JP3949396B2 - コルゲートチューブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばワイヤハーネス(電線束)等に被せるコルゲートチューブに関し、詳しくは、コルゲートチューブの軸線方向に沿って設けられたスリットの一方の端縁に突設したラップ部を他方の端縁の内周側に重ねるオーバーラップ型のコルゲートチューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子機器の送配電線や自動車のワイヤハーネス等の集束や保護の為に使用されるコルゲートチューブは、樹脂製のチューブの外周に螺旋状又は環状の突条部を連続形成し、蛇腹状に形成することで屈曲性を付与したものである。
そして、このワイヤハーネス等を保護するコルゲートチューブには、ワイヤハーネスをコルゲートチューブ内に出し入れし易いように、軸線方向に沿ってスリットが設けられている。
【0003】
ところが、このようなコルゲートチューブが配索経路に沿って屈曲されると、屈曲部中央付近において前記スリットが部分的に開いてしまい、収容したワイヤーハーネス等が開口部からはみ出して収容に支障を来すばかりか、スリットを挟む端縁のエッジにワイヤハーネスが噛み込まれ、絶縁被覆が損傷する虞もある。そこで、通常はコルゲートチューブの外周面に絶縁テープを巻き付けることで、スリットの開きを防止していたが、このテープ巻作業に手間がかかるという問題があった。
【0004】
このようなコルゲートチューブの問題を解決するものとして、屈曲時においてもスリットが開いて開口部が形成されることのないオーバーラップ型のコルゲートチューブが種々提案されている。
図7及び図8に示したオーバーラップ型のコルゲートチューブ1は、チューブ本体3の軸線方向に沿って設けられたスリット5を挟む一方の端縁に突設された板状のラップ部8が、他方の端縁の内周側に重ねられて、屈曲時にも中のワイヤーハーネスWが露見しないようにしたものであり、テープ巻作業が不要となる。
【0005】
更に、前記コルゲートチューブ1は、他方の端縁の内周側に重ねられるラップ部8が板状であり、その先端縁が軸線方向に沿った直線状である。
そこで、スリット5を拡開してワイヤハーネスWを収容する際、ワイヤハーネスWがラップ部8の先端縁に引っ掛かり難く、ハーネス収容作業をスムーズに行える。又、コルゲートチューブ1の内周側に重ねられたラップ部8の先端縁が、収容されたワイヤハーネスWの絶縁被覆を傷つける虞もない。
【0006】
そして、上述の如きコルゲートチューブ1を形成する際には、先ず、内面に所定の成形用金型面を形成した筒状金型内に、ダイスからのチューブ状溶融樹脂を押出し、このチューブ内に内側から空気圧をかけるか、或いは外側から真空にひいて、チューブ状溶融樹脂に前記成形用金型面の凹凸部を転写することで、長尺状のチューブ本体3を連続的に形成する。
そこで、前記チューブ本体3には、軸線方向に沿って延びる板状部7と、該板状部7を除いた外周面に膨出形成された円弧状の突条部10を軸線方向に沿って連続形成した蛇腹状部9とが一体成形される。
【0007】
次に、前記板状部7の軸線方向に沿って直線状のスリット5を切込み形成することにより、図8に示したように、該スリット5を挟む一方の端縁に板状のラップ部8を突設する。
そして、前記ラップ部8が他方の端縁の内周側に重なるようにして前記チューブ本体3を加熱成形することで、図9に示したようなオーバーラップ型のコルゲートチューブ1が形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如きコルゲートチューブ1は、前記ラップ部8が板状に形成されると共に、スリット5を挟んで対向する前記突条部10の周方向端部にはそれぞれ端壁12,14が形成されてしまう。
そこで、前記コルゲートチューブ1を配索経路に沿って屈曲する際、蛇腹状でなく板状に形成された前記ラップ部8は曲がり難く、コルゲートチューブ1自体が曲がり難くなるので、配索作業に支障を来す可能性があるという問題があった。
【0009】
特に、図10に示したように、前記ラップ部8が内側になる方向(図10中、下方に凸の屈曲方向)にコルゲートチューブ1を屈曲させようとすると、屈曲方向に平行で剛性の高い前記端壁12,14と共に前記ラップ部8が突っ張り、コルゲートチューブ1は可撓性が良くない。
【0010】
又、前記ラップ部8が他方の端縁の内周側に重なるオーバーラップ型の前記コルゲートチューブ1は、スリット5を拡開してワイヤハーネスWを収容する際、ラップ部8ごと大きく拡開しなければならず、ワイヤハーネスWの収容作業に手間が掛かるという問題がある。
【0011】
従って、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、板状のラップ部を備えながら可撓性を向上させると共にワイヤハーネス等を容易に収容することができる良好なコルゲートチューブを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、チューブ本体の軸線方向に沿って延びる板状部と、該板状部を除いた外周面に膨出形成された円弧状の突条部を軸線方向に沿って連続形成した蛇腹状部とを一体成形した後、前記板状部の軸線方向に沿ってスリットを設けることにより、該スリットを挟む一方の端縁に突設された板状のラップ部が、他方の端縁の内周側に重ねられるコルゲートチューブであって、
前記ラップ部が、周方向に沿って切込み形成した複数の切込みスリットにより、軸線方向に沿って併設された複数のラップ片から成り、前記切込みスリットが、前記突条部に対応して切込み形成されると共に、該突条部の周方向端部における端壁に達せられることを特徴とするコルゲートチューブにより達成される。
【0013】
上記構成によれば、板状のラップ部が、切込みスリットにより併設された複数のラップ片から成るので、軸線方向に沿った曲げ剛性が低下し、曲げ方向の応力に対して変形し易くなる。
そこで、チューブ本体のラップ部は、コルゲートチューブを屈曲させようとする際にも突っ張ることがなく、コルゲートチューブの可撓性が向上する。
【0014】
また、前記各ラップ片は、軸線方向に沿って延びる従来のラップ部に比べて撓み易く、且つそれぞれ独立して撓むことができる。
そこで、スリットを拡開してワイヤハーネス等をコルゲートチューブ内に収容する際には、ハーネス収容作業をスムーズに行える。
【0015】
また、前記切込みスリットが、前記突条部に対応して切込み形成されると共に、該突条部の周方向端部における端壁に達せられる。この場合、前記切込みスリットが、前記突条部に対応して切込み形成されるので、剛性が低下して幅方向の応力に対して変形し易くなる。そこで、チューブ本体が屈曲される際には、ラップ部の曲げに対する逃げを各突条部の周方向端部にも確保することができ、板状のラップ部を備えたコルゲートチューブの可撓性を更に向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係るコルゲートチューブを詳細に説明する。
図1乃至図3に示したように、本第1実施形態におけるコルゲートチューブ21は、チューブ本体23の軸線方向に沿って設けられたスリット25を挟む一方の端縁に突設された板状のラップ部28が、他方の端縁の内周側に重ねられて、屈曲時にも中のワイヤーハーネスが露見しないようにするものである。
【0017】
前記チューブ本体23には、図1に示したように、軸線方向に沿って延びる板状部27と、該板状部27を除いた外周面に膨出形成された円弧状の突条部30を軸線方向に沿って連続形成した蛇腹状部29とが一体成形された後、前記板状部27の軸線方向に沿ってスリット25を設けることにより、該スリット25を挟む一方の端縁に板状のラップ部28が突設される。
但し、図1乃至図2に図示したコルゲートチューブ21は、前記ラップ部28が他方の端縁の内周側に重なるようにして前記チューブ本体23を加熱成形する前の状態であり、最終的には図3に示したように、前記ラップ部28が他方の端縁の内周側に重ねられる。
【0018】
更に、前記ラップ部28は、チューブ本体23の周方向に沿って切込み形成した複数の切込みスリット35により、軸線方向に沿って併設された複数のラップ片28aから成る。
又、本実施形態におけるコルゲートチューブ21は、前記スリット25を挟んで対向する前記各突条部30の周方向端部における一方(図3中、左方)の端壁が切除されて開口36が形成されている。
【0019】
そこで、本第1実施形態のコルゲートチューブ21によれば、前記ラップ部28が内側になる方向(図4中、下方に凸の屈曲方向)にコルゲートチューブ21を屈曲させる際も、切込みスリット35により併設された複数のラップ片28aから成る該ラップ部28は、軸線方向に沿った曲げ剛性が低下し、曲げ方向の応力に対して変形し易い。
即ち、前記チューブ本体23のラップ部28は、コルゲートチューブ21を屈曲させようとする際にも突っ張ることがなく、コルゲートチューブ21の可撓性が向上する。
【0020】
更に、前記ラップ部28が内周側に重ねられる他方の端縁における前記突条部30の周方向端部は、図1及び図3に示したように、端壁が切除されて開口36が形成されているので、該突条部30の幅方向の応力に対して天壁30a等が変形し易い。
即ち、屈曲方向に平行で剛性の高い前記端壁が削除されることで、前記突条部30の周方向端部における剛性が低下して変形し易くなっており、本第1実施形態のコルゲートチューブ21は、上述した複数のラップ片28aから成るラップ部28との相乗効果により更に可撓性が向上している。
【0021】
又、前記複数のラップ片28aから成るラップ部28は、軸線方向に沿って延びる従来のラップ部8に比べて撓み易く、且つそれぞれラップ片28aが独立して撓むことができる。
そこで、スリット25を拡開してワイヤハーネス等をコルゲートチューブ21内に収容する際には、ワイヤハーネス等が順次挿入される部分のラップ片28aのみが独立して撓み、他の部分のラップ片28aを撓ませる必要がないので、ハーネス挿入力が小さくて済み、ハーネス収容作業をスムーズに行える。
【0022】
即ち、オーバーラップ型の上記コルゲートチューブ21は、図1に示したように、ラップ部28が板状であり、その先端縁が軸線方向に沿った直線状である。そこで、スリット25を拡開して図示しないワイヤハーネスを収容する際、ワイヤハーネスがラップ部28の先端縁(各ラップ片28aの先端縁)に引っ掛かり難く、ハーネス収容作業をスムーズに行える。又、コルゲートチューブ21の内周側に重ねられた各ラップ片28aの先端縁が、収容されたワイヤハーネスの絶縁被覆を傷つける虞もない。更に、スリット25の開きを防止するテープ巻作業も必要ない。
その上、前記コルゲートチューブ21を配索経路に沿って屈曲する際には、コルゲートチューブ21自体が曲がり易く、配索作業が容易となる。
【0023】
尚、上記実施形態においては、チューブ本体23の周方向に沿って切込み形成される前記切込みスリット35が、それぞれ突条部30,30の間に対応する位置に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、切込みスリットの形成位置、スリット本数及びスリット長さ等は、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは言うまでもない。
【0024】
図5及び図6は、本発明の第2実施形態におけるコルゲートチューブ41の要部拡大斜視図及び部分横断面図である。
本実施形態のコルゲートチューブ41は、図5に示したように、チューブ本体23の軸線方向に沿って延びる板状のラップ部48の周方向に沿って切込み形成した複数の切込みスリット45の形成位置が異なる以外は、上記第1実施形態のコルゲートチューブ21と同様の構成である。
【0025】
即ち、本実施形態のコルゲートチューブ41によれば、図5及び図6に示したように、チューブ本体23の軸線方向に沿って延びるラップ部48の周方向に沿って切込み形成される前記切込みスリット45が、前記各突条部30に対応して切込み形成されると共に、該突条部30の周方向端部における端壁34に達せられている。
【0026】
そこで、本第2実施形態のコルゲートチューブ41によれば、前記切込みスリット45により併設された複数のラップ片48aから成るラップ部48が、曲げ方向の応力に対して変形し易くなると共に、端壁34が切込みスリット45により切り欠かれた各突条部30の周方向端部も、剛性が低下して幅方向の応力に対して変形し易くなる。
【0027】
そして、前記チューブ本体23が屈曲される際には、ラップ部48の曲げに対する逃げを、切り欠かれた各突条部30の周方向端部にも確保することができ、板状のラップ部48を備えた前記コルゲートチューブ41の可撓性を更に向上させることができる。
尚、本発明のコルゲートチューブにおける突条部及びラップ部等の構成は、上記各実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうることは云うまでもない。
【0028】
【発明の効果】
上述した如き本発明のコルゲートチューブによれば、板状のラップ部が、切込みスリットにより併設された複数のラップ片から成り、切込みスリットが突条部に対応して切込み形成されると共に、該突条部の周方向端部における端壁に達せられるので、軸線方向に沿った曲げ剛性が低下し、曲げ方向の応力に対して変形し易くなる。そこで、チューブ本体のラップ部は、コルゲートチューブを屈曲させようとする際にも突っ張ることがなく、コルゲートチューブの可撓性が向上する。
【0029】
また、前記各ラップ片は、軸線方向に沿って延びる従来のラップ部に比べて撓み易く、且つそれぞれ独立して撓むことができる。
そこで、スリットを拡開してワイヤハーネス等をコルゲートチューブ内に収容する際には、ハーネス収容作業をスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるコルゲートチューブの部分斜視図である。
【図2】図1に示したコルゲートチューブの要部拡大斜視図である。
【図3】図1に示したコルゲートチューブの要部拡大横断面図である。
【図4】図3におけるIV-IV 断面矢視図であり、(a)はコルゲートチューブが真っ直ぐな状態を示し、(b)はコルゲートチューブを屈曲させた状態を示す。
【図5】本発明の第2実施形態におけるコルゲートチューブの要部拡大斜視図である。
【図6】図5に示したコルゲートチューブの要部拡大横断面図である。
【図7】従来のコルゲートチューブの使用状態を示す部分斜視図である。
【図8】図7に示したコルゲートチューブの部分斜視図である。
【図9】図7に示したコルゲートチューブの要部拡大横断面図である。
【図10】図9におけるX-X 断面矢視図であり、(a)はコルゲートチューブが真っ直ぐな状態を示し、(b)はコルゲートチューブを屈曲させた状態を示す。
【符号の説明】
21 コルゲートチューブ
23 チューブ本体
25 スリット
27 板状部
28 ラップ部
28a ラップ片
29 蛇腹状部
30 突状部
35 切込みスリット
Claims (1)
- チューブ本体の軸線方向に沿って延びる板状部と、該板状部を除いた外周面に膨出形成された円弧状の突条部を軸線方向に沿って連続形成した蛇腹状部とを一体成形した後、前記板状部の軸線方向に沿ってスリットを設けることにより、該スリットを挟む一方の端縁に突設された板状のラップ部が、他方の端縁の内周側に重ねられるコルゲートチューブであって、
前記ラップ部が、周方向に沿って切込み形成した複数の切込みスリットにより、軸線方向に沿って併設された複数のラップ片から成り、前記切込みスリットが、前記突条部に対応して切込み形成されると共に、該突条部の周方向端部における端壁に達せられることを特徴とするコルゲートチューブ。
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