JP3841284B2 - フォークリフトの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、フォークが挿入されたパレットの下側デッキボードを押圧してパレットをロックするパレットロック手段を備えて成るフォークリフトの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オーダピッキングトラックは、例えば図11に示すように構成されている。即ち、図11に示すように、オーダピッキングトラック101は、車両本体103と、この車両本体103のほぼ中央部に立設されたマスト装置105と、車両本体103の後部に設けられた作業者を乗せてマスト装置105に沿って昇降するリフト台107を備えた運転台109と、リフト台107の下部に取り付けられた一対のフォーク111により構成されている。
【0003】
そして、フォーク111の近傍にはロックバー113が回転自在に設けられ、フォーク111がパレット115に挿入されたときに、ロックバー113によりパレット115の下側デッキボードが押圧されると同時にフォーク111によりパレット115の上側デッキボードが押圧され、これによりパレット115がロックされるようになっている。
【0004】
従って、作業者が運転台107からパレット115上に乗り移って作業を行う場合であっても、パレット115を強固に固定することができてパレット115のフォーク111からのずり落ちが防止され、パレット115上で安全に作業を行うことができる。
【0005】
ところで、このロックバー113は、フォーク111がパレット115に挿入されると、その先端が下方に回転されてロックするようになっており、図12に示すように、磁気センサから成るパレット検出センサ117及び着地検出センサ119と、パワーシリンダ121と、パワーシリンダ121のロッドを駆動するモータ123と、パワーシリンダ121のロッドの両端移動位置を検出する磁気センサから成る入、出検出センサ125,127と、これらを制御するマイクロコンピュータから成る制御手段129とを備えて成るパレットロック手段により、ロックバー113が回転される。
【0006】
このとき、ロックバー113の根元側にはマグネットが埋設され、パレット検出センサ117の上位位置に着地検出センサ119が配設され、パレット検出センサ117及び着地検出センサ119はロックバー113のマグネットの近接によりその磁気を検出して反応し、パレット検出センサ117の反応によりロックバー113の水平状態がわかる。
【0007】
また、ロックバー113がパレット115をロックしている状態では、ロックバー113のマグネットは着地検出センサ119よりも更に上位位置まで回転した状態となっているため、着地検出センサ119の反応により、パレット115が着地されてロックバー113の先端が下方に所定角度回転した状態まで戻っていることがわかる。
【0008】
更に、パワーシリンダ121のロッドにもマグネットが埋設され、入、出検出センサ125,127はロッドのマグネットの近接によりその磁気を検出して反応し、入検出センサ125の反応によりパワーシリンダ121のロッドが収納状態あることがわかり、出検出センサ127の反応によりパワーシリンダ121のロッドが伸長してロックバー113の先端が下方に回転した状態にあることがわかるようになっている。
【0009】
そして、フォーク111がパレット115の差込口に差し込まれたときに、パレット検出センサ117及び入検出センサ125が反応すると、制御手段129により、ロックバー113の先端を下方に回転すべくモータ123が制御され、自動的にパレット115がロックされる。
【0010】
一方、フォーク111がパレット115の差込口に差し込まれた状態で、着地検出センサ119及び出検出センサ127が反応すると、制御手段129によりパレット15が着地されたと判断されて、ロックバー113の先端を上方に回転すべくモータ123が制御され、自動的にパレット115のロック解除が行われる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パレット115のロック解除は、上記したように、着地検出センサ119及び出検出センサ127の反応に基づきパレット115の着地が検出されることが条件となっているため、ピッキング作業を終えてフォーク111をパレット115から引き抜く場合に、パレット115の着地を検出してロック解除を行ってからしか、フォーク111をパレット115から引き抜くことができず、作業効率の低下を招くという問題点があった。
【0012】
また、パレット115のロック解除が完了していない状態で、無理にフォーク111をパレット115から引き抜こうとすると、パレット115を引きずりながら走行することになり、荷崩れや最悪ではパレット115の破損を引き起こすおそれがあった。
【0013】
そこで、本発明は、作業効率の低下、及び、荷崩れやパレットの破損を防止できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、フォークが挿入されたパレットの下側デッキボードを押圧してパレットをロックするパレットロック手段を備えて成るフォークリフトの制御装置において、上下に昇降する前記フォークの位置を検出する揚高検出センサと、前記揚高検出センサにより前記フォークが予め定められた所定位置まで下動したことが検出されたときに前記パレットロック手段による前記パレットのロックを解除制御する解除制御手段とを備えていることを特徴としている(請求項1)。
【0015】
このような構成によれば、パレットロック手段によりパレットがロックされた状態でフォークが下動し、揚高検出センサによりフォークが所定位置まで下動したことが検出されると、解除制御手段により、パレットロック手段によるパレットのロックが解除される。
【0016】
そのため、パレットの完全な着地前に解除制御手段によりパレットのロックが解除されるので、フォークをパレットから引き抜くのに、従来のようにパレットの完全着地後におけるロック解除を待つ必要がなくなり、作業効率の低下を招くこともない。
【0017】
このとき、揚高検出センサが検出する高さを最下動位置である例えば地面から10cm程度に設定しておくと、パレットはほぼ着地するか或いは地面から若干浮いた状態でロック解除されることから、従来のように、パレットが着地しているにもかかわらず、ロックが完全に解除されないままの状態で作業者がフォークをパレットから引き抜くようなことも生じず、荷崩れを招いたりパレットを引きずって破損したりすることを防止できる。
【0018】
また、本発明は、前記揚高検出センサにより前記フォークの前記所定位置までの下動が検出されたときに前記フォークの下動を停止させる停止制御手段と、下動再開のための操作に基づき、前記停止制御手段により停止制御された前記フォークの下動を再開させる再開操作手段とを備えていることを特徴としている(請求項1)。
【0019】
このような構成によれば、パレットロック手段によりパレットがロックされた状態でフォークが下動し、揚高検出センサによりフォークが所定位置まで下動したことが検出されると、停止制御手段によりフォークの下動が停止されるため、このようなフォークの停止により、作業者はフォークが所定位置まで下動したことを認識することができる。
【0020】
更に、停止制御手段によりフォークの下動が停止されても、再開操作手段の操作によってフォークの下動を再開されると同時に、再開操作手段の操作に基づき、解除制御手段によりパレットロック手段によるパレットのロックが解除される。そのため、揚高の低い所定位置においてもパレットはクランプされており、その結果、荷崩れを招いたりパレットを引きずって破損したりすることを防止できる。
【0021】
また、本発明は、前記解除制御手段による前記パレットのロック解除制御の実行開始タイミングを、前記揚高検出センサにより前記フォークの前記所定位置までの下動が検出された時、または、前記再開操作手段の操作に基づき前記フォークが最下動位置に達した時のいずれかに切換設定するための切換操作手段を備えていることを特徴としている(請求項1)。
【0022】
このような構成によれば、揚高検出センサによりフォークの所定位置までの下動が検出されると、解除制御手段によるパレットのロック解除制御が行われるが、切換操作手段によりロック解除制御の実行開始タイミングが、再開操作手段の操作に基づきフォークが最下動位置に達した時に切換選択されていると、フォークが所定位置まで下動した時点では解除制御手段によるパレットのロック解除制御は実行されずに、フォークが最下動位置に達した時に始めて実行開始される。
【0023】
そのため、作業状況に応じて、解除制御手段によるパレットのロック解除制御の実行開始タイミングを、フォークが所定位置まで下動した時、または、フォークが最下動位置に達した時のいずれかに作業者の判断で選択することができる。
【0024】
また、本発明は、前記フォークが前記パレットに挿入されたことを検出するパレット検出センサを備え、前記停止制御手段は、前記パレット検出センサにより、前記フォークが挿入されるべき前記パレットが検出されないときには前記フォークの停止制御を行わないものであることを特徴としている(請求項2)。
【0025】
このような構成によれば、パレット検出センサによりパレットが検出されないときには、停止制御手段によるフォークの停止制御を行う必要がないため、フォークの停止制御は行われず、無駄な制御を省くことができる。
【0026】
また、本発明は、前記フォークリフトは、前記フォークと共に運転台が一体的に昇降するオーダピッキングトラックであることを特徴としている(請求項3)。このような構成によれば、パレットのロック解除を自動的に行うことができるオーダピッキングトラックを提供することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
この発明をオーダピッキングトラックに適用した場合の第1実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。但し、図1、図2はそれぞれオーダピッキングトラックを斜め後方及び斜め前方から見た斜視図、図3は一部の平面図、図4及び図5はそれぞれ他の一部の右側面図及び動作説明図、図6は制御系のブロック図、図7及び図8は動作説明図である。
【0028】
図1及び図2に示すように、本実施形態におけるオーダピッキングトラック1では、その中央にはマスト装置10が設けられ、このマスト装置10に沿って、オペレータが搭乗するための運転台3が昇降自在に支持される。運転台3の車体後方側には一対のフォーク2が突出するように固定され、フォーク2とは反対側即ち車体前方には、車体を走行駆動するためのモータや、荷役のための装置を駆動する油圧モータなどを含む駆動部11が配され、運転台3の上方にはオペレータ保護用で柵状のヘッドガード12が設けられている。また、運転台3の正面左部分にはハンドル13が設けられ、正面右部分には車体を前後方向に走行させるアクセルと、運転台3及びフォーク2を昇降させるスイッチとから成る操作装置18が設けられている。更に、運転台3の上方にはオペレータ保護用のほぼコ字型の安全バー14が設けられ、運転台3の床面(台座4の上面)にはブレーキペダル16が設けられている。
【0029】
次に、パレットロック手段の構成について図3〜図5により説明する。このパレットロック手段20は、その駆動部分が運転台3の下部の偏平な台座4内に収納配置されていて、パレットのロックを行うロックバー21が、台座4の前板17からフォーク2と平行に突出している。ロックバー21は、平面視において互いに向き合うほぼL型に形成され、基部は板状のブラケット23にボルト止めされて、2本のロックバー21にて全体の形状が略コ字型に形成された状態となっている。また、両ロックバー21の先端部分の上部は先端ほど下方に傾斜する傾斜部22が形成されている。ブラケット23の端部は、台座4に水平に設けた軸26により上下旋回自在に支持されており、これにより、ロックバー21は軸26を中心に上下揺動自在となっている。
【0030】
また、台座4内にはロックバーのための駆動手段としてのパワーシリンダ30が車体前後方向に配設されており、このパワーシリンダ30のロッド32はパワーシリンダ30の端部に付設されているモータ31の正転、逆転により図示しないギヤを介して伸縮自在となっている。また、パワーシリンダ30の両側には、ロッド32が収納されている状態を検出する入検出センサ28と、ロッド32が伸長した状態を検出する出検出センサ29がそれぞれ設けられている。尚、これらの入検出センサ28、出検出センサ29は例えば磁気センサにより構成されている。
【0031】
そして、ロッド32の先端には軸36を介してリンク体34が連結され、リンク体34の下端は台座4に支持された軸35に旋回自在に連結されている。また、リンク体34の中央には、ダンパ40の一端が軸37により回動自在に連結されており、ダンパ40の他端は、ブラケット23の上面に突設した突部27と軸41を介して回動自在に連結されている。このダンパ40は、後述するようにパレット6をロックした際にロックバー21にかかる力を吸収するものであり、内部にはコイルスプリングが配されている。
【0032】
今、図4に示すように、パワーシリンダ30のロッド32が収納されている状態では、リンク体34は軸35を中心にして図の左方に位置し、更にリンク体34と連結しているダンパ40は左方に付勢されている。これにより、ブラケット23及びロックバー21は軸26を中心にして反時計方向に揺動して、ロックバー21は側面視においてフォーク2と上下同一位置となる水平状態を維持している。この状態でモータ31に電源が印加されてパワーシリンダ30のロッド32が伸長していくと、図5に示すようにリンク体34は軸35を中心にして図の右方に付勢され、さらにダンパ40が右方に付勢されることで、ブラケット23は軸26を中心にして時計方向に揺動する。すなわち、ロックバー21は実線で示すように、軸26を軸として時計方向に揺動して、ロックバー21の先端下面側でパレット6の下側デッキボードの上面を押圧ないし圧接することで、ロックバー21によりパレット6をロックするものである。
【0033】
また、逆にモータ31への印加電圧の方向を反転させることで、パワーシリンダ30のロッド32を収納させていき、リンク体34は軸35を中心に左方に回転し、さらにダンパ40も左方に連動することで、ブラケット23、つまりロックバー21は軸26を中心に反時計方向に回転して水平状態に復帰することになる。
【0034】
また、パレットロック手段20には、図7及び図8に示すように、各部の動作を検出するための検出手段としてのセンサが配設されている。ロックバー21を固定しているブラケット23の背部にはマグネット(図中の黒で記した部材)42が設けてあり、このマグネット42の磁力にてオン(またはオフ)して検出信号を出力する磁気センサからなるパレット検出センサ43、及び着地検出センサ44がそれぞれ配設されている。図7(a),(b)に示すように、ロックバー21が水平状態となっている時に、マグネット42にてオンされるパレット検出センサ43が設けられ、また図7(c)に示すように、ロックバー21の先端が下方に所定角度だけ旋回したときにマグネット42にてオンされる着地検出センサ44が設けられる。
【0035】
図6はパレットロック手段20の制御系のブロック図であり、パレット検出センサ43、着地検出センサ44からの信号がMPUからなる制御手段45に入力され、制御手段45によりモータ31を正逆転させてパワーシリンダ30のロッド32を伸縮してロックバー21によりパレット6をロック、解除を行うようになっている。また、入検出センサ28と出検出センサ29からの検出信号からの信号が制御手段45に入力される。
【0036】
更に、図6に示すように、フォーク2が最下動位置から予め定められた高さの所定位置まで下動したことを検出する揚高検出センサ51が設けられ、この揚高検出センサ51の出力も制御手段45に取り込まれる。ここで、例えば地面にフォーク2が接している時を最下動位置とすると、地面から10cmの位置が上記した所定位置に設定される。
【0037】
揚高検出センサ51の具体例として、地面から10cmの位置にリミットスイッチを設置しておき、フォーク2が地面から10cmの位置まで下動したときにこのリミットスイッチの接点をオンするように設定しておけばよい。また、フォーク2をリフトするリフトシリンダの駆動量からフォーク2の揚高を検出するようにしてもよく、この場合も地面から10cmの位置までフォーク2が下動したことを検出できるセンサであれば、接触式、非接触式のいずれであってもよい。更に、リフトシリンダを駆動するモータの回転量からフォーク2の揚高を検出するものであってもよい。
【0038】
ところで、リフトシリンダの動作によりフォーク2が下動すると、制御手段45は、揚高検出センサ51の出力に基づき、地面から10cmの位置までフォーク2が下動したと判断したときには、リフトシリンダの動作を停止してフォーク2の下動を一旦停止すると共に、パレットロック手段20によるパレット6のロックを解除すべくモータ31を制御し、パワーシリンダ30を駆動してロックバー21の後端部を上方に回転させる。このような制御手段45によるフォーク2の下動停止処理が、本発明における停止制御手段に相当し、ロック解除処理が、本発明における解除制御手段に相当する。
【0039】
また、図6に示すように、フォーク2の下動を再開させるための再開操作手段として下動再開スイッチ53が配設されており、作業者によるこのスイッチ53の操作に基づき、制御手段45によりフォーク2の下動が再開される。尚、この時のフォーク2の下動は、最下動位置に達した時点で停止されるが、その間パレット6の着地時の衝撃をなくすために、通常のリフトダウン速度よりもゆっくりと下動するように制御される。
【0040】
次に、パレットロック手段20によるパレット6のロックの動作について図7を用いて説明し、次いでロックの解除動作について説明する。先ず、図7(a)に示すように、ロックバー21は水平状態のままにしてフォーク2をパレット6に差し込んでいくと、図7(b)に示すようにフォーク2に次いでロックバー21の先端がパレット6内に差し込まれる。このとき、ロックバー21はその上部に形成した傾斜部22がフォーク2の上面より上方に突出した状態にあり、このときのロックバー21の位置を第1の位置と称する。フォーク2を更に差し込んでいくと、ロックバー21の傾斜部22の上面がパレット6の上側デッキボード6aの端面に当たることで、その傾斜部22の傾斜角度に応じてロックバー21が下方に傾斜していく。
【0041】
そして、図7(c)に示すようにロックバー21の傾斜部22の全体がパレット6内に入り込むとフォーク2はパレット6内に完全に入り込む。このときのロックバー21の位置を第2の位置と称する。ロックバー21が上記第1の位置から第2の位置へと下方に回転することに伴い、マグネット42の位置がパレット検出センサ43の位置から時計方向に回転する。これにより、パレット検出センサ43の出力はオンからオフに変化し、この出力変化に応じてパワーシリンダ30が駆動される。
【0042】
即ち、パレット検出センサ43からのパレット検出信号が制御手段45に入力され、同時にパワーシリンダ30のロッド32が出ていないことを、入検出センサ28及び出検出センサ29からの信号により判断し、ロッド32が出て(伸長して)いないことを制御手段45が判断する。これらの信号を受けた制御手段45はモータ31を、例えば正転させてパワーシリンダ30のロッド32を伸長させて上述したようにロックバー21を更に下方に回転させる。パワーシリンダ30のロッド32を伸長させた状態で、ロックバー21の先端はパレット6の下側デッキボード6bの上面を押圧ないし圧接する。これにより、パレット6がロックバー21によりロックされる。同時にパワーシリンダ30のロッド32が出たことを検出する出検出センサ29の信号を検出することにより、ロックバー21がパレット6をロックしたと判断し、モータ31は停止する。このときのロックバー21の位置を第3の位置と称する。
【0043】
図7(d)は、上記のようにしてロックバー21が下側デッキボード6bに当接した後、フォーク2が上昇し、フォーク2にてパレット6を持ち上げた状態を示している。マグネット42はパレット検出センサ43及び着地検出センサ44から離れていることで、パレット検出センサ43及び着地検出センサ44はオフとなり、この両オフ信号にて制御手段45は、後述する解除信号が入力されるまで、パワーシリンダ30を制御してロックバー21にてパレット6のロックを維持するようにしている。また、フォーク2をパレット6に差し込んでパレット6の検出後にロックバー21によりロックされて、フォーク2の上昇に伴いフォーク2によりパレット6を持ち上げた場合、ダンパ40が少しだけ伸び、またその弾発力によってパレット6へのロックは維持される。
【0044】
このようにして、フォーク2をパレット6に差し込んだ時に傾斜部22を介して下方に揺動するロックバー21側に設けたマグネット42が揺動してパレット検出センサ43によりパレット6が検出され、これにより、パレットロック手段20が駆動されてロックバー21にてパレット6を自動的にロックするようになっている。そのため、オペレータがパレット6に乗って荷役作業を行う場合には、パレット6が完全にロックバー21によりロックされているので、パレット6が不安定な状態になることはなく、安全に作業を行うことができる。また、パレット6のロック動作が自動的に行なわれるので、オペレータ(作業者)は、ロック忘れが無くなり、事故を未然に防止することができる。
【0045】
次に、パレットロック手段20のロックの解除動作について説明する。図8(a)は、ロックバー21でパレット6をロックしてフォーク2でパレット6を持ち上げて荷物を搬送している状態を示している。この状態ではロックバー21は図の矢印に示す方向に付勢され、マグネット42は着地検出センサ44から外れているために、着地検出センサ44とパレット検出センサ43は共にオフ状態となっている。
【0046】
続いて、図8(b)に示すように、棚や地面(床面)などの載置部47にフォーク2を下降させてパレット6を載せると、フォーク2はパレット6の上側デッキボード6aの天井面より下降することで、ロックバー21の軸26の位置も共動して下降する。そのため、ロックバー21はダンパ40が縮むことにより軸26を中心にして反時計方向に角度α1だけ回転する。このロックバー21の回転によりマグネット42の位置が着地検出センサ44の位置まで回転して、マグネット42により着地検出センサ44をオンさせる。
【0047】
この着地検出センサ44のオン信号、及び、ロッド32の出検出センサ29のオン信号が制御手段45に入力され、制御手段45はモータ31を例えば、逆転させてパワーシリンダ30のロッド32を収納させて、図8(c)に示すようにロックバー21は水平状態まで回転することで、パレット6のロックが解除される。尚、パワーシリンダ30のロッド32を収納させた状態でロックバー21は自然と水平状態(ロックの解除状態)となる。パワーシリンダ30のロッド32が入ったことを検出する入検出センサ28がオンすることで、制御手段45側では、ロックを解除していることを認識している。
【0048】
このように、パレット6がフォーク2に挿入されたとき、ロックバー21によって下側デッキボード6bが押圧され、パレット6がロックされる。そして、その後フォーク2が上昇すると、パレット6の上側デッキボード6aはフォーク2の上面によって、下側デッキボード6bはロックバー21によって、それぞれパレット6の内側から押圧支持される形となり、パレット6は更に強固にロックされる。
【0049】
その後、作業者により下動再開スイッチ53が操作されると、制御手段45によりリフトシリンダの動作が再開され、停止制御されていたフォーク2の下動が再開され、フォーク2が最下動位置まで達すると、リフトシリンダの動作が停止されてフォーク2の下動が完全に停止され、フォーク2がパレット6の上側デッキボード6aから離れてパレット6からフォーク2を容易に引き抜くことができる状態となる。
【0050】
従って、第1実施形態によれば、パレット6のロックが解除された時点で、パレット6の完全な着地を待たずにフォーク2をパレット6から引き抜くことができるため、フォーク2をパレット6から引き抜くのに、従来のようにパレット6が完全に着地した後にロック解除されるのを待つ必要がなくなり、作業効率の低下を招くことを防止できる。
【0051】
また、フォーク2が所定位置(地面から10cmの位置)まで下動すれば、パレット6はほぼ着地するか或いは地面から若干浮いた状態であるため、従来のように、パレット6が着地せずにロックされた状態のままで作業者がフォーク2をパレット6から引き抜くようなこともなく、荷崩れを招いたりパレット6を引きずって破損したりすることを防止できる。
【0052】
更に、制御手段45により揚高検出センサ51の出力に基づきフォーク2が所定位置(地面から10cmの位置)まで下動したと判断されると、制御手段45によりリフトシリンダの動作が停止されてフォーク2の下動が一旦停止されるため、このようなフォーク2の停止により、作業者はフォーク2が地面近くの所定位置まで下動したことを容易に認識することができる。しかも、この状態で下動再開スイッチ53を操作すれば、パレット6が完全に着地するまでフォーク2の下動を再開させることができる。
【0053】
なお、本実施形態では、再開操作手段として下動再開スイッチ53を設けた場合について説明したが、下動再開スイッチ53に代えて通常のリフトダウン操作用のリフトスイッチを兼用しても構わない。
【0054】
また、本実施形態では、フォーク2が所定位置まで下動したときにフォーク2の下動を停止するようにしているが、必ずしもフォーク2の下動を停止する必要はなく、したがって下動再開スイッチ53も特に設ける必要はない。要するに、フォーク2が所定位置まで下動した時点で、少なくともパレット6のロックを自動的に解除するようにしておけばよい。
【0055】
(第2実施形態)
この発明の第2実施形態について図9及び図10を参照して説明する。但し、図9は制御系のブロック図、図10は動作説明図である。尚、本実施形態におけるオーダピッキングトラック1の基本的な構成は第1実施形態で説明した内容とほぼ同じであるため、以下では図1ないし図3も参照しつつ、主として第1実施形態と相違する点について説明する。
【0056】
本実施形態では、図9に示すように、切換操作手段としての切換スイッチ55を備え、この切換スイッチ55は、制御手段45によるパレット6のロック解除制御の実行開始タイミングを、揚高検出センサ51の出力に基づきフォーク2所定位置(地面から10cmの位置)まで下動したと検出される時、または、下動再開スイッチ53の操作に基づきフォーク2が最下動位置に達した時のいずれかに切換設定するためのものであり、作業者はどちらのタイミングでパレット6のロック解除を行うか選択することができるようにしており、かかる点が上記した第1実施形態と大きく相違している。
【0057】
そして、図10のフローチャートに示すように、パレットロック手段20によりパレット6がロックされた状態でリフトダウンしているときに、揚高検出センサ51の出力に基づき、制御手段45によりフォーク2が所定位置(地面から10cmの位置)まで下動したか否かの判定がなされ(S1)、この判定結果がNOであれば、判定結果がYESになるまでこの判定が繰り返され、判定結果がYESになれば、切換スイッチ55の操作に基づき、フォーク2が所定位置まで下動した時に、パレット6のロック解除を直ちに実行開始するかどうかの判定がなされる(S2)。
【0058】
このステップS2の判定結果がYESであれば、フォーク2が所定位置まで下動したと検出される時点でパレット6のロック解除制御の実行開始するように切換スイッチ55が切換操作されているため、制御手段45により、直ちにモータ31が制御されてパワーシリンダ30が駆動され、ロックバー21の後端部が上方に回転されてパレット6のロック解除が行われ(S3)、その後動作は終了する。
【0059】
一方、ステップS2の判定結果がNOであれば、下動再開スイッチ53の操作に基づきフォーク2が最下動位置まで下動した時にパレット6のロック解除制御を実行開始するように切換スイッチ55が切換操作されているため、フォーク2が最下動位置まで下動するとモータ31が制御されてパワーシリンダ30が駆動され、ロックバー21の後端部が上方に回転されてパレット6のロック解除が行われ(S4)、その後動作は終了する。
【0060】
従って、第2実施形態によれば、パレット6のロック解除制御の実行開始タイミングを、フォーク2が所定位置まで下動した時、または、フォーク2が最下動位置に達した時のいずれにするかを作業者の判断で選択することができ、作業状況に応じたパレット6のロック解除タイミングを選ぶことができる。
【0061】
なお、この発明の他の実施形態として、上記した第1または第2実施形態において、フォーク2がパレット6に挿入されたことを検出するパレット検出センサ43により、フォーク2が挿入されるべきパレット6が検出されないときには、フォーク2が所定位置(地面から10cmの位置)まで下動しても、制御手段45によりフォーク2の停止制御を行わないようにしてもよい。
【0062】
こうすれば、パレット検出センサ43によりパレット6が検出されないときには、制御手段45によるフォーク2の停止制御を行う必要がないため、フォーク2の停止制御は行われず、無駄な制御を省くことができる。
【0063】
更に、上記した各実施形態では、フォークリフトをオーダピッキングトラック1として説明したが、本発明が適用できるフォークリフトは、特にオーダピッキングトラックに限定されるものではない。
【0064】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、パレットの完全な着地前に解除制御手段によりパレットのロックが解除されるので、フォークをパレットから引き抜くのに、従来のようにパレットの完全着地後におけるロック解除を待つ必要がなくなり、作業効率の低下を招くことが可能になる。
【0066】
更に、揚高検出センサが検出する高さを最下動位置である例えば地面から10cm程度に設定しておくと、パレットはほぼ着地するか或いは地面から若干浮いた状態でロック解除されるため、従来のように、、パレットが着地しているにもかかわらず、ロックが完全に解除されないままの状態で作業者がフォークをパレットから引き抜くようなことも生じず、荷崩れを招いたりパレットを引きずって破損したりするのを防止することが可能になる。
【0067】
また、請求項1に記載の発明によれば、パレットロック手段によりパレットがロックされた状態でフォークが下動し、揚高検出センサによりフォークが所定位置まで下動したことが検出されると、停止制御手段によりフォークの下動が停止されるため、このようなフォークの停止により、作業者はフォークが所定位置まで下動したことを認識することが可能になる。
【0068】
更に、停止制御手段によりフォークの下動が停止されても、再開操作手段の操作によってフォークの下動を再開されると同時に、再開操作手段の操作に基づき、解除制御手段によりパレットロック手段によるパレットのロックが解除されるため、揚高の低い所定位置においてもパレットはクランプされているため、荷崩れを招いたり、パレットを引きずって破損したりするのを防止することが可能になる。
【0069】
また、請求項1に記載の発明によれば、作業状況に応じて、解除制御手段によるパレットのロック解除制御の実行開始タイミングを、フォークが所定位置まで下動した時、または、フォークが最下動位置に達した時のいずれかに作業者の判断で選択することが可能になる。
【0070】
また、請求項2に記載の発明によれば、パレット検出センサによりパレットが検出されないときには、停止制御手段によるフォークの停止制御を行う必要がないため、フォークの停止制御は行われず、無駄な制御を省くことが可能になる。
【0071】
また、請求項3に記載の発明によれば、パレットのロック解除を自動的に行うことができるオーダピッキングトラックを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態におけるオーダピッキングトラックを斜め後方から見た斜視図である。
【図2】この発明の第1実施形態におけるオーダピッキングトラックを斜め前方から見た斜視図である。
【図3】この発明の第1実施形態における一部の平面図である。
【図4】この発明の第1実施形態における他の一部の右側面図である。
【図5】この発明の第1実施形態における他の一部の動作説明図である。
【図6】この発明の第1実施形態における制御系のブロック図である。
【図7】この発明の第1実施形態における動作説明図である。
【図8】この発明の第1実施形態における動作説明図である。
【図9】この発明の第2実施形態における制御系のブロック図である。
【図10】この発明の第2実施形態における動作説明用フローチャートである。
【図11】従来例の側面図である。
【図12】従来例のブロック図である。
【符号の説明】
1 オーダピッキングトラック
2 フォーク
3 運転台
6 パレット
20 パレットロック手段
21 ロックバー
30 パワーシリンダ
31 モータ
43 パレット検出センサ
45 制御手段(解除制御手段、停止制御手段)
51 揚高検出センサ
53 下動再開スイッチ(再開操作手段)
55 切換スイッチ(切換操作手段)
Claims (3)
- フォークが挿入されたパレットの下側デッキボードを押圧してパレットをロックするパレットロック手段を備えて成るフォークリフトの制御装置において、 上下に昇降する前記フォークの位置を検出する揚高検出センサと、前記揚高検出センサにより前記フォークが予め定められた所定位置まで下動したことが検出されたときに前記パレットロック手段による前記パレットのロックを解除制御する解除制御手段とを備えると共に、前記揚高検出センサにより前記フォークの前記所定位置までの下動が検出されたときに前記フォークの下動を停止させる停止制御手段と、下動再開のための操作に基づき、前記停止制御手段により停止制御された前記フォークの下動を再開させる再開操作手段とを備え、更に、前記解除制御手段による前記パレットのロック解除制御の実行開始タイミングを、前記揚高検出センサにより前記フォークの前記所定位置までの下動が検出された時、または、前記再開操作手段の操作に基づき前記フォークが最下動位置に達した時のいずれかに切換設定するための切換操作手段を備えていることを特徴とするフォークリフトの制御装置。
- 前記フォークが前記パレットに挿入されたことを検出するパレット検出センサを備え、前記停止制御手段は、前記パレット検出センサにより、前記フォークが挿入されるべき前記パレットが検出されないときには前記フォークの停止制御を行わないものであることを特徴とする請求項1に記載のフォークリフトの制御装置。
- 前記フォークリフトは、前記フォークと共に運転台が一体的に昇降するオーダピッキングトラックであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のフォークリフトの制御装置。
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