JP3959899B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関し、より詳しくは、定着時におけるオフセット防止技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子写真プロセスにより形成され所定の電荷を有するトナー像を静電的に記録シート上に転写し、加熱ロールと加圧ロールとのニップ部分を通過させることによりその記録シート上に定着させる画像形成装置が広く知られている。また、定着の際にトナー像を形成するトナーの一部が加熱ロールに付着する静電オフセット現象、定着直前でトナー像を形成するトナーの一部が搬送方向とは逆向きに吹き飛ばされる現状(以下、「トナー飛散現象」という)などを防止するために、転写後かつ定着前の記録シートにトナー像とは逆極性の電荷を与え、記録シートとトナー像との静電的吸着力を高めることが行われている。
【0003】
このような静電的吸着力を高める方法としては、例えば加熱ロールや加圧ロールにバイアス電圧を印加したり、特公平6−90555号公報に提案されているように転写後かつ定着前の搬送経路上の押し圧コロや搬送ガイドにバイアス電圧を印加するなど記録シートとトナー像との静電的吸着力を高める電界を生じさせるものが存在する。なお、特公平6−90555号公報には、より確実にトナー像を記録シート上に保持するため、バイアス電圧値を湿度の変化や記録シートの厚みに応じて変更する技術も提案されている。
【0004】
しかし、このような電界を生じさせることで静電オフセット現象やトナー飛散現象を防止することはできるが、これとは別に剥離オフセット現象が発生するおそれが高まる。この剥離オフセット現象とは、記録シートの搬送方向後端が加熱ロールと加圧ロールとのニップ部分を通過する際に、記録シートに与えられた(トナー像とは逆極性の)電荷が局所的に加熱ロール側に崩落し、後続の記録シートとトナー像との静電吸着力を弱め、後続のトナー像を構成するトナーの一部が加熱ロールに付着する現象をいう。
【0005】
このような剥離オフセット現象を防止するため、特開平6−110350号公報には、加圧ロール表面を導電性材料にて、その内側層の一部を絶縁性材料にてそれぞれ構成し、加熱ロール側からトナー像と同極性のバイアス電圧を印加する定着装置が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら特公平6−90555号公報、特開平6−110350号公報に記載の技術では、いずれも各種の画像形成条件に無関係なタイミングでトナー像を記録シート上に吸着させる電界を発生させている。したがって、例えば連続して画像形成を行なう際には定着装置に搬送される記録シート間隔に対応する時間、加熱ロールと加圧ロールとは互いにバイアス電圧が印加された状態で直接接触しており、両ロールの表面を劣化させてしまうおそれがある。
【0007】
また、特開平6−110350号公報に記載の技術では、各種の画像形成条件に無関係に一定のバイアス電圧を印加している。したがって、ある条件においては印加されるバイアス電圧が過剰であり、加圧ロールの構成を工夫しても剥離オフセット現象を防止しきれなかったり、不必要に両ロールの表面を劣化させてしまうおそれがある。また、他の条件においては印加されるバイアス電圧が不足して、効果的に静電オフセット現象やトナー飛散現象を防止することができないおそれもある。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー像と記録シートとの静電的吸着力を画像形成条件に応じて適切に保つとともに、できるだけ定着回転体の劣化や剥離オフセット現象を防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、電子写真プロセスにより画像担持体上に形成されるトナー像を記録シート上に転写する転写手段と、互いに圧接して回転する一対の定着回転体を備え当該一対の定着回転体の圧接部分に当該記録シートを通過させることにより当該転写後の記録シート上のトナー像を定着させる定着手段と、当該一対の定着回転体に対して所定のバイアス電圧を印加して転写後かつ定着終了までのトナー像を記録シート上に吸着させる電界を発生する帯電手段と、画像形成条件に基づいて当該帯電手段による電界発生のタイミングを制御する制御手段とを備える画像形成装置において、前記帯電手段は、前記記録シートが前記圧接部を脱してから、少なくとも前記定着回転体が一回転する時間、定着時のバイアス電圧とは逆極性のバイアス電圧を印加するものである。
【0010】
画像形成装置をこのように構成することにより、画像形成条件に応じて電界の発生タイミングを制御するため、必要な時だけ電界が得られ、トナー像と記録シートとの静電的吸着力を保つとともに、できるだけ定着回転体の劣化を防止することができる。
【0011】
ここで、電子写真プロセスとは公知の帯電、露光、現像等のプロセスをいう。また、画像担持体とはその表面上にトナー画像を一時的に担持するものをいい、感光体から直接トナー像が記録シートに転写されるタイプの画像形成装置においてはその感光体を、感光体上のトナー像が一端中間転写体上に(一次)転写され、さらに記録シートに(二次)転写されるタイプの画像形成装置においてはその中間転写体をいう。また、これら感光体、中間転写体の形状は、ロール状のものでも無端ベルト状のものでもよい。
【0012】
転写手段は、この画像担持体上のトナー像を記録シートに静電的に転写するものであり、先の中間転写体を用いるタイプの画像形成装置においては二次転写を行なうものである。この転写手段の具体的構成としては、例えば転写コロトロンを画像担持体に近接して設ける構成や、転写ロールを画像担持体に接触させて設ける構成を挙げることができる。
【0013】
定着手段は、記録シート上のトナー像をその記録シートに熱や圧力の作用により定着させるものであり、例えば、互いに圧接して回転する一対の定着回転体を備え当該一対の定着回転体の圧接部分に当該記録シートを通過させることにより定着を行なうものである。この定着回転体の形状は、ロール状のものでも無端ベルト状のものでもよい。また、この定着回転体の表面は、例えば、PFA、PTFE等のフッ素樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴム、等により構成される。これらのうち、特に劣化しやすいPFA、PTFE等のフッ素樹脂チューブによりその表面が構成されている定着回転体に本発明を適用すれば、より効果的にその劣化を防止することができる。
【0014】
帯電手段は、転写後かつ定着終了までのトナー像を記録シート上に吸着させる電界を発生させるものである。その具体的な構成としては、例えば、転写手段から定着手段までの記録シートの搬送経路に設けられる搬送ガイドの全部又は一部を導電性材料により構成しその搬送ガイドに対して所定電圧を印加するもの、また、定着手段が互いに圧接して回転する一対の定着回転体を備え当該一対の定着回転体の圧接部分に当該記録シートを通過させることにより当該転写後の記録シート上のトナー像を定着させるものの場合には、当該一対の定着回転体に対して所定電圧を印加するものなどが挙げられる。
【0015】
制御手段は、画像形成条件に基づいて当該帯電手段による電界の発生タイミングを制御するものである。電界の発生タイミングのより具体的な制御方法としては、例えば、上述のように搬送ガイドに所定電圧を印加する場合や定着回転体に対して所定電圧を印加する場合には、その所定電圧の印加を開始、停止するそれぞれのタイミングを制御することにより行なわれる。また、この制御手段は各画像形成時における画像形成条件を検知する必要があるが、その検知は例えば、画像形成装置の主制御装置、記録シートの搬送経路上に存在するレジロール、転写手段などにより行なうことができる。
【0016】
なお、画像形成条件の具体的内容については発明の実施による態様の欄において詳述するが、その条件には記録シートが定着されるタイミングを含むものでもよい。
【0017】
また本発明は、電子写真プロセスにより画像担持体上に形成されるトナー像を記録シート上に転写する転写手段と、互いに圧接して回転する一対の定着回転体を備え当該一対の定着回転体の圧接部分に当該記録シートを通過させることにより当該転写後の記録シート上のトナー像を定着させる定着手段と、当該一対の定着回転体に対して所定電圧を印加して転写後かつ定着終了までのトナー像を記録シート上に吸着させる電界を発生する帯電手段とを備える画像形成装置において、画像形成条件に基づいて当該帯電手段による電界の強さ又は電界の発生タイミングを制御する制御手段を有し、該制御手段は、電界の強さを経時的に変化させるものである。
【0018】
画像形成装置をこのように構成することで、画像形成条件に応じて電界の強さを制御するため、必要な強さの電界が得られ、トナー像と記録シートとの静電的吸着力を保つとともに、できるだけ定着回転体の劣化を防止することができる。
【0019】
電界の強さのより具体的な制御方法としては、例えば、上述のように搬送ガイドに所定電圧を印加する場合や定着回転体に対して所定電圧を印加する場合には、その所定電圧の絶対値の大きさを制御することにより行なわれる。
【0020】
また、上記制御手段は、画像形成条件に基づいて当該帯電手段による電界の発生タイミングを制御するものでもよい。
【0021】
画像形成装置をこのように構成することにより、画像形成条件に応じて電界の発生タイミングを制御するため、必要な時だけ電界が得られ、トナー像と記録シートとの静電的吸着力を一層保つとともに、さらに定着回転体の劣化を防止することができる。
【0022】
さらに、上記一対の定着回転体の表面の電気抵抗が互いに異なるものでもよい。
【0023】
画像形成装置をこのように構成することにより、電界の発生を停止した際に、電気抵抗の比較的高い定着回転体から電気抵抗の比較的低い定着回転体を介して記録シート上の不要な電荷が速やかに放電され、剥離オフセットを一層効果的に防止することができる。
【0024】
また上記制御手段は、記録シートの定着後に少なくとも定着回転体の一回転する時間、それまでに印加していたバイアス電圧とは逆極性のバイアス電圧を印加することもできる。
【0025】
【発明の実施による態様】
以下、添付図面を適宜参照しながら本発明の実施による態様を説明する。
【0026】
◎実施態様1
図1は、本発明の一の実施態様に係る小型レーザビームプリンタ装置の概略を示す側断面図である。このプリンタ装置の外観は、プリンタ筐体1と給紙トレイ2とから構成されている。そして、プリンタ筐体1内部の感光体ドラム3の周囲には、帯電ロール4、レーザビームユニット(ROS)51、現像ユニット5、転写ロール6、クリーナ8がそれぞれ配設されており、これらから記録シート搬送方向の下流側に定着ユニット7が配設されている。なお、これらのうち感光体ドラム3、帯電ロール4、現像ユニット5、転写ロール6、クリーナ8はプリントカートリッジ10として一体化され、プリンタ筐体1に設けられたフロントカバー1aを手前(紙面左方向)に引き開けることにより、容易に交換し得るように構成されている。
【0027】
また、給紙トレイ2内にはピックアップロール20、給紙ロール21、リタードロール22、ボトムアッププレート23がそれぞれ配設されている。さらに、この給紙トレイ2からプリンタ筐体1の排紙トレイ1bまでの搬送系を形成する機器として、搬送ロール対90a〜d、レジロール対91などが配設されている。
【0028】
このようなプリンタにおける画像形成動作を簡単に説明する。まず、感光体ドラム3の表面が帯電ロール4により一様電位にされる。そして、例えばパーソナルコンピュータ等からの画像形成命令に応じてレーザビームユニット51からレーザー光が感光体ドラム3表面に照射され、レーザ露光により感光体ドラム表面には電位差による潜像が形成される。そして、その潜像を電位差に基づいて現像ユニット5により帯電しているトナーを静電的に付着させ、トナー像T(顕像)を形成する。
【0029】
一方、給紙トレイ2内に収容される記録シートPは、ボトムプレート23によりピックアップロール20に付勢され、その回転と共に給紙ロール21とリタードロール22との間に達する。ここでこれら両ロール21、22の摩擦作用により記録シートPは、一枚ずつ分離されて下流の搬送ロール90aにより挟持搬送され、レジロール対91へと達する。
【0030】
ここで、トナー像Tが感光体ドラム3の回転と共に転写ロールと対峙する位置(転写位置)に達するタイミングに合わせて、記録シートPがその転写位置へ搬送されるようにレジロール対91が回転する。そして、転写位置において感光体ドラム3上のトナー像Tが記録シートPに圧接されるとともに、転写ロール6から印加される転写バイアス電圧により帯電しているトナー像Tは記録シートPへと静電的に転移する。
【0031】
さらに、この記録シートP上に転移されたトナー像Tは記録シートPと共に搬送され、定着ユニット7により熱と圧力との作用により定着され、永久像となる。そして、さらにそのトナー像Tによる永久像を保持した記録シートPは搬送ロール対90b〜dにより搬送され、プリンタ筐体1上部に設けられた排紙トレイ1b内に収容される。なお、トナー像Tが転写された後の感光体ドラム3はクリーナ8によりその表面がクリーニングされ、次の画像形成に備える。
【0032】
図2は、転写位置から定着ユニット7までの構成をより詳細に説明するものである。ここで、図中点線は記録シートPの搬送経路を示している。その搬送経路に沿って、搬送ガイド部材92、93がそれぞれ配設されている。定着ユニット7の主要部は加熱ロール71及び加圧ロール72である。
【0033】
加熱ロール71は中空状のアルミによりその基材が構成されており、その中空部には熱源としてハロゲンランプ70が配設されている。また、その中空状のアルミは整流器73を介して接地されている。さらに、その加熱ロール71の表面は絶縁性のPFAチューブを被覆してある。この加熱ロール71の表面電気抵抗は、1.0×1013〔Ω〕以上であり、特に好ましくは1.0×1015〔Ω〕以上である。
【0034】
一方、加圧ロール72は中空状のアルミによりその基材が構成されており、その外周にはシリコンゴムなどの耐熱性を有する弾性層が形成されている。さらにその弾性層の外側には導電性のPFAチューブが被覆してある。この加圧ロール72の表面には導電性のブラシ74を介して制御回路76により制御されたバイアス電圧が電源75から印加される。この加圧ロール72の表面電気抵抗は、1.0×102〔Ω〕〜1.0×1012〔Ω〕であり、特に好ましくは1.0×102〔Ω〕〜1.0×107〔Ω〕である。
【0035】
また、この実施態様に係る画像形成装置では、トナーは−(マイナス)に帯電しており、転写ロール6により記録シートPの非画像面側から+(プラス)電荷が注入され、これら両電荷に作用する静電力によりトナー像Tは記録シートPに吸着している。
【0036】
図3は、本実施態様に係る画像形成装置のバイアス電圧制御の制御系をブロック図を用いて説明するものである。ここで制御回路76には電源75から一定のバイアス電圧が印加されている。一方制御回路76には、レジロール対91、転写ロール6、画像形成装置の主制御装置からの画像形成条件を示す信号が送信される。そして、制御回路77はこれら画像形成条件に基づいて所定の大きさのバイアス電圧を所定のタイミングで加圧ロール72の表面72sに印加する。
【0037】
図4、図6はそれぞれ記録シートPが加熱ロール71と加圧ロール72との圧設部分内に存在するタイミングと制御回路77が加圧ロール72の表面72sに印加するバイアス電圧の印加タイミングとその絶対値の大きさとを示すグラフである。ここではその搬送方向長さが異なる記録シートA、Bが搬送される場合を示している。
【0038】
ここで、印加するバイアス電圧の絶対値の大きさは、転写後の記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力の大きさと加熱ロール71、加圧ロール72の劣化や剥離オフセット現象との兼ね合いを考慮して制御される。すなわち、転写後の記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が不足する場合において、静電オフセット現象やトナー飛散現象などを防止するためには、静電吸着力を補うように比較的大きな絶対値のバイアス電圧を印加する必要がある。一方、転写後の記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分である場合において、加熱ロール71や加圧ロール72の劣化をできるだけ少なくしたり剥離オフセット現象を防止するためには、過大な電荷を記録シートPの非画像面に注入しないように比較的小さな絶対値のバイアス電圧を印加する必要がある。
【0039】
また、バイアス電圧を印加するタイミングも、転写後の記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力の大きさと加熱ロール71、加圧ロール72の劣化との兼ね合いを考慮して制御される。すなわち、転写後の記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が不足する場合において、静電オフセット現象やトナー飛散現象を防止するためには、静電吸着力を補うように比較的長時間バイアス電圧を印加し続ける必要がある。一方、転写後の記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分である場合において、加熱ロール71や加圧ロール72の劣化をできるだけ少なくしたり剥離オフセット現象を防止するためには、過剰な電荷を記録シートPの非画像面に注入しないように比較的短時間バイアス電圧を印加する必要がある。
【0040】
以下、これら図4、図6に示す各態様を実施例1〜5として説明する。
【0041】
○実施例1
図4(a)(b)は実施例1に係るバイアス電圧制御を示すものである。制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0042】
その画像形成条件に基づいて転写後の記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力が十分な条件であると判断する場合には、連続して搬送される記録シートA及び記録シートBが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達するt1前から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後t2後まで、制御回路76は(加熱ロール71や加圧ロール72の劣化の防止、剥離オフセット現象の防止を重視して)加圧ロール表面72sに比較的絶対値が小さいバイアス電圧VL を印加する(図4(a))。
【0043】
一方、その画像形成条件が転写後の記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力が不足しがちな条件であると判断する場合には、連続して搬送される記録シートA及び記録シートBが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達するt1前から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後t2後まで、制御回路76は(記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力の確保を重視して)加圧ロール表面72sに比較的絶対値が大きいバイアス電圧VH を印加する(図4(b))。つまり、これらのバイアス電圧Vの関係は|VL|<|VH|である。
【0044】
ここで、バイアス電圧VL、VHはいずれもその画像形成条件において、転写後の記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力を十分に確保しつつ、加熱ロール71や加圧ロール72の劣化をできるだけ少なくしたり剥離オフセット現象をできるだけ防止する値であり、予め実験的に求めて設定しておく。なお、これらバイアス電圧VL、VHの差、すなわちΔV(=|VH−VL|)は、非連続
な値をとることも可能であるが、よりきめの細かい制御を行なう観点からは画像形成条件に応じて連続的な値をとることが好ましい。つまり印加するバイアス電圧Vは画像形成条件に応じて連続的に変更可能であることが好ましい。
【0045】
また、転写後の記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力を重視すべきか否か(言い換えれば、加熱ロール71や加圧ロール72の劣化や剥離オフセット現象を重視すべきか否か)は、画像形成条件に基づいて制御回路76が判断しているが、この画像形成条件としては例えば、次のようなものを挙げることができる。
【0046】
転写後の記録シートPとトナー像Tとの関係により一般的に静電オフセットやトナー飛散現象が発生しやすい画像形成条件としては、▲1▼高温、高湿度環境、▲2▼低温低湿環境、▲3▼記録シートの厚さが厚い、▲4▼記録シートの含水率が高い、▲5▼記録シートの電気抵抗が高い、▲6▼記録シートの搬送速度が速い、などを挙げることができる。
【0047】
逆に、転写後の記録シートPとトナー像Tとの関係により一般的に静電オフセットやトナー飛散現象が発生しずらい画像形成条件としては、▲1▼記録シートの厚さが薄い、▲2▼記録シートの含水率が低い、▲3▼記録シートの電気抵抗が低い、▲4▼記録シートの搬送速度が遅い、などを挙げることができる。
【0048】
なお、これらの画像形成条件の検知は周知の技術により適宜行なうことができる。例えば、温度、湿度はプリンタ筐体1内に設置される温度センサ、湿度センサにより検知するこができるし、転写ロール6に印加する電圧と電流との関係からこれらを間接的に検知することもできる。また、記録シートの搬送速度は一定の場合、可変の場合ともそれらは一般に主制御装置に予め設定されているため、特に特別なセンサを設けることなくこれを検知することができる。
【0049】
記録シートPの厚さは、レジロール対91や感光体ドラム3と転写ロール6が記録シートPを挟持している状態での物理的な位置関係により検知することもできるし、レジロール対91や感光体ドラム3と転写ロール6が記録シートPを挟持している状態でこれらに印加する電圧と電流との関係から間接的に検知することもできる。
【0050】
さらに、記録シートの含水率や電気抵抗値はレジロール対91や感光体ドラム3と転写ロール6が記録シートPを挟持している状態でこれらに印加する電圧と電流との関係から間接的に検知することができる。
【0051】
図5は、記録シートPの搬送速度(プロセススピード)と印加するバイアス電圧との関係を示したグラフである。このグラフにおいて、横軸は画像形成条件の一例として転写後かつ定着前の記録シートPの搬送速度を〔mm/sec〕の単位で、縦軸はその際に加圧ロール表面72sに印加すべきバイアス電圧の値を〔V〕の単位でそれぞれ示したものである。例えば、記録シートPの搬送速度が130〔mm/sec〕の場合には、印加すべきバイアス電圧の値VLは、250〔V〕である(図5中のP1)。一方、記録シートPの搬送速度がそれよりも速い175〔mm/sec〕の場合には、印加すべきバイアス電圧の値VHは、350〔V〕である(図5中のP2)。
【0052】
○実施例2
図4(c)は実施例2に係るバイアス電圧制御を示すものである。この実施例2は、実施例1を改良したものであり、その改良点は各記録シートA、B毎に印加するバイアス電圧の大きさを変更自在にした点にある。制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの各記録シートA、B毎の画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0053】
まず記録シートAに対する画像形成条件に基づいて転写後の記録シートAとトナー像Tとの静電吸着力が十分な条件であると判断し、搬送される記録シートAが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達するt1前から記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を通過した後t3後まで、制御回路76は(加熱ロール71や加圧ロール72の劣化の防止、剥離オフセット現象の防止を重視して)加圧ロール表面72sにバイアス電圧VL を印加する(図4(c))。
【0054】
次に、記録シートBに対する画像形成条件に基づいて転写後の記録シートBとトナー像Tとの静電吸着力が不足しがちな条件であると判断し、搬送される記録シートBが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を通過した後t3後から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後t2後まで、制御回路76は(記録シートBとトナー像Tとの静電吸着力の確保を重視して)加圧ロール表面72sにバイアス電圧VH を印加する(図4(c))。
【0055】
なお、バイアス電圧Vの大きさの決定方法、検知する画像形成条件、検知の方法については実施例1で説明したものと同様であるのでその説明は省略する。また、画像形成条件によっては記録シートAの定着時にバイアス電圧VHを、記録シートBの定着時にバイアス電圧VLを印加することもある。
【0056】
○実施例3
図4(d)は実施例3に係るバイアス電圧制御を示すものである。この実施例3は、実施例1を改良したものであり、その改良点はバイアス電圧の立ち上がり及び立下りを経時的に行なう点にある。制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0057】
その画像形成条件により記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分か否かを判断し、その判断結果に基づいて印加すべきバイアス電圧Vの大きさを決定する。
【0058】
そして連続して搬送される記録シートAと記録シートBとが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達するt1前から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後t2後まで、制御回路76は加圧ロール表面72sに一定のバイアス電圧Vを印加する。これに加えて、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達するT1前からt1前までの間に(t1<T1)、制御回路76はバイアス電圧を0からVまで徐々に上昇させる。一方、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後、t2後からT2後までの間に(t2<T2)、制御回路76はバイアス電圧をVから0まで徐々に下降させる。
【0059】
ここで、図4(d)ではバイアス電圧は直線的に上昇及び下降しているが、これに限らず曲線的に上昇、下降するものでもよいし、段階的に上昇、下降するものでも良い。また、上昇、下降に要する時間(T1−t1、T2−t2)は印加するバイアス電圧の値などにより適当な値を決定すべきであるが、記録シートP上のトナー像Tを急激なバイアス電圧の変化で乱さないためには、0.03〜0.4〔sec〕程度が好ましい。
【0060】
なお、バイアス電圧Vの大きさの決定方法、検知する画像形成条件、検知の方法については実施例1で説明したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0061】
○実施例4
図6(a)〜(c)は実施例4に係るバイアス電圧制御を示すものである。実施例1〜3においては、バイアス電圧印加の開始タイミング、停止タイミングはそれぞれ記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達するt1前、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後t2後としている。一方、実施例4においては、バイアス電圧印加の開始タイミング、停止タイミングを各記録シートA、Bが圧接部分に存在するタイミングに同期させている。
【0062】
すなわち、この実施例では、バイアス電圧印加の開始タイミング、停止タイミングを各記録シートA、Bが圧接部分に存在するタイミングに同期させることにより、不必要なバイアス電圧Vの印加をできるだけ短時間に制限している。
【0063】
まず、制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0064】
その画像形成条件により記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分か否かを判断し、その判断結果に基づいてバイアス電圧Vの印加タイミング(Δt1A、Δt2A、Δt1B、Δt2B)を決定する。
【0065】
記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が標準的であると判断する場合には、制御回路76は、Δt1A≒0、Δt2A≒0、Δt1B≒0、Δt2B≒0を設定する。この場合のバイアス電圧Vの印加タイミングを図6(a)に示す。この図に示すように、記録シートAの搬送方向先端が加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に達すると同時にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を脱すると同時にバイアス電圧Vの印加を停止する。また、記録シートBの搬送方向先端が圧接部分に達すると同時にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱すると同時にバイアス電圧Vの印加を停止する。
【0066】
ここで、記録シートA、Bの搬送方向後端が圧接部分を脱すると同時にバイアス電圧Vの印加を停止するため、その際各記録シートA、Bの搬送方向後端部に発生し剥離オフセット現象の原因となる電荷を、電気抵抗の比較的低い加圧ロール72の表面72sから逃すことができる。
【0067】
記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が不十分であると判断する場合には、制御回路76は(記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力の確保を重視して)Δt1A>0、Δt2A>0、Δt1B>0、Δt2B>0を設定する。この場合のバイアス電圧Vの印加タイミングを図6(b)に示す。この図に示すように、記録シートAの搬送方向先端が加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に達する微小時間前にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を脱する微小時間Δt2A後にバイアス電圧Vの印加を停止する。また、記録シートBの搬送方向先端が圧接部分に達する微小時間Δt1B前にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱する微小時間Δt2B後にバイアス電圧Vの印加を停止する。
【0068】
記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分であると判断する場合には、制御回路76は(加熱ロール71や加圧ロール72の劣化の防止、剥離オフセット現象の防止を重視して)Δt1A<0、Δt2A<0、Δt1B<0、Δt2B<0を設定する。この場合のバイアス電圧Vの印加タイミングを図6(c)に示す。この図に示すように、記録シートAの搬送方向先端が加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に達する微小時間|Δt1A|後にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を脱する微小時間|Δt2A|前にバイアス電圧Vの印加を停止する。また、記録シートBの搬送方向先端が圧接部分に達する微小時間|Δt1B|後にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱する微小時間|Δt2B|前にバイアス電圧Vの印加を停止する。
【0069】
ここで、微小時間Δt1A、Δt2A、Δt1B、Δt2Bの絶対値の大きさは、固定されていてもよいが、よりきめの細かいバイアス電圧制御を行なうためには画像形成条件に応じて可変とすることが好ましく、さらに連続的に変更することが好ましい。
【0070】
一般に、微小時間Δt1A、Δt2A、Δt1B、Δt2Bの絶対値の大きさは、記録シートPがおよそ10〜15〔mm〕搬送される以内の時間に設定することができる。特に、加熱ロール71や加圧ロール72の劣化の防止や剥離オフセット現象の防止を重視すべき画像形成条件の場合に、微小時間Δt1A、Δt2A、Δt1B、Δt2B(<0)の絶対値の大きさを、記録シートPの端からその画像領域までの距離、例えば記録シートPがおよそ4〔mm〕搬送される以内の時間に設定すれば、記録シート前端や後端で記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が不足しても、その領域にはトナー(像)が存在しないため、静電オフセット現象やトナー飛散現象が発生しにくく好適である。
【0071】
なお、バイアス電圧V(VH、VL)の決定方法、検知する画像形成条件、検知の方法については実施例1で説明したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0072】
○実施例5
図6(d)は実施例5に係るバイアス電圧制御を示すものである。実施例5は、実施例4の改良に係るものである。すなわち、実施例4では記録シートA、Bの搬送方向後端が圧接部分を脱すると同時にバイアス電圧Vの印加を停止し、その際各記録シートA、Bの搬送方向後端部に発生し剥離オフセット現象の原因となる電荷を、電気抵抗の比較的低い加圧ロール72の表面72sから逃し、剥離オフセット現象を防止している。
【0073】
一方、実施例5では、これに加えて、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱してからt4後にそれまでの印加バイアス極性とは逆極性のバイアス電圧(−V)を時間Tlだけ印加する。ここで、時間Tlとは、少なくとも加熱ロール71が一回転する時間である。すなわち、記録シートBの搬送方向後端部に発生し剥離オフセット現象の原因となる電荷(この実施例ではプラス電荷)が万一、加熱ロール71に転移しても、それまでの印加バイアス極性とは逆極性のバイアス電圧(−V:この実施例ではマイナス極性)を加熱ロール71の一周分以上、加圧ロール表面72sを介して印加するため、その剥離オフセット現象の原因となる電荷は積極的にキャンセルされる。また、逆極性のバイアスを印加することにより、ロール上のトナーを電気的にクリーニングすることもできる。
【0074】
なお、バイアス電圧Vの大きさの決定方法、検知する画像形成条件、検知の方法については実施例1で説明したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0075】
以上、実施態様1の各実施例1〜5を説明したが、これらの実施例を組み合わせてバイアス電圧の制御を行なうことが可能であることは勿論である。
【0076】
◎実施態様2
本実施態様は、実施態様1と同じく小型レーザビームプリンタ装置に係るものであり、プリンタ装置全体の説明は省略する。
【0077】
図7は、本実施態様に係るプリンタの転写位置から定着ユニット7までの構成をより詳細に説明するものである。ここで、図中点線は記録シートPの搬送経路を示している。その搬送経路に沿って、搬送ガイド部材92、93がそれぞれ配設されている。定着ユニット7の主要部は加熱ロール71及び加圧ロール72である。
【0078】
この搬送ガイド部材92、93はいずれも転写後の記録シートPが図中点線で示す適切な搬送経路を経て定着ユニット7に達するようにガイドするものである。特に、搬送ガイド部材93は、定着ユニット7の加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分の近傍に配設され、記録シートPの先端がその圧接部分に達するようにガイドしている。なお、この搬送ガイド部材93は導電性材料で構成することができ、その電気抵抗は1.0×1012〔Ω〕以下程度のものを使用することができる。
【0079】
図8は、本実施態様に係る画像形成装置のバイアス電圧制御の制御系をブロック図を用いて説明するものである。ここで制御回路76には電源75から一定のバイアス電圧が印加されている。一方制御回路76には、レジロール対91、転写ロール6、画像形成装置の主制御装置からの画像形成条件を示す信号が送信される。そして、制御回路77はこれら画像形成条件に基づいて所定の大きさのバイアス電圧を所定のタイミングで搬送ガイド部材93に印加する。
【0080】
図9、図10はそれぞれ記録シートPが加熱ロール71と加圧ロール72との圧設部分内に存在するタイミングと制御回路77が搬送ガイド部材93に印加するバイアス電圧Vの印加タイミングとの絶対値の大きさとを示すグラフである。なお、図4と図9、図6と図10との相違は、実施態様2におけるバイアス電圧Vの各印加タイミングは実施態様1におけるそらよりも一律に時間tdだけ早くなっている点にある。この時間tdは、記録シートA、Bが搬送ガイド部材93から加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分まで搬送されるのに要する時間に対応している。
【0081】
以下、これら図9、図10に示す各態様を実施例1〜5として説明する。
【0082】
○実施例1
図9(a)(b)は実施例1に係るバイアス電圧制御を示すものである。制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0083】
その画像形成条件に基づいて転写後の記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力が十分な条件であると判断する場合には、連続して搬送される記録シートA及び記録シートBが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達する(td+t1)前から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後(−td+t2)後まで、制御回路76は(加熱ロール71や加圧ロール72の劣化の防止、剥離オフセット現象の防止を重視して)加圧ロール表面72sに比較的絶対値が小さいバイアス電圧VL を印加する(図9(a))。
【0084】
一方、その画像形成条件が転写後の記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力が不足しがちな条件であると判断する場合には、連続して搬送される記録シートA及び記録シートBが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達する(td+t1)前から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後(−td+t2)後まで、制御回路76は(記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力の確保を重視して)加圧ロール表面72sに比較的絶対値が大きいバイアス電圧VH を印加する(図9(b))。つまり、これらのバイアス電圧Vの関係は|VL|<|VH|である。
【0085】
○実施例2
図9(c)は実施例2に係るバイアス電圧制御を示すものである。この実施例2は、実施例1を改良したものであり、その改良点は各記録シートA、B毎に印加するバイアス電圧の大きさを変更自在にした点にある。制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの各記録シートA、B毎の画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0086】
まず記録シートAに対する画像形成条件に基づいて転写後の記録シートAとトナー像Tとの静電吸着力が十分な条件であると判断し、搬送される記録シートAが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達する(td+t1)前から記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を通過した後(−td+t3)後まで、制御回路76は(加熱ロール71や加圧ロール72の劣化の防止、剥離オフセット現象の防止を重視して)加圧ロール表面72sにバイアス電圧VL を印加する(図9(c))。
【0087】
次に、記録シートBに対する画像形成条件に基づいて転写後の記録シートBとトナー像Tとの静電吸着力が不足しがちな条件であると判断し、搬送される記録シートBが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を通過した後(−td+t3)後から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後(−td+t2)後まで、制御回路76は(記録シートBとトナー像Tとの静電吸着力の確保を重視して)加圧ロール表面72sにバイアス電圧VH を印加する(図9(c))。
【0088】
なお、画像形成条件によっては記録シートAの定着時にバイアス電圧VHを、記録シートBの定着時にバイアス電圧VLを印加することもある。
【0089】
○実施例3
図9(d)は実施例3に係るバイアス電圧制御を示すものである。この実施例3は、実施例1を改良したものであり、その改良点はバイアス電圧の立ち上がり及び立下りを経時的に行なう点にある。制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0090】
その画像形成条件により記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分か否かを判断し、その判断結果に基づいて印加すべきバイアス電圧Vの大きさを決定する。
【0091】
そして連続して搬送される記録シートAと記録シートBとが加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に存在する間、すなわち、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達する(td+t1)前から記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後(−td+t2)後まで、制御回路76は加圧ロール表面72sに一定のバイアス電圧Vを印加する。これに加えて、記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達する(td+T1)前から(td+t1)前までの間に(t1<T1)、制御回路76はバイアス電圧を0からVまで徐々に上昇させる。一方、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後、(−td+t2)後から(−td+T2)後までの間に(t2<T2)、制御回路76はバイアス電圧をVから0まで徐々に下降させる。
【0092】
○実施例4
図10(a)〜(c)は実施例4に係るバイアス電圧制御を示すものである。実施例1〜3においては、バイアス電圧印加の開始タイミング、停止タイミングはそれぞれ記録シートAの搬送方向先端が圧接部分に達する(td+t1)前、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を通過した後(−td+t2)後としている。一方、実施例4においては、バイアス電圧印加の開始タイミング、停止タイミングを各記録シートA、Bが圧接部分に存在するタイミングに同期させている。
【0093】
すなわち、この実施例では、バイアス電圧印加の開始タイミング、停止タイミングを各記録シートA、Bが圧接部分に存在するタイミングに同期させることにより、不必要なバイアス電圧Vの印加をできるだけ短時間に制限している。
【0094】
まず、制御回路76は、レジロール対91、転写ロール6、主制御装置からの画像形成条件を示す信号を受信し、その画像形成条件を判断する。
【0095】
その画像形成条件により記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分か否かを判断し、その判断結果に基づいてバイアス電圧Vの印加タイミング(Δt1A、Δt2A、Δt1B、Δt2B)を決定する。
【0096】
記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が標準的であると判断する場合には、制御回路76は、Δt1A≒0、Δt2A≒0、Δt1B≒0、Δt2B≒0を設定する。この場合のバイアス電圧Vの印加タイミングを図10(a)に示す。この図に示すように、記録シートAの搬送方向先端が加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に達するtd前にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を脱するtd前にバイアス電圧Vの印加を停止する。また、記録シートBの搬送方向先端が圧接部分に達するtd前にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱するtd前にバイアス電圧Vの印加を停止する。
【0097】
記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が不十分であると判断する場合には、制御回路76は(記録シートA、Bとトナー像Tとの静電吸着力の確保を重視して)Δt1A>0、Δt2A>0、Δt1B>0、Δt2B>0を設定する。この場合のバイアス電圧Vの印加タイミングを図10(b)に示す。この図に示すように、記録シートAの搬送方向先端が加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に達する(td+Δt1A)前にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を脱する(−td+Δt2A)後にバイアス電圧Vの印加を停止する。また、記録シートBの搬送方向先端が圧接部分に達する(td+Δt1B)前にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱する(−td+Δt2B)後にバイアス電圧Vの印加を停止する。
【0098】
記録シートPとトナー像Tとの静電吸着力が十分であると判断する場合には、制御回路76は(加熱ロール71や加圧ロール72の劣化の防止、剥離オフセット現象の防止を重視して)Δt1A<0、Δt2A<0、Δt1B<0、Δt2B<0を設定する。この場合のバイアス電圧Vの印加タイミングを図10(c)に示す。この図に示すように、記録シートAの搬送方向先端が加熱ロール71と加圧ロール72との圧接部分に達する(−td+|Δt1A|)後にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートAの搬送方向後端が圧接部分を脱する(td+|Δt2A|)前にバイアス電圧Vの印加を停止する。また、記録シートBの搬送方向先端が圧接部分に達する(−td+|Δt2B|)後にバイアス電圧Vの印加を開始し、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱する(td+|Δt2A|)前にバイアス電圧Vの印加を停止する。
【0099】
○実施例5
図10(d)は実施例5に係るバイアス電圧制御を示すものである。実施例5は、実施例4の改良に係るものである。すなわち、実施例4では記録シートA、Bの搬送方向後端が圧接部分を脱する約td前にバイアス電圧Vの印加を停止し、その際各記録シートA、Bの搬送方向後端部に発生し剥離オフセット現象の原因となる電荷を、電気抵抗の比較的低い加圧ロール72の表面72sから逃し、剥離オフセット現象を防止している。
【0100】
一方、実施例5では、これに加えて、記録シートBの搬送方向後端が圧接部分を脱してから(−td+t4)後にそれまでの印加バイアス極性とは逆極性のバイアス電圧(−V)を時間Tlだけ印加する。
【0101】
以上、実施態様2の各実施例1〜5を説明したが、これらの実施例を組み合わせてバイアス電圧の制御を行なうことが可能であることは勿論である。なお、バイアス電圧Vの大きさの決定方法、検知する画像形成条件、検知の方法、各記号の意味については実施態様1で説明したものと同様であるのでその説明は省略する。
【0102】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、トナー像と記録シートとの静電的吸着力を画像形成条件に応じて適切に保つとともに、できるだけ定着回転体の劣化や剥離オフセット現象を防止することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施態様に係るプリンタ装置の断面を示すものである。
【図2】図2は、本発明の実施態様1に係るプリンタ装置の転写位置から定着ユニットまでを詳細に説明するものである。
【図3】図3は、本発明の実施態様1に係るプリンタ装置のバイアス電圧の制御系をブロック図を用いて説明するものである。
【図4】図4は、本発明の実施態様1に係るプリンタ装置のバイアス電圧制御の実施例を説明するタイミングチャートである。
【図5】図5は、記録シートの搬送速度とバイアス電圧の大きさとの関係を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施態様1に係るプリンタ装置のバイアス電圧制御の他の実施例を説明するタイミングチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施態様2に係るプリンタ装置の転写位置から定着ユニットまでを詳細に説明するものである。
【図8】図8は、本発明の実施態様2に係るプリンタ装置のバイアス電圧の制御系をブロック図を用いて説明するものである。
【図9】図9は、本発明の実施態様2に係るプリンタ装置のバイアス電圧制御の実施例を説明するタイミングチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施態様2に係るプリンタ装置のバイアス電圧制御の他の実施例を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
3…感光体ドラム、6…転写ロール、71…加熱ロール、72…加圧ロール、75…電源、76…制御回路、93…搬送ガイド部材
Claims (1)
- 電子写真プロセスにより画像担持体上に形成されるトナー像を記録シート上に転写する転写手段と、互いに圧接して回転する一対の定着回転体を備え当該一対の定着回転体の圧接部分に当該記録シートを通過させることにより当該転写後の記録シート上のトナー像を定着させる定着手段と、当該一対の定着回転体に対して所定のバイアス電圧を印加して転写後かつ定着終了までのトナー像を記録シート上に吸着させる電界を発生する帯電手段と、画像形成条件に基づいて当該帯電手段による電界発生のタイミングを制御する制御手段とを備える画像形成装置において、
前記帯電手段は、前記記録シートが前記圧接部を脱してから、少なくとも前記定着回転体が一回転する時間、定着時のバイアス電圧とは逆極性のバイアス電圧を印加することを特徴とする画像形成装置。
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