ゴム層が破壊してしまうという問題があった。
この問題を解決するために、サイド補強ゴム層のゲージを厚くすることも考えられるが、その場合、通常走行時の乗り心地を悪化させ、車両の耐久性をも悪化させてしまうおそれがあった。
そこで本発明の目的は、ランフラット状態の走行時耐久性と通常内圧時における振動・乗り心地性とを高度に両立させることにより安全性と快適性を高めたランフラットタイヤ、特には偏平率(タイヤ高さ/タイヤ幅)が60%以下の断面形状を有する乗用車用ランフラットタイヤを提供することにある。
本発明者は、空気入りタイヤのランフラット耐久性能と通常走行時の乗り心地性能を両立させるために鋭意検討した結果、断面が三日月状のサイド補強ゴムを厚くすることなく、ランフラット時のたわみを抑制するためには、有機繊維コードを用いたカーカスプライの内側に、高剛性のコードを用いた補強層を配置することが有効であり、かつ、カーカスプライの有機繊維コードとして高温時に高剛性を発揮するコードとの組み合わせが必須であることが分かった。
即ち、ランフラット走行状態でタイヤサイドが曲げられたとき、カーカスプライは内側のコードほど圧縮入力が作用し、外側のコードほど引張入力が作用する。このカーカスプライの内側に高剛性のコードからなる補強層を配置すると、補強層のすぐ外側に曲げの中立軸が位置し、カーカスプライには、何も補強を施していない場合に比べ、大きな引張応力が作用することになる。
しかし、これだけでは十分にランフラット耐久性は得られなかった。それは、ランフラット走行時にはタイヤが非常に高温になるため、従来用いられている有機繊維コードのカーカスプライではランフラット走行における高温条件下で十分な剛性が得られなくなり、その結果、ランフラット走行状態で十分な剛性が発揮されず、満足なランフラット耐久力が得られなかったからである。
そこで、本発明者はさらに鋭意研究を重ねた結果、カーカスプライの内側にスチールコード補強層を配置するとともに、タイヤサイド部におけるランフラット状態での曲げの外側にポリケトン繊維を主とする特定の有機繊維コードを用いたカーカスプライを配置したところ、中立軸の外側に存在する当該有機繊維コードが良好な引張剛性を発揮し、ランフラット走行状態においても十分な曲げ剛性を発揮し、満足ゆく耐久力を確保することができることを突き止めた。
加えて、かかる有機繊維コードは高温時にのみ高い引張剛性を発現し、通常内圧走行時には縦バネの増加は最小限に抑えることができることから、断面が三日月状のサイド補強ゴム層のゲージを薄くし、通常走行時の乗り心地を良くした上で、ランフラット走行時の耐久性を確保する、従来技術では不可能だったランフラットタイヤの提供が可能となった。
同様のことがタイヤビード部でも起こり、ランフラット状態ではタイヤサイド部はインナーライナー側が曲げの内側になるのに対し、ビード部では外表面側が曲げの内側になるため、補強形態としてはインナーライナー側に上記有機繊維コードを配置し、外表面側にスチールコード補強層を配置することで、サイド部と同様の効果が得られることも分かった。本発明は、上記知見に基づき完成されたものである。
即ち、本発明のランフラットタイヤは、左右一対のビード部と、該ビード部から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、前記サイドウォール部において前記カーカスの内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えたランフラットタイヤにおいて、
前記サイドウォール部領域および前記ビード部領域の少なくとも一方の領域が、その湾曲部の外側が有機繊維コード層で内側がスチールコード層となるように、これら層の組み合わせ構造にて補強され、
前記有機繊維コード層が、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、該コードの最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲にある有機繊維コードをゴムで被覆したコード層からなり、
前記スチールコード層が、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードをゴムで被覆したコード層からなり、
前記カーカスプライの少なくとも1層が前記有機繊維コード層からなり、前記サイドウォール部領域でかつ前記有機繊維コード層の内側に、少なくとも1層の前記スチールコード層からなるインサートが配置されていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記インサートのタイヤ半径方向内側端がビードベース部からタイヤ高さhの20〜40%の位置にあり、かつ外側端がベルト層のベルト端近傍に位置することが好ましい。
また、本発明においては、好ましくは、前記ビード部に埋設されたビードコアおよびビードフィラーに内側から外側に向けて折返された前記カーカスプライの少なくとも1層が前記有機繊維コード層からなり、前記ビード部領域でかつ前記有機繊維コード層の外側に、少なくとも1層の前記スチールコード層からなるインサートが配置されているランフラットタイヤである。この場合、ビード部領域に配置された前記インサートのタイヤ半径方向内側端は、好ましくはビードベース部からタイヤ高さhの10〜25%の位置にあり、かつ外側端が20〜35%の位置にあることが好ましい。
また、本発明の他のランフラットタイヤは、左右一対のビード部と、該ビード部から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、前記サイドウォール部において前記カーカスの内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えたランフラットタイヤにおいて、
前記サイドウォール部領域および前記ビード部領域の少なくとも一方の領域が、その湾曲部の外側が有機繊維コード層で内側がスチールコード層となるように、これら層の組み合わせ構造にて補強され、
前記有機繊維コード層が、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、該コードの最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲にある有機繊維コードをゴムで被覆したコード層からなり、
前記スチールコード層が、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードをゴムで被覆したコード層からなり、
前記カーカスプライが2層以上からなり、タイヤ径方向外側に前記有機繊維コード層からなるカーカスプライが、内側に前記スチールコード層からなるカーカスプライが夫々配置されていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記ポリケトン繊維において、原糸の引っ張り強度が10cN/dtex以上で、かつ弾性率が200cN/dtex以上であることが好ましく、また、前記有機繊維コード層の、下記式(I)、
Figure 0005035952
(nは撚り数(回/10cm)、Dはトータル表示デシテックス数、ρは繊維の比重(g/cm3)である)で定義される撚り係数Nが下記式(II)、
0.6 ≦ N ≦ 0.9 ・・・ (II)
を満たすことが好ましく、さらに、前記有機繊維コード層のコード打込み数は、好ましくは5〜60本/50mmである。
本発明によれば、ランフラット状態の走行時耐久性と通常内圧時における振動・乗り心地性を高度に両立させることにより安全性と快適性を高めたランフラットタイヤ、特には偏平率(タイヤ高さ/タイヤ幅)が60%以下の断面形状を有する乗用車用ランフラットタイヤを提供することができる。
(実施形態1)
図1は、本発明の好適実施形態1に係るランフラットタイヤの代表的な幅方向半断面を示すものである。図1に示すランフラットタイヤは、対をなすビード部Cにそれぞれ埋設されたビードコア1間で略ラジアル配列(具体的には、タイヤ赤道面Eに対し70〜90°の角度で配列)されたコードを有する1枚のプライをビードコア1及びビードフィラー5の周りに内側から外側へ折り返して形成したカーカスプライ2を有する。
また、このタイヤにおいては、カーカスプライ2のクラウン部の外周側に、タイヤ赤道面Eに対し傾斜して延びるコードを平行配列した少なくとも2層の傾斜ベルト層(図示例では、2層の傾斜ベルト層31,32)からなる主ベルト3によって補強されたトレッド部Aが配設されている。
主ベルト3は、それを構成する傾斜ベルト層のうち、少なくとも2層の傾斜ベルト層31,32が、コードが互いにタイヤ赤道面Eを挟んで交差するように積層した交差ベルトを構成することが好ましい。
尚、トレッド部Aには、図示は省略したが、一般タイヤと同様、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝、及び/又は、該周方向溝を横断する方向に延びる複数本の横断溝等のトレッド溝や、複数本のサイプなどが用途に応じて適宜配設されている。
また、図1では、主ベルト3とトレッド部Aの間に、コードがタイヤ赤道面Eと実質的に平行に配列されたベルト保護層7を主ベルト3のほぼ全幅を覆うように設けた場合を示してある。このベルト保護層7は、ベルト端セパレーションに起因するタイヤ故障を防止するために設けられ、必要に応じて適宜配設することができ、少なくとも主ベルト3の両端部に配設されていればよい。
トレッド部Aの両端部とビード部との間には、これらを連結するサイドウォール部Bが設けてあり、少なくともサイドウォール部Bにわたるカーカスプライ2の内面側には、略三日月状の断面形状を有するサイド補強ゴム層6が配設されており、いわゆるサイド補強タイプのランフラットタイヤの構造となっている。
本実施形態1では、カーカスプライ2は、繊維コードと該繊維コードを被覆するコーティングゴムとからなる。すなわち、繊維に一定の撚りを加え、2〜3本撚り合せ、これを経糸として多本数引き揃え、それに細く弱い緯糸を荒く打ち込み、スダレ状とし、更にゴムとの接着を行なう為の接着剤処理を行う。しかる後、一定厚さのトッピングゴムを被覆し、ゴム被覆コードとする。
また、本実施形態1においては、カーカスプライ2のコードは、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは100質量%含むことが望ましい。50質量%未満だと、タイヤとしての強度、耐熱性、ゴムとの接着性のいずれかの性能が不十分となる。
また、カーカスプライ2のコードの最大熱収縮応力は、0.1〜1.8cN/dtex、好ましくは0.4〜1.6cN/dtex、より好ましくは0.6〜1.4cN/dtexの範囲にあることが望ましい。最大熱収縮応力が0.1cN/dtex未満の場合には、ランフラット走行耐久性を十分に向上させることができない。一方、最大熱収縮応力が1.8cN/dtexを超える場合には、タイヤ製造時の加熱によりコードが著しく収縮するため、出来上がりのタイヤ形状が悪化する懸念がある。
さらに、カーカスプライ2のコードに含まれるポリケトン繊維として、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲、好ましくは2%〜4%の範囲である。150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%未満の場合には、タイヤ製造時の加熱による引き揃え効率が著しく低下し、タイヤとしての強度が不十分となる。一方、150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が5%を超える場合には、タイヤ製造時の加熱によりコードが著しく収縮するため、出来上がりのタイヤ形状が悪化する懸念がある。
さらにまた、カーカスプライ2のコードに含まれるポリケトン繊維として、引っ張り強度は、好ましくは10cN/dtex以上、より好ましくは15cN/dtex以上である。この引っ張り強度が10cN/dtex未満の場合、タイヤとしての強度が不十分となる。
さらにまた、カーカスプライ2のコードに含まれるポリケトン繊維として、弾性率は、好ましくは200cN/dtex以上、より好ましくは250cN/dtex以上である。この弾性率が200cN/dtex未満の場合、ランフラット走行耐久性を十分に向上させることができない。
次に、カーカスプライ2のコードの、下記式(I)、
Figure 0005035952
(nは撚り数(回/10cm)、Dはトータル表示デシテックス数、ρは繊維の比重(g/cm3)である)で定義される撚り係数Nが下記式(II)、
0.6 ≦ N ≦ 0.9 ・・・ (II)
を満たすことが好ましく、さらには下記式(III)、
0.7 ≦ N ≦ 0.85 ・・・ (III)
を満たすことが、より好ましい。この係数が0.6未満の場合にはカーカスプライコードに要求される耐疲労性が低下し、結果としてタイヤ耐久性が低下するという問題が生じる。一方、0.9より大きい場合には撚糸の撚り戻りが大きく、作業性が著しく悪化する。
また、サイドウォール部Bの領域でかつカーカスプライ2の内側には、少なくとも1層(図示する例では1層)のスチールコード層からなるインサート4が配置される。
このインサート4を配置することにより、通常走行時の縦ばね係数が大きくなるのを抑制したまま、ランフラット走行時にサイド補強ゴム層6の変形を抑制することができるので、通常走行時の振動・乗り心地性を維持しつつ、ランフラット時の耐久性を向上させることができる。
即ち、インサート4の配置により、カーカスプライ2の内側に曲げ剛性が強いスチールコード層が配置されることになるので、曲げの中立軸はカーカスプライ2とインサート4の間に存在し、カーカスプライ2が引っ張り側、インサート4が圧縮側となる。これにより、ランフラット走行時に前記有機繊維コードからなるカーカスプライ2の引っ張り剛性が大きいことから、サイド補強ゴム層6がつぶれにくい方向へと作用し、結果としてランフラット耐久性が向上する。また、スチールコードによるインサート4は、曲げ剛性が強いので、カーカスプライ2と連動してサイド補強ゴム層6がつぶれにくい方向へと作用する。
このインサート4は、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードをゴムで被覆したコード層である。スチールフィラメントの径は、好ましくは0.1〜0.4mmであり、また撚り構造としては1×3、1×4及び1×5等とすることができる。また、コード打込み数は、好ましくは5〜30本/50mmである。
インサート4の幅および配置箇所は、上記作用が良好に発揮されるように適宜定める。好ましくは、インサート4の、ビードベース部からタイヤ半径方向内側端までの高さE1を、タイヤ高さhの20〜40%の位置とする。この値が20%未満であるとスチールコードがビード部Cにまで達してしまい、この箇所では湾曲方向が逆となって引っ張り側になってしまうことから、スチールコードの圧縮剛性に強いという特性を活かせなくなる。ただし、スチールコードは引っ張り剛性が強いので、ビード部Cにまでスチールコードが達していても特に問題となることはない。一方、40%を超えるとサイドウォール部B領域の湾曲部を十分にカバーできず、好ましくない。また、インサート4のタイヤ半径方向外側端はベルト3のベルト端近傍にまで達していることが好ましい。ただし、ビードベース部から当該外側端までの高さE2をタイヤ高さhの80%より大きくしても、既にサイド補強ゴム層6を十分覆っているため、もはや効果の増大は望めない。即ち、ベルト3よりも幅方向内側に達してもサイド補強ゴム層6のつぶれを抑制する効果を高めることはない。
(実施形態2)
本実施形態2では、前記実施形態1のインサート4(図1参照)の代わりに、図2に示すように、インサート41がビード部Cの領域でかつカーカスプライ2の外側に配置され、それ以外はすべて前記実施形態1と同様である。なお、実施形態1のインサート4とインサート41とを一緒に適用してもよい。
このように、曲げ剛性が強いスチールコードのインサート41をビード部Cにおいてカーカスプライ2の外側に配置すると該スチールコードが圧縮側になりサイド補強ゴム層6がつぶれようとする方向(サイドウォール部Bとは逆)に対し抵抗しようとする方向に作用するので、ランフラット耐久性が向上する。
この際、インサート41の、ビードベース部からタイヤ半径方向内側端までの高さE11を、好ましくはタイヤ高さhの10〜25%の位置とする。10%より小さいところに入れてもこの付近はリムで押圧されるところなので、ほとんど変形がなく、入れる意味がない。一方、25%を超えるとビード部C領域の湾曲部を十分にカバーできず、好ましくない。また、インサート41の、ビードベース部からタイヤ半径方向外側端までの高さE12を、好ましくはタイヤ高さhの20〜35%の位置とする。20%未満ではビード部Cの湾曲部を十分にカバーできず、一方、35%より大きくするとサイドウォール部Bにまでインサート41が達してしまうが、この部分では高温下での引っ張りに強いカーカスプライ2に負担させた方が効率的だからである。
なお、本実施形態2では、インサート41がカーカスプライ2の外側に配置されていればよく、したがって、図3および図4にそれぞれ示すインサート42および43のように、折返しカーカスプライ2の内側カーカスプライに対して外側であっても、同様の効果を得ることができる。
(実施形態3)
本実施形態3では、図5に示すカーカスプライ20が、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードをゴムで被覆したコード層で構成されている。かかるコードのスチールフィラメントの径、撚り構造、コード打込み数は本実施形態1のインサートと同様とすることができる。
また、サイドウォール部Bの領域でかつカーカスプライ20の外側に、周方向に少なくとも1層(図示する例では1層)の有機繊維コード層からなるインサート44が配置されている。この有機繊維コード層は、前記実施形態1におけるカーカスプライの有機繊維コード層と同様のものである。
このインサート44を配置することにより、前記実施形態と同様に、通常走行時の縦ばね係数が大きくなるのを抑制したまま、ランフラット走行時にサイド補強ゴム層6の変形を抑制することができるので、通常走行時の振動・乗り心地性を維持しつつ、ランフラット時の耐久性を向上させることができる。
即ち、前記有機繊維コードのインサート44がスチールコードのカーカスプライ20の外側に配置されることで、曲げの中立軸はカーカスプライ20とインサート44の間に存在し、カーカスプライ20が圧縮側、インサート44側が引っ張りとなる。これにより、ランフラット走行時に前記有機繊維コードからなるインサート44の引っ張り剛性が大きいことから、サイド補強ゴム層6がつぶれにくい方向へと作用し、結果としてランフラット耐久性が向上する。また、スチールコードによるカーカスプライ20は、曲げ剛性が強いので、インサート44と連動してサイド補強ゴム層6がつぶれにくい方向へと作用する。
インサート44の幅および配置箇所は、上記作用が良好に発揮されるように適宜定める。好ましくは、インサート44の、ビードベース部からタイヤ半径方向内側端までの高さE21をタイヤ高さhの20〜40%の位置とする。この値が20%未満であるとビード部Cに達してしまい、ここでは逆に圧縮領域に入ってくるため、圧縮に弱い有機繊維コード層を入れることは逆効果となる。一方、40%を超えるとサイドウォール部B領域の湾曲部を十分にカバーできず、好ましくない。また、インサート44のタイヤ半径方向外側端はベルト3のベルト端近傍にまで達していることが好ましい。ただし、ビードベース部から当該外側端までの高さE22をタイヤ高さhの80%より大きくしても既にサイド補強ゴム層6を十分覆っているため、もはや効果の増大は望めない。即ち、ベルト3よりも幅方向内側に達してもサイド補強ゴム層6のつぶれを抑制する効果を高めることはない。
なお、本実施形態3では、カーカスプライおよびインサート以外は本実施例1と同様の構造とするものである。
(実施形態4)
本実施形態4では、前記実施形態3のインサート44(図5参照)の代わりに、図6に示すように、インサート45がビード部Cの領域でかつカーカスプライ20の内側に配置され、それ以外はすべて前記実施形態3と同様である。なお、実施形態3のインサート44とインサート45とを同時に適用してもよい。
このように、有機繊維コード層からなるインサート45をビード部Cにおいてスチールコード層からなるカーカスプライ20の内側に配置すると該スチールコードが圧縮側になりサイド補強ゴム層6がつぶれようとする方向(サイドウォール部Bとは逆)に対し抵抗しようとする方向に作用するので、ランフラット耐久性が向上する。
この際、インサート45の、ビードベース部からタイヤ半径方向内側端までの高さE31を、好ましくはタイヤ高さhの10〜25%の位置とする。10%より小さいところに入れてもこの付近はリムで押圧されるところなので、ほとんど変形がなく、入れる意味がない。一方、25%を超えるとビード部C領域の湾曲部を十分にカバーできず、好ましくない。また、インサート45の、ビードベース部からタイヤ半径方向外側端までの高さE32を、好ましくはタイヤ高さhの20〜35%の位置とする。35%より大きくするとサイドウォール部Bにまで達してしまい圧縮側になってしまうので、ここに有機繊維コード層を入れても、サイド補強ゴム層6のつぶれ変形抑制にはほとんど効果がない。
(実施形態5)
図示はしないが、インサートを用いずにカーカスプライを2層以上とし、タイヤ径方向外側に前記有機繊維コード層からなるカーカスプライを、内側に前記スチールコード層からなるカーカスプライを夫々配置してサイド補強型のランフラットタイヤとしても、サイド補強ゴム層6のつぶれ変形を抑制することができる。この場合、ビード部Cでは湾曲部での前記有機繊維コード層と前記スチールコード層との配置が本発明で意図する配置とは逆になるが、サイド補強ゴム層6のつぶれ変形を抑制する効果としてはビード部Cよりもサイドウォール部Bの方が効果が大きいため、このような配置とすることができる。
次に、本発明に使用し得る、ポリケトン繊維(以下「PK繊維」と略記する)を少なくとも50質量%以上含む繊維について詳述する。
本発明に使用し得るPK繊維以外の繊維は、ナイロン、エステル、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、ビニロン等を挙げることができる。
なお、本発明におけるPK繊維の乾熱収縮率は、オーブン中で150℃、30分の乾熱処理を行ない、熱処理前後の繊維長を、1/30(cN/dtex)の荷重をかけて計測して下式により求められる値である。
乾熱収縮率(%)=(Lb−La)/Lb×100
但し、Lbは熱処理前の繊維長、Laは熱処理後の繊維長である。また、PK繊維における引張強度および引張弾性率は、JIS−L−1013に準じて測定することにより得られる値であり、引張弾性率は伸度0.1%における荷重と伸度0.2%における荷重から算出した初期弾性率の値である。
本発明に使用し得るカーカスプライコードは、具体的には、以下に詳述するPK繊維コードが好適である。即ち、コード1本あたりの総デシテックスが1000〜20000デシテックスであるマルチフィラメント撚りのPK繊維である。1本あたりの総デシテックスが1000〜20000デシテックスの範囲内であるコードであれば、高剛性で、かつ、有機繊維のメリットであるスチールコード対比の軽量化が達成できる。総デシテックスが1000デシテックス未満ではカーカスプライとして十分な高剛性を得ることができず、一方、20000デシテックスを超えると、プライのゲージが厚くなってしまい、タイヤ質量増加やタイヤ品質の劣化を招いてしまう。
また、かかるコードの最大熱収縮応力は、一般的なディップ処理を施した加硫前のPK繊維コードの、25cmの長さ固定サンプルを5℃/分の昇温スピードで加熱して、177℃時にコードに発生する最大応力(単位:cN/dtex)である。
上記PK繊維の原料のポリケトンとしては、下記一般式(IV)、
Figure 0005035952
(式中、Aは不飽和結合によって重合された不飽和化合物由来の部分であり、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい)で表される繰り返し単位から実質的になるものが好適であり、その中でも、繰り返し単位の97モル%以上が1−オキソトリメチレン[−CH2−CH2−CO−]であるポリケトンが好ましく、99モル%以上が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが更に好ましく、100モル%が1−オキソトリメチレンであるポリケトンが最も好ましい。
かかるポリケトンは、部分的にケトン基同士、不飽和化合物由来の部分同士が結合していてもよいが、不飽和化合物由来の部分とケトン基とが交互に配列している部分の割合が90質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、上記式(IV)において、Aを形成する不飽和化合物としては、エチレンが最も好ましいが、プロピレン、ブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、アセチレン、アレン等のエチレン以外の不飽和炭化水素や、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ウンデセン酸、ウンデセノール、6−クロロヘキセン、N−ビニルピロリドン、スルニルホスホン酸のジエチルエステル、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドンおよび塩化ビニル等の不飽和結合を含む化合物等であってもよい。
さらに、上記ポリケトンの重合度としては、下記式(V)、
Figure 0005035952
(上記式中、tおよびTは、純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノールおよび該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過時間であり、cは、上記希釈溶液100mL中の溶質の質量(g)である)で定義される極限粘度[η]が、1〜20dL/gの範囲内にあることが好ましく、3〜8dL/gの範囲内にあることがより一層好ましい。極限粘度が1dL/g未満では、分子量が小さ過ぎて、高強度のポリケトン繊維コードを得ることが難しくなる上、紡糸時、乾燥時および延伸時に毛羽や糸切れ等の工程上のトラブルが多発することがあり、一方、極限粘度が20dL/gを超えると、ポリマーの合成に時間およびコストがかかる上、ポリマーを均一に溶解させることが難しくなり、紡糸性および物性に悪影響が出ることがある。
さらにまた、PK繊維は、結晶化度が50〜90%、結晶配向度が95%以上の結晶構造を有することが好ましい。結晶化度が50%未満の場合、繊維の構造形成が不十分であって十分な強度が得られないばかりか加熱時の収縮特性や寸法安定性も不安定となるおそれがある。このため、結晶化度としては50〜90%が好ましく、より好ましくは60〜85%である。
上記ポリケトンの繊維化方法としては、(1)未延伸糸の紡糸を行った後、多段熱延伸を行い、該多段熱延伸の最終延伸工程で特定の温度および倍率で延伸する方法や、(2)未延伸糸の紡糸を行った後、熱延伸を行い、該熱延伸終了後の繊維に高い張力をかけたまま急冷却する方法が好ましい。上記(1)または(2)の方法でポリケトンの繊維化を行うことで、上記ポリケトン繊維コードの作製に好適な所望のフィラメントを得ることができる。
ここで、上記ポリケトンの未延伸糸の紡糸方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、特開平2−112413号、特開平4−228613号、特表平4−505344号に記載されているようなヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等の有機溶剤を用いる湿式紡糸法、国際公開第99/18143号、国際公開第00/09611号、特開2001−164422号、特開2004−218189号、特開2004−285221号に記載されているような亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液を用いる湿式紡糸法が挙げられ、これらの中でも、上記塩の水溶液を用いる湿式紡糸法が好ましい。
例えば、有機溶剤を用いる湿式紡糸法では、ポリケトンポリマーをヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾール等に0.25〜20質量%の濃度で溶解させ、紡糸ノズルより押し出して繊維化し、次いでトルエン、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、イソオクタン、アセトン、メチルエチルケトン等の非溶剤浴中で溶剤を除去、洗浄してポリケトンの未延伸糸を得ることができる。
一方、水溶液を用いる湿式紡糸法では、例えば、亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩等の水溶液に、ポリケトンポリマーを2〜30質量%の濃度で溶解させ、50〜130℃で紡糸ノズルから凝固浴に押し出してゲル紡糸を行い、さらに脱塩、乾燥等してポリケトンの未延伸を得ることができる。ここで、ポリケトンポリマーを溶解させる水溶液には、ハロゲン化亜鉛と、ハロゲン化アルカリ金属塩またはハロゲン化アルカリ土類金属塩とを混合して用いることが好ましく、凝固浴には、水、金属塩の水溶液、アセトン、メタノール等の有機溶媒等を用いることができる。
また、得られた未延伸糸の延伸法としては、未延伸糸を該未延伸糸のガラス転移温度よりも高い温度に加熱して引き伸ばす熱延伸法が好ましく、さらに、かかる未延伸糸の延伸は、上記(2)の方法では一段で行ってもよいが、多段で行うことが好ましい。熱延伸の方法としては、特に制限はなく、例えば、加熱ロール上や加熱プレート上に糸を走行させる方法等を採用することができる。ここで、熱延伸温度は、110℃〜(ポリケトンの融点)の範囲内が好ましく、総延伸倍率は、好適には10倍以上とする。
上記(1)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、上記多段熱延伸の最終延伸工程における温度は、110℃〜(最終延伸工程の一段前の延伸工程の延伸温度−3℃)の範囲が好ましく、また、多段熱延伸の最終延伸工程における延伸倍率は、1.01〜1.5倍の範囲が好ましい。一方、上記(2)の方法でポリケトンの繊維化を行う場合、熱延伸終了後の繊維にかける張力は、0.5〜4cN/dtexの範囲が好ましく、また、急冷却における冷却速度は、30℃/秒以上であることが好ましく、更に、急冷却における冷却終了温度は、50℃以下であることが好ましい。熱延伸されたポリケトン繊維の急冷却方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には、ロールを用いた冷却方法が好ましい。なお、こうして得られるポリケトン繊維は、弾性歪みの残留は大きいため、通常、緩和熱処理を施し、熱延伸後の繊維長よりも繊維長を短くすることが好ましい。ここで、緩和熱処理の温度は、50〜100℃の範囲が好ましく、また、緩和倍率は、0.980〜0.999倍の範囲が好ましい。
また、PK繊維コードの高い熱収縮特性を最も効果的に活用するには、加工時の処理温度や使用時の成型品の温度が、最大熱収縮応力を示す温度(最大熱収縮温度)と近い温度であることが望ましい。具体的には、必要に応じて行われる接着剤処理におけるRFL処理温度や加硫温度等の加工温度が100〜250℃であること、また、繰り返し使用や高速回転によってタイヤ材料が発熱した際の温度は100〜200℃にもなることなどから、最大熱収縮温度は、好ましくは100〜250℃の範囲内、より好ましくは150〜240℃範囲内である。
本発明に係るカーカスプライまたはインサートを被覆するコーティングゴムは、種々の形状からなることができる。代表的には、被膜、シート等である。また、コーティングゴムは、既知のゴム組成物を適宜採用することができ、特に制限されるべきものではない。
本発明のランフラットタイヤは、好適には偏平率(タイヤ高さ/タイヤ幅)が60%以下の断面形状を有する乗用車用ランフラットタイヤにおいて、特に優れた効果を奏するものである。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
(PK繊維の調製例)
常法により調製したエチレンと一酸化炭素が完全交互共重合した極限粘度5.3のポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度8重量%のドープを得た。
このドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ過した後に、80℃に保温した紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5重量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/分の速度で押出し、速度3.2m/分で引きながら凝固糸条とした。
引き続き凝固糸条を濃度2重量%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後に、速度3.2m/分で凝固糸を巻取った。
この凝固糸にIRGANOX1098(Ciba Specialty Chemicals社製)、IRGANOX1076(Ciba Specialty Chemicals社製)をそれぞれ0.05重量%ずつ(対ポリケトンポリマー)含浸せしめた後に、該凝固糸を240℃にて乾燥後、仕上剤を付与して未延伸糸を得た。
仕上剤は以下の組成のものを用いた。
オレイン酸ラウリルエステル/ビスオキシエチルビスフェノールA/ポリエーテル(プロピレンオキシド/エチレンオキシド=35/65:分子量20000)/ポリエチレンオキシド10モル付加オレイルエーテル/ポリエチレンオキシド10モル付加ひまし油エーテル/ステアリルスルホン酸ナトリウム/ジオクチルリン酸ナトリウム=30/30/10/5/23/1/1(重量%比)。
得られた未延伸糸を1段目を240℃で、引き続き258℃で2段目、268℃で3段目、272℃で4段目の延伸を行った後に、引き続き5段目に200℃で1.08倍(延伸張力1.8cN/dtex)の5段延伸を行い、巻取機にて巻取った。未延伸糸から5段延伸糸までの全延伸倍率は17.1倍であった。この繊維原糸は強度15.6cN/dtex、伸度4.2%、弾性率347cN/dtexと高物性を有していた。このPK繊維を1670dtex/2の太さにて撚り係数0.84でコードにしたところ、熱収縮応力0.9cN/dtex、乾熱収縮率3.1%であった。
(実施例1〜3、参考例1〜2、比較例1〜2、従来例1〜2)
タイヤサイズが225/60R17のタイヤを下記の表1に示す仕様により試作し、下記試験方法による、ランフラット耐久力および通常走行時の乗り心地性の評価を実施した。なお、表中、「レーヨン」とは、1650dtex/3のレーヨン繊維コードを打込み数48で打込んだコード層を、「PK繊維」とは、上記調製例にて製造したPK繊維コードを打込み数48で打込んだコード層を、また、「スチール」とは、1×3×0.22(mm)のスチール製フィラメントを5本層状に撚り合わせたコードを打込み数12で打込んだコード層を、夫々表す。供試タイヤでは、これらコード層をカーカスプライコードまたはインサートとして使用した。
また、供試タイヤは、通常は230kPaの空気充填圧力と6.17kNの負荷荷重条件下で使用されるが、ゼロ内圧での使用にも耐えられるよう、カーカスプライの内側に断面三日月形のサイド補強ゴム層6を下記の表1に示す厚さ(最大厚さ)にて設けてある。さらに、0.22mmのスチール製フィラメントを5本層状に撚り合わせたコードを並行に配置し、その軸線がタイヤ赤道方向と為す角度が15〜30°である互いに交錯した2枚のスチールベルト層31、32と、そのタイヤ半径方向外側に配置され、実質的に周方向に捲回されたリボン状芳香族ポリアミド繊維コード層からなるベルト保護層7とを備えている。
(ランフラット耐久力)
ランフラット耐久力は、一定室温(38℃)のドラム試験機にて、タイヤ内圧を0kPaにした状態(ランフラット状態)で、一定半径のドラムに押し付けることで荷重負荷し、時速80km/hにてタイヤを回転させ、タイヤが故障するまでの走行時間を測定したものである。なお、ドラム走行中の荷重、速度は一定とし、タイヤ走行時間が長いほど、耐久力の効果が高いことを示す。なお、表中においては、従来例1のドラム走行時間を100とし、比較例、実施例の数値を指数表示した。数値が大なるほどランフラット耐久力が大きい。
(通常走行時乗り心地性)
通常内圧時の縦バネ定数(乗り心地の指標)は、タイヤに230kPaの空気圧を充填した後、タイヤに一定荷重を負荷し、荷重軸方向のたわみと荷重の関係から、規定荷重でのたわみ−荷重線図の傾きを算出したものである。この数値は低いほど車両への入力が小さく、乗り心地が良いことを示す。なお、表中においては、従来例1の縦バネ定数(kN/mm)を100とし、比較例、実施例の数値を指数表示した。数値が大なるほど乗り心地性が良いことを示す。
Figure 0005035952
本発明の実施形態1に係るランフラットタイヤの断面図である。 本発明の実施形態2に係るランフラットタイヤの断面図である。 本発明の実施形態2に係る他のランフラットタイヤの断面図である。 本発明の実施形態2に係るさらに他のランフラットタイヤの断面図である。 参考例1に係るランフラットタイヤの断面図である。 参考例2に係るランフラットタイヤの断面図である。
符号の説明
1 ビードコア
2 カーカスプライ
3 ベルト
4,41,42,43,44,45 インサート
5 ビードフィラー
6 サイド補強ゴム層
7 ベルト保護層
A トレッド部
B サイドウォール部
C ビード部

Claims (8)

  1. 左右一対のビード部と、該ビード部から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、前記サイドウォール部において前記カーカスの内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えたランフラットタイヤにおいて、
    前記サイドウォール部領域および前記ビード部領域の少なくとも一方の領域が、その湾曲部の外側が有機繊維コード層で内側がスチールコード層となるように、これら層の組み合わせ構造にて補強され、
    前記有機繊維コード層が、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、該コードの最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲にある有機繊維コードをゴムで被覆したコード層からなり、
    前記スチールコード層が、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードをゴムで被覆したコード層からなり、
    前記カーカスプライの少なくとも1層が前記有機繊維コード層からなり、前記サイドウォール部領域でかつ前記有機繊維コード層の内側に、少なくとも1層の前記スチールコード層からなるインサートが配置されていることを特徴とするランフラットタイヤ。
  2. 前記インサートのタイヤ半径方向内側端がビードベース部からタイヤ高さhの20〜40%の位置にあり、かつ外側端がベルト層のベルト端近傍に位置する請求項記載のランフラットタイヤ。
  3. 前記ビード部に埋設されたビードコアおよびビードフィラーに内側から外側に向けて折返された前記カーカスプライの少なくとも1層が前記有機繊維コード層からなり、前記ビード部領域でかつ前記有機繊維コード層の外側に、少なくとも1層の前記スチールコード層からなるインサートが配置されている請求項1または2記載のランフラットタイヤ。
  4. ビード部領域に配置された前記インサートのタイヤ半径方向内側端がビードベース部からタイヤ高さhの10〜25%の位置にあり、かつ外側端が20〜35%の位置にある請求項記載のランフラットタイヤ。
  5. 左右一対のビード部と、該ビード部から夫々タイヤ半径方向外側に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強する一枚以上のカーカスプライからなるカーカス層と、該カーカスのタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、前記サイドウォール部において前記カーカスの内側に配置された断面三日月状のサイド補強ゴム層と、を備えたランフラットタイヤにおいて、
    前記サイドウォール部領域および前記ビード部領域の少なくとも一方の領域が、その湾曲部の外側が有機繊維コード層で内側がスチールコード層となるように、これら層の組み合わせ構造にて補強され、
    前記有機繊維コード層が、ポリケトン繊維を少なくとも50質量%以上含み、該コードの最大熱収縮応力が0.1〜1.8cN/dtexの範囲にあり、かつ該ポリケトン繊維の150℃×30分乾熱処理時熱収縮率が1%〜5%の範囲にある有機繊維コードをゴムで被覆したコード層からなり、
    前記スチールコード層が、スチールフィラメントを撚り合わせたスチールコードをゴムで被覆したコード層からなり、
    前記カーカスプライが2層以上からなり、タイヤ径方向外側に前記有機繊維コード層からなるカーカスプライが、内側に前記スチールコード層からなるカーカスプライが夫々配置されていることを特徴とするランフラットタイヤ。
  6. 前記ポリケトン繊維において、原糸の引っ張り強度が10cN/dtex以上で、かつ弾性率が200cN/dtex以上である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
  7. 前記有機繊維コード層の、下記式(I)、
    Figure 0005035952
    (nは撚り数(回/10cm)、Dはトータル表示デシテックス数、ρは繊維の比重(g/cm)である)で定義される撚り係数Nが下記式(II)、
    0.6 ≦ N ≦ 0.9 ・・・ (II)
    を満たす請求項1〜6のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
  8. 前記有機繊維コード層のコード打込み数が5〜60本/50mmである請求項1〜7のうちいずれか一項記載のランフラットタイヤ。
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