JP3945113B2 - 光ビームによるはんだ付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品のはんだ付けなどに非接触加熱源として使用される光ビーム加熱装置を用いた、はんだ付け方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ビーム加熱装置と糸はんだを用いて、電子部品をはんだ付けする場合について、その構成とはんだ付け方法について説明する。
【0003】
図3は従来のはんだ付け装置の構成を示すもので、(a)は装置の概要を示し、(b)ははんだ付け部を示すものである。図3において、1は発光源(図示せず)から出力される光エネルギーを伝達する光ファイバ、2は集光レンズ、3は集光レンズより出射されたビーム、4はビームエネルギー密度の一番高いジャストフォーカスの部分、4aおよび4bはジャストフォーカスから少し離れたビームエネルギー密度が低いデフォーカスの部分、5は糸はんだ送り装置、6は糸はんだ、7はプリント基板、8はディスクリート部品のリード、9はプリント基板のはんだ付けされるランド、10ははんだ付け後に形成されるはんだフィレットである。
【0004】
この従来のはんだ付け方法における、はんだ付け手順としては、まず集光レンズ2より出射されたビーム3により、プリント基板7のランド9およびディスクリート部品のリード8を、糸はんだ6が溶融する温度にまで加熱しておき、次に糸はんだ送り装置5によって、糸はんだ6をプリント基板7のランド9にはんだフィレット10が形成される量を供給する。さらに最適なはんだフィレット10になるよう、糸はんだ送り装置5のはんだ供給を停止して、ビーム3のみにより加熱する。
【0005】
この時留意することは、プリント基板7のランド9周囲の基材を、集光レンズ2より出射されたビーム3により焼損しないよう、ビーム3のジャストフォーカス4の直径は、プリント基板7のランド9の直径よりも少し小さくする必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の糸はんだによる、光ビーム加熱装置と糸はんだを用いて電子部品をはんだ付けする方法では、ビーム3のジャストフォーカス4の直径は、プリント基板7のランド9の直径よりも少し小さくする必要があるため、ランド9の局所のみが加熱され酸化が加速されるために、はんだ付け時におけるはんだの広がりが悪くはんだ付け品質の不具合が発生することがあった。
【0007】
特に、近年の環境に対する意識の高まりにより、はんだ合金に含まれている鉛を排除した、鉛フリーはんだの使用が多くなりつつあることから、はんだ溶融温度が、従来の鉛入りはんだ183℃融点から鉛フリーはんだ220℃程度まで上昇することにより、糸はんだ供給されるまでのランドの局所のみが加熱される時間が長くなり、さらに酸化が加速されることになる。
【0008】
まだ、鉛フリーのため、プリント基板7のランド9においても、はんだレベラもしくははんだメッキをしない銅生地のランドが増加しており、この場合、ランド表面の酸化はさらに激しくなり、品質は悪化してはんだ付けはさらに困難になる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、プリント基板7のランド9の酸化を防止して、はんだ付け品質の向上をおこない、さらに、鉛フリーによるはんだ付けにも対応できる、光ビームによるはんだ付け方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明第1の手段は、光ビーム加熱機の焦点を、まずデフォーカスした状態にてはんだ付け部およびその周囲を加熱するとともに、はんだレベラを形成するために必要なはんだ材料を供給して、はんだレベラを作成してはんだ材料の送給を停止し、次にジャストフォーカスした状態にて、はんだ付け部を加熱すると同時に、はんだ材料をはんだフィレット形成可能な量まで供給開始し、その後、ジャストフォーカスした状態のままではんだ材料の送給を停止してはんだフィレットを形成するものである。
【0011】
このことにより、プリント基板のランドが銅生地(俗に赤目状態と呼ばれる)の場合糸はんだを供給するまでの加熱において、集光レンズより出射されたビームのジャストフォーカスではなくデフォーカス位置を使用することによりプリント基板のランドの周囲をも加熱し全体の温度上昇を図るとともに、プリント基板のランドにはんだレベラが形成できるだけの糸はんだを、糸はんだ送り装置により供給し、プリント基板のランドの酸化を完全に防止することにより、さらにはんだ付け品質の向上をおこなうものである。
【0012】
本発明第2の手段は、はんだ材料を供給してはんだ付けをおこなった後、再び出射されたビームのジャストフォーカスではなくデフォーカス位置を使用することによりプリント基板のランドの周囲をも加熱し、ランドの周囲に広がったフラックス残渣を加熱し、余分なフラックス成分を加熱除去することによってはんだ付け後の導電体間の絶縁抵抗をより向上して、プリント基板全体の品質向上をおこなうものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記はんだ付け方法により、本発明は、糸はんだを供給するまでの加熱において、集光レンズより出射されたビームのジャストフォーカスではなくデフォーカス位置を使用することによりプリント基板のランドの周囲をも加熱し全体の温度上昇を図ることにより、ランドの局部の酸化を防止できる作用を有する。
【0014】
そして、本発明は、プリント基板のランドが銅生地の場合、糸はんだを供給するまでの加熱において、集光レンズより出射されたビームのジャストフォーカスではなく、デフォーカス位置を使用することによりプリント基板のランドの周囲をも加熱し全体の温度上昇を図るとともに、プリント基板のランドにはんだレベラが形成できるだけの糸はんだを、糸はんだ送り装置により供給することによって、プリント基板のランドの酸化を完全に防止することが可能になり、さらにはんだ付け品質の向上ができるという作用を有する。
【0015】
さらに、本発明は、糸はんだを供給してはんだ付けをおこなった後、再び出射されたビームのジャストフォーカスではなく、デフォーカス位置を使用することによりプリント基板のランドの周囲をも加熱し、ランドの周囲に広がったフラックス残渣を加熱し、余分なフラックス成分を加熱除去することによって、はんだ付け後の導電体間の絶縁抵抗を向上することが可能になり、プリント基板全体の品質向上ができるという作用を有する。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の要部を示すものである。なお、装置全体の概略構成図は、図3に示した従来の糸はんだ付け装置の概略構成図と同様の構成なのでその説明を割愛する。
【0018】
以下、本実施の形態1の動作について説明する。図1(a)はビーム3のデフォーカス位置(4b)の状態を示し、図1(b)はビーム3のジャストフォーカス位置4の状態を示す。
【0019】
まず、図1(a)では、集光レンズ2よりでたビーム3のプリント基板7に当る位置は、プリント基板7を焼損しないエネルギー密度で最初デフォーカス位置4bにセットされ、プリント基板7のランド9の周囲およびディスクリート部品のリード8に照射され、ワーク全体の温度をはんだ付け可能な状態にまで加熱する。
【0020】
次に、図1(b)の集光レンズ2よりでたビーム3のプリント基板7に当る位置は、ビーム3のジャストフォーカス4の位置の状態になると同時に、糸はんだ送り装置5によって、糸はんだ6をプリント基板7のランド9にはんだフィレット10が形成される量を供給する。さらに最適なはんだフィレット10になるよう、糸はんだ送り装置5のはんだ供給を停止して、ビーム3のみにより加熱する。
【0021】
(実施の形態2)
次に、図2は本発明の実施の形態2の要部を示すものである。なお、装置全体の概略構成図は、図3に示した従来の糸はんだ付け装置の概略構成図と同様の構成なのでその説明を割愛する。
【0022】
以下、本実施の形態2の動作について説明する。図2(a)はビーム3のデフォーカス位置4bの状態を示し、図2(b)はビーム3のジャストフォーカス位置4の状態を示す。
【0023】
まず、図2(a)では、集光レンズ2よりでたビーム3のプリント基板7に当る位置は、プリント基板7を焼損しないエネルギー密度で最初デフォーカス位置4bにセットされ、プリント基板7のランド9の周囲およびディスクリート部品のリード8に照射され、ワーク全体の温度をはんだ付け可能な状態にまで加熱する。
【0024】
この状態において、糸はんだ送り装置5によって、糸はんだ6をプリント基板7のランド9にはんだレベラ11が形成されるだけの量を供給し糸はんだ送り装置5のはんだ供給を停止する。
【0025】
次に、図2(b)の集光レンズ2よりでたビーム3のプリント基板7に当る位置は、ビーム3のジャストフォーカス4の位置の状態になると同時に、糸はんだ送り装置5によって、糸はんだ6をプリント基板7のランド9にはんだフィレット10が形成される量を供給する。さらに最適なはんだフィレット10になるよう、糸はんだ送り装置5のはんだ供給を停止して、ビーム3のみにより加熱する。
【0026】
(実施の形態3)
図1を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。なお、装置全体の概略構成図は、図3に示した従来の糸はんだ付け装置の概略構成図と同様の構成なのでその説明を割愛する。
【0027】
まず、図1(a)では、集光レンズ2よりでたビーム3のプリント基板7に当る位置は、プリント基板7を焼損しないエネルギー密度で最初デフォーカス位置4bにセットされ、プリント基板7のランド9の周囲およびディスクリート部品のリード8に照射され、ワーク全体の温度をはんだ付け可能な状態にまで加熱する。
【0028】
次に、図1(b)の集光レンズ2よりでたビーム3のプリント基板7に当る位置は、ビーム3のジャストフォーカス4の位置の状態になると同時に、糸はんだ送り装置5によって、糸はんだ6をプリント基板7のランド9にはんだフィレット10が形成される量を供給する。さらに最適なはんだフィレット10になるよう、糸はんだ送り装置5のはんだ供給を停止する。そして再度、図1(a)に戻り、集光レンズ2よりでたビーム3のプリント基板7に当る位置は、プリント基板7を焼損しないエネルギー密度で最初デフォーカス位置4bにセットし、プリント基板7のランド9の周囲およびディスクリート部品のリード8に照射され、ワーク全体をしながらランド9の周囲に広がったフラックス12を加熱し不要なフラックス成分を加熱除去する。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ランドの周囲のプリント基板全体を加熱することにより、従来の方法のように糸はんだが供給されるまで、ランドの局部のみ加熱しランドのみの酸化を加速することがないため、はんだの広がりをよくすることが可能となり、はんだ付け品質の向上が得られる優れた効果を奏するものである。
【0030】
また、本発明によれば、ランドの周囲のプリント基板全体を加熱することにより、従来の方法のように糸はんだが供給されるまで、ランドの局部のみ加熱しランドのみの酸化を加速することがないため、はんだの広がりをよくすることが可能となり、はんだ付け品質の向上が得られるのみならず、はんだフィレット形成後に再度ランドの周囲のプリント基板全体を加熱することにより、ランドの周囲のプリント基板に広がった、余分なフラックス残渣を加熱除去することができるため、はんだ付け後の導電体間の絶縁抵抗をより向上し、プリント基板全体の品質向上させる、優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1および3におけるはんだ付け装置の要部構成図
【図2】本発明の実施の形態2におけるはんだ付け装置の要部構成図
【図3】(a)従来のはんだ付け装置の概略構成図
(b)同装置の要部構成図
【符号の説明】
1 光ファイバー
2 集光レンズ
3 ビーム
4 ジャストフォーカス
4a デフォーカス
4b デフォーカス
5 糸はんだ送り装置
6 糸はんだ
7 プリント基板
8 ディスクリート部品リード
9 ランド
10 フィレット
11 レベラ
12 フラックス
Claims (2)
- 光を集光し、ある局部を加熱することが可能な光ビーム加熱機を使用したはんだ付けにおいて、前記光ビーム加熱機の焦点を、まずデフォーカスした状態にてはんだ付け部およびその周囲を加熱するとともに、はんだレベラを形成するために必要なはんだ材料を供給して、はんだレベラを作成してはんだ材料の送給を停止し、次にジャストフォーカスした状態にて、はんだ付け部を加熱すると同時に、はんだ材料をはんだフィレット形成可能な量まで供給開始し、その後、ジャストフォーカスした状態のままではんだ材料の送給を停止してはんだフィレットを形成する光ビームによるはんだ付け方法。
- はんだフィレットを形成したのち再度、デフォーカスした状態にてはんだ付け部およびその周囲を加熱し、不要なフラックス残渣を光ビーム加熱により除去する請求項1記載の光ビームによるはんだ付け方法。
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