JP3952904B2 - 電気接続箱 - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気接続箱に関し、詳しくは、自動車用の電気接続箱に収容したバスバーに電線端末の端子をボルト締め固定するために、バスバーの裏面側のナット受け部にナットをモールドしているものにおいて、ナット受け部を補強してボルト締結時にナット受け部に損傷が発生しないようにするものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、特開２００１−５２７７２号において、図６に示す端子の取付構造が提供されている。この電気接続箱１では、ケース２の外壁より取付部２ａを突設し、該取付部２ａの内部にスタッドボルト３を予めモールド固定しておき、電源ｗの端末のＬＡ端子４のボルト孔４ａをスタッドボルト３に通し、ナット５を締め付けて締結している。なお、図示されていないが、上記取付部２ａ内にスタッドボルト３と接続したバスバーを収容し、該バスバーをケース２内部に突出させて内部回路と接続させている。
【０００３】
また、図７および図８に示す電気接続箱１’では、ケース２’の内部でバスバーと電源線とをボルト締め接続するため、ケース２’にナット受け部２ｂ’を一体的に成形し、バスバー６の一端をナット受け部２ｂ’の上面へと延在させ、該ナット受け部２ｂ’にナット５をモールドしている。バスバー６の一端をナット５の上面に配置して、バスバー６に設けたボルト孔をナット５と位置あわせし、電源線ｗの端末に圧着したＬＡ端子４をバスバー６の上面に当接させ、ボルト７をＬＡ端子のボルト孔とバスバーのボルト孔を通してナット５に締め付け固定している。
上記ナット受け部２ｂ’は、その上壁部の中央に上記ナット５を貫通した状態で埋設し、該上壁周縁より周壁２ｄ’を下向きに屈曲させて延在している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
前記図６に示す前記構造では、ケースの外部に取付部を突設するためケース外形が大となる問題があると共に、スタッドボルト３にナット４を締結するとき、その締結力を取付部２ａで支持する必要があるが、その支持強度が弱いと取付部２ａに破損が発生する恐れがある。
【０００５】
また、図７および図８に示す後記構造では、電源線とバスバーとの接続部をケース内部に設定しているため、ケースの大型化等を解消できるが、ナット受け部２ｂ’の周壁２ｄ’の一部は、隣接する外壁とバスバー６の挿通用空隙Ｓをあけるため薄肉部Ｘとなっている。よって、ボルト締め作業の際にナット５に加わる強いトルクがナット受け部２ｂ’の薄肉部Ｘに負荷され破損が生じる恐れがあり、前記図６に示す従来例と同様に支持強度の点で問題がある。
【０００６】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、図７乃至図９の構造を採用すると共に、ナット受け部の補強を図り、ボルト締め時のトルク負荷に耐え得るようにすることを課題としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、電線端末に接続したＬ型端子とボルト締め接続するバスバーの先端部をケースに設けたナット受け部の上面に配置し、該ナット受け部に予めモールドしているナットに、上記Ｌ型端子と回路用バスバーのボルト孔に通したボルトを締結している電気接続箱において、
上記ナット受け部の一側より下向きに屈曲する周壁に沿って、上記回路用バスバーのボルト締結面の一側より下向きに屈曲する垂直部を挿通させると共に、上記ナット受け部の周壁と上記回路用バスバーの垂直部との間に補強兼放熱用バスバーを差し込み配置していることを特徴とする電気接続箱を提供している。
【０００８】
上記回路用バスバーはケース受け部の周壁とケース外壁との間の狭い通路に挿通させており、該回路用バスバーとケース受け部の周壁に補強兼放熱用バスバーとを差し込むと、回路用バスバーと補強兼放熱用バスバーとは密着した状態となる。よって、バスバーの放熱を図れると共に、ケース受け部の周壁にも密着するため周壁を補強でき、ボルト締結時に周壁に締付力が負荷されても周壁に破損が生じることを確実に防止できる。
また、補強兼放熱用バスバーを差し込めは良いため、ケースの構造を変える必要はなく、ケースの金型を新規起工するコスト増を防止できる。
【０００９】
上記回路用バスバーおよび補強兼放熱用バスバーの下端部を屈曲させ、該屈曲部をボルト結合して固着すると、両者の密着を確保でき、回路用バスバーの放熱効果を高めることが出来ると共に、補強兼放熱用バスバー自体をナット受け部の周壁に沿わせた位置に固定できる。
【００１０】
また、上記回路用バスバーをコ字形状、上記補強兼放熱用バスバーをＵ形状とし、上記回路用バスバーと補強兼放熱用バスバーの底部をボルト結合すると共に、上記補強兼放熱用バスバーの他側垂直部を上記ナット受け部の他側周壁に沿わせて補強してもよい。
【００１１】
上記のように補強用放熱用バスバーをＵ形状として長くすると放熱効果をより高めることができ、かつ、その両側をナット受け部の両側の周壁に沿わせて補強すると、ナット受け部の支持強度をより高めることができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図１乃至図５を参照して説明する。
ジャンクションボックスからなる電気接続箱１０は、ケース１１の上面にヒューズ収容部１２、リレー収容部１３を設けていると共に、隅部の１つの電源線接続部Ａを設け、ケース本体１１内に収容している回路用バスバー１４と電源線ｗとをボルト１５とナット１６とで締結固定している。ケース１１にはロアカバー１７とアッパーカバー１８を被せてロック結合している。
【００１３】
電源線接続部Ａでは、ケース１１の四角形状の外周壁１１ａの隅部の１つにナット受け部２０を一体成形で設けている。ナット受け部２０は図２〜図５に示すように、四角枠部２０ａに囲まれた上面部２０ｂの中央を貫通差せた状態でナット１６をモールドしている。上記ケース外周壁１１ａと回路用バスバー１４の配索通路Ｓをあけて対向する位置に、ケース受け部２０の上面部２０ｂの外辺より下向きに屈折する周壁２０ｃが位置し、周壁２０ｃのナット１６を囲む上部が局部的に薄肉部Ｘとなっている。上面部２０ｂの他辺からも下向きに屈折する周壁２０ｄを設けて、ナット１６をモールドした上面部２０ｂを支持している。
【００１４】
電源接続部Ａで電源線ｗと接続する回路用バスバー１４は図４に示すようにコ字形状で、水平方向の上部１４ａをナット受け部２０の上面部２０ａに載置し、穿設したボルト孔１４ｂをナット１６と位置合わせして配置している。該上部１４ａの一端から下向きに屈折する垂直部１４ｃを上記ケース受け部２０の周壁２０ｃと外周壁１１ａの間の空間Ｓを通し、水平方向に屈曲した下部１４ｄを周壁２０ｃ、２０ｄの下面に沿わせている。
【００１５】
上記回路用バスバー１４とナット受け部の周壁２０ｃとの間にＵ形状とした補強兼放熱用バスバー２２の一方側の垂直部２２ａを差し込み、該垂直部２２ａの内面を周壁２０ｃの上部薄肉部Ｘを含む全長に亙って当接させると共に、外面を回路用バスバー１４に当接させている。
【００１６】
また、補強兼放熱用バスバー２２の底部２２ｂを回路用バスバー１４の下部１４ｂに重ねると共に、回路用バスバー１４と接続する他の回路バスバー２４を重ねてボルト２５とナット２６とで締結固定している。このナット２６もナット受け部２０の周壁２０ｃと２０ｄとの連結した下面部２０ｅにモールドしている。
さらに、補強兼放熱用バスバー２２の他方側の垂直部２２ｃはナット受け部２０の周壁２０ｄの外面に当接させて配置している。
【００１７】
図５に示すように、電源線ｗの端末に圧着するＬＡ端子４０は従来例のＬＡ端子と同一形状でＬ形状に屈折し、垂直方向の電線圧着部４０ａの上端より電気接触部４０ｂが水平方向に屈曲し、該電気接触部４０ｂにボルト孔４０ｃを設けている。
【００１８】
電気接続箱１０の回路用バスバー１４に電源線ｗを接続する作業は、図１および図５に示すように、電源線ｗに接続したＬＡ端子４０の電線圧着部４０ａを周壁２０ｃと直交方向の周壁に沿わせ、電気接触部４０ｂをナット受け部２０の上面部２０ａ上の露出している回路用バスバー１４の上部１４ａ上に重ねてセットする。このセット状態でＬＡ端子４０のボルト孔４０ｃを回路用バスバーのボルト孔１４ｂとナット１６のネジ孔と一致させる。
【００１９】
ついで、上方よりボルト１５をワッシャ１７を介してボルト孔４０ｃ、１４ｂを通してナット１６にねじ込んで、ＬＡ端子４０と回路用バスバー１４とを締結固定している。
【００２０】
このボルト１５を回転してナット１６にネジ込む作業時に、ナット１６を支持したナット受け部２０に荷重が負荷され、特に、ナット１６の外周の薄肉部Ｘに破損が生じる恐れがある。しかしながら、薄肉部Ｘの外面に補強兼放熱用バスバー２２が当接されて補強され、さらに、この補強兼放熱用バスバー２２の外面が回路用バスバー１４と当接して補強用放熱用バスバー２２自体も補強されているため、薄肉部Ｘが補強され、破損が生じる恐れはない。
【００２１】
さらに、電源線ｗと接続されて過熱しやすい回路用バスバー１４も補強兼放熱用バスバー２２と接触されることにより、過熱を抑制することができる。
【００２２】
本発明は上記実施形態に限定されず、補強兼放熱用バスバー２２をナット受け部の周壁２０ｃと回路用バスバー１４の間に差し込み、周壁２０ｃの薄肉部Ｘに当接して補強すれば良く、補強兼放熱用バスバー２２と回路用バスバー１４とは必ずしもボルト結合する必要はない。また、補強兼放熱用バスバーをＵ形状としてナット受け部の薄肉部が無い他の周壁を補強しなくとも良いが、該バスバーを延在させることにより放熱効果を高めることができる。
【００２３】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の電気接続箱では、電源線端末のＬＡ端子とバスバーとをボルト締め固定するため、ナットをモールドしているケースのナット受け部を補強兼放熱用バスバーで補強しているため、該ナット受け部の周壁に薄肉部があっても、ボルト締め時に薄肉部で破損が生じることを確実に防止することができる。
【００２４】
また、上記補強兼放熱用バスバーを電源線と接続する回路用バスバーに接触させていることより、該回路用バスバーの過熱抑制を図ることができる。
【００２５】
さらに、ナット受け部を補強する補強兼放熱用バスバーは、ナット受け部の周壁と回路用バスバーの間に差し挟むだけの構成であるため、ナット受け部の強度が高い構成となるようにケースを変更する必要はない。その結果、ケース作成用の金型の新規起工が必要でなく、コスト増を招くことはない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施形態の電気接続箱の平面図である。
【図２】 要部拡大図である。
【図３】 Ｉ−Ｉ線断面図である。
【図４】 図３の要部断面図である。
【図５】 図４と直交方向の断面図である。
【図６】 従来の電気接続箱の斜視図である。
【図７】 従来の他の電気接続箱を示す平面図である。
【図８】 図７の一部拡大図である。
【符号の説明】
１０ 電気接続箱
１１ ケース
１１ａ 外周壁
１４ 回路用バスバー
１４ｂ ボルト孔
１５ ボルト
１６ ナット
２０ ナット受け部
２０ｂ 上面部
２０ｃ 周壁
２２ 補強兼放熱用バスバー
Ａ 電源接続部
Ｓ 空間
Ｘ 薄肉部
ｗ 電源線

Claims (3)

  1. 電線端末に接続したＬ型端子とボルト締め接続するバスバーの先端部をケースに設けたナット受け部の上面に配置し、該ナット受け部に予めモールドしているナットに、上記Ｌ型端子と回路用バスバーのボルト孔に通したボルトを締結している電気接続箱において、
    上記ナット受け部の一側より下向きに屈曲する周壁に沿って、上記回路用バスバーのボルト締結面の一側より下向きに屈曲する垂直部を挿通させると共に、上記ナット受け部の周壁と上記回路用バスバーの垂直部との間に補強兼放熱用バスバーを差し込み配置していることを特徴とする電気接続箱。
  2. 上記回路用バスバーおよび補強兼放熱用バスバーの下端部を屈曲させ、該屈曲部をボルト結合して固着している請求項１に記載の電気接続箱。
  3. 上記回路用バスバーをコ字形状、上記補強兼放熱用バスバーをＵ形状とし、上記回路用バスバーと補強兼放熱用バスバーの底部をボルト結合すると共に、上記補強兼放熱用バスバーの他側垂直部を上記ナット受け部の他側周壁に沿わせて補強している請求項１または請求項２に記載の電気接続箱。
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