JP3863015B2 - 電子楽器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作された操作子に対応付けられた音色の楽音を再生する電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、それぞれに各音色が割り当てられた複数の操作子が配列された操作パネルを備え、これら複数の操作子のうちの操作された操作子に対応付けられた音色の楽音を再生する電子楽器が知られている。
【0003】
図1は、そのような電子楽器の一例であるリズムマシンの正面図、および、このリズムマシンに対する操作の様子を示す図である。
【0004】
図1に示すリズムマシン1は、アコースティックのドラムセットから発音される様々な楽音を模擬した楽音を、操作パネルに備えた操作パッドを操作することで再生する。
【0005】
このリズムマシン1の操作パネル2には、操作パッドCRASH1、CRASH2、BELL、RIDE、TOM1、TOM2、TOM3、TOM4、CROSS STICK、CLAP、COWBELL、KICK、SNARE、PEDAL HIHAT、OPEN HIHAT、CLOSED HIHATが備えられており、これら操作パッドは、操作パッド群2aを形成している。
【0006】
操作パッドCRASH1、CRASH2が操作されると、2種類のクラッシュ音がそれぞれ発音され、操作パッドBELL、RIDEが操作されると、ベル音およびライド音がそれぞれ発音される。また、操作パッドCROSS STICK、CLAP、COWBELL、KICK、SNAREが操作されると、クロススティック音、クラップ音、カウベル音、キック音、スネア音が発音され、操作パッドTOM1、TOM2、TOM3、TOM4が操作されると、4種類のタム音がそれぞれ発音される。操作パッドPEDAL HIHAT、OPEN HIHAT、CLOSED HIHATが操作されると、ペダルハイハット音、オープンハイハット音、クローズドハイハット音がそれぞれ発音される。
【0007】
また、このリズムマシン1の操作パネル2には、音量をコントロールするための音量ツマミ2b、その他の操作スイッチ群2c、および音量レベルなどを表示するためのLCD(液晶)表示装置2dも備えられている。
【0008】
図1には、操作パネル2に備えられている1つの操作パッド(SNARE)が、両手の指によって操作されている様子が示されている。この操作は、2本の指で操作パッドの操作面を交互に押下するものであり、これを素早く行なうことにより、その操作パッドに割り当てられている楽音を速いテンポで発音することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この操作を、操作面が狭い操作パッドに行なうと、その操作のスピードがあがるにつれて、指どうしの干渉による操作パッドに対する誤操作が増える恐れがある。
【0010】
そこで、1つ1つの操作パッドの操作面をできるだけ広くすることが考えられるが、むやみに操作パッドの操作面を広くすると、電子楽器の外寸の大型化を招いてしまう。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、大型化を抑制しながら、操作性の向上が図られた電子楽器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の電子楽器は、
それぞれに音色が割り当てられた複数の主操作子と、
上記複数の主操作子の近傍に配備された少なくとも1つの副操作子と、
上記複数の主操作子のいずれかが操作されたとき、その主操作子に割り当てられた音色の楽音を再生するよう指示し、上記副操作子が操作されたとき直前に操作された主操作子に対応づけられた音色の楽音を再生するよう指示する楽音再生指示手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の電子楽器には、主操作子に対する操作の度に、操作した主操作子に対応付けられた音色に応じた音色が割り当てられる副操作子が備えられている。これにより、本発明の電子楽器では、主操作子とは分離して備えられている副操作子を、あたかも主操作子を操作している感覚で使用することができ、更に、主操作子に対する操作の度に、操作した主操作子それぞれに対応付けられた音色に応じた音色は、すべてこの副操作子に割り当てられるため、単純に各主操作子の操作面を大きくした場合と比べ、大型化を抑制することもできる。
【0014】
ここで、上記副操作子が、上記複数の主操作子からなる主操作子群の左右に少なくとも1つずつ配備されたものであることが好ましい。
【0015】
このようにすると、右手で主操作子を操作した場合には、左手で主操作子の左側に備えられた副操作子を操作し、左手で主操作子を操作した場合には、右手で主操作子の右側に備えられた副操作子を操作することができるため便利である。
【0016】
さらに、上記楽音再生指示手段は、上記副操作子に、上記複数の主操作子のうちの直前に操作された主操作子に割り当てられた音色と同一またはバリエーションの音色の楽音を再生するよう指示するものであってもよい。
【0017】
このようにすると、音色の豊かな演奏が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図2は、本発明の電子楽器の一実施形態の正面図である。
【0020】
図2には、本実施形態のリズムマシーン10、および、このリズムマシーン10を操作する様子が示されている。尚、このリズムマシン10に備えられているもので、図1に示されているものと同じ種類のものには、図1において付されている符号と同じ符号を付している。本実施形態のリズムマシーン10は、アコースティックのドラムセットから発音される様々な楽音を模擬した楽音を、操作子である操作パッドに対する操作に応じて再生する。
【0021】
図2に示すリズムマシン10と、図1に示すリズムマシン1との外観上の違いは、図2に示すリズムマシン10には、サブパッドSUB1、SUB2、SUB3、SUB4が備えられている点である。
【0022】
図2に示す、サブパッドSUB1、SUB3は、図1に示す操作パッド群2aと同じ構成を有するメインパッド群2aの左側に備えられており、サブパッドSUB2、SUB4は、メインパッド群2aの右側に備えられている。
【0023】
また、図2には、メインパッドSNAREとサブパッドSUB1とが、両手の人差し指でそれぞれ操作されている様子が示されている。
【0024】
図3は、本実施形態のリズムマシンの内部ブロック図である。
【0025】
図3には、バス90を介して接続された、前述した操作パネル20、読み出した楽音データをもとに楽音信号を生成する楽音生成部40、楽音生成部40で生成された楽音信号を楽音として放音するため外部に設けられたスピーカ50、このリズムマシン全体を制御するCPU80、各種楽音データが格納されているROM70、および作業領域として使用されるRAM60が示されている。
【0026】
ROM70は、楽音生成部40によって読み出される、各音色の楽音データや、後述する、各種参照テーブルを記憶している。
【0027】
CPU80は、このリズムマシン全体を制御しており、図2にも示す操作パネル20に備えられているメインパッドなどに対する操作を検出している。このCPU80は、メインパッドなどに対する操作を検出すると、楽音生成部40に対し指示を出す。
【0028】
RAM60は、詳しくは後述するが、今回操作されたメインパッドに割り当てられている音色に応じた音色をサブパッドに割り当てるために使用される。
【0029】
楽音生成部40は、CPU80からの指示を受け、ROM70から所定の楽音データを読み出し、この読み出した楽音データを基に楽音信号を生成してスピーカ50に出力する。
【0030】
図4は、本実施形態のリズムマシンの動作のフローチャートであり、図5は、図3に示すROMに格納されている参照テーブルを示す図である。
【0031】
以下、図4および図5を説明しながら、本実施形態のリズムマシン10の動作の詳細について述べる、
まず、リズムマシン10では、図示しないリズムマシン10の電源スイッチがオンされ、メインパッドあるいはサブパッドの何れかに対する操作が検出されると、ステップS1において、操作パネル20に対する操作が、サブパッドに対するものであるか否かが判定される。
【0032】
ステップS1において、リズムマシン10に対する操作がメインパッドに対するものであったと判定された場合、ステップS2に進む。
【0033】
ステップS2では、操作されたメインパッドの識別番号であるMain Pad番号をアドレスの引数とし、対応するアドレスに格納されている音色番号を取得する。その後、ステップS3に進む。
【0034】
ここで、図5(a)は、Main Pad番号と音色番号とを示すMain Pad音色マップテーブルである。
【0035】
図5(a)には、Main Pad番号を引数とするアドレスに音色番号が割り当てられている様子が示されている。例えば、Main Pad番号が「01」であるメインパッドを操作した場合、このMain Pad番号「01」を引数として音色番号「009」を取得することとなる。
【0036】
ステップS3では、ステップS2で得られた音色番号を引数としたアドレスに格納されているSub Pad音色マップアドレスを取得する。その後、ステップS4に進む。
【0037】
ここで、図5(b)は、ステップS2で取得された音色番号と、Sub Pad音色マップアドレスとを示すSub Pad音色マップアドレスマップテーブルである。
【0038】
図5(b)には、ステップS2で得られた音色番号を引数とするアドレスにSub Pad音色マップアドレスが対応付けられている様子が示されている。例えば、ステップS2で取得した音色番号が「009」である場合、この音色番号「009」を引数とするアドレスから、Sub Pad音色マップアドレス「spm002」を取得することとなる。
【0039】
ステップS4では、ステップS3において取得したSub Pad音色マップアドレスが、図3に示すRAM60に設けられているSub Pad音色指示メモリ領域に格納される。その後、ステップS7に進む。
【0040】
ステップS7では、操作したメインパッドのMain Pad番号を引数としてステップS2で取得した音色番号を基に読み出された楽音データが表わす楽音の発音が行なわれる。
【0041】
ここで、ステップS1において、サブパッドに対する操作であると判定された場合に話を戻して説明する。
【0042】
この場合には、ステップS5に進み、このサブパッドに対する操作以前であって、最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色に応じて、このサブパッドに割り当てられた音色の音色番号を取得するために、前述した、図3に示すRAM60に設けられているSub Pad音色指示メモリ領域からSub Pad音色マップアドレスを取得する。その後、ステップS6に進む。
【0043】
ステップS6では、ステップS5で得られたSub Pad音色マップアドレストと、操作されたサブパッドのSub Pad番号とから、このサブパッドに割り当てられた音色番号を取得する。
【0044】
ここで、図5(c)は、Sub Pad音色マップアドレス、Sub Pad番号、および音色番号を示すSub Pad音色マップテーブルである。
【0045】
図5(c)に示すSub Pad音色マップテーブルでは、Sub Pad番号が「0」、「1」、「2」、「3」の4つで示されているように、4つのサブパッドに音色番号が割り当てられており、Sub Pad番号「0」、「1」、「2」、「3」それぞれが、図2に示すサブパッドSUB1、SUB2、SUB3、SUB4に対応している。
【0046】
図5(c)には、Sub Pad音色マップアドレスとSub Pad番号との組み合わせを引数とするアドレスに、音色番号が対応付けられている様子が示されている。したがって、例えば、Sub Pad音色マップアドレス「spm002」がSub Pad音色指示メモリ領域に格納されているときに、サブパッドSUB1(Sub Pad番号「0」)を操作した場合には音色番号「010」、サブパッドSUB2(Sub Pad番号「1」)を操作した場合には音色番号「012」、サブパッドSUB3(Sub Pad番号「2」)を操作した場合には音色番号「011」、サブパッドSUB4(Sub Pad番号「3」)を操作した場合には音色番号「014」を取得することとなる。その後、ステップS7に進み、ステップS6において取得した音色番号を基に読み出された楽音データが表わす楽音の発音が行なわれ、このルーチンは終了する。尚、図5(a)から図5(c)までに示す各テーブルは、本実施形態では、図3に示すROM70に記憶されているが、これら各種テーブルがRAM60に記憶され、ユーザによる書き換え可能であってもよい。
【0047】
以上説明した本実施形態のリズムマシン10では、メインパッドのいずれかを操作した場合には、操作したメインパッドに対応付けられた音色の楽音が発音されると共に、操作されたメインパッドに対応付けられた音色のバリエーション音色がメインパッド群の左右に配備されたサブパッドSUB1、SUB2、SUB3、SUB4に割り当てられる。
【0048】
また、メインパッドを操作せずに、サブパッドSUB1、SUB2、SUB3、SUB4のいずれかを操作した場合には、最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色のバリエーション音色の楽音のいずれかが発音される。したがって、本実施形態のリズムマシン10によれば、操作パネルを大型化することなく、操作性の向上を図ることができるとともに、メインパッドを操作しつつサブパッドを操作することで、操作されたメインパッドに対応付けられた音色の楽音と、操作されたメインパッドに対応付けられた音色のバリエーション音色の楽音とを再生し、操作されたメインパッドに対応付けられた音色の楽音に幅をもたせることができる。
【0049】
ここで、これらサブパッドSUB1、SUB2、SUB3、SUB4に割り当てられるバリエーション音色が、固定的なものではなく、限られた音色グループ内からランダムに割り当てられるものであってもよい。
【0050】
尚、本実施形態では、メインパッド群の左側右側それぞれに2つずつサブパッドが配備され、これら4つのサブパッドには最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色のバリエーション音色が割り当てられているが、これに限らず、最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色のバリエーション音色、あるいは、最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色と同じ音色が、左側右側それぞれに1つずつ配備されたサブパッドに割り当てられるものであってもよく、また、最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色と同じ音色、あるいは、最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色のバリエーション音色が操作パネル上のいずれかにただ1つ配備されるサブパッドに割り当てられるものであってもよい。さらには、これら4つのサブパッドに割り当てられる音色が、すべて、最後に操作されたメインパッドに対応付けられた音色と同じ音色であってもよい。
【0051】
また、本実施形態では、アコースティックのドラムセットから発音される様々な楽音を模擬した楽音を、操作パッドに対する操作に応じて再生するものを例に挙げて説明したが、これに限らず、ドラムセット以外のものを模擬するものであってもよく、操作子としてパッドを例に挙げているが、通常の操作ボタンやLCD上のスクリーンスイッチ、あるいは鍵盤を操作子として採用するものであってもよい。
【0052】
ここで、本実施形態のリズムマシン10に以下のような機能を持たせることが考えられる。
【0053】
メインパッドを押した時に、サブパッドには音色ではなく特殊な機能(例えば、メインパッドに対する操作により発音されている楽音を停止させるミュート機能など)を割り当てる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電子楽器によれば、大型化を抑制しながら、操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子楽器の一例であるリズムマシンの正面図、および、このリズムマシンに対する操作の様子を示す図である。
【図2】本発明の電子楽器の一実施形態の正面図である。
【図3】本実施形態のリズムマシンの内部ブロック図である。
【図4】本実施形態のリズムマシンの動作のフローチャート。
【図5】図3に示すROMに格納されている参照テーブルを示す図である。
【符号の説明】
1、10 リズムマシン
2、20 操作パネル
40 楽音生成部
50 スピーカ
60 RAM
70 ROM
80 CPU
90 バス
Claims (3)
- それぞれに音色が割り当てられた複数の主操作子と、
前記複数の主操作子の近傍に配備された少なくとも1つの副操作子と、
前記複数の主操作子のいずれかが操作されたとき、その主操作子に割り当てられた音色の楽音を再生するよう指示し、前記副操作子が操作されたとき直前に操作された主操作子に対応づけられた音色の楽音を再生するよう指示する楽音再生指示手段とを備えた電子楽器。 - 前記副操作子が、前記複数の主操作子からなる主操作子群の左右に少なくとも1つずつ配備されたものであることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
- 前記楽音再生指示手段は、前記副操作子に、前記複数の主操作子のうちの直前に操作された主操作子に割り当てられた音色と同一またはバリエーションの音色の楽音を再生するよう指示するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子楽器。
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