JP3925775B2 - 樹脂チューブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料用や冷却水用などとして用いられる樹脂チューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂チューブはゴムチューブなどと比較して剛性が高い。また蛇腹部を設けるなどすれば経路配置上の自由度も高くなる。このため樹脂チューブは、例えばフィラーパイプやラジエターホースなどを構成する部材として用いられている。
【0003】
しかし、樹脂チューブを用いる場合、パイプやホースなどの相手側部材との接続機構が問題となる。すなわち樹脂チューブはある程度の剛性を有する。このため、ゴムチューブなどと比較すると、樹脂チューブは相手側部材との密着性が確保しにくい。密着性が低いと樹脂チューブと相手側部材との間のシール性が低くなる。また、樹脂チューブと相手側部材との間の固定性が低くなり、樹脂チューブが相手側部材から外れやすくなる。
【0004】
そこで、従来は以下に示す接続機構により樹脂チューブと相手側部材との間のシール性、固定性を確保していた。
【0005】
図5にクイックコネクタ方式による接続機構の軸方向断面図を示す。なお図中一点鎖線は軸中心線を示す。また軸中心線の反対側は線対称であるため省略する。図に示すように、本接続機構は樹脂チューブ200と相手側部材201との間にクイックコネクタ202を介装させることにより、シール性と固定性とを確保するものである。クイックコネクタ202は、ハウジング205とシールリング204とリテーナ203とを備えてなる。ハウジング205は円筒状を呈しており、小径部と大径部とを有する。このうち小径部は樹脂チューブ200の端末部に圧入されている。そして樹脂チューブ200とクイックコネクタ202との間のシール性、固定性を確保している。また大径部には、相手側部材201の端末部が挿入されている。そして大径部の内周面には、中央側から端縁側に向かって、シールリング204と断面レ字状のリテーナ203とが並設されている。一方、相手側部材201の端末部外周面には鍔状のビード206が周設されている。そしてリテーナ203をビード206に係合させることにより、クイックコネクタ202と相手側部材201との間の固定性を確保している。またシールリング204を相手側部材201の外周面に弾接させることにより、クイックコネクタ202と相手側部材201との間のシール性を確保している。
【0006】
図6にゴムシール部材方式による接続機構の軸方向断面図を示す。なお図中一点鎖線は軸中心線を示す。また軸中心線の反対側は線対称であるため省略する。図に示すように、本接続機構は樹脂チューブ300と相手側部材301との間にゴムシール部材302を介装させることにより、固定性とシール性とを確保するものである。ゴムシール部材302は円筒状を呈しており、樹脂チューブ300の内周面と相手側部材301の外周面との間に配置されている。また、このゴムシール部材302は、樹脂チューブ300の外周側からクランプ303により締め付けられている。そしてゴムシール部材302の弾性力およびクランプ303による締付力により、樹脂チューブ300と相手側部材301との間の固定性、シール性を確保している。
【0007】
図7に、特開平6−50482号公報記載の、係合方式による接続機構の軸方向断面図を示す。なお図中一点鎖線は軸中心線を示す。また軸中心線の反対側は線対称であるため省略する。図に示すように、樹脂チューブ100の端末部の外周面にはシールリング101が環装されている。また外周面には、周方向に所定角度ごとに係合爪102が配設されている。一方相手側部材103の端末部の端縁には、断面U字状に折り返し加工された係合部104が配置されている。樹脂チューブ100を相手側部材103に挿入すると、係合爪102が係合部104と係合する。この係合により樹脂チューブ100の相手側部材103に対する固定性が確保されている。また樹脂チューブ100を相手側部材103に挿入すると、樹脂チューブ100外周面のシールリング保持溝105に配置されたシールリング101が、相手側部材103の内周面に弾接する。この弾接により、樹脂チューブ100と相手側部材103との間のシール性が確保されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に記載の接続機構によると、クイックコネクタ202を別途設置する必要があるため、コスト高となり部品数も多くなる。また樹脂チューブ200と相手側部材201との接合工数もその分多くなる。さらに相手側部材201には、リテーナ203係合用のビード206を形成する必要がある。言い換えれば、クイックコネクタ202によると、ビード206のない相手側部材には樹脂チューブを接続することができない。
【0009】
また、図6に記載の接続機構によると、例えばフィラーパイプ用として樹脂チューブ300を使用する場合に問題がある。すなわち、フィラーパイプ用として用いる場合、燃料通路を構成するパイプなどの部材には燃料透過性が低いことが要求されるが、ゴムシール部材302は燃料透過性が高い。この場合、ゴムシール部材302そのものをフッ素系ゴムなどの燃料透過性の低い材料により形成することも考えられる。しかしながら燃料透過性の低い材料は、一般的に高価である。このためゴムシール部材302全体を燃料透過性の低い材料により形成するとコスト高になる。さらに、この方法ではシール機能と抜け止め機能を同一のシール部材に持たせているため、高い次元でシール性と抜け止め性を満たす材料設定(透過性とヘタリ性の両立)が困難であり、シール性や抜け止め性を向上させるために内径を小さくすると圧入作業性が低下する、という問題も有している。
【0010】
また、図7に記載の接続機構によると、相手側部材103の端末部の端縁に係合部104を形成する必要がある。言い換えれば、この樹脂チューブ100は、係合部104を持たない相手側部材103とは接続することができない。また樹脂チューブ100には係合爪102が配設されている。このため樹脂チューブ100を製造する場合、まずチューブ本体をブロー成形により作製する工程と、次にこのチューブ本体に係合爪102を射出成形により接合する工程とが必要となる。したがって工程数が多く煩雑である。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって本発明は、シール性および固定性に優れ、部品数が少なく安価であり、相手側部材を選ばずに接続可能な樹脂チューブを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の樹脂チューブは、端末部に相手側部材が挿入され接続される樹脂チューブであって、端末部を持つチューブ本体と、端末部の内周面に配置され相手側部材の外周面と弾接するシールリングと、内周面においてシールリングよりも端縁側に配置され相手側部材の外周面と弾接する固定キャップと、固定キャップを内周側に持つ端末部の外周面に配置され固定キャップを締め付けるクランプと、シールリングよりも中央側に配置されている拡径リングと、を備え、チューブ本体は、拡径リングに当接する拡径リング位置規制部を持ち、端末部が弾性的に拡径可能に薄肉に形成されており、拡径リングは、相手側部材に当接する段差を内周面に持ち、外周径が端末部の内周径よりも大きく、端末部に圧入配置され、シールリングおよび拡径リングは端末部の拡径により端末部の内周面に弾接することを特徴とする。
【0013】
つまり本発明の樹脂チューブは、端末部の内周面に、中央側から端縁側に向かってシールリングと固定キャップとを並設するものである。また端末部の外周面に、固定キャップ締め付け用のクランプを配設するものである。そして樹脂チューブと相手側部材との間のシール性を、シールリングにより確保するものである。並びに両部材間の固定性を、固定キャップおよびクランプにより確保するものである。
さらに、端末部全体を拡径変形可能に薄肉に形成するものである。また端末部の内周面においてシールリングの中央側に拡径リングを並設するものである。端末部に何も挿入されていない状態では、端末部の内周径は拡径リングおよびシールリングの外周径よりも小さく設定されている。この端末部に拡径リングおよびシールリングを圧入すると、端末部が弾性的に拡径変形する。そして端末部は、縮径力により拡径リングおよびシールリングを外周側から締め付けるようになる。したがって、この縮径力によりシールリングのシール力を補強することができる。また拡径リングを配置したことにより、端末部の薄肉化による剛性の低下を抑制することができる。なお端末部の肉厚は、弾性的に拡径変形できる程度の薄さであればよい。このため樹脂チューブ、シールリング、拡径リングの材質などにより所望の肉厚は変わる。
【0014】
本発明の樹脂チューブは、図5に示すビード206や図7に示す係合部104などを持たない相手側部材であっても、容易に接続可能である。また図5に示すクイックコネクタ202ような部材を、樹脂チューブと相手側部材との間に介装する必要もない。さらにまた、例えば樹脂チューブをフィラーパイプ用として使用する場合であっても、シールリングのみをフッ素系ゴムなどの燃料透過性の低い材料で形成することにより、燃料の透過を抑制することができる。このため燃料透過性の低減化に要するコストが低い。
【0015】
本発明の樹脂チューブは、例えば、端末部を持つチューブ本体が直列するチューブ連続体を作製する連続体作製工程と、作成したチューブ連続体をチューブ本体ごとに切り分ける連続体切断工程と、切り分けたチューブ本体の端末部の内周側にシールリングと固定キャップとをこの順に挿入する内周側部材配設工程と、を含む製造方法により製造することができる。
【0016】
つまりこの製造方法は、チューブ本体をチューブ連続体として連続的に作製するものである。本発明の樹脂チューブには、図7に示す係合爪102のような部材が配設されていない。このためチューブ本体に別部材を配設する工程は不要である。したがってチューブ本体を一工程で連続的に作製することができ、製造工程数を少なくすることができる。なお連続体作製工程においては、例えば、押出し成形機から押し出されたパリソン内に空気を圧入し樹脂を成形型に圧着して形状を整える押出しブロー成形法などを用いることができる。
【0017】
またチューブ本体の端末部外周面のクランプは、連続体切断工程の後であれば何時配設してもよい。例えば内周側部材配設工程の後にクランプを仮止め配置しておき、相手側部材を端末部に挿入した後に増し締めしてもよい。また相手側部材を端末部に挿入した後にクランプを端末部の外周面に配置し、引き続き締め付けてもよい。
【0018】
端末部は、固定キャップが配置されている部分の方がシールリングが配置されている部分よりも薄肉に形成してもよい。
【0019】
つまりこの構成は、樹脂チューブの端末部に厚肉部と薄肉部とを設けるものである。そしてシールリングが内接する部位に厚肉部を、また固定キャップが内接しかつクランプが外接する部位に薄肉部を、それぞれ配置するものである。
【0020】
シールリングが内接する部位に厚肉部を配置すると、端末部の剛性を向上させることができる。また固定キャップが内接しかつクランプが外接する部位に薄肉部を配置すると、クランプの締結力を樹脂チューブの肉厚に阻まれることなく固定キャップに伝達することができる。このためより固定性が良好となる。
【0021】
固定キャップは、相手側部材の外周径と同等のまたは僅かに小さい内周径を持ってもよい。
【0022】
つまりこの構成は、固定キャップの内周径を比較的大径に設定するものである。本発明の樹脂チューブの固定キャップは、外周側からクランプにより締め付けられる。このため、固定キャップの内周径を過度に小さくしなくても容易に固定性を確保することができる。
【0023】
本構成によると相手側部材を樹脂チューブに挿入する際の摩擦力が小さくなる。このため相手側部材を、よりスムーズに樹脂チューブに挿入することができる。
【0024】
シールリングは複数配置されており、複数のシールリングの間にはスペーサが介装されていてもよい。
【0025】
つまりこの構成は、端末部の内周面にシールリングを複数配置するものである。そしてシールリング同士の間をスペーサで仕切るものである。
【0026】
本構成によるとスペーサによりシールリングの位置決めが容易になる。すなわち、固定キャップとスペーサとによりシールリングを容易に位置決めすることができる。このため、図7に示すシールリング保持溝105のようなシールリング位置決め用の部位が不要となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂チューブをフィラーパイプ用として具現化した実施の形態について説明する。
【0031】
(1)参考形態
まず、本参考形態の樹脂チューブの構成について説明する。本参考形態の樹脂チューブの軸方向断面図を図1に示す。図中一点鎖線は中心線を示す。また、この中心線に対して線対称である反対側は省略して示す。本参考形態の樹脂チューブ1のチューブ本体17は、蛇腹部を持つチューブ状でありPAにより形成されている。このチューブ本体17の端末部10には、金属製であってパイプ状の相手側部材2が挿入され接続されている。
【0032】
端末部10は、チューブ中央側の厚肉部18とチューブ端縁側の薄肉部19とからなる。このうち厚肉部18の内周面には、チューブ中央側からチューブ端縁側に向かって、シールリング11とスペーサ12とシールリング13とが並設されている。すなわち、二つのシールリング11、13がスペーサ12により仕切られて設置されている。シールリング11、13はフッ素系ゴム(FKM)により形成されている。なおシールリング11、13の内周径は、相手側部材2の外周径よりも小さく設定されている。
【0033】
また薄肉部19の端縁から内周面にかけては、ゴム製であって円筒状の固定キャップ14が配設されている。この固定キャップ14の内周面には、断面三角形状の圧接部15がリング状に周設されている。圧接部15の内周径は、相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定されている。一方、薄肉部19の外周面のうち内周側に圧接部15が配置されている部位には、金属製のクランプ16が環装されている。
【0034】
次に、本参考形態の樹脂チューブの組み付け方法について説明する。図2に本参考形態の樹脂チューブ1の分解図を示す。なお説明の便宜上、チューブ本体17と固定キャップ14とは断面図で示す。
【0035】
チューブ本体17は、まず押出しブロー成形によりチューブ本体17が直列に連結されたチューブ連続体を成形し、次にこのチューブ連続体を切り分けることにより製造する。すなわち端末部10を含むチューブ本体17は、連続的に作製される。ここで、端末部10の厚肉部18は樹脂の供給速度を遅くして形成する。一方、端末部10の薄肉部19は樹脂の供給速度を速くして形成する。
【0036】
次に、作製した厚肉部18の内周側に、シールリング11とスペーサ12とシールリング13とを順に挿入する。それから、作製したチューブ本体端末部10の薄肉部19の端縁を塞ぐように、固定キャップ14を挿入する。そして、薄肉部19の外周面に、クランプ16を仮止め状態のまま環装する。
【0037】
次に、本参考形態の樹脂チューブと相手側部材との接続機構について説明する。上述したようにシールリング11、13の内周径は、相手側部材2の外周径よりも小さく設定されている。また圧接部15の内周径は、相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定されている。相手側部材2を端末部10に挿入していくと、まず相手側部材2は圧接部15の内周側を通過する。しかしながら、圧接部15の内周径と相手側部材2の外周径とはほぼ等しい。このため相手側部材2に働く摩擦力は小さい。したがって相手側部材2は、比較的スムーズに圧接部15の内周側を通過する。
【0038】
次に相手側部材2はシールリング13の内周側を通過する。ここでシールリング13の内周径は、相手側部材2の外周径よりも小さい。このため相手側部材2に働く摩擦力は大きい。したがってこの摩擦力に引っ張られてシールリング13自体も相手側部材2と一緒に挿入方向、つまりチューブ中央方向に移動しようとする。しかしながらシールリング13のチューブ中央側にはスペーサ12が並設されている。このスペーサ12の内周径は相手側部材2の外周径よりも大きい。このためスペーサ12は相手側部材2の動きに影響を受けない。したがってシールリング13の移動は、スペーサ12により抑止される。このようにして相手側部材2はシールリング13の内周側を摺接しながら通過する。
【0039】
次に相手側部材2はシールリング11の内周側を通過する。ここでシールリング11の内周径は、シールリング13と同様に、相手側部材2の外周径よりも小さい。このためシールリング11も相手側部材2と一緒に挿入方向、つまりチューブ中央方向に移動しようとする。しかしながらシールリング11のチューブ中央側にはシールリング位置規制部171が段状に縮径して形成されている。このシールリング位置規制部171によりシールリング11の移動は抑止される。このようにして相手側部材2はシールリング13の内周側を摺接しながら通過する。相手側部材2の挿入は、シールリング位置規制部171よりもチューブ中央方向に配置された相手側部材先端当接部172に当接することにより完了する。そして最後に薄肉部19の外周面に配置されたクランプ16を締め付ける。この締め付け力が薄肉部19を介して固定キャップ14の圧接部15に伝達されることにより、圧接部15は相手側部材2の外周面にリング状に圧接する。
【0040】
本参考形態の樹脂チューブ1によると、圧接部15の内周径は相手側部材2の外周径とほぼ等しい。このため相手側部材2の挿入をスムーズに行うことができる。また二つのシールリング11、13は、固定キャップ14とシールリング位置規制部171とスペーサ12とにより位置決めされている。このため、例えば厚肉部18の内周面に図7に示すシールリング保持溝105などの位置決め部位を別途配置する必要がない。
【0041】
本参考形態においては端末部10に厚肉部18と薄肉部19とを形成した。しかしながら端末部10の肉厚を均一に形成する形態で実施してもよい。端末部10の肉厚を均一に形成するとチューブ本体17の成形が容易になる。また本参考形態においてはシールリングを二つ配置したが、シールリングは一つでもよい。シールリングが一つの場合、シールリングの位置決めは固定キャップとシールリング位置規制部とで行うことができるため、スペーサが不要となる。また本参考形態においては固定キャップ14に圧接部15を設けたが、固定キャップ全体が相手側部材に当接する形態や、圧接部を複数配置する形態で実施してもよい。さらに本参考形態においては圧接部15の内周径を相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定したが、相手側部材2の外周径よりも小さく設定する形態で実施してもよい。この場合、樹脂チューブ1と相手側部材2との間の固定性が向上する。また本参考形態においては樹脂チューブ1の材質としてPAを用いたが、PEやPPSを用いてもよい。また本参考形態においてはシールリング11、13の材質としてFKMを用いたが、シールリングの材質は特に限定するものではない。フィラーパイプ用として使う場合、例えばH−NBR(水素NBR)など他の燃料透過性の低いゴムを用いてもよい。
【0042】
(2)第一実施形態
まず、本実施形態の樹脂チューブの構成について説明する。本実施形態の樹脂チューブの軸方向断面図を図3に示す。なお図1と対応する部材については同じ記号で示す。図中一点鎖線は中心線を示す。また、この中心線に対して線対称である反対側は省略して示す。本実施形態の樹脂チューブ1のチューブ本体17はPAにより形成されている。このチューブ本体17の端末部10には、金属製であってパイプ状の相手側部材2が挿入され接続されている。
【0043】
端末部10は全体が薄肉に形成されている。そして端末部10は弾性的に拡径変形可能である。端末部10の内周面には、チューブ中央側からチューブ端縁側に向かって、拡径リング3とシールリング11と固定キャップ14とが並設されている。拡径リング3はチューブ中央側端に段差30を持つ円筒状を呈している。また拡径リング3はPAにより形成されている。この拡径リング3の内周径は相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定されている。またこの拡径リング3の外周径は端末部10の拡径前の内周径よりも大きく設定されている。シールリング11は、FKMにより形成されている。このシールリング11の内周径は、相手側部材2の外周径よりも小さく設定されている。またシールリング11の外周径は、拡径リング3と同様に、端末部10の拡径前の内周径よりも大きく設定されている。
【0044】
端末部10の端縁から内周面にかけては、ゴム製であって円筒状の固定キャップ14が配設されている。この固定キャップ14の内周面には、断面三角形状の圧接部15がリング状に周設されている。圧接部15の内周径は、相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定されている。一方、端末部10の外周面のうち内周側に圧接部15が配置されている部位には、金属製のクランプ16が環装されている。
【0045】
次に、本実施形態の樹脂チューブの組み付け方法について説明する。図4に本実施形態の樹脂チューブ1の分解図を示す。なお説明の便宜上、チューブ本体17と拡径リング3と固定キャップ14とは断面図で示す。
【0046】
参考形態と同様に、チューブ本体17は、まず押出しブロー成形によりチューブ本体17が直列に連結されたチューブ連続体を成形し、次にこのチューブ連続体を切り分けることにより製造する。ただし端末部10の肉厚は均一であるため、参考形態のような樹脂の供給速度調整は不要である。
【0047】
次に、作製した端末部10の内周側に、まず拡径リング3を圧入する。上述したように拡径リング3の外周径は端末部10の内周径よりも大きい。このため拡径リング3を圧入すると端末部10は拡径変形する。なお拡径リング3は拡径リング位置規制部173に当接するまで圧入する。そして次にシールリング11を圧入する。シールリング11の外周径も、拡径リング3と同様に、端末部10の内周径よりも大きい。このためシールリング11を圧入すると端末部10は拡径変形する。その後固定キャップ14を挿入する。そして最後に、端末部10の外周面にクランプ16を仮止め状態のまま環装する。
【0048】
次に、本実施形態の樹脂チューブと相手側部材との接続機構について説明する。上述したようにシールリング11の内周径は、相手側部材2の外周径よりも小さく設定されている。また圧接部15の内周径は、相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定されている。相手側部材2を端末部10に挿入していくと、まず相手側部材2は圧接部15の内周側を通過する。しかしながら、圧接部15の内周径と相手側部材2の外周径とはほぼ等しい。このため相手側部材2は、比較的スムーズに圧接部15の内周側を通過する。
【0049】
次に相手側部材2はシールリング11の内周側を通過する。ここでシールリング11の内周径は、相手側部材2の外周径よりも小さい。このため相手側部材2に働く摩擦力は大きい。したがってこの摩擦力に引っ張られてシールリング11自体も相手側部材2と一緒にチューブ中央方向に移動しようとする。しかしながらシールリング11のチューブ中央側には拡径リング3が並設されている。このためシールリング11の移動は、拡径リング3により抑止される。このようにして相手側部材2はシールリング11の内周側を摺接しながら通過する。
【0050】
次に相手側部材2は拡径リング3の内周側を通過する。ここで拡径リング3の内周径は相手側部材2の外周径とほぼ等しい。このため相手側部材2は拡径リング3の内周側をスムーズに通過する。相手側部材2の挿入は段差30に当接することにより完了する。そして最後に端末部10の外周面に配置されたクランプ16を締め付ける。この締め付け力が端末部10を介して固定キャップ14の圧接部15に伝達されることにより、圧接部15は相手側部材2の外周面にリング状に圧接する。
【0051】
本実施形態の樹脂チューブ1によると、拡径した端末部10の縮径力により、シールリング11の弾接力および圧接部15の圧接力が補強される。このため、より樹脂チューブ1と相手側部材2との間のシール性、固定性が向上する。また本実施形態の樹脂チューブ1によると、圧接部15および拡径リング3の内周径は相手側部材2の外周径とほぼ等しい。このため相手側部材2の挿入をスムーズに行うことができる。シールリング11は、固定キャップ14と拡径リング3とにより位置決めされている。このため、例えば端末部10の内周面に図7に示すシールリング保持溝105などの位置決め部位を別途配置する必要がない。
【0052】
本実施形態においてはシールリングを一つ配置したが、シールリングは複数でもよい。シールリングが複数の場合シール性が向上する。また本実施形態においては固定キャップ14に圧接部15を設けたが、固定キャップ全体が相手側部材に当接する形態や、圧接部を複数配置する形態で実施してもよい。さらに本実施形態においては圧接部15の内周径を相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定したが、相手側部材2の外周径よりも小さく設定する形態で実施してもよい。この場合、樹脂チューブ1と相手側部材2との間の固定性が向上する。また本実施形態においては拡径リング3の内周径を相手側部材2の外周径とほぼ等しく設定したが、相手側部材2の外周径よりも小さく設定する形態で実施してもよい。この場合、拡径リング3は厚肉となるため、より端末部10の剛性が大きくなる。また本実施形態においては樹脂チューブ1および拡径リング3の材質としてPAを用いたが、PEやPPSを用いてもよい。また本実施形態においてはシールリング11の材質としてFKMを用いたが、シールリングの材質は特に限定するものではない。フィラーパイプ用として使う場合、例えばH−NBRなど他の燃料透過性の低いゴムを用いてもよい。
【0053】
(3)その他
以上本発明の樹脂チューブの実施形態について説明した。しかしながら実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的、改良的形態で行うこともできる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によると、シール性および固定性に優れ、部品数が少なく安価であり、相手側部材を選ばずに接続可能な樹脂チューブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考形態の樹脂チューブの軸方向断面図である。
【図2】 参考形態の樹脂チューブの分解図である。
【図3】 第一実施形態の樹脂チューブの軸方向断面図である。
【図4】 第一実施形態の樹脂チューブの分解図である。
【図5】 従来のクイックコネクタ方式による樹脂チューブ接続機構の軸方向断面図である。
【図6】 従来のゴムシール部材方式による樹脂チューブ接続機構の軸方向断面図である。
【図7】 従来の係合方式による樹脂チューブ接続機構の軸方向断面図である。
【符号の説明】
1:樹脂チューブ、10:端末部、11:シールリング、12:スペーサ、13:シールリング、14:固定キャップ、15:圧接部、16:クランプ、17:チューブ本体、171:シールリング位置規制部、172:相手側部材先端当接部、173:拡径リング位置規制部、18:厚肉部、19:薄肉部、2:相手側部材、3:拡径リング、30:段差。
Claims (2)
- 端末部に相手側部材が挿入され接続される樹脂チューブであって、
該端末部を持つチューブ本体と、該端末部の内周面に配置され該相手側部材の外周面と弾接するシールリングと、該内周面において該シールリングよりも端縁側に配置され該相手側部材の外周面と弾接する固定キャップと、該固定キャップを内周側に持つ該端末部の外周面に配置され該固定キャップを締め付けるクランプと、該シールリングよりも中央側に配置されている拡径リングと、を備え、
該チューブ本体は、該拡径リングに当接する拡径リング位置規制部を持ち、該端末部が弾性的に拡径可能に薄肉に形成されており、
該拡径リングは、該相手側部材に当接する段差を内周面に持ち、外周径が該端末部の内周径よりも大きく、該端末部に圧入配置され、
該シールリングおよび該拡径リングは該端末部の拡径により該端末部の内周面に弾接することを特徴とする樹脂チューブ。 - 前記端末部の肉厚は均一である請求項1に記載の樹脂チューブ。
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